説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】撮影画像に複数の人が写っている場合において、それぞれの人の顔の形を好適に補正することができるようにする。
【解決手段】それぞれの顔が重なり条件に合致するか否かを判定し、重なり条件に合致する画像については、顔の輪郭を変形する画像処理の対象とせず、重なり条件に合致しない画像については画像処理の対象とした上で、再度、重なり条件に合致し、かつ画像処理の対象としていない画像を選択して、反復的に、重なり条件に合致するか否かを判定することを繰り返す。重なり条件は、選択している顔に設定された最大輪郭ラインが、他の顔の輪郭ラインと交わるか否かの条件である。本発明は、写真シール作成装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、特に、撮影画像に複数の人が写っている場合において、それぞれの人の顔の形を好適に補正することができるようにした画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者を撮影し、撮影画像に対して利用者に編集を行わせ、編集後の画像をシール紙に印刷して提供する写真シール作成装置が知られている。このような写真シール作成装置は娯楽(遊戯)施設等に設置される。
【0003】
写真シール作成装置によって提供される1ゲームの流れは、通常、撮影ブース内にいる利用者を被写体として撮影し、利用者を編集ブースに移動させ、編集ブース内で行われる操作に従って画像を編集し、編集後の画像である編集画像をシール紙に印刷して排出するという流れになる。撮影画像の編集は、撮影画像に対してスタンプツールを使ってスタンプ画像を付加したり、ペンツールを使って手書き文字を入力したりして、撮影画像に装飾を施すことによって行われる。
【0004】
ところで、近年、画像処理を施すことによって見栄えのよい撮影画像を生成する機能を搭載した写真シール作成装置がある。ここでいう画像処理は、編集ブースで行われる、撮影画像に何らかの画像を付加して装飾を施す編集処理とは異なり、撮影画像に写る人物(写真シール作成装置の利用者)自体を補正する処理である。
【0005】
撮影画像の画像処理には、ぱっちりと大きくみせるように目の大きさを変更する処理や、肌をきれいに見せるように肌色を変更する処理がある。また、小顔になるように顎のラインを変形する処理や、小顔にするために、顔ラインを取得し、そのラインを基に目を除いた部分の顔領域を変形する処理がある。
【0006】
例えば、目の大きさを変更する処理と肌の色を変更する処理については特許文献1に開示されており、顎のラインを変形する処理については特許文献2に開示されている。また、目を除いた顔領域を変形する処理については特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−175580号公報
【特許文献2】特開2010−50501号公報
【特許文献3】特開2010−61646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
見栄えのよい撮影画像を提供するために様々な画像処理の機能が提供されているが、例えば特許文献1に開示されている技術は、目の大きさや肌の色を対象とした処理であり、顔の輪郭を変形するものではないから、顔全体をみたときにバランスの悪い画像になってしまうことがある。また、利用者が個別に操作を行わなければならないため操作性に優れていなかった。
【0009】
また、特許文献2に開示されている技術によっては、例えば利用者が複数いる場合、他の利用者の顔との関係を考慮することなく、画像処理の対象としている顔の顎ラインを変形するようになされていることから、画像処理後の全員の顔を見たときにバランスの悪い画像になってしまうことがある。さらに、撮影画像に何人の顔が含まれているかが顔検出処理によって取得され、取得された人数分だけ処理が繰り返されることから、最初に取得人数からもれてしまった人の顔は処理の対象にならず、この点において、全ての利用者にとって満足できる撮影画像を提供できているとはいえない。
【0010】
特許文献3に開示されている技術によっては、撮影画像に写る人の数が複数の場合、一人が写る範囲の境界線と他の人が写る範囲の境界線が所定の距離内であれば両者とも画像処理の対象にならず、また、撮影画像に写る人の数が3人以上である場合の処理が開示されていない。写真シール作成装置の使い方として3人のグループで近づいて撮影を行うといったことも多く、このような場合に仮に誰の顔も画像処理の対象にならないとすると、このことも、全ての利用者にとって満足できる撮影画像を提供できていないことになる。さらに、近づいた時は画像処理の対象にならず、離れた時は画像処理の対象になるため、同じゲーム内で生成される複数の撮影画像間で、同一人の顔に違いが生じてしまい、見栄えの悪い画像を提供したり、利用者に不快感を与えたりすることがあった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、撮影画像に複数の人が写っている場合において、それぞれの人の顔の形を好適に補正することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面の画像処理装置は、撮影画像に写る人物の顔を検出する顔検出手段と、前記撮影画像から検出された人物の顔に、変形可能な最大の輪郭の大きさを表す線である最大輪郭ラインを設定する設定手段と、前記顔検出手段で検出された人物の顔が複数あった場合に、前記複数の人物の顔のうちの所定の人物の顔に設定された前記最大輪郭ラインが他の人物の顔の輪郭のラインと交わるか否かを判定し、交わらないと判定した場合、前記所定の人物の顔を対象として、前記最大輪郭ラインにより表される大きさの範囲内で所定の大きさになるように輪郭を変形する画像処理を行い、交わると判定した場合、前記画像処理を行わない顔変形処理手段と、前記顔変形処理手段で、前記所定の人物の顔を対象として前記画像処理を行う毎に、他の人物の顔を前記顔変形処理手段の処理対象とする前記所定の人物の顔として選択する選択手段とを有することを特徴とする。
【0013】
前記顔検出手段には、前記撮影画像に写る人物の顔を検出させるとともに、人物の顔として検出したオブジェクトに対して人物の顔である確率を計算させ、前記選択手段には、前記顔検出手段により求められた前記確率の高い順に処理対象とする前記所定の人物の顔を選択させることができる。
【0014】
前記選択手段には、前記画像処理の対象とした顔を除いて、前記複数の人物の全員の顔に設定された前記最大輪郭ラインが前記他の人物の顔の輪郭のラインと交わると判定するまで、処理対象とする前記所定の人物の顔の選択を繰り返させることができる。
【0015】
本発明の一側面の画像処理方法は、撮影画像に写る人物の顔を検出し、前記撮影画像から検出された人物の顔に、変形可能な最大の輪郭の大きさを表す線である最大輪郭ラインを設定し、検出した人物の顔が複数あった場合に、前記複数の人物の顔のうちの所定の人物の顔に設定された前記最大輪郭ラインが他の人物の顔の輪郭のラインと交わるか否かを判定し、交わらないと判定した場合、前記所定の人物の顔を対象として、前記最大輪郭ラインにより表される大きさの範囲内で所定の大きさになるように輪郭を変形する画像処理を行い、交わると判定した場合、前記画像処理を行わず、前記所定の人物の顔を対象として前記画像処理を行う毎に、他の人物の顔を処理対象とする前記所定の人物の顔として選択するステップを含む。
【0016】
本発明の一側面においては、撮影画像に写る人物の顔が検出され、前記撮影画像から検出された人物の顔に、変形可能な最大の輪郭の大きさを表す線である最大輪郭ラインが設定される。また、検出された人物の顔が複数あった場合に、前記複数の人物の顔のうちの所定の人物の顔に設定された前記最大輪郭ラインが他の人物の顔の輪郭のラインと交わるか否かが判定され、交わらないと判定された場合、前記所定の人物の顔を対象として、前記最大輪郭ラインにより表される大きさの範囲内で所定の大きさになるように輪郭を変形する画像処理が行われ、交わると判定された場合、前記画像処理が行われない。前記所定の人物の顔を対象として前記画像処理が行われる毎に、他の人物の顔が処理対象とする前記所定の人物の顔として選択される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮影画像に複数の人が写っている場合において、それぞれの人の顔の形を好適に補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】写真シール作成装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】写真シール作成装置を他の角度からみた斜視図である。
【図3】利用者の移動について説明する図である。
【図4】撮影ユニットの前方ユニットの正面の構成例を示す図である。
【図5】編集ユニットの側面の構成例を示す図である。
【図6】編集ユニットの他の側面の構成例を示す図である。
【図7】写真シール作成装置の内部の構成例を示すブロック図である。
【図8】図7の制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【図9】図8の撮影処理部の機能構成例を示すブロック図である。
【図10】撮影画像の例を示す図である。
【図11】撮影画像の他の例を示す図である。
【図12】撮影画像のさらに他の例を示す図である。
【図13】撮影画像の例を示す図である。
【図14】撮影画像に写る顔の位置の例を示す図である。
【図15】撮影画像に写る顔の位置の他の例を示す図である。
【図16】撮影画像に写る顔の位置のさらに他の例を示す図である。
【図17】撮影画像に写る顔の位置の例を示す図である。
【図18】撮影画像に写る顔の位置の他の例を示す図である。
【図19】撮影画像に写る顔の位置のさらに他の例を示す図である。
【図20】写真シール作成装置の写真シール作成ゲーム処理について説明するフローチャートである。
【図21】図20のステップS3において行われる撮影処理について説明するフローチャートである。
【図22】図21のステップS16において行われる顔変形処理について説明するフローチャートである。
【図23】画像処理の具体例を示す図である。
【図24】画像処理の具体例を示す他の図である。
【図25】画像処理の具体例を示すさらに他の図である。
【図26】画像処理の効果について説明する図である。
【図27】画像処理の効果について説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[写真シール作成装置の構成]
図1は、写真シール作成装置1の構成例を示す斜視図である。
【0020】
写真シール作成装置1は、撮影や編集等の作業を利用者にゲームとして行わせ、撮影画像や編集済み画像を提供する代わりに利用者より代金を受け取るゲーム機(画像処理装置)である。写真シール作成装置1はゲームセンタなどの店舗に設置される。利用者は1人であることもあるし、複数人であることもある。
【0021】
写真シール作成装置1が提供する写真シール作成ゲームにおいて、利用者は、代金を投入し、自身が被写体となって撮影を行い、撮影によって得られた撮影画像の中から編集対象画像を選択し、編集対象画像に対して、背景や前景となるフレーム画像、手書きの線画やスタンプ画像を合成する編集機能を用いて編集を行うことにより、撮影画像を彩り豊かな画像にする。ゲーム終了後、利用者は、編集済み画像が印刷されたシール紙を受け取ることになる。
【0022】
図1に示すように、写真シール作成装置1の筐体10は、主に、撮影ユニット12、編集ユニット13、天井ストロボユニット14、および背景カーテンユニット15から構成される。
【0023】
撮影ユニット12は、利用者を被写体として撮影する機能を有するユニットである。撮影ユニット12の内部の撮影空間において撮影が行われる。撮影ユニット12は、大きく前方ユニット12Aと後方ユニット12Bに分けられる。
【0024】
前方ユニット12Aは、撮影空間の前方側となるユニットであり、撮影に関する処理を行ったり、利用者による操作を受け付けたりする。前方ユニット12Aの側面には、外付けモニタ16、スピーカ17、タッチペン18a,18bが設けられる。外付けモニタ16の下方には硬貨投入口55が設けられる。後方ユニット12Bは撮影空間の後方側となる壁状のユニットである。
【0025】
編集ユニット13は、利用者が撮影画像に対して編集等を行うための構成が設けられるユニットである。2組の利用者が同時に編集作業を行うことができるように、編集等を行うための構成が編集ユニット13の2つの面のそれぞれに設けられる。写真シール作成装置1は、ある利用者に写真シール作成ゲームを行わせることと、他の利用者に写真シール作成ゲームを行わせることを並列的に実行することができる。
【0026】
撮影空間の上方に設けられる天井ストロボユニット14は、撮影タイミングに合わせて撮影空間内に向けてフラッシュを発光するストロボを内蔵する。天井ストロボユニット14の内部には蛍光灯が配置されており、撮影空間の照明としても機能する。
【0027】
後方ユニット12Bの上部には、背景に利用する可動式のカーテン(背景カーテン)が収納された背景カーテンユニット15が設けられている。背景カーテンユニット15には、色または柄の異なる巻き取り式のカーテンが複数収納されている。背景カーテンユニット15は、前方ユニット12Aに設けられたカメラやストロボ等の撮影機能と連動して動作し、撮影の際に、例えば利用者により選択された色のカーテンを下ろし、その他のカーテンを巻き取る。背景カーテンについて、複数のカーテンを1枚のクロマキー用のカーテンとして昇降式カーテンとしてもよく、また、クロマキー用のカーテンを予め撮影空間の背面に張り付けるとともに、合成用の背景画像を複数種類用意し、編集処理において利用者が所望する背景画像をカーテンの部分に合成することができるようにしてもよい。
【0028】
前方ユニット12Aの側面に設けられる外付けモニタ16は、撮影空間で撮影が行われている場合に、次に撮影空間を利用するために撮影空間の外で待機している利用者や、写真シール作成装置1の傍を通りかかった人に対して、ゲームの進行状況を示す映像を表示したり、ゲームの流れや遊び方等を案内する映像(デモンストレーション)を表示したり、写真シール作成装置1が設置されている店舗や地域の広告等を表示したりする。外付けモニタ16はタブレット内蔵モニタであり、事前接客処理に関する画面を表示し、利用者による選択操作を受け付ける。
【0029】
スピーカ17は、外付けモニタ16の表示に合わせた音声を出力する。
【0030】
タッチペン18a,18bは事前接客作業を行う利用者により用いられる。利用者は、タッチペン18(タッチペン18a,18b)によって外付けモニタ16をタップしたり、外付けモニタ16上を移動させたりすることにより、各種の項目を選択することができる。タッチペンを2本用意しておくことにより、事前接客作業における選択操作を2人の利用者が同時に行うことが可能になる。
【0031】
図2は、写真シール作成装置1を別の角度から見た斜視図である。
【0032】
編集ユニット13は、前方ユニット12Aの、後方ユニット12B側の面(撮影空間側の面)と反対の面に隣接して設置される。編集ユニット13の2つの側面には、利用者が撮影画像に対する編集等を行うための第1編集インタフェース13Aと第2編集インタフェース13Bがそれぞれ設けられる。
【0033】
ここで、写真シール作成ゲームの流れと、それに伴う利用者の移動について図3を参照して説明する。図3は、写真シール作成装置1を上から見た平面図である。
【0034】
外付けモニタ16の前方の空間である事前接客空間31において硬貨投入口55に代金を投入した利用者(利用者A)は、タッチペン18を用いて、外付けモニタ16に表示される画面に従って各種の設定を行う。事前接客空間31においては、例えば、画像をサーバに送信する機能である携帯送信の機能を利用するか否かの選択が事前接客作業として行われる。
【0035】
事前接客作業を終えた利用者は、前方ユニット12Aと後方ユニット12Bの間に形成された撮影空間32に入り、前方ユニット12Aに設けられたカメラやモニタを利用して撮影作業を行う(利用者B)。
【0036】
撮影作業を終えた利用者は、撮影画像の中から編集対象画像を選択し、選択した後に例えば前方ユニット12Aのモニタに表示される移動案内に従って、撮影空間32から、編集作業を行う編集空間に移動する。
【0037】
編集ユニット13の、前方ユニット12Aから見て右側(第1編集インタフェース13Aの前方)に第1編集空間33Aが形成され、左側(第2編集インタフェース13Bの前方)に第2編集空間33Bが形成される。以下、適宜、第1編集空間33Aと第2編集空間33Bを区別する必要が無い場合、まとめて編集空間33という。
【0038】
撮影空間32の利用者(利用者B)は、撮影作業を終えたとき、2つの編集空間のうち、空いている方に案内される。第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bに移動した利用者は、編集作業を開始する。第1編集空間33Aの利用者である利用者Cと、第2編集空間33Bの利用者である利用者C'は同時に編集作業を行うことができる。
【0039】
編集作業を終えた利用者は、次に、分割数の設定などの印刷設定作業を編集空間33において行う。印刷設定作業が終了した後、印刷が開始される。画像の印刷中、利用者は、携帯送信の機能を利用することを事前接客作業時に選択している場合、サーバに保存しておく画像を編集済み画像の中から選択したり、ミニゲームを行ったりする。印刷が終了した場合、利用者は印刷物受取領域34に移動してシール紙を受け取り、一連の写真シール作成ゲームを終える。
【0040】
次に、各ユニットの構成について説明する。
【0041】
図4は、前方ユニット12Aの構成例を示す図である。図4の正面12A−1は、撮影空間32で撮影作業を行う利用者にとって前方に位置する面である。
【0042】
正面12A−1のほぼ中央には、撮影空間32内の被写体を撮影するカメラ51が設けられており、カメラ51の下にタッチパネルモニタ52が設けられている。
【0043】
正面12A−1には、カメラ51による撮影タイミングに合わせて発光する照明装置53−1乃至53−8が設置されている他、撮影作業を行っている利用者が手荷物等を置くための荷物置き場54−1および54−2が、タッチパネルモニタ52の下にある照明装置53−7を挟んで左右に設けられている。正面12A−1の例えば天井付近には、写真シール作成ゲームの撮影作業における案内音声、BGM(Back Ground Music)、効果音等の音声を出力するスピーカも設けられる。
【0044】
カメラ51は、CCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により構成され、撮影空間32にいる利用者を撮影する。カメラ51により取り込まれた取り込み画像は、一部が切り出されたり、背景等の画像が合成されたりして、タッチパネルモニタ52にリアルタイムで表示される。利用者により撮影が指示されたときなどの所定のタイミングでカメラ51により取り込まれた画像は撮影画像(静止画像)として保存される。
【0045】
タッチパネルモニタ52は、LCD(Liquid Crystal Display)などのライブビューモニタと、それに積層されたタッチパネルにより構成される。タッチパネルモニタ52は、カメラ51により取り込まれた取り込み画像に背景や前景等の画像を合成した合成画像(動画像)を表示するライブビューモニタとしての機能と、各種のGUI(Graphical User Interface)画像を表示するとともに、画面上に重畳されたタッチパネルにより利用者の選択操作を受け付ける機能とを備えている。
【0046】
図5は、編集ユニット13の、撮影ユニット12側から見て右側面の構成例(第1編集空間33A側の構成例)を示す図である。
【0047】
第1編集インタフェース13Aには、タブレット内蔵モニタ62、タッチペン63−1,63−2、およびスピーカ64が設けられる。これらの上方には照明装置61も設けられる。
【0048】
タブレット内蔵モニタ62は、タッチペン63−1または63−2を用いて操作入力が可能なタブレットがLCDなどの表示デバイス上に重畳されることによって構成される。タブレット内蔵モニタ62には、例えば、編集対象画像の編集に用いられる画面である編集画面が表示される。2人で同時に編集作業を行う場合、タッチペン63−1は一方の利用者により用いられ、タッチペン63−2は他方の利用者により用いられる。以下、適宜、タッチペン63−1とタッチペン63−2をまとめてタッチペン63という。
【0049】
スピーカ64は、案内音声、効果音、BGMなどの編集作業に関する音声を出力する。なお、第2編集空間33B側の編集ユニット13の構成も、図5に示す第1編集空間33A側の構成と基本的に同様の構成である。
【0050】
図6は、編集ユニット13の、写真シール排出部13Cの構成例を示す図である。
【0051】
写真シール排出部13Cには写真シール排出口71が設けられる。写真シール排出口71には、第1編集空間33Aの利用者が編集作業を行って得られた画像が印刷されたシール紙と、第2編集空間33Bの利用者が編集作業を行って得られた画像が印刷されたシール紙が排出される。編集ユニット13の内部にはプリンタが設けられており、編集作業により得られた画像の印刷がそのプリンタにより行われる。
【0052】
次に、写真シール作成装置1の内部構成について説明する。図7は、写真シール作成装置1の内部の構成例を示すブロック図である。上述した構成と同じ構成には同じ符号を付してある。重複する説明については適宜省略する。
【0053】
制御部101は、写真シール作成装置1の全体の動作を制御する。制御部101には、記憶部102、通信部103、ドライブ104、ROM(Read Only Memory)106、RAM(Random Access Memory)107、事前接客部111、撮影部112、編集部113、プリンタ114が接続される。
【0054】
記憶部102は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体からなり、制御部101から供給された各種の設定情報を記憶する。記憶部102に記憶されている情報は制御部101により適宜読み出される。
【0055】
通信部103はインターネットなどのネットワークのインタフェースであり、制御部101による制御に従って外部の装置と通信を行う。
【0056】
ドライブ104には、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)や半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア105が適宜装着される。ドライブ104によりリムーバブルメディア105から読み出されたコンピュータプログラムやデータは、制御部101に供給され、記憶部102に記憶されたり、インストールされたりする。
【0057】
ROM106には、制御部101において実行されるプログラムやデータが記憶されている。RAM107は、制御部101が処理するデータやプログラムを一時的に記憶する。
【0058】
事前接客部111は、事前接客作業を利用者に行わせるための処理である事前接客処理を行うブロックであり、外付けモニタ16、スピーカ17、タッチペン18、および硬貨処理部121から構成される。
【0059】
外付けモニタ16は、制御部101による制御に従って、写真シール作成ゲームの流れや遊び方等を案内する映像などを表示する。また、外付けモニタ16は、代金が投入された後、携帯送信の機能を利用するか否かの選択画面などを表示する。外付けモニタ16に対して入力された利用者の操作の内容を表す信号は制御部101に供給される。
【0060】
硬貨処理部121は、硬貨投入口に対する硬貨の投入を検出する。硬貨処理部121は、硬貨が投入されたことを検出した場合、そのことを表す起動信号を制御部101に出力する。
【0061】
撮影部112は、撮影作業を利用者に行わせるための処理である撮影処理を行うブロックであり、背景カーテンユニット15、照明制御部122、カメラ51、タッチパネルモニタ52、およびスピーカ124から構成される。
【0062】
背景カーテンユニット15は、制御部101より供給される背景制御信号に基づいて背景カーテンの上げ下ろしを行う。背景の選択は利用者が手動で行うようにしてもよい。
【0063】
照明制御部122は、制御部101より供給される照明制御信号に基づいて、照明装置53−1乃至53−8を点灯したり、消灯したりする。
【0064】
カメラ51は、制御部101による制御に従って撮影を行い、撮影によって得られた画像データを制御部101に出力する。撮影処理においては、撮影が複数回行われ、複数の撮影画像の中から選択された所定の数の画像が編集対象画像として記憶部102に保存される。
【0065】
編集部113は、編集作業を利用者に行わせるための処理である編集処理を行うブロックであり、第1編集インタフェース13Aに対応する第1編集部113Aと、第2編集インタフェース13Bに対応する第2編集部113Bよりなる。ここでは第1編集部113Aの構成について説明するが、第2編集部113Bも第1編集部113Aと同一の構成を有する。
【0066】
第1編集部113Aは、タブレット内蔵モニタ62、タッチペン63−1,63−2、およびスピーカ64から構成される。
【0067】
タブレット内蔵モニタ62は編集用モニタ141とタブレット142により構成され、制御部101による制御に従って編集画面を表示し、編集画面に対する利用者の操作を検出する。利用者の操作の内容を表す信号は制御部101に供給され、編集対象画像の編集が行われる。編集画面には、記憶部102に保存されていた編集対象画像のサムネイル画像が表示され、サムネイル画像をタップすることによって選択された編集対象画像がサムネイル画像より大きなサイズで表示される。利用者は、拡大して表示させる編集対象画像を適宜切り替え、拡大表示された編集対象画像に対して、編集画面に表示されるペンツールを使って手書きの文字を入力したり、スタンプツールを使ってハート柄などの画像を入力したりすることができる。
【0068】
プリンタ114は、編集処理によって得られた編集済み画像をシール紙162に印刷し、写真シール排出口71に排出する。
【0069】
図8は、制御部101の機能構成例を示すブロック図である。図8に示す構成は、制御部101が所定のプログラムを実行することによって実現される。制御部101においては、事前接客処理部201、撮影処理部202、編集処理部203、印刷処理部204、および事後接客処理部205が実現される。
【0070】
事前接客処理部201は、写真シール作成ゲームを開始する際に投入される代金(硬貨)に関する処理や、撮影前設定などに関する処理である事前接客処理を行う。撮影処理部202は、利用者を撮影する処理である撮影処理を行う。編集処理部203は、撮影画像に対する編集等の編集処理を行う。印刷処理部204は、編集処理によって得られた画像をシール紙に印刷する印刷処理を行う。事後接客処理部205は、編集作業を終えて印刷が終わるのを待っている利用者に対してミニゲームなどを提供する事後接客処理を行う。
【0071】
[顔変形処理について]
以上のような構成を有する写真シール作成装置1においては、撮影画像を対象として、撮影画像に写る人物の顔を変形する処理である顔変形処理が行われる。顔変形処理は、例えば、撮影が終了した後であって、編集が開始される前に行われる。すなわち、編集処理においては、顔変形処理後の画像が編集対象画像として用いられる。顔変形処理は、利用者の指示に応じて行われるようにしてもよいし、写真シール作成装置1により自動的に行われるようにしてもよい。撮影して得られた画像を元画像として顔変形処理を施し、さらに、縦長形状、横長形状、正方形形状の画像を切り出し、その切り出した画像が編集用画像となる。
【0072】
図9は、撮影処理部202の機能構成例を示すブロック図である。撮影処理部202は、撮影制御部211、顔認識部212、最大輪郭ライン設定部213、および画像処理部214から構成される。
【0073】
撮影制御部211は、撮影空間32にいる利用者を複数回撮影し、編集対象画像として選択された撮影画像を出力する。撮影制御部211から出力された撮影画像は、顔認識部212、最大輪郭ライン設定部213、および画像処理部214にそれぞれ供給される。
【0074】
顔認識部212は、撮影制御部211から供給された撮影画像に写る顔を認識する。顔認識部212は、例えば撮影画像を解析することによって、撮影画像に写るオブジェクトの各位置における特徴を抽出し、抽出した特徴と、予め用意されている人物の顔の各位置における特徴とをマッチングすることによって顔認識を行う。顔認識部212は、撮影画像に写るオブジェクトのうち、マッチング結果を表すスコアの高いものを人物の顔であるとして認識する。
【0075】
図10は、撮影画像の例を示す図である。図10の例においては、二人の人物が写っており、フレームF1,F2で囲んで示すようにそれぞれの人物の顔が認識されている。以下、適宜、フレームF1で囲んで示す左側の人物の顔を顔1、フレームF2で囲んで示す右側の人物の顔を顔2として説明する。
【0076】
顔認識部212は、認識したそれぞれの顔の位置を表す情報と、顔の輪郭、目、鼻、口などの顔の各部分の位置を表す情報を最大輪郭ライン設定部213に出力する。また、顔認識部212は、マッチングにより求めたスコアを画像処理部214に出力する。画像処理部214に出力されるスコア(信頼度)は、顔であるとして認識したオブジェクトが実際に顔である確率を表す。
【0077】
最大輪郭ライン設定部213は、顔認識部212から供給された情報に基づいて撮影画像に写る顔の輪郭を特定し、それぞれの顔に、変形して拡大することが可能な最大の輪郭の範囲を表すラインである最大輪郭ラインを設定する。
【0078】
図11に示すように、顔1の輪郭が輪郭ラインL1で表され、顔2の輪郭が輪郭ラインL2で表される場合について説明する。この場合、最大輪郭ライン設定部213は、図12に示すように、輪郭ラインL1の外側に、顔1の輪郭を変形して拡大することが可能な最大の輪郭の範囲を表す最大輪郭ラインL1maxを設定し、輪郭ラインL2の外側に、顔2の輪郭を変形して拡大することが可能な最大の輪郭の範囲を表す最大輪郭ラインL2maxを設定する。
【0079】
例えば、最大輪郭ラインは、目、鼻、口などの顔の各部分より求められる顔の中心を基準位置として、基準位置から、輪郭上の各位置までの距離を、顔の外側に所定の割合だけ広げることによって設定される。基準位置から輪郭上の各位置までの距離を同じ割合で広げるのではなく、変形後の顔がより小顔に見えるように、横方向に広げる割合より縦方向に広げる割合の方が大きくなるようにしてもよい。最大輪郭ライン設定部213は、撮影画像の各顔に設定した最大輪郭ラインの情報を画像処理部214に出力する。
【0080】
なお、最大輪郭ラインだけでなく、図13において破線で示すように、基準位置から輪郭上の各位置までの距離を、顔の内側に所定の割合だけ狭めることによって最小輪郭ラインが設定されるようにしてもよい。この場合、画像処理によって、顔の輪郭を最大輪郭ラインの範囲まで拡大するだけでなく、最小輪郭ラインの範囲まで縮小することが可能とされる。場合によっては、部分的に顔輪郭ラインより内側となる部分や外側となる部分が混在したような最大(最小)変形ラインとなりうるような見栄えのよい画像になるようなラインに設定してもよい。例えば、面長になるように、頬より上は輪郭ラインより少し外側で、唇より下は輪郭ラインより少し内側になるようなラインになるように設定してもよい。
【0081】
また、一点鎖線で示すように、輪郭ラインと最大輪郭ラインの間に、双方のラインとほぼ平行なラインが設定され、このラインに沿って、輪郭ラインの範囲を拡大することができるようにしてもよい。
【0082】
画像処理部214は、顔認識部212から供給された信頼度に基づいて、人物の顔である確率の最も高い顔を選択し、選択している顔が、重なり条件に合致するか否かを判定する。
【0083】
重なり条件は、選択している顔に設定された最大輪郭ラインが、他の顔の輪郭ラインと交わるか否かの条件である。画像処理部214は、選択している顔の最大輪郭ラインが、他の顔の輪郭ラインと交わる場合、重なり条件に合致すると判定し、選択している顔の最大輪郭ラインが、他の顔の輪郭ラインと交わらない場合、重なり条件に合致しないと判定する。
【0084】
画像処理部214は、選択している顔が重なり条件に合致する場合、その顔を、輪郭を変形する画像処理の対象とはせずに、次に信頼度の高い顔を選択し、重なり条件に合致するか否かを判定する。すなわち、顔の輪郭を拡大するように変形したときに、変形前より、他の人物の顔に近づく、または、他の人物の顔との重なり部分が大きくなるような顔については、画像処理の対象とはしないで、他の顔を対象として処理が進められる。
【0085】
ここで、撮影画像に写る顔の位置の各パターンについて、それぞれの顔が画像処理の対象となるか否かについて説明する。撮影画像に写る顔が2つである場合について説明するが、3つ以上である場合も同様である。
【0086】
例えば、図14に示すように、顔1と顔2の関係が、最大輪郭ライン同士が交わらないほど離れている関係にある場合、画像処理部214は、顔1と顔2のいずれの顔をも対象として画像処理を行う。図14の例においては、最大輪郭ラインL1maxが輪郭ラインL2と交わらず、顔1は重なり条件に合致しない。また、最大輪郭ラインL2maxが輪郭ラインL1と交わらず、顔2も重なり条件に合致しない。
【0087】
図15に示すように、顔1と顔2の関係が、最大輪郭ライン同士は交わるが、一方の最大輪郭ラインが他方の輪郭ラインに交わらないほど離れている関係にある場合も同様に、画像処理部214は、顔1と顔2のいずれの顔をも対象として画像処理を行う。図15の例においては、最大輪郭ラインL1maxが輪郭ラインL2とは交わらず、顔1は重なり条件に合致しない。また、最大輪郭ラインL2maxが輪郭ラインL1と交わらず、顔2も重なり条件に合致しない。
【0088】
図16に示すように、顔1と顔2の関係が、横に並ぶのではなく縦にずれていることによって、最大輪郭ラインL1maxが輪郭ラインL2と交わるが、最大輪郭ラインL2maxが輪郭ラインL1と交わらない関係にある場合、画像処理部214は、顔1を対象とはしないで、顔2を対象として画像処理を行う。顔1は重なり条件に合致し、顔2は重なり条件に合致しない。
【0089】
例えば、図16の顔2を対象とした画像処理によって、図17に示すように顔2の輪郭を小さくした場合、画像処理部214は、再度、顔1を選択し、顔1が重なり条件に合致するか否かを判定する。図17の例においては、最大輪郭ラインL1maxが変形後の顔2に設定された輪郭ラインL2と交わり、顔1は重なり条件に合致するから、このとき、処理は終了する。
【0090】
図18に示すように、顔1と顔2の関係が、最大輪郭ラインL1maxが輪郭ラインL2と交わるが、最大輪郭ラインL2maxが輪郭ラインL1と交わらない関係にある場合、画像処理部214は、顔1を対象とはしないで、顔2を対象として画像処理を行う。図18の例においては、顔1は重なり条件に合致し、顔2は重なり条件に合致しない。
【0091】
例えば、図18の顔2を対象とした画像処理によって、図19に示すように顔2の輪郭を小さくした場合、画像処理部214は、再度、顔1を選択し、顔1が重なり条件に合致するか否かを判定する。図19の例においては、最大輪郭ラインL1maxが変形後の顔2の輪郭ラインL2と交わらず、顔1は重なり条件に合致しないから、画像処理部214は、次に、顔1を対象とした画像処理を行う。
【0092】
一方の顔が重なり条件に合致するものであったとしても、他方の顔の輪郭の大きさを変えることによって重なり条件に合致しなくなる場合もあり、この場合、重なり条件に合致すると先に判定されていた顔の方も、画像処理の対象になることになる。
【0093】
図9の説明に戻り、画像処理部214は、以上のようにして画像処理の対象を選択し、顔の輪郭を変形した撮影画像を出力する。画像処理部214から出力された撮影画像は編集処理部203に出力され、編集対象画像として用いられる。
【0094】
全ての撮影画像を対象として画像処理部214により画像処理が行われるのではなく、複数の撮影画像の中から選択された撮影画像のみを対象として画像処理が行われるようにしてもよい。この場合、撮影制御部211による撮影処理の終了後、選択画面がタッチパネルモニタ52に表示され、画像処理の対象とする撮影画像が利用者により選択されることになる。
【0095】
[写真シール作成装置の動作]
ここで、図20のフローチャートを参照して、写真シール作成ゲームを提供する写真シール作成装置1の処理について説明する。
【0096】
ステップS1において、写真シール作成装置1の硬貨処理部121は、硬貨が投入されたか否かを判定し、投入されたと判定するまで待機する。
【0097】
硬貨が投入されたとステップS1において判定された場合、ステップ2において、事前接客処理部201は事前接客処理を行う。例えば事前接客処理により、携帯送信の機能を利用するか否かが選択され、利用することが選択された場合、利用者の携帯電話機のメールアドレスの入力画面が外付けモニタ16に表示される。利用者は自身の携帯電話機のメールアドレスを入力することになる。
【0098】
ステップS3において、撮影処理部202は撮影処理を行う。撮影処理によって得られた撮影画像はタッチパネルモニタ52に表示され、その中から選択された編集対象画像が編集処理部203に供給される。
【0099】
ステップS4において、編集処理部203は、編集画面を表示し、利用者の操作に応じて編集処理を行う。編集処理により、上述したように、編集対象画像に対して、手書きの文字や模様、あらかじめ用意されているハート柄などの画像が入力される。
【0100】
ステップS5において、事後接客処理部205は事後接客処理を行う。携帯送信の機能を利用することが事前接客処理時に選択されている場合、事後接客処理部205は、編集対象画像をタブレット内蔵モニタ62に表示し、その中から、所定の数の画像を携帯送信用画像として利用者に選択させる。
【0101】
携帯送信用画像として選択された画像は、利用者により入力されたメールアドレスとともに写真シール作成装置1からサーバに送信され、サーバが有する記憶媒体に保存される。保存先を表すURLを含む電子メールがサーバから利用者の携帯電話機に送信される。利用者が携帯電話機を操作して電子メールに含まれるURLに対するアクセスを指示したとき、サーバに対するアクセスが行われ、携帯送信用画像が携帯電話機のディスプレイに表示される。
【0102】
ステップS6において、印刷処理部204は、プリンタ114を制御し、編集処理により得られた編集済みの画像をシール紙162に印刷する印刷処理を行う。
【0103】
ステップS7において、印刷処理部204は、所定の画面をタブレット内蔵モニタ62に表示するなどして、写真シール排出口71の前への移動を案内する。
【0104】
印刷が終了したとき、ステップS8において、印刷処理部204は、編集済みの画像が印刷されたシール紙162を写真シール排出口71に排出し、処理を終了させる。
【0105】
次に、図21のフローチャートを参照して、図20のステップS3において行われる撮影処理について説明する。
【0106】
撮影処理の開始時、タッチパネルモニタ52には、カメラ51により取り込まれたライブビュー画像が表示され、所定の位置に、撮影の開始を指示するときに操作されるスタートボタンが表示される。ステップS11において、撮影処理部202は、撮影開始までの所定の時間が経過したか否かを判定し、経過していないと判定した場合、ステップS12において、スタートボタンが押下されたか否かを判定する。
【0107】
スタートボタンが押下されていないとステップS12において判定した場合、撮影処理部202は、ステップS11に戻り、以上の処理を繰り返す。一方、スタートボタンが押下されたとステップS12において判定した場合、ステップS13において、撮影処理部202は、タッチパネルモニタ52にカウントダウンインジケータを表示させ、撮影を行う。
【0108】
ステップS14において、撮影処理部202は、予め定められた所定の回数だけ撮影を行ったか否かを判定し、撮影を行っていないと判定した場合、ステップS13に戻り、撮影を繰り返す。
【0109】
一方、予め定められた所定の回数だけ撮影を行ったとステップS14において判定した場合、ステップS15において、撮影処理部202は、選択画面をタッチパネルモニタ52に表示し、編集対象画像を利用者に選択させる。編集対象画像の選択画面には、繰り返し撮影を行うことによって得られた撮影画像が表示される。
【0110】
編集対象とする撮影画像が選択されたとき、ステップS16において、撮影画像に写る顔の輪郭を画像処理によって変形する顔変形処理が行われる。顔変形処理については図22のフローチャートを参照して後述する。
【0111】
ステップS17において、撮影処理部202は、編集空間33への移動を案内する画面である誘導画面を表示する。例えば、第1編集空間33Aまたは第2編集空間33Bのうち、いずれが使用可能であるかが判断され、他の利用者が使用してない(空いている)方の編集空間への移動が案内される。その後、図20のステップS3に戻り、それ以降の処理が行われる。
【0112】
次に、図22のフローチャートを参照して、図21のステップS16において行われる顔変形処理について説明する。
【0113】
ステップS21において、顔認識部212は、撮影画像を対象として顔認識を行う。顔認識により、撮影画像に写る顔が検出されるとともに、それぞれの顔が実際に人物の顔である確率を表す信頼度が求められる。
【0114】
ステップS22において、最大輪郭ライン設定部213は、顔認識部212により認識された顔の輪郭を特定し、それぞれの顔に最大輪郭ラインを設定する。
【0115】
ステップS23において、画像処理部214は、顔認識部212により求められた信頼度に基づいて、顔である確率の最も高い1つの顔を選択する。ここでの顔の選択においては、輪郭の変形を既に行った顔は除かれる。
【0116】
ステップS24において、画像処理部214は、選択している顔が重なり条件に合致するか否かを判定する。
【0117】
最大輪郭ラインが他の顔の輪郭ラインと交わらないことから、選択している顔が重なり条件に合致しないとステップS24において判定した場合、ステップS25において、画像処理部214は、画像処理を行うことによって、選択している顔の輪郭を、目標とする大きさになるように変形する。目標とする大きさが利用者により選択されるようにしてもよいし、画像処理部214により自動的に選択されるようにしてもよい。最大輪郭ラインが目標とする大きさとして選択された場合、輪郭ラインが最大輪郭ラインと重なるまで輪郭が拡大され、最小輪郭ラインが目標とする大きさとして選択された場合、輪郭ラインが最小輪郭ラインと重なるまで輪郭が縮小される。
【0118】
例えば、輪郭ラインが最大輪郭ラインと重なるまで輪郭を拡大する場合、その画像処理は、輪郭ラインより内側にある画素を用いて、輪郭ラインから最大輪郭ラインまでの範囲を補間するとともに、輪郭ラインが拡大することに伴って、輪郭ラインより外側にある画素を外側に移動させるようにして行われる。また、輪郭ラインが最小輪郭ラインと重なるまで輪郭を縮小する場合、その画像処理は、輪郭ラインを縮小させることに伴って、輪郭ラインより外側にある画素を用いて、輪郭ラインから最小輪郭ラインまでの範囲を補間するようにして行われる。
【0119】
選択している顔の画像処理が終了した場合、画像処理部214は、ステップS23に戻り、次に信頼度の高い顔を選択し、以降の処理を繰り返す。例えば、信頼度の最も高い顔の画像処理が行われた場合、2番目に信頼度の高い顔が選択され、処理が繰り返される。また、2番目以降に信頼度の高い顔の画像処理が行われた場合、輪郭の変形を既に行った顔を除いて、信頼度の最も高い顔から順に選択され、処理が繰り返される。
【0120】
一方、ステップS24において、最大輪郭ラインが他の顔の輪郭ラインと交わることから、選択している顔が重なり条件に合致すると判定した場合、ステップS26において、画像処理部214は、全ての顔を選択したか否かを判定する。
【0121】
全ての顔を選択していないとステップS26において判定した場合、ステップS23に戻り、次に信頼度の高い顔を選択し、以降の処理を繰り返す。全ての顔を選択したとステップS26において判定された場合、図21のステップS16に戻り、それ以降の処理が行われる。
【0122】
図23は、画像処理の具体例を示す図である。
【0123】
図23の左側に示すように、3人の顔が写っている撮影画像P1を対象として画像処理を行う場合について説明する。撮影画像P1においては、3人の顔のうち、中央の顔が左右の顔より若干小さく写っている。信頼度の高い順に、右側の人物の顔がID1の顔として認識され、左側の人物の顔がID2の顔として認識され、中央の人物の顔がID3の顔として認識されているものとする。この場合、右側のID1の顔が最初に選択される。
【0124】
撮影画像P1においては、ID1の顔の最大輪郭ラインL1maxの左端部分が中央のID3の顔の輪郭ラインL3と交わっているから、ID1の顔は重なり条件に合致し、画像処理の対象とはならない。
【0125】
次に、左側のID2の顔が選択される。撮影画像P1においては、ID2の顔の最大輪郭ラインL2maxの右端部分が中央のID3の顔の輪郭ラインL3と交わっているから、ID2の顔は重なり条件に合致し、画像処理の対象とはならない。
【0126】
次に、中央のID3の顔が選択される。撮影画像P1においては、ID3の顔の最大輪郭ラインL3maxが、ID1の顔の輪郭ラインL1、ID2の顔の輪郭ラインL2の双方と交わらないから、ID3の顔は重なり条件に合致せず、矢印#1の先に示すように、ID3の顔を対象として画像処理が行われる。矢印#1の先に示す撮影画像においてID3の顔にのみ最大輪郭ラインなどを示していることは、ID3の顔を対象として画像処理が行われることを表す。
【0127】
ここでは、最大輪郭ラインL1maxの左端部分が輪郭ラインL3と交わらず、かつ、最大輪郭ラインL2maxの右端部分が輪郭ラインL3と交わらない程度に、ID3の顔が縮小されたものとする。
【0128】
図24の左側に示す撮影画像P2は、ID3の顔を縮小して得られた、画像処理後の撮影画像である。
【0129】
ID3の顔の画像処理が行われているから、この場合、右側のID1の顔が再度選択される。撮影画像P2においては、ID1の顔の最大輪郭ラインL1maxがID3の顔の輪郭ラインL3と交わらないから、ID1の顔は重なり条件に合致せず、ID1の顔を対象として画像処理が行われる。
【0130】
ID1の顔を対象として画像処理が行われた後、次に、左側のID2の顔が選択される。撮影画像P2においては、ID2の顔の最大輪郭ラインL2maxがID3の顔の輪郭ラインL3と交わらないから、ID2の顔は重なり条件に合致せず、矢印#2の先に示すように、ID2の顔を対象として画像処理が行われる。
【0131】
図25は、以上の一連の流れによって、ID1,ID2,ID3のそれぞれの顔を対象として画像処理を行って得られた撮影画像を示す図である。以上のように、それぞれの顔が重なり条件に合致するか否かを判定し、重なり条件に合致する画像については画像処理の対象とせず、重なり条件に合致しない画像については画像処理の対象とした上で、再度、重なり条件に合致し、かつ画像処理の対象としていない画像を選択して、反復的に、重なり条件に合致するか否かを判定することを繰り返すことによって、他の顔との関係を考慮した上で、全ての顔を対象として画像処理を行うことが可能になる。
【0132】
図26は、重なり条件に合致しない画像から画像処理の対象とすることの効果について説明する図である。ここでは、ID1の顔とID3の顔を用いて説明する。
【0133】
図26の左側に示すID1の顔とID3の顔の関係は、ID1の顔の最大輪郭ラインL1maxがID3の顔の輪郭ラインL3と交わるが、ID3の顔の最大輪郭ラインL3maxはID1の顔の輪郭ラインL1と交わらない関係にある。
【0134】
この場合、上述したように、輪郭を縮小する処理は、輪郭ラインを縮小させることに伴って、輪郭ラインより外側にある画素を用いて、輪郭ラインから最小輪郭ラインまでの範囲を補間するようにして行われるから、仮に、ID1の顔を先に縮小させた場合、矢印#11の先に示すように、ID3の顔の一部(最大輪郭ラインL1maxが入り込んでいる付近)がID1の顔の方に引っ張られるような形で広がり、ID3の顔が凸型に歪んでしまうことがある。
【0135】
反対に、輪郭を拡大する処理は、輪郭ラインより内側にある画素を用いて、輪郭ラインから最大輪郭ラインまでの範囲を補間するとともに、輪郭ラインが拡大することに伴って、輪郭ラインより外側にある画素を外側に移動させるようにして行われるから、仮に、ID1の顔を先に拡大させた場合、矢印#12の先に示すように、ID3の顔の一部が最大輪郭ラインL1maxに沿うような形で狭まり、ID3の顔が凹型に歪んでしまうことがある。以上のようにして画像処理の対象を選択することにより、ID3の顔が歪んでしまうことを防ぐことが可能になる。
【0136】
[変形例]
以上においては、画像処理によって顔の輪郭を変形する場合について説明したが、顔の輪郭の変形に伴って、目、鼻、口などの顔の各部分の位置や大きさについても補正されるようにしてもよい。
【0137】
また、以上においては、顔変形処理が、撮影画像の中から選択された編集対象画像に写る顔を対象として対して行われるものとしたが、他の画像に写る顔を対象として行われるようにしてもよい。例えば、取り込み画像に写る顔を対象としてリアルタイムで行われるようにしたり、編集済み画像に写る顔を対象として行われるようにしたりすることも可能である。
【0138】
図27に示すように、撮影画像の範囲内に最大輪郭ラインが収まらない顔については、画像処理の対象から外すようにしてもよい。図27の例においては、ID1の顔の最大輪郭ラインL1maxは、その一部が撮影画像からはみ出ている。この場合であっても、ID3の顔を対象とした重なり条件の判定は、ID3の顔の最大輪郭ラインL3maxと、ID1の顔の輪郭ラインL1とが重なるか否かを判定するようにして行われる。ここでは、ID1の顔の最大輪郭ラインL1maxが撮影画像からはみ出る場合、画像処理の対象から外すようにしたが、撮影画像の方を拡大し、対象から外すことなく、ID1の顔が画像処理の対象となるようにしてもよい。撮影画像の拡大は、最大輪郭ラインL1maxが収まるようになるまで、例えば撮影画像の端にある画素をコピーして広げる(ひきのばす)ことによって行われる。
【0139】
以上においては、重なり条件を判定する順序が信頼度の高い順であるものとしたが、顔の大きい順、または小さい順といったように、顔の大きさで決まるようにしてもよい。また、予め用意されているテンプレートと輪郭の形状を比較することによって丸顔の順、細顔の順といったように、顔の形で決まるようにしてもよい。
【0140】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、以上においては重なり条件の判定がラインが交わるか否かに基づいて行われるものとしたが、面が重なるか否かに基づいて行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 写真シール作成装置, 2 携帯端末, 3 管理サーバ, 12 撮影ユニット, 13 編集ユニット, 101 制御部, 111 事前接客部, 112 撮影部, 113 編集部, 201 事前接客処理部, 202 撮影処理部, 203 編集処理部, 204 印刷処理部, 205 事後接客処理部, 211 撮影制御部, 212 顔認識部, 213 最大輪郭ライン設定部, 214 画像処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影画像に写る人物の顔を検出する顔検出手段と、
前記撮影画像から検出された人物の顔に、変形可能な最大の輪郭の大きさを表す線である最大輪郭ラインを設定する設定手段と、
前記顔検出手段で検出された人物の顔が複数あった場合に、前記複数の人物の顔のうちの所定の人物の顔に設定された前記最大輪郭ラインが他の人物の顔の輪郭のラインと交わるか否かを判定し、交わらないと判定した場合、前記所定の人物の顔を対象として、前記最大輪郭ラインにより表される大きさの範囲内で所定の大きさになるように輪郭を変形する画像処理を行い、交わると判定した場合、前記画像処理を行わない顔変形処理手段と、
前記顔変形処理手段で、前記所定の人物の顔を対象として前記画像処理を行う毎に、他の人物の顔を前記顔変形処理手段の処理対象とする前記所定の人物の顔として選択する選択手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記顔検出手段は、前記撮影画像に写る人物の顔を検出するとともに、人物の顔として検出したオブジェクトに対して人物の顔である確率を計算し、
前記選択手段は、前記顔検出手段により求められた前記確率の高い順に処理対象とする前記所定の人物の顔を選択する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記画像処理の対象とした顔を除いて、前記複数の人物の全員の顔に設定された前記最大輪郭ラインが前記他の人物の顔の輪郭のラインと交わると前記顔変形処理手段が判定するまで、処理対象とする前記所定の人物の顔の選択を繰り返す
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
撮影画像に写る人物の顔を検出し、
前記撮影画像から検出された人物の顔に、変形可能な最大の輪郭の大きさを表す線である最大輪郭ラインを設定し、
検出した人物の顔が複数あった場合に、前記複数の人物の顔のうちの所定の人物の顔に設定された前記最大輪郭ラインが他の人物の顔の輪郭のラインと交わるか否かを判定し、交わらないと判定した場合、前記所定の人物の顔を対象として、前記最大輪郭ラインにより表される大きさの範囲内で所定の大きさになるように輪郭を変形する画像処理を行い、交わると判定した場合、前記画像処理を行わず、
前記所定の人物の顔を対象として前記画像処理を行う毎に、他の人物の顔を処理対象とする前記所定の人物の顔として選択する
ステップを含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−142772(P2012−142772A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293885(P2010−293885)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(307010096)フリュー株式会社 (210)
【Fターム(参考)】