説明

画像処理装置および画像処理方法およびコンピュータが読み取り可能なプログラムを格納した記憶媒体およびプログラム

【課題】 読み取られる画像データがそのまま保持されることで、秘匿性のある画像データが漏洩する事態を回避して、読み取りデータのセキュリティ面を格段に向上することである。
【解決手段】 ヘッド106が複数走査回に分けて原稿画像を読み取る。そして、所定のデータ列に従ってラッチ信号生成回路110より生成されるラッチ信号に基づいて、読み取りデータ出力回路112がヘッド106から出力される各走査毎に連なる画像データ列を加工して異なる出力データ列を複数出力する構成を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置および画像処理方法およびコンピュータが読み取り可能なプログラムを格納した記憶媒体およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の文書読取装置等の画像処理装置では、紙面を光学センサにより読み取る際に一方の端から順番に読み取り、読み取られた信号をそのままデータとして出力することで、そのデータを再び順番に並べると読み取られた紙面が再現される、というものが一般的である。
【0003】
この場合における紙面の送り方法、センサヘッドの構成、センサヘッドの送り方法などによって、紙面を固定して狭い領域を読み取るセンサヘッドを往復させつつヘッドキャリッジを往復運動に同期して移動させることによって読み取るものや、紙面幅いっぱいの領域を読み取れるセンサヘッドを紙面高さ方向に移動させつつ読み取るもの、あるいは紙面幅一杯の領域を読み取るセンサの上を紙面を順に送って読み取るもの、狭い領域を読み取るセンサヘッドをその場で往復させながら、その上を紙面が順に送られていくものなどが存在する。
【0004】
また、読み取られた原稿画像データを記憶装置に一時的、あるいはパーソナルボックス等を確保して、ファイルとして管理できる画像処理装置も下記特許文献1に示されるように公開されている。
【特許文献1】特開平7−322053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来の文書読取装置は、紙面を全面的に読み取った信号をそのままデータとして出力するため、この信号またはデータを外部から読み取られてしまうと文書の内容が簡単に洩れてしまうという問題があった。
【0006】
また、データとなった文書の内容が後段の処理のために中間的なメモリなどに格納されていくときに、このデータが簡単に文書の内容を再構成することが可能なものであると、やはりこのデータをその都度削除したつもりでも後に復活されて文書の内容を盗まれてしまうなどの問題がおこる可能性がないとはいえない。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の第1の目的は、原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置において、読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を生成される所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力することにより、読み取られる画像データがそのまま保持されることで、秘匿性のある画像データが漏洩する事態を回避して、読み取りデータのセキュリティ面を格段に向上できる画像処理装置および画像処理方法およびコンピュータが読み取り可能なプログラムを格納した記憶媒体およびプログラムを提供することである。
【0008】
第2の目的は、所定のデータ列に基づいて加工して出力される複数の異なる出力データ列を合成して再現することにより、読み取りデータそのものだけからはオリジナルとなる原稿画像を再現することを困難として、読み取りデータのセキュリティ面を維持した状態で、読み取られる原稿と同一の画像データを確実に再現できる画像処理装置および画像処理方法およびコンピュータが読み取り可能なプログラムを格納した記憶媒体およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の画像処理装置は以下に示す構成を備える。
【0010】
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置であって、所定のデータ列を生成する生成手段と、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成手段により生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理手段とを有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成する本発明の画像処理方法は以下に示す構成を備える。
【0012】
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置における画像処理方法であって、所定のデータ列を生成する生成ステップと、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成ステップにより生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理ステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、秘匿性のある画像データが漏洩する事態を回避して、読み取りデータのセキュリティ面を格段に向上できる。
【0014】
また、読み取りデータそのものだけからはオリジナルとなる原稿画像を再現することを困難として、読み取りデータのセキュリティ面を維持した状態で、読み取られる原稿と同一の画像データを確実に再現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図であり、例えばデジタル複合機の例に対応する。
【0017】
本実施形態のデジタル複合機は、スキャナ部2001、プリンタ部2002、操作表示部2003、符号化復号化部2004、システムメモリ2005、ページメモリ2006、システム制御部2007、FAX通信制御部2008、ネットワークI/F2009、ハードディスク(HD)2010、及び各部を接続する内部バス211を備えている。
【0018】
スキャナ部2001は、指定されたモード(例えば、紙サイズ、解像度、濃度等)に応じて原稿を読み取って画像データを作成し、プリンタ部2002は、プリントが指定された文書(画像)を印刷してフィニッシャー等の排紙装置を介して排紙トレーに出力する。操作表示部2003は、ユーザが各種設定操作を行うと共に、装置の動作状態などを表示する。符号化復号化部2004は、送信する画像データを符号化して圧縮する一方、受信した圧縮データを復号化して元の画像データに復元する。
【0019】
システムメモリ2005は、RAM部およびROM部からなり、装置に予め登録しておく情報が格納される。ページメモリ2006には、符号化や復号化を行う際に1ページ分の画像データが展開される。システム制御部2007は、本ブロック図で示した各部や装置全体を監視・制御する中央演算装置(CPU)を含むマイクロコンピュータで構成される。ハードディスク2010は印刷のためのテンポラリ領域やパーソナルボックス領域などから構成され、スキャナ部2001で読み取られた画像データが蓄積される。
【0020】
図2は、本発明の第1実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【0021】
図2において、101は駆動信号生成回路で、紙送りモータ102、ヘッド送りモータ103、ヘッド駆動モータ104、ヘッド106の各部を駆動するためのための駆動信号を生成する。紙送りモータ102は、文書読取装置が文書の用紙を送るために使用される。
【0022】
ヘッド送りモータ103は、文書読取装置がヘッド106を送るために使用する。ヘッド駆動モータ104は、文書読取装置がヘッド106を駆動するために使用する。105はラッチ回路で、駆動信号生成回路101が生成するヘッド用の駆動信号をラッチ信号生成回路110が生成するラッチ信号によってラッチする。106はヘッドで、実際に光学的に紙面を読み取る。
【0023】
107はデータ列バッファで、ラッチ信号生成回路110がラッチ信号を生成するために使用するデータ列を保持する。108は疑似乱数発生部で、疑似乱数シード決定部109からの指示に基づいて、疑似乱数を発生する。
【0024】
111は読み取り信号バッファで、ヘッド106から出力された読み取り信号を保持する。112は読み取りデータ出力回路で、読み取り信号バッファ111に保持されたデータを外部に出力する。
【0025】
図3は、本発明の第1実施形態を示す画像処理装置における要部構成を説明するブロック図である。
【0026】
図3において、201は読み取りデータ入力回路である。202は読み取りデータバッファで、読み取りデータ入力回路201から入力されたデータを保持する。203は疑似乱数発生部で、疑似乱数を生成してデータ列バッファ204に乱数データを出力する。204はデータ列バッファで、データ列入力回路203から入力されたデータを保持する。
【0027】
205は文書データ合成回路で、読み取りデータバッファ202とデータ列バッファ204から文書データを再構成する。
【0028】
206は文書データバッファで、文書データ合成回路205で合成された文書データを保持する。207は文書データ出力回路で、文書データバッファ206に保持された文書データを外部に出力する。
【0029】
図4は、本発明の第1実施形態を示す画像処理装置における文書読取装置の構成を説明するブロック図である。
【0030】
図4において、301は文書読み取り部で、後述する図8に示す文書画像を、走査毎に異なる乱数データ列に応じて、所定の画像処理を行いながら、例えば2回のスキャンで読み取る。なお、文書読み取り部301は、最後に読み取りデータを出力する読み取りデータ出力部301−1を備えている。302は擬似乱数発生部で、擬似乱数シードと呼ばれる適当な数字を入力すると、その数字によって定まる一連の擬似乱数を発生する機能を備えており、後述する図7の(a)に示すデータ列に対応する。
【0031】
303は擬似乱数シード決定部で、その擬似乱数発生部302に対して供給する擬似乱数シード(数字の組合わせ)を決定する。この擬似乱数シード決定部303は、例えば現在時刻やその決定部を制御しているソフトウェアのプロセス番号など、適切と思われる数字を環境から取り出して擬似乱数シードとして決定する。この擬似乱数シード決定部303は、擬似乱数発生部302へ決定した擬似乱数シードを供給するとともに、擬似乱数シード出力から外部へその擬似乱数シードを出力する擬似乱数シード出力部303−1を備えている。
【0032】
図5は、本発明の第1実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【0033】
図5において、401は文書再現部である。この文書再現部401は、外部から図4に示す読み取りデータ出力部301−1から出力されたデータを入力するための読み取りデータ入力部401−2を備えており、最終的に再現された文書データを外部へ出力するための文書データ出力部401−1を備えている。
【0034】
402は擬似乱数発生部であり、外部から擬似乱数シードを入力するための擬似乱数シード入力部402−1を備えている。
【0035】
図6は、図4に示した文書読み取り部301がどのような読み取りデータを生成するのかを模式的に示す図である。
【0036】
図6の(a)は、図4に示した擬似乱数シード決定部303によって決定された擬似乱数シードに基づいて擬似乱数発生部302から生成され、文書読み取り部301のデータ列入力から入力されデータ列バッファ107に格納されているデータ列の一部である。
【0037】
図6の(b)は、図6の(a)に示すデータ列からラッチ信号生成回路110によって生成されるラッチ信号である。
【0038】
このラッチ信号は、単位時間にデータ列の当該位置の数値を掛けた時間だけ「High」状態になり、その次の位置の数値を掛けた時間だけ「Low」状態になり、再びその次の位置の数値を掛けた時間だけ「High」状態になる、という動作を読み取りが完了するまでの時間繰り返すものとする。
【0039】
図6の(c)は、ラッチ回路105が存在しないと仮定したときに、ヘッド106が同一の紙面を読み取った場合に出力されると想定される濃度レベル信号である。この濃度レベル信号はヘッド106が紙面を順番にスキャンするに従って紙面のインクの濃度に対応するレベルの信号を出力することで生成されている。
【0040】
本実施形態では、ラッチ信号を「High」と「Low」の二値とし本実施形態の文書読取装置は紙面を二回だけスキャンするが、もちろん多値のラッチ信号を用いてスキャンをさらに多い回数に分割することも可能である。
【0041】
図6の(d)は一回目のスキャンで、ヘッド106が出力する第1出力信号である。この第1出力信号は、図6の(c)の濃度レベル信号のうち、図6の(b)のラッチ信号が、「High」状態の間だけ、図6の(c)の信号レベルが出力される。
【0042】
図6の(e)は二回目のスキャンでヘッド106が出力する第2出力信号である。この第2出力信号は、図6の(c)の第1出力信号のうち、図6の(b)のラッチ信号が「Low」の間だけ、図6の(c)の濃度信号レベルが出力されるようになっている。
【0043】
図6の(d)の、すなわち一回目のスキャンで出力された第1出力信号と、すなわち二回目のスキャンで出力された図6の(e)に示す第2出力信号とを合成したものが図6の(f)に示す合成出力信号である。
【0044】
なお、図6の(f)に示す合成出力信号は、図6の(c)に示す濃度レベル信号と一致し、これで元の文書の紙面を読み取ったデータと同じもの(文書画像)が再現されたことになる。
【0045】
つまり、本実施形態では、オリジナルの画像を読み取って得られる画像データは、オリジナルに比べて不鮮明となるように画像処理された異なる2つの画像データを合成することで、オリジナル画像データを再現することを特徴としており、読み取られる第1の出力信号または第2の出力信号を取り出しても、後述する図8の(b),(c)に示されるように、判読しがたい画像データとして読み取られ、2つの画像データを合成しない限り、図8の(a)に示すオリジナルの文書画像としては出力できない画像加工処理が施されており、オリジナルの文書画像から見ると、文書が虫食い状態となったイメージと見える。これにより、読み取りデータそのものを解析しても、オリジナル文書画像を再現することが困難となり、読み取りデータに対するセキュリティ面を強化できる。
【0046】
図7は、図5に示した文書再現部401がどのように読み取りデータから文書データを再現するかについて模式的に説明する図である。
【0047】
図7において、(a)は擬似乱数シードとして適切な数字が入力され擬似乱数発生部402から生成され、文書再現部401のデータ列入力から入力され、データ列バッファ204に保持されるデータ列である。
【0048】
図7の(b)は読み取りデータ入力部から入力され文書再現部401の読み取りデータ入力へ入力される第1読み取りデータの一部であり、図7の(c)は同じく第2読み取りデータの別の一部である。
【0049】
図5に示す文書再現部401は、疑似乱数発生部402が擬似乱数シードから生成された図6の(a)に示すデータ列を解析して、図7の(b)の第1の読み取りデータと、図7の(c)の第2読み取りデータが同一ラスタのそれぞれ一回目と二回目のスキャン結果であることを計算して決定した後、この二つの読み取りデータを該当するデータ列によって生成される図7の(d)に示すラッチ信号のパターンと重ねて合成する。
【0050】
そして、文書再現部401が合成した結果が、図7の(e)に示す合成出力信号である。合成された図7の(e)に示す合成出力信号が元の文書データと一致することは明らかであり、この文書データを文書再現部401の文書データ出力部401−1から再現されたデータとして出力する。
【0051】
図8は、本発明に係る画像処理装置における読み取りデータ処理状態を説明する図であり、図4に示した文書読み取り部301により紙面から読み取られる原稿画像データの状態を模式的に示す例である。
【0052】
図8の(a)が元の紙面(文書画像紙面)である。(b)が本実施形態によって読み取られた第1パスのデータである。そして(c)が第2パスのデータである。この例では、図8の(b)の読み取りデータと、図8の(c)の読み取りデータを重ね合わせることによって元の紙面データを復元(再現)することができる。
【0053】
このように、本実施形態ではスキャン時にスキャンを行うヘッド106を疑似乱数発生部302により一定の擬似乱数に従って生成されるデータ列に基づいて断続的に駆動して、互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施することによって、紙面データが簡単に読み取れないようなスキャンデータを生成し、その後、2つのスキャンデータを所定のラッチ信号に基づいて合成処理することで、元の文書画像データを再現することが可能となる。
【0054】
〔第2実施形態〕
図9は、本発明の第2実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。本実施形態では、第1実施形態とは異なり、ラッチ回路として、第1のラッチ回路805と第2のラッチ回路811とを備える点である。
【0055】
図9において、801は駆動信号生成回路で、紙送りモータ802、ヘッド送りモータ803、ヘッド駆動モータ804、ヘッド806の各部を駆動するための駆動信号を生成する。
【0056】
なお、紙送りモータ802は文書読取装置が文書の用紙を送るために使用される。ヘッド送りモータ803は、文書読取装置がヘッド806を送るために使用する。ヘッド駆動モータ804は、文書読取装置がヘッド806を駆動するために使用する。
【0057】
805は第1のラッチ回路で、駆動信号生成回路801が生成するヘッド信号をラッチ信号生成回路810が生成するラッチ信号によってラッチする。ヘッド806は実際に光学的に紙面を読み取る。
【0058】
807はデータ列バッファで、ラッチ信号生成回路810がラッチ信号を生成するために使用するデータ列を保持する。808はデータ列入力回路で、データ列バッファ807に対して外部からデータを入力する。809はデータ列出力回路で、データ列バッファ807の内容を外部に出力する。
【0059】
810はラッチ信号生成回路で、データ列バッファ807に保持されたデータ列から第1のラッチ回路805でヘッド信号をラッチし、またもう一つの第2のラッチ回路811でヘッド806から読み出されてきた読み取り信号をラッチするために使用するラッチ信号を生成する。
【0060】
第2のラッチ回路811は、ヘッド806が読み取った読み取り信号とノイズ信号発生回路812が生成したノイズ信号を、ラッチ信号生成回路810が生成したラッチ信号によってラッチする。ノイズ信号生成回路812は、第2のラッチ回路811へ入力されるノイズ信号を発生する。
【0061】
813は読み取り信号バッファで、第2のラッチ回路811を通過した読み取り信号を保持する。814は読み取りデータ出力回路で、読み取り信号バッファ813に保持されたデータを外部に出力する。
【0062】
なお、本実施形態の文書再現部の基本部分の内部構成は、図3に示したものと同一である。また、本実施形態の文書読取装置の全体の構成は図4に示したものと同一である。さらに、本実施形態の文書再現部の全体の構成は図5に示したものと同一である。
【0063】
図10,図11は、本発明に係る画像処理装置における第2の画像データ処理状態を説明する図であり、図4に示した文書読み取り部301がどのような読み取りデータを生成するのかを模式的に示した例である。
【0064】
図10において、(a)は擬似乱数シード決定部303によって決定された擬似乱数シードに基づいて擬似乱数発生部302から生成され、文書読み取り部301のデータ列入力から入力されデータ列バッファ807に格納されているデータ列の一部である。
【0065】
図10の(b)はこのデータ列を基にラッチ信号生成回路810によって生成されるラッチ信号である。このラッチ信号は単位時間にデータ列の当該位置の数値を掛けた時間だけ「High」状態になり、その次の位置の数値を掛けた時間だけ「Low」状態になり、再びその次の位置の数値を掛けた時間だけ「High」状態になる、という動作を読み取りが完了するまでの時間繰り返す。
【0066】
図10の(c)は、第1のラッチ回路805が存在しないと仮定したときに、ヘッド806が同一の紙面を読み取った場合に出力されると想定される濃度レベル信号である。この濃度レベル信号は、ヘッド806が紙面を順番にスキャンするに従って紙面のインクの濃度に対応する信号レベルの信号を出力することで生成されている。
【0067】
本実施形態では、図10の(b)に示すラッチ信号を、「High」状態と「Low」状態の二値とし本実施形態の文書読取装置は紙面を二回だけスキャンするが、もちろん多値のラッチ信号を用いてスキャンをさらに多い回数に分割することも可能である。
【0068】
図10の(d)は、一回目のスキャンでヘッド806が出力する第1出力信号である。この第1出力信号は、ヘッド806が第1のラッチ回路805のラッチ信号がHigh状態の間だけ駆動され信号を出力した結果得られるものである。
【0069】
図10の(e)は、同じ時刻にノイズ信号生成回路812が生成したノイズ信号である。図10の(f)に示すのは、ノイズ信号生成回路812が生成した図10の(e)に示されたノイズ信号を、ラッチ信号生成回路810の出力した信号がLow状態の間だけ出力した第2出力信号である。
【0070】
第2のラッチ回路811は、ラッチ信号生成回路810の出力がHigh状態の間は、図10の(d)に示すようにヘッド806が読み取る第1出力信号(d)を、Low状態の間は、図10の(f)に示す第2出力信号をノイズ信号生成回路812から出力するという動作をするため、第2のラッチ回路811から出力された信号が読み取り信号バッファ813に保持され読み取りデータ出力回路814から出力されたものは、ちょうど図10の(d)に示す第1出力信号と図10の(f)に示す第2出力信号とを合成したものになる。これを図に示したものが図10の(g)に示す合成出力信号である。
【0071】
図11の(h)は、二回目のスキャンでヘッド806が出力する第1出力信号である。この第1出力信号は、ヘッド806が第1のラッチ回路805の出力信号がLow状態の間だけ駆動され信号を出力した結果得られるものである。
【0072】
図11の(i)は、同じ時刻にノイズ信号生成回路812が生成したノイズ信号である。これは図9の(e)に示すノイズ信号とは時刻がずれているためノイズ信号としてはまったく違うノイズ信号が生成されている。
【0073】
図11の(j)は、図11の(i)に示されたノイズ信号生成回路812が生成したノイズ信号を、ラッチ信号生成回路810の出力した信号がHigh状態の間だけ出力した結果である。第2のラッチ回路811はラッチ信号生成回路810の出力が「High」状態の間はノイズ信号生成回路812の出力信号(j)を、Low状態の間はヘッド806の読み取り信号である図11の(h)に示す第1出力信号を出力するため、第2のラッチ回路811から出力された信号が読み取り信号バッファ813に保持され読み取りデータ出力回路814から出力されたものは、ちょうど、図11の(h)に示す第1出力信号と図11の(j)に示す第2出力信号とを合成したものになる。これを示したものが図11の(k)に示す合成出力信号である。
【0074】
こうして、読み取りデータ出力回路814からは、同一紙面の二回の読み取り結果に対して、図10の(g)と図11の(k)に示されるデータが出力されることとなる。
【0075】
図12は、本発明に係る画像処理装置における第2の画像データ処理状態を説明する図であり、図5に示した文書再現部401が読み取りデータから文書を復元するかを模式的に示した例である。
【0076】
図12において、文書読取装置が文書の読み取りを実行する際に使用された擬似乱数シード値が文書読取装置の擬似乱数シード出力から出力され、図5に示した文書再現部401の擬似乱数シード入力へ入力される。ここで文書読取装置の擬似乱数発生部302と文書再現装置の擬似乱数発生部402は同一の擬似乱数シードに対して同一の擬似乱数を生成するため、図10の(a)と同一のデータ列を生成する。それが図12の(a)に示した、文書再現装置の基本部分の読み取りデータ入力部401−2に入力されるデータ列である。
【0077】
文書データ合成回路205は、このデータ列から各数字がパルスの幅に相当する図11の(b)に示すパルス信号を生成する。
【0078】
一方、読み取りデータ入力部401−2から入力された読み取りデータは、当該文書を二回のパスに分割してスキャンした結果の、第一パスに当たる部分が図12の(c)のようになっており、また第二パスに当たる部分が図12の(e)に示すようになっている。
【0079】
ここで、図12の(c)は、図10の(g)で示された合成出力信号が入力されたものであり、図12の(e)は図11の(k)で示された合成出力信号が入力されたものである。
【0080】
図3に示した文書データ合成回路205は、まず、図12の(b)のパルス列の信号データがHigh状態の間だけ、図12の(c)のデータを取り出す。この取り出した結果が図12の(d)である。
【0081】
続いて、図12の(b)のパルス列の信号データがLow状態の間だけ、図12の(e)のデータを取り出す。この取り出した結果が図12の(f)である。図12の(d)に示した取り出し信号と図12の(f)に示した取り出し信号とを取り出した後に、文書データ合成回路205はこの二つの信号を重ね合わせて合成する。こうして合成された信号が図12の(g)に示す合成出力信号である。
【0082】
この合成された図12の(g)に示す合成出力信号は、図10の(c)に示されている、本実施形態の文書読取装置のヘッドが図10の(b)に示されたパルス信号によらずに全時間にわたって駆動されたと仮定したときに読み取られるはずであった信号と厳密に一致している。
【0083】
これによって、文書再現装置は正確に元の文書のデータを再現することとなっており、本実施形態で示した文書読取装置と文書再現装置を組み合わせることによって、文書を正確に読み取って再現することができる。
【0084】
このように、本実施形態ではスキャン時にスキャンヘッドを一定の擬似乱数に従って断続的に駆動して、互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施することによって、紙面データが簡単に読み取れないようなスキャンデータを生成することが可能となる。
【0085】
さらに、本実施形態では、各回のパスでスキャンを行った際に読み出されるそれぞれ互いに補完し合う部分の文書データには、第1実施形態で見られたようなはっきり別のパスにデータが振り分けられたと分かるようなブランク部分が存在していないため、ノイズ部分と有効な文書データ部分を簡単に区分することはできない。そのため、万が一この文書データが元の文書へアクセスする権利を持たない第三者の手に渡った場合にも、元の文書データを再現され文書の機密を見られてしまう危険性が非常に低くなる。
【0086】
〔第3実施形態〕
本実施形態の文書読取装置の基本部分の内部構成は、図2に示したものと同一である。また、本実施形態の文書再現装置の基本部分の内部構成は、図3に示したものと同一である。さらに、本実施形態の文書読取装置の全体の構成は、図4に示したものと同一である。また、本実施形態の文書読取装置の全体の構成は、図5に示したものと同一である。
【0087】
図13は、本発明の第3実施形態を示す画像処理装置における画像データ処理状態を説明する図であり、文書読み取り部301がどのような読み取りデータを生成するのかを模式的に示した例である。
【0088】
図13の(a)は、図4に示した疑似乱数シード決定部303によって決定された擬似乱数シードに基づいて擬似乱数発生部302から生成され、文書読み取り部301のデータ列入力から入力されデータ列バッファ107に格納されているデータ列の一部である。
【0089】
図13の(b)は、このデータ列からラッチ信号生成回路110によって生成されるラッチ信号である。このラッチ信号は、単位時間にデータ列の当該位置の数値を掛けた時間だけHigh状態になり、続いてその次の位置の数値を掛けた時間だけLow状態になる、という動作を一回の読み取りが完了するまでの間繰り返すようにして生成されるものとする。
【0090】
図13の(c)は、ラッチ回路105が存在しないと仮定したときに、ヘッド106が連続駆動されて今読み取り対象となっている紙面を読み取ったと仮定した場合に出力されると想定される濃度レベル信号である。この信号はヘッド106が紙面を順番にスキャンするに従って紙面のインクの濃度に対応する信号レベルの信号を出力することで生成されている。
【0091】
図13の(d)は、一回目のスキャンでヘッド106が出力する第1出力信号である。この信号は図13の(c)の信号のうち図13の(b)のラッチ信号がHigh状態の間だけ図13の(c)の濃度レベル信号が出力され、Low状態の間はまったく信号を出力しない。この信号を読み取り信号バッファ111がバッファリングし信号の存在しない期間を削除したものが、図13の(e)に示す間引き信号である。この間引き信号が読み取りデータ出力回路112を通じて読み取りデータ出力へと出力される。
【0092】
また、図13の(f)に示すのは二回目のスキャンでヘッド106が出力する第2出力信号である。
【0093】
この信号は図13の(c)の濃度レベル信号のうち図13の(b)のラッチ信号がLow状態の間だけ図13の(c)の濃度レベル信号が出力され、High状態の間はまったく信号を出力しない。この信号を読み取り信号バッファ111がバッファリングし信号の存在しない期間を削除したものが図13の(g)に示す間引き信号である。この間引き信号が読み取りデータ出力回路112を通じて読み取りデータ出力へと出力される。
【0094】
本実施形態では、図13の(b)に示すラッチ信号をHigh状態とLow状態の二値とし本実施形態の文書読取装置は紙面を二回だけスキャンするが、もちろん多値のラッチ信号を用いてスキャンをさらに多い回数に分割することも可能である。
【0095】
図14は、本発明の第3実施形態を示す画像処理装置における画像データ処理状態を説明する図であり、文書再現部401がどのように読み取りデータから文書を復元するかを模式的に示した例である。
【0096】
文書読み取り部301が文書の読み取りを実行する際に使用された擬似乱数シード値が文書読取部301の擬似乱数シード出力部から出力され、文書再現部401の擬似乱数シード入力部402−1へ入力される。ここで、文書読み取り部301の擬似乱数発生部302と文書再現部401の擬似乱数発生部402は同一の擬似乱数シードに対して同一の擬似乱数を生成するため、図13の(a)と同一のデータ列を生成する。それが図14の(a)に示した、文書再現部401の基本部分のデータ列に入力されるデータ列である。
【0097】
文書データ合成回路205はこのデータ列から各数字がパルスの幅に相当する図14の(b)に示すパルス信号を生成する。
【0098】
一方、読み取りデータ入力部401−2から入力された読み取りデータは当該文書を二回のパスに分割してスキャンした結果の第一パスに当たる部分が、図14の(c)のような第1入力信号になっており、第二パスに当たる部分が図14の(e)のようになっている。
【0099】
ここで、図14の(c)は、図13の(e)で示されたデータ部分が入力されたものであり、図14の(e)は、図12の(g)で示されたデータ部分が入力されたものである。
【0100】
文書再現装置の文書データ合成回路は、まず、図14の(c)に示す第一パス部分のデータ列を取り出し、それを図14の(b)に示すパルス信号がHigh状態の期間に当てはまるように分割して並べる。そして、並べた結果が図14の(d)に示す第1分割信号である。
【0101】
続いて、第二パス部分の図14の(e)に示すデータ列を取り出し、それを図14の(b)に示すパルス信号のLow状態の期間に当てはまるように分割して並べる。並べた結果が図14の(f)に示す第2分割信号である。この二つの結果を得た文書データ合成回路205はこの二つの信号を重ね合わせて合成する。
【0102】
そして、合成した結果が図14の(g)に示す合成信号である。これを文書データ出力回路207を経由して文書データ出力へ出力すると、図14の(h)のような再現信号が得られる。
【0103】
ここで、文書データ出力から得られた図14の(h)に示す再現信号は、図13の(c)に示されている、本実施形態の文書読取装置のヘッド103が図13の(b)に示されたパルス信号によらずに全時間にわたって駆動されたと仮定したときに読み取られるはずであった信号と厳密に一致している。
【0104】
これによって、文書再現部401は正確にもとの文書のデータを再現することができており、本実施形態で示した文書読取装置と文書再現装置を組み合わせることによって、紙面上の文書を正確に読み取ってデータ上に再現することができる。
【0105】
このように、本実施形態ではスキャン時にスキャンヘッドを一定の擬似乱数に従って断続的に駆動して、互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施するとともに、ブランク期間の信号をカットすることによって、紙面データが簡単には読み取れないようなスキャンデータを生成することができ、ブランク期間の信号をカットしたことによって一回あたりのパスデータのデータ長が一定ではなくなる上、解読者は使用された擬似乱数列のデータがない限りパスデータの分割点を知ることができないため、文書読取装置から出力される読み取りデータを見ても簡単には文書を再現することができない。
【0106】
この結果、万が一この文書データが元の文書へアクセスする権利を持たない第三者の手に渡った場合にも文書が再現されその機密が盗み取られてしまう危険性が格段に低くなる。
【0107】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態の文書読取装置の基本部分の内部構成は、図2に示したものと同一である。また本実施形態の文書再現装置の基本部分の内部構成は、図3に示したものと同一である。
【0108】
図15は、本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【0109】
図15において、101は駆動信号生成回路で、紙送りモータ102、ヘッド送りモータ103、ヘッド駆動モータ104、ヘッド106の各部を駆動するためのための駆動信号を生成する。紙送りモータで102は、文書読取装置が文書の用紙を送るために使用される。
【0110】
ヘッド送りモータ103は、文書読取装置がヘッド106を送るために使用する。ヘッド駆動モータ104は、文書読取装置がヘッド106を駆動するために使用する。105はラッチ回路で、駆動信号生成回路101が生成するヘッド用の駆動信号をラッチ信号生成回路110が生成するラッチ信号によってラッチする。106は実際に光学的に紙面を読み取るヘッド部分である。
【0111】
107はデータ列バッファで、ラッチ信号生成回路110がラッチ信号を生成するために使用するデータ列を保持する。108Aはデータ列入力回路で、データ列バッファ107に対して外部からデータ列を入力する。
【0112】
109Aはデータ列出力回路で、データ列バッファ107の内容を外部に出力する。110はラッチ信号生成回路で、データ列バッファ107に保持されたデータ列からラッチ回路105でヘッド信号をラッチするために使用するラッチ信号を生成する。
【0113】
111は読み取り信号バッファで、ヘッド106から出力された読み取り信号を保持する。112は読み取りデータ出力回路で、読み取り信号バッファ111に保持されたデータを外部に出力する。
【0114】
図16は、本発明の第4実施形態を示す画像処理装置における要部構成を説明するブロック図である。
【0115】
図16において、201は読み取りデータ入力回路である。202は読み取りデータバッファで、読み取りデータ入力回路201から入力されたデータを保持する。203Aはデータ列入力回路である。204はデータ列バッファで、データ列入力回路203Aから入力されたデータを保持する。
【0116】
205は文書データ合成回路で、読み取りデータバッファ202とデータ列バッファ204から文書データを再構成する。
【0117】
206は文書データバッファで、文書データ合成回路205で合成された文書データを保持する。207は文書データ出力回路で、文書データバッファ206に保持された文書データを外部に出力する。
【0118】
図17は、本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図であり、文書読取装置の全体の構成例に対応する。
【0119】
図17において、1301は文書読み取り部である。1302は乱数データ列発生部である。1303はデータバッファで、乱数データ列発生部1302が発生した乱数データ列を保持する。1304はデータ列出力回路で、データバッファ1303に保持されたデータを信号出力する。データ列出力回路1304のデータ列出力はデータ列出力から外部へ出力されるとともに、読み取り部1301のデータ列入力へ入力される。
【0120】
図18は、本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図であり、文書再現装置の全体の構成例に対応する。
【0121】
図18において、1401は文書再現部である。1402はデータ列バッファで、データ列入力から入力されたデータ列信号をバッファリングする。データ列バッファ1402でバッファリングされたデータ列は再現部1401のデータ列入力へ入力されている。
【0122】
次に、本実施形態における文書読取装置の基本的な動作を図6を使って説明する。
【0123】
なお、第1実施形態においては、図6の(a)に示す例では、擬似乱数シード決定部303によって任意に決定された擬似乱数シード値に基づいて擬似乱数発生部302が生成する擬似乱数データ列であったが、本実施形態では、このデータ列は乱数データ列発生部1302が生成した乱数データ列そのものである。ただし、ここではこのデータ列は十分に乱数らしい特性を持っていればそれでよく、擬似乱数であるか理想的な真の乱数であるかを問わない。
【0124】
乱数データ列発生部1302が生成した、図6の(a)に示す乱数データ列は、データバッファ1303およびデータ列出力回路1304を経由して読み取り部1301に入力される。
【0125】
図5の(b)はこのデータ列からラッチ信号生成回路110によって生成されるラッチ信号である。このラッチ信号は単位時間にデータ列の当該位置の数値を掛けた時間だけHigh状態になり、再びその次の位置の数値を掛けた時間だけLowになる、という動作を繰り返して得られるパルス信号である。
【0126】
図6の(c)に示す信号は、ヘッド106が紙面を順番にスキャンするにしたがって紙面のインク濃度に対応する信号レベルの信号を出力することで生成される信号であり、ヘッド106を常時稼動させて連続的に紙面をスキャンしたと仮定した場合に生成されると想定される読み取り信号である。
【0127】
本実施形態ではラッチ信号をHigh状態とLow状態の二値とし、本実施形態の文書読取装置は二回だけ紙面をスキャンするが、もちろんここで多値のラッチ信号を用いてスキャンをそれに対応する回数だけ実施するようにすることも可能である。
【0128】
図6の(d)は実際に本実施形態においてヘッド106が第一回目に紙面をスキャンした際に出力される第1出力信号である。第一回目のスキャンにおいてはヘッド106は図6の(b)のラッチ信号がHighの間だけ駆動されており、したがって、図6の(c)のうち、図6の(b)がHighになっている区間だけの信号が出力されている。
【0129】
また図6の(e)は、実際に本実施形態においてヘッド106が第二回目に紙面をスキャンした際に出力される第2出力信号である。
【0130】
第二回目のスキャンにおいては、ヘッド106は、図6の(b)のラッチ信号がLow状態の間だけ駆動されており、したがって、図6の(c)のうち、図6の(b)がLow状態になっている区間だけの信号が出力されている。
【0131】
図6の(f)は、図6の(d)に示す第1出力信号と図6の(e)に示す第2出力信号とを合成することによって、図6の(c)に示す濃度レベル信号と同じ波形が再現可能であることを示している。
【0132】
このように、本実施形態の文書読取装置では二回のスキャンを実行し、そのなかで同一の紙面を第一回目にスキャンしたときには(d)のような出力が得られ、第二回目にスキャンしたときには(e)のような出力が得られるということが示された。
【0133】
次に図7を用いて、本実施形態の文書再現装置が文書読取装置が生成したスキャン出力(図6の(d)および図6の(e))からもとの文書データを再現するかを説明する。
【0134】
図7の(a)は、図6の(a)でも示した乱数データ列である。この乱数データ列は文書読取装置がヘッドを駆動するために使用されるとともに、データ列出力回路1304からデータ列出力へと出力される。文書再現装置ではデータ列入力からこの乱数データ列を読み込み、データ列バッファ1402へと格納する。これによって図6の(a)に得られた乱数データ列とまったく同一の乱数データ列が文書再現装置内でも使用できることになる。
【0135】
図7の(b)は、図6の(d)で得られた、原文書の特定の紙面位置に相当する第一回目のスキャンデータ(第1読み取りデータ)である。また、図7の(c)は、図6の(e)で得られた、原文書の同一の紙面位置に相当する第二回目のスキャンデータ(第2読み取りデータ)である。
【0136】
図7の(d)は、この乱数データ列からラッチ信号生成回路110によって生成されるラッチ信号である。このラッチ信号は、単位時間にデータ列の当該位置の数値を掛けた時間だけHigh状態になり、再びその次の位置の数値を掛けた時間だけLow状態になる、という動作を繰り返して得られるパルス信号である。
【0137】
この図7の(d)に示すラッチ信号に従って図7の(b)および図7の(c)のデータを取得して合成することによって、図7の(e)に示す波形特徴となる合成出力信号を得ることが出来る。図7の(e)は、図6の(c)において示した、元の文書をヘッド106を連続稼動したと仮定したときに得られるはずのデータと一致しており、これによって文書再現装置が完全に元の文書を再現できたことが示されている。
【0138】
このように本実施形態においてはスキャン時にスキャンヘッドを乱数データに従って断続的に駆動して、互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施することによって、紙面データが簡単には読み取れないようなスキャンデータを生成することが可能となる。
【0139】
さらに、本実施形態は、ヘッド106の駆動に用いる乱数データの性格についてあらかじめ何らの取り決めを行うことなく実施可能であるために、同様に実施された文書読取装置と文書再現装置との間であればどの組み合わせであっても文書データを交換して読み取られた文書を再現することが可能であるという利点を備えている。
【0140】
これに対してこれまでに述べた第1〜第3実施形態では文書読取装置と文書再現装置が互いの構成についてあらかじめ情報を保持していて、同一の擬似乱数シードから同一の擬似乱数データ列を生成するような擬似乱数生成部を備えていることが前提となっており、これは時に実施困難な前提である。本実施形態ではそのようなことを考慮する必要がないことが特徴となっている。
【0141】
〔第5実施形態〕
次に本発明の第5実施形態について説明をする。本実施形態に示す画像処理装置は、図9に示した読取部と同一の構成を備え、かつ、図5に示した文書再現部と同一の構成を備える。
【0142】
本実施形態の読取部の基本的な動作は、第2実施形態において図10を用いて説明したものと同一である。
【0143】
ただし、図10の(a)に示しているデータ列は、図17に示した乱数データ列発生部1302が生成したものであり、必ずしも擬似乱数である必要はなく真の乱数であっても構わない。二回のスキャンにおいて、図10の(a)に示すデータ列に基づいて生成された図10の(b)に示すラッチ信号に従って生成された図10の(d)に示す第1出力信号と図11の(h)に示す第1出力信号は、図10の(e),図11の(i)に示すノイズ信号と合成されて、図10の(g),図11の(k)に示す読み取り信号となるべく合成出力信号を生成する。
【0144】
また、本実施形態の文書再現装置の基本的な動作は、第2実施形態において図12を用いて説明したものと同一である。
【0145】
ただし、本実施形態において、図12の(a)に示したデータ列は、第2実施形態において文書読取装置が備える擬似乱数発生部302で生成した擬似乱数データ列を、それを生成するために与えた擬似乱数シード値を擬似乱数シード値出力から出力したものを文書再現部401の擬似乱数シード値入力へ与えて文書再現装置内の擬似乱数発生部402にて再生成したものではなく、図17に示したデータ列出力部1304−1から出力され、図18に示すデータ列入力部1402−1から入力された、図10の(a)のデータ列がそのまま入力されたデータである。
【0146】
文書再現部1401は読み取り部1301から得られた読み取り信号、図12の(c)および図12の(e)、そして、図12の(a)に示すデータ列から生成された図12の(b)に示すラッチ信号とを合成し、ノイズ部分を除去して図11の(g)に示す元の文書データを再現するという動作をすることになる。
【0147】
このように本実施形態では、スキャン時にスキャンヘッドを乱数に従って断続的に駆動して、互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施することによって、紙面データが簡単に読み取れないようなスキャンデータを生成することが可能となる。
【0148】
さらに本実施形態では、各スキャンパスで生成されたデータに対してブランク部分にノイズ信号を合成することで、第1、あるいは第4の実施形態において見られたような各スキャンパスのデータのブランク部分が明確に分からないようになっているため、ノイズ部分と有効なデータ部分とを容易に区別することは出来ず、解読が困難になっている。
【0149】
さらには、第2実施形態においては、文書読取装置と文書再現装置との間に、同一の擬似乱数シード値を与えると同一のデータ列を生成する擬似乱数生成部をそれぞれに備えていなければならないという制約が存在していたが、本実施形態ではそのような制約は存在しないため、実現が容易であるという利点が得られる。
【0150】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0151】
なお、本実施形態の画像処理装置における読取部の基本部分の内部構成は、図2に示したものと同一である。また、再現部の基本部分の内部構成は、図3に示したものと同一である。本実施形態の読み取り部の全体の構成は、図17に示したものと同一であり、再現部の全体の構成は図18に示したものと同一である。
【0152】
本実施形態の読み取り部の基本的な動作については、図13において示したものと同一である。ただし、ここで図13の(a)のデータ列に関しては、第3実施形態で述べたような擬似乱数であるような必要はなく、例えば真の乱数であっても構わない。二回のスキャンにおいて、ヘッド106は図13の(a)のデータ列に基づいて生成されたラッチ信号によって駆動され、図13の(d)および図13の(f)のような読み取り信号を生成する。そして無信号部分を除去した図13の(e)、(g)に示す間引き信号が最終的な読み取り信号として出力される。
【0153】
また、本実施形態の再現部1401の基本的な動作については、図14において示したものと同一である。ただし、ここで図14の(a)のデータ列は、第2実施形態において文書読取装置が備える擬似乱数発生部302で生成した擬似乱数データ列を、それを生成するために与えた擬似乱数シード値を擬似乱数シード値出力から出力したものを文書再現装置の擬似乱数シード値入力へ与えて文書再現装置内の擬似乱数発生部402にて再生成したものではなく、図17に示したデータ列出力部1304−1から出力され、図18に示したデータ列入力部1402−1から入力された、図13の(a)に示すデータ列がそのまま入力されたデータである。
【0154】
読み取り信号入力から得られた同一紙面部分に該当する読み取りデータ(図13の(c)に示す濃度レベル信号)および図13の(e)に示す間引き信号を図13の(a)に示すデータ列から生成された図13の(b)に示すラッチ信号によってセグメントを時間軸に当てはめることによって、図14の(g)に示す元の文書データを再現することが出来るわけである。
【0155】
このように本実施形態によれば、スキャン時にスキャンヘッドを乱数に従って断続的に駆動して互いに補完するような複数回のスキャンパスを実施することによって、紙面データが簡単に読み取れないようなスキャンデータを生成することが可能となる。
【0156】
さらに、本実施形態では各回のパスでスキャンを行った際に信号にブランク部分が存在しないため一回辺りのスキャンデータの長さが一定ではなくなり、さらに全体のデータ量も削減されるという利点がある。ラッチ信号として用いられたデータ列を別に出力しているため解読者はそちらのデータ列を同時に入手しない限りパスデータの分割点を知ることが出来ないため簡単に元の文書データを再現することはできないという利点があるため、文書データが第三者の手に渡った場合にも機密を保持できる可能性が高くなる。
【0157】
また、本実施形態では、第3実施形態と比べて、文書読取装置と文書再現装置に同一擬似乱数シード値から同一の擬似乱数データ列を生成するような擬似乱数発生部を備える必要があるが、本実施形態ではそのようなことがないため回路の構成が簡易になり利便性が高くなるという利点がある。
【0158】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0159】
本実施形態の読み取り部の基本部分の内部構成は図1に示したものと同一であり、再現部の基本部分の内部構成は図5に示したものと同一である。
【0160】
図19は、本発明の第7実施形態を示す画像処理装置における文書読取装置の構成を説明するブロック図である。
【0161】
図19において、1501は読み取り部である。1502は乱数データ列発生部である。1503はデータバッファで、乱数データ列発生部1502が発生した乱数データ列を保持する。
【0162】
1504はデータ列出力回路で、データバッファ1503に保持されたデータを信号出力する。データ列出力回路1504の出力は、読み取り部1501のデータ列入力部へ入力される。1505はユーザデータ入力部で、文書を読み取らせようとしているユーザがデータを入力する。
【0163】
1506はデータ列暗号化部で、ユーザデータ入力部1505から入力されたユーザの入力したデータを暗号化鍵としてデータバッファ1503に保持されたデータ列を平文として暗号化処理を行い暗号データを生成する。1507はデータ列出力回路で、データ列暗号化部1506によって生成された暗号データを出力する。データ列出力回路1507を通過したデータ列信号はデータ列出力部1507−1から外部へ出力される。
【0164】
図20は、本発明の第7実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【0165】
図20において、1601は再現部である。1602はデータ列バッファで、データ列入力から入力されたデータ列をバッファリングする。1603はユーザデータ入力部で、文書を再現しようとしているユーザがデータを入力する。1604はデータ列復号化部で、ユーザデータ入力部1603から入力されたユーザの入力したデータを復号鍵としてデータ列バッファ1602に保持されたデータを暗号文として復号化処理を行い平文データを復号する。
【0166】
ここでは、図6および図7に従って本実施形態の読み取り部および再現部の動作について説明を加える。
【0167】
図6の(a)は乱数データ列発生部1502が生成したデータ列である。図6の(b)は、乱数データ列発生部1502から生成されたデータ列から生成されるパルス信号である。
【0168】
図6の(c)は、ヘッド106が連続的に稼動されて紙面を読み取ったと仮定した場合に読み取られると想定される信号の波形である。図6の(d)は、第一回目のスキャンパスにおいての図6の(b)に示すパルス信号がHigh状態の間だけヘッド106を駆動して読み取った信号であり、図6の(e)は、第二回目のスキャンパスにおいて図6の(b)に示すがLow状態の間だけヘッド106を駆動して読み取った信号である。
【0169】
ここで、読み取り部1501は、二回のスキャンパスを実行して読み取りデータを読み取りデータ出力部へ出力し、また、データの生成に使用した図6の(a)に示す乱数データ列は、ユーザデータ入力部1505から文書を読み取らせたユーザが入力したデータを暗号化鍵とし、データバッファ1503から入力された乱数データ列を平文データとして、データ列暗号化部1506が暗号化処理を行い暗号データを生成する。生成された暗号データはデータ列出力回路1507を経由してデータ列出力部1507−1へ出力される。
【0170】
次に、本実施形態の文書再現装置の動作について図7に基づいて説明する。
【0171】
再現部1601は、読み取りデータ入力部から読み取りデータを入力するとともに、データ列入力部1602−1から文書読取装置がデータ列出力から出力したデータをデータ列バッファ1602に入力する。またユーザデータ入力部1603から文書を再現しようとするユーザがデータを入力する。
【0172】
データ列入力部1602−1から入力されたデータ列はデータ列バッファ1602へバッファリングされた後、ユーザデータ入力部1603から入力されたデータを復号鍵、データ列バッファ1602にバッファリングされたデータを暗号文として、データ列復号化部1604によって復号化され、再現部1601へ送られる。この復号化されたデータ列が図7の(a)となる。
【0173】
図7の(b)は、読み取り部1501によって一回目のスキャンパスで読み取られたデータであり、図7の(c)が二回目のスキャンパスで読み取られたデータである。
【0174】
図7の(d)は、図7の(a)のデータ列から生成されたパルス信号(ラッチ信号)であり、これらを合成することによって、図7の(e)に示される元の文書データを再現した合成出力信号が再現されることとなる。
【0175】
ここでは、パルス信号がHigh状態とLow状態の二値である例を挙げ、スキャンパスを二回に分割する例を示したが、もちろん、これは複数のスキャンパスに分割するように実施しても構わない。
【0176】
また、ここでは第1実施形態と同様に単純にラッチ信号が指定の値になっている以外の期間はゼロの信号を出力するように実装してあるが、例えば文書読取装置の基本部分として図2に示したものではなく図9に示したものを実施して、ブランク期間にノイズ信号を載せるような実装を行ってもかまわないし、第3実施形態でおこなったのと同様にブランク期間を実際に読み取りデータから削除して出力するように実装しても構わない。
【0177】
本実施形態においては、第4〜第6実施形態で示したように乱数データ列を別途出力するということで、第1〜第3実施形態に見られたように読み取り部と再現部が同一の擬似乱数シード値から同一の擬似乱数データ列を生成するような実装を行う必要がないという利点を備えている上、その別途出力された乱数データ列はユーザが入力したデータ、例えばパスワードや、数字数桁からなる暗証番号、あるいはもっと長い文章であるパスフレーズなどによって暗号化をほどこされている、という特長が備わっている。
【0178】
これによって分割スキャンされたデータを解読することは非常に困難になり、文書データを盗まれた場合にも機密を盗まれる危険性が大きく軽減されるという利点が得られる。
【0179】
〔第8実施形態〕
上記第7実施形態においては、ユーザが文書読取装置のユーザデータ入力部1505から入力するデータが暗号化鍵となり、文書再現装置のユーザデータ入力部1603から入力するデータが復号鍵となるという実施形態について説明を行ったが、本発明の第8実施形態においては同様の構成において、文書再現装置のユーザデータ入力部1603から入力される値は文書を読み取らせたユーザを識別するためのユーザイデンティティであり、このデータを基に接続されたネットワーク上から当該ユーザの公開鍵を取得して復号のために使用するという、公開鍵暗号系の暗号を利用して行う例である。
【0180】
本実施形態によれば文書を再現する処理を行うユーザは、文書を読み取らせたユーザの身元を確実に確認することができるという利点が得られる。また、共通鍵を用いて暗号化を行う場合に比べて鍵の交換が発生しないため安全性が向上する。
【0181】
〔第9実施形態〕
上記第8実施形態では、単に読み取り側で読み取りを行うユーザの秘密鍵で暗号化を行い、再現側で再現を行うユーザが読み取りを行ったユーザの公開鍵で復号を行う実施形態を説明したが、第9実施形態では同様の構成で、読み取り側のユーザが、自身の秘密鍵と文書を渡す相手の公開鍵の双方を用いて暗号化を実施し、再現側のユーザが自身の秘密鍵と文書を読み取った側のユーザの公開鍵を用いて復号化する例である。
【0182】
このようにすると、文書データを送付する経路上で第三者がデータを盗み出すことが可能になったとしても、秘密鍵を知らない限り解読することが不可能であり、さらに経路上での鍵の交換は発生しないため文書の機密がさらに安全に保護されることとなる。
【0183】
〔第10実施形態〕
上記第7〜第9実施形態では、文書を読み取った読み取りデータと、読み取り時にラッチ信号用に使用したデータ列を別々に扱うような実施形態について説明してきたが、第10実施形態では、これらを一つのデータストリームとして最終的に出力される形態を実施する。
【0184】
図21は、本発明の第10実施形態を示す画像処理装置における文書読取装置の構成を説明するブロック図である。
【0185】
図21において、1701は乱数データ列発生部である。1702はデータバッファで、乱数データ列発生部1701が生成した乱数データ列をバッファリングするためのものである。1703はデータ列出力回路で、データバッファ1702にバッファリングされたデータを出力するためのものである。1704はデータバッファで、データバッファ1702にバッファリングされたデータおよび読み取り部1705から出力された読み取りデータを一連のデータストリームに配置してバッファリングする。
【0186】
1705は読み取り部である。1706はユーザがデータを入力するためのユーザデータ入力部であり、1707はデータ列暗号化部で、ユーザデータ入力部1706からユーザが入力したデータを暗号化鍵等として使用し、データバッファ1704にバッファリングされたデータストリームを平文データとして使用して暗号化を実施し暗号データを出力する。1708はデータ列出力回路で、データ列暗号化部1707が出力した暗号データを出力する。
【0187】
図22は、本発明の第10実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【0188】
図22において、1801はデータ列バッファで、データ列入力部から入力されたデータ列をバッファリングする。1802は再現部である。1803はユーザがデータを入力するためのユーザデータ入力部である。
【0189】
1804はデータ列復号化部で、データ列バッファ1801にバッファリングされたデータを暗号文とし、ユーザデータ入力部1803から入力されたデータを復号鍵等として用いて復号化を実施する。1805はデータ分離部で、データ列復号化部1804が復号したデータ列を各スキャンパスのスキャンデータおよびラッチに用いる乱数データ列などに分離する。
【0190】
文書読取部は生成された乱数データ列と、それに基づいて分割スキャンを行ったスキャンデータとをすべてデータバッファ1704にバッファリングし、これをデータ列暗号化部1707で暗号化して一本のデータ列として出力する。
【0191】
一方、文書再現装置は、それをデータ列バッファ1801に受け取った後、これをデータ列復号化部1804で復号化し、さらにデータ分離部1805において、スキャンパスと乱数データ列に分離して再現部1802へ入力する。これによって再現部1802が元の文書データを再現できる。
【0192】
本実施形態によれば、前述の各実施形態が備える機密保持性は維持したままで、読み取りデータを一本のデータストリームとして取り扱うことができるため取り扱いの利便性が向上する。
【0193】
本実施形態では読み取りデータとデータ列を一本のデータストリームに配置した後に暗号化するという例について説明したが、データ列のみを暗号化したのちに平文のままの読み取りデータと暗号化されたデータ列を一本のデータストリームへ配置することも可能であり、同様の効果が期待できる。
【0194】
以上、ここまでに述べてきたように、本実施形態では、文書読取装置の読み取り用ヘッドを乱数あるいは擬似乱数のパターンに基づいて断続的に駆動した上で、そのスキャンを互いに補完するように数回実施するという工夫によって、単純に解読することが不可能な文書データを生成することが可能である。
【0195】
そして、文書を読み取るスキャン時にすでにヘッドそのものの駆動を断続的に行っているため、読み取りの時点から文書が文書再現装置によって最終的に再現されるまでの系のどこにも、もとの文書を再現したデータは存在しないこととなり、これらの段階でデータを盗まれたり通信しているところを傍受されたりしても文書の機密を保持できる確率が格段に高くなるという効果がある。
【0196】
以下、図23に示すメモリマップを参照して本発明に係る画像処理システムで読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0197】
図23は、本発明に係る画像処理システムで読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【0198】
なお、特に図示しないが、記憶媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0199】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記ディレクトリに管理されている。また、各種プログラムをコンピュータにインストールするためのプログラムや、インストールするプログラムが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0200】
本実施形態における図6,図7,図10〜図14に示すタイミングチャートで示す信号ステップ処理機能が外部からインストールされるプログラムによって、ホストコンピュータにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記憶媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記憶媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0201】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0202】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0203】
従って、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0204】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0205】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0206】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバやftpサーバ等も本発明の請求項に含まれるものである。
【0207】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0208】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0209】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0210】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0211】
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるものではない。
【0212】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。以下、その実施態様1〜47について説明する。
【0213】
〔実施態様1〕
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置であって、所定のデータ列を生成する生成手段(図2に示すデータ列入力回路108による)と、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成手段により生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理手段(図2に示す読み取りデータ出力回路112であって、詳細は、図3に示す文書データ合成回路205による、例えば図6,図7に示す出力信号生成ステップ(図6の(a),(b)に示す第1出力信号,第2出力信号出力ステップに基づく)とを有することを特徴とする画像処理装置。
【0214】
これにより、読み取られる画像データがそのまま保持されることで、秘匿性のある画像データが漏洩する事態を回避して、読み取りデータのセキュリティ面を格段に向上できる。
【0215】
〔実施態様2〕
所定のノイズ信号を生成するノイズ生成手段(例えば図9に示すノイズ信号生成回路812による図10の(e)に示すノイズ信号)を有し、前記第1の画像処理手段は、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成手段により生成される前記所定のデータ列と前記ノイズ生成手段により生成される前記所定のノイズ信号とに基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する(図10の(d),(f)に示す第1出力信号、第2出力信号)ことを特徴とする実施態様1記載の画像処理装置。
【0216】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理を施すことができ、第1出力信号、第2出力信号そのものを解析してもオリジナル画像データを復元することを困難なデータとして出力することができる。
【0217】
〔実施態様3〕
前記第1の画像処理手段から出力される各出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現する第2の画像処理手段(図3に示す文書データ合成回路205による、例えば図7の(b),(c)に示す第1,第2読み取りデータを図6の(d)に示すラッチ信号に基づいて図7の(e)に示す合成出力信号を出力する処理に対応する)を有することを特徴とする実施態様1または2記載の画像処理装置。
【0218】
これにより、読み取りデータそのものだけからはオリジナルとなる原稿画像を再現することを困難として、読み取りデータのセキュリティ面を維持した状態で、読み取られる原稿と同一の画像データを確実に再現できる。
【0219】
〔実施態様4〕
前記第1の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて変形加工処理(例えば図13の(e),(g)に基づく間引き信号生成処理に対応する)を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする実施形態1または3記載の画像処理装置。
【0220】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理を施すことができ、第1出力信号、第2出力信号そのものを解析してもオリジナル画像データを復元することをより困難なデータとして出力することができる。
【0221】
〔実施態様5〕
前記第2の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて整形加工処理(例えば図14の(d),(f)に基づく第1,第2分割信号生成処理に対応する)を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする実施態様1または3記載の画像処理装置。
【0222】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理が施されていても、第1出力信号、第2出力信号からオリジナル画像データを確実に復元することができる。
【0223】
〔実施態様6〕
乱数を発生する乱数発生手段(図4に示す疑似乱数発生部302)を有し、前記生成手段は、前記乱数発生手段により生成される乱数に基づいて前記所定のデータ列を生成することを特徴とする実施態様1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【0224】
これにより、汎用的な乱数発生システムを利用した読み取り処理に必要な所定のデータ列を確実に生成することができる。
【0225】
〔実施態様7〕
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列を暗号化する暗号化手段(図19に示すデータ列暗号化部1506による暗号化処理に対応する)と、前記暗号化手段により暗号化されている前記所定のデータ列を入力される第1の鍵情報に基づいて復号化する復号化手段(図20に示すデータ列復号化部1604による復号化処理に対応する)とを有し、前記第1の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記復号化手段により復号化される前記所定のデータ列に基づいて間引き加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力し、前記第2の画像処理手段は、前記第1の画像処理手段から出力される各出力データ列を入力される第2の鍵情報に基づいて復号化される前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現することを特徴とする実施態様1または3記載の画像処理装置。
【0226】
〔実施態様8〕
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0227】
〔実施態様9〕
前記第1の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0228】
〔実施態様10〕
前記第2の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0229】
〔実施態様11〕
前記第2の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0230】
〔実施態様12〕
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づく読み取り操作指示を行うユーザにより設定される秘密鍵情報と他のユーザにより設定される公開鍵情報との組み合わせであることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0231】
〔実施態様13〕
前記第2の鍵情報は、再現操作指示を行うユーザにより設定される公開鍵暗号体系に基づく秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0232】
〔実施態様14〕
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列または前記第1の画像処理手段から出力される出力データ列を暗号化する暗号化手段(図21に示すデータ列暗号化部1707による暗号化処理に対応する)と、前記暗号化手段により暗号化されている前記所定のデータ列または前記第1の画像処理手段から出力される出力データ列を入力される鍵情報に基づいて復号化する復号化手段(図22に示すデータ列復号化部1804による復号化処理に対応する)とを有することを特徴とする実施態様7記載の画像処理装置。
【0233】
これにより、読み取られた画像データがメモリ等に記憶されている場合であっても、その読み取りデータとその復元に必要な所定のデータ列そのものが加工されているため、より高いセキュリティの要求をも満たしながら、読み取りデータが再現されてしまう事態を確実に防止できる画像処理システムを構築できる。
【0234】
〔実施態様15〕
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置における画像処理方法であって、所定のデータ列を生成する生成ステップ(図6の(a)に示すデータ列を生成するステップ)と、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成ステップにより生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理ステップ(図2に示す読み取りデータ出力回路112であって、詳細は、図3に示す文書データ合成回路205による、例えば図6,図7に示す出力信号生成ステップ(図6の(a),(b)に示す第1出力信号,第2出力信号の出力ステップに基づく)とを有することを特徴とする画像処理方法。
【0235】
これにより、読み取られる画像データがそのまま保持されることで、秘匿性のある画像データが漏洩する事態を回避して、読み取りデータのセキュリティ面を格段に向上できる。
【0236】
〔実施態様16〕
所定のノイズ信号を生成するノイズ生成ステップ(例えば図9に示すノイズ信号生成回路812による図10の(e)に示すノイズ信号)を有し、前記第1の画像処理ステップは、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成ステップにより生成される前記所定のデータ列と前記ノイズ生成ステップにより生成される前記所定のノイズ信号とに基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する(図10の(d),(f)に示す第1出力信号、第2出力信号)ことを特徴とする実施態様15記載の画像処理方法。
【0237】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理を施すことができ、第1出力信号、第2出力信号そのものを解析してもオリジナル画像データを復元することを困難なデータとして出力することができる。
【0238】
〔実施態様17〕
前記第1の画像処理ステップから出力される各出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現する第2の画像処理ステップ(図3に示す文書データ合成回路205による、例えば図7の(b),(c)に示す第1,第2読み取りデータを図7の(d)に示すラッチ信号に基づいて図7の(e)に示す合成出力信号を出力する処理に対応する)を有することを特徴とする実施態様15または16記載の画像処理方法。
【0239】
これにより、読み取りデータそのものだけからはオリジナルとなる原稿画像を再現することを困難として、読み取りデータのセキュリティ面を維持した状態で、読み取られる原稿と同一の画像データを確実に再現できる。
【0240】
〔実施態様18〕
前記第1の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて変形加工処理(例えば図13の(e),(g)に基づく間引き信号生成処理に対応する)を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする実施態様15または17記載の画像処理方法。
【0241】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理を施すことができ、第1出力信号、第2出力信号そのものを解析してもオリジナル画像データを復元することをより困難なデータとして出力することができる。
【0242】
〔実施態様19〕
前記第2の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて整形加工処理(例えば図14の(d),(f)に基づく第1,第2分割信号生成処理に対応する)を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする実施態様15または17記載の画像処理方法。
【0243】
これにより、出力される第1出力信号、第2出力信号そのものに加工度が高い信号処理が施されていても、第1出力信号、第2出力信号からオリジナル画像データを確実に復元することができる。
【0244】
〔実施態様20〕
乱数を発生する乱数発生ステップ(図4に示す疑似乱数発生部302による乱数発生処理ステップ)を有し、前記生成ステップは、前記乱数発生ステップにより生成される乱数に基づいて前記所定のデータ列を生成することを特徴とする実施態様15〜19のいずれかに記載の画像処理方法。
【0245】
〔実施態様21〕
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列を暗号化する暗号化ステップ(図19に示すデータ列暗号化部1506による暗号化処理に対応する)と、前記暗号化ステップにより暗号化されている前記所定のデータ列を入力される第1の鍵情報に基づいて復号化する復号化ステップ(図20に示すデータ列復号部1604による復号化処理に対応する)とを有し、前記第1の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記復号化ステップにより復号化される前記所定のデータ列に基づいて間引き加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力し、前記第2の画像処理ステップは、前記第1の画像処理ステップから出力される各出力データ列を入力される第2の鍵情報に基づいて復号化される前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現することを特徴とする実施態様15または17記載の画像処理方法。
【0246】
〔実施態様22〕
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0247】
〔実施態様23〕
前記第1の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0248】
〔実施態様24〕
前記第2の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0249】
〔実施態様25〕
前記第2の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0250】
〔実施態様26〕
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づく読み取り操作指示を行うユーザにより設定される秘密鍵情報と他のユーザにより設定される公開鍵情報との組み合わせであることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0251】
〔実施態様27〕
前記第2の鍵情報は、再現操作指示を行うユーザにより設定される公開鍵暗号体系に基づく秘密鍵情報であることを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0252】
〔実施態様28〕
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列または前記第1の画像処理ステップから出力される出力データ列を暗号化する暗号化ステップ(図21に示すデータ列暗号化部1707による暗号化処理に対応する)と、前記暗号化ステップにより暗号化されている前記所定のデータ列または前記第1の画像処理ステップから出力される出力データ列を入力される鍵情報に基づいて復号化する復号化ステップ(図22に示すデータ列復号化部1804による復号化処理に対応する)とを有することを特徴とする実施態様21記載の画像処理方法。
【0253】
〔実施態様29〕
実施態様15〜28のいずれかに記載の画像処理方法を実行させるためのプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【0254】
〔実施態様30〕
実施態様15〜28のいずれかに記載の画像処理方法を実行させることを特徴とするプログラム。
【0255】
〔実施態様31〕
文書の紙面を光学的に読み取る文書読取装置であって、一枚の紙面を複数回の行程で読み取る読み取り行程を備え、各読み取り行程において、一定のデータ列に基づいて紙面の読み取り領域を限定した上で読み取り動作を行い、各行程における読み取り結果を一つ、あるいは一連の複数のデータストリームとして取り出すことを特徴とする文書読取装置。
【0256】
〔実施態様32〕
実施態様31の文書読取装置であって、ノイズ発生装置を備えており、紙面を読み取る各行程において読み取られた信号の、限定された読み取り領域を読み取っている間の信号はそのまま出力し、読み取り領域外の領域を読み取っている間の信号は該ノイズ発生装置から発生されたノイズによって置き換えられたものが出力され、読み取りデータとすることを特徴とする文書読取装置。
【0257】
〔実施態様33〕
実施態様31の文書読取装置であって、ヘッドが紙面を読み取って出力される信号をいったんバッファ回路にバッファリングし、限定された読み取り領域を読み取っている以外の間の信号はカットしてからデータストリームに出力することを特徴とする文書読取装置。
【0258】
〔実施態様34〕
実施態様31、実施態様32、実施態様33のいずれかの文書読取装置であって、再現可能な擬似乱数を発生する装置を備え、一定のデータ列として、該擬似乱数発生装置によって生成されたデータ列を用い、読み取り結果のデータストリームとともに、あるいは別に、その擬似乱数を再現するために必要な情報を取り出すことを特徴とする文書読取装置。
【0259】
〔実施態様35〕
実施態様34の文書読取装置から取り出された擬似乱数を再現するために必要な情報に基づいて擬似乱数を発生させデータ列を再現し、そのデータ列に基づいて各行程における限定された読み取り領域を再現し、その再現された読み取り領域に対して該文書読取装置から取り出されたデータストリームを当てはめることで、読み取られた文書のデータを再構成することを特徴とする文書再現装置。
【0260】
〔実施態様36〕
実施態様31の文書読取装置であって、乱数を発生する装置を備え、一定のデータ列として該乱数発生装置によって生成されたデータ列を用い、読み取り結果のデータストリームとともに、あるいは別に、該データ列を取り出すことを特徴とする文書読取装置。
【0261】
〔実施態様37〕
実施態様36の文書読取装置から取り出されたデータ列に基づいて各行程における限定された読み取り領域を再現し、その再現された読み取り領域に対して該文書読み取り装置から取り出されたデータストリームを当てはめることで、読み取られた文書のデータを再構成することを特徴とする文書再現装置。
【0262】
〔実施態様38〕
実施態様31の文書読取装置であって、乱数を発生する装置を備え、一定のデータ列として該乱数発生装置によって生成されたデータ列を用い、またユーザから入力された、あるいはネットワークから取得された鍵に基づいて該データ列を暗号化する暗号化装置を備え、読み取り結果のデータストリームとともに、あるいは別に、該暗号化装置によって該データ列を暗号化された暗号化データ列を取り出すことを特徴とする文書読取装置。
【0263】
〔実施態様39〕
暗号化されたデータ列をユーザから入力された、あるいはネットワークから取得された鍵に基づいて復号化する解読装置を備え、実施態様38の文書読取装置から取り出された暗号化データ列を復号した平文データ列に基づいて各行程における限定された読み取り領域を再現し、その再現された読み取り領域に対して該文書読取装置から取り出されたデータストリームを当てはめることで、読み取られた文書のデータを再構成することを特徴とする文書再現装置。
【0264】
〔実施態様40〕
実施態様38の文書読取装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、該鍵が読み取り操作を行うユーザの秘密鍵であることを特徴とする文書読取装置。
【0265】
〔実施態様41〕
実施態様39の文書再現装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、暗号化データがいずれかのユーザの秘密鍵によって暗号化されたものであり、ユーザが入力する鍵が該秘密鍵を保持するユーザの公開鍵であることを特徴とする文書再現装置。
【0266】
〔実施態様42〕
実施態様38の文書読取装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、該鍵がいずれかのユーザの公開鍵であることを特徴とする文書読取装置。
【0267】
〔実施態様43〕
実施態様39の文書再現装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、暗号化データが文書再現操作を行うユーザの公開鍵によって暗号化されたものであり、該鍵が文書再現操作を行うユーザ自身の秘密鍵であることを特徴とする文書再現装置。
【0268】
〔実施態様44〕
実施態様38の文書読取装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、該鍵が読み取り操作を行うユーザの秘密鍵および、一つあるいは複数のいずれかのユーザの公開鍵の組み合わせであることを特徴とする文書読取装置。
【0269】
〔実施態様45〕
実施態様39の文書再現装置であって、暗号化装置の暗号化が公開鍵暗号体系に基づくものであり、暗号化データがいずれかのユーザの秘密鍵および一つあるいは複数のいずれかのユーザの公開鍵の組み合わせによって暗号化されたものであり、該鍵が組み合わせられた公開鍵うちのいずれかを所有するユーザの秘密鍵であることを特徴とする文書再現装置。
【0270】
〔実施態様46〕
実施態様38、実施態様40、実施態様42、実施態様44のいずれかの文書読取装置であって、読み取りのデータストリームも該データ列と同様の暗号化を施して出力することを特徴とする文書読取装置。
【0271】
〔実施態様47〕
実施態様39、実施態様41、実施態様43、実施態様45のいずれかの文書再現装置であって、実施態様46の文書読取装置から出力された暗号化された読み取りデータストリームをそれぞれに適合する復号化方式で復号化した上で、再現された各行程における限定された読み取り領域に当てはめることで、読み取られた文書のデータを再構成することを特徴とする文書再現装置。
【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1】本発明の一実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図であ
【図2】本発明の第1実施形態を示す画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示す画像処理装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示す画像処理装置における文書読取装置の構成を説明するブロックである。
【図5】本発明の第1実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【図6】図4に示した文書読取部がどのような読み取りデータを生成するのかを模式的に示す図である。
【図7】図5に示した再現部がどのように読み取りデータから文書データを再現するかについて模式的に説明する図である。
【図8】本発明に係る画像処理装置における読み取りデータ処理状態を説明する図である。
【図9】本発明の第2実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図10】本発明に係る画像処理装置における第2の画像データ処理状態を説明する図である。
【図11】本発明に係る画像処理装置における第2の画像データ処理状態を説明する図である。
【図12】本発明に係る画像処理装置における第2の画像データ処理状態を説明する図である。
【図13】本発明の第3実施形態を示す画像処理装置における画像データ処理状態を説明する図である。
【図14】本発明の第3実施形態を示す画像処理装置における画像データ処理状態を説明する図である。
【図15】本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の全体構成を説明するブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の要部構成を説明するブロック図である。
【図17】本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図18】本発明の第4実施形態を示す画像処理装置の構成を説明するブロック図である。
【図19】本発明の第7実施形態を示す画像処理装置における文書読取り装置の構成を説明するブロック図である。
【図20】本発明の第7実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【図21】本発明の第10実施形態を示す画像処理装置における文書読取装置の構成を説明するブロック図である。
【図22】本発明の第10実施形態を示す画像処理装置における文書再現装置の構成を説明するブロック図である。
【図23】本発明に係る画像処理装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記憶媒体のメモリマップを説明する図である。
【符号の説明】
【0273】
201 読み取りデータ入力回路
202 読み取りデータバッファ
203 データ列入力回路
204 データ列バッファ
205 文書データ合成回路
206 文書データバッファ
207 文書データ出力回路
301 読み取り部
302 擬似乱数発生部
303 擬似乱数シード決定部
401 再現部
402 擬似乱数発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置であって、
所定のデータ列を生成する生成手段と、
前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成手段により生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
所定のノイズ信号を生成するノイズ生成手段を有し、
前記第1の画像処理手段は、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成手段により生成される前記所定のデータ列と前記ノイズ生成手段により生成される前記所定のノイズ信号とに基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1の画像処理手段から出力される各出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現する第2の画像処理手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて変形加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項1または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて整形加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項1または3記載の画像処理装置。
【請求項6】
乱数を発生する乱数発生手段を有し、
前記生成手段は、前記乱数発生手段により生成される乱数に基づいて前記所定のデータ列を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列を暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化されている前記所定のデータ列を入力される第1の鍵情報に基づいて復号化する復号化手段とを有し、
前記第1の画像処理手段は、前記異なる出力データ列を前記復号化手段により復号化される前記所定のデータ列に基づいて間引き加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力し、前記第2の画像処理手段は、前記第1の画像処理手段から出力される各出力データ列を入力される第2の鍵情報に基づいて復号化される前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現することを特徴とする請求項1または3記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記第2の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第2の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づく読み取り操作指示を行うユーザにより設定される秘密鍵情報と他のユーザにより設定される公開鍵情報との組み合わせであることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2の鍵情報は、再現操作指示を行うユーザにより設定される公開鍵暗号体系に基づく秘密鍵情報であることを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項14】
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列または前記第1の画像処理手段から出力される出力データ列を暗号化する暗号化手段と、
前記暗号化手段により暗号化されている前記所定のデータ列または前記第1の画像処理手段から出力される出力データ列を入力される鍵情報に基づいて復号化する復号化手段とを有することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項15】
原稿画像を光学的に読み取る読取手段を有する画像処理装置における画像処理方法であって、
所定のデータ列を生成する生成ステップと、
前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成ステップにより生成される前記所定のデータ列に基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力する第1の画像処理ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
所定のノイズ信号を生成するノイズ生成ステップを有し、
前記第1の画像処理ステップは、前記読取手段が複数走査回に分けて読み取られる各走査毎に連なる画像データ列を前記生成ステップにより生成される前記所定のデータ列と前記ノイズ生成ステップにより生成される前記所定のノイズ信号とに基づいて加工して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項15記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記第1の画像処理ステップから出力される各出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現する第2の画像処理ステップを有することを特徴とする請求項15または16記載の画像処理方法。
【請求項18】
前記第1の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて変形加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項15または17記載の画像処理方法。
【請求項19】
前記第2の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記所定のデータ列に基づいて整形加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力することを特徴とする請求項15または17記載の画像処理方法。
【請求項20】
乱数を発生する乱数発生ステップを有し、
前記生成ステップは、前記乱数発生ステップにより生成される乱数に基づいて前記所定のデータ列を生成することを特徴とする請求項15〜19のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項21】
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列を暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップにより暗号化されている前記所定のデータ列を入力される第1の鍵情報に基づいて復号化する復号化ステップとを有し、
前記第1の画像処理ステップは、前記異なる出力データ列を前記復号化ステップにより復号化される前記所定のデータ列に基づいて間引き加工処理を施して異なる出力データ列を複数出力し、前記第2の画像処理ステップは、前記第1の画像処理ステップから出力される各出力データ列を入力される第2の鍵情報に基づいて復号化される前記所定のデータ列に基づいて合成して1つの原稿画像データを再現することを特徴とする請求項15または17記載の画像処理方法。
【請求項22】
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項23】
前記第1の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項24】
前記第2の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項25】
前記第2の鍵情報は、秘密鍵暗号体系に基づくユーザにより設定される秘密鍵情報であることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項26】
前記第1の鍵情報は、公開鍵暗号体系に基づく読み取り操作指示を行うユーザにより設定される秘密鍵情報と他のユーザにより設定される公開鍵情報との組み合わせであることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項27】
前記第2の鍵情報は、再現操作指示を行うユーザにより設定される公開鍵暗号体系に基づく秘密鍵情報であることを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項28】
入力される鍵情報に基づいて、前記所定のデータ列または前記第1の画像処理ステップから出力される出力データ列を暗号化する暗号化ステップと、
前記暗号化ステップにより暗号化されている前記所定のデータ列または前記第1の画像処理ステップから出力される出力データ列を入力される鍵情報に基づいて復号化する復号化ステップとを有することを特徴とする請求項21記載の画像処理方法。
【請求項29】
請求項15〜28のいずれかに記載の画像処理方法を実行させるためのプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【請求項30】
請求項15〜28のいずれかに記載の画像処理方法を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−33569(P2006−33569A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211370(P2004−211370)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】