説明

画像処理装置、方法及びプログラム

【課題】画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現する。
【解決手段】互いに独立して動作可能な複数のモジュール群から成る画像処理部50で3次元画像データ等に対する画像処理を行わせる場合、LUTに設定するデータを生成・設定する等の参照データ準備処理を含む初期化処理を個々の画像処理モジュール38で行わせた後に、処理対象の3次元画像データのうちz軸位置の異なる2次元画像データに対する画像処理を各モジュール群で行われる。何れかのモジュール群(図ではM1-1〜M1-3のモジュール群)で画像処理が終了した場合、当該モジュール群の個々の画像処理モジュール38において、前記初期化処理から参照データ準備処理を除外した再初期化処理を行わせた後に、未処理の2次元画像データに対する画像処理を前記モジュール群で行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置、方法及びプログラムに係り、特に、1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方にバッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築して画像処理を行う画像処理装置、該画像処理装置に適用可能な画像処理方法、及び、コンピュータを前記画像処理装置として機能させるための画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
入力された画像データに対して画像処理を行う画像処理装置や、画像を取扱可能なDTP(デスクトップ・パブリッシング)システム、入力された画像データが表す画像を記録材料に記録するプリントシステム等では、入力された画像データに対して拡大・縮小、回転、アフィン変換、色変換、フィルタ処理、画像合成等の各種の画像処理が行われる。これらの装置やシステムにおいて、例えば色空間や1画素当たりのビット数が異なる様々な画像データが入力されたり、画像処理の内容や手順・パラメータ等が様々に変更される場合には、実行する画像処理を柔軟に変更可能な構成が必要となる。
【0003】
このような要求を満たすために、特許文献1には、画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方にバッファモジュールが連結されるように、個々のモジュールをパイプライン形態又はDAG(Directed Acyclic Graph:有向非循環グラフ)形態で連結して成る画像処理部を構築し、画像処理部の個々の画像処理モジュールにおいて、自モジュールの前段から取得した画像データに所定の画像処理を行い、所定の画像処理を経た画像データ又は処理結果を自モジュールの後段へ出力する処理を繰り返させる処理管理部を設けることで、画像処理部によって処理対象の画像全体を処理させる技術が提案されている。
【特許文献1】特開2006−338500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、コンピュータ等の性能向上に伴い、3次元の画像データや動画像データを取り扱うことが身近になってきている。しかし、3次元の画像データは2次元画像を表す2次元画像データが高さ方向(z軸方向)に多数連なったデータ構造であり、動画像データは2次元画像データが時間方向(t軸方向)に多数連なったデータ構造であるので、何れもデータ量が膨大である。これに対して特許文献1に記載の技術は、2次元画像データに対する画像処理を行うことを前提として開発された技術であり、2次元画像データ1フレームに対し、画像処理部の構築・構築した画像処理部による画像処理の実行・画像処理を完了した画像処理部の消去を行う構成である。このため、3次元画像の画像データや動画像データのように、膨大なデータ量の画像データに対する画像処理に上記技術を適用したとすると、処理に膨大な時間が掛かり、例えば動画像の再生と並行して動画像データに対する画像処理を行うことができない等、上記技術の用途が制限されてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現できる画像処理装置、画像処理方法及び画像処理プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像処理装置は、自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせる構築・初期化手段と、前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせる処理管理手段と、を含んで構成されている。
【0007】
請求項1記載の発明では、自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムが記憶手段に各々記憶されている。また、請求項1記載の発明に係る構築・初期化手段は、記憶手段に記憶されているプログラムにより、複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方にバッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築する。
【0008】
また、構築・初期化手段は、画像処理部を構築した後に、構築した画像処理部のうちの画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数(例えばポインタやカウンタ等)を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理(例えばLUT(Look Up Table)に設定する変換データを生成してLUTに設定したり、予め記憶媒体に記憶されている参照データをメモリに読み込む等の処理)を含む第1の初期化処理を行わせる。構築・初期化手段が画像処理モジュールで第1の初期化処理を行わせることで、画像処理部は処理対象の画像データに対する画像処理を行うことが可能な状態となり、処理管理手段は、処理対象の画像データに対する画像処理を、処理対象の画像データを複数の処理単位(この処理単位としては1フレーム分の2次元画像データが好適であるが、より小さい単位(例えば1フレーム分の2次元画像を複数の部分画像に分割したときの個々の部分画像を表すデータ)であってもよい)に分割したときの個々の処理単位毎に画像処理部で行わせる。なお、処理対象の画像データとしては、例えば請求項9に記載したように、3次元画像を表す3次元画像データや動画像データが好適であるが、2次元画像を表す2次元画像データ等であってもよい。
【0009】
上記のように、処理対象の画像データに対する画像処理を、処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に行う場合、新たな処理単位に対する画像処理を開始する際には、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理を再度行う必要がある。一方、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合は、画像処理モジュールが画像処理時に参照する参照データも同一でよく、処理単位毎に相違させる必要はない。また、画像処理モジュールが行う画像処理の種類等によっては、参照データの生成に時間が掛かったり、膨大なデータ量の参照データをメモリに読み込む必要があり、参照データを準備する参照データ準備処理は長い時間を要することが多い。
【0010】
上記に基づき請求項1記載の発明に係る処理管理手段は、画像処理部で単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理部のうちの画像処理モジュールにおいて、第1の初期化処理から参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を画像処理部で行わせている。これにより、或る処理単位に対する画像処理が終了する毎に行われる第1の再初期化処理が短時間で終了し、未処理の新たな処理単位に対する画像処理を直ちに開始することができるので、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現することができる。
【0011】
なお、請求項1記載の発明において、構築・初期化手段が、互いに独立して動作可能な複数のモジュール群から成る画像処理部を構築する場合、処理管理手段は、例えば請求項2に記載したように、画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせると共に、複数のモジュール群のうちの何れかで単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理が終了したモジュール群のうちの画像処理モジュールにおいて第1の再初期化処理を行わせた後に、処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を画像処理が終了したモジュール群で行わせるように構成してもよい。
【0012】
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、構築・初期化手段は、画像処理部を構築した後に、構築した画像処理部のうちのバッファモジュールにおいて、バッファとして用いるメモリ領域を確保する処理を含む第2の初期化処理を行わせ、処理管理手段は、画像処理部で単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理部のうちのバッファモジュールにおいて、バッファの参照位置を先頭に戻す第2の再初期化処理を行わせるように構成してもよい。この場合、或る処理単位に対する画像処理が終了する毎に、メモリ領域を確保する処理に代えて、より短時間で処理可能なバッファの参照位置の更新(リセット)が行われるので、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率を更に向上させることができる。なお、請求項3記載の発明において、互いに独立して動作可能な複数のモジュール群から成る画像処理部が構築される場合には、請求項2記載の発明と同様に、個々のモジュール群を単位として第2の再初期化処理を行わせるように処理管理手段を構成すればよい。
【0013】
また、或る処理単位に対する画像処理が行われることでバッファモジュールのバッファに記憶される画像処理結果は、別の処理単位に対する画像処理が行われる際に参照されることがあることを考慮すると、請求項3記載の発明において、処理管理手段は、例えば請求項4に記載したように、バッファモジュールにおいて第2の再初期化処理を行わせる前に、バッファモジュールのバッファとして用いていたメモリ領域に記憶されている画像処理結果を別のメモリ領域に複写することで前記画像処理結果を保存するように構成してもよい。これにより、或る処理単位に対する画像処理によって得られた画像処理結果を、別の処理単位に対する画像処理で参照することが可能となる。
【0014】
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項5に記載したように、構築・初期化手段は、画像処理部を構築した後に、構築した画像処理部のうちのバッファモジュールにおいて、バッファとして用いるメモリ領域を確保する処理を含む第2の初期化処理を行わせ、処理管理手段は、画像処理部で単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理部の既存のバッファモジュールでバッファとして用いていたメモリ領域を保存すると共に、新たなバッファモジュールを生成し、生成した新たなバッファモジュールを既存のバッファモジュールに代えて画像処理部に連結し、新たなバッファモジュールにおいて第2の初期化処理を行わせるように構成してもよい。この場合、請求項4記載の発明と同様に、或る処理単位に対する画像処理によって得られた画像処理結果を、別の処理単位に対する画像処理で参照することが可能となる。
【0015】
なお、請求項5記載の発明では、或る処理単位に対する画像処理が終了する毎に、新たに生成されて画像処理部に連結されたバッファモジュールでメモリ領域を確保する処理を含む第2の初期化処理が行われるので、前述の請求項3記載の発明よりは処理効率が低下するものの、処理効率低下の主因となっていたのは参照データ準備処理であり、請求項1記載の発明によって参照データ準備処理が省略されることで、従来よりは大幅な処理効率の向上を実現できる。
【0016】
また、請求項4又は請求項5記載の発明において、構築・初期化手段が、構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部を構築する場合、処理管理手段は、例えば請求項6に記載したように、処理対象の画像データの特定の処理単位について、当該特定の処理単位に対する画像処理を行った任意のモジュール群の個々のバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果が、処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群によって参照されるかを判断し、判断結果を記憶することを、処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行った後に、画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせ、複数のモジュール群のうちの何れかで任意の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、記憶した判断結果に基づき、画像処理の終了に伴い記憶している画像処理結果の他のモジュール群による参照が終了したバッファが出現したか否か判断し、該当するバッファが出現したと判断した場合に該当するバッファとして用いていたメモリ領域を解放するように構成することが好ましい。
【0017】
構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部が構築され、当該画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせる場合、或る処理単位に対する画像処理が終了しても、当該画像処理によって得られた画像処理結果が他の処理単位に対する画像処理で参照されるので、請求項4又は請求項5記載の発明のように画像処理結果を記憶するメモリ領域を保存しておく必要があるが、これに伴い、特に処理対象の画像データのデータ量が比較的大きい等の場合に、メモリ領域等のリソースが大量に使用されることになるという問題が生ずる。
【0018】
これに対して請求項6記載の発明は、処理対象の画像データの特定の処理単位に対する画像処理を行った任意のモジュール群の個々のバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果が、処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群によって参照されるかを判断し、判断結果を記憶することが、処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行われ、画像処理の実行時には、複数のモジュール群のうちの何れかで任意の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、記憶した判断結果に基づき、画像処理の終了に伴い記憶している画像処理結果の他のモジュール群による参照が終了したバッファが出現したか否か判断し、該当するバッファが出現したと判断した場合に該当するバッファとして用いていたメモリ領域を解放するので、記憶している画像処理結果が参照されなくなったバッファ(メモリ領域)が解放されずに残存することを防止することができ、画像処理の実行中のメモリ領域等のリソースの使用量を必要最小限に抑制することができる。
【0019】
また、請求項4又は請求項5記載の発明において、構築・初期化手段が、構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部を構築する場合、処理管理手段は、例えば請求項7に記載したように、処理対象の画像データの特定の処理単位について、特定の処理単位に対する画像処理を行う任意のモジュール群が、処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群に含まれるバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果を参照するかを判断し、判断結果を記憶することを、処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行った後に、画像処理部の個々のモジュール群に対して互いに異なる処理単位に対する画像処理の実行を指示すると共に、記憶した前記判断結果に基づき、画像処理が行う特定のモジュール群が参照する画像処理結果を記憶するバッファが存在しているか否かを、画像処理が行う個々のモジュール群について各々判断し、存在していないバッファが有ると判断した場合は、存在していないバッファを含むモジュール群を追加生成し、追加生成したモジュール群により、特定のモジュール群が参照する画像処理結果が得られる特定の処理単位に対する画像処理を行わせるように構成することが好ましい。
【0020】
構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部が構築され、当該画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせる場合、例えば、第1の処理単位に対する画像処理を行う特定モジュール群が、参照と必要とする第2の処理単位に対する画像処理結果が得られていないために画像処理を停止している一方、第2の処理単位に対する画像処理が、特定モジュール群による第1の処理単位に対する画像処理が終了した後に前記特定モジュール群に行わせる予定であった等のようにデッドロックが発生し、画像処理の進行が停止してしまう可能性がある。
【0021】
これに対して請求項7記載の発明では、処理対象の画像データの特定の処理単位に対する画像処理を行う任意のモジュール群が、処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群に含まれるバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果を参照するかを判断し、判断結果を記憶することが、処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行われ、また、記憶した前記判断結果に基づき、画像処理が行う特定のモジュール群が参照する画像処理結果を記憶するバッファが存在しているか否かを、画像処理が行う個々のモジュール群について各々判断し、存在していないバッファが有ると判断した場合は、存在していないバッファを含むモジュール群を追加生成し、追加生成したモジュール群により、特定のモジュール群が参照する画像処理結果が得られる特定の処理単位に対する画像処理を行わせるので、デッドロックが発生して画像処理の進行が停止してしまうことを防止することができる。
【0022】
また、請求項1〜請求項7の何れかに記載の発明において、第1の再初期化処理で除外する処理は参照データ準備処理に限られるものではなく、例えば請求項8に記載したように、構築・初期化手段は、第1コンピュータ上で動作する第1のモジュール群と、第1コンピュータと通信回線を介して接続された第2コンピュータ上で動作する第2のモジュール群と、を含む画像処理部を構築した場合、構築した画像処理部のうち、隣接するモジュールとの間に通信回線が存在する特定の画像処理モジュールにおいて、第1コンピュータと第2コンピュータとの間にセッションを確立するための認証処理も含む第1の初期化処理を行わせ、処理管理手段は、画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理部のうちの特定の画像処理モジュールにおいて、第1の初期化処理から認証処理も除外した第1の再初期化処理を行わせるように構成してもよい。
【0023】
認証処理では一般に暗号化情報を送受するので時間が掛かり、また、認証処理を繰り返し行うと、セキュリティ上の理由で相手コンピュータからセッションの確立を拒否される可能性もある。これに対して請求項8記載の発明では、画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了した場合に、画像処理部のうちの特定の画像処理モジュールにおいて、第1の初期化処理から認証処理も除外した第1の再初期化処理を行わせるので、認証処理が省略されることで処理効率が向上すると共に、処理対象の画像データを構成する全ての処理単位に対する画像処理が終了する前に相手コンピュータからセッションの確立を拒否されることで、処理対象の画像データに対する画像処理が中断してしまうことも防止することができる。
【0024】
請求項10記載の発明に係る画像処理方法は、記憶手段は、自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶し、構築・初期化手段は、前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせ、処理管理手段は、前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせるので、請求項1記載の発明と同様に、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現することができる。
【0025】
請求項11記載の発明に係る画像処理プログラムは、自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせる構築・初期化手段、及び、前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせる処理管理手段として機能させる。
【0026】
請求項11記載の発明に係る画像処理プログラムは、上記の記憶手段を備えたコンピュータを、上記の構築・初期化手段及び処理管理手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項11記載の発明に係る画像処理プログラムを実行することで、コンピュータが請求項1に記載の画像処理装置として機能することになり、請求項1記載の発明と同様に、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明は、画像処理部を構築した際には、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を画像処理モジュールで行わせ、処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの単一の前記処理単位に対する画像処理が画像処理部で終了した場合には、第1の初期化処理から参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を画像処理モジュールで行わせるようにしたので、画像データを構成する複数の処理単位に同一の画像処理を各々行う場合の処理効率の向上を実現できる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0029】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係る画像処理装置として機能することが可能なコンピュータ10が示されている。なお、このコンピュータ10は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を兼ね備えた複合機、スキャナ、写真プリンタ等のように内部で画像処理を行う必要のある任意の画像取扱機器に組み込まれていてもよいし、パーソナル・コンピュータ(PC)等の独立したコンピュータであってもよく、更にPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機等の携帯機器に組み込まれたコンピュータであってもよい。
【0030】
コンピュータ10はCPU12、DRAM又はSRAM等から成るメモリ14、表示部16、操作部18、記憶部20、画像データ供給部22及び画像出力部24を備えており、これらはバス26を介して互いに接続されている。コンピュータ10が上述したような画像取扱機器に組み込まれている場合、表示部16や操作部18としては、画像取扱機器に設けられたLCD等から成る表示パネルやテンキー等を適用することができる。また、コンピュータ10が独立したコンピュータである場合、表示部16や操作部18としては、当該コンピュータに接続されたディスプレイやキーボード、マウス等を適用することができる。また、記憶部20としてはHDD(Hard Disk Drive)が好適であるが、これに代えてフラッシュメモリ等の他の不揮発性記憶手段を用いることも可能である。
【0031】
また、画像データ供給部22は処理対象の画像データを供給できるものであればよく、例えば紙や写真フィルム等の記録材料に記録されている画像を読み取って画像データを出力する画像読取部、通信回線を介して外部から画像データを受信する受信部、画像データを記憶する画像記憶部(メモリ14又は記憶部20)等を適用することができる。また、画像出力部24は画像処理を経た画像データ又は該画像データが表す画像を出力するものであればよく、例えば画像データが表す画像を紙や感光材料等の記録材料に記録する画像記録部、画像データが表す画像をディスプレイ等に表示する表示部、画像データを記録メディアに書き込む書込装置、画像データを通信回線を介して送信する送信部を適用することができる。また、画像出力部24は画像処理を経た画像データを単に記憶する画像記憶部(メモリ14又は記憶部20)であっても構わない。
【0032】
図1に示すように、記憶部20には、CPU12によって実行される各種のプログラムとして、メモリ14等のリソースの管理やCPU12によるプログラムの実行の管理、コンピュータ10と外部との通信等を司るオペレーティングシステム30のプログラム、コンピュータ10を本発明に係る画像処理装置として機能させるための画像処理プログラム群34、CPU12が上記画像処理プログラム群を実行することで実現される画像処理装置に対して所望の画像処理を行わせる各種のアプリケーション32のプログラム(図1ではアプリケーションプログラム群32と表記)が各々記憶されている。
【0033】
画像処理プログラム群34は、前述した各種の画像取扱機器や携帯機器を開発する際の開発負荷を軽減したり、PC等で利用可能な画像処理プログラムを開発する際の開発負荷を軽減することを目的として、各種の画像取扱機器や携帯機器、PC等の各種機器(プラットフォーム)で共通に使用可能に開発されたプログラムであり、本発明に係る画像処理プログラムに対応している。画像処理プログラム群34によって実現される画像処理装置は、アプリケーション32からの構築指示に従い、アプリケーション32が指示した画像処理を行う画像処理部を構築し、アプリケーション32からの実行指示に従い、前記画像処理部によって画像処理を行うが(詳細は後述)、画像処理プログラム群34は、所望の画像処理を行う画像処理部(所望の構成の画像処理部)の構築を指示したり、構築された画像処理部による画像処理の実行を指示するためのインタフェースをアプリケーション32に提供している。このため、内部で画像処理を行う必要のある任意の機器を新規開発する等の場合にも、前記画像処理を行うプログラムの開発に関しては、当該機器で必要とされる画像処理を上記のインタフェースを利用して画像処理プログラム群34に行わせるアプリケーション32を開発するのみで済み、実際に画像処理を行うプログラムを新たに開発する必要が無くなるので、開発負荷を軽減することができる。
【0034】
また、画像処理プログラム群34によって実現される画像処理装置は、前述のように、アプリケーション32からの構築指示に従い、アプリケーション32が指示した画像処理を行う画像処理部を構築し、構築した画像処理部によって画像処理を行うので、例えば画像処理対象の画像データの色空間や1画素当たりのビット数が不定であったり、実行すべき画像処理の内容や手順・パラメータ等が不定である場合にも、アプリケーション32が画像処理部の再構築を指示することで、画像処理装置(画像処理部)によって実行される画像処理を、処理対象の画像データ等に応じて柔軟に変更することができる。
【0035】
以下、画像処理プログラム群34について説明する。図1に示すように、画像処理プログラム群34はモジュールライブラリ36と、処理構築部42のプログラムと、処理管理部46のプログラムに大別される。詳細は後述するが、本実施形態に係る処理構築部42は、アプリケーションからの指示により、例として図2に示すように、予め定められた画像処理を行う1つ以上の画像処理モジュール38と、個々の画像処理モジュール38の前段及び後段の少なくとも一方に配置され画像データを記憶するためのバッファを備えたバッファモジュール40と、がパイプライン形態又はDAG(Directed Acyclic Graph:有向非循環グラフ)形態で連結されて成る画像処理部50を構築する。画像処理部50を構成する個々の画像処理モジュールの実体はCPU12によって実行されCPU12で所定の画像処理を行わせるための第1プログラム、又は、CPU12によって実行されCPU12により図1に図示されていない外部の画像処理装置(例えば専用画像処理ボード等)に対する処理の実行を指示するための第2プログラムであり、上述したモジュールライブラリ36には、予め定められた互いに異なる画像処理(例えば入力処理やフィルタ処理、色変換処理、拡大・縮小処理、スキュー角検知処理、画像回転処理、画像合成処理、出力処理等)を行う複数種の画像処理モジュール38のプログラムが各々登録されている。以下では、説明を簡単にするために、画像処理部50を構成する個々の画像処理モジュールの実体が上記の第1プログラムであるものとして説明する。
【0036】
個々の画像処理モジュール38は、例として図3(A)にも示すように、画像データに対する画像処理を所定の単位処理データ量ずつ行う画像処理エンジン38Aと、画像処理モジュール38の前段及び後段のモジュールとの画像データの入出力及び画像処理エンジン38Aの制御を行う制御部38Bから構成されている。個々の画像処理モジュール38における単位処理データ量は、画像の1ライン分、画像の複数ライン分、画像の1画素分、画像1面分等を含む任意のバイト数の中から、画像処理エンジン38Aが行う画像処理の種類等に応じて予め選択・設定されており、例えば色変換処理やフィルタ処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が1画素分とされ、拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が画像の1ライン分又は画像の複数ライン分とされ、画像回転処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が画像1面分とされ、画像圧縮伸長処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が実行環境に依存するNバイトとされている。
【0037】
また、モジュールライブラリ36には、画像処理エンジン38Aが実行する画像処理の種類が同一でかつ実行する画像処理の内容が異なる画像処理モジュール38も登録されている(図1では、この種の画像処理モジュールを「モジュール1」「モジュール2」と表記して示している)。例えば拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38については、入力された画像データを1画素おきに間引くことで50%に縮小する縮小処理を行う画像処理モジュール38、入力された画像データに対して指定された拡大・縮小率で拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38等の複数の画像処理モジュール38が各々用意されている。また、例えば色変換処理を行う画像処理モジュール38については、RGB色空間をCMY色空間へ変換する画像処理モジュール38やその逆へ変換する画像処理モジュール38、L*a*b*色空間等の他の色空間変換を行う画像処理モジュール38が各々用意されている。
【0038】
また、画像処理モジュール38の制御部38Bは、画像処理エンジン38Aが単位処理データ量ずつ処理するために必要な画像データを入力するために、自モジュールの前段のモジュール(例えばバッファモジュール40)から画像データを単位読出データ量ずつ取得し、画像処理エンジン38Aから出力される画像データを単位書込データ量ずつ後段のモジュール(例えばバッファモジュール40)へ出力する(画像処理エンジン38Aで圧縮等のデータ量の増減を伴う画像処理が行われなければ単位書込データ量=単位処理データ量となる)か、画像処理エンジン38Aによる画像処理の結果を自モジュールの外部へ出力する(例えば画像処理エンジン38Aがスキュー角検知処理等の画像解析処理を行う場合、画像データに代えてスキュー角検知結果等の画像解析処理結果が出力されることがある)処理を行うが、モジュールライブラリ36には、画像処理エンジン38Aが実行する画像処理の種類及び内容が同一で、上記の単位処理データ量や単位読出データ量、単位書込データ量が異なる画像処理モジュール38も登録されている。例えば画像回転処理を行う画像処理モジュール38における単位処理データ量についても、前述した画像1面分に限られるものではなく、同じ画像回転処理を行いかつ単位処理データ量が互いに異なる(例えば画像の1ライン分や複数ライン分等の)複数の画像処理モジュール38がモジュールライブラリ36に含まれていても良い。
【0039】
また、モジュールライブラリ36に登録されている個々の画像処理モジュール38のプログラムは、画像処理エンジン38Aに相当するプログラムと制御部38Bに相当するプログラムから構成されているが、制御部38Bに相当するプログラムは部品化されており、個々の画像処理モジュール38のうち単位読出データ量及び単位書込データ量が同一の画像処理モジュール38は、画像処理エンジン38Aで実行される画像処理の種類や内容に拘わらず、制御部38Bに相当するプログラムが共通化されている(制御部38Bに相当するプログラムとして同一のプログラムが用いられている)。これにより、画像処理モジュール38のプログラムの開発にあたっての開発負荷が軽減される。
【0040】
なお、画像処理モジュール38の中には、入力される画像の属性が未知の状態では単位読出データ量及び単位書込データ量が確定しておらず、入力画像データの属性を取得し、取得した属性を所定の演算式に代入して演算することで単位読出データ量や単位書込データ量が確定するモジュールが存在しているが、この種の画像処理モジュール38については、単位読出データ量と単位書込データ量が互いに同一の演算式を用いて導出される画像処理モジュール38について、制御部38Bに相当するプログラムを共通化するようにすればよい。また、本実施形態に係る画像処理プログラム群34は、前述のように各種機器に実装可能であるが、画像処理プログラム群34のうちモジュールライブラリ36に登録する画像処理モジュール38の数や種類等については、画像処理プログラム群34を実装する各種機器で必要とされる画像処理に応じて、適宜追加・削除・入替等が可能であることは言うまでもない。
【0041】
また、画像処理部50を構成する個々のバッファモジュール40は、例として図3(B)にも示すように、バッファ40Aと、バッファモジュール40の前段及び後段のモジュールとの画像データの入出力及びバッファ40Aの管理を行うバッファ制御部40Bから構成されている。なお、バッファ40Aはコンピュータ10に設けられたメモリ14からオペレーティングシステム30及びリソース管理部46Cを通じて確保されたメモリ領域で構成される。個々のバッファモジュール40のバッファ制御部40Bもその実体はCPU12によって実行されるプログラムであり、モジュールライブラリ36にはバッファ制御部40Bのプログラムも登録されている(図1ではバッファ制御部40Bのプログラムを「バッファモジュール」と表記して示している)。
【0042】
また、アプリケーション32からの指示に従って画像処理部50を構築する処理構築部42は、図1に示すように複数種のモジュール生成部44から構成されている。複数種のモジュール生成部44は互いに異なる画像処理に対応しており、アプリケーション32によって起動されることで、対応する画像処理を実現するための画像処理モジュール38及びバッファモジュール40から成るモジュール群を生成する処理を行う。なお、図1ではモジュール生成部44の一例として、モジュールライブラリ36に登録されている個々の画像処理モジュール38が実行する画像処理の種類に対応するモジュール生成部44を示しているが、個々のモジュール生成部44に対応する画像処理は、複数種の画像処理モジュール38によって実現される画像処理(例えばスキュー角検知処理と画像回転処理から成るスキュー補正処理)であってもよい。必要とされる画像処理が複数種の画像処理を組み合わせた処理である場合、アプリケーション32は複数種の画像処理の何れかに対応するモジュール生成部44を順次起動する。これにより、アプリケーション32によって順次起動されたモジュール生成部44により、必要とされる画像処理を行う画像処理部50が構築されることになる。
【0043】
また図1に示すように、処理管理部46は、画像処理部50における画像処理の実行を制御する処理フロー管理部46A、画像処理部50の各モジュールによるメモリ14や各種のファイル等のコンピュータ10のリソースの使用を管理するリソース管理部46C、及び、画像処理部50で発生したエラーを管理するエラー管理部46Bを含んで構成されている。エラー管理部46Bは、画像処理部50が画像処理を実行している途中でエラーが発生した場合に、発生したエラーの種別・発生箇所等のエラー情報を取得し、画像処理プログラム群34がインストールされたコンピュータ10が組み込まれている機器の種別や構成等を表す装置環境情報を記憶部20等から取得し、取得した装置環境情報が表す装置環境に応じたエラー通知方法を判断し、判断したエラー通知方法でエラーの発生を通知する処理を行う。
【0044】
次に本実施形態の作用を説明する。画像処理プログラム群34が実装されている機器において、何らかの画像処理を行う必要のある状況になると、この状況が特定のアプリケーション32によって検知される。なお、画像処理を行う必要のある状況としては、例えば画像データ供給部22としての画像読取部によって画像を読み取り、画像出力部24としての画像記録部により記録材料に画像として記録するか、画像出力部24としての表示部に画像として表示させるか、画像出力部24としての書込装置により画像データを記録メディアに書き込むか、画像出力部24としての送信部により画像データを送信するか、画像出力部24としての画像記憶部に記憶させるジョブの実行がユーザによって指示された場合、或いは、画像データ供給部22としての受信部によって受信されるか、画像データ供給部22としての画像記憶部に記憶されている画像データに対して、上記の記録材料への記録、表示部への表示、記録メディアへの書き込み、送信、画像記憶部への記憶の何れかを行うジョブの実行がユーザによって指示された場合が挙げられる。また、画像処理を行う必要のある状況は上記に限られるものではなく、例えばユーザからの指示に応じてアプリケーション32が実行可能な処理の名称等を表示部16に一覧表示している状態で、実行対象の処理がユーザによって選択された等の場合であってもよい。
【0045】
上記のように、何らかの画像処理を行う必要のある状況になったことを検知すると、アプリケーション32は、処理管理部46のプログラムを実行するスレッド(プロセス又はオブジェクトでもよい:以下同様)を生成することで、コンピュータ10上で動作する処理管理部46のワークフロー管理部46A、リソース管理部46B及びエラー管理部46Cを各々生成する。続いてアプリケーション32は、画像処理対象の画像データを供給する画像データ供給部22の種別を認識し、認識した種別がバッファ領域(メモリ14の一部領域)であった場合には、画像データ供給部22として指定されたバッファ領域を既に確保されたバッファ40Aとしてバッファ制御部40Bに認識させるパラメータを設定し、バッファ制御部40Bのプログラムを実行するスレッドを生成する(バッファ制御部40Bを生成する)ことで、指定されたバッファ領域を含むバッファモジュール40(画像データ供給部22として機能するバッファモジュール40)を生成する。
【0046】
続いてアプリケーション32は、上記と同様に、画像処理を行った画像データの出力先としての画像出力部24の種別を認識し、認識した種別がバッファ領域(メモリ14の一部領域)であった場合は、画像出力部24として指定されたバッファ領域を含むバッファモジュール40を上記と同様にして生成する。ここで生成されたバッファモジュール40は画像出力部24として機能する。また、アプリケーション32は実行すべき画像処理の内容を認識し、実行すべき画像処理を、個々のモジュール生成部44に対応するレベルの画像処理の組み合わせに分解し、実行すべき画像処理を実現するために必要な画像処理の種類及び個々の画像処理の実行順序を判定する。なお、この判定は、例えば上記の画像処理の種類及び個々の画像処理の実行順序を、ユーザが実行を指示可能なジョブの種類と対応付けて予め情報として登録しておき、アプリケーション32は、実行が指示されたジョブの種類に対応する情報を読み出すことによって実現することができる。
【0047】
そしてアプリケーション32は、上記で判定した画像処理の種類及び実行順序に基づいて、特定の画像処理に対応するモジュール生成部44を起動(モジュール生成部44のプログラムを実行するスレッドを生成)した後に、起動したモジュール生成部44に対し、当該モジュール生成部44によるモジュール群の生成に必要な情報として、前記モジュール群に画像データを入力する入力モジュールを識別するための入力モジュール識別情報、前記モジュール群が画像データを出力する出力モジュールを識別するための出力モジュール識別情報、前記モジュール群に入力される入力画像データの属性を表す入力画像属性情報、実行すべき画像処理のパラメータを通知して対応するモジュール群の生成を指示する。また、必要とされる画像処理が複数種の画像処理を組み合わせた処理である場合、アプリケーション32は、指示したモジュール生成部44からモジュール群の生成完了が通知されると、個々の画像処理に対応する他のモジュール生成部44を起動してモジュール群の生成に必要な情報を通知する処理を個々の画像処理の実行順序の昇順に繰り返す。
【0048】
なお、上記の入力モジュールは、実行順序が1番目のモジュール群については画像データ供給部22が入力モジュールとなり、実行順序が2番目以降のモジュール群については前段のモジュール群の最終モジュール(通常はバッファモジュール40)が入力モジュールとなる。また、上記の出力モジュールについては、実行順序が最後のモジュール群では画像出力部24が出力モジュールとなるので、画像出力部24が出力モジュールとして指定されるが、その他のモジュール群では出力モジュールは未確定のためにアプリケーション32による指定は行われず、必要な場合はモジュール生成部44によって生成・設定される。また、入力画像属性や画像処理のパラメータについては、例えばユーザが実行を指示可能なジョブの種類と対応付けて予め情報として登録しておき、実行が指示されたジョブの種類に対応する情報を読み出すことでアプリケーション32が認識するようにしてもよいし、ユーザに指定させるようにしてもよい。
【0049】
一方、モジュール生成部44は、アプリケーション32によって起動されるとモジュール生成処理を行う。モジュール生成処理では、まず生成対象の画像処理モジュール38に入力される入力画像データの属性を表す入力画像属性情報を取得する。なお、入力画像データの属性を取得する処理は、生成対象の画像処理モジュール38の前段にバッファモジュール40が存在している場合、当該バッファモジュール40に画像データの書き込みを行う更に前段の画像処理モジュール38から出力画像データの属性を取得することによって実現できる。
【0050】
そして、取得した情報が表す入力画像データの属性に基づいて、生成対象の画像処理モジュール38の生成が必要か否か判定する。例えばモジュール生成部44が色変換処理を行うモジュール群を生成するモジュール生成部であり、画像処理のパラメータにより出力画像データの色空間としてCMY色空間がアプリケーション32から指定された場合、取得した入力画像属性情報に基づいて入力画像データがRGB色空間のデータであることが判明したときには、色空間処理を行う画像処理モジュール38としてRGB→CMYの色空間変換を行う画像処理モジュール38を生成する必要があるが、入力画像データがCMY色空間のデータであったときには、入力画像データの属性と出力画像データの属性が色空間に関して一致しているので、色空間変換処理を行う画像処理モジュール38は生成不要と判断する。
【0051】
生成対象の画像処理モジュール38の生成が必要と判断した場合には、生成対象の画像処理モジュール38の後段にバッファモジュール40が必要が否かを判定する。この判定は、画像処理モジュールの後段が出力モジュール(画像出力部24)である場合(例えば図2(A)〜(C)に示す画像処理部50における最後段の画像処理モジュール38を参照)や、例として図2(B)に示す画像処理部50においてスキュー角検知処理を行う画像処理モジュール38のように、画像処理モジュールが、画像データに対して解析等の画像処理を行いその結果を他の画像処理モジュール38へ出力するモジュールである場合は否定されるが、上記以外の場合は判定が肯定されてバッファ制御部40Bを起動することで、画像処理モジュール38の後段に連結するバッファモジュール40を生成する。
【0052】
続いて、前段のモジュール(例えばバッファモジュール40)の情報、後段のバッファモジュール40の情報(後段にバッファモジュール40を生成した画像処理モジュール38のみ)、画像処理モジュール38に入力される入力画像データの属性、処理パラメータを与えて、モジュールライブラリ36に登録されており、画像処理モジュール38として利用可能な複数の候補モジュールの中から、先に取得した入力画像データの属性、及び、画像処理モジュール38で実行すべき処理パラメータに合致する画像処理モジュール38を選択・生成する。
【0053】
例えばモジュール生成部44が色変換処理を行うモジュール群を生成するモジュール生成部であり、処理パラメータにより出力画像データの色空間としてCMY色空間が指定され、更に入力画像データがRGB色空間のデータであった場合には、モジュールライブラリ36に登録されている各種の色空間処理を行う複数種の画像処理モジュール38の中から、RGB→CMYの色空間変換を行う画像処理モジュール38が選択・生成される。また、画像処理モジュールが拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38であり、指定された拡大縮小率が50%以外であれば、入力された画像データに対して指定された拡大・縮小率で拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38が選択・生成され、指定された拡大縮小率が50%であれば、拡大縮小率50%に特化した拡大縮小処理、すなわち入力された画像データを1画素おきに間引くことで50%に縮小する縮小処理を行う画像処理モジュール38が選択・生成される。
【0054】
なお、画像処理モジュール38の選択は上記に限られるものではなく、例えば画像処理エンジン38Aによる画像処理における単位処理データ量が異なる画像処理モジュール38をモジュールライブラリ36に複数登録しておき、画像処理部50へ割当可能なメモリ領域のサイズ等の動作環境に応じて、適切な単位処理データ量の画像処理モジュール38を選択する(例えば上記サイズが小さくなるに従って単位処理データ量の小さい画像処理モジュール38を選択する等)ようにしてもよいし、アプリケーション32或いはユーザに選択させるようにしてもよい。またモジュール生成部44が、複数種の画像処理モジュール38によって実現される画像処理(例えばスキュー角検知処理を行う画像処理モジュール38と画像回転処理を行う画像処理モジュール38によって実現されるスキュー補正処理)を行うモジュール群を生成する場合には、上記処理が繰り返されて2個以上の画像処理モジュール38を含むモジュール群が生成される。
【0055】
例えば図4(A)に示すように、アプリケーション32によって規定(指定)されるのは、目的とする画像処理を実現するための画像処理モジュール38の種類や配置順序等のみであるが、アプリケーション32によって順次起動された処理構築部42の個々のモジュール生成部44により、以上のモジュール生成処理が順次行われることで、例として図2(A)〜(C)や図4(B)に示すように、必要に応じてバッファモジュールが挿入され、目的とする画像処理を行う画像処理部50が構築される。
【0056】
また、本実施形態に係る画像処理部50は、2次元画像データが高さ方向(z軸方向)に多数連なったデータ構造の3次元画像データや、2次元画像データが時間方向(t軸方向)に多数連なったデータ構造の動画像データを処理対象とすることも可能とされているが、データ量が比較的多い3次元画像データや動画像データを処理対象とする場合や、高速処理が要求されている等の場合には、例えば図4(A)に「モジュール群数=n」と表記したように、モジュール構成が同一(画像処理内容が同一)で互いに独立して並列に動作するモジュール群の生成数もアプリケーション32によって規定(指定)される。モジュール群の生成数が指定された場合、処理構築部42は、指定された生成数だけモジュール群を生成する。なお、図4(B)はモジュール群が3個生成された場合を示している。
【0057】
なお、モジュール群の生成数はアプリケーション32によって規定(指定)されることに限られるものではない。例えば処理対象の画像データが動画像データであり、画像処理部50に対し、画像処理を経た動画像データを20fpsの転送レートで出力することが要求されている一方、単一のモジュール群における画像処理が5fpsの転送レートに相当する処理速度であった場合、処理構築部42は要求性能を満足するモジュール群の生成数を演算し、算出された生成数=4と同数のモジュール群を生成するようにしてもよい。
【0058】
また、画像処理部50として動作するプログラムの実行については、画像処理部50を構成する個々のモジュールを単位とし、個々のモジュールのプログラムを実行するスレッドを生成し、CPU12によって実行させることも可能であるが、本実施形態では、モジュール構成が同一(画像処理内容が同一)で互いに独立して並列に動作するモジュール群を単位としてスレッドを生成し、CPU12によって実行させている。
【0059】
上記のようにして、処理構築部42によって画像処理部50が構築され、画像処理部50の構築が完了したことが処理構築部42から処理管理部46(のワークフロー管理部46A)に通知されると、処理管理部46(のワークフロー管理部46A)では、図5に示す処理管理部処理を行う。以下、この処理管理部処理について説明する。
【0060】
図4(B)に示すように、本第1実施形態に係る処理管理部46(のワークフロー管理部46A)は、各モジュール群の末尾に位置している画像処理モジュール38(最終画像処理モジュール38)の情報を登録するためのモジュールリスト、任意のモジュール群で任意の処理単位についての画像処理が終了することで画像処理結果が記憶されたバッファモジュール40(のバッファ40A)の情報を登録するための保存バッファリスト、及び、処理実行中の処理単位の情報を登録するための処理中リストを保持しており、ステップ100では、処理構築部42によって構築された画像処理部50を構成する各モジュール群の最終画像処理モジュール38の情報をモジュールリストに登録し(例として図4(C)には、3個のモジュール群の最終画像処理モジュール38の情報"M1-3","M2-3","M3-3"がモジュールリストに登録された状態を示している)、次のステップ102では保存バッファリスト及び処理中リストをクリアする。
【0061】
ステップ104では個々のモジュール群を識別するための変数iを1に初期化し、次のステップ106では、モジュールリストを参照してモジュール群iの最終画像処理モジュール38を認識し、認識したモジュール群iの最終画像処理モジュール38に対して初期化処理の実行を指示する。これにより、モジュール群iの最終画像処理モジュール38において、画像処理時に用いる変数(例えばポインタやカウンタ、中間データ(例えばディザ化処理における拡散誤差値)等)を初期化する変数初期化処理や、画像処理時に参照する参照データを準備する(例えばLUTに設定する変換データを生成してLUTに設定したり、予め記憶媒体に記憶されている参照データをメモリに読み込む等の)参照データ準備処理を含む初期化処理が行われる。この初期化処理は請求項1に記載の第1の初期化処理に対応している。
【0062】
また、初期化処理を完了した最終画像処理モジュール38は、自モジュールの前段のモジュールに対して初期化処理の実行が指示されたことを通知する。最終画像処理モジュール38の前段に存在しているのは、通常はバッファモジュール40であり、バッファモジュール40は、自モジュールの後段のモジュールから初期化処理の実行が指示されると、処理中にバッファ制御部40Bが用いる変数(例えばポインタ等)を初期化する変数初期化処理や、バッファ40Aとして用いるメモリ領域をリソース管理部46Cを通じて確保するメモリ確保処理を含む初期化処理を行う。この初期化処理は請求項3,5に記載の第2の初期化処理に対応している。そして、初期化処理を完了したバッファモジュール40は、自モジュールの前段のモジュールに対して初期化処理の実行が指示されたことを通知する。これにより、図4(C)に白抜きの矢印で示すように、初期化処理の実行指示がモジュール群iの最終画像処理モジュール38から各モジュールへ順に伝播していき、モジュール群iの各モジュールで上述した初期化処理が各々行われることになる。
【0063】
モジュール群iの全モジュールで初期化処理が終了するとステップ108へ移行し、変数iがモジュール群の生成数nに達したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ110へ移行し、変数iを1だけインクリメントした後にステップ106に戻る。これにより、ステップ108の判定が肯定される迄ステップ106〜ステップ110が繰り返され、画像処理部50の全てのモジュール群で初期化処理が行われる。なお、上述したステップ100〜ステップ110の処理を行う処理管理部46は、画像処理部50の構築を行う処理構築部42と共に本発明に係る構築・初期化手段(より詳しくは請求項2,3,5に記載の構築・初期化手段)に対応しており、ステップ112以降の処理を行う処理管理部46は、本発明に係る処理管理手段(より詳しくは請求項2,5〜7に記載の処理管理手段)に対応している。
【0064】
また、ステップ108の判定が肯定されてステップ112へ移行し、個々のモジュール群を識別するための変数i、及び、画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位を識別するための変数jを各々1に初期化する。次のステップ114では、モジュール群iの最終画像処理モジュール38に対し、出力画像の処理単位jのデータを得る画像処理の実行を指示(処理要求を入力)し、ステップ116では処理単位jを処理中リストに登録する。次のステップ118では変数iがモジュール群の生成数nに達したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ120へ移行し、変数i及び変数jを各々1づつインクリメントした後にステップ114に戻る。これにより、ステップ118の判定が肯定される迄ステップ114〜ステップ120が繰り返され、画像処理部50の全てのモジュール群に対し、出力画像の互いに異なる処理単位のデータを得る画像処理の実行が各々指示される。
【0065】
なお、ステップ114〜ステップ120では個々のモジュール群への処理単位の割当てを逐次行っているが、処理単位の割当ては並列に行ってもよく、その場合、個々のモジュール群へ割当てる処理単位が重複しないように、個々のモジュール群へ割当てる処理単位を決定する際に排他制御を行うように構成すればよい。
【0066】
以下、画像処理の実行が指示された場合の画像処理部50の個々のモジュールにおける処理を説明するが、以下では説明を簡単にするために、処理対象の画像データが3次元画像データ又は動画像データであり、処理対象の画像データ中の個々の2次元画像データを処理単位とする場合を説明する。
【0067】
上記のように、処理管理部46(処理フロー管理部46A)から処理要求が入力される(図3(A)の(1)も参照)と、画像処理モジュール38は、自モジュールの前段のモジュール(通常はバッファモジュール40)に対して画像データを要求する(図3(A)の(2)も参照)。後段の画像処理モジュール38からのデータ要求に対し、前段のバッファモジュール40のバッファ40Aに読出可能な有効データが単位読出データ量以上記憶されていれば、前段のバッファモジュール40から後段の画像処理モジュール38へ読出領域の先頭アドレスが通知されて画像データの読出が要請される。これにより、後段の画像処理モジュール38は先頭アドレスが通知された前段のバッファモジュール40の読出領域から単位読出データ量の画像データを読み出す(図3(A)の(3)も参照)。
【0068】
次に、画像処理モジュール38は自モジュールの後段のモジュール(最終画像処理モジュール38であれば画像出力部24)に対してデータ出力用の領域を要求し、データ出力領域(後段のモジュールがバッファモジュール40であれば当該バッファモジュール40から先頭アドレスが通知された書込領域)が取得できたら(図3(A)の(4)も参照)、先に前段のモジュールから取得した画像データ、後段のモジュールから取得したデータ出力領域(の先頭アドレス)を画像処理エンジン38Aに入力し、入力したデータに対して所定の画像処理を行わせる(図3(A)の(5)も参照)と共に、処理後のデータをデータ出力領域に書き込ませる(図3(A)の(6)も参照)。そして、画像処理エンジン38Aへの単位読出データ量のデータの入力が完了し、画像処理エンジン38Aから出力されたデータがデータ出力領域に全て書き込まれると、出力完了を後段のモジュールに通知すると共に、先に入力された処理要求に対応する処理を完了したことを処理要求元(処理管理部46)へ通知する(図3(A)の(7)も参照)。個々の画像処理モジュール38で上記処理が繰り返されることで、画像処理部50における画像処理が実現される。
【0069】
また、バッファモジュール40のバッファ制御部40Bは、自モジュールの後段のモジュール(通常は画像処理モジュール38)から画像データが要求されると(図3(B)の(1)も参照)、要求された画像データがバッファ40Aに記憶されているか否かチェックする(図3(B)の(2)も参照)が、読出可能な有効データがバッファ40Aに単位読出データ量以上記憶されていない場合は、処理管理部46に対して画像データを要求する(図3(B)の(3)も参照)。処理管理部46は、画像データ要求元のバッファモジュール40の前段に位置している画像処理モジュール38に処理要求を入力する(図3(B)の(4)も参照)。そして、図3(A)に示したシーケンスを経て、前段の画像処理モジュール38によってバッファ40Aに画像データが書き込まれ(図3(B)の(5),(6)も参照)、バッファ40Aから読出可能な有効データが単位読出データ量以上になると、バッファモジュール40から後段の画像処理モジュール38に対して読出領域の先頭アドレスが通知され、後段の画像処理モジュール38によってバッファモジュール40のバッファ40Aから画像データが読み出されることになる(図3(B)の(7)も参照)。
【0070】
なお、個々の画像処理モジュール38は、処理要求の入力時に指示された出力画像の処理単位jを、自モジュールで実行する画像処理の処理内容に基づき、対応する入力画像の処理単位kへ換算する機能を有している。例えば画像の拡大/縮小や圧縮/解凍等以外の画像処理を行う画像処理モジュール38では、入力画像の処理単位k=出力画像の処理単位jとなるが、例えば処理対象としての3次元画像データをz軸方向に1/n倍に縮小する画像処理を行う画像処理モジュール38では、上記の換算機能により、指示された出力画像の処理単位jが、入力画像の処理単位kの範囲=nj−(n−1)〜njへ換算される。そして、画像処理モジュール38からその前段のモジュールへのデータ要求時には、上記の換算機能によって得られた入力画像の処理単位の範囲内のデータ(最初は前記範囲内の先頭のデータ)が要求される。このデータ要求が、個々の画像処理モジュール38で換算されながらより前段のモジュールへ伝播していくことで、個々のモジュール群の先頭に位置している画像処理モジュール38は、画像データ供給部22に記憶されている処理対象の画像データのうち、処理管理部46から要求された処理単位のデータを最終画像処理モジュール38から出力させるための入力画像の処理単位(の範囲)を認識することができ、認識した処理単位のデータを画像データ供給部22から読み出す。
【0071】
一方、処理管理部46は、先のステップ114〜ステップ120で画像処理部50の全てのモジュール群に対して画像処理の実行を指示すると、ステップ118の判定が肯定されてステップ122へ移行し、画像処理の実行を指示した各モジュール群の何れかから全体処理の終了(先に指示した出力画像の特定の処理単位のデータを得る画像処理の終了)が通知されたか否か判定する。そして処理管理部46は、この判定が肯定される迄ステップ122を繰り返すが、この間、任意のモジュール群の任意のバッファモジュール40からデータ要求が入力される毎に、データ要求入力元のバッファモジュール40の前段の画像処理モジュール38に処理要求を入力すると共に、任意のモジュール群の最終画像処理モジュール38から処理完了通知が入力される毎に、当該最終画像処理モジュール38に処理要求を再度入力する処理を行う。これにより、個々のモジュール群において、出力画像のうち先に指示した互いに異なる処理単位のデータを得るための画像処理が互いに独立かつ並列に行われ、各処理単位のデータが画像出力部24に順次書き込まれる。
【0072】
また、任意のモジュール群の最終画像処理モジュール38から全体処理の終了(先に指示した出力画像の特定の処理単位のデータを得る画像処理の終了)が通知されると、ステップ122の判定が肯定されてステップ124へ移行し、出力画像の単一の処理単位についての画像処理が終了したモジュール群(全体処理の終了を通知した最終画像処理モジュール38を含むモジュール群)を構成する個々のバッファモジュール40の情報(例えば個々のバッファモジュール40のバッファ40Aを構成するメモリ領域のアドレス等)を保存バッファリストに登録する(例として図6に示す保存バッファリストも参照)。
【0073】
次のステップ126では、出力画像の中に何れのモジュール群でも画像処理が行われていない(未処理の)処理単位が存在しているか否か判定する。判定が肯定された場合はステップ128へ移行し、出力画像の単一の処理単位についての画像像処理が終了したモジュール群に設けられていたバッファモジュール40と同数(ステップ124で保存バッファリストに情報を登録したバッファモジュール40と同数)のバッファモジュール40を追加生成する。そしてステップ130では、ステップ128で追加生成したバッファモジュール40を、先のステップ124で保存バッファリストに情報を登録したバッファモジュール40に代えて、出力画像の単一の処理単位についての画像処理が終了したモジュール群に繋ぎ直す(例として図6に示すバッファモジュールB4-1,B4-2も参照)。
【0074】
また、次のステップ132では、出力画像の単一の処理単位についての画像処理が終了した特定のモジュール群の最終画像処理モジュール38に対し、再初期化処理の実行を指示する。これにより、特定のモジュール群の最終画像処理モジュール38では、先に説明した画像処理モジュール38の初期化処理のうち、参照データ準備処理を除外した処理(例えば変数初期化処理等)から成る再初期化処理が行われる。この再初期化処理は請求項1に記載の第1の再初期化処理に対応している。また、再初期化処理を完了した最終画像処理モジュール38は、自モジュールの前段のモジュールに対して再初期化処理の実行が指示されたことを通知する。最終画像処理モジュール38の前段に存在しているバッファモジュール40では、後段のモジュールから再初期化処理の実行が指示されると、先に説明した変数初期化処理やメモリ確保処理を含むバッファモジュール40の初期化処理を行った後に、自モジュールの前段のモジュールに対して再初期化処理の実行が指示されたことを通知する。
【0075】
これにより、図6に白抜きの矢印で示すように、再初期化処理の実行指示が特定のモジュール群の最終画像処理モジュール38から各モジュールへ順に伝播していき、特定のモジュール群の画像処理モジュール38では再初期化処理が、バッファモジュール40では初期化処理が各々行われ、特定のモジュール群が、出力画像の新たな処理単位についての画像処理を実行することが可能な状態となる。なお、処理管理部46から各モジュールに対して再初期化処理の実行を同時又はほぼ同時に指示することで、各モジュールで再初期化処理(又は初期化処理)を並列に行わせるようにしてもよい。
【0076】
画像処理モジュール38で行われる初期化処理に含まれる参照データ準備処理は、一般に処理に長い時間を要し、画像処理モジュール38が行う画像処理の種類に依っては、画像データに対する画像処理よりも処理時間が長くなる場合もある。これに対し、特に3次元画像データや動画像データに対する画像処理では、3次元画像データや動画像データを構成する多数の2次元画像データに対して同一の画像処理が行われ、2次元画像データに対する画像処理の内容を個々の2次元画像データ毎に切替える必要が無いことが殆どである。上記に基づき本実施形態では、或るモジュール群で出力画像の任意の処理単位についての画像処理を終了し、未処理の処理単位が残存していた場合には、前記モジュール群の個々の画像処理モジュール38において、初期化処理から参照データ準備処理を除外した再初期化処理を行わせるので、出力画像の任意の処理単位についての画像処理を終了したモジュール群が、出力画像の新たな処理単位についての画像処理を実行することが可能な状態に短時間で切り替わり、画像処理部50における画像処理の処理効率を向上させることができる。
【0077】
これにより、例えば処理対象の画像データが動画像データである場合に、画像処理部50における画像処理の処理効率が低レベルであることが、動画像データのインタラクティブ性やリアルタイム性を阻害する要因となることを防止することができ、画像処理部50を、動画像データや3次元画像データに対する画像処理に適用することが可能となる。
【0078】
出力画像の任意の処理単位についての画像処理を終了したモジュール群が、上記の再初期化処理の実行指示により、出力画像の新たな処理単位についての画像処理を実行することが可能な状態になると、ステップ134では変数jを1だけインクリメントし、次のステップ136では、新たな処理単位についての画像処理を実行することが可能な状態になったモジュール群の最終画像処理モジュール38に対し、出力画像の処理単位jのデータを得る画像処理の実行を指示し、次のステップ138で処理単位jを処理中リストに登録してステップ122に戻る。これにより、出力画像の任意の処理単位についての画像処理を終了したモジュール群が新たに出現する毎に、ステップ122の判定が肯定され、上述したステップ124〜ステップ138が繰り返される。そして、前述のステップ126の判定が否定されると、全てのモジュール群で画像処理が終了した後に、各モジュール群として機能するスレッドの実行を停止させ、画像処理の終了をアプリケーション32へ通知して処理管理部処理を終了する。
【0079】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、本第2実施形態の作用を説明する。
【0080】
第1実施形態で説明した処理管理部処理(図5)では、或るモジュール群で出力画像の任意の処理単位についての画像処理が終了する毎に、前記モジュール群の個々のバッファモジュール40のバッファ40Aとして用いていたメモリ領域の情報を保存バッファリストに登録し、前記メモリ領域に記憶されている画像処理結果を保存するようにしていたが、画像処理部50を構成するモジュール群の数や、個々のモジュール群に設けられたバッファモジュール40の数、処理対象の画像データのデータ量が多くなるに従い、画像処理部50での画像処理が終了する前にメモリ領域等のリソースの不足が生ずる可能性が高くなるという問題がある。
【0081】
また、画像処理モジュール38の中には、例えばN×N×N(但しN≧2)のフィルタ処理等のように、他のモジュール群による出力画像の他の処理単位についての画像処理の結果を参照して画像処理を行う画像処理モジュール38が存在しているが、画像処理部50がこの種の画像処理モジュール38を含んで構築されたものの、アプリケーション32によって指定されたモジュール群の生成数nが、上記の画像処理モジュール38によって参照される画像処理結果の数に比して小さい場合、例えば、処理単位j1についての画像処理を行うモジュール群iが、参照と必要とする処理単位j2についての画像処理結果が得られていないために画像処理を停止している一方、処理単位j2についての画像処理が、モジュール群iによる処理単位j1についての画像処理が終了した後にモジュール群iに行わせる順番になっていた等のようにデッドロックが発生し、画像処理部50における画像処理の進行が停止してしまう恐れがある。
【0082】
本第2実施形態に係る処理管理部処理は上述した問題を解決するものであり、以下、図7を参照して本第2実施形態に係る処理管理部処理を説明する。なお、以下では処理構築部42により、例として図8に示すように、画像データ供給部22に接続され画像データ供給部22から画像データを読み出す第1及び第2の画像処理モジュール38(例えば画像処理モジュールM1-1,M1-2)、第1の画像処理モジュール38又は第2の画像処理モジュール38の後段に各々連結された第1及び第2のバッファモジュール40(例えばバッファモジュールB1-1,B1-2)、第1及び第2のバッファモジュール40の後段に各々連結された第3の画像処理モジュール38(例えば画像処理モジュールM1-3)、第3の画像処理モジュール38の後段に連結された第3のバッファモジュール40(例えばバッファモジュールB1-3)、及び、同一のモジュール群及び他の複数のモジュール群の第3のバッファモジュール40の後段に各々連結された第4の画像処理モジュール38(例えば画像処理モジュールM1-4)から成るモジュール群が3個設けられた画像処理部50が構築されたものとして説明する。上記構成において、第4の画像処理モジュール38は「他のモジュール群による他の処理単位についての画像処理の結果を参照して画像処理を行う」画像処理モジュール38に対応している。
【0083】
図7に示すように、第2実施形態に係る処理管理部処理では、第1実施形態で説明した処理管理部処理(図5)と同様に、画像処理部50を構成する各モジュール群の最終画像処理モジュール38の情報をモジュールリストに登録し(ステップ100)、保存バッファリスト及び処理中リストをクリア(ステップ102)した後に、各モジュール群の最終画像処理モジュール38に対して初期化処理の実行を各々指示する(ステップ104〜ステップ110)。
【0084】
一方、本第2実施形態に係る処理管理部46(のワークフロー管理部46A)は、第1実施形態で説明したモジュールリスト、保存バッファリスト及び処理中リストに加え、出力画像の任意の処理単位についての画像処理を行うモジュール群の個々の画像処理モジュール38が、出力画像の何れの処理単位についての画像処理を行うモジュール群の何れのバッファモジュール40に記憶される画像処理結果を用いて画像処理を行うかを表す依存関係情報を、出力画像の個々の処理単位毎及び単一のモジュール群を構成する個々の画像処理モジュール38毎に登録するための依存関係リスト、及び、出力画像の任意の処理単位についての画像処理が終了することで保存バッファリストに情報が登録されたバッファモジュール40(のバッファ40Aとして用いていたメモリ領域)を解放する際の条件を表す解放条件情報を、出力画像の個々の処理単位毎及び単一のモジュール群を構成する個々のバッファモジュール40毎に登録するための解放リストを保持しており、次のステップ111では上記の依存関係リスト及び解放リストに登録する各情報の生成・各リストへの登録を行う。
【0085】
なお、依存関係リストに登録する依存関係情報は以下の処理で得ることができる。すなわち、特定の画像処理モジュール38に対し、当該特定の画像処理モジュール38における画像処理の処理内容、前記特定の画像処理モジュール38の前段に連結されているバッファモジュール40の数、前記特定の画像処理モジュール38の前段に連結されている個々のバッファモジュール40が何れのモジュール群に属しているか等に基づき、前記特定の画像処理モジュール38を含む特定のモジュール群が出力画像の特定の処理単位についての画像処理を行う際に、特定の画像処理モジュール38が、前段に連結されているバッファモジュール40のうちの何れのバッファモジュール40(出力画像の何れの処理単位についての画像処理を行うモジュール群に属するバッファモジュール40)に記憶される画像処理結果を用いるかを判断し、判断結果を記憶することを、特定のモジュール群が出力画像の各処理単位についての画像処理を行う場合について各々行う。上記処理を単一のモジュール群内の個々の画像処理モジュール38について各々行うことで依存関係情報を生成することができる。
【0086】
図8には、依存関係リストに登録した依存関係情報(の一部)を模式的に示している。図8等において、Mx-yは出力画像の処理単位xについての画像処理を行うモジュール群におけるy番目の画像処理モジュール38を、Bx-yは出力画像の処理単位xについての画像処理を行うモジュール群におけるy番目のバッファモジュール40を各々意味し、例えば、依存関係リスト上で画像処理モジュールM1-3がバッファモジュールB1-1,B1-2と対応付けられているのは、出力画像の処理単位1についての画像処理を行うモジュール群の3番目の画像処理モジュール38は、同モジュール群における1番目及び2番目のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果を用いて画像処理を行うことを表しており、画像処理モジュールM2-4がバッファモジュールB1-3,B2-3,B3-3と対応付けられているのは、出力画像の処理単位2についての画像処理を行うモジュール群の4番目の画像処理モジュール38は、出力画像の処理単位1についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40、出力画像の処理単位2についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40、及び、出力画像の処理単位3についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果を各々用いて画像処理を行うことを表している。
【0087】
また、解放リストに登録する解放条件情報は、例えば依存関係リストに登録した依存関係情報を、「出力画像の特定の処理単位についての画像処理を行うモジュール群の特定のバッファモジュール40」の情報をキーとして検索し、検索キーとして用いたバッファモジュール40の情報と対応付けられている画像処理モジュール38の情報を全て抽出し、検索キーとして用いたバッファモジュールの情報を、抽出した個々の画像処理モジュール38の情報と各々対応付けることを、出力画像の個々の処理単位及び単一のモジュール群内の個々のバッファモジュール40について各々行うことで生成することができる。
【0088】
図8には、解放リストに登録した解放条件情報(の一部)も模式的に示しており、例えば、解放リスト上でバッファモジュールB1-1,B1-2が画像処理モジュールM1-3と対応付けられているのは、バッファモジュールB1-1,B1-2のメモリ領域は画像処理モジュールM1-3における画像処理が終了すれば解放可能であることを表している。また、解放リスト上でバッファモジュールB2-3が画像処理モジュールM1-4, M2-4, M3-4と対応付けられているのは、バッファモジュールB2-3のメモリ領域は画像処理モジュールM1-4, M2-4, M3-4における画像処理が全て終了すれば解放可能であることを表している。
【0089】
また、本第2実施形態に係る処理管理部処理では、第1実施形態で説明した処理管理部処理(図5)と同様に、次のステップ112〜ステップ120において、画像処理部50の個々のモジュール群に対し、出力画像の互いに異なる処理単位のデータを得る画像処理の実行を順に指示するが、ステップ114でモジュール群iの最終画像処理モジュール38に対し、出力画像の処理単位jのデータを得る画像処理の実行を指示した後、次のステップ140において、依存関係リストに登録されている依存関係情報のうち、処理単位jについての画像処理を行うモジュール群の個々の画像処理モジュール38についての依存関係情報(画像処理モジュールMj-xの依存関係情報)を参照し、参照した依存関係情報で個々の画像処理モジュールMj-xと対応付けられているバッファモジュール40(個々の画像処理モジュールMj-xが画像処理結果を参照するバッファモジュール40)が全て存在しているか否か判定する。
【0090】
この判定が肯定された場合はステップ116へ移行するが、ステップ140の判定が否定された場合はデッドロックによって画像処理部50における処理の進行が停止してしまう可能性があるので、ステップ142へ移行し、ステップ140で存在していないと検知したバッファモジュール40を含むモジュール群を追加生成し、モジュールリストも更新する。またステップ116では、ステップ142で生成した追加生成したモジュール群の最終画像処理モジュール38に対して初期化処理の実行を指示する。これにより、追加生成したモジュール群の各モジュールで初期化処理が行われ、追加生成したモジュール群が画像処理を実行可能な状態となる。そして次のステップ146において、モジュール群の生成数nにステップ142で追加生成したモジュール群の数を加算した後にステプ116へ移行する。
【0091】
上述したモジュール群の追加生成について、例を挙げて更に説明する。図8に示す依存関係リストにおいて、画像処理モジュールM3-4がバッファモジュールB2-3,B3-3,B4-3と対応付けられていることからも明らかなように、出力画像の処理単位3についての画像処理を行うモジュール群の4番目の画像処理モジュール38は、出力画像の処理単位2についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40、出力画像の処理単位3についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40、及び、出力画像の処理単位4についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果を各々用いて画像処理を行うが、図8に示す状態の画像処理部50には、出力画像の処理単位4についての画像処理を行うモジュール群が存在しておらず、当該モジュール群の3番目のバッファモジュール40も存在していないので、画像処理モジュールM3-4はバッファモジュールB4-3に記憶されている画像処理結果を用いて画像処理を行うことができず、バッファモジュールB4-3が出現して画像処理結果がバッファモジュールB4-3に記憶される迄待機する必要がある。
【0092】
この例では、出力画像の処理単位1についての画像処理を行っていたモジュール群において、処理単位1についての画像処理が終了すると、個々の画像処理モジュール38で再初期化処理が行われた後に処理単位4についての画像処理が開始されるのでデッドロックは生じないが、例えばモジュール群の中に、より多数の処理単位についての画像処理結果を用いて画像処理を行う画像処理モジュール38が存在していたり、当初指定されたモジュール群の生成数nがより少数であった場合はデッドロックが生ずる。
【0093】
これに対して本第2実施形態に係る処理管理部処理では、上記の例において、出力画像の処理単位3についての画像処理を行うモジュール群に対して画像処理の実行を指示した際に、前記モジュール群の4番目の画像処理モジュール38が画像処理結果を読み出す一部のバッファモジュール40(出力画像の処理単位4についての画像処理を行うモジュール群の3番目のバッファモジュール40)が存在していないことが検知されることでステップ140の判定が否定され、 例として図9に示すように、存在していないことが検知されたバッファモジュール40(バッファモジュールB4-3)を含む新たなモジュール群が追加生成されると共に、追加生成されたモジュール群の個々のモジュールで初期化処理を行わせる。そしてその後、追加生成されたモジュール群(の最終画像処理モジュール38)に対して画像処理の実行が指示されるので、構築された画像処理部50が、他のモジュール群による出力画像の他の処理単位についての画像処理の結果を参照して画像処理を行う画像処理モジュール38を含んで構成されている場合にも、デッドロックが発生することを確実に防止することができる。
【0094】
なお、上述したステップ140〜ステップ146の処理、及び、先のステップ111で依存関係情報の生成・依存関係リストへの登録を行う処理管理部46は、請求項7に記載の処理管理手段に対応している。また、モジュール群を追加生成するタイミングは、上記のように個々のモジュール群に対して画像処理の実行を指示する際に限られるものではなく、画像処理の実行中に何れかのモジュール群のうちの何れかの画像処理モジュール38から、画像処理結果の読出対象のバッファモジュール40が存在していないことが通知されたことを契機として、存在していないことが通知されたバッファモジュール40を含むモジュール群を追加生成するようにしてもよい。
【0095】
また、本第2実施形態に係る処理管理部処理では、第1実施形態で説明した処理管理部処理(図5)と同様に、任意のモジュール群の最終画像処理モジュール38から、出力画像の単一の処理単位についての画像処理の終了が通知されると(ステップ122の判定が肯定されると)、出力画像の単一の処理単位についての画像処理が終了したモジュール群を構成する個々のバッファモジュール40の情報を保存バッファリストに登録(ステップ124)した後に、次のステップ150において、解放リストに登録されている解放条件情報のうち、保存バッファリストに情報が登録されている個々のバッファモジュール40の解放条件リストを各々参照し、保存バッファリストに情報が登録されているバッファモジュール40の中に、今回の画像処理の終了通知により解放条件情報が表す解放条件を満たしたバッファモジュール40が存在しているか否か判定する。
【0096】
この判定が否定された場合はステップ126へ移行するが、ステップ150の判定が肯定された場合はステップ152へ移行し、解放条件を満たしたバッファモジュール40のバッファ40Aとして用いていたメモリ領域をリソース管理部46Cを通じて解放した後にステップ152へ移行する。例えば、出力画像の処理単位1についての画像処理を行っていたモジュール群で前記画像処理が終了したことが通知された場合、当該モジュール群のうちの画像処理モジュールM1-3における画像処理は終了しているので、バッファモジュールB1-1,B1-2のメモリ領域はステップ152で解放される。一方、バッファモジュールB1-3のメモリ領域については、画像処理モジュールM1-4における画像処理は終了しているものの、画像処理モジュールM2-4における画像処理は終了していないので、上記タイミングでは解放されず、出力画像の処理単位2についての画像処理を行っていたモジュール群で前記画像処理が終了したことが通知された場合に解放されることになる。
【0097】
このように、本第2実施形態に係る処理管理部処理では、或るモジュール群で出力画像の任意の処理単位についての画像処理が終了したことが通知される毎に、前記モジュール群の個々のバッファモジュール40(のバッファ40Aとして用いているメモリ領域)の情報を保存バッファリストに一旦登録するものの、解放リストに事前に登録した解放条件情報に基づき、保存バッファリストに情報を登録したバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果の参照(画像処理モジュール38による読み出し)が終了したと判断した場合には、当該バッファモジュール40のバッファ40Aとして用いていたメモリ領域を解放するので、画像処理部50を構成するモジュール群の数や個々のモジュール群に設けられたバッファモジュール40の数が比較的多い場合、或いは、処理対象の画像データのデータ量が比較的多い場合にも、画像処理部50での画像処理が終了する前にメモリ領域等のリソースの不足が生ずることを防止することができる。なお、上述したステップ150,152の処理、及び、先のステップ111で解放条件情報の生成・解放リストへの登録を行う行う処理管理部46は、請求項6に記載の処理管理手段に対応している。
【0098】
また、本第2実施形態に係る処理管理部処理では、第1実施形態で説明した処理管理部処理(図5)と同様に、出力画像の或る処理単位についての画像処理を終了したモジュール群に、出力画像の別の処理単位についての画像処理を行わせる場合(出力画像の未処理の処理単位が残存していた場合)には、前記モジュール群の最終画像処理モジュールに対して再初期化処理の実行を指示することで、前記モジュール群の個々の画像処理モジュール38では初期化処理から参照データ準備処理を除外した再初期化処理を、個々のバッファモジュール40では初期化処理を各々行わせるので、第1実施形態と同様に、前記モジュール群が出力画像の新たな処理単位についての画像処理を実行することが可能な状態に短時間で切り替わることで、画像処理部50における画像処理の処理効率を向上させることができる。
【0099】
なお、上記では任意のモジュール群で出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了した場合に、前記モジュール群の個々の画像処理モジュール38において、初期化処理から参照データ準備処理を除外した再初期化処理を行わせる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一例として、図10に示すように、画像処理部50が互いに異なるコンピュータ(第1/第2コンピュータ)上で動作する複数の部分画像処理部から構成され、第1コンピュータと第2コンピュータが通信回線を介して接続されている場合、当該画像処理部50のうち、隣接するモジュールとの間に通信回線が存在する特定の画像処理モジュール38(図10における画像処理モジュールM1-2,M2-2,M3-2)では、初期化処理として、相手コンピュータと暗号化情報を送受することで第1コンピュータと第2コンピュータとの間にセッションを確立するための認証処理も行われるが、従来は1フレーム分の画像処理が終了する毎に初期化処理を行っていたので、3次元画像データや動画像データを処理対象とした場合、認証処理が繰り返し行われることで画像処理の大幅に低下すると共に、セキュリティ上の理由で相手コンピュータからセッションの確立を拒否される可能性もある。このため、任意のモジュール群で出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了する毎に、前記モジュール群のうちの上記特定の画像処理モジュール38で行わせる再初期化処理として、参照データ準備処理に加えて上記の認証処理も初期化処理から除外した処理を行わせることが好ましい。これにより、出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了したモジュール群が、短時間で新たな処理単位についての画像処理を実行可能な状態となり、画像処理の処理効率が向上すると共に、相手コンピュータからセッションの確立を拒否されることで、処理対象の画像データに対する画像処理が中断してしまうことも防止することができる。このように、再初期化処理として行わせる処理は、初期化処理から参照データ準備処理を除外した処理に限られるものではなく、上記の認証処理や他の処理を除外対象に加えてもよい。
【0100】
また、上記では任意のモジュール群で出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了した場合に、前記モジュール群の個々のバッファモジュール40(のバッファ40Aとして用いていたメモリ領域)の情報を保存バッファリストに登録すると共に、新たなバッファモジュール40を生成し、元のバッファモジュール40に代えて画像処理部50に接続する態様(請求項5記載の発明に相当する態様)を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば他のモジュール群による出力画像の他の処理単位についての画像処理の結果を参照して画像処理を行う画像処理モジュール38が画像処理部50の中に存在しておらず、出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了したモジュール群の個々のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果に対して参照等の利用をすることがない場合には、前記個々のバッファモジュール40において、再初期化処理として、バッファ40Aの参照位置を先頭に戻す処理を行わせるようにしてもよい。この場合、新たなバッファモジュール40を生成する必要が無くなるので、画像処理の処理効率を更に向上させることができる。上記態様は請求項3記載の発明に対応しており、上記態様におけるバッファの参照位置を先頭に戻す処理は請求項3に記載の第2の再初期化処理に対応している。
【0101】
また、任意のモジュール群で出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了した場合に、前記モジュール群の個々のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果に対して参照等の利用をする(又はその可能性が有る)場合に、新たなバッファモジュール40を生成し、元のバッファモジュール40に代えて画像処理部50に接続することに代えて、画像処理結果を記憶するための結果保存用メモリ領域を予め確保しておき、出力画像の或る処理単位についての画像処理が終了したモジュール群の個々のバッファモジュール40に記憶されている画像処理結果を、結果保存用メモリ領域に複写して保存しておくようにしてもよい。この場合、画像処理結果を複写する処理は必要になるものの、バッファモジュール40を繋ぎ直す等の処理が不要となる。上記態様は請求項4記載の発明に対応している。
【0102】
また、上記では処理対象の画像データとして3次元画像データ及び動画像データを例に挙げて説明したが、本発明は2次元画像データに対して画像処理を行う場合にも適用可能であることは言うまでもない。また、上記では互いに独立して動作可能な複数のモジュール群から成る画像処理部50に本発明を適用した態様を説明したが、例えば図2(A)〜(C)に示すように、単一のモジュール群から成る構成の画像処理部に本発明を適用することも可能である。
【0103】
また、上記では本発明に係る画像処理プログラムに対応する画像処理プログラム群34がコンピュータ10の記憶部20等に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本実施形態に係るコンピュータ(画像処理装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】(A)は画像処理モジュール、(B)はバッファモジュールの概略構成及び実行される処理を各々示すブロック図である。
【図4】画像処理部の構築・初期化を説明するための概略図である。
【図5】第1実施形態に係る処理管理部処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】画像処理部の或るモジュール群で単一の処理単位について画像処理が終了した場合の処理を説明するための概略図である。
【図7】第2実施形態に係る処理管理部処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る画像処理部及び各種リストの内容の一例を各々示す概略図である。。
【図9】第2実施形態におけるモジュール群の追加生成を示す概略図である。
【図10】画像処理部が互いに異なるコンピュータ上で動作する複数のモジュール群から成る場合の初期化処理及び再初期化処理を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0105】
10 コンピュータ
14 メモリ
20 記憶部
22 画像データ供給部
24 画像出力部
34 画像処理プログラム群
38 画像処理モジュール
40 バッファモジュール
42 処理構築部
46 処理管理部
50 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせる構築・初期化手段と、
前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせる処理管理手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記構築・初期化手段は、互いに独立して動作可能な複数のモジュール群から成る画像処理部を構築し、
前記処理管理手段は、前記画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせると共に、前記複数のモジュール群のうちの何れかで単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、画像処理が終了したモジュール群のうちの前記画像処理モジュールにおいて前記第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理が終了したモジュール群で行わせる請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記構築・初期化手段は、前記画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記バッファモジュールにおいて、前記バッファとして用いるメモリ領域を確保する処理を含む第2の初期化処理を行わせ、
前記処理管理手段は、前記画像処理部で前記単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちのバッファモジュールにおいて、前記バッファの参照位置を先頭に戻す第2の再初期化処理を行わせる請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理管理手段は、前記バッファモジュールにおいて前記第2の再初期化処理を行わせる前に、前記バッファモジュールの前記バッファとして用いていたメモリ領域に記憶されている画像処理結果を別のメモリ領域に複写することで前記画像処理結果を保存する請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記構築・初期化手段は、前記画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記バッファモジュールにおいて、前記バッファとして用いるメモリ領域を確保する処理を含む第2の初期化処理を行わせ、
前記処理管理手段は、前記画像処理部で前記単一の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部の既存のバッファモジュールで前記バッファとして用いていたメモリ領域を保存すると共に、新たなバッファモジュールを生成し、生成した新たなバッファモジュールを前記既存のバッファモジュールに代えて前記画像処理部に連結し、前記新たなバッファモジュールにおいて前記第2の初期化処理を行わせる請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記構築・初期化手段は、構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部を構築し、
前記処理管理手段は、前記処理対象の画像データの特定の処理単位について、当該特定の処理単位に対する画像処理を行った任意のモジュール群の個々のバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果が、前記処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群によって参照されるかを判断し、判断結果を記憶することを、前記処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行った後に、前記画像処理部の個々のモジュール群で互いに異なる処理単位に対する画像処理を行わせ、前記複数のモジュール群のうちの何れかで任意の処理単位に対する画像処理が終了する毎に、記憶した前記判断結果に基づき、前記画像処理の終了に伴い記憶している画像処理結果の他のモジュール群による参照が終了したバッファが出現したか否か判断し、該当するバッファが出現したと判断した場合に前記該当するバッファとして用いていたメモリ領域を解放する請求項4又は請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記構築・初期化手段は、構成が互いに同一でかつ他のモジュール群による他の処理単位に対する画像処理結果を参照して画像処理を行うように連結されたモジュール群を複数備えた画像処理部を構築し、
前記処理管理手段は、前記処理対象の画像データの特定の処理単位について、当該特定の処理単位に対する画像処理を行う任意のモジュール群が、前記処理対象の画像データのうちの何れの処理単位に対する画像処理を行うモジュール群に含まれるバッファモジュールのバッファに記憶された画像処理結果を参照するかを判断し、判断結果を記憶することを、前記処理対象の画像データの個々の処理単位について各々行った後に、前記画像処理部の個々のモジュール群に対して互いに異なる処理単位に対する画像処理の実行を指示すると共に、記憶した前記判断結果に基づき、画像処理が行う特定のモジュール群が参照する画像処理結果を記憶するバッファが存在しているか否かを、画像処理が行う個々のモジュール群について各々判断し、存在していないバッファが有ると判断した場合は、前記存在していないバッファを含むモジュール群を追加生成し、追加生成したモジュール群により、前記特定のモジュール群が参照する画像処理結果が得られる特定の処理単位に対する画像処理を行わせる請求項4又は請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記構築・初期化手段は、第1コンピュータ上で動作する第1のモジュール群と、前記第1コンピュータと通信回線を介して接続された第2コンピュータ上で動作する第2のモジュール群と、を含む画像処理部を構築した場合、構築した前記画像処理部のうち、隣接するモジュールとの間に前記通信回線が存在する特定の画像処理モジュールにおいて、前記第1コンピュータと前記第2コンピュータとの間にセッションを確立するための認証処理も含む第1の初期化処理を行わせ、
前記処理管理手段は、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記特定の画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記認証処理も除外した第1の再初期化処理を行わせる請求項1〜請求項7の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記処理対象の画像データは、3次元画像を表す3次元画像データ又は動画像データである請求項1〜請求項8の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
記憶手段は、自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶し、
構築・初期化手段は、前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせ、
処理管理手段は、前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせる画像処理方法。
【請求項11】
自モジュールの前段から取得した画像データに対して互いに異なる画像処理を行い、当該画像処理を経た画像データ又は前記画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する複数種の画像処理モジュール、及び、前段のモジュールから出力される画像データをバッファに書き込ませると共に前記バッファに記憶されている画像データを後段のモジュールによって読み出させるバッファモジュールのプログラムを各々記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、
前記記憶手段に記憶されているプログラムにより、前記複数種の画像処理モジュールの中から選択した1つ以上の画像処理モジュールの各々の前段及び後段の少なくとも一方に前記バッファモジュールを設け、各モジュールをパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結した画像処理部を構築した後に、構築した前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、画像処理時に用いる変数を初期化する変数初期化処理及び画像処理時に参照する参照データを準備する参照データ準備処理を含む第1の初期化処理を行わせる構築・初期化手段、
及び、前記処理対象の画像データに対する画像処理を、前記処理対象の画像データを複数の処理単位に分割したときの個々の処理単位毎に前記画像処理部で行わせると共に、前記画像処理部で単一の前記処理単位に対する画像処理が終了する毎に、前記画像処理部のうちの前記画像処理モジュールにおいて、前記第1の初期化処理から前記参照データ準備処理を除外した第1の再初期化処理を行わせた後に、前記処理対象の画像データのうちの未処理の処理単位に対する画像処理を前記画像処理部で行わせる処理管理手段
として機能させるための画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−146055(P2010−146055A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319357(P2008−319357)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】