説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】余白領域が形成されるように記録媒体に画像を記録する際に、画像中の有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、画像の縮小を行うことなく実現する。
【解決手段】とじ代(用の余白領域)の形成が指示されている場合に、記録用紙に記録する画像中の非有効画像領域の幅を認識し、画像記録位置のシフト量(=とじ代量)を記録用紙のとじ代形成側と反対側の非有効画像領域幅((C)参照)と比較し、シフト量の方が大きい場合は有効画像領域の像欠け((B)参照)が生じると判断し、シフト量をとじ代形成側と反対側の非有効画像領域幅に設定することで有効画像領域の像欠けを防止する((C)参照)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作部を介して入力された原稿の指定領域を表す座標に基づいて、原稿中の指定領域の画像をトリミングすると共に、入力された前記座標、設定された倍率、選択された記録材のサイズに基づいて、指定領域の画像を記録材の中央に記録させるための画像のシフト量を決定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−283935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、余白領域が形成されるように記録媒体に画像を記録する際に、画像中の有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、画像の縮小を行うことなく実現できる画像処理装置及び画像処理プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る画像処理装置は、記録媒体に記録される画像中の有効画像領域と非有効画像領域との境界位置を認識する認識手段と、画像を記録する記録媒体上に余白領域を形成する場合に、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量の設定及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う制御手段と、を含んで構成されている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量は、前記画像を記録した記録媒体に余白領域が形成されるように予め設定され、前記制御手段は、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、予め設定された前記偏倚量に従って前記画像を前記記録媒体に記録すると前記画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、予め設定された前記偏倚量の補正及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に画像を記録させかつ前記記録面の一端部に余白領域を形成させる際に、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記画像を前記記録媒体に記録すると、前記画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量を、前記画像を前記記録媒体に記録した状態で前記有効画像領域を挟んで前記一端部と反対側に位置する前記非有効画像領域の幅に相当する値へ補正する。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記記録媒体の単一の記録面に当該記録面の中央部を挟んで複数の画像を並べて記録しかつ前記複数の画像の間に余白領域を形成させる場合は、余白領域の幅が予め設定されることで、前記個々の画像に対して前記記録媒体への記録位置を前記余白領域から前記記録面の端部へ向かう方向へ前記余白領域の幅の1/2に相当する距離だけ各々偏倚させる偏倚量が予め設定され、前記制御手段は、予め設定された前記余白領域から前記端部の方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記個々の画像を前記記録媒体に記録すると、前記個々の画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記余白領域から前記端部へ向かう方向への前記偏倚量を、前記画像を前記記録媒体に記録した状態で前記有効画像領域を挟んで前記中央部と反対側に位置する前記非有効画像領域の幅に相当する値へ補正する。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ前記第1方向に沿った前記記録面の一端部に余白領域を形成させる場合において、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記複数の画像を前記記録媒体に記録すると前記複数の画像のうちの何れかの画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断したときに、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさより大きいのであれば、前記記録媒体への記録前の個々の画像中の非有効画像領域を削除すると共に、前記偏倚量を、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計と前記第1方向に沿った前記記録面の大きさとの差分に相当する値へ補正する。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ前記第1方向に沿った前記記録面の一端部に余白領域を形成させる場合において、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記複数の画像を前記記録媒体に記録すると前記複数の画像のうちの何れかの画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断したときに、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下であれば、前記記録媒体への記録前の個々の画像中の非有効画像領域の一部又は全部を削除する。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明において、前記制御手段は、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下の場合に、前記偏倚量を前記記録面に第1方向に沿って記録する画像の数で除すことで単一の画像当りの非有効画像領域の削除幅Xを求めると共に、個々の画像において前記第1方向に沿って有効画像領域の両側に存在する第1の非有効画像領域の幅と第2の非有効画像領域の幅の差分Yを求め、差分Yが削除幅X以上であれば、前記第1の非有効画像領域及び前記第2の非有効画像領域のうち幅の大きい方から削除幅X分だけ削除し、差分Yが削除幅Xよりも小さければ、前記第1の非有効画像領域及び前記第2の非有効画像領域を、前記第1の非有効画像領域の幅及び前記第2の非有効画像領域の幅のうちの小さい方から(X−Y)/2を減じた幅となるように削除する。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の発明において、前記制御手段は、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下の場合に、前記偏倚量を前記記録面に第1方向に沿って記録する画像の数で除すことで単一の画像当りの非有効画像領域の削除幅Xを求めると共に、個々の画像において前記第1方向に沿って有効画像領域の両側に存在する第1の非有効画像領域の幅と第2の非有効画像領域の幅の差分Yを求め、差分Yが削除幅Xよりも小さければ、前記第1の非有効画像領域及び前記第2の非有効画像領域を、前記第1の非有効画像領域の幅及び前記第2の非有効画像領域の幅のうちの小さい方から(X−Y)/2を減じた幅となるように削除する。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れかに記載の発明において、記録媒体に記録される画像に対しては、当該画像中の周縁に存在する非有効画像領域の幅が予め設定され、前記認識手段は、予め設定された前記非有効画像領域の幅と前記画像の大きさに基づいて前記境界位置を認識する。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、原稿の画像を読み取る読取手段を更に備え、前記認識手段は、前記読取手段によって読み取られて記録媒体に記録される画像に対し、前記記録媒体への記録対象から除外する前記画像の周縁部の幅が枠消し量として予め設定されている場合に、前記枠消し量を前記非有効画像領域の幅として用いる。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項1〜請求項10の何れかに記載の発明において、記録媒体上に余白領域が形成されるように前記記録媒体に画像を記録するにあたり、前記記録媒体のうち前記制御手段によって設定された前記偏倚量に従って偏倚させた記録位置に画像を記録すること、及び、前記制御手段によって前記非有効画像領域が削除された画像を前記記録媒体に記録すること、の少なくとも一方を行う記録手段を更に備えている。
【0016】
請求項12記載の発明に係る画像処理プログラムは、コンピュータを、記録媒体に記録される画像中の有効画像領域と非有効画像領域との境界位置を認識する認識手段、及び、画像を記録する記録媒体上に余白領域を形成する場合に、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量の設定及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,11,12記載の発明は、余白領域が形成されるように記録媒体に画像を記録する際に、画像中の有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、画像の縮小を行うことなく実現できる、という効果を有する。
【0018】
請求項2記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、予め設定された記録位置の偏倚量に対して偏倚量の変化を抑制しつつ実現できる、という効果を有する。
【0019】
請求項3記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体の記録面に単一の画像を記録させかつ第1方向に沿った記録面の一端部に余白領域を形成させる際に、予め設定された記録位置の偏倚量に従って画像を記録媒体に記録すると有効画像領域の少なくとも一部が記録媒体に記録されない場合に、有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、予め設定された記録位置の偏倚量に対して偏倚量の変化を抑制しつつ実現できる、という効果を有する。
【0020】
請求項4記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体の単一の記録面に当該記録面の中央部を挟んで複数の画像を並べて記録しかつ複数の画像の間に余白領域を形成させる場合において、予め設定された記録位置の偏倚量に従って個々の画像を記録媒体に記録すると個々の画像中の有効画像領域の少なくとも一部が記録媒体に記録されないときに、有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、予め設定された記録位置の偏倚量に対して偏倚量の変化を抑制しつつ実現できる、という効果を有する。
【0021】
請求項5,6記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ第1方向に沿った記録面の一端部に余白領域を形成させる場合において、予め設定された記録位置の偏倚量に従って複数の画像を記録媒体に記録すると何れかの画像中の有効画像領域の少なくとも一部が記録媒体に記録されないときに、有効画像領域全体を記録媒体に記録させることを、予め設定された記録位置の偏倚量に対して偏倚量の変化を抑制しつつ実現できる、という効果を有する。
【0022】
請求項7,8記載の発明は、記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ第1方向に沿った記録面の一端部に余白領域を形成させる際に、予め設定された記録位置の偏倚量に従って複数の画像を記録媒体に記録すると何れかの画像中の有効画像領域の少なくとも一部が記録媒体に記録されない一方、各画像中の非有効画像領域の少なくとも一部を削除すれば、予め設定された記録位置の偏倚量に従って複数の画像を記録媒体に記録しても各画像中の有効画像領域全体を記録媒体に記録できる場合に、各画像の有効画像領域を各画像の記録範囲の中央又は中央に近い位置に配置することができる、という効果を有する。
【0023】
請求項9記載の発明は、本構成を有しない場合と比較して、記録媒体に記録される画像中の有効画像領域と非有効画像領域との境界位置を簡易な処理によって認識できる、という効果を有する。
【0024】
請求項10記載の発明は、利用者が枠消し量と別に非有効画像領域の幅を設定する手間を省くことができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(A)は本実施形態に係る画像記録装置の概略構成を示すブロック図、(B)は画像処理部の機能ブロック図である。
【図2】画像処理部で行われるとじ代形成処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】とじ代設定画面の画面イメージである。
【図4】(A)はとじ代設定画面の画面イメージ、(B)は非有効画像領域設定画面の画面イメージである。
【図5】非有効画像領域の幅を説明するためのイメージ図である。
【図6】単一の記録面に単一の画像を記録する場合のとじ代の形成を説明するためのイメージ図である。
【図7】製本用モードでのとじ代の形成を説明するためのイメージ図である。
【図8】複数画像記録モードでのとじ代の形成を説明するためのイメージ図である。
【図9】複数画像記録モードでのとじ代の形成を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1(A)には本実施形態に係る画像記録装置10が示されている。本実施形態に係る画像記録装置10は、複写機としての機能とファクシミリ装置としての機能とプリンタとしての機能を兼ね備えている。
【0027】
画像記録装置10は、原稿に記録されている画像を予め設定された解像度で読み取る画像読取部12、入力された画像データが表す画像を記録用紙に記録する画像記録部14、公衆交換電話網(PSTN(Public Switched Telephone Networks))やISDN(Integrated Services Digital Network)網等の公衆回線網を介してファクシミリ通信により画像データの送受信を行うファクシミリ通信部16、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続された図示しない端末装置と通信を行うネットワーク通信部18、画像データを蓄積記憶する画像蓄積部20、LCD等から成る表示部とテンキーやタッチパネル等から成り操作入力を受け付ける受付部を含む操作受付/表示部22、各種のシステムデータや端末装置から受信した情報等を記憶するためのメモリ23、装置各部の動作を制御するシステム制御部24、及び、画像データに対して符号化や復号化、拡大/縮小、編集等の各種の画像処理を行う画像処理部26を備え、これらがバス28を介して互いに接続されて構成されている。
【0028】
なお画像記録部14は、入力された画像データ(以下「入力画像データ」という)に基づき感光体上に電子写真方式で画像を形成して記録用紙に転写することで記録用紙に画像を記録する構成であってもよいし、入力画像データに基づき記録ヘッドからインクジェット方式でインク滴を吐出させて記録用紙に付着させることで記録用紙に画像を記録する構成であってもよく、公知の各種の画像記録方式のうちの何れの方式で記録用紙に画像を記録する構成であってもよい。
【0029】
また、画像処理部26はCPU26A、ROMやRAM等から成るメモリ26B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部26Cを含んで構成されている。記憶部26Cには前述した各種の画像処理を行うための各種のプログラムが予め記憶されているが、この各種プログラムの中には、画像処理部26のCPU26Aによって後述するとじ代形成処理を行うためのとじ代形成プログラムも含まれている。とじ代形成プログラムは本発明に係る画像処理プログラムに対応しており、画像処理部26のCPU26Aがとじ代形成プログラムを実行することで、画像記録装置10は本発明に係る画像処理装置として機能する。
【0030】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、画像記録装置10に対して原稿の画像の記録用紙への複写が指示され、画像読取部12によって原稿の画像が読み取られることで得られた画像データが画像読取部12から画像処理部26に入力されると、画像処理部26のCPU26Aによってとじ代形成プログラムが実行され、画像処理部26によって図2に示すとじ代形成処理が行われると共に、画像処理部26が図1(B)に示すとじ代形成処理部30として機能する。
【0031】
とじ代形成処理部30は有効/非有効画像領域検知部32ととじ代形成部34から構成されている。有効/非有効画像領域検知部32は、入力された画像データが表す画像の記録用紙への記録に際してとじ代の形成が指示されている場合に、記録用紙に記録する画像中の有効画像領域と非有効画像領域との範囲(境界)を検知する。とじ代形成部34は、有効/非有効画像領域検知部32によって検知された画像中の有効画像領域と非有効画像領域との範囲(境界)に基づき、記録用紙上にとじ代が形成されるように、記録用紙への画像の記録位置のシフト量(偏倚量)の設定、及び、記録用紙に記録される画像に対する削除対象領域の設定の少なくとも一方を行う。
【0032】
また、画像処理部26は、CPU26Aによって別のプログラムが実行されることで、図1(B)に示す画像シフト部36及び画像削除部38としても機能する。とじ代形成部34によって設定された記録位置のシフト量は画像シフト部36へ出力され、画像シフト部36は、とじ代形成部34から入力されたシフト量に応じて、記録用紙への画像の記録位置を移動させる。とじ代形成部34によって設定された削除対象領域の情報は画像削除部38へ出力され、画像削除部38は、記録用紙へ記録される画像を表す画像データのうち、とじ代形成部34から入力された情報が表す削除対象領域に相当するデータを、記録用紙に画像が記録される前に(記録用の画像データを生成する前に)削除する処理を行う。
【0033】
なお、本実施形態に係る画像記録装置10には、記録用紙への画像記録モードとして、記録用紙の単一の記録面に単一の画像を記録する通常モード、記録用紙の単一の記録面に当該記録面の中央部(記録面の中央、又は、当該中央から予め定めた距離以内の箇所)を挟んで複数の画像を並べて記録しかつ記録面の中央部に中とじ代用の余白領域を形成させる製本用モード、記録用紙の単一の記録面に複数の画像を記録する複数画像記録モード等の複数のモードが設けられているが、とじ代形成部34は複数画像記録モード用とじ代形成部34Aを備えており、画像記録モードとして複数画像記録モードが選択されている場合には、複数画像記録モード用とじ代形成部34Aによって記録用紙への画像の記録位置のシフト量(偏倚量)の設定、及び、記録用紙へ記録する画像に対する削除対象の領域の設定の少なくとも一方が行われる。
【0034】
次に、CPU26Aによってとじ代形成プログラムが実行されることで画像処理部26によって行われるとじ代形成処理について、図2を参照して説明する。とじ代形成処理では、まずステップ50において、とじ代(とじ代用の余白領域)の形成が指示されているか否か判定する。本実施形態では利用者によって以下の操作が行われることでとじ代の形成が指示される。
【0035】
すなわち、利用者によって操作受付/表示部22の操作入力を受け付ける受付部(以下「操作入力受付部」という)部が操作されることで、画像記録モードとして通常モード又は複数画像記録モードが選択されると共に、とじ代の設定画面が呼び出されると、例として図3(A)に示すように、記録用紙の表面/裏面の長辺側/短辺側の各箇所に形成させるとじ代用の余白領域の幅(とじ代量)を設定するためのとじ代設定欄40A〜40Dが設けられたとじ代設定画面が操作/表示部22の表示部に表示される。そして利用者により、操作受付/表示部22の操作入力受付部を介して上記設定画面のとじ代設定欄40A〜40Dの少なくとも1つにとじ代量を設定する操作が行われることで、通常モード又は複数画像記録モードにおけるとじ代の形成が指示されると共に、とじ代量も設定される。
【0036】
なお、通常モード及び複数画像記録モードにおいて、記録用紙の記録面の一端部に幅aのとじ代を設けることは、記録用紙の記録面への画像の記録位置を一端部と反対側へ距離aだけ移動(シフト)させることによって成されるので、上記で設定されるとじ代量は、予め設定された画像の記録用紙への記録位置の偏倚量、より詳しくは、とじ代を形成させる記録用紙の記録面の一端部と反対側への画像記録位置の偏倚量に対応している。また、本実施形態における複数画像記録モードには、例として図4(A)に示す詳細設定画面が用意されており、この詳細設定画面が操作/表示部22の表示部に表示された状態で、利用者により、記録用紙の単一の記録面に記録する画像の数が、例えば「2」「4」「8」等の中から選択され、記録用紙の記録面に記録する画像の天地方向が、記録用紙の短辺方向と長辺方向の中から選択される。
【0037】
また、利用者により画像記録モードとして製本用モードが選択されると共に、製本用モードの詳細な設定画面が呼び出されると、例として図3(B)に示す製本用モードの詳細設定画面が操作受付/表示部22の表示部に表示される。続いて、この画面内に設けられた中とじ代設定用のボタン42が利用者によって選択されると、例として図3(C)に示すように、記録用紙の記録面の中央部に形成させる中とじ代用の余白領域の幅(中とじ代量)を設定するための中とじ代設定欄44が設けられた中とじ代設定画面が操作受付/表示部22の表示部に表示される。そして利用者により、操作受付/表示部22の操作入力受付部を介して上記設定画面の中とじ代設定欄44に中とじ代量を設定する操作が行われることで、製本用モードにおけるとじ代(中とじ代)の形成が指示されると共に中とじ代量も設定される。
【0038】
なお、製本用モードにおいて、記録用紙の記録面の中央部に幅aの余白領域を設けることは、記録用紙の記録面の中央部を挟んで並べて記録する一対の画像を、一対の画像の間隔が大きくなる方向へ各々距離a/2ずつ移動(シフト)させることによって成されるので、上記のように中とじ代量が設定されることは、予め設定された画像の記録用紙への記録位置の偏倚量が設定されること、より詳しくは、一対の画像に対して記録用紙への記録位置を記録用紙の中央部と反対側へ中とじ代量の1/2に相当する距離だけ各々偏倚させる偏倚量が設定されることに相当する。
【0039】
上記のように、利用者によってとじ代量が設定されると、設定されたとじ代量はメモリ23に記憶される。先のステップ50では、利用者によって設定されたとじ代量がメモリ23に記憶されているか否かに基づいて、とじ代の形成が指示されているか否かを判定する。判定が否定された場合はとじ代形成処理を終了する。また、ステップ50の判定が肯定された場合はステップ52へ移行し、利用者によって予め設定された非有効画像領域の幅を取得する。
【0040】
本実施形態では、記録用紙に記録する画像を、画像中の主要部に相当する領域(以下、この領域を有効画像領域と称する)とそれ以外の領域(以下、この領域を非有効画像領域と称する)に区分している。図5に示すように、有効画像領域は元の画像の中央部付近に存在する矩形状の領域、非有効画像領域は有効画像領域の周囲を取り囲む帯状の領域とされている。非有効画像領域は、文字や線画等が存在しない空白の領域であることが一般的であるが、これに限られるものではなく、例えばヘッダーやフッター等のように文書の全頁に一律に付加されている文字列の領域等が含まれていてもよい。
【0041】
本実施形態では、上記の有効画像領域と非有効画像領域の区分が利用者によって予め設定される。この設定は、例えば図4(B)に示すように、有効画像領域の左側に存在する非有効画像領域の幅LM(図5も参照)を設定するための設定欄46A、有効画像領域の右側に存在する非有効画像領域の幅RM(図5も参照)を設定するための設定欄46B、有効画像領域の上側に存在する非有効画像領域の幅TM(図5も参照)を設定するための設定欄46C、及び、有効画像領域の下側に存在する非有効画像領域の幅BM(図5も参照)を設定するための設定欄46Dが設けられた非有効画像領域幅設定画面を操作受付/表示部22の表示部に表示させ、各箇所における非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMを対応する設定欄46A〜46Dに各々入力する操作を利用者が行うことによって成される。
【0042】
また利用者は、例えば記録用紙に複写する原稿に画像として記録されている文書のフォーマットにおける余白領域の幅等を計測する等により、非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMを判断・設定することができる。更に、記録用紙に複写する原稿が複数頁から成る場合、利用者によって設定された非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMは各頁の画像に一律に適用されるが、各頁の画像が表す文書のフォーマットが一定でない等の場合、利用者は、原稿の各頁の画像中の主要部が各画像中の有効画像領域内に収まるように、各頁の画像における非有効画像領域幅の最小値を非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMとして設定する。
【0043】
上述したように、利用者によって非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMが設定されると、設定された非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMはメモリ23に記憶される。先のステップ52では、利用者によって設定されてメモリ23に記憶された非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMをメモリ23から読み出すことで取得する。なお、複数画像記録モード等では、原稿(の画像)のサイズ、記録用紙のサイズ、記録用紙の単一の記録面に記録する画像の数、等の各パラメータに応じて画像が縮小されて記録用紙に記録されることがある。また、通常モードでも利用者によって設定された拡大率又は縮小率で画像が拡大又は縮小されて記録用紙に記録されることがある。このため、ステップ52では記録用紙への画像の記録に際して画像が縮小又は拡大されるか否かを確認し、画像が縮小又は拡大される場合は、メモリ23から読み出した非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMを、画像の縮小率又は拡大率に基づいて、記録用紙上における実際の非有効画像領域の幅へ補正する。
【0044】
また、非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMを原稿に画像として記録される文書のフォーマットの種類毎に設定・記憶しておき、複写しようとしている原稿に画像として記録される文書のフォーマットを利用者に選択させ、選択されたフォーマットに対応する非有効画像領域幅LM,RM,TM,BMをメモリ23から読み出すようにしてもよい。上述したステップ52は本発明に係る認識手段(より詳しくは請求項9に記載の認識手段)に対応する処理の一例であり、ステップ52の処理を行う画像処理部26は本発明に係る認識手段の一例として機能する。
【0045】
次のステップ54では、利用者によって選択された画像記録モードが製本用モードか否か判定する。判定が否定された場合(画像記録モードが通常モード又は複数画像記録モードの場合)はステップ56へ移行し、利用者によって設定されたとじ代量をメモリ23から読み出し、記録用紙の記録面のとじ代形成側端部から当該とじ代形成側端部とは反対側への画像の記録位置のシフト量(偏倚量)として、読み出したとじ代量を設定する。ステップ58では、ステップ56で設定したシフト量が、ステップ52で取得した非有効画像領域幅のうちとじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅よりも大きいか否かを判定することで、現在のシフト量で有効画像領域の像欠け(有効画像領域の少なくとも一部が記録用紙の記録面から逸脱することで記録用紙の記録面に記録されない現象)が生ずるか否か判定する。
【0046】
例えば通常モードにおいて、図6に示すように、記録用紙の記録面の右端にとじ代用の余白領域を形成する場合、記録用紙への画像の記録位置は、ステップ56で設定したシフト量(=とじ代量)だけ図6における左側へシフトさせる必要があるので、ステップ56で設定したシフト量が左側の非有効画像領域幅LMよりも大きいか否かを判定する。ステップ58の判定が否定された場合(上記の例ではシフト量が左側の非有効画像領域幅LM以下の場合)には、例として図6(A)に示すように、記録用紙への画像の記録位置をステップ56で設定したシフト量だけシフトさせても、記録用紙の記録面に記録する画像中の有効画像領域全体が記録用紙に記録されると判断できるので、とじ代形成処理を終了する。
【0047】
一方、ステップ58の判定が肯定された場合、ステップ56で設定したシフト量が、とじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅よりも大きいので、現在のシフト量に従って記録用紙への画像の記録位置をシフトすると、例として図6(B)に示すように有効画像領域の像欠けが生ずる。このため、ステップ58の判定が肯定された場合はステップ60へ移行し、画像記録モードが複数画像記録モードか否か判定する。この判定が否定された場合はステップ68へ移行し、シフト量として、とじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅を設定することで、先のステップ56で設定したシフト量を補正し、とじ代形成処理を終了する。
【0048】
例えば通常モードにおいて、利用者により記録用紙の記録面の右端へのとじ代用の余白領域の形成が指示されると共に、利用者によって設定されたとじ代量 (=シフト量)が左側の非有効画像領域幅LMよりも大きい場合には、ステップ58の判定が肯定され、ステップ60の判定が否定されることで、左側の非有効画像領域幅LMがシフト量に設定される。これにより、例として図6(C)に示すように、記録用紙の記録面に記録する画像中の有効画像領域全体が記録用紙に記録される。
【0049】
次に製本用モードについて説明する。利用者により画像記録モードとして製本用モードが選択された場合には、先のステップ54の判定が肯定されてステップ64へ移行し、利用者によって設定された中とじ代量をメモリ23から読み出し、読み出した中とじ代量の1/2に相当する値を、記録用紙の記録面に記録する一対の画像が離間する方向への記録位置のシフト量(偏倚量)として設定する。ステップ66では、ステップ64で設定したシフト量を、ステップ52で取得した非有効画像領域幅のうち記録用紙の端部側の非有効画像領域幅よりも大きいか否かを判定することで、現在のシフト量で有効画像領域の像欠けが生ずるか否か判定する。
【0050】
例えば製本用モードにおいて、図7に示すように、記録用紙の記録面の中央部にとじ代用の余白領域を形成する場合、記録用紙の記録面のうち中央部よりも左側に記録する画像の記録位置は、ステップ64で設定したシフト量(=中とじ代量/2)だけ図7における左側へシフトさせる必要があり、記録用紙の記録面のうち中央部よりも右側に記録する画像の記録位置は、ステップ64で設定したシフト量(=中とじ代量/2)だけ図7における右側へシフトさせる必要がある。但し、左側の非有効画像領域幅LMと右側の非有効画像領域幅RMは相違している可能性があるので、ステップ66では、ステップ64で設定したシフト量が左側の非有効画像領域幅LM及び右側の非有効画像領域幅RMよりも各々大きいか否かを判定する。
【0051】
ステップ66の判定が否定された場合(シフト量が左側の非有効画像領域幅LM以下でかつ右側の非有効画像領域幅RM以下の場合)には、例として図7(A)に示すように、記録用紙に記録する一対の画像の記録位置を、ステップ64で設定したシフト量だけ各々シフトさせたとしても、記録用紙の記録面に記録する一対の画像中の有効画像領域全体が記録用紙に記録されると判断できるので、とじ代形成処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ66の判定が肯定された場合は、ステップ64で設定したシフト量が、左側の非有効画像領域幅LM及び右側の非有効画像領域幅RMの少なくとも一方よりも大きいので、現在のシフト量に従って記録用紙に記録する一対の画像の記録位置をシフトすると、例として図7(B)に示すように有効画像領域の像欠けが生ずる。このため、ステップ66の判定が肯定された場合はステップ68へ移行し、シフト量として、とじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅(詳しくは、左側の非有効画像領域幅LM及び右側の非有効画像領域幅RMのうちの小さい方の値)を設定することで、先のステップ64で設定したシフト量を補正し、とじ代形成処理を終了する。これにより、例として図7(C)に示すように、記録用紙の記録面に記録する一対の画像中の有効画像領域全体が記録用紙に各々記録される。
【0053】
続いて複数画像記録モードについて説明する。利用者により画像記録モードとして複数画像記録モードが選択された場合は、通常モードと同様に、ステップ54の判定が否定されて利用者によって設定されたとじ代量がシフト量として設定される。また、設定したシフト量がとじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅よりも大きい場合、すなわち、現在のシフト量に従って画像の記録位置をシフトすると、例えば図8(A)及び図9(A)に示すように有効画像領域の像欠けが生ずる場合には、ステップ58の判定が肯定されてステップ60へ移行するが、この場合は画像記録モードとして複数画像記録モードが選択されているので、ステップ60の判定が肯定されてステップ62へ移行し、複数画像記録モードの設定が、画像の記録位置のシフト方向に沿って複数の画像を配列する設定となっているか否か判定する。
【0054】
図4(A)の詳細設定画面にも示されているように、本実施形態に係る複数画像記録モードは、記録用紙の単一の記録面に記録する画像の数が「2」の場合に2個の画像を記録用紙の長辺方向に沿って配列するが、利用者によって記録用紙の長辺側へのとじ代の形成が指示された場合は、指示されたとじ代を形成するための画像の記録位置のシフト方向が記録用紙の短辺に沿った方向となるので、画像の記録位置のシフト方向に沿った画像の数が「1」となる。この場合はステップ62の判定が否定されてステップ68へ移行し、通常モードと同様に、とじ代用の余白領域を形成する側と反対側(シフト方向下流側)の非有効画像領域幅がシフト量として設定される。
【0055】
一方、記録用紙の単一の記録面に記録する画像の数が「2」で記録用紙の短辺側へのとじ代の形成が指示されている場合、或いは、記録用紙の単一の記録面に記録する画像の数が「4」以上の場合には、ステップ62の判定が肯定されてステップ70へ移行し、画像の記録位置のシフト方向に沿って配列する複数の画像の有効画像領域幅の合計値Aを演算する。次のステップ72では、ステップ70で演算した前記複数の画像の有効画像領域幅の合計値Aに先のステップ56で読み出したとじ代量を加算した値を、画像の記録位置のシフト方向に沿った記録用紙の幅と比較し、比較結果に応じて分岐する。
【0056】
前記複数の画像の有効画像領域幅の合計値Aにとじ代量を加算した値が記録用紙の幅以上である場合は、ステップ72からステップ74へ移行し、画像の記録位置のシフト方向に沿って配列する前の複数の画像の画像データから、記録位置のシフト方向に沿って有効画像領域の両側に存在している非有効画像領域に相当するデータを全て削除する。また、ステップ76では、画像の記録位置のシフト方向に沿った記録用紙の幅から前記複数の画像の有効画像領域幅の合計値Aを減算した値を新たなシフト量として設定することで、先のステップ56で設定したシフト量を補正し、とじ代形成処理を終了する。これにより、例として図8(B)に示すように、記録用紙に記録する各画像からは、記録位置のシフト方向に沿って有効画像領域の両側に存在している非有効画像領域が削除されるものの、各画像中の有効画像領域全体が記録用紙に各々記録される。
【0057】
また、前記複数の画像の有効画像領域幅の合計値Aにとじ代量を加算した値が記録用紙の幅よりも小さい場合は、ステップ72からステップ78へ移行し、先のステップ56で読み出したとじ代量(利用者によって設定されたとじ代量)を、画像の記録位置のシフト方向に沿って配列する画像の数で除した値(1画像当りの非有効画像領域の削除幅)を変数Xとして演算する。またステップ80では、記録用紙に記録する画像の左側の非有効画像領域幅LMと右側の非有効画像領域幅RMとの差分を変数Yとして演算する。そして、次のステップ82では変数Yを変数Xと比較し、比較結果に応じて分岐する。
【0058】
変数Yが変数X以上の場合、すなわち左側の非有効画像領域幅LMと右側の非有効画像領域幅RMとの差分が1画像当りの非有効画像領域の削除幅以上の場合は、ステップ82からステップ84へ移行し、画像の記録位置のシフト方向に沿って配列する前の複数の画像の各々に対し、記録位置のシフト方向に沿って有効画像領域の両側に存在している一対の非有効画像領域のうち、幅が大きい方の非有効画像領域から変数Xに相当する幅の領域が削除されるように、複数の画像の画像データから対応するデータを各々削除し、とじ代形成処理を終了する。
【0059】
また、ステップ82の判定において、変数Yが変数Xよりも小さい場合、すなわち左側の非有効画像領域幅LMと右側の非有効画像領域幅RMとの差分が1画像当りの非有効画像領域の削除幅よりも小さい場合は、ステップ82からステップ86へ移行し、画像の記録位置のシフト方向に沿って配列する前の複数の画像の各々に対し、記録位置のシフト方向に沿って有効画像領域の両側に存在している一対の非有効画像領域の幅が、当該一対の非有効画像領域のうちの幅が小さい方の非有効画像領域の幅から(X−Y)/2を減じた幅となるように、複数の画像の画像データから対応するデータを各々削除し、とじ代形成処理を終了する。
【0060】
上述したステップ84又はステップ86の処理が行われることで、例として図9(B)に示すように、記録用紙に記録する各画像からは、記録位置のシフト方向に沿って有効画像領域の両側に存在している非有効画像領域の少なくとも一部が削除されるものの、各画像中の有効画像領域全体が記録用紙に各々記録されると共に、各画像の有効画像領域が各画像の記録範囲のうち記録位置のシフト方向に沿った中央又は中央に近い位置に配置される。
【0061】
なお、上記で説明したとじ代形成処理のステップ54〜ステップ86は本発明に係る制御手段(より詳しくは請求項2〜請求項7に記載の制御手段)に相当する処理であり、ステップ54〜ステップ86の処理を行う画像処理部26は本発明に係る制御手段として機能する。また、ステップ54〜ステップ86のうち、ステップ54〜60,68は請求項3に記載の制御手段に、ステップ54,64〜68は請求項4に記載の制御手段に、ステップ54〜62,ステップ70〜86は請求項5,6(詳しくは請求項7,8)に記載の制御手段に各々対応する処理である。
【0062】
なお、上記では画像中の非有効画像領域の幅が利用者によって設定され、設定された非有効画像領域の幅に基づいて有効画像領域と非有効画像領域の境界を認識する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば原稿の画像を読み取って記録用紙に記録する複写機能を備えた画像記録装置の中には、読み取った画像の周縁部に位置しかつ枠消し量として利用者が予め設定した幅の領域を、画像の全周に亘って複写対象から除外する(記録用紙に記録しない)枠消し機能を備えているものがあり、利用者が枠消し量を設定することで複写対象から除外した領域は原稿の画像中の主要部ではないと判断できるので、枠消し量として利用者が設定した幅を、非有効画像領域の幅としても用いるようにしてもよい。上記態様は請求項10記載の発明に対応している。
【0063】
また、上記では有効画像領域と非有効画像領域の境界を認識するための情報として、非有効画像領域の幅(例えば図4(B)に示す非有効画像領域幅LM,RM,TM,BM)を利用者に設定させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものでもなく、有効画像領域の幅を利用者に設定させるようにしてもよい。
【0064】
また、上記では有効画像領域と非有効画像領域の境界を認識するための情報を利用者に設定させる態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものでもなく、画像データを解析し、画像データが表す画像から空白と判断できる領域やヘッダーやフッター等のように文書の全頁に一律に付加されている文字列の領域等を抽出し、抽出した領域を非有効画像領域と判断して有効画像領域と非有効画像領域の境界を認識するようにしてもよい。また、この場合、有効画像領域と非有効画像領域の境界の認識結果を操作/表示部22の表示部等に表示させ、前記境界の認識結果が適正か否かを利用者に確認させるようにしてもよい。
【0065】
更に、上記では製本用モードで利用者から中とじ代の形成が指示されると共に中とじ代量が設定された場合に、設定された中とじ代量の1/2に相当する値を一対の画像が離間する方向への記録位置のシフト量(偏倚量)として設定し、設定したシフト量で有効画像領域の像欠けが生ずるか否かを判定し、有効画像領域の像欠けが生ずると判定した場合にシフト量を補正する処理を行うことで、製本対象の複数枚の記録用紙における画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値(有効画像領域の像欠けが生じない場合のシフト量)を、利用者によって設定された中とじ代量の1/2に相当する値に固定する態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば製本対象の複数枚の記録用紙のうち、製本状態で最も内側に位置する記録用紙に対しては、画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値として、設定された中とじ代量の1/2に相当する値を設定し、製本状態での位置が外側になるに従って、記録用紙に対する画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値を徐々に増大させる等、製本対象の複数枚の記録用紙に対し、製本状態での位置に応じて画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値を相違させるようにしてもよい。また、この態様では画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値が大きくなるに従って有効画像領域の像欠けが生じ易くなり、像欠けが生じた場合の像欠け量も大きくなり易くなるが、例えば製本状態での各頁に相当する範囲に図8や図9に示すように複数の画像を記録する場合には、製本状態での各頁に相当する範囲に対し、各頁(製本対象の複数枚の記録用紙)毎に画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値に応じて図8又は図9に示す制御(図2のステップ72〜86の処理)を適用し、画像記録位置のシフト量(偏倚量)の基準値に対する最終的なシフト量(偏倚量)の変化を抑制しつつ、各頁内の複数の画像の各々の有効画像領域を各頁内に記録させるようにしてもよい。
【0066】
また、上記では原稿の画像の記録用紙への複写が指示され、原稿の画像の画像データが入力されると、本発明が適用されたとじ代形成処理を行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばファクシミリ通信によって他の装置から受信した画情報の画像を記録用紙に記録する際や、端末装置からネットワークを介して受信した情報が表す画像を記録用紙に記録する際に、とじ代の形成が指示された場合にも、本発明を適用し、記録する画像中の有効画像領域全体が記録用紙に記録されるように、画像の記録位置の偏倚量(シフト量)の設定及び画像中の非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行うようにしてもよい。また本発明を、端末装置から受信した情報が表す画像を記録用紙に記録する態様に適用する場合には、図3,4に示したような設定画面は、端末装置の表示装置に表示させるように構成することが好ましい。
【0067】
また、上記では本発明に係る画像処理プログラムに対応するとじ代形成プログラムが画像処理部26の記憶部26Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像処理プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 画像記録装置
14 画像記録部
22 操作/表示部
23 メモリ
26 画像処理部
30 とじ代形成処理部
32 非有効画像領域検知部
34 とじ代形成部
36 画像シフト部
38 画像削除部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録される画像中の有効画像領域と非有効画像領域との境界位置を認識する認識手段と、
画像を記録する記録媒体上に余白領域を形成する場合に、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量の設定及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う制御手段と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量は、前記画像を記録した記録媒体に余白領域が形成されるように予め設定され、
前記制御手段は、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、予め設定された前記偏倚量に従って前記画像を前記記録媒体に記録すると前記画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、予め設定された前記偏倚量の補正及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に画像を記録させかつ前記記録面の一端部に余白領域を形成させる際に、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記画像を前記記録媒体に記録すると、前記画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量を、前記画像を前記記録媒体に記録した状態で前記有効画像領域を挟んで前記一端部と反対側に位置する前記非有効画像領域の幅に相当する値へ補正する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記録媒体の単一の記録面に当該記録面の中央部を挟んで複数の画像を並べて記録しかつ前記複数の画像の間に余白領域を形成させる場合は、余白領域の幅が予め設定されることで、前記個々の画像に対して前記記録媒体への記録位置を前記余白領域から前記記録面の端部へ向かう方向へ前記余白領域の幅の1/2に相当する距離だけ各々偏倚させる偏倚量が予め設定され、
前記制御手段は、予め設定された前記余白領域から前記端部の方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記個々の画像を前記記録媒体に記録すると、前記個々の画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断した場合に、前記余白領域から前記端部へ向かう方向への前記偏倚量を、前記画像を前記記録媒体に記録した状態で前記有効画像領域を挟んで前記中央部と反対側に位置する前記非有効画像領域の幅に相当する値へ補正する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ前記第1方向に沿った前記記録面の一端部に余白領域を形成させる場合において、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記複数の画像を前記記録媒体に記録すると前記複数の画像のうちの何れかの画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断したときに、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさより大きいのであれば、前記記録媒体への記録前の個々の画像中の非有効画像領域を削除すると共に、前記偏倚量を、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計と前記第1方向に沿った前記記録面の大きさとの差分に相当する値へ補正する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記記録媒体の記録面に第1方向に沿って複数の画像を記録させかつ前記第1方向に沿った前記記録面の一端部に余白領域を形成させる場合において、予め設定された前記一端部から前記一端部と反対側の端部へ向かう方向への前記記録位置の偏倚量に従って前記複数の画像を前記記録媒体に記録すると前記複数の画像のうちの何れかの画像中の前記有効画像領域の少なくとも一部が前記記録媒体に記録されないと判断したときに、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下であれば、前記記録媒体への記録前の個々の画像中の非有効画像領域の一部又は全部を削除する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下の場合に、前記偏倚量を前記記録面に第1方向に沿って記録する画像の数で除すことで単一の画像当りの非有効画像領域の削除幅Xを求めると共に、個々の画像において前記第1方向に沿って有効画像領域の両側に存在する第1の非有効画像領域の幅と第2の非有効画像領域の幅の差分Yを求め、差分Yが削除幅X以上であれば、前記第1の非有効画像領域及び前記第2の非有効画像領域のうち幅の大きい方から削除幅X分削除する請求項5又は請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記複数の画像の各々の前記第1方向に沿った有効画像領域の幅の合計に予め設定された前記偏倚量を加えた値が前記第1方向に沿った前記記録面の大きさ以下の場合に、前記偏倚量を前記記録面に第1方向に沿って記録する画像の数で除すことで単一の画像当りの非有効画像領域の削除幅Xを求めると共に、個々の画像において前記第1方向に沿って有効画像領域の両側に存在する第1の非有効画像領域の幅と第2の非有効画像領域の幅の差分Yを求め、差分Yが削除幅Xよりも小さければ、前記第1の非有効画像領域及び前記第2の非有効画像領域を、前記第1の非有効画像領域の幅及び前記第2の非有効画像領域の幅のうちの小さい方から(X−Y)/2を減じた幅となるように削除する請求項5又は請求項6記載の画像処理装置。
【請求項9】
記録媒体に記録される画像に対しては、当該画像中の周縁に存在する非有効画像領域の幅が予め設定され、前記認識手段は、予め設定された前記非有効画像領域の幅と前記画像の大きさに基づいて前記境界位置を認識する請求項1〜請求項8の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
原稿の画像を読み取る読取手段を更に備え、
前記認識手段は、前記読取手段によって読み取られて記録媒体に記録される画像に対し、前記記録媒体への記録対象から除外する前記画像の周縁部の幅が枠消し量として予め設定されている場合に、前記枠消し量を前記非有効画像領域の幅として用いる請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
記録媒体上に余白領域が形成されるように前記記録媒体に画像を記録するにあたり、前記記録媒体のうち前記制御手段によって設定された前記偏倚量に従って偏倚させた記録位置に画像を記録すること、及び、前記制御手段によって前記非有効画像領域が削除された画像を前記記録媒体に記録すること、の少なくとも一方を行う記録手段を更に備えた請求項1〜請求項10の何れか1項記載の画像処理装置。
【請求項12】
コンピュータを、
記録媒体に記録される画像中の有効画像領域と非有効画像領域との境界位置を認識する認識手段、
及び、画像を記録する記録媒体上に余白領域を形成する場合に、前記認識手段によって認識された前記境界位置に基づき、前記画像中の前記有効画像領域全体が前記記録媒体に記録されるように、前記画像の前記記録媒体への記録位置の偏倚量の設定及び前記記録媒体への記録前の前記画像中の前記非有効画像領域の削除の少なくとも一方を行う制御手段
として機能させる画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−78010(P2011−78010A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229778(P2009−229778)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】