画像処理装置および原稿領域判定方法
【課題】原稿領域を高精度に検出する画像処理装置を提供する。
【解決手段】原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する。そして、画像処理装置の読取部から出力された読取信号から、各画素について、複数種類の光学特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出し、算出された信号値に基づいて、対象画素が原稿台に置かれた原稿に含まれる画素であるかを判定する。
【解決手段】原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する。そして、画像処理装置の読取部から出力された読取信号から、各画素について、複数種類の光学特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出し、算出された信号値に基づいて、対象画素が原稿台に置かれた原稿に含まれる画素であるかを判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿領域を検出する画像処理装置および原稿領域判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿や写真などを光学的に読み取って電子データに変換する画像読取装置が広く知られている。近年では、単体の独立した形態のみでなく、印刷機能やデータ送受信機能、複写機能やファックス機能など多機能化された多機能装置としての形態が一般的になっている。また、それらの処理を実行するCPUやメモリ、液晶画面など、ハードリソース環境の進化は目覚しく、非常に高性能化してきている。それらを十分に活用し、ユーザに対してより快適な使用環境を提供することが重要とされている。例えば、ユーザに高度な知識がなくても、煩雑な操作を必要とせずに、高レベルな画像処理を実現する環境を提供することが重要である。
【0003】
そのような画像処理の例として、読取結果から、原稿領域を検出する原稿領域検出処理がある。特許文献1では、ガラス原稿台の下に複数のセンサを設け、各センサでの検出有無に基づき、A4やB5といったサイズを推定することが記載されている。また、特許文献2では、背景部分の色の範囲を予め保持しておき、対象部分についてその範囲に含まれるか否かを判定することで、背景と原稿領域とを区別することが記載されている。特許文献2では、さらにエッジ検出とともにサイズを推定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−20936号公報
【特許文献2】特開2001−256491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置が読み取る用紙には、いわゆる普通紙が使用されることが多い。普通紙には、古紙のリサイクルによって作られた再生紙から上質紙まで、その紙色、白色度、厚さは多種多様である。従来、再生紙は、上質紙に比べて黄色味がかったものが多かった。しかしながら、近年、再生紙でも上質紙と変わらない白さを有するものが増えてきており、白色度が高い普通紙が一般的になってきた。
【0006】
特許文献2では、保持されている背景色の色データに基づいて原稿領域の検出を行うが、背景と原稿領域の色が近接している場合には、原稿領域の検出は極めて困難となる。例えば、読取対象が写真原稿であれば、原稿紙面内ほぼ全ての領域で写真データが印刷されているので、原稿領域の検出において問題は発生し難い。
【0007】
しかしながら、読取対象が文字中心の文書原稿であれば、原稿紙面内に印刷されている領域よりも、何も印刷されていない領域が圧倒的に多い。また、画像読取装置の原稿台カバーの原稿台に接する面には白シートが使用されることが多い。これはコピーやファックス等、印刷処理を含む処理において、原稿領域以外の余白部分に対応する領域について処理する場合に無駄なインクやトナーを使わないようにするためである。
【0008】
つまり、(a)使用頻度が高い白色度が向上した普通紙、(b)印刷されていない領域が大部分を占める文書原稿の読み取り、(c)原稿台カバーの原稿台に接する面に使用される白シート、ということを考えた場合に、特許文献2では、原稿領域を正確に検出することが困難となる。その結果、原稿領域の一部が検出されなかったり、1枚の原稿を複数の領域に分割して検出してしまうことになる。
【0009】
特許文献1のセンサを利用した検出方法では、原稿の紙種や色によらずに原稿領域を検出することが可能である。しかしながら、固定位置で検出することになるので、定型サイズの原稿のみが読取対象となる。また、原稿領域の検出の際には、ユーザが、原稿を原稿台の隅や所定の突き当て部に置く必要がある。また、特許文献1のセンサを利用した検出方法では、名刺等、複数の小サイズの原稿を原稿台上に配置した場合に、サイズを誤検出することも考えられる。また、センサを装置に搭載する分、装置コストがかかってしまう。
【0010】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。本発明は、上記の点に鑑み、原稿領域を高精度に検出する画像処理装置および原稿領域判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿領域を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像読取装置の概観斜視図である。
【図2】画像読取装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】原稿領域検出処理を含む流れを示すフローチャートである。
【図5】色空間を変換する式の一例を示す図である。
【図6】原稿領域検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】原稿領域特定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】エッジ抽出フィルタの一例を示す図である。
【図10】リサイクルされていない普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図11】リサイクルされた普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図12】蛍光増白剤が添加された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図13】白圧板の分光特性の測定値を示す図である。
【図14】結合処理の一例を示す図である。
【図15】小領域の除去を説明するための図である。
【図16】小領域が除去された結果を示す図である。
【図17】原稿領域の4隅の位置の算出を説明するための図である。
【図18】実施例2における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】画素判定処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【図20】実施例3における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】原稿度の判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0015】
〔実施例1〕
[画像読取装置の構成]
図1は、本発明に係る実施例における画像読取装置の概観斜視図である。画像読取装置100は、セットした原稿を覆うように抑える原稿台カバー101と、原稿を置くための原稿台102と、セットした原稿を読み込むための原稿読取部103とを含む。ユーザが原稿台102の上に原稿を置くと、画像読取装置100は、原稿読取部103をモータ(不図示)によって駆動し、原稿読取部103内に設置されている光源およびその反射信号を検出するセンサ(不図示)によって原稿を光学的に読み取る。なお、原稿台カバー101の表面(原稿に対する面)は白色で覆われている。
【0016】
図2は、画像読取装置100の内部構成とPC等のホスト装置(情報処理装置)300の内部構成とを示すブロック図である。図2において、CPU201は、画像読取装置100全体を制御し、ROM202に記憶されたプログラムを実行する。また、ROM202は、シェーディング等の画像処理に用いられる様々なデータ等を記憶する。読取部203は、原稿画像を読み取り、赤(R)、緑(G)および青(B)色のアナログ輝度データ(読取信号)を出力する。画像処理部204では、AD変換によってアナログ輝度データをデジタル変換された読取信号値の補正や、符号化等の画像処理を行う。画像処理の際にデータの格納が必要な場合は、一時的にRAM208が用いられる。図2において、CPU301は、PC300全体を制御し、ROM302に記憶されたプログラムを実行する。また、ROM302は、画像処理に用いられる様々なデータ等を記憶する。RAM303は、画像処理の際にデータを格納する。
【0017】
操作部205は読み取りキーを備えており、ユーザによるキーの押下状態を検出すると、CPU201は各部を制御して画像読取を行う。駆動部206は、読取部203をモータ制御するためのドライバ回路を含む。PCインタフェース207は、PC300とのインタフェースである。画像読取装置100は、PCインタフェース207とPCインタフェース304を介してPC300とデータ転送を行う。データ転送の際にバッファが必要となる場合には、RAM208が用いられる。
【0018】
図3は、画像処理部204で実行される画像処理の手順を示すフローチャートである。図3に示す処理は、例えば、画像読取装置100のCPU201によって実行される。まず、読取部203で読み取られてAD変換された画像データに対して、S301においてシェーディング補正が施される。ここで、画像データは、原稿(第1の領域)に対応する第1のデータと原稿台を覆うカバー(第2の領域)に対応する第2のデータとを含む。シェーディング補正とは、予め用意された白基準となる白シートと黒基準となる黒シートを読み取り、撮像素子毎の読取信号値に基づいて撮像素子間のばらつきを補正する処理である。S302において、画像処理部204は、ガンマ補正を行う。ガンマ補正は、例えば、ROM202に予め保持されたテーブルを参照することによって実行する。S302の後、PCインタフェース207を介して、外部のPC300に対して読み取られた画像データが転送される。ここで、画像データの転送前に、データを圧縮して転送データ量を低減するようにしても良い。また、PC300との間の転送速度に応じて、適宜圧縮するか否かを切り替えるように構成しても良い。
【0019】
図4は、PC300に転送された後の、画像処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す処理は、例えば、PC300のCPU301によって実行される。S401では、CPU301は、PC300に転送された画像データに対して色変換処理を実行する。色変換処理とは、画像読取装置100固有の読取信号値を一般的な色空間に変換することである。例えば、カラーの3チャンネルである、dR、dG、dBを、一般的な色空間である、sR、sG、sBに変換する。ここで、一般的な色空間とは、色が規定された色空間を表わしており、モニタ表示上の標準とされているsRGB等がある。色空間のマッピング方法としては、幾つかの方法が知られているが、例えば図5に示すようなマトリクス計算によって実行されても良い。図5に示すような3行3列でa00〜a22の予め定められたマトリクスに基づき、sR、sG、sBを算出する。勿論、マトリクスの次数を上げたり、離散点の変換後の値をルックアップテーブルとして用意しておき、間の値を補間処理により算出する方法等によって色変換の精度を上げるようにしても良い。S402では、CPU301は、色変換処理された画像データに対して、原稿領域の検出処理を実行する。原稿領域の検出処理の詳細については後述する。S403では、CPU301は、S402で検出された原稿領域の結果に基づき、画像データのトリミング処理を行う。図4に示すような画像処理を実行することによって、画像読取装置100の原稿台102上に置かれた原稿に対応する領域のみを原稿台102上の領域全体から抽出することができる。そして、その抽出された原稿領域に対応するデータをPC300の表示装置305に送信してモニタ表示させたり、印刷装置に送信して印刷制御したりすることができる。図4に示す処理においては、画像読取装置100から、圧縮されたデータが転送された場合には、S401の前に復号化するようにしても良い。また、上記の説明では、図3と図4に示す各処理は別々の装置において実行されている。しかしながら、画像読取装置100とPC300とが一体として構成された画像処理装置において実行されても良い。以下においては、画像読取装置100とPC300との別々の装置によって、本実施例の動作を実現するとして説明する。
【0020】
図6は、S402における原稿領域検出処理の手順を示すフローチャートである。S601では、PC300のCPU301は、S401で色変換処理された画像データを入力する。S602では、入力した画像データに対して、原稿判定処理を画素単位で実行する。S603では、CPU301は、S602で画素毎で判定された結果に基づき、原稿領域を特定する。原稿領域の特定については後述するが、原稿領域内の画素であると判定された画素が予め定められた数以上で集合している領域を原稿領域として検出する。以下、S602の原稿判定処理とS603の原稿領域の特定処理について説明する。
【0021】
[原稿部判定処理]
図7は、画素判定処理の手順を示すフローチャートである。S701では、CPU301は、判定対象となる画素値を取得する。なお、本実施例においては、判定対象の画素だけでなく、その周囲の画素の画素値を参照する場合もあるので、判定対象となる画素値のみでなく、その周囲画素の画素値も取得するようにする。次に、S702、S703、S704、S705のそれぞれにおいて、エッジ、彩度、輝度、分光特性の複数種類の光学的な特性を表わす信号値によって原稿判定処理を実行する。
【0022】
[エッジ判定処理]
まず、S702では、エッジ判定処理を実行する。エッジ判定処理とは、原稿の端部と、背景となる原稿台カバー101の白シート部(以下、白圧板という)との境界を検出するための処理である。エッジ判定処理においては、周囲画素の画素値を参照することによって、対象画素がエッジ部であるか否かを判定する。
【0023】
図9は、S702において用いられるエッジ抽出フィルタの一例としてのラプラシアンフィルタを示す図である。図9の画素901は判定対象画素である。画素901の周囲の8画素それぞれに記載された係数に従ってフィルタ処理を施す。ここで、フィルタ処理とは画素値と係数との積和演算であり、フィルタ処理の結果、エッジ部分のみ際立たせた画像データを取得することができる。なお、フィルタ処理は、取得した画素値のRGB信号値それぞれに適用しても良い。また、次式(1)に従って、RGB信号を輝度信号に変換して、その輝度信号に基づきフィルタ処理を実行するようにしても良い。
【0024】
輝度Y=(0.30×R)+(0.59×G)+(0.11×B) ・・(1)
フィルタ処理後のデータに対して、予め定められた閾値と比較して2値化して、エッジ判定処理を行う。つまり、フィルタ処理後の対象データを閾値と比較することで、その対象データを閾値以上と閾値未満とに振り分ける。ここでは、閾値以上である場合には、対象画素はエッジ部であると判定し、閾値未満である場合には、対象画素は非エッジ部であると判定する。RGB信号値のそれぞれに対してフィルタ処理されていた場合には、R信号、G信号、B信号それぞれに対して2値化処理を行う。その場合には、R信号、G信号、B信号のいずれかがエッジ部であると判定された場合に、対象画素はエッジ画素であると判定する。なお、閾値は、例えば、白圧板単体を2値化して原稿の端部をエッジとして認識する度合いを鑑みて決定される。
【0025】
[彩度判定処理]
次に、S703における彩度に基づく画素判定処理について説明する。本処理では、判定対象画素の彩度によって、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、判定対象画素の彩度に基づく画素判定処理であるので、S702の処理のように、周囲画素の画素値を参照しなくても良い。まず、CPUは、取得したRGB信号値を、次式(2)及び式(3)に従って色差Cb、Crに変換する。
【0026】
色差Cb=(−0.17×R)−(0.33×G)+(0.50×B) ・・(2)
色差Cr=(0.50×R)−(0.42×G)−(0.08×B) ・・(3)
次に、変換されたCb、Crから、次式(4)に従って、彩度Sを算出する。
【0027】
彩度S=((Cb×Cb)+(Cr×Cr))1/2 ・・(4)
その後、算出された彩度Sに対して、予め定められた閾値で2値化して、彩度に基づく画素判定処理を行う。2値化してからの画素判定方法については、S702での説明と同じである。なお、閾値は、例えば、白圧板単体の彩度と原稿の彩度とを鑑みて決定される。
【0028】
[輝度判定処理]
次に、S704における輝度に基づく画素判定処理について説明する。本処理では、判定対象画素の輝度によって、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、判定対象画素の輝度に基づく画素判定処理であるので、S702の判定処理のように、周囲画素の画素値を参照しなくても良い。まず、CPUは、取得したRGB信号値を、式(1)に従って、輝度Yに変換する。その後、変換された輝度Yに対して、予め定められた閾値で2値化して、輝度に基づく画素判定処理を行う。2値化してからの画素判定方法については、S702での説明と同じである。なお、閾値は、白圧板単体の輝度と原稿の輝度とを鑑みて決定される。
【0029】
[分光特定判定処理]
次に、S705における分光特性に基づく画素判定処理について説明する。本処理では判定対象画素の分光特性を利用して、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、主として用紙(普通紙)と白圧板との分離を目的としている。
【0030】
ここで、普通紙の分光特性について説明する。図10は、リサイクルされていない、通常の製造過程を経て作製された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。普通紙は、パルプから製造される。また、パルプ状態のままである場合にはクリームがかった色となるが、その後の漂白過程、青味付け過程によって色が整えられる。
【0031】
分光特性についていうと、パルプ状態では、短波長部の反射率が低く、漂白過程で、それらがフラットな均一な特性に変化し、青味付け過程で、わずかに短波長および長波長の反射率が高くなる。即ち、分光特性は、図10に示すような特性を表わすことになる。つまり、分光特性という点では、普通紙の反射率の特徴として、短波長から順に、高、低、高と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が高く、緑成分が低く、赤成分が高いという傾向を示す。
【0032】
図11は、リサイクルされた普通紙(リサイクル用紙)の分光特性の測定値を示す図である。リサイクル用紙は、上述の普通紙と比べれば若干黄色味を呈しているので、図10の普通紙の場合に比べ、全体に低く、短波長側の反射率がやや小さくなる。このため、反射率としては、短波長から順に、低、中、高と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が低く、緑成分が中程度、赤成分が高いという傾向を示す。
【0033】
図12は、蛍光増白剤が添加された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。蛍光増白剤が添加された普通紙は、近年では一般的に市場に流通している。本普通紙の分光特性は、図12に示すように蛍光増白剤の影響によって、短波長から順に、高、低、中と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が非常に高く、緑成分が低く、赤成分が高いという傾向を示す。
【0034】
図10〜図12に示すように、緑の反射率と赤の反射率に着目すると、常に赤の反射率の方が大きいことが分かる。一方、図13は、白圧板の分光特性の測定値を示す図である。白圧板の素材には強度や耐久の点から合成樹脂が採用される場合が多く、分光特性の測定に用いた白圧板もポリプロピレンで製造されている。図13に示すように、分光特性として、短波長部を除きフラットな特性を呈している。つまり、普通紙に見られたような赤での反射率が高くなるような傾向でないことが分かる。
【0035】
以上の図10〜図13に示す分光特性を踏まえ、S705では、判定対象画素の画素値のうち、G信号値とR信号値に着目する。G信号値よりR信号値の方が大きい場合には、普通紙、つまり原稿部であると判定する。G信号値よりR信号値の方が大きい場合には、原稿を読取った信号であると判定する一方、G信号値よりR信号値の方が大きくない場合には、原稿部ではなく白圧板であると判定する。ここで、原稿に印刷されている内容のうちG信号よりR信号の方が大きくないような傾向を有している部分、例えば赤で印刷されている部分については、非原稿部として判定されてしまうことが考えられる。しかしながら、本実施例は、大部分の領域が印刷されていないテキスト文書等を対象としているので、S705の処理によって原稿領域の切り出しは十分可能である。このように、G信号値とR信号値に基づいて、原稿を読取ったか否かを判定する。あるいは、G信号値とR信号値に基づいて、原稿を読取ったか、圧板を読取ったかを判定する。
【0036】
S706においては、S702〜S705の各処理のいずれかで原稿部であると判定された場合には、S707で原稿部であると判定し、S702〜S705の全ての処理において非原稿部であると判定された場合には、S708で非原稿部であると判定する。S709においては、CPUは、全ての画素について画素判定処理を終了したか否かを判定する。ここで、全ての画素について画素判定処理を終了していないと判定された場合には、次の画素値を対象画素としてS701からの処理を行う。一方、全ての画素について画素判定処理を終了したと判定された場合には、図7に示す処理を終了する。
【0037】
[原稿領域特定処理]
次に、S603の原稿領域特定処理(原稿領域判定)について説明する。図8は、原稿領域特定処理の手順を示すフローチャートである。S801では、CPU301は、S602で判定された各画素の判定結果を取得する。S802では、CPU301は、各画素の判定結果に対して、予め定められた一定領域の単位で結合処理を行う。
【0038】
結合処理の一例を、図14を参照して説明する。図14(a)に示すように、3×3=9画素を単位として、その中で原稿部であると判定された画素をカウントする。ここで、原稿部であると判定された画素数が所定数以上の場合には、9画素全てを原稿部であると判定して塗り潰しを行う。一方、その画素数が所定数未満である場合には、塗り潰しを行わない。例えば、所定数が4であるとする。その場合には、図14(b)に示すように、原稿部であると判定された画素が4以上と判定された3×3=9画素については、全ての画素を塗り潰す。また、画素単位数を変更可能にして判定基準を変更するようにしても良い。また、3×3=9画素を1ブロックとして、さらに複数のブロックについて同様に、塗り潰しを行うようにしても良い。本実施例では、S802の結合処理によって、画素単位でばらつきをもった判定結果をまとめることができ、画素ごとでのばらつきを吸収することができる。また、他の方法によって各画素の判定結果のばらつきを吸収するようにしても良い。
【0039】
S803では、S802の結合処理の後、散在する原稿部であると判定された画素の固まり(小領域)を除去する。このような散在する小領域は、原稿領域の切り出しにおける精度を低下させる原因となり得る。ここで、小領域を除去するために様々な方法が用いられても良いが、例えば、原稿部であると判定された相隣接する画素の固まりを一単位とし、それらの面積(個数)を計測する。そして、それらの面積が一定値以下であれば、その画素の固まりを非原稿部であるとして除去する。又は、散在する画素の固まりのうち、面積の最も大きい固まり以外の領域を非原稿部であるとして除去するようにしても良い。
【0040】
図15は、小領域の除去を説明するための図である。図15に示す読取画像データ1501内の黒領域は、原稿部であると判定された画素の固まりを示す。また、白領域は、非原稿部であると判定された画素の固まりを示す。図15に示すように、一見して分かる原稿部であると判定された最も大きい固まり以外にも、原稿部であると判定された小さい画素の固まりが散在している。上述したように、一定値以下の面積である小さい固まりについては、非原稿部であるとして判定結果を変更する。図16は、そのような処理を適用した後を示す図である。図16に示すように、図15中に散在していた小さい固まりが除去されている。その結果、原稿領域のみを高精度に切り出すことが可能になる。
【0041】
S804では、切り出された原稿領域の座標位置を特定する。まず、原稿領域の4隅の位置を算出する。図17においては、4点A、B、C、Dで4隅が示されている。例えば、S803で切り出された結果、複数の領域(固まり)が存在するのであれば(例えば、原稿部であると判定された領域内に複数の非原稿部が存在する場合)、それらのうちの最大領域の4点の座標値を算出すれば良い。また、本実施例では、3×3=9画素を一単位としているが、その一単位をより小さくし、原稿部であると判定され塗りつぶしが行われた領域の角点の座標を算出するようにすれば、原稿の傾きにも対応することができる。
【0042】
以上においては、画像読取装置100のCPU201が図3の処理を実行し、PC300のCPU301が図4の処理を実行するとして説明した。しかしながら、CPU201の処理能力が十分であれば、CPU301の代わりに、CPU201が図4の処理を実行するようにしても良い。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1では、図7におけるS702〜S705のような複数の画素判定処理を行い、原稿領域であるか否かの判定精度を向上させた。一方、本実施例では、実施例1での各画素判定処理のスケーラビリティを変更することができる。以下、実施例1と異なる点についてのみを説明する。
【0044】
本実施例では、ユーザインタフェース画面を介してユーザが原稿の種類を選択する場合や、原稿を自動で読み取るADF(オート・ドキュメント・フィーダー)が用いられた場合を考慮している。つまり、普通紙原稿が用いられることが明白である場合を考慮している。
【0045】
図18は、本実施例における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図6のS602の画素判定処理に対応している。図18のS1801は、図7のS701に対応し、図18のS1803は、図7のS707に対応している。また、図18のS1804は、図7のS708に対応し、図18のS1805は、図7のS709に対応している。
【0046】
図18のS1802においては、図7のS705の処理を実行する。本実施例においては、S1802の結果のみを用いて、対象画素が原稿部であるか否かを判定する。上述のように、普通紙原稿が用いられることが明白である場合には、図18に示すような最小条件によって原稿部であるか否かの判定を行ったとしても十分に判定可能である。また、図18には最小条件の例が示されているが、S1802と並行して彩度に基づく画素判定処理を行うようにしても良い。これは、図7からS702とS704を除いた処理に対応する。彩度に基づく画素判定処理と分光特性に基づく画素判定処理とを行うことによって、分光特性のみの最小条件では検出困難な、赤色の背景を有する色背景原稿の切り出しが可能となる。
【0047】
一方、図18と逆に、画素判定条件を増やすことでより検出精度の向上を図ることもできる。図19のS1901〜S1909はそれぞれ、図7のS701〜S709に対応している。また、S1910の画素判定処理が新たに追加されている。
【0048】
S1910では、対象画素を含む一定領域について周期性を検出する。そして、その周期性が原稿の特性を呈していれば、対象画素は原稿部であると判定し、一方、周期性が検出できなければ、対象画素は非原稿部であると判定する。ここで、周期性の検出方法としては、予め定められた一定領域内において画素信号の起伏を読み取ってパターンに一致するか否かを判定しても良い。また、フーリエ変換等によってその一定領域内の空間周波数成分を抽出し、一定値以上のピーク値が周期性を以って検出された場合に、その一定領域を周期性ありとして、対象画素が原稿部であると判定するようにしても良い。
【0049】
S1910の画素判定処理は、例えば、普通紙に円グラフや棒グラフ等が印刷された場合を想定している。また、そのようなグラフ等ばかりでなく、網点パターンをもったオフセット印刷で作成された原稿等、周期性を検出できるものにS1910は適用できる。
【0050】
〔実施例3〕
実施例1と実施例2では、対象画素が原稿部であるか否かの2値判定を用いていた。本実施例では、多値による判定処理を行うことによって、より精度の向上を図ることができる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0051】
図20は、本実施例における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図6のS602での画素判定処理に対応している。図20のS2001は、図7のS701に対応し、図20のS2007は、図7のS709に対応している。S2002〜S2005は、処理に用いる評価値(光学的な特性を表わす信号値)の点では図7のS702〜S705に対応しているが、各最後の段階で実行する2値化処理の点で実施例1と異なる。
【0052】
図21の(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、S2002、S2003、S2004、S2005において原稿度を判定するためのグラフを示している。評価値取得後、それぞれに対応するグラフに基づいて原稿度を算出する。つまり、本実施例においては、予め閾値を2つ設定しておき(Th1とTh2)、それらに基づくグラフから、対象画素がどの程度の原稿度であるかを定義している。本実施例においては、両閾値の間について線形的に補間することによって原稿度を求めているが、非線形的に補間するようにして原稿度を求めるようにしても良い。
【0053】
S2006では、S2002〜S2005でそれぞれで求められた各原稿度のうち、最大値を選択して対象画素の原稿度とする。それらの原稿度は、図21から分かるように、実施例1及び2の場合のような2値ではなく多値であるので、後段に行われる結合処理や小領域除去処理の前において所定の閾値で2値化しても良い。又は、多値のまま結合処理や小領域除去処理を行っても良い。その場合には、例えば、結合処理後の画素の固まりが、原稿部である可能性(確からしさ)を表わすパラメータを有することができる。そして、その時点で2値化して、原稿領域を切り出して、図17で説明したような各座標を特定しても良い。2値化する際には、その基準となる閾値を様々に変更することによって、原稿部の切り出しの精度を柔軟に変更することができる。例えば、ユーザによるスライドバーのような切り出し精度の設定に対して、その設定値を閾値として多値の原稿度を2値化することができる。
【0054】
以上の実施例で説明した内容は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、上記の処理を1つのプロセッサにより実行する場合に限らず、複数のプロセッサにより実行する場合であってもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿領域を検出する画像処理装置および原稿領域判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿や写真などを光学的に読み取って電子データに変換する画像読取装置が広く知られている。近年では、単体の独立した形態のみでなく、印刷機能やデータ送受信機能、複写機能やファックス機能など多機能化された多機能装置としての形態が一般的になっている。また、それらの処理を実行するCPUやメモリ、液晶画面など、ハードリソース環境の進化は目覚しく、非常に高性能化してきている。それらを十分に活用し、ユーザに対してより快適な使用環境を提供することが重要とされている。例えば、ユーザに高度な知識がなくても、煩雑な操作を必要とせずに、高レベルな画像処理を実現する環境を提供することが重要である。
【0003】
そのような画像処理の例として、読取結果から、原稿領域を検出する原稿領域検出処理がある。特許文献1では、ガラス原稿台の下に複数のセンサを設け、各センサでの検出有無に基づき、A4やB5といったサイズを推定することが記載されている。また、特許文献2では、背景部分の色の範囲を予め保持しておき、対象部分についてその範囲に含まれるか否かを判定することで、背景と原稿領域とを区別することが記載されている。特許文献2では、さらにエッジ検出とともにサイズを推定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−20936号公報
【特許文献2】特開2001−256491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置が読み取る用紙には、いわゆる普通紙が使用されることが多い。普通紙には、古紙のリサイクルによって作られた再生紙から上質紙まで、その紙色、白色度、厚さは多種多様である。従来、再生紙は、上質紙に比べて黄色味がかったものが多かった。しかしながら、近年、再生紙でも上質紙と変わらない白さを有するものが増えてきており、白色度が高い普通紙が一般的になってきた。
【0006】
特許文献2では、保持されている背景色の色データに基づいて原稿領域の検出を行うが、背景と原稿領域の色が近接している場合には、原稿領域の検出は極めて困難となる。例えば、読取対象が写真原稿であれば、原稿紙面内ほぼ全ての領域で写真データが印刷されているので、原稿領域の検出において問題は発生し難い。
【0007】
しかしながら、読取対象が文字中心の文書原稿であれば、原稿紙面内に印刷されている領域よりも、何も印刷されていない領域が圧倒的に多い。また、画像読取装置の原稿台カバーの原稿台に接する面には白シートが使用されることが多い。これはコピーやファックス等、印刷処理を含む処理において、原稿領域以外の余白部分に対応する領域について処理する場合に無駄なインクやトナーを使わないようにするためである。
【0008】
つまり、(a)使用頻度が高い白色度が向上した普通紙、(b)印刷されていない領域が大部分を占める文書原稿の読み取り、(c)原稿台カバーの原稿台に接する面に使用される白シート、ということを考えた場合に、特許文献2では、原稿領域を正確に検出することが困難となる。その結果、原稿領域の一部が検出されなかったり、1枚の原稿を複数の領域に分割して検出してしまうことになる。
【0009】
特許文献1のセンサを利用した検出方法では、原稿の紙種や色によらずに原稿領域を検出することが可能である。しかしながら、固定位置で検出することになるので、定型サイズの原稿のみが読取対象となる。また、原稿領域の検出の際には、ユーザが、原稿を原稿台の隅や所定の突き当て部に置く必要がある。また、特許文献1のセンサを利用した検出方法では、名刺等、複数の小サイズの原稿を原稿台上に配置した場合に、サイズを誤検出することも考えられる。また、センサを装置に搭載する分、装置コストがかかってしまう。
【0010】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。本発明は、上記の点に鑑み、原稿領域を高精度に検出する画像処理装置および原稿領域判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像処理装置は、画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原稿領域を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像読取装置の概観斜視図である。
【図2】画像読取装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】原稿領域検出処理を含む流れを示すフローチャートである。
【図5】色空間を変換する式の一例を示す図である。
【図6】原稿領域検出処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】実施例1における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】原稿領域特定処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】エッジ抽出フィルタの一例を示す図である。
【図10】リサイクルされていない普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図11】リサイクルされた普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図12】蛍光増白剤が添加された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。
【図13】白圧板の分光特性の測定値を示す図である。
【図14】結合処理の一例を示す図である。
【図15】小領域の除去を説明するための図である。
【図16】小領域が除去された結果を示す図である。
【図17】原稿領域の4隅の位置の算出を説明するための図である。
【図18】実施例2における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図19】画素判定処理の手順の他の例を示すフローチャートである。
【図20】実施例3における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】原稿度の判定を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0015】
〔実施例1〕
[画像読取装置の構成]
図1は、本発明に係る実施例における画像読取装置の概観斜視図である。画像読取装置100は、セットした原稿を覆うように抑える原稿台カバー101と、原稿を置くための原稿台102と、セットした原稿を読み込むための原稿読取部103とを含む。ユーザが原稿台102の上に原稿を置くと、画像読取装置100は、原稿読取部103をモータ(不図示)によって駆動し、原稿読取部103内に設置されている光源およびその反射信号を検出するセンサ(不図示)によって原稿を光学的に読み取る。なお、原稿台カバー101の表面(原稿に対する面)は白色で覆われている。
【0016】
図2は、画像読取装置100の内部構成とPC等のホスト装置(情報処理装置)300の内部構成とを示すブロック図である。図2において、CPU201は、画像読取装置100全体を制御し、ROM202に記憶されたプログラムを実行する。また、ROM202は、シェーディング等の画像処理に用いられる様々なデータ等を記憶する。読取部203は、原稿画像を読み取り、赤(R)、緑(G)および青(B)色のアナログ輝度データ(読取信号)を出力する。画像処理部204では、AD変換によってアナログ輝度データをデジタル変換された読取信号値の補正や、符号化等の画像処理を行う。画像処理の際にデータの格納が必要な場合は、一時的にRAM208が用いられる。図2において、CPU301は、PC300全体を制御し、ROM302に記憶されたプログラムを実行する。また、ROM302は、画像処理に用いられる様々なデータ等を記憶する。RAM303は、画像処理の際にデータを格納する。
【0017】
操作部205は読み取りキーを備えており、ユーザによるキーの押下状態を検出すると、CPU201は各部を制御して画像読取を行う。駆動部206は、読取部203をモータ制御するためのドライバ回路を含む。PCインタフェース207は、PC300とのインタフェースである。画像読取装置100は、PCインタフェース207とPCインタフェース304を介してPC300とデータ転送を行う。データ転送の際にバッファが必要となる場合には、RAM208が用いられる。
【0018】
図3は、画像処理部204で実行される画像処理の手順を示すフローチャートである。図3に示す処理は、例えば、画像読取装置100のCPU201によって実行される。まず、読取部203で読み取られてAD変換された画像データに対して、S301においてシェーディング補正が施される。ここで、画像データは、原稿(第1の領域)に対応する第1のデータと原稿台を覆うカバー(第2の領域)に対応する第2のデータとを含む。シェーディング補正とは、予め用意された白基準となる白シートと黒基準となる黒シートを読み取り、撮像素子毎の読取信号値に基づいて撮像素子間のばらつきを補正する処理である。S302において、画像処理部204は、ガンマ補正を行う。ガンマ補正は、例えば、ROM202に予め保持されたテーブルを参照することによって実行する。S302の後、PCインタフェース207を介して、外部のPC300に対して読み取られた画像データが転送される。ここで、画像データの転送前に、データを圧縮して転送データ量を低減するようにしても良い。また、PC300との間の転送速度に応じて、適宜圧縮するか否かを切り替えるように構成しても良い。
【0019】
図4は、PC300に転送された後の、画像処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す処理は、例えば、PC300のCPU301によって実行される。S401では、CPU301は、PC300に転送された画像データに対して色変換処理を実行する。色変換処理とは、画像読取装置100固有の読取信号値を一般的な色空間に変換することである。例えば、カラーの3チャンネルである、dR、dG、dBを、一般的な色空間である、sR、sG、sBに変換する。ここで、一般的な色空間とは、色が規定された色空間を表わしており、モニタ表示上の標準とされているsRGB等がある。色空間のマッピング方法としては、幾つかの方法が知られているが、例えば図5に示すようなマトリクス計算によって実行されても良い。図5に示すような3行3列でa00〜a22の予め定められたマトリクスに基づき、sR、sG、sBを算出する。勿論、マトリクスの次数を上げたり、離散点の変換後の値をルックアップテーブルとして用意しておき、間の値を補間処理により算出する方法等によって色変換の精度を上げるようにしても良い。S402では、CPU301は、色変換処理された画像データに対して、原稿領域の検出処理を実行する。原稿領域の検出処理の詳細については後述する。S403では、CPU301は、S402で検出された原稿領域の結果に基づき、画像データのトリミング処理を行う。図4に示すような画像処理を実行することによって、画像読取装置100の原稿台102上に置かれた原稿に対応する領域のみを原稿台102上の領域全体から抽出することができる。そして、その抽出された原稿領域に対応するデータをPC300の表示装置305に送信してモニタ表示させたり、印刷装置に送信して印刷制御したりすることができる。図4に示す処理においては、画像読取装置100から、圧縮されたデータが転送された場合には、S401の前に復号化するようにしても良い。また、上記の説明では、図3と図4に示す各処理は別々の装置において実行されている。しかしながら、画像読取装置100とPC300とが一体として構成された画像処理装置において実行されても良い。以下においては、画像読取装置100とPC300との別々の装置によって、本実施例の動作を実現するとして説明する。
【0020】
図6は、S402における原稿領域検出処理の手順を示すフローチャートである。S601では、PC300のCPU301は、S401で色変換処理された画像データを入力する。S602では、入力した画像データに対して、原稿判定処理を画素単位で実行する。S603では、CPU301は、S602で画素毎で判定された結果に基づき、原稿領域を特定する。原稿領域の特定については後述するが、原稿領域内の画素であると判定された画素が予め定められた数以上で集合している領域を原稿領域として検出する。以下、S602の原稿判定処理とS603の原稿領域の特定処理について説明する。
【0021】
[原稿部判定処理]
図7は、画素判定処理の手順を示すフローチャートである。S701では、CPU301は、判定対象となる画素値を取得する。なお、本実施例においては、判定対象の画素だけでなく、その周囲の画素の画素値を参照する場合もあるので、判定対象となる画素値のみでなく、その周囲画素の画素値も取得するようにする。次に、S702、S703、S704、S705のそれぞれにおいて、エッジ、彩度、輝度、分光特性の複数種類の光学的な特性を表わす信号値によって原稿判定処理を実行する。
【0022】
[エッジ判定処理]
まず、S702では、エッジ判定処理を実行する。エッジ判定処理とは、原稿の端部と、背景となる原稿台カバー101の白シート部(以下、白圧板という)との境界を検出するための処理である。エッジ判定処理においては、周囲画素の画素値を参照することによって、対象画素がエッジ部であるか否かを判定する。
【0023】
図9は、S702において用いられるエッジ抽出フィルタの一例としてのラプラシアンフィルタを示す図である。図9の画素901は判定対象画素である。画素901の周囲の8画素それぞれに記載された係数に従ってフィルタ処理を施す。ここで、フィルタ処理とは画素値と係数との積和演算であり、フィルタ処理の結果、エッジ部分のみ際立たせた画像データを取得することができる。なお、フィルタ処理は、取得した画素値のRGB信号値それぞれに適用しても良い。また、次式(1)に従って、RGB信号を輝度信号に変換して、その輝度信号に基づきフィルタ処理を実行するようにしても良い。
【0024】
輝度Y=(0.30×R)+(0.59×G)+(0.11×B) ・・(1)
フィルタ処理後のデータに対して、予め定められた閾値と比較して2値化して、エッジ判定処理を行う。つまり、フィルタ処理後の対象データを閾値と比較することで、その対象データを閾値以上と閾値未満とに振り分ける。ここでは、閾値以上である場合には、対象画素はエッジ部であると判定し、閾値未満である場合には、対象画素は非エッジ部であると判定する。RGB信号値のそれぞれに対してフィルタ処理されていた場合には、R信号、G信号、B信号それぞれに対して2値化処理を行う。その場合には、R信号、G信号、B信号のいずれかがエッジ部であると判定された場合に、対象画素はエッジ画素であると判定する。なお、閾値は、例えば、白圧板単体を2値化して原稿の端部をエッジとして認識する度合いを鑑みて決定される。
【0025】
[彩度判定処理]
次に、S703における彩度に基づく画素判定処理について説明する。本処理では、判定対象画素の彩度によって、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、判定対象画素の彩度に基づく画素判定処理であるので、S702の処理のように、周囲画素の画素値を参照しなくても良い。まず、CPUは、取得したRGB信号値を、次式(2)及び式(3)に従って色差Cb、Crに変換する。
【0026】
色差Cb=(−0.17×R)−(0.33×G)+(0.50×B) ・・(2)
色差Cr=(0.50×R)−(0.42×G)−(0.08×B) ・・(3)
次に、変換されたCb、Crから、次式(4)に従って、彩度Sを算出する。
【0027】
彩度S=((Cb×Cb)+(Cr×Cr))1/2 ・・(4)
その後、算出された彩度Sに対して、予め定められた閾値で2値化して、彩度に基づく画素判定処理を行う。2値化してからの画素判定方法については、S702での説明と同じである。なお、閾値は、例えば、白圧板単体の彩度と原稿の彩度とを鑑みて決定される。
【0028】
[輝度判定処理]
次に、S704における輝度に基づく画素判定処理について説明する。本処理では、判定対象画素の輝度によって、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、判定対象画素の輝度に基づく画素判定処理であるので、S702の判定処理のように、周囲画素の画素値を参照しなくても良い。まず、CPUは、取得したRGB信号値を、式(1)に従って、輝度Yに変換する。その後、変換された輝度Yに対して、予め定められた閾値で2値化して、輝度に基づく画素判定処理を行う。2値化してからの画素判定方法については、S702での説明と同じである。なお、閾値は、白圧板単体の輝度と原稿の輝度とを鑑みて決定される。
【0029】
[分光特定判定処理]
次に、S705における分光特性に基づく画素判定処理について説明する。本処理では判定対象画素の分光特性を利用して、その画素が原稿部であるか否かを判定する。本処理は、主として用紙(普通紙)と白圧板との分離を目的としている。
【0030】
ここで、普通紙の分光特性について説明する。図10は、リサイクルされていない、通常の製造過程を経て作製された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。普通紙は、パルプから製造される。また、パルプ状態のままである場合にはクリームがかった色となるが、その後の漂白過程、青味付け過程によって色が整えられる。
【0031】
分光特性についていうと、パルプ状態では、短波長部の反射率が低く、漂白過程で、それらがフラットな均一な特性に変化し、青味付け過程で、わずかに短波長および長波長の反射率が高くなる。即ち、分光特性は、図10に示すような特性を表わすことになる。つまり、分光特性という点では、普通紙の反射率の特徴として、短波長から順に、高、低、高と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が高く、緑成分が低く、赤成分が高いという傾向を示す。
【0032】
図11は、リサイクルされた普通紙(リサイクル用紙)の分光特性の測定値を示す図である。リサイクル用紙は、上述の普通紙と比べれば若干黄色味を呈しているので、図10の普通紙の場合に比べ、全体に低く、短波長側の反射率がやや小さくなる。このため、反射率としては、短波長から順に、低、中、高と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が低く、緑成分が中程度、赤成分が高いという傾向を示す。
【0033】
図12は、蛍光増白剤が添加された普通紙の分光特性の測定値を示す図である。蛍光増白剤が添加された普通紙は、近年では一般的に市場に流通している。本普通紙の分光特性は、図12に示すように蛍光増白剤の影響によって、短波長から順に、高、低、中と変化する。色で言い換えると、青成分の反射率が非常に高く、緑成分が低く、赤成分が高いという傾向を示す。
【0034】
図10〜図12に示すように、緑の反射率と赤の反射率に着目すると、常に赤の反射率の方が大きいことが分かる。一方、図13は、白圧板の分光特性の測定値を示す図である。白圧板の素材には強度や耐久の点から合成樹脂が採用される場合が多く、分光特性の測定に用いた白圧板もポリプロピレンで製造されている。図13に示すように、分光特性として、短波長部を除きフラットな特性を呈している。つまり、普通紙に見られたような赤での反射率が高くなるような傾向でないことが分かる。
【0035】
以上の図10〜図13に示す分光特性を踏まえ、S705では、判定対象画素の画素値のうち、G信号値とR信号値に着目する。G信号値よりR信号値の方が大きい場合には、普通紙、つまり原稿部であると判定する。G信号値よりR信号値の方が大きい場合には、原稿を読取った信号であると判定する一方、G信号値よりR信号値の方が大きくない場合には、原稿部ではなく白圧板であると判定する。ここで、原稿に印刷されている内容のうちG信号よりR信号の方が大きくないような傾向を有している部分、例えば赤で印刷されている部分については、非原稿部として判定されてしまうことが考えられる。しかしながら、本実施例は、大部分の領域が印刷されていないテキスト文書等を対象としているので、S705の処理によって原稿領域の切り出しは十分可能である。このように、G信号値とR信号値に基づいて、原稿を読取ったか否かを判定する。あるいは、G信号値とR信号値に基づいて、原稿を読取ったか、圧板を読取ったかを判定する。
【0036】
S706においては、S702〜S705の各処理のいずれかで原稿部であると判定された場合には、S707で原稿部であると判定し、S702〜S705の全ての処理において非原稿部であると判定された場合には、S708で非原稿部であると判定する。S709においては、CPUは、全ての画素について画素判定処理を終了したか否かを判定する。ここで、全ての画素について画素判定処理を終了していないと判定された場合には、次の画素値を対象画素としてS701からの処理を行う。一方、全ての画素について画素判定処理を終了したと判定された場合には、図7に示す処理を終了する。
【0037】
[原稿領域特定処理]
次に、S603の原稿領域特定処理(原稿領域判定)について説明する。図8は、原稿領域特定処理の手順を示すフローチャートである。S801では、CPU301は、S602で判定された各画素の判定結果を取得する。S802では、CPU301は、各画素の判定結果に対して、予め定められた一定領域の単位で結合処理を行う。
【0038】
結合処理の一例を、図14を参照して説明する。図14(a)に示すように、3×3=9画素を単位として、その中で原稿部であると判定された画素をカウントする。ここで、原稿部であると判定された画素数が所定数以上の場合には、9画素全てを原稿部であると判定して塗り潰しを行う。一方、その画素数が所定数未満である場合には、塗り潰しを行わない。例えば、所定数が4であるとする。その場合には、図14(b)に示すように、原稿部であると判定された画素が4以上と判定された3×3=9画素については、全ての画素を塗り潰す。また、画素単位数を変更可能にして判定基準を変更するようにしても良い。また、3×3=9画素を1ブロックとして、さらに複数のブロックについて同様に、塗り潰しを行うようにしても良い。本実施例では、S802の結合処理によって、画素単位でばらつきをもった判定結果をまとめることができ、画素ごとでのばらつきを吸収することができる。また、他の方法によって各画素の判定結果のばらつきを吸収するようにしても良い。
【0039】
S803では、S802の結合処理の後、散在する原稿部であると判定された画素の固まり(小領域)を除去する。このような散在する小領域は、原稿領域の切り出しにおける精度を低下させる原因となり得る。ここで、小領域を除去するために様々な方法が用いられても良いが、例えば、原稿部であると判定された相隣接する画素の固まりを一単位とし、それらの面積(個数)を計測する。そして、それらの面積が一定値以下であれば、その画素の固まりを非原稿部であるとして除去する。又は、散在する画素の固まりのうち、面積の最も大きい固まり以外の領域を非原稿部であるとして除去するようにしても良い。
【0040】
図15は、小領域の除去を説明するための図である。図15に示す読取画像データ1501内の黒領域は、原稿部であると判定された画素の固まりを示す。また、白領域は、非原稿部であると判定された画素の固まりを示す。図15に示すように、一見して分かる原稿部であると判定された最も大きい固まり以外にも、原稿部であると判定された小さい画素の固まりが散在している。上述したように、一定値以下の面積である小さい固まりについては、非原稿部であるとして判定結果を変更する。図16は、そのような処理を適用した後を示す図である。図16に示すように、図15中に散在していた小さい固まりが除去されている。その結果、原稿領域のみを高精度に切り出すことが可能になる。
【0041】
S804では、切り出された原稿領域の座標位置を特定する。まず、原稿領域の4隅の位置を算出する。図17においては、4点A、B、C、Dで4隅が示されている。例えば、S803で切り出された結果、複数の領域(固まり)が存在するのであれば(例えば、原稿部であると判定された領域内に複数の非原稿部が存在する場合)、それらのうちの最大領域の4点の座標値を算出すれば良い。また、本実施例では、3×3=9画素を一単位としているが、その一単位をより小さくし、原稿部であると判定され塗りつぶしが行われた領域の角点の座標を算出するようにすれば、原稿の傾きにも対応することができる。
【0042】
以上においては、画像読取装置100のCPU201が図3の処理を実行し、PC300のCPU301が図4の処理を実行するとして説明した。しかしながら、CPU201の処理能力が十分であれば、CPU301の代わりに、CPU201が図4の処理を実行するようにしても良い。
【0043】
〔実施例2〕
実施例1では、図7におけるS702〜S705のような複数の画素判定処理を行い、原稿領域であるか否かの判定精度を向上させた。一方、本実施例では、実施例1での各画素判定処理のスケーラビリティを変更することができる。以下、実施例1と異なる点についてのみを説明する。
【0044】
本実施例では、ユーザインタフェース画面を介してユーザが原稿の種類を選択する場合や、原稿を自動で読み取るADF(オート・ドキュメント・フィーダー)が用いられた場合を考慮している。つまり、普通紙原稿が用いられることが明白である場合を考慮している。
【0045】
図18は、本実施例における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図6のS602の画素判定処理に対応している。図18のS1801は、図7のS701に対応し、図18のS1803は、図7のS707に対応している。また、図18のS1804は、図7のS708に対応し、図18のS1805は、図7のS709に対応している。
【0046】
図18のS1802においては、図7のS705の処理を実行する。本実施例においては、S1802の結果のみを用いて、対象画素が原稿部であるか否かを判定する。上述のように、普通紙原稿が用いられることが明白である場合には、図18に示すような最小条件によって原稿部であるか否かの判定を行ったとしても十分に判定可能である。また、図18には最小条件の例が示されているが、S1802と並行して彩度に基づく画素判定処理を行うようにしても良い。これは、図7からS702とS704を除いた処理に対応する。彩度に基づく画素判定処理と分光特性に基づく画素判定処理とを行うことによって、分光特性のみの最小条件では検出困難な、赤色の背景を有する色背景原稿の切り出しが可能となる。
【0047】
一方、図18と逆に、画素判定条件を増やすことでより検出精度の向上を図ることもできる。図19のS1901〜S1909はそれぞれ、図7のS701〜S709に対応している。また、S1910の画素判定処理が新たに追加されている。
【0048】
S1910では、対象画素を含む一定領域について周期性を検出する。そして、その周期性が原稿の特性を呈していれば、対象画素は原稿部であると判定し、一方、周期性が検出できなければ、対象画素は非原稿部であると判定する。ここで、周期性の検出方法としては、予め定められた一定領域内において画素信号の起伏を読み取ってパターンに一致するか否かを判定しても良い。また、フーリエ変換等によってその一定領域内の空間周波数成分を抽出し、一定値以上のピーク値が周期性を以って検出された場合に、その一定領域を周期性ありとして、対象画素が原稿部であると判定するようにしても良い。
【0049】
S1910の画素判定処理は、例えば、普通紙に円グラフや棒グラフ等が印刷された場合を想定している。また、そのようなグラフ等ばかりでなく、網点パターンをもったオフセット印刷で作成された原稿等、周期性を検出できるものにS1910は適用できる。
【0050】
〔実施例3〕
実施例1と実施例2では、対象画素が原稿部であるか否かの2値判定を用いていた。本実施例では、多値による判定処理を行うことによって、より精度の向上を図ることができる。以下、実施例1と異なる点について説明する。
【0051】
図20は、本実施例における画素判定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、図6のS602での画素判定処理に対応している。図20のS2001は、図7のS701に対応し、図20のS2007は、図7のS709に対応している。S2002〜S2005は、処理に用いる評価値(光学的な特性を表わす信号値)の点では図7のS702〜S705に対応しているが、各最後の段階で実行する2値化処理の点で実施例1と異なる。
【0052】
図21の(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ、S2002、S2003、S2004、S2005において原稿度を判定するためのグラフを示している。評価値取得後、それぞれに対応するグラフに基づいて原稿度を算出する。つまり、本実施例においては、予め閾値を2つ設定しておき(Th1とTh2)、それらに基づくグラフから、対象画素がどの程度の原稿度であるかを定義している。本実施例においては、両閾値の間について線形的に補間することによって原稿度を求めているが、非線形的に補間するようにして原稿度を求めるようにしても良い。
【0053】
S2006では、S2002〜S2005でそれぞれで求められた各原稿度のうち、最大値を選択して対象画素の原稿度とする。それらの原稿度は、図21から分かるように、実施例1及び2の場合のような2値ではなく多値であるので、後段に行われる結合処理や小領域除去処理の前において所定の閾値で2値化しても良い。又は、多値のまま結合処理や小領域除去処理を行っても良い。その場合には、例えば、結合処理後の画素の固まりが、原稿部である可能性(確からしさ)を表わすパラメータを有することができる。そして、その時点で2値化して、原稿領域を切り出して、図17で説明したような各座標を特定しても良い。2値化する際には、その基準となる閾値を様々に変更することによって、原稿部の切り出しの精度を柔軟に変更することができる。例えば、ユーザによるスライドバーのような切り出し精度の設定に対して、その設定値を閾値として多値の原稿度を2値化することができる。
【0054】
以上の実施例で説明した内容は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。また、上記の処理を1つのプロセッサにより実行する場合に限らず、複数のプロセッサにより実行する場合であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学的な特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段による判定結果から原稿領域を検出する検出手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記信号値は、RGB信号のR信号値とG信号値であり、
前記判定手段は、前記R信号値と前記G信号値とに基づいて、前記対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記カバーの表面の色は、白色を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記信号値は、彩度と輝度のうち少なくとも1つを表わし、
前記判定手段は、前記彩度または前記輝度を閾値と比較し、前記対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であると判定され且つ予め定められた数以上の前記対象画素が集合している領域を前記原稿領域として検出することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿領域判定方法であって、
画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学的な特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とする原稿領域判定方法。
【請求項8】
前記読取部は、前記原稿台に置かれた前記原稿に対応する第1の領域と、前記カバーに対応する第2の領域を光学的に読み取ることを特徴とする請求項7に記載の原稿領域判定方法。
【請求項1】
画像処理装置であって、
画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学的な特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段による判定結果から原稿領域を検出する検出手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記信号値は、RGB信号のR信号値とG信号値であり、
前記判定手段は、前記R信号値と前記G信号値とに基づいて、前記対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記カバーの表面の色は、白色を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記信号値は、彩度と輝度のうち少なくとも1つを表わし、
前記判定手段は、前記彩度または前記輝度を閾値と比較し、前記対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であると判定され且つ予め定められた数以上の前記対象画素が集合している領域を前記原稿領域として検出することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
原稿領域判定方法であって、
画像読取装置の原稿台に置かれた原稿に対応する第1のデータと、前記原稿台を覆うカバーに対応する第2のデータとを含む画像データを取得する取得工程と、
前記取得工程において取得された前記画像データの各画素について、複数種類の光学的な特性のうち少なくとも1つを表わす信号値を算出する算出工程と、
前記算出工程において算出された前記信号値に基づいて、対象画素が前記原稿台に置かれた前記原稿に含まれる画素であるか否かを判定する判定工程と、
を有することを特徴とする原稿領域判定方法。
【請求項8】
前記読取部は、前記原稿台に置かれた前記原稿に対応する第1の領域と、前記カバーに対応する第2の領域を光学的に読み取ることを特徴とする請求項7に記載の原稿領域判定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−102425(P2013−102425A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231217(P2012−231217)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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