画像処理装置およびその制御方法
【課題】映像の解像度低下を低減しつつ映画らしさも維持可能とする画像処理技術を提供する。
【解決手段】動画像を構成する各フレーム画像からM個のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置において、注目フレーム画像と後続フレーム画像との差分に基づいて各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、注目フレーム画像と後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、注目フレーム画像のN個の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、を備える。
【解決手段】動画像を構成する各フレーム画像からM個のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置において、注目フレーム画像と後続フレーム画像との差分に基づいて各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、注目フレーム画像と後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、注目フレーム画像のN個の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像のフレームレートを変換する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、映画コンテンツは1秒間あたり24個のフレームが含まれ(以下24pと呼ぶ)、映画館では、1個のフレームを2回ずつ繰り返して表示することにより48Hz表示を行っている。また、例えば、60Hz表示のテレビで表示する場合には、フレーム毎に交互に2回および3回ずつ表示する2−3プルダウン処理により60Hzにフレームレートを変換し表示を行っている。しかし、同一のフレームを繰り返し表示した場合、映像の動きがガタガタして見える現象(ジャダー)が発生し、ユーザが感じる映像の解像度(視認解像度)も低下してしまう問題があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、フレーム中の動きを検出し、動きに沿うように補間フレームを生成し挿入することによりジャダーを低減する技術が開示されている。さらに、特許文献2には、映画表示において環境光に応じてジャダーの強さを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−33468号公報
【特許文献2】特開2009−94616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示される技術により補間フレームを生成しジャダーを低減した場合、結果的に映画らしさが失われてしまう問題があった。これは、繰り返し表示によって発生する動きの振動(ジャダー)が映画固有の脱現実感に繋がっているためであり、映像内の動きが必要以上に滑らかになると映画らしく無いと認識されるためである。また、特許文献2に開示される技術によりジャダーの強さを制御した場合、環境光が明るい場所にジャダーが目立ち不快になるという問題があった。そして、上述の2つの技術を組み合わせた場合、動き補償の誤補間が目立つ場合がある問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、ジャダーによる映像の解像度低下を低減しつつ映画らしさも維持可能とする画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置において、注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ジャダーによる映像の解像度低下を低減しつつ映画らしさも維持可能とする画像処理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ディスプレイシステムにおける補正処理部のブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。
【図4】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図5】出力サブフレームの見え方の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図7】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図8】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の画像処理を説明する図である。
【図9】出力制御係数決定部における入出力の関係を示す図である。
【図10】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。
【図11】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図12】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図13】出力サブフレームの見え方の例を示す図である。
【図14】第3実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図15】環境光取得部における入出力の関係を示す図である。
【図16】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図17】第3実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図18】第4実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図19】第4実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図20】第5実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図21】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図22】第5実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図23】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図24】第6実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図25】出力制御係数決定部における入出力の関係を示す図である。
【図26】第6実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図27】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る画像処理装置の第1実施形態として、ディスプレイシステムにおける補正回路内のフレームレート変換処理部を例に挙げて以下に説明する。特に、第1実施形態では、入力フレームを複数回繰り返すことによって動きに振動を付加する方法について説明する。
【0012】
<装置構成>
図1は、ディスプレイシステムにおける補正処理部のブロック図である。補正回路1000には、例えばセレクタを介して、外部の画像出力装置から所定のフレームレートの動画像が入力される。以下の説明では24p(24フレーム/秒のプログレッシブ画像)の動画像に対して処理する場合について述べるが、他のフレームレートの動画像であっても同様に適用可能である。
【0013】
なお、補正回路1000は、後述するフレームレート変換処理部100の他にも、各所の画像処理部を含み得る。例えば、ノイズリダクション、フィルムソース検出24P変換、解像度変換の他、各種の色補正処理を含み得る。
【0014】
フレームレート変換処理部100は、入力される各フレーム画像に対してM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成して出力する処理部である。以下の説明では、24pの動画像に含まれる各入力フレーム画像に対して5個のサブフレーム画像を生成し120フレーム/秒(120Hz)の動画像を出力するの場合(つまり、M=5)について説明する。ただし、72Hz,96Hz,240Hzなどにも適用できるものである。さらに、既存の2−3プルダウン(24fpsから60fpsへの変換)のようなフレームレート変換と組み合わせて構成してもよい。なお、以下では、1個の入力フレームに対して生成されるM個のフレームの各々を、時系列順に第mサブフレーム(m=1,...,M)と呼ぶ。
【0015】
図2は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100のブロック図である。フレームレート変換処理部100には、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103、フレームメモリ104が含まれている。そして、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103の各々には、各部で処理するフレーム画像/サブフレーム画像を制御するためのタイミング制御信号が供給されている。なお、タイミング制御信号は、フレームレート変換処理部100内の不図示の制御部、または、補正回路1000におけるフレームレート変換処理部100より上流側の処理部から供給される。
【0016】
以下の説明では、タイミング制御信号として、2つの信号(Ncount,Flg_1)を用いている。Ncountは、入力フレームに対するn枚目のフレームを生成する際にカウントするカウント値である。Flg_1は、動きベクトル検出部101と補間画像生成部102とセレクタ103の動作切り替えを制御する。
【0017】
動きベクトル検出部101は、注目するフレーム画像Framein−1に後続するフレーム画像Frameinが入力されると、フレーム画像の各領域の動きベクトルVecDを検出する。具体的には、Framein−1とFrameinとの差分に基づいて動きベクトルを算出する。つまり、注目フレーム画像と当該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて動きベクトルを導出する。フレームメモリ104は、Framein−1を格納している。そして、後続のフレーム画像Frameinが入力されるたび、Framein−1を動きベクトル検出部101とセレクタ103とに出力する。
【0018】
補間画像生成部102は、動きベクトル検出部101から入力されるVecDと、フレームメモリ104から入力されるフレーム画像Frameinとに基づきn’個(n’<M)のフレームを生成する。なお、n’は出力するM個のサブフレームに含まれる動き補償フレーム画像(補間フレームとも呼ぶ)の個数であり、n’はおよそMの半分程度に設定すると好適である。以下では、n’=2として説明する。
【0019】
具体的には、補間画像生成部102は、動き補償画像を生成する際、検出ベクトルから補間ベクトルVecI=VecD×n/M (n=M−n’,..,M−1)を導出する。そして、動き補償フレームFramemc[n]を生成する。つまり、n’=2の場合、Framemc[3]およびFramemc[4]の2つの動き補償フレームを生成する。なお、Framein−1とFrameinとの間の時間をM等分した時間位置でのM個の動き補償フレーム画像を生成した後、n’個を選択するよう構成しても良い。
【0020】
セレクタ103は、出力するサブフレーム毎に、入力されたフレーム画像のコピーである複製フレーム画像または生成された動き補償フレーム画像を選択する。具体的には、Framein−1のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する。つまり、n’=2の場合、Framein−1の3個(=M−n’)の複製フレーム画像と2個の動き補償フレーム画像(Framemc[3]およびFramemc[4])とを出力する。
【0021】
なお、動きベクトルの検出および補間方法は一般的な方法でよく、例えば特開2007−74588号に記載された手法を用いるとよい。
【0022】
図3は、第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。上から、基準クロック、出力対象のサブフレーム画像、タイミング制御信号であるNcountおよびFlg_1、セレクタ103が選択するフレーム画像を示している。
【0023】
上述したように、タイミング制御信号であるNcountおよびFlg_1は、フレームレート変換処理部100内の各部で処理するフレーム画像/サブフレーム画像を制御している。動きベクトル検出部101は、Flg_1=1が入力された場合に動きベクトルを検出し、補間画像生成部102に検出したVecDを出力する。補間画像生成部102は、Flg_1=1が入力された場合にn=Ncount−1として動き補償フレームFramemc[n]を生成する。そして、セレクタ103は、Flg_1=0の場合、入力フレームFramein−1の複製フレーム画像を出力し、Flg_1=1の場合、生成された動き補償フレームFramemc[n]を出力する。
【0024】
<装置の動作>
図6は、第1実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。なお、図6は1個の入力フレーム画像に対する処理を示しており、連続して入力される各フレームに対して同様の処理が行われる。
【0025】
ステップf101では、フレームレート変換処理部100に、連続する複数のフレーム画像が順次入力される。そして、サブフレームのカウント値Countを0に初期化(Count=0)する。なお、Count=0〜4の各々は、第mサブフレーム画像(m=1〜5)の各々に対応する。
【0026】
ステップf102では、動きベクトル検出部101は、Framein−1とFrameinとの差分に基づいてフレーム画像の各領域の動きベクトルVecDを検出する。なお、動きベクトルは、フレーム画像内の各領域iに対してベクトルVecD[i]として検出される。(iはフレーム画像を領域分割した際の各領域番号を表す。)
ステップf103では、Countが所定閾値(N/2)より大きいか否かを判定する。そして、Count>N/2である場合はステップf104へ進み、そうでない場合はステップf108へ進む。つまり、ここでは、第1〜第3サブフレーム画像として入力フレーム画像の複製フレーム画像が選択され、第4および第5サブフレーム画像として動き補償フレーム画像が選択されるように構成している。なお、所定閾値はN/2に限定されるものではない。
【0027】
ステップf104では、動きベクトル検出部101は、補間ベクトルをVecI=VecD×Count/Nとして算出する。
【0028】
ステップf105では、補間画像生成部102は、動き補償フレーム画像を生成し、ステップf106では、生成した動き補償フレーム画像を出力する。具体的には、動きベクトル検出部101から入力されたVecIとフレームメモリ104から入力された入力フレーム画像から動き補償フレーム画像を生成する。一方、ステップf108では、入力フレーム画像の複製である複製フレーム画像を出力する。
【0029】
ステップf107では、カウント値Countをインクリメントする。そして、ステップf109では、Count≧Nである場合は処理を終了し、そうでない場合はf103に移行する。
【0030】
上述のステップf103〜f109のループにより、1個の入力フレーム画像に対し5個のサブフレーム画像を出力する。
【0031】
<効果>
図4は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅を説明する概念図である。これは、画像のエッジが右方向に移動している動画像の各フレーム画像が入力された場合におけるサブフレーム画像を時系列順に縦軸方向に並べたものである。
【0032】
図4においてエッジ部に黒丸が付加されたフレームが入力フレーム画像を示している。つまり、ここでは、画像のエッジが右方向に15画素/入力フレーム画像で移動している例を示している。そして、1個の入力フレーム画像に対して5個のサブフレーム画像が出力する場合を示している。図4では、上述の説明に沿って、入力フレーム画像の3個(=M−n’)の複製フレーム画像と2個の動き補償フレーム画像とを出力している。そして、3個のサブフレーム画像(n=1,4,5)における画像のエッジは視線方向に沿っており、残りの2個のサブフレーム画像(n=2,3)における画像のエッジは視線方向から少し外れた位置にあることがわかる。
【0033】
ジャダー振幅は、視線の動きに沿った画像のエッジの幅により規定される。そのため、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅は図4に示されるように約6画素以下となっている。一方、単純に各入力フレーム画像の複製フレーム画像を5個出力した場合、図4ジャダー振幅は約12画素となるため、第1実施形態のフレームレート変換処理部100によりジャダー振幅が大幅に低減されていることがわかる。そのため、視認解像度(動解像度とも呼ぶ)を向上することが出来る。
【0034】
図5は、表示装置における実際の動画像の見え方を例示的に示す図である。図5(a)は、フレームレート変換処理部100に入力されるフレーム画像を示している。図5(b)は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像の見え方を示している。さらに、図5(c)は、2−3プルダウン処理により出力されるサブフレーム画像の見え方を示している。
【0035】
つまり、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像において発生するジャダーの振幅は、従来手法である2−3プルダウンに対しては小さく視認解像度は向上する。しかし、図4に示したように、視線方向から外れた位置にあるサブフレーム画像を少なくとも1個出力することによりジャダーをある程度残し、映画らしさを維持している。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態にかかる画像処理装置によれば、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさを維持することが可能となる。さらに、また、出力するサブフレーム画像に含まれる動き補償フレームの個数が少なくなるため、特許文献2の技術と比較した場合に、動き補償の誤補間が目立ちにくいという効果もある。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態では、入力フレームにおける動きベクトルと高空間周波数成分量とに応じて、ジャダーの振幅を入力フレーム単位で制御する。
【0038】
ジャダーは、表示されているオブジェクト画像の動きやオブジェクト画像の空間周波数によって視認のされ方が異なる。例えば、同じオブジェクト画像であっても動きが速いとジャダーは目立つ。そこで、第2実施形態では、動きが速いオブジェクト画像が含まれる入力フレーム画像に対しては、ジャダー振幅が少なくなるようなサブフレーム画像を生成する。
【0039】
また、ジャダーは表示されているオブジェクト画像における高い空間周波数成分(高周波画像成分)が多いほど強く知覚される。そこで、高い空間周波数成分を有するオブジェクト画像が含まれる入力フレーム画像に対しては、ジャダー振幅が少なくなるようなサブフレーム画像を生成する。
【0040】
<装置構成>
図7は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0041】
第2実施形態は、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、エッジ検出部202、出力制御係数決定部203、セレクタ201で構成される。なお、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102は第1実施形態とほぼ同様であるため、動作が第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
エッジ検出部202は、フレームメモリ104から入力されたフレーム画像Framein−1の各領域の高空間周波数成分の量(高周波成分量)を検出し、出力制御係数決定部203に出力する。出力制御係数決定部203は、エッジ検出部202から入力された各領域の高周波成分量と、動きベクトル検出部101から入力された動きベクトルとに応じて制御係数αを決定する。ここでは、制御係数αは、セレクタ201で出力する複製フレーム画像の個数であり、制御係数αは補間画像生成部102およびセレクタ201に出力される。
【0043】
図8は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の画像処理を説明する図である。図8(b)は動きベクトル検出部とエッジ検出部に入力されるフレームFramein−1である。
【0044】
動きベクトル検出部101は、入力されたフレーム画像の各領域において動きベクトルVecD[i]を検出する(図8(c))。ここで、iはフレーム画像を領域分割した際の各領域番号を表す。エッジ検出部202は、フレーム画像Frameinに対して、以下の数式に従ってハイパスフィルタ(HPF)処理を行い、図8(d)で示されるようなエッジ抽出フレームFrameHを算出する。
【0045】
FrameH=HPF(Framein)
なお、ハイパスフィルタ(HPF)としては、図8(a)に示すような3×3構成のHPFを利用することが出来る。なお、中央の太枠部分は注目画素を示している。
【0046】
そしてFrameHの各領域iにおける画素値合計をHigh[i]とし、出力制御係数決定部203に出力する。つまり、High[i]は各領域の高周波成分量を示すパラメータとなる。出力制御係数決定部203は、以下の数式に従って、各領域iにおける動きベクトルVecD[i]と高周波成分量High[i]との積の総和をパラメータ値Paramとして算出する。これにより、各領域の動き速度と高周波成分量を表したパタメータ値Paramが入力フレームの代表値として算出される。
【0047】
Param=Σ(VecD[i]×High[i])
出力制御係数決定部203は、次に、Paramの値に基づいてセレクタ201に出力する制御係数αを算出する。制御係数αは、上述したとおり、セレクタ201で出力する複製フレーム画像の個数であり、例えば、図9に示されるようにParamの値が大きくなるほど制御係数αが小さくなるよう設定される。つまり、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きいほど、また、高周波成分量が多いほど、制御係数αはより小さくなりジャダー振幅をより低減するよう制御する。
【0048】
補間画像生成部102は、入力された制御係数αに応じて、動き補償フレーム画像を生成するタイミングと生成するフレーム画像の個数とを制御する。セレクタ201は、入力された制御係数αに応じて、Framein−1のα個の複製フレーム画像と(M−α)個の動き補償フレーム画像とを出力する。
【0049】
図10は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。第1実施形態の場合(図3)とほぼ同様であるが、入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてFlg_1の値を制御し、サブフレーム画像を生成する。つまり、Paramの値が大きくα=2となる場合は、複製フレーム画像が2枚となるよう制御し(図10(a))、Paramの値が小さくα=4となる場合は、複製フレーム画像が4枚となるよう制御する(図10(b))。
【0050】
<装置の動作>
図11は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f104〜f109は第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0051】
ステップf201では、エッジ検出部202は、入力されたフレーム画像にハイパスフィルタ処理を行いFrameHを生成し、各領域iについて高周波成分の合計High[i]を算出する。
【0052】
ステップf202では、出力制御係数決定部203は、各領域iにおいてparam[i]=|VecD[i]|×High[i]を算出する。
【0053】
ステップf203では、出力制御係数決定部203は、入力されたフレーム画像の特徴パラメータをParam=Σparam[i]として算出する。
【0054】
ステップf204では、出力制御係数決定部203は、予め定めたLUTに基づき、α=LUT(Param)を算出する。なお、LUTは図9に示されるような単調減少のLUTである。
【0055】
ステップf205では、Countがαより大きいか否かを判定する。そして、Count>αである場合はステップf104へ進み、そうでない場合はステップf108へ進む。
【0056】
<効果>
図12は、出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。図12(a)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが小さく(例えば10画素/フレーム(24Hz))、α=3とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約4画素となる。つまり、フレーム画像に含まれるオブジェクト画像の動きが遅い場合は、α=3程度のジャダーは許容範囲であり解像度向上の効果がある。
【0057】
図12(b)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))にもかかわらず、図12(a)の場合と同様にα=3とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約12画素と大きくなり、ユーザによる視聴の障害となりうる。図13(a)は、図5(a)に示すフレーム画像が入力され、かつα=3の場合の出力を視認した画像である。ジャダー振幅が大きいため視認解像度が低くなってしまっている。
【0058】
図12(c)は、第2実施形態の適用結果である。入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))場合に、αを小さく(α=2)している。α=2の場合には、ジャダー振幅はおよそ5画素となり、ジャダーの振幅が抑制され、その結果、視認解像度も向上する。図13(b)は図5(a)に示すフレーム画像が入力され、かつα=2の場合の出力を視認した画像である。α=3に固定した場合(図13(a))に比較し解像度が向上していることがわかる。しかし、ジャダーは視聴者に知覚される程度に残るため、映画らしさも維持される。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態にかかる画像処理装置によれば、入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態では視聴環境光に応じてジャダーの振幅を制御する方法を説明する。ジャダーの視認量は、視聴環境における視聴環境光によっても異なる。具体的には、視聴環境が明るいとジャダーが強く見え、周辺が暗いとジャダーを感じにくくなる傾向にある。そこで、第3実施形態では、表示装置周辺における環境光の情報に応じてサブフレーム画像の出力を制御する。
【0061】
<装置構成>
図14は、第3実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。なお、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部202、セレクタ103は第2実施形態とほぼ同様であるため、動作が第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
環境光取得部301は、補正回路1000から出力されたサブフレーム画像を表示する表示パネル(ディスプレイやプロジェクター)周辺の環境光の明るさLを取得する。そして、図15に示されるように、環境光の明るさLが高くなるにつれて制御係数αが小さくなるように設定する。
【0063】
具体的には、環境光の明るさLが低い時は図16(a)のようにα=4に設定し、環境光の明るさLが高い時は図16(b)のようにα=2に設定する。このように制御することにより、暗い環境おいて映画らしさ(ジャダー)を知覚可能な程度に残存させると共に、明るい環境においては過度のジャダーを低減することができ、動解像度を向上することが出来る。
【0064】
<装置の動作>
図17は、第3実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf102、f104〜f109、f205は第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0065】
ステップf301、f302では、LUTに基づきα=LUT(L)を算出する。上述したようにLUTは例えば図15に示されるように、環境光の明るさLに対してαが単調減少になるよう設定されている。
【0066】
以上説明したように、第3実施形態にかかる画像処理装置によれば、視聴環境周辺の環境光の明るさLに応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。特に、特許文献2の技術と比較した場合に、明るい環境下で視聴する場合により見やすい映像を提供することが出来る。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ユーザ入力によってジャダーの振幅を制御する方法を説明する。
【0068】
<装置構成>
図18は、第4実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。動きベクトル検出部101、補間画像生成部202、セレクタ103は第3実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0069】
ユーザ入力取得部401は、制御係数αの入力をユーザから受け付けるキーボード・マウスなどの入力装置である。なお、サブフレーム画像を表示する表示パネル(ディスプレイやプロジェクター)を視聴しているユーザからインタラクティブに制御係数αの入力を受け付けるよう構成しても良い。
【0070】
<装置の動作>
図19は、第4実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf102、f104〜f109、f205は第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0071】
ステップf401では、ユーザ入力取得部401は、制御係数αの入力をユーザから受け付ける。そして、ステップf205以降の処理ループでのサブフレーム画像の生成および出力を制御する。
【0072】
以上説明したように、第4実施形態にかかる画像処理装置によれば、ユーザから入力された制御係数αに応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0073】
(第5実施形態)
第5実施形態では、サブフレーム毎の動きベクトルに所定のゲインを加算・乗算し動き補償フレーム画像を出力することにより画像オブジェクトに少量の振動を付加する。
【0074】
<装置構成>
図20は、第5実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0075】
第5実施形態は、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、動きベクトル補正部501、補間画像生成部502、セレクタ201で構成される。動きベクトル補正部501は、動きベクトル検出部101で検出された動きベクトルに基づいてサブフレーム毎の部分動きベクトルである補間ベクトルVecIを算出する機能部である。そして、補間画像生成部502は、フレーム画像Framein−1と動きベクトル補正部501から入力された補間ベクトルVecIとに基づいて動き補償フレーム画像を生成する機能部である。
【0076】
振動の付加するためのサブフレーム毎のVecIを算出方法として4つの方法を説明する。なお以下の説明における制御係数αは補間ベクトルに加算又は乗算するゲインを意味しており、上述の実施形態における制御係数αとは異なる。
【0077】
<1.ゲイン積算手法>
以下の数式に従って、各サブフレームに対応する補間ベクトルにゲインα(0≦α≦1)をかける方法である。
【0078】
VecI=VecD×((n−1)/N)×α
<2.周期パターン付加手法>
補間ベクトルに周期的な加減算を行って見た目の動きに振動を付加する方法である。荒い波線で示されるように、補間フレームFramemc[n](N=1,...N−1)の動きに周期的な変動がある。これは、補間ベクトルVecIを算出する際に、検出ベクトルVecDに周期的に加減算を行っているからである。
【0079】
VecI=VecD×((n−1)/N)+α/2×sin(2π×n/N)
なお、加減算ではなく以下の数式のように周期的にゲインをかけることでも同等の出力結果が得られる。
【0080】
VecI=VecD×((n−1)/N)×(1+α×sin(2π×n/N) <3.ランダム付加手法>
以下の数式に従って、補間ベクトルに乱雑に加減算を行って見た目の動きに振動を付加する方法である。
【0081】
VecI=VecD×((n−1)/N)±α×Random
(ここで、Randomは0≦Random≦1の乱数)
なお、加減算でなくても、ランダムなゲインの積算でも同等の出力を得られる。
【0082】
VecI=VecD×((n−1)/N)×α×Random
<4.ベクトル順序置換手法>
出力する第2サブフレームから第Nサブフレームの出力順序を入れ替えても類似の効果が得られる(以下、ベクトル順序置換手法とする)。振動を付加せずに補間ベクトルを設定する場合は、サブフレームの番号nに合わせてVecI=VecD×n/Nとする。しかし、以下の数式のように補間ベクトルを他のサブフレームと入れ替えることで、少なくとも1つの隣接サブフレーム画像間の補間動きベクトルの方向が他の隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向と逆となるように振動を付加する。
【0083】
VecI=VecD×n’/N
(ここで、Nはフレームレートの変換倍率、n’は補間フレーム位置)
<装置の動作>
図22は、第5実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f105〜f109は第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0084】
ステップf501では、動きベクトル補正部501は、Count=0の場合はf502に進み、そうでない場合はf108に進む。上述したようにCount=0〜4の各々は、第mサブフレーム画像(m=1〜5)の各々に対応するため、当該ステップでは、第1サブフレーム画像か否かを判定している。
【0085】
ステップf502では、動きベクトル補正部501は、補間ベクトルを算出する。なお、上述の4つの手法の何れを用いても良い。
【0086】
<効果>
図21は、第5実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【0087】
図21(a)はゲイン積算手法の出力結果を示しており、補間フレームに0.5のゲインがかけられている。これにより、視線に沿った方向(直線)に対して所定のズレて出力されていることが分かる。このズレが破線で示されており、ジャダー振幅となる。α=0.5の場合、ジャダー振幅は従来の2−3プルダウンよりも小さいため、ジャダーは低減され解像度も向上する。しかし、ジャダーが少量残存することになるため映画らしさも維持されることになる。なお、図21(b)は周期パターン付加手法の出力結果、図21(c)はランダム付加手法の出力結果をそれぞれ示している。
【0088】
また、図21(d)はベクトル順序置換手法の出力結果を表している。
【0089】
第1サブフレームを、入力されたフレーム画像の複製フレーム画像、そして、第2〜第5のサブフレーム画像をそれぞれ、n’=3,2,4,5とした結果を示している。このように、サブフレーム画像を入れ替えることによっても振動を付加することが可能であることが分かる
以上説明したように、第5実施形態にかかる画像処理装置によれば、動き補償フレームでサブフレームを生成する際に、補間位置つまり補間ベクトルにサブフレーム毎にズレを付加することによって、見た目の動きに振動を付加する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。なお、第1実施形態と第5実施形態の組み合わせとして、図23に示されるようなサブフレーム画像を生成しても良い。
【0090】
(第6実施形態)
第6実施形態では、入力フレームにおける動きベクトルと高空間周波数成分量とに応じて、サブフレーム画像に付加する振動の大きさを制御する。
【0091】
図24は、第6実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0092】
動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103、エッジ検出部202は第1及び第2実施形態とほぼ同様であるため説明を省略する。なお、算出された高周波成分量High[i]は出力制御係数決定部602に入力される。
【0093】
動きベクトル補正部601は、出力制御係数決定部602から入力された制御係数αに応じて補間ベクトルを補正する。また、出力制御係数決定部602は、Paramからαを算出する際に例えば図25に示すLUTを用いる。ただし、動きベクトル補正部601においてベクトルを補正する係数に直接使用するため0≦α≦1となっている。
【0094】
図26は、第6実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f105〜f109は第1実施形態と同様であり、ステップf201〜204は第2実施形態と同様であり、ステップf501,502は第5実施形態と同様である。なお、図26では周期パターン付加手法を用いた例を示しているが、第5実施形態で説明した他の手法も用いてもよい。
【0095】
図27は、出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。なお、ここではゲイン積算手法の出力結果を示している。図27(a)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが小さく(例えば10画素/フレーム(24Hz))、α=0.5とした場合の出力結果である。この場合、ジャダー振幅は約4画素となる。つまり、フレーム画像に含まれるオブジェクト画像の動きが遅い場合は、α=0.5程度のジャダーは許容範囲であり解像度向上の効果がある。
【0096】
図27(b)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))にもかかわらず、図27(a)の場合と同様にα=0.5とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約12画素と大きくなり、ユーザによる視聴の障害となりうる。
【0097】
図27(c)は、第6実施形態の適用結果である。入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))場合に、αを大きく(α=0.8)している。α=0.8の場合には、ジャダー振幅はおよそ5画素となり、ジャダーの振幅が抑制され、その結果、視認解像度も向上する。
【0098】
以上説明したように、第6実施形態にかかる画像処理装置によれば、動き補償フレームでサブフレームを生成する際に、補間位置つまり補間ベクトルにサブフレーム毎にズレを付加する。その際に入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてズレの大きさを制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0099】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像のフレームレートを変換する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、映画コンテンツは1秒間あたり24個のフレームが含まれ(以下24pと呼ぶ)、映画館では、1個のフレームを2回ずつ繰り返して表示することにより48Hz表示を行っている。また、例えば、60Hz表示のテレビで表示する場合には、フレーム毎に交互に2回および3回ずつ表示する2−3プルダウン処理により60Hzにフレームレートを変換し表示を行っている。しかし、同一のフレームを繰り返し表示した場合、映像の動きがガタガタして見える現象(ジャダー)が発生し、ユーザが感じる映像の解像度(視認解像度)も低下してしまう問題があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、フレーム中の動きを検出し、動きに沿うように補間フレームを生成し挿入することによりジャダーを低減する技術が開示されている。さらに、特許文献2には、映画表示において環境光に応じてジャダーの強さを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−33468号公報
【特許文献2】特開2009−94616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に開示される技術により補間フレームを生成しジャダーを低減した場合、結果的に映画らしさが失われてしまう問題があった。これは、繰り返し表示によって発生する動きの振動(ジャダー)が映画固有の脱現実感に繋がっているためであり、映像内の動きが必要以上に滑らかになると映画らしく無いと認識されるためである。また、特許文献2に開示される技術によりジャダーの強さを制御した場合、環境光が明るい場所にジャダーが目立ち不快になるという問題があった。そして、上述の2つの技術を組み合わせた場合、動き補償の誤補間が目立つ場合がある問題があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、ジャダーによる映像の解像度低下を低減しつつ映画らしさも維持可能とする画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1以上の問題点を解決するため本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。すなわち、動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置において、注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ジャダーによる映像の解像度低下を低減しつつ映画らしさも維持可能とする画像処理技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】ディスプレイシステムにおける補正処理部のブロック図である。
【図2】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図3】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。
【図4】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図5】出力サブフレームの見え方の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図7】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図8】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の画像処理を説明する図である。
【図9】出力制御係数決定部における入出力の関係を示す図である。
【図10】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。
【図11】第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図12】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図13】出力サブフレームの見え方の例を示す図である。
【図14】第3実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図15】環境光取得部における入出力の関係を示す図である。
【図16】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図17】第3実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図18】第4実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図19】第4実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図20】第5実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図21】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図22】第5実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図23】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【図24】第6実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【図25】出力制御係数決定部における入出力の関係を示す図である。
【図26】第6実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。
【図27】出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を詳しく説明する。なお、以下の実施の形態はあくまで例示であり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0011】
(第1実施形態)
本発明に係る画像処理装置の第1実施形態として、ディスプレイシステムにおける補正回路内のフレームレート変換処理部を例に挙げて以下に説明する。特に、第1実施形態では、入力フレームを複数回繰り返すことによって動きに振動を付加する方法について説明する。
【0012】
<装置構成>
図1は、ディスプレイシステムにおける補正処理部のブロック図である。補正回路1000には、例えばセレクタを介して、外部の画像出力装置から所定のフレームレートの動画像が入力される。以下の説明では24p(24フレーム/秒のプログレッシブ画像)の動画像に対して処理する場合について述べるが、他のフレームレートの動画像であっても同様に適用可能である。
【0013】
なお、補正回路1000は、後述するフレームレート変換処理部100の他にも、各所の画像処理部を含み得る。例えば、ノイズリダクション、フィルムソース検出24P変換、解像度変換の他、各種の色補正処理を含み得る。
【0014】
フレームレート変換処理部100は、入力される各フレーム画像に対してM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成して出力する処理部である。以下の説明では、24pの動画像に含まれる各入力フレーム画像に対して5個のサブフレーム画像を生成し120フレーム/秒(120Hz)の動画像を出力するの場合(つまり、M=5)について説明する。ただし、72Hz,96Hz,240Hzなどにも適用できるものである。さらに、既存の2−3プルダウン(24fpsから60fpsへの変換)のようなフレームレート変換と組み合わせて構成してもよい。なお、以下では、1個の入力フレームに対して生成されるM個のフレームの各々を、時系列順に第mサブフレーム(m=1,...,M)と呼ぶ。
【0015】
図2は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100のブロック図である。フレームレート変換処理部100には、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103、フレームメモリ104が含まれている。そして、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103の各々には、各部で処理するフレーム画像/サブフレーム画像を制御するためのタイミング制御信号が供給されている。なお、タイミング制御信号は、フレームレート変換処理部100内の不図示の制御部、または、補正回路1000におけるフレームレート変換処理部100より上流側の処理部から供給される。
【0016】
以下の説明では、タイミング制御信号として、2つの信号(Ncount,Flg_1)を用いている。Ncountは、入力フレームに対するn枚目のフレームを生成する際にカウントするカウント値である。Flg_1は、動きベクトル検出部101と補間画像生成部102とセレクタ103の動作切り替えを制御する。
【0017】
動きベクトル検出部101は、注目するフレーム画像Framein−1に後続するフレーム画像Frameinが入力されると、フレーム画像の各領域の動きベクトルVecDを検出する。具体的には、Framein−1とFrameinとの差分に基づいて動きベクトルを算出する。つまり、注目フレーム画像と当該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて動きベクトルを導出する。フレームメモリ104は、Framein−1を格納している。そして、後続のフレーム画像Frameinが入力されるたび、Framein−1を動きベクトル検出部101とセレクタ103とに出力する。
【0018】
補間画像生成部102は、動きベクトル検出部101から入力されるVecDと、フレームメモリ104から入力されるフレーム画像Frameinとに基づきn’個(n’<M)のフレームを生成する。なお、n’は出力するM個のサブフレームに含まれる動き補償フレーム画像(補間フレームとも呼ぶ)の個数であり、n’はおよそMの半分程度に設定すると好適である。以下では、n’=2として説明する。
【0019】
具体的には、補間画像生成部102は、動き補償画像を生成する際、検出ベクトルから補間ベクトルVecI=VecD×n/M (n=M−n’,..,M−1)を導出する。そして、動き補償フレームFramemc[n]を生成する。つまり、n’=2の場合、Framemc[3]およびFramemc[4]の2つの動き補償フレームを生成する。なお、Framein−1とFrameinとの間の時間をM等分した時間位置でのM個の動き補償フレーム画像を生成した後、n’個を選択するよう構成しても良い。
【0020】
セレクタ103は、出力するサブフレーム毎に、入力されたフレーム画像のコピーである複製フレーム画像または生成された動き補償フレーム画像を選択する。具体的には、Framein−1のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する。つまり、n’=2の場合、Framein−1の3個(=M−n’)の複製フレーム画像と2個の動き補償フレーム画像(Framemc[3]およびFramemc[4])とを出力する。
【0021】
なお、動きベクトルの検出および補間方法は一般的な方法でよく、例えば特開2007−74588号に記載された手法を用いるとよい。
【0022】
図3は、第1実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。上から、基準クロック、出力対象のサブフレーム画像、タイミング制御信号であるNcountおよびFlg_1、セレクタ103が選択するフレーム画像を示している。
【0023】
上述したように、タイミング制御信号であるNcountおよびFlg_1は、フレームレート変換処理部100内の各部で処理するフレーム画像/サブフレーム画像を制御している。動きベクトル検出部101は、Flg_1=1が入力された場合に動きベクトルを検出し、補間画像生成部102に検出したVecDを出力する。補間画像生成部102は、Flg_1=1が入力された場合にn=Ncount−1として動き補償フレームFramemc[n]を生成する。そして、セレクタ103は、Flg_1=0の場合、入力フレームFramein−1の複製フレーム画像を出力し、Flg_1=1の場合、生成された動き補償フレームFramemc[n]を出力する。
【0024】
<装置の動作>
図6は、第1実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。なお、図6は1個の入力フレーム画像に対する処理を示しており、連続して入力される各フレームに対して同様の処理が行われる。
【0025】
ステップf101では、フレームレート変換処理部100に、連続する複数のフレーム画像が順次入力される。そして、サブフレームのカウント値Countを0に初期化(Count=0)する。なお、Count=0〜4の各々は、第mサブフレーム画像(m=1〜5)の各々に対応する。
【0026】
ステップf102では、動きベクトル検出部101は、Framein−1とFrameinとの差分に基づいてフレーム画像の各領域の動きベクトルVecDを検出する。なお、動きベクトルは、フレーム画像内の各領域iに対してベクトルVecD[i]として検出される。(iはフレーム画像を領域分割した際の各領域番号を表す。)
ステップf103では、Countが所定閾値(N/2)より大きいか否かを判定する。そして、Count>N/2である場合はステップf104へ進み、そうでない場合はステップf108へ進む。つまり、ここでは、第1〜第3サブフレーム画像として入力フレーム画像の複製フレーム画像が選択され、第4および第5サブフレーム画像として動き補償フレーム画像が選択されるように構成している。なお、所定閾値はN/2に限定されるものではない。
【0027】
ステップf104では、動きベクトル検出部101は、補間ベクトルをVecI=VecD×Count/Nとして算出する。
【0028】
ステップf105では、補間画像生成部102は、動き補償フレーム画像を生成し、ステップf106では、生成した動き補償フレーム画像を出力する。具体的には、動きベクトル検出部101から入力されたVecIとフレームメモリ104から入力された入力フレーム画像から動き補償フレーム画像を生成する。一方、ステップf108では、入力フレーム画像の複製である複製フレーム画像を出力する。
【0029】
ステップf107では、カウント値Countをインクリメントする。そして、ステップf109では、Count≧Nである場合は処理を終了し、そうでない場合はf103に移行する。
【0030】
上述のステップf103〜f109のループにより、1個の入力フレーム画像に対し5個のサブフレーム画像を出力する。
【0031】
<効果>
図4は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅を説明する概念図である。これは、画像のエッジが右方向に移動している動画像の各フレーム画像が入力された場合におけるサブフレーム画像を時系列順に縦軸方向に並べたものである。
【0032】
図4においてエッジ部に黒丸が付加されたフレームが入力フレーム画像を示している。つまり、ここでは、画像のエッジが右方向に15画素/入力フレーム画像で移動している例を示している。そして、1個の入力フレーム画像に対して5個のサブフレーム画像が出力する場合を示している。図4では、上述の説明に沿って、入力フレーム画像の3個(=M−n’)の複製フレーム画像と2個の動き補償フレーム画像とを出力している。そして、3個のサブフレーム画像(n=1,4,5)における画像のエッジは視線方向に沿っており、残りの2個のサブフレーム画像(n=2,3)における画像のエッジは視線方向から少し外れた位置にあることがわかる。
【0033】
ジャダー振幅は、視線の動きに沿った画像のエッジの幅により規定される。そのため、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅は図4に示されるように約6画素以下となっている。一方、単純に各入力フレーム画像の複製フレーム画像を5個出力した場合、図4ジャダー振幅は約12画素となるため、第1実施形態のフレームレート変換処理部100によりジャダー振幅が大幅に低減されていることがわかる。そのため、視認解像度(動解像度とも呼ぶ)を向上することが出来る。
【0034】
図5は、表示装置における実際の動画像の見え方を例示的に示す図である。図5(a)は、フレームレート変換処理部100に入力されるフレーム画像を示している。図5(b)は、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像の見え方を示している。さらに、図5(c)は、2−3プルダウン処理により出力されるサブフレーム画像の見え方を示している。
【0035】
つまり、第1実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像において発生するジャダーの振幅は、従来手法である2−3プルダウンに対しては小さく視認解像度は向上する。しかし、図4に示したように、視線方向から外れた位置にあるサブフレーム画像を少なくとも1個出力することによりジャダーをある程度残し、映画らしさを維持している。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態にかかる画像処理装置によれば、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさを維持することが可能となる。さらに、また、出力するサブフレーム画像に含まれる動き補償フレームの個数が少なくなるため、特許文献2の技術と比較した場合に、動き補償の誤補間が目立ちにくいという効果もある。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態では、入力フレームにおける動きベクトルと高空間周波数成分量とに応じて、ジャダーの振幅を入力フレーム単位で制御する。
【0038】
ジャダーは、表示されているオブジェクト画像の動きやオブジェクト画像の空間周波数によって視認のされ方が異なる。例えば、同じオブジェクト画像であっても動きが速いとジャダーは目立つ。そこで、第2実施形態では、動きが速いオブジェクト画像が含まれる入力フレーム画像に対しては、ジャダー振幅が少なくなるようなサブフレーム画像を生成する。
【0039】
また、ジャダーは表示されているオブジェクト画像における高い空間周波数成分(高周波画像成分)が多いほど強く知覚される。そこで、高い空間周波数成分を有するオブジェクト画像が含まれる入力フレーム画像に対しては、ジャダー振幅が少なくなるようなサブフレーム画像を生成する。
【0040】
<装置構成>
図7は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0041】
第2実施形態は、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、エッジ検出部202、出力制御係数決定部203、セレクタ201で構成される。なお、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部102は第1実施形態とほぼ同様であるため、動作が第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
エッジ検出部202は、フレームメモリ104から入力されたフレーム画像Framein−1の各領域の高空間周波数成分の量(高周波成分量)を検出し、出力制御係数決定部203に出力する。出力制御係数決定部203は、エッジ検出部202から入力された各領域の高周波成分量と、動きベクトル検出部101から入力された動きベクトルとに応じて制御係数αを決定する。ここでは、制御係数αは、セレクタ201で出力する複製フレーム画像の個数であり、制御係数αは補間画像生成部102およびセレクタ201に出力される。
【0043】
図8は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の画像処理を説明する図である。図8(b)は動きベクトル検出部とエッジ検出部に入力されるフレームFramein−1である。
【0044】
動きベクトル検出部101は、入力されたフレーム画像の各領域において動きベクトルVecD[i]を検出する(図8(c))。ここで、iはフレーム画像を領域分割した際の各領域番号を表す。エッジ検出部202は、フレーム画像Frameinに対して、以下の数式に従ってハイパスフィルタ(HPF)処理を行い、図8(d)で示されるようなエッジ抽出フレームFrameHを算出する。
【0045】
FrameH=HPF(Framein)
なお、ハイパスフィルタ(HPF)としては、図8(a)に示すような3×3構成のHPFを利用することが出来る。なお、中央の太枠部分は注目画素を示している。
【0046】
そしてFrameHの各領域iにおける画素値合計をHigh[i]とし、出力制御係数決定部203に出力する。つまり、High[i]は各領域の高周波成分量を示すパラメータとなる。出力制御係数決定部203は、以下の数式に従って、各領域iにおける動きベクトルVecD[i]と高周波成分量High[i]との積の総和をパラメータ値Paramとして算出する。これにより、各領域の動き速度と高周波成分量を表したパタメータ値Paramが入力フレームの代表値として算出される。
【0047】
Param=Σ(VecD[i]×High[i])
出力制御係数決定部203は、次に、Paramの値に基づいてセレクタ201に出力する制御係数αを算出する。制御係数αは、上述したとおり、セレクタ201で出力する複製フレーム画像の個数であり、例えば、図9に示されるようにParamの値が大きくなるほど制御係数αが小さくなるよう設定される。つまり、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きいほど、また、高周波成分量が多いほど、制御係数αはより小さくなりジャダー振幅をより低減するよう制御する。
【0048】
補間画像生成部102は、入力された制御係数αに応じて、動き補償フレーム画像を生成するタイミングと生成するフレーム画像の個数とを制御する。セレクタ201は、入力された制御係数αに応じて、Framein−1のα個の複製フレーム画像と(M−α)個の動き補償フレーム画像とを出力する。
【0049】
図10は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部のタイムチャートである。第1実施形態の場合(図3)とほぼ同様であるが、入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてFlg_1の値を制御し、サブフレーム画像を生成する。つまり、Paramの値が大きくα=2となる場合は、複製フレーム画像が2枚となるよう制御し(図10(a))、Paramの値が小さくα=4となる場合は、複製フレーム画像が4枚となるよう制御する(図10(b))。
【0050】
<装置の動作>
図11は、第2実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f104〜f109は第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0051】
ステップf201では、エッジ検出部202は、入力されたフレーム画像にハイパスフィルタ処理を行いFrameHを生成し、各領域iについて高周波成分の合計High[i]を算出する。
【0052】
ステップf202では、出力制御係数決定部203は、各領域iにおいてparam[i]=|VecD[i]|×High[i]を算出する。
【0053】
ステップf203では、出力制御係数決定部203は、入力されたフレーム画像の特徴パラメータをParam=Σparam[i]として算出する。
【0054】
ステップf204では、出力制御係数決定部203は、予め定めたLUTに基づき、α=LUT(Param)を算出する。なお、LUTは図9に示されるような単調減少のLUTである。
【0055】
ステップf205では、Countがαより大きいか否かを判定する。そして、Count>αである場合はステップf104へ進み、そうでない場合はステップf108へ進む。
【0056】
<効果>
図12は、出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。図12(a)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが小さく(例えば10画素/フレーム(24Hz))、α=3とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約4画素となる。つまり、フレーム画像に含まれるオブジェクト画像の動きが遅い場合は、α=3程度のジャダーは許容範囲であり解像度向上の効果がある。
【0057】
図12(b)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))にもかかわらず、図12(a)の場合と同様にα=3とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約12画素と大きくなり、ユーザによる視聴の障害となりうる。図13(a)は、図5(a)に示すフレーム画像が入力され、かつα=3の場合の出力を視認した画像である。ジャダー振幅が大きいため視認解像度が低くなってしまっている。
【0058】
図12(c)は、第2実施形態の適用結果である。入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))場合に、αを小さく(α=2)している。α=2の場合には、ジャダー振幅はおよそ5画素となり、ジャダーの振幅が抑制され、その結果、視認解像度も向上する。図13(b)は図5(a)に示すフレーム画像が入力され、かつα=2の場合の出力を視認した画像である。α=3に固定した場合(図13(a))に比較し解像度が向上していることがわかる。しかし、ジャダーは視聴者に知覚される程度に残るため、映画らしさも維持される。
【0059】
以上説明したように、第2実施形態にかかる画像処理装置によれば、入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0060】
(第3実施形態)
第3実施形態では視聴環境光に応じてジャダーの振幅を制御する方法を説明する。ジャダーの視認量は、視聴環境における視聴環境光によっても異なる。具体的には、視聴環境が明るいとジャダーが強く見え、周辺が暗いとジャダーを感じにくくなる傾向にある。そこで、第3実施形態では、表示装置周辺における環境光の情報に応じてサブフレーム画像の出力を制御する。
【0061】
<装置構成>
図14は、第3実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。なお、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、補間画像生成部202、セレクタ103は第2実施形態とほぼ同様であるため、動作が第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
環境光取得部301は、補正回路1000から出力されたサブフレーム画像を表示する表示パネル(ディスプレイやプロジェクター)周辺の環境光の明るさLを取得する。そして、図15に示されるように、環境光の明るさLが高くなるにつれて制御係数αが小さくなるように設定する。
【0063】
具体的には、環境光の明るさLが低い時は図16(a)のようにα=4に設定し、環境光の明るさLが高い時は図16(b)のようにα=2に設定する。このように制御することにより、暗い環境おいて映画らしさ(ジャダー)を知覚可能な程度に残存させると共に、明るい環境においては過度のジャダーを低減することができ、動解像度を向上することが出来る。
【0064】
<装置の動作>
図17は、第3実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf102、f104〜f109、f205は第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0065】
ステップf301、f302では、LUTに基づきα=LUT(L)を算出する。上述したようにLUTは例えば図15に示されるように、環境光の明るさLに対してαが単調減少になるよう設定されている。
【0066】
以上説明したように、第3実施形態にかかる画像処理装置によれば、視聴環境周辺の環境光の明るさLに応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。特に、特許文献2の技術と比較した場合に、明るい環境下で視聴する場合により見やすい映像を提供することが出来る。
【0067】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ユーザ入力によってジャダーの振幅を制御する方法を説明する。
【0068】
<装置構成>
図18は、第4実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。動きベクトル検出部101、補間画像生成部202、セレクタ103は第3実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0069】
ユーザ入力取得部401は、制御係数αの入力をユーザから受け付けるキーボード・マウスなどの入力装置である。なお、サブフレーム画像を表示する表示パネル(ディスプレイやプロジェクター)を視聴しているユーザからインタラクティブに制御係数αの入力を受け付けるよう構成しても良い。
【0070】
<装置の動作>
図19は、第4実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf102、f104〜f109、f205は第2実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0071】
ステップf401では、ユーザ入力取得部401は、制御係数αの入力をユーザから受け付ける。そして、ステップf205以降の処理ループでのサブフレーム画像の生成および出力を制御する。
【0072】
以上説明したように、第4実施形態にかかる画像処理装置によれば、ユーザから入力された制御係数αに応じてサブフレーム画像の出力を制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0073】
(第5実施形態)
第5実施形態では、サブフレーム毎の動きベクトルに所定のゲインを加算・乗算し動き補償フレーム画像を出力することにより画像オブジェクトに少量の振動を付加する。
【0074】
<装置構成>
図20は、第5実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0075】
第5実施形態は、フレームメモリ104、動きベクトル検出部101、動きベクトル補正部501、補間画像生成部502、セレクタ201で構成される。動きベクトル補正部501は、動きベクトル検出部101で検出された動きベクトルに基づいてサブフレーム毎の部分動きベクトルである補間ベクトルVecIを算出する機能部である。そして、補間画像生成部502は、フレーム画像Framein−1と動きベクトル補正部501から入力された補間ベクトルVecIとに基づいて動き補償フレーム画像を生成する機能部である。
【0076】
振動の付加するためのサブフレーム毎のVecIを算出方法として4つの方法を説明する。なお以下の説明における制御係数αは補間ベクトルに加算又は乗算するゲインを意味しており、上述の実施形態における制御係数αとは異なる。
【0077】
<1.ゲイン積算手法>
以下の数式に従って、各サブフレームに対応する補間ベクトルにゲインα(0≦α≦1)をかける方法である。
【0078】
VecI=VecD×((n−1)/N)×α
<2.周期パターン付加手法>
補間ベクトルに周期的な加減算を行って見た目の動きに振動を付加する方法である。荒い波線で示されるように、補間フレームFramemc[n](N=1,...N−1)の動きに周期的な変動がある。これは、補間ベクトルVecIを算出する際に、検出ベクトルVecDに周期的に加減算を行っているからである。
【0079】
VecI=VecD×((n−1)/N)+α/2×sin(2π×n/N)
なお、加減算ではなく以下の数式のように周期的にゲインをかけることでも同等の出力結果が得られる。
【0080】
VecI=VecD×((n−1)/N)×(1+α×sin(2π×n/N) <3.ランダム付加手法>
以下の数式に従って、補間ベクトルに乱雑に加減算を行って見た目の動きに振動を付加する方法である。
【0081】
VecI=VecD×((n−1)/N)±α×Random
(ここで、Randomは0≦Random≦1の乱数)
なお、加減算でなくても、ランダムなゲインの積算でも同等の出力を得られる。
【0082】
VecI=VecD×((n−1)/N)×α×Random
<4.ベクトル順序置換手法>
出力する第2サブフレームから第Nサブフレームの出力順序を入れ替えても類似の効果が得られる(以下、ベクトル順序置換手法とする)。振動を付加せずに補間ベクトルを設定する場合は、サブフレームの番号nに合わせてVecI=VecD×n/Nとする。しかし、以下の数式のように補間ベクトルを他のサブフレームと入れ替えることで、少なくとも1つの隣接サブフレーム画像間の補間動きベクトルの方向が他の隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向と逆となるように振動を付加する。
【0083】
VecI=VecD×n’/N
(ここで、Nはフレームレートの変換倍率、n’は補間フレーム位置)
<装置の動作>
図22は、第5実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f105〜f109は第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0084】
ステップf501では、動きベクトル補正部501は、Count=0の場合はf502に進み、そうでない場合はf108に進む。上述したようにCount=0〜4の各々は、第mサブフレーム画像(m=1〜5)の各々に対応するため、当該ステップでは、第1サブフレーム画像か否かを判定している。
【0085】
ステップf502では、動きベクトル補正部501は、補間ベクトルを算出する。なお、上述の4つの手法の何れを用いても良い。
【0086】
<効果>
図21は、第5実施形態のフレームレート変換処理部100から出力されるサブフレーム画像におけるジャダー振幅を説明する概念図である。
【0087】
図21(a)はゲイン積算手法の出力結果を示しており、補間フレームに0.5のゲインがかけられている。これにより、視線に沿った方向(直線)に対して所定のズレて出力されていることが分かる。このズレが破線で示されており、ジャダー振幅となる。α=0.5の場合、ジャダー振幅は従来の2−3プルダウンよりも小さいため、ジャダーは低減され解像度も向上する。しかし、ジャダーが少量残存することになるため映画らしさも維持されることになる。なお、図21(b)は周期パターン付加手法の出力結果、図21(c)はランダム付加手法の出力結果をそれぞれ示している。
【0088】
また、図21(d)はベクトル順序置換手法の出力結果を表している。
【0089】
第1サブフレームを、入力されたフレーム画像の複製フレーム画像、そして、第2〜第5のサブフレーム画像をそれぞれ、n’=3,2,4,5とした結果を示している。このように、サブフレーム画像を入れ替えることによっても振動を付加することが可能であることが分かる
以上説明したように、第5実施形態にかかる画像処理装置によれば、動き補償フレームでサブフレームを生成する際に、補間位置つまり補間ベクトルにサブフレーム毎にズレを付加することによって、見た目の動きに振動を付加する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。なお、第1実施形態と第5実施形態の組み合わせとして、図23に示されるようなサブフレーム画像を生成しても良い。
【0090】
(第6実施形態)
第6実施形態では、入力フレームにおける動きベクトルと高空間周波数成分量とに応じて、サブフレーム画像に付加する振動の大きさを制御する。
【0091】
図24は、第6実施形態に係るフレームレート変換処理部のブロック図である。
【0092】
動きベクトル検出部101、補間画像生成部102、セレクタ103、エッジ検出部202は第1及び第2実施形態とほぼ同様であるため説明を省略する。なお、算出された高周波成分量High[i]は出力制御係数決定部602に入力される。
【0093】
動きベクトル補正部601は、出力制御係数決定部602から入力された制御係数αに応じて補間ベクトルを補正する。また、出力制御係数決定部602は、Paramからαを算出する際に例えば図25に示すLUTを用いる。ただし、動きベクトル補正部601においてベクトルを補正する係数に直接使用するため0≦α≦1となっている。
【0094】
図26は、第6実施形態に係るフレームレート変換処理部の動作フローチャートである。ステップf101、f102、f105〜f109は第1実施形態と同様であり、ステップf201〜204は第2実施形態と同様であり、ステップf501,502は第5実施形態と同様である。なお、図26では周期パターン付加手法を用いた例を示しているが、第5実施形態で説明した他の手法も用いてもよい。
【0095】
図27は、出力サブフレームにおけるジャダー振幅を説明する概念図である。なお、ここではゲイン積算手法の出力結果を示している。図27(a)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが小さく(例えば10画素/フレーム(24Hz))、α=0.5とした場合の出力結果である。この場合、ジャダー振幅は約4画素となる。つまり、フレーム画像に含まれるオブジェクト画像の動きが遅い場合は、α=0.5程度のジャダーは許容範囲であり解像度向上の効果がある。
【0096】
図27(b)は、入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))にもかかわらず、図27(a)の場合と同様にα=0.5とした場合の概念図である。この場合、ジャダー振幅は約12画素と大きくなり、ユーザによる視聴の障害となりうる。
【0097】
図27(c)は、第6実施形態の適用結果である。入力されたフレーム画像における動きベクトルが大きい(例えば30画素/フレーム(24Hz))場合に、αを大きく(α=0.8)している。α=0.8の場合には、ジャダー振幅はおよそ5画素となり、ジャダーの振幅が抑制され、その結果、視認解像度も向上する。
【0098】
以上説明したように、第6実施形態にかかる画像処理装置によれば、動き補償フレームでサブフレームを生成する際に、補間位置つまり補間ベクトルにサブフレーム毎にズレを付加する。その際に入力されたフレーム画像における動きベクトルおよび高周波成分量に応じてズレの大きさを制御する。これにより、ジャダーの低減と動解像度の向上、映画らしさの維持をより好適に両立させることが可能となる。
【0099】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置であって、
注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、
前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、
前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを所定の重みで乗じた値の総和に基づいて前記Nの値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の重みは、前記注目フレーム画像の各領域における高周波画像成分の量に基づいて決定されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力手段により出力される前記M個のサブフレーム画像を表示する表示装置周辺における環境光の情報を取得する取得手段を更に備え、
前記出力手段は、前記取得手段により取得された環境光の明るさに基づいて前記Nの値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記動きベクトルに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置でのM個の部分動きベクトルを生成し、M個の部分動きベクトルの各々に所定のゲインを付加し、当該ゲインが付加されたM個の部分動きベクトルと前記注目フレーム画像とに基づいて、前記動き補償フレーム画像を生成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記M個のサブフレーム画像において少なくとも1つの隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向が他の隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向と逆であるように前記ゲインを設定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置の制御方法であって、
注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出工程と、
前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成工程と、
前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置であって、
注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出手段と、
前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成手段と、
前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを所定の重みで乗じた値の総和に基づいて前記Nの値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の重みは、前記注目フレーム画像の各領域における高周波画像成分の量に基づいて決定されることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記出力手段により出力される前記M個のサブフレーム画像を表示する表示装置周辺における環境光の情報を取得する取得手段を更に備え、
前記出力手段は、前記取得手段により取得された環境光の明るさに基づいて前記Nの値を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記動きベクトルに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置でのM個の部分動きベクトルを生成し、M個の部分動きベクトルの各々に所定のゲインを付加し、当該ゲインが付加されたM個の部分動きベクトルと前記注目フレーム画像とに基づいて、前記動き補償フレーム画像を生成することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記M個のサブフレーム画像において少なくとも1つの隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向が他の隣接サブフレーム画像間の動きベクトルの方向と逆であるように前記ゲインを設定することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
動画像を構成する各フレーム画像からM個(Mは3以上の整数)のサブフレーム画像を生成し出力することによりフレームレート変換を行なう画像処理装置の制御方法であって、
注目フレーム画像と該注目フレーム画像に後続する後続フレーム画像との差分に基づいて、前記注目フレーム画像の各領域について動きベクトルを導出する導出工程と、
前記注目フレーム画像と前記動きベクトルとに基づいて、前記注目フレーム画像と前記後続フレーム画像との間の時間をM等分した時間位置での動き補償フレーム画像を生成する生成工程と、
前記M個のサブフレーム画像として、前記注目フレーム画像のN個(Nは2以上M未満の整数)の複製フレーム画像と(M−N)個の動き補償フレーム画像とを出力する出力工程と、
を備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6の何れか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図5】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図5】
【図8】
【公開番号】特開2011−188300(P2011−188300A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52194(P2010−52194)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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