説明

画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム

【課題】断面画像に対して適切な関心領域を容易に設定することが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】複数の断面画像が取得位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部11と、一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付部12と、指定された断面画像である指定断面画像に対し1以上の関心領域を設定する関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、指定断面画像の関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに関心領域を評価するための評価値を測定値を用いて取得し、かつ、指定断面画像以外の1以上の断面画像の関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得部15と、取得した評価値と関連評価値とを、評価値に対応する指定断面画像と関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力部16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の断面画像を処理する装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体等の生体を断層撮影する手法として、例えば、PET(Positron Emission Tomography),SPECT(Single Photon Emission CT),MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CT(Computed Tomography)、などが知られている。このような手法によって取得された人体の断面画像を処理する従来の画像処理装置として、同一人の所定部位のSPECT画像およびMRI画像の正規化データを記憶する、それぞれの正規化データ記憶部と、SPECT画像の正規化データとMRI画像の正規化データとを用いて所定の演算を行う比較演算部と、演算結果に基づいて、所定部位の画像を表示装置に表示させるための処理を行う表示制御部と、を備えるものが知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−125658号公報(第1頁、第1図等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置においては、断面画像に対して適切な関心領域を容易に設定することが困難であるという課題があった。例えば、関心領域は、断面画像の病変の中心部等に設定することが好ましい。このような関心領域を断面画像に設定する際には、通常は、病変であることを示す画素の色を視覚的に判断しながら、ユーザが関心領域とする領域を手作業等で設定することが多い。しかし、このように視覚的に判断して領域を設定することは、隣接する二つの画素の色の差が小さい場合などには、どの画素までを関心領域に含めるかを判断することが難しく、適切な関心領域を設定することができないという問題があった。このため、例えば、医療現場等においては、一の断面画像に設定した関心領域が、病変の中心部近傍に適切に設定されているか否かの判断は、一の断面画像の前後の位置で取得した1以上の断面画像の関心領域に対応する位置の画素を見比べること等により行われていた。しかしながら、このように複数の断面画像を見比べて適切な関心領域が設定されたか否かを判断する処理は非常に手間がかかるため、容易に適切な関心領域を設定できないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像処理装置は、測定値を用いて生成された一の生体の断面を示す画像であって、予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の画像である複数の断面画像が、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部と、断面画像格納部に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付部と、操作によって指定された断面画像である指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、指定断面画像の関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を測定値を用いて取得し、かつ、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得部と、評価値取得部が取得した評価値と関連評価値とを、評価値に対応する指定断面画像と関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力部とを備えた画像処理装置である。
【0006】
かかる構成により、指定断面画像以外の断面画像の、関心領域に対応する領域の関連評価値を容易に把握することができ、断面画像に対して適切な関心領域を容易に設定することができる。
【0007】
また、本発明の画像処理装置は、前記画像処理装置において、評価値取得部は、配列順番が指定断面画像と連続している1以上の断面画像の関連評価値を取得する画像処理装置である。
【0008】
かかる構成により、指定断面画像に連続した断面画像の、関心領域に対応する領域の関連評価値を容易に把握することができ、断面画像に対してより適切な関心領域を容易に設定することができる。
【0009】
また、本発明の画像処理装置は、前記画像処理装置において、関心領域を変更する操作を受け付ける関心領域操作受付部と、変更する操作に応じて変更された関心領域を設定する関心領域設定情報を、関心領域設定情報格納部に蓄積する関心領域設定情報蓄積部とを更に備え、評価値取得部は、変更された関心領域について、評価値および関連評価値を取得する画像処理装置である。
【0010】
かかる構成により、関心領域を変更した場合の評価値と関連評価値とを取得することができる。これにより、例えば、関心領域の変更を、出力される評価値と関連評価値とにリアルタイムに反映させることが可能となり、操作性が向上する。
【0011】
また、本発明の画像処理装置は、前記画像処理装置において、操作受付部は、指定断面画像を変更する操作を更に受け付け、変更された指定断面画像に対して、変更前の指定断面画像の関心領域設定情報と同じ関心領域設定情報を取得して、関心領域設定情報格納部に蓄積する関心領域設定情報蓄積部とを更に備え、評価値取得部は、変更された指定断面画像とそれ以外の1以上の断面画像について、評価値および関連評価値を取得する画像処理装置である。
【0012】
かかる構成により、指定断面画像を変更した場合の評価値を関連評価値とを取得することができる。これにより、例えば、指定断面画像の変更を、出力される評価値と関連評価値とにリアルタイムに反映させることが可能となり、操作性が向上する。
【0013】
また、本発明の画像処理装置は、前記画像処理装置において、出力部は、評価値および関連評価値を棒グラフ、棒グラフ以外のグラフ、色の明暗、色調、または数値の少なくとも一つで出力する画像処理装置である。
【0014】
かかる構成により、各断面画像に対応する評価値および関連評価値を容易に比較することができる。
【0015】
また、本発明の画像処理装置は、前記画像処理装置において、出力部は、評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力を行う画像処理装置である。
【0016】
かかる構成により、評価が最大となる評価値または関連評価値が得られる断面画像を容易に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明による画像処理装置等によれば、断面画像に対して適切な関心領域を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における画像処理装置のブロック図
【図2】同動作について説明するフローチャート
【図3】同断面画像管理情報を示す図
【図4】同表示例を示す図
【図5】同表示例を示す図
【図6】同関心領域管理情報を示す図
【図7】同測定取得値管理情報を示す図
【図8】同評価値管理情報を示す図
【図9】同出力例を示す図
【図10】同出力例を示す図
【図11】本発明の実施の形態におけるコンピュータシステムの外観の一例を示す図
【図12】同コンピュータシステムの構成の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、画像処理装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0020】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における画像処理装置1のブロック図である。
画像処理装置1は、断面画像格納部11、操作受付部12、関心領域操作受付部13、関心領域設定情報蓄積部14、関心領域設定情報格納部15、評価値取得部16、出力部17、関心領域設定情報出力部18、および表示部19を備える。
【0021】
断面画像格納部11には、複数の断面画像が格納される。断面画像は、生体について測定された測定値を用いて生成された生体の断面を示す画像である。断面画像は、通常、スライスと呼ばれる。生体とは、例えば、人体や動物である。断面画像格納部11には、少なくとも一の生体の断面画像であって、この一の生体の予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の断面画像が格納される。予め指定された方向とは、例えば、生体の身長方向(高さ方向)である。ただし、身長方向に垂直な方向等の他の方向であっても良い。異なる複数の位置とは、異なる位置は、通常は、身長方向等の予め指定された方向において予め指定された間隔を隔てて配列された複数の位置である。但し、予め特定されている複数の位置であっても良い。予め指定された方向が身長方向である場合の断面は、例えば、生体の身長方向に垂直な断面である。なお、一の断面画像をxy平面であると考えた場合、異なる位置で取得された断面画像は、一の断面画像を、z軸方向に移動させて得られる断面画像であると考えて良い。つまり、z軸の値が異なる平面で切断した断面画像と考えてよい。断面画像格納部11には、複数の断面画像が、それぞれ、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される。配列順番と対応付けて格納されるということは、配列順番に従って、断面画像が並べて格納されていることであっても良いし、配列順番を示す番号等の情報と、断面画像とが対応付けて格納されていることであっても良い。断面画像は、断面画像の取得位置を示す情報と対応付けて断面画像格納部11に格納されても良い。一の生体の予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の断面画像は、例えば、一の生体について同じタイミング(例えば、同日の一の時間帯)において順次取得された複数の断面画像であることが好ましい。かかることは、以下においても同様である。なお、断面画像格納部11には、複数の異なる生体についてそれぞれ取得された上記と同様の複数の断面画像が、各生体の識別情報等と対応付けて格納されていても良い。また、一の生体について、異なるタイミング(例えば、異なる日等の異なる時間帯)で取得された、上記と同様の複数の断面画像が格納されていても良い。
【0022】
断面画像とは、例えば、放射線を使用する単光子放出コンピュータ断層撮影装置(SPECT)で撮影されたSPECT画像や、陽電子放出断層撮影装置(PET)で撮影されたPET画像である。また、その他として、X線CT、磁気共鳴イメージング装置(MRI)、超音波診断装置等で取得された生体の断面画像であってもよい。断面画像はこれらの測定値またはその測定値を補正した値等を、色の値に置き換えて画像にしたものである。ここでは、測定によって取得された測定値あるいはその測定値を補正した値を、測定取得値と呼ぶ。画素の色の値とは、例えば、画素の色相値や、輝度値、彩度値、RGB値等の色の値や、グレースケールや単色グラデーションの階調値等や、これらの2以上の組合せである。PET画像やSPECT画像のような、いわゆるトレーサと呼ばれる放射性医薬品を生体に投与して撮影された断面画像は、生体内の各部位において測定されたトレーサ等の集積量や濃度等を示す測定取得値を、予め指定された条件に従って色の値に変換して画像にしたものである。予め指定された条件に従って変換するとは、例えば、画素の色の値と、測定取得値の範囲とを対応付けて有する変換テーブルを用いて、各部位の測定取得値を色の値に変換することである。また、同様の変換を行う変換式等を用いて変換を行うことであっても良い。例えば、各画素の色と、各画素に対応する測定取得値の色の値とが、比例関係を有するように変換しても良い。断面画像の各画素の色の値は、例えば、生体の断面における各画素に対応する各部位において取得されたトレーサの集積量や濃度等の測定取得値を示すものであることから、各画素の色の値は、各画素の測定取得値と対応付けられていると考えても良い。従って、各画素の色の値から、各画素に対応する測定取得値を取得することも可能である。
【0023】
また、断面画像格納部11には、断面画像の各画素自身とこの画素に対応する測定取得値等とを、各断面画像と対応付けた情報(以下、測定取得値管理情報と称す)が格納されても良い。例えば、測定取得値管理情報は、断面画像と、断面画像を構成する各画素の座標と、各画素に対応する測定取得値と、対応付けて有する情報である。各画素に対応する測定取得値とは、生体内の断面における各画素に対応する各部位において取得された測定取得値である。このような測定取得値管理情報を用いることで、断面画像の各画素に対応する測定値取得値を取得することが可能となる。
【0024】
断面画像格納部11には、複数の断面画像が、断面画像の識別情報である断面画像識別情報と対応付けて格納されている。例えば、断面画像と断面画像識別情報とを有する情報が、断面画像格納部11等に格納されている。断面画像識別情報は、断面画像が識別可能な情報であればどのような情報であっても良い。例えば、断面画像識別情報は、各断面画像に固有の識別情報であっても良い。断面画像識別情報は、生体の識別情報と、断面画像の取得位置とを組み合わせた情報等と考えても良い。
【0025】
なお、測定値の補正値とは、撮影装置等が取得した各部位の測定値に対して予め指定された補正を行った値である。測定値の補正値とは、例えば、測定値を、トレーサの投与量や、被検者の体重等で補正した値であっても良い。また、撮影装置間の測定値のばらつきを補正したものであっても良い。また、測定値の補正値は、測定値に対して補正や標準化や正規化等の予め指定された処理を行うことで得られた値であっても良い。測定値の補正値としては、例えば、PET画像やSPECT画像においては、撮影装置が取得した各部の測定値(トレーサの集積量を示す値)を、トレーサの投与量と被検者の体重とで標準化した値であるSUV(standardized uptake value)と呼ばれる値が通常用いられる。
【0026】
なお、測定取得値を色の値に置き換えた断面画像の代わりに、同じ値の範囲の測定取得値と対応付けられた画素の分布を等高線として表した断面画像が、断面画像格納部11に格納されるようにしても良い。なお、生体の断面画像を取得する処理等は公知の技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
断面画像格納部11は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。かかることは、他の格納部においても同様である。
【0028】
操作受付部12は、断面画像格納部11に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける。一の断面画像を指定する操作は、例えば、一の断面画像の断面画像識別情報を入力する操作や、一の断面画像の取得位置や配列順番を示す情報を入力する操作や、一の断面画像のファイル等をマウス等で選択する操作等である。この断面画像を指定する操作で指定された断面画像を、ここでは、指定断面画像と呼ぶ。なお、予め指定された操作(例えば、画像処理装置1を起動させる操作)等が行われた場合に、デフォルト等によって予め指定されている一の断面画像を読み出すよう設定されている場合、この予め指定された操作の受け付けを、一の断面画像を指定する操作を受け付けることと考えても良い。また、操作受付部12は、指定断面画像を変更する操作を更に受け付けてもよい。指定断面画像を変更する操作は、例えば、直前に指定されている断面画像と異なる断面画像を指定する操作である。
【0029】
ここでの操作の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。操作の入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でも良い。操作受付部12は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現される。かかることは、関心領域操作受付部13についても同様である。
【0030】
関心領域操作受付部13は、操作受付部12が受け付けた操作により指定された一の断面画像(指定断面画像)に、関心領域を設定するための操作を受け付ける。関心領域(ROI)とは、例えば、断面画像内の、ユーザが興味を有する領域である。関心領域は、観察や監視等の対象となる領域と考えても良い。一の関心領域は、不連続な領域で構成されていても良い。不連続な領域とは、断面画像における、各領域が一の画素または隣接した2以上の画素で構成される複数の領域であって、異なる領域を構成する画素同士が全く隣接していない領域である。
【0031】
関心領域操作受付部13が受け付ける一の関心領域を設定する操作は、例えば、断面画像に対して一の関心領域とする領域を指定する操作である。関心領域操作受付部13は、例えば、操作受付部12が受け付けた操作により指定された一の断面画像に対して、ユーザが設定しようとする1以上の関心領域ごとに、領域を指定する操作を受け付ける。領域を指定する操作は、例えば、断面画像上の画素で構成される領域の輪郭を指定する操作である。例えば、領域の輪郭となる矩形や円形や自由形状等の画素を指定する操作や、輪郭となる多角形の頂点の画素を指定する操作である。輪郭を指定する操作は、輪郭を構成する画素間の境界線を指定する操作であっても良い。また、領域を指定する操作は、一の断面画像を構成する画素のうちの、一の関心領域に含めようとする画素をカーソル等で指定していく操作であってもよい。
【0032】
また、関心領域操作受付部13は、例えば、断面画像について予め設定された1以上の領域の中から、一の関心領域に設定したい1以上の領域を指定する操作を、関心領域ごとに受け付けても良い。予め設定された複数の不連続な領域は、上述したような操作受付部12が受け付けた操作によって指定された領域であっても良いし、断面画像から、画素の色の値、あるいは画素に対応付けられた測定取得値が、予め指定された閾値以上である連続した画素の群を、それぞれ不連続な領域として自動選択することにより設定された1以上の領域であっても良い。
【0033】
関心領域操作受付部13は、例えば、関心領域を変更する操作を受け付ける。関心領域操作受付部13は、一の断面画像に設定されている関心領域を変更する操作を受け付ける。関心領域を変更する操作とは、例えば、関心領域の位置、サイズ、または形状のうちの1以上を変更する操作である。関心領域を変更する操作は、例えば、関心領域の輪郭の形状やサイズや位置を変更する操作や、関心領域に含まれる画素を減らしたり、関心領域に新たな画素を追加する操作である。
【0034】
なお、操作受付部12が受け付けた操作により指定された一の断面画像を、後述する表示部19が、図示しないモニタ等に表示するようにし、関心領域操作受付部13は、この表示された断面画像に対して、関心領域を指定する操作や、関心領域を変更する操作を受け付けるようにすることが好ましい。
【0035】
関心領域設定情報蓄積部14は、指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報を取得して、後述する関心領域設定情報格納部15に蓄積する。関心領域設定情報は、関心領域を定義する情報と考えても良い。関心領域設定情報は、例えば、一の関心領域に含まれる全ての画素の識別情報(例えば、座標値)を一群としてまとめて有する情報である。また、関心領域設定情報は、一の関心領域の輪郭を示す情報を有していても良い。輪郭を示す情報は、例えば、関心領域の輪郭を示す1以上の画素の識別情報である。あるいは、輪郭を示す情報は、関心領域とその他の領域との境界線を示す情報であっても良い。関心領域設定情報蓄積部14は、関心領域設定情報と、この関心領域設定情報が示す関心領域の識別情報とを蓄積しても良い。関心領域の識別情報は、例えば、予め指定されたルール等に応じて生成される。また、関心領域が設定される断面画像の識別情報を取得しても良い。例えば、関心領域設定情報蓄積部14は、関心領域設定情報と、この関心領域設定情報が示す関心領域の識別情報またはこの関心領域が設定される断面画像の識別情報の少なくとも一方とを有する管理情報を取得しても良い。
【0036】
関心領域設定情報蓄積部14は、例えば、関心領域操作受付部13が受け付けた操作によって示された領域を、関心領域に設定する関心領域設定情報を取得して蓄積する。また、関心領域設定情報蓄積部14は、指定断面画像から、画素の色の値、あるいは画素に対応付けられた測定取得値が、予め指定された閾値以上である画素の群を関心領域として自動選択して、この関心領域を示す関心領域設定情報を取得して蓄積しても良い。
【0037】
関心領域設定情報蓄積部14は、関心領域操作受付部13が受け付けた関心領域を変更する操作に応じて変更された関心領域を設定する関心領域設定情報を取得して、関心領域設定情報格納部15に蓄積しても良い。例えば、関心領域設定情報蓄積部14は、関心領域設定情報格納部15に蓄積されている変更前の関心領域設定情報を、変更された関心領域を設定する関心領域設定情報で更新する。変更前の関心領域設定情報は削除しても良いし、処理のやり直しのために、図示しない記憶媒体等に蓄積しておくようにしても良い。
【0038】
また、関心領域設定情報蓄積部14は、操作受付部12が、指定断面画像を変更する操作を受け付けた場合に、変更された指定断面画像に対して、変更前の指定断面画像の関心領域設定情報と同じ関心領域設定情報を取得して、関心領域設定情報格納部15に蓄積するようにしてもよい。同じ関心領域設定情報とは、位置、大きさ、および形状が同じ関心領域を設定する関心領域設定情報である。例えば、変更前の関心領域設定情報をそのまま変更後の指定断面画像の関心領域設定情報として取得しても良い。
【0039】
関心領域設定情報蓄積部14は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。関心領域設定情報蓄積部14の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0040】
関心領域設定情報格納部15には、1以上の関心領域設定情報が格納される。関心領域設定情報格納部15には、例えば、関心領域設定情報蓄積部14が取得した関心領域設定情報が蓄積されても良い。また、関心領域設定情報格納部15には、予め関心領域設定情報が蓄積されていても良い。また、図示しない格納部等に予め格納されている関心領域設定情報の中から読み出された1以上の関心領域設定情報が一時記憶されても良い。関心領域設定情報格納部15には、関心領域設定情報と、この関心領域設定情報が示す関心領域の識別情報、または、この関心領域設定情報が示す関心領域が設定された断面画像の識別情報の少なくとも一方とが、対応付けられ蓄積されても良い。関心領域設定情報格納部15には、少なくとも、指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する関心領域設定情報が格納されればよい。ここでの格納とは、例えば、一時記憶も含む概念である。例えば、関心領域操作受付部13が受け付けた操作によって示された領域を示す関心領域設定情報を、関心領域設定情報蓄積部14が取得して、この関心領域設定情報を、関心領域設定情報蓄積部14が関心領域設定情報格納部15に一時記憶しても良い。関心領域設定情報格納部15は、不揮発性の記憶媒体や揮発性の記憶媒体により実現可能である。
【0041】
評価値取得部16は、指定断面画像の関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を、測定値を用いて取得し、かつ、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する。
【0042】
ここでは、まず、評価値取得部16が、指定断面画像の関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を取得する処理に関して説明する。
【0043】
評価値とは、各関心領域を評価するための値である。評価値は、ユーザが各関心領域を評価するために用いる値と考えても良い。ここでの評価とは、例えば、各関心領域が病変の箇所を含む関心領域であるか否かを判断することである。測定値とは、断面画像を得るために行われた測定により得られた値である。例えば、PET画像においては、測定値は、トレーサ等の濃度や蓄積量である。測定値を用いて評価値を取得する、ということは、例えば、関心領域の各画素に対応する測定値を用いて評価値を取得することである。測定値を用いて評価値を取得する、ということは、例えば、評価値の補正値を用いて評価値を取得することや、測定値に対応する画素の色の値を用いて評価値を取得することも含む概念である。測定値を用いて評価値を取得するということは、例えば、上述した測定取得値、即ち測定値または測定値の補正値等を用いて評価値を取得するということである。評価値取得部16は、例えば、各関心領域に含まれる画素に対応付けられた測定取得値を用いて評価値を取得する。評価値は、例えば、各関心領域に含まれる画素に対応付けられた測定取得値の平均値や、最大値、最小値、標準偏差等である。また、断面画像においては、各画素の色の値は評価値に対応しているため、評価値は、各関心領域に含まれる画素の色の値の平均値や、最大値、最小値、標準偏差等であってもよい。どのような評価値を取得するかについては、測定取得値がどのような測定の種類によって取得された値であるかということや、ユーザがどのような評価を行うか等により決定されるようにしても良い。また、一の関心領域から、異なる2以上の種類の評価値を取得してもよい。
【0044】
評価値取得部16は、例えば、各関心領域に含まれる1以上の画素に対応する測定取得値を用いて評価値を取得する。画素に対応する測定取得値とは、例えば、上述したような各画素の色の値と対応付けられている測定取得値や、各画素自身と対応付けられた測定取得値である。各画素自身と測定取得値が対応付けられているとは、例えば、各断面画像と各画素の座標と測定取得値とを対応付けて有する測定取得値管理情報が、図示しない記憶媒体等に蓄積されていることである。画素に対応する測定取得値を用いて評価値を取得するということは、例えば、各関心領域に含まれる各画素の色の値に対応する測定取得値を取得して、この測定取得値を用いて評価値を取得することや、各関心領域に含まれる各画素自身と対応付けられた(具体的には、各画素の座標と対応付けられた)測定取得値を取得して、この測定取得値を用いて評価値を取得することである。
【0045】
例えば、各関心領域に含まれる各画素の色の値に対応する測定取得値を取得して、この測定取得値を用いて評価値を取得する場合、評価値取得部16は、まず、予め用意されている断面画像の各画素の色の値と、集積したトレーサ等の量や濃度を示す測定取得値とを対応付けた情報等から、各画素の色の値に対応した測定取得値を取得する。この情報としては、測定取得値から画素の色の値を取得する際に用いた変換テーブルと同様のものが利用可能である。あるいは、評価値取得部16は、各画素の色の値から、予め用意されている画素の色と測定取得値との対応関係を示す演算式等を用いて、これらの測定取得値を取得しても良い。この演算式は、測定取得値から画素の色の値を算出する際に利用した変換式が行う変換の逆変換を行う変換式が利用可能である。各画素の色の値と、測定取得値とが、比例関係にある場合、評価値取得部16は、各画素の色の値に比例する測定取得値を取得しても良い。そして、このようにして取得した各関心領域を構成する各画素の測定取得値を用いて、評価値(例えば、測定取得値の最大値等)を各関心領域ごとに取得する。
【0046】
また、測定取得値管理情報等によって、断面画像の各画素自身と測定取得値とが対応付けられている場合、評価値取得部16は、各関心領域に含まれる各画素自身と対応付けられた測定取得値を取得して、これらの測定取得値を用いて最大値等の評価値を取得してもよい。例えば、各断面画像を構成する各画素の座標と測定取得値とを対応付けて有する測定取得値管理情報が、断面画像格納部11に格納されている場合、評価値取得部16は、各関心領域に含まれる各画素の座標に対応する測定取得値を測定取得値管理情報から各関心領域ごとに取得する。そして、各関心領域ごとに取得した測定取得値を用いて、各関心領域の評価値(例えば、測定取得値の最大値等)を取得する。
【0047】
評価値取得部16は、断面画像がPET画像等である場合、例えば、一の関心領域に含まれる各画素に対応付けられた測定取得値であるSUVを用いて評価値を取得する。PET画像においては、通常、各関心領域についての評価値として、各関心領域に含まれる複数の画素にそれぞれ対応するSUVのうちの最大値が用いられる。
【0048】
つぎに、評価値取得部16が、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を、測定値を用いて取得する処理について説明する。
【0049】
指定断面画像以外の1以上の断面画像とは、断面画像格納部11に格納されている指定断面画像以外の1以上の断面画像である。指定断面画像以外の1以上の断面画像は、具体的には、指定断面画像を取得した生体と同じ生体について予め指定された方向における指定断面画像が取得された位置とは異なる1以上の位置において取得された1以上の断面画像である。例えば、指定断面画像と同じ生体の識別情報が対応付けられた断面画像である。
【0050】
指定断面画像以外の1以上の断面画像は、指定断面画像を取得した生体と同じ生体について取得された1以上の断面画像のうちの、全ての断面画像であっても良いし、一部の断面画像であっても良い。一部の断面画像とは、例えば、デフォルトまたはユーザ等により指定された数や、全ての断面画像数に対する予め指定された比率の断面画像である。
【0051】
指定断面画像以外の1以上の断面画像は、ユーザが指定する範囲内の断面画像であっても良い。範囲を指定する情報の入力は、例えば、操作受付部12等が受け付けるようにしても良い。ここでの範囲を指定する情報は、例えば、範囲の始点となる断面画像の識別情報と、終点となる断面画像の識別情報とを有する情報であっても良いし、始点または終点の断面画像の識別情報と、範囲に含まれる断面画像(指定断面画像も含む)の数を示す情報とを有する情報であっても良い。また、指定断面画像の前後の断面画像の数を指定する情報であっても良いし、指定断面画像を予め指定された位置に設定した場合(例えば、範囲の中心に設定した場合)における、範囲内の断面画像数を指定する情報であっても良い。
【0052】
指定断面画像以外の1以上の断面画像とは、例えば、配列順番が指定断面画像の近傍である1以上の断面画像である。
【0053】
指定断面画像以外の1以上の断面画像は、配列順番が指定断面画像に対して連続している1以上の断面画像とすることが好ましい。つまり、評価値取得部16は、配列順番が指定断面画像に対して連続している1以上の断面画像について関連評価値を取得することが好ましい。
【0054】
また、指定断面画像以外の1以上の断面画像は、配列順番が、指定断面画像の前または後のいずれか一方の1以上の指定断面画像であっても良いし、前および後の2以上の指定断面画像であっても良い。ここでの前および後は、上記の予め指定された方向に対する前および後を意味する。例えば、評価値取得部16が取得する指定断面画像以外の1以上の断面画像は、指定断面画像を中心としたその前後に連続する予め指定された数の断面画像である。
【0055】
関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域とは、例えば、関心領域設定情報が示す各関心領域に対して、大きさ、位置、および形状が同じとなる断面画像上の領域である。ここでの位置は、断面画像内における相対的な位置(座標)と考えても良い。なお、断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域は、この断面画像の取得された位置が、指定断面画像が取得された位置から離れるほど、連続的に、あるいは段階的に、大きさが縮小されるようにしても良い。このようにすることで、指定断面画像に設定された関心領域が、病変の中心であるか否かをより確実に判断することが可能となる。
【0056】
関連評価値は、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域に対応する各領域を評価するための値であり、断面画像が指定断面画像と異なる点と、値の取得対象となる領域が、関心領域に対応する領域である点を除けば、上記の評価値と同様の値である。例えば、断面画像が、PET画像である場合、関連評価値は、領域内の画素に対応するSUV値の最大値である。評価値取得部16は、上記の評価値と同様にして、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域に対応する各領域について関連評価値を取得する。各領域についての関連評価値を測定値に応じて取得する処理は、上述した各関心領域について評価値を取得する処理と同様であるので、ここでは詳細な処理は説明する。なお、ここでの測定値に応じて取得とは、上記の評価値を取得する場合と同様に、例えば、測定値を補正した値を用いて関連評価値を取得することや、測定値に対応する画素の色の値を用いて関連評価値を取得することも含む概念である。
【0057】
また、例えば、関心領域設定情報蓄積部14が、関心領域操作受付部13が受け付けた操作等に応じて変更された関心領域の関心領域設定情報を取得して関心領域設定情報格納部15に蓄積した場合(例えば、更新した場合)、評価値取得部16は、変更された関心領域についての評価値および関連評価値を取得する。例えば、評価値取得部16は、関心領域設定情報格納部15に格納されている更新された関心領域設定情報を用いて、変更された関心領域についての評価値および関連評価値を取得する。つまり、評価値取得部16は、指定断面画像の変更された関心領域について評価値を取得し、かつ、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、変更された関心領域に対応する各領域について関連評価値を取得する。変更された関心領域とは、例えば、変更する操作が行われた関心領域について関心領域設定情報蓄積部14が取得して関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報が示す関心領域である。
【0058】
また、例えば、操作受付部12が受け付けた操作に応じて指定断面画像が変更された場合、評価値取得部16は、変更された指定断面画像とそれ以外の1以上の断面画像について、評価値および関連評価値を取得することが好ましい。つまり、評価値取得部16は、変更された指定断面画像の各関心領域について評価値を取得し、かつ、変更された指定断面画像以外の1以上の断面画像の、各関心領域に対応する各領域について関連評価値を取得する。
【0059】
評価値取得部16は、上記で取得した評価値と1以上の関連評価値とを、これらを取得した指定断面画像と1以上の断面画像とにそれぞれ対応付けて図示しない記憶媒体等に蓄積する。例えば、評価値および関連評価値と、これらを取得した指定断面画像および断面画像の識別情報とを有する情報を蓄積する。あるいは、評価値取得部16は、上記で取得した評価値と1以上の関連評価値とを、各関心領域ごとに、これらを取得した指定断面画像と1以上の断面画像とにそれぞれ対応付けて図示しない記憶媒体等に蓄積してもよい。例えば、関心領域の識別情報と、評価値および関連評価値と、これらを取得した指定断面画像および断面画像の識別情報とを有する情報を蓄積する。評価値取得部16は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。評価値取得部16の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0060】
出力部17は、評価値取得部16が取得した評価値と関連評価値とを、評価値に対応する指定断面画像と、関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する。例えば、出力部17は、評価値取得部16が取得した評価値および関連評価値と、これらを取得した指定断面画像および断面画像の識別情報とを有する情報を出力する。あるいは、出力部17は、評価値取得部16が取得した評価値と関連評価値とを、各関心領域ごとに、評価値に対応する指定断面画像と、関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力してもよい。例えば、出力部17は、評価値取得部16が取得した関心領域の識別情報と、評価値および関連評価値と、これらを取得した指定断面画像および断面画像の識別情報とを有する情報を出力してもよい。
【0061】
出力部17は、例えば、評価値および関連評価値を棒グラフで出力する。例えば、評価値および関連評価値の値を棒の長さで示した棒グラフを出力する。出力部17は、例えば、評価値および関連評価値を示す棒を、これらの評価値および関連評価値に対応する指定断面画像および断面画像の配列順番に沿って並べた棒グラフを出力する。断面画像が、生体の高さ方向(例えば、人体の身長方向)の異なる位置において取得された、高さ方向に垂直な断面の画像である場合、この棒グラフは、棒の長さ方向を水平方向として、棒を、指定断面画像および断面画像の配列順番に沿って縦方向並べたものとすることが、グラフの各棒の高さ位置が、生体の高さ方向の位置と対応するため、グラフの値と、生体の高さ位置との関係が把握しやすくなる点で好ましい。また、出力部17は、評価値および関連評価値を棒グラフ以外のグラフや色の明暗や色調、あるいは数値で出力しても良い。例えば、出力部17は、評価値および関連評価値であるSUV値の最大値を、数値で出力しても良い。なお、出力部17は、評価値および関連評価値を棒グラフと数値との両方で出力など、複数の表示法を組み合わせて出力しても良い。つまり、出力部17は、評価値および関連評価値を棒グラフを含む各種グラフや色の明暗や色調または数値の少なくとも一つで出力するようにしてよい。また、最大値を示す棒グラフや数値は表示色を反転させても良い。
【0062】
出力部17は、評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力を行うようにしてもよい。出力部17は、関心領域ごとに、評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力を行うようにしてもよい。指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力とは、指定断面画像または断面画像の識別情報、または、指定断面画像または断面画像に対応する画像等が強調されるよう出力することである。強調されるように出力するということは、評価が最大となる評価値または関連評価値と、それ以外の評価値または関連評価値との出力態様を異なる出力態様とすることである。出力態様とは、例えば、文字や図形の色や形状、パターン、サイズ、輪郭色、背景色、背景パターン等である。出力が表示である場合、出力態様は、表示態様と考えても良い。例えば、上記のように、棒グラフを表示する場合、評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力を行うということは、評価が最大となる評価値を示す棒を、他の棒に対して異なる表示態様で表示すること(例えば、異なる色の棒で表示すること)である。これにより、どの断面画像に評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた指定断面画像または断面画像があるかが判断できるため、関連領域を設定する位置が適切な位置であるかの判断に有効な手がかりをユーザに提供できる。なお、評価が最大となる評価値または関連評価値とは、例えば、評価が病変が進んでいるか否かの評価である場合、病変が最も進んでいることを示す値を有する評価値または関連評価値を意味する。また、評価が最大となる評価値または関連評価値とは、例えば、評価が正常な箇所であるか否かの評価である場合、最も正常な箇所であることを示す値を有する評価値または関連評価値を意味する。評価値が、評価が高いほど値が大きくなる値であれば、評価が最大となる評価値とは、例えば、値の最も大きい評価値である。また、評価値が、評価が高いほど値が小さくなる値であれば、評価が最大となる評価値とは、例えば、値の最も小さい評価値である。
【0063】
ここで述べる出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印字、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0064】
出力部17は、ディスプレイ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部17は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0065】
関心領域設定情報出力部18は、関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報を出力する。例えば、関心領域設定情報蓄積部14が取得して蓄積した関心領域設定情報を出力する。例えば、操作受付部12等を介して受け付けた指示に応じて、関心領域設定情報を出力する。例えば、関心領域設定情報出力部18は、関心領域設定情報と、関心領域の識別情報または関心領域が設定された断面画像の識別情報の少なくとも一方とを対応付けて有する情報を出力しても良い。ここで述べる出力とは、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。例えば、関心領域設定情報出力部18は、関心領域設定情報が格納される格納部(図示せず)等に、関心領域設定情報を蓄積する。この格納部は、例えば、記憶媒体等により実現される。なお、関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報を、画像処理装置1によって最終的に設定された各断面画像についての関心領域の関心領域設定情報として用いる場合、この関心領域設定情報出力部18や、この出力処理等は省略しても良い。
【0066】
関心領域設定情報出力部18は、出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部17は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
【0067】
表示部19は、断面画像格納部11に格納されている断面画像を図示しないモニタ等に表示する。例えば、表示部19は、指定断面画像を表示する。表示部19は、上記出力部17が評価値や関連評価値を出力するモニタと同じモニタの異なる領域に指定断面画像等の断面画像を表示しても良い。また、表示部19は、断面画像上に、関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報が示す関心領域を表示しても良い。表示部19は、表示デバイスを含むと考えても良いし、含まないと考えても良い。出力部17は、表示デバイスのドライバーソフト、または、表示デバイスのドライバーソフトと表示デバイス等で実現され得る。
【0068】
次に、画像処理装置1の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
(ステップS201)操作受付部12は、断面画像格納部11に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS201に進み、受け付けていない場合、ステップS201に戻る。
【0070】
(ステップS202)表示部19は、ステップS201で指定された断面画像を表示する。この断面画像が指定断面画像である。
【0071】
(ステップS203)関心領域操作受付部13は、指定断面画像に対して関心領域を設定する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS204に進み、受け付けていない場合、ステップS205に進む。
【0072】
(ステップS204)関心領域設定情報蓄積部14は、ステップS203で受け付けた操作が示す関心領域を設定する関心領域設定情報を取得する。そして、取得した関心領域設定情報を、関心領域設定情報格納部15に蓄積する。そして、ステップS206に進む。
【0073】
(ステップS205)関心領域設定情報蓄積部14は、1以上の関心領域が設定されているか否かを判断する。例えば、1以上の関心領域設定情報が関心領域設定情報格納部15に格納されているか否かを判断し、格納されていれば設定されていると判断し、格納されていなければ設定されていないと判断する。設定されている場合、ステップS206に進み、格納されていない場合、S203に戻る。
【0074】
(ステップS206)操作受付部12は、各関心領域についての評価値および関連評価値を取得する断面画像の範囲を指定する操作を受け付けたか否かを判断する。ここでは指定断面画像も断面画像と考える。範囲を指定する操作を受け付けた場合、ステップS207に進み、受け付けていない場合、ステップS203に戻る。
【0075】
(ステップS207)評価値取得部16は、カウンターmの値に1を代入する。
【0076】
(ステップS208)評価値取得部16は、指定断面画像にm番目の関心領域が設定されているか否かを判断する。例えば、ステップS204で関心領域設定情報格納部15に蓄積した関心領域設定情報に、m番目の関心領域設定情報があるか否かを判断し、ある場合、関心領域が設定されていると判断し、ない場合、設定されていないと判断する。設定されている場合、ステップS209に進み、ない場合、ステップS215に進む。
【0077】
(ステップS209)評価値取得部16は、カウンターnの値に1を代入する。
【0078】
(ステップS210)評価値取得部16は、ステップS206で設定した範囲内の断面画像の中に、n番目の断面画像があるか否かを判断する。ここでは指定断面画像も断面画像と考える。ある場合、ステップS211に進み、ない場合、ステップS214に進む。
【0079】
(ステップS211)評価値取得部16は、n番目の断面画像の、m番目の関心領域に対応する領域から、関連評価値を取得する。なお、n番目の断面画像が、指定断面画像の場合、m番目の関心領域から評価値を取得する。
【0080】
(ステップS212)評価値取得部211は、ステップS211で取得した関連評価値を、n番目の断面画像の識別情報と対応付けて、図示しない記憶媒体等に一時記憶する。なお、n番目の断面画像が指定断面画像である場合、ステップS211で取得した評価値と、この指定断面画像の識別情報とを対応付けて一時記憶する。
【0081】
(ステップS213)評価値取得部211は、カウンターnの値を1インクリメントする。そして、ステップS210に戻る。
【0082】
(ステップS214)評価値取得部211は、カウンターmの値を1インクリメントする。そして、ステップS208に戻る。
【0083】
(ステップS215)出力部17は、ステップS212で一時記憶した評価値と関連評価値とを、断面画像の識別情報と指定断面画像の識別情報とに対応付けて出力する。例えば、図示しないモニタ等に表示する。
【0084】
(ステップS216)操作受付部12は、指定断面画像を変更する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS217に進み、受け付けていない場合、ステップS218に進む。
【0085】
(ステップS217)表示部19は、ステップS216で受け付けた操作が示す指定断面画像を表示する。例えば、ステップS216で受け付けた操作が示す指定断面画像で、直前に表示されていた指定断面画像の表示を更新する。そして、ステップS207に進む。なお、ここでは、直前に表示されていた指定断面画像に設定されていた関心領域が、変更された指定断面画像の関心領域となる。例えば、直前の指定断面画像に設定された関心領域設定情報が、変更後の指定断面画像の関心領域設定情報として用いられる。
【0086】
(ステップS218)関心領域操作受付部13は、指定断面画像に設定されている関心領域を変更する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS219に進み、受け付けていない場合、ステップS220に進む。
【0087】
(ステップS219)関心領域設定情報蓄積部14は、ステップS218で受け付けた操作に応じて関心領域設定情報を変更する。具体的には、変更したい関心領域設定情報で、関心領域設定情報格納部15に現在の指定断面画像に対応付けられて格納されている関心領域設定情報を更新する。例えば、関心領域が、ステップS218で受け付けた操作が示す大きさや形状や位置となるよう、関心領域設定情報を変更する。これにより関心領域の大きさや形状や位置等が変更される。なお、ステップS219の後のステップS208から、ステップS214までの処理は、変更があった関心領域についてのみ行うようにしても良い。そして、変更があった関心領域についての評価値と関連評価値の出力だけを、ステップS215で更新するようにしても良い。
【0088】
(ステップS220)操作受付部13は、各関心領域についての評価値および関連評価値を取得する対象となる断面画像の範囲(即ち断面画像の配列順番の範囲)を変更する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS207に進み、受け付けていない場合、ステップS221に戻る。
【0089】
(ステップS221)操作受付部12は、関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報の出力を指示する操作を受け付けたか否かを判断する。受け付けた場合、ステップS222に進み、受け付けていない場合、ステップS223に進む。
【0090】
(ステップS222)関心領域設定情報出力部18は、関心領域設定情報格納部15に格納されている関心領域設定情報を出力する。例えば、図示しない関心領域設定情報格納部等に蓄積する。そして、ステップS216に戻る。
【0091】
(ステップS223)操作受付部12は、現在表示されている指定断面画像に対する関心領域を設定する処理を終了するか否かを判断する。例えば、操作受付部12は、背手値する処理を終了する操作を受け付けたか否かを判断する。終了する場合、現在表示されている指定断面画像の表示を終了して、ステップS201に戻り、終了しない場合、ステップS216に戻る。
【0092】
なお、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
【0093】
以下、本実施の形態における画像処理装置1の具体的な動作について説明する。ここでは、断面画像格納部11には、断面画像として、患者の腹部を、頭部側から脚部側に向かって所定の間隔で移動しながら、身長方向と垂直な断面で撮影した複数のPET画像が格納されているものとする。ここでは、一例として、断面画像の各画素の色の値(例えば、色相値や輝度値等)としては、生体内のトレーサの濃度の測定値を補正して得られた値であるSUV(standard uptake value)値と比例した値が設定されているものとする。SUVが、ここでは、上述した測定取得値に相当する。なお、ここでは更に、各断面画像の各画素の座標と、測定取得値であるSUVの値とを有する情報である測定取得値管理情報が、断面画像格納部11に格納されているものとする。
【0094】
図3は、断面画像格納部11に格納されている断面画像を管理する断面画像管理情報である。断面画像管理情報は、「断面管理ID」と、「被検者ID」と、「取得位置」と、「断面画像」という項目を有している。「断面管理ID」は、断面画像管理情報の各レコード(行)を管理するための識別情報である。「被検者ID」は、断面画像の撮影対象となった被検者の識別情報であり、ここでは、被検者に割り当てられている文字列(数字を含む)であるとする。「取得位置」は、断面画像の取得位置を示す識別情報である。「取得位置」は、ここでは、取得位置の順番を示す情報としても用いられ、「取得位置」は、「0001」から始まる整数の連続した番号である。値の小さいものほどより頭部側に近い位置で撮影された画像であることを示している。「取得位置」の値は、例えば、被検者が異なっていれば、重複した値を有していても良い。「断面画像」は、断面画像であり、ここでは、断面画像のファイル名を示している。
【0095】
まず、ユーザが、「被検者ID」が「PA012553」である患者の断面画像に対して、関心領域を設定するために、「被検者ID」が「PA012553」で、「取得位置」が「0005」であるレコード(行)の「断面画像」である「0508005.jpg」をモニタに表示する操作を、操作受付部12に対して行ったとすると、操作受付部12は、この断面画像を表示する操作を受け付け、表示部19は、この断面画像「0508005.jpg」を断面画像格納部11から読み出して、モニタに表示する。
【0096】
図4は、表示部19による断面画像「0508005.jpg」の表示例を示す図である。この図に示した断面画像が、指定断面画像50である。
【0097】
次に、ユーザ(例えば、医師等)が、メニュー等を操作して、関心領域を設定するための領域を指定するために用いられるカーソルを表示させ、関心領域に設定しようとする領域を指定する操作を行ったとする。例えば、ユーザが、マウスボタンをクリックした状態で、図4に示した断面画像上の、関心領域に設定しようとする領域の周囲を移動させると、このカーソルが移動した部分を輪郭とした領域が指定される。この輪郭の情報は、図示しないメモリ等の記憶媒体等に一時記憶される。
【0098】
図5は、表示部19による表示例を示す図であり、指定断面画像「0508005.jpg」上に指定された領域51を示す図である。この図においては、説明のため、指定断面画像50上の領域51を点線で示している。また、ここでは領域51は、予め指定された色がオーバーレイ表示される。この色は、指定断面画像50に割り当てられる色とは、色相や輝度等が明確に異なる色等が好ましい。
【0099】
上記のように領域を指定したうえで、ユーザが、図4に示すような予め用意されている「ROI設定」ボタン41を、マウス等を操作して押したとすると、関心領域操作受付部13が、上記で指定した領域を関心領域に設定する操作を受け付ける。関心領域設定情報蓄積部14は、上記で指定された領域を関心領域に設定する関心領域設定情報を取得する。関心領域設定情報蓄積部14が設定する関心領域設定情報は、ここでは、例えば、関心領域に含まれる全ての画素の座標の集合であるとする。そして、関心領域設定情報蓄積部14は、取得した関心領域設定情報を、関心領域設定情報格納部15に蓄積する。関心領域設定情報格納部15に蓄積される関心領域には、例えば、予め指定されたルールに従って、関心領域の識別情報が付与される。例えば、断面画像の「取得位置」の値「0005」と、この断面画像に設定された関心領域の順番を示す連番、ここでは「1」とを、「−」(ハイフォン)でつないだ識別情報「0005−1」が付与される。
【0100】
図6は、関心領域設定情報格納部15に蓄積された関心領域設定情報を管理する関心領域管理情報を示す図である。関心領域管理情報は、「断面管理ID」と、「関心領域ID」と、「関心領域設定情報」という項目を有している。「断面管理ID」は、図3の「断面管理ID」に対応する。ここでの「断面管理ID」は、関心領域が設定された断面画像を識別するための情報として用いられる。「関心領域ID」は、上述した関心領域の識別情報である。「関心領域設定情報」は、関心領域設定情報である。なお、この具体例においては、座標(x11,y11)等は、断面画像上の一の座標を示す座標値であるとする。
【0101】
なお、ここでは、説明を簡単にするために、この断面画像に対して一の関心領域だけを設定する場合について説明するが、上記と同様の処理を繰り返すことで、一の断面画像に複数の関心領域を設定しても良い。
【0102】
ここで、例えば、ユーザが画像処理装置1を操作して、図5に示したような断面画像(指定断面画像)を表示する画面において、評価値および関連評価値を取得するための断面画像の範囲を指定するための数値を、入力フィールド55に入力したとする。ここでの入力した数値が「3」であったとする。この数値によって、現在表示されている指定断面画像の前に連続した3枚の断面画像と、後に連続した3枚の断面画像とを関連評価値の取得対象となる断面画像に指定したこととなる。そして、ユーザが、「前後ナビ」ボタン56を押したとすると、操作受付部12が、評価値または関連評価値を取得するための断面画像の範囲を指定するための操作を受け付け、評価値取得部16は、上記で指定された範囲内の断面画像と指定断面画像とから関連評価値および評価値を取得する処理を開始する。
【0103】
図7は、断面画像格納部11に格納されている各断面画像の各画素の座標と、測定取得値であるSUVの値とを有する情報である測定取得値管理情報を示す図である。測定取得値管理情報は、ここでは、断面画像格納部11に格納されているものとする。測定取得値管理情報は、「断面管理ID」と「x座標」と「y座標」と「測定取得値」という項目を有している。「断面管理ID」は、図3等の「断面管理ID」と同様のものである。「x座標」と「y座標」とは、「断面管理ID」に対応する断面画像の各画素のx座標とy座標である。なお、ここでの座標の値は、一例として、ピクセルを単位とした値であるとする。「測定取得値」は、各画素に対応する測定取得値であり、ここでは、SUV値である。
【0104】
評価値取得部16は、図3に示した断面画像管理情報から、指定断面画像(ここでは、現在表示されている断面画像)の「取得位置」である「0005」を読み出し、この「取得位置」の値から「0003」を減算した値「0002」と、「0003」を加算した値「0008」とを取得する。そして、以下に示すように、「取得位置」が「0002」から「0008」までの断面画像のそれぞれの、図6に示した「関心領域設定情報」が示す関心領域(断面画像が指定断面画像である場合)、またはこの関心領域に対応する領域(断面画像が指定断面画像でない場合)から、評価値または関連評価値を取得する。ここでは、各断面画像の、「関心領域設定情報」が示す各座標と同じ座標の画素で構成される領域を、各断面画像の関心領域に対応する領域と考える。
【0105】
まず、評価値取得部16は、「取得位置」が「0002」である断面画像内の、図6に示した関心領域管理情報のうちの、現在の指定断面画像に設定されている関心領域に対応する関心領域管理情報の「関心領域設定情報」が示す各座標に対応するSUV値の最大値を取得する。
【0106】
具体的には、評価値取得部16は、現在の指定断面画像に対応する「断面管理ID」、即ち、図3に示した断面画像管理情報の各レコード(行)のうちの、「取得位置」が「0005」であるレコードの「断面管理ID」である「S10005」を取得する。そして、図6に示した関心領域管理情報の「断面管理ID」が「S10005」であるレコードの一つから、「関心領域設定情報」の値(ここでは、座標群)を取得する。なお、ここでは、現在の指定断面画像に設定されている関心領域が一つだけであるので、「断面管理ID」が「S10005」である関心領域管理情報のレコードも一つであるため、このレコードの「関心領域設定情報」の値を取得する。
【0107】
つぎに、評価値取得部16は、「取得位置」が「0002」である断面画像の「断面管理ID」である「S10002」を図3に示した断面画像管理情報から取得する。そして、図7に示した測定取得値管理情報の、「断面管理ID」が「S10002」である複数のレコードのうちの、上記で現在の指定断面画像について取得した「関心領域設定情報」の値が示す各座標と一致する「x座標」と、「y座標」との組を有する各レコードの「測定取得値」の値を取得し、取得した値同士を比較して、「測定取得値」の最大値を関連評価値として取得する。取得したSUV値の最大値と、「取得位置」と、「断面管理ID」とを対応付けて図示しない記憶媒体等に一時記憶する。例えば、SUV値の最大値が「4.6」であったとすると、この値と、取得位置「0002」と、断面管理ID「S10002」とを対応付けて図示しない記憶媒体に一時記憶する。なお、「取得位置」が「0005」である断面画像について取得したSUV値の最大値が評価値である。なお、指定断面画像に設定されている関心領域が複数である場合、「断面管理ID」が「S10005」である関心領域管理情報のレコードが複数であるため、各レコードの「関心領域設定情報」の値を順次取得して、上記と同様の処理をくり返し行い、各関心領域ごとに、上記と同様の評価値および関連評価値を取得する。
【0108】
同様にして、評価値取得部16は、「取得位置」が「0003」から「0008」までの断面画像についても、順次、上記と同様にSUV値の最大値を取得し、取得したSUV値の最大値を、各断面画像に対応する「取得位置」と、「断面管理ID」とに対応付けて、図示しない記憶媒体に蓄積する。
【0109】
図8は、評価値取得部16が図示しない記憶媒体に蓄積した評価値または関連評価値を管理する評価値管理情報を示す図である。評価値管理情報は、「取得位置」、「断面管理ID」、「評価値」という項目を有している。「評価値」は、評価値または関連評価値である。
【0110】
出力部17は、評価値取得部16が取得した評価値または関連評価値を、「取得位置」と対応付けて、画像処理装置1の図示しないモニタに表示する。ここでは、評価値または関連評価値の値に対応した長さの棒を、取得位置を表す項目名(ここでは取得位置ID)と対応付けた棒グラフを表示する。この場合の「取得位置ID」は、断面画像を識別する情報と考えても良い。
【0111】
図9は、出力部17による出力例を示す図であり、ここでは、出力部17は、評価値取得部16が断面画像から取得した評価値または関連評価値を示す棒グラフ91を、図示しないモニタ等に表示する。棒グラフの各棒に対応する項目名92は、各評価値または関連評価値を取得した指定断面画像または断面画像に対応する「取得位置ID」を示す。なお、項目名92として、「取得位置ID」を用いる代わりに「断面管理ID」を用いるようにしても良い。また、出力部17は、図8に示した評価値管理情報において、評価が最大であることを示すレコード、ここでは、「評価値」の値が最大であるレコードを検出し、上記で表示したグラフ91において、この「評価値」の値が最大であるレコードに含まれる「取得位置ID」に対応した棒の表示色を、他の棒と異なる表示色として、更に、その「評価値」の値を棒上に表示する。図9においては、指定断面画像である「取得位置」が「0005」である断面画像に対応するレコードの「評価値」の値を、この「取得位置」に対応する棒の上に表示している。これにより、結果的に、この評価が最大である評価値または関連評価値に対応する断面画像が強調されることとなる。なお、図9においては、同じモニタに、図5と同様に、表示部19により断面画像「0508005.jpg」、即ち指定断面画像50が表示されているものとする。
【0112】
そして、ユーザが、「被検者ID」が「PA012553」に対応した断面画像のうちの、「取得位置」が「0005」である断面画像(即ち指定断面画像)についてユーザが設定した関心領域設定情報を出力する操作を行うと、関心領域設定情報出力部18は、図6に示したような関心領域管理情報から、取得位置「0005」と対応する「断面管理ID」である「S10005」に対応する「関心領域設定情報」を読み出し、この「関心領域設定情報」を、「断面管理ID」である「S10005」、「被検者ID」、および「取得位置」等と対応付けて出力する。例えば、図示しない記憶媒体等に蓄積する。これにより、一の断面画像について関心領域を設定する関心領域設定情報が出力されることとなる。
【0113】
ここで、仮に、図9に示す状態で、ユーザが、指定断面画像に設定されている関心領域を変更する操作を行ったとする。例えば、図9に示すような表示画面において、関心領域の一部を削除する操作を行ったとする。例えば、関心領域内の一部の領域を選択して、この領域を関心領域から除外するコマンド等を選択したとする。
【0114】
この場合、関心領域操作受付部13は、関心領域を変更する操作(ここでは、一部を削除する操作)を受け付け、関心領域設定情報蓄積部14は、操作によって変更された関心領域を設定する関心領域設定情報を取得して、この関心領域設定情報で、関心領域設定情報格納部15に格納されている図6に示した関心領域管理情報の「関心領域設定情報」を更新する。例えば、上書きする。
【0115】
そして、評価値取得部16は、この更新された関心領域設定情報を用いて、上記と同様の処理を行って、「取得位置」が「0002」から「0008」までの断面画像の、変更後の関心領域およびこれに対応する領域から、評価値および関連評価値を取得し、この評価値と関連評価値とを用いたグラフで、図9に表示されていたグラフ91を更新する。
【0116】
図10は、出力部17による関心領域が変更された場合における評価値および関連評価値を示すグラフの出力例を示す図である。図において、グラフ93は、変更された関心領域について取得した評価値および関連評価値を示すグラフである。項目名95は、変更された項目名である。また、表示部19によって同じモニタに表示されている指定断面画像50において、領域94は、変更された関心領域を示す。このようにして、指定断面画像に設定されている関心領域が変更された場合、この変更された関心領域について評価値および関連評価値の取得および出力が行われる。
【0117】
これにより、関心領域の変更に応じて、リアルタイムに評価値および関連評価値を再取得して出力することができる。
【0118】
また、図9に示した状態で、仮に、ユーザが、指定断面画像を変更する操作を行ったとする。例えば、図9において、指定断面画像の取得位置を指定する値を入力するフィールド95の値を、「0005」から「0006」に変更することによって、指定断面画像を変更する操作を行ったとする。操作受付部12は、指定断面画像を、取得位置が「0006」である断面画像に変更する操作を受け付ける。そして、表示部19は、図3に示した断面画像管理情報から、「被検者ID」が「PA012553」で、「取得位置」が「0006」であるレコード(行)を検出し、このレコードの「断面画像」である「0508006.jpg」を、断面画像格納部11から読み出して、モニタに表示する。このとき、操作受付部12は、例えば、図6の関心領域管理情報の「関心領域設定情報」以外の値、例えば、「断面管理ID」や「関心領域ID」の値を、変更後の断面画像に対応した値、例えば、「S10006」や「0006−1」に更新する。
【0119】
評価値取得部16は、この断面画像「0508005.jpg」を指定断面画像として、指定断面画像が変更される前に入力フィールド55に入力されていた数値「0003」を用いて、現在表示されている「取得位置」が「0006」である指定断面画像の前に連続した3枚の断面画像と、指定断面画像の後に連続した3枚の断面画像と、指定断面画像とから関連評価値および評価値を取得する処理を、上記と同様に行う。即ち、取得位置が「0003」から「0009」までの範囲の各断面画像について評価値および評価値管理情報を取得する。このとき、「取得位置」が「0005」である直前の指定断面画像に関心領域を設定する関心領域設定情報を、変更後の指定断面画像に関心領域を設定する関心領域設定情報として利用する。つまり、関心領域設定情報格納部15に格納されている図6に示した関心領域設定情報を、変更後の指定断面画像の関心領域設定情報として利用する。なお、その後の処理は、上記の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0120】
これにより、指定断面画像の変更に応じて、リアルタイムに評価値および関連評価値を再取得して出力することができる。
【0121】
以上、本実施の形態によれば、指定断面画像に設定された関心領域の評価値と、他の1以上の断面画像の、関心領域に対応する領域の評価値とを比較することが可能となり、指定断面画像に設定された関心領域が適切な領域であるか否かを、他の断面画像を見なくても容易に判断すること等が可能となり、断面画像に対して適切な関心領域を容易に設定することができる。
【0122】
なお、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
【0123】
また、上記各実施の形態では、画像処理装置がスタンドアロンである場合について説明したが、画像処理装置は、スタンドアロンの装置であってもよく、サーバ・クライアントシステムにおけるサーバ装置であってもよい。後者の場合には、出力部や受付部は、通信回線を介して入力を受け付けたり、画面を出力したりすることになる。
【0124】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。
【0125】
なお、上記各実施の形態における画像処理装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、測定値を用いて生成された一の生体の断面を示す画像であって、予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の画像である複数の断面画像が、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部と、指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、にアクセス可能なコンピュータを、断面画像格納部に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付部と、操作によって指定された断面画像である指定断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を測定値を用いて取得し、かつ、指定断面画像以外の1以上の断面画像の、関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得部と、評価値取得部が取得した評価値と関連評価値とを、評価値に対応する指定断面画像と関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力部とを備えたプログラムである。
【0126】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0127】
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には含まれない。
【0128】
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0129】
図11は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による画像処理装置を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェアおよびその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
【0130】
図11において、コンピュータシステム900は、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブ905、FD(Floppy(登録商標) Disk)ドライブ906を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
【0131】
図12は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図12において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905、FDドライブ906に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM(Random Access Memory)913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、およびデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANへの接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
【0132】
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による画像処理装置等の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921、またはFD922に記憶されて、CD−ROMドライブ905、またはFDドライブ906に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921やFD922、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0133】
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による画像処理装置の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
【0134】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0135】
以上のように、本発明にかかる画像処理装置は、断面画像を処理する装置等として適しており、特に、断面画像に関心領域を設定する装置等として有用である。
【符号の説明】
【0136】
1 画像処理装置
11 断面画像格納部
12 操作受付部
13 関心領域操作受付部
14 関心領域設定情報蓄積部
15 関心領域設定情報格納部
16 評価値取得部
17 出力部
18 関心領域設定情報出力部
19 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定値を用いて生成された一の生体の断面を示す画像であって、予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の画像である複数の断面画像が、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部と、
前記断面画像格納部に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作によって指定された断面画像である指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、
前記指定断面画像の前記関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を測定値を用いて取得し、かつ、当該指定断面画像以外の1以上の断面画像の、前記関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得部と、
前記評価値取得部が取得した評価値と関連評価値とを、当該評価値に対応する指定断面画像と当該関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力部とを備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記評価値取得部は、配列順番が前記指定断面画像と連続している1以上の断面画像の関連評価値を取得する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記関心領域を変更する操作を受け付ける関心領域操作受付部と、
前記変更する操作に応じて変更された関心領域を設定する関心領域設定情報を、前記関心領域設定情報格納部に蓄積する関心領域設定情報蓄積部とを更に備え、
前記評価値取得部は、変更された関心領域について、前記評価値および関連評価値を取得する請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記操作受付部は、指定断面画像を変更する操作を更に受け付け、
前記変更された指定断面画像に対して、変更前の指定断面画像の関心領域設定情報と同じ関心領域設定情報を取得して、前記関心領域設定情報格納部に蓄積する関心領域設定情報蓄積部とを更に備え、
前記評価値取得部は、変更された指定断面画像とそれ以外の1以上の断面画像について、前記評価値および関連評価値を取得する請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記評価値および関連評価値を棒グラフ、棒グラフ以外のグラフ、色の明暗、色調、または数値の少なくとも一つで出力する請求項1から請求項4いずれか記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、評価が最大となる評価値または関連評価値と対応付けられた前記指定断面画像または断面画像が強調されるよう出力を行う請求項1から請求項5いずれか記載の画像処理装置。
【請求項7】
測定値を用いて生成された一の生体の断面を示す画像であって、予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の画像である複数の断面画像が、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部と、操作受付部と、前記操作受付部が受け付けた操作によって指定された断面画像である指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、評価値取得部と、出力部とを用いて行われる画像処理方法であって、
前記操作受付部が、前記断面画像格納部に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付ステップと、
前記評価値取得部が、前記指定断面画像の前記関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を測定値を用いて取得し、かつ、当該指定断面画像以外の1以上の断面画像の、前記関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得ステップと、
前記出力部が、前記評価値取得ステップで取得した評価値と関連評価値とを、当該評価値に対応する指定断面画像と当該関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力ステップとを備えた画像処理方法。
【請求項8】
測定値を用いて生成された一の生体の断面を示す画像であって、予め指定された方向における異なる複数の位置においてそれぞれ取得された複数の画像である複数の断面画像が、取得された位置の配列順番と対応付けて格納される断面画像格納部と、指定断面画像に対して1以上の関心領域を設定する情報である関心領域設定情報が格納される関心領域設定情報格納部と、にアクセス可能なコンピュータを、
前記断面画像格納部に格納されている一の断面画像を指定する操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作によって指定された断面画像である指定断面画像の、前記関心領域設定情報が示す各関心領域ごとに、関心領域を評価するための値である評価値を測定値を用いて取得し、かつ、当該指定断面画像以外の1以上の断面画像の、前記関心領域設定情報が示す各関心領域に対応する各領域ごとに、領域を評価するための値である関連評価値を測定値を用いて取得する評価値取得部と、
前記評価値取得部が取得した評価値と関連評価値とを、当該評価値に対応する指定断面画像と当該関連評価値に対応する断面画像とに対応付けて出力する出力部とを備えたプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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