説明

画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法

【課題】写真印刷において、インクの残量を平準化する。
【解決手段】画像処理装置は、印刷対象の元画像データを取得する画像データ取得手段と、印刷装置におけるインクの種類ごとの前記インクの残量の差が小さくなるように印刷に際して消費する前記インクの種類ごとの消費量の配分を調整した画像データに前記元画像データを変換する画像データ変換手段と、変換した前記画像データが示す画像を前記印刷装置に印刷させる印刷制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置が用いるインクの残量に応じた画像処理を行う画像処理装置、画像処理プログラム、画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一体型のインクカートリッジにおいていずれかのインクが無くなると、他のインクは残存していてもインクカートリッジを交換しなければならず、残存するインクの無駄が生じていた。また、一体型のカートリッジでなくても、プリンター買い換え等に伴って古いプリンターを破棄する場合に、新しいプリンターでは使用できないインクカートリッジにインクが不均衡に余っていると、余っているインクが無駄になる。特許文献1には、インクの残存量に応じてレジクーポンの印刷に使用するインクの色を切り替えることによって、印刷可能枚数を増加させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−237578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文字やバーコード等で表された情報を主として伝達するレジクーポンのような印刷物の場合は、文字やバーコードに使用される色自体はさほど重要ではない。一方、写真印刷の場合は、使用される色は写真の印象を表現する上で重要である。
本発明は、写真印刷において、インクの残量を平準化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の画像処理装置は、画像データ取得手段と、画像データ変換手段と、印刷制御手段と、を備える。画像データ取得手段は、印刷対象の元画像データを取得する。画像データ変換手段は、元画像データを、インクの残量の差を小さくなるような画像データに変換する。すなわち、元画像データの色相・明度・彩度の少なくともいずれかを変更することで画像データを生成する。元画像データが示す画像を変換することなしに印刷する場合のインクの種類ごとのインク残量の差が、変換後の画像データが示す画像を印刷する場合のインクの種類ごとのインク残量の差より小さくなるように(すなわち残量の偏りが解消するように)、画像データ変換手段において元画像データが変換される。印刷制御手段は、変換された画像データが示す画像を印刷装置に印刷させる。
【0006】
本発明によると、印刷装置におけるインクの残量の平準化に貢献することができ、特定のインクだけ先に早く消費されたり、あるいは、特定のインクだけ長い間多く余ってしまうことを抑制することができる。特許文献1では残量に応じて使用するインクの数を削減しているため表現できる色の種類が大幅に削減されてしまうが、本発明では表現できる色の種類を特許文献1の構成よりも多くすることができる(例えば元画像データの印刷では使用しないインクを平準化のために使用する状況も含むため。また例えば残量が少ないインクがある場合は、そのインクの使用量を減少させるが全くそのインクを使用しないわけではない状況も含むため)。そのため写真にエフェクトを施して印刷するような場合にも、大きく画質を損なうことなくインク残量の平準化に寄与することができる。
【0007】
上記課題を解決するための画像処理装置において、さらに、印刷装置におけるインクの種類ごとのインクの残量を取得する残量取得手段を備えても良い。その場合に画像データ変換手段は、残量が第一の閾値より多い種類のインクを残量が第一の閾値以下の種類のインクより印刷に際して多く消費するような画像データに元画像データを変換してもよい。
この構成によると、画像を印刷することによって、残量が第一の閾値以下となっているインクが、残量が第一の閾値より多いインクよりも多く消費されてさらに残量が際だって減少してしまうことを防止することができる。
【0008】
なお、画像データ変換手段は、割合R1>割合R2となるように元画像データを変換して画像データを生成するようにしてもよい。割合R1は、元画像データが示す画像を変換せずに印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S1(=第一インクの消費量+第二インクの消費量+…)に対する、残量が第一の閾値以下のインクの消費量I1の割合(I1/S1)とする。割合R2は、変換後の画像データが示す画像を印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S2に対する、残量が第一の閾値以下のインクの消費量I2の割合(I2/S2)とする。割合R1>割合R2となるように変換する場合は、残量が第一の閾値より多いインクが残量が第一の閾値以下のインクよりも多く消費されない場合も含むが、割合R1>割合R2となるように変換した画像データを印刷することでインクごとの残量の偏りを元画像データをそのまま印刷する場合よりも少なくとも平準化することができる。
【0009】
上記課題を解決するための画像処理装置においては、さらに、インクの消費履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得手段を備えていても良い。その場合に画像データ変換手段は、履歴情報に基づいて、過去の消費量が第二の閾値以下の種類のインクを過去の消費量が第二の閾値より多い種類のインクより、多く消費する画像データに元画像データを変換してもよい。
この構成によると、多く消費される傾向にあるインクの消費量を抑制することができ、その結果、インク残量の平準化に寄与することができる。なお、履歴情報は、直接的にインクの使用履歴を示す情報であってもよいし、間接的にインクの使用履歴を示す情報であってもよい。
【0010】
なお、画像データ変換手段は、割合R3>R4となるように元画像データを変換して画像データを生成するようにしてもよい。割合R3は、元画像データが示す画像を変換せずに印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S3(=第一インクの消費量+第二インクの消費量+…)に対する、過去の消費量が第二の閾値より多いインクの消費量I3の割合(I3/S3)とする。割合R4は、変換後の画像データが示す画像を印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S4に対する、過去の消費量が第二の閾値より多いインクの消費量I4の割合(I4/S4)とする。割合R3>割合R4となるように変換する場合は、過去の消費量が第二の閾値以下のインクが過去の消費量が第二の閾値より多いインクより多く消費されない場合も含むが、割合R3>割合R4となるように変換した画像データを印刷することでインクごとの残量の偏りを元画像データをそのまま印刷する場合よりも少なくとも平準化することができる。
【0011】
上記課題を解決するための画像処理装置において、画像データ変換手段は、元画像データが示す画像を印刷装置に印刷させる場合のインクの消費量をインクの種類ごとに特定してもよい。その場合に画像データ変換手段は、特定された消費量が第三の閾値以下の種類のインクを、特定された消費量が第三の閾値より多い種類のインクより多く消費する画像データに元画像データを変換するようにしてもよい。
元画像データが特定のインクを他のインクより多く消費するような特徴を持っている場合に、画像データを印刷することによって消費されるインクの消費量が平準化するように元画像データを変換することで、結果的にインクの残量の平準化に貢献することができる。
【0012】
なお、画像データ変換手段は、割合R5>割合R6となるように元画像データを変換して画像データを生成するようにしてもよい。割合R5は、元画像データが示す画像を変換せずに印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S5(=第一インクの消費量+第二インクの消費量+…)に対する、消費量が第三の閾値より多いインクXの消費量I5の割合(I5/S5)とする。割合R6は、変換後の画像データが示す画像を印刷装置に印刷させる場合のインクの種類ごとのインクの消費量の合算値S6に対する、インクXの消費量I6の割合(I6/S6)とする。割合R5>割合R6となるように変換する場合は、変換せずに印刷した場合の消費量が第三の閾値以下のインクのが、変換せずに印刷した場合の消費量が第三の閾値より多いインクXより多く消費されない事も含むが、割合R5>割合R6となるように変換した画像データを印刷することでインクごとの残量の偏りを元画像データをそのまま印刷する場合よりも少なくとも平準化することができる。
【0013】
なお、請求項に記載された各手段の機能は、構成自体で機能が特定されるハードウェア資源、プログラムにより機能が特定されるハードウェア資源、又はそれらの組み合わせにより実現される。また、これら各手段の機能は、各々が物理的に互いに独立したハードウェア資源で実現されるものに限定されない。さらに、本発明は方法としても、コンピュータープログラムとしても、そのプログラムの記録媒体としても成立する。むろん、そのコンピュータープログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第一実施形態にかかるプリンターを示すブロック図。
【図2】画像変換および印刷処理を示すフローチャート。
【図3】第一実施形態にかかる平準化画像変換処理のフローチャート。
【図4】(4A)および(4B)は履歴情報を示す図、(4C)は第二実施形態にかかる平準化画像変換処理のフローチャート。
【図5】第三実施形態にかかる平準化画像変換処理のフローチャート。
【図6】他の実施形態にかかる平準化画像変換処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0016】
1.第一実施形態
1−1.構成
図1に本発明による画像処理装置の一実施形態としてのPC(personal computer)10と、印刷装置としてのプリンター20とを示す。PC10は、プリンター20に印刷させる画像データを後述するフィルターを用いて元画像データから変換するために構成される。PC10は、CPU11とRAM12とROM13とハードディスク装置(HDD)14と外部インターフェース(I/F)15と内部インターフェース(I/F)16とを備える。ROM13には起動プログラムが格納されている。HDD14には画像処理プログラム100やOS等の各種プログラムが格納されている。これらのプログラムは、RAM12にロードされCPU11によって実行される。外部I/F15には、プリンター20や図示しないデジタルカメラやディスプレイやキーボードやマウス等が接続されている。内部I/F16は、CPU11とRAM12とROM13とHDD14と外部I/F15を相互に通信可能とするためのインターフェースを構成する。
【0017】
プリンター20は、コントローラー21と外部I/F22と内部I/F23とキャリッジユニット24と搬送ユニット26とを備える。コントローラー21は、CPUやROMやRAMやASIC等からなり、キャリッジユニット24や搬送ユニット26の動作を制御するための処理を実行する。キャリッジユニット24は、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジ(不図示)とキャリッジモーター(不図示)等を備える。キャリッジモーターが駆動することにより、印刷ヘッド25を搭載したキャリッジが主走査方向に往復移動する。印刷ヘッド25は、本実施形態においてはシアン(C)・マゼンダ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)・ライトシアン(LC)・ライトマゼンダ(LM)の6種類のインクカートリッジが搭載されている。プリンター20は各インクについてその残量を検出する手段を備えている。印刷ヘッド25は、記録媒体に平行に対向する吐出面に多数配列されたノズルからインクを吐出することによって記録媒体に画像を形成する。搬送ユニット26は、搬送ローラー(不図示)と搬送モーター(不図示)等を備える。搬送モーターが搬送ローラーを駆動させることにより、記録媒体は副走査方向に搬送される。
【0018】
近年、デジタルカメラで撮影した写真画像に様々なエフェクトを施しソーシャルネットワークサービス上で公開すること等が盛んに行われている。画像処理プログラム100は、様々な画像フィルター(以降、単にフィルターという)を用いて様々なエフェクトを施した画像データを印刷する機能を有している。すなわち画像処理プログラム100は、印刷対象の元画像データを取得し、ユーザーの所望のフィルターを適用して元画像データを変換して画像データを生成し、変換後の画像データをプリンター20に印刷させる機能を主として有しており、画像データ取得手段と画像データ変換手段と印刷制御手段としてCPU11を機能させる。本実施形態においては、プリンター20における各インクの残量を取得する機能も備えており、CPU11を残量取得手段としても機能させる(プリンター20が備える残量の検出手段が検出した残量を示す情報を取得する)。
【0019】
フィルターは、元画像データの色変更(色相や明度や彩度の変更)、階調分布の調整(トーンカーブ)、輪郭の先鋭化あるいは非先鋭化、ノイズ成分の除去あるいは付加、その他様々なエフェクトを、それら単体としてあるいはそれらの組み合わせとしてユーザーに複数種類提供される。ユーザーは画像処理プログラム100から複数種類提示されたフィルターの中から好みの雰囲気を出すことができるフィルターを選択すると、画像処理プログラム100は元画像データを当該フィルターを用いて変換し変換後の画像データをプリンター20に出力して印刷させる。
【0020】
1−2.画像変換および印刷処理
図2は画像処理プログラム100による画像変換および印刷処理の流れを示すフローチャートである。PC10は、印刷対象の元画像データを取得すると(S10)、当該元画像データを変換するためのフィルターを複数種類ユーザーに提示し選択を促す(S11)。ユーザーに提示する複数のフィルターの中に、ユーザーへのおすすめフィルターとして、プリンター20のインク残量を平準化させるためのフィルターが含まれている。PC10はユーザーがおすすめフィルターを選択したか否かを判定し(S12)、ユーザーがおすすめフィルターを選択しなかった場合はおすすめフィルター以外の他のフィルターを選択したか否かを判定し(S13)、ユーザーが他のフィルターを選択した場合はユーザーが選択したフィルターを用いて元画像データを変換し(S14)、変換した画像データが示す画像をプリンター20に印刷を実行させる(S16)。具体的には画像データに解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、並べ替え処理を施して印刷データを生成し当該印刷データをプリンター20に出力してプリンター20に印刷を実行させる。なお、画像データから印刷データを生成するまでの各処理はPC10側で実施されてもよいしプリンター20側で実施されてもよい。ユーザーがいずれのフィルターも選択しなかった場合(S12およびS13においてN判定)は取得した元画像データをフィルターによって変換することなく元画像データが示す画像をプリンター20に印刷させる(S16)。ユーザーがおすすめフィルターを選択した場合(S12においてY判定)は、PC10は平準化画像変換処理を行う(S15)。
【0021】
図3は、本実施形態における平準化画像変換処理を示すフローチャートである。PC10は、インクの残量をインク毎に取得し(S100)、残量が閾値A(第一の閾値に相当)以下のインクが存在するか否かを判定する(S105)。残量が閾値A以下のインクが存在する場合は、PC10は残量が閾値Aより多い(残量>A)インクを、残量が閾値A以下(残量≦A)のインクより多く消費するような画像データに変換するためのフィルターを用いて元画像データを変換し画像データを生成する(S110)。例えば、Mインクの残量≦AでありCインクが残量>Aであるとすると、Cインクの消費量>Mインクの消費量となるように変換する。より具体的には例えば、元画像データを変換せずに印刷した場合のCインクの消費量よりCインクの消費量が増加するように変換してCインクの消費量>Mインクの消費量としてもよい(なお、この場合、元画像データにCインクを使用して表現する色の画素が含まれていなくてもよい(元画像データにおいてCインクの消費量が0であってもよい))。また、元画像データを変換せずに印刷した場合のMインクの消費量よりMインクの消費量が減少するように変換してCインクの消費量>Mインクの消費量としてもよい。また、Mインクの消費量が0となるような画像データに変換してCインクの消費量>Mインクの消費量としてもよい。
【0022】
S105において残量が閾値A以下のインクが存在しないと判定された場合は、残量が閾値B(>閾値A)より多いインクを残量が閾値B以下のインクより多く消費するような画像データに変換するためのフィルターを用いて元画像データを変換して画像データを生成する(S115)。例えばYインクの残量>BでありCインクの残量≦Bである場合、Yインクの消費量>Cインクの消費量となるような画像データに元画像データを変換する。元画像データにYインクを使用して表現する色の画素が含まれていてもいなくても、元画像データよりYインクの消費量が多くなるように変換してYインクの消費量>Cインクの消費量としてもよいし、Yインクの消費量はそのままでCインクの消費量が減少するように変換してYインクの消費量>Cインクの消費量としてもよい。
【0023】
フィルターは、平準化画像変換処理において都度、変換後の画像データに関する上述の条件に合うフィルターを作成して適用するようにしてもよいし、あるいは既存のフィルターとして画像処理プログラム100とともに記憶されているフィルターの中から上述の条件に合うフィルターを選択して適用するようにしてもよい。
このように、本実施形態によると、ユーザーがおすすめフィルターを選択して印刷する場合に、印刷画質を大きく落とすことなく、プリンター20のインクの残量を平準化することができる。また、ユーザーはおすすめフィルターを選択することによりユーザーの予期しないような色合いの写真を印刷することもでき、ユーザーに驚きや楽しみを与えることができる。
【0024】
2.第二実施形態
2−1.構成
第二実施形態の構成は第一実施形態とほぼ共通である。第二実施形態では、画像処理プログラム100は履歴情報を取得する機能を備えており、CPU11を履歴情報取得手段としても機能させる点が第一実施形態と相違する点である。本実施形態において履歴情報は、プリンター20の稼働履歴を示す情報であり、当該情報は間接的あるいは直接的にインクの消費履歴を表している。例えば、図4Aに示すように間接的にインクの消費履歴を示す履歴情報として印刷用途ごとの印刷回数がプリンター20に記憶されていてもよい。印刷用途として例えば、モノクロの文書・カラーの文書・写真などがある。そしてそれぞれの用途に応じて多用されるインクやあるいは逆に多用されないインクが対応付けられている。例えばモノクロ文書印刷ではKインクが多用され、カラー文書印刷ではLCインクやLMインクは多用されない、等である。したがって図4Aのような履歴情報が記憶されていたとすると、Kインクを多用するモノクロ文書の印刷回数が多く、LC・LMインクを多用しないカラー文書の印刷回数が次に多く、全てのインクを使用する可能性のある写真の印刷回数が最も少ないことから、プリンター20においてはKインクが他のインクに比べて多く消費される傾向にあるという情報を取得することができる。また、LC・LMインクはあまり消費されない傾向にあるという情報も取得することができる。
【0025】
また、図4Bに示すようにインク色ごとのインクカートリッジ交換回数が履歴情報としてプリンター20に記憶されていてもよい。この情報は、直接的にインクの消費履歴を示している。なお、図4Aや図4Bに示すような履歴情報は、プリンター20本体に記憶されている構成に限定されず、例えばプリンター20とネットワークを介して接続するサーバーにおいて記憶されていてもよい。その場合画像処理プログラム100は、当該サーバーから履歴情報を取得する機能を有していればよい。
【0026】
2−2.平準化画像変換処理
図4Cは、第二実施形態にかかる平準化画像変換処理を示すフローチャートである。図4Cに示す処理は第一実施形態で示した画像変換および印刷処理(図2)のS15において実施される処理である。PC10はプリンター20の履歴情報を取得する(S200)。PC10はプリンター20の履歴情報を参照して、特定のインクが多用される傾向にあるか否か、すなわち特定のインクの過去の消費量が所定の基準(第二の閾値に相当)より多いか否かを判定する(S205)。具体的には例えば、インクカートリッジ交換回数の中央値Mと最小値Sとから、{M+(M−S)}回を超えて交換されたインクが存在するか否かを判定する。S205において特定のインクの消費量が所定の基準より多い場合は、当該特定インクより他のインクを多く使用するような画像データを生成するためのフィルターを用いて元画像データを変換して画像データを生成する(S210)。なお、特定のインクが多用される傾向にない場合は、画像変換を行わずに平準化画像変換処理を終了する。
【0027】
このように本実施形態によると、過去のインクの消費履歴を示す情報から多用される傾向にある(消費スピードが速い)インクの消費量を、画像処理プログラム100においておすすめフィルターをユーザーが選択することによって抑えることができるので、プリンター20のインク残量の平準化に貢献することができる。
【0028】
3.第三実施形態
第三実施形態の構成は第一実施形態とほぼ共通である。図5は、第三実施形態にかかる平準化画像変換処理(図2のS15で実行される)を示すフローチャートである。本実施形態ではPC10はフィルターを適用せずに(画像変換をせずに)元画像データを印刷した場合のインク色ごとの消費量を算出する(S300)。具体的には例えば、元画像データをインク量の階調値を表すデータ形式に変換(RGB−CMYKL色変換)し、各画素の階調値をインク色ごとに積算することで、元画像データが示す画像を印刷した場合のインク色ごとにインク消費量の比を算出することができる。
【0029】
続いてPC10は、フィルターを適用しないで元画像データが示す画像を印刷する場合に特定のインクの消費量が多いか否か、すなわちS300で算出したインク色ごとの積算値が所定の基準(第三の閾値に相当)より多くなるインクが存在するか否かを判定する(S305)。フィルターを適用せずに印刷した場合に特定のインクの消費量が所定の基準より多い場合は、消費量が所定の基準より多いインクより、消費量が所定の基準以下となるインクの方が、消費量が多くなるようなフィルターを用いて元画像データを変換して画像データを生成する(S310)。
【0030】
このように本実施形態では、元画像データの色の特徴に応じて、元画像データで多用されるインクに該当する色を抑制することで、インク残量の偏り解消に貢献することができる。
【0031】
4.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば平準化画像変換処理において上記実施形態の内容を組み合わせてもよい。図6は第一実施形態と第三実施形態の内容を組み合わせた平準化画像変換処理を示している。まずPC10は、S300と同様にフィルターを適用せずに元画像データを印刷した場合のインク色ごとの消費量を算出し(S400)、続いてS100と同様にプリンター20におけるインクの残量をインク色ごとに取得する(S405)。PC10は、フィルターを適用せずに元画像データが示す画像を印刷させる場合に、消費量が所定の基準(第三の閾値に相当)より多くなるインクが、残量が閾値A以下のインクであるか否かを判定する(S410)。消費量が所定の基準より多いインクが、残量が閾値A以下の種類のインクである場合、消費量が所定の基準より多く残量≦Aであるインクを、残量>Aであるインクより少なく消費するような画像データを生成するフィルターを適用して元画像データを変換し画像データを生成する(S415)。消費量が所定の基準より多いインクが、残量が閾値A以下のインクでない場合、残量が閾値B(>A)より多いインクを残量が閾値B以下のインクより多く消費するような画像データを生成するためのフィルターを適用して元画像データを変換し画像データを生成する(S420)。
【0032】
なお、上記実施形態において、画像処理装置としてPCを例に説明したが、画像処理装置はスマートフォンやタブレットPCなどの携帯情報端末でもよいし、デジタルカメラやデジタルフォトフレーム等であってもよい。また、プリンター単体が本発明の画像処理装置と印刷装置として機能してもよい。
【符号の説明】
【0033】
10:PC、11:CPU、12:RAM、13:ROM、14:HDD、15:外部I/F、16:内部I/F、20:プリンター、21:コントローラー、22:外部I/F、23:内部I/F、24:キャリッジユニット、25:印刷ヘッド、26:搬送ユニット、100:画像処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の元画像データを取得する画像データ取得手段と、
印刷装置におけるインクの種類ごとの前記インクの残量の差が小さくなるように印刷に際して消費する前記インクの種類ごとの消費量の配分を調整した画像データに前記元画像データを変換する画像データ変換手段と、
変換した前記画像データが示す画像を前記印刷装置に印刷させる印刷制御手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷装置における前記インクの種類ごとの残量を取得する残量取得手段を備え、
前記画像データ変換手段は、前記残量が第一の閾値より多い種類の前記インクを前記残量が前記第一の閾値以下の種類の前記インクより多く消費する前記画像データに前記元画像データを変換する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記インクの消費履歴を示す履歴情報を取得する履歴情報取得手段を備え、
前記画像データ変換手段は、前記履歴情報に基づいて、過去の消費量が第二の閾値以下の種類の前記インクを、過去の消費量が前記第二の閾値より多い種類の前記インクより多く消費する前記画像データに前記元画像データを変換する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データ変換手段は、前記元画像データが示す画像を前記印刷装置に印刷させる場合の前記インクの消費量を前記インクの種類ごとに特定し、特定された消費量が第三の閾値以下の種類の前記インクを、特定された消費量が前記第三の閾値より多い種類の前記インクより多く消費する前記画像データに前記元画像データを変換する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
印刷対象の元画像データを取得する画像データ取得機能と、
印刷装置におけるインクの種類ごとの前記インクの残量の差が小さくなるように印刷に際して消費する前記インクの種類ごとの消費量の配分を調整した画像データに前記元画像データを変換する画像データ変換機能と、
変換した前記画像データが示す画像を前記印刷装置に印刷させる印刷制御機能と、
をコンピューターに実現させる画像処理プログラム。
【請求項6】
印刷対象の元画像データを取得する画像データ取得工程と、
印刷装置におけるインクの種類ごとの前記インクの残量の差が小さくなるように印刷に際して消費する前記インクの種類ごとの消費量の配分を調整した画像データに前記元画像データを変換する画像データ変換工程と、
変換した前記画像データが示す画像を前記印刷装置に印刷させる印刷制御工程と、
を含む画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−245658(P2012−245658A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117679(P2011−117679)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】