説明

画像再生装置及び画像再生方法

【課題】サーバ負荷を軽減させ、トリックプレイ時には、ユーザが所望の画像を容易に検索可能にするとともに、受信した動画をシームレスに再生できる画像再生装置を提供する。
【解決手段】一連のIピクチャを選択可能に表示し、トリックプレイ後にユーザによって選択されたIピクチャがリングバッファ内にない場合、その選択時点でのリングバッファでの書き込み先端アドレスに基づいて当該リングバッファ上の最も過去の画像データを特定し、前記Iピクチャから前記最も過去の画像データまでの画像データをサーバに要求するとともに、書き込み先端アドレスを前記画像データ受信部が要求した画像データ分だけ後退させ、その書き込み先端アドレスから、前記要求した分の画像データを書き込むとともに、前記後退させた書き込み先端アドレスに前記読み込みアドレスを移動させて該読み込みアドレスから動画を再生するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの要求に応じて映像情報を提供するビデオオンデマンド(VOD:Video On Demand)システムに用いる画像再生装置及び画像再生方法に関し、特に、早送り再生や巻き戻し再生といった、いわゆるトリックプレイ操作における目的画像の選択可能な画像再生装置及び画像再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザからの要求に応じて様々なコンテンツを配信するシステムとして、ビデオオンデマンド(VOD:Video On Demand)システムが知られている。このVODシステムでは、サーバからストリームデータを受信して再生するが、ストリームデータの通信状態は常に安定しているとは限らず、直接ストリームデータを再生すると不安定な状態になる場合があるので、受信したストリームデータを再生装置側で一旦バッファリングし、ある一定量のストリームデータが溜まると、受信から時間差をおいて再生が始まるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−251542号公報
【特許文献2】国際公開WO2007/148777
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常のビデオでも明らかなように、1回のトリックプレイで目的時点にぴったり合わせることは難しく、実際には、行き過ぎたり、手前過ぎたりして、何回かトリックプレイを繰り返し、ようやく目的シーンからの再生が可能になる。VODシステムでは、こういった場合にサーバとの通信が増えて負担が増大するうえ、トリックプレイの度に一定量のバッファリングが行われることから、待ち時間が増大するという問題点がある。
【0005】
この問題に対し、例えば特許文献1では、トリックプレイが行なわれたときに、バッファリングされているデータを利用して目的のシーンを探すことができるようになっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ユーザの目的とするシーンのデータがバッファに保存されていない場合に難がある。例えば、正確にコンテンツデータとしてつながらず、映像を滑らかに再生できないとか、切れ目なくコンテンツ再生するために、データの再転送が必要になるなど、逆にサーバに負担が生じるおそれすらある。
【0006】
また、特許文献2では、トリックプレイの操作時に、チャプタ位置にジャンプ再生できるようにして目的シーンを見つけやすくしてある。しかしながら、ジャンプ先での再生時に、結局、所定量のバッファリングが行われて待ち時間が必要となるし、例えば、チャプタ間にユーザが所望する映像が存在した場合には、結局、ユーザの頻繁なトリックプレイ操作が必要になり、サーバ負担等の生じるおそれがある。
このように、特許文献1、2記載の技術では、前述した問題点を抜本的に解決することは難しい。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、データ再転送量を少なくしてサーバ負荷を軽減させ、トリックプレイ時には、ユーザが所望の画像を容易に検索可能にするとともに、受信したコンテンツをシームレスに再生することができる画像再生装置および画像再生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明に係る画像再生装置は、サーバからネットワークを介して受信した動画用の画像データをリングバッファ内に逐次書き込むとともに、その書き込み先端アドレスよりも後方に設定された読み込みアドレスから前記画像データを読み込み、該動画を再生するように構成したものであって、ユーザによる再生または早送り再生等に係る操作情報を受け付けて読み込んだ前記画像データから、間欠的に画像データ又は該画像データに関連する画像関連データを取得して蓄積する画像情報蓄積部と、前記画像情報蓄積部に蓄積された一連の画像データが示す画像、又は画像関連データが示す画像関連情報をユーザに選択可能に表示する選択表示部と、ユーザによって選択された画像又は画像関連情報が示す画像データが前記リングバッファ内にない場合、その選択時点での前記書き込み先端アドレスから前記リングバッファ上の独立表示可能な最も過去の画像データを特定し、前記画像又は画像関連情報が示す画像データから前記最も過去の画像データまでの画像データをサーバから受信する画像データ受信部と、前記書き込み先端アドレスを前記画像データ受信部が要求した画像データ分だけ後退させ、その後退させた書き込み先端アドレスから、前記受信した分の画像データを書き込むとともに、前記後退させた書き込み先端アドレスに前記読み込みアドレスを移動させて該読み込みアドレスから動画を再生する動画再生部とを具備することを特徴とするものである。
【0009】
このようなものであれば、例えばトリックプレイで行き過ぎた場合に、ユーザによって選択された再生位置近傍を示す画像又は画像関連情報が示す画像データとリングバッファ上の最も過去の画像データとの間の必要最小限の画像データのみをサーバから受信するので、不必要にサーバに接続することがない。したがってデータ転送やデータ蓄積処理などを最小限に抑制でき、サーバ負荷やユーザの待ち時間を大幅に軽減することができる。
【0010】
また、動画のうち、複数時点における画像データに対応する各画像又は画像関連情報が蓄積され、これがユーザに選択可能に表示されるため、ユーザは所望の場面を容易に検索することが可能となる。また、受信した画像データが、リングバッファ内の前記独立表示可能な最も過去の画像データと切れ目なく接続されるので、動画をシームレスに再生することが可能となる。
画像情報蓄積部に蓄積された画像データはIピクチャであることが好ましい。
【0011】
本発明は、以下に示すような、画像再生方法でもよい。すなわち、サーバからネットワークを介して受信した動画用の画像データをリングバッファ内に逐次書き込むとともに、その書き込み先端アドレスよりも後方に設定された読み込みアドレスから前記画像データを読み込み、該動画を再生する画像再生方法であって、
ユーザによる再生または早送り再生等に係る操作情報を受け付けて読み込んだ前記画像データから、間欠的に画像データ又は該画像データに関連する画像関連データを取得して蓄積する画像情報蓄積ステップと、前記画像情報蓄積ステップで蓄積された一連の画像データが示す画像、又は画像関連データが示す画像関連情報をユーザに選択可能に表示する選択表示ステップと、ユーザによって前記画像又は画像関連情報が選択され、該画像又は画像関連情報が示す画像データが前記リングバッファ内にない場合、該画像又は画像関連情報が示す画像データから、その選択時点での前記書き込み先端アドレスから前記リングバッファ上の独立表示可能な最も過去の画像データを特定し、前記画像又は画像関連情報が示す画像データから前記最も過去の画像データまでの画像データをサーバから受信する画像データ受信ステップと、
前記書き込み先端アドレスを前記画像データ受信ステップで受信した画像データ分だけ後退させ、その後退させた書き込み先端アドレスから、前記受信した分の画像データを書き込むとともに、前記後退させた書き込み先端アドレスに前記読み込みアドレスを移動させて該読み込みアドレスから動画を再生する動画再生ステップとを具備することを特徴とする画像再生方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像再生装置及び画像再生方法によれば、データ転送容量を少なくしてサーバ負荷を軽減させ、トリックプレイ時には、ユーザが所望の画像を容易に検索可能にするとともに、受信した動画をシームレスに再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像再生装置が用いられたビデオオンデマンド(VOD:Video On Demand)システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像再生装置の概略構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像再生装置の内部構造を示す機能ブロック図である。
【図4】リングバッファにおける画像データの書き込み先端アドレスおよび読み込みアドレスの動作についての概略説明図である。
【図5】リングバッファの状態と時間軸上の画像との関連を示す概略図である。
【図6】選択可能に画像が配列された状態を示す図である。
【図7】選択可能に画像関連情報が配列された状態を示す図である。
【図8】リングバッファ内に無い画像が選択された場合のリングバッファの動作を示す概略説明図である。
【図9】リングバッファ内に無い画像が選択された場合のリングバッファの動作を示す概略説明図である。
【図10】画像再生装置の内部動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像再生装置1が用いられたビデオオンデマンド(VOD:Video On Demand)システムの全体構成を示す概略図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る画像再生装置1の概略構成図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る画像再生装置1の内部構造を示すブロック図である。
図1に示すように、サーバ2と画像再生装置1とがネットワーク3を介して接続されることで、VODシステムが構成されている。
【0016】
サーバには、さまざまな動画コンテンツ(動画データとも言う)が保存されており、ユーザからの要求に応じた動画コンテンツをネットワークを介して、ユーザが操作する画像再生装置に配信することができるようになっている。なお、ここでは、例えば通信プロトコルとして、Rangeヘッダをサポートしているリクエスト−レスポンス型のプロトコルであるHTTPを利用し、また動画データとしてMPEG形式のものを取り扱うという前提で説明するが、本発明は、これら具体形式に限定されないのはもちろんである。
【0017】
画像再生装置1は、例えばテレビやPCあるいはDVDレコーダーやブルーレイディスクレコーダー等であり、その物理的構成としては、図2に示すように、記録手段11、受信手段12、送信手段13、表示手段14、エンコーダ15、デコーダ16等を備え、CPU10が各部の制御を行うように構成してある。ここでは、複数台の画像再生装置1a,1b・・・1nが接続されている。
【0018】
記録手段11は、ROM、RAM等の内部メモリの他、ハードディスクやメモリカードのような外部メモリもここでは含んでいる。
受信手段12は、図示しないリモコン等を用いてユーザが行なう操作情報に関する信号やサーバから送られてくる画像データを受信するものである。
送信手段13は、ユーザの操作情報に基づいて、ユーザが選択したコンテンツに関する情報をサーバに送るものである。
表示手段14は、例えばディスプレイであり、画像の他に、時間、曜日、録画あるいは再生といった情報や状態をも表示することができる。
エンコーダ15は、入力されたアナログ信号をMPEG符号化されたデジタル信号に変換するものである。
デコーダ16は、記録部から読み出されたMPEG符号化されたデータを復号化するものである。
【0019】
しかして、この画像再生装置1は、前記CPU等によるソフトウェア動作も含めて実現される機能的側面から説明すれば、図3に示すように、データ制御部100、リングバッファ101、画像情報蓄積部たるインデックスデータ格納部102、動画再生部103、選択表示部たるインデックス表示部104、画像データ受信部105を備えたものである。
【0020】
データ制御部100は、サーバ2からダウンロードした画像データを、リングバッファ101に書き込むとともに、複数時点における画像データに対応する画像あるいは画像関連情報をインデックスデータ格納部102に格納するものである。
リングバッファ101は、たとえば前記RAM等の所定領域に設定されたものであり、論理的に環状に記憶領域が接続されている。
【0021】
画像情報蓄積部たるインデックスデータ格納部102は、サーバ2からダウンロードした動画データから間欠的に複数のフレーム画像データを抽出し、例えば前記RAM等の所定領域にそれらフレーム画像データを格納するものである。
【0022】
ところで、ここでの動画データは、MPEG形式のものであることから、GOP単位で区切られている。このGOPは、I−picture、P−picture、B−pictureの3種類のフレーム画像データからなり、そのうちI−pictureのみが、前後のフレーム画像データから独立して単独で表示可能なものであり、他の画像フレームデータは、その前後の画像フレームデータからの差分情報で表される。したがって、GOPには必ずI−pictureが1以上含まれ、また先頭はI−pictureとなる。
【0023】
しかして、このインデックスデータ格納部102は、前記I−pitureを逐次又は間欠的に抽出して格納するようにしている。なお、このフレーム画像データは、独立表示可能なデータであればよく、MPEG以外であれば、当然に異なる形式のデータとなる。また、フレーム画像データに代えて、そのフレーム画像データを示唆するような画像関連情報、例えば再生先頭からの経過時間等をでも構わない。
【0024】
動画再生部103は、ダウンロードした画像データをディスプレイ4に連続的に表示させることにより、動画として再生する処理を行うものである。
【0025】
インデックス表示部104は、前記I−pictureに対応する画像をディスプレイ4にユーザの選択可能に表示するものである。
【0026】
画像データ受信部105は、動画再生部103による動画の再生状況に基づいて、データ制御部100が必要な受信量を算出し、この計算に基づいて、サーバ2にダウンロードを要求するものである。
【0027】
図4は、リングバッファ101における画像データの書き込み先端アドレスWおよび読み込みアドレスRの動作についての概略説明図である。なお、図4において、各図の左側から右側に向かって時間軸が設定されており、時間の経過とともに、書き込み先端アドレスWおよび読み込みアドレスRが左側から右側へ移動するものとする。
【0028】
図4(a)に示すように、初期状態においては、リングバッファ101には何も書き込まれていないため、書き込み先端アドレスWと読み込みアドレスRとは、リングバッファの左端(0アドレス)に位置している。
【0029】
そして、ユーザがあるコンテンツを視聴することで、ユーザの操作情報に基づいて、リングバッファ101の書き込み先端アドレスWがまず、図4(b)に示すように、図の左側から右側に向かって動いていく。このことで、書き込み先端アドレスWが動いた分だけ、リングバッファ101に画像データが書き込まれていく(未再生データの蓄積)。
【0030】
次に、図4(c)に示すように、書き込み先端アドレスWが、リングバッファ内に一定量(たとえば、4MB分)の画像データを書き込むと、書き込み先端アドレスWを追いかけるように、読み込みアドレスRが、図の左側から右側に向かって動いていく。このようにして、読み込みアドレスRによって連続的に再生された画像データがディスプレイに表示されることにより、動画再生が行なわれる。
【0031】
通常は、書き込み先端アドレスWの書き込み速度の方が、読み込みアドレスRの進行(再生)速度よりも速く設定されているため、リングバッファ101の右端に到達した書き込み先端アドレスWは、図4(d)に示すように、さらに、リングバッファ101の左端から新たなデータを書き込んでいく。そして、図4(e)に示すように、書き込み先端アドレスWが読み込みアドレスRに追いついた状態になると、書き込み先端アドレスは、いったん書き込みを止めて、そのアドレスで停止する。
【0032】
その後、図4(f)に示すように、読み込みアドレスRのみがリングバッファ101内の画像データを読み込んで再生していく。そして、図4(g)に示すように、リングバッファ101の右端に到達した読み込みアドレスRは、さらにリングバッファ101の左端から新たなデータを読み込んで再生していく。このようにして、リングバッファ101への書き込みとデータの再生が行なわれ、ディスプレイ4への表示が行なわれる。
【0033】
このとき、読み込みアドレスRの動きに対応して、再生されているコンテンツの複数時点における画像データに対応する各画像または画像関連情報がインデックスデータ格納部102に格納されていく。たとえば、図5に示すように、動画コンテンツの各GOPの先頭にあるフレーム画像データ(I−picture)を、再生とともにまたは再生に引き続いて、インデックスデータ格納部102が逐次、RAMに格納する。
【0034】
このように保存した画像データは、図6に示すように、たとえば、ディスプレイ4に表示させることにより、ユーザが選択可能に表示される。つまり、表示されたI−pictureをユーザが選択することで、一目で見たい場面を探し出すことができるようになる。
【0035】
また、前述したように、インデックスデータ格納部102に格納されるデータは、I−pictureに限られず、コンテンツの複数時点における画像データに対応する、動画内でのデータ位置や時間などの画像関連情報であってもよい。画像関連情報が保存された場合には、図7に示すように、I−picture情報、時刻(そのI−pictureに対応する時刻)、リングバッファ101上におけるアドレス位置、バッファ内有無フラグ(リングバッファ101内の存在の有無)などの情報をテーブル状にして表示させることができる。これにより、選択可能に表示された情報を見て、ユーザが一目で見たい場面を探し出すことができるようになる。リングバッファ101内に、ユーザが選択した画像等が存在している、すなわち、インデックスデータ格納部102に格納されているデータであって、ユーザが選択した画像等がリングバッファ101内のアドレスに存在していれば、読み込みアドレスRを選択された画像等のアドレスまで移動させることにより、そこから再度再生を開始すればよい。
【0036】
また、図8(a)では、たとえば、リングバッファ101内のアドレスが1番地から100番地までのアドレスとして指定可能とされている場合に、読み込みアドレスRが、リングバッファ101内のアドレス20番地にあり、書き込み先端アドレスが70番地にあり、1番地から20番地まで、および70番地から100番地までの領域が再生済みのデータとなっており、さらに、20番地から70番地までの領域のデータが、これから再生する、いわゆる未再生データであるリングバッファ101の状態を示している。
【0037】
ここで、図8(b)に示すように、リングバッファ101内には保存されていない画像等をユーザが選択した場合、すなわち、リングバッファ101内には既に保存されていないが、インデックスデータ格納部102に保存されているデータとして、アドレス15番地に該当するI−pictureをユーザが選択した場合には、選択されたI−pictureのデータ位置をRangeヘッダに指定してサーバにGET要求を行なう。その一方で、リングバッファ101内の最も過去のI−picture、すなわち、現在の書き込み先端アドレスに最も近いI−pictureのデータ位置を(ここでは同じだったとする)を別途記憶しておき、ユーザが選択したI−pictureと、前記最も過去のI−pictureとの差分データ量を算出する。そして、最も過去のI−pictureのアドレスからその差分データ量だけ後退させたアドレスに書き込み先端アドレスW及び読み込みアドレスRを移動させる。次に、サーバから送信されてきたデータをその書き込み先端アドレスから書き込む。そして、前記記憶したデータ位置までの動画データを受信すると、サーバとのコネクションを切断する。
【0038】
その後、図8(c)に示すように、書き込み先端アドレスWを、ユーザが選択した画像等のアドレス位置(15番地)に移動する。これにより、リングバッファ101内のデータはすべて未再生データとなり、読み込みアドレスRがリングバッファ101内のデータを読み込むことにより、ディスプレイ4には、アドレス15番地からの画像データに相当する部分のコンテンツからの表示が行なわれる。
【0039】
そして、ある程度の読み込みが行なわれ、つまり読み込みアドレスRが進行して、書き込み先端アドレスWと読み込みアドレスRとの差分アドレスが、所定量(たとえば、4MB)未満になると、再び、サーバ2と画像再生装置1との接続が確立されて画像データの受信が再開され、図9(b)に示すように、書き込み先端アドレスWも動き出す。なお、4MB未満になるのを必ずしも待つ必要はなく、例えば、再取得するべきデータを取得し終えた後、リングバッファに書き込み可能領域がでれば、続きのデータを要求して受信して書き込み先端アドレスWを進めてもかまわない。
図10は、画像再生装置の内部動作を説明するフローチャートである。
【0040】
まず、ユーザが所望の動画コンテンツを視聴している間、画像再生装置1では、リングバッファ101内にコンテンツデータが書き込まれるとともに、インデックスデータ格納部102によって、再生済みコンテンツのI−pictureが蓄積される(ステップS1)。
【0041】
ユーザにより巻き戻し再生や早送り再生等のトリックプレイが行なわれたかを判断する(ステップS2)。トリックプレイが行なわれていなければ(ステップS2のNO)、コンテンツの視聴とともにコンテンツデータの書き込み及びI−picture(又は画像関連情報)の蓄積が継続される。
【0042】
一方、トリックプレイが行なわれると(ステップS2のYES)、読み込みアドレスRまでの蓄積されたI−pictureに係る画像(又は画像関連情報)がディスプレイ4に表示される(ステップS3)。そして、ユーザにより、I−pictureに係る画像(又は画像関連情報)の確認及び選択が行なわれる(ステップS4)。次に、ユーザにより選択されたI−pictureに係る画像(又は画像関連情報)が、リングバッファ101内に書き込まれているかどうかを判断する(ステップS5)。
【0043】
ユーザにより選択されたI−pictureに係る画像(又は画像関連情報)が、リングバッファ101内にある場合(ステップS5のYES)、リングバッファ101内の読み込みアドレスRが、ユーザが選択した画像又は画像関連情報に対応する画像データの記録位置まで移動する(ステップS6)。そして、サーバに接続することなく、そこから通常再生が開始される。
【0044】
他方、ステップS5において、ユーザにより選択されたI−pictureに係る画像(又は画像関連情報)が、リングバッファ101内にない場合(ステップS5のNO)、まず、その時点での書き込み先端アドレスが記憶される。
【0045】
次に、ユーザによって選択されたI−pictureに係る画像(又は画像関連情報)を先頭とするストリーム動画データをサーバに送信要求する(ステップS8)。
【0046】
一方で、ユーザが選択したI−pictureと、前記最も過去のI−pictureとの差分データ量を算出する。そして、最も過去のI−pictureのアドレスからその差分データ量だけ後退させたアドレスに書き込み先端アドレス及び読み込みアドレスを移動させる(ステップS9)。
【0047】
次に、サーバから送信されてきたデータをその書き込み先端アドレスから書き込む(ステップS10)。そして、前記記憶したデータ位置までの動画データを受信するとサーバとの接続を切断する(ステップS11、S12)。そして、書き込みアドレスを、前記ステップS9で設定した書き込み先端アドレスに移動させる。
再生は、前記読み込みアドレスから開始される(ステップS13)。
【0048】
このように、本実施形態における画像再生装置では、ユーザによって選択された画像又は画像関連情報が示す画像データの記録位置と書き込み先端アドレスWとの差分アドレスに基づいて、コンテンツ受信量が算出されるので、不必要にサーバ2に接続することがないから、データ転送やデータ蓄積処理などを行なうことがなく、サーバ2の負荷を軽減することができる。さらに、動画コンテンツのうち、複数時点における画像データに対応する各画像又は画像関連情報が蓄積され、これがユーザに選択可能に表示されるため、ユーザは所望の場面を容易に検索することが可能となる。また、受信するコンテンツは、リングバッファ101内の書き込み先端アドレスWと読み込みアドレスRとのアドレス位置に基づいて受信されるので、リングバッファ101内に書き込まれているコンテンツに対応する画像データと、受信したコンテンツに対応する画像データとが切れ目なく接続され、コンテンツをシームレスに再生することが可能となる。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 画像再生蔵置
2 サーバ
3 ネットワーク
100 データ制御部
101 リングバッファ
102 インデックスデータ格納部
103 動画再生部
104 インデックス表示部
105 データ要求部
W 書き込み先端アドレス
R 読み込みアドレス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバからネットワークを介して受信した動画用の画像データをリングバッファ内に逐次書き込むとともに、その書き込み先端アドレスよりも後方に設定された読み込みアドレスから前記画像データを読み込み、該動画を再生するように構成した画像再生装置であって、
ユーザによる再生または早送り再生等に係る操作情報を受け付けて読み込んだ前記画像データから、間欠的に画像データ又は該画像データに関連する画像関連データを取得して蓄積する画像情報蓄積部と、
前記画像情報蓄積部に蓄積された一連の画像データが示す画像、又は画像関連データが示す画像関連情報をユーザに選択可能に表示する選択表示部と、
ユーザによって前記画像又は画像関連情報が選択され、該画像又は画像関連情報が示す画像データが前記リングバッファ内にない場合、その選択時点での前記書き込み先端アドレスに基づいて前記リングバッファ上の独立表示可能な最も過去の画像データを特定し、前記画像又は画像関連情報が示す画像データから前記独立表示可能な最も過去の画像データまでの画像データをサーバから受信する画像データ受信部と、
前記書き込み先端アドレスを前記画像データ受信部が受信した画像データ分だけ後退させ、その後退させた書き込み先端アドレスから、前記受信した分の画像データを書き込むとともに、前記後退させた書き込み先端アドレスに前記読み込みアドレスを移動させて該読み込みアドレスから動画を再生する動画再生部とを具備することを特徴とする画像再生装置。
【請求項2】
画像情報蓄積部に蓄積された画像データが、Iピクチャである請求項1記載の画像再生装置。
【請求項3】
サーバからネットワークを介して受信した動画用の画像データをリングバッファ内に逐次書き込むとともに、その書き込み先端アドレスよりも後方に設定された読み込みアドレスから前記画像データを読み込み、該動画を再生する画像再生方法であって
ユーザによる再生または早送り再生等に係る操作情報を受け付けて読み込んだ前記画像データから、間欠的に画像データ又は該画像データに関連する画像関連データを取得して蓄積する画像情報蓄積ステップと、
前記画像情報蓄積ステップで蓄積された一連の画像データが示す画像、又は画像関連データが示す画像関連情報をユーザに選択可能に表示する選択表示ステップと、
ユーザによって前記画像又は画像関連情報が選択され、該画像又は画像関連情報が示す画像データが前記リングバッファ内にない場合、該画像又は画像関連情報が示す画像データから、その選択時点での前記書き込み先端アドレスに基づいて前記リングバッファ上の独立表示可能な最も過去の画像データを特定し、前記画像又は画像関連情報が示す画像データから前記独立表示可能な最も過去の画像データまでの画像データをサーバから受信する画像データ受信ステップと、
前記書き込み先端アドレスを前記画像データ受信ステップで受信した画像データ分だけ後退させ、その後退させた書き込み先端アドレスから、前記受信した分の画像データを書き込むとともに、前記後退させた書き込み先端アドレスに前記読み込みアドレスを移動させて該読み込みアドレスから動画を再生する動画再生ステップとを具備することを特徴とする画像再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−134674(P2012−134674A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283804(P2010−283804)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(598045058)株式会社サムスン横浜研究所 (294)
【Fターム(参考)】