画像加熱装置及び記録材搬送装置
【課題】定着ローラから止め輪が外れてしまうのを防止することができる画像加熱装置を提供する。
【解決手段】定着ローラ7に対して、ベアリング11b、断熱ブッシュ70bを外挿した後、スペーサ60を外挿する。その際、スペーサ60のキー部60aを、定着ローラ7に形成された貫通孔7aに嵌め込む。そして、C形止め輪50bを定着ローラ7に外挿する。その際、C形止め輪50bに形成された突出部50eが、スペーサ60のキー部60aが嵌められている貫通孔7aに嵌め込む。その結果、スペーサ60がC形止め輪50bに対して相対回転することがなくなり、C形止め輪50bが誤って定着ローラ7から外れてしまうのを防止することができる。
【解決手段】定着ローラ7に対して、ベアリング11b、断熱ブッシュ70bを外挿した後、スペーサ60を外挿する。その際、スペーサ60のキー部60aを、定着ローラ7に形成された貫通孔7aに嵌め込む。そして、C形止め輪50bを定着ローラ7に外挿する。その際、C形止め輪50bに形成された突出部50eが、スペーサ60のキー部60aが嵌められている貫通孔7aに嵌め込む。その結果、スペーサ60がC形止め輪50bに対して相対回転することがなくなり、C形止め輪50bが誤って定着ローラ7から外れてしまうのを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に形成された画像を加熱する画像加熱装置及び記録材を加熱しつつ搬送する記録材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この画像加熱装置としては、例えば、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に形成された画像の光沢度を向上させる光沢向上装置を挙げることができる。
【0003】
また、記録材搬送装置としては、記録材品位を向上させるカール除去装置、画像が形成される前の記録材を加熱して乾燥させる記録材乾燥装置を挙げることができる。
【0004】
これら、画像加熱装置及び記録材搬送装置は、例えば、複写機、プリンタ、FAX、及びこれらの機能を複数備えた複合機等において用いられ得る。
【0005】
従来より、電子写真画像形成装置では、電子写真プロセスを経て記録材に形成されたトナー像を加熱、加圧することにより定着する構成となっている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1には、図3に示すように、画像加熱ローラ(画像加熱部材)の端部の構造について開示されている。具体的には、このような画像加熱ローラ200の一端側より、ベアリング300、断熱ブッシュ400、止め輪(環状の規制部材)500を、この順に画像加熱ローラ200に外挿することにより組み立てられる構成となっている。
【0007】
なお、この止め輪500は一部が内側に屈曲されており、これらの部位が画像加熱ローラ200に形成された2つの貫通孔201にそれぞれ嵌り込む構成となっている。したがって、断熱ブッシュ400が、この止め輪500により、画像加熱ローラ200からスラスト方向へ脱落してしまうのを阻止される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−204731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、画像加熱ローラ200と一体回転する止め輪500が、断熱ブッシュ400と摺動し得る構成となっている。このため、断熱ブッシュ400が画像加熱ローラ200に対してスリップすると、摺動を受けた止め輪500が画像加熱ローラ200の貫通孔201から意図せずに外れてしまう恐れがある。
【0010】
これは、止め輪500の屈曲部を、画像加熱ローラ200の貫通孔201を通じて十分な長さだけ内側へ侵入させて嵌合状態を強固にする手法を採用することが困難な構成では顕著である。
【0011】
そこで、本発明者等は、断熱ブッシュ400と止め輪500の間に、画像加熱ローラ200に対して回転フリーのスペーサを配置することを考えた。しかし、このようなスペーサを介在させたとしても、止め輪500がスペーサと摺動し得るため、止め輪500が画像加熱ローラ200の貫通孔201から外れてしまう可能性が無視できるレベルであるものの、僅かに存在することが本発明者等の検討により判明した。
【0012】
このような課題は、記録材を加熱しながら搬送する搬送ローラ(記録材搬送部材)においても同様に存在する。
【0013】
本発明の目的は、止め輪が画像加熱ローラから外れてしまうのを抑制することができる画像加熱装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、環状の規制部材が画像加熱部材から外れてしまうのを抑制することができる画像加熱装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、環状の規制部材が記録材搬送部材から外れてしまうのを抑制することができる記録材搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像加熱装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空の画像加熱ローラと、前記画像加熱ローラに外挿されるベアリングと、前記画像加熱ローラと前記ベアリングとの間に位置するように前記画像加熱ローラに外挿される断熱ブッシュと、前記画像加熱ローラに対し前記断熱ブッシュが軸線方向へ移動するのを規制する止め輪と、前記断熱ブッシュと前記止め輪との間に配置される環状のスペーサと、を備え、前記止め輪は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサは、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出したキー部を有するものである。
【0017】
本発明の画像加熱装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の画像加熱部材と、前記画像加熱部材に外挿される軸受部材と、前記画像加熱部材と前記軸受部材との間に位置するように前記画像加熱部材に外挿される断熱部材と、前記画像加熱部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有するものである。
【0018】
本発明の記録材搬送装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の記録材搬送部材と、前記記録材搬送部材に外挿される軸受部材と、前記記録材搬送部材と前記軸受部材との間に位置するように前記記録材搬送部材に外挿される断熱部材と、前記記録材搬送部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像加熱装置は、止め輪が画像加熱ローラから外れてしまうのを抑制することができる。
【0020】
本発明の画像加熱装置は、環状の規制部材が画像加熱部材から外れてしまうのを抑制することができる。
【0021】
本発明の記録材搬送装置は、環状の規制部材が記録材搬送部材から外れてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。
【図3】比較例の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【図4】遮蔽部材の動作の説明図である。
【図5】実施例1の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【図6】周方向の貫通孔の説明図である。
【図7】周方向の貫通孔の幅の説明図である。
【図8】スペーサの平面図である。
【図9】スペーサの装着手順の説明図である。
【図10】実施例2におけるスペーサの構成の説明図である。
【図11】スペーサの装着手順の説明図である。
【図12】実施例3におけるC形止め輪の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、薄肉の定着ローラの端部にスペーサを介してC形リングにより軸受構造を位置決める限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0024】
したがって、定着ローラ(画像加熱ローラ)に加圧回転体を当接させて加熱ニップが形成される画像加熱装置であれば、加圧回転体はベルト部材であってもローラ部材であってもよい。定着ローラの加熱方式は、後述する電磁誘導加熱方式に限らず、ハロゲンヒータを用いた輻射加熱方式等の加熱方式を採用してもよい。画像加熱装置を搭載する画像形成装置は、帯電方式、露光方式、現像方式、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型/枚葉搬送型の区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0025】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト210に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部221、222、223、224を配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。画像形成部221、222、223、224は、それぞれの現像装置で用いるトナーの色が異なる以外は、実質的に同一に構成される。
【0026】
画像形成部221では、感光ドラム211にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部222では、画像形成部221と同様な手順でマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部223、224では、画像形成部221と同様な手順でシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。
【0027】
中間転写ベルト210に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。記録材Pは、記録材カセット201からピックアップローラ202によって引き出され、分離ローラ203で1枚ずつに分離してレジストローラ204へ給送される。レジストローラ204は、中間転写ベルト210のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り込む。
【0028】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト210から曲率分離して定着装置100へ送り込まれる。画像加熱装置の一例である定着装置100は、記録材Pを加熱加圧して、トナーを融解して、記録材Pの表面に画像を定着させる。その後、記録材Pが機体外へ排出される。
【0029】
<定着装置>
図2は定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。図3は従来の定着装置の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【0030】
図2に示すように、加熱手段の一例である加熱アセンブリ1は、画像加熱部材(画像加熱ローラ)の一例である中空の定着ローラ7内に配設された電磁誘導加熱装置である。加熱アセンブリ1は、図5に示すように、定着ローラ7の中空部に内挿される。
【0031】
加熱アセンブリ1は、励磁コイル5、第一磁性体コア6a、第一磁性体コア6b等をホルダー2に組み立てて、一体の交換アセンブリを形成している。励磁コイル5に高周波電流が供給されることにより、加熱アセンブリ1から発生する磁束の作用で、記録材に当接する定着ローラ7が誘導加熱(うず電流損によるジュール加熱又はIH加熱)される。
【0032】
定着ローラ7は、電磁誘導に応答して発熱する薄肉の円筒管であって、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属を用いることができる。定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで、熱容量を低減している。ここでは、肉厚が0.6mmの定着ローラ7となっている。また、定着ローラ7の材質として、強磁性体の(透磁率の大きい)金属材料を使うことで、励磁コイル5から発生して磁性体コア6a、6bに案内される磁束をより多く定着ローラ7に入射させている。そして、発熱に関与する磁束密度を高くすることで、効率的に定着ローラ7にうず電流を発生させて発熱させている。定着ローラ7の外側表面には、一般にはフッ素樹脂のPTFE(厚さ10〜50μm)やPFA(厚さ10〜50μm)で構成されるトナー離型層がある。また、トナー離型層の内側に、弾性層としてのゴム層を設ける構成にしても良い。
【0033】
加圧ローラ8は、定着ローラ7の下側に定着ローラ7に平行に配列した弾性ローラであって、当接する定着ローラ7の矢印A方向の回転駆動に従動して、矢印B方向に回転する。加圧ローラ8は、鉄製の芯金8aの外周に弾性層としてのシリコーンゴム層8bを設け、弾性層の外側にトナー離型層8cを設けた構成である。
【0034】
図2に示すように、加熱アセンブリ1の励磁コイル5への電力供給によって定着ローラ7が誘導加熱されて所定の定着温度に温調されている状態で、定着ローラ7が回転駆動されて加圧ローラ8が従動回転している。このとき、図1に示す画像形成装置200の二次転写部T2において転写された未定着トナー像tを担持した記録材Sが、記録材搬送路Hを矢印C方向から定着装置100の加熱ニップNに導入される。
【0035】
記録材Sは、加熱ニップNで挟持搬送される過程で、表面の未定着トナー画像tが、定着ローラ7の熱とニップ圧で記録材S面に定着される。記録材Sに担持されていた未定着トナー像が定着ローラ7から印加された熱エネルギで溶融する一方、かかる溶融トナーが加圧ローラ8の圧接力で押し潰されて記録材Sの繊維間に浸透し、これにより、記録材Sに対するトナー像の定着がなされる。分離爪14は、定着ニップ部Nを通過した記録材Sを、定着ローラ7から機械的に分離させて、定着ローラ7に巻き付くのを阻止している。
【0036】
<電磁誘導加熱装置>
図2に示すように、加熱アセンブリ1は、具体的には、定着ローラ7を長手方向に貫通して非回転に配置されたステイ3にホルダー2を支持させている。ホルダー2には、励磁コイル5と磁性体コア6a、6bが格納される。ホルダー2は、耐熱性樹脂で横断面略半円樋型に形成され、半円筒面側を記録材導入側に指向させた角度姿勢で、定着ローラ内面に非接触に所定の間隔を確保して配設される。ホルダー2は、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加した非磁性材料の成型体である。ホルダー2には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの非磁性材料が適している。
【0037】
ホルダー2の中央部には、ホルダーに沿って第一磁性体コア6aを複数配設して保持させてある。第一磁性体コア6aを挟むように、2つの第二磁性体コア6b、6bを複数配置して保持させてある。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bは、磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために配置される。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bには、高透磁率かつ低損失のものを用いることが好ましく、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアの磁性材料を使用してもよい。
【0038】
励磁コイル5は、第一磁性体コア6aを巻き中心部にして配設される。励磁コイル5は、加熱に十分な交番磁束を発生するため、抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。ここでは、励磁コイル5のコイル線材は、外径0.17mm、140本、総外径4mmのリッツ線である。励磁コイル5が昇温した場合を考えて、リッツ線の絶縁被覆には耐熱性の材料を使用した。第一磁性体コア6a、および第二磁性体コア6b、6bを定着ローラ7の内周面の近傍に配置することで、励磁コイル5から発生する磁束を定着ローラ7の発熱層内により多く通過させることができ、定着ローラ7の発熱効率が高まる。
【0039】
ホルダーフタ4は、横断面略半円樋型であり、内側に第一磁性体コア6aと励磁コイル5を配設したホルダー2に嵌着される。ホルダーフタ4の材質はホルダー2と同じである。ホルダー2とホルダーフタ4の間に第一磁性体コア6aと励磁コイル5が抑え込まれて保持される。
【0040】
ホルダー2は、両端部が装置側板の外側に設けたホルダー支持板に非回転に支持される。中空の定着ローラ7は、図7に示すように、断熱ブッシュ70b及びベアリング11bを介して、左右の装置側板の間に回転自在に保持されている。
【0041】
図2に示すように、加圧ローラ8の芯金8aは、不図示の加圧ローラ支持フレームに設けたベアリングによって回転自在に保持される。加圧ローラ支持フレームは、不図示の付勢機構(加圧バネ)により、定着ローラ7の下面に対して加圧ローラ8を所定の押圧力にて圧接させて、搬送方向に所定長さを有する加熱ニップNを形成させている。
【0042】
定着ローラ7の長手方向の略中央部位に対向させて温調用サーミスタが配置される。不図示の制御回路は、温調用サーミスタの検出信号に基づいて定着ローラ7を所定の定着温度(目標温度)に温度調整する。制御回路は、定着ローラ7の表面温度が所定の定着温度に維持されるように、温調制御プログラムに従って不図示の電力制御装置(励磁回路)による励磁コイル5への供給電力を制御する。
【0043】
定着装置100に対する記録材Sの通紙は、回転軸線方向の中央に各種サイズの記録材の中心線を位置決める中央基準搬送でなされる。定着装置100においては、通紙可能な最大サイズ紙幅はA4横送りの幅(297mm)、小サイズ紙幅はA4縦送りの幅(210mm)である。
【0044】
ホルダー2の長手方向に沿って第一磁性体コア6aを配設した長さ寸法は、最大サイズ紙幅と略同じである。第二磁性体コア6b、6bを配設した長さ寸法も、最大サイズ紙幅と略同じである。第一磁性体コア6a、及び第二磁性体コア6b、6bが配置された回転軸線方向の領域が定着ローラ7に磁束を入射して加熱する領域である。
【0045】
小サイズ紙幅の記録材Sを通紙したときに最大サイズ紙幅と小サイズ紙幅との差領域に定着ニップ部Nの非通紙部が生じる。磁束による加熱を受けつつ記録材Sによる除熱を受けない非通紙部は、不必要な昇温を発生する可能性がある。
【0046】
このため、定着装置100では、非通紙部の不必要な昇温を回避するために、小サイズ紙幅の記録材Sを通紙する際に、加熱アセンブリ1と定着ローラ7の隙間に配置された遮蔽部材18を、図4の(b)に示すように移動させて磁束を遮蔽する。
【0047】
<磁束の遮蔽部材>
図4は遮蔽部材18の動作の説明図である。遮蔽部材18は、励磁コイル5から定着ローラ7へ作用する磁束の一部を遮蔽するシャッターであって、遮蔽部材18が磁束を遮蔽することで、定着ローラ7の両端の非通紙部の加熱が緩和される。尚、非通紙部の過剰な昇温を抑制する仕組みは、遮蔽部材18には限らない。第一磁性体コア6aを励磁コイル5に対して相対移動可能に配置することで、励磁コイル5から定着ローラ7への磁束経路を変更させ、定着ローラ7の長手方向に関する磁束密度分布を調整してもよい。
【0048】
遮蔽部材18は、定着ローラ7の内周面すれすれの位置を周方向に移動して、非通紙部の磁束を遮蔽する角度位置と磁束を全く遮蔽しない角度位置(退避位置)とのいずれかに位置決め停止される。
【0049】
遮蔽部材18は、自身の昇温を防止するために、誘導電流を流す導電体であって固有抵抗の小さい非磁性材料である銅、アルミニウム、銀若しくはその合金、または材料の抵抗が大きいフェライト等が適している。しかし、鉄やニッケルのような磁性材料であっても、円孔やスリットなどの通孔を形成して渦電流による発熱を抑えることで使用が可能である。遮蔽部材18は、回転軸線方向の両端部に凸部を配置したコの字型の輪郭形状を有し、回転軸線方向の両端部の凸部を用いて非通紙部の磁束を遮蔽する。
【0050】
不図示の制御回路は、加熱ニップNに給送される記録材Sの記録材サイズに応じて遮蔽部の長手方向の幅及び位置を決定して、遮蔽部材18を定着ローラ7の内周面に沿って周方向へ移動させる。制御回路は、図4の(a)に示す退避位置(ホームポジション)から図4の(b)に示す遮蔽位置へ、または図4の(b)に示す遮蔽位置から図4の(a)に示す退避位置へ遮蔽部材18を回転移動させる。
【0051】
図4の(a)に示すように、遮蔽部材18は、最大サイズ紙幅で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1の励磁コイル5とは反対側の退避位置に保持される。退避位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に磁束が実質的に作用しない位置である。遮蔽部材18が退避位置にあるとき、第一磁性体コア6a及び第二磁性体コア6bに導かれて定着ローラ7へ入射する磁束は、長手方向全域で遮蔽されることなく、定着ローラ7の長手方向全域を誘導加熱する。
【0052】
図4の(b)に示すように、遮蔽部材18は、小サイズ紙幅で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1のコイル5側の遮蔽位置に保持される。遮蔽位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に作用する磁束を、遮蔽部が非通紙部で一部遮蔽する。遮蔽部材18を小サイズ記録材の非通紙部を遮蔽する形状にすることで、小サイズ記録材が連続して搬送された際に、定着ローラ7端部の非通紙部の過昇温を防止できる。遮蔽部材18が遮蔽位置にあるとき、定着ローラ7に向かう磁束の一部(長手方向端部領域)は、遮蔽部に遮蔽されるので、定着ローラ7の非通紙部の発熱が抑制される。
【0053】
図5に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端側に形成された三か所の貫通孔7aを用いて、C形止め輪50bとスペーサ60を定着ローラ7に一体化させている。一方、定着ローラ7内の中空部に加熱アセンブリ1が内蔵され、定着ローラ7の内周面と加熱アセンブリ1の間の狭い円筒状の隙間を遮蔽部材18が移動する。
【0054】
したがって、三か所の貫通孔7aにC形止め輪50bとスペーサ60の一部分を挿入してC形止め輪50bとスペーサ60とを定着ローラ7に一体化するにあたり、C形止め輪50bとスペーサ60に対する遮蔽部材18の干渉が懸念される。
【0055】
すなわち、定着装置100は、後述するC形止め輪50bの突出部50eを貫通穴7aを通して奥深く十分に侵入させて両者の嵌合関係を強固にする構成を採用することが困難な場合の一例である。実施例1は、このような定着装置100において、特に有効な構成である。
【0056】
<実施例1>
図5は実施例1の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。図6は周方向の貫通孔の説明図である。図7は周方向の貫通孔の幅の説明図である。図8はスペーサの平面図である。図9はスペーサの装着手順の説明図である。図5に示すように、実施例1の薄肉定着ローラの端部構造は、スペーサ60をC型止め輪50bと同じ貫通孔7aに嵌めて、スペーサ60の回転止めを施している。スペーサ60の回転止めは、C型止め輪50bが断熱ブッシュ70bと摺動することに伴い外れてしまうのを防止する。
【0057】
図5に示すように、定着ローラ7は、両端に開口を有する中空円筒状に形成されるとともに、内部に加熱アセンブリ1が配設されている。定着ローラ7の一方の端部に、断熱部材の一例である断熱ブッシュ70bが外周部に嵌められ、断熱ブッシュ70bの上に軸受部材の一例であるベアリング11bが嵌められ、ベアリング11bが定着装置本体の不図示の支持板金に支持されている。
【0058】
図5に示す定着ローラ7の軸線方向一端側とは反対側、定着ローラ7の軸線方向他端側の外周部には、図7に示すように、定着ローラ7を回転駆動するための定着ローラギア20が嵌めて更に取り付けられる。定着ローラ7の軸線方向他端側には、駆動ギアの一例である定着ローラギア20が外挿されて両者が一体化されており、この定着ローラギア20に外部から駆動力が入力されることにより、定着ローラ7が回転する構成となっている。定着ローラ7は、定着ローラギア20に不図示の外部駆動機構から回転力が伝達されることで、所定の周速度にて回転駆動される。
【0059】
図5に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端部から、ベアリング11bおよび断熱ブッシュ70bが外挿されている。断熱部材の一例である略円筒状の断熱ブッシュ70bは、定着ローラ7に外挿されて定着ローラ7からベアリング11bを通して熱が漏れてしまうのを軽減するためのものである。
【0060】
軸受部材の一例であるベアリング11bは、定着ローラ7を回転自在に支持する。ベアリング11bは、断熱ブッシュ70bに外挿されて断熱ブッシュ70bが回転自在となるように支持している。断熱ブッシュ70bは、定着ローラ7に対して単に外挿されているだけであり、定着ローラ7に対して相対回転し得る構成となっている。断熱ブッシュ70bは、通常は、定着ローラ7と一体に回転する。ベアリング11bは、定着装置本体の支持板金(支持部材)に形成されたU字状の溝部に嵌め込まれることにより位置が固定される構成となっている。
【0061】
図6の(a)に示すように、断熱ブッシュ70bは、円筒の一部がカットされて、スリット70cが形成されている。これは、図3に示した断熱ブッシュ400と同様である。スリット70cを形成する理由は、定着装置の稼動時に断熱ブッシュ70bが熱膨張することを予め見込んでいるためである。
【0062】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の端部から所定の位置に複数設けられた貫通孔7aにスペーサ60の環状部から内側に突出させて設けた突出部の一例であるキー部60aを嵌めることにより、スペーサ60が定着ローラ7に取り付けられる。貫通孔7aは、定着ローラ7の周面に等間隔(120度ごと)に三か所、等しい長さで等しい幅を持たせて周方向に長く形成されている。
【0063】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端側には、その一端から内側の位置に、3つの貫通孔7aが形成されている。図6の(b)に示すように、これらの貫通孔7aは、それぞれ、周囲の一部が軸線方向に開放された開放型の孔(例、U字状、T字状)ではなく、全周が定着ローラ7の材料に取り囲まれたクローズ型の孔となっている。
【0064】
環状の規制部材(止め輪)の一例であるC形止め輪50bは、定着ローラ7の周面を囲むC形形状に形成されている。図7に示すように、C形止め輪50bは、三か所の貫通孔7aにそれぞれ進入させて、C形止め輪50bを定着ローラ7の回転軸線方向の所定位置に位置決め規制する複数の突出部50eを有する。
【0065】
図5に示すように、C形止め輪50は、ステンレスばね鋼の角形線材を、ワイヤーフォーミング加工により折り曲げて、C形の輪郭と内周へ突き出した3箇所の突出部50eが形成されている。C形止め輪50bは、内周の3箇所の突起部50eを、定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aにそれぞれ嵌め込んで定着ローラ7に固定される。
【0066】
図8に示すように、環状のスペーサ部材の一例であるスペーサ60は、板状の材料から輪郭を切り抜いて形成されて、1つの貫通孔7aに進入させる1つのキー部(嵌合部)60aを有する。スペーサ60は、C形止め輪50bが断熱ブッシュ70bと接触しないように、C形止め輪50bをカバーする。スペーサ60は、金属の薄板材料を型抜きして形成され、環状の輪郭の内周の一か所にキー部60aを設けている。
【0067】
図7に示すように、スペーサ60のキー部60aを、三か所の貫通孔7aのうちの1つに突出部50eと重ねて進入させることにより、スペーサ60が定着ローラ7の周方向の所定位置に位置決め規制される。図6の(b)に示すように、スペーサ60のキー部60aを定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aのいずれかに進入させることにより、スペーサ60が定着ローラ7に対して回り止めされる。
【0068】
図7に示すように、ベアリング11bの外周部には溝部11cが形成されている。この溝部11cの上部は、ワイヤ状の固定部材90に引っ掛けられ、そして、このワイヤ状の固定部材90の両端が定着装置本体の支持板金に固定されることにより、ベアリング11bが支持板金に位置決め固定される。その結果、ベアリング11bの定着ローラ7の軸線方向における位置が決まる。
【0069】
定着ローラ7には、ベアリング11b、断熱ブッシュ70bをこの順に嵌めた(外挿した)後、スペーサ60を定着ローラ7に外挿して装着し、さらにC形止め輪50bを弾性的に少し拡径させた状態で定着ローラ7に外挿して装着している。したがって、C形止め輪50bにより、スペーサ60を介して、断熱ブッシュ70bが定着ローラ7に沿った長手方向(軸線方向)の位置が規制される。つまり、断熱ブッシュ70bは、図6において、左方への移動が規制されて、定着ローラ7からの脱落が防止される構成となっている。
【0070】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の端部には、貫通孔7aが三か所に開いている。定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aの位置関係はそれぞれ120°の角度で設けられている。図5に示すように、C形止め輪50bの3箇所の突出部50eの位置関係はそれぞれ120°の角度で設けられている。このため、C形止め輪50bの定着ローラ7に対する位置決め角度は特に規定されず、120°ごとの任意の角度位置で、C形止め輪50bは定着ローラ7に取付け可能である。
【0071】
三か所の貫通孔7aのうちの1つには、上記のようにキー部60aが嵌められた後に、さらに、C形止め輪50bの突出部50eが嵌められている。その結果、キー部60a用の貫通穴を別途設けることが不要となり、貫通穴を別途設けることによる定着ローラ7の剛性の低下を可及的に防止することができる。
【0072】
図7に示すように、キー部60aが接触していることで、C形止め輪50bの突出部50eが貫通穴(7a:図5)から外れ難くなっている。貫通孔7aの溝幅は、スペーサ60の厚みとC形止め輪50bの厚みの合計に対応している。スペーサ60のキー部60aの厚みをXとし、C形止め輪50bの厚みをYとし、定着ローラ7の貫通孔7aの幅をZとする。このとき、次式の関係が成立するようにそれぞれの厚み、幅が設定されている。
Z=X+Y
【0073】
実施例1では、X=0.2mm、Y=1mm、Z=1.2mmである。スペーサ60のキー部60aの厚みXとC形止め輪50bの厚みYとの和が貫通孔7aの幅Zに実質等しいため、C形止め輪50bは、貫通孔7aに幅方向の隙間を生じることなく保持される。ただし、キー部60とC形止め輪50bの嵌め込みに必要なガタ程度の隙間はある。これにより、C形止め輪50bとスペーサ60が定着ローラ7に密着して固定されるので、C形止め輪50bが定着ローラ7から外れ難くなる。
【0074】
スペーサ60の外径は、断熱ブッシュ70bの外径より大きく設定している。スペーサ60の外径が、断熱ブッシュ70bの外径より大きく設定されているため、断熱ブッシュ70bが、C形止め輪50bと擦れることを防止できる。実施例1では、スペーサ60の外径は48.5mmであり、断熱ブッシュ70bの外径は48mmである。
【0075】
図8に示すように、スペーサ60は、定着ローラ7の周面を囲む楕円形に形成された内周における楕円の長径の一端側にキー部(嵌合部)60aが配置される。楕円の長径は、貫通孔7aに進入させたキー部60aを中心にして回転させたキー部60aの反対側が定着ローラ7の端部を通過可能な長さである。
【0076】
スペーサ60は、材質がバネ材である厚み0.2mmのステンレス薄板材料であって、輪郭が円形状で内周が楕円形状をしており、内周の一か所にキー部60aを設けている。楕円形状は、短径向長さA、長径方向長さBの形状をとっており、Aは、定着ローラ7の外径に一致するようにしている。そして、スペーサ60の楕円形状の内周の長径方向の長さBは、次式の関係が成り立つように設定している。
【0077】
【数1】
【0078】
また、キー部60aの先端から中心線に沿ったスペーサ60の対向部までの長さCは、次式の関係を保持している。
【0079】
【数2】
【0080】
図9の(a)に示すように、スペーサ60を傾けて、キー部60aを3箇所の貫通孔7aの内の任意の1箇所に嵌合させ、そのまま定着ローラ7の外径に嵌めるようにスペーサ60を倒していくことにより、定着ローラ7にスペーサ60が装着される。
【0081】
図9の(b)に示すように、貫通孔7aは、定着ローラ7の端面からD離れた位置に設けられている。これにより、キー部60aを貫通孔7aに挿入してスペーサ60を傾けて装着する際、スペーサ60の内径が定着ローラ7の外径Aよりも小さくならない。そのため、定着ローラ7の外径に干渉することなく、スペーサ60を、断熱ブッシュ70bの面と接する位置まで起立させて定着ローラ7に装着することができる。
【0082】
また、式1のようにBを設計することで、定着ローラ7へのスペーサ60装着時のスペーサ60のガタつき(B−A)を最も少なくすることができ、キー部60aと定着ローラ7との引っ掛かりを十分に保つことが可能となる。実施例1では、A=40mm、D=4mmであるため、式よりB=40.2mmとしている。また、Aは、定着ローラ7の外径40mmに一致している。
【0083】
また、式2のようにCを設計することで、定着ローラ7とのスペーサ60のガタつき(B−A)の和が、定着ローラ外径Aより小さいため、必ず、キー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7とスペーサ60が連れ回る。実施例1では、C=39.1mmとしており、定着ローラ7とのスペーサ60のガタつきB−A=0.2mmとの和が39.3mmであり、定着ローラ7外径のA=40mmより小さい。このため、キー部60a先端は、定着ローラ7外径面より少なくとも0.7mm突き出して引っ掛かりを保持している。
【0084】
また、実施例1の定着ローラ7の肉厚は0.6mmであって、スペーサ60のキー部60a先端が定着ローラ7外径面より少なくとも0.7mm引っ掛かりを保持している。このため、図6の(b)に示すように、キー部60aの先端部は、定着ローラ7の内周面より内側に少なくとも0.1mm突出している。したがって、定着ローラ7が回転した時に、確実にキー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7からスペーサ60が外れることなく確実に連れ回る。
【0085】
図6の(a)に示すように、実施例1では、スペーサ60のキー部60aとC形止め輪50bの係合部では、遮蔽部材18までのクリアランスを1.2mmと十分に確保している。このため、遮蔽部材18が移動したとしても、内周面に最高で0.1mm+0.2mm突き出すキー部60aは遮蔽部材18に干渉しないようにすることが可能となる。
【0086】
なお、図7に示すように、定着ローラ7の軸線方向他端側では、定着ローラ7に外挿された断熱ブッシュとC形止め輪との間に定着ローラギア20が挟まれて配置される。
【0087】
以上説明したように、実施例1の定着ローラ組み立て構造によれば、C形止め輪50bと断熱ブッシュ70bの間にスペーサ60を配置して、C形止め輪50bと断熱ブッシュ70bとが直接に接触することを回避している。つまり、断熱ブッシュ70bのスリット70cにC形止め輪50bが引っ掛からないようにしている。
【0088】
そして、スペーサ60は、キー部60aにより定着ローラ7に拘束されてC形止め輪50bとスペーサ60とが実質一体的に回転することになるため、C形止め輪50bに対してスペーサ60から回転摺動力が生じることがなくなる。
【0089】
また、C型止め輪50bの突出部50eが嵌り込む定着ローラ7の貫通孔7aに対して、スペーサ60のキー部60aを嵌め込む構成としたことにより、C型止め輪50bが定着ローラ7からより一層外れ難くなるようにすることができる。
【0090】
なお、断熱ブッシュ70bが定着ローラ7に対して非回転となるように固定されていないため、断熱ブッシュ70bがスペーサ60と摺動し得る構成となっている。しかし、スペーサ60の摺動面が平滑な面となっており、断熱ブッシュ70bのフランジ部(側面)には磨耗による劣化が生じ難い構成となっていることから、断熱ブッシュ70bの寿命低下を抑制することが可能となる。
【0091】
<実施例2>
図10は実施例2におけるスペーサの構成の説明図である。図11はスペーサの装着手順の説明図である。実施例2は、スペーサのキー部の構造が少し異なる以外は実施例1と同一の構成部品を用いて同一に構成されている。このため、図10、図11中、実施例1と共通する構成には図5〜図9と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0092】
図10の(a)に示すように、スペーサ60は、定着ローラ7の周面を囲む環状の内周から突出させたキー部60aの周方向の両側に、キー部60aの曲げ変位を容易にするための切り込みを形成されている。スペーサ60のキー部60aは、一部折り曲げ形状をしている。また、スペーサ60は、材質がバネ材であるSUS製で、厚みが0.2mmであるため、キー部60aの曲げ弾性部60bは弾性を生じている。よって、実施例2では、曲げ弾性部60bの弾性により、キー部60aがたわむ構成となっている。
【0093】
図10の(a)に示すように、実施例2では、キー部60aの曲げ形状は、正面図において、キー部60aを投影した内径形状が内径Aの円形状になり、定着ローラ7の外径Aと等しくなるまでたわませることが可能となっている。キー部60aは、内径面から外径側に5mmの切り込みを入れて折り曲げている。
【0094】
図10の(b)に示すように、キー部60aが30°曲げられた時点で、正面図における投影円直径が40mmとなる。また、スペーサ60を取り外した自然状態では、20°曲がった状態で保持されているため、正面図における投影円直径が40mmより小さくなる。
【0095】
図10の(c)に示すように、キー部60aの曲げ弾性部60bを軽く曲げ戻すことで、スペーサ60の円平面に平行になるように合わせることが可能である。キー部60aの先端とキー部60aの先端から中心線に沿ったスペーサ60の対向部までの長さCは、定着ローラ7外径Aに対して、「A>C」の関係を保持している。実施例2では、A=40mm、C=39.3mmとしている。
【0096】
図11の(a)に示すように、定着ローラ7に実施例2のスペーサ60が装着される。キー部60aをたわませた場合、曲げ弾性部60bが曲がりスペーサ60aの正面投影円径Aは定着ローラ外径Aと等しくなるため、スペーサ60は、定着ローラ7端面から軸方向内側にそのままスライドさせながら嵌めることができる。その後、キー部60aが貫通孔7aまで到達したら、キー部60aの先端部を任意の一箇所の開口部にはめ込む。
【0097】
図11の(b)に示すように、定着ローラ7にC形止め輪50bが装着される。キー部60aの曲げ弾性部60bの曲げを図10の(d)のように戻した後は、実施例1と同様に、C形止め輪50bの3つの突出部50eのうち任意の1つをキー部60aとともに貫通孔7aに嵌め込む。そして、C形止め輪50bの残り2つの突出部50eは他の2つの貫通孔7aに嵌め込まれる。つまり、C形止め輪50bの3つの突出部50eは、定着ローラ7の周方向に等間隔(120°間隔)で形成された3つの貫通穴7aにそれぞれ嵌め込まれる。
【0098】
この際、実施例2においても、実施例1と同様に定着ローラ7の肉厚が0.6mmである。よって、キー部60a先端部は、定着ローラ7内径面より内側に少なくとも0.1mm突出している。そのため、定着ローラ7が回転した時に、確実にキー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7からスペーサ60が外れることなく確実に連れ回る。
【0099】
また、実施例2の特徴として、スペーサ60のキー部60aに曲げを追加し、弾性を持たせたことで、スペーサ60の内周部の内径形状が円形状となっている。このため、スペーサ60の内径Aが定着ローラ7外径Aと等しくなるため、実施例1では、スペーサ60の内周部と定着ローラ7の外周部とのガタつきが生じていたが、そのガタつきが生じなくなり、より定着ローラとスペーサが密着して連れ回り可能となる。
【0100】
但し、実施例2では、キー部60aの曲げ領域を確保するために、スペーサ60の外径を、実施例1よりも大きくする必要があり、スペーサ60の周囲に実施例1よりも大きなスペースを要する面も同時に生じる。実際、実施例2のスペーサ60の外径は60mmであり、実施例1の48.5mmより大きくなっている。
【0101】
<実施例3>
図12は実施例3におけるC形止め輪の説明図である。実施例3は、C形止め輪50bの輪郭形状が異なる以外は、実施例1と同一に構成される。したがって、図12中、実施例1と共通する構成には図5等と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0102】
図12に示すように、軸方向に見て断面図示した定着ローラ7は、端部の周面の120度ごとの角度位置に、等しい長さで等しい幅の3つの周方向の貫通孔7aが配置されている。C形止め輪50bは、3つの周方向の貫通孔7aにそれぞれ突起部U1+U4、U2、U3を進入させてC形止め輪50bを定着ローラ7に沿った軸方向の所定位置に位置決める。スペーサ60は、3つの周方向の貫通孔7aのうちの1つに突起部U1+U4と重ねて進入させて、スペーサ60を定着ローラ7の周方向の所定位置に位置決めるキー部60aを有する。
【0103】
C形止め輪50bは、定着ローラ7の外周面を周回して周方向に対向する一対の突起部U1、U4において開閉可能に形成されるとともに、一対の突起部U1、U4の他に120度ごとの2つの角度位置に対応させた一組の突起部U2、U3を有する。C形止め輪50bは、一対の突起部U1、U4を1つの貫通孔7aに進入させて、一組の突起部U2、U3を残りの貫通孔7aに進入させることにより、定着ローラ7の周面に三点支持される。
【0104】
以上、本発明を適用可能な例として、電磁誘導加熱方式の定着装置について説明したが、例えば、ハロゲンヒータ等の他の加熱方式を採用した定着装置でも有効である。
【0105】
また、上記実施例では、定着ローラギア20が取り付けられていない端部構造について説明したが、定着ローラギア20が外挿された定着ローラ端部においても、同様に、C形止め輪の内側にスペーサを配置する構成を採用してもよい。
【0106】
また、本発明は、記録材品位を向上させるカール除去装置、記録材に定着された画像を再加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢向上装置においても実施できる。画像が形成される前の記録材を加熱して乾燥させる記録材乾燥装置等においても実施できる。記録材を加熱しつつ搬送する搬送ローラ(記録材搬送部材)を備えた記録材搬送装置においても実施できる。この場合、詳細な説明は省略するが、上述した各実施例において、画像加熱ローラ(定着ローラ)を搬送ローラ(加熱器を内蔵した記録材搬送部材)と読み替えれば良い。
【符号の説明】
【0107】
1 加熱アセンブリ、2 ホルダー、3 ステイ、4 ホルダーフタ
5 励磁コイル、6a 第一磁性体コア、6b 第二磁性体コア
7 定着ローラ、7a 貫通孔、8 加圧ローラ、11a、11b ベアリング
14 分離爪、16 サーミスタ、18 遮蔽部材、20 定着ローラギア(駆動ギア)
50b C形止め輪、60 スペーサ、60a キー部
60b 曲げ弾性部、70b 断熱ブッシュ、100 定着装置
U1、U2、U3、U4 突起部
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に形成された画像を加熱する画像加熱装置及び記録材を加熱しつつ搬送する記録材搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この画像加熱装置としては、例えば、記録材に形成された未定着画像を定着する定着装置や、記録材に形成された画像の光沢度を向上させる光沢向上装置を挙げることができる。
【0003】
また、記録材搬送装置としては、記録材品位を向上させるカール除去装置、画像が形成される前の記録材を加熱して乾燥させる記録材乾燥装置を挙げることができる。
【0004】
これら、画像加熱装置及び記録材搬送装置は、例えば、複写機、プリンタ、FAX、及びこれらの機能を複数備えた複合機等において用いられ得る。
【0005】
従来より、電子写真画像形成装置では、電子写真プロセスを経て記録材に形成されたトナー像を加熱、加圧することにより定着する構成となっている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1には、図3に示すように、画像加熱ローラ(画像加熱部材)の端部の構造について開示されている。具体的には、このような画像加熱ローラ200の一端側より、ベアリング300、断熱ブッシュ400、止め輪(環状の規制部材)500を、この順に画像加熱ローラ200に外挿することにより組み立てられる構成となっている。
【0007】
なお、この止め輪500は一部が内側に屈曲されており、これらの部位が画像加熱ローラ200に形成された2つの貫通孔201にそれぞれ嵌り込む構成となっている。したがって、断熱ブッシュ400が、この止め輪500により、画像加熱ローラ200からスラスト方向へ脱落してしまうのを阻止される構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−204731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、画像加熱ローラ200と一体回転する止め輪500が、断熱ブッシュ400と摺動し得る構成となっている。このため、断熱ブッシュ400が画像加熱ローラ200に対してスリップすると、摺動を受けた止め輪500が画像加熱ローラ200の貫通孔201から意図せずに外れてしまう恐れがある。
【0010】
これは、止め輪500の屈曲部を、画像加熱ローラ200の貫通孔201を通じて十分な長さだけ内側へ侵入させて嵌合状態を強固にする手法を採用することが困難な構成では顕著である。
【0011】
そこで、本発明者等は、断熱ブッシュ400と止め輪500の間に、画像加熱ローラ200に対して回転フリーのスペーサを配置することを考えた。しかし、このようなスペーサを介在させたとしても、止め輪500がスペーサと摺動し得るため、止め輪500が画像加熱ローラ200の貫通孔201から外れてしまう可能性が無視できるレベルであるものの、僅かに存在することが本発明者等の検討により判明した。
【0012】
このような課題は、記録材を加熱しながら搬送する搬送ローラ(記録材搬送部材)においても同様に存在する。
【0013】
本発明の目的は、止め輪が画像加熱ローラから外れてしまうのを抑制することができる画像加熱装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、環状の規制部材が画像加熱部材から外れてしまうのを抑制することができる画像加熱装置を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、環状の規制部材が記録材搬送部材から外れてしまうのを抑制することができる記録材搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の画像加熱装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空の画像加熱ローラと、前記画像加熱ローラに外挿されるベアリングと、前記画像加熱ローラと前記ベアリングとの間に位置するように前記画像加熱ローラに外挿される断熱ブッシュと、前記画像加熱ローラに対し前記断熱ブッシュが軸線方向へ移動するのを規制する止め輪と、前記断熱ブッシュと前記止め輪との間に配置される環状のスペーサと、を備え、前記止め輪は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサは、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出したキー部を有するものである。
【0017】
本発明の画像加熱装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の画像加熱部材と、前記画像加熱部材に外挿される軸受部材と、前記画像加熱部材と前記軸受部材との間に位置するように前記画像加熱部材に外挿される断熱部材と、前記画像加熱部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有するものである。
【0018】
本発明の記録材搬送装置は、その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の記録材搬送部材と、前記記録材搬送部材に外挿される軸受部材と、前記記録材搬送部材と前記軸受部材との間に位置するように前記記録材搬送部材に外挿される断熱部材と、前記記録材搬送部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像加熱装置は、止め輪が画像加熱ローラから外れてしまうのを抑制することができる。
【0020】
本発明の画像加熱装置は、環状の規制部材が画像加熱部材から外れてしまうのを抑制することができる。
【0021】
本発明の記録材搬送装置は、環状の規制部材が記録材搬送部材から外れてしまうのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像形成装置の構成の説明図である。
【図2】定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。
【図3】比較例の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【図4】遮蔽部材の動作の説明図である。
【図5】実施例1の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【図6】周方向の貫通孔の説明図である。
【図7】周方向の貫通孔の幅の説明図である。
【図8】スペーサの平面図である。
【図9】スペーサの装着手順の説明図である。
【図10】実施例2におけるスペーサの構成の説明図である。
【図11】スペーサの装着手順の説明図である。
【図12】実施例3におけるC形止め輪の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、薄肉の定着ローラの端部にスペーサを介してC形リングにより軸受構造を位置決める限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
【0024】
したがって、定着ローラ(画像加熱ローラ)に加圧回転体を当接させて加熱ニップが形成される画像加熱装置であれば、加圧回転体はベルト部材であってもローラ部材であってもよい。定着ローラの加熱方式は、後述する電磁誘導加熱方式に限らず、ハロゲンヒータを用いた輻射加熱方式等の加熱方式を採用してもよい。画像加熱装置を搭載する画像形成装置は、帯電方式、露光方式、現像方式、タンデム型/1ドラム型、中間転写型/記録材搬送型/枚葉搬送型の区別無く実施できる。本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
【0025】
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置200は、中間転写ベルト210に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部221、222、223、224を配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。画像形成部221、222、223、224は、それぞれの現像装置で用いるトナーの色が異なる以外は、実質的に同一に構成される。
【0026】
画像形成部221では、感光ドラム211にイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部222では、画像形成部221と同様な手順でマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。画像形成部223、224では、画像形成部221と同様な手順でシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト210に転写される。
【0027】
中間転写ベルト210に担持された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。記録材Pは、記録材カセット201からピックアップローラ202によって引き出され、分離ローラ203で1枚ずつに分離してレジストローラ204へ給送される。レジストローラ204は、中間転写ベルト210のトナー像にタイミングを合わせて二次転写部T2へ記録材Pを送り込む。
【0028】
四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、中間転写ベルト210から曲率分離して定着装置100へ送り込まれる。画像加熱装置の一例である定着装置100は、記録材Pを加熱加圧して、トナーを融解して、記録材Pの表面に画像を定着させる。その後、記録材Pが機体外へ排出される。
【0029】
<定着装置>
図2は定着装置の軸垂直方向の断面構成の説明図である。図3は従来の定着装置の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。
【0030】
図2に示すように、加熱手段の一例である加熱アセンブリ1は、画像加熱部材(画像加熱ローラ)の一例である中空の定着ローラ7内に配設された電磁誘導加熱装置である。加熱アセンブリ1は、図5に示すように、定着ローラ7の中空部に内挿される。
【0031】
加熱アセンブリ1は、励磁コイル5、第一磁性体コア6a、第一磁性体コア6b等をホルダー2に組み立てて、一体の交換アセンブリを形成している。励磁コイル5に高周波電流が供給されることにより、加熱アセンブリ1から発生する磁束の作用で、記録材に当接する定着ローラ7が誘導加熱(うず電流損によるジュール加熱又はIH加熱)される。
【0032】
定着ローラ7は、電磁誘導に応答して発熱する薄肉の円筒管であって、鉄、ニッケル、コバルトなどの金属を用いることができる。定着ローラ7の肉厚は、略0.3〜2mm程度にすることで、熱容量を低減している。ここでは、肉厚が0.6mmの定着ローラ7となっている。また、定着ローラ7の材質として、強磁性体の(透磁率の大きい)金属材料を使うことで、励磁コイル5から発生して磁性体コア6a、6bに案内される磁束をより多く定着ローラ7に入射させている。そして、発熱に関与する磁束密度を高くすることで、効率的に定着ローラ7にうず電流を発生させて発熱させている。定着ローラ7の外側表面には、一般にはフッ素樹脂のPTFE(厚さ10〜50μm)やPFA(厚さ10〜50μm)で構成されるトナー離型層がある。また、トナー離型層の内側に、弾性層としてのゴム層を設ける構成にしても良い。
【0033】
加圧ローラ8は、定着ローラ7の下側に定着ローラ7に平行に配列した弾性ローラであって、当接する定着ローラ7の矢印A方向の回転駆動に従動して、矢印B方向に回転する。加圧ローラ8は、鉄製の芯金8aの外周に弾性層としてのシリコーンゴム層8bを設け、弾性層の外側にトナー離型層8cを設けた構成である。
【0034】
図2に示すように、加熱アセンブリ1の励磁コイル5への電力供給によって定着ローラ7が誘導加熱されて所定の定着温度に温調されている状態で、定着ローラ7が回転駆動されて加圧ローラ8が従動回転している。このとき、図1に示す画像形成装置200の二次転写部T2において転写された未定着トナー像tを担持した記録材Sが、記録材搬送路Hを矢印C方向から定着装置100の加熱ニップNに導入される。
【0035】
記録材Sは、加熱ニップNで挟持搬送される過程で、表面の未定着トナー画像tが、定着ローラ7の熱とニップ圧で記録材S面に定着される。記録材Sに担持されていた未定着トナー像が定着ローラ7から印加された熱エネルギで溶融する一方、かかる溶融トナーが加圧ローラ8の圧接力で押し潰されて記録材Sの繊維間に浸透し、これにより、記録材Sに対するトナー像の定着がなされる。分離爪14は、定着ニップ部Nを通過した記録材Sを、定着ローラ7から機械的に分離させて、定着ローラ7に巻き付くのを阻止している。
【0036】
<電磁誘導加熱装置>
図2に示すように、加熱アセンブリ1は、具体的には、定着ローラ7を長手方向に貫通して非回転に配置されたステイ3にホルダー2を支持させている。ホルダー2には、励磁コイル5と磁性体コア6a、6bが格納される。ホルダー2は、耐熱性樹脂で横断面略半円樋型に形成され、半円筒面側を記録材導入側に指向させた角度姿勢で、定着ローラ内面に非接触に所定の間隔を確保して配設される。ホルダー2は、耐熱性と機械的強度を兼ね備えたPPS系樹脂にガラスを添加した非磁性材料の成型体である。ホルダー2には、PPS系樹脂、PEEK系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、セラミック、液晶ポリマー、フッ素系樹脂などの非磁性材料が適している。
【0037】
ホルダー2の中央部には、ホルダーに沿って第一磁性体コア6aを複数配設して保持させてある。第一磁性体コア6aを挟むように、2つの第二磁性体コア6b、6bを複数配置して保持させてある。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bは、磁気回路の効率を上げるためと磁気遮蔽のために配置される。第一磁性体コア6aおよび第二磁性体コア6bには、高透磁率かつ低損失のものを用いることが好ましく、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアの磁性材料を使用してもよい。
【0038】
励磁コイル5は、第一磁性体コア6aを巻き中心部にして配設される。励磁コイル5は、加熱に十分な交番磁束を発生するため、抵抗成分を低く、インダクタンス成分を高くとる必要がある。ここでは、励磁コイル5のコイル線材は、外径0.17mm、140本、総外径4mmのリッツ線である。励磁コイル5が昇温した場合を考えて、リッツ線の絶縁被覆には耐熱性の材料を使用した。第一磁性体コア6a、および第二磁性体コア6b、6bを定着ローラ7の内周面の近傍に配置することで、励磁コイル5から発生する磁束を定着ローラ7の発熱層内により多く通過させることができ、定着ローラ7の発熱効率が高まる。
【0039】
ホルダーフタ4は、横断面略半円樋型であり、内側に第一磁性体コア6aと励磁コイル5を配設したホルダー2に嵌着される。ホルダーフタ4の材質はホルダー2と同じである。ホルダー2とホルダーフタ4の間に第一磁性体コア6aと励磁コイル5が抑え込まれて保持される。
【0040】
ホルダー2は、両端部が装置側板の外側に設けたホルダー支持板に非回転に支持される。中空の定着ローラ7は、図7に示すように、断熱ブッシュ70b及びベアリング11bを介して、左右の装置側板の間に回転自在に保持されている。
【0041】
図2に示すように、加圧ローラ8の芯金8aは、不図示の加圧ローラ支持フレームに設けたベアリングによって回転自在に保持される。加圧ローラ支持フレームは、不図示の付勢機構(加圧バネ)により、定着ローラ7の下面に対して加圧ローラ8を所定の押圧力にて圧接させて、搬送方向に所定長さを有する加熱ニップNを形成させている。
【0042】
定着ローラ7の長手方向の略中央部位に対向させて温調用サーミスタが配置される。不図示の制御回路は、温調用サーミスタの検出信号に基づいて定着ローラ7を所定の定着温度(目標温度)に温度調整する。制御回路は、定着ローラ7の表面温度が所定の定着温度に維持されるように、温調制御プログラムに従って不図示の電力制御装置(励磁回路)による励磁コイル5への供給電力を制御する。
【0043】
定着装置100に対する記録材Sの通紙は、回転軸線方向の中央に各種サイズの記録材の中心線を位置決める中央基準搬送でなされる。定着装置100においては、通紙可能な最大サイズ紙幅はA4横送りの幅(297mm)、小サイズ紙幅はA4縦送りの幅(210mm)である。
【0044】
ホルダー2の長手方向に沿って第一磁性体コア6aを配設した長さ寸法は、最大サイズ紙幅と略同じである。第二磁性体コア6b、6bを配設した長さ寸法も、最大サイズ紙幅と略同じである。第一磁性体コア6a、及び第二磁性体コア6b、6bが配置された回転軸線方向の領域が定着ローラ7に磁束を入射して加熱する領域である。
【0045】
小サイズ紙幅の記録材Sを通紙したときに最大サイズ紙幅と小サイズ紙幅との差領域に定着ニップ部Nの非通紙部が生じる。磁束による加熱を受けつつ記録材Sによる除熱を受けない非通紙部は、不必要な昇温を発生する可能性がある。
【0046】
このため、定着装置100では、非通紙部の不必要な昇温を回避するために、小サイズ紙幅の記録材Sを通紙する際に、加熱アセンブリ1と定着ローラ7の隙間に配置された遮蔽部材18を、図4の(b)に示すように移動させて磁束を遮蔽する。
【0047】
<磁束の遮蔽部材>
図4は遮蔽部材18の動作の説明図である。遮蔽部材18は、励磁コイル5から定着ローラ7へ作用する磁束の一部を遮蔽するシャッターであって、遮蔽部材18が磁束を遮蔽することで、定着ローラ7の両端の非通紙部の加熱が緩和される。尚、非通紙部の過剰な昇温を抑制する仕組みは、遮蔽部材18には限らない。第一磁性体コア6aを励磁コイル5に対して相対移動可能に配置することで、励磁コイル5から定着ローラ7への磁束経路を変更させ、定着ローラ7の長手方向に関する磁束密度分布を調整してもよい。
【0048】
遮蔽部材18は、定着ローラ7の内周面すれすれの位置を周方向に移動して、非通紙部の磁束を遮蔽する角度位置と磁束を全く遮蔽しない角度位置(退避位置)とのいずれかに位置決め停止される。
【0049】
遮蔽部材18は、自身の昇温を防止するために、誘導電流を流す導電体であって固有抵抗の小さい非磁性材料である銅、アルミニウム、銀若しくはその合金、または材料の抵抗が大きいフェライト等が適している。しかし、鉄やニッケルのような磁性材料であっても、円孔やスリットなどの通孔を形成して渦電流による発熱を抑えることで使用が可能である。遮蔽部材18は、回転軸線方向の両端部に凸部を配置したコの字型の輪郭形状を有し、回転軸線方向の両端部の凸部を用いて非通紙部の磁束を遮蔽する。
【0050】
不図示の制御回路は、加熱ニップNに給送される記録材Sの記録材サイズに応じて遮蔽部の長手方向の幅及び位置を決定して、遮蔽部材18を定着ローラ7の内周面に沿って周方向へ移動させる。制御回路は、図4の(a)に示す退避位置(ホームポジション)から図4の(b)に示す遮蔽位置へ、または図4の(b)に示す遮蔽位置から図4の(a)に示す退避位置へ遮蔽部材18を回転移動させる。
【0051】
図4の(a)に示すように、遮蔽部材18は、最大サイズ紙幅で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1の励磁コイル5とは反対側の退避位置に保持される。退避位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に磁束が実質的に作用しない位置である。遮蔽部材18が退避位置にあるとき、第一磁性体コア6a及び第二磁性体コア6bに導かれて定着ローラ7へ入射する磁束は、長手方向全域で遮蔽されることなく、定着ローラ7の長手方向全域を誘導加熱する。
【0052】
図4の(b)に示すように、遮蔽部材18は、小サイズ紙幅で画像形成を行う際は、定着ローラ7内において加熱アセンブリ1のコイル5側の遮蔽位置に保持される。遮蔽位置は、加熱アセンブリ1から定着ローラ7に作用する磁束を、遮蔽部が非通紙部で一部遮蔽する。遮蔽部材18を小サイズ記録材の非通紙部を遮蔽する形状にすることで、小サイズ記録材が連続して搬送された際に、定着ローラ7端部の非通紙部の過昇温を防止できる。遮蔽部材18が遮蔽位置にあるとき、定着ローラ7に向かう磁束の一部(長手方向端部領域)は、遮蔽部に遮蔽されるので、定着ローラ7の非通紙部の発熱が抑制される。
【0053】
図5に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端側に形成された三か所の貫通孔7aを用いて、C形止め輪50bとスペーサ60を定着ローラ7に一体化させている。一方、定着ローラ7内の中空部に加熱アセンブリ1が内蔵され、定着ローラ7の内周面と加熱アセンブリ1の間の狭い円筒状の隙間を遮蔽部材18が移動する。
【0054】
したがって、三か所の貫通孔7aにC形止め輪50bとスペーサ60の一部分を挿入してC形止め輪50bとスペーサ60とを定着ローラ7に一体化するにあたり、C形止め輪50bとスペーサ60に対する遮蔽部材18の干渉が懸念される。
【0055】
すなわち、定着装置100は、後述するC形止め輪50bの突出部50eを貫通穴7aを通して奥深く十分に侵入させて両者の嵌合関係を強固にする構成を採用することが困難な場合の一例である。実施例1は、このような定着装置100において、特に有効な構成である。
【0056】
<実施例1>
図5は実施例1の定着ローラ端部の組み立て構造の説明図である。図6は周方向の貫通孔の説明図である。図7は周方向の貫通孔の幅の説明図である。図8はスペーサの平面図である。図9はスペーサの装着手順の説明図である。図5に示すように、実施例1の薄肉定着ローラの端部構造は、スペーサ60をC型止め輪50bと同じ貫通孔7aに嵌めて、スペーサ60の回転止めを施している。スペーサ60の回転止めは、C型止め輪50bが断熱ブッシュ70bと摺動することに伴い外れてしまうのを防止する。
【0057】
図5に示すように、定着ローラ7は、両端に開口を有する中空円筒状に形成されるとともに、内部に加熱アセンブリ1が配設されている。定着ローラ7の一方の端部に、断熱部材の一例である断熱ブッシュ70bが外周部に嵌められ、断熱ブッシュ70bの上に軸受部材の一例であるベアリング11bが嵌められ、ベアリング11bが定着装置本体の不図示の支持板金に支持されている。
【0058】
図5に示す定着ローラ7の軸線方向一端側とは反対側、定着ローラ7の軸線方向他端側の外周部には、図7に示すように、定着ローラ7を回転駆動するための定着ローラギア20が嵌めて更に取り付けられる。定着ローラ7の軸線方向他端側には、駆動ギアの一例である定着ローラギア20が外挿されて両者が一体化されており、この定着ローラギア20に外部から駆動力が入力されることにより、定着ローラ7が回転する構成となっている。定着ローラ7は、定着ローラギア20に不図示の外部駆動機構から回転力が伝達されることで、所定の周速度にて回転駆動される。
【0059】
図5に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端部から、ベアリング11bおよび断熱ブッシュ70bが外挿されている。断熱部材の一例である略円筒状の断熱ブッシュ70bは、定着ローラ7に外挿されて定着ローラ7からベアリング11bを通して熱が漏れてしまうのを軽減するためのものである。
【0060】
軸受部材の一例であるベアリング11bは、定着ローラ7を回転自在に支持する。ベアリング11bは、断熱ブッシュ70bに外挿されて断熱ブッシュ70bが回転自在となるように支持している。断熱ブッシュ70bは、定着ローラ7に対して単に外挿されているだけであり、定着ローラ7に対して相対回転し得る構成となっている。断熱ブッシュ70bは、通常は、定着ローラ7と一体に回転する。ベアリング11bは、定着装置本体の支持板金(支持部材)に形成されたU字状の溝部に嵌め込まれることにより位置が固定される構成となっている。
【0061】
図6の(a)に示すように、断熱ブッシュ70bは、円筒の一部がカットされて、スリット70cが形成されている。これは、図3に示した断熱ブッシュ400と同様である。スリット70cを形成する理由は、定着装置の稼動時に断熱ブッシュ70bが熱膨張することを予め見込んでいるためである。
【0062】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の端部から所定の位置に複数設けられた貫通孔7aにスペーサ60の環状部から内側に突出させて設けた突出部の一例であるキー部60aを嵌めることにより、スペーサ60が定着ローラ7に取り付けられる。貫通孔7aは、定着ローラ7の周面に等間隔(120度ごと)に三か所、等しい長さで等しい幅を持たせて周方向に長く形成されている。
【0063】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の軸線方向一端側には、その一端から内側の位置に、3つの貫通孔7aが形成されている。図6の(b)に示すように、これらの貫通孔7aは、それぞれ、周囲の一部が軸線方向に開放された開放型の孔(例、U字状、T字状)ではなく、全周が定着ローラ7の材料に取り囲まれたクローズ型の孔となっている。
【0064】
環状の規制部材(止め輪)の一例であるC形止め輪50bは、定着ローラ7の周面を囲むC形形状に形成されている。図7に示すように、C形止め輪50bは、三か所の貫通孔7aにそれぞれ進入させて、C形止め輪50bを定着ローラ7の回転軸線方向の所定位置に位置決め規制する複数の突出部50eを有する。
【0065】
図5に示すように、C形止め輪50は、ステンレスばね鋼の角形線材を、ワイヤーフォーミング加工により折り曲げて、C形の輪郭と内周へ突き出した3箇所の突出部50eが形成されている。C形止め輪50bは、内周の3箇所の突起部50eを、定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aにそれぞれ嵌め込んで定着ローラ7に固定される。
【0066】
図8に示すように、環状のスペーサ部材の一例であるスペーサ60は、板状の材料から輪郭を切り抜いて形成されて、1つの貫通孔7aに進入させる1つのキー部(嵌合部)60aを有する。スペーサ60は、C形止め輪50bが断熱ブッシュ70bと接触しないように、C形止め輪50bをカバーする。スペーサ60は、金属の薄板材料を型抜きして形成され、環状の輪郭の内周の一か所にキー部60aを設けている。
【0067】
図7に示すように、スペーサ60のキー部60aを、三か所の貫通孔7aのうちの1つに突出部50eと重ねて進入させることにより、スペーサ60が定着ローラ7の周方向の所定位置に位置決め規制される。図6の(b)に示すように、スペーサ60のキー部60aを定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aのいずれかに進入させることにより、スペーサ60が定着ローラ7に対して回り止めされる。
【0068】
図7に示すように、ベアリング11bの外周部には溝部11cが形成されている。この溝部11cの上部は、ワイヤ状の固定部材90に引っ掛けられ、そして、このワイヤ状の固定部材90の両端が定着装置本体の支持板金に固定されることにより、ベアリング11bが支持板金に位置決め固定される。その結果、ベアリング11bの定着ローラ7の軸線方向における位置が決まる。
【0069】
定着ローラ7には、ベアリング11b、断熱ブッシュ70bをこの順に嵌めた(外挿した)後、スペーサ60を定着ローラ7に外挿して装着し、さらにC形止め輪50bを弾性的に少し拡径させた状態で定着ローラ7に外挿して装着している。したがって、C形止め輪50bにより、スペーサ60を介して、断熱ブッシュ70bが定着ローラ7に沿った長手方向(軸線方向)の位置が規制される。つまり、断熱ブッシュ70bは、図6において、左方への移動が規制されて、定着ローラ7からの脱落が防止される構成となっている。
【0070】
図6の(a)に示すように、定着ローラ7の端部には、貫通孔7aが三か所に開いている。定着ローラ7の3箇所の貫通孔7aの位置関係はそれぞれ120°の角度で設けられている。図5に示すように、C形止め輪50bの3箇所の突出部50eの位置関係はそれぞれ120°の角度で設けられている。このため、C形止め輪50bの定着ローラ7に対する位置決め角度は特に規定されず、120°ごとの任意の角度位置で、C形止め輪50bは定着ローラ7に取付け可能である。
【0071】
三か所の貫通孔7aのうちの1つには、上記のようにキー部60aが嵌められた後に、さらに、C形止め輪50bの突出部50eが嵌められている。その結果、キー部60a用の貫通穴を別途設けることが不要となり、貫通穴を別途設けることによる定着ローラ7の剛性の低下を可及的に防止することができる。
【0072】
図7に示すように、キー部60aが接触していることで、C形止め輪50bの突出部50eが貫通穴(7a:図5)から外れ難くなっている。貫通孔7aの溝幅は、スペーサ60の厚みとC形止め輪50bの厚みの合計に対応している。スペーサ60のキー部60aの厚みをXとし、C形止め輪50bの厚みをYとし、定着ローラ7の貫通孔7aの幅をZとする。このとき、次式の関係が成立するようにそれぞれの厚み、幅が設定されている。
Z=X+Y
【0073】
実施例1では、X=0.2mm、Y=1mm、Z=1.2mmである。スペーサ60のキー部60aの厚みXとC形止め輪50bの厚みYとの和が貫通孔7aの幅Zに実質等しいため、C形止め輪50bは、貫通孔7aに幅方向の隙間を生じることなく保持される。ただし、キー部60とC形止め輪50bの嵌め込みに必要なガタ程度の隙間はある。これにより、C形止め輪50bとスペーサ60が定着ローラ7に密着して固定されるので、C形止め輪50bが定着ローラ7から外れ難くなる。
【0074】
スペーサ60の外径は、断熱ブッシュ70bの外径より大きく設定している。スペーサ60の外径が、断熱ブッシュ70bの外径より大きく設定されているため、断熱ブッシュ70bが、C形止め輪50bと擦れることを防止できる。実施例1では、スペーサ60の外径は48.5mmであり、断熱ブッシュ70bの外径は48mmである。
【0075】
図8に示すように、スペーサ60は、定着ローラ7の周面を囲む楕円形に形成された内周における楕円の長径の一端側にキー部(嵌合部)60aが配置される。楕円の長径は、貫通孔7aに進入させたキー部60aを中心にして回転させたキー部60aの反対側が定着ローラ7の端部を通過可能な長さである。
【0076】
スペーサ60は、材質がバネ材である厚み0.2mmのステンレス薄板材料であって、輪郭が円形状で内周が楕円形状をしており、内周の一か所にキー部60aを設けている。楕円形状は、短径向長さA、長径方向長さBの形状をとっており、Aは、定着ローラ7の外径に一致するようにしている。そして、スペーサ60の楕円形状の内周の長径方向の長さBは、次式の関係が成り立つように設定している。
【0077】
【数1】
【0078】
また、キー部60aの先端から中心線に沿ったスペーサ60の対向部までの長さCは、次式の関係を保持している。
【0079】
【数2】
【0080】
図9の(a)に示すように、スペーサ60を傾けて、キー部60aを3箇所の貫通孔7aの内の任意の1箇所に嵌合させ、そのまま定着ローラ7の外径に嵌めるようにスペーサ60を倒していくことにより、定着ローラ7にスペーサ60が装着される。
【0081】
図9の(b)に示すように、貫通孔7aは、定着ローラ7の端面からD離れた位置に設けられている。これにより、キー部60aを貫通孔7aに挿入してスペーサ60を傾けて装着する際、スペーサ60の内径が定着ローラ7の外径Aよりも小さくならない。そのため、定着ローラ7の外径に干渉することなく、スペーサ60を、断熱ブッシュ70bの面と接する位置まで起立させて定着ローラ7に装着することができる。
【0082】
また、式1のようにBを設計することで、定着ローラ7へのスペーサ60装着時のスペーサ60のガタつき(B−A)を最も少なくすることができ、キー部60aと定着ローラ7との引っ掛かりを十分に保つことが可能となる。実施例1では、A=40mm、D=4mmであるため、式よりB=40.2mmとしている。また、Aは、定着ローラ7の外径40mmに一致している。
【0083】
また、式2のようにCを設計することで、定着ローラ7とのスペーサ60のガタつき(B−A)の和が、定着ローラ外径Aより小さいため、必ず、キー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7とスペーサ60が連れ回る。実施例1では、C=39.1mmとしており、定着ローラ7とのスペーサ60のガタつきB−A=0.2mmとの和が39.3mmであり、定着ローラ7外径のA=40mmより小さい。このため、キー部60a先端は、定着ローラ7外径面より少なくとも0.7mm突き出して引っ掛かりを保持している。
【0084】
また、実施例1の定着ローラ7の肉厚は0.6mmであって、スペーサ60のキー部60a先端が定着ローラ7外径面より少なくとも0.7mm引っ掛かりを保持している。このため、図6の(b)に示すように、キー部60aの先端部は、定着ローラ7の内周面より内側に少なくとも0.1mm突出している。したがって、定着ローラ7が回転した時に、確実にキー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7からスペーサ60が外れることなく確実に連れ回る。
【0085】
図6の(a)に示すように、実施例1では、スペーサ60のキー部60aとC形止め輪50bの係合部では、遮蔽部材18までのクリアランスを1.2mmと十分に確保している。このため、遮蔽部材18が移動したとしても、内周面に最高で0.1mm+0.2mm突き出すキー部60aは遮蔽部材18に干渉しないようにすることが可能となる。
【0086】
なお、図7に示すように、定着ローラ7の軸線方向他端側では、定着ローラ7に外挿された断熱ブッシュとC形止め輪との間に定着ローラギア20が挟まれて配置される。
【0087】
以上説明したように、実施例1の定着ローラ組み立て構造によれば、C形止め輪50bと断熱ブッシュ70bの間にスペーサ60を配置して、C形止め輪50bと断熱ブッシュ70bとが直接に接触することを回避している。つまり、断熱ブッシュ70bのスリット70cにC形止め輪50bが引っ掛からないようにしている。
【0088】
そして、スペーサ60は、キー部60aにより定着ローラ7に拘束されてC形止め輪50bとスペーサ60とが実質一体的に回転することになるため、C形止め輪50bに対してスペーサ60から回転摺動力が生じることがなくなる。
【0089】
また、C型止め輪50bの突出部50eが嵌り込む定着ローラ7の貫通孔7aに対して、スペーサ60のキー部60aを嵌め込む構成としたことにより、C型止め輪50bが定着ローラ7からより一層外れ難くなるようにすることができる。
【0090】
なお、断熱ブッシュ70bが定着ローラ7に対して非回転となるように固定されていないため、断熱ブッシュ70bがスペーサ60と摺動し得る構成となっている。しかし、スペーサ60の摺動面が平滑な面となっており、断熱ブッシュ70bのフランジ部(側面)には磨耗による劣化が生じ難い構成となっていることから、断熱ブッシュ70bの寿命低下を抑制することが可能となる。
【0091】
<実施例2>
図10は実施例2におけるスペーサの構成の説明図である。図11はスペーサの装着手順の説明図である。実施例2は、スペーサのキー部の構造が少し異なる以外は実施例1と同一の構成部品を用いて同一に構成されている。このため、図10、図11中、実施例1と共通する構成には図5〜図9と共通の符号を付して重複する説明を省略する。
【0092】
図10の(a)に示すように、スペーサ60は、定着ローラ7の周面を囲む環状の内周から突出させたキー部60aの周方向の両側に、キー部60aの曲げ変位を容易にするための切り込みを形成されている。スペーサ60のキー部60aは、一部折り曲げ形状をしている。また、スペーサ60は、材質がバネ材であるSUS製で、厚みが0.2mmであるため、キー部60aの曲げ弾性部60bは弾性を生じている。よって、実施例2では、曲げ弾性部60bの弾性により、キー部60aがたわむ構成となっている。
【0093】
図10の(a)に示すように、実施例2では、キー部60aの曲げ形状は、正面図において、キー部60aを投影した内径形状が内径Aの円形状になり、定着ローラ7の外径Aと等しくなるまでたわませることが可能となっている。キー部60aは、内径面から外径側に5mmの切り込みを入れて折り曲げている。
【0094】
図10の(b)に示すように、キー部60aが30°曲げられた時点で、正面図における投影円直径が40mmとなる。また、スペーサ60を取り外した自然状態では、20°曲がった状態で保持されているため、正面図における投影円直径が40mmより小さくなる。
【0095】
図10の(c)に示すように、キー部60aの曲げ弾性部60bを軽く曲げ戻すことで、スペーサ60の円平面に平行になるように合わせることが可能である。キー部60aの先端とキー部60aの先端から中心線に沿ったスペーサ60の対向部までの長さCは、定着ローラ7外径Aに対して、「A>C」の関係を保持している。実施例2では、A=40mm、C=39.3mmとしている。
【0096】
図11の(a)に示すように、定着ローラ7に実施例2のスペーサ60が装着される。キー部60aをたわませた場合、曲げ弾性部60bが曲がりスペーサ60aの正面投影円径Aは定着ローラ外径Aと等しくなるため、スペーサ60は、定着ローラ7端面から軸方向内側にそのままスライドさせながら嵌めることができる。その後、キー部60aが貫通孔7aまで到達したら、キー部60aの先端部を任意の一箇所の開口部にはめ込む。
【0097】
図11の(b)に示すように、定着ローラ7にC形止め輪50bが装着される。キー部60aの曲げ弾性部60bの曲げを図10の(d)のように戻した後は、実施例1と同様に、C形止め輪50bの3つの突出部50eのうち任意の1つをキー部60aとともに貫通孔7aに嵌め込む。そして、C形止め輪50bの残り2つの突出部50eは他の2つの貫通孔7aに嵌め込まれる。つまり、C形止め輪50bの3つの突出部50eは、定着ローラ7の周方向に等間隔(120°間隔)で形成された3つの貫通穴7aにそれぞれ嵌め込まれる。
【0098】
この際、実施例2においても、実施例1と同様に定着ローラ7の肉厚が0.6mmである。よって、キー部60a先端部は、定着ローラ7内径面より内側に少なくとも0.1mm突出している。そのため、定着ローラ7が回転した時に、確実にキー部60aが定着ローラ7と引っ掛かり、定着ローラ7からスペーサ60が外れることなく確実に連れ回る。
【0099】
また、実施例2の特徴として、スペーサ60のキー部60aに曲げを追加し、弾性を持たせたことで、スペーサ60の内周部の内径形状が円形状となっている。このため、スペーサ60の内径Aが定着ローラ7外径Aと等しくなるため、実施例1では、スペーサ60の内周部と定着ローラ7の外周部とのガタつきが生じていたが、そのガタつきが生じなくなり、より定着ローラとスペーサが密着して連れ回り可能となる。
【0100】
但し、実施例2では、キー部60aの曲げ領域を確保するために、スペーサ60の外径を、実施例1よりも大きくする必要があり、スペーサ60の周囲に実施例1よりも大きなスペースを要する面も同時に生じる。実際、実施例2のスペーサ60の外径は60mmであり、実施例1の48.5mmより大きくなっている。
【0101】
<実施例3>
図12は実施例3におけるC形止め輪の説明図である。実施例3は、C形止め輪50bの輪郭形状が異なる以外は、実施例1と同一に構成される。したがって、図12中、実施例1と共通する構成には図5等と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0102】
図12に示すように、軸方向に見て断面図示した定着ローラ7は、端部の周面の120度ごとの角度位置に、等しい長さで等しい幅の3つの周方向の貫通孔7aが配置されている。C形止め輪50bは、3つの周方向の貫通孔7aにそれぞれ突起部U1+U4、U2、U3を進入させてC形止め輪50bを定着ローラ7に沿った軸方向の所定位置に位置決める。スペーサ60は、3つの周方向の貫通孔7aのうちの1つに突起部U1+U4と重ねて進入させて、スペーサ60を定着ローラ7の周方向の所定位置に位置決めるキー部60aを有する。
【0103】
C形止め輪50bは、定着ローラ7の外周面を周回して周方向に対向する一対の突起部U1、U4において開閉可能に形成されるとともに、一対の突起部U1、U4の他に120度ごとの2つの角度位置に対応させた一組の突起部U2、U3を有する。C形止め輪50bは、一対の突起部U1、U4を1つの貫通孔7aに進入させて、一組の突起部U2、U3を残りの貫通孔7aに進入させることにより、定着ローラ7の周面に三点支持される。
【0104】
以上、本発明を適用可能な例として、電磁誘導加熱方式の定着装置について説明したが、例えば、ハロゲンヒータ等の他の加熱方式を採用した定着装置でも有効である。
【0105】
また、上記実施例では、定着ローラギア20が取り付けられていない端部構造について説明したが、定着ローラギア20が外挿された定着ローラ端部においても、同様に、C形止め輪の内側にスペーサを配置する構成を採用してもよい。
【0106】
また、本発明は、記録材品位を向上させるカール除去装置、記録材に定着された画像を再加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢向上装置においても実施できる。画像が形成される前の記録材を加熱して乾燥させる記録材乾燥装置等においても実施できる。記録材を加熱しつつ搬送する搬送ローラ(記録材搬送部材)を備えた記録材搬送装置においても実施できる。この場合、詳細な説明は省略するが、上述した各実施例において、画像加熱ローラ(定着ローラ)を搬送ローラ(加熱器を内蔵した記録材搬送部材)と読み替えれば良い。
【符号の説明】
【0107】
1 加熱アセンブリ、2 ホルダー、3 ステイ、4 ホルダーフタ
5 励磁コイル、6a 第一磁性体コア、6b 第二磁性体コア
7 定着ローラ、7a 貫通孔、8 加圧ローラ、11a、11b ベアリング
14 分離爪、16 サーミスタ、18 遮蔽部材、20 定着ローラギア(駆動ギア)
50b C形止め輪、60 スペーサ、60a キー部
60b 曲げ弾性部、70b 断熱ブッシュ、100 定着装置
U1、U2、U3、U4 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空の画像加熱ローラと、
前記画像加熱ローラに外挿されるベアリングと、
前記画像加熱ローラと前記ベアリングとの間に位置するように前記画像加熱ローラに外挿される断熱ブッシュと、
前記画像加熱ローラに対し前記断熱ブッシュが軸線方向へ移動するのを規制する止め輪と、
前記断熱ブッシュと前記止め輪との間に配置される環状のスペーサと、を備え、
前記止め輪は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサは、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出したキー部を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記環状のスペーサは、前記止め輪が前記断熱ブッシュと接触しないように、前記止め輪をカバーするように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記画像加熱ローラは、その前記軸線方向一端側に別の貫通穴が形成されており、
前記止め輪は、前記別の貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した別の突出部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記画像加熱ローラは、その前記軸線方向一端側に前記貫通孔が周方向に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記画像加熱ローラの周方向に沿って延びたスリットであり、
前記キー部は、前記スリットの形状に対応して前記画像加熱ローラの周方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記環状のスペーサは、その内周部が楕円の形状となっており、その楕円の長径の一端側に前記キー部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記画像加熱ローラの前記中空部に配置され前記画像加熱ローラを電磁誘導加熱するための励磁コイルを更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
前記画像加熱ローラの軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項9】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の画像加熱部材と、
前記画像加熱部材に外挿される軸受部材と、
前記画像加熱部材と前記軸受部材との間に位置するように前記画像加熱部材に外挿される断熱部材と、
前記画像加熱部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、
前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、
前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項10】
前記環状のスペーサ部材は、前記環状の規制部材が前記断熱部材と接触しないように、前記環状の規制部材をカバーするように設けられていることを特徴とする請求項9に記載の画像加熱装置。
【請求項11】
前記画像加熱部材は、その前記軸線方向一端側に別の貫通穴が形成されており、
前記環状の規制部材は、前記別の貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した別の突出部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像加熱装置。
【請求項12】
前記画像加熱部材は、その前記軸線方向一端側に前記貫通孔が周方向に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の画像加熱装置。
【請求項13】
前記貫通孔は、前記画像加熱部材の周方向に沿って延びたスリットであり、
前記嵌合部は、前記スリットの形状に対応して前記画像加熱部材の周方向に沿って延びていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項14】
前記環状のスペーサ部材は、その内周部が楕円の形状となっており、その楕円の長径の一端側に前記嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項15】
前記画像加熱部材の前記中空部に配置され前記画像加熱部材を電磁誘導加熱するための励磁コイルを更に有することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項16】
前記画像加熱部材の軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項17】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の記録材搬送部材と、
前記記録材搬送部材に外挿される軸受部材と、
前記記録材搬送部材と前記軸受部材との間に位置するように前記記録材搬送部材に外挿される断熱部材と、
前記記録材搬送部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、
前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、
前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有することを特徴とする記録材搬送装置。
【請求項18】
前記記録材搬送部材の内部に配置され前記記録材搬送部材を加熱するための加熱器を更に有することを特徴とする請求項17に記載の記録材搬送装置。
【請求項19】
前記記録材搬送部材の軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項17又は18に記載の記録材搬送装置。
【請求項1】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空の画像加熱ローラと、
前記画像加熱ローラに外挿されるベアリングと、
前記画像加熱ローラと前記ベアリングとの間に位置するように前記画像加熱ローラに外挿される断熱ブッシュと、
前記画像加熱ローラに対し前記断熱ブッシュが軸線方向へ移動するのを規制する止め輪と、
前記断熱ブッシュと前記止め輪との間に配置される環状のスペーサと、を備え、
前記止め輪は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサは、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出したキー部を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項2】
前記環状のスペーサは、前記止め輪が前記断熱ブッシュと接触しないように、前記止め輪をカバーするように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像加熱装置。
【請求項3】
前記画像加熱ローラは、その前記軸線方向一端側に別の貫通穴が形成されており、
前記止め輪は、前記別の貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した別の突出部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像加熱装置。
【請求項4】
前記画像加熱ローラは、その前記軸線方向一端側に前記貫通孔が周方向に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像加熱装置。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記画像加熱ローラの周方向に沿って延びたスリットであり、
前記キー部は、前記スリットの形状に対応して前記画像加熱ローラの周方向に沿って延びていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項6】
前記環状のスペーサは、その内周部が楕円の形状となっており、その楕円の長径の一端側に前記キー部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項7】
前記画像加熱ローラの前記中空部に配置され前記画像加熱ローラを電磁誘導加熱するための励磁コイルを更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項8】
前記画像加熱ローラの軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項9】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の画像加熱部材と、
前記画像加熱部材に外挿される軸受部材と、
前記画像加熱部材と前記軸受部材との間に位置するように前記画像加熱部材に外挿される断熱部材と、
前記画像加熱部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、
前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、
前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有することを特徴とする画像加熱装置。
【請求項10】
前記環状のスペーサ部材は、前記環状の規制部材が前記断熱部材と接触しないように、前記環状の規制部材をカバーするように設けられていることを特徴とする請求項9に記載の画像加熱装置。
【請求項11】
前記画像加熱部材は、その前記軸線方向一端側に別の貫通穴が形成されており、
前記環状の規制部材は、前記別の貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した別の突出部を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の画像加熱装置。
【請求項12】
前記画像加熱部材は、その前記軸線方向一端側に前記貫通孔が周方向に等間隔に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の画像加熱装置。
【請求項13】
前記貫通孔は、前記画像加熱部材の周方向に沿って延びたスリットであり、
前記嵌合部は、前記スリットの形状に対応して前記画像加熱部材の周方向に沿って延びていることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項14】
前記環状のスペーサ部材は、その内周部が楕円の形状となっており、その楕円の長径の一端側に前記嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項15】
前記画像加熱部材の前記中空部に配置され前記画像加熱部材を電磁誘導加熱するための励磁コイルを更に有することを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項16】
前記画像加熱部材の軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の画像加熱装置。
【請求項17】
その軸線方向一端側に貫通孔が形成された中空円筒状の記録材搬送部材と、
前記記録材搬送部材に外挿される軸受部材と、
前記記録材搬送部材と前記軸受部材との間に位置するように前記記録材搬送部材に外挿される断熱部材と、
前記記録材搬送部材に対し前記断熱部材が軸線方向へ移動するのを規制する環状の規制部材と、
前記断熱部材と前記環状の規制部材との間に配置される環状のスペーサ部材と、を備え、
前記環状の規制部材は、前記貫通孔に嵌り得るように内側へ突出した突出部を有し、
前記環状のスペーサ部材は、前記貫通孔に嵌まり得るように内側へ突出した嵌合部を有することを特徴とする記録材搬送装置。
【請求項18】
前記記録材搬送部材の内部に配置され前記記録材搬送部材を加熱するための加熱器を更に有することを特徴とする請求項17に記載の記録材搬送装置。
【請求項19】
前記記録材搬送部材の軸線方向他端側に取り付けられる駆動ギアを更に有することを特徴とする請求項17又は18に記載の記録材搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−29829(P2013−29829A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138401(P2012−138401)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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