説明

画像処理装置、電子カメラ及びプログラム

【課題】 本発明は、文字等を画像に重畳表示させた場合、視認性を向上させる手段を提供する。
【解決手段】 画像処理装置は、位置情報検出部と、設定部と、コントラスト検出部と、受付部と、補正部とを備える。位置情報検出部は、画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する。設定部は、位置情報に基づいて、画像表示装置に表示される画像内の指定領域を抽出する。コントラスト検出部は、指定領域の画像データに基づいて、指定領域のコントラストを検出する。受付部は、指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける。補正部は、コントラストの度合いに応じて、表示体が表示される指定領域内の表示態様を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、電子カメラ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子で撮影した画像をデジタルデータとして記録する電子カメラにおいて、表示画面にタッチパネルを採用する機種が知られている。そして、画像再生時に文字を例えばポインティングデバイス(スタイラス)により入力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−140223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術では、例えば、入力した文字を画像に重畳表示させた場合、背景の画像との関係によっては、見づらくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、文字等を画像に重畳表示させた場合、視認性を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る画像処理装置は、位置情報検出部と、設定部と、コントラスト検出部と、受付部と、補正部とを備える。位置情報検出部は、画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する。設定部は、位置情報に基づいて、画像表示装置に表示される画像内の指定領域を抽出する。コントラスト検出部は、指定領域の画像データに基づいて、指定領域のコントラストを検出する。受付部は、指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける。補正部は、コントラストの度合いに応じて、表示体が表示される指定領域内の表示態様を補正する。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、コントラスト検出部は、指定領域の画像データの階調分布を表すヒストグラムを算出し、ヒストグラムの分散を示す値に基づいて、コントラストを検出する。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、色相検出部をさらに備える。色相検出部は、指定領域の画像データに基づいて、指定領域の色相を検出する。コントラスト検出部は、指定領域の画像データに基づいて、コントラストの度合いを示す評価値を算出する。補正部は、評価値が閾値より高い場合には、指定領域の色相の色を類似色に補正すると共に、表示体の色を類似色の補色に補正する。また、補正部は、評価値が閾値以下の場合には、表示体の色を色相の補色に補正する。
【0009】
第4の発明に係る電子カメラは、被写体の像を撮像し画像データを生成する撮像部と、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置とを備える。
【0010】
第5の発明に係るプログラムは、位置情報検出処理と、設定処理と、コントラスト検出処理と、受付処理と、補正処理とをコンピュータに実行させる。位置情報検出処理は、画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する。設定処理は、位置情報に基づいて、画像表示装置に表示される画像内の指定領域を設定する。コントラスト検出処理は、指定領域の画像データに基づいて、指定領域のコントラストを検出する。受付処理は、指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける。補正処理は、コントラストの度合いに応じて、表示体が表示される指定領域内の表示態様を補正する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、文字等を画像に重畳表示させた場合、視認性を向上させる手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】電子カメラ1の構成を説明するブロック図
【図2】表示体入力モードにおける電子カメラ1の動作の一例を示すフローチャート
【図3】文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャート
【図4】背景レイヤーの色及び文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャート
【図5】指定領域の設定例を説明する図
【図6】指定領域内のヒストグラムを例示する図
【図7】色相環の一例を示す図
【図8】文字入力の受付け処理の一例を説明する図
【図9】標準偏差の値が閾値以下の場合における補正後の画像の一例を示す図
【図10】標準偏差の値が閾値より高い場合における補正前後の画像の一例を示す図
【図11】指定領域が傾いている場合の入力操作と出力結果を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、電子カメラ1の構成を説明するブロック図である。本発明の一実施形態の電子カメラ1は、例えば、撮像により生成した本画像内にユーザ入力による表示体を重畳表示させる表示体入力モードを有する。なお、表示体は、文字、記号、図形(イラスト)のうち少なくとも何れか1つを含む。また、本実施形態では、表示体入力モードにおいて、わかりやすくするため、文字を入力する場合について例示する。
【0014】
電子カメラ1は、図1に示す通り撮像光学系10と、撮像部11と、RAM(Random Access Memory)12と、画像処理部13と、フラッシュメモリ14と、表示モニタ15と、記録インターフェース部(以下「記録I/F部」という)16と、レリーズ釦17と、操作部18と、タッチパネル19と、CPU(Central Processing Unit)20と、データバス21とを備える。
【0015】
このうち、撮像部11、RAM12、画像処理部13、フラッシュメモリ14、表示モニタ15、記録I/F部16及びCPU20は、データバス21を介して互いに接続されている。また、レリーズ釦17、操作部18及びタッチパネル19は、CPU20に接続されている。
【0016】
撮像光学系10は、ズームレンズとフォーカスレンズとを含む複数のレンズ群で構成されている。なお、簡単のため、図1では、撮像光学系10を1枚のレンズとして図示する。撮像部11は、被写体の像を撮像して画像データを生成する。撮像部11は、例えば、撮像素子と、アナログフロントエンド(AFE)回路と、A/D変換部とを有している。撮像素子は、例えばCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサである。また、撮像素子の撮像面には、被写体の像をカラー検出するために、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3種類のカラーフィルタが、一例としてベイヤー配列で配置されている。なお、撮像素子は、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)型のイメージセンサであっても良い。
【0017】
AFE回路は、撮像素子が出力する画像信号に対してアナログ信号処理を施す。A/D変換部は、アナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。なお、撮像部11が出力する画像信号は、画像データとしてRAM12に一時的に記録される。RAM12は、画像データを一時的に記録するバッファメモリの領域を有する。
【0018】
画像処理部13は、RAM12に記録されている画像データを読み出し、必要に応じて各種の画像処理(例えば、色補間処理、ホワイトバランス等)を施す。また、画像処理部13は、後述する指定領域の画像データの各画素の値(RGB値)に対して、RGB色座標からHSI色座標に変換するHSI変換を行い、色相(Hue)、彩度(Saturation)、輝度(Intensity)のデータを生成する。なお、画像処理部13は、RGB色座標からHSV色座標に変換するHSV変換を行い、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Value)のデータを生成しても良い。
【0019】
フラッシュメモリ14は、不揮発性のメモリであって、例えば、電子カメラ1の制御を行うプログラムを予め記憶している。表示モニタ15は、例えば液晶のモニタである。表示モニタ15は、CPU20の指示に応じて画像や電子カメラ1の操作メニューを表示する。
【0020】
記録I/F部16は、データの書き込みや読み出しのインターフェースを提供する。記録I/F部16には、着脱自在の記録媒体30を接続するためのコネクタ(不図示)が形成されている。そして、記録I/F部16は、例えば、そのコネクタに接続された記録媒体30にアクセスして画像の記録処理を行う。記録媒体30は、一例として、不揮発性のメモリカードである。図1では、コネクタに接続された後の記録媒体30を示している。
【0021】
レリーズ釦17は、半押し操作の指示入力と全押し操作(撮像動作開始)との指示入力とを受け付ける。操作部18は、電源釦、広角ズーム釦と、望遠ズーム釦等のユーザからの操作を受け付ける複数の釦(不図示)を有している。
【0022】
タッチパネル19は、タッチパネル表面に接触した物体の位置情報を電気信号に変換して検出する。なお、タッチパネル表面に接触するとは、例えば、指先が物理的にタッチパネル表面に接触する場合に限られず、指先とタッチパネル表面とが間隔を隔てて電気的に接触している場合も含む。
【0023】
タッチパネル19は、表示モニタ15と同等の大きさを有する透明なパネルで構成されており、表示モニタ15の表示画面上に配置される。例えば、タッチパネル19は、圧力による電圧の変化を検出する抵抗膜式のパネルが採用されている。ここで、タッチパネル19は、抵抗膜式のパネルに限られず、静電気による電気信号を感知する静電容量式のパネルであっても良い。
【0024】
タッチパネル19は、検出した電気信号をCPU20に出力することでユーザからの入力を受け付ける。以下の説明では、ユーザはスタイラス(不図示)を用いてタッチパネルの操作を行うこととする。
【0025】
CPU20は、各種演算及び電子カメラ1の制御を行うプロセッサである。CPU20は、フラッシュメモリ14に予め格納されたシーケンスプログラムを実行することにより、電子カメラ1の各部の制御等を行う。
【0026】
また、CPU20は、フラッシュメモリ14に予め格納された本発明の一実施形態のプログラムを実行することにより、位置情報検出部20aと、設定部20bと、コントラスト検出部20cと、受付部20dと、色相検出部20eと、補正部20fとしても機能する。なお、電子カメラ1は、記録媒体30に記録された本発明の一実施形態のプログラムをフラッシュメモリ14に記録しても良い。これにより、新たな機能を追加するファームウエアとして機能させることができる。
【0027】
位置情報検出部20aは、タッチパネル19に接触するスタイラスの位置情報を検出する。具体的には、位置情報検出部20aは、タッチパネル19からの電気信号に基づいて、スタイラスの接触点の座標データを算出する。これにより、位置情報検出部20aは、表示モニタ15の表示画面に接触するスタイラスの位置情報(座標データ)を画像内の位置に対応させて検出する。
【0028】
設定部20bは、位置情報に基づいて、表示モニタ15に表示される画像内の指定領域を設定する。具体的には、設定部20bは、スタイラスの入力による位置情報に基づいて、画像内の指定領域を設定する。
【0029】
コントラスト検出部20cは、指定領域の画像データに基づいて、指定領域のコントラストを検出する。具体的には、コントラスト検出部20cは、指定領域の画像データの階調分布を表すヒストグラムを算出し、ヒストグラムの分散を示す値(例えば標準偏差の値)に基づいて、コントラストを検出する。これにより、コントラストの検出が容易になる。なお、本実施形態では、標準偏差の値をコントラストの度合いを示す評価値とする。
【0030】
受付部20dは、指定領域に表示する文字の入力を位置情報検出部20aを介して受け付ける。具体的には、位置情報検出部20aは、スタイラスの移動軌跡に基づく位置情報を文字データとして検出する。受付部20dは、文字データを指定領域に表示する文字の入力として受け付けると共に、文字データをRAM12に記録する。
【0031】
色相検出部20eは、指定領域の画像データに基づいて、指定領域の色相を検出する。具体的には、色相検出部20eは、一例として指定領域の画像データを画像処理部13にHSI変換させることにより、指定領域の色相を検出する。
【0032】
補正部20fは、コントラストの度合いに応じて、文字が表示される指定領域内の表示態様を補正する。具体的には、コントラスト検出部20cは、指定領域の画像データに基づいて、コントラストの度合いを示す評価値(標準偏差の値)を算出する。補正部20fは、評価値が閾値より高い場合には、指定領域の色相の色を類似色(例えば、色相環上で隣接する色相の何れか一方)に補正すると共に、文字の色を類似色の補色に補正する。また、補正部20fは、評価値が閾値以下の場合には、文字の色を色相の補色に補正する。したがって、補正部20fは、評価値に応じて、指定領域内に表示される文字の視認性を向上させることができる。
【0033】
次に、表示体入力モードにおける電子カメラ1の動作の一例を説明する。ここで、電子カメラ1で本画像の撮影後、図1に示す操作部18が表示体入力モードの指示入力を受け付けると、CPU20は、図2に示すフローの処理を開始させる。図2は、表示体入力モードにおける電子カメラ1の動作の一例を示すフローチャートである。図3は、文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャートである。図4は、背景レイヤーの色及び文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0034】
ステップS101:CPU20の位置情報検出部20aは、タッチパネル19を介して位置情報の検出処理を行う。具体的には、先ず、CPU20は、ユーザ入力に基づいて指定された画像を表示モニタ15に表示させる。続いて、位置情報検出部20aは、表示モニタ15上のタッチパネル19に接触するスタイラスの位置情報(座標データ)を検出する。
【0035】
ステップS102:CPU20の設定部20bは、指定領域の設定処理を行う。具体的には、設定部20bは、位置情報検出部20aが検出した位置情報に基づいて、指定領域を設定する。
【0036】
図5は、指定領域の設定例を説明する図である。図5(a)は、表示モニタ15に表示された本画像を示す図である。図5(a)では、一例として、海辺を移動するヨット40の本画像を表している。ここで、ユーザがスタイラスで略矩形を入力した場合、設定部20bは、ユーザが入力した略矩形による座標データに基づいて、例えば、矩形の座標データに変換する。図5(b)は、設定部20bにより設定された指定領域50を示す図である。
【0037】
ステップS103:CPU20のコントラスト検出部20cは、指定領域のコントラストの検出処理を行う。例えば、コントラスト検出部20cは、先ず、図5(b)に示す指定領域50の画像データの階調分布(輝度分布)を表すヒストグラムを算出する。続いて、コントラスト検出部20cは、ヒストグラムに基づいて、コントラストの度合いを示す評価値として標準偏差を算出する。具体的には、コントラスト検出部20cは、ヒストグラムにおけるデータの平均値との差(偏差)の2乗を平均し、さらに平方根をとることにより標準偏差を算出する。なお、コントラスト検出部20cは、ヒストグラムにおけるデータの平均値との差(偏差)の2乗を平均した値(分散)を算出しても良い。
【0038】
図6は、指定領域内のヒストグラムを例示する図である。横軸は、輝度を表し、縦軸は、頻度(該当する画素数)を表している。輝度の値は、例えば、0(純黒)から255(純白)までのデジタル値をとることとする。図6(a)は、偏り傾向を表し、図6(b)は、分散傾向を表している。ここで、図6(a)において、ヒストグラムの範囲が狭く偏っている場合、標準偏差の値は、分散傾向の場合と比較して低くなる。一方、図6(b)において、ヒストグラムの範囲が広範囲に分散している場合、標準偏差の値は、偏り傾向の場合と比較して高くなる。
【0039】
つまり、標準偏差の値が偏り傾向の場合、分散傾向の場合と比較してコントラストは低くなる。したがって、文字等を重畳表示した場合、視認性は、確保されやすい。一方、標準偏差の値が分散傾向の場合、偏り傾向の場合と比較してコントラストは高くなる。つまり、文字等を重畳表示した場合、視認性は、確保されにくい。本実施形態では、標準偏差の値が分散傾向の場合、後述する背景レイヤーを用いて視認性を確保できるようにする。また、本実施形態では、所定の標準偏差の値を閾値として設定し、閾値より高いか否かによって指定領域の補正処理を変更する。なお、本実施形態では、実験等に基づいて、閾値を一例として30の値とする。
【0040】
ステップS104:CPU20は、標準偏差の値が閾値よりも高いか否かを判定する。標準偏差の値が閾値以下の場合(ステップS104:No)、CPU20は、ステップS105の処理に移行する。
【0041】
ステップS105:CPU20は、図3に示す文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャートに移行する。
(文字色の決定のサブルーチン)
ステップS201:CPU20の色相検出部20eは、指定領域の色相の検出処理を行う。具体的には、先ず、CPU20は、指定領域のRGBの画像データに対してHSI変換を画像処理部13に行わせる。そして、色相検出部20eは、例えば、HSI変換後の各画素の値に基づいて、最も頻度の高い色相を検出して指定領域の色相とする。なお、色相は、色相環を用いて視覚的に表現することができる。
【0042】
図7は、色相環の一例を示す図である。図7(a)は、文字色のみを補正する場合の適用例を説明する図である。図7(b)は、文字色及び背景レイヤーの色を補正する場合の適用例を説明する図である。図7(a)及び(b)では、簡単のため、6色からなる色相環を例示しているが、これに限られない。例えば、色相環としては、色相を24通りに分類したオストワルト表色系の色相環であっても良い。或いは、色相環としては、色相を100通りに分類したマンセル表色系の色相環であっても良い。
【0043】
ステップS202:CPU20は、文字色を補色に決定する。具体的には、CPU20は、色相検出部20eが検出した色相の補色に文字色を決定する。例えば、色相検出部20eにより検出された色相が青色の場合、CPU20は、文字色を黄色に設定する。図7(a)では、わかりやすくするため、実線の矢印で青色から黄色に決定されたことを模式的に表している。そして、CPU20は、サブルーチンを終了し、図2に示すステップS108の処理に戻る。
【0044】
一方、ステップS104において、標準偏差の値が閾値より高い場合(ステップS104:Yes)、CPU20は、ステップS106の処理に移行する。
【0045】
ステップS106:CPU20は、本画像の指定領域に重ね合わせる画像として背景レイヤーの設定処理を行う。この背景レイヤーは、本画像の指定領域に重ね合わされるため、最前面に位置する。例えば、標準偏差の値が30より大きく50未満の場合、CPU20は、標準偏差の値が50以上に比べて背景レイヤーの透過率(画像の階調濃度)を高める。また、例えば、標準偏差の値が50以上の場合、CPU20は、標準偏差の値が30より大きく50未満の場合に比べて背景レイヤーの透過率を下げる。なお、CPU20は、標準偏差の値に応じて段階的に背景レイヤーの透過率を変更しても良い。
【0046】
ステップS107:CPU20は、図4に示す背景レイヤーの色及び文字色の決定のサブルーチンを示すフローチャートに移行する。
(背景レイヤーの色及び文字色の決定のサブルーチン)
ステップS301:色相検出部20eは、ステップS201と同様にして指定領域の色相の検出処理を行う。
【0047】
ステップS302:CPU20は、背景レイヤーの色を類似色に決定する。具体的には、CPU20は、色相検出部20eが検出した色相のうち、最も頻度の高い色相の色の類似色を背景レイヤーの色に決定する。
【0048】
例えば、複数の色が存在する指定領域内で最も頻度の高い色相が青色の場合、CPU20は、青色の類似色を背景レイヤーの色に決定する。ここで、色相の補正は、いわゆる色相環の回転量(マイナス180度からプラス180度の範囲)に対応している。例えば、青色に対してマイナスの設定値の場合、画像処理部13は、青色を基準として色相環の時計回り方向に色相を変化させる。すなわち、補正される部分の色相は、回転量(角度)に応じて例えば青色からシアン色に変化する。また、青色に対してプラスの設定値の場合、画像処理部13は、青を基準として色相環の反時計回り方向に色相を変化させる。すなわち、補正される部分の色相は、回転量に応じて例えば青色からマゼンタに変化する。図7(b)の場合、CPU20は、一例として背景レイヤーの色相をマゼンタに決定する。
【0049】
ステップS303:CPU20は、文字色を背景レイヤーの補色に決定する。具体的には、CPU20は、ステップS302で決定された類似色の色相の補色に文字色を決定する。例えば、ステップS302で決定された類似色の色相がマゼンタの場合、CPU20は、緑色に文字色を決定する(図7(b)参照)。図7(b)では、わかりやすくするため、実線の矢印で先ず背景レイヤーの補色が決定された後、文字色が決定されたことを模式的に表している。
【0050】
そして、CPU20は、サブルーチンを終了し、図2に示すステップS108の処理に戻る。
【0051】
ステップS108:CPU20は、指定領域の拡大表示を行う。具体的には、先ず、画像処理部13は、指定領域の画像の画素を補間する補間処理により、指定領域を拡大する。この補間処理は、例えば、バイキュービック法又はニヤレストネイバー法といった補間処理により実現される。ここで、バイキュービック法では、例えば、複数の近傍画素の値に対して3次補間法と呼ばれる関数処理を行った後、その関数処理で求めた画素の値を注目画素の値に割り当てる。また、ニヤレストネイバー法では、例えば、注目画素に対して近傍画素の値を割り当てる。
【0052】
具体例として、画像処理部13は、図5(b)に示す指定領域50の画像を例えばバイキュービック法により拡大する。続いて、CPU20は、指定領域50の画像を表示モニタ15に表示する。
【0053】
ステップS109:CPU20の受付部20dは、文字入力の受付け処理を行う。図8は、文字入力の受付け処理の一例を説明する図である。例えば、ユーザがタッチパネル19上でスタイラスを用いて、「夏の思い出」の文字を書いた場合、位置情報検出部20aは、スタイラスの移動軌跡に基づく位置情報を文字データ(「夏の思い出」)として検出する。なお、手書き文字としてユーザ入力されているが、CPU20は、手書き文字を解析して活字体の文字に変換しても良い。図8では、活字体に変換された後の文字「夏の思い出」が表示モニタ15に表示されている。
【0054】
ステップS110:CPU20は、文字の入力結果の判定を行う。具体的には、CPU20は、表示モニタ15に表示された文字に対して、ユーザからの「OK」の指示入力を例えば操作部18を介して受け付けた場合(ステップS110:Yes)、ステップS111の処理に移行する。この場合、受付部20dは、文字データを指定領域に表示する文字の入力として受け付けると共に、活字体の文字データをRAM12に記録する。
【0055】
一方、CPU20は、ユーザからの「No」の指示入力を例えば操作部18を介して受け付けた場合(ステップS110:No)、ステップS109の処理に戻る。これにより、表示モニタ15には、文字入力前の指定領域の画像が表示される。そして、受付部20dは、文字入力の受付け処理を再度やり直す。なお、CPU20は、ステップS101の処理に戻って、指定領域の設定からやり直しても良い。
【0056】
ステップS111:CPU20の補正部20fは、指定領域の補正処理を行う。具体的には、補正部20fは、標準偏差の値が閾値以下の場合、本画像の指定領域内に重畳表示する文字色を、ステップS202で決定された補色に補正する。
【0057】
図9は、標準偏差の値が閾値以下の場合における補正後の画像の一例を示す図である。図9では、図5に示す本画像に対して、文字が重畳表示された画像が表示モニタ15に表示された場合を例示している。例えば、図5(b)に示す指定領域50内の画像が青空である場合、色相の色は単色傾向になる。そのため、標準偏差の値は、偏り傾向を示す。したがって、CPU20は、文字のみを背景の色の補色として重畳表示する。その結果、視認性は高まる。
【0058】
一方、補正部20fは、標準偏差の値が閾値より高い場合、背景レイヤーの色をステップS302で決定された類似色に補正する。そして、補正部20fは、本画像の指定領域内に重畳表示する文字色を、ステップS303で決定された補色に補正する。補正部20fは、背景レイヤーの画像を本画像に重ね合わせる。
【0059】
図10は、標準偏差の値が閾値より高い場合における補正前後の画像の一例を示す図である。図10(a)は、補正前の画像を示し、図10(b)は、補正後の画像を示す。図10(a)では、誕生日を祝うためのケーキ31が人物Pの前に配置されている。また、図10(a)では、指定領域51がユーザ入力により設定されたことを示している。この場合、指定領域51は、複数の色が混在しているため、標準偏差の値が分散傾向を示す。すなわち、指定領域51のコントラストは、単色傾向の場合と比較して高くなる。したがって、図10(b)では、背景レイヤー32がステップS302で決定された類似色となり、「おめでとう!」の文字色が類似色の補色となっている。
【0060】
CPU20は、補正処理後の本画像を記録媒体30に記録する。そして、CPU20は、図2に示すフローを終了させる。
【0061】
以上より、本実施形態の電子カメラ1によれば、補正部20fは、指定領域のコントラストに基づいて、文字が表示される指定領域内の表示態様を補正する。そのため、本実施形態の電子カメラ1は、文字等を画像に重畳表示させた場合、視認性を向上させることができる。
(実施形態の補足事項)
(1)上記の実施形態では、指定領域を一例として矩形の領域としたが、形状は特に限定されない。
【0062】
(2)上記の実施形態では、設定部20bは、本画像に対して指定領域が傾かないように設定した。ここで、ユーザは、本画像に対して指定領域(矩形)を傾けて入力しても良い。
【0063】
図11は、指定領域が傾いている場合の入力操作と出力結果を説明する図である。図11(a)では、ユーザ入力により、指定領域52(矩形ABCD)が本画像に対して傾いて設定されている。この場合、図11(b)に示す通り、CPU20は、ユーザ入力により、傾き補正を行うための指定線EFの入力を受け付ける。なお、符号ABCD、や符号EFは、説明の便宜上表記されているが、実際には、表示モニタ15に表示されないこととする。
【0064】
補正部20fは、例えば、指定領域の画像の傾きを補正するための数学的な処理としてアフィン変換を行う。つまり、補正部20fは、指定線EFを横切る指定領域の線分ABが図中に示すx軸と平行になるようにアフィン変換を行う。この場合、補正部20fは、指定領域52(矩形ABCD)のうち、線分ABが紙面の上下方向の上の位置になるようにアフィン変換を行う。そして、補正部20fは、アフィン変換後の画像を表示モニタ15のサイズに拡大する。CPU20は、拡大した指定領域の画像を表示モニタ15に表示する。受付部20dが文字入力(例えば、「夏の思い出」)を受け付けた後、CPU20は、図8と同様、活字体に変換された後の文字「夏の思い出」を表示モニタ15に表示する。その後、補正部20fは、指定領域52を縮小し、アフィン変換の逆の演算により、ユーザ入力により設定された元の指定領域52の傾きに再変換する。CPU20は、図11(c)に示す通り、文字を傾けて重畳表示させる。これにより、ユーザは文字入力する際、文字を傾けて書かずに済むので、文字入力がしやすくなる。
【0065】
(3)上記の実施形態では、本発明の画像処理装置を備えた電子カメラ1について説明した。しかし、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明の画像処理装置は、タッチパネル機能を有する電子機器として、例えば、コンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等に備えられても良い。
【0066】
(4)本発明は、コンピュータとプログラムとにより、本実施形態で説明した画像処理装置をソフトウエア的に実現しても良い。この場合、コンピュータは、図2から図4に示すフローの処理を実現すれば良い。このフローの処理を実現するには、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体30に記録された本発明の一実施形態のプログラムがコンピュータにインストールされる。具体的には、例えば、図1に示す位置情報検出部20a、設定部20b、コントラスト検出部20c、受付部20d、色相検出部20e及び補正部20fの機能モジュールが、コンピュータにインストールされる。これにより、コンピュータは、本実施形態と同様の処理を実施することができる。このようにして、本発明の一実施形態のプログラムを実行するコンピュータは、電子カメラ1と同様の効果を得ることができる。なお、コンピュータ読み取り可能な記録媒体は、記録媒体30に限られず、CD−ROM、光磁気ディスク、光ディスク等の記録媒体であっても良い。
【符号の説明】
【0067】
1・・・電子カメラ、11・・・撮像部、20a・・・位置情報検出部、20b・・・設定部、20c・・・コントラスト検出部、20d・・・受付部、20f・・・補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する位置情報検出部と、
前記位置情報に基づいて、前記画像表示装置に表示される画像内の指定領域を設定する設定部と、
前記指定領域の画像データに基づいて、前記指定領域のコントラストを検出するコントラスト検出部と、
前記指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける受付部と、
前記コントラストの度合いに応じて、前記表示体が表示される前記指定領域内の表示態様を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
前記コントラスト検出部は、
前記指定領域の画像データの階調分布を表すヒストグラムを算出し、前記ヒストグラムの分散を示す値に基づいて、前記コントラストを検出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置において、
前記指定領域の画像データに基づいて、前記指定領域の色相を検出する色相検出部をさらに備え、
前記コントラスト検出部は、前記指定領域の画像データに基づいて、前記コントラストの度合いを示す評価値を算出し、
前記補正部は、
前記評価値が閾値より高い場合には、前記指定領域の色相の色を類似色に補正すると共に、前記表示体の色を前記類似色の補色に補正し、
前記評価値が閾値以下の場合には、前記表示体の色を前記色相の補色に補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
被写体の像を撮像して画像データを生成する撮像部と、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の画像処理装置と、
を備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項5】
画像表示装置の表示画面に接触する物体の位置情報を検出する位置情報検出処理と、
前記位置情報に基づいて、前記画像表示装置に表示される画像内の指定領域を設定する設定処理と、
前記指定領域の画像データに基づいて、前記指定領域のコントラストを検出するコントラスト検出処理と、
前記指定領域に表示する表示体の入力を受け付ける受付処理と、
前記コントラストの度合いに応じて、前記表示体が表示される前記指定領域内の表示態様を補正する補正処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−74812(P2012−74812A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216695(P2010−216695)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】