説明

画像処理装置及び方法、並びにプログラム

【課題】 画像の複雑度に応じて適切な倍率で拡大表示ができるようにする。
【解決手段】 拡大率設定部は、画像のデータについて、画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、拡大対象領域に対する拡大率を設定する。拡大画像生成部は、画像のデータに対して、拡大率設定部で設定された拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する。本技術は、画像を表示する画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、画像処理装置及び方法、並びにプログラムに関し、特に、画像の複雑度に応じて適切な倍率で拡大表示ができる、画像処理装置及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像編集装置等において画像が確認される場合、画像全体の視認性の向上のために、原画像の縮小画像が表示される。
【0003】
図1は、一般的な画像編集装置における画像の表示例を示す図である。
【0004】
図1に示されるように、一般的な画像編集装置1の表示部11に表示される編集画面には、画像編集のためのキー等が表示される編集作業領域21と、編集対象の画像がプレビュー表示されるプレビュー領域22が設けられる。プレビュー領域22には、視認性の向上のために、編集対象の原画像の縮小画像がプレビュー表示される。
【0005】
このようなプレビュー表示された縮小画像の中から、編集対象となる特定領域がユーザにより探索される。このような特定領域が小さい場合には、特定領域が含まれていると想定される範囲が、ユーザの操作により指定されたり、マウスカーソルの位置により特定され、特定された範囲が拡大表示される技術が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−306374号公報
【特許文献2】特開2001−142602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や2に開示された技術では、拡大された範囲内に含まれる特定領域の視認性が低下することがあり、特定領域の探索漏れが生じたり、特定領域を探索するために長時間を要する場合があった。
【0008】
例えば、拡大された範囲内に複雑なオブジェクトOB1または複雑ではないオブジェクトOB2が含まれていたとする。複雑なオブジェクトOB1または複雑ではないオブジェクトOB2が含まれる範囲が拡大表示される場合、それぞれは一枚の画像の一部であるからどちらも予め設定された同一の拡大率で拡大表示される。
【0009】
したがって、複雑ではないオブジェクトOB2に合わせて拡大率が小さく設定されていた場合、複雑なオブジェクトOB1は十分に拡大表示されずに視認性が低下する。その結果、ユーザが、拡大された範囲内の複雑なオブジェクトOB1から特定領域を探索する場合に探索漏れが発生する場合がある。
【0010】
一方、複雑なオブジェクトOB1に合わせて拡大率が大きく設定されていた場合、複雑ではないオブジェクトOB2は不必要に大きく拡大表示されてしまう。その結果、ユーザが、拡大された範囲内の複雑ではないオブジェクトOB2から特定領域を探索する場合に粗く探索ができないことから、特定領域の探索に長時間を要する場合があった。
【0011】
そのため、ユーザは、特定領域に含まれるオブジェクトの大きさや複雑さに合わせて、その都度拡大率の変更操作を行う必要があり、操作が煩雑となる。
【0012】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の複雑度に応じて適切な倍率で拡大表示ができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本技術の一側面の画像処理装置は、原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率を設定する拡大率設定部と、前記原画像のデータに対して、前記拡大率設定部で設定された前記拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する拡大画像生成部とを備える。
【0014】
前記拡大率設定部は、前記画像特徴量の値が大きいほど前記拡大率を大きく設定することができる。
【0015】
前記拡大率設定部は、前記拡大対象領域内における平滑化画像と前記原画像との各画素値の差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求めることができる。
【0016】
前記拡大率設定部は、前記原画像のデータを処理対象として全画素について隣接画素との差分絶対値を算出し、前記拡大対象領域に属する前記隣接画素との差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求めることができる。
【0017】
前記原画像のデータに基づいて、前記原画像の縮小画像を表示させる制御を実行する表示制御部をさらに備え、前記拡大率設定部は、前記縮小画像を基準として前記拡大率を設定し、前記表示制御部は、さらに、前記拡大画像生成部により生成された前記拡大画像のデータに基づいて、前記拡大画像を、前記縮小画像における前記指定位置に重畳して表示させる制御を実行することができる。
【0018】
前記拡大率設定部で設定された前記拡大率に基づいて、マウスカーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部をさらに設けることができる。
【0019】
前記カーソル速度設定部は、前記拡大率が大きいほど前記マウスカーソルの移動速度を遅く設定することができる。
【0020】
本技術の一側面の情報処理方法及びプログラムは、上述した本技術の一側面の画像処理装置に対応する方法及びプログラムである。
【0021】
本技術の一側面の画像処理装置及び方法並びにプログラムにおいては、原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率が設定され、前記原画像のデータに対して、設定された前記拡大率で拡大処理が施されることによって、拡大画像のデータが生成される。
【発明の効果】
【0022】
以上のごとく、本技術によれば、画像の複雑度に応じて適切な倍率で拡大表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一般的な画像編集装置における画像の表示例を示す図である。
【図2】本技術の概略について説明する図である。
【図3】本技術が適用される画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】拡大率設定部の構成例を示すブロック図である。
【図5】画像特徴量と、画像特徴量による拡大率Spの関係を示す図である。
【図6】画像特徴量による拡大率Spと拡大率オフセットSoを示す図である。
【図7】拡大率とマウスカーソルの移動速度の関係を示す図である。
【図8】プレビュー領域における表示を示す図である。
【図9】拡大画像表示処理の流れについて説明するフローチャートである。
【図10】拡大率設定処理について説明する図である。
【図11】拡大率設定部91の構成例を示すブロック図である。
【図12】拡大率設定処理について説明する図である。
【図13】拡大領域の表示手法の別の例を示す図である。
【図14】本技術が適用される画像処理装置のハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[本技術の概略]
はじめに、本技術の理解を容易なものとすべく、その概略について説明する。
【0025】
図2は、本技術の概略について説明する図である。図2には、本技術が適用される画像処理装置の画像処理の対象となる原画像の縮小画像が示されている。このような縮小画像から、特定領域が探索され、拡大表示されるまでの一連の処理の概略について説明する。なお、特定領域は、このように拡大表示される対象の領域である。そこで、以下、特定領域を拡大対象領域と適宜称する。
【0026】
図2の例では、同図左側に示される縮小画像のうち、マウスカーソルPMが指し示す位置を中心として、予め設定された所定範囲内の領域F1が、拡大対象領域に設定される。すると、図2の右側に示されるように、マウスカーソルPMが指し示す位置を中心として、領域F1が2倍の拡大率で拡大された拡大領域FZ1が、縮小画像に重畳されて表示される。なお、この例の縮小画像は、植物の画像とされている。
【0027】
また、図示はしないが、領域F2の中心を指し示すようにマウスカーソルPMが移動すると、当該領域F2が拡大対象領域に設定される。すると、図2の右側に示されるように、領域F2が1.5倍の拡大率で拡大された拡大領域FZ2が、縮小画像に重畳されて表示される。
【0028】
ここで、拡大領域FZ1における拡大率は2倍であるのに対して、拡大領域FZ2における拡大率はそれよりも小さい1.5倍である。これは、領域F1の方が領域F2よりも画像の複雑さの度合いが大きいからである。すなわち、詳細については後述するが、このような画像の複雑さの度合いを示す画像特徴量が、拡大対象領域毎に算出される。そして、画像特徴量が大きい拡大対象領域になるほど、すなわち画像の複雑さの度合いが大きい拡大対象領域になるほど、拡大率が大きくなるように設定される。つまり、図2の例では、拡大対象領域となった領域F1の方が、別の拡大対象領域となった領域F2と比較して、画像特徴量が大きかったため、すなわち画像の複雑さの度合いが大きかったため、拡大率が大きく設定されたのである。
【0029】
このように本技術では、拡大領域における拡大率は、拡大対象領域の複雑さの度合いを示す画像特徴量に応じて動的に設定される。
【0030】
さらに、図2の例では、拡大領域の表示手法として、全ての拡大領域が同一のサイズ(すなわち、同一の面積)で表示する手法が採用されている。このため、拡大領域FZ1と拡大領域FZ2とは同一サイズで表示されている。
【0031】
[画像処理装置の構成例]
図3は、本技術が適用される画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0032】
図3に示されるように、画像処理装置30は、画像データ入力部51、操作部52、カーソル位置取得部53、拡大率オフセット取得部54、拡大率設定部55、カーソル速度設定部56、拡大画像生成部57、表示制御部58、および画像表示部59を有している。
【0033】
画像データ入力部51は、他の情報処理装置または図示せぬ記憶部から編集対象の原画像の画像データを入力し、取得した原画像の画像データを、拡大率設定部55、拡大画像生成部57、および表示制御部58に供給する。
【0034】
操作部52は、ユーザによるマウス操作を受け付け、当該マウス操作に応じた操作信号を、カーソル位置取得部53と拡大率オフセット取得部54に供給する。
【0035】
カーソル位置取得部53は、操作部52から供給された操作信号に基づいて、画像処理装置30の画像表示部59に表示されたマウスカーソルの位置Ppの座標(Xp,Yp)を取得する。ここで、従来との比較を容易なものとすべく、本実施形態でも、画像表示部59には、図1と同様の編集画面、すなわち編集作業領域とプレビュー領域とが設けられた編集画面が表示されるものとする。そして、カーソル位置取得部53により取得されるマウスカーソルの位置Ppの座標(Xp,Yp)は、プレビュー領域の座標系で特定されるものとする。
【0036】
ここで、画像表示部59の横×縦のサイズがWa×Haであり、プレビュー領域の横×縦のサイズがWp×Hpであるとする。なお、Wa>Wp、Ha>Hp、アスペクト比は同一であるものとする。この場合、プレビュー領域に表示される縮小画像のサイズは、画像表示部59のサイズの1/N倍になる(N=Wa/Wp)。カーソル位置取得部53は、プレビュー領域上のマウスカーソルの位置Ppの座標(Xp,Yp)を、画像表示部59上の画面全体の座標系における位置Paの座標(Xa,Ya)に変換する。カーソル位置取得部53は、座標変換後の位置Paの座標(Xa,Ya)をマウスカーソル位置として保持する。
【0037】
拡大率オフセット取得部54は、操作部52から供給された操作信号に基づいて、拡大率オフセットSoを取得する。拡大率オフセットSoは、後述する拡大率設定部55により拡大率Sが設定される場合に、後述する拡大率Spに対して、ユーザの操作により加算されるオフセット値である。すなわち、可変の拡大率オフセットSoの加算により、拡大率Spの調整が可能となる。なお、拡大率オフセットSoの取得の手法は特に限定されず、例えば、ユーザがマウスのホイールボタンを回転操作させることにより、回転方向と回転量に応じた拡大率オフセットSoが取得されるようにしてもよい。
【0038】
拡大率オフセットSoの取り得る範囲は、後述する拡大率設定部55により設定される画像特徴量による拡大率Spの最小値をSpminとし、最大値をSpmaxとした場合、「−(Spmax−Spmin)≦ So ≦ (Spmax−Spmin)」で表わすことができる。なお、拡大率Spと拡大率オフセットSoとのさらなる関係については、図6を参照して後述する。
【0039】
拡大率オフセット取得部54は、取得した拡大率オフセットSoを、拡大率設定部55に供給する。
【0040】
拡大率設定部55は、拡大対象領域の拡大率Sを設定する。拡大率設定部55は、はじめに、拡大対象領域における画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、拡大対象領域の拡大率Spを算出する。なお、このように画像特徴量に基づいて算出される拡大率Spを、拡大率設定部55から最終的に出力される拡大率Sと明確に区別すべく、画像特徴量による拡大率Spと称する。
【0041】
なお、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量は、特に限定されず、画像の複雑さを示すことができる特徴量であればよい。そして、拡大率設定部55は、画像特徴量による拡大率Spと、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoとを加算した値を、拡大対象領域の拡大率Sとして設定する。
【0042】
本実施形態においては、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量として、マウスカーソル位置Paから一定範囲内(すなわち、拡大対象領域)における、平滑化画像と原画像との差分絶対値の総和が用いられる。このような画像特徴量に基づいて拡大率Sを決定する拡大率設定部55の詳細な構成を、図4を参照して説明する。
【0043】
[拡大率設定部の構成例]
図4は、拡大率設定部55の構成例を示すブロック図である。
【0044】
図4に示されるように、拡大率設定部55は、平滑化画像生成部71、差分絶対値算出部72、および拡大率決定部73を有する。
【0045】
平滑化画像生成部71は、画像データ入力部51に入力された原画像の画像データから、平滑化画像のデータを生成する。なお、平滑化画像のデータの生成手法は、特に限定されない。例えば、原画像を構成する各画素を、処理の対象として注目すべき画素(以下、注目画素と称する)として順次設定し、注目画素とその周囲の画素とからなるブロック等の各画素値の平均値を算出し、平均値を、注目画素の新たな画素値として設定する、といった処理を繰り返すことで、平滑化画像のデータを生成する手法を採用できる。或いはまた、原画像のデータに対して、任意の係数からなる低域通過フィルタをかけることによって、平滑化画像のデータを生成するといった手法を採用できる。
【0046】
なお、平滑化画像生成部71は、例えば、拡大表示機能が有効化されたときや、拡大表示機能が有効化されてかつプレビュー領域に表示されている画像が更新されたとき等に、平滑化画像のデータを生成してもよい。
【0047】
差分絶対値算出部72は、カーソル位置取得部53により供給されたマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲を拡大対象範囲として、拡大対象範囲内における平滑化画像と原画像との各画素値の差分絶対値の総和σ1を算出する。そして、差分絶対値算出部72は、算出した差分絶対値の総和σ1を、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量として、拡大率決定部73に供給する。
【0048】
拡大率決定部73は、差分絶対値算出部72から供給された拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、すなわち、拡大対象領域の差分絶対値の総和σ1に基づいて、当該拡大対象領域についての、画像特徴量による拡大率Spを算出する。例えば「画像特徴量による拡大率Spは、次の式(1)を用いて算出される。
【0049】
Sp=σ1×A0+A1(A0は定数、A1=1.0) ・・・(1)
【0050】
拡大率決定部73は、図5に示されるように、拡大率Spを算出する。
【0051】
[画像特徴量と拡大率の関係]
図5は、画像特徴量と、画像特徴量による拡大率の関係を示す図である。図5の縦軸は画像特徴量による拡大率Spを示し、横軸は画像の複雑さを示す画像特徴量を示している。
【0052】
図5に示されるように、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量の値が大きいほど、すなわち、拡大対象領域の差分絶対値の総和σ1が大きいほど、画像特徴量による拡大率Spは大きくなる。すなわち、複雑な画像ほど、画像特徴量による拡大率Spは大きくなる。
【0053】
さらに、拡大率決定部73は、拡大対象領域について、画像特徴量による拡大率Spに、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoを加算して、出力用の拡大率Sを決定する。ここで、画像特徴量による拡大率Spと拡大率オフセットSoについて図6を参照して説明する。
【0054】
[画像特徴量による拡大率Spと拡大率オフセットSo]
図6は、画像特徴量による拡大率Spと拡大率オフセットSoを示す図である。図6Aは、画像特徴量による拡大率Spを示し、図6Bは、拡大率オフセットSoを示している。
【0055】
図6Aに示されるように、例えば、拡大率設定部55により設定された画像特徴量による拡大率Spとして取り得る範囲として、最小値Spmin=1.0であり、最大値Spmax=5.0であるとする。この場合、拡大率オフセットSoの取り得る範囲は、上述したように、「−(5.0−1.0)≦So ≦(5.0−1.0)」となる。すなわち、図6Bに示されるように、拡大率オフセットSoの取り得る範囲は、−4.0乃至4.0となる。
【0056】
例えば、拡大率決定部73により画像特徴量による拡大率Spが3.0であり、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoが1.0である場合、両者が加算されて拡大率Sは4.0に決定される。
【0057】
拡大率決定部73は、決定した拡大率Sを、カーソル速度設定部56と拡大画像生成部57に供給する。
【0058】
カーソル速度設定部56は、拡大率設定部55から供給された拡大率Sに基づいて、マウスカーソルの移動速度を設定する。具体的には、カーソル速度設定部56は、図7に示されるように、拡大対象領域の拡大率Sが大きくなるほど、マウスカーソルの移動速度が遅くなるように、マウスカーソルの移動速度を設定する。
【0059】
図7は、拡大率とマウスカーソルの移動速度の関係を示す図である。図7の縦軸はマウスカーソルの移動速度を示し、横軸は拡大率Sを示している。
【0060】
図7Aの関係が採用された場合には、マウスカーソルの移動速度が、拡大率Sが大きくなるのに比例して直線的に遅くなる。一方、図7Bの関係が採用された場合には、マウスカーソルの移動速度が、拡大率Sが大きくなるほど曲線的に遅くなる。なお、図7A及び図7Bの関係は例示に過ぎず、拡大率Sが大きくなるほど、マウスカーソルの移動速度が遅くなる関係であれば足りる。また、これらの関係が複数採用されている場合には、ユーザが、好みに応じてどちらか一方に切り替え可能とする。
【0061】
図3に戻り、拡大画像生成部57は、画像データ入力部51に入力された原画像の画像データのうち、カーソル位置取得部53から供給されたマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内の画像のデータを、拡大率設定部55から供給された拡大率Sで拡大することによって、拡大画像のデータを生成する。
【0062】
上述したように、プレビュー領域は、画像表示部59の画面の1/N倍のサイズである。すなわち、画像表示部59の画面全体に原画像が表示された場合の原画像を基準とすると、プレビュー領域には、原画像の1/N倍の縮小画像が表示される。ここで、拡大率S=1.0の場合は、拡大画像生成部57は、プレビュー領域に表示されている原画像の縮小画像から、マウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内の画像を拡大せずにそのまま、拡大画像のデータとする。換言すると、拡大画像生成部57は、原画像における一定範囲内の画像のデータを1/N倍して、拡大画像のデータを生成する。拡大率Sの場合には、拡大画像生成部57は、原画像における一定範囲内の画像のデータをS/N倍して、拡大画像のデータを生成する。このように、拡大率Sは、原画像の縮小画像を基準として設定される。なお、拡大率S>Nの場合、すなわち原画像よりも拡大する必要がある場合には、拡大画像生成部57は、任意の手法により原画像のデータを拡大することによって、拡大画像のデータを生成する。
【0063】
拡大画像生成部57は、生成した拡大画像を表示制御部58に供給する。
【0064】
表示制御部58は、画像データ入力部51から供給された原画像のデータを1/N倍に縮小した縮小画像のデータを表示対象として、当該縮小画像を画像表示部59のプレビュー領域に表示させる。さらに、表示制御部58は、拡大画像生成部57から供給された拡大画像のデータを表示対象として、当該拡大画像を、画像表示部59のプレビュー領域上のマウスカーソルの位置Ppを中心に縮小画像に重畳して表示させる。拡大画像の表示について、図8を参照して説明する。
【0065】
[拡大画像の表示]
図8は、プレビュー領域における表示を示す図である。
【0066】
図8の上の図は、画像表示部59のプレビュー領域81を示している。プレビュー領域81には、原画像の1/N倍の縮小画像が表示されている。図8の例では、縮小画像には、形状が複雑なオブジェクトOB11と、形状が複雑ではない(つまり、簡単な)オブジェクトOB12が含まれている。
【0067】
マウスカーソルPMが、形状が複雑なオブジェクトOB11上に配置されると、図8の左下の図に示されるように、オブジェクトOB11が含まれる拡大対象領域が所定の拡大率Sで拡大された拡大画像OBZ11が、マウスカーソルPMの位置を中心に、オブジェクトOB11に重畳されて表示される。
【0068】
これに対して、マウスカーソルPMが、形状が複雑ではないオブジェクトOB12上に配置されると、図8の右下の図に示されるように、オブジェクトOB12が含まれる拡大対象領域が所定の拡大率Sで拡大された拡大画像OBZ12が、マウスカーソルPMの位置を中心に、オブジェクトOB12に重畳されて表示される。
【0069】
なお、拡大領域OBZ11,OBZ12が表示される位置は、マウスカーソルPMの位置に限定されず、例えば、プレビュー領域81以外の領域であってもよい。
【0070】
次に、画像処理装置30が拡大画像を表示する処理(以下、拡大画像表示処理と称する)について、図9を参照して説明する。
【0071】
[拡大画像表示処理]
図9は、拡大画像表示処理の流れについて説明するフローチャートである。
【0072】
ステップS11において、カーソル位置取得部53は、マウスカーソルの位置を取得する。すなわち、カーソル位置取得部53は、操作部52から供給された操作信号に基づいて、画像処理装置30の画像表示部59に表示されたマウスカーソルの位置Paを取得する。
【0073】
ステップS12において、拡大率設定部55は、拡大率設定処理を実行する。なお、拡大率設定処理の詳細については、図10を参照して後述する。
【0074】
ステップS13において、カーソル速度設定部56は、カーソル速度を設定する。すなわち、カーソル速度設定部56は、ステップS12において拡大率設定部55により設定された拡大率Sに基づいて、図7に示されるように、マウスカーソルの移動速度を設定する。
【0075】
ステップS14において、拡大画像生成部57は、拡大画像を生成する。すなわち、拡大画像生成部57は、原画像の画像データのうち、ステップS11においてカーソル位置取得部53が取得したマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内の画像のデータを、ステップS12において拡大率設定部55により設定された拡大率Sで拡大することによって、拡大画像のデータを生成する。
【0076】
ステップS15において、表示制御部58は、画像表示部59に拡大画像を表示する。
【0077】
これにより、拡大画像表示処理は終了する。
【0078】
次に、ステップS12の拡大率設定処理の詳細について、図10を参照して説明する。
【0079】
[拡大率設定処理]
図10は、拡大率設定処理について説明する図である。
【0080】
ステップS21において、平滑化画像生成部71は、平滑化画像を生成する。すなわち、平滑化画像生成部71は、原画像を構成する各画素を、注目画素として設定し、注目画素とその周囲の画素とからなるブロック等の各画素値の平均値を算出し、平均値を、注目画素の新たな画素値として設定する、といった処理を、注目画素を順次変更して繰り返すことで、平滑化画像のデータを生成する。
【0081】
ステップS22において、差分絶対値算出部72は、原画像と平滑化画像との各画素値の差分絶対値の総和σ1を算出する。すなわち、差分絶対値算出部72は、ステップS11においてカーソル位置取得部53により取得されたマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲を拡大対象範囲として、拡大対象範囲内における原画像と平滑化画像との各画素値の差分絶対値の総和σ1を算出する。
【0082】
ステップS23において、拡大率決定部73は、拡大率Sを決定する。すなわち、拡大率決定部73は、ステップS22において算出された原画像と平滑化画像との差分絶対値の総和σ1に基づいて、画像特徴量による拡大率Spを算出する。そして、拡大率決定部73は、画像特徴量による拡大率Spに、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoを加算して、拡大率Sを決定する。
【0083】
これにより、拡大率設定処理は終了して、処理は図9のステップS13に戻る。
【0084】
[拡大率設定部の他の構成例]
上述の例では、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量として、マウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内から得られた平滑化画像と原画像との差分絶対値の総和が採用された。しかしながら、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量は、上述の例に限定されない。例えば、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量として、マウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内における隣接画素との差分絶対値の総和が採用されてもよい。
【0085】
このような画像特徴量に基づいて拡大率が設定される画像処理装置の構成例は、図3の画像処理装置30と基本的に同様の機能と構成を有している。したがって、以下では、図3の画像処理装置30との一致点の説明は省略し、その差異点、すなわち図3の拡大率設定部55とは異なる構成の拡大率設定部91について説明する。
【0086】
図11は、拡大率設定部91の構成例を示すブロック図である。
【0087】
図11に示されるように、拡大率設定部91は、全画素差分絶対値算出部111、差分絶対値取得部112、および拡大率決定部113を有する。
【0088】
全画素差分絶対値算出部111は、画像データ入力部51に入力された原画像の画像データを処理対象として、全画素について隣接画素との差分絶対値を算出する。隣接画素の差分絶対値として、例えば、処理対象として注目すべき画素(以下、注目画素と称する)と、その右隣の画素とについての各画素値の差分絶対値と、当該注目画素とその下隣の画素とについての各画素値の差分絶対値との和が採用されてもよい。そして、全画素差分絶対値算出部111は、全画素についての隣接画素との差分絶対値を、差分絶対値取得部112に供給する。
【0089】
なお、全画素差分絶対値算出部111は、例えば、拡大表示機能が有効化されたときや、拡大表示機能が有効化されてかつプレビュー領域に表示されている画像が更新されたとき等に、全画素についての隣接画素との差分絶対値を算出する。
【0090】
差分絶対値取得部112は、カーソル位置取得部53により供給されたマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲を拡大対象領域として、全画素差分絶対値算出部111から供給された全画素についての隣接画素との差分絶対値のうち、当該拡大対象領域の範囲に属する隣接画素との差分絶対値の総和σ2を取得する。差分絶対値取得部112は、取得した隣接画素との差分絶対値の総和σ2を、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量として、拡大率決定部113に供給する。
【0091】
拡大率決定部113は、差分絶対値取得部112から供給された拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量、すなわち、マウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲内の画像の隣接画素の差分絶対値の総和σ2に基づいて、画像特徴量による拡大率Spを算出する。例えば拡大率Spは、次の式(2)を用いて算出される。
【0092】
Sp=σ2×B0+B1(B0は定数、B1=1.0) ・・・(2)
【0093】
拡大率決定部113は、図5に示されるように、拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量の値が大きいほど画像特徴量による拡大率Spが大きくなるように算出する。
【0094】
さらに、拡大率決定部113は、画像特徴量による拡大率Spに、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoを加算して、出力用の拡大率Sを決定する。拡大率決定部113は、決定した拡大率Sを、カーソル速度設定部56と拡大画像生成部57に供給する。
【0095】
次に、拡大率設定部91を有する画像処理装置30の拡大画像表示処理について説明する。なお、拡大率設定部91を有する画像処理装置30の拡大画像表示処理は、図9の拡大画像表示処理と基本的に同様である。したがって、以下では、図9の拡大画像表示処理との一致点は省略し、その差異点、すなわち図9のステップS12の拡大率設定処理について説明する。
【0096】
[拡大率設定処理]
図12は、拡大率設定処理について説明する図である。
【0097】
ステップS41において、全画素差分絶対値算出部111は、全画素について隣接画素との差分絶対値を算出する。
【0098】
ステップS42において、差分絶対値取得部112は、拡大対象領域内の隣接画素との差分絶対値の総和σ2を取得する。すなわち、差分絶対値取得部112は、ステップS11においてカーソル位置取得部53により取得されたマウスカーソル位置Paを中心とする一定範囲を拡大対象領域として、ステップS41において全画素差分絶対値算出部111により算出された全画素についての隣接画素との差分絶対値のうち、当該拡大対象領域の範囲に属する隣接画素との差分絶対値の総和σ2を取得する。
【0099】
ステップS43において、拡大率決定部113は、拡大率Sを決定する。すなわち、拡大率決定部113は、ステップS42において取得された拡大対象領域内の隣接画素との差分絶対値の総和σ2に基づいて、画像特徴量による拡大率Spを算出する。そして、拡大率決定部113は、画像特徴量による拡大率Spに、拡大率オフセット取得部54から供給された拡大率オフセットSoを加算して、拡大率Sを決定する。
【0100】
これにより、拡大率設定処理は終了して、処理は図9のステップS13に戻る。
【0101】
このように、本実施形態においては、縮小画像から特定領域が探索されて拡大表示される場合、縮小されたために視認性が低くなった複雑な画像は、高倍率で拡大表示され、それに伴いマウスカーソルの速度は遅くなる。したがって、縮小画像から特定の領域を探索する場合に、選択漏れの発生が低減される。一方、縮小されても視認性がそれほど変化しない複雑ではない画像は、低倍率で拡大表示され、それに伴いマウスカーソルの移動速度は速くなる。したがって、縮小画像から特定の領域を選択する場合、選択時間の短縮を図ることができる。
【0102】
すなわち、本実施形態においては、画像の複雑度に応じて適切な倍率で拡大表示がされるので、拡大画像の視認性が向上し、編集対象となる特定領域の探索漏れや、特定領域を探索するために長時間を有することが低減される。
【0103】
[拡大領域の他の表示例]
上述したように、図2の例では、拡大領域の表示手法として、全ての拡大領域が同一のサイズ(すなわち、同一の面積)で表示される手法が採用されている。このため、拡大領域FZ1と拡大領域FZ2とは同一サイズで表示されている。これに伴い、各拡大対象領域のそれぞれのサイズは、同一にならず、拡大率が大きくなるほど小さくなる。具体的には、拡大対象領域F1は、拡大対象領域F2よりも小さくなっている。しかしながら、拡大領域の表示手法は、このような図2の例に限定されない。
【0104】
図13は、拡大領域の表示手法の別の例を示す図である。
【0105】
図13の例では、拡大領域の表示手法として、各拡大対象領域のサイズが同一になるように設定された上で、各拡大対象領域を各拡大率で拡大した拡大領域のそれぞれ、すなわち、拡大率に応じてサイズ(解像度)が異なる拡大領域のそれぞれを表示する手法が採用されている。
【0106】
具体的には、図13の左側に示されるように、拡大対象領域F11と拡大対象領域F12とは同一のサイズになっている。この状態で拡大表示がされた結果として、図13の右側に示されるように、拡大対象領域F11が2倍に拡大された拡大領域FZ11と、拡大対象領域F12が1.5倍に拡大された拡大領域FZ12とがそれぞれ表示される。すなわち、拡大領域FZ11と拡大領域FZ12とは、拡大率に応じて異なったサイズ(解像度)で、具体的には、拡大率の比(2:1.5)と同一の比で異なったサイズで、それぞれ表示される。
【0107】
[本技術のプログラムへの適用]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
【0108】
図14は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0109】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201,ROM(Read Only Memory)202,RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。
【0110】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
【0111】
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
【0112】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0113】
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0114】
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0115】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0116】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0117】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率を設定する拡大率設定部と、
前記原画像のデータに対して、前記拡大率設定部で設定された前記拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する拡大画像生成部と
を備える画像処理装置。
(2)
前記拡大率設定部は、前記画像特徴量の値が大きいほど前記拡大率を大きく設定する
前記(1)に記載の画像処理装置。
(3)
前記拡大率設定部は、前記拡大対象領域内における平滑化画像と前記原画像との各画素値の差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求める
前記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4)
前記拡大率設定部は、前記原画像のデータを処理対象として全画素について隣接画素との差分絶対値を算出し、前記拡大対象領域に属する前記隣接画素との差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求める
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像処理装置。
(5)
前記原画像のデータに基づいて、前記原画像の縮小画像を表示させる制御を実行する表示制御部をさらに備え、
前記拡大率設定部は、前記縮小画像を基準として前記拡大率を設定し、
前記表示制御部は、さらに、前記拡大画像生成部により生成された前記拡大画像のデータに基づいて、前記拡大画像を、前記縮小画像における前記指定位置に重畳して表示させる制御を実行する
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)
前記拡大率設定部で設定された前記拡大率に基づいて、マウスカーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部をさらに備える
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像処理装置。
(7)
前記カーソル速度設定部は、前記拡大率が大きいほど前記マウスカーソルの移動速度を遅く設定する
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の画像処理装置。
【0118】
本技術は、画像を表示する画像処理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0119】
30 画像処理装置, 51 画像データ入力部, 52 操作部, 53 カーソル位置取得部, 54 拡大率オフセット取得部, 55 拡大率設定部, 56 カーソル速度設定部, 57 拡大画像生成部, 58 表示制御部, 59 画像表示部, 71 平滑化画像生成部, 72 差分絶対値算出部, 73 拡大率決定部, 91 拡大率設定部, 111 全画素差分絶対値算出部, 112 差分絶対値取得部, 113 拡大率決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率を設定する拡大率設定部と、
前記原画像のデータに対して、前記拡大率設定部で設定された前記拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する拡大画像生成部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記拡大率設定部は、前記画像特徴量の値が大きいほど前記拡大率を大きく設定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記拡大率設定部は、前記拡大対象領域内における平滑化画像と前記原画像との各画素値の差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求める
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記拡大率設定部は、前記原画像のデータを処理対象として全画素について隣接画素との差分絶対値を算出し、前記拡大対象領域に属する前記隣接画素との差分絶対値の総和を、前記画像特徴量として求める
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記原画像のデータに基づいて、前記原画像の縮小画像を表示させる制御を実行する表示制御部をさらに備え、
前記拡大率設定部は、前記縮小画像を基準として前記拡大率を設定し、
前記表示制御部は、さらに、前記拡大画像生成部により生成された前記拡大画像のデータに基づいて、前記拡大画像を、前記縮小画像における前記指定位置に重畳して表示させる制御を実行する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記拡大率設定部で設定された前記拡大率に基づいて、マウスカーソルの移動速度を設定するカーソル速度設定部をさらに備える
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記カーソル速度設定部は、前記拡大率が大きいほど前記マウスカーソルの移動速度を遅く設定する
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像処理装置の画像処理方法において、
前記画像処理装置が、
原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率を設定し、
前記原画像のデータに対して、設定された前記拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する
ステップを含む画像処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
原画像のデータについて、前記原画像のうち拡大の対象として指定された指定位置を含む領域を拡大対象領域として、前記拡大対象領域の画像の複雑さを示す画像特徴量に基づいて、前記拡大対象領域に対する拡大率を設定する拡大率設定部と、
前記原画像のデータに対して、前記拡大率設定部で設定された前記拡大率で拡大処理を施すことによって、拡大画像のデータを生成する拡大画像生成部と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−58147(P2013−58147A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197180(P2011−197180)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】