画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
【課題】実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示する。
【解決手段】画像処理装置100は、魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部110と、3次元空間を規定する3次元CGモデル情報131を記憶する記憶部130と、撮影部110によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出し、個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部120と、光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出部140と、3次元CGモデル情報131と光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元CG作成部150と、3次元画像を表示する表示部160と、を備える。
【解決手段】画像処理装置100は、魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部110と、3次元空間を規定する3次元CGモデル情報131を記憶する記憶部130と、撮影部110によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出し、個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部120と、光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出部140と、3次元CGモデル情報131と光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元CG作成部150と、3次元画像を表示する表示部160と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラによって撮影された画像に対して行われる画像処理の技術として様々なものが開発されている。例えば、異なる複数の位置に設置されたカメラにより対象物を撮影して得た複数の画像を処理して対象物を確実に追跡する技術について開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、対象物を撮影して得た複数の画像データから対象物の3次元画像データを生成する装置において、対象物の3次元形状モデルの表面についての色彩データを複数の方向から見たデータとして生成する技術について開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、照明に依存して対象物の各部分の色情報が不正確に再現される点を改善することが可能となる。
【0003】
また、装置の置かれた環境光によって画像の鑑賞者による見えのモードが変化しないように画像を表示する画像表示技術について開示されている(特許文献3参照)。また、被写体が存在する空間の環境光に対して忠実に画像再生装置の存在する空間の環境光を再現する技術について開示されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−101419号公報
【特許文献2】特開2000−306117号公報
【特許文献3】特開2007−86549号公報
【特許文献4】特開平07−264620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1、2に記載された技術では、複数のカメラによって撮影された画像に基づいて、被写体の位置、形状、色彩を推定することはできるが、実空間に存在する光源に関する情報を取得することはできないという問題があった。
【0006】
また、上記した特許文献3、4に記載された技術では、装置に照らされている環境光に関する情報を画像に反映することはできるが、上記した特許文献1、2に記載された技術と同様に、実空間に存在する光源に関する情報を取得することはできないという問題があった。実空間に存在する光源に関する情報を取得することができない場合には、当然のことながら、光源に関する情報に基づいた画像を生成することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする、画像処理装置が提供される。
【0009】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、射影変換により撮影部の位置を基準とした光源の実空間における方位を示す方位情報を、光源情報として算出する方位情報算出処理を行うこととしてもよい。
【0010】
光源情報算出部は、方位情報と所定値とに基づいて、光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。
【0011】
撮影部は、魚眼レンズを複数有し、複数の魚眼レンズを通して自装置の外部から受光してそれぞれの画像を撮影し、光源個数算出部は、撮影部によって撮影されたそれぞれの画像について光源個数算出処理と光源情報算出処理とを行い、光源情報算出部は、撮影部によって撮影されたそれぞれの画像について方位情報算出処理を行い、算出された複数の方位情報に基づいて光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。
【0012】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、光源情報としてさらに算出することとしてもよい。
【0013】
光源個数算出部は、算出した個数分に相当する光源領域を画像から検出し、検出した光源領域の画像における位置を光源領域座標情報として算出し、光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源から発せられる光の広がりを、光源情報としてさらに算出することとしてもよい。
【0014】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源領域を2つのベクトルで近似し、2つのベクトルによって光の広がりとして使用することとしてもよい。
【0015】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに算出し、3次元画像作成部は、光源情報算出部によって算出された環境光情報に基づいて、3次元空間における物体色を特定し、特定した物体色を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0016】
3次元画像作成部は、光源情報算出部によって算出された光源情報と記憶部によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出し、算出した影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した影領域に影を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0017】
3次元画像作成部は、光源情報算出部によって光源情報として算出された位置情報と記憶部によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した半影領域に半影を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0018】
光源情報算出部は、3次元画像の作成に前回用いられた光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の光源情報が変化したか否かを判断し、3次元画像作成部は、光源情報算出部によって現在の光源情報が前回の光源情報から変化したと判断された場合に、3次元画像を作成し直し、表示部は、3次元画像作成部によって作成し直された3次元画像を表示し直すこととしてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、光源個数算出部と、光源情報算出部と、3次元画像作成部と、表示部とを備える、画像処理装置が、光源個数算出部により、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出するステップと、光源情報算出部により、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行うステップと、3次元画像作成部により、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成するステップと、表示部により、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示するステップと、を含むことを特徴とする、画像処理方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示する表示部と、を備える、画像処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概観を示す図である。
【図2】同実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。
【図3】同実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明するための図である。
【図4】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明するための図である。
【図5A】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図5B】一般的な画像表示装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図6B】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)を示す図である。
【図6C】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)を示す図である。
【図7】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法を説明するための図である。
【図8】光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角を説明するための図である。
【図9】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
[画像処理装置の概要]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る画像処理装置の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の概観を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、少なくとも表示部160を備えるものであり、表示部160は、画像処理装置100によって処理された画像を表示する。例えば、図1に示すように、ユーザが画像処理装置100に対して操作情報を入力するためのオブジェクト161が表示部160によって表示されているとする。
【0026】
画像処理装置100は、例えば、その周囲に光源L1および光源L2が設置されており、光源L1および光源L2から発せられた光によって、表示部160によって表示されているオブジェクト161が照射されている。ここで、オブジェクト161が立体的に構成されていることを示すには、光源L1から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の右下に影を表示されるようにするのが好ましい(オブジェクト161a参照)。この場合の「右下」は、オブジェクト161を基準として光源L1が存在する方向とは逆の方向となる。このようにすれば、画像処理装置100を使用するユーザに対してリアルな画像を閲覧させることができる。
【0027】
同様に、光源L2から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の左下に影を表示されるようにするのが好ましい(オブジェクト161b参照)。この場合の「左下」は、オブジェクト161を基準として光源L2が存在する方向とは逆の方向となる。また、光源L1と光源L2の双方から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の右下と左下に影を表示するようにするのが好ましい(オブジェクト161c参照)。特に、オブジェクト161の下に相当する領域は、双方の影が重なるため、比較的濃い影として表示されるのが好ましい。
【0028】
これを実現するために、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮影部110を備えることとする。撮影部110は、少なくとも魚眼レンズ111と撮像素子112とを有しており、撮像素子112は、魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から受光して画像を撮影する機能を有する。本発明の実施形態では、このように、画像を撮影するために使用するレンズとして平面的なレンズ(以下、「通常レンズ」とも言う。)ではなく、魚眼レンズ111を使用する。通常レンズの画角は180度より狭いため、オブジェクト161を照射する光を発する光源が撮影範囲内に収まらない可能性がある。他方において、魚眼レンズ111の画角は180度であるため、オブジェクト161を照射する光を発する光源を、必ず撮影範囲内に収めることができる。
【0029】
また、例えば、積分球を使用して画像処理装置100を照射する環境光に関する情報を取得する技術では、環境光に関する情報を取得することは可能であるが、光源に関する情報を取得することはできない。したがって、上記したような影を表示すべき方向などを把握することができない。本発明の実施形態では、画像処理装置100が魚眼レンズを使用して撮影を行うことができるため、光源に関する情報を取得することができ、いずれの方向に影を表示すべきであるのかを把握することができる。また、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、光源に関する情報を取得することができるために、光源に関する情報とは切り離して環境光に関する情報を取得することができるという効果をも奏するものである。
【0030】
本発明の実施形態は、魚眼レンズ111を有する撮影部110によって撮影された画像を処理することによって、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示する。これによって、ユーザにとってよりリアルな画像を表示することができる。
【0031】
[画像処理装置の機能構成]
図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。
【0032】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮影部110と、光源個数算出部120と、記憶部130と、光源情報算出部140と、3次元CG作成部150と、表示部160とを備えるものである。以下において各ブロックが有する機能について説明する。
【0033】
撮影部110は、魚眼レンズ111を有するとともに魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から受光して画像を撮影する機能を有するものである。撮影部110は、魚眼レンズ111を1以上有することとしてもよいし、複数有することとしてもよい。撮影部110は、魚眼レンズ111の他に、魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から入射した光を電気信号に変換する撮像素子112を有する。
【0034】
記憶部130は、3次元空間を規定する3次元CG(Computer Graphics)モデル情報131を記憶する機能を有するものである。3次元空間は、表示部160によって表示される仮想的な空間であり、例えば、形状、大きさ、位置、向き、色などを有するオブジェクトによって規定される。オブジェクトについては、後に詳細に説明する。3次元CGモデル情報131は、3次元モデル情報の一例となる情報である。記憶部130は、その他に画像処理装置100内の各ブロックによって使用されるデータやプログラムなどを記憶する機能を有する。記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリによって構成されるものである。
【0035】
光源個数算出部120は、撮影部110によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する機能を有するものである。光源個数算出部120の機能の詳細については、図3を参照して後に説明する。光源個数算出部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)によって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0036】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う機能を有するものである。光源個数算出部120の機能の詳細については、図4を参照して後に説明する。光源情報算出部140は、例えば、CPU、RAMによって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0037】
3次元CG作成部150は、記憶部130によって記憶されている3次元CGモデル情報131と光源情報算出部140によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する機能を有するものである。3次元CG作成部150は、3次元画像作成部の一例として機能するものである。3次元CG作成部150は、例えば、CPU、RAMによって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0038】
表示部160は、3次元CG作成部150によって作成された3次元画像を表示する機能を有するものである。表示部160は、その他に画像処理装置100が閲覧するための情報を必要に応じて表示することが可能である。表示部160は、例えば、表示装置によって構成されるものである。
【0039】
[画像処理装置の光源個数算出部の機能]
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明するための図である。
【0040】
図3に示すように、撮影部110は、例えば、撮影した結果として画像全体IMAを取得することができる。画像全体IMAには、レンズ内画像IMBとレンズ外画像IMCとが含まれている。レンズ内画像IMBは、撮影部110が画像処理装置100の外部から魚眼レンズ111を通して受光して撮影した画像であり、レンズ外画像IMCは、撮影部110が魚眼レンズ111を通さずに受光して撮影した画像である。本発明の実施形態では、主にレンズ外画像IMCではなくレンズ内画像IMBを使用する。なお、光源位置P1は、光源L1が撮影された箇所に相当し、光源位置P2は、光源L2が撮影された箇所に相当するものとする。
【0041】
上記したように、光源個数算出部120は、撮影部110によって撮影されたレンズ内画像IMBに写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行う。そのために、例えば、光源個数算出部120は、レンズ内画像IMBのヒストグラムを用いて所定値以上の輝度を有する箇所を光源候補領域とする。この場合の所定値は、例えば、記憶部130に記憶させておくことができる。
【0042】
図3に示した例では、レンズ内画像IMBに示されている2つの楕円領域を光源候補領域とする。ここでは、光源L1と光源L2とが点光源であるために、光源候補領域が楕円領域として撮影されているが、光源候補領域は、必ずしも楕円形状になるとは限らず、例えば、光源が細長い蛍光灯のようなものである場合には、矩形になることもある。このように、光源の形状によって光源候補領域の形状は変更され得るものである。
【0043】
続いて、光源個数算出部120は、この光源候補領域に対する包絡線を検出し、包絡線に囲まれる領域が所定値以上の面積を有するものであれば、その光源候補領域を光源領域とし、光源領域に1つの光源が存在するものとみなす。この場合の所定値についても、例えば、記憶部130に記憶させておくことができる。光源個数算出部120は、例えば、光源領域の輝度を尺度とした重心位置を光源位置として検出する。
【0044】
包絡線は、光源候補領域を含むように囲う線であればどのようなものであってもよいが、光源候補領域を含むように可能な限り小さな領域を規定する線であるとするのがよい。このように、所定値以上の面積を有すると判断した領域に1つの光源が存在するとみなすのは、単なる光の反射によって撮影された領域に光源が存在すると誤認してしまうことを防ぐためである。
【0045】
図3に示した例では、光源個数算出部120は、例えば、包絡線に囲まれる領域として矩形領域IM1と矩形領域IM2とを検出する。光源個数算出部120は、矩形領域IM1と矩形領域IM2との双方が所定値以上の面積を有すると判断し、2つの楕円領域のそれぞれを光源領域とみなす。さらに、光源個数算出部120は、2つの光源領域の中心をそれぞれの光源座標情報として光源位置P1および光源位置P2として算出する。
【0046】
以上に説明したように、光源個数算出部120は、まず、撮影部110によって撮影されたレンズ内画像IMBに写されている光源の個数を算出し、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する。このように、光源座標を算出するに先立って光源の個数を算出するのは、2つの光源を含むような領域を1つの光源領域とみなし、その光源領域の輝度を尺度とした重心位置を光源位置と誤認してしまうことを防ぐためである。
【0047】
[画像処理装置の光源情報算出部の機能]
図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明するための図である。
【0048】
上記したように、光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う。図3に示した例では、光源個数算出部120は、レンズ内画像IMBにおける光源座標として光源位置P1および光源位置P2を算出した。図4に示す例では、光源情報算出部140は、レンズ内画像IMBにおける光源位置P1および光源位置P2に基づいて、光源L1および光源L2に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する。光源に関する実空間におけるパラメータには、様々なものがあるが、例えば、光源の方位、位置、光源から発せられる光の強度、色、広がりなどが想定される。光源情報算出部140は、これらの値を矩形領域(矩形領域IM1や矩形領域IM2)ごとに算出する。
【0049】
光源情報算出部140は、例えば、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、射影変換により撮影部110の位置を基準とした光源の実空間における方位を示す方位情報を、光源情報として算出する。方位情報の算出手法については、図7および図8を参照して後に説明する。また、光源情報算出部140は、光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。光源の位置情報の算出手法にも様々なものがあり、例えば、方位情報と所定値とに基づいて算出する手法や、複数の魚眼レンズを使用して算出する手法などがある。前者については図7および図8を参照して後に説明する。後者については図9を参照して後に説明する。
【0050】
光源情報算出部140によって複数の光源の位置が算出された場合には、3次元CG作成部150は、複数の光源の位置に基づいて半影を含む3次元画像を生成することができる。半影は、複数の光源のうちで一部の光源から発せられた光が到達しないために生じる影である。より詳細には、3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって光源情報として算出された位置情報と記憶部130によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した半影領域に半影を有する3次元画像を作成する。
【0051】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、光源情報として方位情報の他に算出することとしてもよい。光源情報算出部140は、例えば、光源の強度として、光源位置P1(または光源位置P2)の画素値と撮影部110のExposure値とに基づいて算出する。光源位置の画素値は、光源位置のRGBの3つを使用した演算によって算出される。撮影部110のExposureは、絞り値と露光時間(シャッタースピード)によって決まる露出の度合いを示す値である。また、光源情報算出部140は、例えば、光源の色として、光源位置P1(または光源位置P2)のRGBに基づいて算出する。
【0052】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源から発せられる光の広がりを、光源情報として方位情報の他に算出することとしてもよい。より詳細には、光源情報算出部140は、例えば、光源個数算出部120によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源領域を2つのベクトルで近似し、2つのベクトルによって光の広がりとして使用することとしてもよい。
【0053】
図4に示す例では、光源情報算出部140が、矩形領域IM1に存在する光源領域の短軸をベクトルV1a、長軸をベクトルv1bで近似し、矩形領域IM2に存在する光源領域の長軸をベクトルv2a、短軸をベクトルv2bで近似する場合について示されている。しかしながら、光源領域を2つのベクトルで近似する手法については、特に限定されるものではない。光源情報算出部140は、例えば、光源領域が矩形である場合には、矩形の縦横を2つのベクトルで近似することとしてもよい。また、正確に長軸、短軸、縦横をベクトルで近似する場合に限らず、所定の定数を掛けたベクトルで近似することとしてもよい。
【0054】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに光源情報の他に算出することとしてもよい。光源情報算出部140は、例えば、レンズ内画像IMBのうちで矩形領域IM1や矩形領域IM2に属しない領域の画素値とExposure値とに基づいて実空間における環境光の強さを算出することができる。
【0055】
また、光源情報算出部140は、例えば、レンズ内画像IMBのうちで矩形領域IM1や矩形領域IM2に属しない領域のRGBに基づいて実空間における環境光の色を算出することができる。3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって算出された環境光情報に基づいて、3次元空間における物体色を特定し、特定した物体色を有する3次元画像を作成する。環境光情報は、光源からの光が届かない箇所の明るさに、特に大きく寄与する要素である。光源からの光が届かない箇所とは、後の説明で登場する影が生じる箇所を意味する。
【0056】
このように、本発明の実施形態では、画像処理装置100は、魚眼レンズを用いて撮影した画像から光源に関する情報を取得することができるため、光源に関する情報とは区別された環境光に関する情報を取得することができる。例えば、魚眼レンズではなく、積分球などを用いて積分球に入り込む光に関する情報を取得した場合には、取得した情報から光源に関する情報と環境光に関する情報とを切り分けることができない。
【0057】
[画像の表示例(光源が1つ存在する場合)]
図5Aを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)について説明する。図5Aは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0058】
図5Aに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置200が表示する画面210aには、オブジェクト220aが含まれている。このオブジェクト220aは、3次元CGモデル情報131によって規定されており、3次元画像として表示部160に表示される。ここで、図5Aに示すように、オブジェクト220aには、画面210aに対して垂直の方向に高さを有するオブジェクト231およびオブジェクト232が含まれているとする。そのような場合には、画像処理装置200の光源情報算出部140が有する機能によって画像処理装置200を照射する光を発している光源に関する情報が取得される。また、画像処理装置200の3次元CG作成部150が有する機能によって光源に関する情報に基づいた影241および影242が画面210aに表示される。これにより、画像処理装置200を室内に設置した場合に、画像処理装置200の周囲の環境との親和感を増した画面210aを表示することができる。
【0059】
より詳細には、画像処理装置200の3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって算出された光源情報と記憶部130によって記憶されている3次元CGモデル情報131とに基づいて、3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出する。3次元CG作成部150は、算出した影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した影領域に影を有する3次元画像を作成する。表示部160は、3次元CG作成部150によって生成された3次元画像を表示する。
【0060】
近年では、デジタルフォトフレーム、スマートフォン、タブレットPCなどといった可搬性のあるディスプレイが広く流通している。これらのディスプレイは、使用される環境が変化することが多く、光源に適応的な表現を行うことは特に有用であると考えられる。また、販売対象となる商品の見本などを立体的に表示する際、光源に適応した陰影が付された画像を表示することによって、購入者が実際に商品を入手したときの印象と見本を閲覧したときとの印象との間に生じる差異を減少させることができる。
【0061】
また、画像処理装置200は、設置される環境が変化することによって光源の情報を速やかに算出し、表示対象の画像を、変化後の環境に合わせた3次元画像に即時性をもって変更することも可能である。より詳細には、光源情報算出部140は、3次元画像の作成に前回用いられた光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の光源情報が変化したか否かを判断し、3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって現在の光源情報が前回の光源情報から変化したと判断された場合に、3次元画像を作成し直し、表示部160は、3次元CG作成部150によって作成し直された3次元画像を表示し直す。
【0062】
[画像の表示例(光源が1つ存在する場合)]
図5Bを参照しながら、一般的な画像処理装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)について説明する。図5Bは、一般的な画像処理装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0063】
図5Bに示すように、一般的な画像処理装置は、オブジェクト220bを含む画面210bを表示している。オブジェクト220bは、オブジェクト231およびオブジェクト232を有するが、オブジェクト231およびオブジェクト232が存在することによって生じるはずの影は、オブジェクト220bには特に示されていない。
【0064】
[画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)]
図6Aを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)について説明する。図6Aは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0065】
図6Aに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310aを表示しており、画面310aには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S1に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が1つ存在する場合について示されている。
【0066】
[画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)]
図6Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)について説明する。図6Bは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)を示す図である。
【0067】
図6Bに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310bを表示しており、画面310bには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S2および方向S3に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が2つ存在する場合について示されている。
【0068】
[画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)]
図6Cを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)について説明する。図6Cは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)を示す図である。
【0069】
図6Cに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310cを表示しており、画面310bには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S2および方向S3に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が1つ、面光源が1つ存在する場合について示されている。面光源から光が照射されるために、方向S2に生じる影は境界がなだらかになっている。これは、画像処理装置300の光源情報算出部140によって光源の広がりを示す情報が光源情報として取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が、光源の広がりを考慮した3次元画像を作成したためである。
【0070】
[光源の方位を算出する手法]
図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法を説明するための図である。ここでは、画像処理装置100が使用する魚眼レンズ111は1つであることを想定している。
【0071】
いま、光源のレンズ内画像IMB上における光源座標(i,j)が2次元座標として得られたとする。また、魚眼レンズ111は正距円筒図法でレンズ内画像IMBに光を投影しており、画像内で90度となる長さをWとする。このとき、光源座標(i,j)と光源の方位(方位角、仰角)=(θ、φ)の関係は式(1)で表わされる。仰角、方位角の定義は図8に示した。
【0072】
【数1】
【0073】
3次元CG作成部150が3次元CGにおいて半影を描かない場合は、光源の方向を使用すれば、光源の位置が未知であっても影の作成を行うことが可能である。3次元CG作成部150が半影を描くときは、適当な半径Rを設定し、式(2)によって得られる光源座標(x,y,z)を用いる。半径Rは、例えば、記憶部130に記憶させておくことができ、画像処理装置100を管理する管理者などが適宜変更することが可能である。
【0074】
【数2】
【0075】
[光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角]
図8を参照しながら、光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角について説明する。図8は、光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角について説明するための図である。
【0076】
画像処理装置100によって光源の方向を算出するために使用される仰角、方位角は、例えば、図8に示すように定義される。
【0077】
[光源の位置を算出する手法]
図9を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法を説明するための図である。ここでは、画像処理装置100が使用する魚眼レンズ111は複数であることを想定している。
【0078】
魚眼レンズ111が複数ある場合には、半径Rを仮定しなくても光源座標が得られる。簡単のため魚眼レンズ111が2つあり、それぞれの実空間における座標(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)は画像処理装置100にとって既知であり、各々の魚眼レンズ111において光源の方位(θ1、φ1),(θ2、φ2)は、画像処理装置100によって算出済みであるとする。このとき、光源の方向ベクトル(v1x,v1y,v1z),(v2x,v2y,v2z)は、式(3)で表わされる。
【0079】
【数3】
【0080】
この式(3)を用いると、光源の座標(x,y,z)は、式(4)で表わされる。
【0081】
【数4】
ここで、s,tは、媒介変数であり、式(5)で定義される(†はMoore−Penroseの一般逆行列を表す)。尚、この解法は、光源数が2つではなく、n個(nが3以上)になっても有効である。
【0082】
【数5】
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る技術は、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能となる。このようにすれば、画像処理装置100を使用するユーザに対してリアルな画像を閲覧させることができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0085】
100 画像処理装置
110 撮影部
111 魚眼レンズ
112 撮像素子
120 光源個数算出部
130 記憶部
131 3次元CGモデル情報(3次元モデル情報)
140 光源情報算出部
150 3次元CG作成部(3次元画像作成部)
160 表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラによって撮影された画像に対して行われる画像処理の技術として様々なものが開発されている。例えば、異なる複数の位置に設置されたカメラにより対象物を撮影して得た複数の画像を処理して対象物を確実に追跡する技術について開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、対象物を撮影して得た複数の画像データから対象物の3次元画像データを生成する装置において、対象物の3次元形状モデルの表面についての色彩データを複数の方向から見たデータとして生成する技術について開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術によれば、照明に依存して対象物の各部分の色情報が不正確に再現される点を改善することが可能となる。
【0003】
また、装置の置かれた環境光によって画像の鑑賞者による見えのモードが変化しないように画像を表示する画像表示技術について開示されている(特許文献3参照)。また、被写体が存在する空間の環境光に対して忠実に画像再生装置の存在する空間の環境光を再現する技術について開示されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−101419号公報
【特許文献2】特開2000−306117号公報
【特許文献3】特開2007−86549号公報
【特許文献4】特開平07−264620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1、2に記載された技術では、複数のカメラによって撮影された画像に基づいて、被写体の位置、形状、色彩を推定することはできるが、実空間に存在する光源に関する情報を取得することはできないという問題があった。
【0006】
また、上記した特許文献3、4に記載された技術では、装置に照らされている環境光に関する情報を画像に反映することはできるが、上記した特許文献1、2に記載された技術と同様に、実空間に存在する光源に関する情報を取得することはできないという問題があった。実空間に存在する光源に関する情報を取得することができない場合には、当然のことながら、光源に関する情報に基づいた画像を生成することはできない。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能な、新規かつ改良された画像処理装置、画像処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする、画像処理装置が提供される。
【0009】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、射影変換により撮影部の位置を基準とした光源の実空間における方位を示す方位情報を、光源情報として算出する方位情報算出処理を行うこととしてもよい。
【0010】
光源情報算出部は、方位情報と所定値とに基づいて、光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。
【0011】
撮影部は、魚眼レンズを複数有し、複数の魚眼レンズを通して自装置の外部から受光してそれぞれの画像を撮影し、光源個数算出部は、撮影部によって撮影されたそれぞれの画像について光源個数算出処理と光源情報算出処理とを行い、光源情報算出部は、撮影部によって撮影されたそれぞれの画像について方位情報算出処理を行い、算出された複数の方位情報に基づいて光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。
【0012】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、光源情報としてさらに算出することとしてもよい。
【0013】
光源個数算出部は、算出した個数分に相当する光源領域を画像から検出し、検出した光源領域の画像における位置を光源領域座標情報として算出し、光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源から発せられる光の広がりを、光源情報としてさらに算出することとしてもよい。
【0014】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源領域を2つのベクトルで近似し、2つのベクトルによって光の広がりとして使用することとしてもよい。
【0015】
光源情報算出部は、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに算出し、3次元画像作成部は、光源情報算出部によって算出された環境光情報に基づいて、3次元空間における物体色を特定し、特定した物体色を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0016】
3次元画像作成部は、光源情報算出部によって算出された光源情報と記憶部によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出し、算出した影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した影領域に影を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0017】
3次元画像作成部は、光源情報算出部によって光源情報として算出された位置情報と記憶部によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した半影領域に半影を有する3次元画像を作成することとしてもよい。
【0018】
光源情報算出部は、3次元画像の作成に前回用いられた光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の光源情報が変化したか否かを判断し、3次元画像作成部は、光源情報算出部によって現在の光源情報が前回の光源情報から変化したと判断された場合に、3次元画像を作成し直し、表示部は、3次元画像作成部によって作成し直された3次元画像を表示し直すこととしてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、光源個数算出部と、光源情報算出部と、3次元画像作成部と、表示部とを備える、画像処理装置が、光源個数算出部により、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出するステップと、光源情報算出部により、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行うステップと、3次元画像作成部により、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成するステップと、表示部により、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示するステップと、を含むことを特徴とする、画像処理方法が提供される。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、魚眼レンズを有するとともに魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、光源個数算出部によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、記憶部によって記憶されている3次元モデル情報と光源情報算出部によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、3次元画像作成部によって作成された3次元画像を表示する表示部と、を備える、画像処理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置の概観を示す図である。
【図2】同実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。
【図3】同実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明するための図である。
【図4】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明するための図である。
【図5A】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図5B】一般的な画像表示装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【図6B】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)を示す図である。
【図6C】同実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)を示す図である。
【図7】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法を説明するための図である。
【図8】光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角を説明するための図である。
【図9】同実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
[画像処理装置の概要]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係る画像処理装置の概要について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の概観を示す図である。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、少なくとも表示部160を備えるものであり、表示部160は、画像処理装置100によって処理された画像を表示する。例えば、図1に示すように、ユーザが画像処理装置100に対して操作情報を入力するためのオブジェクト161が表示部160によって表示されているとする。
【0026】
画像処理装置100は、例えば、その周囲に光源L1および光源L2が設置されており、光源L1および光源L2から発せられた光によって、表示部160によって表示されているオブジェクト161が照射されている。ここで、オブジェクト161が立体的に構成されていることを示すには、光源L1から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の右下に影を表示されるようにするのが好ましい(オブジェクト161a参照)。この場合の「右下」は、オブジェクト161を基準として光源L1が存在する方向とは逆の方向となる。このようにすれば、画像処理装置100を使用するユーザに対してリアルな画像を閲覧させることができる。
【0027】
同様に、光源L2から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の左下に影を表示されるようにするのが好ましい(オブジェクト161b参照)。この場合の「左下」は、オブジェクト161を基準として光源L2が存在する方向とは逆の方向となる。また、光源L1と光源L2の双方から発せられた光がオブジェクト161に照射されることによって、オブジェクト161の右下と左下に影を表示するようにするのが好ましい(オブジェクト161c参照)。特に、オブジェクト161の下に相当する領域は、双方の影が重なるため、比較的濃い影として表示されるのが好ましい。
【0028】
これを実現するために、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮影部110を備えることとする。撮影部110は、少なくとも魚眼レンズ111と撮像素子112とを有しており、撮像素子112は、魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から受光して画像を撮影する機能を有する。本発明の実施形態では、このように、画像を撮影するために使用するレンズとして平面的なレンズ(以下、「通常レンズ」とも言う。)ではなく、魚眼レンズ111を使用する。通常レンズの画角は180度より狭いため、オブジェクト161を照射する光を発する光源が撮影範囲内に収まらない可能性がある。他方において、魚眼レンズ111の画角は180度であるため、オブジェクト161を照射する光を発する光源を、必ず撮影範囲内に収めることができる。
【0029】
また、例えば、積分球を使用して画像処理装置100を照射する環境光に関する情報を取得する技術では、環境光に関する情報を取得することは可能であるが、光源に関する情報を取得することはできない。したがって、上記したような影を表示すべき方向などを把握することができない。本発明の実施形態では、画像処理装置100が魚眼レンズを使用して撮影を行うことができるため、光源に関する情報を取得することができ、いずれの方向に影を表示すべきであるのかを把握することができる。また、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、光源に関する情報を取得することができるために、光源に関する情報とは切り離して環境光に関する情報を取得することができるという効果をも奏するものである。
【0030】
本発明の実施形態は、魚眼レンズ111を有する撮影部110によって撮影された画像を処理することによって、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示する。これによって、ユーザにとってよりリアルな画像を表示することができる。
【0031】
[画像処理装置の機能構成]
図2を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示す図である。
【0032】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る画像処理装置100は、撮影部110と、光源個数算出部120と、記憶部130と、光源情報算出部140と、3次元CG作成部150と、表示部160とを備えるものである。以下において各ブロックが有する機能について説明する。
【0033】
撮影部110は、魚眼レンズ111を有するとともに魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から受光して画像を撮影する機能を有するものである。撮影部110は、魚眼レンズ111を1以上有することとしてもよいし、複数有することとしてもよい。撮影部110は、魚眼レンズ111の他に、魚眼レンズ111を通して画像処理装置100の外部から入射した光を電気信号に変換する撮像素子112を有する。
【0034】
記憶部130は、3次元空間を規定する3次元CG(Computer Graphics)モデル情報131を記憶する機能を有するものである。3次元空間は、表示部160によって表示される仮想的な空間であり、例えば、形状、大きさ、位置、向き、色などを有するオブジェクトによって規定される。オブジェクトについては、後に詳細に説明する。3次元CGモデル情報131は、3次元モデル情報の一例となる情報である。記憶部130は、その他に画像処理装置100内の各ブロックによって使用されるデータやプログラムなどを記憶する機能を有する。記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性メモリによって構成されるものである。
【0035】
光源個数算出部120は、撮影部110によって撮影された画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する機能を有するものである。光源個数算出部120の機能の詳細については、図3を参照して後に説明する。光源個数算出部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)によって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0036】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う機能を有するものである。光源個数算出部120の機能の詳細については、図4を参照して後に説明する。光源情報算出部140は、例えば、CPU、RAMによって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0037】
3次元CG作成部150は、記憶部130によって記憶されている3次元CGモデル情報131と光源情報算出部140によって算出された光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する機能を有するものである。3次元CG作成部150は、3次元画像作成部の一例として機能するものである。3次元CG作成部150は、例えば、CPU、RAMによって構成され、CPUが記憶部130によって記憶されているプログラムをRAMに展開して、RAMに展開したプログラムを実行することによってその機能が実現される。
【0038】
表示部160は、3次元CG作成部150によって作成された3次元画像を表示する機能を有するものである。表示部160は、その他に画像処理装置100が閲覧するための情報を必要に応じて表示することが可能である。表示部160は、例えば、表示装置によって構成されるものである。
【0039】
[画像処理装置の光源個数算出部の機能]
図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源個数算出部の機能について説明するための図である。
【0040】
図3に示すように、撮影部110は、例えば、撮影した結果として画像全体IMAを取得することができる。画像全体IMAには、レンズ内画像IMBとレンズ外画像IMCとが含まれている。レンズ内画像IMBは、撮影部110が画像処理装置100の外部から魚眼レンズ111を通して受光して撮影した画像であり、レンズ外画像IMCは、撮影部110が魚眼レンズ111を通さずに受光して撮影した画像である。本発明の実施形態では、主にレンズ外画像IMCではなくレンズ内画像IMBを使用する。なお、光源位置P1は、光源L1が撮影された箇所に相当し、光源位置P2は、光源L2が撮影された箇所に相当するものとする。
【0041】
上記したように、光源個数算出部120は、撮影部110によって撮影されたレンズ内画像IMBに写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行う。そのために、例えば、光源個数算出部120は、レンズ内画像IMBのヒストグラムを用いて所定値以上の輝度を有する箇所を光源候補領域とする。この場合の所定値は、例えば、記憶部130に記憶させておくことができる。
【0042】
図3に示した例では、レンズ内画像IMBに示されている2つの楕円領域を光源候補領域とする。ここでは、光源L1と光源L2とが点光源であるために、光源候補領域が楕円領域として撮影されているが、光源候補領域は、必ずしも楕円形状になるとは限らず、例えば、光源が細長い蛍光灯のようなものである場合には、矩形になることもある。このように、光源の形状によって光源候補領域の形状は変更され得るものである。
【0043】
続いて、光源個数算出部120は、この光源候補領域に対する包絡線を検出し、包絡線に囲まれる領域が所定値以上の面積を有するものであれば、その光源候補領域を光源領域とし、光源領域に1つの光源が存在するものとみなす。この場合の所定値についても、例えば、記憶部130に記憶させておくことができる。光源個数算出部120は、例えば、光源領域の輝度を尺度とした重心位置を光源位置として検出する。
【0044】
包絡線は、光源候補領域を含むように囲う線であればどのようなものであってもよいが、光源候補領域を含むように可能な限り小さな領域を規定する線であるとするのがよい。このように、所定値以上の面積を有すると判断した領域に1つの光源が存在するとみなすのは、単なる光の反射によって撮影された領域に光源が存在すると誤認してしまうことを防ぐためである。
【0045】
図3に示した例では、光源個数算出部120は、例えば、包絡線に囲まれる領域として矩形領域IM1と矩形領域IM2とを検出する。光源個数算出部120は、矩形領域IM1と矩形領域IM2との双方が所定値以上の面積を有すると判断し、2つの楕円領域のそれぞれを光源領域とみなす。さらに、光源個数算出部120は、2つの光源領域の中心をそれぞれの光源座標情報として光源位置P1および光源位置P2として算出する。
【0046】
以上に説明したように、光源個数算出部120は、まず、撮影部110によって撮影されたレンズ内画像IMBに写されている光源の個数を算出し、算出した個数分に相当する光源の画像における位置を示す光源座標情報を算出する。このように、光源座標を算出するに先立って光源の個数を算出するのは、2つの光源を含むような領域を1つの光源領域とみなし、その光源領域の輝度を尺度とした重心位置を光源位置と誤認してしまうことを防ぐためである。
【0047】
[画像処理装置の光源情報算出部の機能]
図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部の機能について説明するための図である。
【0048】
上記したように、光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う。図3に示した例では、光源個数算出部120は、レンズ内画像IMBにおける光源座標として光源位置P1および光源位置P2を算出した。図4に示す例では、光源情報算出部140は、レンズ内画像IMBにおける光源位置P1および光源位置P2に基づいて、光源L1および光源L2に関する実空間におけるパラメータを3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する。光源に関する実空間におけるパラメータには、様々なものがあるが、例えば、光源の方位、位置、光源から発せられる光の強度、色、広がりなどが想定される。光源情報算出部140は、これらの値を矩形領域(矩形領域IM1や矩形領域IM2)ごとに算出する。
【0049】
光源情報算出部140は、例えば、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、射影変換により撮影部110の位置を基準とした光源の実空間における方位を示す方位情報を、光源情報として算出する。方位情報の算出手法については、図7および図8を参照して後に説明する。また、光源情報算出部140は、光源の実空間における位置を示す位置情報を、光源情報として算出することとしてもよい。光源の位置情報の算出手法にも様々なものがあり、例えば、方位情報と所定値とに基づいて算出する手法や、複数の魚眼レンズを使用して算出する手法などがある。前者については図7および図8を参照して後に説明する。後者については図9を参照して後に説明する。
【0050】
光源情報算出部140によって複数の光源の位置が算出された場合には、3次元CG作成部150は、複数の光源の位置に基づいて半影を含む3次元画像を生成することができる。半影は、複数の光源のうちで一部の光源から発せられた光が到達しないために生じる影である。より詳細には、3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって光源情報として算出された位置情報と記憶部130によって記憶されている3次元モデル情報とに基づいて、3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した半影領域に半影を有する3次元画像を作成する。
【0051】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、光源情報として方位情報の他に算出することとしてもよい。光源情報算出部140は、例えば、光源の強度として、光源位置P1(または光源位置P2)の画素値と撮影部110のExposure値とに基づいて算出する。光源位置の画素値は、光源位置のRGBの3つを使用した演算によって算出される。撮影部110のExposureは、絞り値と露光時間(シャッタースピード)によって決まる露出の度合いを示す値である。また、光源情報算出部140は、例えば、光源の色として、光源位置P1(または光源位置P2)のRGBに基づいて算出する。
【0052】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源から発せられる光の広がりを、光源情報として方位情報の他に算出することとしてもよい。より詳細には、光源情報算出部140は、例えば、光源個数算出部120によって算出された光源領域座標情報に基づいて、光源領域を2つのベクトルで近似し、2つのベクトルによって光の広がりとして使用することとしてもよい。
【0053】
図4に示す例では、光源情報算出部140が、矩形領域IM1に存在する光源領域の短軸をベクトルV1a、長軸をベクトルv1bで近似し、矩形領域IM2に存在する光源領域の長軸をベクトルv2a、短軸をベクトルv2bで近似する場合について示されている。しかしながら、光源領域を2つのベクトルで近似する手法については、特に限定されるものではない。光源情報算出部140は、例えば、光源領域が矩形である場合には、矩形の縦横を2つのベクトルで近似することとしてもよい。また、正確に長軸、短軸、縦横をベクトルで近似する場合に限らず、所定の定数を掛けたベクトルで近似することとしてもよい。
【0054】
光源情報算出部140は、光源個数算出部120によって算出された光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに光源情報の他に算出することとしてもよい。光源情報算出部140は、例えば、レンズ内画像IMBのうちで矩形領域IM1や矩形領域IM2に属しない領域の画素値とExposure値とに基づいて実空間における環境光の強さを算出することができる。
【0055】
また、光源情報算出部140は、例えば、レンズ内画像IMBのうちで矩形領域IM1や矩形領域IM2に属しない領域のRGBに基づいて実空間における環境光の色を算出することができる。3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって算出された環境光情報に基づいて、3次元空間における物体色を特定し、特定した物体色を有する3次元画像を作成する。環境光情報は、光源からの光が届かない箇所の明るさに、特に大きく寄与する要素である。光源からの光が届かない箇所とは、後の説明で登場する影が生じる箇所を意味する。
【0056】
このように、本発明の実施形態では、画像処理装置100は、魚眼レンズを用いて撮影した画像から光源に関する情報を取得することができるため、光源に関する情報とは区別された環境光に関する情報を取得することができる。例えば、魚眼レンズではなく、積分球などを用いて積分球に入り込む光に関する情報を取得した場合には、取得した情報から光源に関する情報と環境光に関する情報とを切り分けることができない。
【0057】
[画像の表示例(光源が1つ存在する場合)]
図5Aを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)について説明する。図5Aは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0058】
図5Aに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置200が表示する画面210aには、オブジェクト220aが含まれている。このオブジェクト220aは、3次元CGモデル情報131によって規定されており、3次元画像として表示部160に表示される。ここで、図5Aに示すように、オブジェクト220aには、画面210aに対して垂直の方向に高さを有するオブジェクト231およびオブジェクト232が含まれているとする。そのような場合には、画像処理装置200の光源情報算出部140が有する機能によって画像処理装置200を照射する光を発している光源に関する情報が取得される。また、画像処理装置200の3次元CG作成部150が有する機能によって光源に関する情報に基づいた影241および影242が画面210aに表示される。これにより、画像処理装置200を室内に設置した場合に、画像処理装置200の周囲の環境との親和感を増した画面210aを表示することができる。
【0059】
より詳細には、画像処理装置200の3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって算出された光源情報と記憶部130によって記憶されている3次元CGモデル情報131とに基づいて、3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出する。3次元CG作成部150は、算出した影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した影領域に影を有する3次元画像を作成する。表示部160は、3次元CG作成部150によって生成された3次元画像を表示する。
【0060】
近年では、デジタルフォトフレーム、スマートフォン、タブレットPCなどといった可搬性のあるディスプレイが広く流通している。これらのディスプレイは、使用される環境が変化することが多く、光源に適応的な表現を行うことは特に有用であると考えられる。また、販売対象となる商品の見本などを立体的に表示する際、光源に適応した陰影が付された画像を表示することによって、購入者が実際に商品を入手したときの印象と見本を閲覧したときとの印象との間に生じる差異を減少させることができる。
【0061】
また、画像処理装置200は、設置される環境が変化することによって光源の情報を速やかに算出し、表示対象の画像を、変化後の環境に合わせた3次元画像に即時性をもって変更することも可能である。より詳細には、光源情報算出部140は、3次元画像の作成に前回用いられた光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の光源情報が変化したか否かを判断し、3次元CG作成部150は、光源情報算出部140によって現在の光源情報が前回の光源情報から変化したと判断された場合に、3次元画像を作成し直し、表示部160は、3次元CG作成部150によって作成し直された3次元画像を表示し直す。
【0062】
[画像の表示例(光源が1つ存在する場合)]
図5Bを参照しながら、一般的な画像処理装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)について説明する。図5Bは、一般的な画像処理装置によって表示された画像の表示例(光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0063】
図5Bに示すように、一般的な画像処理装置は、オブジェクト220bを含む画面210bを表示している。オブジェクト220bは、オブジェクト231およびオブジェクト232を有するが、オブジェクト231およびオブジェクト232が存在することによって生じるはずの影は、オブジェクト220bには特に示されていない。
【0064】
[画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)]
図6Aを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)について説明する。図6Aは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が1つ存在する場合)を示す図である。
【0065】
図6Aに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310aを表示しており、画面310aには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S1に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が1つ存在する場合について示されている。
【0066】
[画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)]
図6Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)について説明する。図6Bは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源が2つ存在する場合)を示す図である。
【0067】
図6Bに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310bを表示しており、画面310bには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S2および方向S3に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が2つ存在する場合について示されている。
【0068】
[画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)]
図6Cを参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)について説明する。図6Cは、本発明の実施形態に係る画像処理装置によって処理された画像の表示例(点光源1つと面光源1つが存在する場合)を示す図である。
【0069】
図6Cに示すように、画像処理装置100の一例としての画像処理装置300は、画面310cを表示しており、画面310bには、オブジェクト321、オブジェクト322、オブジェクト323などが含まれている。画像処理装置300の光源情報算出部140が有する機能によって光源に関する情報が取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が有する機能によって、オブジェクト321およびオブジェクト322を基点として方向S2および方向S3に影を有する3次元画像が生成される。画像処理装置300の表示部160によって3次元画像が表示される。ここでは、点光源が1つ、面光源が1つ存在する場合について示されている。面光源から光が照射されるために、方向S2に生じる影は境界がなだらかになっている。これは、画像処理装置300の光源情報算出部140によって光源の広がりを示す情報が光源情報として取得され、画像処理装置300の3次元CG作成部150が、光源の広がりを考慮した3次元画像を作成したためである。
【0070】
[光源の方位を算出する手法]
図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法について説明する。図7は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の方位を算出する手法を説明するための図である。ここでは、画像処理装置100が使用する魚眼レンズ111は1つであることを想定している。
【0071】
いま、光源のレンズ内画像IMB上における光源座標(i,j)が2次元座標として得られたとする。また、魚眼レンズ111は正距円筒図法でレンズ内画像IMBに光を投影しており、画像内で90度となる長さをWとする。このとき、光源座標(i,j)と光源の方位(方位角、仰角)=(θ、φ)の関係は式(1)で表わされる。仰角、方位角の定義は図8に示した。
【0072】
【数1】
【0073】
3次元CG作成部150が3次元CGにおいて半影を描かない場合は、光源の方向を使用すれば、光源の位置が未知であっても影の作成を行うことが可能である。3次元CG作成部150が半影を描くときは、適当な半径Rを設定し、式(2)によって得られる光源座標(x,y,z)を用いる。半径Rは、例えば、記憶部130に記憶させておくことができ、画像処理装置100を管理する管理者などが適宜変更することが可能である。
【0074】
【数2】
【0075】
[光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角]
図8を参照しながら、光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角について説明する。図8は、光源の方位を算出するために使用する仰角および方位角について説明するための図である。
【0076】
画像処理装置100によって光源の方向を算出するために使用される仰角、方位角は、例えば、図8に示すように定義される。
【0077】
[光源の位置を算出する手法]
図9を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法について説明する。図9は、本発明の実施形態に係る画像処理装置の光源情報算出部が光源情報として光源の位置を算出する手法を説明するための図である。ここでは、画像処理装置100が使用する魚眼レンズ111は複数であることを想定している。
【0078】
魚眼レンズ111が複数ある場合には、半径Rを仮定しなくても光源座標が得られる。簡単のため魚眼レンズ111が2つあり、それぞれの実空間における座標(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)は画像処理装置100にとって既知であり、各々の魚眼レンズ111において光源の方位(θ1、φ1),(θ2、φ2)は、画像処理装置100によって算出済みであるとする。このとき、光源の方向ベクトル(v1x,v1y,v1z),(v2x,v2y,v2z)は、式(3)で表わされる。
【0079】
【数3】
【0080】
この式(3)を用いると、光源の座標(x,y,z)は、式(4)で表わされる。
【0081】
【数4】
ここで、s,tは、媒介変数であり、式(5)で定義される(†はMoore−Penroseの一般逆行列を表す)。尚、この解法は、光源数が2つではなく、n個(nが3以上)になっても有効である。
【0082】
【数5】
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る技術は、実空間に存在する光源に関する情報を取得し、光源に関する情報を反映した画像を表示することが可能となる。このようにすれば、画像処理装置100を使用するユーザに対してリアルな画像を閲覧させることができる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0085】
100 画像処理装置
110 撮影部
111 魚眼レンズ
112 撮像素子
120 光源個数算出部
130 記憶部
131 3次元CGモデル情報(3次元モデル情報)
140 光源情報算出部
150 3次元CG作成部(3次元画像作成部)
160 表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、
3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、
前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、
前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、射影変換により前記撮影部の位置を基準とした前記光源の前記実空間における方位を示す方位情報を、前記光源情報として算出する方位情報算出処理を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記光源情報算出部は、
前記方位情報と所定値とに基づいて、前記光源の前記実空間における位置を示す位置情報を、前記光源情報として算出する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影部は、
前記魚眼レンズを複数有し、複数の前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光してそれぞれの画像を撮影し、
前記光源個数算出部は、
前記撮影部によって撮影されたそれぞれの前記画像について前記光源個数算出処理と前記光源情報算出処理とを行い、
前記光源情報算出部は、
前記撮影部によって撮影されたそれぞれの前記画像について前記方位情報算出処理を行い、算出された複数の前記方位情報に基づいて前記光源の前記実空間における位置を示す位置情報を、前記光源情報として算出する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、前記光源情報としてさらに算出する、
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記光源個数算出部は、
算出した前記個数分に相当する前記光源領域を前記画像から検出し、検出した前記光源領域の前記画像における位置を光源領域座標情報として算出し、
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源領域座標情報に基づいて、前記光源から発せられる光の広がりを、前記光源情報としてさらに算出する、
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源領域座標情報に基づいて、前記光源領域を2つのベクトルで近似し、前記2つのベクトルによって前記光の広がりとして使用する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を前記3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに算出し、
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって算出された前記環境光情報に基づいて、前記3次元空間における物体色を特定し、特定した前記物体色を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報と前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報とに基づいて、前記3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出し、算出した前記影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した前記影領域に影を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって前記光源情報として算出された前記位置情報と前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報とに基づいて、前記3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した前記半影領域に半影を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記光源情報算出部は、
前記3次元画像の作成に前回用いられた前記光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の前記光源情報が変化したか否かを判断し、
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって前記現在の光源情報が前記前回の光源情報から変化したと判断された場合に、前記3次元画像を作成し直し、
前記表示部は、
前記3次元画像作成部によって作成し直された前記3次元画像を表示し直す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、光源個数算出部と、光源情報算出部と、3次元画像作成部と、表示部とを備える、画像処理装置が、前記光源個数算出部により、前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出するステップと、
前記光源情報算出部により、前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行うステップと、
前記3次元画像作成部により、前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成するステップと、
前記表示部により、前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示するステップと、
を含むことを特徴とする、画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、
3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、
前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、
前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示する表示部と、
を備える、画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、
3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、
前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、
前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする、画像処理装置。
【請求項2】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、射影変換により前記撮影部の位置を基準とした前記光源の前記実空間における方位を示す方位情報を、前記光源情報として算出する方位情報算出処理を行う、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記光源情報算出部は、
前記方位情報と所定値とに基づいて、前記光源の前記実空間における位置を示す位置情報を、前記光源情報として算出する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影部は、
前記魚眼レンズを複数有し、複数の前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光してそれぞれの画像を撮影し、
前記光源個数算出部は、
前記撮影部によって撮影されたそれぞれの前記画像について前記光源個数算出処理と前記光源情報算出処理とを行い、
前記光源情報算出部は、
前記撮影部によって撮影されたそれぞれの前記画像について前記方位情報算出処理を行い、算出された複数の前記方位情報に基づいて前記光源の前記実空間における位置を示す位置情報を、前記光源情報として算出する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源から発せられる光の強度および色の少なくともいずれか一方を、前記光源情報としてさらに算出する、
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記光源個数算出部は、
算出した前記個数分に相当する前記光源領域を前記画像から検出し、検出した前記光源領域の前記画像における位置を光源領域座標情報として算出し、
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源領域座標情報に基づいて、前記光源から発せられる光の広がりを、前記光源情報としてさらに算出する、
ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源領域座標情報に基づいて、前記光源領域を2つのベクトルで近似し、前記2つのベクトルによって前記光の広がりとして使用する、
ことを特徴とする、請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記光源情報算出部は、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、実空間における環境光の強さおよび色の少なくともいずれか一方を前記3次元空間におけるパラメータである環境光情報としてさらに算出し、
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって算出された前記環境光情報に基づいて、前記3次元空間における物体色を特定し、特定した前記物体色を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報と前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報とに基づいて、前記3次元空間に生じる影の向きおよび個数を算出し、算出した前記影の向きおよび個数に基づいて影領域を特定し、特定した前記影領域に影を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって前記光源情報として算出された前記位置情報と前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報とに基づいて、前記3次元空間に生じる半影領域を特定し、特定した前記半影領域に半影を有する3次元画像を作成する、
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記光源情報算出部は、
前記3次元画像の作成に前回用いられた前記光源情報である前回の光源情報と比較して、現在の前記光源情報が変化したか否かを判断し、
前記3次元画像作成部は、
前記光源情報算出部によって前記現在の光源情報が前記前回の光源情報から変化したと判断された場合に、前記3次元画像を作成し直し、
前記表示部は、
前記3次元画像作成部によって作成し直された前記3次元画像を表示し直す、
ことを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、光源個数算出部と、光源情報算出部と、3次元画像作成部と、表示部とを備える、画像処理装置が、前記光源個数算出部により、前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出するステップと、
前記光源情報算出部により、前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行うステップと、
前記3次元画像作成部により、前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成するステップと、
前記表示部により、前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示するステップと、
を含むことを特徴とする、画像処理方法。
【請求項13】
コンピュータを、
魚眼レンズを有するとともに前記魚眼レンズを通して自装置の外部から受光して画像を撮影する撮影部と、
3次元空間を規定する3次元モデル情報を記憶する記憶部と、
前記撮影部によって撮影された前記画像に写されている光源の個数を算出する光源個数算出処理を行い、算出した前記個数分に相当する前記光源の前記画像における位置を示す光源座標情報を算出する光源個数算出部と、
前記光源個数算出部によって算出された前記光源座標情報に基づいて、前記光源に関する実空間におけるパラメータを前記3次元空間におけるパラメータである光源情報として算出する光源情報算出処理を行う光源情報算出部と、
前記記憶部によって記憶されている前記3次元モデル情報と前記光源情報算出部によって算出された前記光源情報とに基づいて、3次元画像を作成する3次元画像作成部と、
前記3次元画像作成部によって作成された前記3次元画像を表示する表示部と、
を備える、画像処理装置として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−134133(P2011−134133A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293471(P2009−293471)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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