画像処理装置、画像処理方法
【課題】BLCに不具合があった場合でも、精度の高いAWB制御を実現する画像処理装置を提供すること。
【解決手段】入射光を光電変換する撮像素子32と、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路324と、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段413、414、415、481と、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段412と、を有する画像処理装置を提供する。
【解決手段】入射光を光電変換する撮像素子32と、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路324と、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段413、414、415、481と、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段412と、を有する画像処理装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子が撮像した画像信号のホワイトバランスを調整する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラで撮影すると、光源の色温度により被写体の白色部及び彩色部の色彩が変化してしまうことが知られている。この色温度による被写体の色彩の変化を低減する機能がホワイトバランス(WB)機能であり、カメラが自動で行うオートホワイトバランス(AWB)機能とユーザがマニュアルで行うホワイトバランス機能がある。
【0003】
一般的なAWB機能は、撮像している被写体の全画面の色を平均化すると色成分がほとんどなくなり、白色となることを利用している。具体的には、色情報である色差成分R−Y(赤系色差成分)、B−Y(青系色差成分)のそれぞれの積分値がゼロとなるように、CPUが撮像素子や画像処理部にフィードバック制御を行っている。そして、制御回路がRチャネルのゲイン及びBチャネルのゲインを調整する。
【0004】
ところが、RゲインとBゲインを独立に制御すると、画面内に占める色占有率の変化により色バランスが崩れるという不都合があった。この不都合を改善するため、AWB機能の制御に使用するRゲインとBゲインの可変制御範囲を一定の範囲に制限するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところで、デジタルカメラでは、画像の最も暗い部分を黒く表示するためブラックレベルを制御している。これをブラックレベルコントロール(BLC)といい、次のようにして行われている。撮像素子の有効画素以外の領域にオプティカルブラック領域が設けられている。この領域は遮光されているため、出力される電荷量はゼロ(黒)であるはずだが、実際には微小の電流(これを暗電流という)が流れている。暗電流は温度上昇とともに増加する傾向がある。画像のRGB信号からR画素、G画素、B画素の暗電流(オフセット)をそれぞれ差し引く制御がBLCである。こうすることで、R画素、G画素、B画素の光電変換率の相違をキャンセルし、最も暗い部分を黒として捉えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のAWB機能のようにRゲインとBゲインの可変制御範囲を一定の範囲に制限すると、BLCに不具合があった場合にAWBの精度が低下するという問題がある。BLCが正常に動作している場合、暗部のノイズであるR成分、G成分、B成分がほぼ同じ量になるはずであるが、BLCに不具合がある場合、暗部のノイズのR成分、G成分、B成分が同じ量にならない。この結果、AWB処理の精度が下がってしまう。以下に詳しく説明する。
【0007】
撮像素子が撮影するR、G、Bそれぞれの色成分の大きさを
色成分の大きさ = 暗部の色ノイズ成分 + 被写体の色成分
と表す。
【0008】
R成分の暗部のノイズが大きく、被写体の色が白の場合を考える。
R = 50 + 100 = 150
G = 10 + 100 = 110
B = 10 + 100 = 110
AWB処理では、G成分を固定して、R成分とB成分の量を調整して、R、G、Bの量を1:1:1にする。R画素、G画素、B画素をそれぞれ110にするため、以下の計算を行う。
R = (110/150)× (50 + 100) = 110/3 + 220/3 = 36.666 + 73.333 = 110
G = 10 + 100 = 110
B = (110/110)× (10 + 100) = 10 + 100 = 110
R画素、G画素、B画素の被写体の色成分は、AWB処理前はすべて100であったが、AWB処理後はそれぞれ73、100、100となり、被写体のR成分の割合が低下している。これは、R成分の暗部ノイズが他に比較して大きいため、R成分、G成分、B成分の量を1:1:1にすると、色成分である100までもが暗部ノイズと同じように低減されてしまうためである。
【0009】
このように、BLCに不具合があると、暗部ノイズのR成分、G成分、B成分が同じ比率を維持できず、AWB処理の精度が低下してしまう。
【0010】
また、撮像している被写体の全画面の色を平均化しても白色とならないような被写体の場合、AWB処理を行うと色成分の強い色の影響によりAWB処理が適切に行われないおそれがある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、BLCに不具合があった場合でも、精度の高いAWB処理を実現する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入射光を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路と、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段と、を有する画像処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
BLCに不具合があった場合でも、精度の高いAWB処理を実現する画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】デジタルカメラの概略的な特徴を模式的に示す図の一例である。
【図2】AWB機能が搭載されたデジタルスチルカメラの外観図の一例である。
【図3】デジタルスチルカメラのハードウェア構成図の一例である。
【図4】AWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【図5】ゲインが決定される手順を示すフローチャート図の一例である。
【図6】撮像センサからの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【図7】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例2)。
【図8】閾値決定部が撮像素子の温度に応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図9】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例3)。
【図10】閾値決定部が撮像素子の温度を推定してY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例4)。
【図12】閾値決定部が撮像センサのゲインに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図13】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例5)。
【図14】閾値決定部が画像信号の明るさに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図15】撮像センサからの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本実施形態のデジタルカメラの概略的な特徴を模式的に示す図の一例である。撮像素子が撮影した画像信号は画像処理のための例えば画像処理ICに入力される。画像信号はRGB又はYCrCbを色空間とする場合がある。
【0017】
画像処理ICはまず画像信号から輝度値Yを取得する。そして、輝度値が予め定められたY_min以上かつY_min以下の画像信号のみを積算する。すなわち、画像処理ICは、オートホワイトバランス(AWB)処理のため、R画素の積算値、G画素の積算値、及び、B画素の積算値を算出するが、算出対象の画像信号はある輝度範囲に入るものだけになる。輝度値がY_min以上の画像信号だけを積算することで、BLCの暗電流に異常値が含まれていても、その画像信号に含まれる色ノイズ成分を排除することができる。
【0018】
また、輝度値がY_max以下の画像信号だけを積算することで、ある1色だけ飽和している(例えば、8bit値の場合の255)場合などのように、特定色の色成分が強い場合に、その色成分が積算値に影響を与えないようにすることができる。したがって、撮像している被写体の全画面の色を平均化しても白色とならないような被写体に基づきAWB処理することが抑制され、AWB処理の精度を向上することができる。
【0019】
〔構成例〕
図2は、本実施例のAWB機能が搭載されたデジタルスチルカメラ100の外観図の一例を示す。図2(a)は正面図を、図2(b)は背面図をそれぞれ示す。図の外観は一例に過ぎない。なお、本実施例ではデジタルスチルカメラ100を例に説明するが、静止画又は動画の撮影機能を備えたデジタルカメラであれば本実施例のAWB処理を好適に適用できる。例えば、デジタルスチルカメラ100はコンパクトデジカメ、マイクロフォーサーズを搭載したデジタル一眼レフ(ミラーレス一眼レフ)又はレフレックスを搭載した一眼レフのいずれでもよい。また、静止画の撮像機能を備えたデジタルビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン等にも本実施例のAWB処理を搭載できる。
【0020】
図2(a)に示すように、デジタルスチルカメラ100は、レリーズボタン12、モードダイヤル11、光学ファインダ14、フラッシュ22、撮影レンズ23を有し、図2(b)に示すように、LCD24、広角ズームSW16、望遠ズームSW13、メニューSW15、上移動/ストロボ設定SW17、右移動SW21、下移動/マクロ設定SW19、左移動/画像確認SW18、セルフタイマSW25等を有する。この他、電源スイッチSW等が配置されている。
【0021】
レリーズボタン12は静止画及び動画を撮像するためのボタンであり、モードダイヤル11は、撮像と再生を切り替えるためのボタンである。光学ファインダ14は透明なガラスやプラスチックを通してユーザが被写体を視認するためのファインダである。LCD24は、撮像された画像、撮像された動画及びメニュー等の表示、並びに、撮像前の電子ビューファインダとして使用される。LCD24はタッチパネルになっており、ユーザの操作を受け付けることもできる。
【0022】
広角ズームSW16は、被写体を小さくして広い範囲を撮影するためのボタンである。望遠ズームSW13は、範囲を狭めて被写体を大きく撮影するためのボタンである。メニューSW15は、LCD24にメニューを表示させたり、メニューに表示される設定を変更するためのスイッチである。上移動/ストロボ設定SW17は、LCD24のカーソルを上方向に移動させ、また、ストロボ(フラッシュ)の発光を設定するためのボタンである。右移動SW21はLCD24のカーソルを右方向に移動させるスイッチである。下移動/マクロ設定SW19は、LCD24のカーソルをした方向に移動させ、また、レンズを被写体に接近させて撮影するためのボタンである。左移動/画像確認SW18は、LCD24のカーソルをした方向に移動させ、また、LCD24に再生された画像を切り換えるスイッチである。セルフタイマSW25は、タイマ設定を行うためのスイッチである。
【0023】
図3は、デジタルスチルカメラ100のハードウェア構成図の一例を示す。図3において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。デジタルスチルカメラ100は、撮像レンズ23、メカシャッタ31、モータドライバ33、撮像センサ32、画像処理IC35、操作部39、ROM38、及び、SDRAM34等を有している。
【0024】
操作部39は、図2にて説明した各種のボタンやメニュー画面が相当する。ROM38には、OS(オペレーティングシステム)、画像処理IC35の初期化、メモリーカードの初期化処理を行ったり、ユーザ操作に応じて各部を制御する処理などを行うプログラム52が記憶されている。また、OSD(On Screen Display)用にメニュー表示のための不図示の画面情報を記憶している。
【0025】
SDRAM34は、画像データを一時的に記憶する高速な揮発性のメモリであり、図示するフォーマット(RAW−RGB、YUV、JPEG)の画像データが記憶される。最終的な画像データは、メモリーカード36又はNVRAM46に記憶される。また、不図示のUSB I/FからPC(Personal Computer)に接続し、メモリーカード36やNVRAM46からPCに画像データを送信することもできる。
【0026】
モータドライバ33は、CPU(プログラム)48からの指示により、焦点合わせ(AF)や光学ズームする際に、撮像レンズ23及びメカシャッタ31を光軸方向に移動させる。デジタルスチルカメラ100は設定された露光時間毎にCCDなどから電荷を読み出す電子シャッタを備えるが、メカシャッタ31は露光時間外に電子シャッタに到達する光を遮断する。
【0027】
撮像センサ32は、受光センサ321、TG(タイミングジェネレータ)323、及び、A/D変換器322を有する。受光センサ321はCCDやCMOSなどの撮像素子である。受光センサ321は、CDS(画像ノイズ除去用相関二重サンプリング部)やAGC(利得調整部)を有している。TG323は、クロック信号から垂直同期信号VD、水平同期信号HDを生成し、受光センサ321及びA/D変換器322に供給する。撮像センサ32が出力する画像信号はRGB又はYCrCbを色空間とする。
【0028】
デジタルスチルカメラ100の電源が投入され、撮像が開始されると、撮像レンズ23を通して受光センサ321に入射した光が、電気に変換されてA/D変換器322に送られる。A/D変換器322は、入力されたアナログ信号を例えば12bitのデジタルデータ(画像信号)に変換する。デジタル信号に変換された画像信号は、画像処理IC35のセンサI/F41に取り込まれる。
【0029】
画像処理IC35は、センサI/F41、メモリコントローラ42、YUV変換部49、圧縮伸張部51、CPU48、表示出力制御部43、リサイズ処理部44、メディアI/F45、及び、音声処理部47を有する。
【0030】
センサI/F41は撮像センサ32からA/D変換されたデジタルの画像データを取得する。この時点の画像信号の色空間はデジタルのRGB又はYCrCbである。
【0031】
また、センサI/F41は、ブロック内に取り込まれた画像信号よりAWB(オートホワイトバランス)評価値を算出して、CPU48に出力する。このAWB評価値が上記の積算値であるが、詳細は後述する。なお、センサI/F41は、この他、画面の合焦度合いを示すAF(オートフォーカス)評価値、及び、被写体輝度を検出したAE(Automatic Exposure:自動露光)評価値、を算出する。CPU48は、これらの評価値データをAWB、AE、AFのそれぞれの処理に利用する。
【0032】
AF評価値は、例えば高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値によって作成される。合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。デジタルスチルカメラ100がAFに設定されAFによる合焦検出動作時は、CPU48は各フォーカスレンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦位置とすることでAFによる合焦位置を取得する。
【0033】
AE評価値は、画像信号のRGB値それぞれの積分値から作成される。センサI/F41は画面を例えば1024エリアに等分割(水平32分割、垂直32分割)し、それぞれのエリアのRGB積算値を算出する。CPU48はセンサI/F41からRGB積分値を読み出し、それぞれのエリアの輝度を算出して、輝度分布から適正な露光時間を決定する。
【0034】
AEとAWBの処理は、LCD24に映像が出力されている間は連続的に行われている。被写体が撮像された場合、AF評価値、AE評価値及びAWB評価値は画像データと共にファイルに記憶される。
【0035】
AF完了後に撮像センサ32から出力されセンサI/F41が取り込んだ画像信号は、メモリコントローラ42によりSDRAM(フレームメモリという場合もある)34に格納される。この画像データが「RAW−RGB」と呼ばれる。
【0036】
メモリコントローラ42は、画像データをSDRAM34から読み出し、YUV変換部49に送出する。YUV変換部49は、RGB信号をYUV信号に変換しメモリコントローラ42に送出するので、メモリコントローラ42は、YUV信号をSDRAM34に記憶する。YUV信号に変換するのは、RGB信号よりも容量を小さくできるためと、LCD24のビデオ信号への変換が容易になるためである。メモリコントローラ42は、YUV信号を読み出して表示出力制御部43に出力する。
【0037】
表示出力制御部43はYUVの画像データをNTSC信号やPAL信号などのビデオ信号に変換し、LCD24に出力する。デジタルスチルカメラ100がAVケーブルなどでTVと接続されている場合はビデオ信号がTVにも出力される。LCD24が画像データを表示している間、画像信号からビデオ信号への変換までの処理は1/30秒間隔で行われ、1/30秒ごとにLCD24の画面が更新される。
【0038】
なお、リサイズ処理部44は、デジタルズームのための処理部で、YUVの画像データを補間処理により拡大/縮小する。ユーザがデジタルズームの操作を行うと、YUVの画像データから必要な部分を切り出し、画像サイズを変更する。リサイズ処理はスチル画像の撮像時も有効である。
【0039】
デジタルスチルカメラ100は、ユーザが動画撮像を選択した場合、一連のYUVの画像データを映像としてメモリーカード等に記憶することができる。動画の記録フォーマットは例えば、AVI(Open DML Motion JPEG フォーマット準拠)やJPEG ベースライン方式に準拠したフォーマットである。なお、これらの記録フォーマットに圧縮する場合は、圧縮伸張部51が圧縮する。
【0040】
スチル画像撮像時、ユーザは撮像前にAFの操作としてレリーズボタン12を半押しする。これにより、操作部39から静止画撮像開始信号がCPU48に取り込まれると、CPU48はフレームレートに同期してモータドライバ33を介してレンズを駆動し、山登りAFを実行する。AF対象範囲が無限から至近までの全領域であった場合、フォーカスレンズは至近から無限、または無限から至近までの間の各フォーカス位置まで移動し、センサI/F41が作成した各フレーム(=各フォーカス位置)におけるAF評価値がCPU48に読み出される。CPU48は、各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置として、フォーカスレンズを合焦位置に移動すると共に、光学ファインダ14にAF完了のランプなどを表示する。これにより、ユーザはレリーズボタンを全押しして撮像することができる。
【0041】
CPU48はレリーズボタン12が全押しされたことを操作部39から検知して撮像センサ32に通知することで、スチル画像撮像時の画像信号が画像処理IC35に出力される。YUV変換部49は画像信号をYUVの画像信号に変換し、SDRAM34に記憶する。メモリコントローラ42はYUVに変換された画像データを圧縮伸張部51に送出する。圧縮伸張部51は送られたYUVの画像データを圧縮し、SDRAM34に書き戻す。圧縮のフォーマットは種々あるが、図ではJPEGで示されている。メモリコントローラ42は圧縮された画像データを読み出し、フラッシュメモリの等の内蔵するNVRAM46に記憶したり又はメディアI/F45に対しメモリーカード36に記憶させる。
【0042】
静止画の画像データは、JPEGの画像データをExif形式で記録する記録フォーマットが知られている。Exifは画像データと撮像条件などの情報を1つのファイルの中に記述できる記録フォーマットである。例えば、撮像された日時や機種名、シャッタースピード、絞り値等、撮像に関する情報、画像データの圧縮モード、色空間、画素数などの情報を記述することができる。
【0043】
〔AWB処理〕
図4は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図4において図3と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。なお図4では画像信号の色空間がRGBであるとする。センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値算出部411、輝度値判定部412、R積算部413、G積算部414、及び、B積算部415を有する。
【0044】
輝度値算出部411は、RGBの画像信号から輝度値Yを算出する。RGBから輝度値へは、例えば以下のように変換される。また、輝度値Yが求められると、色差成分R−Y、B−Yも求めることができる。
Y = 0.299*R +0.587*G +0.114*B
R-Y = +0.701*R -0.587*G -0.114*B
B-Y = -0.299*R -0.587*G +0.886*B
輝度値判定部412は、輝度値Yが予め定められたY_min以上かつY_max以下の間に入るか否かを判定し、輝度値YがY_min以上かつY_max以下の場合にのみ、画像信号をR積算部413、G積算部414、及び、B積算部415に出力する。
【0045】
R積算部413は、画像信号のR成分を画像1画面分積算する。積算値をR_sumとする。G積算部414は、画像信号のG成分を画像1画面分積算する。積算値をG_sumとする。B積算部415は、画像信号のB成分を画像1画面分積算する。積算値をB_sumとする。R_sum、G_sum、B_sumはCPU48に送られる。これらの積算値がAWB評価値である。
【0046】
CPU48は、プログラム52を実行して実現されるゲイン決定部481を有する。ゲイン決定部481は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値から、R、G、Bの積算値の比が1:1:1になるようにゲインを決定する。
【0047】
図5は、ゲインが決定される手順を示すフローチャート図の一例である。図5(a)は、Rチャネルのゲインが決定される手順を示すフローチャート図を、図5(b)は、Bチャネルのゲインが決定される手順を示すフローチャート図を、それぞれ示す。
【0048】
なお、R_gain(t)は現在のRチャネルの増幅回路324のゲイン、B_gain(t)は現在のBチャネルの増幅回路324のゲイン、R_gain(t+1)は次に設定するRチャネルの増幅回路324のゲイン、B_gain(t+1)は次に設定するBチャネルの増幅回路324のゲインである。
【0049】
まず、ゲイン決定部481は、R_sum及びG_sumを取得する(S10)。
【0050】
次に、ゲイン決定部481は、
R_gain(t+1)=R_gain(t)+k*(G_sum−R_sum)
を計算する(S20)。すなわち、基準であるGの積算値G_sumに対し、Rの積算値R_sumを減じて、ゲインへの変換係数k*を乗じる。これにより、Rの積算値R_sumがG_sumと同様になるようなゲインの補正値がえられる。この補正値を現在のRチャネルのゲインR_gain(t)に加えることで、次に設定するR_gain(t+1)が得られる。
【0051】
CPU48は、R_gain(t+1)をRチャネルの増幅回路324に設定するので、次回、センサI/F41からは適切なホワイトバランスが得られるR値が出力される。
【0052】
Bチェネルの増幅回路324についても同様に説明できる。まず、ゲイン決定部481は、B_sum及びG_sumを取得する(S10)。
【0053】
次に、ゲイン決定部481は、
B_gain(t+1)=B_gain(t)+k*(G_sum−B_sum)
を計算する(S20)。すなわち、基準であるGの積算値G_sumに対し、Bの積算値B_sumを減じて、ゲインへの変換係数k*を乗じる。これにより、Bの積算値B_sumがG_sumと同様になるようなゲインの補正値がえられる。この補正値を現在のBチャネルのゲインB_gain(t)に加えることで、次に設定するB_gain(t+1)が得られる。
【0054】
CPU48は、B_gain(t+1)をBチャネルの増幅回路324に設定するので、次回、センサI/F41からは適切なホワイトバランスが得られるB値が出力される。
【0055】
<撮像センサからの信号がYCrCbの場合>
撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合もほぼ同様に処理できる。
図6は、撮像センサ32からの画像信号の色空間がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図6において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。図6では撮像センサ32が出力する画像信号の色空間がYCrCbである。CCDやCMOSが出力する画像信号はRGBを色空間とするので、輝度値変換部325が画像信号をRGBからYCrCbを色空間とする画像信号に変換する。
【0056】
センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値判定部412、RGB変換部416、R積算部413、G積算部414、及び、B積算部415を有する。
【0057】
図6では、撮像センサ32が輝度値Yを出力しているので、センサI/F41は輝度値Yを算出する必要はない。輝度値判定部412は、輝度値Yが予め定められたY_min以上かつY_max以下の間に入るか否かを判定し、輝度値YがY_min以上かつY_max以下の場合にのみ、画像信号をRGB変換部416に出力する。
【0058】
RGB変換部416はYCrCbの色空間の画像信号をRGBの色空間の画像信号に変換する。YCrCbからRGBへは、例えば以下のように変換される。
R = Y+1.402Cr
G = Y-0.714Cr-0.344Cb
B = Y+1.772Cb
R積算部413、G積算部414及びB積算部415については図4と同様である。また、ゲイン決定部481がR_gain(t+1)及びB_gain(t+1)を計算する手順も図5と同様である。
【0059】
このように、撮像センサ32の色空間に関わらず、センサI/F41はAWB評価値を計算でき、CPU48は適切なホワイトバランスが得られるゲインを撮像センサ32に設定できる。
【実施例2】
【0060】
撮像センサ32の暗電流は温度が高いほど大きくなることが知られている。このため、温度が高いほど暗部のノイズが大きくなり、AWB処理の精度が低下する。そこで、本実施例では、温度に応じて、AWB評価値を算出するか否かの閾値、Y_min及びY_maxを変更するデジタルスチルカメラ100について説明する。温度に応じてY_minを変更するので、温度が変わっても暗部のノイズを大きく含まない画像信号によりAWB処理が実行される。
【0061】
図7は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図7において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例では、画像信号がRGBであるとして説明するが、YCrCbの場合も同様に処理できる。
【0062】
まず、撮像センサ32には温度センサ326が配置されている。温度センサ326は例えばサーミスタであり、CPU48が温度を要求すると現在の温度値をCPU48に出力する。CPU48は、プログラムを実行することで実現される閾値決定部482を新たに有する。閾値決定部482は、撮像センサ32の温度に応じてY_min及びY_maxを決定する。
【0063】
ROM38にはRGBの各チャネル毎に、温度とオフセット値を対応づけた温度オフセット値テーブル483を記憶している。オフセット値は暗電流の大きさをR画素、G画素、B画素の値に変換したものである。
【0064】
温度オフセット値テーブル483において、例えば、ある温度T1におけるRチャネルのオフセット値がR1、Gチャネルのオフセット値がG1、Bチャネルのオフセット値がB1、の場合、閾値決定部482は以下のようにしてY_minを決定する。
Y_min = 0.299*R1 +0.587*G1 +0.114*B1
なお、温度オフセット値テーブル483において、温度と輝度値のオフセット値を対応づけておいてもよい。
【0065】
Y_maxは、255−Y_minから算出してもよいし、pを定数としてp×Y_minから算出してもよいし、経験値(固定値)としてもよい。
【0066】
閾値決定部482はこのようにして決定したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する。Y_min及びY_maxの更新は、例えば、デジタルスチルカメラ100が起動した後の可能な限り早いタイミング、定期的(例えば30分ごと)なタイミング、及び、閾値決定部482が撮像センサ32の温度を監視しておき、温度が所定値以上変化したタイミングなどで行われる。
【0067】
図8は、閾値決定部482が撮像素子の温度に応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0068】
まず、閾値決定部482は撮像センサ32の温度を温度センサ326から取得する(S110)。
【0069】
次に、閾値決定部482は、温度オフセット値テーブル483から、温度に対応したR、G、Bの各チェネルのオフセット値を読み出し、Y_minを決定する(S120)。
【0070】
次に、閾値決定部482は、Y_minを利用するなどの所定の算出方法に基づきY_maxを決定する(S130)。
【0071】
次に、閾値決定部482はセンサI/F41の輝度値判定部412にY_min及びY_maxを設定する(S140)。
【0072】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、温度に応じてY_min及びY_maxを更新でき、温度が変化してもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例3】
【0073】
撮像センサ32に温度センサ326が配置されていない場合があるが、その場合、実施例2のY_min及びY_maxの更新が困難になる。そこで、本実施例では、撮像センサ32に温度センサ326が配置されていない場合にもY_min及びY_maxの更新が可能なデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0074】
図9は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図9において図7と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0075】
まず、撮像センサ32には温度センサ326が配置されていないが、CPU48は撮像センサ32のオプティカルブラック327の電荷量を取得することができる。オプティカルブラック327は撮像センサ32のうち入射光から遮蔽された素子である。電荷量は電圧値として読み出される。
【0076】
本実施例ではROM38に、RGBそれぞれのオプティカルブラック327について、温度と出力電荷量が対応づけられた温度出力電荷量テーブル484が記憶されている。閾値決定部482は、検出されたR画素、G画素、B画素それぞれの出力電荷量に基づき、温度出力電荷量テーブル484を参照して、撮像センサ32の温度を推定する。
【0077】
閾値決定部482はこの温度に基づき、温度オフセット値テーブル483を参照してR画素、G画素、B画素それぞれのオフセット値を読み出し、実施例2と同様にY_min及びY_maxを決定する。
【0078】
図10は、閾値決定部482が撮像素子の温度を推定してY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0079】
まず、閾値決定部482はR画素、G画素、B画素それぞれのオプティカルブラック327の出力電荷量を取得する(S112)。
【0080】
閾値決定部482は、出力電荷量に基づき温度出力電荷量テーブル484を参照し、撮像センサ32の温度を推定する(S114)。R画素、G画素、B画素それぞれの出力電荷量から3つの温度が得られるので、閾値決定部482はRGB毎に温度を推定する。
【0081】
次に、閾値決定部482は、推定した温度に基づきRGB各チェネルのオフセット値を読み出し、Y_minを決定する(S120)。
【0082】
次に、閾値決定部482は、Y_minを利用するなどの所定の算出方法に基づきY_maxを決定する(S130)。
【0083】
次に、閾値決定部482はセンサI/F41の輝度値判定部412にY_min及びY_maxを設定する(S140)。
【0084】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、温度センサ326が配置されていなくても、温度を推定してY_min及びY_maxを更新でき、温度が変化してもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例4】
【0085】
撮像センサ32が出力する画像信号の値が小さいと、色成分に対する暗部の色ノイズ成分が相対的に大きくなる。画像信号の値が小さくなるのは、撮像センサ32への入射光量が小さい場合である。そこで、本実施例では、撮像センサ32への入射光量が小さい場合に、Y_min及びY_maxを更新して、AWB制御の精度を向上することができるデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0086】
図11は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図11において図7と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。AGCにより増幅回路324のゲインは、入射光量が小さいと大きくなるように設定されるので、ゲインの値から入射光量が小さいことが判別される。
【0087】
ROM38にはゲインに対応づけてY_minとY_maxが登録されたゲイン閾値テーブル485が記憶されている。閾値決定部482は、撮像センサ32のゲインを読み出し、ゲイン閾値テーブル485からゲインに対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。ゲインは、例えば電圧を1倍する増幅率がゼロ〔dB〕であり、10倍する増幅率が20〔dB〕となる。この増幅率が大きいほど入射光量が少ないことになる。ゲイン閾値テーブル485には、ゲインが大きいほど(入射光量が小さいほど)、Y_minは大きくなり、Y_maxは小さくなるようにY_minとY_maxが登録されている。これにより、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。
【0088】
なお、ゲインが0〔dB〕以下の場合、閾値決定部482はY_minとY_maxを設定しない。この場合、入射光量は十分に大きいと推定され、センサI/F41は画像信号の全てからAWB評価値を算出する。
【0089】
図12は、閾値決定部482が撮像センサ32のゲインに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0090】
まず、閾値決定部482は撮像センサ32からR、G、Bそれぞれのチャネルのゲインを取得する(S115)。RGBそれぞれから3つのゲインが得られるため、輝度値に最も影響の大きいGのゲインを参照してもよいし、3つのゲインの平均を参照してもよいし、最も大きいゲインを参照してもよい。
【0091】
閾値決定部482は、ゲインがゼロ以下か否かを判定する(S116)。ゲインがゼロ以下の場合(S116のYes)、入射光量は十分に大きいので、閾値決定部482はセンサI/F41にY_min及びY_maxを設定しない。
【0092】
ゲインがゼロ以下でない場合(S116のNo)、入射光量が小さいので、閾値決定部482はゲイン閾値テーブル485からゲインに対応付けられたY_min及びY_maxを読み出す(S117)。
【0093】
閾値決定部482は、読み出したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する(S140)。
【0094】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、入射光量に応じてY_min及びY_maxを更新でき、暗電流の比率が大きい場合でもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例5】
【0095】
実施例4では撮像センサ32のゲインから入射光量を推定したが、本実施例では画像信号から入射光量が小さいことを検出するデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0096】
図13は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図13において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例のセンサI/F41はY積算部417を有する。Y積算部417は、輝度値算出部411が算出した輝度値を1画面分積算した輝度値を算出する(以下、積算輝度値という)。
【0097】
ROM38には積算輝度値に対応づけてY_minとY_maxが登録された輝度値閾値テーブル486が記憶されている。閾値決定部482は、輝度値閾値テーブル486から積算輝度値に対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。積算輝度値が小さいほど(入射光量が小さいほど)、Y_minは大きくなり、Y_maxは小さくなる。すなわち、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。
【0098】
図14は、閾値決定部482が画像信号の明るさに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0099】
まず、閾値決定部482はY積算部417から積算輝度値を取得する(S115−1)。
【0100】
閾値決定部482は、積算輝度値が所定値以上か否かを判定する(S116−1)。積算輝度値が所定値以上の場合(S116−1のYes)、入射光量は十分に大きいので、閾値決定部482はセンサI/F41にY_min及びY_maxを設定しない。
【0101】
積算輝度値が所定値以上でない場合(S116−1のNo)、入射光量が小さいので、閾値決定部482は輝度値閾値テーブル486から積算輝度値に対応付けられたY_min及びY_maxを読み出す(S117)。
【0102】
閾値決定部482は、読み出したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する(S140)。
【0103】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、入射光量に応じてY_min及びY_maxを更新でき、暗電流の比率が大きい場合にAWB処理を正確に行うことができる。
【0104】
<撮像センサからの信号がYCrCbの場合>
撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合もほぼ同様に処理できる。
図15は、撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図15において図13と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0105】
図15では撮像センサ32が出力する画像信号の色空間がYCrCbである。センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値判定部412、RGB変換部416、R積算部413、G積算部414、B積算部415及びY積算部417を有する。
【0106】
図15のY積算部417は、輝度値判定部412が出力した輝度値を1画面分積算して積算輝度値を積算する。閾値決定部482は、積算輝度値に対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。こうすることで、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。なお、フローチャート図は図14と同じなので説明を省略する。
【符号の説明】
【0107】
23 撮像レンズ
24 LCD
32 撮像センサ
34 SDRAM
35 画像処理IC
41 センサI/F
42 メモリコントローラ
48 CPU
100 デジタルスチルカメラ
411 輝度値算出部
412 輝度値判定部
413 R積算部
414 G積算部
415 B積算部
416 RGB変換部
481 ゲイン決定部
482 閾値決定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開平6−335008号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子が撮像した画像信号のホワイトバランスを調整する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラで撮影すると、光源の色温度により被写体の白色部及び彩色部の色彩が変化してしまうことが知られている。この色温度による被写体の色彩の変化を低減する機能がホワイトバランス(WB)機能であり、カメラが自動で行うオートホワイトバランス(AWB)機能とユーザがマニュアルで行うホワイトバランス機能がある。
【0003】
一般的なAWB機能は、撮像している被写体の全画面の色を平均化すると色成分がほとんどなくなり、白色となることを利用している。具体的には、色情報である色差成分R−Y(赤系色差成分)、B−Y(青系色差成分)のそれぞれの積分値がゼロとなるように、CPUが撮像素子や画像処理部にフィードバック制御を行っている。そして、制御回路がRチャネルのゲイン及びBチャネルのゲインを調整する。
【0004】
ところが、RゲインとBゲインを独立に制御すると、画面内に占める色占有率の変化により色バランスが崩れるという不都合があった。この不都合を改善するため、AWB機能の制御に使用するRゲインとBゲインの可変制御範囲を一定の範囲に制限するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
ところで、デジタルカメラでは、画像の最も暗い部分を黒く表示するためブラックレベルを制御している。これをブラックレベルコントロール(BLC)といい、次のようにして行われている。撮像素子の有効画素以外の領域にオプティカルブラック領域が設けられている。この領域は遮光されているため、出力される電荷量はゼロ(黒)であるはずだが、実際には微小の電流(これを暗電流という)が流れている。暗電流は温度上昇とともに増加する傾向がある。画像のRGB信号からR画素、G画素、B画素の暗電流(オフセット)をそれぞれ差し引く制御がBLCである。こうすることで、R画素、G画素、B画素の光電変換率の相違をキャンセルし、最も暗い部分を黒として捉えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のAWB機能のようにRゲインとBゲインの可変制御範囲を一定の範囲に制限すると、BLCに不具合があった場合にAWBの精度が低下するという問題がある。BLCが正常に動作している場合、暗部のノイズであるR成分、G成分、B成分がほぼ同じ量になるはずであるが、BLCに不具合がある場合、暗部のノイズのR成分、G成分、B成分が同じ量にならない。この結果、AWB処理の精度が下がってしまう。以下に詳しく説明する。
【0007】
撮像素子が撮影するR、G、Bそれぞれの色成分の大きさを
色成分の大きさ = 暗部の色ノイズ成分 + 被写体の色成分
と表す。
【0008】
R成分の暗部のノイズが大きく、被写体の色が白の場合を考える。
R = 50 + 100 = 150
G = 10 + 100 = 110
B = 10 + 100 = 110
AWB処理では、G成分を固定して、R成分とB成分の量を調整して、R、G、Bの量を1:1:1にする。R画素、G画素、B画素をそれぞれ110にするため、以下の計算を行う。
R = (110/150)× (50 + 100) = 110/3 + 220/3 = 36.666 + 73.333 = 110
G = 10 + 100 = 110
B = (110/110)× (10 + 100) = 10 + 100 = 110
R画素、G画素、B画素の被写体の色成分は、AWB処理前はすべて100であったが、AWB処理後はそれぞれ73、100、100となり、被写体のR成分の割合が低下している。これは、R成分の暗部ノイズが他に比較して大きいため、R成分、G成分、B成分の量を1:1:1にすると、色成分である100までもが暗部ノイズと同じように低減されてしまうためである。
【0009】
このように、BLCに不具合があると、暗部ノイズのR成分、G成分、B成分が同じ比率を維持できず、AWB処理の精度が低下してしまう。
【0010】
また、撮像している被写体の全画面の色を平均化しても白色とならないような被写体の場合、AWB処理を行うと色成分の強い色の影響によりAWB処理が適切に行われないおそれがある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、BLCに不具合があった場合でも、精度の高いAWB処理を実現する画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、入射光を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路と、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段と、を有する画像処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
BLCに不具合があった場合でも、精度の高いAWB処理を実現する画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】デジタルカメラの概略的な特徴を模式的に示す図の一例である。
【図2】AWB機能が搭載されたデジタルスチルカメラの外観図の一例である。
【図3】デジタルスチルカメラのハードウェア構成図の一例である。
【図4】AWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【図5】ゲインが決定される手順を示すフローチャート図の一例である。
【図6】撮像センサからの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【図7】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例2)。
【図8】閾値決定部が撮像素子の温度に応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図9】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例3)。
【図10】閾値決定部が撮像素子の温度を推定してY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図11】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例4)。
【図12】閾値決定部が撮像センサのゲインに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図13】AWB処理を模式的に説明する図の一例である(実施例5)。
【図14】閾値決定部が画像信号の明るさに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図15】撮像センサからの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本実施形態のデジタルカメラの概略的な特徴を模式的に示す図の一例である。撮像素子が撮影した画像信号は画像処理のための例えば画像処理ICに入力される。画像信号はRGB又はYCrCbを色空間とする場合がある。
【0017】
画像処理ICはまず画像信号から輝度値Yを取得する。そして、輝度値が予め定められたY_min以上かつY_min以下の画像信号のみを積算する。すなわち、画像処理ICは、オートホワイトバランス(AWB)処理のため、R画素の積算値、G画素の積算値、及び、B画素の積算値を算出するが、算出対象の画像信号はある輝度範囲に入るものだけになる。輝度値がY_min以上の画像信号だけを積算することで、BLCの暗電流に異常値が含まれていても、その画像信号に含まれる色ノイズ成分を排除することができる。
【0018】
また、輝度値がY_max以下の画像信号だけを積算することで、ある1色だけ飽和している(例えば、8bit値の場合の255)場合などのように、特定色の色成分が強い場合に、その色成分が積算値に影響を与えないようにすることができる。したがって、撮像している被写体の全画面の色を平均化しても白色とならないような被写体に基づきAWB処理することが抑制され、AWB処理の精度を向上することができる。
【0019】
〔構成例〕
図2は、本実施例のAWB機能が搭載されたデジタルスチルカメラ100の外観図の一例を示す。図2(a)は正面図を、図2(b)は背面図をそれぞれ示す。図の外観は一例に過ぎない。なお、本実施例ではデジタルスチルカメラ100を例に説明するが、静止画又は動画の撮影機能を備えたデジタルカメラであれば本実施例のAWB処理を好適に適用できる。例えば、デジタルスチルカメラ100はコンパクトデジカメ、マイクロフォーサーズを搭載したデジタル一眼レフ(ミラーレス一眼レフ)又はレフレックスを搭載した一眼レフのいずれでもよい。また、静止画の撮像機能を備えたデジタルビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン等にも本実施例のAWB処理を搭載できる。
【0020】
図2(a)に示すように、デジタルスチルカメラ100は、レリーズボタン12、モードダイヤル11、光学ファインダ14、フラッシュ22、撮影レンズ23を有し、図2(b)に示すように、LCD24、広角ズームSW16、望遠ズームSW13、メニューSW15、上移動/ストロボ設定SW17、右移動SW21、下移動/マクロ設定SW19、左移動/画像確認SW18、セルフタイマSW25等を有する。この他、電源スイッチSW等が配置されている。
【0021】
レリーズボタン12は静止画及び動画を撮像するためのボタンであり、モードダイヤル11は、撮像と再生を切り替えるためのボタンである。光学ファインダ14は透明なガラスやプラスチックを通してユーザが被写体を視認するためのファインダである。LCD24は、撮像された画像、撮像された動画及びメニュー等の表示、並びに、撮像前の電子ビューファインダとして使用される。LCD24はタッチパネルになっており、ユーザの操作を受け付けることもできる。
【0022】
広角ズームSW16は、被写体を小さくして広い範囲を撮影するためのボタンである。望遠ズームSW13は、範囲を狭めて被写体を大きく撮影するためのボタンである。メニューSW15は、LCD24にメニューを表示させたり、メニューに表示される設定を変更するためのスイッチである。上移動/ストロボ設定SW17は、LCD24のカーソルを上方向に移動させ、また、ストロボ(フラッシュ)の発光を設定するためのボタンである。右移動SW21はLCD24のカーソルを右方向に移動させるスイッチである。下移動/マクロ設定SW19は、LCD24のカーソルをした方向に移動させ、また、レンズを被写体に接近させて撮影するためのボタンである。左移動/画像確認SW18は、LCD24のカーソルをした方向に移動させ、また、LCD24に再生された画像を切り換えるスイッチである。セルフタイマSW25は、タイマ設定を行うためのスイッチである。
【0023】
図3は、デジタルスチルカメラ100のハードウェア構成図の一例を示す。図3において図2と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。デジタルスチルカメラ100は、撮像レンズ23、メカシャッタ31、モータドライバ33、撮像センサ32、画像処理IC35、操作部39、ROM38、及び、SDRAM34等を有している。
【0024】
操作部39は、図2にて説明した各種のボタンやメニュー画面が相当する。ROM38には、OS(オペレーティングシステム)、画像処理IC35の初期化、メモリーカードの初期化処理を行ったり、ユーザ操作に応じて各部を制御する処理などを行うプログラム52が記憶されている。また、OSD(On Screen Display)用にメニュー表示のための不図示の画面情報を記憶している。
【0025】
SDRAM34は、画像データを一時的に記憶する高速な揮発性のメモリであり、図示するフォーマット(RAW−RGB、YUV、JPEG)の画像データが記憶される。最終的な画像データは、メモリーカード36又はNVRAM46に記憶される。また、不図示のUSB I/FからPC(Personal Computer)に接続し、メモリーカード36やNVRAM46からPCに画像データを送信することもできる。
【0026】
モータドライバ33は、CPU(プログラム)48からの指示により、焦点合わせ(AF)や光学ズームする際に、撮像レンズ23及びメカシャッタ31を光軸方向に移動させる。デジタルスチルカメラ100は設定された露光時間毎にCCDなどから電荷を読み出す電子シャッタを備えるが、メカシャッタ31は露光時間外に電子シャッタに到達する光を遮断する。
【0027】
撮像センサ32は、受光センサ321、TG(タイミングジェネレータ)323、及び、A/D変換器322を有する。受光センサ321はCCDやCMOSなどの撮像素子である。受光センサ321は、CDS(画像ノイズ除去用相関二重サンプリング部)やAGC(利得調整部)を有している。TG323は、クロック信号から垂直同期信号VD、水平同期信号HDを生成し、受光センサ321及びA/D変換器322に供給する。撮像センサ32が出力する画像信号はRGB又はYCrCbを色空間とする。
【0028】
デジタルスチルカメラ100の電源が投入され、撮像が開始されると、撮像レンズ23を通して受光センサ321に入射した光が、電気に変換されてA/D変換器322に送られる。A/D変換器322は、入力されたアナログ信号を例えば12bitのデジタルデータ(画像信号)に変換する。デジタル信号に変換された画像信号は、画像処理IC35のセンサI/F41に取り込まれる。
【0029】
画像処理IC35は、センサI/F41、メモリコントローラ42、YUV変換部49、圧縮伸張部51、CPU48、表示出力制御部43、リサイズ処理部44、メディアI/F45、及び、音声処理部47を有する。
【0030】
センサI/F41は撮像センサ32からA/D変換されたデジタルの画像データを取得する。この時点の画像信号の色空間はデジタルのRGB又はYCrCbである。
【0031】
また、センサI/F41は、ブロック内に取り込まれた画像信号よりAWB(オートホワイトバランス)評価値を算出して、CPU48に出力する。このAWB評価値が上記の積算値であるが、詳細は後述する。なお、センサI/F41は、この他、画面の合焦度合いを示すAF(オートフォーカス)評価値、及び、被写体輝度を検出したAE(Automatic Exposure:自動露光)評価値、を算出する。CPU48は、これらの評価値データをAWB、AE、AFのそれぞれの処理に利用する。
【0032】
AF評価値は、例えば高周波成分抽出フィルタの出力積分値や、近接画素の輝度差の積分値によって作成される。合焦状態にあるときは、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。デジタルスチルカメラ100がAFに設定されAFによる合焦検出動作時は、CPU48は各フォーカスレンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点を合焦位置とすることでAFによる合焦位置を取得する。
【0033】
AE評価値は、画像信号のRGB値それぞれの積分値から作成される。センサI/F41は画面を例えば1024エリアに等分割(水平32分割、垂直32分割)し、それぞれのエリアのRGB積算値を算出する。CPU48はセンサI/F41からRGB積分値を読み出し、それぞれのエリアの輝度を算出して、輝度分布から適正な露光時間を決定する。
【0034】
AEとAWBの処理は、LCD24に映像が出力されている間は連続的に行われている。被写体が撮像された場合、AF評価値、AE評価値及びAWB評価値は画像データと共にファイルに記憶される。
【0035】
AF完了後に撮像センサ32から出力されセンサI/F41が取り込んだ画像信号は、メモリコントローラ42によりSDRAM(フレームメモリという場合もある)34に格納される。この画像データが「RAW−RGB」と呼ばれる。
【0036】
メモリコントローラ42は、画像データをSDRAM34から読み出し、YUV変換部49に送出する。YUV変換部49は、RGB信号をYUV信号に変換しメモリコントローラ42に送出するので、メモリコントローラ42は、YUV信号をSDRAM34に記憶する。YUV信号に変換するのは、RGB信号よりも容量を小さくできるためと、LCD24のビデオ信号への変換が容易になるためである。メモリコントローラ42は、YUV信号を読み出して表示出力制御部43に出力する。
【0037】
表示出力制御部43はYUVの画像データをNTSC信号やPAL信号などのビデオ信号に変換し、LCD24に出力する。デジタルスチルカメラ100がAVケーブルなどでTVと接続されている場合はビデオ信号がTVにも出力される。LCD24が画像データを表示している間、画像信号からビデオ信号への変換までの処理は1/30秒間隔で行われ、1/30秒ごとにLCD24の画面が更新される。
【0038】
なお、リサイズ処理部44は、デジタルズームのための処理部で、YUVの画像データを補間処理により拡大/縮小する。ユーザがデジタルズームの操作を行うと、YUVの画像データから必要な部分を切り出し、画像サイズを変更する。リサイズ処理はスチル画像の撮像時も有効である。
【0039】
デジタルスチルカメラ100は、ユーザが動画撮像を選択した場合、一連のYUVの画像データを映像としてメモリーカード等に記憶することができる。動画の記録フォーマットは例えば、AVI(Open DML Motion JPEG フォーマット準拠)やJPEG ベースライン方式に準拠したフォーマットである。なお、これらの記録フォーマットに圧縮する場合は、圧縮伸張部51が圧縮する。
【0040】
スチル画像撮像時、ユーザは撮像前にAFの操作としてレリーズボタン12を半押しする。これにより、操作部39から静止画撮像開始信号がCPU48に取り込まれると、CPU48はフレームレートに同期してモータドライバ33を介してレンズを駆動し、山登りAFを実行する。AF対象範囲が無限から至近までの全領域であった場合、フォーカスレンズは至近から無限、または無限から至近までの間の各フォーカス位置まで移動し、センサI/F41が作成した各フレーム(=各フォーカス位置)におけるAF評価値がCPU48に読み出される。CPU48は、各フォーカス位置のAF評価値が極大になる点を合焦位置として、フォーカスレンズを合焦位置に移動すると共に、光学ファインダ14にAF完了のランプなどを表示する。これにより、ユーザはレリーズボタンを全押しして撮像することができる。
【0041】
CPU48はレリーズボタン12が全押しされたことを操作部39から検知して撮像センサ32に通知することで、スチル画像撮像時の画像信号が画像処理IC35に出力される。YUV変換部49は画像信号をYUVの画像信号に変換し、SDRAM34に記憶する。メモリコントローラ42はYUVに変換された画像データを圧縮伸張部51に送出する。圧縮伸張部51は送られたYUVの画像データを圧縮し、SDRAM34に書き戻す。圧縮のフォーマットは種々あるが、図ではJPEGで示されている。メモリコントローラ42は圧縮された画像データを読み出し、フラッシュメモリの等の内蔵するNVRAM46に記憶したり又はメディアI/F45に対しメモリーカード36に記憶させる。
【0042】
静止画の画像データは、JPEGの画像データをExif形式で記録する記録フォーマットが知られている。Exifは画像データと撮像条件などの情報を1つのファイルの中に記述できる記録フォーマットである。例えば、撮像された日時や機種名、シャッタースピード、絞り値等、撮像に関する情報、画像データの圧縮モード、色空間、画素数などの情報を記述することができる。
【0043】
〔AWB処理〕
図4は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図4において図3と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。なお図4では画像信号の色空間がRGBであるとする。センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値算出部411、輝度値判定部412、R積算部413、G積算部414、及び、B積算部415を有する。
【0044】
輝度値算出部411は、RGBの画像信号から輝度値Yを算出する。RGBから輝度値へは、例えば以下のように変換される。また、輝度値Yが求められると、色差成分R−Y、B−Yも求めることができる。
Y = 0.299*R +0.587*G +0.114*B
R-Y = +0.701*R -0.587*G -0.114*B
B-Y = -0.299*R -0.587*G +0.886*B
輝度値判定部412は、輝度値Yが予め定められたY_min以上かつY_max以下の間に入るか否かを判定し、輝度値YがY_min以上かつY_max以下の場合にのみ、画像信号をR積算部413、G積算部414、及び、B積算部415に出力する。
【0045】
R積算部413は、画像信号のR成分を画像1画面分積算する。積算値をR_sumとする。G積算部414は、画像信号のG成分を画像1画面分積算する。積算値をG_sumとする。B積算部415は、画像信号のB成分を画像1画面分積算する。積算値をB_sumとする。R_sum、G_sum、B_sumはCPU48に送られる。これらの積算値がAWB評価値である。
【0046】
CPU48は、プログラム52を実行して実現されるゲイン決定部481を有する。ゲイン決定部481は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値から、R、G、Bの積算値の比が1:1:1になるようにゲインを決定する。
【0047】
図5は、ゲインが決定される手順を示すフローチャート図の一例である。図5(a)は、Rチャネルのゲインが決定される手順を示すフローチャート図を、図5(b)は、Bチャネルのゲインが決定される手順を示すフローチャート図を、それぞれ示す。
【0048】
なお、R_gain(t)は現在のRチャネルの増幅回路324のゲイン、B_gain(t)は現在のBチャネルの増幅回路324のゲイン、R_gain(t+1)は次に設定するRチャネルの増幅回路324のゲイン、B_gain(t+1)は次に設定するBチャネルの増幅回路324のゲインである。
【0049】
まず、ゲイン決定部481は、R_sum及びG_sumを取得する(S10)。
【0050】
次に、ゲイン決定部481は、
R_gain(t+1)=R_gain(t)+k*(G_sum−R_sum)
を計算する(S20)。すなわち、基準であるGの積算値G_sumに対し、Rの積算値R_sumを減じて、ゲインへの変換係数k*を乗じる。これにより、Rの積算値R_sumがG_sumと同様になるようなゲインの補正値がえられる。この補正値を現在のRチャネルのゲインR_gain(t)に加えることで、次に設定するR_gain(t+1)が得られる。
【0051】
CPU48は、R_gain(t+1)をRチャネルの増幅回路324に設定するので、次回、センサI/F41からは適切なホワイトバランスが得られるR値が出力される。
【0052】
Bチェネルの増幅回路324についても同様に説明できる。まず、ゲイン決定部481は、B_sum及びG_sumを取得する(S10)。
【0053】
次に、ゲイン決定部481は、
B_gain(t+1)=B_gain(t)+k*(G_sum−B_sum)
を計算する(S20)。すなわち、基準であるGの積算値G_sumに対し、Bの積算値B_sumを減じて、ゲインへの変換係数k*を乗じる。これにより、Bの積算値B_sumがG_sumと同様になるようなゲインの補正値がえられる。この補正値を現在のBチャネルのゲインB_gain(t)に加えることで、次に設定するB_gain(t+1)が得られる。
【0054】
CPU48は、B_gain(t+1)をBチャネルの増幅回路324に設定するので、次回、センサI/F41からは適切なホワイトバランスが得られるB値が出力される。
【0055】
<撮像センサからの信号がYCrCbの場合>
撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合もほぼ同様に処理できる。
図6は、撮像センサ32からの画像信号の色空間がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図6において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。図6では撮像センサ32が出力する画像信号の色空間がYCrCbである。CCDやCMOSが出力する画像信号はRGBを色空間とするので、輝度値変換部325が画像信号をRGBからYCrCbを色空間とする画像信号に変換する。
【0056】
センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値判定部412、RGB変換部416、R積算部413、G積算部414、及び、B積算部415を有する。
【0057】
図6では、撮像センサ32が輝度値Yを出力しているので、センサI/F41は輝度値Yを算出する必要はない。輝度値判定部412は、輝度値Yが予め定められたY_min以上かつY_max以下の間に入るか否かを判定し、輝度値YがY_min以上かつY_max以下の場合にのみ、画像信号をRGB変換部416に出力する。
【0058】
RGB変換部416はYCrCbの色空間の画像信号をRGBの色空間の画像信号に変換する。YCrCbからRGBへは、例えば以下のように変換される。
R = Y+1.402Cr
G = Y-0.714Cr-0.344Cb
B = Y+1.772Cb
R積算部413、G積算部414及びB積算部415については図4と同様である。また、ゲイン決定部481がR_gain(t+1)及びB_gain(t+1)を計算する手順も図5と同様である。
【0059】
このように、撮像センサ32の色空間に関わらず、センサI/F41はAWB評価値を計算でき、CPU48は適切なホワイトバランスが得られるゲインを撮像センサ32に設定できる。
【実施例2】
【0060】
撮像センサ32の暗電流は温度が高いほど大きくなることが知られている。このため、温度が高いほど暗部のノイズが大きくなり、AWB処理の精度が低下する。そこで、本実施例では、温度に応じて、AWB評価値を算出するか否かの閾値、Y_min及びY_maxを変更するデジタルスチルカメラ100について説明する。温度に応じてY_minを変更するので、温度が変わっても暗部のノイズを大きく含まない画像信号によりAWB処理が実行される。
【0061】
図7は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図7において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例では、画像信号がRGBであるとして説明するが、YCrCbの場合も同様に処理できる。
【0062】
まず、撮像センサ32には温度センサ326が配置されている。温度センサ326は例えばサーミスタであり、CPU48が温度を要求すると現在の温度値をCPU48に出力する。CPU48は、プログラムを実行することで実現される閾値決定部482を新たに有する。閾値決定部482は、撮像センサ32の温度に応じてY_min及びY_maxを決定する。
【0063】
ROM38にはRGBの各チャネル毎に、温度とオフセット値を対応づけた温度オフセット値テーブル483を記憶している。オフセット値は暗電流の大きさをR画素、G画素、B画素の値に変換したものである。
【0064】
温度オフセット値テーブル483において、例えば、ある温度T1におけるRチャネルのオフセット値がR1、Gチャネルのオフセット値がG1、Bチャネルのオフセット値がB1、の場合、閾値決定部482は以下のようにしてY_minを決定する。
Y_min = 0.299*R1 +0.587*G1 +0.114*B1
なお、温度オフセット値テーブル483において、温度と輝度値のオフセット値を対応づけておいてもよい。
【0065】
Y_maxは、255−Y_minから算出してもよいし、pを定数としてp×Y_minから算出してもよいし、経験値(固定値)としてもよい。
【0066】
閾値決定部482はこのようにして決定したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する。Y_min及びY_maxの更新は、例えば、デジタルスチルカメラ100が起動した後の可能な限り早いタイミング、定期的(例えば30分ごと)なタイミング、及び、閾値決定部482が撮像センサ32の温度を監視しておき、温度が所定値以上変化したタイミングなどで行われる。
【0067】
図8は、閾値決定部482が撮像素子の温度に応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0068】
まず、閾値決定部482は撮像センサ32の温度を温度センサ326から取得する(S110)。
【0069】
次に、閾値決定部482は、温度オフセット値テーブル483から、温度に対応したR、G、Bの各チェネルのオフセット値を読み出し、Y_minを決定する(S120)。
【0070】
次に、閾値決定部482は、Y_minを利用するなどの所定の算出方法に基づきY_maxを決定する(S130)。
【0071】
次に、閾値決定部482はセンサI/F41の輝度値判定部412にY_min及びY_maxを設定する(S140)。
【0072】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、温度に応じてY_min及びY_maxを更新でき、温度が変化してもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例3】
【0073】
撮像センサ32に温度センサ326が配置されていない場合があるが、その場合、実施例2のY_min及びY_maxの更新が困難になる。そこで、本実施例では、撮像センサ32に温度センサ326が配置されていない場合にもY_min及びY_maxの更新が可能なデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0074】
図9は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図9において図7と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0075】
まず、撮像センサ32には温度センサ326が配置されていないが、CPU48は撮像センサ32のオプティカルブラック327の電荷量を取得することができる。オプティカルブラック327は撮像センサ32のうち入射光から遮蔽された素子である。電荷量は電圧値として読み出される。
【0076】
本実施例ではROM38に、RGBそれぞれのオプティカルブラック327について、温度と出力電荷量が対応づけられた温度出力電荷量テーブル484が記憶されている。閾値決定部482は、検出されたR画素、G画素、B画素それぞれの出力電荷量に基づき、温度出力電荷量テーブル484を参照して、撮像センサ32の温度を推定する。
【0077】
閾値決定部482はこの温度に基づき、温度オフセット値テーブル483を参照してR画素、G画素、B画素それぞれのオフセット値を読み出し、実施例2と同様にY_min及びY_maxを決定する。
【0078】
図10は、閾値決定部482が撮像素子の温度を推定してY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0079】
まず、閾値決定部482はR画素、G画素、B画素それぞれのオプティカルブラック327の出力電荷量を取得する(S112)。
【0080】
閾値決定部482は、出力電荷量に基づき温度出力電荷量テーブル484を参照し、撮像センサ32の温度を推定する(S114)。R画素、G画素、B画素それぞれの出力電荷量から3つの温度が得られるので、閾値決定部482はRGB毎に温度を推定する。
【0081】
次に、閾値決定部482は、推定した温度に基づきRGB各チェネルのオフセット値を読み出し、Y_minを決定する(S120)。
【0082】
次に、閾値決定部482は、Y_minを利用するなどの所定の算出方法に基づきY_maxを決定する(S130)。
【0083】
次に、閾値決定部482はセンサI/F41の輝度値判定部412にY_min及びY_maxを設定する(S140)。
【0084】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、温度センサ326が配置されていなくても、温度を推定してY_min及びY_maxを更新でき、温度が変化してもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例4】
【0085】
撮像センサ32が出力する画像信号の値が小さいと、色成分に対する暗部の色ノイズ成分が相対的に大きくなる。画像信号の値が小さくなるのは、撮像センサ32への入射光量が小さい場合である。そこで、本実施例では、撮像センサ32への入射光量が小さい場合に、Y_min及びY_maxを更新して、AWB制御の精度を向上することができるデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0086】
図11は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図11において図7と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。AGCにより増幅回路324のゲインは、入射光量が小さいと大きくなるように設定されるので、ゲインの値から入射光量が小さいことが判別される。
【0087】
ROM38にはゲインに対応づけてY_minとY_maxが登録されたゲイン閾値テーブル485が記憶されている。閾値決定部482は、撮像センサ32のゲインを読み出し、ゲイン閾値テーブル485からゲインに対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。ゲインは、例えば電圧を1倍する増幅率がゼロ〔dB〕であり、10倍する増幅率が20〔dB〕となる。この増幅率が大きいほど入射光量が少ないことになる。ゲイン閾値テーブル485には、ゲインが大きいほど(入射光量が小さいほど)、Y_minは大きくなり、Y_maxは小さくなるようにY_minとY_maxが登録されている。これにより、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。
【0088】
なお、ゲインが0〔dB〕以下の場合、閾値決定部482はY_minとY_maxを設定しない。この場合、入射光量は十分に大きいと推定され、センサI/F41は画像信号の全てからAWB評価値を算出する。
【0089】
図12は、閾値決定部482が撮像センサ32のゲインに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0090】
まず、閾値決定部482は撮像センサ32からR、G、Bそれぞれのチャネルのゲインを取得する(S115)。RGBそれぞれから3つのゲインが得られるため、輝度値に最も影響の大きいGのゲインを参照してもよいし、3つのゲインの平均を参照してもよいし、最も大きいゲインを参照してもよい。
【0091】
閾値決定部482は、ゲインがゼロ以下か否かを判定する(S116)。ゲインがゼロ以下の場合(S116のYes)、入射光量は十分に大きいので、閾値決定部482はセンサI/F41にY_min及びY_maxを設定しない。
【0092】
ゲインがゼロ以下でない場合(S116のNo)、入射光量が小さいので、閾値決定部482はゲイン閾値テーブル485からゲインに対応付けられたY_min及びY_maxを読み出す(S117)。
【0093】
閾値決定部482は、読み出したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する(S140)。
【0094】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、入射光量に応じてY_min及びY_maxを更新でき、暗電流の比率が大きい場合でもAWB処理を精度よく行うことができる。
【実施例5】
【0095】
実施例4では撮像センサ32のゲインから入射光量を推定したが、本実施例では画像信号から入射光量が小さいことを検出するデジタルスチルカメラ100について説明する。
【0096】
図13は、本実施例のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図13において図4と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例のセンサI/F41はY積算部417を有する。Y積算部417は、輝度値算出部411が算出した輝度値を1画面分積算した輝度値を算出する(以下、積算輝度値という)。
【0097】
ROM38には積算輝度値に対応づけてY_minとY_maxが登録された輝度値閾値テーブル486が記憶されている。閾値決定部482は、輝度値閾値テーブル486から積算輝度値に対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。積算輝度値が小さいほど(入射光量が小さいほど)、Y_minは大きくなり、Y_maxは小さくなる。すなわち、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。
【0098】
図14は、閾値決定部482が画像信号の明るさに応じてY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0099】
まず、閾値決定部482はY積算部417から積算輝度値を取得する(S115−1)。
【0100】
閾値決定部482は、積算輝度値が所定値以上か否かを判定する(S116−1)。積算輝度値が所定値以上の場合(S116−1のYes)、入射光量は十分に大きいので、閾値決定部482はセンサI/F41にY_min及びY_maxを設定しない。
【0101】
積算輝度値が所定値以上でない場合(S116−1のNo)、入射光量が小さいので、閾値決定部482は輝度値閾値テーブル486から積算輝度値に対応付けられたY_min及びY_maxを読み出す(S117)。
【0102】
閾値決定部482は、読み出したY_min及びY_maxを輝度値判定部412に設定する(S140)。
【0103】
以上のように、本実施例のデジタルスチルカメラ100は、入射光量に応じてY_min及びY_maxを更新でき、暗電流の比率が大きい場合にAWB処理を正確に行うことができる。
【0104】
<撮像センサからの信号がYCrCbの場合>
撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合もほぼ同様に処理できる。
図15は、撮像センサ32からの信号がYCrCbの場合のAWB処理を模式的に説明する図の一例である。図15において図13と同一構成部には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0105】
図15では撮像センサ32が出力する画像信号の色空間がYCrCbである。センサI/F41はAWB評価値を算出するため、輝度値判定部412、RGB変換部416、R積算部413、G積算部414、B積算部415及びY積算部417を有する。
【0106】
図15のY積算部417は、輝度値判定部412が出力した輝度値を1画面分積算して積算輝度値を積算する。閾値決定部482は、積算輝度値に対応付けられたY_minとY_maxを読み出す。こうすることで、入射光量が小さいほど、AWB評価値を算出する画像信号を絞り込むことができる。なお、フローチャート図は図14と同じなので説明を省略する。
【符号の説明】
【0107】
23 撮像レンズ
24 LCD
32 撮像センサ
34 SDRAM
35 画像処理IC
41 センサI/F
42 メモリコントローラ
48 CPU
100 デジタルスチルカメラ
411 輝度値算出部
412 輝度値判定部
413 R積算部
414 G積算部
415 B積算部
416 RGB変換部
481 ゲイン決定部
482 閾値決定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開平6−335008号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路と、
画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、
画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記ホワイトバランス調整許可手段は、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが上限閾値以下か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上かつ上限閾値以下の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像素子の温度を検出する温度センサと、
前記画像信号のオフセット値と温度とを対応づけて登録した温度オフセット変換テーブルと、
前記温度オフセット変換テーブルにて、前記温度センサが検出した温度が対応づけられたオフセット値を読み出し、該オフセット値を前記下限閾値として前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮像素子のうち入射光の進入が遮蔽されたオプティカルブラック部位の電圧値と、温度を対応づけた電圧値温度変換テーブルと、
前記画像信号のオフセット値と温度とを対応づけて登録した温度オフセット変換テーブルと、
前記オプティカルブラック部位の電圧値を取得して、前記電圧値温度変換テーブルから温度を読み出し、該温度に対応づけられたオフセット値を前記温度オフセット変換テーブルから読み出し、該オフセット値を前記下限閾値として前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記増幅回路のゲイン値と前記下限閾値を対応づけたゲイン閾値変換テーブルと、
前記増幅回路のゲイン値を取得して、前記ゲイン閾値変換テーブルから該ゲイン値に対応づけられた前記下限閾値を読み出し、前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像信号に含まれる輝度情報と前記下限閾値を対応づけた輝度情報閾値変換テーブルと、
画像信号に含まれる輝度情報を検出する輝度情報大きさ検出手段と、
前記輝度情報大きさ検出手段が検出した輝度情報に対応づけられた前記下限閾値を前記輝度情報閾値変換テーブルから読み出し、前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記撮像素子が出力する画像信号がRGBの色空間である場合、画像信号から輝度情報を算出する輝度情報算出部を有する、
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記撮像素子が出力する画像信号がYCrCbの色空間である、ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
撮像素子が、入射光を光電変換するステップと、
増幅回路が、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅するステップと、
ホワイトバランス調整許可手段が、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するステップと、
ホワイトバランス調整手段が、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項1】
入射光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子が出力する画像信号を増幅する増幅回路と、
画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整手段と、
画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するホワイトバランス調整許可手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記ホワイトバランス調整許可手段は、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが上限閾値以下か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上かつ上限閾値以下の場合にのみ、前記ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可する
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記撮像素子の温度を検出する温度センサと、
前記画像信号のオフセット値と温度とを対応づけて登録した温度オフセット変換テーブルと、
前記温度オフセット変換テーブルにて、前記温度センサが検出した温度が対応づけられたオフセット値を読み出し、該オフセット値を前記下限閾値として前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮像素子のうち入射光の進入が遮蔽されたオプティカルブラック部位の電圧値と、温度を対応づけた電圧値温度変換テーブルと、
前記画像信号のオフセット値と温度とを対応づけて登録した温度オフセット変換テーブルと、
前記オプティカルブラック部位の電圧値を取得して、前記電圧値温度変換テーブルから温度を読み出し、該温度に対応づけられたオフセット値を前記温度オフセット変換テーブルから読み出し、該オフセット値を前記下限閾値として前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記増幅回路のゲイン値と前記下限閾値を対応づけたゲイン閾値変換テーブルと、
前記増幅回路のゲイン値を取得して、前記ゲイン閾値変換テーブルから該ゲイン値に対応づけられた前記下限閾値を読み出し、前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項6】
画像信号に含まれる輝度情報と前記下限閾値を対応づけた輝度情報閾値変換テーブルと、
画像信号に含まれる輝度情報を検出する輝度情報大きさ検出手段と、
前記輝度情報大きさ検出手段が検出した輝度情報に対応づけられた前記下限閾値を前記輝度情報閾値変換テーブルから読み出し、前記ホワイトバランス調整許可手段に設定する下限閾値決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記撮像素子が出力する画像信号がRGBの色空間である場合、画像信号から輝度情報を算出する輝度情報算出部を有する、
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記撮像素子が出力する画像信号がYCrCbの色空間である、ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項9】
撮像素子が、入射光を光電変換するステップと、
増幅回路が、前記撮像素子が出力する画像信号を増幅するステップと、
ホワイトバランス調整許可手段が、画像信号に含まれる輝度情報の大きさが下限閾値以上か否かを判定し、輝度情報の大きさが下限閾値以上の場合にのみ、ホワイトバランス調整手段に画像信号のホワイトバランスの調整を許可するステップと、
ホワイトバランス調整手段が、画像信号に含まれる色成分を用いて前記増幅回路のゲインを調整し画像信号のホワイトバランスを調整するステップと、
を有する画像処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図10】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−42290(P2013−42290A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177023(P2011−177023)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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