説明

画像処理装置および撮影システム

【課題】画像を見易く表示させるとともに、操作性を向上させる。
【解決手段】表示部41には、観察対象の試料を被写体とする観察画像が表示される。また、表示部41の表示画面には、ユーザの表示画面への接触を検出するタッチパネル42が重畳されている。カメラ制御機器は、表示画面のうち、表示画面の端付近の左上領域71乃至右下領域74のそれぞれを、ユーザの接触による入力操作を有効とする有効領域とし、他の領域は、ユーザが接触しても、その接触による入力操作を無効とする無効領域とする。そして、カメラ制御機器は、表示画面に観察画像のみが表示されている状態において、有効領域へのユーザの接触を検出すると、その領域に対して予め定められたメニューを表示させる。本発明は、画像表示装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置および撮影システムに関し、特に、画像を見易く表示させるとともに、操作性を向上させることができるようにした画像処理装置および撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、顕微鏡で観察対象を観察するときに、顕微鏡に接続された画像表示装置に、顕微鏡で撮影された観察画像を表示させ、その観察画像を保存したり観察画像を加工したりするなど、観察画像を表示させたまま各種の処理を実行させたい場合がある。
【0003】
そのような場合、タッチパネルを備えた画像表示装置を利用すれば、ユーザは、表示画面に表示された、各種の処理を実行させるためのボタンを操作するだけで、簡単に処理の実行を指示することができる。一般に、タッチパネルを備えた画像表示装置では、アイコン等のグラフィカルなスイッチボタンが表示され、これらのボタンの操作により、多彩な機能を実現できるようになされている。
【0004】
このような画像表示装置には、予め定められた領域にボタンを表示させておき、表示画面における、そのボタンを囲む領域、つまりボタンよりも広い所定の領域内の任意の位置にユーザが接触したときに、ボタンへの操作がされたとして、処理を行うものもある(例えば、特許文献1参照)。また、画像表示装置には、表示画面に観察画像が表示された状態において、ユーザが表示画面の任意の位置に接触したときに、ボタンやメニューを表示させるものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−131917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、予めボタンを表示させる画像表示装置では、ボタンの表示によって、表示画面における観察画像を表示可能な領域が狭くなってしまい、ユーザに観察画像やボタンを見易く表示させることができなかった。
【0007】
また、表示画面への接触が検出されたときに、ボタンやメニューを表示する画像表示装置では、ユーザが観察画像上の位置を指し示すために表示画面に触れた場合など、ユーザが意図しない場合にもボタン等が表示されてしまい、不便であった。このような画像表示装置では、ユーザが所望するときにのみ、ボタンが表示されるようにするには、タッチパネルへの入力操作を受け付けないようにする物理的なスイッチを設けたり、ソフトウェアにより、入力操作を一時的に無効とするように設定したりする必要があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、タッチパネルを備えた表示装置に画像を表示する場合に、その画像をより見易く表示するとともに、操作性を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像処理装置は、画像を表示する表示手段と、前記表示手段の表示画面に重畳されて設けられ、前記表示画面へのユーザの接触を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルにおける特定領域への接触のみを有効な操作とし、前記タッチパネルによる検出結果に基づいて、前記特定領域への前記ユーザの接触を検出する検出手段と、所定の画像が前記表示手段に表示されている状態で、前記特定領域への接触が検出された場合、前記所定の画像とともに、前記特定領域に対して予め定められた特定画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タッチパネルを備えた表示装置に画像を表示する場合に、その画像をより見易く表示するとともに、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用した撮影システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【図2】カメラ制御機器の構成例を示す図である。
【図3】有効領域と無効領域について説明する図である。
【図4】メニューの表示例を示す図である。
【図5】接触位置検出処理を説明するフローチャートである。
【図6】左上領域に対応するメニュー表示処理を説明するフローチャートである。
【図7】撮影システムの他の実施の形態の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明を適用した撮影システムの一実施の形態の構成例を示す図である。
【0014】
この撮影システムは、顕微鏡11、カメラ12、およびカメラ制御機器13から構成される。
【0015】
顕微鏡11は、観察対象の試料を載置するステージや、試料に照明光を照射する光源、試料からの照明光を集光してカメラ12に導く結像光学系などからなり、試料の観察を行う。すなわち、顕微鏡11は、照明光を試料に照射するとともに、試料からの照明光を集光してカメラ12に入射させる。
【0016】
カメラ12は、顕微鏡11に固定され、顕微鏡11の結像光学系による像を撮像することで、試料を被写体とする観察画像を撮影する。カメラ12により撮影された観察画像は、カメラ12からカメラ制御機器13に供給される。カメラ制御機器13は、カメラ12から供給された観察画像を表示したり、ユーザの操作を受け付けて、その操作に応じた処理を実行したりする。
【0017】
図1のカメラ制御機器13は、より詳細には、図2に示すように構成される。すなわち、カメラ制御機器13は、表示部41、タッチパネル42、接触位置検出部43、記録部44、制御部45、および画像信号生成部46から構成される。
【0018】
表示部41は、例えば液晶ディスプレイなどからなり、その表示画面に観察画像などの各種の画像を表示する。タッチパネル42は、表示部41の表示画面に重畳して設けられている。タッチパネル42は、ユーザの表示画面(タッチパネル42)への接触を検出し、その検出結果として、表示画面におけるユーザの接触位置を示す信号を接触位置検出部43に供給する。
【0019】
接触位置検出部43は、タッチパネル42から供給される信号に基づいて、表示画面における、予め定められた特定領域へのユーザの接触を検出し、その検出結果を制御部45に供給する。また、接触位置検出部43は、制御部45の制御に従って、タッチパネル42における有効領域および無効領域の設定を行う。
【0020】
ここで、有効領域とは、タッチパネル42における領域にあって、ユーザの接触による入力操作が有効な操作として受け付けられる領域をいう。また、無効領域とは、タッチパネル42における領域であって、ユーザの接触による入力操作が無効な操作であるとして受け付けられない領域をいう。つまり、表示画面において、ユーザが有効領域とされた領域に触れたうえで、更に所定の動作を指示すると、その指示が受け付けられて、指示に応じた処理が実行される。また、表示画面において、ユーザが無効領域とされた領域に触れても、何も処理が実行されることはない。
【0021】
記録部44は、制御部45を介して供給された、カメラ12により撮影された観察画像、表示部41に表示させるGUI(Graphical User Interface)のボタンやメニューの画像、所定の処理を実行するプログラムなどを記録する。
【0022】
制御部45は、カメラ制御機器13の全体の動作を制御する。例えば、制御部45は、カメラ12から観察画像を取得して記録部44または画像信号生成部46に供給したり、接触位置検出部43からの検出結果に応じて、所定の処理を実行したりする。画像信号生成部46は、制御部45からの制御に従って、表示部41の表示画面に画像を表示させる。
【0023】
ところで、ユーザの操作により観察画像の表示が指示されると、制御部45は、カメラ12から取得した観察画像、またはカメラ12から記録部44に供給されて、記録部44に記録されている観察画像を画像信号生成部46に供給する。すると、画像信号生成部46は、制御部45から供給された観察画像を表示部41に供給し、表示画面に観察画像を表示させる。
【0024】
これにより、表示部41の表示画面には、例えば図3に示す観察画像が表示される。図3の例では、表示部41の表示画面には、その中央部分に、観察画像としての細胞の画像が表示されている。この状態においては、表示画面には、カメラ制御機器13に各種の処理(機能)を実行させるためのメニューやボタンは表示されていない。しかし、このカメラ制御機器13では、タッチパネル42の全領域を使って表示画面上の位置を特定し、その位置に表示されたアイコンや画像の示す処理を実行する機能を有している。
【0025】
また、制御部45は、カメラ制御機器13の電源がオンされると、接触位置検出部43に対して、表示部41の表示画面の四隅近傍の予め定められた領域、具体的には、左上領域71、左下領域72、右上領域73、および右下領域74のみを有効領域として設定させる。
【0026】
したがって、図3の例では、ユーザが左上領域71乃至右下領域74の何れかの領域、つまり有効領域とされた領域に触れることで何らかの入力操作を行うと、その操作に応じた処理が実行される。一方、ユーザが、有効領域以外の領域、つまり、表示画面の中央の領域などの無効領域に触れても、ユーザによる入力操作は無効とされ、何も処理は行われない。
【0027】
ユーザが表示部41の表示画面に指で触れると、そのユーザの接触位置を示す信号がタッチパネル42から接触位置検出部43に供給されるので、接触位置検出部43は、供給された信号に基づいて有効領域への接触を検出し、その検出結果を制御部45に供給する。
【0028】
例えば、接触位置検出部43から制御部45に、左上領域71乃至右下領域74のそれぞれへの接触を検出した旨の検出結果が供給されると、制御部45は画像信号生成部46を制御して、それらの領域に対して予め定められているメニューを表示画面に表示させる。具体的には、左上領域71乃至右下領域74のそれぞれへの接触が検出されると、観察画像メニュー、制御メニュー、マークメニュー、および設定メニューが表示される。
【0029】
観察画像メニューは、観察画像に関するメニューであり、観察画像メニューに対する操作を行うことで、ユーザは観察画像の保存や読み出し等を指示することができる。また、制御メニューは、カメラ12の制御に関するメニューであり、制御メニューに対する操作を行うことで、ユーザはカメラ12の露出やシャッタースピードなどの変更を指示することができる。
【0030】
マークメニューは、観察画像の加工に関するメニューであり、マークメニューに対する操作を行うことで、ユーザは、観察画像に所定のマークや文字等が表示されるように、観察画像を加工させることができる。さらに、設定メニューは、カメラ制御機器13のシステム設定に関するメニューであり、設定メニューに対する操作を行うことで、ユーザは、カメラ制御機器13における各種のシステム設定を変更させることができる。
【0031】
例えば、図3に示すように、表示画面に観察画像だけが表示されている状態で、ユーザが左上領域71に触れると、表示画面の左上領域71の近傍に、図4に示すように観察画像メニュー101が表示される。
【0032】
この観察画像メニュー101には、保存ボタン111、読み出しボタン112、拡大縮小ボタン113、およびキャンセルボタン114が設けられており、ユーザは、これらのボタンを指で触れて操作することにより、各ボタンに対応する処理の実行を指示できる。
【0033】
具体的には、ユーザは、保存ボタン111を操作することにより、表示画面に表示されている観察画像を記録部44に記録させることができ、読み出しボタン112を操作することにより、記録部44に記録されている観察画像を指定して表示画面に表示させることができる。
【0034】
また、ユーザは、拡大縮小ボタン113を操作することで、表示画面に表示されている観察画像を拡大または縮小させて表示させることができ、キャンセルボタン114を操作することで、観察画像メニュー101の表示を消去させることができる。すなわち、図4に示す状態でキャンセルボタン114が操作されると、観察画像メニュー101が表示されない状態となり、図3に示した、表示画面に観察画像のみが表示された状態に戻る。
【0035】
次に、図5のフローチャートを参照して、カメラ制御機器13により、ユーザの表示画面(タッチパネル42)への接触が検出された場合に行われる、接触位置検出処理について説明する。この接触位置検出処理は、タッチパネル42によりユーザの表示画面への接触が検出され、タッチパネル42から接触位置検出部43に、ユーザの接触位置を示す信号が供給されると開始される。
【0036】
ステップS11において、接触位置検出部43は、タッチパネル42から供給された信号に基づいて、ユーザの接触位置が有効領域内の位置であるか否かを判定する。例えば、カメラ制御機器13の電源がオンされた直後であれば、左上領域71乃至右下領域74のみが有効領域とされているので、接触位置が左上領域71乃至右下領域74の何れかの領域内である場合に、有効領域内の位置であると判定される。また、ステップS11では、観察画像のみが表示された状態である。
【0037】
ステップS11において、接触位置が有効領域内でないと判定された場合、つまりユーザが触れた表示画面の領域が無効領域である場合、ユーザによる表示画面への接触は、処理の実行等を指示する入力操作ではないとされて、接触位置検出処理は終了する。
【0038】
このように、ユーザが無効領域を指で触れても、表示部41には何も表示されず、何ら処理も実行されない。また、有効領域とされる左上領域71乃至右下領域74は、表示画面の端付近の領域とされている。
【0039】
そのため、例えば、ユーザが、他人とディスカッションなどを行っているときに、観察画像上の被写体の所望の位置を指で指し示しても、ユーザが有効領域に触れてしまい、誤ってメニューが表示されてしまうようなこともない。特に、顕微鏡11で試料を観察する場合には、被写体が観察画像の中央に位置することが多いので、有効領域を表示画面の端近傍とすると、誤操作によりメニュー等の故意に表示しようとしているもの以外のものが表示されてしまうことを防止することができる。
【0040】
しかも、ユーザが表示画面に触れていない状態では、表示画面には観察画像のみが表示され、メニューやボタンが一切表示されないため、観察画像をより大きく、つまり見易く表示させることができる。また、必要なときだけメニューが表示されるので見映えもよくなり、特に、表示画面をプロジェクタなどで拡大表示して他人に見せる場合などには効果的である。
【0041】
一方、ステップS11において、接触位置が有効領域内であると判定された場合、ステップS12において、接触位置検出部43は、タッチパネル42から供給された信号に基づいて、接触位置が左上領域71内の位置であるか否かを判定する。
【0042】
ステップS12において、左上領域71内の位置であると判定された場合、ステップS13において、カメラ制御機器13は、左上領域に対応するメニュー表示処理を行って、表示画面に観察画像メニュー101を表示させる。そして、左上領域に対応するメニュー表示処理が行われると、接触位置検出処理は終了する。なお、この左上領域に対応するメニュー表示処理の詳細は後述する。
【0043】
また、ステップS12において、左上領域71内の位置でないと判定された場合、ステップS14において、接触位置検出部43は、タッチパネル42から供給された信号に基づいて、接触位置が左下領域72内の位置であるか否かを判定する。
【0044】
ステップS14において、左下領域72内の位置であると判定された場合、ステップS15において、カメラ制御機器13は、左下領域に対応するメニュー表示処理を行って、表示画面に制御メニューを表示させる。そして、左下領域に対応するメニュー表示処理が行われると、接触位置検出処理は終了する。
【0045】
これに対して、ステップS14において、左下領域72内の位置でないと判定された場合、ステップS16において、接触位置検出部43は、タッチパネル42から供給された信号に基づいて、接触位置が右上領域73内の位置であるか否かを判定する。
【0046】
ステップS16において、右上領域73内の位置であると判定された場合、ステップS17において、カメラ制御機器13は、右上領域に対応するメニュー表示処理を行って、表示画面にマークメニューを表示させる。そして、右上領域に対応するメニュー表示処理が行われると、接触位置検出処理は終了する。
【0047】
さらに、ステップS16において、右上領域73内の位置でないと判定された場合、すなわち、ユーザの接触位置が右下領域74内の位置である場合、ステップS18において、カメラ制御機器13は、右下領域に対応するメニュー表示処理を行って、表示画面に設定メニューを表示させる。そして、右下領域に対応するメニュー表示処理が行われると、接触位置検出処理は終了する。
【0048】
このようにして、カメラ制御機器13は、表示画面の領域全体を、ユーザの入力操作が有効とされる有効領域と、入力操作が無効とされる無効領域とに分ける。そして、カメラ制御機器13は、有効領域への接触が検出された場合には、接触された領域に対して予め定められたメニューを表示し、無効領域への接触が検出されても特に何も処理を行わないようにする。
【0049】
このように、予め表示画面にメニューやボタンを表示しない状態とし、有効領域への接触が検出された場合にのみ、入力操作を有効としてメニューを表示させることで、表示画面に、より画像を見易く表示するとともに、カメラ制御機器13の操作性を向上させることができる。すなわち、例えば、ユーザが表示画面に触れたときに、ユーザが意図しないにも係らずメニューが表示されてしまうことを防止することができ、またユーザは、予め定められた有効領域を触れるだけで、簡単にメニューを表示させることができる。
【0050】
次に、図6のフローチャートを参照して、図5のステップS13の処理に対応する、左上領域に対応するメニュー表示処理について説明する。
【0051】
ステップS41において、画像信号生成部46は観察画像メニュー101を表示させる。
【0052】
すなわち、接触位置検出部43において左上領域71への接触が検出されると、接触位置検出部43は、左上領域71への接触が検出された旨の信号を制御部45に供給する。すると、制御部45は、接触位置検出部43からの信号に応じて、記録部44から、左上領域71に対して予め定められた観察画像メニュー101を表示させるための画像を取得して画像信号生成部46に供給する。
【0053】
画像信号生成部46は、表示部41に表示させている観察画像の画像信号と、制御部45から供給されたメニューを表示させるための画像の画像信号とから、観察画像に観察画像メニュー101が重畳して表示される画像信号を生成する。そして、画像信号生成部46は、生成した画像信号を表示部41に供給することで、表示部41の表示画面に観察画像とともに観察画像メニュー101を表示させる。これにより、例えば図4に示した観察画像メニュー101が表示される。
【0054】
また、表示画面に観察画像メニュー101が表示されると、制御部45は、接触位置検出部43に対して、表示画面における、観察画像メニュー101が表示されている領域を有効領域として設定するように指示する。
【0055】
ステップS42において、接触位置検出部43は、制御部45の指示に従って、表示画面における観察画像メニュー101が表示されている領域を有効領域とする。これにより、ユーザが観察画像メニュー101に指で触れて、各処理の実行を指示する入力操作を行うと、その入力操作が有効とされて、指示に応じた処理が行われることになる。なお、この場合においても、左上領域71乃至右下領域74の各領域は、有効領域とされたままとされる。
【0056】
ステップS43において、制御部45は、予め定められた所定の有効時間以内に、観察画像メニュー101に対する操作がされたか否かを判定する。
【0057】
例えば、ユーザが図4の観察画像メニュー101の保存ボタン111に指で触れると、タッチパネル42から接触位置検出部43には、ユーザの接触位置を示す信号が供給されるので、接触位置検出部43は、その信号から、保存ボタン111への接触を検出する。そして、接触位置検出部43は、保存ボタン111が操作された旨の信号を制御部45に供給するので、制御部45は、接触位置検出部43から供給される信号から、ユーザの保存ボタン111への接触を知ることができる。
【0058】
制御部45は、観察画像メニュー101が表示されてから、より詳細には、観察画像メニュー101の表示後、観察画像メニュー101に対して最後に操作がされてから、有効時間以内に保存ボタン111への操作がされた場合に、有効時間以内に操作がされたと判定する。
【0059】
なお、この有効時間は、ユーザが右下領域74に対して定められた設定メニューに対する操作を行うことで、任意の長さに変更することができる。
【0060】
ステップS43において、有効時間内に操作がされなかったと判定された場合、ユーザは観察画像メニュー101に対する操作をする意思がないとされ、処理はステップS46に進む。
【0061】
これに対して、ステップS43において、有効時間内に操作がされたと判定された場合、ステップS44において、制御部45は、ユーザの操作に応じた処理を行う。
【0062】
例えば、図4の保存ボタン111が操作された場合、制御部45は、画像信号生成部46を介して表示部41に供給している観察画像を、記録部44にも供給し、記録部44に観察画像を記録させる。
【0063】
ステップS45において、制御部45は、次の入力操作を受け付けるか否かを判定する。例えば、図4の観察画像メニュー101が表示されている状態で読み出しボタン112が操作された場合、表示画面には、読み出そうとする観察画像を指定するための画面が表示され、ユーザは、その画面に対して入力操作を行い、観察画像を指定する必要がある。そのような場合、ステップS44において、観察画像を指定するための画面が表示された後、さらに、ユーザのタッチパネル42に対する入力操作を受け付ける必要があるので、ステップS45において、次の入力操作を受け付けると判定される。
【0064】
ステップS45において、次の入力操作を受け付けると判定された場合、処理はステップS43に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0065】
これに対して、ステップS45において、次の入力操作を受け付けないと判定された場合、処理はステップS46に進む。
【0066】
ステップS45において入力操作を受け付けないと判定されたか、またはステップS43において有効時間内に操作がされなかったと判定された場合、ステップS46において、接触位置検出部43は、観察画像メニュー101が表示されている領域を無効領域とする。
【0067】
すなわち、カメラ制御機器13は、観察画像メニュー101が表示されてから有効時間が経過するまで、観察画像メニュー101に対して操作が行われなかった場合、およびユーザにより指示された処理を実行し、観察画像メニュー101を表示させる必要がなくなった場合、観察画像メニュー101の表示を消去する。
【0068】
観察画像メニュー101が表示されている間は、その表示領域は有効領域とされているので、観察画像メニュー101の表示を消去するにあたって、その表示領域への入力操作が受け付けられないようにする必要がある。そこで、制御部45は、観察画像メニュー101の表示を消去する場合、接触位置検出部43に、観察画像メニュー101が表示されている領域を無効領域とするように指示する。
【0069】
すると、接触位置検出部43は、制御部45の指示に従って、観察画像メニュー101の表示されている領域を無効領域とする。これにより、表示画面における左上領域71乃至右下領域74のみが有効領域とされる状態となる。
【0070】
また、観察画像メニュー101の領域が無効領域とされると、制御部45は、画像信号生成部46に、観察画像メニュー101の表示の消去を指示する。
【0071】
ステップS47において、画像信号生成部46は、制御部45の指示に従って、観察画像メニュー101の表示を消去する。すなわち、画像信号生成部46は、制御部45から供給された観察画像を表示部41に供給し、表示画面に観察画像のみを表示させる。
【0072】
表示画面から観察画像メニュー101の表示が消去されると、左上領域に対応するメニュー表示処理は終了する。左上領域に対応するメニュー表示処理が終了すると、図5のステップS13の処理が行われたことになるので、接触位置検出処理も終了する。
【0073】
このようにして、カメラ制御機器13は、左上領域71が操作されると、観察画像メニュー101を表示する。そして、カメラ制御機器13は、観察画像メニュー101に対する操作があったときは、その操作に応じた処理を実行し、有効時間内に操作がないときは、観察画像メニュー101の表示を消去する。
【0074】
このように、有効時間内に操作がない場合に、観察画像メニュー101の表示を消去することで、ユーザが誤って観察画像メニュー101を表示させてしまった場合にも、ユーザに操作をさせることなく、観察画像メニュー101を消去することができる。これにより、カメラ制御機器13の操作性を向上させることができる。
【0075】
なお、より詳細には、例えば図4に示したように、表示画面に観察画像メニュー101が表示されている状態で、ユーザが左下領域72乃至右下領域74の何れかを操作すると、これまで表示されていた観察画像メニュー101は消去される。そして、設定メニューなど、新たに操作された領域に対して予め定められたメニューが表示される。
【0076】
また、上述した図5のステップS15、ステップS17、およびステップS18においても、表示されるメニューや、実行される処理が異なるだけで、図6を参照して説明した左上領域に対応するメニュー表示処理と同様の処理が行われる。
【0077】
例えば、ステップS15の左下領域に対応するメニュー表示処理では、表示画面に制御メニューが表示され、ユーザの操作に応じて、制御部45がカメラ12の設定や動作を制御する処理が行われる。また、ステップS17の右上領域に対応するメニュー表示処理では、マークメニューが表示され、ユーザの操作に応じて、画像信号生成部46が観察画像上に、被写体の所定の部位を囲む円などのマークを表示させる処理が行われる。
【0078】
さらに、例えばステップS18の右下領域に対するメニュー表示処理では、表示画面に設定メニューが表示され、ユーザの操作に応じて、制御部45が上述した有効時間等の設定を変更し、変更後の設定を示す情報を記録部44に記録させる処理などが行われる。
【0079】
なお、以上においては、カメラ12を制御するカメラ制御機器13自体に、表示部41とタッチパネル42が設けられると説明したが、表示部41およびタッチパネル42が別に設けられるようにしてもよい。
【0080】
そのような場合、撮影システムは、例えば図7に示すように構成される。なお、図7において、図1における場合と対応する部分には同一の符号を付してあり、その説明は適宜、省略する。
【0081】
図7の撮影システムでは、顕微鏡11にカメラ12が固定されており、カメラ12にカメラ制御機器141が接続されている。このカメラ制御機器141は、図2に示した接触位置検出部43乃至画像信号生成部46から構成される。すなわち、カメラ制御機器141と、カメラ制御機器13とは、カメラ制御機器141に、表示部41およびタッチパネル42が設けられていない点で異なり、その他の点は一致する。
【0082】
また、カメラ制御機器141には、表示部41が接続されており、表示部41の表示画面には、タッチパネル42が重畳されて設けられている。このタッチパネル42からの信号は、カメラ制御機器141の接触位置検出部43に供給され、カメラ制御機器141の画像信号生成部46からの画像は、表示部41に供給される。
【0083】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0084】
11 顕微鏡, 12 カメラ, 13 カメラ制御機器, 41 表示部, 42 タッチパネル, 43 接触位置検出部, 45制御部, 46 接触位置検出部, 141 カメラ制御機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面に重畳されて設けられ、前記表示画面へのユーザの接触を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルにおける特定領域への接触のみを有効な操作とし、前記タッチパネルによる検出結果に基づいて、前記特定領域への前記ユーザの接触を検出する検出手段と、
所定の画像が前記表示手段に表示されている状態で、前記特定領域への接触が検出された場合、前記所定の画像とともに、前記特定領域に対して予め定められた特定画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記特定画像として、所定の処理を実行させるためのメニューを表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記特定画像が表示された場合、前記表示画面における前記特定画像が表示されている領域への接触を有効な操作とする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記特定画像が表示されてから、予め定められた有効時間以上、前記表示画面における前記特定画像が表示されている領域への接触が検出されなかった場合、前記特定画像の表示を消去する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記特定画像の表示が消去される場合、前記表示画面における前記特定画像が表示されている領域への接触を無効な操作とする
ことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の前記画像処理装置と、
顕微鏡に固定され、前記所定の画像として、前記顕微鏡において観察されている観察対象の画像を撮影する撮影手段とからなり、
前記表示制御手段は、前記特定領域への接触が検出される前は、前記観察対象の画像のみ前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−272037(P2010−272037A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124852(P2009−124852)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】