画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体
【課題】複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】牽制文字生成部331は、予め設定された情報に基づいて牽制パターンを生成する。画像データに複製禁止パターンを合成する場合、牽制文字修正部332は、生成した牽制パターンを修正する。画像データに複製禁止パターンを合成しない場合、牽制文字修正部332は、生成した牽制パターンの位置の修正を行なわない。文字画像生成部333は、生成された牽制パターンをビットマップの画像データに変換し、パターン生成部334は、生成されたビットマップデータに基づいて、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換えて地紋パターンを生成する。
【解決手段】牽制文字生成部331は、予め設定された情報に基づいて牽制パターンを生成する。画像データに複製禁止パターンを合成する場合、牽制文字修正部332は、生成した牽制パターンを修正する。画像データに複製禁止パターンを合成しない場合、牽制文字修正部332は、生成した牽制パターンの位置の修正を行なわない。文字画像生成部333は、生成された牽制パターンをビットマップの画像データに変換し、パターン生成部334は、生成されたビットマップデータに基づいて、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換えて地紋パターンを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに、地紋パターンと画像の複製を制限するための所定パターンとを付加することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿が複写により偽造されているか否かという原本性を容易に確認できることを目的として、地紋技術が知られている(特許文献1参照)。地紋技術とは、例えば、原稿を複写した場合に原稿に予め埋め込まれている文字又はパターン等が浮かび上がるように設計されたドットパターン(地紋パターン)を、印刷対象の画像データに付加して印刷する技術である。特許文献1には、画像データをプリントする際に地紋パターンを付加する構成が開示されているが、画像読取装置で原稿を読み取って得られた画像データに地紋パターンを付加して印刷する地紋付きの複写機能も知られている。
【0003】
また、上述の地紋技術とは異なる技術として、例えば、複製禁止パターンを用いて原稿の複製を禁止する技術がある(特許文献2参照)。この技術は、例えば、画像データをプリントする際に、複製禁止パターンとして予め定められた特定パターンを付加して印刷し、このように作成された原稿を複写する際には、読み取った画像データから特定パターンの有無を検出し、特定パターンが検出された場合に、複写処理を停止させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−88763号公報
【特許文献2】特開2007−135091号公報
【特許文献3】特開2008−244699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複製禁止パターンを用いる技術は、複製禁止パターンを検出して原稿の複製を禁止する機能を備えた複合機においては有効であるが、このような機能を備えていない複合機では、原稿の複製を禁止できないという問題がある。
一方、地紋技術は、画像読取装置に特別な検出機能を設けておく必要はなく、任意の複合機において有効である。しかしながら、地紋技術では、複製禁止パターンを用いた技術のように原稿の複製を強制的に禁止することは困難であり、あくまでも警告の範囲にとどまる。
【0006】
このように、地紋技術と複製禁止パターンを用いた技術とは、それぞれ特徴及び欠点が異なり、相補的な関係にある。従って、それぞれの欠点を補うために、地紋技術と複製禁止パターンを用いた技術とを併用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、地紋パターンはドットのパターンで構成されており、複製禁止パターンを地紋パターンと同じようにドットパターンで構成した場合、2つのパターンが干渉してしまう。この場合、原稿の複製時に原稿から読み取った画像データから複製禁止パターンを検出する際の精度が著しく低下するという問題が発生する。特に、地紋パターンと複製禁止パターンとが各々別のモジュールで処理されており、2つのパターンの相対的な位置関係の変更が不可能な場合には、この問題はより顕著となる。
【0008】
このような問題を解決する方法として、特許文献3に開示されているように、部分的に地紋を削除する方法が考えられる。しかしながら、特許文献3に開示された方法では、地紋がある部分と地紋が削除された部分とのコントラストが高くなり、結果として、前景の画像(地紋が付加される前のオリジナルの画像)が見難くなるという問題が生じる。地紋は、文書の背景に埋め込むことによって複写を禁止するものであるので、このように地紋によって前景の画像の視認性が低下することは、大きな問題である。
【0009】
また、地紋には、複写された場合に、地紋に含まれる牽制文字が浮かび上がるタイプと、白抜けするタイプとがある。浮かび上がるタイプの牽制文字は、地紋の背景領域が細かい(小さい)ドットで構成されており、白抜けするタイプの牽制文字は、地紋の背景領域が粗い(大きい)ドットで構成されている。粗いドットは複製禁止パターンとの干渉を起こし易く、白抜けするタイプの牽制文字では、粗いドットの領域が大きくなるので、白抜けするタイプの牽制文字を含む地紋を用いる場合には特に対応が必要となる。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、前記地紋付加部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する地紋生成部と、該地紋生成部が生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、前記地紋付加部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンとの少なくとも一方を生成する地紋生成部と、該地紋生成部が生成した第1地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像処理装置は、画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択を受け付ける選択受付部を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記地紋生成部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する場合、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターン及び前記所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンを含む地紋パターンを生成するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、前記領域設定部は、設定した領域に前記所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、上述したいずれかの画像処理装置と、該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像処理方法は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を行なう画像処理方法であって、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を実行させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する機能、画像の適宜位置に所定パターンを付加する機能を有する。また、画像処理装置は、地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する機能を有する。画像処理装置は、このような地紋パターンと所定パターンとを画像に付加する場合、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に地紋パターンが抜け所定パターンが現れる領域を設定する。地紋パターンと所定パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に所定パターンが現れる領域を設定するので、所定パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、所定パターンの検出が可能となる。なお、所定パターンとは、例えば、付加された画像が出力を制御されている画像であることを示すパターンである。
【0021】
本発明によれば、画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する機能、画像の適宜位置に所定パターンを付加する機能を有する。また、画像処理装置は、地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターン、及び牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンの少なくとも一方を生成する機能を有する。このような画像処理装置は、第1地紋パターン及び所定パターンを画像に付加する場合、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に地紋パターンが抜け所定パターンが現れる領域を設定する。第1地紋パターンと所定パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に所定パターンが現れる領域を設定するので、所定パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、所定パターンの検出が可能となる。なお、所定パターンとは、例えば、付加された画像が出力を制御されている画像であることを示すパターンである。
【0022】
本発明によれば、画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択が可能である。画像に付加される地紋パターンを選択可能にすることにより、画像に付加される地紋の自由度が増し、ユーザの選択肢を広げることができる。
【0023】
本発明によれば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンは、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターンと、所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンとを含む。なお、所定サイズとは、複写した場合にドットが消失するサイズであり、例えば、複写の際の処理過程で平滑化又はガンマ補正によって濃度が下げられることによって複写されないサイズである。また、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンは、所定サイズよりも大きいドットで構成された牽制パターンと、所定サイズよりも小さいドットで構成された背景パターンとを含む。よって、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンとを効率よく生成することができる。
【0024】
本発明によれば、領域設定部は、設定した領域に所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置する。例えば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンの場合、設定した領域の背景パターンは所定サイズより大きいドットで構成される。所定サイズより小さいドットの領域パターンを配置することにより、地紋パターンと所定パターンとの干渉を避けることができ、所定パターンの検出が容易となり、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンの背景パターン(所定サイズよりも大きいドット)によって低下することを防止できる。
【0025】
本発明によれば、上述した画像処理装置を画像形成装置に適用することができる。また、本発明によれば、上述した画像処理装置をコンピュータによって実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、画像に地紋パターン及び所定パターンを付加する際に、両パターンが互いに干渉しないような地紋パターンを生成することができる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合に、所定パターンを確実に検出できるので、所定パターンを用いた原稿の複製禁止を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】下地判定処理部が作成するヒストグラムの例を示す図である。
【図4】露光調整部が用いるLUTの例を示す図である。
【図5】地紋パターン生成部の構成を示すブロック図である。
【図6】地紋パターンの生成処理を説明するための説明図である。
【図7】牽制パターンが顕在化する仕組みを説明するための説明図である。
【図8】牽制パターンの例を示す図である。
【図9】地紋パターンに用いられるドットパターン及び複製禁止パターンの例を示す図である。
【図10】牽制パターンと複製禁止パターンを合成した場合の例を示す説明図である。
【図11】修正後の地紋パターンの例を示す説明図である。
【図12】地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態2のコンピュータシステムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0029】
(実施形態1)
まず、実施形態1の画像形成装置について説明する。以下では、本発明の画像形成装置を、コピア機能、プリンタ機能、ファクシミリ通信機能、scan to e-mail機能等を備えるデジタルカラー複合機に適用した実施形態について説明する。なお、本発明は、デジタルカラー複合機だけでなく、デジタルカラー複写機、モノクロの画像を扱う複合機等にも適用できる。
【0030】
図1は実施形態1の画像形成装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態1の画像形成装置100は、画像入力装置3、画像処理装置2、出力画像をシート上に形成する画像形成部としての画像出力装置4、記憶装置5、各種操作を行なうための操作部6、液晶ディスプレイ等の表示部7、通信装置8、これらの各装置を制御する制御装置1等を備える。
【0031】
制御装置1は、必要に応じて記憶装置5から所定の制御プログラムをロードし、ロードした制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100が備える各部の動作を制御する。記憶装置5は、例えば不揮発性の半導体メモリ又はハードディスク等である。記憶装置5は、画像データ、画像形成装置100を構成するハードウェア各部を制御するための制御プログラム、制御装置1が表示部7に各種の画面を表示させるための制御プログラム、複数のドットパターン(ドットパターンデータ)及び複製禁止パターン等を記憶している。
【0032】
操作部6は、例えば、「ファックス」、「複写」、「印刷」、「メール」等の機能ボタン、テンキー、受け付けた指示を確定するためのエンターキー等を備える。制御装置1は、操作部6より入力された各種の情報に基づいて、画像形成装置100が備える各部の動作を制御する。操作部6及び表示部7は両者を一体に構成したタッチパネルであってもよい。
【0033】
画像入力装置3は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)ラインセンサを備えたスキャナであり、原稿からの反射光像をRGB(R:赤・G:緑・B:青)に色分解されたアナログの電気信号として読み取り、読み取ったRGB信号を画像処理装置2へ出力する。画像処理装置2は、画像入力装置3で原稿から読み取ったRGBのアナログの画像データに、地紋パターン又は所定パターン(複製禁止パターン)を付加する処理等の所定の処理を実行し、CMYK(C:シアン、M:マゼンダ、Y:イエロー、K:黒)のデジタルカラー信号として画像出力装置4へ出力する。画像出力装置4は、電子写真方式又はインクジェット方式などのプリンタであり、画像処理装置2から出力された画像データに基づいて記録用紙、OHPフィルム等のシート上に画像形成を行なう。また、画像出力装置4は、ディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0034】
通信装置8は、外部装置との間でデータを送受信するためのネットワークカード、モデム等を備える。画像処理装置2が、制御装置1からの指示に従って、所定の処理を施した画像データを通信装置8へ出力した場合、通信装置8は、画像処理装置2にて処理された画像データを、例えばメールに添付し、設定された送信先へ送信する。
【0035】
図2は実施形態1の画像処理装置2の構成を示すブロック図である。画像処理装置2は、A/D変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、下地判定処理部24、露光調整部25、領域分離部26、色補正部27、黒生成/下色除去部28、空間フィルタ部29、中間調生成部30、地紋合成部31、複製禁止パターン合成部32、地紋パターン生成部33、表示制御部34等を備える。また、画像処理装置2は、これらのハードウェア各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit )を備え、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。
【0036】
A/D変換部21は、画像入力装置3から入力されたRGBのアナログ信号を、例えば、10ビットのデジタル信号に変換し、変換後のRGB信号をシェーディング補正部22へ出力する。
シェーディング補正部22は、入力されたRGB信号に対して、画像入力装置3の照明系、結像系、撮像系等で生じた各種の歪みを取り除く補正処理を行ない、補正後のRGB信号を入力処理部23へ出力する。
【0037】
入力処理部23は、シェーディング補正部22にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号(RGBの反射率信号)のそれぞれに対してγを補正する処理を行なう。また、入力処理部23は、カラーバランスを整える処理を行なうとともに、濃度信号など画像処理装置2で採用されている画像処理システムが扱い易い信号に変換する処理を行なう。入力処理部23は、処理後のRGB信号を下地判定処理部24へ出力すると共に、記憶装置5に一旦記憶させる。なお、入力処理部23で処理されたRGB信号は、通信装置8へ出力され、通信装置8を介して外部装置へ送信することもできる。
【0038】
下地判定処理部24は、入力されたRGB信号に対して、下地領域の濃度が所定の閾値を上回っているか否かの判定を行なう。具体的には、下地判定処理部24は、まず、RGB信号として入力された入力画像データから、Yj=0.30Rj+0.59Gj+0.11Bjの式を用いて輝度信号に変換し、輝度信号と色度信号とに分離する。ここで、Yjは、各画素の輝度信号であり、Rj,Gj及びBjは、各画素の色成分である。
なお、下地判定処理部24は、CIEL*a*b*信号(CIE:Commission Internationale de l'Eclairage(国際照明委員会),L*:明度,a*・b*:色度)等の均等色空間に変換する等して明度信号を求めてもよい。
【0039】
下地判定処理部24は、上述のようにして求めた輝度信号又は明度信号に基づいて、画像全体に対するヒストグラムを作成する。図3は下地判定処理部24が作成するヒストグラムの例を示す図である。下地判定処理部24は、作成したヒストグラムにおいて、最も頻度の高い輝度(明度)を下地領域の輝度(明度)とみなし、このときの輝度(明度)Yfを、予め設定された閾値thと比較する。
【0040】
下地領域の輝度Yfが閾値th未満である場合(Yf<th)、下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値を上回っていると判定する。なお、下地領域の輝度Yfが閾値th以上である場合(Yf≧th)、下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値未満であると判定する。下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値を上回っていると判定した場合、出力すべき画像に地紋パターンを付加する指示が操作部6を介して設定されているか否かを判定する。地紋パターンを付加する指示が設定されていれば、下地判定処理部24は、地紋パターンが適切に付加できない虞がある旨をユーザに警告すると共に、後段の露光調整部25が行なう露光調整処理で調整すべき強度の入力をユーザに促す表示画面を、表示制御部34を介して表示部7に表示させる。
【0041】
なお、下地判定処理部24は、入力処理部23から入力されたRGB信号に基づいて判定処理を行なう構成に限らず、入力処理部23から記憶装置5に一旦記憶されたRGB信号に基づいて判定処理を行なってもよい。
また、下地判定処理部24は、入力処理部23から入力されたRGB信号をそのまま後段の露光調整部25へ出力する。
【0042】
表示制御部34が上述した表示画面を表示部7に表示した場合、ユーザは、表示画面の指示に従って、後段の露光調整部25が行なう処理で調整すべき強度を操作部6を介して入力する。表示制御部34は、操作部6から、ユーザが入力した調整強度を受け付け、受け付けた調整強度を露光調整部25へ出力する。
【0043】
露光調整部25には、下地判定処理部24からRGB信号が入力され、表示制御部34からユーザによって指定された調整強度が入力される。露光調整部25は、自身が備えるメモリ(図示せず)に、調整の強度(度合)に応じて、入力輝度に対する出力輝度の割当テーブル(LUT:Look Up Table)を複数記憶している。そして、露光調整部25は、表示制御部34から取得した調整強度(ユーザが指定した調整強度)に対応したLUTを使用して入力画像(下地判定処理部24から入力されたRGB信号)のRGB値を補正して下地領域の濃度を飛ばす処理を行なう。
【0044】
図4は露光調整部25が用いるLUTの例を示す図である。図4には、補正強度が強い場合と弱い場合との2パターンの例を示しているが、3つ以上のLUTを用意しておき、3つ以上のLUTのうちからユーザが選択した調整強度に対応したLUTを用いるようにしてもよい。露光調整部25は、処理後のRGB信号を領域分離部26及び色補正部27へ出力する。
【0045】
領域分離部26は、入力されたRGB信号に基づき、入力された画像中の各画素が、黒文字領域、色文字領域、網点領域、印刷紙写真領域(連続階調領域)等の何れの領域に属する画素であるのかを判定する。領域分離部26は、分離結果に基づいて、各画素がどの領域に属しているかを示す領域分離データを黒生成/下色除去部28、空間フィルタ部29及び中間調生成部30へ出力する。
【0046】
色補正部27は、入力されたRGB信号を補色であるCMYの色空間に変換し、画像出力装置4の特性に合わせて色補正を行ない、補正後のCMY信号を黒生成/下色除去部28へ出力する。具体的には、色補正部27は、色再現を高めるために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行なう。
【0047】
黒生成/下色除去部28は、領域分離データに基づいて、色補正後のCMYの3色信号からK(黒)信号を生成する黒生成処理、元のCMY信号からK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行なう。これにより、CMYの3色信号は、CMYKの4色信号に変換され、黒生成/下色除去部28は、生成したCMYK信号を空間フィルタ部29へ出力する。
【0048】
黒生成/下色除去部28における処理の一例を示す。例えば、スケルトンブラックによる黒生成を行なう処理の場合、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)とし、入力されるデータをC、M、Yとし、出力されるデータをC´、M´、Y´、K´とし、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去処理により出力されるデータ夫々は、K´=f{min(C、M、Y)}、C´=C−αK´、M´=M−αK´、Y´=Y−αK´で表される。
【0049】
空間フィルタ部29は、黒生成/下色除去部28から入力されたCMYK信号に対して、領域分離データに基づいたデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理又は平滑化処理)を行なう。これにより、画像データの空間周波数特性が補正され、画像出力装置4における出力画像のぼやけ又は粒状性劣化を防止する。空間フィルタ部29は、処理後のCMYK信号を中間調生成部30へ出力する。
【0050】
中間調生成部30は、領域分離データに基づいて、空間フィルタ部29から入力されたCMYK信号に対して、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように階調再現処理(中間調生成)を行なう。また、中間調生成部30は、例えば、文字領域に分離された領域を、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるため、画像出力装置4における高周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を行なう。更に、中間調生成部30は、印刷紙写真領域に分離された領域を、画像出力装置4における階調再現性を重視したスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を行なう。中間調生成部30は、処理後のCMYK信号を地紋合成部31へ出力する。
【0051】
地紋パターン生成部33は、画像入力装置3で原稿から読み取った画像データに付加(合成)すべき地紋パターン(地紋パターンデータ)を生成する。なお、地紋パターン生成部33の構成及び地紋パターン生成部33が行なう処理については後述する。地紋パターン生成部33は、生成した地紋パターンを地紋合成部31へ出力する。
【0052】
地紋合成部(地紋付加部)31は、地紋パターン生成部33で生成された地紋パターンを、中間調生成部30で生成された元画像の中間調データに合成する。地紋パターンの合成は、予め指定されたC、M、Kの何れかのプレーンに対して行なう。合成の方法は、画素値の加算又は置換処理を採用できる。地紋合成部31は、地紋パターンを合成したCMYK信号を複製禁止パターン合成部32へ出力する。なお、地紋合成部31は、操作部6を介してユーザから、画像出力装置4で出力される画像に地紋パターンを付加する旨を指示されていた場合、地紋パターンの合成処理を行なうが、地紋パターンを付加する旨を指示されていない場合、入力されたCMYK信号をそのまま複製禁止パターン合成部32へ出力する。
【0053】
複製禁止パターン合成部(パターン付加部)32は、地紋合成部31から入力されたCMYK信号に、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを合成する。なお、複製禁止パターン合成部32は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域に対して、予め指定された1又は複数箇所に、複製禁止パターンを合成する。複製禁止パターンに関する情報は、例えば操作部6を介してユーザから指定される。合成の方法は、例えば、特許文献2(特開2007−135091)等に開示されている公知技術と同等の処理を採用できる。なお、複製禁止パターン合成部32は、操作部6を介してユーザから、画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨を指示されていた場合、複製禁止パターンの合成処理を行なうが、複製禁止パターンを付加する旨を指示されていない場合、複製禁止パターンの合成処理を行なわない。
【0054】
画像処理装置2は、複製禁止パターン合成部32で複製禁止パターンが合成された画像データ(CMYK信号)を記憶部(不図示)に一旦記憶する。そして、画像処理装置2は、画像形成をする所定のタイミングで記憶部に記憶した画像データを読み出し、読み出した画像データを画像出力装置4へ出力する。画像処理装置2が備える各部の制御は、例えば、CPU(不図示)により行なわれる。
【0055】
以下に、地紋パターン生成部33の構成及び地紋パターン生成部33が行なう処理について説明する。図5は地紋パターン生成部33の構成を示すブロック図、図6は地紋パターンの生成処理を説明するための説明図である。地紋パターン生成部33は、牽制文字生成部331、牽制文字修正部332、文字画像生成部333、パターン生成部334等を備える。
【0056】
地紋パターン生成部33は、図6(a)に示すような、細かい(小さい)ドットパターン及び粗い(大きい)ドットパターンの2種類のドットパターンと、複写された時に顕在化する牽制パターン(牽制文字)のビットマップデータとを合成する。そして、地紋パターン生成部33は、図6(b),(c)に示すような地紋パターン(地紋パターンデータ)を生成する。なお、図6(b)に示す地紋パターンでは、牽制パターンが細かいドットパターンで構成され、牽制パターン以外の背景(背景パターン)が粗いドットパターンで構成されている。一方、図6(c)に示す地紋パターンでは、牽制パターンが粗いドットパターンで構成され、牽制パターン以外の背景が細かいドットパターンで構成されている。
【0057】
ここで、複写された場合に牽制パターンが顕在化する仕組みについて説明する。図7は牽制パターンが顕在化する仕組みを説明するための説明図である。なお、図7(a)は複写前の地紋パターンを示し、図7(b)は複写後の地紋パターンを示している。例えば、図7(a)に示すように、細かいドットで構成された牽制パターンと、粗いドットで構成された背景パターンとを有する地紋パターン(図6(b))を複写した場合、細かいドットで構成された牽制パターンが、複写の際の処理過程において平滑化又はガンマ補正によって濃度が下げられることによって複写されなくなる。その結果、図7(b)に示すように、細かいドットで構成された牽制パターン部分のドットが消失し、牽制パターンが白く抜けた状態で顕在化する。
【0058】
一方、図示は省略するが、粗いドットで構成された牽制パターンと、細かいドットで構成された背景パターンとを有する地紋パターン(図6(c))を複写した場合、細かいドットで構成された背景パターンが複写されない。その結果、細かいドットで構成された背景パターン部分のドットが消失するので、牽制パターンが浮かび上がったような状態で顕在化する。
【0059】
図6(a)に示すようなドットパターン、牽制パターンに用いられる文字又はパターンに関する情報(例えば、フォントデータ)は、予め作成されて記憶装置5に記憶されている。また、別の実装方法としては、地紋の見た目の濃度を指定する設定値、中間調のパターンを規定するパラメータ等に応じて装置内部で、ドットパターンを作成してもよい。ドットパターンを作成する方法としては、一般的な中間調生成の方法が利用できる。
【0060】
地紋パターン生成部33において、まず、牽制文字生成部331は、予め指定された条件に基づいて牽制パターン(牽制文字のパターン)を生成する。地紋パターン生成部33は、地紋パターンを生成する際の条件を、例えば、操作部(選択受付部)6を介してユーザから指定されている。地紋パターンを生成する際の条件としては、地紋パターン中の牽制パターンのタイプ(浮かび上がるタイプ、あるいは牽制パターンが抜けるタイプ、例えば白抜けするタイプ)、牽制パターンに用いる文字(牽制文字)等がある。牽制文字生成部331は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域に対して所定の1又は複数箇所に、ユーザから指定された牽制文字を配置させた牽制パターンを生成する。図8は牽制パターンの例を示す図である。図8は、牽制文字として「コピー禁止」が指定されている場合の牽制パターンを示す。
【0061】
牽制文字修正部(判断部、領域設定部)332は、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンを修正(変更)すべきであるか否かを判定し、修正が必要である場合には牽制文字に修正を加える。具体的には、操作部6を介してユーザから、牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されると共に、画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨が指示されている場合、牽制文字修正部332は、牽制文字を修正すべきであると判定する。これは、白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンと複製禁止パターンとの両方を画像に付加した場合、複写の際に原稿を読み取って得られた画像データから複製禁止パターンを検出する際の精度が、地紋パターンによって低下することを防止するためである。
【0062】
図9は地紋パターンに用いられるドットパターン及び複製禁止パターンの例を示す図である。図9(a)は地紋パターンに用いられるドットパターンのうちの細かいドットパターンを示し、図9(b)は粗いドットパターンを示し、図9(c)は複製禁止パターンを示す。図9(b),(c)に示すように、複製禁止パターンには、粗いドットパターンと形状及び周期が近似するパターンが用いられる場合が多い。従って、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンを含む地紋パターンと、複製禁止パターンとを単純に画像に付加した場合、牽制パターンが複製禁止パターンと重なる可能性がある。白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加した場合、複製禁止パターンと重なる位置の牽制パターン(細かいドットパターン)の周囲の背景パターン(粗いドットパターン)と複製禁止パターンとが干渉を起こし、両者の区別が困難となる。
【0063】
そこで、牽制文字修正部332は、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域(地紋パターンが抜ける領域)を設定する。地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定するので、複製禁止パターンを確実に検出することができる。以下、具体的に説明する。
【0064】
図10は牽制パターンと複製禁止パターンを合成した場合の例を示す説明図である。図10(a)は複製禁止パターンの例を示し、図中のドットパターンには、図9(c)で示した粗いドットパターン(例えば、所定サイズよりも大きいドットパターン)が用いられている。図10(a)において、丸印で囲んだ領域に含まれるパターンが1組の複製禁止パターンを表す。丸印内(セット内)のすべてのパターンが検出できれば1組の複製禁止パターンが検出されたことになる。
【0065】
図10(b)に示すように、地紋の牽制文字部分が、細かいドットパターン(例えば、所定サイズよりも小さいドットパターン)となる牽制文字白抜けタイプの地紋パターンである場合、複製禁止パターンの1組分のパターンのいずれかの部分が粗いドット領域と重なってしまい、複製禁止パターンを検知することができない。
【0066】
図11は修正後の地紋パターンの例を示す説明図である。図11に示すように、修正後の地紋パターンは、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定したものである。牽制文字修正部332は、設定した領域に所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置する。例えば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンの場合、設定した領域の背景パターンは所定サイズより大きいドットで構成される。すなわち、牽制文字修正部332は、牽制パターン(牽制文字)とは別に、予め指定した所要の領域のパターンを牽制パターン(牽制文字)に含める。これにより、複製禁止パターン1組分すべてが細かいドットと重なる部分が生じて複製禁止パターンを確実に検出することができる。
【0067】
図11に示すように、牽制文字修正部332は、設定した領域に所定サイズより小さいドットの領域パターンを配置することにより、地紋パターンと複製禁止パターンとの干渉を避けることができ、複製禁止パターンの検出が容易となり、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される複製禁止パターンの検出精度が、地紋パターンの背景パターン(所定サイズよりも大きいドット)によって低下することを防止できる。
【0068】
一方、牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されていない場合、又は画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨が指示されていない場合、牽制文字修正部332は、牽制文字に修正を加える必要がないと判定する。この場合、牽制文字修正部332は、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンをそのまま文字画像生成部333へ出力する。
【0069】
文字画像生成部333は、牽制文字修正部332が必要に応じて修正処理を行なった牽制パターンをビットマップの画像データに変換する。文字画像生成部333は、例えば、フォントデータをリッピングする等し、牽制パターンのビットマップデータを生成する。パターン生成部334は、文字画像生成部333が生成した牽制パターンのビットマップデータに基づいて、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換え、地紋パターンを生成する。具体的には、操作部6を介してユーザから牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されている場合、パターン生成部334は、牽制パターン以外の部分(背景パターン部分)を細かいドットパターンに置き換える。なお、図11の例では、領域パターンとして、矩形状の例を挙げたが、領域パターンの形状は矩形状に限定されるものではなく、複製禁止パターンの少なくとも1組が収まる大きさ又は形状であれば、例えば、円形、楕円形、あるいは他の形状であってもよい。
【0070】
一方、操作部6を介してユーザから牽制パターンのタイプとして浮かび上がるタイプが指定されている場合、パターン生成部334は、牽制パターン部分を粗いドットパターンに置き換え、牽制パターン以外の部分を細かいドットパターンに置き換える。なお、牽制パターンのタイプとして浮かび上がるタイプが指定されている場合、牽制文字修正部332は、牽制パターンに対する修正処理を行なわないので、牽制パターンに領域パターンは含まれない。図示しないが、上述した処理により、牽制文字生成部331が生成した牽制パターン部分が粗いドットパターンで構成され、それ以外の部分が細かいドットパターンで構成された地紋パターンが生成できる。
【0071】
次に画像処理装置2の動作について説明する。図12は地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、画像入力装置3で原稿を読み取って得られた画像データに、ユーザからの指定に従って地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを付加(合成)する処理について説明する。なお、画像処理装置2は、以下に説明する地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理を必要に応じて行ないつつ、画像処理装置2が有する各部によるその他の処理を行なっているが、その他の処理については説明を省略する。また、以下では、画像処理装置2を「処理部」という。
【0072】
処理部は、画像入力装置3が原稿から読み取った画像データを取得した場合、この画像データに複製禁止パターンを合成するか否かを判断する(S1)。ユーザは、画像を出力する際に複製禁止パターンを合成するか否かの指示を、操作部6を介して設定しており、処理部は、ユーザからの指示に従った制御装置1による制御に従って判断する。複製禁止パターンを合成しないと判断した場合(S1:NO)、処理部は、画像データに地紋パターンを合成するか否かを判断する(S2)。ユーザは、画像を出力する際に地紋パターンを合成するか否かの指示を、操作部6を介して設定しており、処理部は、ユーザからの指示に従った制御装置1による制御に従って判断する。
【0073】
地紋パターンを合成しないと判断した場合(S2:NO)、処理部は、地紋パターン及び複製禁止パターンの合成を行なわず、本処理を終了する。なお、処理部は、地紋パターン及び複製禁止パターンの合成以外の処理を行ない、処理後の画像データを画像出力装置4へ出力する。
【0074】
地紋パターンを合成すると判断した場合(S2:YES)、処理部は、地紋パターンに使用する牽制パターンを生成する(S3)。具体的には、処理部は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域の所定の1又は複数箇所に、ユーザから指定された牽制文字を配置させた牽制パターンを生成する。処理部は、生成した牽制パターンに基づいて、地紋パターンを生成する(S4)。具体的には、処理部は、牽制パターンをビットマップの画像データに変換すると共に、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換えて地紋パターンを生成する。処理部は、生成した地紋パターンを、画像データに合成し(S5)、本処理を終了する。
【0075】
複製禁止パターンを合成すると判断した場合(S1:YES)、処理部は、画像データに地紋パターンを合成するか否かを判断する(S6)。地紋パターンを合成しないと判断した場合(S6:NO)、処理部は、ステップS12に処理を移行し、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを、画像データの所定の1又は複数箇所に合成し(S12)、本処理を終了する。
【0076】
地紋パターンを合成すると判断した場合(S6:YES)、処理部は、地紋パターンに使用する牽制パターンを生成する(S7)。処理部は、合成する地紋パターンに含まれる牽制パターンが白抜けするタイプであるか否かを判断する(S8)。ユーザは、画像を出力する際に地紋パターンを合成する旨を指示する場合、地紋パターン中の牽制パターンが白抜けするタイプであるか、浮かび上がるタイプであるかも操作部6を介して指定しており、処理部は、ユーザからの指示に従って判断する。
【0077】
白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを合成すると判断した場合(S8:YES)、処理部は、生成した牽制パターンを修正する(S9)。具体的には、処理部は、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定する。浮かび上がるタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを合成すると判断した場合(S8:NO)、処理部は、ステップS9の処理をスキップする。
【0078】
処理部は、ステップS7で生成された牽制パターン、又はステップS9で修正された牽制パターンに基づいて、地紋パターンを生成する(S10)。処理部は、生成した地紋パターンを、画像データに合成し(S11)、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを、画像データの所定の1又は複数箇所に合成する(S12)。そして、処理部は、本処理を終了する。
【0079】
上述したように、本実施形態1の画像処理装置2は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターン(例えば、白く抜ける地紋パターン)と複製禁止パターンとを画像に合成する際に、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定する。地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定するので、複製禁止パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される複製禁止パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、複製禁止パターンの検出が可能となる。
【0080】
また、本実施形態1では、画像に付加する地紋パターン中の牽制パターンとして、複写した場合に白く抜けるタイプと、複写した場合に浮かび上がるタイプとの選択が可能である。よって、画像に付加する地紋パターンの自由度が増し、ユーザの選択肢を広げることができる。
上述したように、本実施形態1の画像処理装置2が生成する地紋パターンは、細かいドットパターンと粗いドットパターンとにより構成される。しかし、両パターンとも見た目上の濃度は一様となるように設計されているので、地紋の外観としては両パターン間での違いは殆どなく、前景となる画像データへの影響はない。
【0081】
本実施形態1の画像処理装置2は、画像に付加する地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターン(牽制文字)が白抜けする地紋パターンと、牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンとの選択が可能であった。しかし、本発明は、このような構成に限らず、いずれかの地紋パターンに固定されていてもよい。ただし、牽制パターンが白抜けする地紋パターンに固定されている場合にのみ、牽制パターンの修正処理が必要となる。従って、牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンに固定されている場合には、牽制パターンの修正は行なわない。
【0082】
本実施形態1では、画像入力装置3が原稿から読み取った画像データに基づく画像を画像出力装置4で印刷する際に、画像処理装置2が地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に合成する例について説明した。しかし、このような状況だけでなく、画像処理装置2は、例えば、PC、PDA等画像データの編集・作成機能を有する電気機器で作成された画像データに対して地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に合成することもできる。これにより、画像形成装置100が外部装置から取得した画像データを画像出力装置4で出力する際に、画像処理装置2によって、地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に付加することができる。
【0083】
本実施形態1の画像処理装置2は、画像データに複製禁止パターンを合成する場合、画像データにおいて、ユーザから指定された1又は複数箇所に複製禁止パターンを合成する構成であった。このほかに、例えば、画像データの所定の1又は複数箇所に複製禁止パターンが合成される構成であってもよい。また、各パターンの配置位置に特別な制限はない。
【0084】
(実施形態2)
以下に、実施形態2について説明する。本発明は、地紋パターン及び複製禁止パターンの画像への合成処理を含む画像処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成し、このコンピュータプログラムをコンピュータによる読み取りが可能な記録媒体に記録した構成とすることもできる。この結果、画像処理装置2が行なうべき各種の処理を実現するためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0085】
図13は実施形態2のコンピュータシステムの構成を示す模式図である。図13に示すコンピュータシステム90では、パーソナルコンピュータ91に、CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等の画像表示装置92(表示部7(図1参照))、操作部6(図1参照)としてのキーボード93及びマウス94、画像入力装置3(図1参照)としてのフラットベッドスキャナ95、画像出力装置4(図1参照)としてのプリンタ96等の周辺機器が接続されている。画像入力装置3としては、フラットベッドスキャナに限られず、例えば、フィルムスキャナ、デジタルカメラ等を用いることができる。
【0086】
パーソナルコンピュータ91は、本発明に係る記録媒体97に記録されているコンピュータプログラムを読み取るための読取装置を備えている。従って、本発明に係る記録媒体97に記録されているコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータ91にインストールすることにより、実施形態1で説明した地紋パターン及び複製禁止パターンの画像への合成処理を含む各種機能をパーソナルコンピュータ91によって実現することができる。具体的には、パーソナルコンピュータ91は、CPU又はMPU(Micro Processor Unit)を備えており、CPU又はMPUが、インストール(ロード)された所定のコンピュータプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。
【0087】
記録媒体97としては、パーソナルコンピュータ91に対して着脱可能な外部記憶装置であり、パーソナルコンピュータ91に設けられた読取装置に挿入することで、記録されているプログラムの読み取りが可能となるプログラムメディアであってもよい。また、記録されているプログラムがマイクロコンピュータで処理されるため、記録媒体97としては、例えばROMのようなプログラムメディアであってもよい。
【0088】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0089】
ここで、前記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0090】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0091】
前記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置や図13に示すコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法を実現できる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
1 制御装置
2 画像処理装置
3 画像入力装置
4 画像出力装置(画像形成部)
6 操作部(選択受付部)
31 地紋合成部(地紋付加部)
32 複製禁止パターン合成部(パターン付加部)
331 牽制文字生成部(地紋生成部)
332 牽制文字修正部(判断部、領域設定部)
97 記録媒体
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに、地紋パターンと画像の複製を制限するための所定パターンとを付加することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿が複写により偽造されているか否かという原本性を容易に確認できることを目的として、地紋技術が知られている(特許文献1参照)。地紋技術とは、例えば、原稿を複写した場合に原稿に予め埋め込まれている文字又はパターン等が浮かび上がるように設計されたドットパターン(地紋パターン)を、印刷対象の画像データに付加して印刷する技術である。特許文献1には、画像データをプリントする際に地紋パターンを付加する構成が開示されているが、画像読取装置で原稿を読み取って得られた画像データに地紋パターンを付加して印刷する地紋付きの複写機能も知られている。
【0003】
また、上述の地紋技術とは異なる技術として、例えば、複製禁止パターンを用いて原稿の複製を禁止する技術がある(特許文献2参照)。この技術は、例えば、画像データをプリントする際に、複製禁止パターンとして予め定められた特定パターンを付加して印刷し、このように作成された原稿を複写する際には、読み取った画像データから特定パターンの有無を検出し、特定パターンが検出された場合に、複写処理を停止させる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−88763号公報
【特許文献2】特開2007−135091号公報
【特許文献3】特開2008−244699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複製禁止パターンを用いる技術は、複製禁止パターンを検出して原稿の複製を禁止する機能を備えた複合機においては有効であるが、このような機能を備えていない複合機では、原稿の複製を禁止できないという問題がある。
一方、地紋技術は、画像読取装置に特別な検出機能を設けておく必要はなく、任意の複合機において有効である。しかしながら、地紋技術では、複製禁止パターンを用いた技術のように原稿の複製を強制的に禁止することは困難であり、あくまでも警告の範囲にとどまる。
【0006】
このように、地紋技術と複製禁止パターンを用いた技術とは、それぞれ特徴及び欠点が異なり、相補的な関係にある。従って、それぞれの欠点を補うために、地紋技術と複製禁止パターンを用いた技術とを併用することが考えられる。
【0007】
しかしながら、地紋パターンはドットのパターンで構成されており、複製禁止パターンを地紋パターンと同じようにドットパターンで構成した場合、2つのパターンが干渉してしまう。この場合、原稿の複製時に原稿から読み取った画像データから複製禁止パターンを検出する際の精度が著しく低下するという問題が発生する。特に、地紋パターンと複製禁止パターンとが各々別のモジュールで処理されており、2つのパターンの相対的な位置関係の変更が不可能な場合には、この問題はより顕著となる。
【0008】
このような問題を解決する方法として、特許文献3に開示されているように、部分的に地紋を削除する方法が考えられる。しかしながら、特許文献3に開示された方法では、地紋がある部分と地紋が削除された部分とのコントラストが高くなり、結果として、前景の画像(地紋が付加される前のオリジナルの画像)が見難くなるという問題が生じる。地紋は、文書の背景に埋め込むことによって複写を禁止するものであるので、このように地紋によって前景の画像の視認性が低下することは、大きな問題である。
【0009】
また、地紋には、複写された場合に、地紋に含まれる牽制文字が浮かび上がるタイプと、白抜けするタイプとがある。浮かび上がるタイプの牽制文字は、地紋の背景領域が細かい(小さい)ドットで構成されており、白抜けするタイプの牽制文字は、地紋の背景領域が粗い(大きい)ドットで構成されている。粗いドットは複製禁止パターンとの干渉を起こし易く、白抜けするタイプの牽制文字では、粗いドットの領域が大きくなるので、白抜けするタイプの牽制文字を含む地紋を用いる場合には特に対応が必要となる。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてされたものであり、その目的とするところは、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止することが可能な画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、前記地紋付加部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する地紋生成部と、該地紋生成部が生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、前記地紋付加部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンとの少なくとも一方を生成する地紋生成部と、該地紋生成部が生成した第1地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像処理装置は、画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択を受け付ける選択受付部を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る画像処理装置は、前記地紋生成部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する場合、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターン及び前記所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンを含む地紋パターンを生成するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る画像処理装置は、前記領域設定部は、設定した領域に前記所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る画像形成装置は、上述したいずれかの画像処理装置と、該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る画像処理方法は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を行なう画像処理方法であって、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を実行させるためのコンピュータプログラムであって、コンピュータに、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップとを実行させることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る記録媒体は、上述したコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する機能、画像の適宜位置に所定パターンを付加する機能を有する。また、画像処理装置は、地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する機能を有する。画像処理装置は、このような地紋パターンと所定パターンとを画像に付加する場合、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に地紋パターンが抜け所定パターンが現れる領域を設定する。地紋パターンと所定パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に所定パターンが現れる領域を設定するので、所定パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、所定パターンの検出が可能となる。なお、所定パターンとは、例えば、付加された画像が出力を制御されている画像であることを示すパターンである。
【0021】
本発明によれば、画像処理装置は、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する機能、画像の適宜位置に所定パターンを付加する機能を有する。また、画像処理装置は、地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターン、及び牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンの少なくとも一方を生成する機能を有する。このような画像処理装置は、第1地紋パターン及び所定パターンを画像に付加する場合、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に地紋パターンが抜け所定パターンが現れる領域を設定する。第1地紋パターンと所定パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に所定パターンが現れる領域を設定するので、所定パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、所定パターンの検出が可能となる。なお、所定パターンとは、例えば、付加された画像が出力を制御されている画像であることを示すパターンである。
【0022】
本発明によれば、画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択が可能である。画像に付加される地紋パターンを選択可能にすることにより、画像に付加される地紋の自由度が増し、ユーザの選択肢を広げることができる。
【0023】
本発明によれば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンは、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターンと、所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンとを含む。なお、所定サイズとは、複写した場合にドットが消失するサイズであり、例えば、複写の際の処理過程で平滑化又はガンマ補正によって濃度が下げられることによって複写されないサイズである。また、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンは、所定サイズよりも大きいドットで構成された牽制パターンと、所定サイズよりも小さいドットで構成された背景パターンとを含む。よって、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンとを効率よく生成することができる。
【0024】
本発明によれば、領域設定部は、設定した領域に所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置する。例えば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンの場合、設定した領域の背景パターンは所定サイズより大きいドットで構成される。所定サイズより小さいドットの領域パターンを配置することにより、地紋パターンと所定パターンとの干渉を避けることができ、所定パターンの検出が容易となり、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンの背景パターン(所定サイズよりも大きいドット)によって低下することを防止できる。
【0025】
本発明によれば、上述した画像処理装置を画像形成装置に適用することができる。また、本発明によれば、上述した画像処理装置をコンピュータによって実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、画像に地紋パターン及び所定パターンを付加する際に、両パターンが互いに干渉しないような地紋パターンを生成することができる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される所定パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと所定パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合に、所定パターンを確実に検出できるので、所定パターンを用いた原稿の複製禁止を確実に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】下地判定処理部が作成するヒストグラムの例を示す図である。
【図4】露光調整部が用いるLUTの例を示す図である。
【図5】地紋パターン生成部の構成を示すブロック図である。
【図6】地紋パターンの生成処理を説明するための説明図である。
【図7】牽制パターンが顕在化する仕組みを説明するための説明図である。
【図8】牽制パターンの例を示す図である。
【図9】地紋パターンに用いられるドットパターン及び複製禁止パターンの例を示す図である。
【図10】牽制パターンと複製禁止パターンを合成した場合の例を示す説明図である。
【図11】修正後の地紋パターンの例を示す説明図である。
【図12】地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】実施形態2のコンピュータシステムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、コンピュータプログラム及び記録媒体について、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0029】
(実施形態1)
まず、実施形態1の画像形成装置について説明する。以下では、本発明の画像形成装置を、コピア機能、プリンタ機能、ファクシミリ通信機能、scan to e-mail機能等を備えるデジタルカラー複合機に適用した実施形態について説明する。なお、本発明は、デジタルカラー複合機だけでなく、デジタルカラー複写機、モノクロの画像を扱う複合機等にも適用できる。
【0030】
図1は実施形態1の画像形成装置100の構成を示すブロック図である。本実施形態1の画像形成装置100は、画像入力装置3、画像処理装置2、出力画像をシート上に形成する画像形成部としての画像出力装置4、記憶装置5、各種操作を行なうための操作部6、液晶ディスプレイ等の表示部7、通信装置8、これらの各装置を制御する制御装置1等を備える。
【0031】
制御装置1は、必要に応じて記憶装置5から所定の制御プログラムをロードし、ロードした制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100が備える各部の動作を制御する。記憶装置5は、例えば不揮発性の半導体メモリ又はハードディスク等である。記憶装置5は、画像データ、画像形成装置100を構成するハードウェア各部を制御するための制御プログラム、制御装置1が表示部7に各種の画面を表示させるための制御プログラム、複数のドットパターン(ドットパターンデータ)及び複製禁止パターン等を記憶している。
【0032】
操作部6は、例えば、「ファックス」、「複写」、「印刷」、「メール」等の機能ボタン、テンキー、受け付けた指示を確定するためのエンターキー等を備える。制御装置1は、操作部6より入力された各種の情報に基づいて、画像形成装置100が備える各部の動作を制御する。操作部6及び表示部7は両者を一体に構成したタッチパネルであってもよい。
【0033】
画像入力装置3は、例えば、CCD(Charged Coupled Device)ラインセンサを備えたスキャナであり、原稿からの反射光像をRGB(R:赤・G:緑・B:青)に色分解されたアナログの電気信号として読み取り、読み取ったRGB信号を画像処理装置2へ出力する。画像処理装置2は、画像入力装置3で原稿から読み取ったRGBのアナログの画像データに、地紋パターン又は所定パターン(複製禁止パターン)を付加する処理等の所定の処理を実行し、CMYK(C:シアン、M:マゼンダ、Y:イエロー、K:黒)のデジタルカラー信号として画像出力装置4へ出力する。画像出力装置4は、電子写真方式又はインクジェット方式などのプリンタであり、画像処理装置2から出力された画像データに基づいて記録用紙、OHPフィルム等のシート上に画像形成を行なう。また、画像出力装置4は、ディスプレイ等の表示装置であってもよい。
【0034】
通信装置8は、外部装置との間でデータを送受信するためのネットワークカード、モデム等を備える。画像処理装置2が、制御装置1からの指示に従って、所定の処理を施した画像データを通信装置8へ出力した場合、通信装置8は、画像処理装置2にて処理された画像データを、例えばメールに添付し、設定された送信先へ送信する。
【0035】
図2は実施形態1の画像処理装置2の構成を示すブロック図である。画像処理装置2は、A/D変換部21、シェーディング補正部22、入力処理部23、下地判定処理部24、露光調整部25、領域分離部26、色補正部27、黒生成/下色除去部28、空間フィルタ部29、中間調生成部30、地紋合成部31、複製禁止パターン合成部32、地紋パターン生成部33、表示制御部34等を備える。また、画像処理装置2は、これらのハードウェア各部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit )を備え、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成される。
【0036】
A/D変換部21は、画像入力装置3から入力されたRGBのアナログ信号を、例えば、10ビットのデジタル信号に変換し、変換後のRGB信号をシェーディング補正部22へ出力する。
シェーディング補正部22は、入力されたRGB信号に対して、画像入力装置3の照明系、結像系、撮像系等で生じた各種の歪みを取り除く補正処理を行ない、補正後のRGB信号を入力処理部23へ出力する。
【0037】
入力処理部23は、シェーディング補正部22にて各種の歪みが取り除かれたRGB信号(RGBの反射率信号)のそれぞれに対してγを補正する処理を行なう。また、入力処理部23は、カラーバランスを整える処理を行なうとともに、濃度信号など画像処理装置2で採用されている画像処理システムが扱い易い信号に変換する処理を行なう。入力処理部23は、処理後のRGB信号を下地判定処理部24へ出力すると共に、記憶装置5に一旦記憶させる。なお、入力処理部23で処理されたRGB信号は、通信装置8へ出力され、通信装置8を介して外部装置へ送信することもできる。
【0038】
下地判定処理部24は、入力されたRGB信号に対して、下地領域の濃度が所定の閾値を上回っているか否かの判定を行なう。具体的には、下地判定処理部24は、まず、RGB信号として入力された入力画像データから、Yj=0.30Rj+0.59Gj+0.11Bjの式を用いて輝度信号に変換し、輝度信号と色度信号とに分離する。ここで、Yjは、各画素の輝度信号であり、Rj,Gj及びBjは、各画素の色成分である。
なお、下地判定処理部24は、CIEL*a*b*信号(CIE:Commission Internationale de l'Eclairage(国際照明委員会),L*:明度,a*・b*:色度)等の均等色空間に変換する等して明度信号を求めてもよい。
【0039】
下地判定処理部24は、上述のようにして求めた輝度信号又は明度信号に基づいて、画像全体に対するヒストグラムを作成する。図3は下地判定処理部24が作成するヒストグラムの例を示す図である。下地判定処理部24は、作成したヒストグラムにおいて、最も頻度の高い輝度(明度)を下地領域の輝度(明度)とみなし、このときの輝度(明度)Yfを、予め設定された閾値thと比較する。
【0040】
下地領域の輝度Yfが閾値th未満である場合(Yf<th)、下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値を上回っていると判定する。なお、下地領域の輝度Yfが閾値th以上である場合(Yf≧th)、下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値未満であると判定する。下地判定処理部24は、下地領域の濃度が閾値を上回っていると判定した場合、出力すべき画像に地紋パターンを付加する指示が操作部6を介して設定されているか否かを判定する。地紋パターンを付加する指示が設定されていれば、下地判定処理部24は、地紋パターンが適切に付加できない虞がある旨をユーザに警告すると共に、後段の露光調整部25が行なう露光調整処理で調整すべき強度の入力をユーザに促す表示画面を、表示制御部34を介して表示部7に表示させる。
【0041】
なお、下地判定処理部24は、入力処理部23から入力されたRGB信号に基づいて判定処理を行なう構成に限らず、入力処理部23から記憶装置5に一旦記憶されたRGB信号に基づいて判定処理を行なってもよい。
また、下地判定処理部24は、入力処理部23から入力されたRGB信号をそのまま後段の露光調整部25へ出力する。
【0042】
表示制御部34が上述した表示画面を表示部7に表示した場合、ユーザは、表示画面の指示に従って、後段の露光調整部25が行なう処理で調整すべき強度を操作部6を介して入力する。表示制御部34は、操作部6から、ユーザが入力した調整強度を受け付け、受け付けた調整強度を露光調整部25へ出力する。
【0043】
露光調整部25には、下地判定処理部24からRGB信号が入力され、表示制御部34からユーザによって指定された調整強度が入力される。露光調整部25は、自身が備えるメモリ(図示せず)に、調整の強度(度合)に応じて、入力輝度に対する出力輝度の割当テーブル(LUT:Look Up Table)を複数記憶している。そして、露光調整部25は、表示制御部34から取得した調整強度(ユーザが指定した調整強度)に対応したLUTを使用して入力画像(下地判定処理部24から入力されたRGB信号)のRGB値を補正して下地領域の濃度を飛ばす処理を行なう。
【0044】
図4は露光調整部25が用いるLUTの例を示す図である。図4には、補正強度が強い場合と弱い場合との2パターンの例を示しているが、3つ以上のLUTを用意しておき、3つ以上のLUTのうちからユーザが選択した調整強度に対応したLUTを用いるようにしてもよい。露光調整部25は、処理後のRGB信号を領域分離部26及び色補正部27へ出力する。
【0045】
領域分離部26は、入力されたRGB信号に基づき、入力された画像中の各画素が、黒文字領域、色文字領域、網点領域、印刷紙写真領域(連続階調領域)等の何れの領域に属する画素であるのかを判定する。領域分離部26は、分離結果に基づいて、各画素がどの領域に属しているかを示す領域分離データを黒生成/下色除去部28、空間フィルタ部29及び中間調生成部30へ出力する。
【0046】
色補正部27は、入力されたRGB信号を補色であるCMYの色空間に変換し、画像出力装置4の特性に合わせて色補正を行ない、補正後のCMY信号を黒生成/下色除去部28へ出力する。具体的には、色補正部27は、色再現を高めるために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行なう。
【0047】
黒生成/下色除去部28は、領域分離データに基づいて、色補正後のCMYの3色信号からK(黒)信号を生成する黒生成処理、元のCMY信号からK信号を差し引いて新たなCMY信号を生成する処理を行なう。これにより、CMYの3色信号は、CMYKの4色信号に変換され、黒生成/下色除去部28は、生成したCMYK信号を空間フィルタ部29へ出力する。
【0048】
黒生成/下色除去部28における処理の一例を示す。例えば、スケルトンブラックによる黒生成を行なう処理の場合、スケルトンカーブの入出力特性をy=f(x)とし、入力されるデータをC、M、Yとし、出力されるデータをC´、M´、Y´、K´とし、UCR(Under Color Removal)率をα(0<α<1)とすると、黒生成下色除去処理により出力されるデータ夫々は、K´=f{min(C、M、Y)}、C´=C−αK´、M´=M−αK´、Y´=Y−αK´で表される。
【0049】
空間フィルタ部29は、黒生成/下色除去部28から入力されたCMYK信号に対して、領域分離データに基づいたデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理又は平滑化処理)を行なう。これにより、画像データの空間周波数特性が補正され、画像出力装置4における出力画像のぼやけ又は粒状性劣化を防止する。空間フィルタ部29は、処理後のCMYK信号を中間調生成部30へ出力する。
【0050】
中間調生成部30は、領域分離データに基づいて、空間フィルタ部29から入力されたCMYK信号に対して、最終的に画像を画素に分離してそれぞれの階調を再現できるように階調再現処理(中間調生成)を行なう。また、中間調生成部30は、例えば、文字領域に分離された領域を、特に黒文字又は色文字の再現性を高めるため、画像出力装置4における高周波成分の再現に適した高解像度のスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を行なう。更に、中間調生成部30は、印刷紙写真領域に分離された領域を、画像出力装置4における階調再現性を重視したスクリーンでの二値化処理又は多値化処理を行なう。中間調生成部30は、処理後のCMYK信号を地紋合成部31へ出力する。
【0051】
地紋パターン生成部33は、画像入力装置3で原稿から読み取った画像データに付加(合成)すべき地紋パターン(地紋パターンデータ)を生成する。なお、地紋パターン生成部33の構成及び地紋パターン生成部33が行なう処理については後述する。地紋パターン生成部33は、生成した地紋パターンを地紋合成部31へ出力する。
【0052】
地紋合成部(地紋付加部)31は、地紋パターン生成部33で生成された地紋パターンを、中間調生成部30で生成された元画像の中間調データに合成する。地紋パターンの合成は、予め指定されたC、M、Kの何れかのプレーンに対して行なう。合成の方法は、画素値の加算又は置換処理を採用できる。地紋合成部31は、地紋パターンを合成したCMYK信号を複製禁止パターン合成部32へ出力する。なお、地紋合成部31は、操作部6を介してユーザから、画像出力装置4で出力される画像に地紋パターンを付加する旨を指示されていた場合、地紋パターンの合成処理を行なうが、地紋パターンを付加する旨を指示されていない場合、入力されたCMYK信号をそのまま複製禁止パターン合成部32へ出力する。
【0053】
複製禁止パターン合成部(パターン付加部)32は、地紋合成部31から入力されたCMYK信号に、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを合成する。なお、複製禁止パターン合成部32は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域に対して、予め指定された1又は複数箇所に、複製禁止パターンを合成する。複製禁止パターンに関する情報は、例えば操作部6を介してユーザから指定される。合成の方法は、例えば、特許文献2(特開2007−135091)等に開示されている公知技術と同等の処理を採用できる。なお、複製禁止パターン合成部32は、操作部6を介してユーザから、画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨を指示されていた場合、複製禁止パターンの合成処理を行なうが、複製禁止パターンを付加する旨を指示されていない場合、複製禁止パターンの合成処理を行なわない。
【0054】
画像処理装置2は、複製禁止パターン合成部32で複製禁止パターンが合成された画像データ(CMYK信号)を記憶部(不図示)に一旦記憶する。そして、画像処理装置2は、画像形成をする所定のタイミングで記憶部に記憶した画像データを読み出し、読み出した画像データを画像出力装置4へ出力する。画像処理装置2が備える各部の制御は、例えば、CPU(不図示)により行なわれる。
【0055】
以下に、地紋パターン生成部33の構成及び地紋パターン生成部33が行なう処理について説明する。図5は地紋パターン生成部33の構成を示すブロック図、図6は地紋パターンの生成処理を説明するための説明図である。地紋パターン生成部33は、牽制文字生成部331、牽制文字修正部332、文字画像生成部333、パターン生成部334等を備える。
【0056】
地紋パターン生成部33は、図6(a)に示すような、細かい(小さい)ドットパターン及び粗い(大きい)ドットパターンの2種類のドットパターンと、複写された時に顕在化する牽制パターン(牽制文字)のビットマップデータとを合成する。そして、地紋パターン生成部33は、図6(b),(c)に示すような地紋パターン(地紋パターンデータ)を生成する。なお、図6(b)に示す地紋パターンでは、牽制パターンが細かいドットパターンで構成され、牽制パターン以外の背景(背景パターン)が粗いドットパターンで構成されている。一方、図6(c)に示す地紋パターンでは、牽制パターンが粗いドットパターンで構成され、牽制パターン以外の背景が細かいドットパターンで構成されている。
【0057】
ここで、複写された場合に牽制パターンが顕在化する仕組みについて説明する。図7は牽制パターンが顕在化する仕組みを説明するための説明図である。なお、図7(a)は複写前の地紋パターンを示し、図7(b)は複写後の地紋パターンを示している。例えば、図7(a)に示すように、細かいドットで構成された牽制パターンと、粗いドットで構成された背景パターンとを有する地紋パターン(図6(b))を複写した場合、細かいドットで構成された牽制パターンが、複写の際の処理過程において平滑化又はガンマ補正によって濃度が下げられることによって複写されなくなる。その結果、図7(b)に示すように、細かいドットで構成された牽制パターン部分のドットが消失し、牽制パターンが白く抜けた状態で顕在化する。
【0058】
一方、図示は省略するが、粗いドットで構成された牽制パターンと、細かいドットで構成された背景パターンとを有する地紋パターン(図6(c))を複写した場合、細かいドットで構成された背景パターンが複写されない。その結果、細かいドットで構成された背景パターン部分のドットが消失するので、牽制パターンが浮かび上がったような状態で顕在化する。
【0059】
図6(a)に示すようなドットパターン、牽制パターンに用いられる文字又はパターンに関する情報(例えば、フォントデータ)は、予め作成されて記憶装置5に記憶されている。また、別の実装方法としては、地紋の見た目の濃度を指定する設定値、中間調のパターンを規定するパラメータ等に応じて装置内部で、ドットパターンを作成してもよい。ドットパターンを作成する方法としては、一般的な中間調生成の方法が利用できる。
【0060】
地紋パターン生成部33において、まず、牽制文字生成部331は、予め指定された条件に基づいて牽制パターン(牽制文字のパターン)を生成する。地紋パターン生成部33は、地紋パターンを生成する際の条件を、例えば、操作部(選択受付部)6を介してユーザから指定されている。地紋パターンを生成する際の条件としては、地紋パターン中の牽制パターンのタイプ(浮かび上がるタイプ、あるいは牽制パターンが抜けるタイプ、例えば白抜けするタイプ)、牽制パターンに用いる文字(牽制文字)等がある。牽制文字生成部331は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域に対して所定の1又は複数箇所に、ユーザから指定された牽制文字を配置させた牽制パターンを生成する。図8は牽制パターンの例を示す図である。図8は、牽制文字として「コピー禁止」が指定されている場合の牽制パターンを示す。
【0061】
牽制文字修正部(判断部、領域設定部)332は、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンを修正(変更)すべきであるか否かを判定し、修正が必要である場合には牽制文字に修正を加える。具体的には、操作部6を介してユーザから、牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されると共に、画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨が指示されている場合、牽制文字修正部332は、牽制文字を修正すべきであると判定する。これは、白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンと複製禁止パターンとの両方を画像に付加した場合、複写の際に原稿を読み取って得られた画像データから複製禁止パターンを検出する際の精度が、地紋パターンによって低下することを防止するためである。
【0062】
図9は地紋パターンに用いられるドットパターン及び複製禁止パターンの例を示す図である。図9(a)は地紋パターンに用いられるドットパターンのうちの細かいドットパターンを示し、図9(b)は粗いドットパターンを示し、図9(c)は複製禁止パターンを示す。図9(b),(c)に示すように、複製禁止パターンには、粗いドットパターンと形状及び周期が近似するパターンが用いられる場合が多い。従って、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンを含む地紋パターンと、複製禁止パターンとを単純に画像に付加した場合、牽制パターンが複製禁止パターンと重なる可能性がある。白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加した場合、複製禁止パターンと重なる位置の牽制パターン(細かいドットパターン)の周囲の背景パターン(粗いドットパターン)と複製禁止パターンとが干渉を起こし、両者の区別が困難となる。
【0063】
そこで、牽制文字修正部332は、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域(地紋パターンが抜ける領域)を設定する。地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定するので、複製禁止パターンを確実に検出することができる。以下、具体的に説明する。
【0064】
図10は牽制パターンと複製禁止パターンを合成した場合の例を示す説明図である。図10(a)は複製禁止パターンの例を示し、図中のドットパターンには、図9(c)で示した粗いドットパターン(例えば、所定サイズよりも大きいドットパターン)が用いられている。図10(a)において、丸印で囲んだ領域に含まれるパターンが1組の複製禁止パターンを表す。丸印内(セット内)のすべてのパターンが検出できれば1組の複製禁止パターンが検出されたことになる。
【0065】
図10(b)に示すように、地紋の牽制文字部分が、細かいドットパターン(例えば、所定サイズよりも小さいドットパターン)となる牽制文字白抜けタイプの地紋パターンである場合、複製禁止パターンの1組分のパターンのいずれかの部分が粗いドット領域と重なってしまい、複製禁止パターンを検知することができない。
【0066】
図11は修正後の地紋パターンの例を示す説明図である。図11に示すように、修正後の地紋パターンは、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定したものである。牽制文字修正部332は、設定した領域に所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置する。例えば、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンの場合、設定した領域の背景パターンは所定サイズより大きいドットで構成される。すなわち、牽制文字修正部332は、牽制パターン(牽制文字)とは別に、予め指定した所要の領域のパターンを牽制パターン(牽制文字)に含める。これにより、複製禁止パターン1組分すべてが細かいドットと重なる部分が生じて複製禁止パターンを確実に検出することができる。
【0067】
図11に示すように、牽制文字修正部332は、設定した領域に所定サイズより小さいドットの領域パターンを配置することにより、地紋パターンと複製禁止パターンとの干渉を避けることができ、複製禁止パターンの検出が容易となり、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される複製禁止パターンの検出精度が、地紋パターンの背景パターン(所定サイズよりも大きいドット)によって低下することを防止できる。
【0068】
一方、牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されていない場合、又は画像出力装置4で出力される画像に複製禁止パターンを付加する旨が指示されていない場合、牽制文字修正部332は、牽制文字に修正を加える必要がないと判定する。この場合、牽制文字修正部332は、牽制文字生成部331で生成された牽制パターンをそのまま文字画像生成部333へ出力する。
【0069】
文字画像生成部333は、牽制文字修正部332が必要に応じて修正処理を行なった牽制パターンをビットマップの画像データに変換する。文字画像生成部333は、例えば、フォントデータをリッピングする等し、牽制パターンのビットマップデータを生成する。パターン生成部334は、文字画像生成部333が生成した牽制パターンのビットマップデータに基づいて、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換え、地紋パターンを生成する。具体的には、操作部6を介してユーザから牽制パターンのタイプとして白抜けするタイプが指定されている場合、パターン生成部334は、牽制パターン以外の部分(背景パターン部分)を細かいドットパターンに置き換える。なお、図11の例では、領域パターンとして、矩形状の例を挙げたが、領域パターンの形状は矩形状に限定されるものではなく、複製禁止パターンの少なくとも1組が収まる大きさ又は形状であれば、例えば、円形、楕円形、あるいは他の形状であってもよい。
【0070】
一方、操作部6を介してユーザから牽制パターンのタイプとして浮かび上がるタイプが指定されている場合、パターン生成部334は、牽制パターン部分を粗いドットパターンに置き換え、牽制パターン以外の部分を細かいドットパターンに置き換える。なお、牽制パターンのタイプとして浮かび上がるタイプが指定されている場合、牽制文字修正部332は、牽制パターンに対する修正処理を行なわないので、牽制パターンに領域パターンは含まれない。図示しないが、上述した処理により、牽制文字生成部331が生成した牽制パターン部分が粗いドットパターンで構成され、それ以外の部分が細かいドットパターンで構成された地紋パターンが生成できる。
【0071】
次に画像処理装置2の動作について説明する。図12は地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、画像入力装置3で原稿を読み取って得られた画像データに、ユーザからの指定に従って地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを付加(合成)する処理について説明する。なお、画像処理装置2は、以下に説明する地紋パターン及び複製禁止パターンの合成処理を必要に応じて行ないつつ、画像処理装置2が有する各部によるその他の処理を行なっているが、その他の処理については説明を省略する。また、以下では、画像処理装置2を「処理部」という。
【0072】
処理部は、画像入力装置3が原稿から読み取った画像データを取得した場合、この画像データに複製禁止パターンを合成するか否かを判断する(S1)。ユーザは、画像を出力する際に複製禁止パターンを合成するか否かの指示を、操作部6を介して設定しており、処理部は、ユーザからの指示に従った制御装置1による制御に従って判断する。複製禁止パターンを合成しないと判断した場合(S1:NO)、処理部は、画像データに地紋パターンを合成するか否かを判断する(S2)。ユーザは、画像を出力する際に地紋パターンを合成するか否かの指示を、操作部6を介して設定しており、処理部は、ユーザからの指示に従った制御装置1による制御に従って判断する。
【0073】
地紋パターンを合成しないと判断した場合(S2:NO)、処理部は、地紋パターン及び複製禁止パターンの合成を行なわず、本処理を終了する。なお、処理部は、地紋パターン及び複製禁止パターンの合成以外の処理を行ない、処理後の画像データを画像出力装置4へ出力する。
【0074】
地紋パターンを合成すると判断した場合(S2:YES)、処理部は、地紋パターンに使用する牽制パターンを生成する(S3)。具体的には、処理部は、画像入力装置3が読み取った原稿1枚分の大きさの領域の所定の1又は複数箇所に、ユーザから指定された牽制文字を配置させた牽制パターンを生成する。処理部は、生成した牽制パターンに基づいて、地紋パターンを生成する(S4)。具体的には、処理部は、牽制パターンをビットマップの画像データに変換すると共に、牽制パターンを、細かいドットパターンと粗いドットパターンとに置き換えて地紋パターンを生成する。処理部は、生成した地紋パターンを、画像データに合成し(S5)、本処理を終了する。
【0075】
複製禁止パターンを合成すると判断した場合(S1:YES)、処理部は、画像データに地紋パターンを合成するか否かを判断する(S6)。地紋パターンを合成しないと判断した場合(S6:NO)、処理部は、ステップS12に処理を移行し、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを、画像データの所定の1又は複数箇所に合成し(S12)、本処理を終了する。
【0076】
地紋パターンを合成すると判断した場合(S6:YES)、処理部は、地紋パターンに使用する牽制パターンを生成する(S7)。処理部は、合成する地紋パターンに含まれる牽制パターンが白抜けするタイプであるか否かを判断する(S8)。ユーザは、画像を出力する際に地紋パターンを合成する旨を指示する場合、地紋パターン中の牽制パターンが白抜けするタイプであるか、浮かび上がるタイプであるかも操作部6を介して指定しており、処理部は、ユーザからの指示に従って判断する。
【0077】
白抜けするタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを合成すると判断した場合(S8:YES)、処理部は、生成した牽制パターンを修正する(S9)。具体的には、処理部は、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定する。浮かび上がるタイプの牽制パターンを含む地紋パターンを合成すると判断した場合(S8:NO)、処理部は、ステップS9の処理をスキップする。
【0078】
処理部は、ステップS7で生成された牽制パターン、又はステップS9で修正された牽制パターンに基づいて、地紋パターンを生成する(S10)。処理部は、生成した地紋パターンを、画像データに合成し(S11)、予め指定された色で、予め指定された複製禁止を示す複製禁止パターンを、画像データの所定の1又は複数箇所に合成する(S12)。そして、処理部は、本処理を終了する。
【0079】
上述したように、本実施形態1の画像処理装置2は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターン(例えば、白く抜ける地紋パターン)と複製禁止パターンとを画像に合成する際に、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定する。地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせた場合でも、牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に複製禁止パターンが現れる領域を設定するので、複製禁止パターンの検出が可能となる。これにより、複製時に、原稿から読み取った画像データから検出される複製禁止パターンの検出精度が、地紋パターンによって低下することを防止できる。よって、地紋パターンと複製禁止パターンとを組み合わせて原稿の複製を禁止する場合であっても、複製禁止パターンの検出が可能となる。
【0080】
また、本実施形態1では、画像に付加する地紋パターン中の牽制パターンとして、複写した場合に白く抜けるタイプと、複写した場合に浮かび上がるタイプとの選択が可能である。よって、画像に付加する地紋パターンの自由度が増し、ユーザの選択肢を広げることができる。
上述したように、本実施形態1の画像処理装置2が生成する地紋パターンは、細かいドットパターンと粗いドットパターンとにより構成される。しかし、両パターンとも見た目上の濃度は一様となるように設計されているので、地紋の外観としては両パターン間での違いは殆どなく、前景となる画像データへの影響はない。
【0081】
本実施形態1の画像処理装置2は、画像に付加する地紋パターンとして、複写した場合に牽制パターン(牽制文字)が白抜けする地紋パターンと、牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンとの選択が可能であった。しかし、本発明は、このような構成に限らず、いずれかの地紋パターンに固定されていてもよい。ただし、牽制パターンが白抜けする地紋パターンに固定されている場合にのみ、牽制パターンの修正処理が必要となる。従って、牽制パターンが浮かび上がる地紋パターンに固定されている場合には、牽制パターンの修正は行なわない。
【0082】
本実施形態1では、画像入力装置3が原稿から読み取った画像データに基づく画像を画像出力装置4で印刷する際に、画像処理装置2が地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に合成する例について説明した。しかし、このような状況だけでなく、画像処理装置2は、例えば、PC、PDA等画像データの編集・作成機能を有する電気機器で作成された画像データに対して地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に合成することもできる。これにより、画像形成装置100が外部装置から取得した画像データを画像出力装置4で出力する際に、画像処理装置2によって、地紋パターン及び/又は複製禁止パターンを画像に付加することができる。
【0083】
本実施形態1の画像処理装置2は、画像データに複製禁止パターンを合成する場合、画像データにおいて、ユーザから指定された1又は複数箇所に複製禁止パターンを合成する構成であった。このほかに、例えば、画像データの所定の1又は複数箇所に複製禁止パターンが合成される構成であってもよい。また、各パターンの配置位置に特別な制限はない。
【0084】
(実施形態2)
以下に、実施形態2について説明する。本発明は、地紋パターン及び複製禁止パターンの画像への合成処理を含む画像処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして構成し、このコンピュータプログラムをコンピュータによる読み取りが可能な記録媒体に記録した構成とすることもできる。この結果、画像処理装置2が行なうべき各種の処理を実現するためのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。
【0085】
図13は実施形態2のコンピュータシステムの構成を示す模式図である。図13に示すコンピュータシステム90では、パーソナルコンピュータ91に、CRTディスプレイ,液晶ディスプレイ等の画像表示装置92(表示部7(図1参照))、操作部6(図1参照)としてのキーボード93及びマウス94、画像入力装置3(図1参照)としてのフラットベッドスキャナ95、画像出力装置4(図1参照)としてのプリンタ96等の周辺機器が接続されている。画像入力装置3としては、フラットベッドスキャナに限られず、例えば、フィルムスキャナ、デジタルカメラ等を用いることができる。
【0086】
パーソナルコンピュータ91は、本発明に係る記録媒体97に記録されているコンピュータプログラムを読み取るための読取装置を備えている。従って、本発明に係る記録媒体97に記録されているコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータ91にインストールすることにより、実施形態1で説明した地紋パターン及び複製禁止パターンの画像への合成処理を含む各種機能をパーソナルコンピュータ91によって実現することができる。具体的には、パーソナルコンピュータ91は、CPU又はMPU(Micro Processor Unit)を備えており、CPU又はMPUが、インストール(ロード)された所定のコンピュータプログラムを実行することにより、種々の処理を実行する。
【0087】
記録媒体97としては、パーソナルコンピュータ91に対して着脱可能な外部記憶装置であり、パーソナルコンピュータ91に設けられた読取装置に挿入することで、記録されているプログラムの読み取りが可能となるプログラムメディアであってもよい。また、記録されているプログラムがマイクロコンピュータで処理されるため、記録媒体97としては、例えばROMのようなプログラムメディアであってもよい。
【0088】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0089】
ここで、前記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0090】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0091】
前記記録媒体は、デジタルカラー画像形成装置や図13に示すコンピュータシステムに備えられるプログラム読み取り装置により読み取られることで上述した画像処理方法を実現できる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施形態について具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
1 制御装置
2 画像処理装置
3 画像入力装置
4 画像出力装置(画像形成部)
6 操作部(選択受付部)
31 地紋合成部(地紋付加部)
32 複製禁止パターン合成部(パターン付加部)
331 牽制文字生成部(地紋生成部)
332 牽制文字修正部(判断部、領域設定部)
97 記録媒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、
前記地紋付加部は、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する地紋生成部と、
該地紋生成部が生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、
該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、
前記地紋付加部は、
複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンとの少なくとも一方を生成する地紋生成部と、
該地紋生成部が生成した第1地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、
該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択を受け付ける選択受付部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記地紋生成部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する場合、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターン及び前記所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンを含む地紋パターンを生成するようにしてあることを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、
設定した領域に前記所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかひとつに記載の画像処理装置と、
該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を行なう画像処理方法であって、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、
生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、
前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、
生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、
前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【請求項1】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、
前記地紋付加部は、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する地紋生成部と、
該地紋生成部が生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、
該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンを画像に付加する地紋付加部と、画像の適宜位置に所定パターンを付加するパターン付加部とを備える画像処理装置であって、
前記地紋付加部は、
複写した場合に牽制パターンが抜ける第1地紋パターンと、複写した場合に牽制パターンが浮かび上がる第2地紋パターンとの少なくとも一方を生成する地紋生成部と、
該地紋生成部が生成した第1地紋パターンを画像に付加する場合、前記パターン付加部が前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断する判断部と、
該判断部が前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定する領域設定部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
画像に、第1地紋パターンを付加するか、第2地紋パターンを付加するかの選択を受け付ける選択受付部を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記地紋生成部は、複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成する場合、所定サイズよりも小さいドットで構成された牽制パターン及び前記所定サイズよりも大きいドットで構成された背景パターンを含む地紋パターンを生成するようにしてあることを特徴とする請求項1から3までのいずれかひとつに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記領域設定部は、
設定した領域に前記所定サイズよりも小さいドットで構成された領域パターンを配置するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかひとつに記載の画像処理装置と、
該画像処理装置で処理された画像データに基づく画像を形成する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を行なう画像処理方法であって、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、
生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、
前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップと
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、複写した場合に顕在化する牽制パターンを含む地紋パターンの画像への付加、及び画像の適宜位置への所定パターンの付加の少なくとも一方を実行させるためのコンピュータプログラムであって、
コンピュータに、
複写した場合に牽制パターンが抜ける地紋パターンを生成するステップと、
生成した地紋パターンを画像に付加する場合、前記所定パターンを画像に付加するか否かを判断するステップと、
前記所定パターンを画像に付加すると判断した場合、前記牽制パターンが付加される位置とは異なる位置に前記所定パターンが現れる領域を設定するステップと
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−259095(P2011−259095A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130312(P2010−130312)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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