説明

画像ファイル作成方法

【課題】画像情報と文字情報とをそれらの関係が崩れることを恐れることなく保存することを容易にできる。
【解決手段】1画素の情報がR(赤)、G(緑)、B(青)、α(透明性)の4つの成分を有するビットマップ形式のファイルに文字情報と画像情報とを格納して画像ファイルを作成する方法であって、
各画素のR(赤)、G(緑)、B(青)成分に画像情報を格納し、各画素のα(透明性)成分に文字情報を格納することを特徴とする画像ファイル作成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ファイル作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場ではPCをはじめ多くの装置が稼動しており、各装置間でのデータのやり取りや画面への表示、帳票の出力など多くのデータが扱われている。
【0003】
それら装置の中で、検査装置はより多くのデータを扱うため、その設計にあたってはデータ入出力、保存方法などが煩雑にならないよう注意する必要がある。特に検査結果の保存については、検査品の入れ違いや消失が発生してはならないようにしなければならない。
【0004】
そのため検査装置がデータベースを持ち、これらの問題を極力排除しようとするよう設計がなされているものもある。ただし、データベースの管理には専門的な知識が必要となるため、小規模な装置ではコストが見合わず、また現場による管理が難しくなるなどの問題もある。
【0005】
データベースを用いない場合は、各ファイル名を細かく命名する、或いはフォルダごとにファイルを分けるなどの方法を用いるが、検査結果としては対象製品を示す文字情報、欠陥の数値情報、及び画像情報など複数のデータが生成されるため、ファイル名やフォルダ構成が変化した場合にはその関係が崩れてしまう。
【0006】
検査装置の中にはこれらのファイルを結合し、独自のフォーマットとして単一ファイルを生成するものもある。この場合は文字と画像情報は常に同一ファイルとして扱うことが出来る一方、専用のプログラムを用いないと内容を確認することが出来ない。
【0007】
また、JPEG画像へ文字情報を埋め込む方法があるが、欠陥を撮像した情報はビットマップ形式での保存が望ましく、不可逆圧縮を行うJPEG形式では保存の形式として相応しくない。
【0008】
その他では電子透かしを目的として、複雑な処理を経て文字情報を画像情報中に埋め込む方法なども多くある。特許文献1もその一例である。
【0009】
ただし、本件のように文字情報を秘匿とする必要が無い場合にあっては、電子透かしで文字情報を埋め込むなどの処理は、手間や時間がかかり過ぎて生産性を低下させるため、望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004-282356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであって、画像情報と文字情報とをそれらの関係が崩れることを恐れることなく保存することを容易にできることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、1画素の情報がR(赤)、G(緑)、B(青)、α(透明性)の4つの成分を有するビットマップ形式のファイルに文字情報と画像情報とを格納して画像ファイルを作成する方法であって、
各画素のR(赤)、G(緑)、B(青)成分に画像情報を格納し、各画素のα(透明性)成分に文字情報を格納することを特徴とする画像ファイル作成方法としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、通常の画像として扱うことができるビットマップファイルに画像情報とともに文字情報も埋め込み、それらを単一ファイルとして扱うことができるので、画像情報と文字情報とをそれらの関係が崩れることを恐れることなく保存することを容易にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ビットマップ形式のファイル中の画素の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0016】
本発明はビットマップ形式のファイルへ画像情報とともに文字情報などの画像以外の情報も複雑な処理無しで格納することにより、画像情報と文字などの画像以外の情報とを単一画像ファイルとして扱うことを特徴としている。
【0017】
ビットマップ形式のファイルはデータの先頭からファイルタイプ、ファイルサイズなどのヘッダ情報を持つ。これらの情報の中に1画素あたりのサイズを決める箇所があり、例えばTrue color(1677万色)のデータであることを示すように指定することが出来る。
【0018】
True colorを扱うには24ビット、若しくは32ビットを選択することになる。24ビットはR(赤)、G(緑)、B(青)の各成分の濃さを表す8ビット(256段階)のデータが格納される構造となっており、8ビットが3色分で24ビットとなっている。
【0019】
上記各色の濃さに加え、αチャネルとされる画素の透明性を表す成分を表す8ビットのデータを追加したものが32ビットとなっている。
【0020】
ビットマップ形式のファイルはヘッダの後に、上記各画素の画像情報が連続で続く構造となっている。図1の10は1画素を模式したもので、R、G、B、αの4成分からなることを示している。
【0021】
本発明は、これら4成分の内、RGBには通常の画像情報を格納し、αチャネルに文字などの画像以外の情報を格納するものである。
【0022】
αチャネルは1画素当たり8ビットであるため、半角英数字の文字コードをそのまま入力する場合は1画素あたりに一文字格納することが出来る。
【0023】
このような画像情報と文字などの画像以外の情報とを格納するビットマップファイルは、市販のソフトウェアであっても単純な画像ファイルとして扱うことが出来る。
【0024】
また、画像情報とともに格納している文字などの画像以外の情報が、格納している画像
情報に対する数値情報である場合、専用のソフトウェアを用いれば、その数値情報を得ることもできる。
【実施例1】
【0025】
図1はビットマップ形式のファイル中の画素の模式図であり、その構造を示している。10は1画素を示しており、1画素の中には20、21、22、30で示すR、G、B、αの各データが格納されている。
【0026】
検査装置が欠陥を検出した場合、欠陥の検出情報には、欠陥画像に加えて、検査品の製品情報、欠陥のサイズなどの文字情報が含まれる。
【0027】
欠陥画像は各画素のR、G、B成分にそのまま格納する。さらに検査品の製品情報、欠陥のサイズなどの文字情報は各画素のα成分へ格納する。
【0028】
半角英数字の場合は、1画素に一文字のデータを格納させることが出来るため、例えば256×256画素の画像であれば65536文字のデータを保存できる。2バイト文字であればその半分となる。
【0029】
文字情報をCVS形式として格納する場合には、画像の改行にあわせ文字コードを入力する、または文字コードを連続で書き込み、適時改行コードを挿入するなどして格納することが出来る。
【0030】
もしくはXML形式とすることで、文字コードを連続して書き込むことができ、XMLヘッダにより文字エンコードの混乱を防ぐことが出来る。
【実施例2】
【0031】
実施例2は、ビットマップ形式のファイルを、検査条件設定ファイルとして扱うものである。
【0032】
検査機の検査条件にはアライメント情報、検査エリア情報などがあり、座標のみでなく画像で検査対象エリアを図示することが求められる場合がある。
【0033】
本発明によれば、例えば検査対象エリアが撮像された画像ファイルに検査感度などの文字情報を組み込むことが出来る。
【0034】
そのため、検査対象エリアを識別するための画像ファイルと、各設定値の書き込まれたファイルを別途用意することなく設定ファイルとして使用できる。
【0035】
このため検査対象エリアを画像で確認した後、この検査対象エリアとは無関係の設定ファイルを使用するミスを防止することが出来る。
【0036】
また、Windows(登録商標)の標準機能を用いれば、画像ファイルを一覧で縮小表示させることも出来、ファイル名のみでの検索よりも所望の画像ファイルの発見を容易にすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の画像ファイル作成方法によれば、ビットマップファイルに画像情報とともに文字などの画像以外の情報も組み込むことにより単一ファイルとして扱うことで画像情報と文字などの画像以外の情報のと関係が崩れることが無くなり、オペレーションミスを減少させることが出来る。
【符号の説明】
【0038】
10・・・1画素を示す
20・・・1画素内の赤色(R)成分
21・・・1画素内の緑色(G)成分
22・・・1画素内の青色(B)成分
30・・・1画素内のα色成分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素の情報がR(赤)、G(緑)、B(青)、α(透明性)の4つの成分を有するビットマップ形式のファイルに文字情報と画像情報とを格納して画像ファイルを作成する方法であって、
各画素のR(赤)、G(緑)、B(青)成分に画像情報を格納し、各画素のα(透明性)成分に文字情報を格納することを特徴とする画像ファイル作成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−190110(P2012−190110A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51256(P2011−51256)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】