説明

画像処理装置、ゴミ検出制御方法及びゴミ検出制御プログラム

【課題】本発明は、原稿読み取りの光路上におけるゴミの有無判定と対応処理を精度良くかつ効率的に行う。
【解決手段】画像形成装置1は、シートスルー用コンタクトガラス22上を搬送される原稿Gの走査光学機構30による読み取り前または読み取り後に、白色ガイド板43を読み取って、ゴミ検知部51が、少なくともスキャナ補正部7の生成するカラー画像と白黒画像のいずれかの画像データにおいてスジ画像となるゴミが、走査光学機構30による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出して、該検出結果とハードディスク4等に記憶されている該カラー画像出力と該白黒画像出力の履歴に基づいて、ゴミに対する対応処理を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、ゴミ検出制御方法及びゴミ検出制御プログラムに関し、詳細には、原稿読み取り光路上におけるゴミの有無判定と対応処理を精度良くかつ効率的に行う画像処理装置、ゴミ検出制御方法及びゴミ検出制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置、複写装置及びファクシミリ装置等の原稿の画像を光学的に読み取る画像読み取り装置においては、従来から複数枚の原稿を効率的に読み取るために、ADF(Automatic Document Feeder:自動原稿送り装置)を使用して、複数枚の原稿を1枚ずつ分離して読み取り部のコンタクトガラスで形成されている読み取り窓に搬送し、読み取り窓上を搬送される原稿に、該読み取り窓の下方に静止して配置されている読み取り部の光源から光を投射して、原稿で反射された光を所定の光路を通過させてCCD(Charge Coupled Device )等の光電変換素子に入射して、原稿の画像を読み取っている。
【0003】
このような画像読み取り装置においては、その光路上の部品にゴミやほこり及びその他の異物等(以下、ゴミ等という。)が付着すると、該ゴミ等が縦方向(副走査方向)の黒スジ、白スジ、色スジ等の縦スジとなって画像に現れ、画質を著しく低下させる。すなわち、例えば、図12(a)に示すように、本来の原稿には存在しないが、図12(b)に示すように、読み取り画像に生じた縦スジ(副走査方向のスジ)は、表示出力画像や用紙等への記録出力画像等の出力画像にも発生する。
【0004】
また、カラー画像読み取り装置においては、RGB(赤(Red)、緑(Green)、青(Blue))の3ラインのCCDを副走査方向に所定間隔で位置ずれした状態で配置して、それぞれのCCDで原稿の画像を読み取っている。
【0005】
そして、カラー画像読み取り装置において、ADFを用いてカラー原稿を搬送してRGB3ライン分のCCDでカラー画像を読み取る場合、光路上に塵などの小さなゴミが付着していると、RGBの3つのラインCCDのうち1つのCCDの光路上にのみゴミが存在することがある。このような場合、色スジ(縦スジ)となって、読み取られてしまう。例えば、G信号の光路に黒いゴミが存在する場合、白紙原稿を読み取った場合であっても、G色の補色であるマゼンタ色の縦スジが読み取られてしまう。
【0006】
そこで、従来、白色ガイド板を読み取って、読み取った該画像データに基づいてゴミの有無を検知し、ゴミが有ると、その旨を操作者に警告したり、スジ画像として検出された画像を該画素周辺の画素に置き換える補正を行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、ゴミの有無を検知して、ゴミが有ることを検知すると、警告を出力したり画像補正を行うようになっていたため、ゴミ等が読み取り画像を利用する上で問題とならない場合、例えば、主走査方向の原稿サイズがゴミ位置より小さい場合、カラー読み取りを行なって白黒出力する場合等には、特別な対応を行う必要がなかったり、対応処理を適切に行う上で、改良の必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と検知したゴミに対する対応処理を高精度かつ効率的に行うことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の画像処理装置は、所定の読み取り面上を搬送される原稿に所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿での反射光の複数色に対して光電変化して該原稿の画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り手段と、前記画像読み取り手段の出力する前記画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力手段と、前記画像読み取り手段の出力する前記画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力手段と、前記読み取り面を挟んで前記画像読み取り手段と反対側に配設されている基準板を、該画像読み取り手段が読み取った画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力手段と前記白黒画像データ出力手段のいずれかが出力する画像データにおいてスジ画像となる異物が、該画像読み取り手段による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出手段と、前記カラー画像出力手段と前記白黒画像出力手段による画像出力の履歴を記憶する履歴記憶手段と、前記異物検出手段の検出結果と前記履歴記憶手段の記憶する前記履歴に基づいて、前記異物に対する対応処理を決定する対応処理決定手段と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と検知したゴミに対する対応処理を高精度かつ効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成装置のブロック構成図。
【図2】スキャナの正面概略構成図。
【図3】シートスルー用コンタクトガラス部分の拡大正面図。
【図4】CCDの平面図。
【図5】スキャナ補正部のブロック構成図。
【図6】ゴミ検知部のブロック構成図。
【図7】コントローラのブロック構成図。
【図8】プリンタ補正部のブロック構成図。
【図9】副ゴミ検知部における副走査方向検知範囲の説明図。
【図10】自動カラー選択出力時のゴミ対策処理の一例を示す図。
【図11】ユーザの過去の出力モード履歴を参照したゴミ対策処理の一例を示す図。
【図12】原稿とスジの入った読み取り画像の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0013】
図1〜図11は、本発明の画像処理装置、ゴミ検出制御方法及びゴミ検出制御プログラムの一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、ゴミ検出制御方法及びゴミ検出制御プログラムの一実施例を適用した画像形成装置1のブロック構成図である。
【0014】
図1において、画像形成装置(画像処理装置)1は、コントローラ2、操作表示部3、ハードディスク(HDD)4、NIC(Network Interface Card)5、スキャナ6、スキャナ補正部7、圧縮処理部8、伸張処理部9、プリンタ補正部10及びプロッタ11等を備えており、コントローラ2、圧縮処理部8及び伸張処理部9は、汎用バス12により接続されている。
【0015】
画像形成装置1は、NIC5に接続されているネットワークを介してコンピュータPC等に接続されており、NIC5は、ネットワークを介してコンピュータPCとの間で、コマンドや画像データの授受を行う。
【0016】
スキャナ6は、図2に示すように、画像形成装置1の本体筐体1aの上部に配設されたブック読み取り用コンタクトガラス21とシートスルー用コンタクトガラス(読み取り面)22が配設され、ブック読み取り用コンタクトガラス21とシートスルー用コンタクトガラス22との間には、スケール23が配設されている。本体筐体1a内には、走査光学機構30が配設されており、走査光学機構(画像読み取り手段)30は、図示しない第1走行体に搭載された光源31及び3枚のミラー32a〜32d及び第2走行体に搭載されたレンズ33とCCD部34等を備えている。
【0017】
スキャナ6は、コンタクトガラス21、22の上方に、ADF35が開閉可能に配設されており、ADF35は、複数枚の原稿Gの載置される原稿テーブル36、呼び出しコロ37、分離ローラ38、原稿セットセンサ39、レジストセンサ40、搬送ローラ41、マイラ42、白色ガイド板43、上排紙ガイド44、下排紙ガイド45、排紙ローラ46及び排紙トレイ47が、破線矢印で示す原稿搬送経路に沿って順次配設されている。
【0018】
ADF35は、原稿テーブル36に、原稿テーブル36に載置された原稿Gの給紙方向側を持ち上げて最上段の原稿Gを呼び出しコロ37に当接させる加圧板36a、原稿Gのセット基準となるストッパ36b等が設けられており、原稿テーブル36に載置された最上段の原稿Gを呼び出しコロ37によって分離ローラ38に送り出す。
【0019】
分離ローラ38は、分離ローラ38の上側ローラが図示しない給紙モータにより給紙方向に回転駆動され、分離ローラ38の下側ローラが給紙方向と逆方向に回転駆動されることで、呼び出しコロ37によって送り出されてきた原稿Gの最上段の原稿Gのみを分離して送り出す。ADF35は、原稿テーブル36に原稿Gがセットされたことを原稿セットセンサ39で検知し、レジストセンサ40は、原稿サイズを検知する。
【0020】
搬送ローラ41は、図3に示すように、分離ローラ38によって送り出された原稿Gをシートスルー用コンタクトガラス22方向に搬送し、マイラ42及び白色ガイド板43が、原稿Gをシートスルー用コンタクトガラス22へガイドするとともに、白色ガイド板43が、原稿Gをシートスルー用コンタクトガラス22に密接させた状態で搬送させる。
【0021】
走査光学機構30は、シートスルー用コンタクトガラス22上を搬送される原稿Gに光源31から読み取り光を照射させ、原稿Gで反射された読み取り光の反射光を、ミラー32a、32b、32cで順次反射させてレンズ33を通してCCD部34に集光する。CCD部34は、図4に示すように、RGB(赤(Red)、緑(Green)、青(Blue))用のCCD34r、34g、34bが副走査方向に所定間隔空けて配列されており、各CCD34r、34g、34bは、図示しないが、主走査方向に1ライン分の長さにわたって延在する多数のCCD素子がライン状に配設されている。各CCD34r、34g、34bは、入射光を光電変換して、原稿Gを読み取ったアナログの画像データを出力する。
【0022】
ADF35は、シートスルー用コンタクトガラス22上を通過した原稿Gを上排紙ガイド44と下排紙ガイド45により排紙ローラ46に案内し、排紙ローラ46が、読み取りの完了した原稿Gを排紙トレイ47上に排出する。
【0023】
ADF35は、ブック読み取り用コンタクトガラス21上を開閉可能な状態で回動可能に本体筐体1aに取り付けられており、排紙トレイ47の下面には、ADF35を開いてブック読み取り用コンタクトガラス21上にセットされた原稿をブック読み取り用コンタクトガラス21に押し付ける圧板48が取り付けられている。
【0024】
上記白色ガイド板43は、シートスルー用コンタクトガラス22側の面が白色に施されており、シェーディング用の白基準を提供するとともに、本発明のゴミ検出用白基準を提供する。
【0025】
上記スキャナ補正部(カラー画像出力手段、白黒画像出力手段、異物検出手段、対応処理決定手段)7は、図5に示すように、ゴミ検知部51、像域分離部52、スキャナγ部53、フィルタ処理部54、色補正処理部55、文字γ部56及びカラー原稿判定部57を備えており、スキャナ6が原稿Gを読み取ったRGBの各CCD34r、34g、34bからの反射率リニアな画像データまたは白色ガイド板43を読み取った反射率リニアな画像データがゴミ検知部51に入力される。スキャナ補正部7は、以下に説明するように、ゴミ検知処理を行うとともに、スキャナ6の読み取った画像データ(デジタルデータ)に対して、画像領域の文字、線画、写真等の分類、原稿画像の地肌画像の除去、画像の先鋭化、平滑化等の画像処理を施す。
【0026】
ゴミ検知部(異物検出手段、対応処理決定手段)51は、図6に示すように、RGBそれぞれの副平均化部61r、61g、61b、RGBそれぞれのγ補正部62r、62g、62b、加算器63、RGB及び輝度Lそれぞれの主ゴミ検知部64r、64g、64b、64l、RGB及び輝度Lそれぞれの副ゴミ検知部65r、65g、65b、65l、ゴミ検知判定部66及びゴミ補正部67を備えている。
【0027】
RGBの副平均化部61r、61g、61bは、全て同じ機能であり、それぞれRGBの副走査方向において、複数ライン分の画像データを平均する。副平均化部61r、61g、61bは、RGBそれぞれについて、主走査方向については、平均化することなく、副走査方向において平均化することで、画像のノイズを除去して、処理結果を、γ補正部62r、62g、62b及びRGBの主ゴミ検知部64r、64g、64bに出力する。
【0028】
γ補正部62r、62b、62gは、全て同じ機能であり、入力8bit、出力8bitのルックアップテーブルを備えていて、副平均化部61r、61g、61bで平均化された入力データに対して、該ルックアップテーブルを参照して、γ補正を施して、所定の出力データを生成して加算器63に出力する。
【0029】
加算器63は、各γ補正部62r、62b、62gからのγ補正後のデータを加算して、輝度データLを生成し、生成した輝度データLを主ゴミ検知部64lに出力する。
【0030】
すなわち、RGBから輝度変換する式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×Bを実現するために、γ補正部62r、62b、62gで乗算を実施して、加算器63で加算を実施している。
【0031】
RGBLの主ゴミ検知部64r、64b、64g、64lは、全て同じ機能であり、主走査1ラインにゴミの有り/無しの検知を行う。具体的には、主ゴミ検知部64r、64b、64g、64lは、RGBLそれぞれにおいて、処理対象の画素の濃度と主走査方向の周辺画素の濃度差を求めてゴミの有無検知を行い、ゴミの有り/無し、を画素単位で記憶する。
【0032】
副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lは、原稿読み取り前または原稿読み取り後に、スキャナ6で、白色ガイド板43をゴミ検知の検知範囲(ライン)分だけ読み取って、ゴミの有り/無し、を判定する。具体的には、副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lは、ゴミ検知の検知範囲の最初から最後まで、主ゴミ検知部64r、64b、64g、64lのゴミ有りと判定した主走査画素位置(座標)が、同じ主走査位置で連続していると、その位置にゴミ有りと判定する。
【0033】
副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lは、ゴミ検知の検知範囲の読み取りを終了して、ゴミ検知動作時にゴミ有りと判定すると、ゴミ検知判定部66に対して、ゴミ有りを通知するとともに、ゴミ補正部67にゴミの有った座標を通知する。
【0034】
ゴミ補正部67は、原稿がカラーであってカラー出力を行う場合には、副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lがゴミ有りと検知した色の該画素位置の画素のみを周辺画素で置き換える等のゴミ補正処理を行う。ゴミ補正部67は、例えば、副ゴミ検知部65rのみからゴミ有りであってその画素の座標が通知されると、R画像の当該座標の画像(画素)を周辺画素(画像)で置き換える等のゴミ補正処理を行う。同様に、副ゴミ検知部65bまたは副ゴミ検知部65gからのみゴミの座標が通知されると、同様に、B画像またはG画像の当該座標の画像(画素)を周辺画素(画像)で置き換える等のゴミ補正処理を行う。また、ゴミ補正部67は、出力画像が白黒であって、L副ゴミ検知部65lが、ゴミ有りと検知すると、RGBの3つのCCD34r、34g、34bの出力に対して補正を行う。
【0035】
ゴミ検知判定部(対応処理決定手段)66は、副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lのゴミ有無判定結果、カラー原稿判定部57のカラー原稿/白黒原稿の判定結果及び出力条件であるカラー出力/白黒出力に基づいて、ゴミ対応処理を決定する。このゴミ対応処理としては、例えば、警告等を行うことなく読み取った画像データに基づいて画像出力する処理、ゴミ画素を周辺画素で補正する画像補正処理、走査光学機構30による読み取り位置を副走査方向に移動させて読み取る読み取り位置変更処理、操作表示部3のディスプレイへの航路上の清掃を促す警告表示処理等がある。
【0036】
再び、図5に戻って、カラー原稿判定部57は、ゴミ検知部51から入力される画像データに基づいて、読み取られた原稿Gの画像データがカラー原稿Gの画像データであるか、白黒画像データの画像データであるかを判定し、判定結果をスキャナ補正部7の必要な各部に提供する。
【0037】
象域分離部52は、コントローラ2によって、ゴミ検知時と原稿読み取り時とで閾値(像域分離処理パラメータ)が切り替えられて、ゴミ検知部51からのデジタル画像データに対して像域分離処理を施して、原稿Gの文字領域(特に、黒エッジ文字領域、色エッジ文字領域)、写真領域、網点領域等を抽出し、象域分離処理後のデジタル画像データに像域分離信号(黒エッジ文字領域、色エッジ文字領域、写真領域等を示す像域分離信号)を画素毎に付与してスキャナγ部53に出力する。
【0038】
スキャナγ部53は、スキャナ2で読み取られて像域分離部52で像域分離された反射率リニアなRGB画像データを、濃度リニアなRGB画像データに変換して、フィルタ処理部54に出力する。
【0039】
フィルタ処理部54は、像域分離部52からの像域分離信号によってフィルタ処理を切り換える。すなわち、フィルタ処理部54は、文字領域(黒エッジ文字と色エッジ文字)の画像データに対しては、判読性を向上させるために、鮮鋭化するフィルタ処理を施し、写真領域の画像データに対しては、画像データ内の急峻な濃度変化をエッジ量として、エッジ量に応じて平滑化処理や鮮鋭化処理を施して、色補正処理部55に出力する。なお、写真領域の画像データに対しては、画像データ内の急峻なエッジを鮮鋭化するのは、絵の中の文字を判読しやすくするためである。
【0040】
色補正処理部55は、カラーと白黒で処理が異なる。すなわち、色補正処理部55は、カラーの場合、すなわち、カラー原稿判定部57が原稿Gの画像データがカラー画像データであると判定したときには、黒エッジ文字領域以外においては、R、G、Bの画像データを濃度マスキング法等でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の描画データに変換するとともに、画像データの色再現性を向上させるために、C、M、Yデータの共通部分をUCR(加色除去)処理して、K(黒)データを生成し、C、M、Y、Kデータを文字γ部56に出力する。ここで、黒エッジ文字領域は、スキャナ6のRGB読み取り位置ずれで原稿Gの黒文字が色付いたり、プロッタ11のYMCKで印刷するときの重ね位置ずれがあると判読性が劣化するため、黒文字領域のみ輝度に相当する信号でK単色データ(C、M、Yは、プリントアウトしてないデータ)で出力する。
【0041】
また、色補正処理部55は、白黒の場合、すなわち、カラー原稿判定部57が原稿Gの画像データが白黒画像データであると判定したときには、R、G、Bデータを輝度に相当するデータ(例えば、式Y=0.299×R+0.587×G+0.114×B)に変換して、Kデータのみのデータとして出力し、他のCMYについては、「0」を出力する。
【0042】
文字γ部56は、画像の文字部のコントラストを向上させるために、色文字と黒文字に対してγを立たせ、色文字と黒文字以外では、入力画像データをそのまま圧縮処理部8に出力する。
【0043】
圧縮処理部8は、スキャナ補正部7でスキャナ補正された後のYMCK各8bitの画像データを圧縮処理して、該画像データを、汎用バス12を介してコントローラ2に送る。コントローラ2は、送られてきた画像データを大容量の記憶媒体であるハードディスク4(HDD)に蓄積する。なお、上記説明では、画像データに対して圧縮処理部8で圧縮を施した後に、汎用バス12を介して画像データをコントローラ2に送信しているが、汎用バス12の帯域が十分に広く、蓄積するハードディスク4の容量が十分に大きいときには、非圧縮の状態で画像データをコントローラ2に送信して、コントローラ2によってハードディスク4に蓄積してもよい。
【0044】
操作表示部3は、画像形成装置1を操作するのに必要な各種キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)やLED(Light Emitting Diode)等のランプを備え、操作キーからは、画像形成装置1を利用した複写処理、スキャナ処理、プリント処理等の各種処理に必要な各種操作や後述するゴミ検出制御処理の設定等に必要な各種操作が行われる。操作表示部3は、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容や画像形成装置1からユーザに通知するエラーメッセージ及び後述するゴミ検知結果の警告メッセージ等の各種情報が表示される。
【0045】
そして、コントローラ2は、図7に示すようにブロク構成されており、CPU(Central Processing Unit )71、圧縮伸張処理部72、ページメモリ73、出力フォーマット変換部74、入力フォーマット変換部75及びデータI/F部76等を備えているとともに、図示しないROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備えている。
【0046】
CPU71は、ROM内に格納されているプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用して、画像形成装置1の各部を制御して、画像形成装置1としての基本処理を実行するとともに、本発明のゴミ検出制御処理を実行する。
【0047】
すなわち、画像形成装置1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明のゴミ検出制御方法を実行するゴミ検出制御プログラムを読み込んでROMやハードディスク4等に導入することで、後述するスキャナ6の読み取り光路上のゴミの検出制御及びゴミ対策処理を高精度にかつ効果的に行うゴミ検出制御方法を実行する画像処理装置として構築されている。このゴミ検出制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータで実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0048】
圧縮伸張処理部72は、CPU71の制御下で、汎用バス12を介してスキャナ補正部7から送られてくる圧縮画像データを、そのままハードディスク4に転送してハードディスク4に蓄積させ、ハードディスク4の圧縮画像データを汎用バス12を介して伸長処理部9に送る。また、圧縮伸張処理部72は、ハードディスク4の圧縮画像データを、ページメモリ73を利用して伸張して、出力フォーマット変換部74に渡し、入力フォーマット変換部75からフォーマット変換後の画像データを、プロッタ11で印刷可能な状態の描画データへページメモリ73にビットマップ展開して、展開したデータ(例えば、600dpi)を圧縮してハードディスク4に蓄積する。
【0049】
ページメモリ73は、圧縮伸張処理部72が圧縮画像データを伸張する際、NIC5を介してコンピュータPCから受信したコマンド(ページ記述言語PDL)を解析して画像データをプロッタ11で印刷可能なビットマップに展開して圧縮データ(例えば、600dpi等)に展開する際等に使用される。
【0050】
出力フォーマット変換部74は、画像データをデータI/F部76及びNIC5を介してネットワークを通してコンピュータPCに配信する際に、コントローラ71が色変換処理、配信スキャナ動作時のモードに従った階調変換処理を施した画像データに対して、フォーマット処理を行う。出力フォーマット変換部74は、このフォーマット処理として、JPEGやTIFF形式等への汎用画像フォーマット変換処理を行うとともに、600dpiから他の解像度への変換等を行う。コントローラ2は、出力フォーマット変換部74の処理が完了すると、データをデータI/F部76及びNIC5を介して、ネットワーク上のコンピュータPCに送信する。
【0051】
入力フォーマット変換部75は、NIC5及びデータI/F部76を介して取り込んだコンピュータPCからのデータから、画像及びプリントを指示するコマンド(ページ記述言語PDL)を解析し、画像データとして、印刷できる状態にページメモリ73にビットマップ展開する。コントローラ2は、上述のように、このページメモリ73に展開された画像データを、CPU71の制御下で、圧縮伸張処理部72に圧縮させて、ハードディスク4に蓄積する。
【0052】
データI/F部76は、出力フォーマット変換部74、入力フォーマット変換部75に接続されているとともに、NIC5に接続され、NIC5を介してネットワーク上のコンピュータPCとコントローラ2とのコマンドや画像データ等のデータの授受を行う。
【0053】
そして、図1の伸長処理部9は、汎用バス12を介してコントローラ2に接続され、コントローラ2から汎用バス12を介して送られてくる圧縮処理された画像データを、元の88bitのデータに伸張して、プリンタ補正部10に送出する。特に、伸張処理部9は、プロッタ11で画像をカラー出力するときには、圧縮処理部8で圧縮されたYMYKに展開し、プロッタ11で画像を白黒出力するときには、YMCは「0」になるので、K信号のみを発生する。
【0054】
プリンタ補正部10は、図8に示すように、プリンタγ部81、中間調処理部53及びエッジ量検出部83等を備えており、プリンタγ部81及びエッジ量検出部83に、伸長処理部9で伸張された画像データが入力される。プリンタ補正部10は、プロッタ11の明暗特性の補正処理や階調数変換処理を行う。ここでの階調数変換処理では、誤差拡散やディザ処理を行なって、各色8bitから2bitへ画像データの変換を行う。
【0055】
プリンタγ部81は、コンタクトガラス2から入力される標準のYMCKの画像データをプロッタ11の特性(周波数特性)にあったYMCKの画像データに変換するγ補正を施して、中間調処理部82に出力する。
【0056】
エッジ量検出部83は、コンタクトガラス2から入力される画像データ内の急峻な濃度変化をエッジ量として検出して、検出結果を中間調処理部82に出力する。
【0057】
中間調処理部82は、プロッタ11の階調特性やエッジ量検出部83からのエッジ量に応じて、プリンタγ部81からの画像データに対して、ディザ処理や誤差拡散処理等の量子化を行い、階調補正等の量子化を行って、文字の判読性を向上させて、プリンタ部11に処理後の画像データを出力する。
【0058】
そして、プロッタ11は、所定の印刷方式、例えば、電子写真方式やインク噴射方式で、図示しないパーソナルコンピュータPCから受信した画像データやスキャナ6で読み取った画像データを、プリンタ補正部10から受け取って、該画像データに基づいて出力画像を用紙に形成出力(印刷出力)する。すなわち、プロッタ11は、電子写真方式で印刷処理を行う場合、図示しないが、電子写真方式で用紙に描画データに基づいて印刷処理を行うのに必要な部品、例えば、CMYKの各色毎に、感光体、光書込部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えており、プリンタ補正部10からの2bitの画像データ及び制御信号により光書き込み部を動作させて感光体上に静電潜像を形成して、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像して、カラートナー画像または白黒トナー画像を形成する。プロッタ11は、給紙部から用紙を感光体と転写部との間に給紙して、各色の感光体上のトナー画像を用紙に順次重ね合わせて転写させ、トナー画像の転写された用紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙上のトナー画像を定着させる。
【0059】
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像形成装置1は、スキャナ6での画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と該検知したゴミに対する対応処理を高精度にかつ効率的に行う。
【0060】
画像形成装置1は、スキャナ6で読み取った原稿Gの画像データをNIC5を介してコンピュータPCに送信する配信処理、スキャナ6で読み取った原稿Gの画像データをプロッタ11で用紙に画像形成出力する複写処理を行い、また、コンピュータPCから送られてきた画像データを、プロッタ11で用紙に画像形成出力するプリント処理、他のコンピュータに転送する転送処理等を行う。
【0061】
画像形成装置1が備えているこれらの動作処理のうち、スキャナ6で原稿Gの画像を読み取る画像読み取り処理、特に、シートスルー読み取り処理においては、シートスルー用コンタクトガラス22の真下位置に静止する走査光学機構30から搬送される原稿Gに光源31から読み取り光を照射して、原稿Gで反射された反射光を、ミラー32a、32b、32cで順次反射させてレンズ33を通してCCD部34(CCD34r、34g、34b)に集光し、CCD34r、34g、34bでRGBの画像データに光電変換して、スキャナ補正部7に出力する。
【0062】
このとき、例えば、図12(a)に示したような原稿Gの画像をスキャナ6で読み取った場合、光源31からCCD部34に至る光路上に、ゴミが存在すると、図12(b)に示したように、読み取り画像Dには、縦スジ(副走査方向のスジ)が発生して、画質が劣化する。
【0063】
そして、シートスルー用コンタクトガラス22にゴミが落ちても、原稿Gが搬送されてくると、シートスルー用コンタクトガラス22に原稿Gが接触しながら搬送されるため、該原稿Gがゴミをシートスルー用コンタクトガラス22上からゴミを払いのけることができる場合がある。このような原稿Gが払いのけることのできるゴミは、コンタクトガラス22上に一瞬だけ存在するため、たとえ読み取り画像データにゴミ画像が存在しても、ノイズエイドの影響であり、画質が問題となることはない。
【0064】
ところが、原稿Gに付着しているセロテープ(登録商標)、両面テープ、ポストイットの接着剤が微量であってもシートスルー用コンタクトガラス22上に付着すると、該粘着剤であるゴミを原稿Gで払いのけることができず、微量な該粘着剤を核にして、紙粉とトナーが付着してゴミが発生・成長する。このような徐々に成長するゴミは、発生初期においては、RGBのCCD34r、34g、34bのうちのいずれか1ch(チャネル)の光路上にのみ発生し、図12(b)に示したような縦スジが読み取り画像に発生する。例えば、光源31からG色のCCD34gに至る光路上にゴミが存在する場合、白紙原稿を読み取ったときであっても、G色の補色であるマゼンタ色の縦スジが出力画像に発生する。
【0065】
そこで、本実施例の画像形成装置1は、スキャナ6が原稿Gを読み取る前または読み取った後に、走査光学機構30に白色ガイド板43を読み取らせて、該白色ガイド板43を読み取った画像データに基づいて、スキャナ補正部7のゴミ検知部51で、ゴミの有無を検知し、ゴミを検知した場合、操作表示部3のディスプレイへのユーザに清掃を促す表示処理、画像処理で自動的にスジを消す処理、シートスルー用コンタクトガラス22上のゴミの無い位置に読み取り位置をずらす処理等のゴミ対策処理を従来行なっている。
【0066】
ところが、光路上にゴミが存在していても、画像の出力条件によっては、ゴミが出力画像に縦スジとして発生して画質が劣化する場合と、縦スジが発生しないあるいは発生しても大きな画質劣化にはならない場合と、があり、また、上記ゴミ対策処理を行うと、ゴミ対策処理が完了するまで時間を要したり、画像処理を必要として、処理時間が長くかかって、画像形成装置1の利用性が悪化する。
【0067】
そこで、本実施例の画像形成装置1は、読み取った画像データの出力条件に基づいて、ゴミ検出を適切に行うとともに、ゴミ対策処理の実行の要否を判定して、精度良くかつ効率的にゴミ検出制御処理を行う。
【0068】
すなわち、画像形成装置1は、画像出力条件が、カラー出力、白黒出力、あるいは、自動カラー選択出力のいずれであるかによって、ゴミ検知とゴミ対策処理を変更する。この自動カラー選択出力とは、カラー原稿判定部57が、カラー原稿か白黒原稿かを判定して、カラー原稿と判定すると、カラー出力の動作を行い、白黒原稿と判定すると、白黒出力の動作を行う処理をいう。なお、以下の説明では、原稿読み取り前にゴミ検知処理とゴミ対策処理を行う場合について説明するが、原稿読み取り後にゴミ検知処理とゴミ対策処理を行なってもよい。
【0069】
<カラー出力時の処理>
まず、カラー出力時のゴミ検知処理及びゴミ対策処理について、説明する。
【0070】
画像形成装置1は、カラー出力が操作表示部3やコンピュータPCからのコマンド等によって指定されていると、走査光学機構30に、原稿読み取り前に白色ガイド板43を読み取らせて、スキャナ補正部7のゴミ検知部51でゴミ検知処理を行う。
【0071】
画像形成装置1は、スキャナ6が白色ガイド板43を読み取ったRGBの画像データを、ゴミ検知部51の副平均化部61r、61g、61b、主ゴミ検知部64r、64b、64g及び副ゴミ検知部65r、65b、65gを経由させてゴミの有無検知を行い、ゴミ検知結果をゴミ検知判定部66及びゴミ補正部67に通知して、ゴミ対策処理の実行の要否と実行要のときのゴミ対策処理の実行を行う。
【0072】
以下、ゴミ検知部51でのゴミ検知処理について説明する。なお、以下の説明においては、説明を明確化するために、8画素で平均化する場合について説明するが、画像読み取りノイズが大きい場合には、16画素平均等のように、平均する画素個数を多くしてもよい。
【0073】
すなわち、ゴミ検知部51は、スキャナ6が白色ガイド板43を読み取ったときの画像データが、副平均化部61r、61g、61bとゴミ補正部67に入力され、副平均化部61r、61g、61bは、シートスルー用コンタクトガラス22上のゴミが有るときの画像に出現するスジを正確に検出するために、副走査8ライン分画像データの平均処理を行って、処理結果を主ゴミ検知部64r、64b、64gに出力する。すなわち、副走査方向8ライン分の画像データを平均化すると、スジ画像が副走査方向に連続するという特徴を利用して、スジとなる濃度の濃い部分や白色ガイド板43の白い部分のノイズを除去することができる。
【0074】
主ゴミ検知部64r、64b、64gは、処理対象の画素の濃度と主走査方向の周辺画素の濃度との濃度差に基づいて、主走査1ラインにゴミが有るか、無いかのゴミ有る/無しの検知を行う。主ゴミ検知部64r、64b、64gは、画像データの各ラインについて、主走査方向の先端から順次判定を行うパイプライン方式によりゴミ検知処理を行う。
【0075】
具体的には、主ゴミ検知部64r、64b、64gは、入力される画像データが、以下の2条件のうちいずれかに該当すると、ゴミ有りと判定する。
【0076】
条件1:注目画素の濃度が濃度閾値thd1以上であって、注目画素が一つ前の画素よりも差濃度thdd以上濃いこと。
【0077】
条件2:一つ前の画素判定結果がゴミ有りで、注目画素の濃度が濃度閾値thd2以上であること。ここで、thd1>thd2である。
【0078】
なお、画像の論理は、数字が大きくなると白くなり、数字が小さくなると黒くなる。
【0079】
条件1は、ゴミを検知開始の条件であり、条件2は、検知したゴミの連続性の判定であって、検知したゴミの連続性であるゴミ有りを検知しやすい条件となっている。
【0080】
また、閾値thd1、thd2及び差濃度thddは、原稿読み取り開始前に予め決まっているパラメータであり、RGBの画像データにより、異なるパラメータである。
【0081】
さらに、上記では、注目画素の1画素隣の画素を参照して、ゴミの有無を判定しているが、注目画素の2画素隣の画素または3画素隣の画素を参照してゴミの有無判定を行なってもよい。すなわち、シートスルー用コンタクトガラス22上のゴミは、一般的に、上述のように、小さい接着剤等を核として成長するため、主ゴミ検知部64r、64b、64gがゴミ判定に用いるパラメータは、シートスルー用コンタクトガラス22上にRGBの光路のうち1つの光路にのみゴミが付着した状態で、縦スジが発生する状態を検知するように決定されている。
【0082】
主ゴミ検知部64r、64b、64gは、ゴミ検知結果を副ゴミ検知部65r、65b、65gに出力する。
【0083】
副ゴミ検知部65r、65b、65gは、原稿読み取り前に白色ガイド板43を所定の検知範囲(ライン)分だけ読み取って副平均化部61r、61g、61b及び主ゴミ検知部64r、64b、64gで処理されて主ゴミ検知部64r、64b、64gから入力されるRGB画像データ及び主ゴミ検知部64r、64b、64gのゴミ検知結果に基づいてゴミの有り/無しを判定する。この場合、副ゴミ検知部65r、65b、65gは、ゴミ検知の検知範囲の最初から最後まで、主ゴミ検知部64r、64b、64gのゴミ有りの主走査方向位置(座標)が、同じ、すなわち、連続していると、その画素位置にゴミ有りと判定する。副ゴミ検知部65r、65b、65gは、この連続性の判定においては、毎ライン判定するのではなく、平均したラインの8ライン単位で判定してもよい。すなわち、8ライン単位で判定することにより、副平均化部61r、61g、61bは、8ライン平均を毎ライン取る必要がなく、8ライン分の加算結果を「8」で割ることで対応することができ、メモリ量を減らすことができる。
【0084】
また、副ゴミ検知部65r、65b、65gにおけるゴミ検知の検知範囲は、副平均の平均画素より大きくする。平均する画素が8画素であると、16画素(2倍)以上が望ましい。すなわち、非常に濃い浮遊ゴミがあったときの該ゴミの影響は、平均したラインの2倍影響し、ある程度の濃度として残ってしまうため、誤判定するおそれがあるからである。
【0085】
副ゴミ検知部65r、65b、65gは、例えば、図9に示すように、●がゴミであるとすると、ゴミ画素を中心として、副走査方向に、○で示すゴミ以外(白色ガイド)の画素を8画素分(←→で示す範囲の画素)平均化して、ゴミ検知を行う。
【0086】
また、副ゴミ検知部65r、65b、65gは、例えば、濃いゴミの反射率が10%、白色ガイド板43の反射率が80%、検知しようとする反射率が50%であるときに、8画素中2画素浮遊ゴミが混ざると、平均した反射率は、62.5%であるので、ゴミとしては検知しない。副ゴミ検知部65r、65b、65gは、スジにならないゴミ(例えば、反射率60%)に濃い浮遊ゴミ(例えば、反射率10%)が2画素あると、平均した反射率が、47.5%と間違ってしまうため、浮遊ゴミによる誤検知がないように平均した画素の2倍以上の連続があった場合にゴミと判定している。このように、本実施例の画像形成装置1のゴミ検知部51は、副走査平均する画素の2倍以上の検知範囲にすることにより、濃い浮遊ゴミの影響を受けにくくして、検知精度を向上させている。
【0087】
そして、副ゴミ検知部65r、65b、65gは、白色ガイド板43のゴミ検知範囲の読み取りを終了して、ゴミ有りと判定すると、ゴミ検知判定部66にゴミ有りの旨を通知するとともに、ゴミ補正部67にゴミの有った座標を通知する。
【0088】
<白黒出力時の処理>
白黒出力時のゴミ検知処理及びゴミ対策処理について、説明する。
【0089】
画像形成装置1は、白黒出力が操作表示部3やコンピュータPCからのコマンド等によって指定されていると、走査光学機構30に、原稿読み取り前に白色ガイド板43を読み取らせて、スキャナ補正部7のゴミ検知部51でゴミ検知処理を行う。
【0090】
画像形成装置1は、スキャナ6が白色ガイド板43を読み取ったRGBの画像データを、ゴミ検知部51の副平均化部61r、61g、61b、γ補正部62r、62b、62g、加算器63、主ゴミ検知部64l及び副ゴミ検知部65lを経由させてゴミの有無検知を行い、ゴミ検知結果をゴミ検知判定部66やゴミ補正部67に通知して、ゴミ対策処理の実行の要否と実行要のときのゴミ対策処理の実行を行う。なお、以下の説明では、カラー出力の場合と同様に、説明を明確化するために、8画素で平均化する場合について説明するが、画像読み取りノイズが大きい場合には、16画素平均等のように、平均する画素個数を多くしてもよい。
【0091】
副平均化部61r、61g、61bは、カラー出力の場合と同様に、シートスルー用コンタクトガラス22上にゴミが有るときの画像に出現するスジを正確に検出するために、副走査8ライン分画像データの平均処理を行って、処理結果をγ補正部62r、62b、62gと主ゴミ検知部64r、64b、64gに出力する。
【0092】
γ補正部62r、62b、62gは、入力8bit、出力8bitのルックアップテーブルを備えていて、副平均化部61r、61g、61bで平均化された入力データに対して、該ルックアップテーブルを参照して、γ補正を施し、所定の出力データを生成して加算器63に出力する。加算器63は、各γ補正部62r、62b、62gからのγ補正後のデータを加算して、輝度データLを生成し、生成した輝度データLを主ゴミ検知部64lに出力する。
【0093】
主ゴミ検知部64lは、処理対象の画素の濃度と主走査方向の周辺画素の濃度との濃度差に基づいて、主走査1ラインにゴミが有るか、無いかのゴミ有る/無しの検知を行う。主ゴミ検知部64lは、画像データの各ラインについて、主走査方向の先端から順次判定を行うパイプライン方式によりゴミ検知処理を行う。
【0094】
具体的には、主ゴミ検知部64lは、入力される画像データが、カラー出力の場合と同様に、以下の2条件のうちいずれかに該当すると、ゴミ有りと判定する。
【0095】
条件1:注目画素の濃度が濃度閾値thd1以上であって、注目画素が一つ前の画素よりも差濃度thdd以上濃いこと。
【0096】
条件2:一つ前の画素判定結果がゴミ有りで、注目画素の濃度が濃度閾値thd2以上であること。ここで、thd1>thd2である。
【0097】
なお、画像の論理は、数字が大きくなると白くなり、数字が小さくなると黒くなる。
【0098】
条件1は、ゴミを検知開始の条件であり、条件2は、検知したゴミの連続性の判定であって、検知したゴミの連続性であるゴミ有りを検知しやすい条件となっている。
【0099】
また、閾値thd1、thd2及び差濃度thddは、原稿読み取り開始前に予め決まっているパラメータであり、RGBの画像データにより、異なるパラメータである。
【0100】
そして、副ゴミ検知部65lは、原稿読み取り前に白色ガイド板43を所定の検知範囲(ライン)分読み取って副平均化部61r、61g、61b、γ補正部62r、62b、62g、加算器63及び主ゴミ検知部64lで処理されて主ゴミ検知部64lから入力される輝度データLに基づいて、ゴミの有り/無しを判定する。副ゴミ検知部65lは、ゴミ検知の検知範囲の最初から最後まで、主ゴミ検知部64lからのゴミ有りの主走査の位置(座標)が、同じ、すなわち、連続していると、その画素位置にゴミ有りと判定する。副ゴミ検知部65lは、ゴミの連続を判定する際に、ライン毎に毎回判定するのではなく、平均化したラインの8ライン単位で判定してもよい。このように8ライン単位で判定すると、副平均化部61r、61g、61bは、8ライン平均をライン毎に取る必要がなく、8ライン分の加算結果を8で割ることで、ゴミの連続性を判定することができ、メモリ量を減らすことができる。
【0101】
また、副ゴミ検知部65lにおけるゴミ検知の検知範囲は、副平均の平均画素より大きくする。平均する画素が8画素であれば、16画素(2倍)以上が望ましい。すなわち、非常に濃い浮遊ゴミがあったときの該ゴミの影響は、平均したライン2倍影響し、ある程度の濃度として残ってしまうため、誤判定するおそれがあるからである。
【0102】
副ゴミ検知部65lは、カラー出力の場合と同様に、例えば、図9に示したように、●がゴミであるとすると、ゴミ画素を中心として、副走査方向に、○で示すゴミ以外(白色ガイド)の画素を8画素分(←→で示す範囲の画素)平均化して、ゴミ検知を行う。
【0103】
また、副ゴミ検知部65lは、カラー出力の場合と同様に、例えば、濃いゴミの反射率が10%、白色ガイド板43の反射率が80%、検知しようとする反射率が50%であるときに、8画素中2画素浮遊ゴミが混ざると、平均した反射率は、62.5%であるので、ゴミとしては検知しない。副ゴミ検知部65r、65b、65gは、スジにならないゴミ(例えば、反射率60%)に濃い浮遊ゴミ(例えば、反射率10%)が2画素あると、平均した反射率が、47.5%と間違ってしまうため、浮遊ゴミによる誤検知がないように平均した画素の2倍以上の連続があった場合にゴミと判定している。このように、本実施例の画像形成装置1のゴミ検知部51は、副走査平均する画素の2倍以上の検知範囲にすることにより、濃い浮遊ゴミの影響を受けにくくして、検知精度を向上させている。
【0104】
そして、副ゴミ検知部65lは、白色ガイド板43のゴミ検知の検知範囲の読み取りを終了して、ゴミ有りと判定すると、ゴミ検知判定部66にゴミ有りの旨を通知するとともに、ゴミ補正部67にゴミの有った座標を通知する。
【0105】
<自動カラー選択出力時の処理>
自動カラー選択出力時のゴミ検知処理及びゴミ対策処理について、説明する。
【0106】
画像形成装置1は、自動カラー選択出力が操作表示部3やコンピュータPCからのコマンド等によって指定されていると、走査光学機構30に、原稿読み取り前に白色ガイド板43を読み取らせて、スキャナ補正部7のゴミ検知部51でゴミ検知処理を行う。
【0107】
そして、画像形成装置1は、ゴミのカラー出力時と白黒出力時での影響の差異を利用する。すなわち、白黒出力においては、RGBのCCD34r、34g、34bの出力を混合しているため、RGBの1chにゴミがあってもゴミの影響を受けにくいが、カラー出力においては、RGBいずれのchにゴミが有ると、色スジとしてスジ画像が現れやすい。したがって、同じ濃さのゴミは、カラー出力の方が白黒出力よりの場合よりも縦スジとなりやすく、カラー出力時にゴミを検知して、白黒出力時にゴミを検知しないという場合は、存在しない。
【0108】
そこで、画像形成装置1は、自動カラー選択出力の場合には、上記カラー出力時の処理と白黒出力時の処理の両方を行い、いずれか一方(カラー出力の検知結果だけでもよい)で、ゴミを検知すると、副ゴミ検知部65lは、白色ガイド板43のゴミ検知範囲の読み取りを終了して、ゴミ有りと判定すると、ゴミ検知判定部66にゴミ有りの旨を通知するとともに、ゴミ補正部67にゴミの有った座標を通知する。
【0109】
そして、ゴミ検知判定部66は、副ゴミ検知部65r、65b、65g、65lからゴミ有りの通知があると、スキャナ補正部7のカラー原稿判定部57の判定結果を参照して、カラー原稿であるか、白黒原稿であるかによって、以下のように、ゴミ対策処理を行う。
【0110】
1.白黒出力時のゴミ検出結果がゴミ有りであると、カラー出力と白黒出力に関わらず、「原稿にスジが入ったので清掃をお願いします」等のメッセージを出すゴミ対策処理をCPU71に出力する。
【0111】
2.ゴミを検知した後の処理する原稿が、カラー原稿であると、操作表示部3のディスプレイに、シートスルー用コンタクトガラス22が汚れ入るので、「カラー原稿にスジが入ったので清掃をお願いします」等のメッセージを出すゴミ対策処理をCPU71に出力する。出力画像にスジ画像が発生したときである。
【0112】
3.ゴミを検知した後の処理する原稿が、白黒原稿であると、白黒出力時の検知結果を参照して、既に処理した原稿束のカラー原稿判定結果が、全て白黒原稿であると、操作表示部3のディスプレイへのメッセージを出さないゴミ対策処理をCPU71に出力する。
【0113】
すなわち、既に処理した原稿にカラー原稿がないので、残りの原稿もカラー原稿である可能性は少ないため、不要なメッセージを出さないようにするが、必要に応じて上記2.と異なるメッセージを出してもよい。
【0114】
4.ゴミを検知した後の処理する原稿が、白黒原稿であると、白黒出力時の検知結果を参照して、既に処理した原稿束のカラー原稿判定結果が、1枚でもカラー原稿があると、「カラー原稿にスジが入るので清掃をお願いします」等のメッセージを出すゴミ対策処理をCPU71に出力する。出力画像にスジ画像は発生していないが、カラー原稿の場合、スジ画像となる。すなわち、カラー原稿を含んでいるので、今後のカラー原稿がある可能性があるため、メッセージを出力する。
【0115】
このように、自動カラー選択出力時のゴミ対策処理として、原稿束の履歴に基づいて、メッセージの種類を変えているため、白黒出力飲みを行うユーザに対しては不要なメッセージを出力しなくなり、ゴミ対策処理の処理効率を向上させて、画像形成装置1の利用性を向上させることができる。また、自動カラー選択出力時のゴミ対策処理として、処理した原稿束にカラー出力があると、これから処理する原稿もカラー出力を行う可能性が高いため、カラー原稿時にスジがでるメッセージを出力して、未然に出力画像にスジが入ることを防止することができ、用紙の節約を図ることができるとともに、出力画像の画像品質を向上させることができる。
【0116】
上記自動カラー選択出力時のゴミ対策処理は、図10に示すようにまとめることができる。図10において、No.5は、ゴミを検知しなった場合であり、出力画像にスジが出ないため、操作表示部3のディスプレイへのメッセージ表示は行わない。
【0117】
なお、上記説明においては、カラー出力時ゴミ検知処理と白黒出力時ゴミ検知処理の2つの検知処理を同時に行っているが、原稿束の偶数ページにカラー出力時ゴミ検知処理を行い、奇数ページに白黒出力時ゴミ検知処理を行って、カラー出力時ゴミ検知処理と白黒出力時ゴミ検知処理の処理回路を共通に使用してもよい。
【0118】
また、原稿読み取り前に、カラー出力時ゴミ検知処理を実施した後に、白黒出力時ゴミ検知処理を実施してもよい。このようにすると、カラー出力時ゴミ検知処理の処理結果でゴミ有りと判定したときに、走査光学機構30の移動処理を行うが、白黒出力時ゴミ検知処理の処理結果に基づいては走査光学機構30の移動処理を行わないため、ゴミ有りの判定結果時における走査光学機構30の移動処理を効率的に行うことができる。
【0119】
さらに、カラー出力時ゴミ検知処理と白黒出力時ゴミ検知処理のうち、カラー出力のときにゴミによる縦スジが画像に出現することが多いため、カラー出力時ゴミ検知処理を先に実施しているが、このことは、カラー出力/白黒出力に限るものではなく、例えば、文字モード/写真モードの画像出力モードにいて、写真モードの方がゴミによる縦スジが画像に影響することが多いため、写真モードでのゴミ検知処理を最初に実施するようにしてもよい。
【0120】
また、上述のように、原稿読み取り前にゴミ検知処理を行うと、原稿通紙前のゴミ検知結果に基づいて画像補正を行うことができるが、シートスルー用コンタクトガラス22上に載ったゴミを誤検知する可能性がある。すなわち、浮遊ゴミを間違ってゴミとして検知しないように、原稿読み取り後に白色ガイド板43を読み取ってゴミ検知を行うと、原稿Gの読み取った後は原稿Gによってシートスルー用コンタクトガラス22上のゴミが除去されて、浮遊ゴミをゴミとして検知することを防止することができる。
【0121】
したがって、ゴミを検知したときにユーザにゴミを検知した旨のメッセージを操作表示部3のディスプレイに表示して通知する場合には、画像形成装置1の利用効率を向上させるために、原稿通紙後にゴミ検知を行い、ゴミを検知して画像補正する場合は、原稿読み取り前にゴミ検知を行うようにしてもよい。このようにすることにより、ユーザに知らせるゴミ検知は浮遊ゴミの影響を受けないようにして、画像形成装置1の利用効率を向上させることができ、ゴミを検知して補正する場合は、原稿読み取り前にゴミを検知することで、原稿読み取り直後からゴミの補正を行うことができる。また、原稿の読み途中にゴミ検知を実施するようにしてもよい。
【0122】
さらに、上記説明においては、白色ガイド板43を読み取った画像データに基づいてゴミ検知を行なっているため、白系のゴミを検知することはできないが、白色ガイド板43と他の色のガイド版を使用して検知するようにしてもよい。
【0123】
そして、上記説明においては、画像形成装置1に共通の出力履歴を用いてゴミ検知とゴミ対策処理を制御しているが、個々のユーザ毎に出力履歴を記憶して、ユーザ毎の該出力履歴を用いてゴミ検知とゴミ対策処理の制御を行なってもよい。この場合、画像形成装置1は、ユーザ毎の出力履歴を、ゴミ検出制御用にハードディスク4やコントローラ2の内部メモリ等に特別に記憶してもよいが、画像形成装置1が動作解析や課金制御等の動作管理を行うために、ユーザ毎に出力履歴をメモリに記憶する機能を備えているときには、該動作管理用のユーザ毎の出力履歴をゴミ検知とゴミ対策処理の制御に用いてもよい。
【0124】
このユーザ毎の出力履歴としては、例えば、ユーザ名、ユーザID、ネットワークを介してコンピュータPCに画像データを配信する配信スキャナのカラー出力(以下、カラー配信という。)の枚数、配信スキャナの白黒出力(以下、白黒配信という。)の枚数、コピー機能によるカラーコピー出力の枚数、白黒コピー出力の枚数、用紙サイズ及びコピーモード、プリントモード、スキャナ配信モード等のモード種別等である。
【0125】
このようなユーザ後の出力履歴を用いたゴミ検知とゴミ対策処理について、以下説明する。なお、以下の説明においては、説明を明確化するために、コピー動作を行う場合について説明する。この場合、ユーザは、コピー操作を行う際に、ユーザを特定するユーザ情報、例えば、ユーザIDの入力操作を行う。
【0126】
画像形成装置1は、ユーザIDが入力されると、メモリを検索して、ユーザを特定した後、原稿読み取り前に白色ガイド板43を読み取って、ゴミ検知処理を行う。
【0127】
まず、カラー出力時の場合には、画像形成装置1は、上記カラー出力の場合のゴミ検知処理を行い、ゴミを検知すると、ゴミ対策処理として、走査光学機構30の読み取り位置を変更する処理を行う。
【0128】
画像形成装置1は、読み取り位置の変更を行なって、再度、ゴミ検知処理を行い、なお、ゴミを検知すると、操作表示部3のディスプレイに、ゴミが有り出力にスジが発生する旨のメッセージを表示する等の警告を行う。
【0129】
画像形成装置1は、読み取り位置の変更を行なって、再度、ゴミ検知処理を行い、ゴミを検知しないときには、操作表示部3のディスプレイへのメッセージの表示等による警告を出さない。
【0130】
次に、画像形成装置1は、白黒出力の場合には、原稿読み取り前に白色ガイド板43を読み取って、上記カラー出力時のゴミ検知処理と白黒出力時のゴミ検知処理の両方を行い、どちらか一方のゴミ検知処理でゴミを検知すると、走査光学機構30の読み取り位置を変更する処理を行う。
【0131】
画像形成装置1は、読み取り位置の変更を行なって、白黒出力時のゴミ検知処理での検知結果がゴミ有りであると、操作表示部3のディスプレイにシートスルー用コンタクトガラス22が汚れているので、「カラー原稿にスジが入ったので清掃をお願いします」等のメッセージを出す警告を行う。
【0132】
また、画像形成装置1は、読み取り位置の変更を行なって、再度、ゴミ検知処理を行って、カラー出力時のゴミ検知処理での検知結果がゴミ有りで、白黒出力時のゴミ検知処理での検知結果がゴミ無しであると、該ユーザが過去に選択した原稿モードを参照する。
【0133】
画像形成装置1は、該ユーザが過去に選択した原稿モードが、全て白黒原稿であると、上記メッセージの出力を行わない。すなわち、該ユーザは、過去にカラー原稿を選択したことがなく、今後もカラー原稿を選択しない確率が高いため、出力画像にスジが現れる確率が少ない。なお、この場合、必要に応じて上記とは異なるメッセージを出してもよい。
【0134】
また、画像形成装置1は、過去にユーザが選択した原稿モードに、1枚でもカラー出力モードがあると、「カラー原稿にスジが入るので清掃をお願いします」等のメッセージを操作表示部3のディスプレイへ表示する等の警告を行う。すなわち、カラー出力モードのときには、縦スジが発生するため、事前警告を出力して、清掃を促している。
【0135】
上記ユーザの過去の出力モード(出力条件)を参照したゴミ対策処理は、図11に示すようにまとめることができる。図11において、No.6は、ゴミを検知しなった場合であり、出力画像にスジが出ないため、操作表示部3のディスプレイへのメッセージ表示は行わない。
【0136】
そして、画像形成装置1は、この場合、ユーザの出力モードの履歴に応じて、メッセージを切り替えるため、例えば、白黒コピーのみを行うユーザであると、カラー出力のゴミ検知結果にかかわらず、白黒出力のゴミ検知結果にのみ基づいてメッセージを出力するか否かまたメッセージの内容を決定することができる。
【0137】
また、画像形成装置1は、ユーザが、図11のNo.4のように、カラーコピーを行うユーザであると、白黒コピー時にも、カラーコピー時にスジが発生するときには、白黒コピー時にカラーコピーでスジが出るメッセージを出力して、清掃を促す。したがって、ユーザは、白黒コピー時にも、カラーコピーでスジが出ることが分かるため、清掃を行うことで、カラーコピー時におけるスジの発生を未然に防止することができる。
【0138】
さらに、上記説明においては、操作表示部3のディスプレイへのメッセージの表示による警告を、出力の処理中(動作中)に行うようにしているが、ユーザが変わったときに警告を行うようにしてもよい。例えば、白黒出力しか行わないユーザが利用しているとき、すなわち、図11のNo.4の場合には、警告を行わないが、その後、図11のNo.5のように、カラー出力を利用するユーザに変わったときに、カラー原稿時出力時にスジが出る旨のメッセージを操作表示部3のディスプレイへ表示する警告を行なってもよい。
【0139】
また、ゴミ対策処理を行う場合における過去の履歴の参照については、ユーザ毎に過去の履歴を参照する場合に限るものではなく、例えば、画像形成装置単位で期間を区切って管理してもよいし、白黒出力やカラー出力の有り/無しだけでなく、白黒出力とカラー出力の比率を求めて、該比率で、ゴミ対策処理を決定してもよい。
【0140】
このように、本実施例の画像形成装置1は、シートスルー用コンタクトガラス(所定の読み取り面)22上を搬送される原稿Gに所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿Gでの反射光の複数色(RGB)に対して光電変化して該原稿Gの画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する走査光学機構(画像読み取り手段)30と、走査光学機構30の出力する画像データからカラー画像データを生成して出力するスキャナ補正部(カラー画像出力手段)7と、走査光学機構30の出力する画像データから白黒画像データを生成して出力するスキャナ補正部(白黒画像出力手段)7と、シートスルー用コンタクトガラス22を挟んで走査光学機構30と反対側に配設されている白色ガイド板(基準板)43を、走査光学機構30が読み取った画像データであって、少なくともスキャナ補正部7で構築される前記カラー画像出力手段と前記白黒画像データ出力手段のいずれかが出力する画像データにおいてスジ画像となるゴミ(異物)が、該走査光学機構30による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出するゴミ検知部(異物検出手段)51と、前記カラー画像出力手段と前記白黒画像出力手段による画像出力の履歴を記憶するハードディスク(履歴記憶手段)4等と、ゴミ検知部51の検出結果とハードディスク4等の記憶する前記履歴に基づいて、ゴミに対する対応処理を決定するコントローラ(対応処理決定手段)2と、を備えている。
【0141】
したがって、読み取り光路上にゴミの存在を検出した場合にも、過去の画像出力履歴に応じて、該ゴミに対する対応処理を決定することができ、画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と検知したゴミに対する対応処理を高精度にかつ効率的に行うことができる。
【0142】
また、本実施例の画像形成装置1は、シートスルー用コンタクトガラス22上を搬送される原稿Gに所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿Gでの反射光の複数色(RGB)に対して走査光学機構30で光電変化して該原稿Gの画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り処理ステップと、該画像読み取り処理ステップで出力される画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力処理ステップと、該画像読み取り処理ステップで出力される画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力処理ステップと、シートスルー用コンタクトガラス22を挟んで走査光学機構30と反対側に配設されている白色ガイド板43を、前記画像読み取り処理ステップで読み取られた画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力処理ステップと前記白黒画像データ出力処理ステップのいずれかで出力される画像データにおいてスジ画像となるゴミが、走査光学機構30による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出処理ステップと、前記カラー画像出力処理ステップと前記白黒画像出力処理ステップでの画像出力の履歴をハードディスク4等に記憶する履歴記憶処理ステップと、該異物検出処理ステップでの検出結果とハードディスク4等の記憶する前記履歴に基づいて、ゴミに対する対応処理を決定する対応処理決定処理ステップと、を有するゴミ検出制御方法を実行する。
【0143】
したがって、読み取り光路上にゴミの存在を検出した場合にも、過去の画像出力履歴に応じて、該ゴミに対する対応処理を決定することができ、画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と検知したゴミに対する対応処理を高精度にかつ効率的に行うことができる。
【0144】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、コンピュータに、シートスルー用コンタクトガラス22上を搬送される原稿Gに所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿Gでの反射光の複数色(RGB)に対して走査光学機構30で光電変化して該原稿Gの画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り処理と、該画像読み取り処理で出力される画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力処理と、該画像読み取り処理で出力される画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力処理と、シートスルー用コンタクトガラス22を挟んで走査光学機構30と反対側に配設されている白色ガイド板43を、前記画像読み取り処理で読み取られた画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力処理と前記白黒画像データ出力処理のいずれかで出力される画像データにおいてスジ画像となるゴミが、走査光学機構30による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出処理と、前記カラー画像出力処理と前記白黒画像出力処理での画像出力の履歴をハードディスク4等に記憶する履歴記憶処理と、該異物検出処理での検出結果とハードディスク4等の記憶する前記履歴に基づいて、ゴミに対する対応処理を決定する対応処理決定処理と、を実行させるゴミ検出制御プログラムを搭載している。
【0145】
したがって、読み取り光路上にゴミの存在を検出した場合にも、過去の画像出力履歴に応じて、該ゴミに対する対応処理を決定することができ、画像読み取りにおける光路上のゴミの検知と検知したゴミに対する対応処理を高精度にかつ効率的に行うことができる。
【0146】
また、本実施例の画像形成装置1は、ゴミ検知部51が、白色ガイド板43を読み取ったときの画像データの主走査方向において同じ画素位置に所定濃度の画素が副走査方向に所定ライン分連続すると、ゴミが有ると判定している。
【0147】
したがって、浮遊ゴミ等をスジの発生するゴミとして誤検出することを防止することができ、ゴミ検出精度を向上させることができる。
【0148】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、ゴミ検知部51が、カラー画像を出力する場合には、各色(RGB)の画像データそれぞれに対してゴミの存在有無の検出を行い、白黒画像を出力する場合には、全ての色の画像データを混合した混合画像データに対してゴミの存在の有無の検出を行っている。
【0149】
したがって、カラー画像出力を行うのか、白黒画像出力を行うのかに応じて、適切にゴミ検出を行うことができ、より一層効率的にゴミ検出を行って、より一層効率的にゴミ対応処理を行うことができる。
【0150】
また、本実施例の画像形成装置1は、コントローラ2が、ゴミ検知部51の検出結果とハードディスク4等の記憶する前記履歴に基づいて、少なくとも原稿Gの読み取りと画像出力の続行処理、走査光学機構30の読み取り位置を副走査方向に移動させる読み取り位置変更処理及び前記光路上のゴミの清掃除去を促す警告出力処理を、1つまたは組み合わせて対応処理として決定している。
【0151】
したがって、より一層効率的で、適切なゴミ対応処理を行うことができる。
【0152】
さらに、本実施例の画像形成装置1は、ハードディスク4等が、ユーザ毎に、前記履歴を記憶し、コントローラ2が、画像出力を要求するユーザに対応してハードディスク4等に記憶されている前記履歴を参照して、前記対応処理を決定している。
【0153】
したがって、ユーザの画像出力特性に応じたゴミ検出とゴミ対応処理を行うことができ、より一層高精度にかつ効率的にゴミ検出を行って、より一層効率的にゴミ対応処理を行うことができる。
【0154】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0155】
1 画像形成装置
1a 本体筐体
2 コントローラ
3 操作表示部
4 ハードディスク(HDD)
5 NIC
6 スキャナ
7 スキャナ補正部
8 圧縮処理部
9 伸張処理部
10 プリンタ補正部
11 プロッタ
12 汎用バス
21 ブック読み取り用コンタクトガラス
22 シートスルー用コンタクトガラス
30 走査光学機構
31 光源
32a〜32d ミラー
33 レンズ
34 CCD
34r、34g、34b CCD
35 ADF
36 原稿テーブル
36a 加圧板
36b ストッパ
37 呼び出しコロ
38 分離ローラ
39 原稿セットセンサ
40 レジストセンサ
41 搬送ローラ
42 マイラ
43 白色ガイド板
44 上排紙ガイド
45 下排紙ガイド
46 排紙ローラ
47 排紙トレイ
51 ゴミ検知部
52 像域分離部
53 スキャナγ部
54 フィルタ処理部
55 色補正処理部
56 文字γ部
57 カラー原稿判定部
61r、61g、61b 副平均化部
62r、62g、62b γ補正部
63 加算器
64r、64g、64b、64l 主ゴミ検知部
65r、65g、65b、65l 副ゴミ検知部
66 ゴミ検知判定部
67 ゴミ補正部
71 CPU
72 圧縮伸張処理部
73 ページメモリ
74 出力フォーマット変換部
75 入力フォーマット変換部
76 データI/F部
81 プリンタγ部
53 中間調処理部
83 エッジ量検出部
G 原稿
【先行技術文献】
【特許文献】
【0156】
【特許文献1】特開2008−28684号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の読み取り面上を搬送される原稿に所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿での反射光の複数色に対して光電変化して該原稿の画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り手段と、
前記画像読み取り手段の出力する前記画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力手段と、
前記画像読み取り手段の出力する前記画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力手段と、
前記読み取り面を挟んで前記画像読み取り手段と反対側に配設されている基準板を、該画像読み取り手段が読み取った画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力手段と前記白黒画像データ出力手段のいずれかが出力する画像データにおいてスジ画像となる異物が、該画像読み取り手段による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出手段と、
前記カラー画像出力手段と前記白黒画像出力手段による画像出力の履歴を記憶する履歴記憶手段と、
前記異物検出手段の検出結果と前記履歴記憶手段の記憶する前記履歴に基づいて、前記異物に対する対応処理を決定する対応処理決定手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記異物検出手段は、
前記基準板を読み取ったときの画像データの主走査方向において同じ画素位置に所定濃度の画素が副走査方向に所定ライン分連続すると、前記異物があると判定することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記異物検出手段は、
前記カラー画像を出力する場合には、前記各色の画像データそれぞれに対して前記異物の存在の有無の検出を行い、前記白黒画像を出力する場合には、全ての色の画像データを混合した混合画像データに対して前記異物の存在の有無の検出を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記対応処理決定手段は、
前記異物検出手段の検出結果と前記履歴記憶手段の記憶する前記履歴に基づいて、少なくとも原稿の読み取りと画像出力の続行処理、前記画像読み取り手段の読み取り位置を副走査方向に移動させる読み取り位置変更処理及び前記光路上の前記異物の清掃除去を促す警告出力処理を、1つまたは組み合わせて対応処理として決定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記履歴記憶手段は、
ユーザ毎に、前記履歴を記憶し、
前記対応処理決定手段は、
画像出力を要求するユーザに対応して前記履歴記憶手段に記憶されている前記履歴を参照して、前記対応処理を決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
所定の読み取り面上を搬送される原稿に所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿での反射光の複数色に対して画像読み取り手段で光電変化して該原稿の画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り処理ステップと、
前記画像読み取り処理ステップで出力される前記画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力処理ステップと、
前記画像読み取り処理ステップで出力される前記画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力処理ステップと、
前記読み取り面を挟んで前記画像読み取り手段と反対側に配設されている基準板を、前記画像読み取り処理ステップで読み取られた画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力処理ステップと前記白黒画像データ出力処理ステップのいずれかで出力される画像データにおいてスジ画像となる異物が、該画像読み取り手段による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出処理ステップと、
前記カラー画像出力処理ステップと前記白黒画像出力処理ステップでの画像出力の履歴を履歴記憶手段に記憶する履歴記憶処理ステップと、
前記異物検出処理ステップでの検出結果と前記履歴記憶手段の記憶する前記履歴に基づいて、前記異物に対する対応処理を決定する対応処理決定処理ステップと、
を有していることを特徴とするゴミ検出制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
所定の読み取り面上を搬送される原稿に所定の読み取り位置で、読み取り光を照射して該原稿での反射光の複数色に対して画像読み取り手段で光電変化して該原稿の画像を読み取って該各色に対応する画像データを出力する画像読み取り処理と、
前記画像読み取り処理で出力される前記画像データからカラー画像データを生成して出力するカラー画像出力処理と、
前記画像読み取り処理で出力される前記画像データから白黒画像データを生成して出力する白黒画像出力処理と、
前記読み取り面を挟んで前記画像読み取り手段と反対側に配設されている基準板を、前記画像読み取り処理で読み取られた画像データであって、少なくとも前記カラー画像出力処理と前記白黒画像データ出力処理のいずれかで出力される画像データにおいてスジ画像となる異物が、該画像読み取り手段による読み取り光の光路上に存在するか否かを検出する異物検出処理と、
前記カラー画像出力処理と前記白黒画像出力処理での画像出力の履歴を履歴記憶手段に記憶する履歴記憶処理と、
前記異物検出処理での検出結果と前記履歴記憶手段の記憶する前記履歴に基づいて、前記異物に対する対応処理を決定する対応処理決定処理と、
を実行させることを特徴とするゴミ検出制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98887(P2013−98887A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241942(P2011−241942)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】