説明

画像データ処理装置及び方法

【課題】画像入力側の処理性能が低い場合にも高速に複雑な画像処理を実施可能とする。
【解決手段】第1装置としての携帯電話10は、視覚的に認識出来ないステガノデータの埋め込まれた画像データを入力して外部に送信し、外部から処理結果を受信して保持する。第2装置としてのサーバ12は、携帯電話10から受信した画像データにデータ処理を施してステガノデータを取得し、取得したステガノデータを処理結果として携帯電話10に送信する。携帯電話10は処理結果としてのステガノデータを結果データ受信部20で受信し、外部からの再転送要求があったとき、残りの分割画像データの一部を外部に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像入力機能を有する機器、例えばカメラ付き携帯電話で画像データを処理する画像データ処理装置及び方法に関し、特に、画像に埋め込まれているステガノデータを画像処理により取得する画像データ処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話によるインターネットの利用が盛んになるに伴い、カメラやスキャナなどの画像入力機器を搭載した携帯電話の開発も盛んに行われている。このような携帯電話を用いることにより、画像入力機器により得られた画像データを、その携帯電話からインターネット等の通信ネットワークを介して他の携帯電話やパーソナルコンピュータなどの端末に送信して活用することができる。
【0003】
一方、スキャナやカメラなどの画像入力機器とパーソナルコンピュータとを接続した画像データの利用方法として、例えば米国特許第5,636,292号明細書図面に開示されるものがある。この画像データの利用方法は、ステガノグラフィックス符号化(Steganographic encoding)による情報(以下「ステガノデータ」という)が埋め込まれた印刷物などの画像を、画像入力機器によりパーソナルコンピュータに読み込み、ステガノデータを検出してサーバに送信する。サーバ側ではステガノデータに対応するURLを検索してパーソナルコンピュータ側に返送し、パーソナルコンピュータ側ではURLに対応するウェブサイトにアクセスして画像に対応した情報を表示させる。
【0004】

【特許文献1】国際公開第00/70585号 (パテントファミリー:特表2002−544637)
【特許文献2】特開2000−184324号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなステガノデータを検出する画像データの利用方法をカメラ付きの携帯電話で実施しようとしても、携帯電話で使えるメモリやCPUによる処理性能上の制限から、パーソナルコンピュータ上で行っているステガノデータを検出するための画像処理を実用的な処理時間で実施することが出来ないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、画像入力側の処理性能が低い場合にも高速に複雑な画像処理を実施可能な画像データ処理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像データ処理装置を提供するものであり、ステガノデータが埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、画像データ入力部により入力したステガノデータを含む画像データを複数領域に分割する画像データ分割部と、分割された画像データの一部を外部に送信する画像データ送信部と、外部から結果データとしてステガノデータを受信する結果データ受信部とを有し、外部からの再転送要求に応じて残りの分割画像データの一部を外部に送信することを特徴とするものである。
【0008】
すなわち、視覚的に認識出来ないステガノデータの埋め込まれた画像データを入力して外部に送信し、外部から処理結果を受信して保持する例えば携帯電話などの第1装置と、第1装置から受信した画像データにデータ処理を施してステガノデータを取得し、取得したステガノデータを処理結果として第1装置に送信するサーバなどの第2装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このため第1装置が処理性能に制限のあるカメラ付きの携帯電話であっても、通信路で接続された処理能力の高いサーバなどの第2装置にステガノデータの埋め込まれた画像データを送信して処理結果を得ることで、第1装置では処理時間のかかる画像埋め込み情報の解析処理を高速に実行可能とする。
【0010】
ここで第1装置は、ステガノデータの埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、入力した画像データを外部に送信する画像データ送信部と、第2装置から処理された結果データを受信する結果データ受信部と、受信した結果データを保持する結果保持部とを有し、第2装置は、第1装置から画像データを受信する画像データ受信部と、受信された画像データを保持するデータ保持部と、画像データに処理を施してステガノデータを取得する画像データ処理部と、取得したステガノデータを結果データとして前記第1装置に送信する結果データ送信部とを有し、第1装置と第2装置は通信路で常時または間欠に接続されていることを特徴とする。
【0011】
また本発明において、第2装置は、取得したステガノデータを他の情報に変換して結果データとして第1装置に送信し、第1装置は、第2装置から受信した結果データを外部の第3装置に送信して他の処理結果を受信する。このため第2装置で取得したステガノデータをURLなどに変換して第3装置へのアクセスによりウェブサイト等を閲覧でき、このため画像データに多量の情報を埋め込む必要がなくなる。
【0012】
第1装置は、入力した画像データに対し2装置側での画像処理の一部となる前処理を実行する前処理部を設ける。これによって第2装置側の負荷を軽減することができる。
【0013】
第1装置は、入力した画像データを複数領域に分割して一部を第2装置に送信し、第2装置は、第1装置から受信した一部の画像データに画像処理を施し、ステガノデータが取得できなかった場合は、ステガノデータを取得するまで第1装置に残りの分割部分の画像データの再転送を順次要求して画像処理する。
【0014】
ステガノデータは、通常、画像の一部に埋め込まれているため、画像データを全て送らずに分割した一部を順次送りながら第2装置側でステガノデータを検出することで、第2装置側での画像処理の負荷を軽減し、通信を高速化できる。
【0015】
第1装置で入力保持した画像データを圧縮して第2装置に送信し、第2装置で前記第1装置から受信した圧縮画像データを復元して画像処理を施す。このように、第1装置から第2装置に送信するデータを圧縮することで、送信データ量を低減し、通信時間を削減できる。
【0016】
本発明は、画像データ処理方法を提供するものであって、この方法は、視覚的に認識できないステガノデータが埋め込まれた画像データを第1装置で入力して第2装置に送信し、第2装置で前記第1装置から受信した画像データにデータ処理を施してステガノデータを取得し、取得したステガノデータを処理結果として第2装置から前記第1装置に送信し、第2装置から受信した結果データを第1装置で受信して保持することを特徴とする。尚、画像データ処理方法の詳細は、基本的に装置の場合と同じになる。
【0017】
また本発明は、処理性能に制限のある携帯電話などの装置そのものを提供するものであり、この装置は、ステガノデータが埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、入力した画像データを外部に送信する画像データ送信部と、外部から結果データとしてステガノデータを受信する結果データ受信部と、受信した結果データを保持する結果保持部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、分割した画像データを外部に送信し、外部で処理された結果データとしてのステガノデータを受信し、外部からの再転送要求に応じて残りの分割画像の一部を外部に送信するので、外部装置主導でデータ処理が行える。
【0019】
このため、第1装置が処理性能に制限のあるカメラ付の携帯電話などであっても、通信路で接続された処理能力の高いサーバとの第2装置にステガノデータなどの画像データを送信して処理結果を得ることで、第1装置では処理時間がかかる画像の埋め込み情報の解析処理であっても高速に処理を実行して結果を得ることができる。
【0020】
また第2装置としてのサーバにより送って取得したステガノデータを他の第3装置のアドレスであるURLなどに変換して、第3装置へアクセスすることによりステガノデータを、更に多量の情報を取得することができ、画像データに埋め込むステガノデータの情報量を低減できる、
また第1装置から第2装置に画像データを送信する際に画像データの一部を送信して、ステガノデータの取得処理を行い、もしステガノデータが取得出来なかった場合には残りの画像データの再送要求を順次行って処理することで第2装置側での画像処理の負荷を軽減し、また通信の高速化ができる。
【0021】
また第1装置側で第2装置におけるステガノデータ取得処理に必要な画像処理の一部を前処理として行うことで、第2装置側での負荷が軽減できる。
【0022】
更に第1装置から画像データを圧縮して送って第2装置側で復元することで送信データ量を軽減し、通信時間を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明による第1実施形態のブロック図である。図1において、本発明の画像データ処理装置は、第1装置と機能する携帯電話10と第2装置として機能するサーバ12で構成される。
【0024】
携帯電話10には、画像データ入力部14、画像データ保持部16、画像データ送信部18、結果データ受信部20、結果データ保持部22及び表示部24が設けられる。またサーバ12には画像データ受信部26、画像データ保持部28、画像データ処理部30及び結果データ送信部32が設けられる。
【0025】
携帯電話10の画像データ入力部14はCMOSセンサやCCDセンサなどを用いて画像を入力する。この携帯電話10は例えば図2のように表示部24、キー操作部38及びカメラ34を備えている。
【0026】
サーバ12に設けた画像データ処理部30は携帯電話10から送られてきた画像データについてステガノデータを取得するための画像処理を施す。このステガノデータを取得するための画像データ処理としては例えば米国特許第5,636,292号明細書図面に開示された処理が適用できる。
【0027】
図2は、図1による第1実施形態における画像データ処理動作の概略である。携帯電話10にはカメラ34が一体に設けられており、本発明が対象としているステガノデータが埋め込まれている印刷物などの画像を入力することができる。携帯電話10のカメラ34で入力した画像データは、通信回線42を介してサーバ12に送られ、サーバ12におけるステガノデータ取得処理40の実行によりステガノデータが取得され、これが携帯電話10に通信回線42を介して送り返される。
【0028】
図3は、図1の第1実施形態における携帯電話10とサーバ12のやり取りを含む処理手順のタイムチャートである。この図3を参照して図1の第1実施形態動作を説明すると次のようになる。携帯電話に設けられているカメラ34としてのCMOSセンサやCCDセンサなどで構成される画像データ入力部14によりステガノデータが埋め込まれている印刷物などの画像データを撮影して入力すると、この画像データは画像データ保持部16にステップS1で保持される。
【0029】
続いてステップS2で画像データ保持部16に保持されたデータは画像データ送信部18により通信路42−1を介してサーバ12に送信される。この画像データの送信の際には画像データと共に処理結果の送り先となる携帯電話10の宛先情報も同時に送信する。
【0030】
サーバ12にあっては、ステップS101で携帯電話10から送られてきた画像データ及び宛先情報を画像データ受信部26で受信した後、画像データ保持部28に保持する。
【0031】
次にステップS102で画像データ保持部28からの画像データを呼び出し、画像データ処理部30で例えば米国特許第5,636,292号の明細書図面に開示されたステガノデータ取得処理を実行して、画像データからステガノデータを取得する。
【0032】
画像データ処理部30で取得されたステガノデータは、結果データ送信部32に送られ、ステップS103で画像データと共に受信している宛先情報に基づき、携帯電話10に通信路42−2を介して結果データとしてステガノデータを送信する。
【0033】
サーバ12からの結果データは、ステップS3で携帯電話10の結果データ受信部20で受信されて結果データ保持部22に保持される。結果データ保持部22に保持されたステガノデータは、表示部24に与えられステップS3でサーバ12から受け取ったステガノデータを携帯電話10の画面上に表示される。
【0034】
図4は、本発明の第2実施形態のブロック図である。この第2実施形態にあってはサーバ側で取得したステガノデータを更に他の装置のアドレス、例えばURLに変換して携帯電話に戻すようにしたことを特徴とする。
【0035】
図4において、携帯電話10には画像データ入力部14、画像データ保持部16、画像データ送信部18、結果データ受信部20及び結果データ保持部22が設けられ、これらの構成は図1の第1実施形態と同じである。これに加えて携帯電話10には更にWWWブラウザ48とHTTP転送部50が設けられる。
【0036】
一方、サーバ12には画像データ受信部26、画像データ保持部28、画像データ処理部30及び結果データ送信部32に加え、更にデータ変換部46が設けられている。
【0037】
データ変換部46は、画像データ処理部30で取得されたステガノデータを第3装置として機能するWWWサーバ44のアドレスであるURLに変換する機能を備えている。
【0038】
図5は、図4の第2実施形態における画像データ処理動作の概略である。図5の第2実施形態の処理動作にあっては、携帯電話10のカメラ34で入力したステガノデータを含む画像データは通信回線42からサーバ12に送られ、ステガノデータ取得処理40を実行することでステガノデータが取得されるが、更にURL変換処理52により第3装置であるWWWサーバ44のアドレスであるURLに変換され通信回線42を介して携帯電話10に送り返される。
【0039】
図6は、図4の第2実施形態における携帯電話とサーバのやり取りを含む処理手順のタイムチャートであり、これに従って第2実施形態の処理動作を説明すると次のようになる。
【0040】
携帯電話10にカメラ34として設けられたCMOSセンサまたはCCDセンサなどで実演される画像データ入力部14から入力されたステガノデータを含む画像データは、ステップS1で入力後に画像データ保持部16に保持された後、ステップS2で画像データ送信部18より通信路42−1を介してサーバ12に送信される。このとき画像データと共に処理結果の送り先を示す宛先情報も送信される。
【0041】
サーバ12はステップS101で画像データ受信部26により携帯電話10からの画像データを受信し、画像データ保持部28に保持する。次にステップS102で画像データ保持部28から画像データを読み出し、画像データ処理部30でステガノデータの取得処理を実行する。
【0042】
画像データ処理部30で取得されたステガノデータはステップS103でデータ変換部46に与えられ、取得したステガノデータを予め登録している変換テーブルを使用して、第3装置となるWWWサーバ44のアドレスであるURLに変換する。
【0043】
データ変換部46で変換されたURLはステップS104で通信路42−2を介して結果データ送信部32に与えられ、通信路42−1を介して携帯電話10に送信される。
【0044】
携帯電話10はステップS3でサーバ12から結果データとしてステガノデータから変換されたURLを結果データ受信部20で受信して、結果データ保持部22に保持する。そしてステップS4で結果データ保持部22に保持されたURLを使用してWWWブラウザ48がHTTP転送部50を介して、WWWサーバ44にアクセスし、WWWサーバ44のURLで指定されたホームページを携帯電話10の表示部24に画面表示して閲覧する。
【0045】
尚、図4の第2実施形態にあってはステガノデータからアドレスであるURLに変換するデータ変換をサーバ12に設けたデータ変換部46で行っているが、更にデータ変換部46の機能を備えた第4装置としてのサーバを設け、この第4装置のサーバに携帯電話10あるいはサーバ12からステガノデータを送って、第3装置となるWWWサーバ44のアドレスであるURLを取得するようにしても良い。
【0046】
図7は、本発明の第3実施形態のブロック図である。この第3実施形態にあっては、携帯電話10側でサーバ12におけるステガノデータ取得をするため、画像データの処理の一部を前処理として行うようにしたことを特徴とする。
【0047】
図7において、第1装置での携帯電話10には、画像データ入力部14、画像データ保持部16、画像データ送信部18、結果データ受信部20、結果データ保持部22及び表示部24が設けられ、これらの構成は図1の第1実施形態と同じであるが、更に画像データ保持部16と画像データ送信部18の間に前処理部54を設けている。
【0048】
前処理部54は画像データ入力部14で入力したカラー画像データを例えば2値化画像データに変換する前処理を行う。このカラー画像データから2値化画像データへの変換は図1の実施形態にあってはサーバ12の画像データ変換部30で行われているが、この第3実施形態では携帯電話10側で行っている。
【0049】
第2装置としてのサーバ12は、画像データ受信部26、画像データ保持部28、画像データ変換部30及び結果データ送信部32を備えており、基本的には図1の第1実施形態と同じであるが、画像データ変換部30は携帯電話10側に前処理部54を設けたことで、例えば前処理部54によるカラー画像から2値化画像への変換処理を除いた画像データ処理を実行し、その分画像処理が緩和されている。
【0050】
図8は、図7の携帯電話10とサーバ12のやり取りを含む処理手順のタイムチャートであり、これを参照して図7の第3実施形態の動作を説明すると次のようになる。
【0051】
携帯電話10は、ステップS1でステガノデータを含む印刷物などからCMOSセンサまたはCCDセンサで構成される画像データ入力部14により画像を撮像した画像データを入力して、画像データ保持部16に保持する。続いてステップS2で前処理部54により画像データとして入力したカラー画像データを2値化画像データに変換する前処理を実行する。
【0052】
次にステップS3で前処理の済んだ2値化画像データを、通信路42−1を介して画像データ送信部18からサーバ12に送信する。このとき結果データの送り先である宛先情報も同時に送信する。
【0053】
サーバ12は、ステップS101で携帯電話10からの2値化画像データを画像データ受信部26で受信して、画像データ保持部28に保持する。続いてステップS102で画像データ変換部30が保持されている2値化画像データを読み出し、米国特許第5,636,292号の明細書図面に開示されたステガノデータの取得処理を実行する。
【0054】
この場合、カラー画像データから2値化画像データへの変換は携帯電話10側の前処理ですんでいることから、それ以降の処理を実行する。画像データ変換部30で取得されたステガノデータは結果データ送信部32から通信路42−2を介して携帯電話10に送信される。
【0055】
携帯電話10にあっては、ステップS4でサーバ12からのステガノデータを結果データとして結果データ受信部20で受信して、結果データ保持部22に保持する。最終的にステップS5で受信したステガノデータを表示部24に画面表示する。
【0056】
この図7の第3実施形態における携帯電話10側での前処理は、多数の携帯電話10の存在に対しサーバ12側の数が少ない場合に、サーバ12側におけるステガノデータを取得するための画像データ処理の負担を軽減し、携帯電話10からの処理要求に対し、迅速な画像処理によるステガノデータの結果応答を行うことができる。
【0057】
図9は、本発明の第4実施形態のブロック図である。この第4実施形態は携帯電話10側からステガノデータを含む画像データの一部を送信して処理結果を得るようにしたことを特徴とする。
【0058】
図9において、第1装置としての携帯電話10には画像データ入力部14、画像データ保持部16、画像データ送信部18、結果データ受信部20、結果データ保持部22及び表示部24が設けられ、これに加え更に画像データ分割部56を設けている。
【0059】
画像データ分割部56は、画像データ入力部14により入力したステガノデータを含む画像データを複数領域に分割し、その一部を送信し、この画像データの一部の送信によりステガノデータが取得できない場合には、サーバ12側から再送要求を受けて、残りの画像データを順次送信しながらステガノデータを取得できるまでこれを繰り返す。
【0060】
第2装置としてのサーバ12は、画像データ受信部26、画像データ保持部28、画像データ変換部30及び結果データ送信部32が設けられる。ここで画像データ変換部30は、受信した画像データから例えば米国特許第5,636,292号明細書図面に開示されたステガノデータの取得処理を実行する。
【0061】
このときステガノデータが取得出来なかった場合には、通信路42−3を介して携帯電話10の画像データ分割部56に対し再送要求を行って残りの画像データを画像データ送信部18から送信させる。この画像データ変換部30からの携帯電話10側に対する再送要求は、サーバ12側でステガノデータが取得できるまで繰り返し行われる。
【0062】
図10は、図9の第4実施形態における画像データの処理動作の概略である。携帯電話10側に設けているカメラ34によりステガノデータが埋め込まれた印刷物などの画像を入力すると、携帯電話10は入力した画像データを複数領域に分割した後、所定の順番に従って最初の分割画像データを通信回線42によりサーバ12に送信する。
【0063】
サーバ12にあっては携帯電話10側で、例えば画像データが4つの領域に分割されてその一部が順番に送信されるとすると、最初に受信した分割データ58−1を対象にステガノデータ取得処理40を実行する。この分割画像データ58−1に対する処理でステガノデータが取得出来なかった場合には、携帯電話10に対し再送要求を行って次の分割画像データ58−2を受信する。
【0064】
再送要求に対する分割画像データ58−2が受信されると前回受信保持している分割画像データ58−1と合わせた画像データを対象にステガノデータ取得処理40を実行する。
【0065】
これでもステガノデータが取得できなければ更に携帯電話10に対し再送要求を行って次の分割画像データ58−3を取得して、ステガノデータ取得処理40を実行することになる。
【0066】
通常、印刷物などに対するステガノデータの埋め込みは、画像全体に同一の埋め込み情報が撒布されているから、画像全体を使用せず、携帯電話10側で複数領域に分割した画像データを順番に送ることで、場合によっては最初の分割画像データ58−1の送信のみでステガノデータが取得でき、それでも取得出来なければそれ以降の残り部分の分割画像データの送信でステガノデータが取得され、結果として画像データ全てを送ることなくステガノデータのサーバ12における取得が可能である。
【0067】
図11は、図9の第4実施形態における携帯電話10とサーバ12側のやり取りを含む処理手順のタイムチャートであり、これに基づいて図9の第4実施形態の動作について説明すると次のようになる。
【0068】
携帯電話10にカメラ34として設けられているCMOSセンサまたはCCDセンサに実現される画像データ入力部14により、ステガノデータが埋め込まれた印刷物などを撮像し、ステップS1で画像データを入力して画像データ保持部16に保持する。
【0069】
次にステップS2で保持されている画像データを画像データ分割部56で複数領域に分割し、その一部を取り出して画像データ送信部18によりステップS3で分割画像データをサーバ12に通信路42−1を介して送信する。そのとき同時に処理結果の送り先である宛先情報も送信する。
【0070】
また画像データ分割部56で最初に送る分割画像データは、画像データ全体の中の例えばステガノデータの埋め込まれる可能性の高い領域を優先的に選択して最初に送信しても良い。
【0071】
サーバ12にあっては、ステップS101で携帯電話10側からの一部の画像データを画像データ受信部26で受信して、画像データ保持部28に保持し、ステップS102で一部の画像データを対象に画像データ変換部30でステガノデータの取得のための画像処理を実行する。
【0072】
この画像データ処理によりステップS103でステガノデータの取得されなかった場合には、ステップS104で再転送要求を携帯電話10に対し行う。サーバ12側からの再転送要求を受けた携帯電話10は、ステップS4で残りの分割画像データの中からその一部を取り出し、画像データ送信部18にサーバ12に送信する。
【0073】
この2回目の分割画像データに対し、サーバ12はステップS105で受信保持した後、ステップS106でステガノデータを抽出するための画像データ処理を実行する。この場合にもステップS107でステガノデータが取得されなかった場合には、ステップS108で携帯電話10に対し再転送要求を行い、同様な処理をステガノデータが取得されるまで繰り返す。
【0074】
ステップS103又はS107においてステガノデータが取得された場合にはステップS109に進み、取得されたステガノデータを結果データとして結果データ送信部32より通信路42−2を介して携帯電話10に送信する。
【0075】
携帯電話10にあってはステップS5で結果データとしてのステガノデータを結果データ受信部20で受信して、結果データ保持部22に保持し、ステップS6で受信したステガノデータを表示部24に画面表示する。
【0076】
ここで画像データ分割部56による分割の大きさは、携帯電話10の課金単位未満でほぼ等しくなるように分割することが望ましい。このように画像データの分割の大きさを携帯電話10の課金単位未満でほぼ等しくなるように分割した場合には、携帯電話10からサーバ12に対する分割された画像データの転送は通信路42−1を常時接続とせず、分割画像データを送る際に接続する間欠接続を取ることが望ましい。これによってステガノデータを取得するためのサーバに対する携帯電話10の画像データの転送に関する費用を最小限に抑えることが出来る。
【0077】
図12は、本発明の第5実施形態のブロック図である。この第5実施形態にあっては携帯電話10で画像データを圧縮してサーバ12に送り、サーバ側で復元して処理するようにしたことを特徴とする。
【0078】
図12において、携帯電話10には画像データ入力部14、画像データ保持部16、画像データ送信部18、結果データ受信部20、結果データ保持部22及び表示部24が設けられる。これに加え画像データ送信部18にはデータ圧縮部60が設けられている。
【0079】
データ圧縮部60によるデータ圧縮方法としては圧縮によりステガノデータが破壊されない圧縮方法を取る必要がある。例えば米国特許第5,636,292号明細書図面のステガノデータを用いる場合は、ロスレス圧縮を用いる。
【0080】
一方、サーバ12側には画像データ受信部26、画像データ保持部28、画像データ処理部30及び結果データ送信部32が設けられている。更に画像データ受信部26にはデータ復元部62が設けられている。
【0081】
データ復元部62としては携帯電話10側のデータ圧縮部60の圧縮方法に対応した復元方法を実現し、この場合にはステガノデータを破壊しない圧縮方法であるロスレス圧縮に対応した復元方法をとっている。
【0082】
このように携帯電話10からサーバ12にステガノデータの抽出を依頼する画像データを圧縮して転送することで、画像データの通信データ量を軽減し、更に通信コストを軽減することができる。ここで、図12の第5実施形態の処理動作の詳細は、データ圧縮部60によるデータ圧縮を行う点、及びデータ復元部62により圧縮データを復元する点を除き、図1の第1実施形態と同じである。
【0083】
尚、図7の第3実施形態の携帯電話10側での前処理、図9の第4実施形態における画像データの分割転送、更に図12の第5実施形態におけるデータの圧縮と復元については、図1の第1実施形態を対象とするものであったが、図4によるステガノデータを第3装置のアドレスであるURLに変換する実施形態にあっても同様に組み合わせることができる。
【0084】
また上記の実施形態は画像入力がカメラの場合を例にとるものであったが、これ以外にスキャナなどの適宜の画像入力処理であっても良い。
【0085】
また上記の実施形態は第1装置として携帯電話を例にとるものであったが、本発明はこれに限定されず、画像処理に対する処理性能が比較的低い非力な装置であれば適宜の装置を含む。
【0086】
また上記の実施形態にあってはステガノデータとして米国特許第5,636,292号の明細書図面に開示されたものを例にとっているが、これに限定されず他の埋め込み方法によるステガノデータについてもそのまま適用できる。
【0087】
また上記の実施形態にあってはサーバで取得したステガノデータから第3装置のアドレスである、URLへのデータ変換を例にとっているが、データ変換はアドレスのみならず適宜の変換対象を含む。
【0088】
また本発明はその目的と利点を損なうことの無い適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0089】
(付記)
(付記1)
ステガノデータが埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、
前記画像データ入力部により入力したステガノデータを含む画像データを複数領域に分割する画像データ分割部と、
分割された画像データの一部を外部に送信する画像データ送信部と、
前記外部から結果データとしてステガノデータを受信する結果データ受信部と、
を有し、
前記外部からの再転送要求に応じて残りの分割画像データの一部を該外部に送信することを特徴とするデータ処理装置。(1)
【0090】
(付記2)
視覚的に認識出来ないステガノデータが埋め込まれた画像データを入力して外部に送信し、外部から処理結果を受信して保持する第1装置と、
前記第1装置から受信した画像データにデータ処理を施してステガノデータを取得し、取得したステガノデータを処理結果として前記第1装置に送信する第2装置と、
を備えたことを特徴とする画像データ処理装置。
【0091】
(付記3)
付記1記載の画像データ処理装置に於いて、
前記第1装置は、
ステガノデータの埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、
入力した画像データを外部に送信するデータ送信部と、
前記第2装置から処理された結果データを受信する結果データ受信部と、
受信した結果データを保持する結果保持部と、
を有し、
前記第2装置は、
前記第1装置から画像データを受信する画像データ受信部と、
受信された画像データを保持するデータ保持部と,
画像データに処理を施してステガノデータを取得する画像データ処理部と、
取得したステガノデータを結果データとして前記第1装置に送信する結果データ送信部と
を有し、
前記第1装置と第2装置は通信路で常時または間欠に接続されていることを特徴とする画像データ処理装置。
【0092】
(付記4)
付記1記載の画像データ処理装置に於いて、前記第2装置は取得したステガノデータを他の情報に変換して結果データとして前記第1装置に送信し、前記第1装置は、前記第2装置から受信した結果データを外部の第3装置に送信して他の処理結果を受信することを特徴とする画像データ処理装置。
【0093】
(付記5)
付記1記載の画像データ処理装置に於いて、前記前記第1装置は、入力した画像データに対し前記第2装置側での画像処理の一部となる前処理を実行する前処理部を設けたことを特徴とする画像データ処理装置。
【0094】
(付記6)
付記1記載の画像データ処理装置に於いて、
前記第1装置は、入力した画像データを複数領域に分割して一部を前記第2装置に送信し、
前記第2装置は、前記第1装置から受信した一部の画像データに画像処理を施し、ステガノデータが取得できなかった場合は、ステガノデータを取得するまで前記第1装置に残りの分割部分の画像データの再転送を順次要求して画像処理することを特徴とする画像データ処理装置。
【0095】
(付記7)
付記1記載の画像データ処理装置に於いて、前記第1装置で入力保持した画像データを圧縮して前記第2装置に送信し、前記第2装置で前記第1装置から受信した圧縮画像データを復元して画像処理を施すことを特徴とする画像データ処理装置。
【0096】
(付記8)
視覚的に認識できないステガノデータが埋め込まれた画像データを第1装置で入力して第2装置に送信し、
第2装置で前記第1装置から受信した画像データにデータ処理を施してステガノデータを取得し、
取得したステガノデータを処理結果として第2装置から前記第1装置に送信し、前記第2装置から受信した結果データを前記第1装置で受信して保持することを特徴とする画像データ処理方法。
【0097】
(付記9)
付記7記載の画像データ処理方法に於いて、前記第2装置は取得したステガノデータを他の情報に変換して結果データとして前記第1装置に送信し、前記第1装置は、前記第2装置から受信した結果データを外部の第3装置に送信して他の処理結果を受信することを特徴とする画像データ処理方法。
【0098】
(付記10)
付記7記載の画像データ処理方法に於いて、前記前記第1装置は、入力した画像データに対し前記第2装置側での画像処理の一部となる前処理を実行することを特徴とする画像データ処理方法。
【0099】
(付記11)
付記7記載の画像データ処理方法に於いて、
前記前記第1装置は、入力した画像データを複数領域に分割して一部を前記第2装置に送信し、
前記第2装置は、前記第1装置から受信した一部の画像データに画像処理を施し、ステガノデータが取得できなかった場合は、ステガノデータを取得するまで前記第1装置に残りの分割部分の画像データの再転送を順次要求して画像処理することを特徴とする画像データ処理方法。
【0100】
(付記12)
付記7記載の画像データ処理方法に於いて、前記第1装置は入力保持した画像データを圧縮して前記第2装置に送信し、前記第2装置は前記第1装置から受信した圧縮画像データを復元して画像処理を施すことを特徴とする画像データ処理方法。
【0101】
(付記13)
ステガノデータが埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、
入力した画像データを外部に送信するデータ送信部と、
外部から結果データとしてステガノデータを受信する結果データ受信部と、
受信した結果データを保持する結果保持部と、
を備えたことを特徴とする装置。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明による第1実施形態のブロック図
【図2】図1による画像データ処理動作の説明図
【図3】図1の第1装置と第2装置の処理手順のタイムチャート
【図4】本発明による第2実施形態のブロック図
【図5】図4による画像データ処理動作の説明図
【図6】図4の第1装置と第2装置の処理手順のタイムチャート
【図7】本発明による第3実施形態のブロック図
【図8】図7の第1装置と第2装置の処理手順のタイムチャート
【図9】本発明による第4実施形態のブロック図
【図10】図9による画像データ処理動作の説明図
【図11】図9の第1装置と第2装置の処理手順のタイムチャート
【図12】本発明による第5実施形態のブロック図
【符号の説明】
【0103】
10:携帯電話(第1装置)
12:サーバ(第2装置)
14:画像データ入力部
16,28:画像データ保持部
18:画像データ送信部
20:結果データ受信部
22:結果データ保持部
24:表示部
26:画像データ受信部
30:画像データ処理部
32:結果データ送信部
34:カメラ
38:キー操作部
40:ステガノデータ取得処理
42:通信回線
42−1〜42−3:通信路
44:WWWサーバ
46:データ変換部
48:WWWブラウザ
50:HTTP転送部
52:URL変換処理
54:前処理部
56:画像データ分割部
58−1〜58−4:分割データ
60:データ圧縮部
62:データ復元部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステガノデータが埋め込まれた画像データを入力する画像データ入力部と、
前記画像データ入力部により入力したステガノデータを含む画像データを複数領域に分割する画像データ分割部と、
分割された画像データの一部を外部に送信する画像データ送信部と、
前記外部から結果データとしてステガノデータを受信する結果データ受信部と、
を有し、
前記外部からの再転送要求に応じて残りの分割画像データの一部を該外部に送信することを特徴とするデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−312424(P2007−312424A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197009(P2007−197009)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【分割の表示】特願2002−209497(P2002−209497)の分割
【原出願日】平成14年7月18日(2002.7.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】