説明

画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体、および、画像処理装置

【課題】 画像処理装置において、電子ファイル内の複数のページに対する一括した処理を、すべてのページにおいてユーザの所望する位置に実行できるようにする。
【解決手段】 電子ファイルデータ50には、複数のページデータ(ページデータ51〜53)が含まれる。各ページデータの左上部には、元となる原稿がホッチキスで留められていたことによって発生した右上がりの線状の画像が含まれている。一括編集としてステープル削除の処理が実行される場合、各ページデータの左上の領域(長方形500)に対して画像を削除する処理が実行される。これにより、ページデータ51〜53において左上の線状の画像が削除される。この処理では、処理対象となる領域が、ページデータごとに、その左上端を基準として決定される。なお、処理対象とされる領域が決定される際の各ページデータ上で基準とされる部位は、処理の内容ごとに変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体、および、画像処理装置に関し、特に、複数のページデータを含む電子ファイルのデータを処理する画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体、および、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のページデータを含む電子ファイルを管理する技術が種々開示されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1では、複数枚の原稿をスキャンすることによって得られた複数のページデータを含む電子ファイルに対して、各ページのデータを画像処理することにより、ステープル跡情報が同じ位置にあるものを一つのファイルとして保存する技術が開示されている。
【0004】
また、このような電子ファイルを管理する装置においては、当該電子ファイルに含まれる各ページに対して一括して同じ位置にノンブルを付ける等、電子ファイルに含まれる複数のページに対して同じ位置に一括した処理を実行できるものもあった。
【特許文献1】特開2003−317077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では、電子ファイル内の複数のページに対して一括した処理が行なわれた場合、当該電子ファイル内の一部のページにおいて、ユーザの所望しない位置に処理が実行される場合や処理が実行されない場合があった。たとえば、電子ファイルに含まれるページ間でサイズが異なる場合、1ページ目における位置を基準として原稿の下端にノンブルを付けるという一括した処理が実行されると、1ページ目よりもサイズの小さいページにはノンブルが付けられない、という事態が生じる場合があった。
【0006】
ただし、電子ファイル内の複数のページに対する一括した処理自体は、電子ファイル内のページのそれぞれに対して毎回位置を選択して処理を実行するよりも操作が簡単で重宝される場合が多く、利便性の高い処理であることは事実である。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、電子ファイルに含まれる複数のページに対する一括した処理を処理対象となるすべてのページにおいてユーザの所望する位置に処理を実行できる、画像処理プログラム、画像処理プログラムを記録した記録媒体、および、画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に従った画像処理プログラムは、所定の記憶装置に記憶された電子ファイルデータに含まれる複数のページデータに対して一括して編集処理を実行するための画像処理プログラムであって、コンピュータに、各ページデータにおける基準位置を取得するステップと、前記基準位置に対して、各ページデータにおける処理の対象となる領域である対象領域を特定する情報である特定用情報を取得するステップと、ページデータごとに、前記基準位置と前記特定用情報に基づいて前記対象領域を決定するステップと、複数のページデータに対して、各ページデータの前記決定された対象領域に対して前記編集処理を実行するステップとを実行させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、コンピュータに、複数の前記編集処理のそれぞれに対応させて前記基準位置を記憶するステップをさらに実行させ、前記基準位置を取得するステップでは、実行する前記編集処理に対応した前記基準位置を取得することが好ましい。
【0010】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、コンピュータに、前記基準位置の入力を受付けるステップと、前記入力された基準位置と前記記憶された基準位置のどちらを利用するかという情報の入力を受付けるステップとをさらに実行させ、前記基準位置を取得するステップでは、前記入力された基準位置を利用する情報の入力を受付けた場合には前記入力された基準位置を取得することが好ましい。
【0011】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、前記基準位置を記憶するステップでは、複数の基準位置を記憶し、コンピュータに、前記記憶された複数の基準位置から1の基準位置を選択する情報の入力を受付けるステップをさらに実行させ、前記基準位置を取得するステップでは、前記選択された基準位置を取得することが好ましい。
【0012】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、前記基準位置を記憶するステップでは、複数の基準位置として、ページの左上端、上中端、右上端、左中端、中央、右中端、左下端、下中端、および、右下端の9点を記憶することが好ましい。
【0013】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、コンピュータに、前記基準位置の入力を受付けるステップをさらに実行させ、前記基準位置を取得するステップでは、前記入力された基準位置を取得することが好ましい。
【0014】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、前記基準位置の入力を受付けるステップでは、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、画素数の単位での入力を受付けることが好ましい。
【0015】
また、本発明に従った画像処理プログラムは、前記基準位置の入力を受付けるステップでは、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、当該ページデータが用紙に出力された際の当該用紙上の長さの単位での入力を受付けることが好ましい。
【0016】
本発明に従った記録媒体は、コンピュータによって読取り可能であって、上記した画像処理プログラムのいずれかを記録していることを特徴とする。
【0017】
本発明に従った画像処理装置は、所定の記憶装置に記憶された電子ファイルデータに含まれる複数のページデータに対して一括して編集処理を実行する画像処理装置であって、各ページデータに対する基準位置を記憶する基準位置記憶部と、前記基準位置に対して、各ページデータにおける処理の対象となる領域である対象領域を特定する情報である特定用情報を記憶する特定用情報記憶部と、ページデータごとに、前記基準位置と前記特定用情報に基づいて前記対象領域を決定する対象領域決定部と、複数のページデータに対して、前記対象領域決定部によって決定された各ページデータの前記対象領域に対して前記編集処理を実行する編集処理実行部とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に従った画像処理装置では、前記基準位置記憶部は、複数の前記編集処理のそれぞれに対応させて前記基準位置を記憶し、前記対象領域決定部は、前記編集処理実行部の実行する前記編集処理に対応して前記基準位置記憶部に記憶された前記基準位置を利用して、前記対象領域を決定することが好ましい。
【0019】
また、本発明に従った画像処理装置は、前記基準位置の入力を受付ける基準位置入力部と、入力された前記基準位置と前記記憶された基準位置のどちらを利用するかという情報の入力を受付ける利用情報入力部とをさらに含み、前記対象領域決定部は、前記利用情報入力部が入力された前記基準位置を利用する情報の入力を受付けた場合には前記入力された基準位置を取得することが好ましい。
【0020】
また、本発明に従った画像処理装置では、前記基準位置記憶部は、複数の基準位置を記憶し、前記基準位置記憶部に記憶された複数の基準位置から1の基準位置を選択する情報の入力を受付ける選択情報入力部をさらに含み、前記対象領域決定部は、前記選択された基準位置を利用して前記対象領域を決定することが好ましい。
【0021】
また、本発明に従った画像処理装置では、前記基準位置記憶部は、複数の基準位置として、ページの左上端、上中端、右上端、左中端、中央、右中端、左下端、下中端、および、右下端の9点を記憶することが好ましい。
【0022】
また、本発明に従った画像処理装置は、前記基準位置の入力を受付ける基準位置入力部をさらに含み、前記対象領域決定部、前記基準位置入力部で入力を受付けた基準位置を利用して前記対象領域を決定することが好ましい。
【0023】
また、本発明に従った画像処理装置では、前記基準位置入力部は、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、画素数の単位での入力を受付けることが好ましい。
【0024】
また、本発明に従った画像処理装置では、前記基準位置入力部は、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、当該ページデータが用紙に出力された際の当該用紙上の長さの単位での入力を受付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、電子ファイルに対して複数のページデータに渡る一括した編集処理が実行される場合、各ページデータにおいて処理の対象となる領域は、ページデータごとに、基準位置と特定用情報とが利用されて決定される。
【0026】
つまり、各ページデータにおいて処理の対象となる領域は、ページデータごとに、相対的な位置に設定される。
【0027】
これにより、電子ファイルにおいてページデータ間でサイズに差異がある場合でも、各ページデータの相対的に同じ位置に存在する領域を、編集処理の対象とできる。
【0028】
したがって、本発明によれば、電子ファイルに含まれる複数のページに対する一括した編集処理を処理対象となるすべてのページにおいてユーザの所望する位置に実行できるので、利便性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明の画像処理装置の一実施の形態であるパーソナルコンピュータ(PC)を含む画像処理システムについて説明する。図1に、画像処理システムの構成を模式的に示す。
【0030】
図1を参照して、画像処理システムは、MFP(Multi Function Peripherals)100、および、MFP100に接続されたPC200を含む。
【0031】
PC200は、当該PC200内で作成された電子ファイル、または、MFP100におけるスキャン動作によって作成され送信されてきた電子ファイルに対して、ノンブルの付与等の複数ページに対する一括した編集処理(一括編集処理)を実行できる。PC200は、MFP100に、パラレル接続されていてもよいし、ネットワークを介して接続されていても良い。
【0032】
図2は、図1のMFP100のハードウェア構成を示す図である。
図2を参照して、MFP100は、装置全体の制御を行なう制御部101と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)103と、プログラムや定数などを記憶するROM(Read Only Memory)105と、画像データなどを記憶するための記憶部107と、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記録媒体に対して情報の記録および再生を行なうメディアドライブ109と、ユーザからの操作を受付ける操作パネル130と、画像データを読取るためのスキャナ120と、用紙に対して画像データのプリントを行なうプリンタ110と、MFP100内での構成要素同士の通信およびMFP100に対して外部に存在する機器との通信を制御する通信部117とを備えている。
【0033】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、通信部117は、LAN(ローカルエリアネットワーク)カードやモデムカード等によって構成される。
【0034】
操作パネル130は、ユーザに対してMFP100の状態やコマンドの選択肢を表示するための表示画面131と、入力キー132とを備えている。表示画面131と入力キー132は、液晶ディスプレイとその上に載置されるタッチパネルとで構成することも可能である。
【0035】
図3は、図1に示されたPC200のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3を参照して、PC200は、装置全体の制御を行なう制御部201と、ディスプレイ205と、ネットワークへの接続または外部との通信に用いられる通信部207と、キーボードやマウスなどによって構成される入力装置209と、CD−ROM等の記録媒体に対して情報の記録および再生を行なうメディアドライブ213と、PC200における主記憶装置となるハードディスクドライブ215と、RAM217と、ROM219とを備えている。制御部201は、CPUを含む。また、通信部207は、LAN(ローカルエリアネットワーク)カードやモデムカード等によって構成される。
【0036】
図4は、PC200のシステム構成を模式的に示す図である。なお、図4は、PC200における上記したファイルの編集処理に関与する部分のシステム構成を示している。
【0037】
図4を参照して、PC200では、アプリケーションが実行されると、電子ファイルデータ作成部11によって電子ファイルのデータが作成される。電子ファイルデータ作成部11には、電子ファイルデータ50を作成するためのアプリケーションを実行する制御部201が含まれる。
【0038】
そして、PC200では、作成された電子ファイルは、電子ファイルデータ格納部12によって、HDD215(または、RAM217)内の電子ファイルデータ格納領域17に格納される。電子ファイルデータ格納部12には、PC200内でデータを処理する制御部201が含まれる。
【0039】
なお、電子ファイルデータ格納部12は、MFP100等の、PC200の外部において作成され入力される電子ファイルデータ50も、電子ファイルデータ格納領域17に格納される。このことから、電子ファイルデータ格納部12には、通信部117も含まれる。
【0040】
電子ファイルデータ格納領域17に格納される電子ファイルは、たとえば、ワープロ(ワードプロセッサ)ソフトに対応するファイルデータやPDF(Portable Document Format)等の、複数のページから構成される電子ファイルを含む。
【0041】
また、PC200では、電子ファイルデータ内容編集部13によって、電子ファイルデータ格納領域17に格納された電子ファイルの編集が行なわれる。
【0042】
また、PC200では、電子ファイルデータ一括編集部14によって、電子ファイルデータ格納領域17に格納された電子ファイルに対して、複数のページに対する或る編集動作が一括して実行される。以下、本明細書では、このような態様で実行される編集動作を、一括編集と呼ぶ。
【0043】
原稿位置揃え部15は、上記したような一括編集が行なわれる際に、電子ファイル中の一括編集の対象となるページに対して位置揃えを行なう。
【0044】
基準位置データ格納領域16は、PC200内の、HDD215、RAM217、または、ROM219のような記憶装置によって構成される。基準位置データ格納領域16には、上記の一括編集が行なわれる際の基準位置データが格納されている。基準位置データとは、実行される内容に対応した、各ページに対して処理の対象となる位置を決定する際に基準となる部位を示すデータである。図5に、基準位置データ格納領域16において基準位置データが格納されている態様の一例を模式的に示す。
【0045】
図5を参照して、一括編集には、複数のデータ内容編集項目が含まれる。具体的には、各ページにページ番号(ノンブル)を付するページ番号作成、各ページのページ番号跡と思われる画像データを削除するページ番号跡削除、各ページのステープル針が留められていた穴に基づく画像データを消去するステープル跡削除、各ページのパンチ穴に基づく画像データを消去するパンチ跡削除、各ページにヘッダを付するヘッダ作成、各ページのヘッダに基づく画像データを消去するためのヘッダ跡削除、各ページにフッタを付するフッタ作成、および、各ページのフッタに基づく画像データを消去するためのフッタ跡削除が含まれる。PC200は、一括編集の動作を実行する際には、図5に示したようなデータ内容編集項目の中から、ユーザ等の指定に基づいて、1つずつ、対応する動作を実行する。
【0046】
そして、基準位置データ格納領域16には、各編集項目に関連付けて、各ページに対して編集動作を実行する位置について基準となる各ページの部位(基準位置)を示す情報が格納されている。
【0047】
なお、基準位置データ格納領域16には、編集項目ごとに、編集動作を実行する領域の形状や大きさを特定するための情報(領域特定情報)、および、当該領域の基準位置に対する位置を特定するための情報(相対位置特定情報)が格納されている。つまり、編集項目が特定されると、それに対応した基準位置、領域特定情報、および、相対位置特定情報に基づいて、各ページにおける編集動作の対象となる領域(対象領域)が決定される。
【0048】
たとえば、ページ番号作成、ページ番号跡削除、フッタ作成、および、フッタ作成については、各ページの「下辺中央」が基準位置とされる。基準位置が「下辺中央」であるとは、電子ファイルの各ページにおいて、左右方向の中央であって下端にある点を基準として、対象領域が決定されることを意味する。
【0049】
また、ステープル跡削除およびパンチ跡削除については、各ページの「左上」が基準位置とされる。基準位置が「左上」であるとは、電子ファイルの各ページにおいて、左上端にある点を基準として、対象領域が決定されることを意味する。
【0050】
また、ヘッダ作成およびヘッダ跡削除については、各ページの「上辺中央」が基準位置とされる。基準位置が「上辺中央」であるとは、電子ファイルの各ページにおいて、左右方向の中央であって上端にある点を基準として、対象領域が決定されることを意味する。
【0051】
図6は、本実施の形態のPC200において、図5に示された基準位置を利用されて実行される、一括編集の中のステープル跡削除という編集項目の処理内容を説明するための図である。
【0052】
まず、図6(A)は、一括編集の処理が施される前の電子ファイルデータを模式的に示す図である。電子ファイルデータ50には、複数のページのデータ(ページデータ51〜53)が含まれる。なお、ここで説明する電子ファイルデータ50は、たとえば、スキャナ120で複数枚の原稿をスキャンすることによって作成された電子ファイルデータであるとする。そして、当該電子ファイルデータの各ページデータの左上部には、原稿がステープル針で留められていたことによって発生したと考えられる、右上がりの線状の画像が共通して含まれている。
【0053】
図6(B)は、一括編集の処理内容を模式的に示す図である。
一括編集の処理が実行される際には、各ページについて対象領域が決定され、決定された各ページの対象領域に対して画像データの削除が行なわれる。
【0054】
図5に示されるように、ステープル跡削除では、左上が基準位置とされている。これにより、ステープル跡削除では、原稿位置揃え部15によって、図6(B)に示されるように各ページデータが左上端で位置を揃えられる。
【0055】
なお、ここでは、ステープル跡削除での対象領域の形状は、水平方向に長辺を持つ長方形であるとする。また、水平方向にX軸が設定され、垂直方向にY軸が設定されているものとする。そして、相対位置特定情報として、基準位置を原点とした場合の当該長方形の左上端P1の座標(X1,Y1)が格納され、また、領域特定情報として、当該長方形の右下端P2の座標(X2,Y2)が格納されているとする。
【0056】
これにより、ステープル跡削除では、各ページデータにおいて、対象領域として、座標(X1,Y1)および座標(X2,Y2)を利用することにより長方形500が特定される。
【0057】
そして、電子ファイルデータ50に一括編集処理としてステープル跡削除が行なわれると、各ページデータにおいて上記のような対象領域の画像データが削除されるため、図6(C)に示されるように、ページデータ51〜53において、図6(A)で示されたような左上の線状の画像が削除される。
【0058】
上記のように、本実施の形態では、電子ファイルデータに対して一括編集として種々の編集項目に対応した処理を実行できる。なお、一括編集が実行される場合、図5に示されるように、対象領域を決定する際の各ページデータ上の基準となる部位が、編集項目によって変更できる。
【0059】
これにより、一括編集が実行される場合、各ページデータ上の対象領域が、相対的に決定されることになる。具体的には、対象領域が、各ページデータの下端から或る寸法だけ上方の位置として指定されれば、電子ファイルデータにおいてページデータ間で縦方向の寸法に差があった場合でも、すべてのページデータにおいて相対的に同じ位置を対象領域とすることができる。
【0060】
以上説明した本実施の形態では、一括編集が実行される場合、その具体的な処理内容(データ内容編集項目)が決定されると、図5に示された関係に基づいて基準位置が決定され、当該基準位置に基づいて対象領域が決定されることを説明した。なお、基準位置は、図5に示されたもの以外にも、ユーザによって指定された位置を採用することもできる。
【0061】
ここで、PC200において電子ファイルデータに対して一括編集が実行される際に、制御部201が実行する処理(一括編集処理)の内容を説明する。
【0062】
図7は、一括編集処理のフローチャートである。なお、この処理は、一括編集の対象となる電子ファイルデータを指定する情報、一括編集として実行する具体的な処理内容を指定する情報を入力されたことを条件として開始される。また、以降の説明では、指定された電子ファイルデータを「対象ファイル」と呼び、指定された具体的な処理内容を「対象編集項目」と呼ぶ。
【0063】
一括編集処理では、制御部201は、まずステップS10で、ユーザからの、基準位置を、手動で設定するかまたは一括編集の処理内容に対応して予め定められた位置(図5参照)とするかを選択する情報の入力を受付ける。そして、そして、受付けた情報が、手動で設定するものであると判断するとステップS60へ、予め定められた位置とするものであると判断するとステップS20へ、それぞれ処理を進める。
【0064】
ステップS20では、制御部201は、基準位置データ格納領域16に格納された基準位置データの中に、上記した対象編集項目に対応する基準位置が格納されているか否かを判断する。そして、制御部201は、格納されていると判断すると、ステップS40に処理を進め、格納されていないと判断するとステップS30に処理を進める。
【0065】
ステップS30では、制御部201は、ディスプレイ205に、ユーザに対して基準位置の設定を促すメッセージを表示させて、ステップS60に処理を進める。
【0066】
ステップS40では、制御部201は、基準位置データから対象編集項目に対応する基準位置を取得して、ステップS50に処理を進める。
【0067】
ステップS50では、制御部201は、ステップS40で取得した基準位置を利用して上記した対象ファイルに対する一括編集を行ない、処理を終了させる。なお、ステップS50での一括編集としては、具体的には、対象ファイルに含まれる各ページデータに対してステップS40で取得した基準位置に基づいて対象領域が決定され、そして、決定された対象領域に対して対象項目に対応する処理が実行される。
【0068】
ステップS60では、制御部201は、ユーザから、基準位置の設定態様をさらに選択する情報の入力を受付ける。具体的には、基準位置の設定に際して、予め定められた複数の位置から選択することによって設定(簡易位置設定)するか、または、位置を直接指定することによって設定(詳細位置設定)するかを選択する情報の入力を受付ける。そして、簡易位置設定を選択する情報が入力されたと判断するとステップS70へ、詳細位置設定を選択する情報が入力されたと判断するとステップS90へ、それぞれ処理を進める。
【0069】
ステップS70では、制御部201は、ユーザに対し、ページデータの基準位置についての9点の候補として提示し、ユーザからそのいずれかを選択する情報の入力を受付ける。ここで、9点とは、ページの左上端(ページの左端であって上端の点)、上中端(ページの左右方向の中心であって上端の点)、右上端(ページの右端であって上端の点)、左中端(ページの左端であって上下方向の中心の点)、中央(ページの左右方向および上下方向の中心の点)、右中端(ページの右端であって上下方向の中心の点)、左下端(ページの左端であって下端の点)、下中端(ページの左右方向の中心であって下端の点)、および、右下端(ページの右端であって下端の点)である。
【0070】
そして、ステップS70で基準位置を指定する情報の入力を受付けると、制御部201は、ステップS80で、指定された基準位置に基づいて対象領域を決定し、対象編集項目に対応する処理を実行して、処理を終了させる。
【0071】
一方、ステップS90では、制御部201は、ユーザから、基準位置の入力を受付ける。処理位置の入力は、たとえば、ディスプレイ205に図8に示すような外枠600が表示され、当該外枠600に対してマウス等のポインティングデバイスで基準位置に対応する位置を指定することによって行なわれる。なお、外枠600は、対象ファイルの1ページ目のデータに対応する原稿の形状と同じ形状(縦横比等)を有することが好ましい。
【0072】
また、基準位置の入力は、各ページデータの所定の点(たとえば、左上端の点)からの水平方向(左右方向)および垂直方向(上下方向)の距離を入力することによって行なわれても良い。このような場合、距離は、dpi(dot per inch)等の画素数の単位で入力されても良いし、センチメートル等の実際に当該データが用紙上に出力された際の長さの単位で入力されても良い。
【0073】
そして、ステップS90で、基準位置の入力を受付けると、制御部201は、ステップS100で、入力された基準位置に基づいて対象領域を決定し、対象編集項目に対応する処理を実行して、処理を終了させる。
【0074】
以上説明した本実施の形態では、対象ファイルに対して対象編集項目に対応した一括編集が行なわれる場合、対象領域を決定する際の基準となる位置が、ページデータごとに相対的に指定される。これにより、対象ファイルに含まれる複数のページデータの中でページのサイズが異なっても、相対的に同じ位置に、対象編集項目に対応した一括編集を行なえる。
【0075】
なお、図5に示した基準位置データでは、各編集項目に1つの基準位置しか対応していなかったが、編集項目によっては複数の基準位置を対応させ、その中からユーザが選択できるようにしても良い。
【0076】
図9に、図5に示された基準位置データの変形例として、一部の編集項目に複数の基準位置が対応して記憶されている基準位置データの例を示す。
【0077】
図9に示された基準位置データでは、各データ内容編集項目に対して第1基準位置〜第3基準位置の3種類の基準位置が設定可能とされている。なお、図9中で、第2基準位置以降の欄に「NONE」と記載されているのは、対応する内容が格納されていないことを意味している。
【0078】
図9に示された基準位置データでは、たとえばデータ内容編集項目が「ページ番号作成」である場合、第1基準位置として「下辺中央」、第2基準位置として「左下」、第3基準位置として「右下」が格納されている。
【0079】
基準位置が「左下」であるとは、電子ファイルデータの各ページデータにおいて、左下端を基準として対象領域が決定されることを意味する。また、基準位置が「右下」であるとは、電子ファイルデータの各ページデータにおいて、右下端を基準として対象領域が決定されることを意味する。
【0080】
図5に示された基準位置データの代わりに図9に示された基準位置データが利用されて一括編集処理が実行される場合であって、対象編集項目に対応して複数の基準位置が格納されている場合には、制御部201は、たとえば、それらの位置を対象の電子ファイルデータの1ページ目の外形とともにディスプレイ205に表示させてユーザに選択させ、選択された1つの基準位置を一括編集に利用する。
【0081】
以上説明した本実施の形態では、上記した領域特定情報と相対位置特定情報によって、本発明における、基準位置に対して対象領域を特定する情報である特定用情報が構成されている。なお、特定用情報は、対象領域が、基準位置に対してどのような位置に存在しどのような形状でどのような大きさであるかを特定できる情報を含めば良く、必ずしも、上記したような領域特定情報と相対位置特定情報とによって構成される必要はない。
【0082】
なお、以上説明した本実施の形態では、制御部201は、ROM219またはHDD215に記憶されたプログラムを実行することによって、上記したような一括編集処理を行なうが、本発明に対応するプログラムの記憶場所はこれに限定されない。このようなプログラムは、CD−ROM等の、PC200に対して着脱可能な記録媒体に記憶されていても良い。このような場合、制御部201は、メディアドライブ213を介して当該記録媒体からプログラムを読み出し、一括編集処理を実行する。
【0083】
また、以上説明した本実施の形態では、一括編集処理を行なう画像処理装置の一例としてPCを挙げたが、本発明の画像処理装置はこれに限定されない。たとえば、画像処理装置は、MFP100によって構成されても良い。この場合、MFP100の構成要素によって図4に示したようなシステムが構成され、また、MFP100に備えられた制御部101によって、図7を用いて説明した一括編集処理が実行される。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施の形態である画像処理装置の一例を含む画像処理システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】図1のMFPのハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1のPCのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】図1のPCのシステム構成を示す図である。
【図5】図4の基準位置データ格納領域において基準位置データが格納されている態様の一例を模式的に示す図である。
【図6】図1のPCにおいて、図5に示された基準位置を利用されて実行される、一括編集の中のステープル跡削除という編集項目の処理内容を説明するための図である。
【図7】図1のPCの制御部が実行する一括編集処理のフローチャートである。
【図8】図7の一括編集処理において、基準位置の入力のために図3のディスプレイに表示される内容の一例を示す図である。
【図9】図5に示した基準位置データの変形例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0086】
11 電子ファイルデータ作成部、12 電子ファイルデータ格納部、13 電子ファイルデータ内容編集部、14 電子ファイルデータ一括編集部、15 原稿位置揃え部、16 基準位置データ格納領域、17 電子ファイルデータ格納領域、50 電子ファイルデータ、100 MFP、101,201 制御部、103,217 RAM、105,219 ROM、107 記憶部、109,213 メディアドライブ、110 プリンタ、117,207 通信部、120 スキャナ、130 操作パネル、131 表示画面、132 入力画面、200 PC、205 ディスプレイ、209 入力装置、215 HDD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記憶装置に記憶された電子ファイルデータに含まれる複数のページデータに対して一括して編集処理を実行するための画像処理プログラムであって、コンピュータに、
各ページデータにおける基準位置を取得するステップと、
前記基準位置に対して、各ページデータにおける処理の対象となる領域である対象領域を特定する情報である特定用情報を取得するステップと、
ページデータごとに、前記基準位置と前記特定用情報に基づいて前記対象領域を決定するステップと、
複数のページデータに対して、各ページデータの前記決定された対象領域に対して前記編集処理を実行するステップとを実行させる、画像処理プログラム。
【請求項2】
コンピュータに、複数の前記編集処理のそれぞれに対応させて前記基準位置を記憶するステップをさらに実行させ、
前記基準位置を取得するステップでは、実行する前記編集処理に対応した前記基準位置を取得する、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
コンピュータに、
前記基準位置の入力を受付けるステップと、
前記入力された基準位置と前記記憶された基準位置のどちらを利用するかという情報の入力を受付けるステップとをさらに実行させ、
前記基準位置を取得するステップでは、前記入力された基準位置を利用する情報の入力を受付けた場合には前記入力された基準位置を取得する、請求項2に記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記基準位置を記憶するステップでは、複数の基準位置を記憶し、
コンピュータに、前記記憶された複数の基準位置から1の基準位置を選択する情報の入力を受付けるステップをさらに実行させ、
前記基準位置を取得するステップでは、前記選択された基準位置を取得する、請求項2に記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
前記基準位置を記憶するステップでは、複数の基準位置として、ページの左上端、上中端、右上端、左中端、中央、右中端、左下端、下中端、および、右下端の9点を記憶する、請求項4に記載の画像処理プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、前記基準位置の入力を受付けるステップをさらに実行させ、
前記基準位置を取得するステップでは、前記入力された基準位置を取得する、請求項1に記載の画像処理プログラム。
【請求項7】
前記基準位置の入力を受付けるステップでは、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、画素数の単位での入力を受付ける、請求項6に記載の画像処理プログラム。
【請求項8】
前記基準位置の入力を受付けるステップでは、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、当該ページデータが用紙に出力された際の当該用紙上の長さの単位での入力を受付ける、請求項6に記載の画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれかに記載の画像処理プログラムを記録した、コンピュータが読取り可能な記録媒体。
【請求項10】
所定の記憶装置に記憶された電子ファイルデータに含まれる複数のページデータに対して一括して編集処理を実行する画像処理装置であって、
各ページデータに対する基準位置を記憶する基準位置記憶部と、
前記基準位置に対して、各ページデータにおける処理の対象となる領域である対象領域を特定する情報である特定用情報を記憶する特定用情報記憶部と、
ページデータごとに、前記基準位置と前記特定用情報に基づいて前記対象領域を決定する対象領域決定部と、
複数のページデータに対して、前記対象領域決定部によって決定された各ページデータの前記対象領域に対して前記編集処理を実行する編集処理実行部とを含む、画像処理装置。
【請求項11】
前記基準位置記憶部は、複数の前記編集処理のそれぞれに対応させて前記基準位置を記憶し、
前記対象領域決定部は、前記編集処理実行部の実行する前記編集処理に対応して前記基準位置記憶部に記憶された前記基準位置を利用して、前記対象領域を決定する、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記基準位置の入力を受付ける基準位置入力部と、
入力された前記基準位置と前記記憶された基準位置のどちらを利用するかという情報の入力を受付ける利用情報入力部とをさらに含み、
前記対象領域決定部は、前記利用情報入力部が入力された前記基準位置を利用する情報の入力を受付けた場合には前記入力された基準位置を取得する、請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記基準位置記憶部は、複数の基準位置を記憶し、
前記基準位置記憶部に記憶された複数の基準位置から1の基準位置を選択する情報の入力を受付ける選択情報入力部をさらに含み、
前記対象領域決定部は、前記選択された基準位置を利用して前記対象領域を決定する、請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記基準位置記憶部は、複数の基準位置として、ページの左上端、上中端、右上端、左中端、中央、右中端、左下端、下中端、および、右下端の9点を記憶する、請求項13に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記基準位置の入力を受付ける基準位置入力部をさらに含み、
前記対象領域決定部、前記基準位置入力部で入力を受付けた基準位置を利用して前記対象領域を決定する、請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記基準位置入力部は、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、画素数の単位での入力を受付ける、請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記基準位置入力部は、ページデータ上の所定の点からの位置を特定する情報の、当該ページデータが用紙に出力された際の当該用紙上の長さの単位での入力を受付ける、請求項15に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−313443(P2006−313443A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−135557(P2005−135557)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】