説明

画像処理装置、及び、画像処理方法

【課題】 画像データの輪郭成分のみを抽出する高品質な画像処理をする。
【解決手段】 減算回路13により、近傍画素値から注目画素値が減算され、差分値として出力される。注目画素値と近傍画素値とが入力された選択回路16により、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値が選択近傍画素値として出力される。また、選択回路16により、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値が注目画素値に置き換えられて選択近傍画素値として出力される。乗算加算回路18により、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、係数群とが乗算され、全ての乗算結果が加算され、出力注目画素値として出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び、画像処理方法に関し、特に、画像データの輪郭成分を抽出する画像処理装置、及び、画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、入力された画像データにおいて、画像データのイラスト化を実行する場合等に、画像データの輪郭成分を抽出している。その場合に使用されるフィルタは、一次微分フィルタとしてソーベルフィルタ、及び、二次微分フィルタとしてラプラシアンフィルタ等である。これらのフィルタにより、入力された画像データは、輪郭成分が抽出された画像データに変換されて出力されている。
【0003】
ここで、画像データ内の注目画素、及び、近傍画素を含む画像単位データを、フィルタ処理して注目画素値を出力し、近傍画素値を検出し、フィルタ処理された注目画素値と近傍画素値とのいずれかを選択して輪郭成分が抽出された画像データを出力する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−322569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1により開示された技術では、入力された画像データを直接にフィルタ処理するので、単純に注目画素値と近傍画素値とが異なる場合が抽出される。よって、入力された画像データから、輪郭成分だけでなく、例えば、芝の目や顔の皺等の細かいテクスチャ成分等の本来不要な成分も抽出される。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、抽出すべき必要な成分としての画像データの輪郭成分のみを抽出する高品質な画像処理をする画像処理装置、及び、画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記課題を解決するために、図1に示すように、画像データの輪郭成分を抽出する画像処理装置10において、画像データ内の1つの注目画素値を有する注目画素、及び、複数の近傍画素値を有する近傍画素を含む画像単位データを受け付け、近傍画素値から注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、差分値として出力する減算回路13と、差分値と閾値メモリ14が記憶する閾値とを比較する比較回路15と、注目画素値と近傍画素値とが入力され、比較回路15による比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力し、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力する選択回路16と、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数メモリ17が記憶する係数群とを乗算し、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値として出力する乗算加算回路18と、を有する画像処理装置10が提供される。
【0007】
このような画像処理装置10によると、まず、減算回路13により、画像単位データが受け付けられる。そして、減算回路13により、近傍画素値から注目画素値が減算され、減算結果が絶対値にされ、差分値として出力される。そして、比較回路15により、差分値と閾値とが比較される。そして、注目画素値と近傍画素値とが入力された選択回路16により、比較回路15による比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値が選択近傍画素値として出力される。また、選択回路16により、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値が注目画素値に置き換えられて選択近傍画素値として出力される。そして、乗算加算回路18により、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数群とが乗算される。そして、乗算加算回路18により、全ての乗算結果が加算され、出力注目画素値として出力される。
【0008】
また、本発明では、上記課題を解決するために、画像データの輪郭成分を抽出する画像処理方法において、画像データ内の1つの注目画素値を有する注目画素、及び、複数の近傍画素値を有する近傍画素を含む画像単位データを受け付け、近傍画素値から注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、差分値として出力する減算手段と、差分値と閾値メモリが記憶する閾値とを比較する比較手段と、注目画素値と近傍画素値とが入力され、比較手段による比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力し、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力する選択手段と、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数メモリが記憶する係数群とを乗算し、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値として出力する乗算加算手段と、を有する画像処理方法が提供される。
【0009】
このような画像処理方法によると、まず、減算手段により、画像単位データが受け付けられる。そして、減算手段により、近傍画素値から注目画素値が減算され、減算結果が絶対値にされ、差分値として出力される。そして、比較手段により、差分値と閾値とが比較される。そして、注目画素値と近傍画素値とが入力された選択手段により、比較手段による比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値が選択近傍画素値として出力される。また、選択手段により、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値が注目画素値に置き換えられて選択近傍画素値として出力される。そして、乗算加算手段により、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数群とが乗算される。そして、乗算加算手段により、全ての乗算結果が加算され、出力注目画素値として出力される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、近傍画素値から注目画素値を減算した差分値が閾値以上である場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力するようにした。また、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力するようにした。
【0011】
このようにすると、差分値が閾値以上の輪郭成分の近傍画素値がフィルタ処理され、差分値が閾値より小さい本来不要な成分の近傍画素値が注目画素値に置き換えられてフィルタ処理されるので、抽出すべき必要な成分としての画像データの輪郭成分のみを抽出する高品質な画像処理ができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明の概念について説明する。図1は、本発明の概念図である。
図に示すように、画像処理装置10は、端子11、12、減算回路13、閾値メモリ14、比較回路15、選択回路16、係数メモリ17、乗算加算回路18、及び、端子19から構成される。
【0013】
ここで、画像処理装置10は、横軸方向、及び、縦軸方向に複数の画素が配列される処理対象となる画像データについて、その画像データ内の1画素を注目画素とし、その近傍に存在する画素を近傍画素とする画像単位データを受け付ける。そして、画像処理装置10は、注目画素が有する注目画素値、及び、近傍画素が有する近傍画素値を使用して所定の処理を実行する。この所定の処理が実行される画像データ内の画像単位データは、任意に設定されるが、以下、画像データ内の画像単位データを3×3の9画素として説明する。この9画素内の中心の1画素を注目画素とし、9画素内の注目画素以外の8画素を近傍画素とする。また、1画素値は8ビットで表現され、画素値が0に近くなると黒色に近くなり、画素値が255に近くなると白色に近くなる。この画像データにおいて、左上の画素から右下の画素へ向かって全ての画素を順番に注目画素とし、注目画素値から輪郭成分が抽出された出力注目画素値を出力する。こうすることで、輪郭成分が抽出され、新しい画像データが出力される。
【0014】
まず、閾値メモリ14は、近傍画素値と注目画素値との差分値の大小を画する閾値を記憶する。また、係数メモリ17は、近傍画素値、及び、注目画素値に対してそれぞれ乗ずる係数を記憶する。例えば、ラプラシアンフィルタが係数メモリ17に記憶された場合、1つの注目画素値に対する係数は−8であり、8つの近傍画素値に対する係数は+1である。
【0015】
その後、減算回路13は、画像データ内の1つの注目画素、及び、8つの近傍画素を含む画像単位データを、端子11、12を介して受け付ける。そして、減算回路13は、8つの近傍画素値について、近傍画素値から注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、8つの差分値として出力する。
【0016】
その後、比較回路15は、8つの差分値について、差分値と閾値とを比較する。ここで、例えば、差分値が31以下の場合、その近傍画素は本来不要な成分とすると、差分値が32以上の場合、その近傍画素は輪郭成分となる。よって、差分値が32以上の近傍画素を抽出するために、閾値は32に設定される。そして、注目画素値と近傍画素値とが入力された選択回路16は、8つの近傍画素値についての比較回路15による比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力する。また、選択回路16は、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力する。ここで、ある近傍画素値が注目画素値に置き換えられた場合、その近傍画素値は注目画素値へのフィルタ処理対象とならないので、その近傍画素はフィルタ処理にかからないことになる。
【0017】
その後、乗算加算回路18は、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた9つの係数とを乗算する。そして、乗算加算回路18は、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値として端子19へ出力する。
【0018】
次に、図1の画像処理装置10の動作の例について説明する。
まず、閾値メモリ14は、閾値”32”を記憶しているとする。また、係数メモリ17は、ラプラシアンフィルタの場合の係数を記憶しているとする。
【0019】
その後、減算回路13により、画像単位データが受け付けられる。そして、減算回路13により、8つの近傍画素値について、近傍画素値から注目画素値が減算され、減算結果が絶対値にされ、8つの差分値として出力される。
【0020】
その後、比較回路15により、8つの差分値について、差分値と閾値”32”とが比較される。そして、選択回路16により、8つの近傍画素値についての比較結果に基づき、差分値が閾値”32”以上の場合、近傍画素値が選択近傍画素値として出力される。また、選択回路16により、差分値が閾値”32”より小さい場合、近傍画素値が注目画素値に置き換えられて選択近傍画素値として出力される。
【0021】
その後、乗算加算回路18により、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、ラプラシアンフィルタとが乗算される。そして、乗算加算回路18により、全ての乗算結果が加算され、出力注目画素値として出力される。
【0022】
このようにすると、差分値が閾値以上の輪郭成分の近傍画素値がフィルタ処理され、差分値が閾値より小さい本来不要な成分の近傍画素値が注目画素値に置き換えられてフィルタ処理されるので、画像データの輪郭成分のみを抽出できるようになる。
【0023】
なお、画像データ内の画像単位データを5×5の25画素、及び、3×5の15画素から構成してもよい。この場合、25画素内の中心の1画素が注目画素となり、25画素内の注目画素以外の24画素が近傍画素となる。また、15画素内の中心の1画素が注目画素となり、15画素内の注目画素以外の14画素が近傍画素となる。
【0024】
また、選択近傍画素値に対して係数を乗じているが、差分値に対して乗じることもできる。
次に、本発明の実施の形態の具体的な内容について説明する。ここで、全体構成を説明し、図3で詳細に説明する。図2は、画像処理装置の全体構成の回路図である。
【0025】
図に示すように、画像処理装置30は、端子31、端子32−1〜32−8、演算回路33−1〜33−8、乗算回路36、加算回路37、オフセット値メモリ38、演算回路39、及び、端子40から構成される。
【0026】
まず、画像処理装置30は、画像データ内の画像単位データ内の1つの注目画素値を端子31を介して受け付け、8つの近傍画素値を端子32−1〜32−8を介して受け付ける。そして、乗算回路36は、1つの注目画素値に対してフィルタ処理等の所定の処理を実行し、加算回路37に出力する。また、演算回路33−1〜33−8は、8つの近傍画素値に対してフィルタ処理等の所定の処理を実行し、加算回路37に出力する。
【0027】
その後、加算回路37は、演算回路33−1〜33−8、及び、乗算回路36による全ての処理結果を加算する。そして、演算回路39は、加算回路37による加算結果に対してオフセット値メモリ38が記憶するオフセット値を演算し、出力注目画素値として端子40へ出力する。
【0028】
次に、図2の演算回路33−1〜33−8を具体的にし、画像処理装置30について詳細に説明する。図3は、画像処理装置の詳細な回路図である。
図に示すように、画像処理装置30は、端子31、32、減算回路33a、閾値メモリ34、比較回路33b、選択回路33c、係数メモリ35、乗算回路33d、36、加算回路37、オフセット値メモリ38、演算回路39、及び、端子40から構成される。なお、減算回路33a、比較回路33b、選択回路33c、及び、乗算回路33dを1つの演算回路33としてもよい。
【0029】
ここで、画像処理装置30は、横軸方向、及び、縦軸方向に複数の画素が配列される処理対象となる画像データについて、その画像データ内の1画素を注目画素とし、その近傍に存在する画素を近傍画素として受け付ける。そして、画像処理装置30は、注目画素が有する注目画素値、及び、近傍画素が有する近傍画素値を使用して所定の処理を実行する。この所定の処理が実行される画像データ内の画像単位データは、任意に設定されるが、以下、画像データ内の画像単位データを3×3の9画素として説明する。この9画素内の中心の1画素を注目画素とし、9画素内の注目画素以外の8画素を近傍画素とする。また、1画素値は8ビットで表現され、画素値が0に近くなると黒色に近くなり、画素値が255に近くなると白色に近くなる。この画像データにおいて、左上の画素から右下の画素へ向かって全ての画素を順番に注目画素とし、注目画素値から輪郭成分が抽出された出力注目画素値を出力する。こうすることで、輪郭成分が抽出され、新しい画像データが出力される。
【0030】
まず、閾値メモリ34は、近傍画素値と注目画素値との差分値の大小を画する閾値を記憶する。また、係数メモリ35は、近傍画素値、及び、注目画素値に対してそれぞれ乗ずる係数を記憶する。例えば、ラプラシアンフィルタが係数メモリ35に記憶された場合、1つの注目画素値に対する係数は−8であり、8つの近傍画素値に対する係数は+1である。また、オフセット値メモリ38は、加算回路37による加算結果をさらに調整するオフセット値を記憶する。
【0031】
その後、減算回路33aは、画像データ内の1つの注目画素、及び、8つの近傍画素を含む画像単位データを、端子31、32を介して受け付ける。そして、減算回路33aは、8つの近傍画素値について、近傍画素値から注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、8つの差分値として出力する。
【0032】
その後、比較回路33bは、8つの差分値について、差分値と閾値とを比較する。ここで、例えば、差分値が31以下の場合、その近傍画素は本来不要な成分とすると、差分値が32以上の場合、その近傍画素は輪郭成分となる。よって、差分値が32以上の近傍画素を抽出するために、閾値は32に設定される。そして、注目画素値と近傍画素値とが入力された選択回路33cは、8つの近傍画素値についての比較回路33bによる比較結果に基づき、差分値が閾値以上である場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力する。また、選択回路33cは、差分値が閾値より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力する。ここで、ある近傍画素値が注目画素値に置き換えられた場合、その近傍画素値は注目画素値への乗算対象とならないので、その近傍画素はフィルタ処理にかからないことになる。
【0033】
その後、乗算回路33dは、選択近傍画素値から構成される画素値群と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた8つの係数とを乗算する。また、乗算回路36は、注目画素値と、画像単位データ内の各画素の位置に応じた1つの係数とを乗算する。そして、加算回路37は、乗算回路33d、36による全ての乗算結果を加算する。
【0034】
その後、演算回路39は、加算回路37による加算結果に対してオフセット値を演算し、出力注目画素値として端子40へ出力する。例えば、画像データの輪郭成分は、差分値が大きく、画素値が強調して抽出されている。よって、輪郭成分の画素は白色に近くなり、黒色の背景成分に対して白色の輪郭成分となってしまう。この対策として、演算回路39は、画素について、白色と黒色とを反転させたり、濃度を変更したりする。
【0035】
次に、図3の画像処理装置30の動作の例について説明する。
まず、閾値メモリ34は、閾値”32”を記憶しているとする。また、係数メモリ35は、ラプラシアンフィルタの場合の係数を記憶しているとする。オフセット値メモリ38は、加算回路37による加算結果としての画素について、白色と黒色とを反転させるオフセット値を記憶しているとする。
【0036】
その後、減算回路33aにより、画像単位データが受け付けられる。そして、減算回路33aにより、8つの近傍画素値について、近傍画素値から注目画素値が減算され、減算結果が絶対値にされ、8つの差分値として出力される。
【0037】
その後、比較回路33bにより、8つの差分値について、差分値と閾値”32”とが比較される。そして、選択回路33cにより、8つの近傍画素値についての比較結果に基づき、差分値が閾値”32”以上の場合、近傍画素値が選択近傍画素値として出力される。また、選択回路33cにより、差分値が閾値”32”より小さい場合、近傍画素値が注目画素値に置き換えられて選択近傍画素値として出力される。
【0038】
その後、乗算回路33dにより、選択近傍画素値から構成される画素値群とラプラシアンフィルタとが乗算される。また、乗算回路36により、注目画素値とラプラシアンフィルタとが乗算される。そして、加算回路37により、乗算回路33d、36による全ての乗算結果が加算される。
【0039】
その後、演算回路39により、白色と黒色とを反転させるように演算され、出力注目画素値として出力される。
以下、閾値メモリ34、係数メモリ35、及び、オフセット値メモリ38について説明する。
【0040】
まず、閾値メモリ34について説明する。
閾値メモリ34は、近傍画素値と注目画素値との差分値の大小を画する閾値を記憶する。換言すると、ある一定の差分値以上ならば輪郭成分であるとし、その差分値を閾値として記憶する。例えば、閾値メモリ34は、アニメーション用の画像データに対する閾値、映画用の画像データに対する閾値、及び、写真から生成した画像データに対する閾値等を記憶する。ここで、画像処理される画像データに対し、様々な閾値を設定できるので、様々な画像データに対応できる。また、画像処理装置30を使用するユーザが、閾値を変更できるので、経験に基づいて画像処理結果を制御できる。
【0041】
次に、係数メモリ35について説明する。図4は、係数メモリの例を示す図である。
係数メモリ35は、近傍画素値、及び、注目画素値に対してそれぞれ乗ずる係数を記憶する。図に示すように、係数メモリ35は、フィルタ名、及び、9つの係数から構成される。フィルタ名は、画像処理に使用されるフィルタの名称である。9つの係数は、フィルタ名に関係するフィルタに固有の係数群である。例えば、Aフィルタは輪郭成分を抽出でき、Bフィルタは横軸方向の輪郭成分を抽出でき、Cフィルタは縦軸方向の輪郭成分を抽出できる。ここで、画像処理される画像データを想定し、様々なフィルタを用意できるので、様々な画像データに対応できる。また、画像処理装置30を使用するユーザが、フィルタの各係数を変更できるので、経験に基づいて画像処理結果を制御できる。
【0042】
次に、オフセット値メモリ38について説明する。
オフセット値メモリ38は、加算回路37による加算結果をさらに調整するオフセット値を記憶する。ここで、画像処理される画像データを想定し、様々なオフセット値を用意できるので、様々な画像データに対応できる。また、画像処理装置30を使用するユーザが、オフセット値を変更できるので、経験に基づいて画像処理結果を制御できる。
【0043】
次に、画像処理装置30によった画像単位データの流れについて説明する。図5は、画像単位データの流れを示すブロック図である。なお、説明の簡略のため、演算回路39を省略して説明する。
【0044】
まず、減算回路33aは、画像単位データ51を受け付ける。そして、減算回路33aは、8つの近傍画素値について、近傍画素値から注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、8つの差分値52として出力する。
【0045】
その後、比較回路33bは、8つの差分値52について、差分値と閾値53とを比較する。そして、選択回路33cは、8つの近傍画素値についての比較回路33bによる比較結果に基づき、差分値が閾値53以上の場合、近傍画素値を選択近傍画素値として出力する。また、選択回路33cは、差分値が閾値53より小さい場合、近傍画素値を注目画素値に置き換えて選択近傍画素値として出力する。そして、一時的に、新しい画像単位データ54が出力される。
【0046】
その後、乗算回路33dは、選択近傍画素値、及び、注目画素値から構成される画素値群と、画像単位データ54内の各画素の位置に応じた9つの係数55とを乗算する。そして、加算回路37は、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値56として出力する。
【0047】
なお、出力注目画素値56は、例えば、次のような式で定義される。
【0048】
【数1】

【0049】
F(X)=0 :−ε≦X≦ε ・・・(2)
F(X)=X :X≦−ε X≧ε ・・・(3)
ここで、式(1)において、p`(0,0)は出力注目画素値であり、p(0,0)は注目画素値であり、p(a,b)は近傍画素値である。また、k(a,b)は、a、及び、bに対する係数である。このa、及び、bは、注目画素からの近傍画素の位置を示し、整数であって−1、0、+1の値をとる。なお、式(1)は、1つの注目画素についてのみ説明している。そして、式(2)と式(3)とにおいて、Xは差分値であり、εは閾値である。また、F(X)は、差分値が閾値以上の場合Xとなり、差分値が閾値より小さい場合0となる。
【0050】
次に、画像処理装置30において、注目画素値が出力注目画素値へ加工される処理の概念について、図6を参照して説明する。なお、図6のフローチャートは、画像処理装置30が画像データを受け付けた場合に実行される。図6のフローチャートが実行されると、以下のステップが実行される。図6は、画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
【0051】
ここで、画像データ内の画像単位データが3×3の9画素の場合、T=3となってS=3となる。そして、a、及び、bは、注目画素からの近傍画素の位置を示し、整数であって−1、0、+1の値をとる。フローチャートが実行されると、近傍画素(-1,+1)から近傍画素(+1,+1)へ処理が移り、そして、近傍画素(-1,0)から近傍画素(+1,0)へ処理が移り、そして、近傍画素(-1,-1)から近傍画素(+1,-1)へ処理が移る。また、注目画素(0,0)は注目画素値p(0,0)を有し、近傍画素(a,b)は近傍画素値p(a,b)を有する。
【0052】
[ステップS11]加算回路37は、出力注目画素値p`(0,0)をリセットして0にする。
[ステップS12]比較回路33bは、a=−1、及び、b=+1と初期設定する。換言すると、比較回路33bは、近傍画素(a,b)を最も左側で最も上側に設定する。
【0053】
[ステップS13]比較回路33bは、差分値|p(a,b)-p(0,0)|と閾値εとを比較する。差分値|p(a,b)-p(0,0)|が閾値ε以上の場合、処理はステップS14へ進み、小さい場合、処理はステップS15へ進む。
【0054】
[ステップS14]差分値|p(a,b)-p(0,0)|が閾値ε以上の場合、乗算回路33d、36は、近傍画素値p(a,b)と、画像単位データ内のその近傍画素(a,b)の位置に応じた係数k(a,b)とを乗算する。
【0055】
[ステップS15]差分値|p(a,b)-p(0,0)|が閾値εより小さい場合、乗算回路33d、36は、近傍画素値p(a,b)に置き換えられた注目画素値p(0,0)と、画像単位データ内のその近傍画素(a,b)の位置に応じた係数k(a,b)とを乗算する。
【0056】
[ステップS16]加算回路37は、乗算回路33d、36による全ての乗算結果を加算する。
[ステップS17]比較回路33bは、aが+1か否かを判断する。換言すると、比較回路33bは、近傍画素(a,b)が最も右側か否かを判断する。+1である場合、処理はステップS19へ進み、+1でない場合、処理はステップS18へ進む。
【0057】
[ステップS18]aが+1でない場合、比較回路33bは、近傍画素(a,b)について、左側から右側へ横軸方向に1つ移動する。
[ステップS19]aが+1である場合、比較回路33bは、a=−1と再設定する。換言すると、比較回路33bは、近傍画素(a,b)を最も左側に再設定する。
【0058】
[ステップS20]比較回路33bは、bが−1か否かを判断する。換言すると、比較回路33bは、近傍画素(a,b)が最も下側か否かを判断する。−1である場合、処理はステップS22へ進み、−1でない場合、処理はステップS21へ進む。
【0059】
[ステップS21]bが−1でない場合、比較回路33bは、近傍画素(a,b)について、上側から下側へ縦軸方向に1つ移動する。
[ステップS22]bが−1である場合、演算回路39は、加算回路37による加算結果に対してオフセット値を演算する。
【0060】
なお、図6のフローチャートは、1つの注目画素についてのみ説明している。
このようにすると、差分値が閾値以上の輪郭成分の近傍画素値がフィルタ処理され、差分値が閾値より小さい本来不要な成分の近傍画素値が注目画素値に置き換えられてフィルタ処理されるので、画像データの輪郭成分のみを抽出できるようになる。
【0061】
なお、画像データ内の画像単位データを5×5の25画素、及び、3×5の15画素から構成してもよい。この場合、25画素内の中心の1画素が注目画素となり、25画素内の注目画素以外の24画素が近傍画素となる。また、15画素内の中心の1画素が注目画素となり、15画素内の注目画素以外の14画素が近傍画素となる。
【0062】
また、選択近傍画素値に対して係数を乗じているが、差分値に対して乗じることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の概念図である。
【図2】画像処理装置の全体構成の回路図である。
【図3】画像処理装置の詳細な回路図である。
【図4】係数メモリの例を示す図である。
【図5】画像単位データの流れを示すブロック図である。
【図6】画像処理装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 画像処理装置
11、12、19 端子
13 減算回路
14 閾値メモリ
15 比較回路
16 選択回路
17 係数メモリ
18 乗算加算回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの輪郭成分を抽出する画像処理装置において、
前記画像データ内の1つの注目画素値を有する注目画素、及び、複数の近傍画素値を有する近傍画素を含む画像単位データを受け付け、前記近傍画素値から前記注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、差分値として出力する減算回路と、
前記差分値と閾値メモリが記憶する閾値とを比較する比較回路と、
前記注目画素値と前記近傍画素値とが入力され、前記比較回路による比較結果に基づき、前記差分値が前記閾値以上である場合、前記近傍画素値を選択近傍画素値として出力し、前記差分値が前記閾値より小さい場合、前記近傍画素値を前記注目画素値に置き換えて前記選択近傍画素値として出力する選択回路と、
前記選択近傍画素値、及び、前記注目画素値から構成される画素値群と、前記画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数メモリが記憶する係数群とを乗算し、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値として出力する乗算加算回路と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記画像単位データは、横軸方向に3以上の奇数の画素が存在し、縦軸方向に3以上の奇数の画素が存在することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記閾値メモリは、前記画像データに応じて可変である閾値を記憶することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記係数メモリは、複数の輪郭成分が抽出された画像データに対応する係数を記憶することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータにより、画像データの輪郭成分を抽出する画像処理方法において、
減算手段が、前記画像データ内の1つの注目画素値を有する注目画素、及び、複数の近傍画素値を有する近傍画素を含む画像単位データを受け付け、前記近傍画素値から前記注目画素値を減算し、減算結果を絶対値にし、差分値として出力するステップと、
比較手段が、前記差分値と閾値メモリが記憶する閾値とを比較するステップと、
選択手段が、前記注目画素値と前記近傍画素値とが入力され、前記比較手段による比較結果に基づき、前記差分値が前記閾値以上である場合、前記近傍画素値を選択近傍画素値として出力し、前記差分値が前記閾値より小さい場合、前記近傍画素値を前記注目画素値に置き換えて前記選択近傍画素値として出力するステップと、
乗算加算手段が、前記選択近傍画素値、及び、前記注目画素値から構成される画素値群と、前記画像単位データ内の各画素の位置に応じた係数メモリが記憶する係数群とを乗算し、全ての乗算結果を加算し、出力注目画素値として出力するステップと、
を含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−185375(P2006−185375A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381069(P2004−381069)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】