説明

画像処理装置

【課題】 処理内容などに応じて画像処理部が実行する処理を適宜切り換えることが可能となり、効率の良い画像処理が実現でき、低コストで多機能なフレキシビリティのある画像処理装置を提供することができる。
【解決手段】 設定されているプログラムに基づいて画像データに対して画像処理を施すDSPを具備し、CPUが画像データに対して実行すべき画像処理のプログラムを選択し、選択したプログラムを前記DSPに設定することにより、処理内容に応じて前記DSPが実行する画像処理を切り替えるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、スキャナあるいは外部装置などから入力した画像データに画像処理を施して、プリント処理を行ったり、記憶装置に保存したり、外部装置に出力したりするデジタル複合機などの画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複合機などの画像処理装置では、スキャナにより読み取った画像データあるいは外部装置から受信した画像データに対して種々の画像処理を施している。たとえば、高速かつ高精度の原稿画像の複写処理を行うには、スキャナにより読み取った画像データに対して複雑な画像処理を行う必要があり、このような複雑な画像処理には、高い処理能力が要求される。従来のデジタル複合機では、上記のような画像データに対する画像処理をASICなどの専用ハードウエアを利用して実現している。
【0003】
しかしながら、上記のような複雑な画像処理を実現するASIC等のハードウエアを開発するには、長期の期間が必要となり、アルゴリズム開発から製品適用までに長い時間かかる。このため、最新の画像処理アルゴリズムを製品としてのデジタル複合機に適用できないことがある。すなわち、複雑な画像処理を実現するASIC等のハードウエアは、膨大な設計時間と開発費がかかるため、ASIC化後にアルゴリズム変更を伴う問題が発生した場合、再度ASICを作り直す必要がある。このような場合であっても、ASICの開発時期は、デジタル複合機の製品化のかなり前に持ってこなくてはならず、現実的には、最新のアルゴリズムをデジタル複合機に搭載出来ないという問題が発生することもある。さらに、画像処理をASIC等のハードウエアで処理を実現しているため、デジタル複合機を製品化した後、市場の要望やユーザクレームに対しての対応範囲は、限られるという問題もある。
【特許文献1】特公平2003−187238号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するものであり、最新の画像処理などの種々の画像処理を低コストで容易に搭載できるフレキシビリティのある画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、画像データを入力する画像入力手段と、この画像入力手段により入力した画像データに対して設定されているプログラムに基づいて画像処理を施すデジタル信号処理手段と、このデジタル信号処理手段が前記画像入力手段により入力する画像データに対して実行すべき画像処理のプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定する制御手段と、前記デジタル信号処理手段により画像処理が施された画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成する画像形成手段とを有する。
【0006】
この発明の画像処理装置は、画像データを入力する画像入力手段と、この画像入力手段により入力した画像データに対して設定されている複数のプログラムに基づいて異なる複数の画像処理を並行して実行するデジタル信号処理手段と、このデジタル信号処理手段が前記画像入力手段により入力する画像データに対して実行すべき異なる複数の画像処理のプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定する制御手段と、前記デジタル信号処理手段により画像形成用の画像処理が施された画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成する画像形成手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、最新の画像処理などの種々の画像処理を低コストで容易に搭載できるフレキシビリティのある画像処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この実施の形態に係る画像処理装置としてのデジタル複合機(MFP)1とッ画像処理システムの構成を概略的に示すものである。
図1に示すように、画像処理システムは、画像処理装置としてのデジタル複合機1がネットワーク2を介してパーソナルコンピュータ(PC)3に接続された構成となっている。この画像処理システムでは、上記ネットワーク2を介して画像データなどのデータをデジタル複合機1とPC3との間で送受信できるようになっている。
【0009】
また、上記デジタル複合機1は、図1に示すように、スキャナ11、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)12と、CPU13、プログラムメモリ14、ハードディスクドライブ(HDD)15、画像メモリ16、プリンタ17、FAX通信部18、ネットワークインターフェース(ネットワークI/F)19、ユーザインターフェース(UI)20などから構成されている。
【0010】
上記スキャナ11は、原稿画像を画像データに変換するものであり、画像データを入力する画像入力手段として機能する。上記スキャナ11は、たとえば、原稿の画像を光学的に読み取ってデジタル信号に変換することにより原稿の画像を画像データとして読み取るようになっている。また、上記スキャナ11は、原稿の画像からの光を各画素単位のデジタル信号に変換するCCDセンサ11aを有している。上記CCDセンサ11aは、たとえば、1つあるいは複数の主走査方向における1ライン分のラインセンサにより構成される。この場合、上記スキャナ11では、原稿の画像上を順次副走査方向に光学的に走査して上記CCDセンサ11aにより主走査方向の1ライン分の画像データを順次入力する。
【0011】
上記DSP12は、デジタル信号を処理するためのLSIにより構成され、デジタル信号処理手段として機能する。上記DSP12は、種々の画像処理を実行するものである。上記DSP12が実行する種々の画像処理は、上記CPU13により設定されるプログラムにより実現される。また、上記DSP12には、内部メモリ12aが設けられている。上記内部メモリ12aには、上記CPU13により設定されるプログラムあるいは画像データなどを記憶される。
【0012】
上記CPU13は、当該デジタル複合機1全体の制御を司るものである。上記CPU13は、当該デジタル複合機1内の各部の動作制御あるいは動作設定などを行う。たとえば、上記CPU13は、上記DSP12に対して1つまたは複数のプログラムを設定し、上記DSP12が実現する画像処理などの機能を設定(切替、変更)する制御手段として昨日する。上記プログラムメモリ14は、上記CPU13が実行する種々のプログラムの他に、上記DSP12が実行する種々の画像処理のプログラムが記憶されている。上記HDD15は、画像データなどを保存するとともに、上記DSP12が実行する種々の画像処理のプログラムが記憶されている。
【0013】
このような構成により、上記CPU13は、実行する処理内容に応じて上記DSP12が実行すべき処理を判定し、その判定に基づいてDSP12が実行すべき処理に対応するプログラムを上記プログラムメモリ14あるいはHDD15から読み出してDSP12に設定する。
【0014】
上記画像メモリ16は、入力画像メモリ(入力画像データの格納領域)16a、中間処理用メモリ(処理中の画像データの格納領域)16b、処理済画像メモリ(出力画像データの格納領域)16cを有している。上記入力画像メモリ16aは、上記スキャナ11により読み取った画像データ、あるいは、上記ネットワークインターフェース19を介して入力した画像データを一時的に保存するメモリである。上記中間処理用メモリ16bは、上記DSP12による画像処理中の画像データ(中間データ)を一時的に保存するメモリである。上記処理済画像メモリ16cは、上記DSP12による画像処理が完了した画像データを保存するメモリである。たとえば、上記処理済画像メモリ16cには、上記プリンタ17に出力する画像データが保存される。
【0015】
なお、上記メモリ16a、16b、16cは、必要に応じて使用されるものである。例えば、上記スキャナ11などから入力した画像データをそのままの状態でプリンタ17によりプリントする場合(DSP12による画像処理が不要である場合)、入力した画像データを上記メモリ16cに記憶することにより、上記メモリ16cのみを用いてプリント処理が可能となる。
【0016】
上記プリンタ17は、画像データに基づいて被画像形成媒体に画像を形成するものであり、画像形成手段として機能する。たとえば、上記プリンタ17は、上記DSP12による画像処理済みの画像データに基づいて画像形成処理を行う。ここでは、上記プリンタ17は、カラー画像データに基づくカラー画像の画像形成処理を行う機能(カラープリント機能)あるいはモノクロ画像データに基づくモノクロ画像の画像形成処理を行う機能(モノクロプリント機能)を有しているものとする。また、上記プリンタ17は、上記CPU13の制御に基づいて選択的にカラープリンタあるいはモノクロプリンタとして動作するようになっている。
【0017】
上記FAX通信部18は、図示しない外部装置とのファクシミリデータの送受信を行うインターフェースであり、画像データの入力手段あるいは出力手段としても機能する。上記ネットワークインターフェース19は、上記ネットワーク2を介してネットワーク2上のPC3などの各機器とのデータ通信を行うインターフェースであり、画像データの入力手段あるいは出力手段としても機能する。
【0018】
上記ユーザインターフェース(UI)20は、たとえば、タッチパネル内蔵の液晶表示装置およびハードキーなどにより構成される操作パネルなどにより構成される。上記ユーザインターフェース20は、ユーザからの動作指示が入力されるものであり、操作手段として機能する。上記ユーザインターフェース20は、処理の開始を指示するスタートキーや種々の動作設定を行う操作キーを有している。当該デジタル複合機1では、上記ユーザインターフェース20においてユーザが種々の操作キーにより動作設定を入力してスタートキーを入力すると、ユーザが指定した動作を実行するようになっている。
【0019】
次に、上記のように構成されるデジタル複合機1においてCPU13がDSP12に対して設定するプログラムについて説明する。
上記デジタル複合機1では、上記CPU13が処理内容に応じて上記DSP12に設定するプログラムを変更するようになっている。また、上記CPU13が上記DSP12に対して設定するプログラムは、上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15に保存されている。
【0020】
すなわち、上記CPU13は、処理内容に応じてDSP12が実行すべき画像処理を判断し、判断した画像処理に対応するプログラムを上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15から読み出して上記DSP12に設定する。これにより、上記DSP12は、処理内容に応じた画像処理を行うプログラムが適宜設定される。
【0021】
たとえば、デジタル複合機1が原稿画像の複写処理を行う場合、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、γ変換、誤差拡散処理、ディザ処理などを上記DSP12が実行すべき画像処理と判断する。この判断に基づいて、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、γ変換、誤差拡散処理、ディザ処理などのプログラムを上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15から選択的に読み出し、上記DSP12に対して設定する。これにより、上記DSP12には、複写処理を行うために実行すべき画像処理のプログラム(スキャンした画像からプリント用の画像データを作成するためのプログラム)が設定される。
【0022】
また、デジタル複合機1がFAX送信処理を行う場合、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、誤差拡散処理などを上記DSP12が実行すべき画像処理と判断する。この判断に基づいて、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、誤差拡散処理などのプログラムを上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15から選択的に読み出し、上記DSP12に対して設定する。これにより、上記DSP12には、FAX送信処理を行うために実行すべき画像処理のプログラム(FAX送信データを作成するためのプログラム)が設定される。
【0023】
また、デジタル複合機1が原稿画像の読取処理を行う場合、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、誤差拡散処理などを上記DSP12が実行すべき画像処理と判断する。この判断に基づいて、上記CPU13は、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、誤差拡散処理などのプログラムを上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15から選択的に読み出し、上記DSP12に対して設定する。これにより、上記DSP12には、原稿画像の読取処理を行うために実行すべき画像処理のプログラム(スキャンデータを作成するためのプログラム)が設定される。
【0024】
上記のように、上記DSP12が実行する画像処理は、処理内容に応じて上記CPU13により設定されるようになっている。このため、上記DSP12が実行する画像処理は、処理内容などに応じて、適宜、切り換えることが可能となり、効率の良い画像処理が実現できる。また、上記DSP12が上記CPU13により設定されるプログラムに応じて種々の画像処理を行うことが可能となるため、低コストで多機能なデジタル複合機を提供できる。
【0025】
さらに、上記DSP12に対して設定する画像処理のプログラムは、書き換え可能なプログラムメモリ14やHDD15に記憶される。このため、デジタル複合機の製品化後であっても、画像処理のプログラムを書き換えたり、追加したりすることが容易であり、フレキシビリティのあるデジタル複合機を提供できる。
【0026】
次に、上記のように構成されるデジタル複合機1の動作例について説明する。ここでは、上記デジタル複合機1の動作例として複写動作の例について説明する。
図2は、モノクロ画像の複写動作の例を説明するための図である。
【0027】
まず、上記CPU13は、上記DSP12に対して実行すべき画像処理を行うためのプログラムを設定する。すなわち、上記CPU13は、たとえば、ユーザが選択した処理内容に応じて上記スキャナ11により読み取った画像データに対して実行すべき画像処理の内容を判断し、判断した画像処理のプログラムを上記プログラムメモリ14あるいはHDD15から読み出し、上記DSP12に対して設定する。
【0028】
ここでは、モノクロ画像データの複写動作を行うため、上記CPU13は、図3に示すように、下地処理31、フィルタ処理32、倍率変換処理33、濃度変換(濃度調整)処理34、γ変換(γ調整)処理35、誤差拡散処理36(またはディザ処理)などを行う各プログラムを上記プログラムメモリ14あるいはHDD15から読み出して上記DSP12に設定する。
【0029】
また、上記CPU13による上記DSP12に対するプログラムの設定は、上記DSP12が画像処理を実行する前に完了しておくようにすれば良い。たとえば、上記CPU13による上記DSP12に対するプログラムの設定は、上記ユーザインターフェース20のスタートキーが入力された時点(処理内容が確定した時点)で行うようにしても良いし、種々の操作キーに入力されるごとに行うようにしても良い。なお、上記CPU13が上記DSP12に対してプログラムの設定するタイミングについては、後で具体例を挙げて説明する。
【0030】
上記スキャナ11は、図示しない原稿台ガラス上に載置された原稿、あるいは、図示しない自動原稿給紙装置(ADF)により搬送される原稿の画像を光学的に走査し、デジタル信号に変換する。すなわち、上記スキャナ11は、原稿の画像を副走査方向に光学的に走査することにより主走査方向に設置されたCCDセンサ11aが出力する画像有効信号としての画像データを順次上記DSP12に入力する。上記スキャナ11がDSP12に出力する画像データは、たとえば、VDEN(副走査方向有効信号)およびHDEN(主走査方向有効信号)に同期したラスター形式の画像データとなっている。
【0031】
上記スキャナ11からの画像データは、上記入力画像メモリ16aに記憶される。なお、上記スキャナ11からの画像データは、上記DSP12を介さずに直接的に上記入力画像メモリ16aに記憶するようにしても良い。
【0032】
上記入力画像メモリ16aに上記スキャナからの画像データを記憶すると、上記DSP12は、上記CPU13により設定されているプログラムにより上記入力画像メモリ16aに記憶された画像データに対して画像処理を施す。
【0033】
ここでは、図2に示すように、モノクロ画像の複写動作を行うため、下地処理31、フィルタ処理32、倍率変換処理33、濃度変換(濃度調整)処理34、γ変換(γ調整)処理35、誤差拡散処理36が上記DSP12に設定されている。したがって、上記DSP12は、上記入力画像メモリ16aに記憶された画像データ(スキャナから入力した画像データ)に対して、下地処理、フィルタ処理、倍率変換処理、濃度調整処理、γ調整処理および誤差拡散処理を順次施し、その画像処理を施した画像データを上記処理済画像メモリ16cに記憶する。
【0034】
上記処理済画像メモリ16cに記憶された画像処理済みの画像データは、上記プリンタ17からの主走査同期信号(HYSNC)、および副走査同期信号(VSYNC)に同期させて、ラスター形式でプリント用データとして上記プリンタ17へ出力される。これにより、上記プリンタ17は、上記処理済み画像メモリ16cに記憶された画像データに基づく画像をコピー用紙上に印刷する。
【0035】
なお、上記スキャナ11から上記DSP12に入力される画像データに対しては、画像データの入力レート保証ができる範囲において、適宜、上記DSP12が画像処理を開始するようにしても良い。つまり、上記スキャナ11から入力した画像データを上記入力画像メモリ16aに記憶している途中で(入力画像メモリ16aへの画像データの保存完了を待たずに)、上記DSP12は、画像処理を開始するようにしても良い。これにより、デジタル複合機1全体における動作の高速化が図れる。
【0036】
また、上記DSP12は、入力画像メモリ16aを使用せずに、上記スキャナ11からの画像データに対して直接的に画像処理を行うようにしても良い。この場合、上記DSP12は、画像データ入力レート保証が可能な範囲において、上記スキャナ11から順次入力する画像データを所望の形式に加工する。このように入力した画像データに対して直接的に画像処理を施した画像データは、上記入力画像メモリ16aに保存するようにしても良いし、上記中間処理用メモリ16bに記憶するようにしても良い。たとえば、上記スキャナ11からのカラー画像に対する色変換処理などは、上記メモリ16を使用せずに、上記DSP12が直接的に画像処理を施すことが可能である。
【0037】
また、上記DSP12において実行されるフィルタ処理などの複数ラインのデータ参照が必要な画像処理では、それらのライン分のデータを高速で参照可能なメモリが必要になる。一般に、メモリへのアクセス速度については、上記DSP12の外部に接続した画像メモリ(外部メモリ)16よりも上記DSP12内の内部メモリ12aの方が高速アクセス可能である。また、メモリアドレッシングの自由度についても、上記DSP12の外部メモリとしての画像メモリ16よりも内部メモリ12aの方がよい。
【0038】
このため、上記DSP12内の画像処理では、内部メモリ12aを使用することが好ましい。しかしながら、上記DSP12内の内部メモリ12aの記憶容量(使用可能なメモリ領域のサイズ)が画像処理に必要な容量に足りない場合、上記DSP12は、外部メモリとしての画像メモリ(たとえば、中間処理用メモリ16b)16を利用して画像処理を実行するようになっている。
【0039】
次に、モノクロ画像を処理する機能とカラー画像を処理する機能とを有する画像処理装置としてのデジタル複合機1の構成例について説明する。
モノクロ画像を処理する機能(たとえば、モノクロ複写機能)とカラー画像を処理する機能(たとえば、カラー複写機能)とを有するデジタル複合機の基本的な構成は、図1と同様であるが、画像入力手段としてのスキャナ11は、モノクロ画像の読取処理(モノクロ画像データの入力処理)とカラー画像の読取処理(カラー画像の入力処理)とを選択的に行うことが可能なカラースキャナで構成され、画像出力手段としてのプリンタ17は、モノクロ画像の印刷処理(モノクロ画像の出力処理)とカラー画像の印刷処理(カラー画像の出力処理)とを選択的に行うことが可能なカラープリンタで構成される。
【0040】
モノクロ画像を処理する機能とカラー画像を処理する機能とを有するデジタル複合機1では、処理対象とする画像データがカラー画像かモノクロ画像かに応じて上記DSP12に設定するプログラムを変更する。たとえば、原稿画像をモノクロ複写する場合、上記DSP12に設定されるプログラムは、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、γ変換、誤差拡散処理(またはディザ処理)などの処理を行うものである。また、原稿画像をカラー複写する場合、上記DSP12に設定されるプログラムは、下地処理、フィルタ処理、倍率変換、濃度変換、γ変換、ディザ処理などの処理を行うものである。
【0041】
すなわち、上記CPU13は、上記DSP12に対して、モノクロ複写動作を行う場合にはモノクロ複写用の画像処理を行うプログラムを設定し、カラー複写を行う場合にはカラー複写用の画像処理を行うプログラムを設定する。言い換えると、上記CPU13が上記DSP12に設定するプログラムを変更することにより、モノクロ画像に対する画像処理、あるいは、カラー画像に対する画像処理を切り替えることができるようになっている。
【0042】
図3および図4は、モノクロ画像の読取処理とカラー画像の読取処理とを選択的に行うことができるスキャナ(カラースキャナ)11に用いられるCCDセンサ11aの構成例を示すものである。
【0043】
図3は、上記スキャナ11のCCDセンサ11aとして用いられる3ラインCCDセンサ21の外観構成を示す図であり、図4は、上記スキャナ11のCCDセンサ11aとして用いられる4ラインCCDセンサ22の外観構成を示す図である。
【0044】
まず、図3に示すような3ラインCCDセンサ21を具備したスキャナ11について説明する。
【0045】
図3に示す3ラインCCDセンサ21は、赤(レッド)の成分(R信号)を出力する赤ラインCCDセンサ21Rと、緑(グリーン)の成分(G信号)を出力する緑ラインCCDセンサ21Gと、青(ブルー)の成分(B信号)を出力する青ラインCCDセンサ21Bとの3つのラインCCDセンサからなる構成される。各ラインCCDセンサ21R、21G、21Bは、それぞれ主走査方向に1ライン分の各画素に対応する光電変換素子から構成される。
【0046】
このような3ラインCCDセンサ21を具備したスキャナ11では、各画素を各色ごとの濃度(あるいは輝度)を示す電気信号に変換することにより、原稿の画像をR信号、G信号、B信号の3つの信号からなる画像データとして読み取るようになっている。なお、各ラインCCDセンサ21R、21G、21Bの出力は、各ラインCCDセンサ間における副走査方向の距離に応じて補正(位置合わせ)されてカラー画像データとして出力されるようになっている。
【0047】
上記3ラインCCDセンサ21を具備するスキャナ11では、カラー画像の読取処理とモノクロ画像の読取処理とは選択的に実施される。すなわち、上記3ラインCCDセンサ21を具備するスキャナ11は、カラー画像を読み取る場合、各ラインCCDセンサ21R、21G、21Bから出力される信号(R信号、G信号およびB信号)をカラー画像データとして出力する。
【0048】
また、上記3ラインCCDセンサ21を具備するスキャナ11は、モノクロ画像を読み取る場合、各ラインCCDセンサ21R、21G、21Bから出力される信号(R信号、G信号およびB信号)によりモノクロ画像データを生成する必要がある。各ラインCCDセンサ21R、21G、21Bの出力信号としてのR信号、G信号およびB信号からモノクロ画像データを生成する処理は、上記スキャナ11内の図示しない処理部が行うようにしても良いが、本実施の形態では、上記DSP12が行うものとする。従って、上記CPU13がDSP12にカラー画像データをモノクロ画像データに変換するプログラムを導入することで、モノクロ複写あるいはモノクロスキャン動作の処理を実行する。
【0049】
言い換えれば、3ラインCCDセンサ21を具備したスキャナ11を搭載したデジタル複合機1において上記スキャナ11が読み取った画像データをカラー画像として処理する場合(カラー画像処理モードの場合)、上記CPU13は、上記DSP12にR、G、Bの各色信号からなるカラー画像データに対する画像処理を行うためのプログラムを設定する。これにより、カラー画像処理モードの場合には、上記CPU13が上記DSP12をカラー複写あるいはカラースキャンなどのカラー画像処理を行うものに切り替えることができる。
【0050】
これに対して、上記スキャナ11が読み取った画像データをモノクロ画像として処理する場合(モノクロ画像処理モードの場合)、上記CPU13は、上記DSP12にR信号、G信号およびB信号の各色信号からなるカラー画像データをモノクロ画像データに変換するプログラムを設定するとともに、モノクロ画像データに対する画像処理を行うためのプログラムを設定する。これにより、モノクロ画像処理モードの場合には、上記CPU13が上記DSP12をモノクロ複写あるいはモノクロスキャンなどのモノクロの画像処理を行うものに切り替えることができる。
【0051】
次に、図4に示すような4ラインCCDセンサ22を具備したスキャナ11について説明する。
【0052】
図4に示す4ラインCCDセンサ22は、赤(レッド)の成分(R信号)を出力する赤ラインCCDセンサ22Rと、緑(グリーン)の成分(G信号)を出力する緑ラインCCDセンサ22Gと、青(ブルー)の成分(B信号)を出力する青ラインCCDセンサ22Bと、モノクロの信号を出力するモノクロラインCCDセンサ22BWの3つのラインCCDセンサからなる構成される。各ラインCCDセンサ22R、22G、22B、22BWは、それぞれ主走査方向に1ライン分の各画素に対応する光電変換素子から構成される。このような4ラインCCDセンサ22を具備したスキャナ11では、選択的に原稿の画像をカラー画像あるいはモノクロ画像として読み取るようになっている。
【0053】
たとえば、原稿画像をカラー画像で読み取る場合(カラー読取モードの場合)、スキャナ11は、原稿画像を各ラインCCDセンサ22R、22G、22Bにより各画素を各色ごとの濃度(あるいは輝度)を示す電気信号(R信号、G信号、B信号)に変換することにより、原稿の画像をカラー画像データとして読み取る。なお、各ラインCCDセンサ22R、22G、22Bの出力は、各ラインCCDセンサ間の副走査方向における距離に応じて補正(位置合わせ)されてカラー画像データとして出力される。
【0054】
また、原稿画像をモノクロ画像で読み取る場合(モノクロ読取モードの場合)、スキャナ11は、原稿画像を各ラインCCDセンサ22BWにより各画素をモノクロの濃度(あるいは輝度)を示す電気信号(RW信号)に変換することにより、原稿の画像をモノクロ画像データとして読み取る。
【0055】
上記のように、4ラインCCDセンサ22を具備するスキャナ11は、原稿画像をカラーで読み取る場合には各ラインCCDセンサ22R、22G、22Bから出力される信号(R信号、G信号およびB信号)をカラー画像データとして出力し、原稿画像をモノクロで読み取る場合にはラインCCDセンサ22BWから出力される信号(BW信号)をモノクロ画像データとして出力する。
【0056】
したがって、4ラインCCDセンサ22を具備したスキャナ11を搭載したデジタル複合機1において上記スキャナ11が読み取ったカラー画像を処理する場合(カラー画像処理モードの場合)、上記CPU13は、上記DSP12にR信号、G信号およびB信号の各色信号からなるカラー画像データに対する画像処理を行うためのプログラムを設定する。これにより、カラー画像処理モードの場合には、上記CPU13が上記DSP12をカラー複写あるいはカラースキャンなどのカラー画像処理を行うものに切り替えることができる。
【0057】
これに対して、上記スキャナ11が読み取ったモノクロ画像を処理する場合(モノクロ画像処理モードの場合)、上記CPU13は、上記DSP12にBW信号からなるモノクロ画像データに対する画像処理を行うためのプログラムを設定する。これにより、モノクロ画像処理モードの場合には、上記CPU13が上記DSP12をモノクロ複写あるいはモノクロスキャンなどのモノクロの画像処理を行うものに切り替えることができる。
【0058】
次に、上記DSP12が複数の異なる画像処理を並行して行う場合について説明する。
上記のようにDSP12は、上記CPU13により設定されるプログラムに応じて種々の画像処理を実行することができる。また、上記DSP12は、異なる複数の画像処理を並行して行うことも可能である。すなわち、上記CPU13が異なる複数の画像処理を行う複数のプログラムを上記DSP12に設定することにより、上記DSP12は、入力画像データに対して異なる複数の画像処理を並行して行うことができる。
【0059】
次に、上記DSP12が異なる複数の画像処理を並行して行う場合の具体例について説明する。
図5は、上記DSP12が、第1の画像処理としてモノクロ複写用の画像データを生成する処理(モノクロ印刷データの生成処理)と、第2の画像処理としてFAX送信用のデータを生成する処理(FAX送信データの生成処理)とを並行して行う場合の動作を説明するための図である。
【0060】
上記モノクロ印刷データの生成処理と上記FAX送信データの生成処理と並行して行う場合、上記CPU13は、モノクロ印刷データの生成処理を行うためのプログラム郡40と、FAX送信データの生成処理を行うためのプログラム郡50とを上記DSP12に設定する。
【0061】
すなわち、モノクロ印刷データの生成処理としては、図5に示すように、下地処理41、フィルタ処理42、倍率変換処理43、濃度変換(濃度調整)処理44、γ変換(γ調整)処理45、誤差拡散処理46などのプログラムが上記DSP12に設定される。また、FAX送信データの生成処理としては、下地処理41、フィルタ処理42、倍率変換処理53、濃度変換(濃度調整)処理54、γ変換(γ調整)処理55、G3変換処理56などのプログラムが上記DSP12に設定される。
【0062】
これらのプログラムが上記DSP12に設定された状態におけるデジタル複合機の動作について説明する。
まず、上記スキャナ11により読み取った原稿画像の画像データは、上記DSP12を介して上記入力画像メモリ16aに記憶される。上記入力画像メモリ16aに画像データが記憶されると、上記DSP12は、上記入力画像メモリ16aに記憶された画像データに対して第1の画像処理としてのモノクロ印刷データの生成処理40と第2の画像処理としてのFAX送信データの生成処理50とを並行して実施する。
【0063】
この場合、上記DSP12は、第1の画像処理として、上記入力画像メモリ16aに記憶された入力画像データに対して、下地処理41、フィルタ処理42、倍率変換処理43、濃度変換(濃度調整)処理44、γ変換(γ調整)処理45、誤差拡散処理46を順次実行し、その処理結果としてのモノクロ印刷データを上記処理済画像メモリ16cに記憶する。これにより、上記プリンタ17は、上記処理済画像メモリ16cに記憶された画像データ(モノクロ印刷データ)に基づく画像をコピー用紙に印刷する処理を行うことが可能となる。
【0064】
また、上記DSP12は、第2の画像処理として、上記入力画像メモリ16aに記憶された入力画像データに対して、下地処理41、フィルタ処理42、倍率変換処理53、濃度変換(濃度調整)処理54、γ変換(γ調整)処理55、G3変換処理56を順次実行し、その処理結果としてのFAX送信データを上記HDD15に記憶する。これにより、上記FAX通信部18は、上記HDD15に記憶された処理済みの画像データ(FAX送信データ)をファクシミリ通信より外部へ送信することが可能となる。
【0065】
また、図5に示す例では、モノクロ印刷データの生成処理(第1の画像処理)とFAX送信データの生成処理(第2の画像処理)とにおいて、下地処理41およびフィルタ処理42が共通となっている。このように、異なる複数の画像処理の過程において、同様な処理については、上記DSP12に共通のプログラムを設定するだけで実現することが可能である。すなわち、上記のようなプログラムを設定することにより、モノクロ印刷データの生成処理(第1の画像処理)とFAX送信データの生成処理(第2の画像処理)との共通の処理を同時に行うことができ、上記DSP12の処理リソースの効率的な使用、全体の処理時間の短縮などのパフォーマンスの向上を図ることができる。
【0066】
言い換えれば、上記DSP12が異なる複数の画像処理を行なう場合、それらの画像処理において同様の処理内容及び設定パラメータで実施する処理部分については、共通のプログラムとしてDSP12に設定する。これは、上記CPU13が上記DSP12が実行する異なる複数の画像処理において同様の処理内容及び設定パラメータで実行するプログラムを判断し、その判断に基づいて同様の処理内容及び設定パラメータのプログラムを異なる複数の画像処理に対して共通のプログラムとして設定することにより実現できる。
【0067】
なお、上記の動作例では、第1の画像処理としてモノクロ印刷データの生成処理、第2の画像処理としてFAX送信データの生成処理を例として説明したが、第1の画像処理および第2の画像処理をこれら以外の組み合わせで設定することも可能である。
【0068】
たとえば、カラー複写動作とスキャン動作を並行して実行する場合、上記DSP12には、第1の画像処理としてカラー印刷データの生成処理、第2の画像処理としてスキャン保存用データの生成処理を並行した実行するためのプログラムを設定することも可能である。
【0069】
また、入力画像としてのカラー画像データに対してカラー画像処理とモノクロ画像処理とを並行して実行する場合、上記DSP12には、第1の画像処理としてカラー画像データに対する処理と、第2の画像処理としてカラー画像データをモノクロ画像データに変換する処理およびモノクロ画像に対する処理とを並行して実行するためのプログラムを設定することも可能である。
【0070】
上記のように、DSP12に設定する画像処理のプログラムを、モノクロ複写用の画像処理とFAX送信用の画像処理、FAX送信用の画像処理とスキャン用の画像処理、カラー複写用の画像処理とカラースキャン用の画像処理、ACSによる内部処理切替などのさまざまな処理の組み合わせとすることにより、スキャナからの画像データに対して複数の処理を並行して実行可能である。
【0071】
次に、上記DSP12に対するプログラムの設定動作について説明する。
上述したように、上記DSP12には、上記DSP12が入力画像データに対して画像処理を実行する前に設定される必要がある。具体的には、ユーザインターフェース20の各種のボタンが指示入力される毎に、上記CPU13が指定された処理内容に応じた画像処理のプログラムを適宜選択して上記DSP12に設定するようにしても良いし、ユーザインターフェース20のスタートキーが指定入力された際、つまり、処理内容が確定した際に、上記CPU13が確定した処理内容に応じた画像処理のプログラムを上記DSP12に設定するようにしても良い。
【0072】
たとえば、ユーザインターフェース20の各種ボタンへの指示入力に応じてDSP12にプログラムを設定する場合、上記DSP12へのプログラムの設定は、迅速に行われるメリットがあるが、処理が開始される前に処理内容が変更されると、設定したプログラムを変更する必要が生じるという可能性がある。これに対して、処理の開始を指定するスタートキーが指定入力された際には実行すべき処理内容が確定しているため、上記DSP12へのプログラムの設定は、確実に行うことができる。
【0073】
ここでは、上記ユーザインターフェース20のスタートキーが指定された際に、上記CPU13が処理内容に応じた画像処理のプログラムを上記DSP12に設定する場合の動作例について説明する。
図6は、ユーザインターフェース20の構成例を示す図である。図6では、タッチパネル内蔵の表示装置に各種のボタンが表示されるユーザインターフェース20の例を示している。
【0074】
図6に示す例では、機能切替ボタンとして、モノクロコピー61a、カラーコピー61b、FAX61c、スキャン61d、プリンタ61eなどのボタンがタッチパネルにより選択可能な状態で表示されている。モノクロコピー61aは、モノクロ画像による原稿画像のコピー機能を指示するボタンである。カラーコピー61bは、カラー画像による原稿画像のコピー機能を指示するボタンである。FAX61cは、上記FAX通信部18による原稿画像のFAX送信機能を指示するボタンである。スキャン61dは、原稿画像をスキャナ11により読み取って画像データとしてデジタル複合機1内の記憶手段としてのHDD15などに保存する機能あるいはPC3などの外部装置へ転送する機能を指示するボタンである。プリンタ61eは、ネットワーク2を介してPC3などの外部機器から受信した画像データによりプリントするネットワークプリント機能を指示するボタンである。
【0075】
また、図6に示す例では、複写倍率設定キー62a、ソート機能設定キー62b,印刷モード設定キー62c、原稿画像の種類選択キー62d、濃度選択キー63などの種々の機能を選択する選択ボタンがタッチパネルにより選択可能な状態で表示されている。複写倍率設定キー62aは、原稿画像あるいは入力画像に対する倍率を指示するボタンである。ソート機能設定キー62bは、画像データの印刷順や画像データの印刷結果としての用紙を処理する機能を指示するボタンである。印刷モード設定キー27cは、1枚の用紙に印刷する画像数などを指定するボタンである。原稿画像の種類選択キー62dは原稿画像の種類(文字画像あるいは写真画像など)を選択するボタンである。濃度選択キー63は、画像データを用紙に印刷する際の濃度を指定するボタンである。
【0076】
さらに、図6に示す例では、テンキー66、リセットキー67、ストップキー68、スタートキー69などのボタンがタッチパネルにより選択可能な状態で表示されている。テンキー66は、コピー枚数などの数字を入力するボタンである。リセットキー67は、種々のボタンで指定した処理内容をリセットすることを指示するボタンである。上記ストップキー68は、実行中のコピー動作などの処理を中止させることを指示するボタンである。上記スタートキー69は、処理の開始を指示するボタンであり、コピー動作、FAX動作、スキャン動作、あるいはプリント動作などの開始を指示するボタンである。また、上記スタートキー69は処理の開始を指示するものであるため、上記スタートキー69への指示入力により処理内容が確定するようになっている。
【0077】
次に、上記のようなユーザインターフェース20への指示入力に応じた上記DSP12へのプログラム設定の動作について説明する。
図7は、上記DSP12へのプログラム設定の動作を説明するためのフローチャートである。
まず、上記デジタル複合機1は、待機状態において、図6に示すようなユーザインターフェース20により処理内容などの指示入力を受け付ける(ステップS11)。この状態において、ユーザは、ユーザインターフェース20の各種のボタンにより処理内容を設定(指示入力)する。さらに、ユーザは、ユーザインターフェース20の各種のボタンによって処理内容の設定が完了すると、処理内容の確定と処理の開示を指示するスタートキー69を指示入力する。
【0078】
上記ユーザインターフェース20のスタートキー69が指示入力されると(ステップS12)、上記CPU13は、ユーザインターフェース20により設定した処理内容が確定されたと判断する。ユーザが指定した設定内容(処理内容)が確定されたと判断すると、上記CPU13は、その処理内容に応じて上記DSP12が実行すべき画像処理を判断する。この判断により上記DSP12が実行すべき画像処理を判断すると、上記CPU13は、それらの画像処理に対応するプログラムを選択し、選択したプログラムを上記プログラムメモリ14あるいは上記HDD15から読み出して上記DSP12に対して設定する(ステップS13)これにより、上記DSP12には、処理内容に応じた画像処理のプログラムの初期設定が完了する。
【0079】
上記DSP12の初期設定が完了すると、上記CPU13は、画像データの入力処理として、上記スキャナ11による原稿画像のスキャニングを開始する(ステップS14)。上記スキャナ11により読み取った原稿画像の画像データ(入力画像データ)は、たとえば、上記入力画像メモリ16aに一旦記憶され、画像データの入力処理が完了する。なお、上記DSP12は、画像データの入力処理の完了を待たずに、入力画像データに対する処理を開始するようにしても良いし、上記入力画像メモリ16aを介さずに入力画像データに対する処理を行うようにしても良い。
【0080】
画像データの入力処理が完了すると、上記DSP12は、上記CPU13に設定されているプログラムにより入力画像データに対する画像処理を行う(ステップS15)。このようなDSP12による入力画像データに対する画像処理の実行中に、ユーザインターフェース20により次処理の設定がなされなければ(ステップS16、NO)、上記CPU13は、上記DSP12による入力画像データへの画像処理を終了する(ステップS17)。
【0081】
また、上記DSP12により処理した画像データによる印刷処理、FAX送信処理、あるいはネットワーク経由での外部装置への転送処理が処理内容として設定されている場合、上記CPU13は、上記DSP12による処理済みの画像データにより設定されている処理を実行する。たとえば、上記DSP12による処理済みの画像データに基づいて印刷処理を行う場合、上記処理済画像メモリ16cに記憶された画像処理済みの画像データ(印刷用の画像データ)をプリンタ17からの同期信号に応じてプリンタ17に出力する。これにより、プリンタ17は、上記DSP12により処理された画像データとしての印刷用の画像データに基づいて印刷処理を行う。
【0082】
このように、上記ユーザインターフェース20による次の処理の設定がなく処理が完了すると、上記CPU13は、上記ステップS11に戻り、当該デジタル複合機1を待機状態として、次の処理の受け付け待ち状態とする。
【0083】
また、上記のようなDSP12による入力画像データに対する画像処理の実行中に、ユーザインターフェース20により次処理の設定がなされた場合(ステップS16、YES)、上記CPU13は、その設定内容を次の処理の処理内容として図示しないRAMなどのメモリに一時的に保存する(ステップS18)。この場合、上記DSP12による入力画像データに対する画像処理が完了すると(ステップS19)、上記CPU13は、上記ステップS13へ戻り、上記メモリに保存した次の処理の処理内容に基づいて上記DSP12に対する新たなプログラムの設定(プログラムの切り替え)を行う。
【0084】
なお、上記DSP12へのプログラム設定の動作例では、ユーザインターフェース20のスタートキー69が指示入力された際、ユーザからの処理内容の設定に応じて、上記DSP12へのプログラム設定などを実行するものとしたが、FAXデータの受信処理、プリントデータの受信処理などでは、ユーザインターフェース20への指示入力がない。このためFAXデータの受信処理あるいはプリントデータの受信処理では、FAXデータを受信した際あるいはプリントデータを受信した際に、上記DSP12へのプログラム設定を行うようにすれば、上記した設定動作と同様な設定動作が実現できる。
【0085】
上記のようにDSP12に対するプログラム設定は、ユーザインターフェースへの処理内容の指示入力された場合、あるいは、印刷用のデータを外部から受信した場合などに、上記CPU13が処理内容に応じたプログラムを選択してDSP12に対して設定されるようになっている。
【0086】
なお、プログラム設定(プログラムの変更)は、現行の処理が終了したあと、または、次の処理を開始しても差し支えない程度に現行の処理が進んでいる場合に限る。その他の状態、つまり次処理への移行が出来ない場合は、移行できるまでプログラムの変更を行わないものとする。
【0087】
また、上述したように、DSP12では、異なる複数の処理(たとえば、スキャン、プリント、FAX送信等)が並行した実行される場合もありうる。このような場合、書き換えたい内部処理プログラムおよびパラメータが、DSP12内の処理で使用されていない場合には、その未使用部分を書き換える事で独立動作時の書き換えを実現することが可能である。
【0088】
次に、上記DSP12によるメモリアクセス方法について説明する。
【0089】
上記のようにDSP12は、内部メモリ12aあるいは外部メモリとしての画像メモリ16を使用して種々の画像処理を行うようになっている。上記DSP12では、処理の高速性などの理由により内部メモリ12aを使用して種々の画像処理を行うのが好ましいが、内部メモリ12aにデータ容量が画像処理を行うのに不足している場合には外部メモリ16を使用して画像処理を行う必要がある。以下の説明では、外部メモリ16を使用する場合のメモリアクセス方法について説明する。
【0090】
図8は、スキャナ11からのラスター形式の入力画像データをメモリに書き込んだ場合のアドレッシングを2次元配列で示すものである。図8において、メモリアドレスをX,Y座標系で表現している。また、図8では、ラスター形式の画像データを入力順に従って矢印の順で書き込むようになっている。すなわち、図8では、主走査方向の1ライン分の画像データを順次X座標に書き込み、次の列の画像データ(次の主走査方向の1ライン分の画像データ)は、Y座標アドレスを増やし、X座標の初期位置から書き込んでいる。
【0091】
一般に、フィルタ処理などのNxNサイズの画像範囲を参照して処理を行う場合、一般にデジタル複合機に画像処理部として用いられるハードウエア(たとえば、ASIC)では、内部に主走査Nライン分のラインメモリ(RAMなどからなる内部メモリ)を内蔵することで対応させている。この場合、主走査サイズ7000の画像データに対して7x7サイズのフィルタ処理を行う場合、モノクロ画像データであれば48kByte、カラー画像データであれば143kByteの内部メモリのデータ容量が必要となる。
【0092】
これに対して、一般的なDSPの内部に用意されている内部メモリは、データ容量が少ない。上記のようにDSP12が実行するプログラムは、処理の高速性など理由により内部メモリを使用することが好ましいが、フィルタ処理などの特定の画像範囲の画像データを参照して行う処理では、内部メモリ12aではデータ容量が不足するために、外部メモリ16を使用する必要がある。
【0093】
図9および図10は、上記DSP12による外部メモリ16へのアクセス方法を示すものである。ここでは、上記DSP12による外部メモリへのアクセス方法の設定は、上記CPU13により設定されるものとする。
図9は、上記DSP12が8x8単位のブロックで画像データを参照する必要がある場合の外部メモリ16におけるメモリ配列変換の例を示す。図9に示すように、各領域71、72、73、74の各画像データを参照する必要がある場合を想定する。たとえば、各領域71、72、73、74の順番で各領域の画像データを外部メモリ16から読み出してDSP12が画像処理を行う場合、上記CPU13は、上記DSP12に対して外部メモリ16へのアクセス用コントローラの設定を行う必要がある。
【0094】
図9に示す領域71、領域72、領域73の画像データを読み出すためには、上記CPU13は、上記DSP12に対して外部メモリ16へのアクセス用コントローラの設定を一度だけでよい。しかしながら、図9に示す領域4のデータを読み出すためには、上記CPU13は、上記DSP12に対して外部メモリ16へのアクセス用コントローラの設定を再度行う必要がある。このような場合、CPU13からの上記DSP12に対する外部メモリ16へのアクセス用コントローラの再設定に要する処理時間によって、上記DSP12における画像処理のパフォーマンスが低下する可能性がある。
【0095】
図10は、外部メモリ16における、図9に示す各領域71、72、73、74と同様な各領域71、72、73、74を読み出すための図9に示すメモリアクセス方法とは異なるメモリアクセス方法である。
【0096】
図10に示すようなメモリアクセス方法では、領域71、領域72、領域73のデータアクセス後に、領域74にアクセスするためのアドレスの再設定が不要となる。つまり、図10に示すようなメモリアクセス方法によって、上記CPU13によるDSP12へのメモリアクセス用コントローラの再設定が省け、その再設定に要する時間が省ける。したがって、図10に示すメモリアクセス方法では、図9に示すメモリアクセス方法よりも上記DSP12における画像処理のパフォーマンスの向上が図れる。
【0097】
しかしながら、上記DSP12の内部処理では、各領域の画像データを構成する各画素(各画素の画像信号)を図9に示すような順番で参照することが必要な場合もある。このような場合、上記DSP12は、図10に示すようなメモリアクセス方法によって外部メモリ16から読み出した画像データの並べ替えを内部で行わなければならない。このようなDSP12内部での処理には、内部メモリ12aが使用される。
【0098】
たとえば、8x8サイズの64byteであればDSP12の内部メモリ12aを割り当てても問題とならないとすると、少なくとも8x8サイズ(64byte)以下の画像データに対しては、図10に示すメモリアクセス方法を選択した方が良いことになる。一般に、内部メモリ12aのアクセス設定に関しては、DSP12に設定するプログラムとして記述することにより設定する方式が取られている。このため、CPU13がメモリアクセス用コントローラへの再設定を行う場合であっても、その設定は、DSP12の内部処理と同程度の処理時間で済む。したがって、図10に示すメモリアクセス方法によって外部メモリ16から読み出した画像データについては、内部メモリ12aに対して、図11に示すような順序でデータの書き込みを行い、図12に示すような順序でデータの読み出しを行うことにより、図9に示すメモリアクセス方法と同様のデータアクセスが可能となる。
【0099】
次に、上記DSP12に設定するプログラムのセキュリティについて説明する。
上記のような機能を実現するDSP12は、画像処理装置全体のコストを抑えるためにも、容易に入手可能なDSPを用いる場合が想定される。このような状態では、上記DSP12に設定されるプログラムが容易に解析される可能性がある。特に、デジタル複合機などの画像処理装置では、画像処理を実現するためのプログラムを長い開発期間やコストをかけて開発しているため、それらのプログラムの内容を公開したくないことが多い。このような場合、DSP12に対して設定するプログラムを容易に読み出すことが可能な状態にしたり、画像処理を行うためのプログラムをDSP12内に残した状態にしたりすることは、好ましくない。
【0100】
このため、本実施の形態のデジタル複合機では、上記DSP12に対して設定するプログラムを暗号化してプログラムメモリ14あるいはHDD15保持するものとする。また、プログラムを暗号化することにより、上記ネットワーク2を経由してPC3などの外部装置から上記DSP12に対して設定するプログラムを転送するようにしても良い。このような構成では、暗号化されたプログラムをDSP12内で復号化し、かつ、DSP12での処理が完了した後に、復号化さいたプログラムを消去することが好ましい。
【0101】
次に、暗号化されたプログラムをDSP12に設定する動作例について説明する。
まず、上記DSP12に設定するプログラムは、暗号化された状態で上記プログラムメモリ14あるいはHDD15に記憶されているものとする。この状態において上記DSP12にプログラムを設定する場合、上記CPU13は、まず、暗号化されたプログラムを復号化するための復号化用のプログラムを上記DSP12に対して設定する。この復号化用のプログラム自体は、たとえば、上記CPU13のみが、復号化可能な状態で暗号化してプログラムメモリ14などに保存しておくようにすれば良い。
【0102】
上記復号化用のプログラムを上記DSP12に設定すると、上記CPU13は、さらに、上記DSP12が実行すべき画像処理の暗号化されたプログラムを上記プログラムメモリ14あるいはHDD15から読み出して上記DSP12に供給する。すると、上記DSP12では、設定されている復号化用のプログラムによって上記CPU13から供給された暗号化されたプログラムを復号化する。上記CPU13から供給された暗号化されたプログラムを復号化すると、上記DSP12は、復号化したプログラムを上記DSP12自身が設定する。このような手順によりDSP12には、暗号化されたプログラムを設定することができる。
【0103】
さらに、復号化用のプログラムおよび復号化して設定したプログラムは、それらのプログラムによる画像処理を終了した後に、DSP12内から消去するようになっている。また、DSP12内の復号化用のプログラムおよび復号化したプログラムは、新規のプログラム(次の処理に用いるプログラム)などで上書きすることにより消去するようにしても良い。これにより、DSP12内には、復号化用のプログラムおよび復号化したプログラムを残さないすることができる。
【0104】
このように、DSP12に設定するプログラムを暗号化しておき、DSP自身が暗号化されているプログラムを復号化して設定し、さらには、プログラムの使用後にそれらのプログラムをDSP自身が消去することにより、DSPに適用するプログラムが解析されたり、盗用されたりすることを防ぐことが可能となる。
【0105】
以上説明した実施の形態によれば、デジタル複合機などの画像処理装置内部の画像処理、または、データ変換処理を行う画像処理部として、高速処理性能を持ち、CPUなどの制御手段によってプログラムが設定されるDSPを適用する事により、最新の画像処理を容易に搭載可能な、低コスト(少ないH/W構成)で、フレキシビリティのある画像処理装置を提供する事が可能となる。
【0106】
さらに、DSPでは、種々の画像処理をCPUから適宜設定されるプログラム(ソフトウエア)で実現しているため、デジタル複合機などの画像処理装置を製品化後に、市場要望やユーザクレームに応じて製品出荷後でも容易に画像処理のプログラムのバージョンアップなどの対応が可能となる。
【0107】
なお、上記DSP12が処理対象とする画像データを入力する手段としては、スキャナ11に限らず、画像データを転送できるインターフェースを用いるようにしても同様な動作が実現できる。
【0108】
たとえば、上記ネットワークインターフェースあるいはFAX通信部の他、PCIバス、PCI_EXPRES等の高速データ転送バスのインターフェースを画像入力手段として用いることも可能である。さらに、このような画像入力手段により入力した画像データがラスター形式のデータである場合、上記DSP12では、上述したような外部メモリ16を利用した画像処理(ラスターデータをブロックデータに変換する処理)が可能である。
【0109】
また、DSP12により処理された画像データを出力する手段としては、PCIバス、PCI_EXPRES等の高速データ転送バスまたは画像出力用VIDEOバスのインターフェースを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】この実施の形態に係る画像処理装置としてのデジタル複合機1と画像処理システムの構成を概略的に示す図。
【図2】モノクロ画像の複写動作の例を説明するための図。
【図3】スキャナのCCDセンサとして用いられる3ラインCCDセンサの外観構成を示す図。
【図4】スキャナのCCDセンサとして用いられる4ラインCCDセンサの外観構成を示す図。
【図5】DSPによって並行して実行される異なる複数の画像処理の例を説明するための図。
【図6】ユーザインターフェースの構成例を示す図。
【図7】DSPへのプログラム設定の動作を説明するためのフローチャート。
【図8】スキャナからのラスター形式の画像データをメモリに書き込んだ場合のアドレッシングを2次元配列で示す図。
【図9】DSPによる外部メモリへのアクセス方法の例を示すものである。
【図10】DSPによる外部メモリへのアクセス方法の例を示すものである。
【図11】DSPが外部メモリから読み出した画像データの内部メモリへの書き込み順序を示す図。
【図12】DSPの内部メモリに記憶した画像データの読み出し順序を示す図。
【符号の説明】
【0111】
1…デジタル複合機(画像処理装置)、11…スキャナ、11a…CCDセンサ、12…デジタル信号プロセッサ(DSP)、12a…内部メモリ、13…CPU、14…プログラムメモリ、15…ハードディスクドライブ(HDD)、16…画像メモリ(外部メモリ)、16a…入力画像メモリ、16b…中間処理用メモリ、16c…処理済画像メモリ、17…プリンタ、18…FAX通信部、19…ネットワークインターフェース、20…ユーザインターフェース、21…3ラインCCDセンサ、22…4ラインCCDセンサ、31…下地処理、32…フィルタ処理、33…倍率変換処理、34…濃度変換処理、35…γ変換処理、36…誤差拡散処理、40…第1の画像処理、50…第2の画像処理、69…スタートキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する画像入力手段と、
この画像入力手段により入力した画像データに対して設定されているプログラムに基づいて画像処理を施すデジタル信号処理手段と、
このデジタル信号処理手段が前記画像入力手段により入力する画像データに対して実行すべき画像処理のプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定する制御手段と、
前記デジタル信号処理手段により画像処理が施された画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記デジタル信号処理手段は、プログラマブルな処理チップで構成される、ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
さらに、前記デジタル信号処理手段に設定可能な種々の画像処理のプログラムを記憶する記憶手段を有し、
前記制御手段は、処理内容に応じて前記記憶手段に記憶されたプログラムのうち前記デジタル信号処理に設定するプログラムを選択し、選択したプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定する、ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像入力手段は、原稿の画像を画像データに変換する画像読取手段である、ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像入力手段は、複数の色信号をカラー画像データとして入力することが可能な光電変換手段を有する画像読取手段であり、
前記制御手段は、前記画像読取手段により読み取ったカラー画像データをモノクロ画像として処理する場合、上記デジタル信号処理手段に少なくともカラー画像データをモノクロ画像データに変換するプログラムを設定する、ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像入力手段は、複数の色信号からなるカラー画像データとモノクロの信号からなるモノクロ画像データとを選択的に入力することが可能な光電変換手段を有する画像読取手段であり、
前記制御手段は、処理内容に応じて上記画像読取手段により入力する画像データとしてカラー画像あるいはモノクロ画像のいずれかを選択し、前記デジタル信号処理手段には選択した画像データに応じたプログラムを設定する、ことを特徴とする前記請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
画像データを入力する画像入力手段と、
この画像入力手段により入力した画像データに対して設定されている複数のプログラムに基づいて異なる複数の画像処理を並行して実行するデジタル信号処理手段と、
このデジタル信号処理手段が前記画像入力手段により入力する画像データに対して実行すべき異なる複数の画像処理のプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定する制御手段と、
前記デジタル信号処理手段により画像形成用の画像処理が施された画像データに基づく画像を被画像形成媒体に形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
さらに、前記デジタル信号処理手段により画像送信用の画像処理が施された画像データを外部へ出力する画像出力手段を有し、
前記制御手段は、前記画像形成手段による画像形成用の画像データを生成する第1の画像処理のプログラムと、前記画像出力手段により外部へ出力するための画像データを生成する第2の画像処理のプログラムとを前記デジタル信号処理手段に対して設定し、
前記デジタル信号処理手段は、前記制御手段により設定されたプログラムに基づいて前記画像入力手段により入力した画像データに対して第1の画像処理と第2の画像処理とを並行して実行する、
ことを特徴とする前記請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
さらに、処理内容が指示入力されるユーザインターフェースを有し、
前記制御手段は、前記ユーザインターフェースにより指示入力された処理内容に応じて前記デジタル信号処理手段に設定するプログラムを選択し、選択したプログラムをデジタル信号処理手段に設定する、
ことを特徴とする前記請求項1または7に記載の画像処理装置。
【請求項10】
さらに、処理内容が指示入力されるユーザインターフェースと、前記ユーザインターフェースにより指示入力された内容の処理の開始が指示されるスタートボタンと、を有し
前記制御手段は、前記スタートボタンにより処理の開始が指示入力された際に、前記ユーザインターフェースにより指示入力された処理内容に応じて前記デジタル信号処理手段に設定するプログラムを選択し、選択したプログラムをデジタル信号処理手段に設定する、
ことを特徴とする前記請求項1または7に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記画像入力手段は、外部装置から画像データとその画像データに対する処理内容を示す制御データとを受信する受信手段であり、
前記制御手段は、前記受信手段により外部装置から受信した制御データに基づく処理内容に応じて前記デジタル信号処理手段に設定するプログラムを選択し、選択したプログラムをデジタル信号処理手段に設定する、
ことを特徴とする前記請求項1または7に記載の画像処理装置。
【請求項12】
さらに、前記デジタル信号処理手段からのアクセスが可能な記憶手段を有し、
前記デジタル信号処理手段は、ブロック単位で画像処理を行う場合、前記画像入力手段により入力したラスター形式の画像データを前記記憶手段を用いてブロックデータに変換する、ことを特徴とする前記請求項1または7に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、暗号化されたプログラムを復号化する復号化用のプログラムを前記デジタル信号処理手段に設定するとともに、暗号化されたプログラムを前記デジタル信号手段に供給し、
前記デジタル信号処理手段は、前記制御手段により設定された復号化用のプログラムを用いて前記制御手段から供給される暗号化されたプログラムを復号化して設定する、
ことを特徴とする前記請求項1または7に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記デジタル信号処理手段は、暗号化されたプログラムを復号化した後、復号化用のプログラムを消去する、ことを特徴とする前記請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記デジタル信号処理手段は、画像処理を実行した後に、復号化したプログラムを消去する、ことを特徴とする前記請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記デジタル信号処理手段は、画像処理を実行した後に、復号化したプログラムを消去する消去用のプログラムを実行する、ことを特徴とする前記請求項14に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−121347(P2006−121347A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306164(P2004−306164)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】