説明

画像形成システム、プリントサーバ、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラム

【課題】一の印刷ジョブを分割した複数の印刷ジョブのすべてを実行した場合に、印刷出力した画像の向きを揃えることを可能とする。
【解決手段】画像形成システムは、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行し得る。この画像形成システムでは、分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する。そして、画像形成装置は、印刷出力する画像の向きを回転基準情報に基づいて定めて、分割した印刷ジョブのそれぞれを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、プリントサーバ、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムに関する。本発明は、特に、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割して分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行するための、画像形成システム、プリントサーバ、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタには、複数の用紙サイズが混載している印刷ジョブを実行したり、印刷出力した用紙束にステープル処理やパンチ処理をさらに施す印刷ジョブを実行したりする機能を有するものがある。これらの印刷ジョブを実行するとき、プリンタは、1ページ目の画像の方向に合わせて1ページ以降のページの画像の向きを回転させて印刷出力し、印刷出力した画像の向きが同一方向になるように揃える制御を行っている。
【0003】
また、プリンタを備える印刷システムにおいて、プリンタの機能ないし能力に合わせて、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割する技術が提案されている(特許文献1を参照)。特許文献1に記載された技術にあっては、プリンタは、印刷出力した用紙にステープル処理を施す機能を有し、プリンタの能力の一つとして、ステープル処理によって留めることが可能な許容枚数が設定されている。そして、ステープル処理の許容枚数以下の枚数となるように、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、分割した印刷ジョブのそれぞれをプリンタによって実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−185156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、分割した印刷ジョブのそれぞれを一のプリンタによって実行する場合には、次のような問題が生じる虞がある。
【0006】
プリンタは、実行しようとする印刷ジョブが、分割前の印刷ジョブであるのか、分割後の印刷ジョブであるのかが分からない。プリンタは、実行しようとする印刷ジョブの1ページ目の画像方向を基準として1ページ以降のページの画像の向きを回転させて印刷出力する。このため、分割した印刷ジョブのすべてを実行した場合、印刷出力した画像の向きが途中で変わってしまう事態が生じる。したがって、印刷出力した画像の向きが同一方向になるように揃って印刷出力されているはずである、というユーザが期待する出力結果を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、一の印刷ジョブを分割した複数の印刷ジョブのすべてを実行した場合に、印刷出力した画像の向きを揃えることを可能とした、画像形成システム、プリントサーバ、画像形成装置、画像形成方法、および画像形成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行し得る画像形成システムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する取得部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行する発行部と、を有する画像形成システム。
【0010】
(2)前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷できないときに、前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷可能な単位に分割して、前記分割した印刷ジョブを生成する生成部をさらに有する上記(1)に記載の画像形成システム。
【0011】
(3)前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、上記(1)または上記(2)に記載の画像形成システム。
【0012】
(4)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定する設定部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信する送信部と、を有するプリントサーバ。
【0013】
(5)前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷できないときに、前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷可能な単位に分割する分割部をさらに有する上記(4)に記載のプリントサーバ。
【0014】
(6)前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、上記(4)または上記(5)に記載のプリントサーバ。
【0015】
(7)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信する受信部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力する出力部と、を有する画像形成装置。
【0016】
(8)前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、上記(7)に記載の画像形成装置。
【0017】
(9)一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【0018】
(10)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバを制御するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【0019】
(11)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置を制御するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【0020】
(12)一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行し得る画像形成システムを制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行する手順(b)と、を前記画像形成システムに実行させるための画像形成プログラム。
【0021】
(13)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバを制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信する手順(b)と、を前記プリントサーバに実行させるための画像形成プログラム。
【0022】
(14)画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力する手順(b)と、を前記画像形成装置に実行させるための画像形成プログラム。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、回転基準情報は、分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報が反映されている。そして、印刷出力する画像の向きを回転基準情報に基づいて定めて、分割した印刷ジョブのそれぞれを実行している。これにより、一の印刷ジョブを分割した複数の印刷ジョブのすべてを実行する場合に、印刷出力した画像の向きを揃える印刷を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】プリントサーバの概略構成を示すブロック図である。
【図3】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4(A)は、画像データに基づく画像を表した原稿の一例を示す図、図4(B)は、プリンタによって実行される基本出力の印刷出力結果の例を示す図、図4(C)(D)は、ステープル針を留める方向と、印刷出力する画像の向きとの関係を示す図である。
【図5】図5(A)は、画像データに基づく画像を表した原稿の一例を、ユーザが設定した印刷条件とともに示す図、図5(B)(C)は、分割された第1と第2の印刷ジョブを示す図、図5(D)(E)は、第1と第2の印刷ジョブを実行して得られる印刷出力結果の例を示す図である。
【図6】ユーザの設定を受け付けるためにプリントサーバの操作パネル部に表示されるページ単位設定画面の一例を示す図である。
【図7】プリントサーバにおけるページ単位設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】プリントサーバにおける基準ページ情報取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】印刷ジョブの情報を含むジョブ情報の一例を示す図である。
【図10】ページ情報の一例を示す図である。
【図11】回転基準情報としての基準ページ情報の一例を示す図である。
【図12】プリントサーバにおける印刷起動処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】プリンタにおける印刷ジョブ受信処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】プリンタにおける画像回転角度の設定処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】用紙方向と画像方向との4種類の組み合わせのそれぞれにおいて、ステープル方向が「左」のときの印刷出力結果、ステープル方向が「右」のときの印刷出力結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム1の全体構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように、画像形成システム1は、プリントサーバ10と、画像形成装置としてのプリンタ20とを備え、これらはネットワーク30を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク30は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によりコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN、あるいはLAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0028】
なお、プリントサーバ10とプリンタ20とは、例えばIEEE1394シリアルバス、USB(Universal Serial Bus)等の専用インタフェース用バスを介して接続されていてもよい。
【0029】
ネットワーク30に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。本実施形態において、たとえばプリンタを1台だけ接続しているが、1台に限らず複数台接続してもよい。
【0030】
次に、上記各機器の構成について説明するが、各機器で同様の機能を有する部分については、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0031】
図2は、プリントサーバ10の概略構成を示すブロック図である。プリントサーバ10は、プリンタ用のサーバコンピュータである。
【0032】
プリントサーバ10は、CPU101、ROM102、RAM103、ハードディスク104、操作パネル部105、およびネットワークインタフェース106を含み、これらは信号をやり取りするためのバス107を介して相互に接続されている。
【0033】
CPU101は、プログラムにしたがって、上記各部の制御や各種の演算処理を行う。ROM102は、各種プログラムや各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ハードディスク104は、オペレーティングシステムを含む各種プログラムや、各種データを格納する。操作パネル部105は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。ネットワークインタフェース106は、例えばLANカードであり、ネットワーク30を介して外部機器と通信するために使用される。
【0034】
RAM103には、印刷ジョブが保存される。ハードディスク104には、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割して一のプリンタ20によって実行させるためのプログラムが保存されている。
【0035】
図3は、プリンタ20の概略構成を示すブロック図である。プリンタ20は、プリントサーバ10からの指示に基づき、プリントサーバ10で生成された印刷ジョブに基づいて画像を用紙上に印刷するものである。
【0036】
プリンタ20は、CPU201、ROM202、RAM203、操作パネル部204、印刷部205、ステープル処理部206、パンチ処理部207、およびネットワークインタフェース208を含み、これらは信号をやり取りするためのバス209を介して相互に接続されている。
【0037】
操作パネル部204は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部205は、帯電、露光、現像、転写および定着の各工程を含む電子写真式プロセスなどの作像プロセスを用いて、画像を用紙などの記録媒体上に印刷する。ステープル処理部206およびパンチ処理部207は、印刷出力した用紙に対して後処理を施す。ステープル処理部206は、印刷出力した用紙をステープル針によって留めるステープル処理を行う。パンチ処理部207は、印刷出力した用紙にパンチ孔を穿孔するパンチ処理を行う。ステープル処理部206は、用紙の片方向の位置にのみステープル針を留めることができる。パンチ処理部207も同様に、用紙の片方向の位置にのみパンチ孔を穿孔することができる。用紙の片方向とは、例えば、印刷出力時にプリンタ20から排出される用紙の先端側(用紙搬送方向で見て下流側)となる辺が伸びる方向である。プリンタ20は、同じ用紙に対して、ステープル処理およびパンチ処理の両方を行うことはできず、何れか一方のみを行うことができる。
【0038】
なお、プリントサーバ10、プリンタ20は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。
【0039】
以上のとおり構成される本実施形態の画像形成システム1では、プリントサーバ10から送信される印刷ジョブにしたがって、プリンタ20によって印刷出力される。以下、図4〜図15を参照して、本実施形態における画像形成システム1の動作について説明する。
【0040】
まず、図4および図5を参照して、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、分割した印刷ジョブのそれぞれをプリンタ20によって実行して得られる印刷出力結果について概説する。
【0041】
図4(A)は、画像データに基づく画像を表した原稿の一例を示す図、図4(B)は、プリンタ20によって実行される基本出力の印刷出力結果の例を示す図、図4(C)(D)は、ステープル針220を留める方向と、印刷出力する画像の向きとの関係を示す図である。図5(A)は、画像データに基づく画像を表した原稿の一例を、ユーザが設定した印刷条件とともに示す図、図5(B)(C)は、分割された第1と第2の印刷ジョブを示す図、図5(D)(E)は、第1と第2の印刷ジョブを実行して得られる印刷出力結果の例を示す図である。
【0042】
本実施形態のプリントサーバ10は、印刷出力した用紙をステープル針220によって留める方向(以下、「ステープル方向」という)を、印刷された用紙を画像の天地が上下方向に沿うように配置したときの用紙の左上位置、または用紙の右上位置の何れかを設定できる。また、プリントサーバ10は、印刷出力した用紙にパンチ孔を穿孔する方向(以下、「パンチ方向」という)を、印刷された用紙を画像の天地が上下方向に沿うように配置したときの用紙の左位置、または用紙の右位置の何れかを設定できる。
【0043】
また、プリントサーバ10は、ページ毎にステープル処理やパンチ処理を設定し得る機能を有している。
【0044】
さらに、プリントサーバ10は、一の印刷ジョブをプリンタ20によって一つのジョブとして印刷できないときに、一の印刷ジョブをプリンタ20によって一つのジョブとして印刷可能な単位に分割して、分割した印刷ジョブを生成する機能を有している。
【0045】
図4(A)を参照して、図示する原稿は、5ページ含んでいる。図4(B)には、プリンタ20がステープル処理を行わない基本出力の印刷出力結果の例が示される。図4(C)を参照して、ステープル方向が「左」のときの処理(以下、「左ステープル処理」という)には、基本出力のときと同様に、プリンタ20は、印刷出力する画像の向きを回転する必要がないとする。一方、図4(D)を参照して、ステープル方向が「右」のときの処理(以下、「右ステープル処理」という)では、プリンタ20は、印刷出力する画像の向きを、基本出力のときに対して180度回転させることによって、右ステープル処理を実現する。
【0046】
図5(A)を参照して、プリントサーバ10によって、1ページと2ページとを右ステープル処理し、3ページから5ページまではステープル処理を施さない印刷条件が設定されている。このような印刷条件の場合、一の印刷ジョブをプリンタ20によって一つのジョブとして印刷できない。このため、プリントサーバ10は、元々の一の印刷ジョブを、1ページと2ページとを印刷出力して右ステープル処理するための第1の印刷ジョブ(図5(B)を参照)と、3ページから5ページを印刷出力してステープル処理を施さない第2の印刷ジョブ(図5(C)を参照)とに分割する。
【0047】
第1の印刷ジョブは、右ステープル処理を含んでいる。このため、図5(D)に示すように、プリンタ20は、印刷出力する画像の向きを、基本出力のときに対して180度回転する。一方、第2の印刷ジョブは、ステープル処理を行わないので、第2の印刷ジョブを単独で見たときには、基本出力のときと同様に、印刷出力する画像の向きを回転する必要がない。しかしながら、第2の印刷ジョブにおいて印刷出力する画像の向きを回転しない場合には、分割した印刷ジョブのすべてを実行した場合、印刷出力した画像の向きが途中で変わってしまう事態が生じる。
【0048】
そこで、本実施形態にあっては、まず、分割した第1と第2の印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、分割した第1と第2の印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する。回転基準情報には、第1の印刷ジョブの情報に基づいて、印刷出力する画像の向きを180度回転させるための情報が含まれている。そして、分割した第1の印刷ジョブを実行するときには、印刷出力する画像の向きを回転基準情報に基づいて定めて実行し、分割した第2の印刷ジョブを実行するときにも、印刷出力する画像の向きを同じ回転基準情報に基づいて定めて実行する。したがって、図5(E)に示すように、プリンタ20は、第2の印刷ジョブを実行するときにも、印刷出力する画像の向きを、基本出力のときに対して180度回転する。これによって、一の印刷ジョブを分割した複数の印刷ジョブのすべてを実行した場合に、印刷出力した画像の向きが揃う。
【0049】
次に、画像形成システム1の各機器の動作について詳細に説明する。
【0050】
図6は、ユーザの設定を受け付けるためにプリントサーバ10の操作パネル部105に表示されるページ単位設定画面120の一例を示す図、図7は、プリントサーバ10におけるページ単位設定処理の手順を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリントサーバ10のハードディスク104などの記憶部にプログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM103に読み出されてCPU101によって実行される。
【0051】
図6を参照して、ページ単位設定画面120は、ページ単位のステープル処理やパンチ処理についてのユーザの設定を受け付けるために、開始ページを入力するためのボタン131、終了ページを入力するためのボタン132、ステープル処理を選択するためのボタン133、パンチ処理を選択するためのボタン134、ステープル方向またはパンチ方向(「左」または「右」)を選択するためのボタン135、136、ページ単位設定の操作を繰り返すためのボタン137、ページ単位設定の情報を登録するためのボタン138、設定操作をキャンセルするためのボタン139、および設定されたページ単位設定の情報を表示するための一覧表示部140を含んでいる。ページの数字の入力は、図示しないテンキー部のボタンを操作して入力する。ボタン131、132は、入力されたページの数字を表示する表示部を兼ねている。ボタン133、134は選択されたことを示すマーク141(図示例では「黒丸」)を表示する表示部を兼ねている。ボタン135、136は選択されたことを示すマーク142(図示例では「黒丸」)を表示する表示部を兼ねている。
【0052】
図7を参照して、プリントサーバ10は、ページ単位のステープル処理やパンチ処理についてのユーザの設定を受け付けるために、ページ単位設定画面120を操作パネル部105に表示し、ユーザのキー入力を待ち受ける(S101)。
【0053】
ステップS102では、ボタン131が押され、テンキー部の操作によって開始ページに数字の入力があったか否かが判断される。開始ページに数字の入力があったと判断された場合(S102:YES)、入力された開始ページの数字をボタン131に表示し(S110)、ステップS101に戻る。ボタン131が押されていない場合(S102:NO)、ステップS103に進む。
【0054】
ステップS103では、ボタン132が押され、テンキー部の操作によって終了ページに数字の入力があったか否かが判断される。終了ページに数字の入力があったと判断された場合(S103:YES)、入力された終了ページの数字をボタン132に表示し(S111)、ステップS101に戻る。ボタン132が押されていない場合(S103:NO)、ステップS104に進む。
【0055】
ステップS104では、ボタン133が押され、ステープル処理が選択されたか否かが判断される。ステープル処理が選択されたと判断された場合(S104:YES)、ステープル処理に関する情報が設定される(S112)。ボタン135が押されているときにはステープル方向を「左」に設定し、ボタン136が押されているときにはステープル方向を「右」に設定する。また、ステップS112では、ボタン133へのマーク141の表示をオンにし、ボタン134へのマーク141の表示をオフにする。ステップS112ではさらに、選択されたステープル方向(例えば、「右」とする)のボタン136へのマーク142の表示をオンし、ボタン135へのマーク142の表示をオフにし、ステップS101に戻る。ボタン133が押されていない場合(S104:NO)、ステップS105に進む。
【0056】
ステップS105では、ボタン134が押され、パンチ処理が選択されたか否かが判断される。パンチ処理が選択されたと判断された場合(S105:YES)、パンチ処理に関する情報が設定される(S113)。ボタン135が押されているときにはパンチ方向を「左」に設定し、ボタン136が押されているときにはパンチ方向を「右」に設定する。また、ステップS113では、ボタン134へのマーク141の表示をオンにし、ボタン133へのマーク141の表示をオフにする。ステップS113ではさらに、選択されたパンチ方向(例えば、「右」とする)のボタン136へのマーク142の表示をオンし、ボタン135へのマーク142の表示をオフにし、ステップS101に戻る。ボタン134が押されていない場合(S105:NO)、ステップS106に進む。
【0057】
ステップS106では、ボタン137が押され、ページ単位設定の操作を繰り返すか否かが判断される。操作を繰り返すと判断された場合(S106:YES)、ステップS114に進む。ステップS114では、現在設定されている開始ページの数字、終了ページの数字、ステープル処理のオン/オフ、パンチ処理のオン/オフ、ステープル方向またはパンチ方向を取り出し、一覧表示部140に表示して、ステップS101に戻る。ボタン137が押されていない場合(S106:NO)、ステップS107に進む。
【0058】
ステップS107では、ボタン138が押され、ページ単位設定の情報を登録するか否かが判断される。ページ単位設定の情報を登録すると判断された場合(S107:YES)、ステップS115に進む。ステップS115では、一覧表示部140に表示されている情報を、設定が終了したページ単位設定の情報としてRAM103に保存し、ページ単位設定画面120を閉じ、図7の処理を終了する。ボタン138が押されていない場合(S107:NO)、ステップS108に進む。
【0059】
ステップS108では、ボタン139が押されて、設定操作をキャンセルするか否かが判断される。設定操作をキャンセルすると判断された場合(S108:YES)、ステップS109に進む。ステップS109では、一覧表示部140に表示されている設定済みの情報、および設定途中のページ単位設定の情報を破棄し、ページ単位設定画面120を閉じ、図7の処理を終了する。ボタン139が押されていない場合(S108:NO)、ステップS101に戻る。
【0060】
図8は、プリントサーバ10における基準ページ情報取得処理の手順を示すフローチャートである。図8のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリントサーバ10のハードディスク104などの記憶部にプログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM103に読み出されてCPU101によって実行される。図9は、印刷ジョブの情報に含まれるジョブ情報310の一例を示す図、図10は、印刷ジョブの情報に含まれるページ情報320の一例を示す図、図11は、回転基準情報としての基準ページ情報330の一例を示す図である。ジョブ情報310、ページ情報320、ページ毎の画像データ、基準ページ情報330は、プリントサーバ10のRAM103に格納される。
【0061】
図8を参照して、プリントサーバ10は、RAM103に格納されている印刷ジョブの情報を、ジョブ情報310(図9を参照)から取得する(S201)。
【0062】
ステップS202では、印刷ジョブの1ページ目の情報を、RAM103に格納されているページ情報320(図10を参照)にある最初のデータ(ページ番号(1))から取得する。ページ情報320は、用紙サイズ、画像方向、パンチ方向、ステープル方向を含んでいる。
【0063】
ステップS203では、取得した1ページ目のページ情報を、基準ページ情報330(図11を参照)としてRAM103に保存する。基準ページ情報には、用紙サイズ、画像方向、パンチ方向、およびステープル方向に関する情報を含んでいる。
【0064】
ステップS204では、変数である分割数の値に、初期値の1を設定する。
【0065】
ステップS205では、ジョブ情報のページ単位設定数の値に基づいて、印刷ジョブの分割があるか否かが判断される。ページ単位設定数の値には、分割された印刷ジョブの総数が設定されている。図5(A)に示した例においては、ページ単位設定数の値には「2」が設定されている。ページ単位設定数の値が2以上であることから、印刷ジョブの分割があると判断される。印刷ジョブの分割があると判断された場合(S205:YES)、ステップS206に進む。印刷ジョブの分割がない場合(S205:NO)、図8の処理を終了する。
【0066】
ステップS206では、分割数の値にページ単位設定数の値を設定する。次いで、分割された複数の印刷ジョブのうち、分割された最初の印刷ジョブの1ページ目の情報を、RAM103に格納されているページ情報にある最初のデータから取得する。(S207)。
【0067】
ステップS208では、取得した1ページ目の情報に基づいて、パンチ処理の指定があるか否かが判断される。パンチ処理の指定があると判断された場合(S208:YES)、ステップS209に進む。ステップS209では、取得したパンチ方向が基準ページ情報に格納され、ステップS212に進む。
【0068】
パンチ処理の指定がない場合(S208:NO)、取得した1ページ目の情報に基づいて、ステープル処理の指定があるか否かが判断される(S210)。ステープル処理の指定があると判断された場合(S210:YES)、ステップS211に進む。ステップS211では、取得したステープル方向が基準ページ情報に格納され、ステップS212に進む。ステープル処理の指定もない場合(S210:NO)、パンチ方向およびステープル方向を基準ページ情報に格納することなく、ステップS212に進む。
【0069】
ステップS212では、分割数の値を1だけデクリメントする。ステップS213では、分割数の値に基づいて、分割した全ての印刷ジョブの先頭ページの情報を取得したか否かが判断される。分割数の値がゼロでない場合(S213:NO)、分割した印刷ジョブの先頭ページの情報の取得が残っていると判断され、次の分割した印刷ジョブの先頭ページの情報を、ページ情報から取得し(S214)、ステップS208に戻る。分割数の値がゼロの場合(S213:YES)、分割した全ての印刷ジョブの先頭ページの情報の取得が完了したと判断され、図8の処理を終了する。
【0070】
図12は、プリントサーバ10における印刷起動処理の手順を示すフローチャートである。図12のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリントサーバ10のハードディスク104などの記憶部にプログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM103に読み出されてCPU101によって実行される。
【0071】
図12を参照して、プリントサーバ10は、ジョブ情報310(図9を参照)のページ単位設定数の値を取り出し(S301)、印刷ジョブの情報を取り出す(S302)。
【0072】
ステップS303では、基準ページ情報330の各情報、すなわち、用紙サイズ、画像方向、パンチ方向、およびステープル方向についての情報を取り出す。
【0073】
ステップS304では、取り出した基準ページ情報の各情報が、プリンタ20に送信する印刷ジョブの情報に添付するジョブ情報として設定される。
【0074】
ステップS305では、基準ページ情報の各情報を添付した印刷ジョブをプリンタ20に送信する。
【0075】
ステップS306では、ページ単位設定数の値を1だけデクリメントする。ステップS307では、ページ単位設定数の値に基づいて、分割した全ての印刷ジョブのプリンタ20への送信が完了したか否かが判断される。ページ単位設定数の値がゼロでない場合(S307:NO)、分割した印刷ジョブのプリンタ20への送信が残っていると判断され、次に送信する分割した印刷ジョブの情報を取り出し(S308)、ステップS303に戻る。ページ単位設定数の値がゼロの場合(S307:YES)、分割した全ての印刷ジョブのプリンタ20への送信が完了したと判断され、図12の処理を終了する。
【0076】
図13は、プリンタ20における印刷ジョブ受信処理の手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタ20のROM202などの記憶部にプログラムとして記憶されており、動作開始の際にRAM203に読み出されてCPU201によって実行される。
【0077】
図13を参照して、プリンタ20は、プリントサーバ10から送信される印刷コマンドを待ち(S401)、プリントサーバ10からジョブ開始コマンドを受信したか否かが判断される(S402)。ジョブ開始コマンドを受信したと判断した場合(S402:YES)、ステップS405に進む。
【0078】
ステップS405では、受信した印刷ジョブの情報を、印刷するパラメータに設定する。次いで、印刷ジョブの情報に含まれる基準ページ情報の情報を取得し(S406)、RAM203に格納し、ステップS401に戻る。
【0079】
ジョブ開始コマンドを受信していないと判断した場合(S402:NO)、ステップS403に進む。
【0080】
ステップS403では、プリントサーバ10からページ開始コマンドを受信したか否かが判断される。ページ開始コマンドを受信したと判断した場合(S403:YES)、画像回転角度設定を行い(S407)、ステップS408に進む。画像回転角度処理では、RAM203に格納した基準ページ情報の情報に基づいて、画像回転角度を設定トする。なお、画像回転角度設定の詳細については後述する。
【0081】
ステップS408では、ページの印刷情報を、印刷するパラメータに設定する。ステップS409では、ジョブ情報、およびページ情報から、印刷を実行し、ステップS401に戻る。
【0082】
ページ開始コマンドを受信していないと判断した場合(S403:NO)、ステップS404に進む。
【0083】
ステップS404では、プリントサーバ10からジョブ終了コマンドを受信したか否かが判断される。ジョブ終了コマンドを受信していないと判断した場合(S404:NO)、ステップS401に戻る。
【0084】
ジョブ終了コマンドを受信したと判断した場合(S404:YES)、図13の処理を終了する。
【0085】
次に、図14および図15を参照して、画像回転角度の設定処理(S407)について説明する。
【0086】
画像回転角度設定では、ステップS406において取得した基準ページ情報の情報に基づいて、印刷出力する画像の向きを回転する角度を設定する。
【0087】
まず、変数である画像回転角度の値に、初期値の0を設定する(S501)。
【0088】
ステップS502では、基準ページ情報の中から、用紙サイズについての情報を取り出し、用紙サイズから用紙方向を取得する。
【0089】
図15には、用紙方向と画像方向との4種類の組み合わせのそれぞれにおいて、ステープル方向が「左」のときの印刷出力結果、ステープル方向が「右」のときの印刷出力結果が示される。図15には、パンチ方向が「左」または「右」のときの印刷出力結果については示していない。但し、印刷出力された画像の向きについては、図15に示される向きと同じである。
【0090】
なお、用紙方向に関しては、用紙の長辺が図15の上下方向に沿うときを「縦」といい、用紙の長辺が図中左右方向に沿うときを「横」という。画像方向に関しては、画像の天地が用紙の長辺に沿うときを「縦」といい、画像の天地が用紙の短辺に沿うときを「横」という。ステープル方向に関しては、画像の天地が上下方向に沿うように配置したときの用紙の左上位置にステープル針220があるときを「左」といい、右上位置にステープル針220があるときを「右」という。
【0091】
ステップS503では、用紙方向が縦であるか否かが判断される。用紙方向が縦の場合(S503:YES)、基準ページ情報の中から、画像方向についての情報を取り出し(S504)、画像方向が縦であるか否かが判断される(S505)。用紙方向が横の場合(S503:NO)、基準ページ情報の中から、画像方向についての情報を取り出し(S511)、画像方向が横であるか否かが判断される(S512)
ステップS503、S504、S505、S511、S512の処理により、図15に示される、用紙方向と画像方向との4種類の組み合わせのいずれかであるかが判別される。
【0092】
「用紙方向が縦、画像方向が横」である場合(S503:YES、S505:NO)および、「用紙方向が横、画像方向が縦」である場合(S503:NO、S512:NO)、パンチ方向/ステープル方向に拘らず、印刷出力する画像の向きを回転する必要がない。したがって、これらの場合には、図14の処理を終了し、ステップS407(図13)に戻る。
【0093】
一方、「用紙方向が縦、画像方向が縦」である場合(S503:YES、S505:YES)、および、「用紙方向が横、画像方向が横」である場合(S503:NO、S512:YES)、ステップS506に進む。
【0094】
図15を参照して、「用紙方向が縦、画像方向が縦」である場合、パンチ方向またはステープル方向が「左」のときには、印刷出力する画像の向きを回転する必要がなく、パンチ方向またはステープル方向が「右」のときには、印刷出力する画像の向きを回転する必要がある。「用紙方向が横、画像方向が横」である場合、パンチ方向またはステープル方向が「左」のときには、印刷出力する画像の向きを回転する必要がなく、パンチ方向またはステープル方向が「右」のときには、印刷出力する画像の向きを回転する必要がある。
【0095】
ステップS506では、基準ページ情報の中から、パンチ方向についての情報を取り出し、パンチ方向が「右」であるか否かが判断される(S507)。パンチ処理が設定されていない場合、パンチ方向についての情報は「無(ヌル)」である。パンチ方向が「右」であると判断された場合(S507:YES)、ステップS508に進む。パンチ方向が「左」のときや、パンチ処理が設定されていないときには、パンチ方向が「右」でないと判断され(S507:NO)、ステップS509に進む。
【0096】
ステップS509では、基準ページ情報の中から、ステープル方向についての情報を取り出し、ステープル方向が「右」であるか否かが判断される(S510)。ステープル処理が設定されていない場合、ステープル方向についての情報は「無(ヌル)」である。ステープル方向が「右」であると判断された場合(S510:YES)、ステップS508に進む。
【0097】
ステープル方向が「左」のときや、ステープル処理が設定されていないときには、ステープル方向が「右」でないと判断され(S510:NO)、図14の処理を終了し、ステップS407(図13)に戻る。
【0098】
ステップS508では、「用紙方向が縦、画像方向が縦、パンチ方向またはステープル方向が右」、または「用紙方向が横、画像方向が横、パンチ方向またはステープル方向が右」であるので、画像回転角度の値に、180(度)をセットし、図14の処理を終了し、ステップS407(図13)に戻る。
【0099】
以上説明したように、本実施形態では、プリントサーバ10は、分割した全ての印刷ジョブの1ページ目の情報から画像を回転するために必要な情報を取り出し、画像回転に必要なパラメータを基準ページ情報として保存している。つまり、回転基準情報としての基準ページ情報は、分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報が反映されている。プリントサーバ10は、印刷開始時には、保存した基準ページ情報を、分割された印刷ジョブのそれぞれの情報に含めてプリンタ20に送信する。そして、プリンタ20は、印刷出力する画像の向きを、受信した印刷ジョブの先頭ページの情報に基づくのではなく、受信した基準ページ情報に基づいて、回転またはそのままと定め、分割した印刷ジョブのそれぞれを実行している。
【0100】
したがって、本実施形態によれば、一の印刷ジョブを分割した複数の印刷ジョブのすべてを実行する場合に、印刷出力した画像の向きを揃える印刷を行うことが可能となる。
【0101】
本発明は、上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0102】
例えば、上記実施形態では、ステープル方向およびパンチ方向は「右」または「左」であるが、ステープル処理部206およびパンチ処理部207が、印刷された用紙を画像の天地が上下方向に沿うように配置したときの用紙の上位置に処理を施すことが可能な場合、ステープル方向およびパンチ方向として「上」を追加してもよい。パンチ処理およびステープル処理の両者を行い得るプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、パンチ処理およびステープル処理のうちの一方のみを行うプリンタにも適用され得る。
【0103】
また、回転の基準となる情報に、用紙サイズ、画像方向、パンチ方向、ステープル方向に関する情報を含む場合を例示したが、回転の基準となる情報は、プリンタなどの画像形成装置が備える機能によって種々異なる。したがって、分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる情報であって、分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために必要とされる情報であれば、回転の基準となる情報に含まれることはいうまでもない。
【0104】
本実施形態にかかる画像形成システム1、プリントサーバ、プリンタにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成システム1などの一機能としてそれらの装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 画像形成システム、
10 プリントサーバ、
20 プリンタ(画像形成装置)、
101 CPU、
102 ROM、
103 RAM、
104 ハードディスク、
105 操作パネル部、
120 ページ単位設定画面、
201 CPU、
202 ROM、
203 RAM、
204 操作パネル部、
205 印刷部、
206 ステープル処理部、
207 パンチ処理部、
220 ステープル針、
310 ジョブ情報、
320 ページ情報、
330 基準ページ情報(回転基準情報)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行し得る画像形成システムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する取得部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行する発行部と、を有する画像形成システム。
【請求項2】
前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷できないときに、前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷可能な単位に分割して、前記分割した印刷ジョブを生成する生成部をさらに有する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、請求項1または請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定する設定部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信する送信部と、を有するプリントサーバ。
【請求項5】
前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷できないときに、前記一の印刷ジョブを前記画像形成装置によって一つのジョブとして印刷可能な単位に分割する分割部をさらに有する請求項4に記載のプリントサーバ。
【請求項6】
前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、請求項4または請求項5に記載のプリントサーバ。
【請求項7】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信する受信部と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力する出力部と、を有する画像形成装置。
【請求項8】
前記回転基準情報は、印刷出力される用紙の方向に関する情報、および印刷出力される画像の方向に関する情報を含み、さらに、パンチ孔を開ける方向に関する情報、およびステープル針を留める方向に関する情報のうちの少なくとも一方の情報を含んでいる、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【請求項10】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバを制御するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【請求項11】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置を制御するための画像形成方法であって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信するステップ(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力するステップ(b)と、を有する画像形成方法。
【請求項12】
一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを一の画像形成装置によって実行し得る画像形成システムを制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を取得する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に発行する手順(b)と、を前記画像形成システムに実行させるための画像形成プログラム。
【請求項13】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記プリントサーバを制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を設定する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行させるための命令を、前記画像形成装置に送信する手順(b)と、を前記プリントサーバに実行させるための画像形成プログラム。
【請求項14】
画像形成装置と、一の印刷ジョブを複数の印刷ジョブに分割し、前記分割した印刷ジョブのそれぞれを前記画像形成装置によって実行する管理を行うプリントサーバとを有する画像形成システムにおける前記画像形成装置を制御するための画像形成プログラムであって、
前記分割した印刷ジョブのそれぞれにおける情報に基づいて前記プリントサーバによって設定され、前記分割したすべての印刷ジョブによって印刷出力する画像の向きを揃えるために前記分割した印刷ジョブごとに印刷出力する画像の向きを回転するときの回転の基準となる回転基準情報を、前記プリントサーバから受信する手順(a)と、
印刷出力する画像の向きを前記回転基準情報に基づいて定めて前記分割した印刷ジョブのそれぞれを実行して印刷出力する手順(b)と、を前記画像形成装置に実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−8380(P2011−8380A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149484(P2009−149484)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】