説明

画像処理装置及びその方法

【課題】主処理部での画像フォーマットの変換が輻輳することを防止する。
【解決手段】入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理装置において、入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理部と、入力した画像を前処理する前処理部と、入力した画像を前記主処理部が単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理部で前処理してから、前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、主処理部での処理量が少なくなるように前処理部での処理の内容を決定する前処理制御部と、を備え、入力した画像を前処理部が前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データのフォーマットを変換するための画像処理装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の多くの携帯電話機は、静止画像を撮影する機能、静止画像を送信する機能、静止画像を受信する機能、静止画像を表示する機能を有する。また、近年の多くの携帯電話機は、動画像を撮影する機能、動画像を送信する機能、動画像を受信する機能、動画像を表示する機能を有する。
【0003】
しかしながら、静止画像や動画像のフォーマットは、機種間で異なる。例えば、携帯電話機の世代によって、扱うことができる静止画像や動画像のフォーマットが異なる。同一の世代の携帯電話機であっても、グレードが異なると、扱うことができる静止画像や動画像のフォーマットが異なる。
【0004】
そうすると、或る携帯電話機で撮影した画像(以降、「画像」を、静止画像と動画像の総称として用いる。)を他の携帯電話機に送信し、該他の電話機で表示できるようにするためには、画像のフォーマットを変換する必要がある場合が生ずる。
【0005】
そこで、携帯電話の通信事業者のメールサーバに画像のフォーマットを変換する機能を追加している。このフォーマット変換機能部は、送信元から送られてきた動画のフォーマットをメールの宛先の機種で表示することが可能なフォーマットに変換する。
【非特許文献1】「写メールをより便利にする「画像自動変換機能」の提供について」、[online]、平成16年7月28日、インターネット<URL: http://broadband.softbankmobile.co.jp/corporate/release/pdf/040728.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機種間の格差により、画像の画素数は、数十メガから数百メガまでの範囲に亘り、フォーマット変換部は、数百メガ画素の画像から数十メガ画素の画像に変換する必要があり、従って、必要となる処理量が増える。
【0007】
また、パーソナルコンピュータから送られてきた数百メガ画素の画像を数十メガバイトの画像に変換する必要が生ずる場合もある。
【0008】
また、あるフォーマットの動画像を別のフォーマットの動画像に変換する必要が生ずる場合があり、このような場合にも必要となる処理量が増える。
【0009】
そこで、フォーマット変換部を多数設け、分散処理することも考えられるが、処理量に比例した数だけフォーマット変換部を設ける必要があり、効率的でない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、フォーマット変換部にかける負荷を軽減し、高負荷に耐えられるようにした画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理装置において、入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理部と、入力した画像を前処理する前処理部と、入力した画像を前記主処理部が単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理部で前処理してから、前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、主処理部での処理量が少なくなるように前処理部での処理の内容を決定する前処理制御部と、を備え、入力した画像を前処理部が前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理装置において、入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理部と、入力した画像を前処理する前処理部と、入力した画像を前記主処理部が単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理部で前処理してから、前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、総処理量が少なくなるように前処理部での処理の内容を決定する前処理制御部と、を備え、入力した画像を前処理部が前記決定された処理の内容で前処理し、その前処後の画像を前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理装置が提供される。
【0013】
上記の画像処理装置において、前記前処理は、画素数の削減であってもよい。
【0014】
上記の画像処理装置において、前記前処理は、フレームレートの削減であってもよい。
【0015】
上記の画像処理装置において、前記前処理は、画像の伸張であり、前記主処理部での処理は、画像の再圧縮であり、前処理前の圧縮率よりも前記画像の再圧縮での圧縮率のほうが小さいようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、主処理部での処理量を削減し、主処理部の輻輳を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による画像処理装置などを含むシステムの構成を示すブロック図である。
【0019】
メールサーバ101は、インターネット121及び携帯網123に接続されており、携帯網に接続された携帯端末同士の間のメールの送受信、携帯網に接続された携帯端末とインターネットに接続された機器との間のメールの送受信を行う。
【0020】
前処理部103は、画像のフォーマット変換の前処理を行う。
【0021】
主処理部105は、画像のフォーマット変換の主処理を行う。
【0022】
機種情報保持部107は、各携帯電話機の電話番号と機種識別情報との対応関係を保持する。
【0023】
対応フォーマット保持部109は、機種識別情報と対応フォーマット識別情報の対応関係を保持する。
【0024】
制御部111は、画像のフォーマット変換全体を制御する。
【0025】
従来の技術においては、前処理部103がなく、主制御部105が単独でフォーマット変換部として機能していた。
【0026】
インターネット121に接続されたパーソナルコンピュータなどから送信されてきた添付画像ファイル付きのメールや携帯網123に接続された携帯電話機から送信されてきた添付画像ファイル付きのメールは、携帯網123に接続された宛先の携帯電話機に送信されるが、添付画像ファイルは、メールサーバ101が受信してからメールサーバ101が送信するまでの間に、前処理部103及び主処理部105を通り、フォーマット変換される。
【0027】
次に、図1に示すシステムにより行われる画像のフォーマット変換の動作について図2を参照して説明する。
【0028】
まず、制御部111は、メールサーバ101から変換前画像をみて、変換前画像のフォーマットを取得する(ステップS201)。
【0029】
次に、制御部111は、メールサーバ101から宛先の携帯電話機の電話番号を取得し、その電話番号に対応した機種識別情報を機種情報保持部107から取得する(ステップS203)。
【0030】
次に、制御部111は、機種識別情報により識別される機種が対応するフォーマットを対応フォーマット保持部109から取得し、変換前画像フォーマットと受信側携帯電話機が対応するフォーマットを基に、変換後画像フォーマットを決定する(ステップS205)。
【0031】
次に、変換前画像フォーマットと変換後画像フォーマットを基に、前処理部の処理を決定し(ステップS207)、主処理部の処理を決定する(ステップS209)。
【0032】
次に、前処理部103は、変換前の画像に対してステップS207で決定された前処理を実行する(ステップS211)。
【0033】
次に、主処理部105は、前処理が施された画像に対して主処理を実行する(ステップS213)。
【0034】
このようにして、変換後画像を得ることができる。変換後画像は、メールサーバ101に戻され、変換前画像は変換後画像に置き換えられる。置き換えられた変換後画像は、添付ファイルとして、宛先の携帯電話機に送信される。
【0035】
なお、図1に示す前処理部103、主処理部105、制御部111などを含む画像処理装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せにより実現することができる。
【実施例1】
【0036】
変換後の画像の画素数が変換前の画像の画素数よりも少ない場合には、前処理部103は、変換前画像の画素数を変換後画像の画素数に削減する。こうすることにより、主処理部105の処理量を削減することが可能となる。
【実施例2】
【0037】
変換後の動画像のフレームレートが変換前の動画像のフレームレートよりも少ない場合には、前処理部103は、変換前画像のフレームレートを削減する。こうすることにより、主処理部105の処理量を削減することが可能となる。
【実施例3】
【0038】
受信側の携帯電話機が、変換前の圧縮率よりも少ない圧縮率の画像を受信できる場合には、前処理部103は、変換前の圧縮された画像を伸張する。こうすることにより、主処理部105での圧縮処理の処理量を削減することが可能となる。
【実施例4】
【0039】
受信側の携帯電話機が、アニメーションGIFに対応していない場合には、前処理部103は、各ピクチャを伸張し、主処理部105がモーションJPEGなどに変換する。こうすることにより主処理部での処理量を削減することが可能となる。
【実施例5】
【0040】
変換前画像から変換後画像を得る変換を2つの変換に分離した方が、全処理量が、分離しない場合の全処理量に比べ、少ない場合、前半の変換処理を前処理部103で行い、後半の変換処理を主処理部105で行う。こうすることにより、全処理量を削減することが可能となる。
【実施例6】
【0041】
変換前画像から変換後画像を得る変換を2つの変換に分離した方が、後半の処理量が、分離しない場合の全処理量に比べ、少ない場合、前半の変換処理を前処理部103で行い、後半の変換処理を主処理部105で行う。こうすることにより、主処理部105での処理量を削減することが可能となる。
【実施例7】
【0042】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、主処理部105が輻輳した場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例8】
【0043】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前のフォーマットと変換後のフォーマットとの乖離度が所定の閾値よりも大きい場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例9】
【0044】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前の画面サイズと変換後の画面サイズとの乖離度が所定の閾値よりも大きい場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例10】
【0045】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前の画像の圧縮率と変換後の画像の圧縮率との乖離度が所定の閾値よりも大きい場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例11】
【0046】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前の動画像のフレームレートと変換後の動画像のフレームレートとの乖離度が所定の閾値よりも大きい場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例12】
【0047】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前の画像がパーソナルコンピュータから送られてきたものである場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【実施例13】
【0048】
通常は、主処理部105のみがフォーマット変換を行い、変換前の画像がパーソナルコンピュータから送られてきたものであり、且つ、変換前の画像のフォーマットと変換後の画像のフォーマットの乖離度、変換前の画面サイズと変換後の画面サイズとの乖離度、変換前の画像の圧縮率と変換後の画像の圧縮率の乖離度、変換前の動画像のフレームレートと変換後のフレームレートとの乖離度の組合せや論理計算値や加重和などが所定の閾値よりも大きい場合にのみ前処理部103が前処理を行い、その出力を主処理部105が処理する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態による画像処理装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による画像のフォーマット変換の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
101 メールサーバ
103 前処理部
105 主処理部
107 機種情報保持部
109 対応フォーマット保持部
111 制御部
121 インターネット
123 携帯網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理装置において、
入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理部と、
入力した画像を前処理する前処理部と、
入力した画像を前記主処理部が単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理部で前処理してから、前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、主処理部での処理量が少なくなるように前処理部での処理の内容を決定する前処理制御部と、
を備え、
入力した画像を前処理部が前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理装置において、
入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理部と、
入力した画像を前処理する前処理部と、
入力した画像を前記主処理部が単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理部で前処理してから、前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、総処理量が少なくなるように前処理部での処理の内容を決定する前処理制御部と、
を備え、
入力した画像を前処理部が前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理部が前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記前処理は、画素数の削減であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記前処理は、フレームレートの削減であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像処理装置において、
前記前処理は、画像の伸張であり、前記主処理部での処理は、画像の再圧縮であり、前処理前の圧縮率よりも前記画像の再圧縮での圧縮率のほうが小さいことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理方法において、
入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理ステップと、
入力した画像を前処理する前処理ステップと、
入力した画像を前記主処理ステップが単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理ステップで前処理してから、前記主処理ステップが前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、主処理ステップでの処理量が少なくなるように前処理ステップでの処理の内容を決定する前処理制御ステップと、
を備え、
入力した画像を前処理ステップが前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理ステップが前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
入力した画像を所定のフォーマットの画像に変換する画像処理方法において、
入力した画像を単独で所定のフォーマットの画像に変換することが可能な主処理ステップと、
入力した画像を前処理する前処理ステップと、
入力した画像を前記主処理ステップが単独で前記所定のフォーマットの画像に変換する場合よりも、入力した画像を前記前処理ステップで前処理してから、前記主処理ステップが前記所定のフォーマットに変換した場合の方が、総処理量が少なくなるように前処理ステップでの処理の内容を決定する前処理制御ステップと、
を備え、
入力した画像を前処理ステップが前記決定された処理の内容で前処理し、その前処理後の画像を前記主処理ステップが前記所定のフォーマットに変換することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の画像処理方法において、
前記前処理は、画素数の削減であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の画像処理方法において、
前記前処理は、フレームレートの削減であることを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の画像処理方法において、
前記前処理は、画像の伸張であり、前記主処理ステップでの処理は、画像の再圧縮であり、前処理前の圧縮率よりも前記画像の再圧縮での圧縮率のほうが小さいことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
コンピュータを請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−252223(P2008−252223A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87753(P2007−87753)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】