説明

画像処理装置、画像ファイル保存方法、画像ファイル保存プログラム、及び電子内視鏡システム

【課題】外部記憶装置への書き込みエラー発生時にもリアルタイムな画像を保存すること。
【解決手段】画像処理装置を、内部メモリと、撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、所定の外部記憶装置に対する画像ファイルの保存の可否を判定する第一の保存可否判定手段と、画像ファイルを外部記憶装置に保存できると判定された場合は該画像ファイルを該外部記憶装置に転送して保存し、該画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定された場合は該画像ファイルを内部メモリに保存する第一の保存処理実行手段と、から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像処理装置及び電子内視鏡システムに関連し、詳しくは、外部記憶装置への書き込みエラー発生時にもリアルタイムな画像を保存することができる画像処理装置、画像ファイル保存方法、画像ファイル保存プログラム、及び電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子内視鏡システムは、例えば特許文献1に記載されているように、フリーズ操作時に撮影された画像をファイル化して外部ストレージに転送して保存する。術者は、外部ストレージに保存された画像ファイルにアクセスして、病変部の診断や解析、電子カルテの作成等を行う。外部ストレージには、PC(Personal Computer)、ネットワークを通じてプロセッサに接続されたファイルサーバ、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のリムーバブルメディア等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−213630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の電子内視鏡システムにおいて外部ストレージの接続エラーや記憶容量不足による書き込みエラーが発生した場合、それ以降、エラー原因が解消されない限り、体腔内のリアルタイムな画像を保存することができない。この場合、電子内視鏡システムによる体腔内の観察の中断を余儀なくされるなど、不都合が大きかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決する本発明の一形態に係る画像処理装置は、内部メモリと、撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、所定の外部記憶装置に対する画像ファイルの保存の可否を判定する第一の保存可否判定手段と、画像ファイルを外部記憶装置に保存できると判定された場合は該画像ファイルを該外部記憶装置に転送して保存し、該画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定された場合は該画像ファイルを内部メモリに保存する第一の保存処理実行手段とを有することを特徴とした装置である。
【0006】
本発明に係る画像処理装置によれば、外部記憶装置への書き込みエラー発生時にもリアルタイムな画像を保存することができる。そのため、例えば、重要な資料である内視鏡画像の喪失が避けられると共に、電子内視鏡システムによる体腔内の観察の中断等の不都合も有効に避けられる。
【0007】
第一の保存処理実行手段は、画像ファイルの外部記憶装置への保存ができない原因を示す付帯情報を該画像ファイルに付帯させたうえで、該画像ファイルを内部メモリに保存する構成としてもよい。
【0008】
本発明に係る画像処理装置は、内部メモリに保存された画像ファイルを外部記憶装置に転送して保存できるか否かを判定する第二の保存可否判定手段と、第二の保存可否判定手段の判定結果に従って内部メモリ内の画像ファイルの外部記憶装置への転送及び保存を行う第二の保存処理実行手段とを有する構成としてもよい。
【0009】
付帯情報には、例えば画像ファイルの転送が予定されていた外部記憶装置の識別情報が含まれている。この場合、第二の保存処理実行手段は、第二の保存可否判定手段の判定結果に従い、内部メモリ内の画像ファイルを識別情報によって特定される外部記憶装置に転送して保存する。
【0010】
第二の保存処理実行手段は、術者の操作によって指定された画像ファイルを内部メモリから外部記憶装置に転送して保存する構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、第一の保存処理実行手段による画像ファイルの内部メモリへの保存の許否を術者に確認する確認手段を有した構成としてもよい。この場合、第一の保存処理実行手段は、内部メモリへの保存を許可する操作が行われた場合に画像ファイルを内部メモリに保存する。
【0012】
第一の保存処理実行手段は、外部記憶装置への接続が検出できない場合、又は該外部記憶装置の記憶残容量が所定の記憶容量に満たない場合に、画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定する構成としてもよい。ここで、所定の記憶容量は、例えば転送予定の画像ファイルを外部記憶装置に保存するために必要な記憶容量である。
【0013】
外部記憶装置は、例えばリムーバブルメディア、情報処理端末、又はファイルサーバである。
【0014】
また、上記の課題を解決する本発明の一形態に係る電子内視鏡システムは、被写体を撮影して信号を生成する電子スコープと、電子スコープが生成した信号を処理して画像ファイルを生成する上記画像処理装置とを有することを特徴としたシステムである。
【0015】
画像ファイル生成手段は、例えば電子スコープの操作に従って被写体の静止画ファイル又は動画ファイルを生成する。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一形態に係る画像ファイル保存方法は、画像処理装置により実行される方法であり、撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像ファイル生成ステップと、所定の外部記憶装置に対する画像ファイルの保存の可否を判定する第一の保存可否判定ステップと、画像ファイルを外部記憶装置に保存できると判定された場合は画像ファイルを外部記憶装置に転送して保存し、画像ファイルを外部記憶装置に保存できないと判定された場合は画像ファイルを画像処理装置が備える内部メモリに保存する第一の保存処理実行ステップとを含む。
【0017】
また、上記の課題を解決する本発明の一形態に係る画像ファイル保存プログラムは、上記画像ファイル保存方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、外部記憶装置への書き込みエラー発生時にもリアルタイムな画像を保存することができる画像処理装置、画像ファイル保存方法、画像ファイル保存プログラム、及び電子内視鏡システムが提供される。そのため、例えば、重要な資料である内視鏡画像の喪失が避けられると共に、電子内視鏡システムによる体腔内の観察の中断等の不都合も有効に避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子スコープに設けられたフリーズボタン又は録画ボタンを押したときに実行される画像ファイル保存処理Aのフローチャートを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプロセッサが有する内部メモリに圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルが保存されているときに実行される画像ファイル保存処理Bのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電子内視鏡システムについて説明する。
【0021】
図1は、本実施形態の電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用の撮像システムであり、電子スコープ100、プロセッサ200、モニタ300を有している。電子スコープ100の基端は、プロセッサ200と接続されている。プロセッサ200は、電子スコープ100が出力する撮像信号を処理して画像を生成する画像処理装置と、自然光の届かない体腔内を電子スコープ100を介して照明する光源装置とを一体に備えた装置である。別の実施形態では、画像処理装置と光源装置とを別体で構成してもよい。
【0022】
図1に示されるように、プロセッサ200は、システムコントローラ202、タイミングコントローラ204を有している。システムコントローラ202は、電子内視鏡システム1を構成する各要素を制御する。タイミングコントローラ204は、信号の処理タイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
【0023】
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、白色光を放射する。ランプ208には、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプが適している。ランプ208から放射された照明光は、集光レンズ210によって集光されると共に絞り212を介して適正な光量に制限されて、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端に入射する。
【0024】
絞り212には、図示省略されたアームやギヤ等の伝達機構を介してモータ214が機械的に連結している。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216のドライブ制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214によって動作して開度が変化して、ランプ208から放射された照明光の光量を開度に応じて制限する。適正とされる映像の明るさの基準は、術者によるフロントパネル218の輝度調節操作に応じて設定変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては省略することとする。
【0025】
フロントパネル218の構成には種々の形態が想定される。フロントパネル218の具体的構成例には、プロセッサ200のフロント面に実装された機能毎のハードウェアキーや、タッチパネル式GUI(Graphical User Interface)、ハードウェアキーとGUIとの組合せ等が想定される。
【0026】
LCB102の入射端に入射した照明光は、LCB102内を全反射を繰り返すことによって伝播する。LCB102内を伝播した照明光は、電子スコープ100の先端に配されたLCB102の射出端から射出する。LCB102の射出端から射出した照明光は、配光レンズ104を介して被写体を照明する。被写体からの反射光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上の各画素で光学像を結ぶ。
【0027】
固体撮像素子108は、例えばベイヤ型画素配置を有する単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであり、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、R、G、Bの各色に応じた撮像信号に変換する。変換された撮像信号は、プリアンプ110による信号増幅後、ドライバ信号処理回路112を介して信号処理回路220に入力する。別の実施形態では、固体撮像素子108は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサであってもよい。
【0028】
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
【0029】
信号処理回路220に入力した撮像信号は、クランプ、ニー、γ補正、補間処理、AGC(Auto Gain Control)、AD変換等の処理後、各色信号別にフレーム単位でR、G、Bの各色対応のフレームメモリ(不図示)にバッファリングされる。バッファリングされた各色信号は、タイミングコントローラ204によって制御されたタイミングでフレームメモリから掃き出されて、NTSC(National Television System Committee)やPAL(Phase Alternating Line)等の所定の規格に準拠した映像信号に変換される。変換された映像信号がモニタ300に順次入力することにより、被写体の画像がモニタ300の表示画面上に表示される。
【0030】
(図2の画像ファイル保存処理A)
電子スコープ100の手元操作部(不図示)にはフリーズボタン114及び録画ボタン116が設けられている。なお、図1中、図面を簡明化するため、フリーズボタン114又は録画ボタン116と他のブロックとの結線は省略している。図2は、フリーズボタン114又は録画ボタン116を押したときに実行される画像ファイル保存処理Aのフローチャートを示す。説明の便宜上、本明細書中の説明並びに図面において、処理ステップは「S」と省略して記す。
【0031】
<図2のS1(ファイル化処理)>
フリーズボタン114が押されると、圧縮回路222は、フリーズボタン114が押された直後に生成されるフレーム画像をフレームメモリから取り込み、所定のデジタル符号化方式で圧縮する。これにより、圧縮静止画データが生成される。圧縮方式には、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)の汎用的な形式等が挙げられる。静止画データは、BMP(Bitmap)等の非圧縮のフォーマットで生成されてもよい。
【0032】
録画ボタン116は、電子スコープ100の手元操作部の限られたボタン配置スペースを効率的に利用するため、一つのボタンで録画の開始と終了の操作を受け付けるように構成されている。動画圧縮を行っていないときの録画ボタン116の操作は、録画の開始操作であり、動画圧縮中の録画ボタン116の操作は、録画の終了操作である。そのため、録画ボタン116が押された場合は、圧縮回路222による撮影動画の圧縮が開始される。圧縮回路222は、録画ボタン116が押された直後から録画ボタン116がもう一度押されるまでの間に生成されるフレーム画像をフレームメモリから順次取り込み、所定のデジタル符号化方式で圧縮する。これにより、圧縮動画データが生成される。圧縮方式には、例えばMPEG−4(Moving Picture Experts Group phase 4)、H.264等の汎用的な形式等が挙げられる。
【0033】
圧縮回路222は、圧縮処理後、電子内視鏡システム1以外の情報処理端末(例えばPC600)で圧縮静止画データ又は圧縮動画データを再生可能とするため、圧縮静止画データ又は圧縮動画データに所定のファイルシステム(例えばFAT(File Allocation Tables)32)に適合した拡張子を付けてファイル化する。これにより、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルが生成される。なお、圧縮静止画データ又は圧縮動画データは、転送先が確定した時点で転送先のファイルシステムに適合したファイル形式に変換されてもよい。
【0034】
<図2のS2〜S4(転送先のステータスの判定処理及びファイル転送・保存処理)>
システムコントローラ202は、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの転送先のステータスを監視している。転送先は外部ストレージであり、例えばUSBメモリ400やメモリカード500等のリムーバブルメディア、PC600等の情報処理端末、ファイルサーバ700等がある。USBメモリ400はUSBポート226に、メモリカード500はカードスロット228に、PC600やファイルサーバ700はLAN(Local Area Network)端子230又はSCSI(Small Computer System Interface)端子232に、それぞれ接続される。PC600やファイルサーバ700は、USBケーブルを介してUSBポート226に接続されてもよい。
【0035】
監視対象のステータスは、例えば、外部ストレージとプロセッサ200との接続状態や、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを記憶可能な外部ストレージの残容量等である。ステータスの監視は、転送先として指定された外部ストレージ(説明の便宜上、「指定外部ストレージ」と記す。)又はプロセッサ200に接続されている全ての外部ストレージに対して行われる。転送先の指定は、例えば術者によるフロントパネル218の操作を通じて行われる。また、プロセッサ200に接続された全ての外部ストレージを転送先として自動的に指定する構成としてもよい。外部ストレージがプロセッサ200に複数接続されている場合における圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの転送先の優先順位等も、フロントパネル218の操作を通じて指定することができる。この優先順位付けは、自動で行われてもよい。
【0036】
図2のS2の処理では、システムコントローラ202は、指定外部ストレージがプロセッサ200に接続されているか否かを判定する。図2のS3の処理では、システムコントローラ202は、転送を予定する圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルのファイルサイズと指定外部ストレージの残容量とを比較して、指定外部ストレージに対する転送ファイルの保存の可否を判定する。図2のS4の処理では、システムコントローラ202は、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを指定外部ストレージに転送して保存する。
【0037】
[指定外部ストレージがUSBメモリ400の場合]
図2のS2の処理において、USBメモリ400がUSBポート226に接続されてプラグアンドプレイが正常に動作している場合(S2:YES)、処理はS3に進む。図2のS2の処理において、USBメモリ400がUSBポート226に未接続又はプラグアンドプレイが正常に動作していない場合(S2:NO)、処理はS5に進む。
【0038】
図2のS3の処理において、USBメモリ400内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量に満たない場合(S3:YES)、処理はS5に進む。図2のS3の処理において、USBメモリ400内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合(S3:NO)、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルがUSBメモリ400に転送され保存される(S4)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0039】
[指定外部ストレージがメモリカード500の場合]
図2のS2の処理において、メモリカード500がカードスロット228に接続されてシステムコントローラ202により認識されている場合(S2:YES)、処理はS3に進む。図2のS2の処理において、メモリカード500がカードスロット228に未接続又は接続が認識されていない場合(S2:NO)、処理はS5に進む。
【0040】
図2のS3の処理において、メモリカード500内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量に満たない場合(S3:YES)、処理はS5に進む。図2のS3の処理において、メモリカード500内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合(S3:NO)、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルがメモリカード500に転送され保存される(S4)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0041】
[指定外部ストレージがPC600の場合]
図2のS2の処理において、PC600が起動しておりSCSI端子232又はハブ等を介してLAN端子230に接続されている場合(S2:YES)、処理はS3に進む。図2のS2の処理において、PC600がLAN端子230又はSCSI端子232の何れにも未接続、又はネットワークエラーによってPC600が検出できない場合、又はPC600が起動していない場合(S2:NO)、処理はS5に進む。
【0042】
図2のS3の処理において、PC600(例えばHDD(Hard Disk Drive))内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量に満たない場合(S3:YES)、処理はS5に進む。図2のS3の処理において、PC600内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合(S3:NO)、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルがPC600に転送され保存される(S4)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0043】
[指定外部ストレージがファイルサーバ700の場合]
図2のS2の処理において、ファイルサーバ700が起動しておりSCSI端子232又はハブ等を介してLAN端子230に接続されている場合(S2:YES)、処理はS3に進む。図2のS2の処理において、ファイルサーバ700がLAN端子230又はSCSI端子232の何れにも未接続、又はネットワークエラーによってファイルサーバ700が検出できない場合、又はファイルサーバ700が起動していない場合(S2:NO)、処理はS5に進む。
【0044】
図2のS3の処理において、ファイルサーバ700内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量に満たない場合(S3:YES)、処理はS5に進む。図2のS3の処理において、ファイルサーバ700内の記憶可能な残容量が転送予定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合(S3:NO)、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルがファイルサーバ700に転送され保存される(S4)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。ファイルサーバ700に保存された圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルには、PC600をはじめとする病院内に構築されたLAN内の各情報処理端末からアクセスすることができる。
【0045】
<図2のS5(全ての転送先のステータス判定の確認処理)>
システムコントローラ202は、ステータス判定処理(図2のS2、S3)を全ての指定外部ストレージに対して実行したか否かを判定する。未実行の指定外部ストレージが残っている場合は(S5:NO)、その指定外部ストレージに対してステータス判定処理(図2のS2、S3)を行う。指定外部ストレージが複数ある場合、各指定外部ストレージに対するステータス判定処理(図2のS2、S3)をフロントパネル218の操作等で指定された優先順位に従って実行する。ステータス判定処理(図2のS2、S3)が全ての指定外部ストレージに対して実行されると(S5:YES)、処理はS6に進む。
【0046】
<図2のS6(内部メモリへのファイル保存処理)>
システムコントローラ202は、指定外部ストレージへの転送が予定されていた圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを所定のメタ情報を付けたうえで、プロセッサ200が有する内部メモリ224に保存する。これにより、本フローチャートの処理が終了する。内部メモリ224を予備的に持つことにより、指定外部ストレージへの書き込みエラー発生時にもリアルタイムな画像を保存することができる。そのため、重要な資料である内視鏡画像の喪失が避けられると共に、電子内視鏡システム1による体腔内の観察の中断等の不都合も有効に避けられる。
【0047】
メタ情報には、例えば、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの転送が予定されていた指定外部ストレージの識別情報やステータスが含まれる。識別情報は、指定外部ストレージへのアクセスに必要な情報であり、例えばMAC(Media Access Control)アドレスやローカルIP(Internet Protocol)アドレス、デバイスID等である。ステータスは、指定外部ストレージへの圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの転送・保存ができなかった原因を示す情報である。ステータスには、例えば検出エラーやネットワークエラー等の接続エラー、残容量不足等がある。また、情報管理の都合上、キーボード(不図示)操作等を通じてプロセッサ200に予め入力されている患者ID等の患者情報をメタ情報に加えてもよい。
【0048】
なお、システムコントローラ202は、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの内部メモリ224への保存の許否をモニタ300又はフロントパネル218(所定のメッセージ表示など)を通じて術者に事前に確認し、許可の操作が行われた場合のみ保存処理(図2のS6)を実行してもよい。圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを内部メモリ224に保存した場合は、モニタ300又はフロントパネル218に所定のメッセージ表示を行って術者に通知してもよい。
【0049】
(図3の画像ファイル保存処理B)
術者は、病変部の精査や解析、電子カルテの作成等の作業をPC600等の情報処理端末を用いて行う。そのため、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの所在は、USBメモリ400やメモリカード500、PC600のHDD、ファイルサーバ700等が望ましい。プロセッサ200は、原則として手技中以外は電源が投入されておらず、手技後の内部メモリ224へのアクセスが難しい又は不便であるからである。そのため、内部メモリ224に保存された圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルは、図3のフローチャートに示される画像ファイル保存処理Bの実行により、指定外部ストレージに転送され保存される。画像ファイル保存処理Bは、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルが内部メモリ224に保存されているときに常時実行され、又は術者によるフロントパネル218等を通じた指示操作が行われたときに実行される。
【0050】
<図3のS11(指定外部ストレージに対する接続確認処理)>
システムコントローラ202は、内部メモリ224に保存されている圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルのメタ情報に含まれる指定外部ストレージに対する接続の可否を判定する。例えばネットワークエラーの解消等によって指定外部ストレージに対する接続が可能となった場合(S11:YES)、処理はS12に進む。別の外部ストレージが新たに接続された場合も、処理はS12に進む。指定外部ストレージに依然として接続できない場合(S11:NO)、処理は進まない。
【0051】
<図3のS12(指定外部ストレージの残容量確認処理)>
システムコントローラ202は、内部メモリ224に保存されている圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルのメタ情報に含まれる指定外部ストレージの残容量を検出して当該ファイルの保存の可否を判定する。指定外部ストレージの残容量が圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合(S12:YES)、処理はS13に進む。新たに接続された外部ストレージの残容量が圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量以上の場合も、処理はS13に進む。指定外部ストレージの残容量が圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存に必要な記憶容量に依然として満たない場合(S12:NO)、処理は進まない。
【0052】
なお、上記例では、指定外部ストレージに対して接続確認(図3のS11)及び残容量確認(図3のS12)の各処理を実行しているが、メタ情報のステータスに対応する確認処理のみを実行するようにしてもよい。例えばメタ情報のステータスが接続エラーの指定外部ストレージに対しては、接続確認(図3のS11)を実行して残容量確認(図3のS12)を省略し、例えばメタ情報のステータスが残容量不足の指定外部ストレージに対しては、接続確認(図3のS11)を省略して残容量確認(図3のS12)を実行してもよい。
【0053】
<図3のS13(外部ストレージへのファイル転送・保存処理)>
システムコントローラ202は、内部メモリ224に保存されている圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを接続エラー又は残容量不足が解消された指定外部ストレージ、若しくは新たに接続された外部ストレージに転送して保存する。これにより、本フローチャートの処理が終了する。すなわち、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルは、病変部の精査や解析、電子カルテの作成等の作業の都合上便利な場所に自動的に転送され保存される。
【0054】
図3の画像ファイル保存処理Bは、内部メモリ224に保存されている全ての圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルに対して実行してもよく、特定の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルに対してのみ実行してもよい。術者は、例えばフロントパネル218等の操作を通じて、メタ情報の内容(指定外部ストレージ、ステータスの種類、患者ID等)やファイル形式等によって内部メモリ224内の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを検索したりソートしたりすることができる。術者は、検索された圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルのみを対象に画像ファイル保存処理Bの実行を指示したり、ソート結果から圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルを任意に選択して画像ファイル保存処理Bの実行を指示したりすることができる。
【0055】
以上が本発明の実施形態の説明である。本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えばフリーズボタン114又は録画ボタン116と同一の機能を有する操作手段は、電子スコープ100の手元操作部だけでなくフロントパネル218に設けられてもよい。
【0056】
プロセッサ200は、内部メモリ224に保存されている圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルをモニタ300で再生するため、所定の伸張処理を行って信号処理回路220に出力する伸張回路を有した構成としてもよい。
【0057】
本実施形態では、システムコントローラ202が圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの内部メモリ224への保存、又は内部メモリ224から外部ストレージへの転送・保存を自動実行しているが、別の実施形態では手動で実行するようにしてもよい。例えば、術者は、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの外部ストレージへの転送エラーが生じた場合、フロントパネル218等を操作して圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存先として内部メモリ224を指定する。これにより、圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルが内部メモリ224に保存される。また、術者は、例えば別の外部ストレージをプロセッサ200に新たに接続したとき、フロントパネル218等を操作して、内部メモリ224内の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルの保存先として当該外部ストレージを指定する。これにより、内部メモリ224内の圧縮静止画ファイル又は圧縮動画ファイルが別の外部ストレージに転送され保存される。
【符号の説明】
【0058】
1 電子内視鏡システム
100 電子スコープ
114 フリーズボタン
116 録画ボタン
200 プロセッサ
220 信号処理回路
222 圧縮回路
224 内部メモリ
226 USBポート
228 カードスロット
230 LAN端子
232 SCSI端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部メモリと、
撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段と、
所定の外部記憶装置に対する前記画像ファイルの保存の可否を判定する第一の保存可否判定手段と、
前記画像ファイルを前記外部記憶装置に保存できると判定された場合は該画像ファイルを該外部記憶装置に転送して保存し、該画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定された場合は該画像ファイルを前記内部メモリに保存する第一の保存処理実行手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第一の保存処理実行手段は、前記画像ファイルの前記外部記憶装置への保存ができない原因を示す付帯情報を該画像ファイルに付帯させたうえで、該画像ファイルを前記内部メモリに保存することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記内部メモリに保存された画像ファイルを前記外部記憶装置に転送して保存できるか否かを判定する第二の保存可否判定手段と、
前記第二の保存可否判定手段の判定結果に従って前記内部メモリ内の画像ファイルの前記外部記憶装置への転送及び保存を行う第二の保存処理実行手段と、
を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記付帯情報には、前記画像ファイルの転送が予定されていた外部記憶装置の識別情報が含まれており、
前記第二の保存処理実行手段は、前記第二の保存可否判定手段の判定結果に従い、前記内部メモリ内の画像ファイルを前記識別情報によって特定される外部記憶装置に転送して保存することを特徴とする、請求項2を引用する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第二の保存処理実行手段は、術者の操作によって指定された画像ファイルを前記内部メモリから前記外部記憶装置に転送して保存することを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第一の保存処理実行手段による前記画像ファイルの前記内部メモリへの保存の許否を術者に確認する確認手段
を有し、
前記第一の保存処理実行手段は、前記内部メモリへの保存を許可する操作が行われた場合に前記画像ファイルを該内部メモリに保存することを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第一の保存処理実行手段は、前記外部記憶装置への接続が検出できない場合、又は該外部記憶装置の記憶残容量が所定の記憶容量に満たない場合に、前記画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定することを特徴とする、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記所定の記憶容量は、転送予定の画像ファイルを前記外部記憶装置に保存するために必要な記憶容量であることを特徴とする、請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記外部記憶装置は、リムーバブルメディア、情報処理端末、又はファイルサーバであることを特徴とする、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
被写体を撮影して信号を生成する電子スコープと、
前記電子スコープが生成した信号を処理して画像ファイルを生成する請求項1から請求項9の何れか一項に記載の画像処理装置と、
を有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項11】
前記画像ファイル生成手段は、前記電子スコープの操作に従って前記被写体の静止画ファイル又は動画ファイルを生成することを特徴とする、請求項10に記載の電子内視鏡システム。
【請求項12】
画像処理装置により実行される、
撮像装置からの信号を処理して画像ファイルを生成する画像ファイル生成ステップと、
所定の外部記憶装置に対する前記画像ファイルの保存の可否を判定する第一の保存可否判定ステップと、
前記画像ファイルを前記外部記憶装置に保存できると判定された場合は該画像ファイルを該外部記憶装置に転送して保存し、該画像ファイルを該外部記憶装置に保存できないと判定された場合は該画像ファイルを前記画像処理装置が備える内部メモリに保存する第一の保存処理実行ステップと、
を含む、画像ファイル保存方法。
【請求項13】
前記第一の保存処理実行ステップにおいて、前記画像ファイルの前記外部記憶装置への保存ができない原因を示す付帯情報を該画像ファイルに付帯させたうえで、該画像ファイルを前記内部メモリに保存する、請求項12に記載の画像ファイル保存方法。
【請求項14】
前記付帯情報には、前記画像ファイルの転送が予定されていた外部記憶装置の識別情報が含まれており、
前記画像処理装置により実行される、
前記内部メモリに保存された画像ファイルを前記外部記憶装置に転送して保存できるか否かを判定する第二の保存可否判定ステップと、
前記第二の保存可否判定ステップでの判定結果に従い、前記内部メモリ内の画像ファイルを前記識別情報によって特定される外部記憶装置に転送して保存する第二の保存処理実行ステップと、
を含む、請求項13に記載の画像ファイル保存方法。
【請求項15】
前記外部記憶装置は、リムーバブルメディア、情報処理端末、又はファイルサーバである、請求項12から請求項14の何れか一項に記載の画像ファイル保存方法。
【請求項16】
請求項12から請求項15の何れか一項に記載の画像ファイル保存方法をコンピュータに実行させるための画像ファイル保存プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−254182(P2012−254182A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128776(P2011−128776)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】