説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】描画が完了するまでの処理の高速化を図ることが可能な画像処理装置および画像処理方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、画像形成装置全体を制御するCPU41と、ハードウェア回路で構成される画像処理部50とを有する。画像形成装置が、画像処理を行うべき写真画像と、画像処理を行わなくてよいグラフィックス画像とが合成された合成画像の描画を指示するPDLを受け取った場合、まずCPU41は、当該PDLを解析して画像処理情報を生成する。次に、CPU41は、PDLを解析して描画コマンドを生成するとともに、写真画像に対する画像処理を画像処理部50に実行させる。次に、CPU41は、描画コマンドに従い、グラフィックス画像および写真画像の描画を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタは、ネットワークから受け取ったPDLを解析し、その解析結果に基づいて生成されたCMYKデータを用いてメインメモリへの描画を行う。近年では、解像度の増加と処理の高速化の要求が高まっており、この要求に応えるために、CPUが行っていた処理の一部を別のハードウェアで行うという技術が知られている。例えば特許文献1には、プリンタエンジンと接続されたプリンタコントローラボードの内部に、写真画像の画像処理を実行するハードウェア回路が内蔵されたプリンタが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、特許文献1のプリンタが、画像処理が必要な写真画像と画像処理が不要なグラフィックス画像との合成画像の描画を指示するPDLを受け取った場合を想定する。この場合、図24に示すように、プリンタは、まずPDLを解析して画像処理を行うための画像処理情報(写真画像のRGB画像データや各種のパラメータを含む)を生成する。次に、プリンタはPDLを解析して描画コマンドを生成する。次に、プリンタは、描画コマンドに従って、グラフィックス画像の描画処理と写真画像の描画処理とを順番に実行する。写真画像の描画処理においては、プリンタは、写真画像の画像データに対する画像処理をハードウェア回路に実行させた後、画像処理後の写真画像データをメモリに書き込むという具合である。
【0004】
しかしながら、上述の写真画像の描画処理において、CPUは、ハードウェア回路での画像処理が終了するまで他の処理を進めることができず、待機状態となってしまう。このため、特許文献1に開示された技術では、描画が完了するまでの処理の高速化を図ることが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、描画が完了するまでの処理の高速化を図ることが可能な画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1期間において、画像処理を行う第1画像と、画像処理を行わない第2画像とが合成された合成画像の描画を指示する合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の画像処理を行うための画像処理情報を生成する画像処理情報生成部と、前記第1期間よりも後の第2期間において、前記合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の描画を指示する第1画像描画指示データと、前記2画像の描画を指示する第2画像描画指示データとを生成する描画指示データ生成部と、前記第2期間において、前記画像処理情報生成部により生成された前記画像処理情報を用いて、前記第1画像に対する画像処理を実行する画像処理部と、前記第2期間よりも後の第3期間において、前記描画指示データ生成部により生成された前記第1画像描画指示データおよび前記第2画像描画指示データに従って、前記合成画像の描画を行う描画部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、第1期間において、画像処理を行うべき第1画像と、画像処理を行わなくてよい第2画像とが合成された合成画像の描画を指示する合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の画像処理を行うための画像処理情報を生成する第1ステップと、前記第1期間よりも後の第2期間において、前記合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の描画を指示する第1画像描画指示データと、前記2画像の描画を指示する第2画像描画指示データとを生成する第2ステップと、前記第2期間において、前記第1ステップにより生成された前記画像処理情報を用いて、前記第1画像に対する画像処理を実行する第3ステップと、前記第2期間よりも後の第3期間において、前記第2ステップにより生成された前記第1画像描画指示データおよび前記第2画像描画指示データに従って、前記合成画像の描画を行う第4ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、描画指示データを生成する処理と、画像処理が必要な画像の画像処理とが並列的に行われるので、従来の構成に比べて、描画が完了するまでの処理に要する時間を短縮できるという有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の実施形態による画像処理装置を適用可能な画像形成装置の機構部の構成例を示す略線図である。
【図2】図2は、画像形成装置における電装・制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、画像形成装置における処理の一例の概略を示すフローチャートである。
【図4】図4は、メインメモリの記憶領域の一例を示す図である。
【図5】図5は、メインメモリの画像パラメータ領域に格納されるデータの一例を示す図である。
【図6】図6は、メインメモリの描画コマンド格納メモリ領域に格納される描画コマンドの種類の一例を示す図である。
【図7】図7は、各種の描画コマンドが格納された描画コマンド格納メモリ領域の一例を示す図である。
【図8】図8は、本実施形態の画像形成装置による一連の処理の流れを示す図である。
【図9】図9は、本実施形態の画像形成装置による一連の処理の具体的な内容の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施形態に係る画像処理部の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図11は、メインメモリの格子点格納領域のフォーマットの一例を示す図である。
【図12】図12は、メインメモリのガンマデータ格納領域のフォーマットの一例を示す図である。
【図13】図13は、メインメモリのしきい値データ格納領域のフォーマットの一例を示す図である。
【図14】図14は、画像処理部が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図15は、色変換処理装置の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図16】図16は、色変換処理装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図17】図17は、BG/UCR処理装置の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図18】図18は、変倍処理装置の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図19】図19は、変倍処理の一例を示す図である。
【図20】図20は、変倍処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図21】図21は、階調処理装置の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図22】図22は、階調処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図23】図23は、本実施形態の画像形成装置による処理の流れを概略的に示す図である。
【図24】図24は、従来の画像形成装置による処理の流れを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る画像処理装置を適用可能な画像形成装置(カラープリンタとする)の機構部の構成例を示す。この画像形成装置100において、像担持体であるベルト状の感光体1は、回転ローラ2,3により回動可能に支持され、その各回転ローラ2,3の駆動により矢示A方向に回動される。感光体1の外周部には、帯電手段である帯電装置4と、除電ランプLと、感光体1用のクリーニングブレード215Aとが配置されている。帯電装置4の下流位置には、光書込手段であるレーザ書き込みユニット5が配置される。
【0011】
レーザ書き込みユニット5の上部には、複数の現像ユニット(現像手段)が切り換え自在に支持された多色現像装置6が配置されている。多色現像装置6は、収容するトナーの色毎に、イエロー現像ユニット、マゼンタ現像ユニット、シアン現像ユニットを備えている。多色現像装置6の上部には、黒色トナーを収容したブラック現像ユニット7が備えられている。
【0012】
これらの各現像ユニットのいずれか1つが、対応する色の現像タイミングに同期して現像可能な位置に移動する。多色現像装置6は、円周上120度の回転によっていずれかの現像ユニットを選択する機能を有している。そして、これらの現像ユニットが稼動するときには、ブラック現像ユニット7は感光体1より離間した位置に移動する。その移動は、カム245の回転により行なわれる。
【0013】
レーザ書き込みユニット5は、図示しないレーザ光源から複数色の画像形成信号(書き込み情報)に応じたレーザ光を順次発生させ、ポリゴンモータ5Aによって回転されるポリゴンミラー5Bを用いてそのレーザ光を周期的に偏向させ、fθレンズ5Cおよびミラー5Dなどを経て、帯電された感光体1の表面を走査してその表面に静電潜像を形成させる。
【0014】
感光体1の表面に形成される静電潜像は、対応する現像ユニットからのトナーによって現像され、トナー画像が形成されて保持される。中間転写ベルト210は、感光体1に隣接しており、回転ローラ211,212により矢示B方向に回動可能に支持されている。感光体1上のトナー画像は、中間転写ベルト210の裏側にある転写ブラシ(第1の転写手段)213により、その中間転写ベルト210の表面に転写される。
【0015】
感光体1の表面は1色毎にクリーニングブレード215Aによりクリーニングされ、その表面に所定色のトナー画像が形成される。そして、その都度中間転写ベルト210の1回動毎にその表面の同じ位置に感光体1上のトナー画像が転写されて、中間転写ベルト210上に複数色のトナー画像が重ね合わせられて保持される。その後、そのトナー画像は用紙やプラスチック等の記録媒体に転写される。
【0016】
用紙への転写に際しては、給紙装置(給紙カセット)17に収納されている用紙が給紙ローラ18によって繰り出されて搬送ローラ19により搬送され、レジストローラ対20に付き当てられた状態で一旦停止された後、トナー画像の転写位置が正規のものとなるようにタイミングがとられて中間転写ベルト210と転写ローラ(第2の転写手段)214のニップに再搬送される。
【0017】
そして、その用紙は転写ローラ14の作用により中間転写ベルト210上の複数色のトナー画像が一括転写された後、定着装置350に送られ、そこでトナー像が定着された後、排紙ローラ対51により本体フレーム9の上部の排紙スタック部52に排出される。
【0018】
中間転写ベルト210には、回転ロータ211の部位に中間転写ベルト210用のクリーニング装置216が設けられ、クリーニングブレード216Aがクリーニングブレード接離用アーム16Cを介して接離自在の構成となっている。このクリーニングブレード216Aは、感光体1からトナー画像を受け取る工程では、中間転写ベルト210から離れ、中間転写ベルト210より用紙にトナー画像が転写された後に接触するようになっていて、用紙にトナー画像が転写された後の残留トナーをかきとる。
【0019】
クリーニングブレードは、すでに記したように、感光体1用と中間転写ベルト210用がある。これらブレードがかきとった廃トナーは、回収容器215に収納する。その回収容器215は適宜交換される。中間転写ベルト210用のクリーニング装置216の内部に設けられたオーガ216Bが、クリーニングブレード216Aでかきとられた廃トナーを搬送し、図示しない搬送手段で回収容器215に送るようになっている。
【0020】
ユニット化されたプロセスカートリッジ31は、感光体1と、帯電装置4と、中間転写ベルト210と、クリーニング装置216と、用紙搬送路を形成する搬送ガイド30とを一体に組み込み、寿命到来時に交換できるように構成されている。プロセスカートリッジ31の交換のほかに、多色現像装置6、ブラック現像ユニット7なども寿命到来時に交換するが、その交換性やジャム紙の処理を容易にするため、本体の一部の前フレーム8は支軸9Aを中心に開閉可能に回動できる構造にしてある。
【0021】
図1の左側には、コントローラボード10が収納されている。その上方には、ファン58が備えられており、機内の温度過昇防止のために排風する。図の右側には、比較的小規模な別の給紙装置59が備えられている。なお、この実施形態では、中間転写体として中間転写ベルト210を使用したが、中間転写ドラムを使用することもできる。
【0022】
図2は、画像形成装置100の電装・制御部のハードウェア構成の例を示す図である。図2の電装・制御部は、プリンタコントローラボード10が、ネットワークを介してパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)90とプリンタエンジン700に接続される。
【0023】
プリンタコントローラボード10は、メモリコントローラ内蔵CPU40と、ユニット250と、ユニット80とを有し、これらがバス91を介して接続されている。メモリコントローラ内蔵CPU40は、さらに、メインメモリ60およびROM70と接続されている。
【0024】
メモリコントローラ内蔵CPU40は、CPU41、CPU インタフェース(以下、「CPU I/F」という。)42、メモリアービタ43、通信コントローラ44、DMA45、メモリコントローラ46、および、バスコントローラ49を有する。
【0025】
CPU41は、画像形成装置100全体の制御を行う。CPU41は、また、PC90から伝送されるPDL(page description language)を解析し、描画コマンド、および、画像処理に必要な情報の生成等を行う。CPU I/F42は、CPU41のインタフェースであり、メモリアービタ43を介してメインメモリ60及び他のコントローラ等に接続されている。
【0026】
メモリアービタ43は、メモリコントローラ内蔵CPU40が有する各コントローラの、メインメモリ60に対するアクセスの調停を行う。メモリコントローラ46は、メインメモリ60の制御を行う。メモリコントローラ46は、メモリアービタ43を介して各コントローラと接続される。
【0027】
DMA45は、メモリコントローラ46とバス91に接続されたエンジンコントローラ59間のダイレクトメモリアクセスを行う。バスコントローラ49は、バス91に対してデータを入出力する各コントローラ及びバスの間の調停を行う。通信コントローラ44は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して接続されたPC90等から送信される各データやコマンド等を受信する。通信コントローラ44は、また、メモリアービタ43を介して接続される各コントローラに対して受信したデータ等を出力し、各コントローラから入力されるデータ等を、PC90等に対して送信する。
【0028】
ROM70は、CPU41が実行するコンピュータプログラムや、文字のフォント情報等を格納する。メインメモリ60は、画像データ、および、CPU41が実行するコンピュータプログラム等が格納される。メインメモリ60が格納する画像データは、PDLを解析して得られる画像データ、および、その画像データに対して所定の画像処理が行われた画像処理後の画像データなどを含む。
【0029】
ユニット250は、ハードウェア回路で構成される画像処理部50と、バスインタフェース(以下、「バスI/F」という。)58と、エンジンコントローラ59とを有する。画像処理部50には、CPU41により生成された画像処理のパラメータが入力され、画像処理部50は入力されたパラメータに従って画像処理を行う。画像処理部50は、画像処理する画像データを、メインメモリ60から読み込み、また、画像処理された画像データを、メインメモリ60の所定の領域に格納させる。
【0030】
バスI/F58は、ユニット250がバス91に接続される際のインタフェースである。エンジンコントローラ59は、プリンタエンジン700の制御を行う。
【0031】
ユニット80は、パネル81に接続され、CPU41からの制御コマンド等に従い、パネル81の制御を行う。ユニット80は、パネルコントローラ89及びバスI/F88を有する。パネルコントローラ89は、パネル81に表示するデータの制御、及び、パネル81から入力される情報の取得等を行う。バスI/F88は、バス91に接続され、メモリコントローラ内蔵CPU40からのデータの入出力を行う。パネル81は、画像形成装置100の状態の表示を行い、また、画像形成装置100に対する操作者による指示を受け付ける。
【0032】
プリンタエンジン700は、エンジンコントローラ59の制御により、画像を媒体上に形成する。PC90は、に出力させる画像のPDLを作成し、ネットワークを介してPDLを画像形成装置100に対して出力する。
【0033】
図3は、画像形成装置100における処理の一例の概略を示すフロー図である。PDL記憶ステップS1では、PC90から入力されるPDLが、メインメモリ60に格納される。本実施形態では、PCから入力されるPDLは、画像処理が必要な写真画像と、画像処理が不要なグラフィックス画像とが合成された合成画像の描画を指示するデータ(より具体的にはページ記述言語)である。次の画像処理情報生成ステップS2では、CPU41は、メインメモリ60に格納されたPDLを読み出して解析し、写真画像の画像処理を行うための画像処理情報を生成する。画像処理情報には、RGB色空間で表される写真画像の画像データ(RGB写真画像データと呼ぶ)や画像処理に用いられる各種の情報(パラメータ)が含まれ、画像処理情報生成ステップS2で生成された画像処理情報はメインメモリ60に格納される。
【0034】
上述の画像処理情報生成ステップS2の後、画像処理ステップS3と描画コマンド生成処理ステップS4とが並列的に実行される。画像処理ステップS3は、画像処理情報読み出しステップS5と、色変換処理ステップS6と、変倍処理ステップS7と、階調処理ステップS8とを含む。
【0035】
画像処理情報読み出しステップS5では、画像処理部50は、画像処理情報生成ステップS2で生成された画像処理情報をメインメモリ60から読み出す。次の色変換処理ステップS6では、画像処理部50は、画像処理情報読み出しステップS5で読み出したRGB写真画像データに対して色変換処理を行い、CMYK色空間で表される写真画像の画像データ(CMYK画像データと呼ぶ)が生成される。次の変倍処理ステップS7では、画像処理部50は、上述の色変換処理ステップS6で生成されたCMYK画像データに対して変倍処理を行う。次の階調処理ステップS8では、画像処理部50は、上述の変倍処理ステップS7で変倍処理が行われたCMYK画像データに対して階調処理を行う。以上の画像処理が行われた後の写真画像の画像データ(画像処理後画像データと呼ぶ)は、メインメモリ60に格納される。
【0036】
上述の画像処理ステップS3と並列的に実行される描画コマンド生成処理ステップS4では、CPU41は、メインメモリ60に格納されたPDLを読み出して解析し、写真画像の描画を行うための情報(写真描画コマンド)と、グラフィックス画像の描画を行うための情報(グラフィックス描画コマンド)とを含む描画コマンドを生成する。描画コマンド生成処理ステップS4で生成された描画コマンドは、メインメモリ60に格納される。
【0037】
上述の画像処理ステップS3および描画コマンド生成処理ステップS4が終了すると、処理は描画処理ステップS9へ移行する。描画処理ステップS9では、CPU41は、描画コマンド生成処理ステップS4で生成された描画コマンドに従って描画を行う。描画処理ステップS9で描画されたCMYK各版毎の画像データは、メインメモリ60に格納される。描画処理ステップS9の後、プリンタエンジン700は、メインメモリ60から、描画処理ステップS9で描画された画像データを読み出し、印刷して出力する。
【0038】
すなわち、本実施形態の画像形成装置100は、第1期間(図3のステップS2が実行される期間)において、PDLを解析して画像処理情報を生成する手段と、第1期間よりも後の第2期間(図3のステップS3とステップS4が実行される期間)において、PDLを解析して描画コマンドを生成する手段と、同じ第2期間において、画像処理情報を用いて写真画像の画像処理を行う手段と、第2期間よりも後の第3期間(図3のステップS9が実行される期間)において、描画コマンドに従って描画を行う手段とを備えていると捉えることができる。また、本実施形態の画像形成装置による画像処理方法は、第1期間において、PDLを解析して画像処理情報を生成する第1ステップと、第2期間において、PDLを解析して描画コマンドを生成する第2ステップと、同じ第2期間において、画像処理情報を用いて写真画像の画像処理を行う第3ステップと、第3期間において、描画コマンドに従って描画を行う第4ステップとを備えていると捉えることができる。
【0039】
図4は、メインメモリ60の記憶領域の一例を示す図である。メインメモリ60は、PDL格納メモリ領域、画像処理パラメータ領域、描画コマンド格納メモリ領域、RGB写真画像格納メモリ領域、階調処理後写真画像格納メモリ領域、格子点データ格納領域、ガンマデータ格納領域、しきい値データ格納領域、階調処理後ページメモリ格納領域、および、その他の領域を有する。画像処理パラメータ領域は、上述の画像処理情報生成処理ステップS2で生成された画像処理情報に含まれる画像処理パラメータ(後述)を格納する。描画コマンド格納メモリ領域は、上述の描画コマンド生成処理ステップS4で生成された描画コマンドを格納する。RGB写真画像格納メモリ領域は、上述の画像処理情報生成処理ステップS2で生成された画像処理情報に含まれるRGB写真画像データを格納する。階調処理後写真画像格納メモリ領域は、上述の画像処理が行われた後の写真画像の画像データである画像処理後画像データを格納する。
【0040】
格子点データ格納領域とガンマデータ格納領域は、上述の色変換処理ステップS6において色変換処理を行う際の情報(パラメータ)を格納する。しきい値データ格納領域は、上述の階調処理ステップS8において、階調処理を行う際の情報を格納する。これらの情報は、上述の画像処理情報生成処理ステップS2で生成された画像処理情報に含まれる。
【0041】
ページ格納メモリ領域は、C版ページ格納メモリ領域と、M版ページ格納メモリ領域と、Y版ページ格納メモリ領域と、K版ページ格納メモリ領域とを有する。ページ格納メモリ領域が有する各格納領域は、上述の描画処理ステップS9で描画された1ページ分の画像データが格納される。その他の領域には、上述した以外のデータが格納される。
【0042】
図5は、メインメモリ60の画像パラメータ領域に格納されるデータの一例を示す図である。図5の例では、メインメモリ60の画像パラメータ領域には、1枚分の写真画像ごとに、ソース画像X幅、変倍後画像X幅、ソース画像Y幅、変倍後画像Y幅、ディザオフセットX,Y値、RGB写真画像先頭アドレス、画像処理後画像先頭アドレスからなる画像処理パラメータが格納される。ソース画像X幅は、画像処理が行われる前の写真画像のX方向の幅を示すデータである。変倍後画像X幅は、画像処理が行われた後の写真画像のX方向の幅を示すデータである。ソース画像Y幅は、画像処理が行われる前の写真画像のY方向の幅を示すデータである。変倍後画像Y幅は、画像処理が行われた後の写真画像のY方向の幅を示すデータである。ディザオフセットX,Y値は、ディザオフセットのX方向の値とディザオフセットのY方向の値を示すデータである。RGB写真画像先頭アドレスは、メインメモリ60の領域のうち、上述のRGB写真画像データが書き込まれる領域を指定するためのデータである。画像処理後画像先頭アドレスは、メインメモリ60のうち、上述の画像処理後画像データが書き込まれる領域を指定するためのデータである。
【0043】
図6は、メインメモリ60の描画コマンド格納メモリ領域に格納される描画コマンドの種類の一例を示す図である。(A)は、ページ初期化コマンドであり、ページ高さとページ幅とが定義された16ビットのデータである。(B)は、グラフィックス描画コマンドの一つである色定義コマンドであり、CMYK各版の色値が定義された16ビットのデータである。(C)は、グラフィックス描画コマンドの一つである四角形描画コマンドであり、左上のX座標と左上のY座標と右下のX座標と右下のY座標とが定義された16ビットのデータである。(D)は一連の描画コマンドの終了を示す終了コマンドであり、16ビットのデータである。(E)は写真描画コマンドであり、DIS画像のX幅およびY幅、ならびに描画位置の座標、CMYK各版の画像処理後画像先頭アドレスが定義された16ビットのデータである。(F)は、グラフィックス描画コマンドの一つである三角形描画コマンドであり、三角形の各頂点位置の座標が定義された16ビットのデータである。
【0044】
図7は、各種の描画コマンドが格納された描画コマンド格納メモリ領域の一例を示す図である。ここでは、描画処理は、初期化コマンドで始まり、ページの定義を行い、終了コマンドで終了する。グラフィックス画像の描画が行われる場合は、色定義コマンドでグラフィックス描画する色が定義されたうえで、四角形コマンドや三角形コマンドで定義された形状が、メインメモリ60のページ格納メモリ領域へ描画されていく。また、写真画像の描画が行われる場合は、指定された画像処理後画像が、メインメモリ60のページ格納領域へ描画されていくという具合である。
【0045】
図8は、画像形成装置100による一連の処理(図3のステップS2〜S9までの処理)の流れを示す図である。図8の(1)に示すように、まずCPU41は、メインメモリ60に格納されたPDLを読み出したうえで解析して、画像処理情報(RGB写真画像データ、画像処理に用いられる各種の情報)を生成し、生成した画像処理情報をメインメモリ60へ書き込む。次に、図8の(2)に示すように、画像処理部50は、メインメモリ60に格納された画像処理情報を読み出す。そして、図8の(3)に示すように、画像処理部50は、読み出した画像処理情報を用いて画像処理を実行し、画像処理後画像データをメインメモリ60へ書き込む。また、図8の(2)および(3)の処理と平行して、CPU41は、PDLを解析して描画コマンドを生成し、その生成した描画コマンドをメインメモリ60へ書き込む。そして、図8の(4)に示すように、CPU41は、メインメモリ60から描画コマンドを読み出し、その読み出した描画コマンドに従って、メインメモリ60に描画するという具合である。
【0046】
次に、本実施形態の画像形成装置100が実行する一連の処理(図3のステップS2〜S9までの処理)について、より詳細に説明する。図9は、画像形成装置100による一連の処理の具体的な内容を示すフローチャートの一例である。最初のステップS10で、画像処理部50は、メインメモリ60のPDL格納メモリ領域から、PDLを読み出す。次のステップS11で、画像処理部50は、メインメモリ60から読み出したPDLを解析して、上述の画像処理情報を生成する。そして、処理はステップS12に移行し、メインメモリ60に格納された全てのPDLが解析されたか否かが判断される。全てのPDLが解析されたと判断されなかった場合は、処理はステップS10に戻される。一方、全てのPDLが解析されたと判断された場合は、処理はステップS13へ移行する。
【0047】
ステップS13で、CPU41は、画像処理部50を起動させるとともに、画像処理部50に対して画像処理の実行を指示する。そして、CPU41による処理はステップS14に移行し、ステップS14で、CPU41はメインメモリ60のPDL格納メモリ領域から、PDLを読み出す。次のステップS15で、CPU41は、メインメモリ60から読み出したPDLを解析して、描画コマンドを生成する。そして、CPU41による処理はステップS16に移行し、メインメモリ60に格納された全てのPDLが解析されたか否かが判断される。全てのPDLが解析されたと判断されなかった場合は、処理はステップS14に戻される。一方、全てのPDLが解析されたと判断された場合は、処理はステップS17へ移行する。
【0048】
上述のステップS13で、CPU41から、画像処理の実行指示を受けた画像処理部50は、上述のCPU41によるステップS14〜S16の処理とは独立して、RGB写真画像データの画像処理を実行する。画像処理部50による画像処理の詳細な内容は後述する。
【0049】
ステップS17で、画像処理部50による画像処理が終了したか否かが判断され、画像処理部50による画像処理が終了したと判断された場合は、処理はステップS18へ移行する。ステップS18で、CPU41は、メインメモリ60の描画コマンド格納メモリ領域から、描画コマンドを読み出す。次のステップS19で、CPU41は、読み出した描画コマンドが写真描画コマンドであるか否かを判断する。写真描画コマンドであると判断した場合、CPU41は、メインメモリ60の階調処理後写真画像格納メモリ領域から、画像処理後画像データを読み出し、その読み出した画像処理後画像データを、メインメモリ60の階調処理後ページ格納メモリ領域の所定の領域へ書き込む。そして、処理はステップS22へ移行する。
【0050】
一方、上述のステップS19で、写真描画コマンドではないと判断した場合、CPU41は、上述のステップS18で読み出した描画コマンド(つまりはグラフィックス描画コマンド)に従って、メインメモリ60のページ格納メモリ領域の所定の領域へグラフィックス画像を描画する。そして、処理はステップS22へ移行する。ステップS22では、全ての描画コマンドが処理されたか否かが判断され、全ての描画コマンドが処理されたと判断された場合は、一連の処理が終了する。一方、全ての描画コマンドが処理されていないと判断された場合は、処理はステップS18に戻される。
【0051】
図10は、本実施形態に係る画像処理部50の構成の一例を示すブロック図である。この図において、バスアービターI/F101は、画像処理パラメータ読み込み装置102、写真画像読み込み装置110、および、画像処理後画像書き込み装置118のそれぞれのバスアービターへの要求調停を行う。画像処理パラメータ読み込み装置102は、バスアービターI/F101を介して、メインメモリ60の画像処理パラメータ領域から各種のパラメータを読み込み、変倍パラメータ記憶装置107およびハーフトンパラメータ記憶装置108へ転送する。パラメータアドレス生成装置103は、メインメモリ60の画像処理パラメータ領域から各種のパラメータを読み込むためのアドレスを生成する。DMAパラメータ記憶装置104は、画像処理パラメータ読み込み装置102から受け取った、図5に示すようなRGB写真画像先頭アドレス、階調処理後画像先頭アドレスなどを格納する。
【0052】
格子点データ記憶装置105は、色変換処理装置112に必要な格子点データなどを格納する。図11にメインメモリ60の格子点データ格納領域のフォーマットの一例を示す。
【0053】
ガンマテーブル記憶装置106は、色変換処理装置112に必要なガンマデータなどを格納する。図12にメインメモリ60のガンマデータ格納領域のフォーマットの一例を示す。
【0054】
変倍パラメータ記憶装置107は、画像処理パラメータ読み込み装置102から受け取った変倍パラメータなどを格納する。ハーフトンパラメータ記憶装置108は、画像処理パラメータ読み込み装置102から受け取ったハーフトンパラメータなどを格納する。しきい値マトリックス記憶装置109は、階調処理装置115に必要なしきい値マトリックスなどを格納する。図13にメインメモリ60のしきい値データ格納領域のフォーマットの一例を示す。
【0055】
写真画像読み込み装置110は、バスアービターI/F101を介して、メインメモリ60のRGB写真画像領域から水平ライン単位でRGBの写真画像データ(ソース画像データ)を読み込み、色変換処理装置112へ転送する。写真画像アドレス生成装置111は、メインメモリ60のRGB写真画像領域から水平ライン単位にRGBの写真画像を読み込むためのアドレスを生成する。
【0056】
色変換処理装置112は、写真画像読み込み装置110からRGB写真画像データを受け取り、水平ライン単位にRGB→CMYの色変換処理とBG/UCR処理を行い、生成した多値CMYKデータを後段の多値CMYKライン記憶装置113へ転送する。多値CMYKライン記憶装置113は、色変換処理装置112が生成した多値CMYKデータを水平ライン単位で記憶する。水平ライン単位で多値CMYKデータを記憶することにより、垂直方向に変倍するときに同じラインを再度演算する必要がないという利点がある。
【0057】
変倍処理装置114は、多値CMYKライン記憶装置113から、順次に多値CMYKデータを読み込み、水平/垂直方向に指定された変倍率で拡大処理を行い、階調処理装置115へ転送する。
【0058】
階調処理装置115は、しきい値マトリックス記憶装置109からしきい値マトリックスを読み込み、変倍処理装置114から変倍処理後のデータを受け取ることによりハーフトン処理(階調処理)を実行し、メモリのワード単位に画像処理後画像バッファ装置116へ階調処理後のデータを転送する。
【0059】
画像処理後画像バッファ装置116は、階調処理装置115で処理された画像データを、バス91(図2参照)を用いて複数の効率のよいバースト転送をするために複数のワードデータを一時格納する。
【0060】
画像処理後画像書き込み装置118は、バスアービターI/F101を介して、格納された複数ワードの画像データをメインメモリ60の階調処理後写真画像格納メモリ領域へ書き込む。画像処理後画像アドレス生成装置117は、メインメモリ60の階調処理後写真画像格納メモリ領域のアドレス演算を行う。このとき、RGBバンド画像が水平ライン単位で読み込むために画像処理後画像も水平ライン単位でアドレスを生成する。
【0061】
図14は、本実施形態に係る画像処理部50が実行する画像処理の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS30で、画像処理部50は、メインメモリ60の画像処理パラメータ領域から画像処理パラメータを読み込む。次のステップS31で、画像処理部50は、メインメモリ60のRGB写真画像格納メモリ領域のうち画像処理パラメータで指定された領域から、RGB写真画像データを順次に読み込む。次のSステップ32で、画像処理部50は、読み込んだRGB写真画像データに対して色変換処理を行い、CMYK画像データを生成する。次のステップS33で、画像処理部50は、CMYK画像データに対して変倍処理を行う。より具体的には、画像処理部50は、ステップS30で読み込んだ画像処理パラメータで指定された倍率で変倍処理を行うという具合である。
【0062】
次のステップS34で、画像処理部50は、変倍処理されたCMYK画像データに対して階調処理を行う。より具体的には、画像処理部50は、ステップS30で読み込んだ画像処理パラメータで指定されたディザX値,Y値を用いて階調処理(ハーフトン処理)を行うという具合である。次のステップS35で、画像処理部50は、メインメモリ60の階調処理後写真画像格納メモリ領域のうち、ステップS30で読み込んだ画像処理パラメータで指定された領域へ、CMYK各版の階調処理後画像データ(画像処理後画像データ)を書き込む。
【0063】
そして、処理はステップS36へ移行し、ステップS36では、ステップS30で読み込んだ画像処理パラメータで指定されたRGB写真画像データが全て処理されたか否かが判断される。画像処理パラメータで指定されたRGB写真画像データが全て処理されたと判断された場合は、処理がステップS37へ移行する一方、画像処理パラメータで指定されたRGB写真画像データのうち未処理のRGB写真画像データがある場合は、処理がステップS31に戻される。
【0064】
ステップS37では、ステップS30で読み込んだ全ての画像処理パラメータが処理されたか否かが判断される。ステップS30で読み込んだ全ての画像処理パラメータが処理されたと判断された場合は、画像処理は終了する。一方、ステップS30で読み込んだ全ての画像処理パラメータのうち未処理の画像処理パラメータがある場合は、処理がステップS30に戻される。
【0065】
図15は、図10の色変換処理装置112の詳細な構成の一例を示すブロック図である。この図において、格子点選択装置120は、写真画像読み込み装置110から変倍前のRGB写真画像データを受け取り、各RGB成分を上位NBIT、下位8−NBITに分割し、それぞれをHR,G,B,DR,G,Bとし、8個の格子点からなる立方体の6個の四面体のどの四面体に相当するかを判断してTYPEとし、HR,G,Bを格子点アドレス生成装置121へ、DR,G,Bを格子点補間処理装置123へ転送する。格子点アドレス生成装置121は、格子点選択装置120からのHR,G,B,HRU,GU,BU,TYPEを受け取り、これらに基づいて格子点アドレスを求める。データ切り出し装置122は、読み込んだ格子点データを格子点補間処理装置123で補間するための4つのパラメータを切り出す。格子点補間処理装置123は、データ切り出し装置122からの補間する四面体の4点の格子点のCMY値と、格子点選択装置120のDR,G,Bとから補間処理を行い、CMYデータを求める。BG/UCR処理装置124は、格子点補間処理装置123からの補間されたCMYデータからK版を生成し、CMYの値を減じる。ガンマ処理装置125は、BG/UCR処理装置124により生成されたCMYKデータから図12のガンマテーブル記憶装置106のガンマテーブルへアクセスすることにより、非線形の補間を行い、図10の多値CMYKライン記憶装置113へ転送する。
【0066】
図16は、色変換処理装置112の処理動作を示すフローチャートである。まず、RGB写真画像データの上位NBITをHG,G,Bへ、下位(8−N)をDR、DG,DBへ変換する(ステップS40)。続いて、HR,G,Bから、8個の格子点に構成される6個の四面体のうち、どの四面体に属するかを求め、TYPEとする(ステップS41)。さらに、HR,G,BとHRU,GU,BUとTYPE値データから色変換テーブルデータフォーマットのアドレスを求める(ステップS42)。続いて、メインメモリ60をアクセスし、データを読み込み(ステップS43)、DR,G,Bデータと格子点データから補間処理を行ない、C,M,Y,Kデータを求める(ステップS44)。
【0067】
図17は、図15の色変換処理装置112におけるBG/UCR処理装置124の詳細な構成の一例を示すブロック図である。このBG/UCR処理装置124は、BG/UCR処理を行う。図17において、MIN生成装置126は、格子点補間処理装置123で生成されたC,M,Y値を受け取り、C,M,Y値のMIN値を演算する。減算器127,128,129は、MIN生成装置126で演算されたMIN値を減算する。レジスタ130,131,132,133は、生成されたC,M,Y,K値を一時保持する。
【0068】
図18は、図10の変倍処理装置114の詳細な構成の一例を示すブロック図である。この図において、版選択装置140は、多値CMYKライン記憶装置113から多値CMYKデータを順次読み込み、現在処理している版のデータを選択して水平変倍処理装置141へ転送する。水平変倍処理装置141は、版選択装置140から受け取った変倍前の1版の画素データを、変倍パラメータ記憶装置107から受け取った水平変倍率を用いて水平方向に変倍し、図10の階調処理装置115へ転送する。垂直DDA装置142は、変倍パラメータ記憶装置107から垂直変倍率を受け取り、DDA(デジタル微分解析)により補間して、現在処理しているラインの垂直変倍後の変倍値を求める。そして、垂直DDA処理装置142は、求めた変倍値をコントローラ143へ転送する。コントローラ143は、この変倍処理装置114全体を制御する。また、図19に変倍処理の例を示す。
【0069】
図20は、変倍処理装置114の処理動作の一例を示すフローチャートである。まず、Y方向のDDA(デジタル微分解析)処理を行ない(ステップS50)、IY=YSとし(ステップS51)、さらにX方向DDAの初期化を行う(ステップS52)。続いて、多値CMYKライン記憶装置113からC版データを読み込み(ステップS53)、X方向変倍率でのX方向DDA処理を実行し(ステップS54)、1画素の拡大処理を行なって階調処理装置115へ転送する(ステップS55)。続いて、XE<DXSIZEであるか否かを判断する(ステップS56)。ここで、XE<DXSIZEであればステップS53に戻り、XE<DXSIZEでなければ、X方向DDAの初期化を行う(ステップS56)。
【0070】
続いて、多値CMYKライン記憶装置113からM版データを読み込み(ステップS57)、X方向変倍率でのX方向DDA処理を実行し(ステップS58)、1画素の拡大処理を行なって階調処理装置115へ転送する(ステップS59)。続いて、XE<DXSIZEであるか否かを判断する(ステップS60)。ここで、XE<DXSIZEであればステップS57に戻り、XE<DXSIZEでなければ、X方向DDAの初期化を行う(ステップS61)。
【0071】
続いて、多値CMYKライン記憶装置113からY版データを読み込み(ステップS62)、X方向変倍率でのX方向DDA処理を実行し(ステップS63)、1画素の拡大処理を行なって階調処理装置115へ転送する(ステップS64)。続いて、XE<DXSIZEであるか否かを判断する(ステップS65)。ここで、XE<DXSIZEであればステップS62に戻り、XE<DXSIZEでなければ、X方向DDAの初期化を行う(ステップS66)。
【0072】
続いて、多値CMYKライン記憶装置113からK版データを読み込み(ステップS67)、X方向変倍率でのX方向DDA処理を実行し(ステップS68)、1画素の拡大処理を行なって階調処理装置115へ転送する(ステップS69)。続いて、XE<DXSIZEであるか否かを判断する(ステップS70)。ここで、XE<DXSIZEであればステップS67に戻り、XE<DXSIZEでなければ、IYを一つインクリメントする(ステップS71)。続いて、IY<YEであるか否かを判断し(ステップS72)、IY<YEであればステップS52に戻り、一方、IY<YEでなければ、さらにYE<DYSIZEであるか否かを判断し(ステップS73)、YE<DYSIZEであればステップS50に戻り、一方、YE<DYSIZEでなければ、この処理を終了する。
【0073】
図21は、階調処理装置115の詳細な構成の一例を示すブロック図である。この階調処理装置115は、水平しきい値マトリックスサイズが、並列に比較される多値データの数より大きい場合の構成例である。図21において、しきい値マトリックスアドレス生成装置150は、図10のハーフトンパラメータ記憶装置108から水平しきい値マトリックスサイズなどを受け取り、しきい値マトリックス記憶装置109のアドレスを生成する。水平しきい値マトリックス記憶装置151は、しきい値マトリックス記憶装置109から水平ラインで使用される全てのしきい値マトリックスを読み込んで記憶する。多値データシフト装置152は、図10の変倍処理装置114から並列的に供給される複数の変倍後の多値データを受け取り、水平しきい値マトリックス記憶装置151のしきい値マトリックスに対応する位置を示す多値データ始点をコントローラ156から受け取る。そして、多値データシフト装置152は、多値データ始点に基づいて、変倍処理装置114から受け取った複数の変倍後の多値データをシフトさせる。並列比較装置153は、多値データシフト装置152によりシフトされたシフトデータと水平しきい値マトリックス記憶装置151からの水平しきい値データとを並列に比較する。有効BIT生成装置154は、並列比較装置153で求めた2値化データの有効データを左側へシフトさせ、固定長データ生成装置155へ、有効データの長さである有効データ数を送ることにより、有効データを切り出しやすくする。固定長データ生成装置155は、有効BIT生成装置154で求めた2値データをコントローラ156が示す有効数分だけ、固定長のデータに加えていくことにより、固定長のデータを生成する。コントローラ156は、図10の変倍処理装置114から水平補間された画素の有効数を受け取り、後述の図22に示すような処理でこの階調処理装置115を制御する。
【0074】
図22は、階調処理装置115の処理動作の一例を示すフローチャートである。まず、しきい値マトリックスアドレス生成装置150が示すしきい値マトリックス記憶装置109より水平方向のしきい値マトリックスを読み込む(ステップS80)。続いて、多値データ始点に多値オフセット数をセットし(ステップS81)、水平しきい値マトリックス記憶装置151にしきい値マトリックス記憶装置109から読み込んだ水平方向のしきい値マトリックスを記憶する(ステップS82)。続いて、多値データシフト装置152により、変倍処理装置114から受け取った複数の変倍後の多値データを多値データ始点だけシフトし(ステップS83)、並列比較装置153により、多値データシフト装置152の出力と水平しきい値マトリックス記憶装置151の出力との比較を行い、2値化する(ステップS84)。続いて、有効BIT生成装置154により、2値化された有効値を先頭へシフトする(ステップS85)。続いて、固定長データ生成装置155により、有効BIT生成装置154により、切り出されたデータを固定長データに追加していく(ステップS86)。続いて、多値データ始点=多値データ始点+多値有効数とし(ステップS87)、多値データ始点≧水平しきい値マトリックスサイズであるか否かを判断する(ステップS88)。
【0075】
上述のステップS88で、多値データ始点≧水平しきい値マトリックスサイズであれば、多値データ始点=多値データ始点―水平しきい値マトリックスサイズとする(ステップS89)。一方、多値データ始点≧水平しきい値マトリックスサイズでなければ、さらに水平方向に全て終了したか否かを判断し(ステップS90)、水平方向に全て終了していなければステップS83に戻る。一方、水平方向に全て終了していれば、さらに垂直方向に全て終了したか否かを判断する(ステップS91)。ここで垂直方向に全て終了していなければステップS80に戻る。一方、垂直方向に全て終了していれば、この処理を終了する。
【0076】
<作用・効果>
以上に説明したように、本実施形態では、描画コマンドを生成する処理と、写真画像の画像処理とが並列的に行われるので、従来の構成に比べて、描画が完了するまでの処理に要する時間を短縮できるという有利な効果を奏する。より具体的に説明すると、以下のとおりである。ここで、本実施形態の画像形成装置100が、写真画像とグラフィックス画像との合成画像の描画を指示するPDLを受け取った場合を想定する。この場合、図23に示すように、画像形成装置100は、まずPDLを解析して画像処理情報を生成する。次に、画像形成装置100は、PDLを解析して描画コマンドを生成するとともに、写真画像の画像処理を画像処理部50に実行させる。次に、画像形成装置100は、描画コマンドに従って、グラフィックス画像の描画処理と写真画像の描画処理とを順番に実行する。写真画像の描画処理においては、プリンタは、生成済みの画像処理後画像データをメインメモリ60へ書き込むだけで済むので、写真画像の描画処理に要する時間はグラフィックス画像の描画処理に要する時間に比べて大幅に短い。
【0077】
図23および図24からも理解されるように、本実施形態では、描画コマンドを生成する処理と、写真画像の画像処理とが並列的に行われるので、図24の従来例のように、画像処理部50が画像処理を行っている間、CPU41が他の処理を進めることができない構成に比べて、描画が完了するまでの処理に要する時間を短縮できるという具合である。
【0078】
<変形例>
画像処理部50は、DSPやCPUのようなプログラマブルな画像処理プロセッサで構成することもできる。要するに、画像処理部50は、画像処理を実行するハードウェア回路で構成されるものであればよい。また、本実施形態の画像形成装置100で実行される前述の各種の処理を実現するプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供するように構成されるが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)、各種メモリカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供することもできる。
【0079】
また、本実施形態の画像形成装置で実行される上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0080】
なお、上記実施形態では、本発明がプリンタ装置に適用されるように説明したが、これは一例でありこの例に限定されない。すなわち、本発明は、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 プリンタコントローラボード
41 CPU
50 画像処理部
60 メインメモリ
90 PC
100 画像形成装置
103 パラメータアドレス生成装置
104 DMAパラメータ記憶装置
105 格子点データ記憶装置
106 ガンマテーブル記憶装置
107 変倍パラメータ記憶装置
108 ハーフトンパラメータ記憶装置
109 しきい値マトリックス記憶装置
110 写真画像読み込み装置
111 写真画像アドレス生成装置
112 色変換処理装置
113 多値CMYKライン記憶装置
114 変倍処理装置
115 階調処理装置
116 画像処理後画像バッファ装置
117 画像処理後画像アドレス生成装置
118 画像処理後画像書き込み装置
120 格子点選択装置
121 格子点アドレス生成装置
122 データ切り出し装置
123 格子点補間処理装置
124 BG/UCR処理装置
125 ガンマ処理装置
126 MIN生成装置
140 版選択装置
141 水平変倍処理装置
142 垂直DDA装置
143 コントローラ
150 しきい値マトリックスアドレス生成装置
151 水平しきい値マトリックス記憶装置
152 多値データシフト装置
153 並列比較装置
154 有効BIT生成装置
155 固定長データ生成装置
156 コントローラ
700 プリンタエンジン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0082】
【特許文献1】特許第4118052号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1期間において、画像処理を行う第1画像と、画像処理を行わない第2画像とが合成された合成画像の描画を指示する合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の画像処理を行うための画像処理情報を生成する画像処理情報生成部と、
前記第1期間よりも後の第2期間において、前記合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の描画を指示する第1画像描画指示データと、前記2画像の描画を指示する第2画像描画指示データとを生成する描画指示データ生成部と、
前記第2期間において、前記画像処理情報生成部により生成された前記画像処理情報を用いて、前記第1画像に対する画像処理を実行する画像処理部と、
前記第2期間よりも後の第3期間において、前記描画指示データ生成部により生成された前記第1画像描画指示データおよび前記第2画像描画指示データに従って、前記合成画像の描画を行う描画部と、を備える、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記描画指示データ生成部で生成された前記第1画像描画指示データおよび前記第2画像描画指示データを記憶する第1記憶部と、
前記画像処理部による前記画像処理が行われた後の前記第1画像の画像データを示す画像処理後データを記憶する第2記憶部と、をさらに備え、
前記描画部は、前記第1記憶部に記憶されたデータを読み出し、読み出したデータが前記第1画像描画指示データであった場合は、前記第2記憶部に記憶された前記画像処理後データを用いて前記第1画像の描画を行う一方、読み出したデータが前記第2画像描画指示データであった場合は、当該第2画像描画指示データの内容に従って前記第2画像の描画を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1画像に対して実行される前記画像処理には、前記第1画像の画像データの変倍処理が含まれる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1画像に対して実行される前記画像処理には、前記第1画像の画像データの色変換処理が含まれる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理部はハードウェア回路で構成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
第1期間において、画像処理を行うべき第1画像と、画像処理を行わなくてよい第2画像とが合成された合成画像の描画を指示する合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の画像処理を行うための画像処理情報を生成する第1ステップと、
前記第1期間よりも後の第2期間において、前記合成画像描画指示データを解析して、前記第1画像の描画を指示する第1画像描画指示データと、前記2画像の描画を指示する第2画像描画指示データとを生成する第2ステップと、
前記第2期間において、前記第1ステップにより生成された前記画像処理情報を用いて、前記第1画像に対する画像処理を実行する第3ステップと、
前記第2期間よりも後の第3期間において、前記第2ステップにより生成された前記第1画像描画指示データおよび前記第2画像描画指示データに従って、前記合成画像の描画を行う第4ステップと、を備える、
ことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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