説明

画像化システム

【課題】本発明の開示により、新規画像化部材および新規画像化法が提供される。
【解決手段】結晶形態の化合物が、少なくとも部分的に、そして好ましくは、実質的に完全または完全に、非晶質形態の液体に転換され、この液体が、結晶形態とは異なる色を固有に有する、画像化部材が開示される。また開示されるものは、この画像化部材を利用した画像化法である。結晶形態から液体形態へのこの化合物の転換は、熱エネルギーの印加または他の画像化技術によって達成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、仮出願第60/451,208号(2003年2月28日出願)の利益を主張する。
【0002】
本出願は、以下の同一人に譲渡された、米国特許出願および特許に関し、これらの全体の開示は、その全体が、本明細書中で参考として援用される:
米国特許出願第xx/XXX,XXX号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号C−8586AFP);
米国特許出願第yy/YYY,YYY号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号8587AFP);
米国特許出願第zz/ZZZ,ZZZ号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号8588AFP);
米国特許出願第aa/AAA,AAA号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号8589AFP);
米国特許出願第10/151,432号(2002年5月20日出願)(米国特許出願公報第US2003/0125206 A1号);および
米国特許第6,537,410 B2号。
【0003】
(本発明の分野)
本発明は、画像化部材、画像を形成するための画像化法および熱画像化部材を製造するための方法に関し、さらに特に、結晶形態の化合物が、少なくとも部分的に、液体形態または非晶質形態に転換され、この液体が結晶形態とは異なる色を固有に有する場合、画像の形成が生じる、画像化部材および画像化法に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
熱プリントヘッド(個々にアドレス可能なレジスタの線形配列)の開発は、多種多様な熱感受性媒体の開発を導いている。「熱転写」系として公知であるこれらのいくつかにおいて、熱は、有色の物質をドナーシートからレシーバシートへ移動させるために使用される。あるいは、熱は、「直接的熱」画像化として公知のプロセスにおいて、単一のシート上の無色のコーティングを、有色の画像へ転換するために使用され得る。直接的熱画像化は、熱転写と比べて、単一シートの単純さという利点を有する。一方、固定工程が、組み込まれない場合、直接的熱系は、熱印刷の後、依然として熱に感受性である。固定されていない直接的熱系からの安定な画像が必要な場合、呈色のための温度は、画像が、通常使用時に遭遇し得るいかなる温度よりも高くなければならない。熱プリントヘッドを用いて印刷される場合、呈色のための温度が高いほど、媒体はより感受性にならないという点において、問題が生じる。高い感受性は、印刷の最大速度、プリントヘッドの寿命の最大化、および移動性の電池式プリンターにおけるエネルギー保存にとって重要である。以下によって詳細に記載されるように、安定性を維持しての感受性の最大化は、直接的熱媒体の呈色の温度が、加熱時間に実質的に非依存性である場合、より簡単に達成される。
【0005】
熱プリントヘッドは、画像の1レーンを一度に処理する。合理的な印刷時間について、画像の各レーンは、約10ミリ秒またはそれ以下の間、加熱される。しかしながら、媒体(印刷前または最終画像の形態における)の保管は、数年間を必要とし得る。従って、高い画像感受性にとって、高い呈色度は、短時間の加熱に必要とされ、一方、良好な安定性にとって、低い呈色度は、長時間の加熱で必要とされる。
【0006】
大部分の化学反応は、温度の上昇とともに加速する。従って、熱プリントヘッドからの利用可能な短い加熱時間の呈色に必要とされる温度は、長い保管時間の間に呈色を引き起こすために必要とされる温度よりも通常高い。実際、この温度順序を逆にすることは、非常に難しい課題であるが、呈色の実質的に時間非依存性の温度(呈色のための長時間および短時間の温度が、実質的におなじであるような)を維持することは、本発明によって達成される所望の目的である。
【0007】
時間非依存性の呈色温度が、望ましくあり得る他の理由が存在する。例えば、印刷後に、比較的長時間の加熱を必要とする第二の熱工程を行うことが、必要とされ得る。このような工程の例としては、画像の熱ラミネーションが挙げられる。熱ラミネーションに必要な時間の媒体の間の呈色温度は、ラミネーション温度よりも高くなければならない(そうでなければ、この媒体は、ラミネーションの間有色になる)。画像化温度は、呈色の時間非依存性の温度の場合、できる限り小さい差でラミネーション温度よりも高いことが好ましい。
【0008】
最後に、画像化系は、上記の特許出願第10/151,432号のように、1つより多くの色形成層を備え得、そして、単一の熱プリントヘッドを用いて印刷されるように設計され得る。画像化系の一実施形態において、最も上の色形成層は、比較的高い温度、比較的短い時間で色を形成し、一方、下の層は、比較的低い温度、比較的長時間で色を形成する。この型の直接的熱画像化系のための理想の最上層は、呈色の時間非依存的温度を有する。
【0009】
直接的熱画像化系の先行技術は、いくつかの種々の化学的機構を使用して色における変化を生じている。いくつかのものは、固有に不安定で、そして、加熱された場合、分解して可視色を形成する化合物を使用している。このような色の変化は、単分子化学反応を含み得る。この反応は、色を無色の前駆体から形成させるか、有色物質の色を変化させるか、または有色物質を脱色させ得る。反応速度は、加熱によって促進される。例えば、米国特許第3,488,705号は、加熱により分解し、脱色する熱に不安定なトリアリールメタン色素の有機酸塩を開示する。米国再発行特許第29,168号として再発行された米国特許第3,745,009号、および米国特許第3,832,212号は、−−OR基(例えば、炭酸基)で置換された複素環式窒素原子を含有する、感熱複写法のための熱感受性化合物(これらは、加熱の際に、窒素−酸素結合のホモリティックまたはヘテロリティックの開裂を受けて、部分的にさらに断片化し得るRO+イオンまたはRO’ラジカルおよび色素塩基または色素ラジカルを生じることによって脱色する)を開示する。米国特許第4,380,629号は、活性化エネルギーに応答して開環および閉環を介して可逆的または不可逆的に、呈色または脱色を受けるスチリル様化合物を開示する。米国特許第4,720,449号は、無色の分子を有色形態に転換する分子内アシル化反応を記載する。米国特許第4,243,052号は、色素を形成するために使用され得るキノフタロン前駆体の混合炭酸塩の熱分解を記載する。米国特許第4,602,263号は、色素を除去するため、または色素の色を変化するために使用され得る熱的に除去可能な保護基を記載する。米国特許第5,350,870号は、色変化を誘導するために使用され得る分子内アシル化反応を記載する。単分子色形成反応のさらなる例は、「New Thermo−Response Dyes:Coloration by the Claisen Rearrangement and Intramolecular Acid−Base Reaction Masahiko Inouye,Kikuo Tsuchiya,およびTeijiro Kitao,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.31,pp.204−5(1992)」に記載される。
【0010】
全ての上記の例において、化学反応の制御は、温度変化とともに生じる速度変化を介して達成される。相変化のない化学反応の速度における熱的誘導性の変化は、しばしば、アレニウス式によって概算され、ここで、速度定数は、絶対温度の減少の逆数(すなわち、温度が上昇するように)指数関数的に増加する。絶対温度の逆数に対する速度定数の対数に関連する直線の傾きは、いわゆる「活性化エネルギー」に比例する。上記の先行技術の化合物は、画像化する前に、非晶質状態においてコーティングされ、従って室温と画像化温度との間に生じるような相の変化がないことが、期待されるかまたは記載される。従って、先行技術において使用されるようなこれらの化合物は、強い時間依存性の呈色温度を示す。結晶形態において単離されたようないくつかのこれらの先行技術の化合物が、記載される。それにもかかわらず、化合物の結晶が融解するときに生じ得る色形成反応の活性化エネルギーにおけるいかなる変化もこの先行技術において、決して言及されていない。
【0011】
他の先行技術の熱画像化媒体は、画像形成を引き起こす融解に依存する。代表的に、互いに反応して色変化を生じる2つ以上の化合物が、これらが互いに分離されるような方法(例えば、小さい結晶の分散として)で基材上にコーディングされる。化合物自体またはさらなる易融ビヒクルのいずれかの融解は、これらに互いの接触をもたらし、可視画像を形成させる。例えば、無色色素の前駆体は、加熱誘導される試薬との接触の際に色を形成し得る。この試薬は、「Imaging Processes and Materials」,Neblette’s Eighth Edition,J.Sturge,V.Walworth,A.Shepp,Eds.,Van Nostrand Reinhold,1989,pp.274−275」に記載されるような、プレンステッド酸、または、例えば、米国特許第4,636,819号に記載されるようなルイス酸であり得る。酸性試薬を用いる使用にとって適切な色素前駆体は、例えば、米国特許第2,417,897号、南アフリカ特許第68−00170号、南アフリカ特許第68−00323号およびドイツ出願公開公報第2,259,409号に記載される。このような色素のさらなる例は、Ina FletcherおよびRudolf Zinkによる「Synthesis and Properties of Phthalide−type Color Formers」、「Chemistry and Applications of Leuco Dyes」,Muthyala(編),Plenum Press,New York,1997に見出され得る。酸性物質は、例えば、フェノール誘導体または芳香族カルボン酸誘導体であり得る。このような熱画像化物質およびこれらの種々の組み合わせは、現在周知であり、これらの物質を使用する熱感受性記録素子を調製する種々の方法もまた、周知であり、例えば、米国特許第3,539,375号、同第4,401,717号および同第4,415,633号に記載されている。
【0012】
少なくとも2つの個々の成分が、融解転移の後、混合される先行技術の系は、熱プリントヘッドによる非常に短時間で画像を形成するために必要な温度が、より長い期間の加熱の間、媒体を呈色するために必要な温度よりも実質的に高くあり得るという欠点を有する。この差異は、融解した成分をともに混合するために必要な拡散速度の変化(これは、加熱が、非常に短い期間印加される場合、限定され得る)によって引き起こされる。温度は、個々の成分の融点以上に十分に上昇してこの遅い拡散速度を克服する必要があり得る。しかしながら、拡散速度は、長期間の加熱の間、限定され得ず、これらの場合において呈色が起きる温度は、実際、個々の成分のいずれの融点よりも低くあり得、結晶物質の混合物の共融の融点で生じ得る。
【0013】
従って、直接的熱画像化系の多くの先行技術の例にもかかわらず、画像形成の温度が、実質的に時間非依存性である例はない。特に、以前は、結晶の化合物が、液体または非晶質の形態に転換されて、この液体形態が、結晶形態とは異なる色を固有に有する、画像を生じさせるための方法は、記載されていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
(発明の要旨)
従って、新規画像化法を提供することは、本発明の目的である。
【0015】
本発明の別の目的は、画像が形成される温度が、時間非依存性である熱画像化法を提供することである。
【0016】
画像が、結晶形態の固体化合物を、少なくとも部分的に非晶質形態の液体に転換することによって形成される画像化法を提供することは、別の目的である。
【0017】
さらに別の目的は、少なくとも1色の分離画像が、結晶形態の固体化合物を、少なくとも部分的に、非晶質形態の液体に転換することによって形成される、多色熱画像化法を提供することである。
【0018】
本発明のさらに別の目的は、新規画像化部材を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、直接的熱画像化部材の製造のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の一局面に従うと、結晶形態の化合物が、少なくとも部分的に、そして好ましくは実質的に完全にまたは完全に、非晶質形態の液体(この液体は、結晶形態とは異なる色を固有に有する)に転換される画像化法が、提供される。この液体形態への転換は、熱画像化において公知の任意の技術により(例えば、熱プリントヘッド、レーザー、加熱針などから)、熱を熱画像化部材に印加することによって、行われ得る。別の実施形態おいて、この液体形態への転換は、結晶固体のための溶媒インクジェットを適用することによって(例えば、結晶物質を少なくとも部分的に溶解させるための画像化器具から)達成され得る。別の実施形態において、1つ以上の熱溶媒(これらは、結晶物質である)は、熱画像化部材に組み込まれ得る。結晶性熱溶媒は、加熱されて融解し、そして溶解または液化し、それによって、少なくとも部分的に、結晶性画像形成物質を液体の非晶質形態に転換して画像を形成する。本発明の結晶化合物を加熱または溶解させることによる結晶形態の液体または非晶質形態への転換は、高粘性または低粘性の物質を生じ得る。代表的に、1012Pa.sより高い粘性を有する液体または非晶質の物質は、ガラスと呼ばれる。結晶形態の融解は、冷却することによってガラスになる流動性液体を生じ得る。冷却することによって粘性が1012Pa.sに達する温度は、ガラス転移温度(または、Tg)と呼ばれる。所望の安定度を有する画像を形成するために、結晶形態への液体形態または非晶質形態の再結晶化が起きないことが、好ましい。液体形態または非晶質形態がガラスである場合、再結晶化は、ゆっくりで(すなわち、そのTg以下の温度で)あることは、あり得る。この理由から、本発明の液体形態または非晶質形態の化合物のTgは、実質的に室温以上であることが好ましい。好ましいTgは、約50℃以上である。
【0021】
本発明の別の局面において、新規熱画像化部材が提供される。本発明の熱画像化部材は、概して、結晶形態の化合物を含む少なくとも1つの画像形成層を保持する基材を備える。この化合物は、前述のとおり、少なくとも部分的に、非晶質形態の液体に転換され得、この液体は、結晶形態とは異なる色を固有に有する。熱画像化部材は、単色または多色であり得、そして画像が、上記画像形成層のうちの少なくとも1つで形成される温度は、時間非依存性である。
【0022】
本発明の多色熱画像化部材は、結晶形態の化合物を含む少なくとも1つの画像形成層を備え得る。この化合物は、前述のとおり、少なくとも部分的に、非晶質形態の液体に転換され得、この液体は、結晶形態とは異なる色を固有に有する。そして少なくとも1つの画像形成層は、種々の機構によって色を形成する物質を含む。
【0023】
本発明に従う好ましい熱画像化部材は、同一出願人による米国特許第6,537,410 B2号(これは、その全体が本明細書中で援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載される構造を有するものである。
【0024】
他の好ましい熱画像化部材は、先の同時係属中の同一出願人による米国特許出願第10/151,432号(2002年5月20日出願)(特許出願公開第US2003/0125206号)(その全体が本明細書中で援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載される構造を有するものである。
【0025】
さらなる好ましい熱画像化部材は、米国特許第6,054,246号(その全体が本明細書中で援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載される構造を有するものである。
【0026】
本発明の別の局面において、本発明の熱画像化部材を製造するための方法が提供される。概して、この方法は、化合物が不溶性または単にやや溶けにくい溶媒中の結晶固体、および必要に応じて結合剤の分散物を、任意の適切な方法で(例えば、粉砕、磨滅などによって)形成する工程、および基材上の画像形成物質の層を、任意の適切な方法で(例えば、コーティング技術において周知の任意の技術を使用して、流体を基材上にコーティングすることによって)形成する工程を包含する。これらとしては、スロットコーティング技術、グラビアコーティング技術、メイヤーロッド(Mayer rod)コーティング技術、ロールコーティング技術、カスケードコーティング技術、スプレーコーティング技術、およびカーテンコーティング技術が挙げられる。このように形成される画像形成層は、必要に応じて、保護層でオーバーコーティングされる。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)少なくとも第一の色形成層を備える色画像化部材であって、ここで該第一の色形成層が、結晶形態の第一の化合物を含み、該結晶形態が、非晶質形態の液体に転換され得、該第一の化合物の該液体形態が、該結晶形態とは異なる色を固有に有する、画像化部材。
(2)項目1に記載の画像化部材であって、ここで前記結晶形態の前記第一の化合物の融点が、約60℃と約300℃との間である、画像化部材。
(3)項目1に記載の画像化部材であって、ここで前記結晶形態の前記第一の化合物が融解する温度の範囲が、約15℃未満である、画像化部材。
(4)項目1に記載の画像化部材であって、ここで液体形態の前記第一の化合物のTgが、約50℃以上である、画像化部材。
(5)さらに第二の色形成層を備える、項目1に記載の画像化部材。
(6)さらに第三の色形成層を備える、項目5に記載の画像化部材。
(7)項目6に記載の画像化部材であって、ここで前記第二の色形成層が、結晶形態の第二の化合物を含み、該結晶形態が、非晶質形態の液体に転換され得、該第二の化合物の該液体形態が、該結晶形態とは異なる色を固有に有する、画像化部材。
(8)項目6に記載の画像化部材であって、ここで前記色形成層が、それぞれ、シアン色、マゼンタ色および黄色を形成する、画像化部材。
(9)さらに基材を備える項目6に記載の画像化部材であって、ここで前記色形成層のうちの少なくとも1つが、該基材の第一の面によって保持され、そして前記色形成の少なくとも別の1つが、該基材の第二の面で保持される、画像化部材。
(10)項目9に記載の画像化部材であって、ここで前記マゼンタ色の色形成層および前記黄色の色形成層が、前記基材の前記第一の面によって保持され、前記シアンの色形成層が、前記基材の前記第二の面で保持される、画像化部材。
(11)項目6に記載の画像化部材であって、ここで前記色形成層が、初めは実質的に無色である、画像化部材。
(12)項目1に記載の画像化部材であって、ここで前記色形成層が、初めは実質的に無色である、画像化部材。
(13)色画像化法であって、
(a)項目1に記載の画像化部材を提供する工程;および
(b)前記第一の化合物のうちの少なくとも一部分を、画像様パターンにおいて非晶質形態の液体に転換する工程
を包含し、これらの工程によって、画像が形成される、画像化法。
(14)項目13に記載の方法であって、ここで工程(b)が、画像様パターンの熱エネルギーを前記画像化部材へと印加する工程を包含し、該熱エネルギーが、前記第一の化合物のうちの少なくともいくつかを、非晶質形態の液体に転換するのに十分である、方法。
(15)項目14に記載の方法であって、ここで前記画像化部材は、さらに第二の色形成層を備え、これによって多色画像が形成される、方法。
(16)項目15に記載の方法であって、ここで前記画像化部材は、さらに第三の色形成層を備え、これによって多色画像が形成される、方法。
(17)項目15に記載の方法であって、ここで前記第二の色形成層が、結晶形態の第二の化合物を含み、該結晶形態が、非晶質形態の液体に転換され得、該第二の化合物の該液体形態が、該結晶形態とは異なる色を固有に有する、方法。
(18)項目16に記載の方法であって、該色形成層が、それぞれ、シアン色、マゼンタ色および黄色を形成する、方法。
(19)項目16に記載の方法であって、ここで前記画像化部材が、さらに基材を備え、前記色形成層のうちの少なくとも1つが、該基材の第一の面によって保持され、そして該色形成のうちの少なくとも別の1つが、該基材の第二の面で保持される、方法。
(20)項目19に記載の方法であって、ここで前記マゼンタ色の色形成層および前記黄色の色形成層が、前記基材の前記第一の面によって保持され、そして前記シアンの色形成層が、前記基材の前記第二の面によって保持される、方法。
(21)項目16に記載の方法であって、ここで前記色形成層が、初めは無色である、方法。
(22)項目13に記載の方法であって、ここで前記色形成層が、初めは無色である、方法。
(23)項目13に記載の方法であって、ここで前記結晶形態の前記第一の化合物の融点が、約60℃と約300℃との間である、方法。
(24)項目13に記載の方法であって、ここで前記結晶形態の前記第一の化合物が融解する温度の範囲が、約15℃未満である、方法。
(25)項目13に記載の方法であって、ここで前記第一の化合物の前記液体形態のTgが、約50℃またはそれより大きい、方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
結晶状態の化合物は、一般に、非晶質形態の同一化合物の特性とは非常に異なる特性(色を含む)を有する。結晶においては、分子は、代表的に、格子のパッキング力によって単一の配座(または、まれに少数の配座)で保持される。同様に、分子が、1つより多くの相互転換性の異性体形態で存在し得る場合、通常、このような異性体形態のうちの1つのみが結晶状態で存在する。一方、非晶質形態または溶液においては、化合物は、その配座全体および異性体空間を探り、そして化合物の個々の分子の集団の小さな割合のみが、任意の時点において、結晶に取り入れられた特定の配座または異性体形態を示し得る。これらの現象は、本発明の組成物、画像化法および画像化部材において3つの類似の方法で活用される。
【0028】
ここで図1を参照すると、本発明によって活用される2つの型の化学平衡(I型およびII型と名付けられる)が見られる。第一の型は、特定の色素分子が、溶液中で互変異性を示すという事実を利用する(すなわち、これらは平衡状態で異なる、相互転換性の異性体として存在する)。これは、相互転換性の化学実体Aと化学実体Bとの間の平衡状態として図1(I型)に示される。2つの化学種のみが、図1(I型)に示されるが、これは、簡略化の目的のみであり、本発明の範囲を限定する意図は、決してない。本明細書中で提供される考察は、多数の相互転換性の互変異性体に等しく適用される。結晶状態においては、上記のとおり、可能な互変異性形態のうちの1つのみが、通常存在する。従って、AおよびBの混合物の結晶化は、使用条件に依存して純粋なAまたは純粋なBの結晶を生じ得る。
【0029】
異なる互変異性体は、互いに由来する種々の電子構造を有し得、それ故、電磁放射線の種々の吸収を有し得る。従って、種々の互変異性体が、種々の色を有することは、珍しい
ことではない。互変異性体の平衡分布は、これらが溶解する媒体の極性に依存する。従って、極性の互変異性体は、極性媒体において優位となり、一方、より極性の小さい互変異性体は、より極性の小さい媒体において優位となる。互変異性を示す色素分子が単一の互変異性形態に結晶化され得る場合、この結晶状態は、その特定の互変異性体の色を示す。このような結晶形態が、加熱されて液体形態に転換されるかまたは溶媒中に溶解する場合、互変異性体の平衡は、再確立され、それによって、結晶中に存在しない互変異性体のうちの少なくともいくつかが、溶融状態の極性または溶液の極性に依存する相対量で存在する。結晶中に存在しない互変異性体由来の寄与が見られることから、融解物または溶液の色は、結晶の色とは異なり得る。
【0030】
本発明により、少なくとも1つの互変異性形態は無色であり、かつ少なくとも別の互変異性形態は有色である互変異性を示す分子が、同定されている。これは、図1(I型)に示される。但し、分子Aは、無色であり、そして分子Bは有色である。AおよびBの平衡化混合物の結晶化は、純粋なAの無色結晶を生じるように行われる。この結晶化を行うために選択される溶媒は、代表的に、溶液中でAとBとの間の平衡状態または溶媒においてBよりもより低い溶解性を有する状態のいずれかにおいて、Aが優位となるような極性(および水素結合能のような他の化学的特性)の溶媒である。溶媒の選択は、通常、互変異性体の特定の混合物について経験的に決定される。
【0031】
純粋結晶Aの転換の際、互変異性体Aと互変異性体Bとの間の平衡状態は、生じる非晶質(液体)相において再構築される。有色である非晶質物質の割合(すなわち、B互変異性形態にあるものの割合)は、変化し得るが、好ましくは少なくとも約10%である。
【0032】
本発明の有色および無色の互変異性形態の分子は、画像の質および耐久性についての特定の基準を満たさなければならない。無色形態は、結晶形態であることが好ましいが、最小可視吸収を有するべきである。無色形態は、光、融点以下の熱、湿度、および他の環境因子(例えば、オゾン、酸素、一酸化窒素、指紋の油など)に対して安定であるべきである。これらの環境因子は、画像化分野における当業者にとって周知である。有色の非晶質形態もまた、上記の条件に対して安定であるべきであり、さらに、画像の通常取扱条件下で無色形態に再結晶化すべきではない。有色形態は、デジタル色の演出に適切なスペクトル吸収を有するべきである。代表的に、有色形態は、意図しないスペクトル領域において過度の吸収なく、黄色(青色吸収)、マゼンタ色(緑色吸収)、シアン色(赤色吸収)、または黒色であるべきである。しかしながら、写真用でない用途のためには、有色形態が、減法混色の原色の1つではなく、むしろ特定のスポット色(例えば、オレンジ色、青色など)であることが必要とされ得る。
【0033】
本発明の熱画像化部材は、画像が部材自体において形成される直接的熱画像化部材であってよく、または本発明の熱画像化部材は、画像形成物質を画像受容部材に転写する熱転写画像化部材であってよい。本発明の直接的熱画像化部材において使用される分子の融点は、好ましくは約60℃〜約300℃の範囲である。約60℃より低い融点は、画像化の前後に部材を取り扱っている際に時折遭遇する温度に対して不安定である直接的熱画像化部材を生じ、一方、約300℃を越える融解温度は、この化合物が、従来の熱プリントヘッドを用いて呈色することを困難にさせる。しかしながら、熱プリントヘッド(例えば、レーザー画像化)の使用を必要としない本発明の特定の新規化合物ための用途が存在することに、注意すべきである。
【0034】
本発明の多色の熱画像化部材としては、全ての色形成層が、基材の同一面で保持されるもの、および少なくとも1つの色形成層が基材の第一の面で保持され、そして少なくとも1つの色形成層が基材の第二の面で保持されるものが挙げられる。
【0035】
本発明の好ましい互変異性の平衡は、プロトン移動を含む。図2に示されるように、酸性部位と塩基性部位とを含む分子は、プロトン化された酸とプロトン化されてない塩基との互変異性形態、またはプロトン化されてない酸とプロトン化された塩基との互変異性形態のいずれかで存在し得る。これらの2つの形態は、分子の酸性部位または塩基性部位のいずれかが指示色素を構成する場合、異なる色を有し得る。従って、この分子は、酸に共有結合した無色の塩基性指示色素(これは、酸の存在下で有色になる)、または塩基に共有結合した無色の酸性指示色素(これは、脱プロトン化した場合、有色になる)からなり得る。確かに、この分子はまた、酸性指示色素に共有結合した塩基性の指示色素からなり得る。酸性部位および塩基性部位の強度は、ほとんどの条件下で2つの互変異性体のうちの1つが圧倒的に優位に働かない平衡が、確立され得るようでなければならない。これは、酸または塩基が弱い場合に最も容易に達成される。特に好ましい酸性基は、フェノールであり、一方、塩基性部位は、変化に富んでよく、通常、電気陰性のヘテロ原子(例えば、酸素または窒素)である。
【0036】
本発明のI型の互変異性分子の好ましい例としては、以下のキサンテン誘導体が挙げられる。2つの互変異性形態のキサンテン誘導体が、示される(式IおよびIIによって表される)が、これは、さらなる互変異性形態の分子を除外することを意味しない。(文献のいては、時折、キサンテン分子の可能な互変異性体が、報告されることに注意すべきである。)
【0037】
【化1】

ここでR、R、R、R、R、およびRは、各々独立に水素、アルキル、アリール、ハロゲン、または置換もしくは非置換の、酸素、窒素または硫黄原子であり;
は、水素、アルキル、アリールであるか、または存在せず;
は、置換または非置換の酸素、窒素、硫黄、またはハロゲンであり;
、R10、R11およびR12は、各々独立に水素、アルキル、アリール、ハロゲン、窒素、または置換もしくは非置換の、酸素、窒素もしくは硫黄原子であるか、または存在せず;
は、カルボニル、メチレン、またはスルホニルであり;
は、水素、アルキル、アリール、または窒素で置換された、酸素または窒素であり;
およびXは、各々独立に、酸素、硫黄、または窒素であり;そして
は、炭素または窒素である。
【0038】
これらの化合物において、式Iの酸性基は、水素原子を有する基Xを含み、そして式Iの塩基性部位は、原子Xを含む。プロトンのXからXへの移動は、式IIの化合物を生じる。
【0039】
式Iのキサンテンの1つの好ましいサブグループは、フルオレセイン化合物であり、ここでXは、酸素であり、Rは、水素、アルキルまたはアリールで置換された酸素であり;そしてXは、カルボニルであり;Xは、酸素であり;そしてXは、酸素である。
【0040】
上記のサブタイプの多くのフルオレセイン誘導体は、当該分野で公知である。このような化合物の1つの互変異性形態(式Iに対応)は、無色であり(電磁スペクトルの紫外線領域において吸収)、一方、第二の互変異性形態(式IIに対応)は、しばしば、黄色である。フルオレセイン自体は、式Iの化合物であり、ここでRは、存在せず、Rは、ヒドロキシル基であり、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々水素原子であり、Xは、カルボニルであり、X、XおよびXは、各々酸素であり、そしてXは、炭素である。これらの先行技術の化合物の多くに困難性が存在することが、見出されている。フルオレセイン自体は、無色形態で結晶化することが難しく、非晶質形態において、いくつかの、異なる有色の種を含む錯平衡を示す。Rがエーテル基である場合、単純化され得る。従って、以前から公知の化合物であるベンジルフルオレセインは(ここで、置換基は、Rがベンジルオキシ基であることを除いて、フルオレセイン自体について上で記載されたとおりである)、無色形態に容易に結晶化される。ベンジルフルオレセインの非晶質形態は、黄色を有する。
【0041】
ベンジルフルオレセインは、少しの割合の非晶質(約4%)のみが有色である(すなわち、非晶質の96%は、式Iに対応した互変異性形態であり、非晶質の4%は、式IIに対応した互変異性形態である)という不都合を有する。式IにおけるR、R、RおよびRのうちの少なくとも2つが、以下の実施例1により詳細に記載されるように、アルキル置換基を含む場合、さらに多くの割合の、非晶質形態の有色互変異性体が得られ得ることが、見出されている。
【0042】
本発明のとりわけ好ましいフルオレセイン誘導体は、R、R、RおよびRのうちの少なくとも2つが、1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基を含む式Iの誘導体である。この1〜約12個の炭素原子は、分枝状でも直鎖状でもよく、そしてアリール置換基またはヘテロ原子置換基を含んでもよく、Rは存在せず、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々水素であり、Rは、エーテル基であり、Xは、カルボニル基であり、X、XおよびXは、各々酸素であり、そしてXは、炭素である。
【0043】
式Iの特定の好ましい化合物は、Rが、存在せず、R、R、R、R10、R11およびR12が、各々水素であり、Xが、カルボニルであり、X、XおよびXが、各々酸素であり、Xが、炭素であり、そして他の置換基が、以下のとおりである、化合物である:
化合物F−1:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々n−ヘキシルであり、そしてRは、ベンジルオキシである;
化合物F−2:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々n−ヘキシルであり、そしてRは、エトキシである;
化合物F−3:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々エチルであり、そしてRは、ベンジルオキシである;
化合物F−4:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々n−ヘキシルであり、そしてRは、エトキシである;
化合物F−5:RおよびRは、各々メチルであり、RおよびRは、各々水素であり、そしてRは、ベンジルオキシである;
化合物F−6:RおよびRは、各々メチルであり、RおよびRは、各々水素であり、そしてRは、2−メトキシエトキシである;
化合物F−7:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々エチルであり、そしてRは、3−メチルブト−1−オキシである;
化合物F−8:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々エチルであり、そしてRは、2−メチルベンジルオキシである;
化合物F−9:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々エチルであり、そしてRは、3−メチルベンジルオキシト(methylbenzyloxyt)である;
化合物F−10:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々ベンジルであり、そしてRは、ベンジルオキシである;
化合物F−11:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々プロピルであり、そしてRは、ベンジルオキシである;そして
化合物F−12:RおよびRは、各々水素であり、RおよびRは、各々ベンジルであり、そしてRは、3−メチルブト−1−オキシである。
【0044】
化合物F−1〜化合物F−12のうちの特定のものは、同一出願人による米国特許出願第xx/XXX,XXX号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号C−8586AFP)(この全体の開示が、本明細書中で参考として援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載され、そして特許請求される新規化合物である。
【0045】
式Iのキサンテンの第二の好ましいサブグループは、ロードール(rhodol)型化合物であり、ここでXは、酸素であり、Rは、存在せず、Rは、2つの置換基(これらの各々が、独立に、水素、アルキルまたはアリールであり;Xは、カルボニルであり;そしてX、XおよびXは、各々酸素である)を有する窒素である。
【0046】
ロードール型の好ましい化合物は、Rが、水素、ハロゲン、またはアルキルであり;Rが、存在せず;Rが、電子吸引性置換基(例えば、ハロゲン、スルホニルまたはニトロ)であり;Rは、少なくとも1つのアリール置換基を有する窒素であり;R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、各々水素であり;Xが、カルボニルであり;X、XおよびXが、各々酸素であり;そしてXが、炭素である、化合物である。ロードール型化合物は、良好なマゼンタ色(緑色吸収)発色団を生じ得ることが見出されているが、Rは、電子吸引性置換基(例えば、ハロゲン、スルホニルまたはニトロ)であり、そしてRは、少なくとも1つのアリール置換基を有する窒素である。Rでの電子吸引性置換基、またはRで窒素原子でのアリール置換基が存在しない場合、吸収波長は、より短くなり、そして分子の有色の互変異性体は、マゼンタ色ではなく赤色を示す。
【0047】
式Iの特定の好ましいロードール型化合物は、Rが、存在せず;R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、各々水素であり;Xが、カルボニルであり;X、XおよびXが、各々酸素であり;Xが、炭素であり;そして他の置換基は、以下のとおりである、化合物である:
化合物Rh−1:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、フェニルアミノである;
化合物Rh−2:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−エチル−N−フェニルアミノである;
化合物Rh−3:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−ブチル−N−フェニルアミノである;
化合物Rh−4:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−ヘキシル−N−フェニルアミノである;
化合物Rh−5:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−ベンジル−N−フェニルアミノである;
化合物Rh−6:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N,N−ジフェニルアミノである;
化合物Rh−7:Rは、メチルであり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−ヘキシル−N−フェニルアミノである;
化合物Rh−8:Rは、水素であり、Rは、水素であり、そしてRは、N−インドリニルである;そして
化合物Rh−9:Rは、水素であり、Rは、臭素であり、そしてRは、N−ヘキサデシル−N−フェニルアミノである。
【0048】
化合物Rh−1〜化合物Rh−9のうちの特定のものは、新規化合物であり、同一出願人による米国特許出願第zz/ZZZ,ZZZ号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号C−8588AFP)(この全体の開示が、本明細書中で参考として援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載され、そして特許請求される。
【0049】
式Iのキサンテンの第三の好ましいサブグループは、ローダミン型化合物であり、ここでR、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は、各々水素、アルキル、アリールまたはハロゲンであり、Rは、水素、アルキルまたはアリールであり、そしてRは、2つの置換基(これらの各々は、独立に、水素、アルキルもしくはアリール、もしくはアルキル置換基またはアリール置換基を有する酸素であり;Xは、カルボニルであり;Xは、酸素であり;Xは、酸素であり;Xは、窒素であり;そしてXは、炭素である)を有する窒素である。
【0050】
式Iの特定の好ましいローダミン型化合物は、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12が、各々水素であり;Xが、カルボニルであり;XおよびXが、各々酸素であり;Xが、窒素であり;Xが、炭素であり;そして他の置換基は、以下のとおりである、化合物である:
化合物R−1:Rは、フェニルであり、そしてRは、フェニルアミノである;
化合物R−2:Rは、2−メチルフェニルであり、そしてRは、2−メチルフェニルアミノである;
化合物R−3:Rは、2−エチルフェニルであり、そしてRは、2−エチルフェニルアミノである;
化合物R−4:Rは、2,4,6−トリメチルフェニルであり、そしてRは、4,6−トリメチルフェニルアミノである;
化合物R−5:Rは、2−クロロフェニルであり、そしてRは、2−クロロフェニルアミノである。
【0051】
式Iの別の特定の好ましいローダミン型化合物は、化合物R−6であり、ここでR、R、R、R、R、およびRは、各々水素であり;Rは、2−メチル−4−オクタデシルオキシフェニル基であり、Rは、N−インドリニル基であり、R、R10、R11およびR12は、各々フッ素であり、Xは、カルボニルであり、XおよびXは、各々酸素であり;Xは、窒素であり;そしてXは、炭素である。
【0052】
化合物R−1〜化合物R−6のうちの特定のものは、新規化合物であり、同一出願人による米国特許出願第yy/YYY,YYY号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号C−8587AFP)(この全体の開示が、本明細書中で参考として援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載され、そして特許請求される。
【0053】
2つの問題が、I型の機構に従った使用のための分子設計において、通常生じる。第一に、無色の互変異性形態の分子の結晶化は不可能であることが、判明し得る。例えば、上記のロードール型化合物の多くは、無色形態で容易に結晶化され得ない。第二に、無色形
態は、結晶化され得るが、理想的でない融点を示し得る。融点を変えることは、分子の徹底的な再設計(長く退屈なプロセス)を必要とする。しかしながら、米国特許第4,097,288号に記載されるように、特定のフェノール類化合物またはアミノ化合物が、水素結合アクセプターまたはドナーとの共結晶を容易に形成することは、周知である。このような水素結合アクセプターまたはドナーは、本明細書中以下「錯化剤」と呼ばれる。水素結合錯化剤と組み合わせられる、本発明の所定の分子の共結晶は、錯化剤または本発明のそのままの分子のいずれかと同一の融点を必ずしも有さない。
【0054】
上記のとおり、式Iの好ましい型の各々において、原子Xは、水素置換基を有する。この水素原子は、有色の互変異性形態の分子を生じるために使用される内部の酸であり、さらにまた、水素結合アクセプターによって錯化されるのに役立つ。錯化は、上記のとおり、そうでなければ、これが、達成することが難しい場合に、無色の互変異性形態の分子の結晶化を可能にし得るだけでなく、また融点の制御も可能にし得る。好ましい錯化剤は、アミノ化合物、とりわけ、複素環式物質(例えば、ピリジン)である。特定の好ましい錯化剤としては、フェナントロリン、2,9−ジメチルフェナントロリン、4,5,6,7−テトラメチルフェナントロリン、メチルピコリン酸、エチルピコリン酸、ピラジン、4,4’−ビスピリジン、2,2’−ビスピリジン、テレフタルアミド(例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルテレフタルアミド(tetramethylterephalamide)および対応するテトラブチル誘導体)、および環式オキサルアミド(例えば、1,4−ジメチル−2,3−ジオキソピペラジン)が挙げられる。以下の実施例4は、本発明で使用される無色の互変異性形態のロードール型化合物を結晶化するため、そして本発明のこれらおよび他の分子の融点を調整するための錯化の効果を説明する。
【0055】
本発明の画像化部材および画像化法において有用である新規錯体は、同一出願人による米国特許出願第aa/AAA,AAA号(本明細書とともに同日付で出願)(代理人整理番号C−8589AFP)(この全体の開示が、本明細書中で参考として援用され、そして本出願の一部を構成する)に記載され、そして特許請求される。
【0056】
本発明は、種々の互変異性形態で存在する化合物に限定されない。図1(II型)に説明される、本発明の第二の実施形態において、確立した平衡は、無色の付加物(Cとして示される)とその2つの成分(DおよびEとして示される)との間にある。Dは、有色色素であり、一方、Eは、無色の分子であり、この無色の分子は、Dに添加され、そしてDを無色にし得る。代表的に、Dは、カチオン性色素(求電子性)であり、そしてEは、求核性である。Cの結晶化の間、Eの濃度は、Dが極わずかしか存在しないほど、十分に濃く(Dの濃度よりはるかに濃く)調整され得る。しかしながら、Dが融解される場合、DおよびEの濃度は、同一になる。従って、平衡の位置は、Cの融解に起因して、Cが結晶化された初めの溶液の状態と、非晶質形態の状態で異なり得る。図3は、本発明のII型について使用され得る平衡の2つの例を示す。図3のスキーム1は、ヘミシアニン色素と第三級アミンの添加によって形成される無色の付加物との間の平衡を示す。スキーム2は、キサンテン色素と第三級アミンとの間で確立される類似の平衡を示す。多種多様な求核性分子が、図3で示されるような平衡を確立するために使用され得るが、色素と求核性物質との間に形成される付加物は、最終的な色素と同一の電荷を有することが、好ましい。これが、上記の場合でない場合(例えば、付加物は中性であるが、色素が正電荷である場合)、電荷のバランスを維持するために、解離状態の求核物質は、負電荷でなければならない。この場合、この求核物質は、静電引力によって色素と密接に会合したままになる傾向がある。色素が正電荷であり、かつ求核物質が、例えば、第三級アミン、第三級ホスフィン、またはチオエーテルである場合、付加物および色素は両方、正電荷になる。
【0057】
直接的熱画像化系を形成するために、上記のI型およびII型の結晶の無色形態の化合物は、分散形成についての分野で公知の任意の方法によって、この化合物が不溶性である
か、またはやや溶けにくい溶媒中に分散される。このような方法としては、粉砕、磨滅などが挙げられる。選択される特定の溶媒は、特定の結晶物質に依存する。使用され得る溶媒としては、水、有機溶媒(例えば、炭化水素、エステル、アルコール、ケトン、ニトリル、および有機ハロゲン化物(例えば、塩素化炭化水素およびフッ素化炭化水素))が挙げられる。分散した結晶物質は、結合剤と組み合わされ得、この結合剤は、重合体であり得る。適切な結合剤としては、水溶性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)およびセルロース誘導体)、水分散型ラテックス(例えば、スチレン/ブタジエン)またはポリ(ウレタン)誘導体)、あるいは炭化水素可溶性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンおよびノルボルネンのコポリマー、ならびにポリスチレン)が挙げられる。このリストは、網羅的であることは意図されず、単に、重合体の結合剤に利用可能な選択肢の広さを示すことが、意図される。この結合剤は、上記の溶媒に溶解または分散され得る。
【0058】
本発明の化合物の分散物を調製し、そして必要に応じて重合体の結合剤を添加した後、生じた流体は、コーティング分野で周知の任意の技術を使用して基材上にコーティングされる。これらとしては、スロットコーティング技術、グラビアコーティング技術、メイヤーロッド(Mayer rod)コーティング技術、ロールコーティング技術、カスケードコーティング技術、スプレーコーティング技術、およびカーテンコーティング技術が挙げられる。このように形成される画像形成層は、必要に応じて、保護層でオーバーコーティングされる。
【0059】
本発明の物質が、同時係属中の米国特許出願第10/151,432号(2002年5月20日出願)に記載される型の画像化媒体を調製するために使用される場合、上記のプロセスは、画像化層の各々について従われる。連続した層は、連続的にか、タンデムにか(tandem)、または連続的なコーティングとタンデムなコーティングとを組み合わせてコーティングされ得る。
【実施例】
【0060】
ここで本発明は、特定の実施形態に関して例としてさらに詳細に記載されるが、これらは、単なる例証であり、本発明は、本実施例に記載される物質、量、手順およびプロセスパラメータなどに限定されないことが意図されることが、理解される。記載される全ての割合および百分率は、他に明記されない限り、重量である。
【0061】
(実施例1)
本実施例は、式Iの新規フルオレセイン誘導体の調製および特性について記載する。
【0062】
A.新規フルオレセイン誘導体を、以下の一般的様式(化合物F−11の調製によって例示される)にて調製した。
【0063】
(4−プロピル−1,3−ジヒドロオキシベンゼンの調製)
i.1,3−ジヒドロキシ−4−プロパノイルベンゼン(10g;60.2mmol)およびトリフルオロ酢酸(10当量,0.6mol;68.4g)を、室温で、全物質が溶解するまで撹拌した。生じた溶液に、トリエチルシラン(2.5当量,0.15mol;17.5g)を、室温でゆっくりと添加した。添加後、この反応混合物を、加熱しながら75℃で4時間撹拌した。この混合物を、室温まで冷却し、水中へクエンチし、そしてジクロロメタンで抽出して2層の油生成物を生じた。上層(過剰のトリエチルシラン)をデカントして捨て、残留した油生成物に、ヘキサンおよびジクロロメタン(約7:3の比)を、過熱しながら添加して固体生成物を生じた。この生成物(7.3g;80%収率)(この構造を、H NMRおよびエレクトロスプレー質量分析(ES MS)によって確認した)を、さらに精製せずに次の工程に使用した。
【0064】
(ii.2,7−ジプロピルフルオレセインの調製)
4−プロピル−1,3−ジヒドロキシベンゼン(6.0g;40mmol、上の(i)で記載したように調製した)および無水フタル酸(20mmol;3.0g)の混合物に、73%(w/w)の濃硫酸を、室温で添加し、次いでこの混合物を、加熱しながら150℃で3時間撹拌した。冷却後、この混合物を、ビーカー内で撹拌しながら、水(200mL)中に注ぎ、濾過し、そして水で数回洗浄して、定量的収率で、黄色の生成物を生じた。この生成物の構造を、H NMRおよびES MSによって確認した。
【0065】
(iii.化合物F−11の調製)
2,7−ジプロピルフルオレセイン(3g;7.2mmol、上の(ii)で記載したように調製した)および無水炭酸カリウム(4当量,28.8mmol)を、ジメチルホルムアミド(DMF,35mL)中に室温で分散させ、次いでこの混合物を、赤みを帯びた透明な溶液が現れるまで、加熱しながら100℃で撹拌した。生じた溶液に、DMF(5mL)中に溶解した臭化ベンジル(4当量,28.8mmol;4.9g)を、10分間でゆっくりと添加した。添加完了後、この混合物を、100℃でさらに3時間、さらに撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、この混合物を水(400mL)中に注いで沈殿物を生じた。この粗生成物(モノエーテル、モノエステル)を、さらに精製することなく、加水分解した。このモノエーテルモノエステル生成物を、アセトン(60mL)および水(20mL)の混合物中に溶解し、そしてこの溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(4当量,28.8mmol;1.2g;12mLの10%水溶液)を添加した。混合物を、室温で一晩撹拌した。アセトンのエバポレーション後、この混合物を、水(200mL)で希釈し、そして濾過した。濾液を、希釈塩酸で中和して淡黄色の沈殿物を生じた。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(ジクロロメタン中3%のメタノールで溶出した)、次いでヘキサンおよびアセトンの混合物からの再結晶化により無色結晶(1.75g,48%収率,融点202〜203℃)を生じた。
【0066】
B.このように調製したフルオレセイン誘導体(上記の構造を有する)は、以下の特性を示した。
【0067】
【表1】

(*)で示さない限り、融点を、4℃/分の温度ランプ率での示差走査熱量測定(DSC)によって決定した。(*)は、融点を、キャピラリー融点装置を使用して得たことを示す。
【0068】
(実施例2)
本実施例は、本発明の新規ロードール型誘導体の調製を記載する。誘導体Rh−1〜誘導体Rh−7を、以下の一般的様式(Rh−7によって例示される)にて調製した。
【0069】
(ia.2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸(Rh−1〜Rh−6およびRh−9についての出発物質の調製))
塩化アルミニウム(8.48g,64mmol)を、テトラクロロエタン(40mL)中無水フタル酸(2.36g,16mmol)の撹拌した懸濁液に窒素下で添加した。ニトロメタン(6mL)を添加して、この反応物を溶解した。4−ブロモレゾルシノール(3g,16mmol)を添加し、この混合物を、窒素下で撹拌し続けた。この反応を、2時間の期間にわたって高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニタリングした。出発物質が残存している状態で、反応が、初めの30分以内に止まったことを観察した。この溶液を、酢酸エチル(約150mL)で希釈し、1M塩酸(2×100mL)で洗浄した。生成物を、有機層から水(200mL)中炭酸水素ナトリウムの飽和溶液中に抽出した。塩基性の水相を、3M塩酸でpH 5まで酸性化した。生成物を、水相から酢酸エチル(150mL)中に抽出し、ブライン(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濃縮して、約10分間の静置で凝固したオレンジ色の油を生じた。この固体を、ジクロロメタン(20mL)中でスラリーにし、濾過して、所望の生成物およびフタル酸の混合物を生じた。水(20mL)中でスラリーにし、次いで濾過して、ベージュ色の粉末として所望の生成物(1.72g,5.1mmol,32%収率)を生じた。
【0070】
(ib.2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾイル)安息香酸(Rh−7についての出発物質)について例示される代替的な調製)
工程1:塩化アルミニウム(21.4g,161mmol)を、テトラクロロエタン(200mL)中無水フタル酸(6g,40mmol)の撹拌している懸濁液に窒素下で添加した。1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン(5g,40mmol)を添加し、この混合物を急速に濃縮した。沈殿物を、スパーテルで粉々にした後、反応を1時間続けた。この溶液を、酢酸エチル(約600mL)で希釈し、そして1M塩酸(2×200mL)で洗浄した。生成物を、有機層から水(600mL)中炭酸水素ナトリウムの飽和溶液中に抽出した。塩基性の水相を、3M塩酸で、pH 5まで酸性化した。生成物を、水相から酢酸エチル(400mL)中に抽出し、ブライン(2×100mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして濃縮して、茶色がかった固体を生じた。この固体を、ジクロロメタン(20mL)中でスラリーにし、濾過して、オフホワイト色の粉末(4.6g、16.9mmol、42%収率)として2−(2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゾイル)安息香酸を生じた。工程2:臭素(2.6g,16.9mmol)を、酢酸(42mL)中に溶解した工程1からの生成物(4.6g=16.9mmol)の撹拌している溶液中に滴下した。HPLCによるモニタリングにより、1時間以内の完全な臭素化を示した。この溶液を濃縮して黄色の粉末を生じた。ジクロロメタン中でスラリーにし、次いで濾過して、オフホワイト色の粉末として所望の生成物(5g,14.3mmol,85%収率)を生じた。
【0071】
(ii.化合物Rh−7の調製)
2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸(上の(ia)で記載されたように調製した、1g,2.86mmol)を、酢酸(14mL)中に溶解した。N−ヘキシル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミン(0.77g,2.86mmol)を、この溶液に添加し、次いでメタンスルホン酸(8.58mmol)を添加した。この溶液を、4時間、還流で撹拌した。この溶液を、酢酸エチル(100mL)で希釈し、水(2×50mL)、pH 7のリン酸緩衝液(2×30mL)およびブライン(2×30mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、そして黒紫色の固体になるまで濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製により、ジクロロメタン中5%アセトンで上記の生成物を、溶出した(0.75g,1.28mmol,45%収率,λmax=548nm)。この生成物の構造を、H NMRおよびES MSに
よって確認した。
【0072】
他のロードール誘導体を、類似の様式にて調製した:
Rh−1:3.08gの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および1.69gの3−ヒドロキシジフェニルアミンにより、3.45gの化合物Rh−1(76%収率)を生じる。
【0073】
Rh−2:1.5gの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および1.0gのN−エチル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて1.78gの化合物Rh−2(77%収率)を生じた。
【0074】
Rh−3:418mgの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および300mgのN−ブチル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて401mgの化合物Rh−3(59%収率)を生じた。
【0075】
Rh−4:1.0gの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および0.83gのN−ヘキシル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて1.2gの化合物Rh−4(71%収率)を生じた。
【0076】
Rh−5:413mgの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および340mgのN−ベンジル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて343mgの化合物Rh−5(59%収率)を生じた。
【0077】
Rh−6:2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸およびN−フェニル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて0.410gの化合物Rh−6(λmax=542nm)(15%収率)を生じた。
【0078】
Rh−9:467mgの2−(5−ブロモ−2,4−ジヒドロキシベンゾイル)安息香酸および480mgのN−ヘキサデシル−N−(3−ヒドロキシフェニル)フェニルアミンを反応させて435mgの化合物Rh−9(44%収率)を生じた。
【0079】
(実施例3)
本実施例は、新規ローダミン型誘導体の調製および特性を記載する。
【0080】
(一般的手順(化合物R−2について例示される))
ジクロロフルオラン(5.55g,15mmol)、o−トルイジン(5.2g,48mmol)、無水塩化亜鉛(4.5g)および酸化亜鉛(1.5g)の混合物を、200℃で1.5時間撹拌した。次いで、まだ熱い反応混合物を、撹拌しながら8%塩酸溶液(300mL)中にクエンチし、90℃で30分間撹拌し、次いで濾過した。この濾過ケークを、水(100mL)で洗浄し、乾燥させ、そして温かいメタノール(100mL)中に溶解した。この溶液を、メタノール(15mL)中濃縮アンモニア水(7mL)の溶液を添加することにより塩基性にし、次いで撹拌しながら、冷水(700mL)中にクエンチした。スラリーを濾過し、この濾過ケークを、水(150mL)で洗浄し、そして減圧下で一晩乾燥させて黒紫色の固体(22g)を生じた。この物質を、加熱塩化メチレン(100mL)で倍散し、そして濾過した。この濾液を、溶離液としてジクロロメタン/メタノールを用いたシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製した。わずかに不純物のある生じた物質を、トルエンからの再結晶化によってさらに精製して薄紫色のプリズム(2.6g)を生じた。ジクロロメタン倍散物からの固体を、還流トルエン(25mL)で加熱して、熱いまま濾過し、ヘプタン(20mL)で希釈し、20℃まで冷却し、そして濾過してさらに1.2gの薄紫色のプリズムを生じた。トルエンの熱いままの濾過
からの残留した固体を、還流キシレン(15mL)中に溶解させ、冷却してさらに1.0gの薄紫色の固体を析出した。
【0081】
化合物R1〜R5は、以下の特性を示した。ほとんどの場合、結晶化の溶媒が、結晶中に取り込まれた。
【0082】
【表2】

(実施例4)
本実施例は、錯化物質の調製および特性を記載する。
【0083】
(一般的手順A)
錯化剤(1.0または0.5当量)を、色形成剤と組み合わせ、加熱メチルエチルケトンおよびシクロヘキサンの適切なブレンド物中に溶解した。首尾よくいくと、錯化物は、それが冷めたときに、熱い溶液から、無色またはほぼ無色の結晶として結晶化した。この結晶を、吸引濾過により回収し、メチルエチルケトン/シクロヘキサンの適切なブレンド物で洗浄した。この洗浄は、結晶表面への有色物質の沈着を避けるために、注意深く行わなければならない。H NMR分光法による分析により、錯化物の組成を明らかにした。色素と錯化剤との1:1および2:1の統合比は、最も一般的に観察され、そして色素の構造および錯化剤の構造の両方に依存した。
【0084】
(一般的手順B)
錯化剤(1.0または0.5当量)および色形成剤を、組み合わせ、そして瑪瑙乳鉢および乳棒を用いて、粉砕した。次いで、生じた密接混合物を、乳鉢で、少量のシクロヘキサン中でスラリーにし、そして粉砕し続けた。次いで、少量のメチルエチルケトンを、添加してこの成分の溶媒中への溶解を容易にし、そして結晶成長を補助した。粉砕は、無色の錯化物が、形成されるまで続けた。多くの場合、より強い溶媒(メチルエチルケトン)により、臨界濃度に達するまで、粉砕プロセスの間、ゆっくりとエバポレートさせた。この時点で、結晶化が、多くの場合進行する。一旦結晶化が起きると、さらなるシクロヘキサン/メチルエチルケトンを添加し、結晶のスラリーを、さらに成熟させる(加熱および撹拌)ための容器に移すか、または直接、吸引濾過によって回収するかのいずれかを行った。次いで、この結晶を、結晶表面への有色色素の沈着を避けるようにシクロヘキサン/メチルエチルケトンの適切な混合物で注意深く洗浄した。この手順からの結晶は、手順Aを使用して結晶化するために使用され得る。
【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

(実施例5)
本実施例は、本発明に従う熱画像化部材および熱画像化法を例示する。熱画像化部材は、黄色(画像化部材5Aおよび画像化部材5B)およびマゼンタ色(画像化部材5C)を提供する。
【0087】
以下の材料を、本実施例にて使用した:
Topas 8007(エチレンおよびノルボルネンのコポリマー,Ticona,90 Morris Avenue,Summit,New Jersey 07901から市販);
Airvol 540(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから市販されているポリ(ビニルアルコール)のグレード);
Zonyl FSA(界面活性物質,DuPont Corporation,Wilmington,DEから市販);
Hymicron ZK−349(Cytech Products,Inc.,Elizabethtown,KYから市販されているステアリン酸亜鉛のグレード);
Klebosol 30V−25(Clariant Corporation,Muttenz,Switzerlandから市販されているシリカ分散物);
Glyoxal(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販);
Melinex 534,約96ミクロン厚の白色のポリ(エチレンテレフタレート)フィルムベース(DuPont Teijin Films U.S.Limited Partnership,1 Discover Drive,P.O.Box 411,Hopewell,VAから市販)。
【0088】
A.画像形成層を、以下のとおり調製した:
本発明の化合物(0.15g)を、ガラスビーズを備えたアトリター(attriter)を使用してTopas 8007(0.15gのメチルシクロヘキサン中10%溶液)およびメチルシクロヘキサン(1.2g)を含む混合物中に分散させ、室温で18時間撹拌した。生じた分散物の全固体の含有量は、11%であった。
【0089】
上記の分散物を使用して、以下に記載される比率で、色素形成層のためのコーティング流体を作製した。このようにして調製したコーティング組成物を、18番のメイヤーロッドを使用してMelinex 534上にコーティングし、乾燥させた。意図されたコーティング厚は、3.9ミクロンであった。
【0090】
【表5】

B.バリヤー層を、12番のメイヤーロッドを使用して、意図された約2.6ミクロン厚に、メチルシクロヘキサン中10%のTopas 8007溶液を塗付することによって、画像化層上にコーティングした。
【0091】
C.スリップ性のオーバーコートを、バリヤー層上にコーティングした。このオーバーコートを、以下に記載される比率で調製した。このオーバーコートのコーティング組成物は、18番のメイヤーロッドを使用して意図された1.6ミクロン厚に、塗付した。
【0092】
【表6】

生じた画像化部材を、熱ヘッド(モデルKYT106−12PAN13(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan))を備えた研究室テストベッドプリンターを使用して印刷した。以下の印刷パラメータを使用した:
プリントヘッド幅:4インチ
1インチ当たりの画素:300
レジスタサイズ:70×80ミクロン
抵抗:4047Ω
ラインスピード:1ライン当たり7ミリ秒
圧:1.5〜2lb/線形インチ
ドットパターン:矩形グリッド
以下の結果が、以下を使用して調製された画像化部材から得られた:
画像化部材5A:ベンジルフルオレセイン(融点191℃);
画像化部材5B:本発明の新規フルオレセイン化合物(F−11、融点210℃);および
画像化部材5C:新規ロードール型化合物Rh−4および2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリンから調製された本発明の新規錯化物(融点109℃)。
【0093】
【表7】

【0094】
【表8】

【0095】
【表9】

【0096】
【表10】

以下の結果が、示され得る:
a.印刷エネルギーが印加されていない密度は、3つの画像化部材について0.04、0.06および0.09であり、色形成層を形成するためにコーティングされた融解しない結晶の分散物は、初めは、実質的に無色であることを示した。
【0097】
b.3つの画像化部材について達成される最大密度は、それぞれ、0.51、1.1および0.7であった。上記のとおり、3つの色形成層の唯一の活性成分は、それぞれ、ベンジルフルオレセイン、F−11、およびRh−4および2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリンの間に形成される錯化物であった。顕色剤も他の化学アジュバントも、存在しなかった。従って、形成された色は、これらの物質の固有の色変化を介して、生じなければならなかった。
【0098】
c.画像化部材Aおよび画像化部材B(これらの融点は、それぞれ、191℃および210℃であった)について、16Vがプリントヘッドに印加されたときに、画像化が生じ、一方、14Vでの印加では、ほんの少しの色変化しか観察されなかった。一方、画像化部材C(融点109℃を有する)については、16Vおよび14Vの印刷条件下で、かなりの色変化が観察された。14Vで印刷する間に印加されたエネルギー量は、16Vで印刷する間に印加されたものよりも小さく、結果的に、色形成層での達成温度は、16Vの印刷よりも14Vの印刷についての方が小さい。従って、色が形成されるか否かは、色形成層の融点および加熱温度に依存すると結論付けられ得る。
【0099】
d.画像化部材Aにおいて達成される最大密度(0.51)は、画像化部材Bにおいて達成される最大密度(1.1)よりも小さい。画像化部材Aは、ベンジルフルオレセイン(公知化合物)を含み、一方、画像化部材Bは、F−11(本発明の好ましい新規フルオレセイン誘導体)を含む。
【0100】
(実施例6)
本実施例は、本発明に従う熱画像化部材および熱画像化法を例示する。熱画像化部材は、シアン色を提供する。
【0101】
上の実施例5に記載される材料に加えて、以下の材料を、本実施例において使用した:
Piccotac 1115(Eastman Chemical Company,100 North Eastman Road,P.O.Box 511,Kingsport,TNから市販);
Melinex 6265,約96ミクロン厚の白色ポリ(エチレンテレフタレート)フィルムベース(DuPont Teijin Films U.S.Limited Partnership,1 Discover Drive,P.O.Box 411,Hopewell,VAから市販)。
【0102】
A.画像形成層を、以下のとおり調製した:
本発明の化合物R−6(0.08g)を、ガラスビーズを備えたアトリター(attriter)を使用してTopas 8007/Piccotac 1115(比1:1.25,メチルシクロヘキサン中0.08gの10%溶液)およびメチルシクロヘキサン(0.76g)を含む混合物中に分散させ、室温で18時間撹拌した。生じた分散物の全固体の含有量は、10%であった。
【0103】
上記の分散物を使用して、以下に記載される比率で、色素形成層のためのコーティング流体を作製した。このようにして調製したコーティング組成物を、9番のメイヤーロッドを使用してMelinex 6265上にコーティングし、乾燥させた。意図されたコーティング厚は、約2ミクロンであった。
【0104】
【表11】

B.バリヤー層を、12番のメイヤーロッドを使用して、意図された約2.6ミクロン厚に、メチルシクロヘキサン中10%の1:1.25のTopas 8007/Piccotac 1115溶液を塗付することによって、画像化層上にコーティングした。
【0105】
C.スリップ性のオーバーコートを、バリヤー層上にコーティングした。このオーバーコートを、以下に記載される比率で調製した。このオーバーコートのコーティング組成物を、18番のメイヤーロッドを使用して意図された1.6ミクロン厚に、塗付した。
【0106】
【表12】

生じた画像化部材を、熱ヘッド(モデルKYT106−12PAN13(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan))を備えた研究室テストベッドプリンターを使用して印刷した。以下の印刷パラメータを使用した:
プリントヘッド幅:4インチ
1インチ当たりの画素:300
レジスタサイズ:70×80ミクロン
抵抗:4291Ω
ラインスピード:1ライン当たり7ミリ秒
圧:1.5〜2lb/線形インチ
ドットパターン:矩形グリッド
以下の結果が、得られた:
【0107】
【表13】

【0108】
【表14】

(実施例7)
本実施例は、上記の特許出願第10/151,432号に記載されるような単一の熱プリントヘッドを用いて印刷されるように設計された、1より多くの色形成層を含む熱画像化部材を例示する。本実施例において、最上層(比較的高温で比較的短時間で印刷される)は、本発明の物質を含む。より下の層(比較的低温で比較的長時間で印刷される)は、先行技術の色形成組成物を含み、この色形成組成物ついて、互いに反応して色を形成する2つの化合物(ロイコ色素および酸性顕色剤)は、融解および拡散させることにより合わせた。
【0109】
上の実施例5および実施例6に記載される材料に加え、以下の材料を、本実施例において使用した:
Leuco dye Red 40,3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドール−3−イル)フタリド(Yamamoto Chemical Industry Co.,Ltd.,Wakayama,Japanから市販);
Acid Developer TGSA,ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン(Nippon Kayaku Co.,Ltd,Tokyo,Japanから市販);
Airvol 205(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから市販されているポリ(ビニルアルコール)のグレード);
Airvol 325(Air Products and Chemicals,Inc.,Allentown,PAから市販されているポリ(ビニルアルコール)のグレード);
Zonyl FSN(界面活性物質,DuPont Corporation,Wilmington,DEから市販);
Elvacite 2045(ポリ(イソブチルメタクリル酸塩),Lucite International Inc.,7275 Goodlett Farms Parkway,Cordova,TNから市販);
Aerosol OT−100(Cytec Industries,Inc.,West Paterson,NJから市販されている界面活性物質)。
【0110】
白色の反射層を、125ミクロン厚の透明のポリ(エチレンテレフタレート)基材(Cronar 512,DuPont Teijin Films U.S.Limited Partnership,1 Discover Drive,P.O.Box 411,Hopewell,VAから市販)の裏部にコーティングした。以下の層を、この基材の反対側に適用した:
(A.先行技術の色形成層(マゼンタ色を生じる))
マゼンタ色の色形成剤(Red 40)、ポリ(ビニルアルコール)(Airvol 205)および界面活性物質(Zonyl FSN)の水溶性分散物を、酸性顕色剤(TGSA)、ポリ(ビニルアルコール)(Airvol 205)および界面活性物質(Zonyl FSN)の水溶性分散物とともに混合した。水中ポリ(ビニルアルコール)結合剤(Airvol 540)の溶液を添加し、そして生じた流体を、Red 40:300mg/m、TGSA 1139mg/m、Zonyl FSN 13mg/m、および組み合わせたポリ(ビニルアルコール)(Airvol 205およびAirv
ol 540)661mg/mの乾燥させた適用範囲についてコーティングした。
【0111】
(B.遮熱性中間層)
メチルシクロヘキサン中Elvacite 2045の溶液を、8016mg/mの乾燥させた適用範囲にコーティングした。
【0112】
(C.本発明の黄色の色形成層)
本発明の化合物F−11の分散物を、以下のとおり調製した:
化合物F−11(600g)、界面活性物質Aerosol OT−100(30g)、ヘプタン(1.1kg)および酢酸エチル(600g)を合わせ、そして6.3kgのムライトビーズを備えた1S−アトリター(Attritor)中に移した。ジャケットの温度を、10℃に設定し、アトリターを、100rpmで24時間作動させた。粉砕媒体を、濾過し、ヘプタン(500g)で洗浄した。結晶化合物F−11の生じた懸濁液を、乾燥するまで濃縮し、620gの白色固体を得た。この固体を、界面活性物質(Zonyl FSN)を含有するポリ(ビニルアルコール)(Airvol 540)水溶液中に再分散させて、コーティング流体を生成した。このコーティング流体を、化合物F−11:1184mg/m、Aerosol OT−100:59.2mg/m、Airvol 540:344mg/m、およびZonyl FSN 11mg/mの乾燥させた適用範囲にコーティングした。
【0113】
(D.酸素バリヤー層)
以下の材料を、ポリ(ビニルアルコール)(Airvol 325,1454mg/m)、ホウ酸架橋剤(125mg/m)およびZonyl FSN(32mg/m)の示された、乾燥させた適用範囲を生じるための溶液からコーティングした。
【0114】
(E.UV−吸収バリヤー層)
水溶性の流体を、コーティングして、以下の乾燥させた適用範囲を提供した:ナノ粒子状酸化亜鉛(UV吸収体,2153mg/m)、ポリ(ビニルアルコール)(Airvol 325,1615mg/m),Zonyl FSN(32mg/m)。
【0115】
(F.スリップ性コーティング)
水性コーティング流体をコーティングして、以下の乾燥させた適用範囲を生じた:Hymicron ZK−349(312 32mg/m)、Airvol 540(635 32mg/m)、Klebosol 30V−25(517 32mg/m)およびZonyl FSN(32 32mg/m)。
【0116】
生じた画像化部材を、熱ヘッド(モデルKPT163(Kyocera Corporation,6 Takedatobadono−cho,Fushimi−ku,Kyoto,Japan))を備えた研究室テストベッドプリンターを使用して印刷した。以下の印刷パラメータを使用した:
1インチ当たりの画素:300
レジスタサイズ:70×120ミクロン
抵抗:3135Ω
ラインスピード:1ライン当たり11.1ミリ秒
圧:1.5〜2lb/線形インチ
電圧:40.9V
ドットパターン:矩形グリッド
各ラインを印刷するためにかかる時間を、667均等時間要素に割り当てた。エネルギーを、「デューティサイクル」と呼ばれるこれらの時間要素の各々の割合についてプリントヘッドに供給した。印刷における高い平均電力について、デューティサイクルは、時間
要素の全持続時間の高い割合であり、一方、低い平均電力について、デューティサイクルは、時間要素の全持続時間の低い割合であった。熱拡散にかかる時間および各時間要素の間に画像化素子によって伝えられる距離に比例したレジスタの大きいサイズに起因して、時間要素の各々の熱パルスは、画像化素子上の個々のドットとして分離されなかった。代わりに、画像化素子は、個々のパルスの平均電力を受けた。
【0117】
以下の結果が得られた:
【0118】
【表15】

【0119】
【表16】

高電力で、短時間の印刷条件では、青色密度が、緑色密度を超えることが、容易に理解できる(すなわち、黄色は、マゼンタ色より優勢である)。低電力で長時間の印刷条件では、緑色密度が、青色密度を超える(すなわち、マゼンタ色は、黄色より優勢である)。黄色を印刷する場合に観察される望ましくない緑色密度は、大部分は、黄色色素による緑色光の吸収に起因する。同様に、マゼンタ色色素を印刷する場合に観察される望ましくない青色密度は、大部分は、マゼンタ色色素による青色光の吸収に起因する。従って、本発明の化合物F−11は、1つより多くの色形成層を備える熱画像化部材における要素として効率的に役立ち得、この1つより多くの色形成層は、上記の特許出願第10/151,432号に記載されるような単一の熱プリントヘッドで印刷されるように設計された。
【0120】
(実施例8)
本実施例は、本発明に従う熱画像化部材の色形成温度の時間非依存性を例示する。
【0121】
上の実施例5に記載される画像化部材Aの色形成層を、熱圧力ラミネーター(laminator)/シーラー(Sencorp Equipment,Hyannis,MAから市販)を使用して加熱した。このデバイスは、サンプルの加熱時間および加熱温度を独立に制御可能である。得られた光学密度(青色)は、以下のとおりであった:
【0122】
【表17】

【0123】
【表18】

加熱時間において約4桁にわたって、色変化が、名目上の160℃および名目上の177℃の間で起きたことが分かり得る。
【0124】
本発明は、これらの種々の好ましい実施形態に関して詳細に記載されているが、本発明は、これらに限定されず、むしろ変更および改変がなされ得、これらの変更および改変は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが、当業者によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0125】
本発明および他の目的、ならびにこれらの利点およびさらなる特性をより良く理解するために、以下の添付の図面に関連して解釈されるこれらの種々の好ましい実施形態の以下の詳細な説明に、言及がなされる。
【図1】図1は、2つの異なる化学的機構、I型およびII型を図示し、これらの機構により、本発明に従って画像が形成され得る。
【図2】図2は、図1に示されるI型機構を起こす物質のプロトン移動平衡特性を図示する。
【図3】図3は、II型の機構を起こす物質の化学的機構特性を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−213487(P2008−213487A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−116411(P2008−116411)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【分割の表示】特願2005−518592(P2005−518592)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(507188957)ズィンク イメージング エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】