画像処理システムおよび画像処理方法
【課題】フィルタリング処理の効果を向上させながら、演算量の増加を抑える。
【解決手段】 デジタルカメラ102はDSP102を有する。DSP102は原画像信号に対して画像処理を施す。原画像信号は原画像に対応する。原画像は行方向および列方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される。原画像における特定の画素を原点画素に定める。原点画素と原点画素から行方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素を基準画素に定める。DSP102は基準画素からm個おきに並ぶ画素によって基準画素別に画素グループを構成させる。DSP102は画素グループ内の各画素に対して同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う。
【解決手段】 デジタルカメラ102はDSP102を有する。DSP102は原画像信号に対して画像処理を施す。原画像信号は原画像に対応する。原画像は行方向および列方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される。原画像における特定の画素を原点画素に定める。原点画素と原点画素から行方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素を基準画素に定める。DSP102は基準画素からm個おきに並ぶ画素によって基準画素別に画素グループを構成させる。DSP102は画素グループ内の各画素に対して同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号にフィルタリングを施す画像処理システムおよび画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどに設けられる撮像素子により被写体の光学像に相当する画像信号を生成することが知られている。また、画像信号に対して様々な画像処理を施すことにより、再生する画像に所望の加工を施すことも知られている。
【0003】
画像処理の一例として、フィルタリング処理が挙げられる。フィルタリング処理では、画像信号を構成する複数の画素が順番に注目画素に指定され、また注目画素の周囲に配置される画素が周囲画素に指定される。さらに、フィルタリング処理では、注目画素および指定画素に対応する要素を有するフィルタが予め作成される。注目画素および周囲画素に対してフィルタをかけることにより、注目画素の光学情報が更新される。
【0004】
このようなフィルタリング処理の中には、フィルタサイズが大きくなるほどフィルタリング処理による効果が高められることがある。例えば、位相板を用いて光束を規則的に分散させた光学像の撮像により得られた画像信号に対して、デコンボリューション処理を施すことにより画像のボケを除去することが提案されている(特許文献1〜特許文献5参照)。デコンボリューション処理においては、ボケの低減化効果を向上させるにはデコンボリューションに用いるフィルタサイズを大きくすることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6021005号明細書
【特許文献2】米国特許第6642504号明細書
【特許文献3】米国特許第6525302号明細書
【特許文献4】米国特許第6069738号明細書
【特許文献5】特開2003−235794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィルタサイズを大きくすると、演算量が増加するため、処理速度の低下および/または処理量の大きな回路が必要であり製造コストの増加を招いていた。
【0007】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、フィルタリング処理の効果を向上させながら、演算量の増加を抑える画像処理システムおよび画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による画像処理システムは、
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理システムであって、
原画像において特定の画素である原点画素と原点画素から第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素とが基準画素に定められ、
原画像において基準画素から第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって基準画素別に構成される画素グループ内の各画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う
ことを特徴とするものである。
【0009】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質
的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るもの
であり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0010】
例えば、本発明の第1の発明を方法として実現させた画像処理方法は、
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理方法であって、
原画像において特定の画素である原点画素と原点画素から第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素とが基準画素に定めるステップと、
原画像において基準画素から第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ画素によって基準画素別に構成されるが祖グループ内の各画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行うステップとを備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明に係る画像処理システムによれば、基準画素からm個おきの画素を用いてフィルタリングを行うので、注目画素から離れた画素を用いることによりフィルタリング処理の効果を向上させることが可能である。また、注目画素に連続して配置される画素を用いていないので、演算量の増加を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムを有する撮像装置であるデジタルカメラの光学的構成および電気的な概略構成を示す構成図である。
【図2】原画像の構成を示す構成図である。
【図3】第1の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図4】第2の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図5】第3の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図6】第4の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図7】第1のフィルタの構成を示す構成図である。
【図8】図1のDSPにおいて実行される復元処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の撮影光学系の空間周波数に対するOTFの特性を表すグラフと、図1の撮影光学系に対して理想的なフィルタにおける空間周波数に対するゲインの関係を示すグラフである。
【図10】5行5列のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図11】9行9列のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図12】第1のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図13】第2のフィルタの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像処理システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムを有する撮像装置であるデジタルカメラの光学的構成および電気的な概略構成を示す構成図である。デジタルカメラ100は、撮影光学系110、撮像素子101、CPU102、DSP103、操作部104、モニタ105などによって構成される。
【0015】
撮影光学系110は、複数のレンズ111によって構成される。単一のレンズ111の内面に収差制御面112が形成されることにより、撮影光学系110に所定の球面収差を発生させる。撮影光学系110により、撮影されるための被写体像が結像され、撮像素子101の受光面上に形成される。
【0016】
撮像素子101は例えばCCDやCMOSエリアセンサであり、受光面に形成される被写体像に応じた原画像信号が生成される。なお、撮像素子101の有効撮像領域(図示せず)には、行方向(第1の方向)に(2×y)行、列方向(第2の方向)に(2×x)列のマトリックス状に配置された画素(図示せず)が設けられ、原画像信号に相当する原画像oiは、図2に示すように、(2y)行、(2x)列のマトリックス状に配置された画素pxによって構成される。
【0017】
生成された原画像信号は、AFE(図示せず)においてCDS処理、A/Dコンバージョン処理等が施されデジタル信号に変換されて、DSP103に送信される(図3参照)。DSP103はDRAM106をワークメモリとして用い、受信した原画像信号に対して、所定の信号処理を施す。
【0018】
なお、所定の信号処理には、後述する復元処理が含まれる。撮影光学系110により形成される被写体像である分散画像は収差制御面112の機能により焦点深度の深い光学像であって、ボケの発生した像である。復元処理を実行するために、CPU102を介してEEPROM107から球面収差を補正する第1のフィルタが、DSP103に伝達される。
【0019】
なお、第1のフィルタは予め測定された撮影光学系110固有のPSF(Point Spread Function)すなわち、ボケの度合いに応じて予め定められるウィナーフィルタなどのボケ復元用のフィルタである。DSP103では第1のフィルタを用いて、原画像信号にデコンボリューション処理を施す。デコンボリューション処理により分散画像のボケを低減化させた画像が作成される。
【0020】
所定の信号処理が施された原画像信号は全体処理画像信号として、モニタ105に送信され、全体処理画像信号に対応する光学像がモニタ105に表示される。また、全体処理画像信号はCPU102を介して、CPU102に着脱可能な記憶メディア(図示せず)に格納させることも可能である。
【0021】
撮像素子101およびDSP103における様々な動作の時期はタイミングジェネレータ(TG)108によって制御される。また、TG108はCPU102の制御に基づいて、撮像素子101およびDSP103の動作時期を制御する。また、CPU102はTG108だけでなく、デジタルカメラ100の各部位の動作を制御する。
【0022】
CPU102はボタン(図示せず)やダイヤル(図示せず)などの入力機器によって構成される操作部104に接続される。使用者による操作部104への操作入力に基づいて、CPU102は各部位の動作の制御を実行する。CPU102はEEPROM107に接続される。前述の第1のフィルタだけでなくデジタルカメラ100に設けられる様々な機能を実行するために必要な情報はEEPROM107に格納されており、必要に応じてCPU102により読出される。
【0023】
次に、DSP103において実行されるデコンボリューション処理について、以下に説明する。デコンボリューション処理において、最初に原画像信号から第1〜第4の間引き画像信号が生成される。
【0024】
前述のように、原画像oiは(2y)行(2x)列のマトリックス状に配置された画素pxによって構成される(図2参照)。第1の間引き画像信号は、原画像oiにおける偶数行および偶数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。例えば、図3に示すように、第1の間引き画像信号に相当する第1の間引き画像ii1は、原画像oiにおいて奇数行および奇数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px1によって構成される。
【0025】
第2の間引き画像信号は、原画像oiにおける偶数行および奇数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図4に示すように、第2の間引き画像信号に相当する第2の間引き画像ii2は、原画像oiにおいて奇数行および偶数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px2によって構成される。
【0026】
第3の間引き画像信号は、原画像oiにおける奇数行および偶数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図5に示すように、第3の間引き画像信号に相当する第3の間引き画像ii3は、原画像oiにおいて偶数行および奇数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px3によって構成される。
【0027】
第4の間引き画像信号は、原画像oiにおける奇数行および奇数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図6に示すように、第4の間引き画像信号に相当する第4の間引き画像ii4は、原画像oiにおいて偶数行および偶数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px4によって構成される。
【0028】
第1〜第4の間引き画像信号が生成されると、次に第1〜第4の間引き画像信号に対して第1のフィルタを用いてデコンボリューション処理が施される。第1〜第4の間引き画像信号に対してデコンボリューション処理を施すことにより、第1〜第4の処理画像信号が生成される。
【0029】
なお、第1のフィルタは注目画素を中心とした5行5列のフィルタであり、5行5列の全画素に対応する要素(K(−2、−2)〜K(2、2))を有している(図7参照)。各要素は前述のように撮影光学系110固有のPSFに応じて予め定められる。
【0030】
第1〜第4の処理画像信号が生成されると、次に第1〜第4の処理画像信号を用いて全体処理画像信号が生成される。全体処理画像信号は、第1〜第4の処理画像信号を構成する処理画素信号に対応する処理画素を、元の原画像における同一の画素の配列と同じ位置に配置することにより生成される。全体処理画像信号を生成することにより、本実施形態における復元処理を終了する。
【0031】
続いて、DSP103によって実行される復元処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。復元処理は、DSP103による復元処理前に実行される所定の信号処理の実行後に開始する。
【0032】
ステップS101において、DSP103は原画像信号に基づいて、第1〜第4の間引き画像信号を生成する。次のステップS102では、DSP103は第1〜第4の間引き画像信号に対して第1のフィルタを用いてデコンボリューション処理を施す。さらに、次のステップS103では、DSP103は、ステップS102におけるデコンボリューション処理により生成された第1〜第4の処理画像信号を用いて全体処理画像信号を生成する。全体処理画像信号を生成すると、復元処理は終了する。
【0033】
以上のような構成の第1の実施形態の画像処理ステムによれば、デコンボリューション処理の効果、すなわちボケ低減化効果を向上させながら、DSP103による演算量の増加を防ぐことが可能である。以下に、ボケ低減化効果の向上および演算量増加の抑制について説明する。
【0034】
図9に示すように、収差制御面112の設けられた撮影光学系110の光学伝達関数(OTF)は、空間周波数が大きくなるほど減少する。このような撮影光学系110により結像させた光学像に対応する画像信号のボケを低減化するためには、低下したOTFを回復させるように空間周波数に応じてゲインを増加させるフィルタを用いることが求められる。
【0035】
理想的には、空間周波数に対する増減がOTFとゲインとの間で連続的に逆になるように、第1のフィルタを設計することが好ましい(図9における空間周波数―ゲイン曲線参照)。ただし、空間周波数が高い帯域でゲインを大きくするとノイズも増加することから、高い空間周波数領域ではゲインを抑えながら(図9における点線参照)、低周波数の帯域において適切にゲインを設定することが求められる。
【0036】
デコンボリューション用の復元フィルタの設計において、ゲインの設定が可能な空間周波数の標本数は、注目画素からフィルタの外縁までの画素の距離に応じて変化する。例えば、5行5列のデコンボリューションフィルタの場合には、図10に示すように、空間周波数がナイキスト周波数Fn、Fn/2、およびゼロの3点においてゲインの設定が可能である。さらに、9行9列のデコンボリューションフィルタの場合には、図11に示すように、空間周波数がFn、(3×Fn)/4、Fn/2、Fn/4、ゼロの5点においてゲインの設定が可能である。しかし、前述のように、フィルタのサイズを大きくするほど、デコンボリューション処理に要する演算量が増加する。
【0037】
本実施形態では、第1〜第4の間引き画像に対してデコンボリューション処理が施される。このように行方向および縦方向に1/2に間引きした画像に対してデコンボリューション処理が施されるので、空間周波数がゼロ〜Fn/2の範囲でゲインの設定が可能である。したがって、第1〜第4の間引き画像に対して5行5列の第1のフィルタを用いると、空間周波数がFn/2、Fn/4、ゼロの3点においてゲインの設定が可能である(図12参照)。
【0038】
なお、空間周波数が(3×Fn)/4、Fnである点におけるゲインは、それぞれFn/4、ゼロである点におけるゲインと同じになる。ゲイン設定される空間周波数の標本数は、低周波の帯域において密になるほど、ボケ低減化の視覚的効果は大きい。特に、前述のように、空間周波数の高い帯域においてはゲインを抑えることが好ましく、空間周波数Fnにおけるゲインが空間周波数ゼロにおけるゲインと同じであっても視覚的効果の影響は比較的低い。それゆえ、空間周波数が(3×Fn)/4、Fnである点におけるゲインがFn/4、ゼロである点におけるゲインと同じであることは、問題にならない。
【0039】
したがって、本実施形態の画像処理システムによれば、5行5列のフィルタを用いながら、9行9列のフィルタによる低周波の帯域に対して適切にゲインを設定したフィルタを設計することが可能であり、9行9列のフィルタを用いたときと同様の視覚的なボケ低減化効果を得ることが可能である。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムについて説明する。第2の実施形態は、復元処理の方法が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0041】
第2の実施形態では、DSP103以外のデジタルカメラ100の構成は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態のDSP103は、復元処理以外の機能は第1の実施形態と同じである。なお、第2の実施形態におけるEEPROM107には、第2の実施形態における復元処理に用いるための第2のフィルタが格納される。
【0042】
第2の実施形態における復元処理について、以下に説明する。第1の実施形態と異なり、第2の実施形態における復元処理では、第1〜第4の間引き画像信号は生成されず、原画像信号に第2のフィルタを用いてデコンボリューション処理が施される。
【0043】
なお、第2のフィルタは、図13に示すように、注目画素を中心とした9行9列のフィルタであり、中心の注目画素に対応する要素と、注目画素から行方向および列方向に1個おきの画素に対応する要素のみを有する。すなわち、注目画素から行方向に奇数個離れた画素および列方向に奇数個離れた画素に対応する要素はゼロである。第2のフィルタの各要素も、第1の実施形態と同様に、撮影光学系110固有のPSFに応じて、予め定められる。
【0044】
なお、第1の実施形態と異なり、全体処理画像信号を生成することなくデコンボリューション処理の終了によって、第2の実施形態における復元処理は完了する。第1の実施形態と異なり、原画像信号に直接フィルタリング処理を施すために、後の画像合成処理は不要である。
【0045】
以上のような構成の第2の実施形態の画像処理システムによれば、第1の実施形態と同様に、ボケ低減化効果を向上させながら、DSP103による演算量の増加を防ぐことが可能である。
【0046】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0047】
例えば、上記第1、第2の実施形態では、画像信号にフィルタを用いたデコンボリューション処理を施す構成であるが、フィルタサイズが大きくなるほど効果が高められる他のフィルタリング処理にも適用可能である。
【0048】
また、第1、第2の実施形態では、原画像における行方向および列方向に1個おきの画素を用いてフィルタリング処理を行っている構成であるが、画素間隔は1個に限定されない。さらには、行方向および列方向に異なる画素間隔の画素を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。すなわち、行方向にm個(mは1以上の整数)おきの画素を用い、列方向にn個(nは1以上の整数)おきの画素を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。
【0049】
例えば、ラインセンサを用いて走査することによって画像信号を生成した場合には、走査方向とラインセンサの長手方向とで画素の長さが異なることがある。そのような場合には、画素の幅に応じて適切な画素間隔を設定することが好ましい。
【0050】
また、第1、第2の実施形態では、5行5列の第1のフィルタおよび9行9列の第2のフィルタを用いる構成であるが、1行u列(uは1以上の整数)のフィルタやv行1列(vは1以上の整数)のフィルタのように行方向および列方向のいずれか1方にのみ幅を有するフィルタを用いてもよい。
【0051】
また、第1の実施形態では行方向および列方向それぞれに5個の要素を有する第1のフィルタを用い、第2の実施形態では行方向および列方向それぞれに1個おきで5個並ぶ9個の要素のみを有する第2のフィルタを用いる構成であるが、フィルタに用いられる要素は行方向および列方向ともに5個に限定されない。行方向にs個(sは1以上の整数)および列方向にt個(tは1以上の整数)の要素であってもよい。
【0052】
また、第1、第2の実施形態では、原画像信号に対応する原画像は行方向および列方向に並ぶ画素によって形成される構成であるが、原画像を形成する画素の配置は行方向および列方向に限定されない。例えば、ハニカム配置の撮像素子のように、直交する2つの斜め方向に沿って配置される画素であっても、本実施形態を適用することは可能である。
【0053】
また、第1の実施形態では作成した間引き画像に対して5行5列の第1のフィルタを用いてフィルタリング処理を行うことにより、また第2の実施形態では行方向および列方向に1個おきの画素に対してのみ要素を有する第2のフィルタを用いてフィルタリング処理を行うことにより、任意の画素に対して行方向および列方向に1個おきに並ぶ画素を用いたフィルタリング処理が行われる構成である。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。
【0054】
原画像における特定の画素を原点画素とし、原点画素と、原点画素から行方向に沿って連続して並ぶ1個の画素と、原点画素と原点画素から行方向に沿って連続して並ぶ1個の画素とからそれぞれ列方向に沿って連続して並ぶ1個の画素との合計4画素をを基準画素に定めて、原画像において基準画素と、基準画素から行方向1個おきに並ぶ画素と、基準画素および基準画素から1個おきに並ぶ画素から列方向に1個おきに並ぶ画素とによって基準画素別に画素グループを構成し、画素グループ内の画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う構成であれば、第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0055】
また、第1、第2の実施形態では、画像処理システムが適用される撮像装置はデジタルカメラであるが、情報コード読取装置、ビデオカメラ、携帯電話機、自動制御用産業カメラなどの撮像装置に適用されてもよい。さらには、自身が撮影システムを有さずに、外部から受信する画像信号を用いてデコンボリューション処理を施すデジタルビデオユニット、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、画像検査装置など画像処理装置に、画像処理システムが適用されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 デジタルカメラ
103 DSP
110 撮影光学系
112 収差制御面
ii1〜ii4 第1〜第4の間引き画像
oi 原画像
px 画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像信号にフィルタリングを施す画像処理システムおよび画像処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラなどに設けられる撮像素子により被写体の光学像に相当する画像信号を生成することが知られている。また、画像信号に対して様々な画像処理を施すことにより、再生する画像に所望の加工を施すことも知られている。
【0003】
画像処理の一例として、フィルタリング処理が挙げられる。フィルタリング処理では、画像信号を構成する複数の画素が順番に注目画素に指定され、また注目画素の周囲に配置される画素が周囲画素に指定される。さらに、フィルタリング処理では、注目画素および指定画素に対応する要素を有するフィルタが予め作成される。注目画素および周囲画素に対してフィルタをかけることにより、注目画素の光学情報が更新される。
【0004】
このようなフィルタリング処理の中には、フィルタサイズが大きくなるほどフィルタリング処理による効果が高められることがある。例えば、位相板を用いて光束を規則的に分散させた光学像の撮像により得られた画像信号に対して、デコンボリューション処理を施すことにより画像のボケを除去することが提案されている(特許文献1〜特許文献5参照)。デコンボリューション処理においては、ボケの低減化効果を向上させるにはデコンボリューションに用いるフィルタサイズを大きくすることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6021005号明細書
【特許文献2】米国特許第6642504号明細書
【特許文献3】米国特許第6525302号明細書
【特許文献4】米国特許第6069738号明細書
【特許文献5】特開2003−235794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィルタサイズを大きくすると、演算量が増加するため、処理速度の低下および/または処理量の大きな回路が必要であり製造コストの増加を招いていた。
【0007】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、フィルタリング処理の効果を向上させながら、演算量の増加を抑える画像処理システムおよび画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による画像処理システムは、
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理システムであって、
原画像において特定の画素である原点画素と原点画素から第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素とが基準画素に定められ、
原画像において基準画素から第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって基準画素別に構成される画素グループ内の各画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う
ことを特徴とするものである。
【0009】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質
的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るもの
であり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0010】
例えば、本発明の第1の発明を方法として実現させた画像処理方法は、
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理方法であって、
原画像において特定の画素である原点画素と原点画素から第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の画素とが基準画素に定めるステップと、
原画像において基準画素から第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ画素によって基準画素別に構成されるが祖グループ内の各画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行うステップとを備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成された本発明に係る画像処理システムによれば、基準画素からm個おきの画素を用いてフィルタリングを行うので、注目画素から離れた画素を用いることによりフィルタリング処理の効果を向上させることが可能である。また、注目画素に連続して配置される画素を用いていないので、演算量の増加を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムを有する撮像装置であるデジタルカメラの光学的構成および電気的な概略構成を示す構成図である。
【図2】原画像の構成を示す構成図である。
【図3】第1の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図4】第2の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図5】第3の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図6】第4の間引き画像の構成を示す構成図である。
【図7】第1のフィルタの構成を示す構成図である。
【図8】図1のDSPにおいて実行される復元処理を示すフローチャートである。
【図9】図1の撮影光学系の空間周波数に対するOTFの特性を表すグラフと、図1の撮影光学系に対して理想的なフィルタにおける空間周波数に対するゲインの関係を示すグラフである。
【図10】5行5列のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図11】9行9列のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図12】第1のフィルタにおける空間周波数に対して設定可能なゲインを示すグラフである。
【図13】第2のフィルタの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した画像処理システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理システムを有する撮像装置であるデジタルカメラの光学的構成および電気的な概略構成を示す構成図である。デジタルカメラ100は、撮影光学系110、撮像素子101、CPU102、DSP103、操作部104、モニタ105などによって構成される。
【0015】
撮影光学系110は、複数のレンズ111によって構成される。単一のレンズ111の内面に収差制御面112が形成されることにより、撮影光学系110に所定の球面収差を発生させる。撮影光学系110により、撮影されるための被写体像が結像され、撮像素子101の受光面上に形成される。
【0016】
撮像素子101は例えばCCDやCMOSエリアセンサであり、受光面に形成される被写体像に応じた原画像信号が生成される。なお、撮像素子101の有効撮像領域(図示せず)には、行方向(第1の方向)に(2×y)行、列方向(第2の方向)に(2×x)列のマトリックス状に配置された画素(図示せず)が設けられ、原画像信号に相当する原画像oiは、図2に示すように、(2y)行、(2x)列のマトリックス状に配置された画素pxによって構成される。
【0017】
生成された原画像信号は、AFE(図示せず)においてCDS処理、A/Dコンバージョン処理等が施されデジタル信号に変換されて、DSP103に送信される(図3参照)。DSP103はDRAM106をワークメモリとして用い、受信した原画像信号に対して、所定の信号処理を施す。
【0018】
なお、所定の信号処理には、後述する復元処理が含まれる。撮影光学系110により形成される被写体像である分散画像は収差制御面112の機能により焦点深度の深い光学像であって、ボケの発生した像である。復元処理を実行するために、CPU102を介してEEPROM107から球面収差を補正する第1のフィルタが、DSP103に伝達される。
【0019】
なお、第1のフィルタは予め測定された撮影光学系110固有のPSF(Point Spread Function)すなわち、ボケの度合いに応じて予め定められるウィナーフィルタなどのボケ復元用のフィルタである。DSP103では第1のフィルタを用いて、原画像信号にデコンボリューション処理を施す。デコンボリューション処理により分散画像のボケを低減化させた画像が作成される。
【0020】
所定の信号処理が施された原画像信号は全体処理画像信号として、モニタ105に送信され、全体処理画像信号に対応する光学像がモニタ105に表示される。また、全体処理画像信号はCPU102を介して、CPU102に着脱可能な記憶メディア(図示せず)に格納させることも可能である。
【0021】
撮像素子101およびDSP103における様々な動作の時期はタイミングジェネレータ(TG)108によって制御される。また、TG108はCPU102の制御に基づいて、撮像素子101およびDSP103の動作時期を制御する。また、CPU102はTG108だけでなく、デジタルカメラ100の各部位の動作を制御する。
【0022】
CPU102はボタン(図示せず)やダイヤル(図示せず)などの入力機器によって構成される操作部104に接続される。使用者による操作部104への操作入力に基づいて、CPU102は各部位の動作の制御を実行する。CPU102はEEPROM107に接続される。前述の第1のフィルタだけでなくデジタルカメラ100に設けられる様々な機能を実行するために必要な情報はEEPROM107に格納されており、必要に応じてCPU102により読出される。
【0023】
次に、DSP103において実行されるデコンボリューション処理について、以下に説明する。デコンボリューション処理において、最初に原画像信号から第1〜第4の間引き画像信号が生成される。
【0024】
前述のように、原画像oiは(2y)行(2x)列のマトリックス状に配置された画素pxによって構成される(図2参照)。第1の間引き画像信号は、原画像oiにおける偶数行および偶数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。例えば、図3に示すように、第1の間引き画像信号に相当する第1の間引き画像ii1は、原画像oiにおいて奇数行および奇数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px1によって構成される。
【0025】
第2の間引き画像信号は、原画像oiにおける偶数行および奇数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図4に示すように、第2の間引き画像信号に相当する第2の間引き画像ii2は、原画像oiにおいて奇数行および偶数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px2によって構成される。
【0026】
第3の間引き画像信号は、原画像oiにおける奇数行および偶数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図5に示すように、第3の間引き画像信号に相当する第3の間引き画像ii3は、原画像oiにおいて偶数行および奇数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px3によって構成される。
【0027】
第4の間引き画像信号は、原画像oiにおける奇数行および奇数列に配置された画素pxに対応する画素信号を間引くことにより生成される。すなわち、図6に示すように、第4の間引き画像信号に相当する第4の間引き画像ii4は、原画像oiにおいて偶数行および偶数列に配置されるy行x列のマトリックス状に配置された画素px4によって構成される。
【0028】
第1〜第4の間引き画像信号が生成されると、次に第1〜第4の間引き画像信号に対して第1のフィルタを用いてデコンボリューション処理が施される。第1〜第4の間引き画像信号に対してデコンボリューション処理を施すことにより、第1〜第4の処理画像信号が生成される。
【0029】
なお、第1のフィルタは注目画素を中心とした5行5列のフィルタであり、5行5列の全画素に対応する要素(K(−2、−2)〜K(2、2))を有している(図7参照)。各要素は前述のように撮影光学系110固有のPSFに応じて予め定められる。
【0030】
第1〜第4の処理画像信号が生成されると、次に第1〜第4の処理画像信号を用いて全体処理画像信号が生成される。全体処理画像信号は、第1〜第4の処理画像信号を構成する処理画素信号に対応する処理画素を、元の原画像における同一の画素の配列と同じ位置に配置することにより生成される。全体処理画像信号を生成することにより、本実施形態における復元処理を終了する。
【0031】
続いて、DSP103によって実行される復元処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。復元処理は、DSP103による復元処理前に実行される所定の信号処理の実行後に開始する。
【0032】
ステップS101において、DSP103は原画像信号に基づいて、第1〜第4の間引き画像信号を生成する。次のステップS102では、DSP103は第1〜第4の間引き画像信号に対して第1のフィルタを用いてデコンボリューション処理を施す。さらに、次のステップS103では、DSP103は、ステップS102におけるデコンボリューション処理により生成された第1〜第4の処理画像信号を用いて全体処理画像信号を生成する。全体処理画像信号を生成すると、復元処理は終了する。
【0033】
以上のような構成の第1の実施形態の画像処理ステムによれば、デコンボリューション処理の効果、すなわちボケ低減化効果を向上させながら、DSP103による演算量の増加を防ぐことが可能である。以下に、ボケ低減化効果の向上および演算量増加の抑制について説明する。
【0034】
図9に示すように、収差制御面112の設けられた撮影光学系110の光学伝達関数(OTF)は、空間周波数が大きくなるほど減少する。このような撮影光学系110により結像させた光学像に対応する画像信号のボケを低減化するためには、低下したOTFを回復させるように空間周波数に応じてゲインを増加させるフィルタを用いることが求められる。
【0035】
理想的には、空間周波数に対する増減がOTFとゲインとの間で連続的に逆になるように、第1のフィルタを設計することが好ましい(図9における空間周波数―ゲイン曲線参照)。ただし、空間周波数が高い帯域でゲインを大きくするとノイズも増加することから、高い空間周波数領域ではゲインを抑えながら(図9における点線参照)、低周波数の帯域において適切にゲインを設定することが求められる。
【0036】
デコンボリューション用の復元フィルタの設計において、ゲインの設定が可能な空間周波数の標本数は、注目画素からフィルタの外縁までの画素の距離に応じて変化する。例えば、5行5列のデコンボリューションフィルタの場合には、図10に示すように、空間周波数がナイキスト周波数Fn、Fn/2、およびゼロの3点においてゲインの設定が可能である。さらに、9行9列のデコンボリューションフィルタの場合には、図11に示すように、空間周波数がFn、(3×Fn)/4、Fn/2、Fn/4、ゼロの5点においてゲインの設定が可能である。しかし、前述のように、フィルタのサイズを大きくするほど、デコンボリューション処理に要する演算量が増加する。
【0037】
本実施形態では、第1〜第4の間引き画像に対してデコンボリューション処理が施される。このように行方向および縦方向に1/2に間引きした画像に対してデコンボリューション処理が施されるので、空間周波数がゼロ〜Fn/2の範囲でゲインの設定が可能である。したがって、第1〜第4の間引き画像に対して5行5列の第1のフィルタを用いると、空間周波数がFn/2、Fn/4、ゼロの3点においてゲインの設定が可能である(図12参照)。
【0038】
なお、空間周波数が(3×Fn)/4、Fnである点におけるゲインは、それぞれFn/4、ゼロである点におけるゲインと同じになる。ゲイン設定される空間周波数の標本数は、低周波の帯域において密になるほど、ボケ低減化の視覚的効果は大きい。特に、前述のように、空間周波数の高い帯域においてはゲインを抑えることが好ましく、空間周波数Fnにおけるゲインが空間周波数ゼロにおけるゲインと同じであっても視覚的効果の影響は比較的低い。それゆえ、空間周波数が(3×Fn)/4、Fnである点におけるゲインがFn/4、ゼロである点におけるゲインと同じであることは、問題にならない。
【0039】
したがって、本実施形態の画像処理システムによれば、5行5列のフィルタを用いながら、9行9列のフィルタによる低周波の帯域に対して適切にゲインを設定したフィルタを設計することが可能であり、9行9列のフィルタを用いたときと同様の視覚的なボケ低減化効果を得ることが可能である。
【0040】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理システムについて説明する。第2の実施形態は、復元処理の方法が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0041】
第2の実施形態では、DSP103以外のデジタルカメラ100の構成は、第1の実施形態と同様である。第2の実施形態のDSP103は、復元処理以外の機能は第1の実施形態と同じである。なお、第2の実施形態におけるEEPROM107には、第2の実施形態における復元処理に用いるための第2のフィルタが格納される。
【0042】
第2の実施形態における復元処理について、以下に説明する。第1の実施形態と異なり、第2の実施形態における復元処理では、第1〜第4の間引き画像信号は生成されず、原画像信号に第2のフィルタを用いてデコンボリューション処理が施される。
【0043】
なお、第2のフィルタは、図13に示すように、注目画素を中心とした9行9列のフィルタであり、中心の注目画素に対応する要素と、注目画素から行方向および列方向に1個おきの画素に対応する要素のみを有する。すなわち、注目画素から行方向に奇数個離れた画素および列方向に奇数個離れた画素に対応する要素はゼロである。第2のフィルタの各要素も、第1の実施形態と同様に、撮影光学系110固有のPSFに応じて、予め定められる。
【0044】
なお、第1の実施形態と異なり、全体処理画像信号を生成することなくデコンボリューション処理の終了によって、第2の実施形態における復元処理は完了する。第1の実施形態と異なり、原画像信号に直接フィルタリング処理を施すために、後の画像合成処理は不要である。
【0045】
以上のような構成の第2の実施形態の画像処理システムによれば、第1の実施形態と同様に、ボケ低減化効果を向上させながら、DSP103による演算量の増加を防ぐことが可能である。
【0046】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0047】
例えば、上記第1、第2の実施形態では、画像信号にフィルタを用いたデコンボリューション処理を施す構成であるが、フィルタサイズが大きくなるほど効果が高められる他のフィルタリング処理にも適用可能である。
【0048】
また、第1、第2の実施形態では、原画像における行方向および列方向に1個おきの画素を用いてフィルタリング処理を行っている構成であるが、画素間隔は1個に限定されない。さらには、行方向および列方向に異なる画素間隔の画素を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。すなわち、行方向にm個(mは1以上の整数)おきの画素を用い、列方向にn個(nは1以上の整数)おきの画素を用いてフィルタリング処理を行ってもよい。
【0049】
例えば、ラインセンサを用いて走査することによって画像信号を生成した場合には、走査方向とラインセンサの長手方向とで画素の長さが異なることがある。そのような場合には、画素の幅に応じて適切な画素間隔を設定することが好ましい。
【0050】
また、第1、第2の実施形態では、5行5列の第1のフィルタおよび9行9列の第2のフィルタを用いる構成であるが、1行u列(uは1以上の整数)のフィルタやv行1列(vは1以上の整数)のフィルタのように行方向および列方向のいずれか1方にのみ幅を有するフィルタを用いてもよい。
【0051】
また、第1の実施形態では行方向および列方向それぞれに5個の要素を有する第1のフィルタを用い、第2の実施形態では行方向および列方向それぞれに1個おきで5個並ぶ9個の要素のみを有する第2のフィルタを用いる構成であるが、フィルタに用いられる要素は行方向および列方向ともに5個に限定されない。行方向にs個(sは1以上の整数)および列方向にt個(tは1以上の整数)の要素であってもよい。
【0052】
また、第1、第2の実施形態では、原画像信号に対応する原画像は行方向および列方向に並ぶ画素によって形成される構成であるが、原画像を形成する画素の配置は行方向および列方向に限定されない。例えば、ハニカム配置の撮像素子のように、直交する2つの斜め方向に沿って配置される画素であっても、本実施形態を適用することは可能である。
【0053】
また、第1の実施形態では作成した間引き画像に対して5行5列の第1のフィルタを用いてフィルタリング処理を行うことにより、また第2の実施形態では行方向および列方向に1個おきの画素に対してのみ要素を有する第2のフィルタを用いてフィルタリング処理を行うことにより、任意の画素に対して行方向および列方向に1個おきに並ぶ画素を用いたフィルタリング処理が行われる構成である。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。
【0054】
原画像における特定の画素を原点画素とし、原点画素と、原点画素から行方向に沿って連続して並ぶ1個の画素と、原点画素と原点画素から行方向に沿って連続して並ぶ1個の画素とからそれぞれ列方向に沿って連続して並ぶ1個の画素との合計4画素をを基準画素に定めて、原画像において基準画素と、基準画素から行方向1個おきに並ぶ画素と、基準画素および基準画素から1個おきに並ぶ画素から列方向に1個おきに並ぶ画素とによって基準画素別に画素グループを構成し、画素グループ内の画素に対して、同じ画素グループを構成する画素を用いてフィルタリングを行う構成であれば、第1、第2の実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0055】
また、第1、第2の実施形態では、画像処理システムが適用される撮像装置はデジタルカメラであるが、情報コード読取装置、ビデオカメラ、携帯電話機、自動制御用産業カメラなどの撮像装置に適用されてもよい。さらには、自身が撮影システムを有さずに、外部から受信する画像信号を用いてデコンボリューション処理を施すデジタルビデオユニット、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、画像検査装置など画像処理装置に、画像処理システムが適用されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 デジタルカメラ
103 DSP
110 撮影光学系
112 収差制御面
ii1〜ii4 第1〜第4の間引き画像
oi 原画像
px 画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理システムであって、
前記原画像において特定の前記画素である原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の前記画素とが基準画素に定められ、
前記原画像において前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される画素グループ内の各前記画素に対して、同じ前記画素グループを構成する前記画素を用いてフィルタリングを行う
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において、前記画素グループを構成する前記画素を有する間引き画像を前記基準画素毎に作成する間引き画像作成部と、
前記第1の方向に沿って注目画素を含んで連続して並ぶs個の前記画素に対応する成分を有する第1のフィルタを用いて、前記間引き画像に相当する間引き画像信号に前記フィルタリングを行い、処理画像を前記間引き画像毎に作成するフィルタリング部と、
前記処理画像を構成する処理画素を、前記原画像において対応する前記画素の配列に応じて前記処理画像毎に再配列することにより全体処理画像を作成する画像合成部とを備える
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理システムであって、前記第1の方向に沿って注目画素を含んでm個おきに並ぶs個の前記画素のみに対応する要素を有する第2のフィルタを用いて、前記原画像信号に前記フィルタリングを行うことにより全体処理画像信号を作成するフィルタリング部を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において前記原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個の前記画素とからそれぞれ前記第2の方向に沿って連続して並ぶn個(nは1以上の整数)の前記画素も前記基準画素に定められ、
前記画素グループは、前記原画像において前記基準画素と前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素とから前記第2の方向に沿ってn個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において、前記画素グループを構成する前記画素を有する間引き画像を前記基準画素毎に作成する間引き画像作成部と、
前記第1の方向および前記第2の方向に沿って注目画素を含んで連続して並ぶ(s×t)個の前記画素に対応する成分を有する第3のフィルタを用いて、前記間引き画像に相当する間引き画像信号に前記フィルタリングを行い、処理画像を前記間引き画像毎に作成するフィルタリング部と、
前記処理画像を構成する処理画素を、前記原画像において対応する前記画素の配列に応じて前記処理画像毎に再配列することにより全体処理画像を作成する画像合成部とを備える
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像処理システムであって、注目画素を含んで前記第1の方向に沿ってm個おきs個且つ前記第2の方向に沿ってn個おきt個並ぶ(s×t)個の前記画素のみに対応する要素を有する第4のフィルタを用いて、前記原画像信号に前記フィルタリングを行うことにより全体処理画像信号を作成するフィルタリング部を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、mとnとは同一であることを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、mとnとは異なることを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、前記フィルタリングは、前記原画像信号を生成する撮像に用いられた撮像素子に光学像を結像させる撮影光学系に含められる収差制御素子によって発生する所定の収差により低下した画像特性を向上させることを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理方法であって、
前記原画像において特定の前記画素である原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の前記画素とを基準画素に定めるステップと、
前記原画像において前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される画素グループ内の各前記画素に対して、同じ前記画素グループを構成する前記画素を用いてフィルタリングを行うステップとを備える
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項1】
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理システムであって、
前記原画像において特定の前記画素である原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の前記画素とが基準画素に定められ、
前記原画像において前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される画素グループ内の各前記画素に対して、同じ前記画素グループを構成する前記画素を用いてフィルタリングを行う
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において、前記画素グループを構成する前記画素を有する間引き画像を前記基準画素毎に作成する間引き画像作成部と、
前記第1の方向に沿って注目画素を含んで連続して並ぶs個の前記画素に対応する成分を有する第1のフィルタを用いて、前記間引き画像に相当する間引き画像信号に前記フィルタリングを行い、処理画像を前記間引き画像毎に作成するフィルタリング部と、
前記処理画像を構成する処理画素を、前記原画像において対応する前記画素の配列に応じて前記処理画像毎に再配列することにより全体処理画像を作成する画像合成部とを備える
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理システムであって、前記第1の方向に沿って注目画素を含んでm個おきに並ぶs個の前記画素のみに対応する要素を有する第2のフィルタを用いて、前記原画像信号に前記フィルタリングを行うことにより全体処理画像信号を作成するフィルタリング部を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において前記原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個の前記画素とからそれぞれ前記第2の方向に沿って連続して並ぶn個(nは1以上の整数)の前記画素も前記基準画素に定められ、
前記画素グループは、前記原画像において前記基準画素と前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素とから前記第2の方向に沿ってn個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像処理システムであって、
前記原画像において、前記画素グループを構成する前記画素を有する間引き画像を前記基準画素毎に作成する間引き画像作成部と、
前記第1の方向および前記第2の方向に沿って注目画素を含んで連続して並ぶ(s×t)個の前記画素に対応する成分を有する第3のフィルタを用いて、前記間引き画像に相当する間引き画像信号に前記フィルタリングを行い、処理画像を前記間引き画像毎に作成するフィルタリング部と、
前記処理画像を構成する処理画素を、前記原画像において対応する前記画素の配列に応じて前記処理画像毎に再配列することにより全体処理画像を作成する画像合成部とを備える
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像処理システムであって、注目画素を含んで前記第1の方向に沿ってm個おきs個且つ前記第2の方向に沿ってn個おきt個並ぶ(s×t)個の前記画素のみに対応する要素を有する第4のフィルタを用いて、前記原画像信号に前記フィルタリングを行うことにより全体処理画像信号を作成するフィルタリング部を備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、mとnとは同一であることを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、mとnとは異なることを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の画像処理システムであって、前記フィルタリングは、前記原画像信号を生成する撮像に用いられた撮像素子に光学像を結像させる撮影光学系に含められる収差制御素子によって発生する所定の収差により低下した画像特性を向上させることを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
第1、第2の方向に沿って2次元状に配置される複数の画素によって構成される原画像に対応する原画像信号に対して画像処理を施す画像処理方法であって、
前記原画像において特定の前記画素である原点画素と前記原点画素から前記第1の方向に沿って連続して並ぶm個(mは1以上の整数)の前記画素とを基準画素に定めるステップと、
前記原画像において前記基準画素から前記第1の方向に沿ってm個おきに並ぶ前記画素によって前記基準画素別に構成される画素グループ内の各前記画素に対して、同じ前記画素グループを構成する前記画素を用いてフィルタリングを行うステップとを備える
ことを特徴とする画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−252646(P2012−252646A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126536(P2011−126536)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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