説明

画像処理システム

【課題】
【解決手段】1つ又は複数の撮像デバイスを含む画像処理システムであって、各デバイスが1つ又は複数のレンズを含み、それらのレンズが全体として複数レンズのアレイを形成し、アレイが2つのレンズを含み、2つのレンズが対向する方向に向いており、2つのレンズの軸が実質的に平行であり、このシステムが、2つのレンズから同時に画像を取り込んで記録するように適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を取り込むための画像処理システム及び撮像デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
効果的なローイング・ストロークは、運動能力、技能、及び技法の組み合わせである。技法の開発は時間と練習を要する。より良い技法を開発する際に認識されている問題の1つは、漕ぎ手が自分自身のストロークを遠隔から見て、欠点を識別し観察できないことである。これと同じ問題は、微妙な所見や必要な変更をクルーに伝達する際のローイング・コーチについても存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、少なくとも部分的にこの問題を緩和しようと努めるものである。本発明のシステム及びデバイスは、科学捜査など、その他のスポーツ及び分野にも有用である可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、1つ又は複数の撮像デバイス(imaging device)を含む画像処理システム(imaging system)が提供され、各デバイスが1つ又は複数のレンズを含み、それらのレンズが全体として複数レンズのアレイを形成し、
アレイが2つのレンズを含み、
2つのレンズが対向する方向に向いており、
2つのレンズの軸が実質的に平行であり、
このシステムが、2つのレンズから同時に画像を取り込んで記録するように適合されている。
【0005】
本発明の他の態様によれば、複数レンズのアレイがそのデバイスに取り付けられた撮像デバイスが提供され、
アレイが2つのレンズを含み、
2つのレンズが対向する方向に向いており、
2つのレンズの軸が実質的に平行であり、
このデバイスが、2つのレンズから同時に画像を取り込むように適合されている。
【0006】
本発明のさらに他の態様によれば、撮像デバイスを含み、ローイング装置で漕いでいる間に漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステムが提供され、
撮像デバイスが装置に対して固定され、
撮像デバイスが、漕ぎ手及び/又は漕ぎ手のオールの画像を記録するために、実質的に漕ぎ手のオールのピボット点(pivot point)又はその上に或いは漕ぎ手のオールのピボット点の位置をシミュレートする位置に固定される。
【0007】
本発明をより容易に理解できるようにするために、例としてのみ、添付図面に関連して、諸実施形態について以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態内のカメラの側面図である。
【図2】カメラの内側面の斜視図である。
【図3】カメラの外側面の正面図である。
【図4】カメラを含む、ローイング訓練のためのシステムの全体レイアウトである。
【図5】取付台(mount)に据えられたカメラの正面図である。
【図6】カメラ用の取付台の斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態によるカメラの斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態内のカメラの全体レイアウトである。
【図9】カメラの取り付けを示す、漕ぎ手乗船前のローボート(rowing boat)の一部の斜視図である。
【図10】漕ぎ手の両側に取り付けられたカメラと漕ぎ手との関係を示す、ローボートの一部の斜視図である。
【図11a】漕ぎ手のストロークの側面図を示している。
【図11b】漕ぎ手のストロークの側面図を示している。
【図11c】漕ぎ手のストロークの側面図を示している。
【図11d】漕ぎ手のストロークの平面図を示している。
【図11e】漕ぎ手のストロークの平面図を示している。
【図11f】漕ぎ手のストロークの平面図を示している。
【図12a】ボートの中心線上に取り付けられたカメラから見た漕ぎ手のストロークを示している。
【図12b】ボートの中心線上に取り付けられたカメラから見た漕ぎ手のストロークを示している。
【図12c】ボートの中心線上に取り付けられたカメラから見た漕ぎ手のストロークを示している。
【図13】ボートの船尾の中心線上に取り付けられたカメラを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施形態は図1〜図6に示されている。この実施形態では、撮像デバイス(カメラ2)は、スポーツ、特にローイングを指導する際に使用するために特に適合されている。
【0010】
このカメラは、単一本体22に取り付けられた2つのレンズ8、10を有する。2つのレンズ8、10は対向する方向に向いている。それぞれのレンズはその中心を横切って貫通する軸を有する。2つのレンズの軸は平行である。このデバイスは、両方のレンズから同時に画像を取り込むように適合されている。
【0011】
この実施形態では、両方のレンズが単一デバイス内に収容されている。しかし、それぞれのレンズを個別のデバイス内に収容できることは言うまでもない。例えば、それぞれのデバイスにレンズを1つずつ配置して、2つのデバイスを背中合わせに取り付けることもできる。デバイスのこのような組み合わせは、第1のレンズと第2のレンズが異なるデバイス内にあっても、両方のレンズから同時に画像を取り込むように適合された「システム」と呼ばれる。
【0012】
図1は、単一のカメラ本体22に固定され、反対方向を向いている2つのレンズを有するカメラ2を示している。一方のレンズは、ボートに対して、外側を向いているレンズ10であり、もう一方は内側を向いているレンズ8である。カメラ2は、両方のレンズからの画像を同時に記録し同期することができる。カメラ2は、同じ視点(perspective)から2通りの方向の静止画像又はビデオ画像を同時に記録することができる。
【0013】
それぞれのレンズはカメラ本体22の内側に位置する画像センサに焦点を合わせる。内側を向いているレンズ8は、外側レンズ10よりわずかに高い位置で本体22内に取り付けられている。2つのレンズの軸は、より小型のカメラ本体を可能にし、それぞれの画像の視点と一致するようにオフセットされている。それらが背中合わせになっている場合、本体22は潜在的により幅広にする必要があるであろう。2つの画像センサは、画像センサからデータを受け取って、保管のためにそれをエンコードすることができる画像処理プロセッサに結合されている。カメラは、画像及びビデオ・データを保管するためにデジタル・メモリを取り入れている。本体22の内側に取り付けられたバッテリはカメラに電力を供給し、そのバッテリはカメラの底部に位置する電気コネクタを使用して充電することができる。
【0014】
プロセッサ及び画像センサは、両方の見地から100フレーム/秒を超えるフレーム・レートでビデオを記録することができる。有線又は無線インターフェースは、再生、分析、又は永続保管のために、メモリに保管されたデータをコンピュータなどの他のデバイスに転送することができる。
【0015】
図2は、カメラ2の内側面11を示している。内側を向いているレンズ8はこの面上に位置している。内側面11は表示画面12も含み、この画面はデバイスへのグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)をユーザに提供するものである。GUIは、カメラのメモリからのデータの削除及び送信並びに記録の開始及び停止を含むオプションを可能にするメニュー構造を含む。
【0016】
図3に示されている外側面15上では、カメラは丸い「タッチ」インターフェース14を有する。このインターフェースは、表示画面12上のGUIを操作するために使用することができる。インターフェース14の表面の後ろにあるセンサは、インターフェースの表面上でユーザの指の存在を検出する。ユーザは、インターフェース14の回りの回転パターン内で自分の指を動かして、GUI上の様々なオプションをスクロールし選択することができる。
【0017】
カメラ2は、露出し湿った環境での操作を容易にするために、密封された防水性の本体22を有する。
【0018】
この実施形態の適用例の1つは、図4に示されている指導システムの一部としてであり、この適用例は複数のカメラ2の使用を必要とする可能性がある。図9は、ボートの両側から延びるオール5上にカメラ2が取り付けられた漕ぎ手乗船前のボート6を示している。図10は、漕ぎ手が乗船し、1対のカメラ2がボートの両側の船外に取り付けられ、レンズが漕ぎ手に向いているボートを示している。どちらのカメラ2も、ボートに対して固定するためにオール・リガー4上に取り付けられる。
【0019】
このシステムは、ローボート6、ローイング・シミュレータ、ローイング・デバイス、又はエクササイズ・マシン内にある間に漕ぎ手のストロークの画像を取り込むために使用される。カメラ2はローイング装置に対して固定される。デバイスがローボート6上に取り付けられる場合、それぞれのカメラ2は、漕ぎ手及び漕ぎ手のオールのストロークの側景(side elevation view)を同時に記録するために、それぞれの漕ぎ手のオール5のピボット点に固定される。
【0020】
漕ぎ手及び漕ぎ手のオール5のストロークの側景を得るために、それぞれのカメラ2はローボート6のオールのリガー4上に取り付けられる。カメラはオール5の支点付近に取り付けられる。取り付けられると、カメラの内側を向いているレンズ8はボート内に向かい、側景から漕ぎ手のローイング動作を記録するために使用することができる。外側を向いているレンズ10は、オールの移動アーク7に向かい、オールの動作を記録するために使用することができる。カメラ2はボート6に対して固定され、オールがそのアーク中を移動する時にカメラ2は回転せず、漕ぎ手の身体はストローク中に前後に揺れ動く。
【0021】
漕ぎ手とオールの両方の動作を記録することにより、カメラ2は、単レンズ・カメラでは達成できなかったストロークの改善された可視記録を可能にする。
【0022】
図11a、図11b、図11c、図11d、図11e、及び図11fは、側面及び上から見た漕ぎ手のストロークを示している。カメラ2は漕ぎ手のストローク中にボートに対して移動しないことに留意されたい。
【0023】
コーチ及び漕ぎ手の視点から、ストロークのこの記録は重要な訓練上の役割を果たす。この記録は、追加の訓練及び改善のための基礎として使用可能なローイング動作の重要な光景を提供する。
【0024】
コーチの視点から、カメラ2は重要な役割を果たす。漕ぎ手のストロークにどのような問題が存在するかを言葉で説明することは難しい可能性がある。この記録は、問題を明確に識別し、解決策を提案するための基礎を提供する。漕ぎ手とオールの先端の両方の動作を同期して記録できることは、コーチにとって著しく有利である。例えば、(外側を向いているレンズ10からの記録に示される)先端が明確に水から離れるのが遅すぎる場合、コーチは、(内側を向いているレンズ8によって記録された)漕ぎ手の動作のどの部分がこの問題を引き起こしているかを具体的に指摘することができる。
【0025】
図5は、ボート6のリガー4にボルト固定可能な取付台16上に据えられたカメラ2を示している。図5は取付台の斜視図を示している。カメラは取付台内の磁石18にロックされる。取付台との位置合わせは、取付台内の差し込み部20により達成される。磁石18により、記録されたデータのダウンロード、カメラ内のバッテリの充電、保管及びセキュリティのために、カメラを取付台から容易に取り外すことができる。
【0026】
取付台は、ボルト・アセンブリ24を使用してリガー4にボルト固定することができる。取付台はリガー4に永続的に固定されるので、カメラは、取付台16に据えられるたびに同じ角度に位置合わせされることになる。従って、カメラ2のレンズは、カメラが取付台16に据えられるたびに同じ方向から同じ視点を取り込むことになる。このため、カメラ2がボート6に据えられるたびにいずれの調整なしに漕ぎ手とオールの先端の全景を必ず取り込むことと、直接比較のために今後のすべての画像を前の画像の上に重ねることができることが保証される。
【0027】
図4に示されているように、複数の漕ぎ手を記録するために同じボート6に1組のカメラ2を取り付けることができる。それぞれのレンズによって記録された画像は、正確に同期され、記録された時にタイムスタンプが刻印される。画像データに刻印するために使用される時間データはいくつかの方法で決定することができる。
・それぞれのカメラが専用の刻時機構を含むことができる。
・それぞれのカメラがGPSモジュールとアンテナを含み、GPS衛星から正確な時間データを受信することができる。
・単一の刻時機構が無線によるか又は有線のネットワークによりボート上の各カメラに正確な時間データを送信することができる。
【0028】
図13に示されているように、単レンズ又はデュアル・レンズ・カメラ2は、ボートの中心線上に位置決めすることができる。図12a、図12b、及び図12cに示されている漕ぎ手のストロークの画像を生成するために、漕ぎ手同士の間の船のデッキ上にカメラ2を配置できることは言うまでもない。
【0029】
カメラ2は、記録されたデータを無線でコンピュータ32に送信するように適合されている。このデータは、モニター36上で後で再生するためにコンピュータ上に記録される。従って、訓練セッションが完了すると、ボート6からカメラ2を取り外す必要もなく、カメラ2をコンピュータ32に物理的に配線せずに、再生を起動することができる。
【0030】
異なるクルー・メンバー間でストロークのセグメント・タイミング及び長さを調整することは、ボートのバランス及びローイング・クルーの成功を発展させるために重要なことである。しかし、特にそれぞれのクルー・メンバーが同時に自分のローイング・ストロークに集中している間に自分が「調子が合っている」かどうかを判断することは難しい可能性がある。
【0031】
様々なタイムスタンプ付き記録を同時に再生して、他のクルーに対する自分自身のタイミングについて正確な認識を漕ぎ手に示すことができる。例えば、外側を向いているレンズ10によって取り込まれたそれぞれの漕ぎ手のオールの先端の画像をモニター36上の様々な表示面に再生して、任意のタイミング問題を実証することができる。
【0032】
代わって、様々な画像を36で相互に重ね合わせて、より完全にタイミング問題を実証することもできる。内側を向いているレンズ8からの記録(漕ぎ手の動作の記録)もモニター36上で重ね合わせるか又はモニター36上の個別のフレームで比較することができる。画像を重ね合わせる時に、オール又は漕ぎ手に種々の色で陰影を付け、チーム内のそれぞれの漕ぎ手を区別することができる。従って、チームの他の漕ぎ手と同期していない漕ぎ手を容易に識別することができる。
【0033】
高速のフレーム取り込みにより、コーチ又は漕ぎ手は、記録を低速で再生し、ローイング動作の各部分のタイミングを正確に判断することができる。
【0034】
カメラは、図11a及び図11dに示されている「キャッチ」位置から図11c及び図11fに示されている「フィニッシュ」位置までのローイング・ストロークの全範囲を取り込めるように取り付けられている。図12a、図12b、及び図12cは、カメラとともに訓練システムの一部を形成する1つのソフトウェアに表れるように、ビデオからの3つの静止フレームを示している。
【0035】
このソフトウェアにより、ユーザは様々な時点でストロークの様々な「ポイント」を画面上でマークすることができる。例えば、ユーザは、ドライブの開始時にオールが水に入るポイントをマークすることができる。次にユーザは、ドライブの終了時にオールが水を離れるポイントをマークすることができる。この2つのポイントをマークすることにより、少なくとも2つの計算を行うことができる。
・フレーム間で経過した時間を確立することによる「ドライブ」時間
・ドライブ中にオールによってスイープされる角度である「ドライブ」角度
【0036】
ビデオ・フレーム上の様々なポイントをマークすることにより、例えば、漕ぎ手が上達しているかどうか又は漕ぎ手同士が互いに調子が合っているかどうかを判断するために、広範な色々のデータを確立できることは言うまでもない。以下のものを計算することができる。
・ストロークが終わるごとに「失われた」スイープ済み角度
・各ストローク中のシートの移動量
・キャッチ位置で漕ぎ手の上腿と下腿との間に形成される角度
【0037】
上記の測定値及びその他の多くの測定値は漕ぎ手を選択し訓練する際にコーチを支援できることは言うまでもない。また、これらは、自分のストロークをモニターし理解する上で漕ぎ手にとっても有用なものになるであろう。ビデオのフレーム上のポイントをマークすることにより計算を容易に実行できるように、カメラはボートに対して固定される。
【0038】
このソフトウェアは、ユーザが様々なポイントをマークする必要なしにストロークの様々な部分を自動的に認識し測定する機能を含むことができる。
【0039】
漕ぎ手は、自分の衣服上に強調されたタブを装着することができる。これらのタブは、反射性にするか、又は単純に漕ぎ手の衣服と対比させるために色付きにすることができる。このようなタブは、ストロークを査定するためにフレーム上の必要なポイントをマークするためにユーザを支援することになる。また、タブは、ストローク上の同じポイントを認識し、自動的にマークする際にもソフトウェアを支援することができる。
【0040】
この実施形態はボート内に位置する記録装置(図示せず)を含む。この装置は多軸ジャイロスコープと3D加速度計を含む。ジャイロスコープは、その主要な縦軸の回りでボートの横揺れ(roll)、縦揺れ(pitch)、及び偏揺れ(yaw)を測定する。加速度計はボートの加速度を測定する。
【0041】
この実施形態は、コーチが使用することができる遠隔制御装置34も含む。この制御装置34は、様々なカメラ2による記録を開始し停止するために、並びにカメラのパラメータを再構成するために使用することができる。この遠隔制御装置により、コーチは、デブリーフィング・セッション中に検討が必要と思われる、セッションの特定のストローク又は一部を取り込むことができる。カメラ・デバイスは、それが発生した後で特定のイベントの取り込みポイントをポストトリガする能力をユーザに提供するサーキュラー・メモリ(circular memory)を含む。
【0042】
また、カメラ2は、同じくリガー4に取り付けられた負荷又はひずみゲージ38に関連して使用することができる。このゲージは、オール7によってリガー4に加えられる力の量を測定する。従って、ゲージ38は、各ストロークの力のプロファイルをモニターする。ゲージ38はカメラ2と有線又は無線で連絡している。ゲージ38からのデータはカメラに転送され、そこでローイング・ストロークのそれぞれの画像フレームとともにメモリ内に保管される。従って、再生及びデブリーフィング中に、コーチ及び漕ぎ手はこのデータ並びに画像にアクセスすることができる。このデータは、漕ぎ手を批評し、漕ぎ手の技法に関するフィードバックを漕ぎ手に提供する際に支援するために、ストローク記録とともにモニター36上に視覚的に表示することができる。例えば、ひずみゲージ38上で測定された力は、漕ぎ手又はオールのビデオとともにグラフ上に示すことができる。
【0043】
上述の通り、システムは、背中合わせに取り付けられた2つの個別の撮像デバイスを含み、一方はオールをモニターし、もう一方は漕ぎ手をモニターすることができる。しかし、単一のデバイスが両方向に画像を記録できることが得策である。
【0044】
また、訓練中の漕ぎ手のストロークを記録するために、同じカメラ2をローイング訓練マシン又はその他のローイング装置に固定することもできる。このマシンがフライホイール形マシンである場合、オールはまったく存在せず、単レンズを使用して漕ぎ手のみを記録することができる。
【0045】
本発明の第2の実施形態は図7及び図8に示されている。この実施形態では、六角カメラ50は特に科学捜査適用例で使用するために適合されている。このカメラは、犯行現場の静止又はビデオ記録を取り込むために使用することができる。
【0046】
六角カメラ50は合計7つのレンズを有し、それぞれが実質的に同じ視点から異なる角度で画像を記録することができる。6つの側面レンズ52はカメラの側壁54上に位置する。上部レンズ56は上を向いている。
【0047】
側面レンズ52は3対の対向するレンズで構成され、これらは平行軸を有するだけでなく、互いに直接向かい合っているということにより、同じ軸を共用する。
【0048】
犯行現場を撮影する際に発生する可能性のある問題は、撮影者がその時点で重要であると考える画像を主観的に取り込むことである。しかし、捜査が進むにつれて、任意の数の他の視点又は角度でその現場を記録することは、その現場で何が起きたかを判断する上できわめて重大なことになる可能性がある。
【0049】
この実施形態は、撮影者の主観的な先入観なしに多数の異なる視点及び角度を迅速に同時に記録するための手段を提供する。六角カメラ50(撮像デバイス)は、証拠が劣化し始める前に一定の幅の視覚データを収集するようにセットアップすることができる。
【0050】
第1の実施形態のように、このカメラは、各レンズの後ろに位置する画像センサ並びにプロセッサ及びデジタル・メモリを含む。すべての画像センサから同時に画像を記録することができる。それぞれの画像は、それが撮られた時間と、それが撮られた位置という2つのデータとともに記録される。
【0051】
図8は、この六角カメラ50の適用例の1つを示している。この適用例では、六角カメラ50は、同じく犯行現場で画像を記録するために使用される6つのデュアル・レンズ・カメラ60と組み合わせて使用される。デュアル・レンズ・カメラ60は、内側を向いているレンズ62と外側を向いているレンズ64とを有する。望ましい場合に、それぞれの像平面の整合を可能にするために、それぞれのカメラは伸縮式スタンド66に取り付けられる。
【0052】
六角カメラ50は、現場の中心位置に配置され、様々なレンズを使用して、一度に複数の異なる方向(上方を含む)を記録する。デュアル・レンズ・カメラ60は、カメラ50の回りのリング状に配置される。それぞれのデュアル・レンズ・カメラ60の内側を向いているレンズ62は六角カメラ50に向けられる。外側を向いているレンズ64は円から外向きに放射状に画像を記録する。
【0053】
この実施形態は、犯行現場の広範囲にわたる可視記録を提供する。重要なことに、主観的な先入観なしに画像が撮られる。いかなる特定の視点又は角度も他のものより優先されることはない。望ましい場合、その後の捜査中に現場の多次元モデルを再構築するために、様々な画像を使用することができる。
【0054】
重要なことに、記録にはタイムスタンプが刻印される。従って、捜査員は同時に犯行現場の2つ又はそれ以上の部分で何が起こっていたかを容易に突き止めることができる。
【0055】
また、六角カメラ50は、静的ではなく動的に使用することもできる。例えば、ユーザは六角カメラ50を自分の手に持って円を描いて歩き、現場を一周することができる。従って、複数のレンズ52及び56は円の中心に向かう方向と円から外に向かう方向の両方について画像を取り込むことができる。このような広範囲にわたる可視情報はその現場の有用な記録を提供する。
【0056】
このカメラによって取り込まれた画像は、複数レンズのアレイからの豊富なデータ・プールを提供する。対向するレンズ対間の関係が固定されていることにより、このデータの価値が増加する。ある対の第1のレンズからの画像を見て、同時に反対方向から撮られた画像とそれを同じ視点から比較することができる。
【0057】
本明細書全体を通して、明確な言語又は必要な含意により文脈がそれ以外のものを要求する場合を除き、「comprise」という単語又は「comprises」或いは「comprising」などの変形例は、包括的な意味で、すなわち、明記された特徴の存在を指定するために使用されるが、本発明の様々な実施形態においてその他の特徴の存在又は追加を排除するために使用されるわけではない。
【0058】
本発明の当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに多くの変更が可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の撮像デバイスを含む画像処理システムであって、各デバイスが1つ又は複数のレンズを含み、前記レンズが全体として複数レンズのアレイを形成し、
前記アレイが2つのレンズを含み、
前記2つのレンズが対向する方向に向いており、
前記2つのレンズの軸が実質的に平行であり、
前記システムが、前記2つのレンズから同時に画像を取り込んで記録するように適合されている、画像処理システム。
【請求項2】
前記2つのレンズが同じ軸を共用する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記アレイが第3のレンズと第4のレンズとを含み、
前記第3及び第4のレンズが対向する方向に向いており、
前記第3及び第4のレンズの軸が実質的に平行であり、
前記システムが、4つのレンズすべてから同時に画像を取り込んで記録するように適合されている、請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記アレイ内の各レンズの視界が前記アレイ内の任意の他のレンズの視界と実質的に重ならない、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記アレイ内の各レンズの視界が前記アレイ内の任意の他のレンズの視界と重ならない、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
そのデバイスに取り付けられた複数レンズのアレイを含む撮像デバイスであって、
前記アレイが2つのレンズを含み、
前記2つのレンズが対向する方向に向いており、
前記2つのレンズの軸が実質的に平行であり、
前記デバイスが、前記2つのレンズから同時に画像を取り込むように適合されている、撮像デバイス。
【請求項7】
前記2つのレンズが同じ軸を共用する、請求項6に記載の撮像デバイス。
【請求項8】
第3のレンズと第4のレンズとを含み、
前記第3及び第4のレンズが対向する方向に向いており、
前記第3及び第4のレンズの軸が実質的に平行であり、
前記デバイスが、4つのレンズすべてから同時に画像を取り込んで記録するように適合されている、請求項6又は7に記載の撮像デバイス。
【請求項9】
前記アレイ内の各レンズの視界が前記アレイ内の任意の他のレンズの視界と実質的に重ならない、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の撮像デバイス。
【請求項10】
前記アレイ内の各レンズの視界が前記アレイ内の任意の他のレンズの視界と重ならない、請求項6ないし9のいずれか1項に記載の撮像デバイス。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1項に記載の撮像デバイスを含み、ローイング装置で漕いでいる間に漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステムであって、前記撮像デバイスが、前記漕ぎ手及び/又は前記漕ぎ手のオールの画像を記録するために、前記装置に対して固定される、システム。
【請求項12】
前記撮像デバイスが、前記漕ぎ手及び前記漕ぎ手のオールの側景画像を記録するために、実質的に前記漕ぎ手のオールのピボット点又はその上に固定される、請求項11に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項13】
前記装置がローボートであり、前記アレイ内の前記レンズが前記漕ぎ手の正面又は背面の画像を取り込むように前記撮像デバイスが実質的に前記ボートの中心線上の位置に固定される、請求項11又は12に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項14】
前記中心線上に位置決めされた少なくとも1つの単レンズ・カメラがリガーに取り付けられたカメラに関連して使用される、請求項13に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項15】
撮像デバイスを含み、ローイング装置で漕いでいる間に漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステムであって、
前記撮像デバイスが前記装置に対して固定され、
前記撮像デバイスが、前記漕ぎ手及び/又は前記漕ぎ手のオールの画像を記録するために、実質的に前記漕ぎ手のオールのピボット点又はその上に或いは前記漕ぎ手のオールの前記ピボット点の位置をシミュレートする位置に固定される、システム。
【請求項16】
前記ローイング装置がローボートである、請求項11ないし15に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項17】
前記ローイング装置がローイング訓練マシンである、請求項15に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項18】
前記撮像デバイスが直接又は間接的にオールのリガー位置に固定される、請求項15ないし17のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項19】
前記撮像デバイスが本体と前記本体に取り付けられた複数レンズのアレイとを含み、前記複数レンズが前記本体に取り付けられ、前記デバイスが、前記複数レンズのうちの2つ又はそれ以上から同時に画像を取り込むように適合されている、請求項15ないし18のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項20】
前記アレイが2つのレンズのみで構成され、前記複数レンズが所定の位置に固定され、実質的に対向する方向に向いている、請求項15ないし19のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項21】
前記撮像デバイスが、前記リガーに固定された取付台に取り外し可能に据えられるように適合されている、請求項15ないし20のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項22】
前記撮像デバイスが、磁石を使用して前記取付台に据えられる、請求項21に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項23】
前記撮像デバイスが、表示画面及び/又はユーザ・インターフェースを含む、請求項12ないし22のうちの1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項24】
前記撮像デバイスが、水の浸入を防止するために密封される、請求項15ないし23のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項25】
前記撮像デバイスが、毎秒100フレーム又はそれ以上のフレーム・レートで画像を取り込んで記録するように適合されている、請求項15ないし24のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項26】
前記撮像デバイスが、画像と前記画像が取り込まれた時間を示すデータとの両方を記録するように適合されている、請求項15ないし25のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項27】
前記撮像デバイスが衛星から時間データを受信するための手段を含み、前記受信した時間データが、前記画像が取り込まれた時間を記録するための基礎として使用される、請求項26に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項28】
前記システムが複数の撮像デバイスと1つの刻時機構とを含み、時間データが有線又は無線により前記刻時機構から前記撮像デバイスに送信され、前記画像が取り込まれた時間を記録するための基礎として使用される、請求項26に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項29】
前記撮像デバイスが、記録されたデータを無線で送信するように適合されている、請求項15ないし28のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項30】
前記撮像デバイスによる記録を開始し停止するための遠隔制御装置を含む、請求項15ないし29のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項31】
同じ装置に固定された2つ以上の撮像デバイスを含む、請求項15ないし30のいずれか1項に記載の漕ぎ手のストロークの画像を取り込むためのシステム。
【請求項32】
請求項15ないし31のいずれか1項に記載の画像処理システムを使用して、漕ぎ手及び/又はオールのストロークのビデオ場面を記録することと、
前記記録されたビデオを使用して、前記漕ぎ手のストロークを査定すること
を含む、指導方法。
【請求項33】
前記査定が、
ストローク長、ストローク角、ストローク持続時間、ストローク・スリップ、ストローク・セグメント遅延、レグ圧縮、縦方向の機体角、横方向の機体角、及び画像整合オーバレイによって導出される技法の変化
のうちのいずれか1つの測定を含む、請求項32に記載の指導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【図11e】
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【図11f】
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【図12a】
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【図12b】
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【図12c】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−504776(P2012−504776A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529416(P2011−529416)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001310
【国際公開番号】WO2010/037176
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511077052)イエップ オーストラリア ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】