画像処理装置、情報処理方法及びプログラム
【課題】画像形成装置が予め登録されていない外部装置に対してもセキュリティ性の高いプルスキャン機能を提供した上で、画像形成装置の資源の浪費を防ぐことを目的とする。
【解決手段】外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、作成手段で作成された一時アカウントを外部装置に送信する送信手段と、読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、画像データに対するアクセス制御を一時アカウントにより行い、画像データが外部装置により取得された後に、画像データと一時アカウントとを削除し、読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、を有することによって課題を解決する。
【解決手段】外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、作成手段で作成された一時アカウントを外部装置に送信する送信手段と、読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、画像データに対するアクセス制御を一時アカウントにより行い、画像データが外部装置により取得された後に、画像データと一時アカウントとを削除し、読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、を有することによって課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP等、スキャナを備えた画像形成装置において、PC等の外部装置からスキャン指示を受け付け、スキャン画像データを外部装置に提供する機能(以下、プルスキャン機能と呼称する)が知られている。
プルスキャン機能においては、セキュリティ上の観点から、スキャン終了後から外部装置によるスキャン画像データ取得までの間でのデータの盗聴・改ざんを防ぐことが求められる。このようなケースを想定し、予め登録されたユーザ以外による画像データの利用を制限する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、スマートフォン・タブレット端末等の携帯端末普及に伴い、従来のPCのような据え置き型の外部装置以外の外部装置においてプルスキャン機能が使用できることが求められている。このような携帯端末においては、端末自体の導入・利用状況が据え置き型端末に比べ流動的であることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−94754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯端末によるプルスキャン機能利用を考慮すると、予め登録されたユーザや端末以外からも一時的に機能利用を許可したいケースも考えられる。従来技術を用いた場合には、このようなケースにおいても毎回にユーザ登録を行う必要があり、プルスキャン機能利用に伴う手続きが複雑となってしまう。
この課題を解決するために、外部装置からスキャン指示を受け付ける度に一時アカウントを作成し、このアカウントによる認証を通過した場合にのみスキャン画像データにアクセス可能とすることが考えられる。
しかし、この方法を用いた場合には、スキャンが何らかの理由で中止された場合に一時アカウントが利用されないままになり、画像形成装置の資源を浪費してしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、前記作成手段で作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信手段と、前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置が予め登録されていない外部装置に対してもセキュリティ性の高いプルスキャン機能を提供した上で、画像形成装置の資源の浪費を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】画像形成装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3A】画像形成装置101内のHDD213に格納されているデータの内容を説明する図である。
【図3B】実施形態1の画像データ格納領域302の内部構成を表す図である。
【図3C】ユーザアカウント格納領域303の内部構成を表す図である。
【図3D】ネットワーク公開データ管理領域304の内部構成を表す図である。
【図4】携帯端末104の図示しない操作部に表示される、画像形成装置101を操作するアプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【図5】携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャン指示を行い、スキャン画像データを取得するまでの情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図6】画像形成装置においてスキャン処理中に原稿給紙時ジャムが発生し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図7】実施形態2のユーザアカウント格納領域303の内部構成を表した図である。
【図8】実施形態2のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。
【図9】画像形成装置においてスキャン処理中においてRAM212が不足し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図10】実施形態3のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。
【図11】画像形成装置101の操作部203を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
<実施形態1>
以下、画像処理装置の一例として画像形成装置を用いて説明する。
図1は、画像形成システムのシステム構成の一例を示す図である。画像形成装置101は、ホスト装置102、103や携帯端末104とネットワークで接続されてデータの授受を行う。なお、特に断らない限り、本明細書で説明する機能が実行されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであってもよい。また、特に断らない限り、本明細書で説明する機能が実行されるのであれば、LAN,WAN等のネットワークを介して接続が為され処理が行われるシステムであってもよい。加えて、ネットワーク接続の形態としては有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0010】
図2は、画像形成装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成装置101は、プリンタ201、スキャナ202、操作部203、コントローラ210から構成される。
コントローラ210は、ネットワークI/F214を通じて受信した、若しくはスキャナ202で読み取った画像データに対して必要な処理を施してプリンタ201に出力する。また、画像形成装置101は、スキャナ202で読み取った画像データや画像形成装置101に格納されている画像データを、ホスト装置102、103や携帯端末104に対してネットワーク経由で公開することもできる。
CPU211は、HDD213に格納されている画像処理プログラムをRAM212に展開して実行する。
HDD213にはCPU211で実行する画像処理プログラムの他に、必要に応じて文書処理に必要なフォントデータ、操作部203に表示するためのデータ等、プログラムの実行に必要なデータ等が含まれていてもよい。また、HDD213は、ネットワークI/F214で受信した画像データ等を格納することもできる。ここで、HDD213は必ずしもHDDである必要はなく、例えばSSD(Solid State Drive)等の記録媒体であってもよい。
【0011】
RAM212には、CPU211が実行するプログラムや、これらのプログラムの実行に必要なデータが格納される。
ネットワークI/F214は、ネットワークを通じて文書データを受信したり、画像形成装置101の状態をホスト装置102、103や携帯端末104に送信するためのネットワーク通信処理を行ったりするインターフェイスである。
プリンタI/F215は、CPU211で処理した文書データをプリンタ201に出力したり、プリンタの状態をCPU211に通知したりするためのインターフェイスである。
スキャナI/F216は、スキャナ202で読み取った画像データをRAM212に転送したり、CPU211からの文書の読み取り指示をスキャナ202に通知したりするためのインターフェイスである。
操作部I/F217は、CPU211からの画面表示指示を操作部203に転送したり、画像形成装置101のユーザが操作部203を操作した旨をCPU211に伝達したりする。
CPU211がプログラムを実行することによって、本明細書で説明する画像形成装置101の機能が実現される。同様に、携帯端末104のCPUがメモリ等に記憶されているプログラムを実行することによって、本明細書で説明する携帯端末104の機能が実現される。
【0012】
図3Aは、画像形成装置101内のHDD213に格納されているデータの内容を説明する図である。
HDD213は、複数の格納領域に分割されており、プログラム格納領域301、画像データ格納領域302、ユーザアカウント格納領域303、ネットワーク公開データ管理領域304から構成される。
プログラム格納領域301は、画像形成装置において実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを格納するための領域である。
【0013】
画像データ格納領域302は、画像形成装置において取り扱う画像データを格納・管理するための領域である。
図3Bは、画像データ格納領域302の内部構成を表す図である。
画像データ格納領域302は、画像データ管理領域310と、複数の画像データ311と、から構成される。画像データ管理領域310は、画像データ格納領域302に格納される画像データ311の各々に対応する画像データIDやデータ実体の格納位置、画像データの属性情報を格納する領域である。画像データの属性情報としては、画像データフォーマット、画像データの縦横の解像度やカラー/モノクロ情報、画像作成日時があるが、これに限らず他の情報が格納されていてもよい。画像データ311は、画像データの内容そのものであり、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式やPNG(Portable Network Graphics)形式等があるが、他の形式でもよい。
【0014】
ユーザアカウント格納領域303は、画像形成装置においてアクセス権を設定するためのユーザアカウントを格納・管理するための領域である。
図3Cは、ユーザアカウント格納領域303の内部構成を表す図である。
ユーザアカウント格納領域303は、複数のユーザアカウント320から構成される。ユーザアカウント320には、ユーザを特定するためのIDや、ユーザ認証する際のパスワード等、ユーザを認証するための情報が格納されている。ここで、ユーザを認証するための情報はID/パスワードでなくてもよく、アクセス制御の対象とするデータに対してアクセス可能かどうかを判別するためのデータであれば何でもよく、例えば単なるバイト列でもよい。なお、本実施形態では、アカウントデータの抜き取り等のセキュリティ脅威への対策として、ユーザアカウント格納領域303に格納されるデータに関して暗号化を行うものとする。暗号化を行う際の方式としては例えばAES(Advanced Encryption Standard)等があるが、想定されるセキュリティ脅威の対策となりうる暗号化形式であれば方式を問わない。
【0015】
ネットワーク公開データ管理領域304は、画像形成装置に格納されている画像データ等をホスト装置102、103や携帯端末104に公開する際の管理情報を格納するための領域である。
図3Dは、ネットワーク公開データ管理領域304の内部構成を表す図である。
ネットワーク公開データ管理領域304は、複数のネットワーク公開データ330から構成される。ネットワーク公開データ330は、ネットワーク公開を行うデータの格納場所や、URL(Uniform Resource Locator)等、外部からデータを特定するための情報が含まれる。本実施形態においてはデータを特定するための情報としてURLを用いるものとする。また、ネットワーク公開データ330には、ネットワーク公開を行うデータにアクセス可能なユーザアカウントに関する情報が含まれる場合がある。この場合、ネットワーク公開データ330内に、ユーザアカウント320を特定するための情報が含まれることになる。
【0016】
図4は、携帯端末104の図示しない操作部に表示される、画像形成装置101を操作するアプリケーションの操作画面の一例を示す図である。本実施形態においては、携帯端末104は、ネットワーク経由で画像形成装置101に指示を行うことによりスキャンを行わせ、HDD213に格納されたスキャン画像データを取得することができるものとする。携帯端末104の操作画面は、使用装置指定部401と、スキャンモード指定部402と、スキャン解像度指定部403と、スキャン開始ボタン410と、スキャンキャンセルボタン411と、から構成される。
使用装置指定部401は、携帯端末104が使用する画像形成装置の指定をユーザから受け付け、表示することができる。画像形成装置の指定方法は、例えばユーザがIPアドレスやホスト名を入力してもよいし、携帯端末104がSLP(Service Location Protocol)等を利用して使用可能な画像形成装置を発見してもよい。
スキャンモード指定部402は、画像形成装置101がスキャナ202を利用して原稿をスキャンする際の設定を表すもので、例えばカラースキャン若しくはモノクロスキャンといった設定を指定する。
スキャン解像度指定部403は、画像形成装置101がスキャナ202を利用して原稿をスキャンする際の解像度を指定する部分である。なお、本実施形態においては、カラースキャン若しくはモノクロスキャンの設定や解像度に関する指定を行うことができるようになっているが、他の設定を行うことができてもよい。例えばスキャン時の用紙サイズや画質設定を行うことができてもよい。
【0017】
スキャン開始ボタン410は、携帯端末104が使用装置指定部401で指定した画像形成装置101に対して、指定されたスキャン設定でスキャンするための指示を送信するためのトリガをユーザに指定させるためのボタンである。
スキャンキャンセルボタン411は、携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャンするための指示を送信した後に、スキャンを中止するための指示を画像形成装置101に送信するためのトリガをユーザに指定させるためのボタンである。スキャンキャンセルボタン411は、スキャン開始ボタン410が押下されたあと、画像形成装置101からスキャン画像データを取得するまでの間にのみ押下することができる。
【0018】
図5は、携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャン指示を行い、スキャン画像データを取得するまでの情報処理の一例を示すシーケンス図である。なお、携帯端末104と画像形成装置101との間のネットワーク通信については、SSL(Secure Sockets Layer)等により暗号化することによりセキュリティ性を向上することができる。
ユーザによりスキャン開始ボタン410が押下されると、携帯端末104は、画像形成装置101に対してスキャン指示を行う(S501)。この際、携帯端末104は、スキャンモード指定部402、スキャン解像度指定部403で指定されたスキャン時の設定を画像形成装置に送信する。
画像形成装置101は、スキャン指示を受信するとスキャン画像データに対するアクセス制御を行うための一時アカウントを作成する(S502)。より具体的には、画像形成装置101は、ユーザアカウント格納領域303に格納されているユーザアカウント320を走査し、これらと重複しないユーザアカウントを作成する。なお、画像形成装置101は、ユーザアカウント320を走査する処理はS502の処理のタイミングで行ってもよいし、画像形成装置101のアイドル時等、別のタイミングで予め行っておいてもよい。
一時アカウントの作成処理が完了すると、画像形成装置101は、携帯端末104に対してスキャン指示応答を返信する(S503)。スキャン指示応答には、スキャン画像データを示すURLやS502で作成したユーザアカウント情報が含まれる。また、画像形成装置は、加えて実行するスキャン処理を特定するためのジョブIDを発行し、このジョブIDをスキャン指示応答に含める。携帯端末104は、このジョブIDを指定して画像形成装置101に取得要求を行うことにより、依頼したスキャン処理に関する情報を取得することができる。
【0019】
その後、画像形成装置101は、スキャナ202を用いて原稿をスキャンし、得られた画像データを画像データ格納領域302に格納する(S511)。
次に、画像形成装置101は、ネットワーク公開データ管理領域304にネットワーク公開データ330を新規作成し、S511で作成した画像データの情報をS503で返信したURL及びS502で作成した一時アカウントと関連付けて格納する(S512)。このことにより、携帯端末104等からネットワーク経由でスキャン画像データにアクセスすることができる。
一方、スキャン指示応答を受信した携帯端末104は、スキャン処理の進行状況を画像形成装置101に確認する(S521)。この際、携帯端末104のアプリケーションは、S503で受信したジョブIDを画像形成装置101に送信する。スキャン処理の進行状況の確認を受信すると、画像形成装置101は、ジョブIDに対応するスキャン処理の状態を携帯端末104に返信する(S522)。
【0020】
ここで、もしスキャン処理が終了していた場合には、携帯端末104は、画像形成装置101に対して画像データ取得を要求する(S531)。この際、携帯端末104は、画像形成装置101に併せてS503で受信したURLと一時アカウント情報とを送信する。
画像データ取得の要求を受信すると、画像形成装置101は、ネットワーク公開データ管理領域304に格納されているネットワーク公開データ330内に、指定されたURLを持つものがあるかどうか走査する。ここで、対応するネットワーク公開データが見つかった場合、画像形成装置101は、要求に含まれる一時アカウント情報とネットワーク公開データ330に含まれるユーザアカウント情報とが一致した場合にのみ、画像データを携帯端末に返信する(S532)。
画像形成装置101から画像データを正常に受信できた後に、携帯端末104は、画像データの削除要求を画像形成装置101に送信する(S541)。このとき、携帯端末104は画像形成装置101に画像データを示すURLと共にS503で受信した一時アカウント情報を送信する。
画像データの削除要求を受信すると、画像形成装置101は、受信したアカウント情報が指定された画像データに対応するものかどうかを確認する。ここで対応するものであると確認すると、画像形成装置101は、指定された画像データに対応するネットワーク公開データ330を削除することによってネットワーク公開を停止する(S542)。続いて、画像形成装置101は、指定された画像データに対応する画像データ311と、関連する画像データ管理領域310と、を削除する(S543)。加えて、画像形成装置101は、S502で作成した一時アカウント情報に対応するユーザアカウント320を削除し(S544)、画像データを正常に削除できたことを携帯端末104に返信する(S545)。
【0021】
図6は、画像形成装置においてスキャン処理中に原稿給紙時ジャムが発生し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
S601からS603までについては、図5におけるS501からS503までと同様に、携帯端末104からスキャン指示を行い、画像形成装置101がスキャン指示応答を行う。
その後、画像形成装置101がスキャナ202を用いて原稿をスキャンするが、原稿給紙時ジャムが発生してスキャンが自動的に中止され、画像形成装置101は、その時点までにスキャンした原稿に対応する画像データを削除する(S611)。
スキャンが中止されたことを検知すると、画像形成装置101は、S602で作成した一時アカウントを削除して(S612)、スキャン処理を終了する。
この後、携帯端末104がスキャン処理の状態を確認すると(S621)、画像形成装置101は、原稿給紙時にジャムが発生してジョブを中止した旨を携帯端末104に返信する(S622)。この後、携帯端末104は、必要に応じてジョブが中止された旨をユーザに通知してもよい。
上記で示したように、外部装置から指示を受けて画像形成装置がスキャン処理を行う場合に一時アカウントを作成してアクセス制御を行うことにより、スキャン指示を行った装置以外からの画像データに対するアクセスを抑止することができる。加えて、スキャン処理が何らかの理由で中止された場合に一時アカウントを削除することにより、一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができる。
【0022】
<実施形態2>
実施形態1では、スキャン処理が何らかの理由で中止された場合に一時アカウントを削除することにより、一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができることを示した。
ところで、一時アカウントを作成する処理(S502)は、他のアカウントと重複しないIDの決定処理や、作成したユーザアカウントをユーザアカウント格納領域303に格納する際の暗号化処理を行う必要がある。そのため、処理に時間がかかることが想定される。本実施形態では、即時にスキャン処理の再実行が行われると予想されるスキャン処理の中止理由の場合に、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全しておき、再実行の際のユーザアカウント処理が省略できることを示す。
図7は、実施形態2のユーザアカウント格納領域303の内部構成を表した図である。本実施形態においては、ユーザアカウント格納領域303にアカウント保全情報管理領域701が加えて格納される。
アカウント保全情報管理領域701には、保全したアカウントについて、対応するユーザアカウント320の格納場所が記録される。
【0023】
図8は、実施形態2のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。アカウント処理判別テーブルは、画像形成装置101のプログラム格納領域301に格納されており、スキャン中止理由列801と、アカウント保全/削除列802と、から構成される。アカウント処理判別テーブルは、処理判別データの一例である。
スキャン中止理由列801には、画像形成装置101においてスキャン処理中止を行った場合の理由が列挙されている。
アカウント保全/削除列802には、スキャン中止理由列801に列挙されたスキャン処理中止理由の各々に対応して、アカウントを保全するか削除するかが記載されている。3行目にはスキャン処理中に給紙時ジャムが発生した場合にはアカウントを削除する旨の記載がなされている。これは、給紙時ジャムが発生した場合には原稿状態が良好ではなく、原稿を再度用意する必要がある可能性があるためである。4行目にはスキャン処理中にHDD213の画像データ格納領域が不足した場合にはアカウントを保全する旨の記載がなされている。これは、他の画像処理を並列実行した場合に一時的にHDD213が不足して処理が一旦中止されるが、他のジョブが終了するとHDD213の領域が使用可能になるため、アカウントを保全することが有効であると考えられることが理由である。5行目にはスキャン処理中にRAM212の領域が不足した場合にはアカウントを保全する旨の記載がなされている。これは、4行目と同様、他の画像処理を並列実行した場合に一時的にRAM212が不足して処理が一旦中止されるが、他のジョブが終了するとRAM212の領域が使用可能になるため、アカウントを保全することが有効であると考えられることが理由である。他の行についても同様に、アカウントを保全することが有効であると考えられる場合にはアカウント保全/削除列802に保全を行う旨が記載される。
なお、アカウント処理判別テーブルは固定のテーブルでなくてもよく、例えば画像形成装置毎に異なっていてもよい。また、画像形成装置101の操作部203等から変更可能であってもよい。
なお、HDDフルやRAMフルは、一次的な資源不足の一例である。
【0024】
図9は、画像形成装置においてスキャン処理中においてRAM212が不足し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
S901からS903までについては、図5におけるS501からS503までと同様に、携帯端末104からスキャン指示を行い、画像形成装置101がスキャン指示応答を行う。
その後、画像形成装置101がスキャナ202を用いて原稿をスキャンするが、画像処理中にRAM212が不足してスキャンが自動的に中止されたため、それまでにスキャンした原稿に対応する画像データを削除する(S911)。
本実施形態では、S911によりスキャン処理が中止された後、画像形成装置101は、図8に示したアカウント処理判別テーブルを参照する。ここではスキャン処理がRAM212の不足が中止理由であるため、画像形成装置101は、5行目を参照し、対応するアカウント保全/削除列802の内容からアカウントを保全すると判断する。そのため、画像形成装置101は、S902で作成した一時アカウントに対応するユーザアカウント320を削除せずに、このユーザアカウントの格納場所の情報をアカウント保全情報管理領域701に記載する(S912)。
【0025】
この後、携帯端末104がスキャン処理の状態を確認すると(S921)、画像形成装置101は、原稿給紙時にジャムが発生してジョブを中止した旨を携帯端末104に返信する(S922)。この後、携帯端末104は、必要に応じてジョブが中止された旨をユーザに通知してもよい。
本実施形態においては、画像形成装置101が携帯端末104等からスキャン処理要求を受けた場合、画像形成装置101は、S902で一時アカウントを作成するのではなく、まずアカウント保全情報管理領域701を参照する。ここでアカウント保全情報管理領域701に保全されたユーザアカウント320が存在していた場合には、画像形成装置101は、ユーザアカウント320の新規作成は行わずに、保全されたユーザアカウントを使用する。一方、アカウント保全情報管理領域701にユーザアカウント320の情報がない場合には、画像形成装置101は、実施形態1と同様にユーザアカウント320を新規作成する。
上記で示したように、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができる。
【0026】
<実施形態3>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、画像形成装置101におけるスキャン処理中止理由の中には、スキャン処理中止理由となった事象を除去して再スキャンするために画像形成装置101の再起動が必要な場合がある。例えば、スキャナ202やHDD213の故障である。このような場合には、修理・交換等を行うことによって物理的にはスキャナ202やHDD213単体では動作可能であるが、スキャナI/F216やCPU211からの認識を行うために画像形成装置101全体としては再起動が必要となる。
このような場合には、ユーザによる復旧は難しく、即時にはスキャン処理が行われない可能性が高くなるため、スキャン処理中止の際にアカウントを削除するのが望ましい。
本実施形態においては、上記のスキャナ202の故障、HDD213の故障等、スキャン中止理由の中で復旧に再起動が必要なものをテーブル化し、プログラム格納領域301に要再起動理由テーブルとして格納されているものとする。
【0027】
図10は、実施形態3のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。アカウント処理判別テーブルは、実施形態2と同様に画像形成装置101のプログラム格納領域301に格納されている。図10には、図8比較して上記の要再起動理由テーブルに記載された中止理由の場合にはアカウントを削除する旨が記載されている。
本実施形態ではS611でスキャン処理が中止された後、画像形成装置101は、図10に示すアカウント処理判別テーブルを走査する際に上記した要再起動理由テーブルを参照し、記載があればアカウント処理判別テーブルの記載に従いアカウントを削除する。
このように、スキャン処理中止理由となった事象を除去して再スキャンするために画像形成装置101の再起動が必要な場合に、アカウント処理を削除することにより一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができる。
【0028】
<実施形態4>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、図8において、4行目のHDD213の領域フルや、5行目のRAM212フルは、画像形成装置101がスキャン処理と並行して、プリント処理等別の処理を行っている場合に資源が不足するために起こることが想定されるものである。
したがって、スキャン処理の中止理由がHDD213の領域フルやRAM212フルがあった場合に、スキャン処理と並行して実行している処理が存在しない場合には、HDD213やRAM212の故障が考えられる。このような場合には、ユーザがこの状態のまま再実行をしても失敗してしまうため、画像形成装置101は、一時的なエラーではないことを携帯端末104に通知した上でアカウント情報を削除する。なお、本実施形態においては、各処理の実行状況はプログラム格納領域301に各々記載されているものとする。
このように、HDD213やRAM212の領域フルのような、リトライすることによりスキャンが正常に行えると想定されるスキャン中止理由においても、他の処理の実行状況を確認することにより、更に状況に応じた最適制御を行うことができる。
【0029】
<実施形態5>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、図4で示した携帯端末104に具備されているスキャンキャンセルボタン411の他に、画像形成装置101の操作部203にも処理キャンセルボタンが具備されている場合がある。本実施形態では、上記の何れのキャンセルボタンが操作されたかによって処理を切り替える例について記載する。
図11は、画像形成装置101の操作部203を説明する図である。操作部203は、ユーザに通知内容を提供するためのLCD(Liquid Crystal Display)や各種のボタン、処理開始ボタン1101や処理キャンセルボタン1102が具備されている。処理開始ボタン1101や処理キャンセルボタン1102は、画像形成装置101が実行している処理全般の処理の開始やキャンセルを行うことができる。例えば、画像形成装置101は、印刷処理中にユーザによって処理キャンセルボタン1102を押下されると、実行中の印刷処理をキャンセルする。
以下、本実施形態において画像形成装置101がユーザからのキャンセル指示を受け付けた場合の処理について記載する。
画像形成装置101は、S502からS512までの処理中に、スキャンキャンセルボタン411の押下を検知した携帯端末104からのキャンセル指示を受信すると、図8の"ユーザキャンセル(リトライあり)"としてアカウント保全の処理を行う。これは、ユーザが携帯端末104を閲覧中にキャンセルされた場合であるため、携帯端末104に表示されている設定を誤っていることを発見し、設定を変更して直ちに再実行する可能性が高いためである。
【0030】
一方、画像形成装置101は、S502からS512までの処理中に、処理キャンセルボタン1102の押下を検知した場合には、"ユーザキャンセル(リトライなし)"としてアカウントの削除を行う。これは、ユーザが画像形成装置101のスキャナ202で処理されている原稿を閲覧中に原稿が誤っていることを発見した場合が考えられ、この場合はユーザが原稿自体を用意しなおす必要があり、直ちに再実行が行われる可能性が低いためである。また、本実施形態においては、単に画像形成装置101と携帯端末104とのどちらのボタンが押下されたかによって処理を切り替える一例を説明した。しかしながら、画像形成装置101は、この処理の際に、更に、画像形成装置101に表示されている内容等に応じて、処理を切り替えるようにしてもよい。
以上のように、画像形成装置101と携帯端末104との何れのキャンセルボタンが操作されたかによって処理を切り替えることによって、アカウント処理を更に効率的に行うことが可能となる。
【0031】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0032】
以上、上述した各実施形態によれば、ユーザ登録されていないユーザでも利用できるため利便性が高い上、各々他のユーザには文書にアクセスされる恐れがなく、スキャン中止時にも画像形成装置のリソースを消費しない。
よって、画像形成装置が予め登録されていない外部装置に対してもセキュリティ性の高いプルスキャン機能を提供した上で、画像形成装置の資源の浪費を防ぐことができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP等、スキャナを備えた画像形成装置において、PC等の外部装置からスキャン指示を受け付け、スキャン画像データを外部装置に提供する機能(以下、プルスキャン機能と呼称する)が知られている。
プルスキャン機能においては、セキュリティ上の観点から、スキャン終了後から外部装置によるスキャン画像データ取得までの間でのデータの盗聴・改ざんを防ぐことが求められる。このようなケースを想定し、予め登録されたユーザ以外による画像データの利用を制限する技術が提案されている(特許文献1)。
しかし、スマートフォン・タブレット端末等の携帯端末普及に伴い、従来のPCのような据え置き型の外部装置以外の外部装置においてプルスキャン機能が使用できることが求められている。このような携帯端末においては、端末自体の導入・利用状況が据え置き型端末に比べ流動的であることが想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−94754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯端末によるプルスキャン機能利用を考慮すると、予め登録されたユーザや端末以外からも一時的に機能利用を許可したいケースも考えられる。従来技術を用いた場合には、このようなケースにおいても毎回にユーザ登録を行う必要があり、プルスキャン機能利用に伴う手続きが複雑となってしまう。
この課題を解決するために、外部装置からスキャン指示を受け付ける度に一時アカウントを作成し、このアカウントによる認証を通過した場合にのみスキャン画像データにアクセス可能とすることが考えられる。
しかし、この方法を用いた場合には、スキャンが何らかの理由で中止された場合に一時アカウントが利用されないままになり、画像形成装置の資源を浪費してしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は、外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、前記作成手段で作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信手段と、前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置が予め登録されていない外部装置に対してもセキュリティ性の高いプルスキャン機能を提供した上で、画像形成装置の資源の浪費を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】画像形成装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3A】画像形成装置101内のHDD213に格納されているデータの内容を説明する図である。
【図3B】実施形態1の画像データ格納領域302の内部構成を表す図である。
【図3C】ユーザアカウント格納領域303の内部構成を表す図である。
【図3D】ネットワーク公開データ管理領域304の内部構成を表す図である。
【図4】携帯端末104の図示しない操作部に表示される、画像形成装置101を操作するアプリケーションの操作画面の一例を示す図である。
【図5】携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャン指示を行い、スキャン画像データを取得するまでの情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図6】画像形成装置においてスキャン処理中に原稿給紙時ジャムが発生し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図7】実施形態2のユーザアカウント格納領域303の内部構成を表した図である。
【図8】実施形態2のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。
【図9】画像形成装置においてスキャン処理中においてRAM212が不足し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【図10】実施形態3のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。
【図11】画像形成装置101の操作部203を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0009】
<実施形態1>
以下、画像処理装置の一例として画像形成装置を用いて説明する。
図1は、画像形成システムのシステム構成の一例を示す図である。画像形成装置101は、ホスト装置102、103や携帯端末104とネットワークで接続されてデータの授受を行う。なお、特に断らない限り、本明細書で説明する機能が実行されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであってもよい。また、特に断らない限り、本明細書で説明する機能が実行されるのであれば、LAN,WAN等のネットワークを介して接続が為され処理が行われるシステムであってもよい。加えて、ネットワーク接続の形態としては有線接続であっても無線接続であってもよい。
【0010】
図2は、画像形成装置101のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成装置101は、プリンタ201、スキャナ202、操作部203、コントローラ210から構成される。
コントローラ210は、ネットワークI/F214を通じて受信した、若しくはスキャナ202で読み取った画像データに対して必要な処理を施してプリンタ201に出力する。また、画像形成装置101は、スキャナ202で読み取った画像データや画像形成装置101に格納されている画像データを、ホスト装置102、103や携帯端末104に対してネットワーク経由で公開することもできる。
CPU211は、HDD213に格納されている画像処理プログラムをRAM212に展開して実行する。
HDD213にはCPU211で実行する画像処理プログラムの他に、必要に応じて文書処理に必要なフォントデータ、操作部203に表示するためのデータ等、プログラムの実行に必要なデータ等が含まれていてもよい。また、HDD213は、ネットワークI/F214で受信した画像データ等を格納することもできる。ここで、HDD213は必ずしもHDDである必要はなく、例えばSSD(Solid State Drive)等の記録媒体であってもよい。
【0011】
RAM212には、CPU211が実行するプログラムや、これらのプログラムの実行に必要なデータが格納される。
ネットワークI/F214は、ネットワークを通じて文書データを受信したり、画像形成装置101の状態をホスト装置102、103や携帯端末104に送信するためのネットワーク通信処理を行ったりするインターフェイスである。
プリンタI/F215は、CPU211で処理した文書データをプリンタ201に出力したり、プリンタの状態をCPU211に通知したりするためのインターフェイスである。
スキャナI/F216は、スキャナ202で読み取った画像データをRAM212に転送したり、CPU211からの文書の読み取り指示をスキャナ202に通知したりするためのインターフェイスである。
操作部I/F217は、CPU211からの画面表示指示を操作部203に転送したり、画像形成装置101のユーザが操作部203を操作した旨をCPU211に伝達したりする。
CPU211がプログラムを実行することによって、本明細書で説明する画像形成装置101の機能が実現される。同様に、携帯端末104のCPUがメモリ等に記憶されているプログラムを実行することによって、本明細書で説明する携帯端末104の機能が実現される。
【0012】
図3Aは、画像形成装置101内のHDD213に格納されているデータの内容を説明する図である。
HDD213は、複数の格納領域に分割されており、プログラム格納領域301、画像データ格納領域302、ユーザアカウント格納領域303、ネットワーク公開データ管理領域304から構成される。
プログラム格納領域301は、画像形成装置において実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを格納するための領域である。
【0013】
画像データ格納領域302は、画像形成装置において取り扱う画像データを格納・管理するための領域である。
図3Bは、画像データ格納領域302の内部構成を表す図である。
画像データ格納領域302は、画像データ管理領域310と、複数の画像データ311と、から構成される。画像データ管理領域310は、画像データ格納領域302に格納される画像データ311の各々に対応する画像データIDやデータ実体の格納位置、画像データの属性情報を格納する領域である。画像データの属性情報としては、画像データフォーマット、画像データの縦横の解像度やカラー/モノクロ情報、画像作成日時があるが、これに限らず他の情報が格納されていてもよい。画像データ311は、画像データの内容そのものであり、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式やPNG(Portable Network Graphics)形式等があるが、他の形式でもよい。
【0014】
ユーザアカウント格納領域303は、画像形成装置においてアクセス権を設定するためのユーザアカウントを格納・管理するための領域である。
図3Cは、ユーザアカウント格納領域303の内部構成を表す図である。
ユーザアカウント格納領域303は、複数のユーザアカウント320から構成される。ユーザアカウント320には、ユーザを特定するためのIDや、ユーザ認証する際のパスワード等、ユーザを認証するための情報が格納されている。ここで、ユーザを認証するための情報はID/パスワードでなくてもよく、アクセス制御の対象とするデータに対してアクセス可能かどうかを判別するためのデータであれば何でもよく、例えば単なるバイト列でもよい。なお、本実施形態では、アカウントデータの抜き取り等のセキュリティ脅威への対策として、ユーザアカウント格納領域303に格納されるデータに関して暗号化を行うものとする。暗号化を行う際の方式としては例えばAES(Advanced Encryption Standard)等があるが、想定されるセキュリティ脅威の対策となりうる暗号化形式であれば方式を問わない。
【0015】
ネットワーク公開データ管理領域304は、画像形成装置に格納されている画像データ等をホスト装置102、103や携帯端末104に公開する際の管理情報を格納するための領域である。
図3Dは、ネットワーク公開データ管理領域304の内部構成を表す図である。
ネットワーク公開データ管理領域304は、複数のネットワーク公開データ330から構成される。ネットワーク公開データ330は、ネットワーク公開を行うデータの格納場所や、URL(Uniform Resource Locator)等、外部からデータを特定するための情報が含まれる。本実施形態においてはデータを特定するための情報としてURLを用いるものとする。また、ネットワーク公開データ330には、ネットワーク公開を行うデータにアクセス可能なユーザアカウントに関する情報が含まれる場合がある。この場合、ネットワーク公開データ330内に、ユーザアカウント320を特定するための情報が含まれることになる。
【0016】
図4は、携帯端末104の図示しない操作部に表示される、画像形成装置101を操作するアプリケーションの操作画面の一例を示す図である。本実施形態においては、携帯端末104は、ネットワーク経由で画像形成装置101に指示を行うことによりスキャンを行わせ、HDD213に格納されたスキャン画像データを取得することができるものとする。携帯端末104の操作画面は、使用装置指定部401と、スキャンモード指定部402と、スキャン解像度指定部403と、スキャン開始ボタン410と、スキャンキャンセルボタン411と、から構成される。
使用装置指定部401は、携帯端末104が使用する画像形成装置の指定をユーザから受け付け、表示することができる。画像形成装置の指定方法は、例えばユーザがIPアドレスやホスト名を入力してもよいし、携帯端末104がSLP(Service Location Protocol)等を利用して使用可能な画像形成装置を発見してもよい。
スキャンモード指定部402は、画像形成装置101がスキャナ202を利用して原稿をスキャンする際の設定を表すもので、例えばカラースキャン若しくはモノクロスキャンといった設定を指定する。
スキャン解像度指定部403は、画像形成装置101がスキャナ202を利用して原稿をスキャンする際の解像度を指定する部分である。なお、本実施形態においては、カラースキャン若しくはモノクロスキャンの設定や解像度に関する指定を行うことができるようになっているが、他の設定を行うことができてもよい。例えばスキャン時の用紙サイズや画質設定を行うことができてもよい。
【0017】
スキャン開始ボタン410は、携帯端末104が使用装置指定部401で指定した画像形成装置101に対して、指定されたスキャン設定でスキャンするための指示を送信するためのトリガをユーザに指定させるためのボタンである。
スキャンキャンセルボタン411は、携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャンするための指示を送信した後に、スキャンを中止するための指示を画像形成装置101に送信するためのトリガをユーザに指定させるためのボタンである。スキャンキャンセルボタン411は、スキャン開始ボタン410が押下されたあと、画像形成装置101からスキャン画像データを取得するまでの間にのみ押下することができる。
【0018】
図5は、携帯端末104から画像形成装置101に対してスキャン指示を行い、スキャン画像データを取得するまでの情報処理の一例を示すシーケンス図である。なお、携帯端末104と画像形成装置101との間のネットワーク通信については、SSL(Secure Sockets Layer)等により暗号化することによりセキュリティ性を向上することができる。
ユーザによりスキャン開始ボタン410が押下されると、携帯端末104は、画像形成装置101に対してスキャン指示を行う(S501)。この際、携帯端末104は、スキャンモード指定部402、スキャン解像度指定部403で指定されたスキャン時の設定を画像形成装置に送信する。
画像形成装置101は、スキャン指示を受信するとスキャン画像データに対するアクセス制御を行うための一時アカウントを作成する(S502)。より具体的には、画像形成装置101は、ユーザアカウント格納領域303に格納されているユーザアカウント320を走査し、これらと重複しないユーザアカウントを作成する。なお、画像形成装置101は、ユーザアカウント320を走査する処理はS502の処理のタイミングで行ってもよいし、画像形成装置101のアイドル時等、別のタイミングで予め行っておいてもよい。
一時アカウントの作成処理が完了すると、画像形成装置101は、携帯端末104に対してスキャン指示応答を返信する(S503)。スキャン指示応答には、スキャン画像データを示すURLやS502で作成したユーザアカウント情報が含まれる。また、画像形成装置は、加えて実行するスキャン処理を特定するためのジョブIDを発行し、このジョブIDをスキャン指示応答に含める。携帯端末104は、このジョブIDを指定して画像形成装置101に取得要求を行うことにより、依頼したスキャン処理に関する情報を取得することができる。
【0019】
その後、画像形成装置101は、スキャナ202を用いて原稿をスキャンし、得られた画像データを画像データ格納領域302に格納する(S511)。
次に、画像形成装置101は、ネットワーク公開データ管理領域304にネットワーク公開データ330を新規作成し、S511で作成した画像データの情報をS503で返信したURL及びS502で作成した一時アカウントと関連付けて格納する(S512)。このことにより、携帯端末104等からネットワーク経由でスキャン画像データにアクセスすることができる。
一方、スキャン指示応答を受信した携帯端末104は、スキャン処理の進行状況を画像形成装置101に確認する(S521)。この際、携帯端末104のアプリケーションは、S503で受信したジョブIDを画像形成装置101に送信する。スキャン処理の進行状況の確認を受信すると、画像形成装置101は、ジョブIDに対応するスキャン処理の状態を携帯端末104に返信する(S522)。
【0020】
ここで、もしスキャン処理が終了していた場合には、携帯端末104は、画像形成装置101に対して画像データ取得を要求する(S531)。この際、携帯端末104は、画像形成装置101に併せてS503で受信したURLと一時アカウント情報とを送信する。
画像データ取得の要求を受信すると、画像形成装置101は、ネットワーク公開データ管理領域304に格納されているネットワーク公開データ330内に、指定されたURLを持つものがあるかどうか走査する。ここで、対応するネットワーク公開データが見つかった場合、画像形成装置101は、要求に含まれる一時アカウント情報とネットワーク公開データ330に含まれるユーザアカウント情報とが一致した場合にのみ、画像データを携帯端末に返信する(S532)。
画像形成装置101から画像データを正常に受信できた後に、携帯端末104は、画像データの削除要求を画像形成装置101に送信する(S541)。このとき、携帯端末104は画像形成装置101に画像データを示すURLと共にS503で受信した一時アカウント情報を送信する。
画像データの削除要求を受信すると、画像形成装置101は、受信したアカウント情報が指定された画像データに対応するものかどうかを確認する。ここで対応するものであると確認すると、画像形成装置101は、指定された画像データに対応するネットワーク公開データ330を削除することによってネットワーク公開を停止する(S542)。続いて、画像形成装置101は、指定された画像データに対応する画像データ311と、関連する画像データ管理領域310と、を削除する(S543)。加えて、画像形成装置101は、S502で作成した一時アカウント情報に対応するユーザアカウント320を削除し(S544)、画像データを正常に削除できたことを携帯端末104に返信する(S545)。
【0021】
図6は、画像形成装置においてスキャン処理中に原稿給紙時ジャムが発生し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
S601からS603までについては、図5におけるS501からS503までと同様に、携帯端末104からスキャン指示を行い、画像形成装置101がスキャン指示応答を行う。
その後、画像形成装置101がスキャナ202を用いて原稿をスキャンするが、原稿給紙時ジャムが発生してスキャンが自動的に中止され、画像形成装置101は、その時点までにスキャンした原稿に対応する画像データを削除する(S611)。
スキャンが中止されたことを検知すると、画像形成装置101は、S602で作成した一時アカウントを削除して(S612)、スキャン処理を終了する。
この後、携帯端末104がスキャン処理の状態を確認すると(S621)、画像形成装置101は、原稿給紙時にジャムが発生してジョブを中止した旨を携帯端末104に返信する(S622)。この後、携帯端末104は、必要に応じてジョブが中止された旨をユーザに通知してもよい。
上記で示したように、外部装置から指示を受けて画像形成装置がスキャン処理を行う場合に一時アカウントを作成してアクセス制御を行うことにより、スキャン指示を行った装置以外からの画像データに対するアクセスを抑止することができる。加えて、スキャン処理が何らかの理由で中止された場合に一時アカウントを削除することにより、一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができる。
【0022】
<実施形態2>
実施形態1では、スキャン処理が何らかの理由で中止された場合に一時アカウントを削除することにより、一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができることを示した。
ところで、一時アカウントを作成する処理(S502)は、他のアカウントと重複しないIDの決定処理や、作成したユーザアカウントをユーザアカウント格納領域303に格納する際の暗号化処理を行う必要がある。そのため、処理に時間がかかることが想定される。本実施形態では、即時にスキャン処理の再実行が行われると予想されるスキャン処理の中止理由の場合に、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全しておき、再実行の際のユーザアカウント処理が省略できることを示す。
図7は、実施形態2のユーザアカウント格納領域303の内部構成を表した図である。本実施形態においては、ユーザアカウント格納領域303にアカウント保全情報管理領域701が加えて格納される。
アカウント保全情報管理領域701には、保全したアカウントについて、対応するユーザアカウント320の格納場所が記録される。
【0023】
図8は、実施形態2のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。アカウント処理判別テーブルは、画像形成装置101のプログラム格納領域301に格納されており、スキャン中止理由列801と、アカウント保全/削除列802と、から構成される。アカウント処理判別テーブルは、処理判別データの一例である。
スキャン中止理由列801には、画像形成装置101においてスキャン処理中止を行った場合の理由が列挙されている。
アカウント保全/削除列802には、スキャン中止理由列801に列挙されたスキャン処理中止理由の各々に対応して、アカウントを保全するか削除するかが記載されている。3行目にはスキャン処理中に給紙時ジャムが発生した場合にはアカウントを削除する旨の記載がなされている。これは、給紙時ジャムが発生した場合には原稿状態が良好ではなく、原稿を再度用意する必要がある可能性があるためである。4行目にはスキャン処理中にHDD213の画像データ格納領域が不足した場合にはアカウントを保全する旨の記載がなされている。これは、他の画像処理を並列実行した場合に一時的にHDD213が不足して処理が一旦中止されるが、他のジョブが終了するとHDD213の領域が使用可能になるため、アカウントを保全することが有効であると考えられることが理由である。5行目にはスキャン処理中にRAM212の領域が不足した場合にはアカウントを保全する旨の記載がなされている。これは、4行目と同様、他の画像処理を並列実行した場合に一時的にRAM212が不足して処理が一旦中止されるが、他のジョブが終了するとRAM212の領域が使用可能になるため、アカウントを保全することが有効であると考えられることが理由である。他の行についても同様に、アカウントを保全することが有効であると考えられる場合にはアカウント保全/削除列802に保全を行う旨が記載される。
なお、アカウント処理判別テーブルは固定のテーブルでなくてもよく、例えば画像形成装置毎に異なっていてもよい。また、画像形成装置101の操作部203等から変更可能であってもよい。
なお、HDDフルやRAMフルは、一次的な資源不足の一例である。
【0024】
図9は、画像形成装置においてスキャン処理中においてRAM212が不足し、スキャンがキャンセルされた場合の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
S901からS903までについては、図5におけるS501からS503までと同様に、携帯端末104からスキャン指示を行い、画像形成装置101がスキャン指示応答を行う。
その後、画像形成装置101がスキャナ202を用いて原稿をスキャンするが、画像処理中にRAM212が不足してスキャンが自動的に中止されたため、それまでにスキャンした原稿に対応する画像データを削除する(S911)。
本実施形態では、S911によりスキャン処理が中止された後、画像形成装置101は、図8に示したアカウント処理判別テーブルを参照する。ここではスキャン処理がRAM212の不足が中止理由であるため、画像形成装置101は、5行目を参照し、対応するアカウント保全/削除列802の内容からアカウントを保全すると判断する。そのため、画像形成装置101は、S902で作成した一時アカウントに対応するユーザアカウント320を削除せずに、このユーザアカウントの格納場所の情報をアカウント保全情報管理領域701に記載する(S912)。
【0025】
この後、携帯端末104がスキャン処理の状態を確認すると(S921)、画像形成装置101は、原稿給紙時にジャムが発生してジョブを中止した旨を携帯端末104に返信する(S922)。この後、携帯端末104は、必要に応じてジョブが中止された旨をユーザに通知してもよい。
本実施形態においては、画像形成装置101が携帯端末104等からスキャン処理要求を受けた場合、画像形成装置101は、S902で一時アカウントを作成するのではなく、まずアカウント保全情報管理領域701を参照する。ここでアカウント保全情報管理領域701に保全されたユーザアカウント320が存在していた場合には、画像形成装置101は、ユーザアカウント320の新規作成は行わずに、保全されたユーザアカウントを使用する。一方、アカウント保全情報管理領域701にユーザアカウント320の情報がない場合には、画像形成装置101は、実施形態1と同様にユーザアカウント320を新規作成する。
上記で示したように、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができる。
【0026】
<実施形態3>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、画像形成装置101におけるスキャン処理中止理由の中には、スキャン処理中止理由となった事象を除去して再スキャンするために画像形成装置101の再起動が必要な場合がある。例えば、スキャナ202やHDD213の故障である。このような場合には、修理・交換等を行うことによって物理的にはスキャナ202やHDD213単体では動作可能であるが、スキャナI/F216やCPU211からの認識を行うために画像形成装置101全体としては再起動が必要となる。
このような場合には、ユーザによる復旧は難しく、即時にはスキャン処理が行われない可能性が高くなるため、スキャン処理中止の際にアカウントを削除するのが望ましい。
本実施形態においては、上記のスキャナ202の故障、HDD213の故障等、スキャン中止理由の中で復旧に再起動が必要なものをテーブル化し、プログラム格納領域301に要再起動理由テーブルとして格納されているものとする。
【0027】
図10は、実施形態3のアカウント処理判別テーブルの構造を表す図である。アカウント処理判別テーブルは、実施形態2と同様に画像形成装置101のプログラム格納領域301に格納されている。図10には、図8比較して上記の要再起動理由テーブルに記載された中止理由の場合にはアカウントを削除する旨が記載されている。
本実施形態ではS611でスキャン処理が中止された後、画像形成装置101は、図10に示すアカウント処理判別テーブルを走査する際に上記した要再起動理由テーブルを参照し、記載があればアカウント処理判別テーブルの記載に従いアカウントを削除する。
このように、スキャン処理中止理由となった事象を除去して再スキャンするために画像形成装置101の再起動が必要な場合に、アカウント処理を削除することにより一時アカウントを保存する領域が残ってしまうことを抑止することができる。
【0028】
<実施形態4>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、図8において、4行目のHDD213の領域フルや、5行目のRAM212フルは、画像形成装置101がスキャン処理と並行して、プリント処理等別の処理を行っている場合に資源が不足するために起こることが想定されるものである。
したがって、スキャン処理の中止理由がHDD213の領域フルやRAM212フルがあった場合に、スキャン処理と並行して実行している処理が存在しない場合には、HDD213やRAM212の故障が考えられる。このような場合には、ユーザがこの状態のまま再実行をしても失敗してしまうため、画像形成装置101は、一時的なエラーではないことを携帯端末104に通知した上でアカウント情報を削除する。なお、本実施形態においては、各処理の実行状況はプログラム格納領域301に各々記載されているものとする。
このように、HDD213やRAM212の領域フルのような、リトライすることによりスキャンが正常に行えると想定されるスキャン中止理由においても、他の処理の実行状況を確認することにより、更に状況に応じた最適制御を行うことができる。
【0029】
<実施形態5>
実施形態2では、画像形成装置101の判断により不要になったユーザアカウントを保全することにより、後に必要になった際にユーザアカウントの新規作成を行わないことも可能であり、処理を簡略化することができることを示した。
ところで、図4で示した携帯端末104に具備されているスキャンキャンセルボタン411の他に、画像形成装置101の操作部203にも処理キャンセルボタンが具備されている場合がある。本実施形態では、上記の何れのキャンセルボタンが操作されたかによって処理を切り替える例について記載する。
図11は、画像形成装置101の操作部203を説明する図である。操作部203は、ユーザに通知内容を提供するためのLCD(Liquid Crystal Display)や各種のボタン、処理開始ボタン1101や処理キャンセルボタン1102が具備されている。処理開始ボタン1101や処理キャンセルボタン1102は、画像形成装置101が実行している処理全般の処理の開始やキャンセルを行うことができる。例えば、画像形成装置101は、印刷処理中にユーザによって処理キャンセルボタン1102を押下されると、実行中の印刷処理をキャンセルする。
以下、本実施形態において画像形成装置101がユーザからのキャンセル指示を受け付けた場合の処理について記載する。
画像形成装置101は、S502からS512までの処理中に、スキャンキャンセルボタン411の押下を検知した携帯端末104からのキャンセル指示を受信すると、図8の"ユーザキャンセル(リトライあり)"としてアカウント保全の処理を行う。これは、ユーザが携帯端末104を閲覧中にキャンセルされた場合であるため、携帯端末104に表示されている設定を誤っていることを発見し、設定を変更して直ちに再実行する可能性が高いためである。
【0030】
一方、画像形成装置101は、S502からS512までの処理中に、処理キャンセルボタン1102の押下を検知した場合には、"ユーザキャンセル(リトライなし)"としてアカウントの削除を行う。これは、ユーザが画像形成装置101のスキャナ202で処理されている原稿を閲覧中に原稿が誤っていることを発見した場合が考えられ、この場合はユーザが原稿自体を用意しなおす必要があり、直ちに再実行が行われる可能性が低いためである。また、本実施形態においては、単に画像形成装置101と携帯端末104とのどちらのボタンが押下されたかによって処理を切り替える一例を説明した。しかしながら、画像形成装置101は、この処理の際に、更に、画像形成装置101に表示されている内容等に応じて、処理を切り替えるようにしてもよい。
以上のように、画像形成装置101と携帯端末104との何れのキャンセルボタンが操作されたかによって処理を切り替えることによって、アカウント処理を更に効率的に行うことが可能となる。
【0031】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0032】
以上、上述した各実施形態によれば、ユーザ登録されていないユーザでも利用できるため利便性が高い上、各々他のユーザには文書にアクセスされる恐れがなく、スキャン中止時にも画像形成装置のリソースを消費しない。
よって、画像形成装置が予め登録されていない外部装置に対してもセキュリティ性の高いプルスキャン機能を提供した上で、画像形成装置の資源の浪費を防ぐことができる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、
前記作成手段で作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信手段と、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記アクセス制御手段は、前記読み取り処理が中止された場合、中止理由に応じて、前記一時アカウントを削除するか、又は前記一時アカウントを保全するかを判断し、前記一時アカウントを削除すると判断した場合は、前記一時アカウントを削除し、前記一時アカウントを保全すると判断した場合、前記一時アカウントを保全する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記アクセス制御手段は、前記読み取り処理が中止された場合、中止理由に応じて、複数の中止理由と、各中止理由に対応させた一時アカウントを保全するか否かの情報と、を含む処理判別データより、対応する一時アカウントを保全するか否かの情報を特定し、特定した情報に基づいて、前記一時アカウントを削除するか、又は前記一時アカウントを保全するかを判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、前記中止理由を除去するに際し、前記画像処理装置の再起動を伴う中止理由である場合、前記一時アカウントを削除すると判断し、前記中止理由を除去するに際し、前記画像処理装置の再起動を伴わない中止理由である場合、前記一時アカウントを保存すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、一次的な資源不足により読み取り処理が注された場合で、かつ、他の処理が実行されていない場合には、前記一時アカウントを削除すると判断し、一次的な資源不足により読み取り処理が注された場合で、かつ、他の処理が実行されている場合には、前記一時アカウントを保全すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、前記外部装置からの中止の指示であった場合には、前記一時アカウントを保全すると判断し、前記画像処理装置の操作部からの中止の指示であった場合には、前記一時アカウントを削除すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置が実行する情報処理方法であって、
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信ステップと、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信ステップと、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成手段と、
前記作成手段で作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信手段と、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記アクセス制御手段は、前記読み取り処理が中止された場合、中止理由に応じて、前記一時アカウントを削除するか、又は前記一時アカウントを保全するかを判断し、前記一時アカウントを削除すると判断した場合は、前記一時アカウントを削除し、前記一時アカウントを保全すると判断した場合、前記一時アカウントを保全する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記アクセス制御手段は、前記読み取り処理が中止された場合、中止理由に応じて、複数の中止理由と、各中止理由に対応させた一時アカウントを保全するか否かの情報と、を含む処理判別データより、対応する一時アカウントを保全するか否かの情報を特定し、特定した情報に基づいて、前記一時アカウントを削除するか、又は前記一時アカウントを保全するかを判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、前記中止理由を除去するに際し、前記画像処理装置の再起動を伴う中止理由である場合、前記一時アカウントを削除すると判断し、前記中止理由を除去するに際し、前記画像処理装置の再起動を伴わない中止理由である場合、前記一時アカウントを保存すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、一次的な資源不足により読み取り処理が注された場合で、かつ、他の処理が実行されていない場合には、前記一時アカウントを削除すると判断し、一次的な資源不足により読み取り処理が注された場合で、かつ、他の処理が実行されている場合には、前記一時アカウントを保全すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記アクセス制御手段は、前記中止理由が、前記外部装置からの中止の指示であった場合には、前記一時アカウントを保全すると判断し、前記画像処理装置の操作部からの中止の指示であった場合には、前記一時アカウントを削除すると判断する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像処理装置が実行する情報処理方法であって、
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信ステップと、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
外部装置から読み取り処理の開始の指示を受け付けた際に、一時アカウントを作成する作成ステップと、
前記作成ステップで作成された一時アカウントを前記外部装置に送信する送信ステップと、
前記読み取り処理が行われ、画像データが完了した場合には、前記画像データに対するアクセス制御を前記一時アカウントにより行い、前記画像データが前記外部装置により取得された後に、前記画像データと前記一時アカウントとを削除し、前記読み取り処理が中止された場合には、中止された時点までに作成された画像データと前記一時アカウントとを削除するアクセス制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−30972(P2013−30972A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165520(P2011−165520)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]