説明

画像処理装置、バーコード処理装置、及び画像処理方法

【課題】模様等の背景画像を有する紙葉類等からより正確にバーコードを検出することが可能な画像処理装置を提供すること。
【解決手段】画像処理装置は、可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、不可視光により前記読取対象物から画像を読み取る第2の画像読取手段と、前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から背景画像を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された前記背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像からコード情報を示す画像を検出する第2の検出手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便物等に印刷される蛍光バーコード等の画像を処理する画像処理装置、バーコード処理装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物等に印刷される蛍光バーコードは、書状の背景色によって大幅に発光しなくなる性質があり、それによりバーの一部が背景色に重なっている場合に正しく認識できない場合がある。この問題は、書状に記載されている模様等の背景画像を正確に推定できれば正しいバーコードの認識結果が得られる期待が高まるが、これまでの蛍光バーコード用スキャナ単独の処理では、そのスキャナから得られる画像の性質上、背景画像の推定は難しいものである。
【0003】
上記解決策の一つとして、背景状態が影響しているバーコード画像のためのロバストな認識手法が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−246795
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案された技術は、単一のスキャナで装置を構成しているため、やはり十分な効果が得られない。具体的には、上記提案された技術は、バーコード認識に用いる二値化処理での閾値決定方法に特色を置く技術であるが、その閾値算出過程で使用する代表値に背景に埋もれたバーの情報が含まれていない。言い換えれば、既に検出できたバーの部分を使用して、二値化処理閾値の決定時にマージンを持たせている。そのため、背景色が強い等の理由でこのマージンを越えるような弱さしか光らないバーコードは、二値化処理時に検出されない。また、背景模様が検出されていないため、薄くなっている部分が背景模様の影響によるものかどうかの判断基準もなく、二値化処理時にバーの確信度が低下する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、模様等の背景画像を有する紙葉類等からより正確にバーコードを検出することが可能な画像処理装置、バーコード処理装置、及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態に係る画像処理装置は、可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、不可視光により前記読取対象物から画像を読み取る第2の画像読取手段と、前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から背景画像を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された前記背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像からコード情報を示す画像を検出する第2の検出手段と、を備えている。
【0007】
この発明の一実施形態に係るバーコード処理装置は、可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像に含まれていた、前記背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像に対応した背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から蛍光バーコードを検出する第2の検出手段と、を備えている。
【0008】
この発明の一実施形態に係るバーコード処理装置は、可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像を処理し、第1のラベリング処理により前記第2の読取画像から蛍光バーコードを構成する複数のバー候補を検出し、検出された複数のバー候補の一端の位置に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断し、再検出が必要と判断された場合には、第2のラベリング処理により前記第2の読取画像から前記複数のバー候補を検出する第2の検出手段と、を備えている。
【0009】
この発明の一実施形態に係る画像処理装置は、可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像に含まれていた、前記背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像に対応した背景画像領域から得られる情報に基づき、前記第2の読取画像から蛍光バーコードを検出するための二値化閾値を算出し、この二値化閾値に基づく二値化処理により前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出する第2の検出手段と、を備えている。
【0010】
この発明の一実施形態に係る画像処理方法は、可視光により読み取られた第1の読取画像から背景画像を検出し、前記検出された前記背景画像の特徴を示す特徴情報を登録し、前記登録された前記特徴情報に基づき、不可視光により読み取られた第2の読取画像からコード情報を示す画像を検出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、模様等の背景画像を有する紙葉類等からより正確にバーコードを検出することが可能な画像処理装置、バーコード処理装置、及び画像処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(画像処理装置)の概略構成を示す図である。バーコード処理装置は、例えば郵便物区分機に適用することができる。バーコード処理装置は、異なる性質の画像(背景画像と蛍光バーコード)を読み取るための異なる複数のスキャナを備え、これら複数のスキャナにより読み取られた画像に基づき蛍光バーコードを検出する。
【0014】
図1に示すように、バーコード処理装置は、可視光スキャナ1、蛍光バーコード用スキャナ2、制御部3、背景模様認識部4、蛍光バーコード認識部5、HUB6、通信ケーブル7、及び搬送ベルト8を備えている。
【0015】
可視光スキャナ1は、搬送ベルト8により搬送される書状9(読取対象物)の画像(可視光画像)を可視光により読み取る。蛍光バーコード用スキャナ2は、同じく搬送ベルト8を搬送される書状9の画像(蛍光画像)を不可視光により読み取る。書状9には模様等の画像(背景画像)が印刷されており、さらにこの書状9には蛍光バーコード(蛍光画像)が印字されており、可視光スキャナ1は、この模様等の画像(背景画像)を読み取るものであり、一方の蛍光バーコード用スキャナ2は、この蛍光バーコードを読み取るものである。
【0016】
制御部3は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)により構成することができる。同様に、背景模様認識部4も、例えばPCにより構成することができる。同様に、蛍光バーコード認識部5も、例えばPCにより構成することができる。
【0017】
通信ケーブル7は、可視光スキャナ1と背景模様認識部4を接続し、また、蛍光バーコード用スキャナ2と蛍光バーコード認識部5を接続し、HUB6と制御部3、背景模様認識部4、及び蛍光バーコード認識部5とを接続する。
【0018】
背景模様認識部4は、可視光スキャナ1により読み取られた第1の画像を処理する画像処理部である。なお、この第1の画像は、書状9に含まれていた模様等の画像(背景画像)のうちの少なくとも一部の背景画像を含むものとする。即ち、第1の画像が、書状9全体の画像であってもよいし、書状9の一部分の画像であってもよいことを意味する。
【0019】
また、背景模様認識部4は、例えば、第1の画像から書状9に含まれていた模様等の画像(背景画像)のうちの少なくとも一部の背景画像のエッジを検出するエッジ検出部、及びエッジ検出部により検出されたエッジにより特定された背景画像の特徴を示す特徴情報を記憶する特徴情報記憶部を備える。
【0020】
上記した特徴情報は、特定背景画像の濃度及び位置を示す情報を含む。また、特定背景画像がカラーの場合は、上記した特徴情報は、特定背景画像の濃度、位置、及び色を示す情報を含む。なお、背景模様認識部4は、第1の画像に含まれる住所等の文字情報、及び切手又は料額印を認識することもできる。
【0021】
一方、蛍光バーコード認識部5は、蛍光バーコード用スキャナ2により読み取られた第2の画像を処理する画像処理部である。なお、この第2の画像が、書状9に含まれていた模様等の画像(背景画像)のうちの少なくとも一部の背景画像に対応する背景画像領域を含むことを前提として、蛍光バーコードの検出について説明する。
【0022】
また、蛍光バーコード認識部5は、例えば、上記した特徴情報を受信する特徴情報受信部、第2の画像に含まれた背景画像領域のコントラスト差を広げる背景輝度調整部、第2の画像を構成する複数の画素のうちの隣接画素との差分値によって第2の画像を二値化処理する通常微分二値ラベリング部、ラベリング結果が不自然でないかどうかを確認するラベリング結果確認部、上記した特徴情報から再度微分二値化閾値を算出してラベリングし直す背景ベース微分二値ラベリング部、バーコード領域を抽出する領域抽出部、個別バー判定部、判定したバーの並びを入力として復号する復号部、複数の認識結果が得られた場合にどの復号結果を採用するかを選択する認識結果選択部、区分機側およびログ情報等に認識結果を出力する認識結果出力部を備える。ただし、二値ラベリングに関しては、微分二値ラベリングではなく通常の二値ラベリングでも良い。また、バーコード領域抽出以降の手順も一例であり、認識手順は上記に限定されるものではない。
【0023】
以下、具体的な手順について説明する。前提として、可視光スキャナ1及び蛍光バーコード用スキャナ2は事前にキャリブレーションされているものとする。つまり、可視光スキャナ1及び蛍光バーコード用スキャナ2の位置合わせは完了しているものとする。
【0024】
図2に示すフローチャートを参照して、続いて動作手順の説明を述べる。図2は、バーコード処理の全体像を示すフローチャートである。
【0025】
まずは可視光スキャナ側の動作手順から説明する。
【0026】
可視光スキャナ1は、搬送ベルト8により搬送される書状9の画像を可視光により読み取る(ST1)。図3は、可視光スキャナ1により読み取られた第1の画像(可視光画像)の一例を示す図である。図3に示す第1の画像中の網掛け部分は書状に記載されていた模様等の画像(背景画像)に相当するものであり、点線で区切られた部分は蛍光バーコード用画像の印刷位置の一部である。つまり、点線で区切られた部分は蛍光バーコード用スキャナ2により読み取られる予定の位置である。
【0027】
続いて、背景模様認識部4のエッジ検出部が、第1の画像に対してエッジ検出を行い(ST2)、書状に記載されていた模様等の画像(背景画像)を抽出する。エッジ検出手法に関しては、特に手法を制限する必要はないが、ここでは一例として、第1の画像を構成する複数画素の中の隣接画素の微分値から推定する手法を用いる。これは、縦横それぞれの方向に対して隣接画素の輝度の差を求め、輝度差が一定値以上のものをマーキングしておき、マーキングされたものが一定以上連結していたらエッジとして認識し、認識結果から位置と形状を得る。
【0028】
なお、模様等の画像の抽出のためのエッジ検出処理は、住所認識、切手認識、及び料額印認識のためのエッジ検出処理を部分的に利用した処理であってもよいし、蛍光バーコード用画像の印刷領域だけに絞った特定のエッジ検出処理であってもよい。
【0029】
このようにして、模様等の画像(背景画像)のエッジの位置と形状を推定したら(即ちエッジにより特定された特定背景画像の位置と形状を推定したら)、エッジで囲まれた内部(特定背景画像)を見て濃度の情報を得る。今回は濃度情報として、輝度平均値を得るものとする。カラー画像であれば、加えて、色情報も得るものとする。
【0030】
特徴情報記憶部は、特定背景画像の濃度、位置、形状、色を含む特徴情報を記憶する(ST3)。特徴情報記憶部は、背景模様認識部4を構成するPC内のメモリである。或いは、特徴情報記憶部は、背景模様認識部4を構成するPCに接続されたハードディスクのような外部記憶装置であってもよい。また、図1に示すように、可視光スキャナ1に対応した背景模様認識部4と、蛍光バーコード用スキャナ2に対応した蛍光バーコード認識部5が別々に存在しているため、この時点で、背景模様認識部4の特徴情報記憶部(メモリ)に記憶された特徴情報を、蛍光バーコード認識部5に送信してもよいし、後で、背景模様認識部4の特徴情報記憶部(メモリ)に記憶された特徴情報を、蛍光バーコード認識部5に送信してもよい。
【0031】
続いて、蛍光バーコード用スキャナ側の動作手順を説明する。
【0032】
例えば、書状に印刷される蛍光バーコードは、4ステートバーコードである。つまり、蛍光バーコードは、短いタイミングバー、基準位置より上に伸びるアセンダー、基準位置より下に伸びるディセンダー、長いロングバーの4種類のバーにより構成されるものであり、リードソロモン式の復号により誤り訂正機能を備えている。
【0033】
蛍光バーコード用スキャナ2は、搬送ベルト8により搬送される書状9の画像を不可視光により読み取る(ST4)。図4は、蛍光バーコード用スキャナ2により読み取られた第2の画像(蛍光バーコード画像)の一例を示す図である。第2の画像は、蛍光特性がある部分のみ発光する。このため、書状自体が蛍光特性を有しているものであれば、白い書状であったとしても撮影された画像は黒くなる。このような第2の画像から、可視光で検出したような模様等の画像(背景画像)を推定するのは難しい。ただし、図4に示すように、模様等の画像(背景画像)上に蛍光バーコードの一部が重ね打ちされた場合には、模様等の画像(背景画像)上の蛍光バーの一部が光らなくなる特性を持つ。本特性は、模様等の画像(背景画像)の色や濃度により大きく変化する。
【0034】
次に、蛍光バーコード認識部5が背景模様認識部4と通信し、蛍光バーコード認識部5の特徴情報受信部が背景模様認識部4から送信される特徴情報を受信する(ST5)。なお、蛍光バーコード認識部5と背景模様認識部4との間の通信方式は特に問わない。このとき、可視光スキャナ1と蛍光バーコード用スキャナ2で解像度の差異などが発生している場合は、蛍光バーコード認識部5で第2の画像を処理できるように、座標の変換等を行っておく。
【0035】
次に、可視光スキャナ1により取得した第1の画像から抽出された模様等の画像(背景画像)の特徴情報を利用した背景コントラスト調整手法について説明する。
【0036】
蛍光バーコード認識部5の背景輝度調整部は、特徴情報を利用して第2の画像に含まれた背景画像領域のコントラスト差を広げる(ST6)。前述したように、模様等の画像(背景画像)と重ねて打たれたバーコードは、第2の画像上で薄くなってしまっているため、背景コントラスト調整により薄くなってしまっているバーコードを際立たせる。つまり、特徴情報を利用して、第2の画像に含まれる背景画像の存在位置および形状を確認し、背景画像の領域をコントラスト拡張領域とする。
【0037】
一方で、特徴情報に含まれた特定背景画像の濃度と色を示す情報から、コントラスト拡張係数を算出する。例えば、コントラスト拡張係数の一覧は、大量のデータを元に実験的に事前に求めておくもので、図5に示すようなリストである。つまり、所定の背景の色と濃度の変化に対応してこの所定の背景上に形成された蛍光バーコードの減衰度が変化するデータから算出されたコントラスト拡張係数の一覧を登録しておく。このコントラスト拡張係数の一覧を参照して、例えば背景の色が黒で背景の濃度が15の場合のコントラスト拡張係数を求める。コントラスト拡張係数が求められたら、輝度0からそのコントラスト拡張係数までの範囲を256階調(0〜255)に引き伸ばす処理をする。この処理は背景画像領域に対して実施する(或いは第2の画像全体に対して実施してもよい)。もし、引き伸ばし処理の際に、255を超えるようなケースがあれば、それは引き伸ばしによる飽和のため255にして良い。今回は引き伸ばし処理では線形変換を採用するが、非線形の変換でももちろん構わない。図6は、コントラスト拡張後の第2の画像の一例を示す図である。図6に示すように、減衰していたバーの鮮明度が向上しているのが分かる。
【0038】
次に、蛍光バーコード認識部5の通常微分二値ラベリング部が、第2の画像に対して通常微分二値ラベリング処理を実行する(ST7)。この通常微分二値ラベリング処理では、隣接画素との差分値によって二値化処理する。つまり、差分値が閾値以上の画素を検出し、差分値が閾値以上の画素の連結を一纏めにする(ラベリング)。ここでは、上述の差分値を判断する閾値は、画像全体に対する差分値ヒストグラムをとり、上位数%の部分が該当する差分値をそのまま閾値としている。特にこの通常微分二値ラベリング処理に関しては、画像全体の情報から微分二値ラベリングできれば手法は問わない。このラベリングにより、第2の画像から蛍光バーコードを構成する複数のバー候補が検出される。さらに、ラベリングで検出された複数のバーの候補のうち、一定サイズ以下のものをバー候補から除外する。つまり、ノイズ対策である。これにより、バー候補の検出精度を向上させることができ、結果的に蛍光バーコードの検出精度が向上する。
【0039】
次に、エッジ検出部により検出された模様等の画像(背景画像)のエッジ(エッジの一部の直線)に、通常微分二値ラベリング部により検出された複数のバー候補のうちのどの程度の数のバー候補の一端が一致しているかを指標とする検出結果検証手法について説明する。具体的には、蛍光バーコード認識部5のラベリング結果確認部が、ラベリング結果が不自然でないかどうかを確認する(ST8)。例えば、エッジ検出部により検出された模様等の画像のエッジに、通常微分二値ラベリング部により検出された多くのバー候補の一端が一致していれば、蛍光バーコードとして不自然であると判断できる。つまり、図7に示すように、模様等の画像によってバーの輝度値が未だ減衰していてバーが適切に検出されていない場合には、ラベリングにより得られたバー候補の一端が模様等の画像のエッジに沿って並んでしまうからである。確認手法は、特徴情報により模様等の画像の位置、形状が判明しているため、個々のバー候補の一端が模様等の画像のエッジ部分に重なっているかどうかを見ることになる。
【0040】
例えば、エッジ上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、ラベリング処理により検出されたバー候補の総数に対する、カウントされたバー候補の数の割合に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断する。或いは、エッジ上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、予め規定されたバーの総数(本来の蛍光バーコードを構成するバーの総数)に対する、カウントされたバー候補の数の割合に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断する。或いは、エッジ上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、カウントされたバー候補の数が所定数より多いか否かに基づきバー候補の再検出が必要か否か判断する。
【0041】
再検出不要と判断されれば、つまりバー候補の検出結果に問題がない(バー候補は正しく検出されている)と判断されれば(ST8、NO)、次の背景ベース微分二値ラベリング処理(ST9)を飛ばして、さらに次の処理へ進む。
【0042】
再検出必要と判断されれば、つまりバー候補の検出結果に問題がある(バー候補は正しく検出されていない)と判断されれば(ST8、YES)、蛍光バーコード認識部5の背景ベース微分二値ラベリング部が、特徴情報から再度微分二値化閾値を算出して第2の画像に対して再度ラベリング処理を実行する。つまり、背景ベース微分二値ラベリング処理を実行する(ST9)。前述した通常微分二値ラベリング部によるラベリング処理で使用された通常微分二値ラベリング閾値は、背景画像領域に特化したものでない。これに対して、背景ベース微分二値ラベリング部は、背景画像領域に特化した第2の閾値を算出する。
【0043】
上記した特徴情報に含まれる模様等の画像の位置、形状を示す情報を参照すると、第2の画像上における模様等の画像の存在位置が分かり、模様等の画像の存在位置、つまり第2の画像に含まれる背景画像領域を閾値算出処理の領域とする。これは、前述したコントラスト拡張領域と同様のものである。この背景画像領域に限定して微分二値ラベリングのための第2の閾値を算出すると、第2の閾値は通常微分二値のための第1の閾値よりも低い値となる。例えば、通常微分二値ラベリング部による第1の閾値に基づくラベリング処理だけでは、背景画像によってバーが減衰していると高い輝度差は得られない。そこで、自動的に背景画像とバーを分離するような低い第2の閾値を使用して、再度、第2の画像の全体にラベリングを施す。これにより、図8に示すようなラベリングが可能となる。
【0044】
このとき、第2の閾値に基づく微分二値ラベリングを第2の画像の全体に適用して、第2の画像に含まれる背景画像領域以外の非背景画像領域部分でノイズが多くなるようであれば、第2の画像に含まれる背景画像領域に対しては第2の閾値を、第2の画像に含まれる非背景画像領域に対しては第1の閾値を適用する。これにより、ノイズの発生を抑えることができる。
【0045】
本実施形態では、ここではバー候補の再検出時に第2の閾値によるラベリング処理を適用するものとしたが、最初のバー候補の検出時に第2の閾値によるラベリング処理を適用してもよい。
【0046】
次に、認識対象領域が抽出され(ST10)、認識対象領域の各バーが判定され(ST11)、判定結果に基づきバーコードが復号され(ST12)、バーコードが認識される(ST13、ST14)。この認識対象の領域抽出(ST10)から認識結果出力(ST14)までの処理は、例えば、図9のフローチャートに示す通りである。
【0047】
即ち、一定ピッチで規則的にバーが並んでいる部分を認識対象領域として検出する(ST10)。さらに、各バーの並びからバーのスキュー角度を検出し、さらに、各バーの長さや位置を見て、バーを4種に分類する(ST11)。
【0048】
蛍光バーコード認識部5の復号部は、バーの並び順に従ってバーを復号する(ST12)。認識結果選択部は、複数手法を組み合わせて復号結果が多数得られた場合に、適切な復号結果を採用する(ST13)。例えば、未検出数と誤り訂正数を基準として選択される。
【0049】
復号結果を得たら、蛍光バーコード認識部5の認識結果出力部が、区分機側およびログ情報等に認識結果を出力する(ST14)。
【0050】
以上により、模様等の画像(背景画像)によって、蛍光バーコードを構成する複数のバーの一部が検出できなくなるのを防止できる。その結果、背景画像によるバーコードの認識率低下を防止することができる。また、バー候補の検出の際に特徴情報を利用してバー候補の検出に用いる二値化処理の閾値を背景画像の影響によるバーの減衰も加味しながら自動的に逆算し、この閾値を利用する点も、これも背景画像によるバーコードの認識率低下の防止に大いに貢献している。
【0051】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態に係るバーコード処理装置(画像処理装置)の概略構成を示す図である。
【図2】バーコード処理の全体像を示すフローチャートである。
【図3】可視光スキャナにより読み取られた第1の画像(可視光画像)の一例を示す図である。
【図4】蛍光バーコード用スキャナにより読み取られた第2の画像(蛍光バーコード画像)の一例を示す図である。
【図5】コントラスト拡張係数の一覧の一例を示す図である。
【図6】コントラスト拡張後の第2の画像の一例を示す図である。
【図7】バーの一端が一直線上に並んでいる例を示す図である。
【図8】背景画像の情報を利用した微分二値化処理により、背景画像に隠れていたバーを浮き上がらせた例を示す図である。
【図9】蛍光バーコードの認識処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…可視光スキャナ、2…蛍光バーコード用スキャナ、3…制御部、4…背景模様認識部、5…蛍光バーコード認識部、6…HUB、7…通信ケーブル、8…搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、
不可視光により前記読取対象物から画像を読み取る第2の画像読取手段と、
前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から背景画像を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された前記背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像からコード情報を示す画像を検出する第2の検出手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、
不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、
前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像に含まれていた、前記背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像に対応した背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から蛍光バーコードを検出する第2の検出手段と、
を備えたことを特徴とするバーコード処理装置。
【請求項3】
前記登録手段は、前記検出背景画像の位置及び形状を示す情報を含む前記特徴情報を登録し、
前記第2の検出手段は、前記登録手段に登録された前記特徴情報に含まれた前記検出背景画像の位置及び形状を示す情報に基づき、前記第2の読取画像に含まれた前記背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項2に記載のバーコード処理装置。
【請求項4】
前記登録手段は、前記検出背景画像の色を示す情報を含む前記特徴情報を登録し、
前記第2の検出手段は、前記登録手段に登録された前記特徴情報に含まれた前記検出背景画像の色を示す情報に基づき、前記第2の読取画像に含まれた前記背景画像領域のコントラストの調整範囲を算出し、算出結果に基づき前記背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項2に記載のバーコード処理装置。
【請求項5】
前記登録手段は、前記検出背景画像の濃度を示す情報を含む前記特徴情報を登録し、
前記第2の検出手段は、前記登録手段に登録された前記特徴情報に含まれた前記検出背景画像の濃度を示す情報に基づき、前記第2の読取画像に含まれた前記背景画像領域のコントラストの調整範囲を算出し、算出結果に基づき前記背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項2に記載のバーコード処理装置。
【請求項6】
前記登録手段は、所定の背景の色と濃度の変化に対応してこの所定の背景上に形成された前記蛍光バーコードの減衰度が変化するデータから算出された背景条件別のコントラスト係数を登録するとともに、前記検出背景画像の色と濃度を示す情報を含む前記特徴情報を登録し、
前記第2の検出手段は、前記特徴情報に含まれた前記検出背景画像の色と濃度を示す情報に基づき、前記第2の読取画像に含まれた前記背景画像領域のコントラストの調整範囲を算出し、このコントラスト調整範囲及び前記コントラスト拡張係数に基づき前記背景画像領域のコントラストを強調し、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項2に記載のバーコード処理装置。
【請求項7】
可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、
不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、
前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像を処理し、第1のラベリング処理により前記第2の読取画像から蛍光バーコードを構成する複数のバー候補を検出し、検出された複数のバー候補の一端の位置に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断し、再検出が必要と判断された場合には、第2のラベリング処理により前記第2の読取画像から前記複数のバー候補を検出する第2の検出手段と、
を備えたことを特徴とするバーコード処理装置。
【請求項8】
前記登録手段は、前記検出背景画像の位置及び形状を示す情報を含む前記特徴情報を登録し、
前記第2の検出手段は、前記登録手段に登録された前記特徴情報に含まれた前記検出背景画像の位置及び形状を示す情報に基づき前記第2の読取画像を処理することを特徴とする請求項7に記載のバーコード処理装置。
【請求項9】
前記第2の検出手段は、同一直線上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、前記第1のラベリング処理により検出された前記複数のバー候補の数に対する、カウントされたバー候補の数の割合に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断することを特徴とする請求項7に記載のバーコード処理装置。
【請求項10】
前記第2の検出手段は、同一直線上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、予め規定されたバー総数に対する、カウントされたバー候補の数の割合に基づきバー候補の再検出が必要か否か判断することを特徴とする請求項7に記載のバーコード処理装置。
【請求項11】
前記第2の検出手段は、同一直線上に一端が位置するバー候補の数をカウントし、カウントされたバー候補の数が所定数より多いか否かに基づきバー候補の再検出が必要か否か判断することを特徴とする請求項7に記載のバーコード処理装置。
【請求項12】
前記第2の検出手段は、前記検出背景画像のエッジの一部を前記直線として、前記直線上に一端が位置するバー候補の数をカウントすることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一つに記載のバーコード処理装置。
【請求項13】
可視光により読取対象物から画像を読み取る第1の画像読取手段と、
不可視光により前記読取対象物から蛍光画像を読み取る第2の画像読取手段と、
前記第1の画像読取手段により読み取られた第1の読取画像から、前記読取対象物に含まれていた背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像を検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された検出背景画像の特徴を示す特徴情報を登録する登録手段と、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき、前記第2の画像読取手段により読み取られた第2の読取画像に含まれていた、前記背景画像のうちの少なくとも一部の背景画像に対応した背景画像領域から得られる情報に基づき、前記第2の読取画像から蛍光バーコードを検出するための二値化閾値を算出し、この二値化閾値に基づく二値化処理により前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出する第2の検出手段と、
を備えたことを特徴とするバーコード処理装置。
【請求項14】
前記第2の検出手段は、前記二値化閾値に基づく微分二値化処理により前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項13に記載のバーコード処理装置。
【請求項15】
前記第2の検出手段は、前記二値化閾値に基づく二値化処理を前記第2の読取画像の全体に適用し、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出することを特徴とする請求項13に記載のバーコード処理装置。
【請求項16】
前記第2の検出手段は、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき前記第2の読取画像のうちの前記背景画像領域と異なる非背景画像領域から得られる情報に基づき、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出するための第1の二値化閾値を算出し、
前記登録手段に登録された前記特徴情報に基づき前記第2の読取画像のうちの前記背景画像領域から得られる情報に基づき、前記第2の読取画像から前記蛍光バーコードを検出するための第2の二値化閾値を算出し、
前記第1の二値化閾値に基づく二値化処理を前記第2の読取画像のうちの前記非背景画像領域に適用し、前記第2の読取画像に含まれた前記非背景画像領域から前記蛍光バーコードの一部を検出し、
前記第2の二値化閾値に基づく二値化処理を前記第2の読取画像のうちの前記背景画像領域に適用し、前記第2の読取画像に含まれた前記背景画像領域から前記蛍光バーコードの一部を検出し、
前記非背景画像領域から検出された前記蛍光バーコードの一部と前記背景画像領域から検出された前記蛍光バーコードの一部に基づき、前記蛍光バーコードを検出する、
ことを特徴とする請求項13に記載のバーコード処理装置。
【請求項17】
可視光により読み取られた第1の読取画像から背景画像を検出し、
前記検出された前記背景画像の特徴を示す特徴情報を登録し、
前記登録された前記特徴情報に基づき、不可視光により読み取られた第2の読取画像からコード情報を示す画像を検出する、
ことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−282691(P2009−282691A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133334(P2008−133334)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】