説明

画像処理装置、及びこれを備えた印刷システム

【課題】キャリブレーション実行時に、データ再生を実行するか否かを判定し、印刷効率の向上を図る画像処理装置、及び印刷システムを提供する。
【解決手段】画像濃度の補正のための濃度補正情報を使用して印刷用画像データを生成する印刷画像データ生成部23と、濃度補正情報を更新するキャリブレーション実行部26と、印刷用画像データの印刷処理の実行中にキャリブレーションが実行され、この印刷処理が中断した場合、印刷用画像データの生成に使用した更新前の濃度補正情報とキャリブレーションの実行による更新後の濃度補正情報とを比較して印刷用画像データの再生成の要否を判定するデータ再生成判定部27とを備え、データ再生成判定部が、印刷用画像データの再生成が不要である旨を判定した場合に、印刷用画像データの再生成を行うことなく、更新前の濃度補正情報による印刷用画像データに基づいて中断していた印刷用画像データの印刷処理を再開させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及びこれを備えた印刷システムに関し、詳細には、キャリブレーションを実行する画像処理装置、及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置によって印刷処理を行う場合、印刷処理の実行中における温度や湿度等の環境の変化、或いは印刷装置の消耗部品の状態や印刷枚数等により印刷物の印刷画質が低下する。このため、画像処理装置や印刷装置を備えた印刷システムは、例えば、温度や湿度の変化が所定値以上の場合、若しくは所定日数の経過ごと、又は印刷枚数が所定値枚数ごと等の特定の条件を満たすと、キャリブレーション(プロコンとも言う)を実行して濃度補正情報を生成・更新している。
【0003】
そして、更新された濃度補正情報を使用して印刷用画像データ(ビットマップ)を生成し、この印刷用画像データの印刷処理を実行することで印刷画質の低下を防いでいる。
例えば、特許文献1には、キャリブレーションを実行する印刷システムが開示されており、このキャリブレーションでは主に以下の処理が実行される。
【0004】
まず、上述した特定のキャリブレーション実行条件を満たすと、画像処理装置は、印刷装置の感光体ドラム表面上若しくは中間転写体上に濃度の異なるテスト用トナー画像(トナーパッチとも言う)を作成し、光学センサ等の濃度センサを用いてトナーパッチからの反射光を検出してトナー画像の濃度を測定する。
そして、測定した濃度を基に「濃度補正情報」が生成される。濃度補正情報は、例えば、測定したトナー画像の濃度が低い場合には、感光体ドラム表面上等に新たに作成するトナー画像の濃度が高くなるように、RIP(Raster Image Processing)の処理内容を変更する際に使用される情報である。
【0005】
ここで、RIPとは、画像処理装置で受信したPDL(Page Description Language)データに含まれるコマンドの解析処理を意味する。このコマンドの解析によって、描画オブジェクト及び描画オブジェクトの属性(描画オブジェクトの種類、座標、色彩等)を示す情報を含んだ中間データが生成される。次いで、このRIPにより生成した中間データをレンダリングすると、印刷用画像データ(ラスタイメージデータとも言う)が生成される。
【0006】
つまり、上記の濃度補正情報が更新された場合には、この更新後の濃度補正情報を使用して中間データが再び生成され、続いて、この中間データのレンダリングによって印刷用画像データが再生成される(データ再生成)。印刷装置は、当該再生成した印刷用画像データに基づいて画像を記録用紙に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−86666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のデータ再生成を実行すると、印刷効率が低下するという問題がある。
図13は、従来の印刷用画像データの生成及び印刷を説明するためのタイミングチャートであり、複数の印刷ジョブを受信した場合において、印刷画像データ生成部では、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)に対する印刷用画像データの生成(上記のRIP及びレンダリング)が実行されており、印刷装置による当該印刷ジョブの印刷処理は、この印刷ジョブに対する印刷用画像データの生成の完了後に実行される。
【0009】
ここで、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)に対する印刷用画像データの生成は、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了、つまり、全ページ分のデータ出力後に開始される。その理由は、仮に、第2番目に受信した印刷ジョブに対する印刷用画像データの生成を第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の実行中に実行しても、濃度補正情報が更新された場合にはこの第2番目に受信した印刷ジョブに対する印刷用画像データの生成を改めてやり直す必要があるからである。
なお、以降の印刷ジョブも同様であり、第3番目に受信した印刷ジョブ(図中の3job目)に対する印刷用画像データの生成は、第2番目に受信した印刷ジョブの印刷処理が完了するまで行われない。
【0010】
図14は、従来の印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションを説明するためのタイミングチャートであり、上記第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の実行中に、キャリブレーション実行部でキャリブレーション実行条件が成立した場合には、印刷装置では第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理が中断され、更新後の濃度補正情報を反映させるため、印刷画像データ生成部ではこの更新後の濃度補正情報を使用して第1番目の印刷ジョブについての印刷用画像データの再生成(図中の1job目(再生成))が実行されていた。
【0011】
すなわち、従来では、更新前後の濃度補正情報に大きな変化が生じておらず、色変換にほとんど影響を与えない場合であってもデータ再生成が実行され、印刷処理を実行中の印刷ジョブは、上述の印刷用画像データの再生成の完了後に再印刷されるまで中断し続けることになる。
【0012】
しかも、図13で示したように、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)に対する印刷用画像データの生成は、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(再生成後の印刷))が完了するまで行われないため、印刷効率の低下をより招くことになる。
【0013】
本発明は、上述の如き実情に鑑みてなされたもので、キャリブレーション実行時に、データ再生成を実行するか否かを判定し、印刷効率の向上を図る画像処理装置、及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、画像濃度の補正のための濃度補正情報を使用して、受け付けた印刷ジョブの印刷用画像データを生成する印刷画像データ生成部と、前記濃度補正情報を更新するキャリブレーション実行部とを具備し、印刷装置に対して印刷処理を実行させる画像処理装置であって、該画像処理装置は、前記生成された印刷用画像データの印刷処理の実行中にキャリブレーションが実行され、該印刷処理が中断した場合に、前記印刷用画像データの生成に使用した更新前の濃度補正情報と前記キャリブレーションの実行による更新後の濃度補正情報とを比較して印刷用画像データの再生成を実行するか否かを判定するデータ再生成判定部を備え、該データ再生成判定部が、前記印刷用画像データの再生成が不要である旨を判定した場合に、前記印刷画像データ生成部による前記印刷用画像データの再生成を行うことなく、前記印刷装置に対し、前記更新前の濃度補正情報による印刷用画像データに基づいて前記中断していた印刷用画像データの印刷処理を再開させることを特徴としたものである。
【0015】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記データ再生成判定部は、前記印刷用画像データの再生成が必要である旨を判定した場合には、前記印刷画像データ生成部に対し、前記更新後の濃度補正情報を使用して印刷用画像データを再生成させることを特徴としたものである。
【0016】
第3の技術手段は、第1又は2の技術手段において、所定番目に受け付けた印刷ジョブの印刷処理の実行中に次番目の印刷ジョブを受け付けた場合に、前記印刷画像データ生成部は、前記所定番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了を待つことなく、前記次番目に受け付けた印刷ジョブの印刷用画像データの生成を開始することを特徴としたものである。
【0017】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記印刷画像データ生成部は、前記所定番目に受け付けた印刷ジョブの印刷処理が完了した場合に、前記印刷装置に対し、前記次番目に受け付けて既に生成されている印刷ジョブの印刷用画像データの印刷処理を開始させることを特徴としたものである。
【0018】
第5の技術手段は、第1から4のいずれか1の技術手段において、前記濃度補正情報は、入力濃度に対する出力濃度を定めたものであって、前記データ再生成判定部は、所定の入力濃度範囲における各入力濃度について、前記更新前の濃度補正情報による出力濃度と前記更新後の濃度補正情報による出力濃度との差分絶対値和を求め、この差分絶対値和が所定のしきい値以下の場合に、前記印刷用画像データの再生成が不要である旨を判定することを特徴としたものである。
【0019】
第6の技術手段は、第1から5のいずれか1の技術手段である画像処理装置と、該画像処理装置で生成した印刷用画像データの印刷処理を実行する印刷装置とを備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、キャリブレーション実行時に、印刷用画像データの再生成を実行するか否かを判定する手段を備えており、更新前後の濃度補正情報の比較から印刷用画像データの再生成を不要にできるため、この再生成を常に実行せずに済む。この結果、中断していた印刷処理を速やかに再開して継続でき、印刷効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の印刷システムに適用可能な印刷装置及び画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の画像処理装置の制御部に関するブロック図である。
【図3】本発明による印刷用画像データの生成を説明するフローチャートである。
【図4】本発明による印刷用画像データの生成及び印刷のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図5】キャリブレーションについて説明するためのフローチャートである。
【図6】テスト用トナー画像の入力濃度と出力濃度との関係を示す図である。
【図7】出力濃度の補正処理例を説明する図である。
【図8】入力濃度と出力濃度とが理想的な状態のときの渦巻き型ディザマトリックスの一例を示す図である。
【図9】入力濃度と出力濃度とがリニアになっていないときの渦巻き型ディザマトリックスの一例を示す図である。
【図10】本発明による印刷用画像データの印刷を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明による印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションのタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、データを再生成する場合の説明図である。
【図12】本発明による印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションのタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、データを再生成しない場合の説明図である。
【図13】従来の印刷用画像データの生成及び印刷のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図14】従来の印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションのタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の印刷システムに適用可能な印刷装置及び画像処理装置を示すブロック図である。以下、図面を参照しながら本発明の印刷システム、印刷装置及び画像処理装置について説明する。
図1には、本発明の印刷システムの一態様であるMFP(MultiFunction Peripheral)10が示されている。MFP10は、外部から受信した画像データに応じた印刷用画像データの生成や、所定の記録用紙に対する多色或いは単色の画像を出力できる。
【0023】
詳しくは、MFP10は、印刷処理される画像の画像データを取り扱う画像処理装置11と、その印刷処理を実行する印刷装置18とを具備しており、例えばネットワーク110を介してPC(情報処理装置)100に接続される。
画像処理装置11は、ネットワークIF12やユーザーインターフェース14、制御部13、通信部15、記憶部16、及びHDD17を有している。
【0024】
ネットワークIF12はPC100から文字、図形、写真等の画像データをPDLデータで受信可能であり、また、ユーザーインターフェース14はUSB等の外部装置に接続可能となっている。これらネットワークIF12やユーザーインターフェース14は制御部13に接続されている。
また、制御部13には、通信部15、記憶部16、及びHDD17も接続されている。通信部15は、ネットワークIF12を介してPC100等からの画像データを受信したり、制御部13からの指令にしたがい、画像濃度の補正のための濃度補正情報を使用して生成した印刷用画像データをHDD17に格納する。なお、通信部15は印刷処理に必要な印刷設定情報を記憶部16から読み出し可能である。
【0025】
一方、印刷装置18は、給紙、画像形成、転写、定着、排紙等を行って印刷処理を実行している。印刷装置18は、カラー機では例えば4色(C、M、Y、K)のトナーを使用可能な電子写真方式の画像形成装置であり、MFP10内でみればプリントエンジンに相当する。また、印刷装置18は、図1に示される如く、キャリブレーションを行うための光学センサ等の濃度センサ19を有する。
【0026】
記憶部16には、キャリブレーションの実行によって得られた各色の濃度補正情報からなるカラーテーブル情報20,21が記憶されている。ここで、カラーテーブル情報21は更新前のカラーテーブル情報、カラーテーブル情報20はキャリブレーションによって更新された更新後のカラーテーブル情報を示す。なお、記憶部16は物理的にHDD17内に設けられていてもよい。
【0027】
ここで、本実施例の制御部13では、各色の濃度補正情報を備えたカラーテーブル情報を使用して印刷用画像データを生成でき、この生成した印刷用画像データを印刷装置18に対して出力可能となっている。
図2は、本発明の画像処理装置の制御部に関するブロック図であり、制御部13は、印刷データ受信部22、印刷画像データ生成部23、キャリブレーション実行部26、及びデータ再生成判定部27を備える。
【0028】
印刷データ受信部22は、ネットワークIF12で受信したPC100等からの画像データをHDD17から受け取り、この画像データを印刷画像データ生成部23に向けて出力する。
印刷画像データ生成部23は印刷データRIP部24及び印刷データレンダリング部25からなっており、印刷データRIP部24は、最新のカラーテーブル情報、具体的には、キャリブレーションの実行により更新された更新後のカラーテーブル情報(更新後の濃度補正情報)20が存在する場合にはその最新の情報を記憶部16から読み出して使用し、ネットワークIF12で受信した画像データから中間データを作成する。
【0029】
図3は、本発明による印刷用画像データの生成を説明するフローチャートである。印刷データRIP部24は、上記画像データのうち1ページ分のPDLデータに含まれるコマンドを解析しており(ステップS101)、描画オブジェクト及び描画オブジェクトの属性を示す情報(描画オブジェクトの種類、座標、色彩等)を含んだ中間データを生成する。この中間データは印刷データレンダリング部25に向けて出力される。
【0030】
続いて、印刷データレンダリング部25は、当該中間データをレンダリング、つまり、1ページ分のラスタイメージに展開して印刷用画像データを生成する(ステップS102)。そして、当該データを印刷装置18に向けて出力する。
ここで、複数の印刷ジョブがPC100から送信された状態を想定すると、直前に受信した印刷ジョブの印刷処理が印刷装置18で実行されている間に、印刷データ受信部22が次の印刷ジョブを受信した場合(ステップS103のNO)には、印刷データRIP部24は、当該次の印刷ジョブに関する中間データの生成を開始する(ステップS101)。
【0031】
図4は、本発明による印刷用画像データの生成及び印刷のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。印刷画像データ生成部23は、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷用画像データの生成の完了後に、印刷装置18へ印刷処理の実行開始を指示する。これにより、印刷装置18は第1番目に受信した印刷ジョブの出力を開始する。
【0032】
次に、印刷画像データ生成部23は、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の完了を待つことなく、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷用画像データの生成を第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の実行中に開始している。
その後、制御部13は、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)について、その印刷用画像データの生成の完了を条件として、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の完了に続いて、印刷装置18へ印刷処理の実行開始を指示する。
【0033】
なお、第3番目に受信した印刷ジョブ(図中の3job目)の印刷用画像データの生成も上記第2番目に受信した印刷ジョブと同様であり、その前(例えば、図4では第1番目が該当する。)に受信した印刷ジョブの印刷処理の実行中に開始する。さらに、この第3番目に受信した印刷ジョブの印刷処理についても、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷処理の完了後速やかに開始する。
【0034】
図2に戻り、キャリブレーション実行部26は、例えば、印刷枚数が特定枚数を超えた場合、トナー使用量が特定量を超えた場合、感光体ドラムの回転数が特定回転数を超えた場合、MFP10の設置場所の温度や湿度の変化量が大きい場合、MFP10の電源がオンされてからの経過時間が特定時間を超えた場合などに、キャリブレーション実行条件が成立したと判定し、キャリブレーションを実行してカラーテーブル情報を更新する。
【0035】
具体的には、印刷装置18は、例えば中間調プロセスコントロール、つまり、濃度の異なるテスト用トナー画像(トナーパッチとも言う)を感光体ドラム表面上や中間転写体上に作成する。そして、所定の入力濃度で作成されたテスト用トナー画像からの反射光を濃度センサ19で検出し、トナー画像の濃度の測定値(出力濃度)を求める。上記の濃度補正情報は入力濃度に対する出力濃度を定めたものであり、上記測定を各色(C,M,Y,K)で行うことでトナー色ごとに入力濃度値に対する出力濃度値のデータを得ることができる。
【0036】
図5は、キャリブレーションについて説明するためのフローチャートであり、MFP10の電源がオンされると、キャリブレーション実行部26は、キャリブレーション実行条件を満たすか否かを判定する(ステップS201)。キャリブレーション実行条件を満たさない場合(ステップS201のNO)には、キャリブレーション実行条件を満たすまで待機する。
【0037】
これに対し、キャリブレーション実行条件を満たす場合(ステップS201のYES)には、キャリブレーション実行部26は、キャリブレーションを実行してカラーテーブル情報を生成する(ステップS202)。次いで、キャリブレーション実行部26は、この生成したカラーテーブル情報を更新後のカラーテーブル情報20として更新する(ステップS203)。
【0038】
このとき、その直前に更新されていたカラーテーブル情報、より詳しくは、印刷データRIP部24にて中間データの生成に使用したカラーテーブル情報は、更新前のカラーテーブル情報(更新前の濃度補正情報)21として扱われる。MFP10は、電源がオフになるまで、ステップS201〜S203の処理を繰り返す。
【0039】
図6〜図9は、更新後のカラーテーブル情報20を説明するための図である。まず、図6は、テスト用トナー画像の入力濃度と出力濃度との関係を示す図である。ここでは、入力濃度を0〜255の256レベルとし、各レベルのトナー画像を濃度センサ19で測定したときの測定値を示している。図6(A)は理想状態を示す図で、記録用紙にトナーを転写・定着する際に、光学的・物理的なドットゲインの影響がない場合には、入力濃度に対する出力濃度がリニアに変化する。
【0040】
しかしながら、実際の測定結果は、図6(B)〜図6(D)に示すような結果となることがある。例えば図6(B)では、入力濃度に対して出力濃度が大きくなり、図6(C)では、入力濃度に対して出力濃度が小さくなる。また、図6(D)では、入力濃度が低濃度の範囲では出力濃度は小さくなるが、入力濃度が高濃度の範囲では反対に出力濃度は大きくなる。また、これら以外の挙動を示すこともある。このような場合、入力濃度に対する出力濃度の補正を行うことにより、画像品質を防ぐ処理を行う。
【0041】
図7は、図6(B)の状態の場合の補正処理を説明する図である。図7に示すように、入力濃度値が128のときには、実際は128よりも大きい濃度実測値Oaが得られる。また、実測値で128の濃度を得たい場合には、入力濃度としては128より小さい入力値Iaを与れば良い。濃度補正に関する基本的な仕組みを示すために、ここでは入力濃度が0〜255の8ビット階調とし、印刷装置18の出力階調が0,1で示される1ビット階調とするとき、一辺が16ドット×16ドットの渦巻き型のディザマトリックスを使用して面積階調法により階調を表現する。
【0042】
まず、理想的な入力濃度と出力濃度がリニアになっている状態では、これに対応する渦巻き型ディザマトリックスは図8(A)で表されるものとなる。このディザマトリックスは、中心部分から渦を巻くように時計回りで、しきい値として0,1,2・・が順番に設定されたディザパターンとなる。このディザパターンに入力値128を入力すると、各マトリックスに設定されたしきい値が128よりも小さい部分が黒(斜線部分)として表現され、これが面積階調(256セルのうち128セルが黒として認識される)として出力濃度128の値を持つビットマップで表現される(図8(B))。
【0043】
図8(A)に示す理想的なディザマトリックスに対して、図7に示すような入力濃度−出力濃度の関係を持つ場合には、入力濃度Iaのときに出力濃度が128となり、入力濃度128のときに出力濃度がOaとなる。例えばIaが115、Oaが141の濃度である場合、補正されたしきい値を持つ渦巻き型ディザマトリックステーブルは、図9(A)に示すようになる。図9(A)でしきい値が128のセルは、図8(A)の理想状態では115であり、図9(A)でしきい値が141のセルは、図8(A)の理想状態では128になる。
【0044】
当該しきい値を持つディザパターンを、印刷装置18が図7のような特性を持つときに使用することで、入力値が128の出力パターンは図9(B)に示すようなビットマップ出力となる。このビットマップが、印刷装置18の図7の特性で出力されることにより、128の出力濃度が得られることになる。以上が更新後のカラーテーブル情報20の生成の基本的な考え方となる。
【0045】
さらに、印刷装置18の出力階調が1ビットだけではなく2、4ビットの多階調をサポートし、それに出力が多段階となるディザマトリックスを組み合わせて使用される。この場合にも基本的な補正の原理は上記の1ビット出力の場合と同じになる。
【0046】
再び図2に戻り、データ再生判定部27は、印刷用画像データの生成時に使用した更新前のカラーテーブル情報21及びキャリブレーション実行部26の実行により更新された更新後のカラーテーブル情報20を記憶部16からそれぞれ読み出して比較しており、印刷用画像データの再生成を実行する必要があるか否かを判定する。
例えば、データ再生成判定部27は、更新前のカラーテーブル情報21や更新後のカラーテーブル情報20の各色の濃度補正情報がそれぞれ図7のように示された場合に、各カラーテーブル情報20,21の所定の色の濃度補正情報について、入力濃度0〜255に対応する出力濃度の差分の和Sを取得する。詳しくは、更新前のカラーテーブル情報21については、入力濃度0〜255に対応する出力濃度をOa(0)〜Oa(255)とし、更新後のカラーテーブル情報20については、入力濃度0〜255に対応する出力濃度をOb(0)〜Ob(255)とした場合に、データ再生成判定部27は、更新前の出力濃度Oa(x)と更新後の出力濃度Ob(x)との差分絶対値和S、つまり、Oa(0)とOb(0)との差+Oa(1)とOb(1)との差+・・・+Oa(254)とOb(254)との差+Oa(255)とOb(255)との差分の絶対値を合計する。
【0047】
そして、データ再生成判定部27は、この差分絶対値和Sと所定のしきい値Th1と比較して、差分絶対値和Sがしきい値Th1を超えている場合に、中間データの再作成が必要であると判定する。この判定結果は印刷画像データ生成部23に出力される。
或いは、上記差分絶対値和Sに替え、所定のしきい値Th2が入力濃度0〜255に対してそれぞれ設定されていた場合に、各入力濃度0〜255のいずれかの濃度で更新前の出力濃度Oa(x)と更新後の出力濃度Ob(x)との差の絶対値が所定のしきい値Th2を超えているときにはデータ再生成が必要であると判定することも可能である。
【0048】
また、本実施例の如く印刷装置18がカラー機である場合には、4色(C,M,Y,K)ごとに上記差分絶対値和Sを取得し、これらいずれかの色で所定のしきい値Th3を超えているときに、データ再生成が必要である旨を判定しても良い。
なお、他の計算方法としては、入力濃度範囲を複数の群に分けておき、その範囲ごとに上記差分絶対値和Sを計算して所定のしきい値Th4と比較しても良い。詳しくは、入力濃度0〜255を8つの群に分け、1つの群に関する差分絶対値和S、例えば0〜7の範囲内でOa(0)とOb(0)との差+Oa(1)とOb(1)との差+・・・+Oa(7)とOb(7)との差を合計し、当該差分絶対値和Sと所定のしきい値Th4と比較する。この作業を8つの群について行い、これらいずれかの群で所定のしきい値Th4を超えていたときにはデータ再生成が必要である旨を判定しても良い。
【0049】
このように、データ再生成判定部27にてデータ再生成が必要である旨を判定した場合には、印刷データRIP部24は、更新後のカラーテーブル情報20を使用して中間データを再生成し、次いで、印刷データレンダリング部25は、再生成された中間データをレンダリングして印刷用画像データを再生成する。
図10は、本発明による印刷用画像データの印刷を説明するためのフローチャートである。印刷画像データ生成部23が受け付けた印刷ジョブの印刷用画像データを順次生成し(ステップS301)、次いで、印刷装置18がその生成した印刷用画像データの印刷処理を開始する(ステップS302)。キャリブレーション実行部26が印刷処理の実行中にキャリブレーションを実行した場合(ステップS303のYES)には、印刷装置18は印刷処理を中断する(ステップS304)。
【0050】
次に、キャリブレーション実行部26が更新後のカラーテーブル情報20を生成すると(ステップS305)、印刷画像データ生成部23は印刷用画像データの生成を中断する(ステップS306)。
続いて、データ再生成判定部27がデータ再生成の必要を判定した場合(ステップS307でYES)には、印刷画像データ生成部23は印刷を中断した印刷ジョブの印刷用画像データを再生成する(ステップS308)。その後、印刷装置18は印刷処理を開始する(ステップS309)。
【0051】
図11は、本発明による印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションのタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、データを再生成する場合の説明図である。制御部13は、時刻t0で第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷用画像データの生成を開始し、その印刷用画像データの生成の完了後の時刻t1に、印刷装置18へ印刷処理の実行開始を指示する。
【0052】
次に、印刷画像データ生成部23は、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷用画像データの生成を、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の実行中(時刻t1後)に開始する。
ここで、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の実行中に、キャリブレーション実行条件が成立すると、キャリブレーション実行部26は印刷中断の指令を印刷装置18に出力し、印刷装置18は第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理を時刻t2から中断する。
【0053】
キャリブレーション実行部26は、更新後のカラーテーブル情報20を時刻t3で生成した場合に、カラーテーブル情報20が更新された旨の通知をデータ再生成判定部27に出力し、同時に、印刷用画像データの生成中断の指令を印刷画像データ生成部23に出力する。これにより、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷用画像データの生成が中断する。
【0054】
データ再生成判定部27は、カラーテーブル情報が更新された旨の通知を受け取ると、印刷用画像データの再生成が必要かどうかを判定する。
時刻t4でデータ再生成判定部27が、更新前後のカラーテーブル情報20,21の比較に基づいてデータ再生成が必要である旨を判定すると、このデータ再生成判定部27はデータ再生成の必要指令を印刷画像データ生成部23に出力する。この結果、印刷画像データ生成部23は、既に生成した印刷用画像データ(この例では、作成済の1job目及び中断した2job目)をHDD17から削除するとともに、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの再生成(図中の1job目(再生成))を開始する。
【0055】
印刷画像データ生成部23は、その印刷用画像データの再生成(図中の1job目(再生成))の完了後(時刻t5)に、当該再生成された印刷用画像データをHDD17に格納する。そして、制御部13は、印刷装置18に対し、その再生成された印刷用画像データの印刷処理(図中の1job目(再生成後の印刷))の実行開始を指示する。
この例では、キャリブレーションが第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の実行中になされているため、印刷画像データ生成部23は、第1番目に受信した印刷ジョブの1ページ目から印刷用画像データの再生成を行い、再生成後の印刷用画像データを印刷装置18へ送ることになる。なお、キャリブレーション前の既印刷分を除いた残りのページから印刷用画像データの再生成を行い、印刷装置18は、その残りのページから印刷するようにしてもよい。
【0056】
さらに、印刷画像データ生成部23は、第2番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの再生成(図中の2job目(再生成))を、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(再生成後の印刷))の実行中に開始する。なお、この第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)は、その印刷用画像データの再生成(図中の2job目(再生成))が時刻t6で完了しており、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(再生成後の印刷))の完了(時刻t6の後の時刻t7)に続いて、印刷装置18へ印刷処理の実行開始が指示される。
【0057】
これに対し、再び図10のフローチャートに戻り、データ再生成判定部27にてデータ再生成が不要である旨を判定した場合(ステップS307のNO)には、印刷画像データ生成部23は、更新前のカラーテーブル情報21をそのまま使用して印刷用画像データの生成を継続し(ステップS310)、また、印刷装置18は、更新前のカラーテーブル情報21によって以前に生成された印刷用画像データを採用して印刷処理を継続する(ステップS311)。
【0058】
図12は、本発明による印刷用画像データの生成、印刷及びキャリブレーションのタイミングを説明するためのタイミングチャートであり、データを再生成しない場合の説明図である。この図12のうち時刻t0〜時刻t3、つまり、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の実行中にキャリブレーション実行条件が成立しており、印刷装置18が第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理を時刻t2から中断する点、キャリブレーション実行部26が更新後のカラーテーブル情報20を時刻t3から生成する点、並びに、印刷画像データ生成部23が第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷用画像データの生成を時刻t3から中断する点については、上記図11と同じである。
【0059】
しかしながら、データ再生成判定部27は、更新前後のカラーテーブル情報20,21を比較してデータ再生成が不要である旨を判定すると、時刻t4にて、データ再生成不要指令を印刷画像データ生成部23とともに、制御部13は印刷装置18に対して印刷継続指令を出力する。
この結果、まず、印刷画像データ生成部23は、上記図11のような第1番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの再生成(図11の1job目(再生成))を行わず、中断していた第2番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの生成(図中の2job目(生成継続))を再開して継続する。なお、第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷用画像データについては、この例では既に生成が完了しているため、上記継続の対象にはならない。
【0060】
また、印刷継続指令を受け取った印刷装置18は、上記図11のような再生成された印刷用画像データの印刷処理(図11の1job目(再生成後の印刷))を行わず、その中断していた印刷用画像データの印刷処理(図中の1job目(印刷継続))を時刻t4から再開する。
換言すれば、この例では、キャリブレーションが第1番目に受信した印刷ジョブ(図中の1job目)の印刷処理の実行中になされているので、印刷装置18は、上記図11のような印刷用画像データの再生成(図11の1job目(再生成))の完了まで印刷を中断するのではなく、上記データ再生成不要指令の直後(時刻t4)から、これまで実行していた印刷処理をそのまま続けることとなり、当該1job目に要求された全ページ分のうち、キャリブレーション前の既出力分を除いた残りを記録用紙に形成する。
【0061】
印刷画像データ生成部23は、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷処理の実行開始を、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(印刷継続))の完了(時刻t6の後の時刻t7)に続いて、印刷装置18に指示する。
なお、図12に示した第2番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの生成の再開継続(図中の2job目(生成継続))は、上記データ再生成不要指令から時間を置いて開始しているが(時刻t5)、当該データ再生成不要指令の直後(この時刻t5よりも前の時刻t4)から開始しても良い。
【0062】
つまり、この場合には、上記データ再生成不要指令の直後(時刻t4)から、中断していた第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(印刷継続))の他、同じく中断していた第2番目に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの生成の再開継続(図中の2job目(生成継続))をほぼ同時期に進行できる。そして、第2番目に受信した印刷ジョブ(図中の2job目)の印刷処理は、第1番目に受信した印刷ジョブの印刷処理(図中の1job目(印刷継続))の完了に続いて開始される。
【0063】
以上のように、本実施例によれば、まず、印刷用画像データの再生成を実行するか否かを判定するデータ再生成判定部27を備えており、更新前後のカラーテーブル情報20,21の比較から印刷用画像データの再生成を不要にしているため、この再生成を常に実行せずに済む。この結果、中断していた印刷処理を速やかに再開して継続でき、印刷効率の向上を図ることができる。
【0064】
しかも、この本実施例で言えば、制御部13は、キャリブレーションの実行によって中断していた印刷用画像データの印刷処理を再開して継続させる信号を印刷装置18に向けて出力するのみならず、データ再生成判定部27は、同じくキャリブレーションの実行によって中断していた印刷用画像データの生成を再開して継続させる信号を印刷画像データ生成部23に向けても出力している。したがって、印刷画像データ生成部23は、中断していた印刷用画像データの生成も速やかに再開可能になる。
【0065】
また、データ再生成判定部27は、更新前後のカラーテーブル情報20,21の比較から印刷用画像データの再生成が必要な場合には、キャリブレーションの実行結果を反映させるため、印刷画質の低下を防止できる。
さらに、印刷画像データ生成部23では、後に受信した印刷ジョブの印刷用画像データの生成は、その1つ前に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了を待たずに、開始される。よって、この1つ前に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了を待ってから印刷用画像データの生成を開始していた従来の場合に比して、要求された印刷ジョブの印刷処理の迅速化を達成できる。
【0066】
さらに、後に受信した印刷ジョブの印刷用画像データが既に生成されていることを条件として、印刷画像データ生成部23は、その1つ前に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了に続いて印刷を開始させる。したがって、要求された印刷ジョブの印刷処理が迅速に完了し、印刷効率がより一層向上する。
また、データ再生成判定部27において、更新前後のカラーテーブル情報による入力濃度で作成されたテスト用トナー画像の各出力濃度との差分絶対値和を用いれば、簡単な演算で更新前後の違いが明確に定量化されるため、印刷用画像データの再生成が不要な場合を確実に導き出すことができる。
【0067】
さらに、キャリブレーションの実行によって画質の均一化を図りつつ、印刷用画像データの再生成を実行するか否かを判定するため、印刷効率の向上も達成可能な印刷システムを提供できる。
なお、上記実施例では、印刷システムをMFP10に具現化した例で説明したが、本発明の印刷システムは、プリンタや複写機などにも適用可能であり、印刷装置が画像処理装置の外部に複数配置されていても良い。また、印刷ジョブについても必ずしもネットワーク110を経由して受信したものに限定されず、上記複写機のように、原稿を読み取って受け付けた印刷ジョブにも当然に適用可能である。そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、印刷効率の向上を達成できる。
【符号の説明】
【0068】
10…MFP(印刷システム)、11…画像処理装置、12…ネットワークIF、13…制御部、14…ユーザーインターフェース、15…通信部、16…記憶部、17…HDD、18…印刷装置、19…濃度センサ、20…更新後のカラーテーブル情報(更新後の濃度補正情報)、21…更新前のカラーテーブル情報(更新前の濃度補正情報)、22…印刷データ受信部、23…印刷画像データ生成部、24…印刷データRIP部、25…印刷データレンダリング部、26…キャリブレーション実行部、27…データ再生成判定部、100…PC、110…ネットワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像濃度の補正のための濃度補正情報を使用して、受け付けた印刷ジョブの印刷用画像データを生成する印刷画像データ生成部と、前記濃度補正情報を更新するキャリブレーション実行部とを具備し、印刷装置に対して印刷処理を実行させる画像処理装置であって、
該画像処理装置は、
前記生成された印刷用画像データの印刷処理の実行中にキャリブレーションが実行され、該印刷処理が中断した場合に、前記印刷用画像データの生成に使用した更新前の濃度補正情報と前記キャリブレーションの実行による更新後の濃度補正情報とを比較して印刷用画像データの再生成を実行するか否かを判定するデータ再生成判定部を備え、
該データ再生成判定部が、前記印刷用画像データの再生成が不要である旨を判定した場合に、前記印刷画像データ生成部による前記印刷用画像データの再生成を行うことなく、前記印刷装置に対し、前記更新前の濃度補正情報による印刷用画像データに基づいて前記中断していた印刷用画像データの印刷処理を再開させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記データ再生成判定部は、前記印刷用画像データの再生成が必要である旨を判定した場合には、前記印刷画像データ生成部に対し、前記更新後の濃度補正情報を使用して印刷用画像データを再生成させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
所定番目に受け付けた印刷ジョブの印刷処理の実行中に次番目の印刷ジョブを受け付けた場合に、
前記印刷画像データ生成部は、前記所定番目に受信した印刷ジョブの印刷処理の完了を待つことなく、前記次番目に受け付けた印刷ジョブの印刷用画像データの生成を開始することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置において、
前記印刷画像データ生成部は、前記所定番目に受け付けた印刷ジョブの印刷処理が完了した場合に、前記印刷装置に対し、前記次番目に受け付けて既に生成されている印刷ジョブの印刷用画像データの印刷処理を開始させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像処理装置において、
前記濃度補正情報は、入力濃度に対する出力濃度を定めたものであって、
前記データ再生成判定部は、所定の入力濃度範囲における各入力濃度について、前記更新前の濃度補正情報による出力濃度と前記更新後の濃度補正情報による出力濃度との差分絶対値和を求め、この差分絶対値和が所定のしきい値以下の場合に、前記印刷用画像データの再生成が不要である旨を判定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置と、該画像処理装置で生成した印刷用画像データの印刷処理を実行する印刷装置とを備えることを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−92595(P2013−92595A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233604(P2011−233604)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】