説明

画像処理装置、画像処理プログラム

【課題】モジュールをバッファを介してパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態に接続して処理を構成する方式において、末端の画像モジュールから起動した場合でも、モジュール並列処理を行うことが可能な画像処理装置、画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】1つ以上の画像処理モジュールと、個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、画像処理モジュールを起動する起動手段と、起動手段により画像処理モジュールが起動されると、バッファモジュールと、当該バッファモジュールの前段及び後段のいずれか一方に接続された画像処理モジュールとで1つの実行単位プログラムとなるように、起動手段により起動された画像処理モジュールが属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する生成手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種の画像処理モジュールの中から選択された1つ以上の画像処理モジュールを含んで、それらをパイプライン形態又は有向非循環グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)形態に接続した画像処理部を備えた画像処理装置等が特許文献1に開示されている。
【0003】
この複数の画像処理モジュール(単にモジュールと表現する)を、図16に示されるように、バッファを介して有向非循環グラフ形態に接続して処理を構成する方式において、アプリケーションからDAGを起動する方式には、DAG全体に起動指示をして全モジュールを動かす方式Aと、図17に示されるように、末端モジュール(複数の場合あり)に起動指示してその前段のみ動かす方式Bの2種類の方式がある。
【0004】
方式Bの場合は、末端モジュールが複数ある場合にどの順で処理するかを(呼び出し順で)制御できるというメリットがある。
【特許文献1】特許第3617851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、モジュール毎に別スレッドで処理するモジュール単位並列方式(逐次処理する場合に用いられるモジュールと同じモジュールをそのまま使用できる)で処理する構成であっても、方式Bにより起動時に末端モジュールに処理指示を行うと、その同じスレッドが上流モジュールの処理も行ってしまい、結果的にモジュール単位並列にならない。
【0006】
また、図18に示されるように、末端が複数あるDAGを方式Bで起動した場合も、図17に示した順序で処理が進むため、太枠の部分が起動したのと同じスレッドで動いてしまい、モジュール単位並列にならない。
【0007】
なお、図19に、方式Aでモジュール単位並列を構成した例を示し、図20に、同じく方式Aで末端が複数あるDAGをモジュール単位並列を構成した例を示した。
【0008】
方式Aでは、DAGに含まれる全モジュールが(異なるスレッドで)一括で起動されるため、以下の課題が発生する。
【0009】
例えば末端が3つ(A,B,C)あり、アプリケーション側からA→B→Cの順で出力要求したい(3ページものとか)場合に、BやCには必要だが、Aには必要ない処理まで行われるため、Aの処理終了までの時間が長くなったり、またはメモリ消費が多くなって最悪Aの処理が失敗する可能性がある。
【0010】
図20に示される太枠のモジュールはモジュールDの結果を得るためには不要なのに、方式Aでは処理が行われてしまう。
【0011】
更に、図21に示されるスキュー補正の場合、処理を2分岐させ、まず分岐1でスキュー角検出モジュールによりスキュー角検知処理を行い、その後分岐2で任意各回転モジュールにより検知角度を元に回転処理を行う場合に、分岐2はまだ回転角パラメータが定まっていないため起動できず、そのままではDAG全体を並列で起動できなくなってしまう。
【0012】
このように従来の技術では、モジュールをバッファを介してパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態に接続して処理を構成する方式において、末端のモジュールから起動すると、モジュール並列処理を行うことができないという問題点があった。
【0013】
本発明は上記問題点に鑑み、モジュールをバッファを介してパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態に接続して処理を構成する方式において、末端の画像モジュールから起動した場合でも、モジュール並列処理を行うことが可能な画像処理装置、画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、自モジュールの前段から単位データ量ずつ画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を行い、前記所定の画像処理を経た画像データ又は前記所定の画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する機能を各々備え、実行する画像処理の種類又は内容が互いに異なる複数種の画像処理モジュールの中から選択されるとともに、個々のモジュールがパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結される1つ以上の画像処理モジュールと、前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、上位プログラムにより、前記画像処理モジュールを起動する起動手段と、前記起動手段により前記画像処理モジュールが起動されると、前記バッファモジュールと、当該バッファモジュールの前段及び後段のいずれか一方に接続された前記画像処理モジュールとで1つの実行単位プログラムとなるように、前記起動手段により起動された前記画像処理モジュールが属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する生成手段と、を有する。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記実行単位プログラムを前記バッファモジュールの後段に前記画像処理モジュールが接続されるように生成する場合には、前記バッファモジュールが前段の前記実行単位プログラムを生成するものである。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記実行単位プログラムを前記バッファモジュールの前段に前記画像処理モジュールが接続されるように生成する場合には、前記画像処理モジュールが前段の前記実行単位プログラムを生成するものである。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項の発明において、前記実行単位プログラムの実行を停止させるための停止情報が記憶された記憶手段を更に有し、前記実行単位プログラムは、前記記憶手段により記憶された停止情報が、当該実行単位プログラムを停止させることを示す情報の場合には、前記実行単位プログラムを消滅させるものである。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項5の発明は、自モジュールの前段から単位データ量ずつ画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を行い、前記所定の画像処理を経た画像データ又は前記所定の画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する機能を各々備え、実行する画像処理の種類又は内容が互いに異なる複数種の画像処理モジュールの中から選択されるとともに、個々のモジュールがパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結される1つ以上の画像処理モジュールを、上位プログラムにより起動する起動ステップと、前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、前記起動手段により前記画像処理モジュールが起動されると、前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、当該バッファモジュールの前段及び後段のいずれか一方に接続された前記画像処理モジュールとで1つの実行単位プログラムとなるように、前記起動手段により起動された前記画像処理モジュールが属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する生成ステップと、を有する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、各画像処理モジュールとバッファモジュールとで1つの実行単位プログラムとする結果、末端の画像処理モジュールから起動した場合でも、モジュール並列処理を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。特に末端の画像処理モジュールが複数ある場合には、実行する順番を選択してモジュール並列処理を行うことも可能となる。
【0020】
請求項2の発明によれば、実行単位プログラムをバッファモジュールの後段に画像処理モジュールが接続されるように生成することができ、その場合にはバッファモジュールが前段の実行単位プログラムを生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、実行単位プログラムをバッファモジュールの前段に画像処理モジュールが接続されるように生成することができ、その場合には画像処理モジュールが前段の実行単位プログラムを生成することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、上位プログラムからの処理中断要求や、他の画像処理モジュール或いはバッファモジュールでの処理エラーにより処理を継続する必要がなくなった場合などに、処理を停止させることができる画像処理装置を提供することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、各画像処理モジュールとバッファモジュールとで1つの実行単位プログラムとする結果、末端の画像処理モジュールから起動した場合でも、モジュール並列処理を行うことが可能な画像処理プログラムを提供することができる。特に末端の画像処理モジュールが複数ある場合には、実行する順番を選択してモジュール並列処理を行うことも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係る画像処理装置として機能することが可能なコンピュータ10が示されている。なお、このコンピュータ10は、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を兼ね備えた複合機、スキャナ、写真プリンタ等のように内部で画像処理を行う必要のある任意の画像取扱機器に組み込まれていてもよいし、パーソナル・コンピュータ(PC)等の独立したコンピュータであってもよく、更にPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機等の携帯機器に組み込まれたコンピュータであってもよい。
【0025】
コンピュータ10はCPU12、メモリ14、表示部16、操作部18、記憶部20、画像データ供給部22及び画像出力部24を備えており、これらはバス26を介して互いに接続されている。コンピュータ10が上述した画像取扱機器に組み込まれている場合、表示部16や操作部18としては、画像取扱機器に設けられたLCD等から成る表示パネルやテンキー等を適用することができる。また、コンピュータ10が独立したコンピュータである場合、表示部16や操作部18としては、当該コンピュータに接続されたディスプレイやキーボード、マウス等を適用することができる。また、記憶部20としてはHDD(Hard Disk Drive)が好適であるが、これに代えてフラッシュメモリ等の他の不揮発性記憶手段を用いることも可能である。
【0026】
また、画像データ供給部22は処理対象の画像データを供給できるものであればよく、例えば紙や写真フィルム等の記録材料に記録されている画像を読み取って画像データを出力する画像読取部、通信回線を介して外部から画像データを受信する受信部、画像データを記憶する画像記憶部(メモリ14又は記憶部20)等を適用することができる。
【0027】
また、画像出力部24は画像処理を経た画像データ又は該画像データが表す画像を出力するものであればよく、例えば画像データが表す画像を紙や感光材料等の記録材料に記録する画像記録部、画像データが表す画像をディスプレイ等に表示する表示部、画像データを記録メディアに書き込む書込装置、画像データを通信回線を介して送信する送信部を適用することができる。また、画像出力部24は画像処理を経た画像データを単に記憶する画像記憶部(メモリ14又は記憶部20)であっても構わない。
【0028】
図1に示すように、記憶部20には、CPU12によって実行される各種のプログラムとして、メモリ14等のリソースの管理やCPU12によるプログラムの実行の管理、コンピュータ10と外部との通信等を司るオペレーティングシステム30のプログラム、コンピュータ10を本発明に係る画像処理装置として機能させるための画像処理プログラム群34、CPU12が上記画像処理プログラム群を実行することで実現される画像処理装置に対して所望の画像処理を行わせる各種のアプリケーション32のプログラム(図1ではアプリケーションプログラム群32と表記)が各々記憶されている。
【0029】
画像処理プログラム群34は、前述した各種の画像取扱機器や携帯機器を開発する際の開発負荷を軽減したり、PC等で利用可能な画像処理プログラムを開発する際の開発負荷を軽減することを目的として、各種の画像取扱機器や携帯機器、PC等の各種機器(プラットフォーム)で共通に使用可能に開発されたプログラムであり、本発明に係る画像処理プログラムに対応している。
【0030】
画像処理プログラム群34によって実現される画像処理装置は、アプリケーション32からの構築指示に従い、アプリケーション32が指示した画像処理を行う画像処理部を構築し、アプリケーション32からの実行指示に従い、前記画像処理部によって画像処理を行う。画像処理プログラム群34は、所望の画像処理を行う画像処理部(所望の構成の画像処理部)の構築を指示したり、構築された画像処理部による画像処理の実行を指示するためのインタフェースをアプリケーション32に提供している。
【0031】
このため、内部で画像処理を行う必要のある任意の機器を新規開発する等の場合にも、前記画像処理を行うプログラムの開発に関しては、当該機器で必要とされる画像処理を上記のインタフェースを利用して画像処理プログラム群34に行わせるアプリケーション32を開発するのみで済み、実際に画像処理を行うプログラムを新たに開発する必要が無くなるので、開発負荷を軽減することができる。
【0032】
また、画像処理プログラム群34によって実現される画像処理装置は、前述のように、アプリケーション32からの構築指示に従い、アプリケーション32が指示した画像処理を行う画像処理部を構築し、構築した画像処理部によって画像処理を行うので、例えば画像処理対象の画像データの色空間や1画素当たりのビット数が不定であったり、実行すべき画像処理の内容や手順・パラメータ等が不定である場合にも、アプリケーション32が画像処理部の再構築を指示することで、画像処理装置(画像処理部)によって実行される画像処理を、処理対象の画像データ等に応じて柔軟に変更することができる。
【0033】
以下、画像処理プログラム群34について説明する。図1に示すように、画像処理プログラム群34はモジュールライブラリ36と、処理構築部42のプログラムと、処理管理部46に大別される。
【0034】
本実施形態に係る処理構築部42は、アプリケーションからの指示により、例として図2に示すように、予め定められた画像処理を行う1つ以上の画像処理モジュール38と、個々の画像処理モジュール38の前段及び後段の少なくとも一方に配置され画像データを記憶するためのバッファを備えたバッファモジュール40と、がパイプライン形態又はDAG(Directed Acyclic Graph:有向非循環グラフ)形態で連結されて成る画像処理部50を構築する。
【0035】
画像処理部50を構成する個々の画像処理モジュールの実体はCPU12によって実行されCPU12で所定の画像処理を行わせるための第1プログラム、又は、CPU12によって実行されCPU12により図1に図示されていない外部の画像処理装置(例えば専用画像処理ボード等)に対する処理の実行を指示するための第2プログラムである。上述したモジュールライブラリ36には、予め定められた互いに異なる画像処理(例えば入力処理やフィルタ処理、色変換処理、拡大・縮小処理、スキュー角検知処理、画像回転処理、画像合成処理、出力処理等)を行う複数種の画像処理モジュール38のプログラムが各々登録されている。以下では、説明を簡単にするために、画像処理部50を構成する個々の画像処理モジュールの実体が上記の第1プログラムであるものとして説明する。
【0036】
個々の画像処理モジュール38は、例として図3(A)にも示すように、画像データに対する画像処理を所定の単位処理データ量ずつ行う画像処理エンジン38Aと、画像処理モジュール38の前段及び後段のモジュールとの画像データの入出力及び画像処理エンジン38Aの制御を行う制御部38Bから構成されている。
【0037】
個々の画像処理モジュール38における単位処理データ量は、画像の1ライン分、画像の複数ライン分、画像の1画素分、画像1面分等を含む任意のバイト数の中から、画像処理エンジン38Aが行う画像処理の種類等に応じて予め選択・設定されている。例えば色変換処理やフィルタ処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が1画素分とされ、拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が画像の1ライン分又は画像の複数ライン分とされ、画像回転処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が画像1面分とされ、画像圧縮伸長処理を行う画像処理モジュール38では単位処理データ量が実行環境に依存するNバイトとされている。
【0038】
また、モジュールライブラリ36には、画像処理エンジン38Aが実行する画像処理の種類が同一でかつ実行する画像処理の内容が異なる画像処理モジュール38も登録されている(図1では、この種の画像処理モジュールを「モジュール1」「モジュール2」と表記して示している)。
【0039】
例えば拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38については、入力された画像データを1画素おきに間引くことで50%に縮小する縮小処理を行う画像処理モジュール38、入力された画像データに対して指定された拡大・縮小率で拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38等の複数の画像処理モジュール38が各々用意されている。また、例えば色変換処理を行う画像処理モジュール38については、RGB色空間をCMY色空間へ変換する画像処理モジュール38やその逆へ変換する画像処理モジュール38、L*a*b*色空間等の他の色空間変換を行う画像処理モジュール38が各々用意されている。
【0040】
また、画像処理モジュール38の制御部38Bは、画像処理エンジン38Aが単位処理データ量ずつ処理するために必要な画像データを入力するために、自モジュールの前段のモジュール(例えばバッファモジュール40)から画像データを単位読出データ量ずつ取得し、画像処理エンジン38Aから出力される画像データを単位書込データずつ後段のモジュール(例えばバッファモジュール40)へ出力する(画像処理エンジン38Aで圧縮等のデータ量の増減を伴う画像処理が行われなければ単位書込データ量=単位処理データ量となる)か、画像処理エンジン38Aによる画像処理の結果を自モジュールの外部へ出力する(例えば画像処理エンジン38Aがスキュー角検知処理等の画像解析処理を行う場合、画像データに代えてスキュー角検知結果等の画像解析処理結果が出力されることがある)処理を行うが、モジュールライブラリ36には、画像処理エンジン38Aが実行する画像処理の種類及び内容が同一で、上記の単位処理データ量や単位読出データ量、単位書込データ量が異なる画像処理モジュール38も登録されている。例えば、画像回転処理を行う画像処理モジュール38についても、前述のように単位処理データ量が画像1面分の画像処理モジュール38のプログラム以外に、単位処理データ量が画像の1ライン分や画像の複数ライン分の画像処理モジュール38のプログラムがモジュールライブラリ36に登録されていても良い。
【0041】
また、モジュールライブラリ36に登録されている個々の画像処理モジュール38のプログラムは、画像処理エンジン38Aに相当するプログラムと制御部38Bに相当するプログラムから構成されているが、制御部38Bに相当するプログラムは部品化されており、個々の画像処理モジュール38のうち単位読出データ量及び単位書込データ量が同一の画像処理モジュール38は、画像処理エンジン38Aで実行される画像処理の種類や内容に拘わらず、制御部38Bに相当するプログラムが共通化されている(制御部38Bに相当するプログラムとして同一のプログラムが用いられている)。これにより、画像処理モジュール38のプログラムの開発にあたっての開発負荷が軽減される。
【0042】
なお、画像処理モジュール38の中には、入力される画像の属性が未知の状態では単位読出データ量及び単位書込データ量が確定しておらず、入力画像データの属性を取得し、取得した属性を所定の演算式に代入して演算することで単位読出データ量や単位書込データ量が確定するモジュールが存在している。この種の画像処理モジュール38については、単位読出データ量と単位書込データ量が互いに同一の演算式を用いて導出される画像処理モジュール38について、制御部38Bに相当するプログラムを共通化するようにすればよい。
【0043】
また、本実施形態に係る画像処理プログラム群34は、前述のように各種機器に実装可能であるが、画像処理プログラム群34のうちモジュールライブラリ36に登録する画像処理モジュール38の数や種類等については、画像処理プログラム群34を実装する各種機器で必要とされる画像処理に応じて、追加・削除・入替等が可能であることは言うまでもない。
【0044】
また、画像処理部50を構成する個々のバッファモジュール40は、例として図3(B)にも示すように、バッファ40Aと、バッファ制御部40Bとから構成されている。バッファ40Aは、コンピュータ10に設けられたメモリ14からオペレーティングシステム30を通じて確保されたメモリ領域で構成される。バッファ制御部40Bは、バッファモジュール40の前段及び後段のモジュールとの画像データの入出力及びバッファ40Aの管理を行う。個々のバッファモジュール40のバッファ制御部40Bもその実体はCPU12によって実行されるプログラムであり、モジュールライブラリ36にはバッファ制御部40Bのプログラムも登録されている(図1ではバッファ制御部40Bのプログラムを「バッファモジュール」と表記して示している)。
【0045】
また、アプリケーション32からの指示に従って画像処理部50を構築する処理構築部42は、図1に示すように複数種のモジュール生成部44から構成されている。複数種のモジュール生成部44は互いに異なる画像処理に対応しており、アプリケーション32によって起動されることで、対応する画像処理を実現するための画像処理モジュール38及びバッファモジュール40から成るモジュール群を生成する処理を行う。
【0046】
なお、図1ではモジュール生成部44の一例として、モジュールライブラリ36に登録されている個々の画像処理モジュール38が実行する画像処理の種類に対応するモジュール生成部44を示しているが、個々のモジュール生成部44に対応する画像処理は、複数種の画像処理モジュール38によって実現される画像処理(例えばスキュー角検知処理と画像回転処理から成るスキュー補正処理)であってもよい。必要とされる画像処理が複数種の画像処理を組み合わせた処理である場合、アプリケーション32は複数種の画像処理の何れかに対応するモジュール生成部44を順次起動する。これにより、アプリケーション32によって順次起動されたモジュール生成部44により、必要とされる画像処理を行う画像処理部50が構築されることになる。
【0047】
また図1に示すように、処理管理部46は、画像処理部50における画像処理の実行を制御するワークフロー管理部46A、画像処理部50の各モジュールによるメモリ14や各種のファイル等のコンピュータ10のリソースの使用を管理するリソース管理部46B、画像処理部50で発生したエラーを管理するエラー管理部46C、及び、スレッドに関する管理を行うスレッド情報管理部46Dを含んで構成される。このうち、スレッド情報管理部46Dについての詳細は後述する。
【0048】
次に本実施形態の作用を図4のシーケンス図を参照して説明する。
【0049】
画像処理プログラム群34が実装されている機器において、何らかの画像処理を行う必要のある状況になると、この状況が特定のアプリケーション32によって検知される。
【0050】
なお、画像処理を行う必要のある状況としては、例えば画像データ供給部22としての画像読取部によって画像を読み取り、画像出力部24としての画像記録部により記録材料に画像として記録するか、画像出力部24としての表示部に画像として表示させるか、画像出力部24としての書込装置により画像データを記録メディアに書き込むか、画像出力部24としての送信部により画像データを送信するか、画像出力部24としての画像記憶部に記憶させるジョブの実行がユーザによって指示された場合、或いは、画像データ供給部22としての受信部によって受信されるか、画像データ供給部22としての画像記憶部に記憶されている画像データに対して、上記の記録材料への記録、表示部への表示、記録メディアへの書き込み、送信、画像記憶部への記憶の何れかを行うジョブの実行がユーザによって指示された場合が挙げられる。
【0051】
また、画像処理を行う必要のある状況は上記に限られるものではなく、例えばユーザからの指示に応じてアプリケーション32が実行可能な処理の名称等を表示部16に一覧表示している状態で、実行対象の処理がユーザによって選択された等の場合であってもよい。
【0052】
まず、アプリケーション32はステップ158で、画像処理対象の画像データを供給する画像データ供給部22の種別を認識する。また、認識した種別がバッファ領域(メモリ14の一部領域)であった場合、アプリケーション32は、画像データ供給部22として指定されたバッファ領域を稼働中の処理管理部46へ通知し、画像データ供給部22として機能するバッファモジュール40の生成を処理管理部46へ要求する。この場合、処理管理部46はステップ160で、バッファ制御部40BのプログラムをCPU12が実行可能なようにメモリ14にロードすると共に、通知されたバッファ領域(画像データ供給部22として指定されたバッファ領域)を既に確保されたバッファ40Aとしてバッファ制御部40Bに認識させるパラメータを設定することで、画像データ供給部22として機能するバッファモジュール40を生成し、アプリケーション32へ応答を返す。
【0053】
続いてステップ162では、アプリケーション32は、画像処理を行った画像データの出力先としての画像出力部24の種別を認識する。また、認識した種別がバッファ領域(メモリ14の一部領域)であった場合、アプリケーション32は、画像出力部24として指定されたバッファ領域を稼働中の処理管理部46へ通知し、画像出力部24として指定されたバッファ領域を含むバッファモジュール40(画像出力部24として機能するバッファモジュール40)を処理管理部46によって生成させる。この場合も処理管理部46は、ステップ164で、バッファモジュールを生成し、アプリケーション32へ応答を返す。
【0054】
次にアプリケーション32は、ステップ166で、実行すべき画像処理の内容を認識し、実行すべき画像処理を、個々のモジュール生成部44に対応するレベルの画像処理の組み合わせに分解し、実行すべき画像処理を実現するために必要な画像処理の種類及び個々の画像処理の実行順序を判定する。なお、この判定は、例えば上記の画像処理の種類及び個々の画像処理の実行順序を、ユーザが実行を指示可能なジョブの種類と対応付けて予め情報として登録しておき、アプリケーション32は、実行が指示されたジョブの種類に対応する情報を読み出すことによって実現することができる。
【0055】
ステップ168では、アプリケーション32は、上記で判定した画像処理の種類、実行順序に基づいて、特定の画像処理に対応するモジュール生成部44を起動する。
【0056】
更に、アプリケーション32は、ステップ170で、起動したモジュール生成部44に対し、当該モジュール生成部44によるモジュール群の生成に必要な情報として、前記モジュール群に画像データを入力する入力モジュールを識別するための入力モジュール識別情報、前記モジュール群が画像データを出力する出力モジュールを識別するための出力モジュール識別情報、前記モジュール群に入力される入力画像データの属性を表す入力画像属性情報、実行すべき画像処理のパラメータを通知して対応するモジュール群の生成を指示する。
【0057】
また、必要とされる画像処理が複数種の画像処理を組み合わせた処理である場合、アプリケーション32は、指示したモジュール生成部44からモジュール群の生成完了が通知されると、個々の画像処理に対応する他のモジュール生成部44を起動してモジュール群の生成に必要な情報を通知する処理(ステップ168,170)を個々の画像処理の実行順序の昇順に繰り返す。
【0058】
なお、上記の入力モジュールは、実行順序が1番目のモジュール群については画像データ供給部22が入力モジュールとなり、実行順序が2番目以降のモジュール群については前段のモジュール群の最終モジュール(通常はバッファモジュール40)が入力モジュールとなる。また、上記の出力モジュールについては、実行順序が最後のモジュール群では画像出力部24が出力モジュールとなるので、画像出力部24が出力モジュールとして指定されるが、その他のモジュール群では出力モジュールは未確定のためにアプリケーション32による指定は行われず、必要な場合はモジュール生成部44によって生成・設定される。また、入力画像属性や画像処理のパラメータについては、例えばユーザが実行を指示可能なジョブの種類と対応付けて予め情報として登録しておき、実行が指示されたジョブの種類に対応する情報を読み出すことでアプリケーション32が認識するようにしてもよいし、ユーザに指定させるようにしてもよい。
【0059】
一方、ステップ172では、モジュール生成部44は、アプリケーション32によって起動されるとモジュール生成処理を行う。モジュール生成処理では、まず生成対象の画像処理モジュール38に入力される入力画像データの属性を表す入力画像属性情報を取得する。なお、入力画像データの属性を取得する処理は、生成対象の画像処理モジュール38の前段にバッファモジュール40が存在している場合、当該バッファモジュール40に画像データの書き込みを行う更に前段の画像処理モジュール38から出力画像データの属性を取得することによって実現できる。
【0060】
そして、取得した情報が表す入力画像データの属性に基づいて、生成対象の画像処理モジュール38の生成が必要か否か判定する。例えばモジュール生成部44が色変換処理を行うモジュール群を生成するモジュール生成部であり、画像処理のパラメータにより出力画像データの色空間としてCMY色空間がアプリケーション32から指定された場合、取得した入力画像属性情報に基づいて入力画像データがRGB色空間のデータであることが判明したときには、色空間処理を行う画像処理モジュール38としてRGB→CMYの色空間変換を行う画像処理モジュール38を生成する必要があるが、入力画像データがCMY色空間のデータであったときには、入力画像データの属性と出力画像データの属性が色空間に関して一致しているので、色空間変換処理を行う画像処理モジュール38は生成不要と判断する。
【0061】
生成対象の画像処理モジュール38の生成が必要と判断した場合には、生成対象の画像処理モジュール38の後段にバッファモジュール40が必要が否かを判定する。この判定は、画像処理モジュールの後段が出力モジュール(画像出力部24)である場合(例えば図2(A)〜(C)に示す画像処理部50における最後段の画像処理モジュール38を参照)や、例として図2(B)に示す画像処理部50においてスキュー角検知処理を行う画像処理モジュール38のように、画像処理モジュールが、画像データに対して解析等の画像処理を行いその結果を他の画像処理モジュール38へ出力するモジュールである場合は否定されるが、上記以外の場合は判定が肯定され、稼働中の処理管理部46に対して画像処理モジュール38の後段に連結するバッファモジュール40の生成を要求する。
【0062】
バッファモジュール40の生成が要求されると、ステップ172で処理管理部46はバッファ制御部40BのプログラムをCPU12が実行可能なようにメモリ14にロードすることで、バッファモジュール40を生成し、モジュール生成部44へ応答を返す。
【0063】
続いてモジュール生成部44は、前段のモジュール(例えばバッファモジュール40)の情報と後段のバッファモジュール40の情報、画像処理モジュール38に入力される入力画像データの属性、処理パラメータを与えて、画像処理モジュール38を生成する。なお、後段のバッファモジュール40が不要と判断された画像処理モジュール38に対しては後段のバッファモジュール40の情報は与えられず、また例えば50%縮小処理のように処理内容が固定的で特別な画像処理パラメータが必要ない場合には処理パラメータは与えられない。
【0064】
モジュール生成部44は、モジュールライブラリ36に登録されており、画像処理モジュール38として利用可能な複数の候補モジュールの中から、先に取得した入力画像データの属性、及び画像処理モジュール38で実行すべき処理パラメータに合致する画像処理モジュール38を選択し、選択した画像処理モジュール38のプログラムをCPU12が実行可能なようにメモリ14にロードすると共に、当該画像処理モジュール38の前段及び後段のモジュールを当該画像処理モジュール38の制御部38Bに認識させるパラメータを設定することで、画像処理モジュール38を生成する。
【0065】
例えばモジュール生成部44が色変換処理を行うモジュール群を生成するモジュール生成部であり、処理パラメータにより出力画像データの色空間としてCMY色空間が指定され、更に入力画像データがRGB色空間のデータであった場合には、モジュールライブラリ36に登録されている各種の色空間処理を行う複数種の画像処理モジュール38の中から、RGB→CMYの色空間変換を行う画像処理モジュール38が選択・生成される。
【0066】
また、画像処理モジュールが拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38であり、指定された拡大縮小率が50%以外であった場合には、入力された画像データに対して指定された拡大・縮小率で拡大・縮小処理を行う画像処理モジュール38が選択・生成され、指定された拡大縮小率が50%であれば、拡大縮小率50%に特化した拡大縮小処理、すなわち入力された画像データを1画素おきに間引くことで50%に縮小する縮小処理を行う画像処理モジュール38が選択・生成される。
【0067】
なお、画像処理モジュール38の選択は上記に限られるものではなく、例えば画像処理エンジン38Aによる画像処理における単位処理データ量が異なる画像処理モジュール38をモジュールライブラリ36に複数登録しておき、画像処理部50へ割当可能なメモリ領域のサイズ等の動作環境に応じて、適切な単位処理データ量の画像処理モジュール38を選択する(例えば上記サイズが小さくなるに従って単位処理データ量の小さい画像処理モジュール38を選択する等)ようにしてもよいし、アプリケーション32或いはユーザに選択させるようにしてもよい。
【0068】
モジュール生成部44は、画像処理モジュール38の生成が完了すると、後段のバッファモジュール40のIDと生成した画像処理モジュール38のIDの組を稼働中の処理管理部46に通知する。このIDは、個々のモジュールを一意に判別できる情報であればよく、例えば個々のモジュールの生成順に付与した番号や、バッファモジュール40や画像処理モジュール38のオブジェクトのメモリ上でのアドレス等でも良い。
【0069】
またモジュール生成部44が、複数種の画像処理モジュール38によって実現される画像処理(例えばスキュー角検知処理を行う画像処理モジュール38と画像回転処理を行う画像処理モジュール38によって実現されるスキュー補正処理)を行うモジュール群を生成する場合には、上記処理が繰り返されて2個以上の画像処理モジュール38を含むモジュール群が生成される。アプリケーション32によって順次起動された個々のモジュール生成部44により、以上のモジュール生成処理が順次行われることで、例として図2(A)〜(C)に示すように、必要とされる画像処理を行う画像処理部50が構築される。
【0070】
一方、アプリケーション32は、順次起動したモジュール生成部44によって前述のモジュール生成処理が順次行われることで、必要とされる画像処理を行う画像処理部50の構築が完了すると、ステップ174で、稼働中の処理管理部46に対して画像処理部50による画像処理の実行を指示する。
【0071】
処理管理部46は、アプリケーション32から画像処理の実行が指示されると、ステップ176で、メモリ14にロードした画像処理部50の各モジュールのプログラムを、オペレーティングシステム30を通じてスレッド(又はプロセス又はオブジェクト)としてCPU12に実行させる。
【0072】
画像処理モジュール38のプログラムがスレッドとして実行されると、個々の画像処理モジュール38の制御部38Bは自モジュールの初期化を行う。画像処理モジュール38の初期化では、まずモジュール生成部44によって設定されたパラメータに基づいて自モジュールの前段のモジュールを判定する。自モジュールの前段にモジュールが存在していない場合には何ら処理を行わないが、前段のモジュールがバッファモジュール40以外、例えば画像データ供給部22や特定のファイル等である場合には、必要に応じてその初期化処理を行う。また、自モジュールの前段にバッファモジュール40が存在している場合には、前段のバッファモジュール40からの1回の画像データの読み出しによって取得する画像データのデータ量(単位読出データ量)を認識する。
【0073】
この単位読出データ量は、自モジュールの前段のバッファモジュール40の数が1個であれば1個だけであるが、例えば図2(C)に示す画像処理部50において画像合成処理を行う画像処理モジュール38のように、前段のバッファモジュール40の数が複数で、複数のバッファモジュール40から各々取得した画像データを用いて画像処理エンジン38Aが画像処理を行う等の場合、前段の個々のバッファモジュール40に対応する単位読出データ量は、自モジュールの画像処理エンジン38Aが行う画像処理の種類や内容、前段のバッファモジュール40の数等に応じて定まる。そして、認識した単位読出データ量を、前段に存在している全てのバッファモジュール40へ通知することで、前段に存在している全てのバッファモジュール40に単位読出データ量を設定する(図3(A)の(1)も参照)。
【0074】
次に、自モジュールの後段のモジュールを判定する。自モジュールの後段のモジュールがバッファモジュール40以外、例えば画像出力部24や特定のファイル等の場合には、必要に応じてその初期化処理(例えば後段のモジュールが画像出力部24であれば、単位書込データ量に相当するデータ量ずつ画像データを出力することを通知する処理等)を行う。また、後段のモジュールがバッファモジュール40であれば、1回の画像データの書き込みにおける画像データのデータ量(単位書込データ量)を認識し、後段のバッファモジュールに当該単位書込データ量を設定(図3(A)の(2)も参照)する。そして、当該画像処理モジュール38の初期化の完了を処理管理部46通知する。
【0075】
また、バッファモジュール40(のバッファ制御部40B)のプログラムがスレッドとして実行されると、個々のバッファモジュール40のバッファ制御部40Bは自モジュールの初期化を行う。バッファモジュール40の初期化では、まず自モジュールの前段の画像処理モジュール38から単位書込データ量が通知されるか又は自モジュールの後段の画像処理モジュール38から単位読出データ量が通知される毎に、通知された単位書込データ量又は単位読出データ量を記憶する(図3(B)の(1),(2)も参照)。
【0076】
自モジュールと連結されている全ての画像処理モジュール38から単位書込データ量又は単位読出データ量が通知されると、自モジュールと連結されている個々の画像処理モジュール38によって各々設定された単位書込データ量及び単位読出データ量に基づいて、自モジュールのバッファ40Aの管理単位である単位バッファ領域のサイズを決定し、決定した単位バッファ領域のサイズを記憶する。単位バッファ領域のサイズとしては、自モジュールに設定された単位書込データ量及び単位読出データ量のうちの最大値が好適であるが、単位書込データ量を設定してもよいし、単位読出データ量(自モジュールの後段に複数の画像処理モジュール38が連結されている場合は、個々の画像処理モジュール38によって各々設定された単位読出データ量の最大値)を設定してもよいし、単位書込データ量と単位読出データ量(の最大値)の最小公倍数を設定してもよいし、この最小公倍数が所定値未満であれば最小公倍数を、最小公倍数が所定値以上であれば別の値(例えば上述した単位書込データ量及び単位読出データ量のうちの最大値、単位書込データ量、単位読出データ量(の最大値)の何れか)を設定するようにしてもよい。
【0077】
また、自モジュールが画像データ供給部22又は画像出力部24として機能するバッファモジュール40であった場合には、自モジュールのバッファ40Aとして用いるメモリ領域が既に存在しているので、先に決定した単位バッファ領域のサイズを、自モジュールのバッファ40Aとして用いる既設のメモリ領域のサイズに変更する。更に、自モジュールの後段の個々の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタを各々生成し、生成した有効データポインタを初期化する。この有効データポインタは、自モジュールの前段の画像処理モジュールによって自モジュールのバッファ40Aに書き込まれた画像データのうち、対応する後段の画像処理モジュール38によって読み出されていない画像データ(有効データ)の先頭位置(次の読出開始位置)と末尾位置を各々指し示すポインタであり、初期化時には通常、有効データが存在していないことを意味する特定の情報が設定されるが、自モジュールが画像データ供給部22として機能するバッファモジュール40であれば、自モジュールのバッファ40Aとして用いるメモリ領域には既に画像処理対象の画像データが書き込まれていることがあり、この場合は当該画像データの先頭位置及び末尾位置が後段の個々の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタに各々設定される。以上の処理によりバッファモジュール40の初期化が完了し、バッファ制御部40Bは初期化の完了を処理管理部46へ通知する。
【0078】
処理管理部46は、画像処理部50を構成する全てのモジュールから初期化の完了が通知されると、ワークフロー管理部46Aのプログラムを実行するスレッド(又はプロセス又はオブジェクト)を起動し、ワークフロー管理部46Aに対して画像処理部50による画像処理の実行を指示する。
【0079】
これらの処理は、画像処理部50を構成する画像処理モジュール38に処理要求を入力することで、画像処理部50に画像処理を行わせるものであるが、以下では画像処理部50全体の動作説明に先立ち、個々のバッファモジュール40のバッファ制御部40Bによって行われる処理、個々の画像処理モジュール38の制御部38Bによって行われる処理について順に説明する。
【0080】
本実施形態では、画像処理モジュール38が後段のバッファモジュール40に画像データを書き込む場合には、画像処理モジュール38からバッファモジュール40へ書込要求が入力され、画像処理モジュール38が前段のバッファモジュール40から画像データを読み出す場合には、画像処理モジュール38からバッファモジュール40へ読出要求が入力される。
【0081】
データ書込処理では、確保すべきメモリ領域のサイズとして単位書込データ量をリソース管理部46Bに通知し、書込用として用いるメモリ領域(書込用バッファ領域:図5(B)も参照)を稼働中の処理管理部46のリソース管理部46Bを介して取得する。次に、自モジュールのバッファ40Aを構成する保管用の単位バッファ領域の中に、単位書込データ量以上の空き領域が有る単位バッファ領域(単位書込データ量の画像データを書き込み可能な単位バッファ領域)が存在しているか否か判定する。モジュール生成部44によって生成されたバッファモジュール40は、当初はバッファ40Aとして用いるメモリ領域(単位バッファ領域)が確保されておらず、メモリ領域の不足が生ずる度に単位バッファ領域を単位として確保されるので、バッファモジュール40に最初に書込要求が入力されたときにはバッファ40Aとして用いるメモリ領域(単位バッファ領域)が存在しておらず、この判定は否定される。また、バッファ40Aとして用いる単位バッファ領域が確保された後も、当該単位バッファ領域への画像データの書込に伴って当該単位バッファ領域内の空き領域が単位書込データ量未満になった場合にも上記判定は否定される。
【0082】
単位書込データ量以上の空き領域が有る単位バッファ領域(単位書込データ量の画像データを書き込み可能な単位バッファ領域)が存在していないと判定された場合は、確保すべきメモリ領域のサイズ(単位バッファ領域のサイズ)をリソース管理部46Bに通知して、自モジュールのバッファ40Aとして用いるメモリ領域(画像データの保管に用いる単位バッファ領域)をリソース管理部46Bを介して取得する。そして、先に取得した書込用バッファ領域を書込領域として、当該書込領域の先頭アドレスを書込要求元の画像処理モジュール38へ通知すると共に、書込対象の画像データを通知した先頭アドレスから順に書き込むよう要請する。これにより、書込要求元の画像処理モジュール38は、先頭アドレスが通知された書込用バッファ領域に画像データを書き込む(図5(B)も参照)。
【0083】
例えば単位バッファ領域のサイズが単位書込データ量の整数倍でない場合、バッファ40A(単位バッファ領域)への単位書込データ量の画像データの書込が繰り返されることで、例として図5(A)にも示すように、空き領域有りの単位バッファ領域における空き領域のサイズが単位書込データ量よりも小さい状態が生ずる。この場合、単位書込データ量の画像データが書き込まれる領域が複数の単位バッファ領域に跨ることになるが、本実施形態では、バッファ40Aとして用いるメモリ領域を単位バッファ領域を単位として確保するので、異なるタイミングで確保した単位バッファ領域が実メモリ(メモリ14)上で連続する領域であることは保証されない。これに対して本実施形態では、画像処理モジュール38による画像データの書き込みを、保管用の単位バッファ領域と別に確保した書込用バッファ領域に対して行わせ、図5(C)に示すように、書込用バッファ領域に一旦書き込まれた画像データを保管用の単一又は複数の単位バッファ領域へ複写するので、画像データが書き込まれる領域が複数の単位バッファ領域に跨るか否かに拘わらず、書込要求元の画像処理モジュール38への書込領域の通知は、上記のようにその先頭アドレスを通知するのみで済み、画像処理モジュール38とのインタフェースが簡単になる。
【0084】
なお、自モジュールがアプリケーション32によって生成されたバッファモジュール40である場合、すなわちバッファ40Aとして用いるメモリ領域が既に確保されている場合には、既に確保されたメモリ領域のアドレスを画像処理モジュール38に書込領域のアドレスとして通知し、上記メモリ領域への画像データの書き込みを行わせる。前段の画像処理モジュール38による書込領域への画像データの書き込みが完了すると、書込用バッファ領域に書き込まれている画像データに属性情報を付加した後に、保管用バッファ領域にそのまま書き込む。なお、空き領域有りの単位バッファ領域における空き領域のサイズが単位書込データ量よりも小さい場合、書込用バッファ領域に書き込まれた画像データは、図5(C)に示すように、保管用の複数の単位バッファ領域へ分けて書き込まれることになる。
【0085】
そして、自モジュールの後段の個々の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタのうち有効データの末尾位置を表すポインタを、該ポインタが指し示す有効データの末尾位置が単位書込データ量分だけ後へ移動するように更新する(図5(C)も参照)と共に、先に書込用バッファ領域として確保したメモリ領域をリソース管理部46Bによって解放させ、データ書込処理を一旦終了する。なお、書込用バッファ領域はバッファモジュール40の初期化時に確保し、バッファモジュール40の消去時に解放するように構成してもよい。
【0086】
続いて、バッファモジュール40のバッファ制御部40Bによって実行されるデータ読出処理について説明する。
【0087】
まず、読出用の待ち行列から先頭に登録されている読出要求情報を取り出し、取り出した読出要求情報に含まれる要求元識別情報に基づいて読出要求元の画像処理モジュール38を認識し、読出要求元の画像処理モジュール38によって設定された単位読出データ量を認識すると共に、読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタに基づいて、読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データのバッファ40A上での先頭位置及び末尾位置を認識する。次に、認識した有効データの先頭位置及び末尾位置に基づいて、読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データ(読出要求元の画像処理モジュール38が読出可能な画像データ)が単位読出データ量以上有るか否か判定する。
【0088】
読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データが単位読出データ量未満であれば、読出要求元の画像処理モジュール38が読出可能な有効データの末尾が処理対象の画像データの末尾か否か判定する。読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データがバッファ40Aに単位読出データ量以上記憶されているか、又は、バッファ40Aに記憶されている読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データが単位読出データ量未満であるものの、当該有効データの末尾が処理対象の画像データの末尾であった場合には、確保すべきメモリ領域のサイズとして読出要求元の画像処理モジュール38に対応する単位読出データ量をリソース管理部46Bに通知すると共に、読出に用いるメモリ領域(読出用バッファ領域:図6(B)も参照)の確保をリソース管理部46Bに要求し、リソース管理部46Bを介して読出用バッファ領域を取得する。
【0089】
次に、読出対象の有効データをバッファ40Aから単位読出データ量分だけ読み出して読出用バッファ領域に書き込み、読出用バッファ領域の先頭アドレスを読出領域の先頭アドレスとして読出要求元の画像処理モジュール38へ通知すると共に、通知した先頭アドレスから画像データを順に読み出すよう要請する。これにより、読出要求元の画像処理モジュール38は、先頭アドレスが通知された読出領域(読出用バッファ領域)からの画像データの読み出しを行う。なお、読出対象の有効データが処理対象の画像データの末尾に相当するデータであった場合には、画像データの読出要求に際し、読出対象の画像データのサイズと共に、処理対象の画像データの末尾であることも読出要求元の画像処理モジュール38に通知する。また、自モジュールがアプリケーション32によって生成されたバッファモジュール40である場合は、バッファ40Aとして用いているメモリ領域(単位バッファ領域の集合体)は連続領域であるので、読出用バッファ領域の確保、読出対象の画像データの読出用バッファ領域への書き込みを省略し、後段の画像処理モジュール38が単位バッファ領域から直接画像データを読み出すようにしてもよい。
【0090】
なお、例として図6(A)に示すように、有効データの先頭部分の画像データを記憶している単位バッファ領域に記憶されている有効データのデータ量が単位読出データ量未満であり、読出対象の有効データが複数の単位バッファ領域に跨っている場合には、今回の読出対象の有効データが実メモリ(メモリ14)上で連続する領域に記憶されているとは限らないが、上記のデータ読出処理では、図6(B),(C)に示すように、この場合にも読出対象の画像データを読出用バッファ領域に一旦書き込んだ後に該読出用バッファ領域から画像データを読み出させるので、読出対象の画像データが複数の単位バッファ領域に跨って記憶されているか否かに拘わらず、読出要求元の画像処理モジュール38への読出領域の通知は、上記のようにその先頭アドレスを通知するのみで済み、画像処理モジュール38とのインタフェースが簡単になる。
【0091】
読出要求元の画像処理モジュール38による読出領域からの画像データの読み出し完了が通知されると、読出用バッファ領域として確保したメモリ領域の先頭アドレス及びサイズをリソース管理部46Bへ通知して、当該メモリ領域をリソース管理部46Bによって解放させる。この読出用バッファ領域についても、バッファモジュール40の初期化時に確保しておき、バッファモジュール40が消去される時に解放するよう構成してもよい。また、読出要求元の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタのうち有効データの先頭位置を表すポインタを、該ポインタが指し示す有効データの先頭位置を単位読出データ量分だけ後へ移動させることで更新する(図6(C)も参照)。
【0092】
次に、後段の個々の画像処理モジュール38に対応する有効データポインタを各々参照し、先のポインタ更新により、バッファ40Aを構成する単位バッファ領域の中に、記憶している画像データの後段の各画像処理モジュール38による読み出しが全て完了した単位バッファ領域、すなわち有効データを記憶していない単位バッファ領域が出現したか否か判定する。判定が否定された場合は、前述した読出用の待ち行列のチェック処理(読出用の待ち行列に読出要求情報が登録されているか否かの判定)を経てデータ読出処理を終了するが、有効データを記憶していない単位バッファ領域が出現した場合は、当該単位バッファ領域をリソース管理部46Bによって解放させた後に読出用の待ち行列のチェック処理を経てデータ読出処理を終了する。
【0093】
一方、バッファ40Aに記憶されており読出要求元の画像処理モジュール38が読出可能な有効データのデータ量が単位読出データ量未満であり、かつ読出可能な有効データの末尾が処理対象の画像データの末尾でない場合(図3(B)の(4)で読出可能な有効データ無が検知された場合)には、新たな画像データを要求するデータ要求をワークフロー管理部46Aへ出力し(図3(B)の(5)も参照)、読出用の待ち行列から取り出した読出要求情報を元の待ち行列(の先頭又は末尾)に再度登録した後に、読出用の待ち行列のチェック処理を経てデータ読出処理を終了する。この場合、ワークフロー管理部46Aにより、自モジュールの前段の画像処理モジュール38に処理要求が入力されることになる。これにより、読出可能な有効データのデータ量が単位読出データ量以上になるか、読出可能な有効データの末尾が処理対象の画像データの末尾であることが検知される迄の間、対応する読出要求情報は読出用の待ち行列に保存されると共に定期的に取り出されて要求された処理の実行が繰り返し試行されることになる。
【0094】
ワークフロー管理部46Aはバッファモジュール40からデータ要求が入力されると、データ要求元のバッファモジュール40の前段の画像処理モジュール38に処理要求を入力する(図3(B)の(6)も参照)。この処理要求の入力をトリガとして前段の画像処理モジュール38の制御部38Bで行われる処理により、前段の画像処理モジュール38がバッファモジュール40へ画像データを書込可能な状態になると、前段の画像処理モジュール38から書込要求が入力されることで前述したデータ書込処理が行われ、前段の画像処理モジュール38からバッファモジュール40のバッファ40Aに画像データが書き込まれる(図3(B)の(7),(8)も参照)。これにより、後段の画像処理モジュール38によるバッファ40Aからの画像データの読出が行われることになる(図3(B)の(9)も参照)。
【0095】
なお、上記で説明したデータ読出処理は、並列処理用の画像処理部50に組み込まれた排他制御機能付きのバッファモジュール40のバッファ制御部40Bによって行われるデータ読出処理であるが、逐次処理用の画像処理部50に組み込まれた排他制御機能無しのバッファモジュール40のバッファ制御部40Bによって行われるデータ読出処理は、排他制御に相当する処理、すなわちバッファ40Aが既にアクセス中か否かを判定し、アクセス中でかつ待ち行列に読出要求情報が登録されている場合はタイマをスタートさせ、タイマがタイムアウトするとバッファ40Aがアクセス中か否かを再度判定すると共に、単一の読出要求に対する処理が終了した後に待ち行列に読出要求情報が残っているかをチェックする処理を行わない点以外は上記で説明したデータ読出処理と同一である。排他制御機能無しのバッファモジュール40におけるデータ読出処理は、逐次処理では不要な排他制御に相当する処理が省略されていることで、処理効率を向上させることができる。
【0096】
続いて、画像処理部50を構成する個々の画像処理モジュール38に対してワークフロー管理部46Aから処理要求が入力される毎に、個々の画像処理モジュール38の制御部38Bによって各々行われる画像処理モジュール制御処理(図7)を説明する。
【0097】
画像処理モジュール制御処理では、まずステップ218において、自モジュールの画像処理エンジン38Aが行う画像処理の種類や内容等に基づき、自モジュールが使用するメモリのサイズ及び自モジュールが使用する他のリソースの有無を認識する。なお、画像処理モジュール38が使用するメモリは、画像処理エンジン38Aが画像処理を行うために必要なメモリが主であるが、前段のモジュールが画像データ供給部22である場合や後段のモジュールが画像出力部24である場合には、前段又は後段のモジュールとの画像データの送受に際して画像データを一時記憶するためのバッファ用のメモリが必要となることもある。また、処理パラメータにテーブル等の情報が含まれている場合には、それを保持するためのメモリ領域が必要となることもある。そして、認識したサイズのメモリ領域の確保をリソース管理部46Bへ要求し、リソース管理部46Bによって確保されたメモリ領域をリソース管理部46Bから取得する。また、自モジュール(の画像処理エンジン38A)がメモリ以外の他のリソースを必要としていると認識した場合には、上記他のリソースの確保をリソース管理部46Bへ要求し、上記他のリソースをリソース管理部46Bから取得する。
【0098】
次のステップ220では、自モジュールの前段にモジュール(バッファモジュール40や画像データ供給部22、画像処理モジュール38等)が存在している場合に、当該前段のモジュールに対してデータ(画像データ又は解析等の画像処理の処理結果)を要求する。次のステップ222では前段のモジュールからデータが取得可能であるかを判定し、ステップ222の判定が否定された場合はステップ224で全体処理終了が通知されたか否かを判定する。ステップ224の判定が否定された場合はステップ222に戻り、前段のモジュールからデータを取得可能となる迄ステップ222,224を繰り返す。ステップ222の判定が肯定された場合には、ステップ226で前段のモジュールからデータを取得し、取得したデータをステップ218で取得したメモリ領域のうちデータの一時保管用のメモリ領域に書き込むデータ取得処理を行う。
【0099】
ここで、自モジュールの前段のモジュールがバッファモジュール40である場合には、先のステップ220でデータを要求すると(読出要求)、読出可能な有効データがバッファモジュール40のバッファ40Aに単位読出データ量以上記憶されているか、読出可能な有効データの末尾が処理対象の画像データの末尾に一致している状態であれば直ちに、当該状態でなければ、当該バッファモジュール40の前段の画像処理モジュール38が当該バッファモジュール40のバッファ40Aに画像データを書き込んだことに伴って前記状態へ変化した後に、バッファモジュール40から読出領域の先頭アドレスが通知されて画像データの読出が要請される。これにより、ステップ222の判定が肯定されてステップ226へ移行し、前段のバッファモジュール40より先頭アドレスが通知された読出領域から単位読出データ量(又はそれ未満のデータ量)の画像データを読み出し、一時保管用のメモリ領域に書き込むデータ取得処理を行う(図3(A)の(3)も参照)。
【0100】
また、自モジュールの前段のモジュールが画像データ供給部22であれば、先のステップ220でデータ要求を出力すると画像データを取得可能な状態であることが前段の画像データ供給部22から直ちに通知されることで、ステップ222の判定が肯定されてステップ226へ移行し、前段の画像データ供給部22から単位読出データ量の画像データを取得し、一時保管用のメモリ領域に書き込む画像データ取得処理を行う。また、自モジュールの前段のモジュールが画像処理モジュール38であれば、先のステップ220でデータ要求(処理要求)を出力すると、前段の画像処理モジュール38が画像処理を実行可能な状態であれば書込要求が入力されることでデータ(画像処理結果)を取得可能な状態であることが通知されるので、ステップ222の判定が肯定されてステップ226へ移行し、前段の画像処理モジュール38によってデータを書き込ませる一時保管用のメモリ領域のアドレスを通知して書込を要請することで、前段の画像処理モジュール38から出力されるデータを一時保管用のメモリ領域に書き込ませるデータ取得処理を行う。
【0101】
次のステップ228では、自モジュールの前段に複数のモジュールが連結されているか否か判定する。判定が否定された場合には何ら処理を行うことなくステップ232へ移行するが、判定が肯定された場合はステップ230へ移行し、前段に連結されている全てのモジュールからデータを取得したか否か判定する。ステップ230の判定が否定された場合はステップ220に戻り、ステップ230の判定が肯定される迄ステップ220〜ステップ230を繰り返す。前段のモジュールから取得すべきデータが全て揃うと、ステップ228の判定が否定されるかステップ230の判定が肯定されてステップ232へ移行する。
【0102】
次のステップ232では自モジュールの後段のモジュールに対してデータ出力用の領域を要求し、ステップ234でデータ出力領域が取得できる迄(データ出力領域の先頭アドレスが通知される迄)繰り返し判定を行う。なお、後段のモジュールがバッファモジュール40であれば、上記のデータ出力用領域の要求は当該バッファモジュール40に対して書込要求を出力することによって成される。データ出力領域(後段のモジュールがバッファモジュール40であれば当該バッファモジュール40から先頭アドレスが通知された書込領域)が取得できたら(図3(A)の(4)も参照)、次のステップ236において、先のデータ取得処理で取得したデータ、後段のモジュールから取得したデータ出力領域(の先頭アドレス)、先のステップ218で取得したメモリ領域のうち画像処理エンジンによる画像処理用のメモリ領域(の先頭アドレス及びサイズ)を画像処理エンジン38Aに入力し、入力したデータに対し画像処理用のメモリ領域を使用して所定の画像処理を行わせる(図3(A)の(5)も参照)と共に、処理後のデータをデータ出力領域に書き込ませる(図3(A)の(6)も参照)。画像処理エンジン38Aへの単位読出データ量のデータの入力が完了し、画像処理エンジン38Aから出力されたデータがデータ出力領域に全て書き込まれると、次のステップ238で出力が完了したことを後段のモジュールに通知する。
【0103】
上記のステップ220〜ステップ238により画像処理モジュール38における単位処理データ量のデータに対する処理(単位処理)が完了するが、ワークフロー管理部46Aから画像処理モジュール38に入力される処理要求では、ワークフロー管理部46Aによって単位処理の実行回数が指定されることがある。このためステップ240では、単位処理の実行回数が、入力された処理要求によって指示された実行回数に達したか否か判定する。指示された単位処理の実行回数が1回の場合、この判定は無条件に肯定されるが、指示された単位処理の実行回数が2回以上の場合はステップ220に戻り、ステップ240の判定が肯定される迄ステップ220〜ステップ240を繰り返す。ステップ240の判定が肯定されるとステップ242へ移行し、ワークフロー管理部46Aへ処理完了通知を出力することで、入力された処理要求に対応する処理が完了したことをワークフロー管理部46Aへ通知し、画像処理モジュール制御処理を終了する。
【0104】
また、ワークフロー管理部46Aから処理要求が入力される毎に上述した処理が繰り返されることで処理対象の画像データを末尾まで処理すると、前段のモジュールから処理対象の画像データの終了が通知されることで、ステップ224の判定が肯定されてステップ244へ移行し、処理対象の画像データ(なお、処理対象の画像データは1頁分の画像データであることが多いが、複数頁分の画像データであってもよい)に対する処理が終了したことを意味する全体処理終了通知をワークフロー管理部46A及び後段のモジュールへ各々出力する。また、次のステップ246では取得していた全てのリソースの解放を要求して自モジュールを消去する処理を行い、画像処理モジュール制御処理を終了する。
【0105】
ワークフロー管理部46Aは、画像処理の実行が指示されると、図8(A)に示すブロック単位制御処理1を行い、バッファモジュール40からデータ要求が入力される毎に図8(B)に示すブロック単位制御処理2を行い、画像処理モジュール38から処理完了通知が入力される毎に図8(C)に示すブロック単位制御処理3を行い、画像処理モジュール38から全体処理終了通知が入力される毎に図8(D)に示すブロック単位制御処理4を行う。
【0106】
先にも述べたように、ブロック単位制御処理1では、ワークフロー管理部46Aによる画像処理部50の個々の画像処理モジュール38への処理要求の入力では、単位処理の実行回数を指定可能とされているが、ステップ500では、1回の処理要求で指定する単位処理の実行回数を個々の画像処理モジュール38毎に決定する。この処理要求1回当りの単位処理の実行回数は、例えば処理対象の画像データ全体を処理する間の個々の画像処理モジュール38への処理要求の入力回数が平均化されるように定めることができるが、他の基準に従って定めてもよい。そして次のステップ502において、画像処理部50のうち最後段の画像処理モジュール38に処理要求を入力し(図9の(1)も参照)、ブロック単位制御処理1を終了する。
【0107】
ここで、図9に示す画像処理部50において、ワークフロー管理部46Aから最後段の画像処理モジュール384に処理要求が入力されると、画像処理モジュール384の制御部38Bは前段のバッファモジュール403に読出要求を入力する(図9の(2)参照)。このとき、バッファモジュール403のバッファ40Aには画像処理モジュール384が読出可能な有効データ(画像データ)が記憶されていないので、バッファモジュール403のバッファ制御部40Bはワークフロー管理部46Aにデータ要求を入力する(図9の(3)参照)。
【0108】
ワークフロー管理部46Aは、バッファモジュール40からデータ要求が入力される毎に、図8(B)に示すブロック単位制御処理2を行う。このブロック単位制御処理2では、ステップ504において、データ要求入力元のバッファモジュール40(ここではバッファモジュール403)の前段の画像処理モジュール38(ここでは画像処理モジュール383)を認識し、認識した前段の画像処理モジュール38に処理要求を入力(図9の(4)参照)して処理を終了する。
【0109】
画像処理モジュール383の制御部38Bは、処理要求が入力されると前段のバッファモジュール402に読出要求を入力し(図9の(5)参照)、バッファモジュール402のバッファ40Aにも読出可能な画像データが記憶されていないので、バッファモジュール402のバッファ制御部40Bはワークフロー管理部46Aにデータ要求を入力する(図9の(6)参照)。ワークフロー管理部46Aは、バッファモジュール402からデータ要求が入力された場合も、前述のブロック単位制御処理2を再度行うことで、その前段の画像処理モジュール382に処理要求を入力し(図9の(7)参照)、画像処理モジュール382の制御部38Bは前段のバッファモジュール401に読出要求を入力する(図9の(8)参照)。また、バッファモジュール401のバッファ40Aにも読出可能な画像データが記憶されていないので、バッファモジュール401のバッファ制御部40Bもワークフロー管理部46Aにデータ要求を入力し(図9の(9)参照)。ワークフロー管理部46Aは、バッファモジュール401からデータ要求が入力された場合も、前述のブロック単位制御処理2を再度行うことで、その前段の画像処理モジュール381に処理要求を入力する(図9の(10)参照)。
【0110】
ここで、画像処理モジュール381の前段のモジュールは画像データ供給部22であるので、画像処理モジュール381の制御部38Bは、画像データ供給部22にデータ要求を入力することで画像データ供給部22から単位読出データ量の画像データを取得し(図9の(11)参照)、取得した画像データに対して画像処理エンジン38Aが画像処理を行うことで得られた画像データを、後段のバッファモジュール401のバッファ40Aに書き込む(図9の(12)参照)。
【0111】
また、バッファモジュール401のバッファ制御部40Bは、後段の画像処理モジュール382が読出可能な単位読出データ量以上の有効データが書き込まれると画像処理モジュール382に対して読出を要請し、これに伴い画像処理モジュール382の制御部38Bは、バッファモジュール401のバッファ40Aから単位読出データ量の画像データを読み出し(図9の(13)参照)、取得した画像データに対して画像処理エンジン38Aが画像処理を行うことで得られた画像データを、後段のバッファモジュール402のバッファ40Aに書き込む(図9の(14)参照)。バッファモジュール402のバッファ制御部40Bは、後段の画像処理モジュール383が読出可能な単位読出データ量以上の有効データが書き込まれると画像処理モジュール383へ読出を要請し、画像処理モジュール383の制御部38Bは、バッファモジュール402のバッファ40Aから単位読出データ量の画像データを読み出し(図9の(15)参照)、取得した画像データに対して画像処理エンジン38Aが画像処理を行うことで得られた画像データを、後段のバッファモジュール403のバッファ40Aに書き込む(図9の(16)参照)。
【0112】
更に、バッファモジュール403のバッファ制御部40Bは、後段の画像処理モジュール384が読出可能な単位読出データ量以上の有効データが書き込まれると画像処理モジュール384に対して読出を要請し、これに伴い画像処理モジュール384の制御部38Bは、バッファモジュール403のバッファ40Aから単位読出データ量の画像データを読み出し(図9の(17)参照)、取得した画像データに対して画像処理エンジン38Aが画像処理を行うことで得られた画像データを、後段のモジュールである画像出力部24へ出力する(図9の(18)参照)。
【0113】
また、個々の画像処理モジュール38の制御部38Bは、後段のバッファモジュール40のバッファ40Aへの画像データの書き込みを完了すると、ワークフロー管理部46Aへ処理完了通知を入力する。ワークフロー管理部46Aは、画像処理モジュール38から処理完了通知が入力される毎に、図8(C)に示すブロック単位制御処理3を行う。このブロック単位制御処理3では、まずステップ506において、処理完了通知元の画像処理モジュール38が最後段の画像処理モジュール38か否か判定する。判定が否定された場合は何ら処理を行うことなくブロック単位制御処理3を終了する。また、判定が肯定された場合はステップ508へ移行し、処理完了通知元の画像処理モジュール38に処理要求を再度入力して処理を終了する。
【0114】
また、ワークフロー管理部46Aは、画像処理モジュール38から全体処理終了通知が入力される毎に、図8(D)に示すブロック単位制御処理4を行う。このブロック単位制御処理4では、ステップ510において、全体処理終了通知入力元の画像処理モジュール38が最後段の画像処理モジュール38か否か判定する。判定が否定された場合は何ら処理を行うことなく処理を終了するが、処理対象の画像データに対して必要な画像処理が行われた画像データが画像出力部24へ全て出力されることで、最後段の画像処理モジュール38から全体処理終了通知が入力された場合には、ステップ510の判定が肯定されてステップ512へ移行し、アプリケーション32に対して画像処理の完了を通知し(図4のステップ178も参照)、ブロック単位制御処理を終了する。そして、画像処理の完了が通知されたアプリケーション32は、ユーザに対して画像処理の完了を通知する(図4のステップ180も参照)。
【0115】
このように、ブロック単位処理では、最後段の画像処理モジュール38に入力された処理要求がより前段の画像処理モジュール38へ遡り、最前段の画像処理モジュール38に到達すると、最前段の画像処理モジュール38で画像処理が行われて後段のバッファモジュール40にデータが書き込まれ、それでデータが足りるならば処理が後段のモジュールへ進んで行くという流れで一連の画像処理が行われる。
【0116】
なお、上記では画像処理部の個々の画像処理モジュール38が、画像1面分よりも小さいデータ量を単位として後段へ画像データを引き渡しながら画像処理を行うように動作させることで、画像処理部が全体としてブロック単位処理を行うようにワークフロー管理部46Aが制御する態様を説明したが、これに限定されるものではなく、画像処理部の個々の画像処理モジュール38が、前段の画像処理モジュール38が画像1面分の画像データに対する画像処理を完了した後に、後段の画像処理モジュール38が画像1面分の画像データに対する画像処理を行うように動作させることで、画像処理部が全体として面単位処理を行うことも可能なように、ワークフロー管理部46Aを構成してもよい。
【0117】
また、上記のようにワークフロー管理部46Aが制御を行っている間、処理管理部46のエラー管理部46Cも動作している。エラー管理部46Cは、画像処理部50が画像処理を実行している途中でエラーが発生した場合に、発生したエラーの種別・発生箇所等のエラー情報を取得し、画像処理プログラム群34がインストールされたコンピュータ10が組み込まれている機器の種別や構成等を表す装置環境情報を記憶部20等から取得し、取得した装置環境情報が表す装置環境に応じたエラー通知方法を判断し、判断したエラー通知方法でエラーの発生を通知する処理を行う。
【0118】
以上説明した処理の流れが基本的な処理の流れである。この基本的な処理の流れにおいて、上位プログラムであるアプリケーション32の関数コールにより画像処理モジュール38が起動されると、バッファモジュール40と、当該バッファモジュール40の前段及び後段のいずれか一方に接続された画像処理モジュール38とで1つの実行単位プログラムとなるように、アプリケーション32の関数コールにより起動された画像処理モジュール38が属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する3種類の画像処理について説明する。
【0119】
なお、実行単位プログラムとは、CPU12により並列処理可能なプログラムを示し、以下の説明ではスレッドと表現する。更に、バッファモジュールを単にバッファと表現することがある。
【0120】
まず、1つめの画像処理(方式1)について、図10を用いて説明する。図10には、スレッドをバッファモジュール40の後段に画像処理モジュール38が接続されるように生成する場合の構成が示され、この構成の場合は、バッファモジュール40が前段のスレッドを生成するようになっている。この場合、バッファモジュール40がスレッド生成機能を有することとなる。
【0121】
この図10には、処理管理部46、画像データ供給部22、画像出力部24、サブスレッドA、B、C、画像処理モジュールA〜G、及びバッファA〜Fが示されている。
【0122】
図10の場合は、バッファAから2つに分岐する接続形態となっている。分岐した一つの接続形態は、バッファAから画像処理モジュールB、バッファB、画像処理モジュールC、バッファC、画像処理モジュールD、画像出力部24の順に接続される形態となっている。また、一方の分岐の接続形態は、バッファAから画像処理モジュールE、バッファE、画像処理モジュールF、バッファF、画像処理モジュールG、画像出力部24の順に接続される形態となっている。
【0123】
このうち、画像処理モジュールDがアプリケーション32の関数コールにより起動されると、画像処理モジュールDは、バッファCにデータ要求をするのは上述した通りである。
【0124】
データ要求されたバッファCは、それが1回目のデータ要求ならばサブスレッドAを生成し、生成されたサブスレッドAは、処理管理部36に出力要求を行う。これにより、画像処理モジュールCは起動され、バッファBにデータを要求し、データ要求されたバッファBは、同様に1回目のデータ要求ならばサブスレッドBを生成し、生成されたサブスレッドBは、処理管理部36に出力要求を行う。以降、上述した処理が繰り返し行われることとなる。
【0125】
このようにバッファがスレッドを生成することにより、図10の場合、バッファCと、バッファCの後段に接続された画像処理モジュールDとが1つのスレッドに含まれることとなる。そして、サブスレッドAにより、バッファBと、バッファBの後段に接続された画像処理モジュールCとが1つのスレッドとして動作することとなる。
【0126】
なお、生成された各サブスレッドは、前段の画像処理モジュールから処理終了情報が返されるか、又は後述するスレッド停止フラグがオンとされるまで、繰り返し前段の画像処理モジュールに処理指示を行う。
【0127】
次に、2つ目の画像処理(方式2)について、図11を用いて説明する。図11には、スレッドをバッファモジュール40の前段に画像処理モジュール38が接続されるように生成する場合の構成が示され、この構成の場合は、画像処理モジュール38が前段のスレッドを生成するようになっている。この場合、画像処理モジュール38がスレッド生成機能を有することとなる。
【0128】
図11には、処理管理部46、画像データ供給部22、画像出力部24、サブスレッドA、B、C、画像処理モジュールA〜G、及びバッファA〜Fが示されている。
【0129】
図11の場合は、バッファAから2つに分岐する接続形態となっている。分岐した一つの接続形態は、バッファAから画像処理モジュールB、バッファB、画像処理モジュールC、バッファC、画像処理モジュールD、画像出力部24の順に接続される形態となっている。また、一方の分岐の接続形態は、バッファAから画像処理モジュールE、バッファE、画像処理モジュールF、バッファF、画像処理モジュールG、画像出力部24の順に接続される形態となっている。
【0130】
このうち、画像処理モジュールDがアプリケーション32の関数コールにより起動されると、画像処理モジュールDは、それが1回目の起動ならばサブスレッドAを生成する。1つ目の処理では、バッファによりサブスレッドAが生成されているので、この点が異なる点である。
【0131】
生成されたサブスレッドAは、バッファCにデータ要求し、バッファCは、処理管理部46に出力要求を行うことで、画像処理モジュールCが起動される。
【0132】
起動された画像処理モジュールCは、それが1回目の起動ならばサブスレッドBを生成し、生成されたサブスレッドBは、バッファBにデータ要求し、バッファBは、処理管理部46に出力要求を行うことで、画像処理モジュールBが起動される。以降、上述した処理が繰り返し行われることとなる。
【0133】
このように画像処理モジュールがスレッドを生成することにより、図11の場合、サブスレッドAにより、バッファCと、バッファCの前段に接続された画像処理モジュールCとが1つのスレッドとして動作することとなる。そして、サブスレッドBにより、バッファBと、バッファBの前段に接続された画像処理モジュールBとが1つのスレッドとして動作することとなる。
【0134】
次に、3つ目の画像処理(方式3)について、図12を用いて説明する。図12には、スレッドを前記バッファモジュール40の前段に画像処理モジュール38が接続されるように生成する場合の構成が示され、この構成の場合は、画像処理モジュール38(スレッド生成部)が前段のスレッドを生成するようになっている。
【0135】
図12には、処理管理部46、画像データ供給部22、画像出力部24、サブスレッドA、B、C、画像処理モジュールA〜G、バッファA〜F、及びスレッド生成部B〜Gが示されている。また、各スレッド生成部B〜Gは、アプリケーション32から起動可能であり、スレッド生成機能を有するものである。
【0136】
なお、図11の構成の場合は、画像処理モジュール38自体にスレッド生成機能を組み込むものであったが、図12の構成の場合は、スレッド生成機能に画像処理モジュール38を組み込むものとなっている。この場合、画像処理モジュール38のコードを変更する必要は生じない。
【0137】
図12の場合は、バッファAから2つに分岐する接続形態となっている。分岐した一つの接続形態は、バッファAから画像処理モジュールB(スレッド生成部B)、バッファB、画像処理モジュールC(スレッド生成部C)、バッファC、画像処理モジュールD(スレッド生成部D)、画像出力部24の順に接続される形態となっている。また、一方の分岐の接続形態は、バッファAから画像処理モジュールE(スレッド生成部E)、バッファE、画像処理モジュールF(スレッド生成部F)、バッファF、画像処理モジュールG(スレッド生成部G)、画像出力部24の順に接続される形態となっている。
【0138】
このうち、スレッド生成部Dがアプリケーション32の関数コールにより起動されると、スレッド生成部Dは、それが1回目の起動ならばサブスレッドAを生成する。方式2では、画像処理モジュールによりサブスレッドAは生成されているので、この点が異なる点である。
【0139】
生成されたサブスレッドAは、バッファCにデータ要求し、バッファCは、処理管理部46に出力要求を行うことで、スレッド生成部Cが起動される。
【0140】
起動されたスレッド生成部Cは、それが1回目の起動ならばサブスレッドBを生成し、生成されたサブスレッドBは、バッファBにデータ要求し、バッファBは、処理管理部46に出力要求を行うことで、スレッド生成部Bが起動される。以降、上述した処理が繰り返し行われることとなる。
【0141】
このようにスレッド生成部がスレッドを生成することにより、図12の場合、サブスレッドAにより、バッファCと、バッファCの前段に接続された画像処理モジュールC(スレッド生成部C)とが1つのスレッドとして動作することとなる。そして、サブスレッドBにより、バッファBと、バッファBの前段に接続された画像処理モジュールB(スレッド生成部B)とが1つのスレッドとして動作することとなる。
【0142】
なお、スレッド生成部への起動指示は、自身に組み込まれている画像処理モジュールに伝えられて画像処理モジュールを起動させるように動作する。
【0143】
次に、画像処理を停止する場合の構成について、図13を用いて説明する。なお、図13は、処理管理部46に含まれる構成を一部省略したものである。
【0144】
上記処理を停止する機能は、アプリケーションからの停止要求や、他のモジュールでの処理エラーにより処理を継続する必要がなくなった場合などに、全スレッドを速やかに停止させるためのものである。
【0145】
同図に示されるように、スレッド情報管理部46Dは、スレッド停止フラグ及びスレッド情報を管理するものである。スレッド停止フラグは、スレッドの実行を停止させるための停止情報を示すものであり、記憶部20に記憶されている。
【0146】
スレッド停止フラグは、スレッドの実行を停止する場合はオンとされ、そうでない場合はオフとされるフラグである。各スレッドは、記憶部20により記憶されたスレッド停止フラグが、当該スレッドを停止させることを示す情報の場合には、自らが属するスレッドを消滅させるようになっている。
【0147】
このスレッド停止フラグは、エラー管理部46Cが、エラーが通知された場合、或いはアプリケーション32から停止要求が通知された場合に、オンとされる。
【0148】
一方、スレッド情報は、起動されたスレッドを一意的に示すスレッドIDを示すものである。このスレッド情報も記憶部20に記憶されている。そして、このスレッドIDは、スレッドIDが示すスレッドの状態が待ち状態の場合に、その待ち状態を解除するためのシステムコールを用いる際に使用されるものである。
【0149】
上記スレッド停止フラグを用いた場合、上述した方式1では、図14に示されるように、各バッファは、後段の画像処理モジュールからデータ要求される度に、スレッド停止フラグをチェックし、スレッド停止フラグがオンの場合は、バッファが属するスレッドを消滅し、オフの場合には、そのまま処理を継続する。
【0150】
以上説明した画像処理の流れを、上記方式1の場合を例にして図15のフローチャートを用いて説明する。まず、ステップ101で、アプリケーション32より末端の画像処理モジュールが起動されると、起動された画像処理モジュールは、ステップ102で、前段バッファにデータ要求を行う。次のステップ103で、バッファは1回目のデータ要求か否か判断し、否定判断した場合には、そのままステップ105の処理に進み、肯定判断した場合には、バッファはステップ104でサブスレッドを生成する。
【0151】
次のステップ105で、バッファは、上述した停止フラグがオンか否か判断する。停止フラグがオンの場合には、ステップ107で、バッファは画像処理モジュールに対してデータを返せないことを返す。一方、停止フラグがオフの場合には、ステップ108で、画像処理モジュールが要求したサイズだけデータが揃っているか否か判断する。データが揃っていない場合には、ステップ106で待ち状態に状態遷移する。この待ち状態は、他のスレッド又は処理管理部46により、上述したスレッドIDを用いたシステムコールにより解除される。解除されると、再びステップ105の処理に戻る。処理管理部46は、特に上述したスレッド停止フラグがオンとなった際に待ち状態を解除する。
【0152】
ステップ108で、バッファがデータが揃っていると判断した場合には、ステップ109でデータを返す。
【0153】
次のステップ110で画像処理モジュールはデータが返されたか否か判断し、データが返されなかったと判断した場合には、ステップ113の処理に進み、データが返された場合には、ステップ111で返されたデータに対して画像処理モジュールは画像処理を行う。
【0154】
次のステップ112で処理が終了したか否か判断し、終了した場合には、ステップ113で、自らが属するスレッドを消滅して処理を終了する。
【0155】
以上説明した実施の形態において、図10、図11、図12、図14に示された末端の画像処理モジュールは例として2つ(D、G)であったが、2つに限るものではなく、1つでも3つ以上でも構わない。
【0156】
以上説明した実施形態では、処理管理部46のプログラムが、記憶部20に固定的に記憶されている場合を説明したが、これに限定されず、コンピュータ10の外部から、例えばUSBメモリ等の外部記憶装置や通信回線等を介して、新たな処理管理部(並列処理管理部や逐次処理管理部)のプログラムを追加したり、既登録の処理管理部のプログラムを上書き更新可能としてもよい。CPU12の新たなアーキテクチャの採用等に応じて、最適な並列化の手法が変わる事も考えられるし、また最適な処理管理部のプログラムを当初より提供することが困難な場合や、処理管理部のアルゴリズムとしてより高効率のアルゴリズムが今後新たに開発される可能性もある。この場合を考慮し、記憶部20の処理管理部ライブラリ47は、処理管理部のプログラムの新規追加や上書き更新が可能に構成することが望ましい。
【0157】
また、上記では本発明に係る画像処理プログラムに対応する画像処理プログラム群34が記憶部20に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】本実施形態に係るコンピュータ(画像処理装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】(A)は画像処理モジュール、(B)はバッファモジュールの概略構成及び実行される処理を各々示すブロック図である。
【図4】画像処理部の構築から画像処理の実行に至る一連の処理を説明するためのシーケンス図である。
【図5】書込対象の画像データが複数の保管用単位バッファ領域に跨る場合を説明する概略図である。
【図6】読出対象の画像データが複数の保管用単位バッファ領域に跨っていた場合を説明する概略図である。
【図7】画像処理モジュールの制御部によって実行される画像処理モジュール制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】処理管理部のワークフロー管理部によって実行されるブロック単位制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】画像処理部における画像処理の流れを説明する概略図である。
【図10】スレッドをバッファモジュールの後段に画像処理モジュールが接続されるように生成する場合の構成を示す図である。
【図11】スレッドをバッファモジュールの前段に画像処理モジュールが接続されるように生成する場合の構成を示す図である(その1)。
【図12】スレッドをバッファモジュールの前段に画像処理モジュールが接続されるように生成する場合の構成を示す図である(その2)。
【図13】スレッド停止フラグ及びスレッド情報を示す図である。
【図14】スレッド停止フラグを用いた場合の構成を示す図である。
【図15】画像処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】バッファを介して有向非循環グラフ形態に接続して処理を構成する方式を示す図である。
【図17】末端モジュールに起動指示してその前段のみ動かす方式を示す図である。
【図18】モジュール単位並列にならない例を示す図である。
【図19】方式Aでモジュール単位並列を構成した例を示す図である。
【図20】方式Aで末端が複数あるDAGをモジュール単位並列を構成した例を示す図である。
【図21】処理を2分岐させた場合に、一方の処理が起動できない例を示す図である。
【符号の説明】
【0159】
10 コンピュータ
12 CPU
20 記憶部
22 画像データ供給部
24 画像出力部
34 画像処理プログラム群
38 画像処理モジュール
40 バッファモジュール
46 処理管理部
46D スレッド情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自モジュールの前段から単位データ量ずつ画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を行い、前記所定の画像処理を経た画像データ又は前記所定の画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する機能を各々備え、実行する画像処理の種類又は内容が互いに異なる複数種の画像処理モジュールの中から選択されるとともに、個々のモジュールがパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結される1つ以上の画像処理モジュールと、
前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、
上位プログラムにより、前記画像処理モジュールを起動する起動手段と、
前記起動手段により前記画像処理モジュールが起動されると、前記バッファモジュールと、当該バッファモジュールの前段及び後段のいずれか一方に接続された前記画像処理モジュールとで1つの実行単位プログラムとなるように、前記起動手段により起動された前記画像処理モジュールが属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する生成手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記実行単位プログラムを前記バッファモジュールの後段に前記画像処理モジュールが接続されるように生成する場合には、前記バッファモジュールが前段の前記実行単位プログラムを生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記実行単位プログラムを前記バッファモジュールの前段に前記画像処理モジュールが接続されるように生成する場合には、前記画像処理モジュールが前段の前記実行単位プログラムを生成する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記実行単位プログラムの実行を停止させるための停止情報が記憶された記憶手段を更に有し、
前記実行単位プログラムは、前記記憶手段により記憶された停止情報が、当該実行単位プログラムを停止させることを示す情報の場合には、前記実行単位プログラムを消滅させる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
自モジュールの前段から単位データ量ずつ画像データを取得し、取得した画像データに対して所定の画像処理を行い、前記所定の画像処理を経た画像データ又は前記所定の画像処理の処理結果を自モジュールの後段へ出力する機能を各々備え、実行する画像処理の種類又は内容が互いに異なる複数種の画像処理モジュールの中から選択されるとともに、個々のモジュールがパイプライン形態又は有向非循環グラフ形態で連結される1つ以上の画像処理モジュールを、上位プログラムにより起動する起動ステップと、
前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、
前記起動手段により前記画像処理モジュールが起動されると、前記選択された個々の画像処理モジュールの前段及び後段の少なくとも一方に連結され、画像データを記憶するためのバッファを備えた1つ以上のバッファモジュールと、当該バッファモジュールの前段及び後段のいずれか一方に接続された前記画像処理モジュールとで1つの実行単位プログラムとなるように、前記起動手段により起動された前記画像処理モジュールが属する実行単位プログラムの前段に接続される実行単位プログラムを生成する生成ステップと、
を有する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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