説明

画像処理装置及び画像処理方法、コンピュータプログラム及び記憶媒体

【課題】 オリジナルのオブジェクトデータの格納元をメタデータにもつ画像データを印刷する際、そのデータそのものではなくオリジナルデータからの印刷物を得る時にユーザの所望する補正をオリジナルデータに対して行なうことを可能にする。
【解決手段】 テーブルデータを取得する手段と、前記取得したテーブルデータの枠内部に含まれるフォントデータを、前記取得したテーブルデータのフォントサイズよりも小さく変更して、前記テーブルデータの補正を行う補正手段と、前記補正手段によりフォントサイズを小さくすることで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタデータを扱うことのできる画像処理装置及び画像処理方法、コンピュータプログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像処理システムでは、ラスタライズされた画像をスキャン後にオブジェクト化して再利用する、といった機能を持つ画像処理装置、MFP(Multi−Funcition−Periferal)が提案されている(例えば特許文献1)。
さらに、データの性質を的確に反映した処理を行うために、メタデータ(データについての付属情報)を付けることにより所望のデータを最適処理する技術が提案されている。(例えば特許文献2)
また、外部機器や画像処理装置等のネットワーク上に格納される元データ(オリジナルデータと呼ぶ)へのアクセス情報を紙原稿に付加し、オリジナルデータをコピー(オリジナルコピーと呼ぶ)する技術も提案されている。(例えば特許文献3)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−342408号公報
【特許文献2】特開2006−025129号公報
【特許文献3】特開平11−088659号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、何らかの不具合を伴って印刷された原稿であった場合、従来のオリジナルコピーを行っても、その不具合を持ったままオリジナルデータが印刷されるだけで、不具合は解消されないという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みてされたものであり、オリジナルデータの出力結果に画像欠けのような不具合があった場合でも、補正をかけた画像を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、テーブルデータを取得する手段と、前記取得したテーブルデータの枠内部に含まれるフォントデータを、前記取得したテーブルデータのフォントサイズよりも小さく変更して、前記テーブルデータの補正を行う補正手段と、前記補正手段によりフォントサイズを小さくすることで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、テーブルデータを取得する手段と、前記取得したテーブルデータの枠を、前記取得したテーブルデータの枠の大きさよりも大きく形成して、前記テーブルデータの補正を行う補正手段と、前記補正手段により枠を大きく形成することで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像処理装置が読み込んだ入力画像を適切な状態に補正して出力することが可能になる。
この適切な状態とは、オリジナルデータにおいて文字であったものが、画像中に欠如部分なくユーザが判読可能な状態であることをいう。
したがって、外部機器や画像処理装置等のネットワーク上に記憶されているオリジナルデータを、ユーザが判読可能である適切な状態の画像データとして出力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の画像処理システムを表す図である。
【図2】本発明の画像処理装置(MFP)を表す図である。
【図3】本発明の画像処理を表すフローチャートである。
【図4】本発明のベクトル化処理を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例の画像解析処理を表すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施例のオブジェクトの例を説明する図である。
【図7】本発明の第1の実施例のメタ画像ファイルのフォーマットの例を表す図である。
【図8】本発明の第1の実施例の画像データ構造を表す図である。
【図9】本発明の第1の実施例のオリジナルコピー処理を表すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施例のオブジェクトの例を説明する図である。
【図11】本発明の第2の実施例の画像解析処理を表すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施例の画像解析処理を表すフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施例の画像データ構造を表す図である。
【図14】本発明の第3の実施例のオリジナルコピー処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る画像処理システムについて説明する。
【0010】
[システム概要]
図1は本発明の画像処理システムを示す図である。100は画像データを処理する画像処理装置、MFP(Multi−Funcition−Periferal)であり、ネットワーク102を介して外部機器103及び104と接続されている。外部機器は2台に限定されるものではなく、ネットワーク上に接続される不特定多数の機器であっても構わない。
【0011】
[MFP概要]
図2にMFP100の内部ブロック図を示す。
【0012】
図2は本発明の実施形態におけるMFPの詳細構成を示す図である。
【0013】
図2において、オートドキュメントフィーダ(ADF)を含む画像読み取り部110は、束状のあるいは1枚の原稿画像を光源(不図示)で照射する。そして、画像読み取り部110は原稿反射像をレンズで固体撮像素子上に結像し、固体撮像素子からラスタ状の画像読み取り信号を所定密度(例えば、600dpi)のイメージ情報(ラスタ画像)として得る。
【0014】
また、MFP100は、画像読み取り信号に対応する画像を印刷部112で記録媒体に印刷する複写機能を有する。原稿画像を一部複写する場合には、この画像読み取り信号をデータ処理部115で画像処理して記録信号を生成し、これを印刷部112によって記録媒体上に印刷させる。一方、原稿画像を複数部複写する場合には、記憶部111に一旦一ページ分の記録信号を記憶保持させた後、これを印刷部112に順次出力して記録媒体上に印刷させる。
【0015】
また、記録信号は、記憶部111だけではなく、ネットワークI/F114から出力され、ネットワーク102を介して外部機器103若しくは104に記憶保持可能でもある。
【0016】
データ処理部115においては、画像読み取り部110から得られる画像信号から特徴解析を行って、後述するメタデータ生成を行う。さらに、画像信号をTIFFやJPEG等の圧縮画像ファイル形式、あるいはPDF等のベクトルデータファイル形式の画像ファイルへと変換し、特徴解析を行った結果をこの画像ファイルに付帯したメタ画像データを生成する。ファイル送信する場合は、生成されたメタ画像データをネットワークI/F114から出力する。ネットワークI/Fへ出力されたメタ画像データは、ネットワーク102を介して外部機器103若しくは104へ送信される。
【0017】
印刷部112による印刷機能においては、例えば、外部機器103若しくは104から出力された印刷データをネットワークIF114経由でデータ処理部115が受信する。データ処理部115は、その印刷データを印刷部112で印刷可能なラスタデータに変換した後、印刷部112によって印刷媒体上に画像を形成する。
【0018】
MFP100への操作者の指示は、MFP100に装備されたキー操作部やタッチパネルからなる入力部113及び表示部116から行われ、これら一連の動作はデータ処理部115内の制御部(不図示)で制御される。また、操作入力の状態表示及び処理中の画像データの表示は、表示部116で行われる。
【0019】
記憶部111は、例えば、大容量のハードディスクで実現される。記憶部111は、画像読み取り部110で読み取った入力画像データや、データ処理部で生成したメタ画像データ、外部機器103若しくは104から送信された画像データ、オリジナルデータを格納し記憶管理するデータベースを構成している。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態における画像処理システムにて実行する入力画像データ読み取り処理全体の概要を、図3、4を用いて説明する。
【0021】
[処理概要]
図3のフローを用いて画像読み取り部110から原稿画像を読み取る画像読み取り手順から、ベクトル化処理を行ってメタ画像データ生成する一連の処理手順について説明する。
【0022】
まずステップS300では、操作者が入力部113から入力した指示に基づき、画像読み取り部110から原稿画像の読み取りを行う。具体的には、1枚の原稿をラスタ状に走査して読み取り、例えば、600dpi−8ビットの画像信号を得る。
【0023】
次にこの画像信号を、データ処理部115で前処理を施し、記憶部111又は外部機器103若しくは104に1ページ分の画像データとして保存する。
【0024】
データ処理部115のCPUは、記憶部111又は外部機器103若しくは104に保存された入力画像データに対して、オブジェクトに分離し、ステップS301でベクトル化処理を行う。オブジェクト化手順、ベクトル化処理手順の詳細については図4のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
[ベクトル化処理]
図4に示すように、まずステップS400で、データ処理部115において、ブロックセレクション(BS)処理を行う。
【0026】
データ処理部115のCPUは、記憶部111に格納されている又は外部機器103若しくは104から送信された処理対象の画像信号を、まず文字/線画部分とハーフトーン画像部分とに領域分割する。そして、文字/線画部分は更に段落で塊としてまとまっているブロック毎に、あるいは線で構成された表、図形毎に分類、分割する。
【0027】
一方、ハーフトーン画像部分は、矩形に分離されたブロックの画像部分、背景部分等の、所謂ブロック毎に独立したオブジェクト(ブロック)に分類、分割される。
【0028】
なお、本実施形態では分割されるオブジェクトに対応する属性の例として次のものが挙げられる。文字を表すTEXTオブジェクト、細線や図形を表すGRAPHICオブジェクト、表を表すTABLEオブジェクト、自然画像を表すIMAGEオブジェクト、背景を表すBACKGROUNDオブジェクト等がある。しかし属性の種類はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、他の種類の属性を使用することも可能であるし、また、すべての属性を使用する必要もない。
【0029】
次に、データ処理部115のCPUはステップS401で、ステップS400のブロックセレクション処理で得られた文字ブロックに対してOCR処理を行う。
【0030】
また、ステップS400のブロックセレクション処理で得られたGRAPHICエリアに対してはOMR(Optical Mark Recognition、光学マーク認識)処理を行う。この処理によって、GRAPHICエリア内にオリジナルデータファイルの格納元であるポインタ情報が埋め込まれているか否か判定する。具体的には、GRAPHICオブジェクトから2次元バーコードに該当するオブジェクトを検出し、2次元バーコードを解読する。そして、予め外部機器又は記憶部111に格納されている入力画像のオリジナルデータファイルが、どこに格納されているかを示すポインタ情報を検出する。ポインタ情報の例としては、外部機器のIPアドレス及びパス名とファイル名で構成される情報や、URLそのものなどが挙げられる。
【0031】
上記ポインタ情報は、各原稿に付き1つであっても構わないし、各属性に対して1つでも構わない。
【0032】
次のステップS402では各オブジェクトに対するベクトルデータ化処理が実施される。例えば、TEXT(文字)オブジェクトはフォントデータに変換される。GRAPHIC(細線、図形)オブジェクトは、アウトライン化/関数近似化された関数としてベクトル変換される。
【0033】
また、TABLE(表)オブジェクトにおいて、表の枠内部にあるセル情報は少なくともフォントデータ又はアウトライン/関数近似化した関数のいずれかに変換される。
【0034】
表の枠部はアウトライン化/関数近似化された関数としてベクトル変換され、表の枠内部にある各セル情報は関連付けられ表オブジェクトとしてコード化される。
【0035】
更に、IMAGE(画像)オブジェクトは、画像読み取り部110の読み取り解像度600dpiのまま低圧縮(例えば、低圧縮JPEG圧縮)を実行して保存される。
【0036】
次に、ステップS403で、BACKGROUND(背景)オブジェクトに対する背景処理を実行する。
【0037】
この背景処理は、BACKGROUND(背景)オブジェクトに対応する画像に対し、例えば、RGB各色のヒストグラムを生成する。そのヒストグラムに基づいて、BACKGROUNDオブジェクトが色の分布が均一な均一データであると判定される場合は、矩形のベクトルデータに変換した後で保存される。また、色の分布が不均一な不均一データであると判定される場合は、読み取り解像度600dpiから低解像度(例えば、解像度300dpi)へ解像度変換を施した後に高圧縮(例えば、高圧縮JPEG圧縮)を実行して保存される。
【0038】
なお、低圧縮及び高圧縮の定義は、例えば、所定圧縮率(例えば、50%)より高い圧縮率での圧縮を高圧縮、所定圧縮率より低い圧縮率での圧縮を低圧縮とする。
【0039】
ステップS403の背景処理の終了後、ステップS404で、各オブジェクト(ブロック)のレイアウト情報及び属性情報、オリジナルデータのポインタ情報を、メタ画像データファイルとして記憶部111又は外部機器103若しくは104に保存する。ポインタ情報は処理対象となった原稿により1つでも複数でも構わないので、オブジェクト毎に格納しても各原稿につき1つ格納するだけでもどちらでも構わない。
【0040】
以上の処理によって得られたメタ画像データファイルは、読み取った原稿の画像に可視的に非常に近い状態のベクトル情報が編集可能な形式で全て含まれており、それらを直接加工、再利用、あるいは蓄積、伝送、再印刷を行うことが可能になる。
【0041】
次に、ステップS301でベクトル化処理されたベクトルデータはステップS302で画像データ解析処理が施される。具体的には、図5を用いて解析手順を説明する。
【0042】
[画像解析処理]
画像解析処理においては、生成されたベクトルデータに不具合な点があるかないかを判断する。不具合な点とは例えば図6に示すような、TABLEデータの中の文字列がセルの枠内に収まりきらず、文字列が欠けて印刷されているような現象を指す。
【0043】
まず図5に示すように、ステップS500で記憶部111又は外部機器103若しくは104に保存されたベクトルデータファイルから各オブジェクトデータを読み出す。
【0044】
次にステップS501で読み出されたオブジェクトデータの属性がTABLEかどうかを判断する。TABLEだった場合はステップS502へ、そうでなかった場合は解析処理を終了する。
【0045】
次にステップS502でオブジェクトデータがTABLEだった場合には、データ処理部115のCPUで前述の表の枠内部にあるセル情報の中に文字(フォント)以外の情報が含まれているかを判定する。文字列が欠けている場合、前述したOCR処理によりこの欠けた文字列は文字として正常に認識できない。したがって、欠けた文字が表内にあると、表内に文字以外の情報が存在することになる。表内に文字以外の情報が含まれ、画像に欠如部分が有る場合はステップS503へ、欠如部分が無い場合は解析処理を終了する。
【0046】
文字以外の情報が含まれ、画像に欠如部分が有ると判断されたオブジェクトに対しては画像欠け情報を生成する。
【0047】
この画像の欠如は、外部機器において表計算アプリケーションとしてはセル情報として文字や数値として存在していたものが、一度記録媒体上に印刷される際に解像度の違いやレイアウトの誤差等により、正しく印刷されなかったことが原因である。
【0048】
図6にその例を示す。600はメタ画像データファイルを作成する対象の原稿を印刷前に表示画面上で見る画像であり、かつ格納されているオリジナルデータそのものであり、同時に原稿の画像欠けを補正した印刷後の状態を示す。
【0049】
601はメタ画像データを作成する対象の原稿でこの原稿が実際印刷された後の状態を示す。
【0050】
原稿が印刷されたデータはセルの上部に文字情報がはみ出しており、文字列として判別することが困難な画像となっている。
【0051】
生成された画像欠け情報は読み出されたメタ画像データファイルのメタデータに追記された後、記憶部111又は外部機器103若しくは104に記憶され画像解析処理を終了する。
【0052】
ここで、メタ画像データファイルのフォーマットの一例については図7を用いて説明する。
【0053】
図7は、本実施形態におけるメタ画像データファイルの構造の一例を示す図である。メタ画像データ700は、ヘッダー部701と、メタデータ部707〜709と、レイアウトデータ部702と、画像データ部703〜706とで構成される。
【0054】
ヘッダー部701は、メタ画像データ700の構成要素を特定する情報が保持される。レイアウトデータ部702では、原稿画像中のTEXT(文字)、IMAGE(自然画)、TABLE(表)等の属性毎に認識された各ブロックの属性情報とそれらの属性の原稿上における矩形アドレス情報を保持する。
【0055】
TEXTデータ部703〜IMAGEデータ部706までがベクトル処理された画像データであり、707のオブジェクト0、708のオブジェクト1、709のオブジェクトnまで各属性に全てのオブジェクトが順次格納されている。
【0056】
各オブジェクトデータ707、708、709はさらに図8に示すようにデータフィールド800とメタフィールド801に分かれている。データフィールド800は各オブジェクトの実体を表す情報が格納されている。そしてメタフィールド801には、オブジェクトID、オブジェクトの属性を示す属性ID、オリジナルデータの格納元となるポインタ情報、及びオブジェクトに画像の不具合があるかどうかを示す画像欠け情報など各オブジェクトデータに関わる情報を格納する。図8では、ポインタ情報は各オブジェクトに対して、格納するような形態をとっている。
【0057】
各属性におけるデータフィールドには次に述べるような情報が格納されている。
【0058】
TEXTデータ部703では、TEXTオブジェクトの文字認識して得られる文字認識結果を保持する。
【0059】
TABLEデータ部704では、TABLEオブジェクトの構造の詳細を格納する。
【0060】
前述の枠情報、数値情報、セル情報などである。GRAPHICデータ部705はGRAPHICブロックのアウトラインデータ情報を格納する。IMEGEデータ部ではイメージデータを画像データから切り出して保持する。
【0061】
[後処理]
次に、ステップS301でベクトル化処理されたメタ画像データファイルはステップS303で後処理が実行される。
【0062】
後処理としては、例えばコピーの場合、メタ画像データファイルの各オブジェクトに最適な色処理、空間周波数補正等の画像処理が施された後、印刷部112より印刷される。また、ファイル保存の場合、メタ画像データファイルは記憶部111に記憶保持される。またファイル送信の場合、メタ画像データファイルは記憶部111から読み出したメタ画像データをネットワークI/F114を介して外部機器103若しくは104へファイル送信する。
【0063】
また、オリジナルコピーの場合には、メタ画像データファイル中に記憶されているオリジナルデータのポインタ情報を参照し、オリジナルデータをネットワーク上に存在する外部機器や画像処理装置より取得する。その後、解析結果に基づき前述の印刷処理と同様な画像処理が施され、印刷部112より印刷される。
【0064】
ステップS303で実施される後処理のうち、オリジナルコピー動作について、オリジナルデータ取得手順からオリジナルコピー出力手順を含む処理手順を図9のフローを用いてさらに詳細に説明する。
【0065】
オリジナルコピー動作においてはまず、図9に示すようにステップS900でデータ処理部115のCPUが記憶部111又は外部機器103若しくは104に記憶されているメタ画像データを読み出す。
【0066】
次にステップS901でメタフィールドに格納されているポインタ情報の有無を確認し、ポインタ情報が有る場合にはステップS902へ進む。ポインタ情報が無い場合にはステップS907に進み、通常のコピーと同様に格納されているメタ画像データファイルのデータに基づき印刷する。この場合、画像欠け部は何ら補正することなく印刷される。
【0067】
ステップS902ではデータ処理部115のCPUでオリジナルデータの転送要求コマンドの生成処理を実行する。転送要求コマンドは、転送要求先や転送時の転送方法を示す転送モード、転送要求元すなわち本画像処理装置の情報(例えばIPアドレス)などの情報を含むデータ群である。コマンドの生成処理が終了したらステップS903に進む。
【0068】
なお、上記転送要求先とはこの場合、オリジナルデータのポインタ情報が示す外部機器の情報(例えばIPアドレス)のことである。
【0069】
ステップS903では読み出したメタ画像データが画像欠け情報を持つか否かを判断し、画像欠け情報がある場合はステップS904に進み、ない場合はステップS905に進む。
【0070】
ステップS904では、前述のオリジナルデータ転送要求コマンドに画像欠け情報を追加する。図8の例においてオブジェクト0のメタフィールドに画像欠け情報として‘1’が格納されているが、この場合は画像欠けがありと判断して、画像欠け情報を追加する。‘0’であった場合は、画像欠け情報を追加しない。
【0071】
ステップS905ではデータ処理部115のCPUはネットワークI/F部114を介してオリジナルデータの転送要求をポインタ情報が示す外部機器や画像処理装置に発行し、ステップS906に進む。
【0072】
ステップS905では、オリジナルデータの転送要求を受け取ネットワーク上の外部機器(例えば103や104)から画像処理装置100に対してオリジナルのデータ転送を行う。このとき、転送コマンドに画像欠け情報があった場合は、外部機器は、保存しているオリジナルデータに対して、補正処理を実行してから出力する。
【0073】
又は、画像処理装置が編集機能を有する場合、外部機器は、オリジナルデータを補正せずに画像処理装置100へ転送し、画像処理装置にてオリジナルデータの補正をしてもよい。
【0074】
オリジナルデータの格納元が画像処理装置の記憶部の場合、画像処理装置の記憶部から外部機器へオリジナルデータを転送し、外部機器にて補正処理を実行し、補正されたオリジナルデータを画像処理装置へ転送する。
【0075】
又は画像処理装置が編集機能を有する場合、オリジナルデータを外部機器に転送せず画像処理装置にてオリジナルデータの補正をしてもよい。
【0076】
補正方法は例えば記憶されているTABLEオブジェクトの表の枠内部にあるセル情報のフォントデータを小さく変更する。
【0077】
つまり、フォントサイズを小さくすることですることで枠内部に欠如なく文字を挿入する方法が考えられる。
【0078】
また、TABLEオブジェクトの枠情報を補正し、少し大きめの枠を形成するようにしても構わない。図8における印刷後のデータ601は枠情報を大きくするように変更した例である。
【0079】
ステップS907では、転送されてきたオリジナルデータに対し、各オブジェクトに最適な色処理、空間周波数補正等の画像処理が施された後、印刷部112より印刷される。
【0080】
以上のようなオリジナルコピー処理が実施されることにより、従来のオリジナルコピーでは困難であったオリジナルデータそのものに画像補正を実施して、ユーザに好ましい画像出力を提供することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、画像解析処理においてTABLEオブジェクトのセル情報中に文字以外のオブジェクトが存在したら、画像に欠如部分が有ると判断した。しかし、それだけではなく、セル内にあるオブジェクトのレイアウト状態から画像欠如部分の有無を判断しても構わない。
【0082】
図10に本実施形態の画像欠け判断方法の例を示す。1000は画像に欠如部分が無いTABLEオブジェクトを表し、1001は画像に欠如部分が有るTABLEオブジェクトを表す。
【0083】
TABLEオブジェクト1000、1001の枠内部にあるセル情報で1002、1004は枠情報(アウトラインデータ)、1003、1005は枠内部にあるセル情報を表す。1000では枠情報に隣接する枠内部にあるセル情報1003が文字であるのに対し、1001の枠情報に隣接する枠内部にあるセル情報1005は文字と判定されないので、アウトラインデータと認識される。この場合は1001に画像の欠如が有ると判断する。
【0084】
つまり、TABLEオブジェクト内において、枠内部にあるセル情報の枠情報に近接する位置に文字以外、文字として認識されなかった情報であるアウトラインデータが含まれているか否かによって画像の欠如部分の有無について解析を行う。
【0085】
図11は本実施形態の画像解析処理のフローである。その他の構成は第1の実施形態と同じなので詳細な説明は省略する。
【0086】
まず、図11に示すようにステップS1100で記憶部111又は外部機器103若しくは104に保存されたメタ画像データファイルから各オブジェクトデータを読み出す。
【0087】
次にステップS1101で読み出されたオブジェクトデータの属性がTABLEかどうかを判断する。TABLEだった場合はステップS1102へ、そうでなかった場合は解析処理を終了する。
【0088】
次にステップS1102でオブジェクトデータがTABLEだった場合には、データ処理部115のCPUで前述した枠内部にあるセル情報の中で、枠にもっとも隣接している情報が文字(フォント)であるかを判定する。判定結果が文字以外の情報だった場合は画像に欠如部分があると判断しステップS1103へ、そうでない場合は解析処理を終了する。
【0089】
枠に最も隣接している情報が、文字以外の情報であるアウトラインデータ又は関数近似されたデータだと判断されたオブジェクトに対しては画像欠け情報を生成する。
【0090】
つまり、枠情報とはアウトラインデータであるので、アウトラインデータが連続する際には、画像欠け情報が生成されることになる。
【0091】
生成された画像欠け情報は読み出されたメタ画像データファイルのメタデータに追記された後、記憶部111又は外部機器103若しくは104に記憶され画像解析処理を終了する。
【0092】
以上のように、TABLEオブジェクトの枠内のレイアウト情報まで考慮し、画像の欠如部分の有無を判断することにより、第1の実施形態よりもさらに高精度な画像欠如の判断が可能となる。
【0093】
(第3の実施形態)
第1、第2の実施例ではTABLEオブジェクトにおいて、枠内部のセル情報に文字以外の情報が含まれているか否かによって、画像中の欠如部分の有無を判断していた。
【0094】
この方法以外に各オブジェクトの文字数をカウントするような判断方法や各オブジェクト中の画素における白いドットの数と黒いドットの数の比を比較するような判断方法を採用しても構わない。図12を用いて、本実施例における画像解析処理について説明する。なお、その他の構成は第1の実施形態と同じなので詳細な説明は省略する。
【0095】
[画像解析処理]
まず、図12に示すようにステップS1200で記憶部111又は外部機器103若しくは104に保存されたベクトルデータファイルから各オブジェクトデータを読み出す。
【0096】
次にステップS1201で読み出された各オブジェクトデータから文字情報を持つものについてはその文字情報を構成する文字数をカウントする。文字情報を持つものは例えば、TEXTオブジェクトやTABLEオブジェクトのセル情報などである。
【0097】
又は、同様にステップS1201で読み出された各オブジェクトデータから文字情報を持つものについては、その文字情報を構成する画素における白いドットと黒いドットの数の比をカウントする。
【0098】
文字数又は白ドットと黒ドットの数の比をカウントしたオブジェクトについてはステップS1202で文字数情報を生成する。
【0099】
図13にオブジェクトデータの例を示す。1300はオブジェクトデータ全体を表し、1301はデータフィールド、1302はメタフィールドを表す。メタフィールドの構成要素の1つとして文字数情報が含まれている。
【0100】
生成された画像欠け情報は読み出されたメタ画像データファイルのメタデータに追記された後、記憶部111又は外部機器103若しくは104に記憶され画像解析処理を終了する。
【0101】
[後処理]
図14を用いて第3の実施形態における後処理(オリジナルコピー)のフローを説明する。
【0102】
オリジナルコピー動作においてはまず、図14に示すようにステップS1400でデータ処理部115が記憶部111又は外部機器103若しくは104に記憶されているメタ画像データを読み出す。
【0103】
次にステップS1401でメタフィールドに格納されている格納元を示すポインタ情報があるかないかを確認する。ポインタ情報が存在している場合にはステップS1402へ進み、ない場合にはステップS1407に進み、通常のコピーと同様に格納されているメタ画像データを印刷する。
【0104】
ステップS1402ではデータ処理部115のCPUでオリジナルデータの転送要求コマンドの生成処理を実行する。転送要求コマンドは、転送要求先、この場合はオリジナルデータのポインタ情報が示す外部機器の情報(例えばIPアドレス)、や転送時の転送方法を示す転送モード、転送元すなわち本画像処理装置の情報(例えばIPアドレス)などの情報を含むデータ群である。コマンドの生成処理が終了したらステップS1403に進む。
【0105】
ステップS1403では読み出したメタ画像データが文字数情報を持つか否かを判断し、文字数情報がある場合はステップS1404に進み、ない場合はステップS1405に進む。
【0106】
ステップS1404では、前述のオリジナルデータ転送要求コマンドに文字数情報を追加する。
【0107】
ステップS1405ではデータ処理部115のCPUはネットワークI/F部114を介してオリジナルデータの転送要求を外部機器に発行し、ステップS1406に進む。
【0108】
ステップS1406では、オリジナルデータの転送要求を受け取ったネットワーク上の外部機器(例えば103や104)から画像処理装置100に対してオリジナルのデータ転送を行う。
【0109】
その場合、転送コマンドに文字数情報があった場合は、ネットワーク上の外部機器(例えば103や104)に保存されているオリジナルデータの該当オブジェクトの文字数又は白ドットと黒ドットの数の比をカウントする。カウント数が、送られてきた文字数又は白ドットと黒ドットの数の比と一致しなければ補正処理を実行してから出力する。
【0110】
又は、画像処理装置が編集機能を有する場合、オリジナルデータを補正せずに画像処理装置100へ転送し、画像処理装置にてオリジナルデータの補正をしてもよい。
【0111】
また、オリジナルデータの格納元が画像処理装置の記憶部の場合、オリジナルデータの該当オブジェクトの文字数又は白ドットと黒ドットの数の比をカウントする。このカウント数が、文字情報と一致しなければ、一度外部機器へオリジナルデータを転送し、外部機器にて補正処理を実行して再度画像処理装置へ転送する。又は画像処理装置が編集機能を有する場合、オリジナルデータを外部機器に転送せず画像処理装置にてオリジナルデータの補正をしてもよい。
【0112】
補正方法は例えばオリジナルデータのフォントデータを小さく変更してから転送するという方法が考えられる。
【0113】
また、TABLEオブジェクトにおいては枠情報を補正し、少し大きめの枠を形成するようにしても構わない。
【0114】
ステップS907では、外部機器等のネットワーク上から転送されてきたオリジナルデータに対し、各オブジェクトに最適な色処理、空間周波数補正等の画像処理が施された後、印刷部112より印刷される。
【0115】
以上のように本実施形態では、全てのオブジェクトに対して同じように画像欠け情報の有無を判断することにより、第1、2の実施形態よりもさらにユーザに好ましい画像出力を提供することができる。
【0116】
(第4の実施形態)
第1から第3の実施形態では、オリジナルデータに対しメタデータがあればデータ補正を行うような構成をとっている。しかし、データ補正を許可するか否かを決定する情報をメタデータに追加して、その情報に基づき、オリジナルコピーの動作を制御するようにしても構わない。
【0117】
これにより、外部機器又は画像処理装置等のネットワーク上に記憶されているオリジナルデータ又は読み込んだ原稿をそのまま出力するか補正出力するかをユーザが任意に選択できるようになる。
【0118】
具体的には、図10に示した本実施形態の画像欠け判断方法においてはアウトラインデータが連続する際に補正を行う。しかし、アウトラインデータが連続するものが本来の画像である際、そのまま補正が行われると画像を損ねてしまう。これを回避するため、補正し出力するかどうか制御できる。
【0119】
また、オリジナルデータの各オブジェクトにアクセス権を設定しておき、そのアクセス権に応じてデータ補正を許可するか否かを制御するようにしても構わない。
【0120】
(第5の実施形態)
本発明は第1から第4の実施形態に限られるものではなく、前述の実施形態を複数組み合わせた構成であっても構わない。
【0121】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。また、前述のプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。
【0122】
かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD―ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。
【0123】
また前述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し前述の実施形態の動作を実行するものも前述した実施形態の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
100 デジタル複合機(MFP)
102 ネットワーク
103、104 外部機器
110 画像読み取り部
111 記憶部
112 印刷部
113 入力部
114 ネットワークI/F
115 データ処理部
116 表示部
600 表の画像
601 印刷された画像データ
700 メタ画像データ
701 ヘッダー部
702 レイアウトデータ部
703 TEXTデータ部
704 TABLEデータ部
705 GRAPHIC データ部
706 IMAGEデータ部
707〜709 オブジェクト部
800 データフィールド
801 メタフィールド
1000 TABLEオブジェクト
1001 画像欠けのあるTABLEオブジェクト
1002、1004 枠情報
1003、1005 セル内数値情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルデータを取得する手段と、
前記取得したテーブルデータの枠内部に含まれるフォントデータを、前記取得したテーブルデータのフォントサイズよりも小さく変更して、前記テーブルデータの補正を行う補正手段と、
前記補正手段によりフォントサイズを小さくすることで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
テーブルデータを取得する手段と、
前記取得したテーブルデータの枠を、前記取得したテーブルデータの枠の大きさよりも大きく形成して、前記テーブルデータの補正を行う補正手段と、
前記補正手段により枠を大きく形成することで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
テーブルデータを取得するステップと、
前記取得したテーブルデータの枠内部に含まれるフォントデータを、前記取得したテーブルデータのフォントサイズよりも小さく変更して、前記テーブルデータの補正を行う補正ステップと、
前記補正ステップによりフォントサイズを小さくすることで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
テーブルデータを取得するステップと、
前記取得したテーブルデータの枠を、前記取得したテーブルデータの枠の大きさよりも大きく形成して、前記テーブルデータの補正を行う補正ステップと、
前記補正ステップにより枠を大きく形成することで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力ステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、テーブルデータを取得するステップと、
前記取得したテーブルデータの枠内部に含まれるフォントデータを、前記取得したテーブルデータのフォントサイズよりも小さく変更して、前記テーブルデータの補正を行う補正ステップと、
前記補正ステップによりフォントサイズを小さくすることで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
テーブルデータを取得するステップと、
前記取得したテーブルデータの枠を、前記取得したテーブルデータの枠の大きさよりも大きく形成して、前記テーブルデータの補正を行う補正ステップと、
前記補正ステップにより枠を大きく形成することで、前記テーブルデータの枠内部に欠如なく文字を挿入し、欠如部分が発生しないように補正されたテーブルデータを印刷媒体に出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−9378(P2013−9378A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−162531(P2012−162531)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【分割の表示】特願2007−157608(P2007−157608)の分割
【原出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】