画像処理方法
撮像される身体部分を表す複数の各画像素子の解剖学的接続程度を示すデータを発生するための方法である。この方法は、複数の各画像素子に対して、その画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生し、前記複数の各画像素子に対して、その画像素子の接続程度を示すデータを発生するステップを含んでおり、前記接続程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法に関し、特に複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成する方法に関し、各データ素子は撮像される身体部分を表している。本発明は特にそれだけに限定はされないが人間の神経系の撮像および人間以外の動物の神経系の撮像において応用される。
【背景技術】
【0002】
広範囲の撮像技術が技術で知られている。1つのこのような技術は核磁気共鳴に基づき、身体中の複数の各体積要素の水内容に基づいて身体(例えば人間の身体)の画像を生成する磁気共鳴映像である。
【0003】
核磁気共鳴(NMR)は分数スピン量子数を有する原子核に作用し、それらを分極する磁界の供給を含んでいる。測定期間中、所定の共鳴エネルギの無線周波数パルスが供給され、これは核スピンをフリップし方位分布を妨害する。核はその後時間依存指数関数にしたがって初期状態に戻り(リラックスし)それによって記憶可能なデータへ電子的に処理されることができる信号を与える。信号が空間的に微分され、十分なレベルであるとき、データはスクリーン上で表示するのに適した画像を生成するために使用されることができる。例えば有機組織内の水分子の陽子により発生される信号の計算は磁気共鳴映像(MRI)を構成することを可能にし、生体中の内部器官の直接的な視覚化を可能にする。NMRはそれ故、診断、医学治療、手術において強力なツールである。
【0004】
磁気共鳴映像は身体中の水分子の受動自己拡散の程度と方位を測定するために使用されることもできる。一般用語では(即ちそれらの純粋な液体状態で物的障壁により妨害されていないとき)水分子は全ての方向で同等に拡散される(ブラウン運動としても知られているプロセス)。しかしながら細胞膜のようなコヒーレントに配置された微細構造素子が存在する人間の身体内では、拡散の好ましい方位が存在する傾向がある。このような拡散の好ましい方位は磁気共鳴映像技術を使用して検出されることができる。各画像ボクセルで観察される拡散の好ましい方位が(撮像空間分解能に関して)長距離の構造エレメント(以下「生物学的経路」)の結果である器官では、これらの生物学的経路を表す画像を生成することが可能である。身体中の水の自己拡散を検出するために使用されるMRI方法の通常のクラスは拡散加重撮像(DWI)として知られている。拡散テンソル撮像、拡散スペクトル撮像、qスペース撮像のように、この技術のいくつかの変形が知られている。
【0005】
生物学的経路を表す画像を生成することを意図する撮像技術は脳の撮像で特別な応用能力を有する。ここでは生物学的経路は脳領域または中央神経系の他の領域を相互接続する構造である。顕微鏡の大きさでは、これらは神経組織に関連される軸索である。軸索はこのような技術で通常利用される巨視的な拡散信号を与えるために軸索束を形成するため共に(特に限定ではないが白質で)グループ化される。(「繊維束」と呼ばれることができる)脳内の白質中に集中する傾向のある高い微細方位コヒーレンスの領域の画像を生成することが可能である。このような白質は脳内の灰質の種々の領域を共に接続する繊維束を有している。灰質は脳の処理要素を作っている。
【0006】
DWIが提供する繊維束方位に関する方位情報は「トラクトグラフィ」または「繊維追跡」として知られているプロセスによる非侵襲的に解剖学的接続性を解析するために利用されることができる。脳領域間の接続を推論するための多くの方法が開発されている。これらの方法は2つの広いグループ「決定論的」方法と「確率的」方法に入る。確率的方法はそれによって脳その他の内部の任意の画像ボクセル間の解剖学的接続がDWIデータから設定されることができる自信度を評価できる一般的な利点を有する。
【0007】
生物学的経路を表す画像の生成に使用される多くの技術は複数の経路が画像内の幾つかの点において相互に横切る画像を正確に生成することが難しい。これは脳の撮像でしばしば生じる。このような場合、このような技術は各経路を適切に示す画像を正確に発生しない。このような技術の1例はPierpaoli, C. とP. J. Basserの"“Toward a quantitative assessment of diffusion anisotropy”、Magnetic Resonance in Medicine 36、893-906頁に記載されている分別異方性技術である。
【0008】
1つの撮像技術はParker, G.J.MとAlexander, D. Cの“"Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Phil. Trans. R. Soc. B (2005) 360、893-902頁に記載されている。ここで特定の開始点と身体内の他の点との間の接続性を示す画像が発生され表示される。記載されている技術は磁気共鳴映像に基づいている。
【発明の概要】
【0009】
多くの決定論的及び確率的トラクトグラフィ技術が有効であるが、関係する開始点を正確に突き止めるか配置させる一般的要求が存在する。これはいずれの脳領域が関係しているかが知られていないならば、例えば関係する脳の接続が存在する箇所が知られていないならば、非常に難しい。本発明の実施形態の1目的は先に概説した問題のうち少なくとも幾つかを防止するか緩和することである。
【0010】
本発明によれば、各複数の画像素子の解剖学的接続程度を示すデータを生成するための方法及び装置が提供される。各画像素子は撮像される身体の一部を表している。方法は各複数の画像素子に対して、その画像素子と他の前記複数の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生するステップを含んでいる。前記複数の各画像素子では、その画像素子の接続程度を示すデータが発生される。接続程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている。
【0011】
複数の各画像素子と他の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生し、その発生されたデータセットに基づいて全ての画像素子を処理することによって、身体内の特定の点の全体的な接続程度を示すデータが生成されることができる。それ故、本発明の実施形態により与えられる方法は、撮像される身体内の特定の点の全体的な接続性が撮像される身体内の他の点の全体的な接続性に対して比較されることを可能にする。
【0012】
撮像される身体内の各点はボクセルにより表されることができる。即ち画像素子はボクセルであることができる。
【0013】
脳の特別な例では、本発明の実施形態は各脳のボクセルからあらゆる他の脳のボクセルまでの解剖学的接続程度が表されることを可能にし、脳実質の各位置の解剖学的接続程度のマップを形成する。与えられた方法は他のボクセルに関する特定のボクセルの接続性を示す情報が発生されることを可能にする。
【0014】
各データセットは前記画像素子の1つと複数の他の画像素子との間の線形接続を表すことができる。
【0015】
この方法はさらに各前記複数の画像素子について、複数のデータセットの生成を含むことができる。前記複数の各データセットはその画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットであることができる。
【0016】
各画像素子はその画像素子の複数の可能な接続を示す関連されるデータを有することができ、前記複数のデータセットは前記データに基づくことができる。関連されるデータは前記可能な接続の確率を示す確率密度関数であることができる。即ち、特定の画像素子では、関連されるデータは特定の画像素子が接続されることができる複数の各画像素子の確率を示すことができる。
【0017】
画像素子の接続程度を示すデータの発生は前記画像素子が含まれるデータセットの数を決定することを含むことができる。方法はさらに接続程度を示す前記データに基づいて画像データを発生することを含むことができる。各画像素子は接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされることができる。各画像素子は他の画像素子に関する接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされることができる。
【0018】
画像素子は磁気共鳴映像技術から得られるデータを使用して規定されることができる。各画像素子はその画像素子により表される点で前記身体内の拡散の方位を示すデータを使用して規定されることができる。
【0019】
方法はさらに拡散の前記方位を示すデータに基づいて各前記画像素子に対する前記確率密度関数を導出することを含んでいる。
【0020】
身体は人間又は動物の身体であるか人間又は動物の身体の一部であってもよい。例えば身体は人間又は動物の脳であるか人間又は動物の脳の一部であってもよい。
【0021】
方法はさらに前記身体の特徴を示すデータを発生するために前記画像データと基準データとの比較を含むことができる。基準データは前記身体の臨床的な正常な状態を示すことができ、比較は前記身体が正常であるかまたは病気状態であるかを示すデータを生成することができる。このようにして前述の方法を使用して生成されたデータは複数の異なる身体の間、例えば複数の異なる患者間の接続性の差を検出するために使用されることができる。
【0022】
方法はさらに前記画像データを初期時間で前記身体から生成されたさらに別のデータと比較することを含むことができる。即ち、第1の画像データは第1の時間に身体から生成されることができ、第2の画像データは第2の時間に同じ身体から生成されることができる。第1および第2の画像データは身体状態の変化を示すデータを生成するために比較されることができる。このようなデータは前記身体の発達または衰退を示すことができる。
【0023】
本発明はさらに撮像される身体部分を表す画像の画像素子について複数の各方向において拡散の可能性を示すデータを生成するための方法及び装置を提供する。その方法は前記画像データからの前記複数の各拡散方向の複数の評価を発生し、前記複数の評価に基づいて前記複数の各方向における拡散の可能性を示す前記データを発生することを含んでいる。
【0024】
方法はさらに変換された画像データを生成するためにファンク−ラドン変換の適用による前記画像データの処理を含んでいる。前記複数の各拡散方向の複数の評価は前記変換された画像データから生成されることができる。
【0025】
前記複数の各拡散方向についての前記複数の評価の1つの発生は、複数の各点における方位分布関数のサンプリングを含むことができる。前記複数の各点は球体の表面上に位置されることができる。
【0026】
前記複数の各方向についての前記複数の評価の幾つかは複数の点を有するセットを発生し、差データを生成するためにさらに別の点のセットを参照にして前記点のセットを処理し、前記差データに基づいて新しい点のセットを発生することにより決定されることができる。
【0027】
本発明の全ての特徴は方法及び装置により実行されることができる。このような装置は適切にプログラムされたコンピュータと特注のハードウェアを含むことができる。本発明の特徴は有形又は無形の両キャリア媒体で実施されることのできる適切なコンピュータプログラムにより実行されることができる。
【0028】
本発明の実施形態を添付図面を参照して例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の1実施形態の構成に使用される装置の概略図である。
【図2】高レベルで本発明の1実施形態で実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】ボクセルのサブセットの概略図である。
【図4】図3のボクセル間の接続を表すストリームラインが生成される態様を示すフローチャートである。
【図5A】ボクセルの確率密度関数を生成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図5B】ボクセルの確率密度関数を生成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図6A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図6B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図6C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図7A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図7B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図7C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図8A】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図8B】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図8C】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図9A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9D】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9E】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9F】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図10A】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【図10B】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【図10C】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に図1を参照すると、撮像装置1は画像データ2を出力する。画像データ2はPC3へ入力され、ここで表示装置4で表示される前にさらに処理される。PC3は以下さらに詳細に説明され、表示装置4で表示されることができる特定の目的に適した画像データの生成を可能にすることを意図される種々の処理を行うように構成される。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態では、人間又は動物の脳の画像を表す画像データが処理される。このような実施形態では、撮像装置は技術で知られているように磁気共鳴映像装置の形態を取ることができる。一般的に、このような撮像装置は撮像される身体の水分内容に基づいた画像データを生成する。拡散加重撮像DWIとして知られているMRI方法のクラスを使用して、身体の特定点における水の拡散の方向を示すデータが生成されることができる。例えば一般的に水は可能な方向でそれぞれ均等に拡散するが、人間の脳内のような生物学的文脈では、拡散は異方性であり、即ち各可能な方向で均等ではない。このような異方性拡散は例えば撮像される身体内で整列された微細構造エレメントにより生じることができる。このような場合、磁気共鳴撮像技術は撮像ボクセル内の拡散のトーンまたはより優勢な方位、又は撮像ボクセル内の拡散方位の拡散を決定することができ、それによって撮像される身体内の微細構造エレメントに関する有用な情報を決定できる。
【0032】
撮像装置1により発生される磁気共鳴映像データはPC3へ入力され、ここで撮像される身体の特性に関する有用な情報を生成するように処理される。この処理は図2で高いレベルで示されている、一般的に、処理はボクセルまたは脳の領域間の解剖学的相互接続の程度を規定することを意図されている。通常、相互接続の高いレベルは脳の灰質よりも脳の白質中で予測される。白質は根本的に通信を可能にするために共に(灰質内の)処理中心を接続する脳部分である。
【0033】
図2を参照すると、ステップS1で磁気共鳴画像データが発生されることが分かる。このようなデータは複数のボクセルにより規定される3次元画像データを提供する。ボクセルは体積要素であり、これは2次元撮像中の画素の機能と類似の3次元画像中の画素の機能を有する。
【0034】
ステップS1で発生されたデータの各ボクセルは順次処理される。ステップS2で、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われる。ステップS2のチェックが満足されたならば、処理はステップS3に移り、ここで処理のためのボクセルが選択される。ステップS4で、ステップS3で得られたボクセルが脳内の脳脊髄流体(CSF)の部分を表しているか否かを決定するチェックが行われる。この処理はしきい値化動作により実行されることができ、この動作では(撮像方法にしたがって)しきい値より上または下の値を有するボクセルが脳脊髄流体の部分を表すことが決定される。脳脊髄流体の部分を表すことが決定されたボクセルはそれ以上処理されず、それ故処理はステップS2へ戻り、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われる。
【0035】
ステップS4でボクセルが脳脊髄流体の部分を表さないことが決定された場合、処理はステップS5へ続く。ここで複数のストリームラインが発生され、現在処理されるボクセルとステップS1で発生された画像データ内の他のボクセルとの間の接続を表す。ストリームラインの生成を以下さらに詳細に説明する。しかしながら、各ストリームラインは本質的に現在処理されるボクセルと複数の他のボクセルとの間の線形の経路を表していることに注意すべきである。
【0036】
ステップS5で複数のストリームラインが発生されると、処理はステップS2に戻り、前述の方法で継続する。ステップS2乃至S5の反復が脳脊髄流体の部分を表していないと(ステップS4で)決定されるステップS1で発生された画像データの各ボクセルについて複数のストリームラインを発生することが認識されよう。
【0037】
ステップS2のチェックが処理されるボクセルがさらに残っていないことを示すとき、処理はステップS2からステップS6へ移る。ステップS6で、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われるステップS7へ処理が移る前に、ボクセルカウンタでリセット動作が行われる。処理されるボクセルがさらに残っているならば、処理はステップS8へ継続し、処理のためにボクセルが選択される。ステップS9でステップS8で選択されたボクセルを通過する発生されたストリームラインの数を決定するためのチェックが行われる。処理されているボクセルの値はその後ステップS10で発生される。処理されているボクセルの値の計算は式(1)にしたがって行われることができる。
ボクセル値=N/M (1)
ここで、Nは各ボクセルから発生されてボクセルを通過するストリームラインの総数であり、Mは発生されたストリームラインの総数である。
【0038】
式(1)によりボクセル値を発生することによって、多数のストリームラインが通過するボクセルは少数のストリームラインが通過するボクセルよりも高い値を有することが認められる。それ故式1を使用して、ボクセル強度(即ちボクセル値)が特定のボクセルを通過するストリームラインの数を示している画像を生成することが可能である。即ち、ボクセル強度がボクセルの全体的な接続性を示している画像が発生されることができる。
【0039】
処理はステップS10からステップS7へ移り、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するためのチェックが行われる。残っているならば、処理はステップS8で継続する。残っていないならば、処理はステップS11で終了する。
【0040】
別の実施形態では、図2のステップS6乃至S10を参照にして説明したように処理を適用する代わりに、現在考慮されているボクセルを通過するストリームラインの数は、各ボクセルが前述のステップS2乃至S5の処理期間中にストリームラインにより交差される回数のラニングカウントを維持することによって決定されることができる。
【0041】
図2のステップS5を再度戻って参照すると、各ボクセルについて複数のストリームラインが発生されることが分かる。この処理を図3と4を参照してさらに詳細に説明すると、図3は比較的少数の隣接ボクセルの概略図であり、図4は図2のステップS5で実行される処理のフローチャートである。
【0042】
図3を参照すると、複数のボクセルにより規定されている立方形が示されている。脳骨髄流体を表さない各ボクセルでは、複数のストリームラインが発生される。図3の立方形中の各ボクセルは関連される確率密度関数(PDF)を有する。特定のボクセルの確率密度関数はボクセルにより表される身体の部分の種々の方位における拡散の確率を表している。確率密度関数は以下さらに詳細に説明される方法を使用して発生される。
【0043】
脳骨髄流体を表さない各ボクセルからスタートして発生されるストリームライン数は画像データが発生される応用の要求によって決定されることができる。概して、多数のストリームラインがさらに高い計算コストでさらに高い品質のデータを提供することが認識されよう。1構造では、10のストリームラインが各ボクセルで発生される。
【0044】
図4を参照すると、ストリームラインを発生するために行われる処理が示されている。ステップS12で、処理されるボクセルが選択され、選択されたボクセルを示すデータがステップS13で記憶される。選択されたボクセルの確率密度関数は選択されたボクセルの拡散方向の指示を提供するためにモンテ−カルロ技術を使用してステップS14でサンプルされる。この方向は処理されるボクセルの体積における次の点を決定する。即ち図3を参照して、ボクセル10の確率密度関数のサンプリングは矢印11により示されているようにベクトル(1,0,0)により表される方向データを発生することができる。この場合にボクセル12がステップS15で処理のために選択される。
【0045】
特定のボクセルで選択されたベクトルの長さは任意の便利な方法で選択されることができる。通常、小さいベクトルの長さ(又は「ステップサイズ」)はより正確な撮像を可能にする。ベクトルの長さが1つのボクセルの中心から近傍への正確なステップを表さないとき、空間データ補間技術が使用されることができる。任意の適切な補間技術が適当に使用されることができる。本発明の現在の好ましい実施形態では、3線補間技術が使用される。このような技術はParker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁に記載されており、この内容はここで参考文献とされている。
【0046】
別の実施形態では、他の補間技術が使用される。このような方法はMori, S.とB. J. Crain等の“Three-dimensional tracking of axonal projections in the brain by magnetic resonance imaging.”、Annals of Neurology 45, 265-269頁で記載されているような「最も近い近傍」補間と、Behrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion- weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁に記載されている近傍PDFの3線強調サンプリングと、Basser, P. J.とS. Pajevic等の“In vivo fiber tractography using DT-MRI data”、Magnetic Resonance in Medicine 44、625-632頁に記載されているルンゲ−クッタ積分を含んでいる。
【0047】
本発明の現在好ましい実施形態では、各ストリームラインは脳脊髄流体を表すボクセルに遭遇する時に終了される。脳脊髄流体を表すボクセルは前述の方法で検出されることができる。ストリームライン終了の他の可能性は湾曲がユーザの規定しきい値を超えるときのストリームラインの終了、ストリームラインにより交差されるボクセル内の拡散異方性がユーザの規定しきい値よりも下回るときのストリームラインの終了、ストリームラインが予め定められた最長を超えるときのストリームラインの終了を含んでいる。
【0048】
ステップS16で、処理されたストリームラインが選択された終了規準を侵害しているか否かを決定するチェックが行われる。侵害していないならば、処理はステップS12へ継続し、ステップS15で決定されたボクセルが処理するように選択される。
【0049】
ステップS16のチェックが現在発生されたストリームラインが選択された終了規準を侵害していないことを決定するならば、処理はステップS17へ継続し、ストリームラインを示すデータが記憶される。処理はステップS17からステップS18へ移り、特定のボクセル(図2のステップS3により決定されたボクセル)から発生するさらに別のストリームラインが発生されるか否かを決定するチェックが行われる。発生するならば、処理はステップS18からステップS19へ進み、ステップS12で前述した方法で処理が継続する前に、図2のステップS3により決定されたボクセルが再度選択される。
【0050】
ステップS18のチェックが特定のボクセルで発生した予め定められた数のストリームラインが発生されていることを決定するとき、処理はステップS18からステップS20へ進み、S20から処理は図2のステップS2へ戻る。
【0051】
先の説明では、各ボクセルで、発生されているストリームラインの方向はモンテ−カルロ技術を使用して確率密度関数のサンプリングにより決定されることを説明した。図4を参照して前述した方法の適用を反復することにより(即ち複数のストリームラインを発生することにより)ストリームラインはボクセルに関連される確率密度関数を顕す接続性を示すことが認識されよう。
【0052】
確率密度関数を使用するストリームラインの発生はParker, G.J.MとAlexander, D.Cの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Phil. Trans. R. Soc. B (2005) 360、893-902頁に記載されており、この内容はここで参考文献とされている。
【0053】
本発明の別の実施形態では、確率密度関数を使用してストリームラインを発生する代わりの方法が使用される。その例はBehrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion-weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁と、Parker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁と、Hosey, T.とG. Williams等の“Inference of multiple fiber orientations in high angular resolution diffusion imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 54、l480-1489頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Philosophical Transactions of the Royal Society Series B 360、893-902頁で見られることができる。これらの好ましい刊行物はここで参考文献とされている。
【0054】
別の方法が本発明の実施形態でストリームラインの発生のために使用されることができる。このような方法の例はBehrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion- weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁と、Parker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁と、Hosey, T.とG. Williams等の“Inference of multiple fiber orientations in high angular resolution diffusion imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 54、l480-1489頁に記載されている。
【0055】
前述の方法は確率トラクトグラフィを行うためのストリームライン方法の使用に限定されない。即ち確率トラクトグラフィ技術は他の方法で適用されることができる。代替は例えばBatchelor, P. G.とD. L. G. Hill等の“Study of connectivity in the brain using the full diffusion tensor from MRI”、Proceedings of Information Processing in Medical Imaging IPMI<1>Ol、Davis, California、Springer- Verlag と、Koch, M.とV. Glauche等の“Estimation of anatomical connectivity from diffusion tensor data”、Neuroimage 13(6): Sl 76-Sl 76とKoch, M. A.とD. G. Norris等の“An investigation of functional and anatomical connectivity using magnetic resonance imaging”、Neuroimage 16、241-250頁に記載されているように粒子拡散又は粒子ジャンプ方法を含んでいる。代わりに、フロント進化方法のタイプがParker, G. J. M.とC. A. M. Wheeler-Kingshott等の“Estimating distributed anatomical brain connectivity using fast marching methods and diffusion tensor imaging”、IEEE Transactions on Medical Imaging 21(5)、505- 512頁とTournier, J.-D.とF. Calamante等の“Diffusion- weighted magnetic resonance imaging fibre tracking using a front evolution algorithm”、Neuroimage 20、276-288頁に記載されている。
【0056】
前述の処理は各ボクセルに関連される確率密度関数に基づいている。各ボクセルに付いての確率密度関数の発生をさらに詳細に説明する。特定のボクセルに付いての確率密度関数を発生するプロセスは図5Aを参照して説明し、その後図5Bを参照してさらに詳細に説明する。好ましい実施形態では、各ボクセルの拡散方位データはTuch, David Sの“Q-BaIl Imaging”、Magnetic Resonance in Medicine (2004) 52、358- 1372頁に記載されているように磁気共鳴データに対してファンク−ラドン変換を適用することにより発生され、この文献の内容はここで参考文献とされている。
【0057】
拡散方位分布関数(ODF)はステップS22で前述したファンク−ラドン変換の適用によってそのボクセルの磁気共鳴データから各ボクセルについて発生される。ODFはボクセルの中心を中心とする単位球面の表面に規定されている。本発明の好ましい実施形態では、ODFのサンプル値は単位球面上に均一に分配された一連の点のそれぞれについて発生される。好ましい実施形態では点の数は642であり、球体の表面上の点の構造は3つに折り畳まれたモザイク状の20面体により与えられる。各サンプル値は単位球面の原点とサンプル値により示される球体の表面上の点を通る路により規定される軸に沿ったボクセルの測定された拡散情報を示している。
【0058】
ステップ23で、サンプルされた値はこれらが雑音を考慮されるか否かを決定するために解析される。好ましい実施形態では、サンプルされた値の平均が計算される。平均よりも低いサンプルされた値は雑音サンプルであると考えられ、平均よりも高いサンプル値はボクセルの拡散方向を表す信号サンプルであると考えられる。
【0059】
ステップS24乃至S28では、サンプルされた値はボクセルが異方性であるか否かを決定するために解析される。好ましい実施形態では、球体上の各中間近傍よりも高い信号値を有する信号サンプルのサブセット(所望ならばこれは随意選択的に大きい局部近傍を規定するように選択的に拡張されることができる)は局所極大であると識別され、線形関数、例えば2Dの2次関数はステップS24で可能な方位拡散極大を発見するために各ボクセルについて単位球面の1半球の信号サンプルのサブセットに適合される。関数はその後、ステップS25で局所極大数を決定するために解析される。ステップS26で局所極大の数が予め規定されたしきい値よりも大きいならば、ボクセルはステップS28で等方性である(即ち特別な拡散方向をもたない)と考えられ、ステップS28aで方位のランダム選択と関連付けられる。好ましい実施形態ではしきい値は3である。
【0060】
ステップS26のチェックに基づいてボクセルが異方性であると考えられるならば、ステップS27でボクセルに付いてのODFの信号値の最大の数及び位置はTuch, D. S.とT. G. Reese等の“High angular resolution diffusion imaging reveals intravoxel white matter fiber heterogeneity”、Magnetic Resonance in Medicine 48、577-582頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexander:の“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁に記載されている標準的なテンソル混合モデルの応用のための拡散テンソル数を決定するために使用される。テンソル混合モデルはその後レベンバーグ−マルカルトのような標準的なモデル適合手順またはシンプレックス極小化を使用してボクセルについての磁気共鳴データに適合される。適合されたテンソル混合モデルは単位球面のODFサンプル値についての評価された値のセットを生成するために使用される。単位球面上の同じ点の各評価された値とサンプルされた値との差はステップS29で残留値として記録される。
【0061】
ステップS30で、複数の新しいデータがODFの評価された値と残留値とに基づいて生成される。第1に、新しいデータセットは各評価された値とランダムに選択された残留値とを共に加算し、その結果を予測された値により表される単位球面上の点の新しいサンプルされた値として使用することによって発生される。複数のデータセットを生成するためにプロセスが反復される。この手順は「モデルベースのブートストラッピング」または「ワイルドブートストラッピング」として知られている統計技術の実行である。
【0062】
ステップS31で、ステップS22乃至S25で前述したようにファンク−ラドン変換を新しいデータセットに適用するプロセスと、その後2Dの2次関数を適合し、局所極大を発見することによって拡散方向の数及び方位についての新しい評価が行われる。全てのデータセットが処理されるとき、結果的な評価はボクセルについての確率密度関数を表す。
【0063】
図5Aを参照して確率密度関数の発生を説明し、プロセスを図5Bを参照してさらに詳細に説明する。処理は単一のボクセルを参照して説明されている。しかしながら類似の処理が各ボクセルで順に実行されることが認識されよう。
【0064】
ステップS32で、ODFが磁気共鳴データから発生される。ステップS33で、発生されたODFは予め定められた数(前述の好ましい実施形態では642)の点でサンプルされる。サンプルされた点の局所極大はステップS34で便宜的な方法で決定される。
【0065】
ステップS35で、決定された極大はサンプルされた点の平均値と比較される。ステップS36で、平均を超える値を有すると決定された極大はこのような各極大とその周囲点に対して2Dの2次関数を適合するように処理される。即ち平均よりも大きい値を有する各極大は2Dの2次関数を有する。
【0066】
ステップS37で、2Dの2次関数を有する極大の数が決定される。この極大数が予め定められた限度よりも大きいならば、ボクセルはステップS38で等方性であると決定され、ランダム方位情報はステップS38aでボクセルに関連付けされる。このボクセルのPDFはランダム方位情報に基づいている。予め定められた限度は便宜的に3であることができる。2Dの2次関数に関連付けられている極大数が予め定められた限度よりも大きくないならば、処理はステップS39へ移り、発生されるテンソル数を示すパラメータnは2Dの2次関数に関連付けられている決定された極大数に等しいように設定される。nテンソルは説明するように、その後、ステップS40とS41で発生される。
【0067】
式(2)がステップS40で形成され、テンソルは磁気共鳴データに基づいて発生される。
【数1】
【0068】
ここで、S(ri)は磁気共鳴データから得られ、勾配サンプリング方向ri={r1i,r2i,r3i}に沿って測定されたスピン−エコー拡散加重信号であり、iは本発明の好ましい実施形態では1から61の値を取り、
b=γ2・δ2・G02・(Δ−(δ/3))
ここで、γは陽子の磁気回転比であり、
G0は適用された拡散増感勾配であり、Δはこれらの勾配間の時間間隔であり、
S0は任意の拡散増感なしに(即ちb=0で)測定された信号であり、
Nは関係するボクセルに存在するように評価されたファイバ方位数であり、即ちモデル化されるテンソル数であり、
fnは次式が成立するように、各拡散テンソルDn乃至S(ri)の分別貢献である。
【数2】
【0069】
各Dnは次式(3)により与えられる。
【数3】
【0070】
Dnは対称的な正定値のテンソルである。
【0071】
式(2)は非線形の式のシステムを生成するため各勾配サンプリング方向(好ましい実施形態では61)で適用される。一般的に、Dnとf(n)のために確保された全てのパラメータが知られ、それによって発生された式は所望のテンソルを生成するためにステップS41で使用されることができる。方向riと予測されるS(ri)の捕捉された拡散加重信号間の自乗された差の和の極小化がDnのテンソル要素を与える。
【0072】
オリジナルのODFがステップS33でサンプルされた各点について、ステップS42で発生されたテンソルDnに基づいて値が発生される。このようにして、発生されたテンソルはODFがステップS33でサンプルされた点の数に等しい点の数を含んでいる点のさらに別のセットを提供する。
【0073】
ステップS43で、ステップS42で発生された点のセットはステップS33でサンプルされた点のセットと共に処理される。これはステップS44のエラー値のセットを発生する。発生されたエラー値はその後ステップS45で点のさらに別のセットを発生するようにステップS42で発生された点のセットに適用される。ステップS46で、ファンク−ラドン変換が発生された点のセットに適用され、ステップS47でそれぞれの2Dの2次関数式が前述したように平均値を超える値を有する全ての極大に対して適合される。
【0074】
ステップS44乃至S47の処理は複数の2次関数式のセットを発生するように複数回反復される。各2Dの2次関数式の最大値は拡散方位の評価を表すようにステップS48で取られる・ステップS49で、発生された2次関数式から確率密度関数を発生するための処理が行われる。
【0075】
前述の処理は良好な結果で画像データを発生するために使用されている。磁気共鳴画像データは高い角度分解能の拡散加重撮像技術を使用して得られた、この撮像はEmbleton K.V.とLambon Ralph M. A.とParker G. J.の“A combined distortion corrected protocol for Diffusion Weighted Tractography and fMRI”、ISMRM、 1070、2006年に記載されている双方向k空間充填歪補正プロトコルを使用し、この内容はここで参考文献とされている。撮像は2.5のSENSE係数を有する8要素のSENSEヘッドコイルを有する3T Philips Achievaスキャナでパルス勾配スピンエコーEPIシーケンスを使用して実行された。位相符号化は左−右方位であった。撮像パラメータを以下示す。
エコー時間 TE 54ms
反復時間 TR 11884ms
勾配 G 62mTm−1
マトリックスサイズ 112×112
再構成された分解能 1.875mm
スライスの厚さ 2.1mm
スライス数 60
拡散感知方向 61
増感 b 1200smm−2
拡散増感勾配期間 δ 13.5ms
拡散増感勾配間隔 Δ 28.5ms
画像は前述したように得られ、各ボクセルについて確率密度関数を発生しその後前述したように複数のストリームラインを発生するように処理された。これらの方法を使用して得られた画像は図6A乃至6Cに示されている。
【0076】
図6A乃至6Cは前述の技術を使用して利用可能な様々の解剖学的接続性情報を示している。高密度ボクセル値はウェルニッケの領域と左ブロケの領域のような言語処理に関与する領域を接続する路15で見られることができる。非常に低い強度ボクセル値は皮質脊髄路(CST)16で見られる。これは言語システム中の広範囲の地域間接続と、運動領から脳幹、脊髄、視床以外の領域までの比較的少数の接続と一致している。
【0077】
図7A乃至7Cは前述の技術を使用して得られた3つのさらに別の画像を示している。図8A乃至8Cは既知の分別異方性技術を使用して生成された画像を示しており、これは一般的に脳中の白質路(即ち接続経路)を識別することが想定されている。分別異方性技術はPierpaoli, C.とP. J. Basserの“Toward a quantitative assessment of diffusion anisotropy”、Magnetic Resonance in Medicine 36、893-906頁に記載されている。高い接続性の領域17は分別異方性技術が使用されないとき示されないが、前述の技術が使用されるときに適切に示されることが分かる。
【0078】
前述の技術は多くの観点で有効である。特に、ストリームラインの生成に使用される確率トラクトグラフィ技術が(脳脊髄流体を表すボクセルのために確保された)各ボクセルから開始されるならば、確率トラクトグラフィ技術が開始されるボクセルの位置を正確に突き止める必要はない。これは他のボクセルに対する特定のボクセルの接続性を決定することを意図し、それ故特定のボクセルの正確な識別を要する幾つかの従来技術よりも際立った利点である。
【0079】
前述の技術により白質を表す領域と灰質を表す領域を含めた全ての脳領域間の接続性が効率的に撮像されることが可能になることに注意すべきである。
【0080】
前述の技術は与えられたボクセル位置へ/又はその位置からの大脳構造の相互接続の程度に関する情報を提供する。前述したように、比較的低い強度値がCSTで見られることができる。これはCSTを表すボクセルが放射冠のコヒーレント構造内の高い接続性を有するが、それらは大部分の他の脳領域に対して低い接続性を有するためである。分別異方性技術はどの程度「良好に接続された」ボクセルであるかについての情報を提供しない。反対に、言語領域を接続する領域で得られる高い分化された強度値は「連結性」の異なる程度の弁別において前述の方法の特異性を示している。
【0081】
前述の技術は種々の文脈で脳の撮像に使用されることができる。典型的に、前述の技術を使用して生成された画像は撮像される脳が任意の異常を示すか否かを決定するように基準画像と比較される。基準画像は複数の主体から取られた測定から生成されることができる。このように、このタイプの比較はここでは主体間比較と呼ばれる。特定の異常を示す画像は付加的にまたは代わりに記憶され、得られた画像と比較される。前述の技術は意味認知症、MS、発作、統合失調症、アルツハイマー病、癲癇、脳領域間の接続程度に影響しうる任意の病変に限定されないがそれらのような病理学の研究に可能性を有する。
【0082】
前述の技術は単一の主体から取られた複数の画像を比較するため(主体内比較)に使用されることができる。例えば複数の画像が時間期間にわたる時間の異なる点で一人の患者から取られたデータから生成されることができる。生成された画像は主体内の接続性の任意の変化を検出するために相互に比較されることができる。例えば変性状態により生じる影響は発育上の問題により生じる影響で可能なように、このようにして検出される。
【0083】
前述のタイプの主体内および主体間の比較は単一の主体及び複数の異なる主体の両者から取られる測定において再現性の程度を必要とすることが認識されよう。画像生成で使用される処理の再現性も必要とされる。テストによって本発明の実施形態がこのような再現性を与えることが示された。
【0084】
単一の主体から取られた測定の異なるセットから生成される画像間の差の程度の調査によって感度、したがって実行される主体グループ間の差の検出に必要とされるグループサイズの理論的計算が可能になる。単一の主体から取られた測定から生成される画像間の差は(スキャナ雑音、主体の動き、主体の位置付けを含めた)測定差、PDF生成の差、ストリームラインおよび純粋な生理的差を含むファクターの組合せによるものである。
【0085】
前述の拡散加重MRI測定から画像生成までのプロセス全体の再現性は複数の主体が受けた反復走査からのデータを使用して評価された。
【0086】
図9A乃至9Fは前述の処理により生成された画像データのボクセルの値を示すヒストグラムである。図9Aと9Dは第1の主体から生成された2データセットのボクセル値を示し、図9Bと9Eは第2の主体から生成された2つのデータセットのボクセル値を示し、図9Cおよび9Fは第3の主体から生成された2つのデータセットのボクセル値を示している。
【0087】
図9A乃至9Fのこれらのヒストグラムは主体内及び主体間の両者で実質的に同一の形状を示している。図9A乃至9Fのヒストグラムの唯一の実質的な差は第3の主体の脳体積が小さいために第1及び第2の主体と比較すると第3の主体に関するヒストグラムではY軸で減少があることである。
【0088】
主体内データ間の差のブランド−アルトマンプロットが図10A乃至10Cに示されており、図10Aは第1の主体に関するデータを示し、図10Bは第2の主体に関するデータを示し、図10Cは第3の主体に関するデータを示している。ブランド−アルトマンプロットの使用はBland, Mの“An Introduction to Medical Statistics”、Oxford University Press、1995、272頁に記載されており、これはここで参考文献とされている。
【0089】
ほぼゼロに集中するブランド−アルトマンプロットは主体内プロット間にはバイアス全体が存在しないことを示している。
【0090】
平均ボクセル値の割合としての主体間差の測定が表1に示されている。
【表1】
【0091】
表1に示されている値は標準的なスペースに登録後の両データセットに共通する全てのボクセルについての個々のボクセルレベルにおける差の平均及び標準偏差(SD)である。分別異方性データについての等価の統計も比較のために与えられている。
【0092】
前述の解析は、ここで説明した技術が主体間及び主体内比較に適している画像データの生成に効率的に使用されることができるという結論に本発明者を導いている。
【0093】
画像データ2が画像装置1により生成され、さらに処理するためにPC3へ送られることを図1を参照して前述した。本発明の別の実施形態では、PC3は前述の処理を実行するように構成される特別の装置によって置換されることができることが認識されよう。代わりに、撮像装置1は前述の処理を実行するためにそれ自体が構成されてもよい。同様に表示スクリーン4は撮像装置1中へ組み込まれることができる。
【0094】
本発明の実施形態を脳の撮像に関して前述した。本発明の実施形態は脳の撮像に限定されず、代わりに広く応用可能であり、複数の異なるオブジェクトの撮像に適応されることができることに注意すべきである。特に生物医学の文脈では、主体の脊髄を含めた中枢神経系の任意の部分の画像を生成するために使用されることができる。主体の心臓の撮像も行われることができる。
【0095】
本発明の好ましい実施形態は前述したようにQボール撮像方法を使用して各ボクセルについての拡散方位データを生成するが、他の方法が本発明の代わりの実施形態で使用される。このような方法はJansons, K. M.とD. C. Alexanderの“Persistent angular structure: new insights from diffusion magnetic resonance imaging data”、Inverse Problems 19、l031-1046頁と、Parker, G. J. MとD. C. Alexanderの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Philosophical Transactions of the Royal Society Series B 360、893- 902頁に記載されているようなPAS−MRIと、Basser, P. J.とJ. Mattiello等の“Estimation of the effective self-diffusion tensor from the NMR spin echo.”、Journal of Magnetic Resonance 103、247-254頁に記載されているような拡散テンソルMRIと、Tuch, D. S.とT. G. Reese等の“High angular resolution diffusion imaging reveals intravoxel white matter fiber heterogeneity”、Magnetic Resonance in Medicine 48、577-582頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 27
32、684-695頁のようなテンソル混合モデルと、Behrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion-weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、1077-1088頁のような「ボールとスティック」モデル、またはTournier, J.-D., F. Calamante等の“Direct estimation of the fiber orientation density function from diffusion- weighted MRI data using spherical deconvolution”、Neurolmage 23、1176-1185頁のような球状デコンボリューション方法を含んでいる。
【0096】
幾つかのケースでは、各ボクセルのPDFは単一の価になる可能性がある。このような場合には、所定のボクセルから生成された各ストリームラインは同一であり、それ故、単一のストリームラインだけが生成されることを必要とされる。
【0097】
別の実施形態では、各ボクセルのPDFは可能な方位の連続ではなく多数のディスクリートなファイバ方位を記述することができる。
【0098】
確率密度関数の生成をファンク−ラドン変換を使用して変換されるデータに基づいて前述したが、本発明の他の実施形態ではファンク−ラドン変換が使用される必要がないことが認識されることにも注意すべきである。
【0099】
本発明の好ましい実施形態に浮いて前述したが、種々の変形が特許請求の範囲に規定されている本発明の技術的範囲を逸脱せずに行われることができることが認識されよう。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理方法に関し、特に複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成する方法に関し、各データ素子は撮像される身体部分を表している。本発明は特にそれだけに限定はされないが人間の神経系の撮像および人間以外の動物の神経系の撮像において応用される。
【背景技術】
【0002】
広範囲の撮像技術が技術で知られている。1つのこのような技術は核磁気共鳴に基づき、身体中の複数の各体積要素の水内容に基づいて身体(例えば人間の身体)の画像を生成する磁気共鳴映像である。
【0003】
核磁気共鳴(NMR)は分数スピン量子数を有する原子核に作用し、それらを分極する磁界の供給を含んでいる。測定期間中、所定の共鳴エネルギの無線周波数パルスが供給され、これは核スピンをフリップし方位分布を妨害する。核はその後時間依存指数関数にしたがって初期状態に戻り(リラックスし)それによって記憶可能なデータへ電子的に処理されることができる信号を与える。信号が空間的に微分され、十分なレベルであるとき、データはスクリーン上で表示するのに適した画像を生成するために使用されることができる。例えば有機組織内の水分子の陽子により発生される信号の計算は磁気共鳴映像(MRI)を構成することを可能にし、生体中の内部器官の直接的な視覚化を可能にする。NMRはそれ故、診断、医学治療、手術において強力なツールである。
【0004】
磁気共鳴映像は身体中の水分子の受動自己拡散の程度と方位を測定するために使用されることもできる。一般用語では(即ちそれらの純粋な液体状態で物的障壁により妨害されていないとき)水分子は全ての方向で同等に拡散される(ブラウン運動としても知られているプロセス)。しかしながら細胞膜のようなコヒーレントに配置された微細構造素子が存在する人間の身体内では、拡散の好ましい方位が存在する傾向がある。このような拡散の好ましい方位は磁気共鳴映像技術を使用して検出されることができる。各画像ボクセルで観察される拡散の好ましい方位が(撮像空間分解能に関して)長距離の構造エレメント(以下「生物学的経路」)の結果である器官では、これらの生物学的経路を表す画像を生成することが可能である。身体中の水の自己拡散を検出するために使用されるMRI方法の通常のクラスは拡散加重撮像(DWI)として知られている。拡散テンソル撮像、拡散スペクトル撮像、qスペース撮像のように、この技術のいくつかの変形が知られている。
【0005】
生物学的経路を表す画像を生成することを意図する撮像技術は脳の撮像で特別な応用能力を有する。ここでは生物学的経路は脳領域または中央神経系の他の領域を相互接続する構造である。顕微鏡の大きさでは、これらは神経組織に関連される軸索である。軸索はこのような技術で通常利用される巨視的な拡散信号を与えるために軸索束を形成するため共に(特に限定ではないが白質で)グループ化される。(「繊維束」と呼ばれることができる)脳内の白質中に集中する傾向のある高い微細方位コヒーレンスの領域の画像を生成することが可能である。このような白質は脳内の灰質の種々の領域を共に接続する繊維束を有している。灰質は脳の処理要素を作っている。
【0006】
DWIが提供する繊維束方位に関する方位情報は「トラクトグラフィ」または「繊維追跡」として知られているプロセスによる非侵襲的に解剖学的接続性を解析するために利用されることができる。脳領域間の接続を推論するための多くの方法が開発されている。これらの方法は2つの広いグループ「決定論的」方法と「確率的」方法に入る。確率的方法はそれによって脳その他の内部の任意の画像ボクセル間の解剖学的接続がDWIデータから設定されることができる自信度を評価できる一般的な利点を有する。
【0007】
生物学的経路を表す画像の生成に使用される多くの技術は複数の経路が画像内の幾つかの点において相互に横切る画像を正確に生成することが難しい。これは脳の撮像でしばしば生じる。このような場合、このような技術は各経路を適切に示す画像を正確に発生しない。このような技術の1例はPierpaoli, C. とP. J. Basserの"“Toward a quantitative assessment of diffusion anisotropy”、Magnetic Resonance in Medicine 36、893-906頁に記載されている分別異方性技術である。
【0008】
1つの撮像技術はParker, G.J.MとAlexander, D. Cの“"Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Phil. Trans. R. Soc. B (2005) 360、893-902頁に記載されている。ここで特定の開始点と身体内の他の点との間の接続性を示す画像が発生され表示される。記載されている技術は磁気共鳴映像に基づいている。
【発明の概要】
【0009】
多くの決定論的及び確率的トラクトグラフィ技術が有効であるが、関係する開始点を正確に突き止めるか配置させる一般的要求が存在する。これはいずれの脳領域が関係しているかが知られていないならば、例えば関係する脳の接続が存在する箇所が知られていないならば、非常に難しい。本発明の実施形態の1目的は先に概説した問題のうち少なくとも幾つかを防止するか緩和することである。
【0010】
本発明によれば、各複数の画像素子の解剖学的接続程度を示すデータを生成するための方法及び装置が提供される。各画像素子は撮像される身体の一部を表している。方法は各複数の画像素子に対して、その画像素子と他の前記複数の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生するステップを含んでいる。前記複数の各画像素子では、その画像素子の接続程度を示すデータが発生される。接続程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている。
【0011】
複数の各画像素子と他の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生し、その発生されたデータセットに基づいて全ての画像素子を処理することによって、身体内の特定の点の全体的な接続程度を示すデータが生成されることができる。それ故、本発明の実施形態により与えられる方法は、撮像される身体内の特定の点の全体的な接続性が撮像される身体内の他の点の全体的な接続性に対して比較されることを可能にする。
【0012】
撮像される身体内の各点はボクセルにより表されることができる。即ち画像素子はボクセルであることができる。
【0013】
脳の特別な例では、本発明の実施形態は各脳のボクセルからあらゆる他の脳のボクセルまでの解剖学的接続程度が表されることを可能にし、脳実質の各位置の解剖学的接続程度のマップを形成する。与えられた方法は他のボクセルに関する特定のボクセルの接続性を示す情報が発生されることを可能にする。
【0014】
各データセットは前記画像素子の1つと複数の他の画像素子との間の線形接続を表すことができる。
【0015】
この方法はさらに各前記複数の画像素子について、複数のデータセットの生成を含むことができる。前記複数の各データセットはその画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットであることができる。
【0016】
各画像素子はその画像素子の複数の可能な接続を示す関連されるデータを有することができ、前記複数のデータセットは前記データに基づくことができる。関連されるデータは前記可能な接続の確率を示す確率密度関数であることができる。即ち、特定の画像素子では、関連されるデータは特定の画像素子が接続されることができる複数の各画像素子の確率を示すことができる。
【0017】
画像素子の接続程度を示すデータの発生は前記画像素子が含まれるデータセットの数を決定することを含むことができる。方法はさらに接続程度を示す前記データに基づいて画像データを発生することを含むことができる。各画像素子は接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされることができる。各画像素子は他の画像素子に関する接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされることができる。
【0018】
画像素子は磁気共鳴映像技術から得られるデータを使用して規定されることができる。各画像素子はその画像素子により表される点で前記身体内の拡散の方位を示すデータを使用して規定されることができる。
【0019】
方法はさらに拡散の前記方位を示すデータに基づいて各前記画像素子に対する前記確率密度関数を導出することを含んでいる。
【0020】
身体は人間又は動物の身体であるか人間又は動物の身体の一部であってもよい。例えば身体は人間又は動物の脳であるか人間又は動物の脳の一部であってもよい。
【0021】
方法はさらに前記身体の特徴を示すデータを発生するために前記画像データと基準データとの比較を含むことができる。基準データは前記身体の臨床的な正常な状態を示すことができ、比較は前記身体が正常であるかまたは病気状態であるかを示すデータを生成することができる。このようにして前述の方法を使用して生成されたデータは複数の異なる身体の間、例えば複数の異なる患者間の接続性の差を検出するために使用されることができる。
【0022】
方法はさらに前記画像データを初期時間で前記身体から生成されたさらに別のデータと比較することを含むことができる。即ち、第1の画像データは第1の時間に身体から生成されることができ、第2の画像データは第2の時間に同じ身体から生成されることができる。第1および第2の画像データは身体状態の変化を示すデータを生成するために比較されることができる。このようなデータは前記身体の発達または衰退を示すことができる。
【0023】
本発明はさらに撮像される身体部分を表す画像の画像素子について複数の各方向において拡散の可能性を示すデータを生成するための方法及び装置を提供する。その方法は前記画像データからの前記複数の各拡散方向の複数の評価を発生し、前記複数の評価に基づいて前記複数の各方向における拡散の可能性を示す前記データを発生することを含んでいる。
【0024】
方法はさらに変換された画像データを生成するためにファンク−ラドン変換の適用による前記画像データの処理を含んでいる。前記複数の各拡散方向の複数の評価は前記変換された画像データから生成されることができる。
【0025】
前記複数の各拡散方向についての前記複数の評価の1つの発生は、複数の各点における方位分布関数のサンプリングを含むことができる。前記複数の各点は球体の表面上に位置されることができる。
【0026】
前記複数の各方向についての前記複数の評価の幾つかは複数の点を有するセットを発生し、差データを生成するためにさらに別の点のセットを参照にして前記点のセットを処理し、前記差データに基づいて新しい点のセットを発生することにより決定されることができる。
【0027】
本発明の全ての特徴は方法及び装置により実行されることができる。このような装置は適切にプログラムされたコンピュータと特注のハードウェアを含むことができる。本発明の特徴は有形又は無形の両キャリア媒体で実施されることのできる適切なコンピュータプログラムにより実行されることができる。
【0028】
本発明の実施形態を添付図面を参照して例示により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の1実施形態の構成に使用される装置の概略図である。
【図2】高レベルで本発明の1実施形態で実行される処理を示すフローチャートである。
【図3】ボクセルのサブセットの概略図である。
【図4】図3のボクセル間の接続を表すストリームラインが生成される態様を示すフローチャートである。
【図5A】ボクセルの確率密度関数を生成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図5B】ボクセルの確率密度関数を生成するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図6A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図6B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図6C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像の図である。
【図7A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図7B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図7C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られるさらに別の画像を示す図である。
【図8A】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図8B】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図8C】従来技術の撮像方法を使用して得られる画像を示す図である。
【図9A】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9B】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9C】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9D】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9E】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図9F】本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値を示すヒストグラムである。
【図10A】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【図10B】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【図10C】このような技術が反復されるときの本発明の1実施形態による技術を使用して得られる画像から取られたボクセル値の再生能力を示すブランド−アルトマンプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
最初に図1を参照すると、撮像装置1は画像データ2を出力する。画像データ2はPC3へ入力され、ここで表示装置4で表示される前にさらに処理される。PC3は以下さらに詳細に説明され、表示装置4で表示されることができる特定の目的に適した画像データの生成を可能にすることを意図される種々の処理を行うように構成される。
【0031】
本発明の幾つかの実施形態では、人間又は動物の脳の画像を表す画像データが処理される。このような実施形態では、撮像装置は技術で知られているように磁気共鳴映像装置の形態を取ることができる。一般的に、このような撮像装置は撮像される身体の水分内容に基づいた画像データを生成する。拡散加重撮像DWIとして知られているMRI方法のクラスを使用して、身体の特定点における水の拡散の方向を示すデータが生成されることができる。例えば一般的に水は可能な方向でそれぞれ均等に拡散するが、人間の脳内のような生物学的文脈では、拡散は異方性であり、即ち各可能な方向で均等ではない。このような異方性拡散は例えば撮像される身体内で整列された微細構造エレメントにより生じることができる。このような場合、磁気共鳴撮像技術は撮像ボクセル内の拡散のトーンまたはより優勢な方位、又は撮像ボクセル内の拡散方位の拡散を決定することができ、それによって撮像される身体内の微細構造エレメントに関する有用な情報を決定できる。
【0032】
撮像装置1により発生される磁気共鳴映像データはPC3へ入力され、ここで撮像される身体の特性に関する有用な情報を生成するように処理される。この処理は図2で高いレベルで示されている、一般的に、処理はボクセルまたは脳の領域間の解剖学的相互接続の程度を規定することを意図されている。通常、相互接続の高いレベルは脳の灰質よりも脳の白質中で予測される。白質は根本的に通信を可能にするために共に(灰質内の)処理中心を接続する脳部分である。
【0033】
図2を参照すると、ステップS1で磁気共鳴画像データが発生されることが分かる。このようなデータは複数のボクセルにより規定される3次元画像データを提供する。ボクセルは体積要素であり、これは2次元撮像中の画素の機能と類似の3次元画像中の画素の機能を有する。
【0034】
ステップS1で発生されたデータの各ボクセルは順次処理される。ステップS2で、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われる。ステップS2のチェックが満足されたならば、処理はステップS3に移り、ここで処理のためのボクセルが選択される。ステップS4で、ステップS3で得られたボクセルが脳内の脳脊髄流体(CSF)の部分を表しているか否かを決定するチェックが行われる。この処理はしきい値化動作により実行されることができ、この動作では(撮像方法にしたがって)しきい値より上または下の値を有するボクセルが脳脊髄流体の部分を表すことが決定される。脳脊髄流体の部分を表すことが決定されたボクセルはそれ以上処理されず、それ故処理はステップS2へ戻り、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われる。
【0035】
ステップS4でボクセルが脳脊髄流体の部分を表さないことが決定された場合、処理はステップS5へ続く。ここで複数のストリームラインが発生され、現在処理されるボクセルとステップS1で発生された画像データ内の他のボクセルとの間の接続を表す。ストリームラインの生成を以下さらに詳細に説明する。しかしながら、各ストリームラインは本質的に現在処理されるボクセルと複数の他のボクセルとの間の線形の経路を表していることに注意すべきである。
【0036】
ステップS5で複数のストリームラインが発生されると、処理はステップS2に戻り、前述の方法で継続する。ステップS2乃至S5の反復が脳脊髄流体の部分を表していないと(ステップS4で)決定されるステップS1で発生された画像データの各ボクセルについて複数のストリームラインを発生することが認識されよう。
【0037】
ステップS2のチェックが処理されるボクセルがさらに残っていないことを示すとき、処理はステップS2からステップS6へ移る。ステップS6で、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するチェックが行われるステップS7へ処理が移る前に、ボクセルカウンタでリセット動作が行われる。処理されるボクセルがさらに残っているならば、処理はステップS8へ継続し、処理のためにボクセルが選択される。ステップS9でステップS8で選択されたボクセルを通過する発生されたストリームラインの数を決定するためのチェックが行われる。処理されているボクセルの値はその後ステップS10で発生される。処理されているボクセルの値の計算は式(1)にしたがって行われることができる。
ボクセル値=N/M (1)
ここで、Nは各ボクセルから発生されてボクセルを通過するストリームラインの総数であり、Mは発生されたストリームラインの総数である。
【0038】
式(1)によりボクセル値を発生することによって、多数のストリームラインが通過するボクセルは少数のストリームラインが通過するボクセルよりも高い値を有することが認められる。それ故式1を使用して、ボクセル強度(即ちボクセル値)が特定のボクセルを通過するストリームラインの数を示している画像を生成することが可能である。即ち、ボクセル強度がボクセルの全体的な接続性を示している画像が発生されることができる。
【0039】
処理はステップS10からステップS7へ移り、処理されるボクセルがさらに残っているか否かを決定するためのチェックが行われる。残っているならば、処理はステップS8で継続する。残っていないならば、処理はステップS11で終了する。
【0040】
別の実施形態では、図2のステップS6乃至S10を参照にして説明したように処理を適用する代わりに、現在考慮されているボクセルを通過するストリームラインの数は、各ボクセルが前述のステップS2乃至S5の処理期間中にストリームラインにより交差される回数のラニングカウントを維持することによって決定されることができる。
【0041】
図2のステップS5を再度戻って参照すると、各ボクセルについて複数のストリームラインが発生されることが分かる。この処理を図3と4を参照してさらに詳細に説明すると、図3は比較的少数の隣接ボクセルの概略図であり、図4は図2のステップS5で実行される処理のフローチャートである。
【0042】
図3を参照すると、複数のボクセルにより規定されている立方形が示されている。脳骨髄流体を表さない各ボクセルでは、複数のストリームラインが発生される。図3の立方形中の各ボクセルは関連される確率密度関数(PDF)を有する。特定のボクセルの確率密度関数はボクセルにより表される身体の部分の種々の方位における拡散の確率を表している。確率密度関数は以下さらに詳細に説明される方法を使用して発生される。
【0043】
脳骨髄流体を表さない各ボクセルからスタートして発生されるストリームライン数は画像データが発生される応用の要求によって決定されることができる。概して、多数のストリームラインがさらに高い計算コストでさらに高い品質のデータを提供することが認識されよう。1構造では、10のストリームラインが各ボクセルで発生される。
【0044】
図4を参照すると、ストリームラインを発生するために行われる処理が示されている。ステップS12で、処理されるボクセルが選択され、選択されたボクセルを示すデータがステップS13で記憶される。選択されたボクセルの確率密度関数は選択されたボクセルの拡散方向の指示を提供するためにモンテ−カルロ技術を使用してステップS14でサンプルされる。この方向は処理されるボクセルの体積における次の点を決定する。即ち図3を参照して、ボクセル10の確率密度関数のサンプリングは矢印11により示されているようにベクトル(1,0,0)により表される方向データを発生することができる。この場合にボクセル12がステップS15で処理のために選択される。
【0045】
特定のボクセルで選択されたベクトルの長さは任意の便利な方法で選択されることができる。通常、小さいベクトルの長さ(又は「ステップサイズ」)はより正確な撮像を可能にする。ベクトルの長さが1つのボクセルの中心から近傍への正確なステップを表さないとき、空間データ補間技術が使用されることができる。任意の適切な補間技術が適当に使用されることができる。本発明の現在の好ましい実施形態では、3線補間技術が使用される。このような技術はParker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁に記載されており、この内容はここで参考文献とされている。
【0046】
別の実施形態では、他の補間技術が使用される。このような方法はMori, S.とB. J. Crain等の“Three-dimensional tracking of axonal projections in the brain by magnetic resonance imaging.”、Annals of Neurology 45, 265-269頁で記載されているような「最も近い近傍」補間と、Behrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion- weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁に記載されている近傍PDFの3線強調サンプリングと、Basser, P. J.とS. Pajevic等の“In vivo fiber tractography using DT-MRI data”、Magnetic Resonance in Medicine 44、625-632頁に記載されているルンゲ−クッタ積分を含んでいる。
【0047】
本発明の現在好ましい実施形態では、各ストリームラインは脳脊髄流体を表すボクセルに遭遇する時に終了される。脳脊髄流体を表すボクセルは前述の方法で検出されることができる。ストリームライン終了の他の可能性は湾曲がユーザの規定しきい値を超えるときのストリームラインの終了、ストリームラインにより交差されるボクセル内の拡散異方性がユーザの規定しきい値よりも下回るときのストリームラインの終了、ストリームラインが予め定められた最長を超えるときのストリームラインの終了を含んでいる。
【0048】
ステップS16で、処理されたストリームラインが選択された終了規準を侵害しているか否かを決定するチェックが行われる。侵害していないならば、処理はステップS12へ継続し、ステップS15で決定されたボクセルが処理するように選択される。
【0049】
ステップS16のチェックが現在発生されたストリームラインが選択された終了規準を侵害していないことを決定するならば、処理はステップS17へ継続し、ストリームラインを示すデータが記憶される。処理はステップS17からステップS18へ移り、特定のボクセル(図2のステップS3により決定されたボクセル)から発生するさらに別のストリームラインが発生されるか否かを決定するチェックが行われる。発生するならば、処理はステップS18からステップS19へ進み、ステップS12で前述した方法で処理が継続する前に、図2のステップS3により決定されたボクセルが再度選択される。
【0050】
ステップS18のチェックが特定のボクセルで発生した予め定められた数のストリームラインが発生されていることを決定するとき、処理はステップS18からステップS20へ進み、S20から処理は図2のステップS2へ戻る。
【0051】
先の説明では、各ボクセルで、発生されているストリームラインの方向はモンテ−カルロ技術を使用して確率密度関数のサンプリングにより決定されることを説明した。図4を参照して前述した方法の適用を反復することにより(即ち複数のストリームラインを発生することにより)ストリームラインはボクセルに関連される確率密度関数を顕す接続性を示すことが認識されよう。
【0052】
確率密度関数を使用するストリームラインの発生はParker, G.J.MとAlexander, D.Cの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Phil. Trans. R. Soc. B (2005) 360、893-902頁に記載されており、この内容はここで参考文献とされている。
【0053】
本発明の別の実施形態では、確率密度関数を使用してストリームラインを発生する代わりの方法が使用される。その例はBehrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion-weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁と、Parker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁と、Hosey, T.とG. Williams等の“Inference of multiple fiber orientations in high angular resolution diffusion imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 54、l480-1489頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Philosophical Transactions of the Royal Society Series B 360、893-902頁で見られることができる。これらの好ましい刊行物はここで参考文献とされている。
【0054】
別の方法が本発明の実施形態でストリームラインの発生のために使用されることができる。このような方法の例はBehrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion- weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、l077-1088頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁と、Parker, G. J. M.とH. A. Haroon等の“A framework for a streamline-based probabilistic index of connectivity (PICo) using a structural interpretation of MRI diffusion measurements”、Journal of Magnetic Resonance Imaging 18、242-254頁と、Hosey, T.とG. Williams等の“Inference of multiple fiber orientations in high angular resolution diffusion imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 54、l480-1489頁に記載されている。
【0055】
前述の方法は確率トラクトグラフィを行うためのストリームライン方法の使用に限定されない。即ち確率トラクトグラフィ技術は他の方法で適用されることができる。代替は例えばBatchelor, P. G.とD. L. G. Hill等の“Study of connectivity in the brain using the full diffusion tensor from MRI”、Proceedings of Information Processing in Medical Imaging IPMI<1>Ol、Davis, California、Springer- Verlag と、Koch, M.とV. Glauche等の“Estimation of anatomical connectivity from diffusion tensor data”、Neuroimage 13(6): Sl 76-Sl 76とKoch, M. A.とD. G. Norris等の“An investigation of functional and anatomical connectivity using magnetic resonance imaging”、Neuroimage 16、241-250頁に記載されているように粒子拡散又は粒子ジャンプ方法を含んでいる。代わりに、フロント進化方法のタイプがParker, G. J. M.とC. A. M. Wheeler-Kingshott等の“Estimating distributed anatomical brain connectivity using fast marching methods and diffusion tensor imaging”、IEEE Transactions on Medical Imaging 21(5)、505- 512頁とTournier, J.-D.とF. Calamante等の“Diffusion- weighted magnetic resonance imaging fibre tracking using a front evolution algorithm”、Neuroimage 20、276-288頁に記載されている。
【0056】
前述の処理は各ボクセルに関連される確率密度関数に基づいている。各ボクセルに付いての確率密度関数の発生をさらに詳細に説明する。特定のボクセルに付いての確率密度関数を発生するプロセスは図5Aを参照して説明し、その後図5Bを参照してさらに詳細に説明する。好ましい実施形態では、各ボクセルの拡散方位データはTuch, David Sの“Q-BaIl Imaging”、Magnetic Resonance in Medicine (2004) 52、358- 1372頁に記載されているように磁気共鳴データに対してファンク−ラドン変換を適用することにより発生され、この文献の内容はここで参考文献とされている。
【0057】
拡散方位分布関数(ODF)はステップS22で前述したファンク−ラドン変換の適用によってそのボクセルの磁気共鳴データから各ボクセルについて発生される。ODFはボクセルの中心を中心とする単位球面の表面に規定されている。本発明の好ましい実施形態では、ODFのサンプル値は単位球面上に均一に分配された一連の点のそれぞれについて発生される。好ましい実施形態では点の数は642であり、球体の表面上の点の構造は3つに折り畳まれたモザイク状の20面体により与えられる。各サンプル値は単位球面の原点とサンプル値により示される球体の表面上の点を通る路により規定される軸に沿ったボクセルの測定された拡散情報を示している。
【0058】
ステップ23で、サンプルされた値はこれらが雑音を考慮されるか否かを決定するために解析される。好ましい実施形態では、サンプルされた値の平均が計算される。平均よりも低いサンプルされた値は雑音サンプルであると考えられ、平均よりも高いサンプル値はボクセルの拡散方向を表す信号サンプルであると考えられる。
【0059】
ステップS24乃至S28では、サンプルされた値はボクセルが異方性であるか否かを決定するために解析される。好ましい実施形態では、球体上の各中間近傍よりも高い信号値を有する信号サンプルのサブセット(所望ならばこれは随意選択的に大きい局部近傍を規定するように選択的に拡張されることができる)は局所極大であると識別され、線形関数、例えば2Dの2次関数はステップS24で可能な方位拡散極大を発見するために各ボクセルについて単位球面の1半球の信号サンプルのサブセットに適合される。関数はその後、ステップS25で局所極大数を決定するために解析される。ステップS26で局所極大の数が予め規定されたしきい値よりも大きいならば、ボクセルはステップS28で等方性である(即ち特別な拡散方向をもたない)と考えられ、ステップS28aで方位のランダム選択と関連付けられる。好ましい実施形態ではしきい値は3である。
【0060】
ステップS26のチェックに基づいてボクセルが異方性であると考えられるならば、ステップS27でボクセルに付いてのODFの信号値の最大の数及び位置はTuch, D. S.とT. G. Reese等の“High angular resolution diffusion imaging reveals intravoxel white matter fiber heterogeneity”、Magnetic Resonance in Medicine 48、577-582頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexander:の“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 2732、684-695頁に記載されている標準的なテンソル混合モデルの応用のための拡散テンソル数を決定するために使用される。テンソル混合モデルはその後レベンバーグ−マルカルトのような標準的なモデル適合手順またはシンプレックス極小化を使用してボクセルについての磁気共鳴データに適合される。適合されたテンソル混合モデルは単位球面のODFサンプル値についての評価された値のセットを生成するために使用される。単位球面上の同じ点の各評価された値とサンプルされた値との差はステップS29で残留値として記録される。
【0061】
ステップS30で、複数の新しいデータがODFの評価された値と残留値とに基づいて生成される。第1に、新しいデータセットは各評価された値とランダムに選択された残留値とを共に加算し、その結果を予測された値により表される単位球面上の点の新しいサンプルされた値として使用することによって発生される。複数のデータセットを生成するためにプロセスが反復される。この手順は「モデルベースのブートストラッピング」または「ワイルドブートストラッピング」として知られている統計技術の実行である。
【0062】
ステップS31で、ステップS22乃至S25で前述したようにファンク−ラドン変換を新しいデータセットに適用するプロセスと、その後2Dの2次関数を適合し、局所極大を発見することによって拡散方向の数及び方位についての新しい評価が行われる。全てのデータセットが処理されるとき、結果的な評価はボクセルについての確率密度関数を表す。
【0063】
図5Aを参照して確率密度関数の発生を説明し、プロセスを図5Bを参照してさらに詳細に説明する。処理は単一のボクセルを参照して説明されている。しかしながら類似の処理が各ボクセルで順に実行されることが認識されよう。
【0064】
ステップS32で、ODFが磁気共鳴データから発生される。ステップS33で、発生されたODFは予め定められた数(前述の好ましい実施形態では642)の点でサンプルされる。サンプルされた点の局所極大はステップS34で便宜的な方法で決定される。
【0065】
ステップS35で、決定された極大はサンプルされた点の平均値と比較される。ステップS36で、平均を超える値を有すると決定された極大はこのような各極大とその周囲点に対して2Dの2次関数を適合するように処理される。即ち平均よりも大きい値を有する各極大は2Dの2次関数を有する。
【0066】
ステップS37で、2Dの2次関数を有する極大の数が決定される。この極大数が予め定められた限度よりも大きいならば、ボクセルはステップS38で等方性であると決定され、ランダム方位情報はステップS38aでボクセルに関連付けされる。このボクセルのPDFはランダム方位情報に基づいている。予め定められた限度は便宜的に3であることができる。2Dの2次関数に関連付けられている極大数が予め定められた限度よりも大きくないならば、処理はステップS39へ移り、発生されるテンソル数を示すパラメータnは2Dの2次関数に関連付けられている決定された極大数に等しいように設定される。nテンソルは説明するように、その後、ステップS40とS41で発生される。
【0067】
式(2)がステップS40で形成され、テンソルは磁気共鳴データに基づいて発生される。
【数1】
【0068】
ここで、S(ri)は磁気共鳴データから得られ、勾配サンプリング方向ri={r1i,r2i,r3i}に沿って測定されたスピン−エコー拡散加重信号であり、iは本発明の好ましい実施形態では1から61の値を取り、
b=γ2・δ2・G02・(Δ−(δ/3))
ここで、γは陽子の磁気回転比であり、
G0は適用された拡散増感勾配であり、Δはこれらの勾配間の時間間隔であり、
S0は任意の拡散増感なしに(即ちb=0で)測定された信号であり、
Nは関係するボクセルに存在するように評価されたファイバ方位数であり、即ちモデル化されるテンソル数であり、
fnは次式が成立するように、各拡散テンソルDn乃至S(ri)の分別貢献である。
【数2】
【0069】
各Dnは次式(3)により与えられる。
【数3】
【0070】
Dnは対称的な正定値のテンソルである。
【0071】
式(2)は非線形の式のシステムを生成するため各勾配サンプリング方向(好ましい実施形態では61)で適用される。一般的に、Dnとf(n)のために確保された全てのパラメータが知られ、それによって発生された式は所望のテンソルを生成するためにステップS41で使用されることができる。方向riと予測されるS(ri)の捕捉された拡散加重信号間の自乗された差の和の極小化がDnのテンソル要素を与える。
【0072】
オリジナルのODFがステップS33でサンプルされた各点について、ステップS42で発生されたテンソルDnに基づいて値が発生される。このようにして、発生されたテンソルはODFがステップS33でサンプルされた点の数に等しい点の数を含んでいる点のさらに別のセットを提供する。
【0073】
ステップS43で、ステップS42で発生された点のセットはステップS33でサンプルされた点のセットと共に処理される。これはステップS44のエラー値のセットを発生する。発生されたエラー値はその後ステップS45で点のさらに別のセットを発生するようにステップS42で発生された点のセットに適用される。ステップS46で、ファンク−ラドン変換が発生された点のセットに適用され、ステップS47でそれぞれの2Dの2次関数式が前述したように平均値を超える値を有する全ての極大に対して適合される。
【0074】
ステップS44乃至S47の処理は複数の2次関数式のセットを発生するように複数回反復される。各2Dの2次関数式の最大値は拡散方位の評価を表すようにステップS48で取られる・ステップS49で、発生された2次関数式から確率密度関数を発生するための処理が行われる。
【0075】
前述の処理は良好な結果で画像データを発生するために使用されている。磁気共鳴画像データは高い角度分解能の拡散加重撮像技術を使用して得られた、この撮像はEmbleton K.V.とLambon Ralph M. A.とParker G. J.の“A combined distortion corrected protocol for Diffusion Weighted Tractography and fMRI”、ISMRM、 1070、2006年に記載されている双方向k空間充填歪補正プロトコルを使用し、この内容はここで参考文献とされている。撮像は2.5のSENSE係数を有する8要素のSENSEヘッドコイルを有する3T Philips Achievaスキャナでパルス勾配スピンエコーEPIシーケンスを使用して実行された。位相符号化は左−右方位であった。撮像パラメータを以下示す。
エコー時間 TE 54ms
反復時間 TR 11884ms
勾配 G 62mTm−1
マトリックスサイズ 112×112
再構成された分解能 1.875mm
スライスの厚さ 2.1mm
スライス数 60
拡散感知方向 61
増感 b 1200smm−2
拡散増感勾配期間 δ 13.5ms
拡散増感勾配間隔 Δ 28.5ms
画像は前述したように得られ、各ボクセルについて確率密度関数を発生しその後前述したように複数のストリームラインを発生するように処理された。これらの方法を使用して得られた画像は図6A乃至6Cに示されている。
【0076】
図6A乃至6Cは前述の技術を使用して利用可能な様々の解剖学的接続性情報を示している。高密度ボクセル値はウェルニッケの領域と左ブロケの領域のような言語処理に関与する領域を接続する路15で見られることができる。非常に低い強度ボクセル値は皮質脊髄路(CST)16で見られる。これは言語システム中の広範囲の地域間接続と、運動領から脳幹、脊髄、視床以外の領域までの比較的少数の接続と一致している。
【0077】
図7A乃至7Cは前述の技術を使用して得られた3つのさらに別の画像を示している。図8A乃至8Cは既知の分別異方性技術を使用して生成された画像を示しており、これは一般的に脳中の白質路(即ち接続経路)を識別することが想定されている。分別異方性技術はPierpaoli, C.とP. J. Basserの“Toward a quantitative assessment of diffusion anisotropy”、Magnetic Resonance in Medicine 36、893-906頁に記載されている。高い接続性の領域17は分別異方性技術が使用されないとき示されないが、前述の技術が使用されるときに適切に示されることが分かる。
【0078】
前述の技術は多くの観点で有効である。特に、ストリームラインの生成に使用される確率トラクトグラフィ技術が(脳脊髄流体を表すボクセルのために確保された)各ボクセルから開始されるならば、確率トラクトグラフィ技術が開始されるボクセルの位置を正確に突き止める必要はない。これは他のボクセルに対する特定のボクセルの接続性を決定することを意図し、それ故特定のボクセルの正確な識別を要する幾つかの従来技術よりも際立った利点である。
【0079】
前述の技術により白質を表す領域と灰質を表す領域を含めた全ての脳領域間の接続性が効率的に撮像されることが可能になることに注意すべきである。
【0080】
前述の技術は与えられたボクセル位置へ/又はその位置からの大脳構造の相互接続の程度に関する情報を提供する。前述したように、比較的低い強度値がCSTで見られることができる。これはCSTを表すボクセルが放射冠のコヒーレント構造内の高い接続性を有するが、それらは大部分の他の脳領域に対して低い接続性を有するためである。分別異方性技術はどの程度「良好に接続された」ボクセルであるかについての情報を提供しない。反対に、言語領域を接続する領域で得られる高い分化された強度値は「連結性」の異なる程度の弁別において前述の方法の特異性を示している。
【0081】
前述の技術は種々の文脈で脳の撮像に使用されることができる。典型的に、前述の技術を使用して生成された画像は撮像される脳が任意の異常を示すか否かを決定するように基準画像と比較される。基準画像は複数の主体から取られた測定から生成されることができる。このように、このタイプの比較はここでは主体間比較と呼ばれる。特定の異常を示す画像は付加的にまたは代わりに記憶され、得られた画像と比較される。前述の技術は意味認知症、MS、発作、統合失調症、アルツハイマー病、癲癇、脳領域間の接続程度に影響しうる任意の病変に限定されないがそれらのような病理学の研究に可能性を有する。
【0082】
前述の技術は単一の主体から取られた複数の画像を比較するため(主体内比較)に使用されることができる。例えば複数の画像が時間期間にわたる時間の異なる点で一人の患者から取られたデータから生成されることができる。生成された画像は主体内の接続性の任意の変化を検出するために相互に比較されることができる。例えば変性状態により生じる影響は発育上の問題により生じる影響で可能なように、このようにして検出される。
【0083】
前述のタイプの主体内および主体間の比較は単一の主体及び複数の異なる主体の両者から取られる測定において再現性の程度を必要とすることが認識されよう。画像生成で使用される処理の再現性も必要とされる。テストによって本発明の実施形態がこのような再現性を与えることが示された。
【0084】
単一の主体から取られた測定の異なるセットから生成される画像間の差の程度の調査によって感度、したがって実行される主体グループ間の差の検出に必要とされるグループサイズの理論的計算が可能になる。単一の主体から取られた測定から生成される画像間の差は(スキャナ雑音、主体の動き、主体の位置付けを含めた)測定差、PDF生成の差、ストリームラインおよび純粋な生理的差を含むファクターの組合せによるものである。
【0085】
前述の拡散加重MRI測定から画像生成までのプロセス全体の再現性は複数の主体が受けた反復走査からのデータを使用して評価された。
【0086】
図9A乃至9Fは前述の処理により生成された画像データのボクセルの値を示すヒストグラムである。図9Aと9Dは第1の主体から生成された2データセットのボクセル値を示し、図9Bと9Eは第2の主体から生成された2つのデータセットのボクセル値を示し、図9Cおよび9Fは第3の主体から生成された2つのデータセットのボクセル値を示している。
【0087】
図9A乃至9Fのこれらのヒストグラムは主体内及び主体間の両者で実質的に同一の形状を示している。図9A乃至9Fのヒストグラムの唯一の実質的な差は第3の主体の脳体積が小さいために第1及び第2の主体と比較すると第3の主体に関するヒストグラムではY軸で減少があることである。
【0088】
主体内データ間の差のブランド−アルトマンプロットが図10A乃至10Cに示されており、図10Aは第1の主体に関するデータを示し、図10Bは第2の主体に関するデータを示し、図10Cは第3の主体に関するデータを示している。ブランド−アルトマンプロットの使用はBland, Mの“An Introduction to Medical Statistics”、Oxford University Press、1995、272頁に記載されており、これはここで参考文献とされている。
【0089】
ほぼゼロに集中するブランド−アルトマンプロットは主体内プロット間にはバイアス全体が存在しないことを示している。
【0090】
平均ボクセル値の割合としての主体間差の測定が表1に示されている。
【表1】
【0091】
表1に示されている値は標準的なスペースに登録後の両データセットに共通する全てのボクセルについての個々のボクセルレベルにおける差の平均及び標準偏差(SD)である。分別異方性データについての等価の統計も比較のために与えられている。
【0092】
前述の解析は、ここで説明した技術が主体間及び主体内比較に適している画像データの生成に効率的に使用されることができるという結論に本発明者を導いている。
【0093】
画像データ2が画像装置1により生成され、さらに処理するためにPC3へ送られることを図1を参照して前述した。本発明の別の実施形態では、PC3は前述の処理を実行するように構成される特別の装置によって置換されることができることが認識されよう。代わりに、撮像装置1は前述の処理を実行するためにそれ自体が構成されてもよい。同様に表示スクリーン4は撮像装置1中へ組み込まれることができる。
【0094】
本発明の実施形態を脳の撮像に関して前述した。本発明の実施形態は脳の撮像に限定されず、代わりに広く応用可能であり、複数の異なるオブジェクトの撮像に適応されることができることに注意すべきである。特に生物医学の文脈では、主体の脊髄を含めた中枢神経系の任意の部分の画像を生成するために使用されることができる。主体の心臓の撮像も行われることができる。
【0095】
本発明の好ましい実施形態は前述したようにQボール撮像方法を使用して各ボクセルについての拡散方位データを生成するが、他の方法が本発明の代わりの実施形態で使用される。このような方法はJansons, K. M.とD. C. Alexanderの“Persistent angular structure: new insights from diffusion magnetic resonance imaging data”、Inverse Problems 19、l031-1046頁と、Parker, G. J. MとD. C. Alexanderの“Probabilistic anatomical connectivity derived from the microscopic persistent angular structure of cerebral tissue”、Philosophical Transactions of the Royal Society Series B 360、893- 902頁に記載されているようなPAS−MRIと、Basser, P. J.とJ. Mattiello等の“Estimation of the effective self-diffusion tensor from the NMR spin echo.”、Journal of Magnetic Resonance 103、247-254頁に記載されているような拡散テンソルMRIと、Tuch, D. S.とT. G. Reese等の“High angular resolution diffusion imaging reveals intravoxel white matter fiber heterogeneity”、Magnetic Resonance in Medicine 48、577-582頁とParker, G. J. M.とD. C. Alexanderの“Probabilistic Monte Carlo based mapping of cerebral connections utilising whole-brain crossing fibre information”、Lecture Notes in Computer Science 27
32、684-695頁のようなテンソル混合モデルと、Behrens, T. E. J.とM. W. Woolrich等の“Characterization and propagation of uncertainty in diffusion-weighted MR imaging”、Magnetic Resonance in Medicine 50(5)、1077-1088頁のような「ボールとスティック」モデル、またはTournier, J.-D., F. Calamante等の“Direct estimation of the fiber orientation density function from diffusion- weighted MRI data using spherical deconvolution”、Neurolmage 23、1176-1185頁のような球状デコンボリューション方法を含んでいる。
【0096】
幾つかのケースでは、各ボクセルのPDFは単一の価になる可能性がある。このような場合には、所定のボクセルから生成された各ストリームラインは同一であり、それ故、単一のストリームラインだけが生成されることを必要とされる。
【0097】
別の実施形態では、各ボクセルのPDFは可能な方位の連続ではなく多数のディスクリートなファイバ方位を記述することができる。
【0098】
確率密度関数の生成をファンク−ラドン変換を使用して変換されるデータに基づいて前述したが、本発明の他の実施形態ではファンク−ラドン変換が使用される必要がないことが認識されることにも注意すべきである。
【0099】
本発明の好ましい実施形態に浮いて前述したが、種々の変形が特許請求の範囲に規定されている本発明の技術的範囲を逸脱せずに行われることができることが認識されよう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像される身体部分を表す複数の画像素子のそれぞれの接続の程度を示すデータを発生する方法において、
複数の各画像素子について、その画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットを生成し、
前記複数の各画像素子について、その画像素子の接続程度を示すデータを発生するステップを含んでおり、前記接続の程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている方法。
【請求項2】
各前記データセットは前記画像素子の1つと複数の他の画像素子との間の線形接続を表している請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記複数の各画像素子について、複数のデータセットを発生するステップを含み、前記複数の各データセットはその画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
各画像素子はその画像素子に対する複数の可能な接続を示す関連されるデータを有し、前記複数のデータセットは前記データに基づいている請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記関連されるデータは前記可能な接続の確率を示す確率密度関数である請求項4記載の方法。
【請求項6】
画像素子の接続程度を示すデータの生成は前記画像素子が含まれているデータセットの数を決定するステップを含んでいる請求項1乃至5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
さらに、接続程度を示す前記データに基づいて画像データを生成するステップを含んでいる請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
各画像素子は、接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされる請求項7記載の方法。
【請求項9】
各画像素子は、他の画像素子に関する接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされる請求項8記載の方法。
【請求項10】
各画像素子は、ボクセルである請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記画像素子は、磁気共鳴映像技術から得られるデータを使用して規定される請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記各画像素子は、その画像素子により表される点で前記身体内の拡散の方位を示すデータを使用して規定される請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、拡散の前記方位を示すデータに基づいて前記各画像素子の前記確率密度関数を導出するステップを含んでいる請求項5に従属する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記身体は人間又は動物の身体であるか人間又は動物の身体の一部である請求項14記載の方法。
【請求項15】
前記身体は人間又は動物の脳であるか人間又は動物の脳の一部である請求項14記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記身体の特徴を示すデータを生成するために前記画像データを基準データと比較するステップを含んでいる請求項7に従属する請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記基準データは、前記身体の臨床的な正常状態を示し、前記比較は前記身体が正常または病気状態であるか否かを示すデータを生成する請求項16記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記画像データを初期時期に前記身体から生成されたさらに別のデータと比較するステップを含んでいる請求項7に従属する請求項14又は15記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記比較に基づいて前記身体の発達または衰退を示すデータを生成するステップを含んでいる請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるように構成されたコンピュータの読取り可能なプログラムコードを含んでいるキャリア媒体。
【請求項21】
撮像される身体部分を表す複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成するためのコンピュータ装置において、
プロセッサの読取り可能な命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている命令を読取って実行するように構成されるプロセッサとを具備し、
前記プロセッサの読取り可能な命令は請求項1乃至19のいずれか1項記載の方法を実行するように前記プロセッサを制御する命令を含んでいるコンピュータ装置。
【請求項22】
撮像される身体部分を表す複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成するための装置において、前記装置は、
各複数の画像素子に対して、その画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生し、
各前記複数の画像素子に対して、その画像素子の接続程度を示すデータを生成する処理を実行するように構成された処理手段を具備し、
前記接続程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている装置。
【請求項23】
撮像される身体部分を表す画像の画像素子における複数の方向のそれぞれの拡散の可能性を示すデータを生成する方法において、
前記画像データから前記複数の各拡散方向の複数の評価を生成し、
前記複数の評価に基づいて前記複数の方向のそれぞれの拡散の可能性を示す前記データを生成するステップを含んでいる方法。
【請求項24】
さらに、変換された画像データを生成するためにファンク−ラドン変換の適用により前記画像データを処理し、
前記複数の各拡散方向の前記複数の評価は前記変換された画像データから生成される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記複数の各拡散方向についての前記複数の評価の1つの発生は、複数の点のそれぞれにおける方位分布関数のサンプリングを含んでいる請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記複数の各点は球体の表面上に位置されている請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記複数の各方向についての前記複数の評価の幾つかは、
複数の点を有するセットを発生し、
差データを生成するためさらに別の点のセットを基準に前記点のセットを処理し、
前記差データに基づいて新しい点のセットを生成することにより決定される請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記画像データは磁気共鳴画像データである請求項23乃至27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
各画像素子はボクセルである請求項23乃至28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
請求項22乃至29のいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるように構成されたコンピュータの読取り可能なプログラムコードを有しているキャリア媒体。
【請求項31】
撮像される身体部分を表す各複数の画像素子の接続程度を示すデータを発生するためのコンピュータ装置において、
プロセッサの読取り可能な命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている命令を読取って実行するように構成されるプロセッサとを具備し、
前記プロセッサの読取り可能な命令は請求項22乃至29のいずれか1項記載の方法を実行するように前記プロセッサを制御する命令を含んでいるコンピュータ装置。
【請求項1】
撮像される身体部分を表す複数の画像素子のそれぞれの接続の程度を示すデータを発生する方法において、
複数の各画像素子について、その画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットを生成し、
前記複数の各画像素子について、その画像素子の接続程度を示すデータを発生するステップを含んでおり、前記接続の程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている方法。
【請求項2】
各前記データセットは前記画像素子の1つと複数の他の画像素子との間の線形接続を表している請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記複数の各画像素子について、複数のデータセットを発生するステップを含み、前記複数の各データセットはその画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
各画像素子はその画像素子に対する複数の可能な接続を示す関連されるデータを有し、前記複数のデータセットは前記データに基づいている請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記関連されるデータは前記可能な接続の確率を示す確率密度関数である請求項4記載の方法。
【請求項6】
画像素子の接続程度を示すデータの生成は前記画像素子が含まれているデータセットの数を決定するステップを含んでいる請求項1乃至5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
さらに、接続程度を示す前記データに基づいて画像データを生成するステップを含んでいる請求項1乃至6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
各画像素子は、接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされる請求項7記載の方法。
【請求項9】
各画像素子は、他の画像素子に関する接続程度を示す前記データに基づいた値を使用してレンダリングされる請求項8記載の方法。
【請求項10】
各画像素子は、ボクセルである請求項1乃至9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記画像素子は、磁気共鳴映像技術から得られるデータを使用して規定される請求項1乃至10のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記各画像素子は、その画像素子により表される点で前記身体内の拡散の方位を示すデータを使用して規定される請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、拡散の前記方位を示すデータに基づいて前記各画像素子の前記確率密度関数を導出するステップを含んでいる請求項5に従属する請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記身体は人間又は動物の身体であるか人間又は動物の身体の一部である請求項14記載の方法。
【請求項15】
前記身体は人間又は動物の脳であるか人間又は動物の脳の一部である請求項14記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記身体の特徴を示すデータを生成するために前記画像データを基準データと比較するステップを含んでいる請求項7に従属する請求項14又は15記載の方法。
【請求項17】
前記基準データは、前記身体の臨床的な正常状態を示し、前記比較は前記身体が正常または病気状態であるか否かを示すデータを生成する請求項16記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記画像データを初期時期に前記身体から生成されたさらに別のデータと比較するステップを含んでいる請求項7に従属する請求項14又は15記載の方法。
【請求項19】
さらに、前記比較に基づいて前記身体の発達または衰退を示すデータを生成するステップを含んでいる請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるように構成されたコンピュータの読取り可能なプログラムコードを含んでいるキャリア媒体。
【請求項21】
撮像される身体部分を表す複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成するためのコンピュータ装置において、
プロセッサの読取り可能な命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている命令を読取って実行するように構成されるプロセッサとを具備し、
前記プロセッサの読取り可能な命令は請求項1乃至19のいずれか1項記載の方法を実行するように前記プロセッサを制御する命令を含んでいるコンピュータ装置。
【請求項22】
撮像される身体部分を表す複数の各画像素子の接続程度を示すデータを生成するための装置において、前記装置は、
各複数の画像素子に対して、その画像素子と前記複数の画像素子の他の画像素子との間の接続を示すデータセットを発生し、
各前記複数の画像素子に対して、その画像素子の接続程度を示すデータを生成する処理を実行するように構成された処理手段を具備し、
前記接続程度は前記複数の発生されたデータセットに基づいている装置。
【請求項23】
撮像される身体部分を表す画像の画像素子における複数の方向のそれぞれの拡散の可能性を示すデータを生成する方法において、
前記画像データから前記複数の各拡散方向の複数の評価を生成し、
前記複数の評価に基づいて前記複数の方向のそれぞれの拡散の可能性を示す前記データを生成するステップを含んでいる方法。
【請求項24】
さらに、変換された画像データを生成するためにファンク−ラドン変換の適用により前記画像データを処理し、
前記複数の各拡散方向の前記複数の評価は前記変換された画像データから生成される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記複数の各拡散方向についての前記複数の評価の1つの発生は、複数の点のそれぞれにおける方位分布関数のサンプリングを含んでいる請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記複数の各点は球体の表面上に位置されている請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記複数の各方向についての前記複数の評価の幾つかは、
複数の点を有するセットを発生し、
差データを生成するためさらに別の点のセットを基準に前記点のセットを処理し、
前記差データに基づいて新しい点のセットを生成することにより決定される請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
前記画像データは磁気共鳴画像データである請求項23乃至27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
各画像素子はボクセルである請求項23乃至28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
請求項22乃至29のいずれか1項記載の方法をコンピュータに実行させるように構成されたコンピュータの読取り可能なプログラムコードを有しているキャリア媒体。
【請求項31】
撮像される身体部分を表す各複数の画像素子の接続程度を示すデータを発生するためのコンピュータ装置において、
プロセッサの読取り可能な命令を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されている命令を読取って実行するように構成されるプロセッサとを具備し、
前記プロセッサの読取り可能な命令は請求項22乃至29のいずれか1項記載の方法を実行するように前記プロセッサを制御する命令を含んでいるコンピュータ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【公表番号】特表2010−525912(P2010−525912A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506990(P2010−506990)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001533
【国際公開番号】WO2008/135738
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505395858)ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスター (18)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANCHESTER
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001533
【国際公開番号】WO2008/135738
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(505395858)ザ・ユニバーシティ・オブ・マンチェスター (18)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF MANCHESTER
【Fターム(参考)】
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