説明

画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム

【課題】第1の表示デバイスを用いて、第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する。
【解決手段】動き検出部100は、入力画像信号から画像の動きを検出し、サブフィールド展開部200は、入力画像信号をサブフィールドに展開する。光量積算部300は、画像の動きの方向と、サブフィールドの発光パターンから、入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、第1の表示デバイスに表示する。本発明は、例えば、LCDを用いて、LCDと異なる特性を有するPDPにおいて画像を表示した状態を再現する場合に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関し、特に、例えば、画像を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等の第1の表示デバイスを用いて、第1の表示デバイスと異なる特性を有するPDP(Plasma Display Panel)等の第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現することができるようにする画像処理装置、画像処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像信号を表示する表示デバイスとして、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、LCD、PDP、有機EL(Electroluminescence)、プロジェクタ等、様々な表示デバイスが存在する。
【0003】
そして、例えば、PDPについては、表示画面上で移動画素に対し視線が追従したときに、各網膜位置に入る光量の計算を行い、その出力データから新しいサブフィールドデータを生成することで、偽輪郭の発生を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000-39864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示特性は表示デバイスによって異なるため、画像信号が適切な視聴状態(表示状態)にあるかを確認するモニタリングにおいては、表示デバイスの特性(表示特性)の違いが大きな問題となる。すなわち、ある画像信号をLCDに表示してモニタリングを行ったとしても、その画像信号をPDPに表示した際に、どのように見えるかを確認することは困難であった。
【0006】
そのため、複数の表示デバイスの特性を考慮してモニタリングを行うには、表示デバイスを必要な分だけ用意する必要があり、モニタリングシステムの規模の増大につながっていた。
【0007】
またPDPは、入力画像信号の1フィールドを複数のサブフィールドで構成し、各サブフィールドを発光、非発光のどちらかの状態にするように制御することで、多階調表示を実現する表示デバイスである。
【0008】
そのため、動画像を表示した際に、画像内の動き物体等に人の視線が追従すると、サブフィールドの発光パターンによっては、表示している画像と人の目に見える画像が異なるといった特徴がある。しかしながらPDPにおいて、実際に動画像がどのように見えるかを確認するには、PDPに動画像を表示し、人が目で見て確認するしかなく、確認作業が大変な上、客観的な評価が困難であった。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、LCD等の第1の表示デバイスを用いて、第1の表示デバイスと異なる特性を有するPDP等の第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理装置、又は、画像処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムであり、入力画像信号から画像の動きを検出する動き検出手段と、前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開するサブフィールド展開手段と、前記動き検出手段において検出された動きの方向と、前記サブフィールド展開手段において展開されたサブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する光量積算手段とを有する画像処理装置、又は画像処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0011】
また、本発明の一側面は、画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理方法であり、入力画像信号から画像の動きを検出し、前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開し、画像の動きの方向と、サブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成するステップを含む画像処理方法でもある。
【0012】
以上のような一側面においては、入力画像信号から画像の動きが検出され、前記入力画像信号が複数のサブフィールドに展開される。そして、画像の動きの方向と、サブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量が擬似的に算出され、その光量を画素値とする出力画像信号が生成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、LCD等の第1の表示デバイスを用いて、第1の表示デバイスと異なる特性を有するPDP等の第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0015】
本発明の一側面の画像処理装置、又は、プログラムは、
画像を表示する第1の表示デバイス(例えば、LCDなど)を用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイス(例えば、PDPなど)において画像を表示した状態を再現する画像処理装置(例えば、図1の画像処理装置)、又は、画像処理装置として、コンピュータを機能させるプログラムであり、
入力画像信号から画像の動きを検出する動き検出手段(例えば、図1の動き検出部100)と、
前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開するサブフィールド展開手段(例えば、図1のサブフィールド展開部200)と、
前記動き検出手段において検出された動きの方向と、前記サブフィールド展開手段において展開されたサブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する光量積算手段(例えば、図1の光量積算部300)と
を有する画像処理装置、又は、画像処理装置としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0016】
本発明の一側面の画像処理方法は、
画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理方法であり、
入力画像信号から画像の動きを検出し(例えば、図20のステップST200)、
前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開し(例えば、図20のステップST300)、
画像の動きの方向と、サブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する(例えば、ステップST400)
ステップを含む。
【0017】
以下、図を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示している。
【0019】
入力画像信号Vinは、動き検出部100と、サブフィールド展開部200へ供給される。
【0020】
図2は、図1の動き検出部100の構成を示している。動き検出部100では、入力画像信号Vinから、各画素の動きベクトルを、入力画像信号Vinを人が見た際の画素毎の視線として検出する。
【0021】
入力画像信号Vinは、相関演算回路101と遅延回路102へ供給される。相関演算回路101では、現フィールドの入力画像信号Vinと、遅延回路102で1フィールド遅延された前フィールドの入力画像信号との間で、相関演算を行う。
【0022】
図3に相関演算の動作を示す。
【0023】
相関演算回路101は、現フィールドの注目画素において、注目画素を中心としたブロックBLを設定する。ブロックBLは例えば5×5画素のブロックである。そして、相関演算回路101は、遅延回路102で遅延された前フィールドにおいて、現フィールドでのブロックBLと同じ位置を中心としたサーチ範囲を設定する。サーチ範囲は例えば、現フィールドでのブロックBLと同じ位置を基準とし、水平、垂直方向に−8〜+7画素分の領域である。そして、相関演算回路101は、ブロックBLとサーチ範囲内の、ブロックBLと同一サイズの各候補ブロックとの間で、例えば、画素値どうしの差分絶対値の総和を、ブロックBLと候補ブロックとの相関を評価するための評価値として求める演算を、相関演算として行い、各候補ブロックでの演算結果を、視線決定回路103へ供給する。
【0024】
図2に戻り、視線決定回路103では、相関演算回路101から供給された演算結果の中から、最小の値の演算結果が得られた候補ブロックの位置を、注目画素の動きベクトルとして検出する。ここで、候補ブロックの位置は、図4に示すように、ブロックBLからの相対位置である。視線決定回路103は、注目画素の動きベクトルの方向を、人が注目画素を見たときの視線の方向、すなわち、現フィールドを見た人の視線が追っていく方向(視線方向)mvに決定する。
【0025】
相関演算回路101では、注目画素毎にブロックBLを設定するが、現フィールドを最初に5×5画素のブロックに分割し、ブロック毎に視線方向(動きベクトル)を求め、ブロック内の画素では、全て同じ視線方向を適用してもよい。またサーチ範囲内の各候補ブロックとの相関演算には、注目画素の近傍の画素における差分絶対値に一定の重みをつけて評価値を求めてもよい。この場合、注目画素の近傍の画素の相関を重く評価することになる。
【0026】
図5は、図1のサブフィールド展開部200の構成例を示している。
【0027】
サブフィールド展開部200では、入力画像信号VinをPDPに表示する際の各サブフィールドの発光パターンを生成する。
【0028】
サブフィールド展開部200の動作を説明する前に、PDPにおける多階調表示の方法について説明する。PDPは、1フィールドを複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドの発光の輝度の重みを変えることで多階調表示を行う。
【0029】
図6にPDPにおけるサブフィールドの構成例を示す。図6では1フィールドは8つのサブフィールドSF1、SF2、SF3、SF4、SF5、SF6、SF7、SF8に分割され、各サブフィールドSF1ないしSF8は異なる輝度の重み(光量)を持っている。各サブフィールドSF1ないしSF8は、それぞれの画素を発光、非発光のどちらかに設定するアドレス期間と、アドレス期間において発光と設定された画素を発光させる発光期間から構成されている。
【0030】
各サブフィールドSF1ないしSF8の輝度の重みを例えば1、2、4、8、16、32、64、128とすると、これらのサブフィールドSF1ないしSF8を組み合わせることで、0〜255までの256階調を実現することができる。
【0031】
実際のPDPは2次元平面において構成されるため、PDPによる画像の表示は、図7に示すように、PDPにおける画素位置X,Yと時間方向Tのサブフィールドからなる3次元的なモデル図で表現される。
【0032】
図5に戻り、入力画像信号Vinは、サブフィールド割当回路201へ供給される。サブフィールド割当回路201は、入力画像信号Vinの1フィールドの画素値を、以下の式(1)を用いて表す。ただしNiは、サブフィールドSF#iの非発光または発光を表す発光情報であり、0または1である。
【0033】
1×N1+2×N2+4×N3+8×N4+16×N5+32×N6+64×N7+128×N8
・・・(1)
【0034】
なおここでは、表示対象とするPDPのサブフィールド構造を図6に示す場合と同様に、8つのサブフィールドSF1ないしSF8で構成し、各サブフィールドSF1ないしSF8の輝度の重みをそれぞれ1、2、4、8、16、32、64、128としている。また以下の説明でもこの構造を元にするものとする。
【0035】
そして、サブフィールド割当回路201は、各画素についての発光情報Niの値を発光決定回路202へ供給する。発光決定回路202では、Niが1の場合を発光、0の場合を非発光として、サブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFを生成する。
【0036】
例えば入力画像信号Vinのある画素値が「7」である場合、サブフィールドSF1、SF2、SF3を発光、それ以外を非発光と割り当てる発光制御情報SFを生成する。また例えば、入力画像信号Vinのある画素値が「22」である場合、サブフィールドSF2、SF3、SF5を発光、それ以外を非発光と割り当てる発光制御情報SFを生成する。
【0037】
図8は、図1の光量積算部300の構成を示している。光量積算部300では、入力画像信号VinをPDPに表示した際に、人の網膜で積分される光量を画素値とする画像を、PDPにおいて入力画像信号を表示したときに人の目に見える、いわば擬似的な画像として生成して出力する。
【0038】
光量積算部300の動作を説明する前に、PDP特有の、視線方向と発光パターンによる画像の見え方について説明する。
【0039】
図9は、横軸を画素位置X(Y)とするとともに、縦軸を時間Tとしたサブフィールドの、画素値127と128の境界を示しており、影を付してあるサブフィールドが発光するサブフィールドを示している。
【0040】
画像が動いていない場合には、人の視線方向は、縦軸の時間方向Tと平行な方向A−A’となり、サブフィールドの発光が正しく人の網膜で積分されるため、画素値127と128が正しく認識される。
【0041】
しかし画像が左方向に1フィールドで1画素分動くとすると、動きに人の目(視線)が追従するため、視線方向が、縦軸の時間方向Tと平行でない方向B−B’となり、サブフィールドの発光が人の網膜で積分されず、画素値127と128の間に黒い線を認識してしまう。また逆に画像が右方向に1フィールドで1画素分動くとすると、動きに人の目が追従するため、視線方向が、縦軸の時間方向Tと平行でない方向C−C’となり、サブフィールドの発光が人の網膜に積分されすぎて、画素値127と128の間に白い線を認識してしまう。
【0042】
以上のようにPDPにおいては、サブフィールドを用いる駆動方式のため、視線方向とサブフィールドの発光パターンによって、表示している画像と人の目に見えている画像とが異なる現象が発生する場合があり、一般に動画擬似輪郭として知られている。
【0043】
図8に戻り、動き検出部100で検出された各画素の視線方向mvと、サブフィールド展開部200で生成された発光制御情報SFが光量積算領域決定回路301へ供給される。
【0044】
光量積算領域決定回路301は、動き検出部100で検出された視線方向mvとサブフィールド展開部200で生成されたサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFとから、入力画像信号VinをPDPに表示した際に、人の網膜で積分される光量を擬似的に再現するための、光量積算領域を、画素ごとに決定する。すなわち図10に示すように、注目画素に対し、検出された視線方向に1画素分の断面積の光量積算領域を設定する。
【0045】
さらに、光量積算領域決定回路301は、光量積算領域内の各サブフィールドの発光、非発光の領域の比率に応じて各サブフィールドSF#iでの光量を積算する。例えば図10の場合、サブフィールドSF8において発光、非発光の領域の比率が7:1であるとき、サブフィールドSF8において積算される光量は、128×1÷(7+1)=16となる。光量積算領域決定回路301は、同様に全てのサブフィールドSF1ないしSF8において積分される光量を算出し、光量積算回路302に供給する。
【0046】
光量積算回路302は、光量積算領域決定回路301からのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれの光量の総和を求め、注目画素における画素値とする。そして、光量積算回路302は、全ての画素に対し、同様の処理を行うことで出力画像Voutを生成する。
【0047】
また、光量積算領域決定回路301、及び光量積算回路302の処理は、以下のように簡便に行うこともできる。
【0048】
すなわち、図10において、各サブフィールドの発光、非発光の領域の比率において、大きい方を採用する。この場合、サブフィールドSF8は非発光となり光量0、サブフィールドSF7は発光となり光量64、以下同様に全てのサブフィールドでの結果の総和を注目画素における画素値とする。
【0049】
実際のPDPは2次元平面において構成されるため、PDPによる画像の表示は、図11に示すように、PDPにおける画素位置X,Yと時間方向Tのサブフィールドからなる3次元的なモデル図で表現される。
【0050】
以上のように、図1に示す画像処理装置は、入力画像信号Vinから、画素毎の視線方向と、PDPに表示した際のサブフィールドの発光パターンから、PDPに表示された画像を見る人の網膜に積分される光量を画素値とする画像を、PDPに表示された画像を見る人の目に見える画像として生成するので、入力画像信号VinをPDPに表示し、人が見た場合の画像を擬似的に再現することができる。
【0051】
図12は、本発明を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示している。
【0052】
一般にPDPにおいて、動画擬似輪郭を抑制するために、使用する階調に制限を設け、さらに見た目に階調を出すために、入力画像と表示する画像の画素値の差分を、時空間の周辺の画素に割り振る誤差拡散処理、そして複数の画素値の時空間パターンによって、見た目の階調を表現するディザ処理などが行われている。図12に示す画像処理装置は、入力画像信号Vinを表示するPDPにおいて、前記の誤差拡散処理やディザ処理が行われる場合に人の目に見える画像を擬似的に再現する。
【0053】
図12において、入力画像信号Vinは動き検出部100と階調変換部400へ供給される。動き検出部100の構成は図1のものと同様であるため説明を省略する。
【0054】
図13は、図12の階調変換部400の構成例を示している。
【0055】
入力画像信号Vinは、演算器405において、後述する表示階調誤差Vpdと加算され、画素値(階調)Vpとなり、階調変換回路402へ供給される
【0056】
階調変換回路402では、階調変換テーブル403に応じて、入力された画素の階調(画素値)Vpを別の階調Vpoへと変換する。すなわち動画擬似輪郭の発生しにくい階調として0、1、3、7、15、31、63、127、255を使用するとした場合、階調変換テーブル403では、前記の使用する階調と、前記の使用する階調の時空間の分布で表現する見た目の階調(ディザ階調)を設定する。
【0057】
階調変換回路402では、階調変換テーブル403で設定された階調のみを用いるものとして、入力された階調Vpを、階調変換テーブル403の階調のうちの、階調Vpとの差分がもっとも小さい階調Vpoに置き換えて出力する。階調変換回路402の出力である階調Vpoはディザ変換回路404に供給されるとともに、演算器406において、階調変換回路402の入力である階調Vpとの差分が求められることにより、表示階調誤差Vpdとされ、遅延回路401で水平方向で1画素分遅延され、演算器405で次の入力画像信号Vinの画素値と加算される。このように変換された階調の差分を周辺の画素の階調で表現することを誤差拡散処理と呼ぶ。
【0058】
ディザ変換回路404では、使用する階調の時空間の分布によって、見た目の階調を表現するディザ処理(ディザ変換)を行う。ディザ変換回路404の動作例を図14に示す。ディザ変換回路404では、例えば階調を4として表示する領域があったとすると、使用する階調である3と7を用いて、例えば図14に示すように階調を分布させる。このようにすると、人の目には、階調の値が平均されて、階調の値が4として見えることになる。
【0059】
図12に戻り、以上のように、階調変換部400では、入力画像信号Vinを実際に表示に用いる画像信号Vdに変換し、サブフィールド展開部200へ供給する。サブフィールド展開部200、および光量積算部300の構成は、図1のものと同様であるため説明を省略する。
【0060】
すなわち、図12の画像処理装置では、階調変換部400によって、実際に表示される階調を元に、人の目に見える画像を擬似的に画像として出力する。この場合、動き検出部100では入力画像信号Vinから視線を検出(決定)しているが、階調変換部400で変換される階調の見た目が入力画像信号Vinと大きく異ならない場合、視線方向も大きく異ならないため、このような構成にしても問題がなくなる。また階調変換部400は、入力画像信号Vinを表示に用いる画像信号Vdに変換するものであれば何でもよく、例えば特開2004−138783号公報などに記載の手法を用いてもよい。
【0061】
図15は、本発明を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示している。
【0062】
この画像処理装置では、階調変換部400の出力である画素(画像信号の)Vdを動き検出部100へ供給する。この場合、動き検出部100では、実際に表示する画像信号を元に視線(視線方向)を検出することになる。そのため制限された階調や拡散誤差やディザそのものが視覚的に検知される場合の視線を検出するとともに、階調変換部400によって、実際に表示される階調を元に、人の目に見える画像を擬似的に画像として出力することができる。
【0063】
なお、図15において、動き検出部100、サブフィールド展開部200、光量積算部300、および階調変換部400の構成は、図12のものと同様であるため説明を省略する。
【0064】
図16は、本発明を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示している。
【0065】
入力画像信号Vinは階調変換部400へ供給され、表示に用いる画像信号Vdへ変換される。表示に用いる画像信号Vdは視覚補正部500へ供給される。
【0066】
図17は視覚補正部500の構成例を示している。視覚補正部500では、表示に用いる画像信号Vdを人の見た目の画像(画像信号)へと擬似的に補正する。表示に用いる画像信号Vdはディザ補正回路501へ供給される。ディザ補正回路501では、ディザで表示する階調を見た目の階調へと擬似的に補正する。すなわち図14に示したようにディザ階調が用いられていた場合、人の見た目には、階調の値が平均されるものとして、図18に示すように階調を補正する。そしてディザ補正された画像Vmbは、拡散誤差補正回路502へ供給される。
【0067】
拡散誤差補正回路502では、注目画素の周辺の画素に拡散した誤差を見た目の階調へと擬似的に補正する。すなわち、拡散誤差補正回路502では、ディザ補正された画像信号Vmbにおいて、入力画像信号Vinとの差分(誤差)が拡散されているものとし、拡散された誤差を補正する。例えば図19に示すように、画像信号Vmbが90である画素の誤差は、右隣の画像信号Vmbが110である画素における入力画像信号Vinとの差分であるとし、110−105=5を拡散された誤差として画像信号Vmbに加算し、視覚補正された画像信号Vmを出力する。同様に全ての画素についても同じ処理を行う。
【0068】
以上のように、視覚補正部500では、階調変換部400によって変換された階調を、人の目に見える際の階調として擬似的に補正を行い、補正した画像信号を動き検出部100へ供給する。そのため制限された階調や拡散誤差やディザが人の目に見える際の擬似的な画像を元に視線を検出するとともに、階調変換部400によって、実際に表示される階調を元に、人の目に見える画像を擬似的に得ることができる。なお、図16の動き検出部100、サブフィールド展開部200、光量積算部300、および階調変換部400の構成は、図12のものと同様であるため説明を省略する。
【0069】
以上のように、図1、図12、図15、及び図16の画像処理装置では、PDPに画像を表示した際に、サブフィールドの発光パターンと視線方向から、人の目に見える画像を擬似的に得ることができる。このためPDPと異なる表示デバイスにおいて、任意の画像信号をPDPに表示した際に、人の目に見える画像を擬似的に表示することが可能となる。すなわち、例えば、LCDや、CRT、有機EL、プロジェクタ等の第1の表示デバイスを用いて、第1の表示デバイスと異なる特性を有するPDP等の第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現することができ、第2の表示デバイスの表示のエミュレーションを、第2の表示デバイスとは異なる特性の第1の表示デバイスを用いて行うことができる。
【0070】
なお、PDPのサブフィールドの構造として図6を例に用いたが、サブフィールドの枚数、および各サブフィールドの輝度の重みは任意のものでよい。
【0071】
図20は、図1の画像処理装置の処理を説明するフローチャートを示している。
【0072】
ステップST100において、入力画像信号Vinが、画像処理装置に入力される。次にステップST200において、動き検出部100が、入力画像信号Vinのフィールド(又はフレーム)を、順次、注目フィールドとして、その注目フィールドについて、画素毎に動きベクトルを検出し、その動きベクトルの方向を、視線方向として決定する。
【0073】
図21は、ステップST200における動き(ベクトル)の検出の処理を説明するフローチャートである。
【0074】
ステップST201において注目フィールドの入力画像信号Vinが動き検出部100に入力される。次にステップST202において、動き検出部100は、注目フィールドを構成する画素を、順次、注目画素として選択し、注目画素を中心とする所定のサイズのブロックを注目ブロックとする。そして、動き検出部100は、注目フィールドの注目ブロックと1フィールド前の所定のサーチ範囲内の候補ブロックとの間で、相関演算を行う。次にステップST203において、動き検出部100は、全ての候補ブロックと演算が終了したかを判定する。終了した場合、処理はステップST204へ進み、終了してない場合、処理は、ステップST202へ戻り処理を継続する。ステップST204では、動き検出部100は、候補ブロックの中で最も相関の高い候補ブロック(差分絶対値の総和の最も小さい候補ブロック)の位置を、動きベクトルとして検出し、その動きベクトルを、注目画素における視線方向mvと決定する。そしてステップST205において、動き検出部100は、視線方向mvを出力する。
【0075】
図20に戻り、次のステップST300において、サブフィールド展開部200は、入力画像信号Vinの注目フィールドをPDPに表示する際のサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFを生成する。
【0076】
図22は、ステップST300におけるサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFを生成するフローチャートである。
【0077】
ステップST301において入力画像信号Vinの注目フィールドがサブフィールド展開部200に入力される。次にステップST302において、サブフィールド展開部200は、入力画像信号Vinの注目フィールドを、式(1)の各サブフィールドの輝度の重みの総和で表現し、発光情報Niを求める。次にステップST303において、サブフィールド展開部200は、発光情報Niに基づき、注目フィールドの各サブフィールドの発光、非発光の発光パターンを表す発光制御情報SFを生成する。そしてステップST304で、サブフィールド展開部200は、サブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFを出力する。
【0078】
図20に戻り、次のステップST400において、光量積算部300は、入力画像信号Vinの注目フィールドをPDPに表示した際に、人の網膜で積分される光量(人の目に見える画像)に相当する画像信号Voutを、擬似的に生成する。
【0079】
図23は、ステップST400における光量の積算を示すフローチャートである。
【0080】
ステップST401において、ステップST200で検出された注目フィールドの各画素における視線方向mvと、ステップST300で生成された注目フィールドのサブフィールドの発光制御情報SFが光量積算部300に入力される。次にステップST402では、光量積算部300において、注目フィールドの各画素が、順次、注目画素として選択され、注目画素における視線方向mvに応じて、光量を積算する光量積算領域が決定される。そしてステップST403で、光量積算部300は、ステップST402で決定された光量積算領域内で発光するサブフィールドの光量を、発行制御情報SFが表す発光パターンに基づいて積算し、注目画素の画素値を求めることにより、その画素値で構成される出力画像(信号)Voutを生成する。そしてステップST404で、光量積算部300は、出力画像Voutを出力する。
【0081】
図20に戻り、次のステップST500において、図示せぬ第2の表示デバイスとしての、例えば、LCDは、生成された出力画像Voutを表示する。
【0082】
図24は、図12の画像処理装置の処理を説明するフローチャートを示している。
【0083】
ステップST110において、図20のステップST100と同様に、入力画像信号Vinが入力される。次にステップST210において画素毎に動きベクトル、ひいては視線方向mvを検出する。ステップST210の動作は図20のステップST200と同様である。次にステップST310において、階調変換部400は、PDPで表示する際に行われる階調変換を行う。
【0084】
図25は、ステップST310における階調変換の動作を示すフローチャートである。
【0085】
ステップST311において、入力画像信号Vinが階調変換部400に入力される。次にステップST312において、階調変換部400では、入力画像信号Vinが、周辺の画像から拡散された誤差を加算することにより、画像信号Vpとされる。次にステップST313において、階調変換部400は、階調変換テーブル403(図13)に従って、画像信号Vpの階調を変換する。次にステップST314において、階調変換部400は、階調の変換前の画像信号Vpと変換後の画像信号Vpoとの誤差(表示階調誤差)Vpdを算出する。次にステップST315で、階調変換部400は、画像信号Vpoのディザ変換を行う。そしてステップST316で、階調変換部400は、ディザ変換によって得られた画像信号を、階調変換された画像信号Vdとして出力する。
【0086】
図24に戻り、次のステップST410で、ステップST310で変換された画像信号Vdに対し、図20のステップST300と同様の処理を行う。また以下のステップST510とST610は、図20のステップST400とST500とそれぞれ同様であるため説明を省略する。
【0087】
図26は、図15の画像処理装置の処理を説明するフローチャートを示している。
【0088】
なお図26では、ステップST220で変換された画像信号Vdに対し、次のステップST320で視線方向(動きベクトル)の検出が実行される以外は、ステップST120,ST220,ST320,ST420,ST520,ST620において、それぞれ、図24のステップST110,ST310,ST210,ST410,ST510,ST610と同様の処理が行われる。
【0089】
図27は、図16の画像処理装置の処理を説明するフローチャートを示している。
【0090】
ステップST130において、図26のステップST120と同様に、入力画像信号Vinが入力される。次にステップST230で、図26の場合と同様に階調が変換された画像信号Vdが生成される。次にステップST330で、ステップST320で変換された画像信号Vdに対し、視覚補正が行われる。以下、ステップST430,ST530,ST630,ST730において、それぞれ図26のステップST320,ST420,ST520,ST620と同様の処理が行われる。
【0091】
図28は、ステップST330における、視覚補正の動作を示すフローチャートである。ステップST331で画像信号Vdが視覚補正部500に入力される。次にステップST332において、視覚補正部500は、ディザの視覚的な効果に応じて、画像信号Vdを補正する。次にステップST333で、視覚補正部500は、周辺の画素に拡散した誤差の影響を擬似的に補正し、画像信号Vmを生成する。そしてステップST334で、視覚補正部500は、画像信号Vmを出力する。
【0092】
以上のように、図1、図12、図15、及び図16の画像処理装置では、PDPに画像を表示した際に、サブフィールドの発光パターンと視線方向から、人の目に見える画像を擬似的に生成する。このためPDPと異なる表示デバイスにおいて、任意の画像信号をPDPに表示した際に、人の目に見える画像を擬似的に表示することが可能となる。
【0093】
次に、図1の光量積算部300の処理の詳細を説明するが、その前に、PDPによる画像の表示について、再度説明する。
【0094】
PDPによる画像の表示は、図7や図11に示したように、PDPにおける画素位置X,Yと時間方向Tのサブフィールドからなる3次元的なモデル図で表現される。
【0095】
図29は、PDPによる画像の表示をモデル化したモデル(以下、適宜、表示モデルという)を示している。
【0096】
ここで、図29は、上述の図7や図11と同様の図である。
【0097】
表示モデルでは、PDPにおいて入力画像信号Vinを表示する表示面としてのXY平面に垂直な方向を時間Tの方向として、8つのサブフィールドSF1ないしSF8が時間Tの方向に並べられている。
【0098】
なお、表示面としてのXY平面は、例えば、表示面の左上の点を原点とするとともに、左から右方向をX方向とし、上から下方向をY方向とする。
【0099】
光量積算部300(図1)では、PDPに表示される入力画像信号Vinの画素(入力画像信号Vinに従ってPDPに表示される、入力画像信号Vinに対応する画像の画素)を、順次、注目画素として選択し、表示モデルにおいて、注目画素の領域を断面とし、かつ、注目画素における視線方向mv(注目画素について検出された動きベクトルの方向)に延びる領域を、光量の積算を行う光量積算領域として、その光量積算領域内の光量を、発光制御情報SFが表すサブフィールドの発光パターンに従って積算することにより、注目画素の画素値を算出する。
【0100】
すなわち、光量積算部300は、図29に示すように、表示モデルの表示面の画素の領域を断面とし、かつ、時間Tの方向に、サブフィールドSF#iの発光の光量に対応する長さだけ延びる直方体形状の領域(空間)を、画素サブフィールド領域として、画素サブフィールド領域内を光量積算領域が占める比率である占有比率に、画素サブフィールド領域に対応するサブフィールドSF#iの発光パターン(サブフィールドSF#iの画素サブフィールド領域が発光であるのか、又は非発光であるのか)に従った発光の光量Lを乗算することにより、画素サブフィールド領域が注目画素の画素値に影響する分の影響光量を、光量積算領域が通る画素サブフィールド領域すべてについて求める。
【0101】
そして、光量積算部300は、光量積算領域が通る画素サブフィールド領域すべてについて求められた影響光量を積算することにより、その積算値を、注目画素の画素値として算出する。
【0102】
以下、光量積算部300による、表示モデルを用いた、注目画素の画素値の算出の方法の詳細について説明する。
【0103】
図30は、表示モデルの画素の例を示している。
【0104】
表示モデルでは、画素は、例えば、横と縦の長さがいずれも1の方形状の領域になっていることとする。この場合、画素の領域の面積は、1(=1×1)である。
【0105】
また、表示モデルでは、画素の位置(画素位置)を、画素の左上の座標で表すこととする。この場合、例えば、画素位置(X,Y)が(300,200)の画素(としての方形状の領域)については、図30に示すように、その左上の点の座標は(300,200)となり、右上の点の座標は(301,200)となる。また、左下の点の座標は(300,201)となり、右下の点の座標は(301,201)となる。
【0106】
なお、表示モデルにおける画素の、例えば、左上の点を、以下、適宜、基準点という。
【0107】
図31は、表示モデルにおける光量積算領域を示している。
【0108】
例えば、いま、画素位置(x,y)にある画素を注目画素として、時刻T=αにおいて、注目画素(に映る被写体)が、時間Tfの間に、動きベクトル(vx,vy)で表される動き量だけ動き、時刻T=β(=α+Tf)において、位置(x+vx,y+vy)に移動したとする。
【0109】
この場合、注目画素の領域としての方形状の領域が、位置(x,y)から位置(x+vx,y+vy)に移動するのに描く軌跡が、光量積算領域(空間)となる。
【0110】
いま、光量積算領域の断面、つまり、位置(x,y)から位置(x+vx,y+vy)に移動する注目画素の領域を、断面領域(平面)ということとすると、断面領域は、画素の領域と同一の形状の領域であるので、4つの頂点を有する。
【0111】
時刻αからβまでの間の任意の時刻T=t(α≦t≦β)における断面領域の4つの頂点のうちの、左上、右上、左下、及び右下の点(頂点)を、それぞれ、A,B,C、及びDと表すこととすると、左上の点Aは、時間Tfの間に、位置(x,y)から位置(x+vx,y+vy)に移動するので、時刻tにおける点Aの座標(X,Y)は、(x+vx(t-α)/Tf,y+vy(t-α)/Tf)となる。
【0112】
また、右上の点Bは、点AからX方向に+1だけ離れた点であるから、時刻tにおける点Bの座標(X,Y)は、(x+vx(t-α)/Tf+1,y+vy(t-α)/Tf)となる。同様に、左下の点Cは、点AからY方向に+1だけ離れた点であるから、時刻tにおける点Cの座標(X,Y)は、(x+vx(t-α)/Tf,y+vy(t-α)/Tf+1)となり、右下の点Dは、点AからX方向に+1だけ離れ、Y方向に+1だけ離れた点であるから、時刻tにおける点Dの座標(X,Y)は、(x+vx(t-α)/Tf+1,y+vy(t-α)/Tf+1)となる。
【0113】
図32は、時刻T=tの断面領域を示している。
【0114】
点AないしDを頂点とする断面領域は、変形しないので、任意の時刻T=tにおいて、(XY平面上に射影したときに)基準点を1以上の数だけ含む。図32では、断面領域に、1つの基準点(a,b)が含まれている。
【0115】
ここで、断面領域に、複数の基準点がある場合があるが、その場合については、後述する。
【0116】
また、断面領域は、時刻Tの経過とともに移動し、これにより、断面領域内の基準点の位置が変化するが、これは、断面領域を基準とすれば、相対的に、基準点が、時刻Tの経過とともに移動していると捉えることができる。そして、時刻Tの経過とともに基準点が移動することによって、断面領域内の基準点が(他の基準点)に変更される場合があるが、この場合についても、後述する。
【0117】
断面領域では、基準点(a,b)を通り、X軸に平行な直線LXと、Y軸に平行な直線LYとが、表示モデルを構成する画素の境界になるため、光量の積算は、断面領域を、直線LXとLYとで分割して得られる領域(以下、適宜、分割領域という)ごとに行う必要がある。
【0118】
図32では、基準点(a,b)が、断面領域の内部(境界以外の部分)にあり、このため、断面領域は、4つの分割領域S1,S2,S3、及びS4に分割される。なお、図32では、基準点(a,b)の右上の領域が分割領域S1と、基準点(a,b)の左上の領域が分割領域S2と、基準点(a,b)の左下の領域が分割領域S3と、基準点(a,b)の右上の領域が分割領域S4と、それぞれされている。
【0119】
時刻T=tにおける分割領域Si(i=1,2,3,4)の面積(Si)は、以下の式(1)ないし(4)で表される。
【0120】
【数1】

・・・(1)
【0121】
【数2】

・・・(2)
【0122】
【数3】

・・・(3)
【0123】
【数4】

・・・(4)
【0124】
いま、表示モデル(図29)の8つのサブフィールドSF1ないしSF8のうちの、ある1つのサブフィールドSF#jを、注目サブフィールドSF#jとして、断面領域が、注目サブフィールドSF#jを、時刻T=sfaから時刻T=sfbの間に通過することとする。
【0125】
断面領域が、注目サブフィールドSF#jを通過するときに描く軌跡としての光量積算領域は、その通過時に、分割領域S1ないしS4のそれぞれが描く軌跡の結合に等しい。
【0126】
いま、光量積算領域のうちの、分割領域Siが描く軌跡としての領域(分割領域Siを断面とする立体)の部分を、分割立体Viということとすると、分割立体Viの体積(Vi)は、以下の式(5)ないし(8)に従って、分割領域Siを、時刻tsfaからtsfbにわたって積分することで求めることができる。
【0127】
【数5】

・・・(5)
【0128】
【数6】

・・・(6)
【0129】
【数7】

・・・(7)
【0130】
【数8】

・・・(8)
【0131】
なお、ここでは、断面領域が、注目サブフィールドSF#jを通過するときに、基準点(a,b)は変更されない(断面領域が注目サブフィールドSF#jの通過を開始するときに、断面領域内に存在した基準点(a,b)が、断面領域が注目サブフィールドSF#jを通過するまで、断面領域内に存在し続ける)こととする。
【0132】
一方、表示モデルにおいて、注目サブフィールドSF#jの、画素の領域を断面として時間Tの方向に延びる直方体形状の立体である画素フィールド領域(図29)の体積をVとすると、その画素フィールド領域の体積Vと、分割立体V1,V2,V3、及びV4の体積(Vi)との間には、式(9)の関係がある。
【0133】
【数9】

・・・(9)
【0134】
光量積算領域の一部である分割立体Viは、注目サブフィールドSF#jの、ある画素フィールド領域の一部を占めるが、その占める比率を、占有比率ということとすると、占有比率は、Vi/Vで表され、式(5)ないし式(9)から求めることができる。
【0135】
いま、分割立体Viが一部を占める、注目サブフィールドSF#jの画素フィールド領域を、占有画素フィールド領域ということとすると、その占有画素フィールド領域(の光量)が、注目画素の画素値に影響する分の光量(以下、適宜、影響光量という)は、占有比率Vi/Vに、占有画素フィールド領域の光量SFViを乗算することで求めることができる。
【0136】
ここで、占有画素フィールド領域の光量SFViは、注目サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域が発光している場合には、その注目サブフィールドSF#jの輝度の重みLとされ、注目サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域が発光していない(非発光である)場合には、0とされる。なお、注目サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域の発光/非発光は、サブフィールド展開部200(図1)から光量積算部300に供給される発光制御情報SFが表す発光パターンから認識することができる。
【0137】
注目サブフィールドSF#j(の光量)が、注目画素の画素値に影響する分の光量(注目サブフィールドSF#jによる光量)PSFL,jは、分割立体V1,V2,V3、及びV4それぞれが一部を占有する占有画素フィールド領域の影響光量SFV1×V1/V,SFV2×V2/V,SFV3×V3/V、及びSFV4×V4/Vの総和であるから、式(10)により求めることができる。
【0138】
【数10】

・・・(10)
【0139】
光量積算部300(図1)では、式(10)に従い、注目画素について、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれによるPSFL,1ないしPSFL,8が求められる。そして、光量積算部300では、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれによるPSFL,1ないしPSFL,8が積算され、その積算値PSFL,1+PSFL,2+・・・+PSFL,8が、注目画素の画素値とされる。なお、積算値PSFL,1+PSFL,2+・・・+PSFL,8を求めることは、光量積算領域が通る画素サブフィールド領域すべての影響光量を求め、その影響光量を積算することと等価である。
【0140】
ところで、時刻Tの経過とともに移動する断面領域については、上述したように、断面領域内に、複数の基準点が存在する場合や、断面領域内の基準点が(他の基準点)に変更される場合がある。図33及び図34を参照して、そのような場合について説明する。
【0141】
図33及び図34は、表示モデルの位置(x,y)にある画素を注目画素として、時刻Tの経過とともに表示モデル内を移動する断面領域を示している。
【0142】
なお、図34は、図33に続く図である。
【0143】
図33及び図34では、画素位置(x,y)にある画素を注目画素として、注目画素(に映る被写体)が、時刻T=tsfaから時刻T=tsfbにかけて、動きベクトル(+2,-1)で表される動き量だけ動き、位置(x+2,y-1)に移動している。
【0144】
以上のように、位置(x,y)から位置(x+2,y-1)に移動する注目画素の領域である断面領域においては、その断面領域と、表示モデルの画素の領域との(XY平面から見た)位置が完全に一致するとき、その画素の領域の4つの頂点が、基準点として、断面領域内に存在する。
【0145】
すなわち、例えば、移動を開始するときの位置(x,y)にある断面領域(左上の頂点の位置が位置(x,y)の断面領域)内には、点(x,y)、点(x+1,y)、点(x,y+1)、及び点(x+1,y+1)の4つの基準点が存在する。
【0146】
以上のように、断面領域内に複数の基準点が存在する場合、例えば、注目画素における視線方向mv(注目画素について検出された動きベクトルの方向)にある1つの基準点が、注目画素の画素値を求めるのに用いる基準点(以下、適宜、注目基準点という)として選択される。
【0147】
すなわち、例えば、注目画素における視線方向mvを表す動きベクトルのX成分が0より大(符号が正)で、Y成分が0以下(Y成分が0か、又はその符号が負)である場合には、4つの基準点(x,y),(x+1,y),(x,y+1)、及び(x+1,y+1)のうちの、右上の基準点(x+1,y)が、注目基準点として選択される。
【0148】
また、例えば、注目画素における視線方向mvを表す動きベクトルのX成分が0以下で、Y成分が0以下である場合には、4つの基準点(x,y),(x+1,y),(x,y+1)、及び(x+1,y+1)のうちの、左上の基準点(x,y)が、注目基準点として選択される。
【0149】
さらに、例えば、注目画素における視線方向mvを表す動きベクトルのX成分が0以下で、Y成分が0より大である場合には、4つの基準点(x,y),(x+1,y),(x,y+1)、及び(x+1,y+1)のうちの、左下の基準点(x,y+1)が、注目基準点として選択される。
【0150】
また、例えば、注目画素における視線方向mvを表す動きベクトルのX成分及びY成分がいずれも0より大である場合には、4つの基準点(x,y),(x+1,y),(x,y+1)、及び(x+1,y+1)のうちの、右下の基準点(x+1,y+1)が、注目基準点として選択される。
【0151】
図33では、注目画素における視線方向mvを表す動きベクトルは、ベクトル(+2,-1)であるため、右上の基準点(x+1,y)が、注目基準点として選択される。
【0152】
以上のようにして、注目基準点(x+1,y)が選択された後は、断面領域は、注目基準点(x+1,y)によって、図32で説明した4つの分割領域S1,S2,S3、及びS4に分割することができ、したがって、断面領域が視線方向mvに移動することにより、その断面領域内に、新たな基準点が含まれる状態とならない限り、式(1)ないし式(10)に従って、注目画素の画素値を求めることができる。
【0153】
一方、断面領域が視線方向mvに移動することにより、その断面領域内に、新たな基準点が含まれる状態となった場合、その新たな基準点を対象として、上述した場合と同様にして、新たな注目基準点が選択し直され、これにより、注目基準点が変更される。
【0154】
すなわち、例えば、図33では、時刻T=γにおいて、断面領域の位置のX座標x+1が、表示モデルの画素の位置のX座標x+1と一致し、これにより、断面領域内に、新たな基準点(x+2,y)が含まれる状態となっている。
【0155】
この場合、新たな基準点(x+2,y)を対象として、新たな注目基準点が選択し直されるが、いまの場合、新たな基準点は、基準点(x+2,y)だけなので、その基準点(x+2,y)が、新たな注目基準点として選択され、これにより、注目基準点が、基準点(x+1,y)から基準点(x+2,y)に変更される。
【0156】
なお、断面領域の位置のY座標が、表示モデルの画素の位置のY座標と一致し、これにより、断面領域内に、新たな基準点が含まれる状態となった場合も、上述したように、注目基準点が変更される。
【0157】
図34は、注目基準点が変更された後、すなわち、新たな注目基準点(x+2,y)が選択された後の断面領域を示している。
【0158】
新たな注目基準点が選択された後は、断面領域は、その新たな注目基準点によって、図32で説明した場合と同様に、4つの分割領域に分割することができる。図34では、断面領域は、4つの分割領域S1',S2',S3'、及びS4'に分割されている。
【0159】
新たな注目基準点の選択後、断面領域が視線方向mvに移動することにより、その断面領域内に、新たな基準点が含まれる状態となった場合、その新たな基準点を対象として、上述した場合と同様にして、新たな注目基準点が選択し直され、これにより、注目基準点が変更される。
【0160】
図34では、時刻T=tsfbにおいて、断面領域の位置のX座標x+2が、表示モデルの画素の位置(x+2,y-1)のX座標x+2と一致するとももに、断面領域の位置のY座標y-1が、表示モデルの画素の位置(x+2,y-1)のY座標y-1と一致し、これにより、断面領域内に、3つの新たな基準点(x+2,y-1),(x+3,y-1)、及び(x+3,y)が含まれる状態となっている。
【0161】
断面領域が、それ以降も移動する場合には、3つの新たな基準点(x+2,y-1),(x+3,y-1)、及び(x+3,y)の中から、上述したようにして、新たな注目基準点が選択し直される。
【0162】
以上のように、注目基準点を選択し直す(変更する)ことで、光量積算領域が占有画素フィールド領域(図29)を占める占有比率、つまり、占有画素フィールド領域のうちの、光量積算領域が占める部分(この部分は、上述の分割立体に相当するので、この部分を、以下、適宜、分割立体の部分という)Vεの体積(Vε)と、占有画素フィールド領域Vの体積(V)との比Vε/Vを求めることができる。
【0163】
すなわち、例えば、図33及び図34に示したように、断面領域が、時刻T=tsfaから時刻T=tsfbにかけて、位置(x,y)から位置(X+2,y-1)に移動して、注目サブフィールドSF#jを通過する場合において、注目基準点の変更が、時刻T=γにおいて1回だけ行われるときには、注目サブフィールドSF#jの、例えば、位置(x+1,y-1)の画素の領域を断面とする占有画素フィールド領域のうちの光量積算領域が占める分割立体の部分Vεの体積(Vε)は、式(11)で求めることができる。
【0164】
【数11】

・・・(11)
【0165】
ここで、式(11)において、S1は、図33に示すように、基準点(x+1,y)が注目基準点となっている時刻T=tsfaから時刻T=γまでの間の、占有画素フィールド領域の断面となっている位置(x+1,y-1)の画素の領域上の分割領域の面積を表す。また、S2'は、図34に示すように、基準点(x+2,y)が注目基準点となっている時刻T=γから時刻T=tsfbまでの間の、占有画素フィールド領域の断面となっている位置(x+1,y-1)の画素の領域上の分割領域の面積を表す。
【0166】
式(11)に示したように、注目サブフィールドSF#jの、ある位置(X,Y)の画素の領域を断面とする占有画素フィールド領域のうちの光量積算領域が占める分割立体の部分Vεの体積(Vε)は、積分の区間を、注目基準点が変更される区間(式(11)では、時刻T=tsfaから時刻T=γまでの間と、時刻T=γから時刻T=tsfbまでの間)に分けて、占有画素フィールド領域の断面となっている画素の領域上の分割領域の面積(式(11)では、面積S1とS2')を積分することで求めることができる。
【0167】
そして、光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vε/Vは、占有画素フィールド領域のうちの光量積算領域が占める分割立体の部分Vεの体積(Vε)を、占有画素フィールド領域Vの体積(V)で除算することにより求めることができる。
【0168】
占有比率Vε/Vを求めた後は、図31及び図32で説明したように、占有比率Vi/Vに、占有画素フィールド領域の光量を乗算することで、占有画素フィールド領域(の光量)が注目画素の画素値に影響する分の光量(影響光量)を求めることができる。そして、光量積算領域が通る画素サブフィールド領域すべての影響光量を求め、その影響光量を積算することで、注目画素の画素値を求めることができる。
【0169】
次に、式(11)に示したように、占有画素フィールド領域のうちの光量積算領域が占める分割立体の部分Vεの体積(Vε)を求めるには、注目基準点が変更される時刻(式(11)では、時刻γ)(以下、適宜、変更時刻という)が必要となる。
【0170】
注目基準点の変更は、断面領域の位置のX座標が、表示モデルの画素の位置のX座標と一致するか、又は、断面領域の位置のY座標が、表示モデルの画素の位置のY座標y-1と一致するときに生じる。したがって、変更時刻は、次のようにして求めることができる。
【0171】
すなわち、例えば、いま、上述の図31に示したように、画素位置(x,y)にある画素を注目画素として、時刻T=αにおいて、位置(x,y)にある断面領域が、時間Tfの間に、動きベクトル(vx,vy)で表される動き量だけ動き、時刻T=β(=α+Tf)において、位置(x+vx,y+vy)に移動したとする。
【0172】
この場合、断面領域の位置のX座標が、表示モデルの画素の位置のX座標と一致する時刻としての変更時刻Tcxは、式(12)で表される。
【0173】
【数12】

・・・(12)
【0174】
ここで、動きベクトルのX成分vxは、整数値をとることとする。
【0175】
また、断面領域の位置のY座標が、表示モデルの画素の位置のY座標と一致する時刻としての変更時刻Tcyは、式(13)で表される。
【0176】
【数13】

・・・(13)
【0177】
ここで、動きベクトルのY成分vyは、整数値をとることとする。
【0178】
なお、動きベクトルのX成分vxが0以外の値である場合には、時刻Tが、式(12)に従って求められる変更時刻Tcxになるごとに、直前に注目基準点であった基準点のX座標に+1又は-1を加算した点が、新たな注目基準点(変更後の基準点)となる。すなわち、動きベクトルのX成分vxが正である場合には、直前に注目基準点であった基準点のX座標を+1した点が、新たな注目基準点となり、動きベクトルのX成分vxが負である場合には、直前に注目基準点であった基準点のX座標を-1した点が、新たな注目基準点となる。
【0179】
同様に、動きベクトルのY成分vyが0以外の値である場合には、時刻Tが、式(13)に従って求められる変更時刻Tcyになるごとに、直前に注目基準点であった基準点のY座標に+1又は-1を加算した点が、新たな注目基準点となる。すなわち、動きベクトルのY成分vyが正である場合には、直前に注目基準点であった基準点のY座標を+1した点が、新たな注目基準点となり、動きベクトルのY成分vyが負である場合には、直前に注目基準点であった基準点のY座標を-1した点が、新たな注目基準点となる。
【0180】
なお、変更時刻TcxとTcyとが等しい場合には、直前に注目基準点であった基準点のX座標及びY座標の両方を、上述したように、+1又は-1した点が、新たな注目基準点となる。
【0181】
ここで、図33及び図34では、時刻T=tsfaにおいて、位置(x,y)にある断面領域が、時間Tfの間に、動きベクトル(vx,vy)=(+2,-1)で表される動き量だけ動き、時刻T=tsfb(=tsfa+Tf)において、位置(x+2,y-1)に移動している。
【0182】
図33及び図34において、時刻T=γは、式(12)の変数Nが1であるときの変更時刻Tcxであり、式(12)において、Tf=tsfb-tsfa,N=1、及びvx=+2とすることにより、変更時刻Tcx=γは、式(tsfb-tsfa)×1/|+2|に従って求めることができる。
【0183】
次に、図35のフローチャートを参照して、図23で説明した、図20のステップST400における光量の積算の処理の詳細について、さらに説明する。
【0184】
ステップST1001において、図20のステップST200で検出された注目フィールドの各画素における視線方向mvが、動き検出部100(図1)から光量積算部300に供給されるとともに、図20のステップST300で生成された注目フィールドのサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFが、サブフィールド展開部200(図1)から光量積算部300に供給される。
【0185】
ここで、ステップST1001は、図23のステップST401に対応する。
【0186】
その後、処理は、ステップST1001からステップST1002に進み、光量積算部300(図8)において、光量積算領域決定回路301は、注目フィールドを構成する画素のうちの、まだ注目画素として選択していない画素の1つを、注目画素に選択して、処理は、ステップST1003に進む。
【0187】
ステップST1003では、光量積算領域決定回路301は、注目画素について、その注目画素における視線方向mvに基づき、表示モデルの基準点の中から、初期(最初)の注目基準点となる基準点を設定(選択)し、処理は、ステップST1004に進む。
【0188】
ステップST1004では、光量積算領域決定回路301は、式(12)及び式(13)で説明したように、注目画素について、注目基準点が変更する変更時刻を求めるとともに、各変更時刻において、新たな注目基準点となる基準点を求めて、処理は、ステップST1005に進む。
【0189】
ステップST1005では、光量積算領域決定回路301は、注目画素における視線方向mvと、ステップST1004で求めた変更時刻、及び、各変更時刻において新たな注目基準点となる基準点とを用いて、光量積算領域を求める。
【0190】
すなわち、ステップST1005では、光量積算領域決定回路301は、注目画素における視線方向mvと、変更時刻、及び、各変更時刻において新たな注目基準点となる基準点とを用いることにより、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについて、占有画素フィールド領域のうちの、注目画素の光量積算領域が占める分割立体の部分Vi(式(10))の体積(Vi)を求める。ここで、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについて得られる分割立体の部分Viをすべて合わせた領域が、光量積算領域となる。
【0191】
ステップST1005では、さらに、光量積算領域決定回路301は、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについて、注目画素の光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vi/Vを求め、処理は、ステップST1006に進む。
【0192】
ステップST1006では、光量積算領域決定回路301は、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについて、注目画素の光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vi/Vに、その占有画素フィールド領域の光量SFViを乗算することで、式(10)で説明したように、占有画素フィールド領域(の光量)が注目画素の画素値に影響する分の光量(影響光量)PSFL,1ないしPSFL,8を求め、光量積算回路302に供給する。
【0193】
なお、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域の光量SFViは、サブフィールドSF#jが発光している場合には、そのサブフィールドSF#jの輝度の重みLとされ、サブフィールドSF#jが発光していない(非発光である)場合には、0とされる。光量積算領域決定回路301は、サブフィールドSF#jの発光/非発光を、サブフィールド展開部200(図1)から供給される発光制御情報SFが表す発光パターンから認識する。
【0194】
ここで、以上のステップST1002ないしステップST1006が、図23のステップST402に対応する。
【0195】
その後、処理は、ステップST1006からステップST1007に進み、光量積算回路302は、光量積算領域決定回路301からの影響光量PSFL,1ないしPSFL,8を積算することで、注目画素の画素値を求め、処理は、ステップST1008に進む。
【0196】
ここで、ステップST1007は、図23のステップST403に対応する。
【0197】
ステップST1008では、光量積算領域決定回路301が、注目フィールドを構成する画素のすべてを、注目画素としたかどうかを判定する。
【0198】
ステップST1008において、注目フィールドを構成する画素のすべてを、まだ、注目画素としていないと判定された場合、処理は、ステップST1002に戻り、光量積算領域決定回路301は、注目フィールドを構成する画素のうちの、まだ注目画素として選択していない画素の1つを、注目画素に新たに選択し、以下、同様の処理が繰り返される。
【0199】
また、ステップST1008において、注目フィールドを構成する画素のすべてを、注目画素としたと判定された場合、処理は、ステップST1009に進み、光量積算回路302は、注目フィールドを構成する画素のすべてを注目画素として求めた画素値からなる出力画像Voutを出力する。
【0200】
ここで、ステップST1009は、図23のステップST404に対応する。
【0201】
次に、図36は、図1の光量積算部300の他の構成例を示している。
【0202】
なお、図中、図8の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0203】
すなわち、図36の光量積算部300は、光量積算回路302が設けられている点で、図8の場合と共通するが、図8の光量積算領域決定回路301に代えて、光量積算値テーブル記憶部303、及び光量積算領域選択回路304が設けられている点で、図8の場合と相違する。
【0204】
図36の光量積算部300では、視線方向mvと、占有比率とを対応付けたテーブル(以下、適宜、光量積算値テーブルという)を用い、注目画素における視線方向mvに基づき、注目画素について、占有比率が求められる。
【0205】
すなわち、図36において、光量積算値テーブル記憶部303は、光量積算値テーブルを記憶している。
【0206】
光量積算値テーブル記憶部303には、動き検出部100(図1)から、注目フィールドの各画素における視線方向mvが供給される。光量積算値テーブル記憶部303は、注目フィールドを構成する画素を、順次、注目画素として、そこに供給される注目画素における視線方向mvに対付けられている占有比率を、注目画素の光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vi/Vとして、光量積算値テーブルから読み出し、光量積算領域選択回路304に供給する。
【0207】
光量積算領域選択回路304には、上述したように、光量積算値テーブル記憶部303から占有比率が供給される他、サブフィールド展開部200(図1)から、注目フィールドのサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFが供給される。
【0208】
光量積算領域選択回路304は、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域の発光/非発光を、サブフィールド展開部200からの発光制御情報SFが表す発光パターンから認識する。さらに、光量積算領域選択回路304は、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域が発光している場合には、その占有画素フィールド領域の光量SFViを、そのサブフィールドSF#jの輝度の重みLに設定し、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域が発光していない(非発光である)場合には、その占有画素フィールド領域の光量SFViを、0に設定する。
【0209】
そして、光量積算領域選択回路304は、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについて、光量積算値テーブル記憶部303からの、注目画素の光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vi/Vに、その占有画素フィールド領域の光量SFViを乗算することで、式(10)で説明したように、占有画素フィールド領域(の光量)が注目画素の画素値に影響する分の光量(影響光量)PSFL,1ないしPSFL,8を求め、光量積算回路302に供給する。
【0210】
図37は、図36の光量積算値テーブル記憶部303に記憶された光量積算値テーブルを、模式的に示している。
【0211】
光量積算値テーブルには、動き検出部100が検出し得る動きベクトルとしての視線方向mvと、その視線方向mvに対して計算によりあらかじめ求められた、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについての、画素の領域を断面とする光量積算領域が占有画素フィールド領域を占める占有比率Vi/Vとが対応付けられて記憶されている。
【0212】
すなわち、光量積算値テーブルは、視線方向mvごとに用意されている。したがって、視線方向mvとしての動きベクトルのサーチ範囲が、例えば、後述するように、16×16画素の範囲であり、視線方向mvが256通りをとり得ると、光量積算値テーブルは、256個だけ存在する。
【0213】
1つの視線方向mvに対する光量積算値テーブルには、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについての占有比率Vi/Vが登録されており、これにより、視線方向mvと、その視線方向mvに対する、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれについての占有比率Vi/Vとが対応付けられている。
【0214】
図37は、ある1つの視線方向mvに対する光量積算値テーブルを示している。
【0215】
1つの視線方向mvに対する光量積算値テーブルは、例えば、横軸をサブフィールドSF#jとし、縦軸を注目画素からの相対位置[x,y]とするテーブルになっている。
【0216】
ここで、本実施の形態では、8つのサブフィールドSF1ないしSF8があるので、光量積算値テーブルの横軸には、その8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれに対応する欄が設けられる。
【0217】
また、光量積算値テーブルの縦軸の相対位置[x,y]のx座標とy座標は、注目画素の位置を基準(原点)とするX方向の位置とY方向の位置を、それぞれ表す。例えば、相対位置[1,0]は、注目画素の右に隣接する画素の位置を表し、例えば、相対位置[0,-1]は、注目画素の上に隣接する画素の位置を表す。
【0218】
いま、視線方向mvとしての動きベクトルのサーチ範囲が、例えば、注目画素を中心として、X方向及びY方向のいずれにも、−8画素ないし+7画素の、16×16画素の範囲であるとすると、注目画素が1フィールドの間に動く動き光は、注目画素を基準として、[-8,-8]ないし[7,7]の256通りがあるので、光量積算値テーブルの縦軸には、その256通りの相対位置[x,y]それぞれに対応する欄が設けられる。
【0219】
視線方向mvが、ある動きベクトルMVで表される場合の、その視線方向MVに対する光量積算値テーブルでは、ある相対位置[x,y]の行の、あるサブフィールドSF#jの列の欄には、注目画素の視線方向mvが、動きベクトルMVで表される場合において、注目画素からの相対位置が[x,y]で表される画素の領域を断面とする、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域BSF#j[x,y]を、注目画素の光量積算領域が占める占有比率RSF#j[x,y](式(10)のVi/V)、又は、式(11)のVεを占有画素フィールド領域Vの体積(V)で除算したVε/V)が、計算によりあらかじめ求められて登録されている。
【0220】
なお、注目画素からの相対位置が[x,y]で表される画素の領域を断面とする、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域BSF#j[x,y]を、注目画素の光量積算領域が通らない場合(占有画素フィールド領域BSF#j[x,y]と、注目画素の光量積算領域とが重複しない場合)、その占有画素フィールド領域BSF#j[x,y]を、注目画素の光量積算領域が占める占有比率RSF#j[x,y]は、0とされる。
【0221】
ここで、注目画素における視線方向mvが、例えば、動きベクトル(1,-1)で表される場合には、注目画素の光量積算領域は、注目画素を中心とする16×16画素のサーチ範囲にある256画素それぞれの領域を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの占有画素フィールド領域(256×8個の占有画素フィールド領域)のうちの、注目画素の領域を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[0,0]ないしBSF8[0,0]、注目画素の右に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[1,0]ないしBSF8[1,0]、注目画素の上に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[0,-1]ないしBSF8[0,-1]、及び、注目画素の右上に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[1,-1]ないしBSF8[1,-1]だけを通り、他の占有画素フィールド領域を通らない。
【0222】
したがって、注目画素の領域を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[0,0]ないしBSF8[0,0]のうちの、注目画素の光量積算領域が通る部分(分割立体の部分)の体積(式(5)ないし式(9)のVi)を、VSF1[0,0]ないしVSF8[0,0]と、注目画素の右に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[1,0]ないしBSF8[1,0]のうちの、注目画素の光量積算領域が通る部分の体積を、VSF1[1,0]ないしVSF8[1,0]と、注目画素の上に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[0,-1]ないしBSF8[0,-1]のうちの、注目画素の光量積算領域が通る部分の体積を、VSF1[0,-1]ないしVSF8[0,-1]と、注目画素の右上に隣接する画素を断面とする、サブフィールドSF1ないしSF8それぞれの8個の占有画素フィールド領域BSF1[1,-1]ないしBSF8[1,-1]のうちの、注目画素の光量積算領域が通る部分の体積を、VSF1[1,-1]ないしVSF8[1,-1]と、それぞれ表すこととすると、視線方向mvが、動きベクトル(1,-1)で表される、その視線方向mvに対する光量積算値テーブルでは、占有比率RSF1[0,0]ないしRSF8[0,0]が、値VSF1[0,0]/VないしVSF8[0,0]/Vに、占有比率RSF1[1,0]ないしRSF8[1,0]が、値VSF1[1,0]/VないしVSF8[1,0]/Vに、占有比率RSF1[0,-1]ないしRSF8[0,-1]が、値VSF1[0,-1]/VないしVSF8[0,-1]/Vに、占有比率RSF1[1,-1]ないしRSF8[1,-1]が、値VSF1[1,-1]/VないしVSF8[1,-1]/Vに、それぞれなっており、他の占有比率は、すべて0になっている。
【0223】
光量積算値テーブル記憶部303(図36)は、注目画素における視線方向mvに対する光量積算値テーブルに登録されている、8つのサブフィールドSF1ないしSF8それぞれと、256通りの相対位置[-8,-8]ないし[7,7]それぞれとの、合計で、8×256通りの占有比率を読み出し、光量積算領域選択回路304に供給する。
【0224】
光量積算領域選択回路304は、光量積算値テーブル記憶部303からの占有比率の中から、値が0以外の占有比率を選択し、その値が0以外の占有比率に、対応する光量SFViを乗算することで、影響光量を求める。
【0225】
なお、ここでは、光量積算領域選択回路304が、光量積算値テーブル記憶部303からの占有比率の中から、値が0以外の占有比率を選択し、その値が0以外の占有比率に、対応する光量SFViを乗算することで、影響光量を求めることとしたが、値が0の占有比率に対しては、どのような光量SFViを乗算を乗算しても、影響光量は0となるので、光量積算領域選択回路304では、光量積算値テーブル記憶部303からの占有比率の中から、値が0以外の占有比率を特に選択することなく、光量積算値テーブル記憶部303からの占有比率のそれぞれに、対応する光量SFViを乗算することで、影響光量を求めることが可能である。
【0226】
次に、図38のフローチャートを参照して、図36の光量積算部300による光量の積算の処理の詳細について説明する。
【0227】
ステップST1011において、注目フィールドの各画素における視線方向mvが、動き検出部100(図1)から光量積算部300の光量積算値テーブル記憶部303に供給されるとともに、注目フィールドのサブフィールドの発光パターンを表す発光制御情報SFが、サブフィールド展開部200(図1)から光量積算部300の光量積算領域選択回路304に供給される。
【0228】
その後、処理は、ステップST1011からステップST1012に進み、光量積算値テーブル記憶部303は、注目フィールドを構成する画素のうちの、まだ注目画素として選択していない画素の1つを、注目画素に選択して、処理は、ステップST1013に進む。
【0229】
ステップST1013では、光量積算値テーブル記憶部303は、動き検出部100からの視線方向mvのうちの、注目画素における視線方向mvに対する光量積算値テーブルから、そこに登録されているすべての占有比率RSF#j[x,y]を読み出して、光量積算領域選択回路304に供給し、処理は、ステップST1014に進む。
【0230】
ステップST1014では、光量積算領域選択回路304は、光量積算値テーブル記憶部303からの占有比率RSF#j[x,y]に、対応する占有画素フィールド領域BSF#j[x,y]の光量SFjを乗算することで、占有画素フィールド領域BSF#j[x,y](の光量)が注目画素の画素値に影響する分の光量(影響光量)を求め、光量積算回路302に供給する。
【0231】
なお、サブフィールドSF#jの占有画素フィールド領域の光量SFjは、サブフィールドSF#jが発光している場合には、そのサブフィールドSF#jの輝度の重みLとされ、サブフィールドSF#jが発光していない(非発光である)場合には、0とされる。光量積算領域選択回路304は、サブフィールドSF#jの発光/非発光を、サブフィールド展開部200(図1)から供給される発光制御情報SFが表す発光パターンから認識する。
【0232】
その後、処理は、ステップST1014からステップST1015に進み、光量積算回路302は、光量積算領域選択回路304からの影響光量すべてを積算することで、注目画素の画素値を求め、処理は、ステップST1016に進む。
【0233】
ステップST1016では、光量積算領域選択回路304が、注目フィールドを構成する画素のすべてを、注目画素としたかどうかを判定する。
【0234】
ステップST1016において、注目フィールドを構成する画素のすべてを、まだ、注目画素としていないと判定された場合、処理は、ステップST1012に戻り、光量積算値テーブル記憶部303は、注目フィールドを構成する画素のうちの、まだ注目画素として選択していない画素の1つを、注目画素に新たに選択し、以下、同様の処理が繰り返される。
【0235】
また、ステップST1016において、注目フィールドを構成する画素のすべてを、注目画素としたと判定された場合、処理は、ステップST1017に進み、光量積算回路302は、注目フィールドを構成する画素のすべてを注目画素として求めた画素値からなる出力画像Voutを出力する。
【0236】
次に、上述した一連の処理は、専用のハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0237】
そこで、図39は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示している。
【0238】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク1105やROM1103に予め記録しておくことができる。
【0239】
あるいはまた、プログラムは、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体1111に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体1111は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
【0240】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体1111からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送し、コンピュータでは、そのようにして転送されてくるプログラムを、通信部1108で受信し、内蔵するハードディスク1105にインストールすることができる。
【0241】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)1102を内蔵している。CPU1102には、バス1101を介して、入出力インタフェース1110が接続されており、CPU1102は、入出力インタフェース1110を介して、ユーザによって、キーボードや、マウス、マイク等で構成される入力部1107が操作等されることにより指令が入力されると、それにしたがって、ROM(Read Only Memory)1103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、また、CPU1102は、ハードディスク1105に格納されているプログラム、衛星若しくはネットワークから転送され、通信部1108で受信されてハードディスク1105にインストールされたプログラム、またはドライブ1109に装着されたリムーバブル記録媒体1111から読み出されてハードディスク1105にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)1104にロードして実行する。これにより、CPU1102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU1102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース1110を介して、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される出力部1106から出力、あるいは、通信部1108から送信、さらには、ハードディスク1105に記録等させる。
【0242】
ここで、本明細書において、コンピュータに各種の処理を行わせるためのプログラムを記述する処理ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含むものである。
【0243】
また、プログラムは、1のコンピュータにより処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0244】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】本発明を適用した画像処理装置の第1実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】動き検出部100の構成例を示すブロック図である。
【図3】動き検出を説明する図である。
【図4】動き検出を説明する図である。
【図5】サブフィールド展開部200の構成例を示すブロック図である。
【図6】サブフィールドの構成例を示す図である。
【図7】サブフィールドの構成例を示す図である。
【図8】光量積算部300の構成例を示すブロック図である。
【図9】擬似輪郭の発生を説明する図である。
【図10】光量積算領域を示す図である。
【図11】光量積算領域を示す図である。
【図12】本発明を適用した画像処理装置の第2実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図13】階調変換部400の構成例を示すブロック図である。
【図14】ディザ変換回路404の動作を説明する図である。
【図15】本発明を適用した画像処理装置の第3実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図16】本発明を適用した画像処理装置の第4実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図17】視覚補正部500の構成例を示すブロック図である。
【図18】ディザ補正回路501の動作を説明する図である。
【図19】拡散誤差補正回路502の動作を説明する図である。
【図20】本発明を適用した画像処理装置の第1実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図21】動き検出の処理を説明するフローチャートである。
【図22】画像をサブフィールドに展開する処理を説明するフローチャートである。
【図23】光量を積算する処理を説明するフローチャートである。
【図24】本発明を適用した画像処理装置の第2実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図25】階調を変換する処理を説明するフローチャートである。
【図26】本発明を適用した画像処理装置の第3実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図27】本発明を適用した画像処理装置の第4実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【図28】視覚補正の処理を説明するフローチャートである。
【図29】表示モデルを示す図である。
【図30】表示モデルの画素を示す図である。
【図31】表示モデルにおける光量積算領域を示す図である。
【図32】断面領域を示す図である。
【図33】時刻Tの経過とともに表示モデル内を移動する断面領域を示す図である。
【図34】時刻Tの経過とともに表示モデル内を移動する断面領域を示す図である。
【図35】光量の積算の処理を説明するフローチャートである。
【図36】光量積算部300の他の構成例を示すブロック図である。
【図37】光量積算値テーブルを示す図である。
【図38】光量の積算の処理を説明するフローチャートである。
【図39】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0246】
100 動き検出部, 101 相関演算回路, 102 遅延回路, 103 視線決定回路, 200 サブフィールド展開部, 201 サブフィールド割当回路, 202 発光決定回路, 300 光量積算部, 301 光量積算領域決定回路, 302 光量積算回路, 303 光量積算値テーブル記憶部, 304 光量積算領域選択回路, 400 階調変換部, 401 遅延回路, 402 階調変換回路, 403 階調変換テーブル, 404 ディザ変換回路, 405,406 演算器 500 視覚補正部, 501 ディザ補正回路, 502 拡散誤差補正回路, 1101 バス, 1102 CPU, 1103 ROM, 1104 RAM, 1105 ハードディスク, 1106 出力部, 1107 入力部, 1108 通信部, 1109 ドライブ, 1110 入出力インタフェース, 1111 リムーバブル記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理装置において、
入力画像信号から画像の動きを検出する動き検出手段と、
前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開するサブフィールド展開手段と、
前記動き検出手段において検出された動きの方向と、前記サブフィールド展開手段において展開されたサブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する光量積算手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記第1の表示デバイスは、PDP(Plasma Display Panel)以外の表示デバイスである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の表示デバイスは、CRT(Cathode Ray Tube),LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electroluminescence)、又はプロジェクタである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の表示デバイスは、PDP(Plasma Display Panel)である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記サブフィールド展開手段は、前記入力画像信号を、画素ごとに、発光の光量が異なる複数のサブフィールドに展開し、
前記光量積算手段は、前記第2の表示デバイスにおいて前記入力画像信号を表示する表示面に垂直な方向を時間方向として、前記複数のサブフィールドを時間方向に並べた、前記第2の表示デバイスによる前記入力画像信号の表示をモデル化した表示モデルにおいて、注目している注目画素の領域を断面とし、かつ、前記注目画素の動きの方向に延びる領域を、光量の積算を行う光量積算領域として、前記光量積算領域内の光量を、前記サブフィールドの発光パターンに従って積算することにより、前記注目画素の画素値を算出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記光量積算手段は、
前記表示モデルにおいて、前記表示面の画素の領域を断面とし、かつ、時間方向に、前記サブフィールドの発光の光量に対応する長さだけ延びる領域を、画素サブフィールド領域として、前記画素サブフィールド領域内を前記光量積算領域が占める比率である占有比率に、前記画素サブフィールド領域に対応するサブフィールドの前記発光パターンに従った発光の光量を乗算することにより、前記画素サブフィールド領域が前記注目画素の画素値に影響する分の影響光量を、前記光量積算領域が通る前記画素サブフィールド領域すべてについて求め、
前記光量積算領域が通る前記画素サブフィールド領域すべてについて求められた前記影響光量を積算する
ことにより、前記注目画素の画素値を算出する
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光量積算手段は、画素の動きの方向と、前記占有比率とを対応付けたテーブルを用いて、前記注目画素の動きの方向に基づき、前記注目画素について、前記占有比率を求める
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理方法において、
入力画像信号から画像の動きを検出し、
前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開し、
画像の動きの方向と、サブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項9】
画像を表示する第1の表示デバイスを用いて、前記第1の表示デバイスと異なる特性を有する第2の表示デバイスにおいて画像を表示した状態を再現する画像処理装置として、コンピュータを機能させるプログラムにおいて、
入力画像信号から画像の動きを検出する動き検出手段と、
前記入力画像信号を複数のサブフィールドに展開するサブフィールド展開手段と、
前記動き検出手段において検出された動きの方向と、前記サブフィールド展開手段において展開されたサブフィールドの発光パターンから、前記第2の表示デバイスに表示された前記入力画像信号を人が見た際に、網膜に積分される光量を擬似的に算出し、その光量を画素値とする出力画像信号を生成する光量積算手段と
して、コンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2008−233852(P2008−233852A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221274(P2007−221274)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】