説明

画像形成システム、及びサイクロン捕集システム

【課題】画像形成装置から着脱可能に構成されたトナー捕集ユニットの交換時に、画像形成装置内外を汚染することがないようにトナー飛散を防止し、メンテナンス性がよい画像形成システム、及びサイクロン捕集システムを提供すること。
【解決手段】サイクロン導入部を画像形成装置側に設け、トナーが堆積する部分をトナー捕集ユニット側から排除することで、トナー捕集ユニット取り外し時のトナーこぼれを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式電子写真方式を用いた画像形成システムに関し、特にトナー捕集ユニットにサイクロン導入部を設けたサイクロン捕集システムと、トナー捕集ユニットとサイクロン導入部と画像形成本体部とを組み合わせた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上の静電潜像はトナーで現像され、このトナー像は、直接、または中間転写体を介して用紙に転写される。転写後の感光体の表面に残留するトナーはクリーニング装置で清掃される。ここで、現像、転写、クリーニングの各プロセスでトナーの飛散やモレによる汚染が従来から課題となっていた。
【0003】
このようなトナーの飛散やモレに対応するため、例えば、特許文献1は、現像装置の出口に飛散トナーの吸引口を設け、吸引されたトナーをフィルタでろ過・捕集する技術を開示している。フィルタは、交換式になっており、目詰まりを起こしだすと交換されるようになっている。
【0004】
しかしながら、特に高速大型の画像形成装置においては、発生する飛散トナー(以下、飛散、あるいはモレのトナーを飛散トナーと総称する)の量が多く、特許文献1のような単にフィルタで捕集する構造では、すぐにフィルタ目詰まりを起こし、フィルタを交換しなければならない。フィルタ交換には、サービスマンを呼んでフィルタ交換をするという作業が必要で、生産性が悪いものであった。
【0005】
一方、特許文献2は、現像装置の入口側と出口側にダクトを設け、このダクトで吸引される飛散トナーを、遠心分離器を応用したサイクロンに通して、所定サイズの大きさで再利用できるトナーと望ましくない大きさのトナーに分級し、再利用できるトナーは現像装置に戻す一方、不要トナーはフィルタに向けて送り出す技術を開示している。
【0006】
また、飛散トナーはクリーニング装置でも発生するが、特許文献3は、クリーニング装置からの飛散トナーを空気流とともにサイクロンに供給し、飛散トナーは分離してトナー回収容器に回収し、空気流はフィルタを通してから排気する技術を開示している。
【0007】
さらに、特許文献4は、現像装置とクリーニング装置の両方から飛散トナーを含む空気流をサイクロンに送り込む技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−223484号公報
【特許文献2】米国特許第7428398号公報
【特許文献3】特開平8−194422号公報
【特許文献4】特開2006−91585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献2〜4に用いられるサイクロンは、飛散トナーを含む空気流をサイクロン本体内の接線方向に導入し、旋回流れによって飛散トナーと空気とを分離するので、ほとんどのトナーはサイクロン本体の下部からトナー回収容器に捕集される。このためサイクロンからフィルタに進む空気流の中の飛散トナーの量は格段に少なくなり、このため、フィルタの汚れは非常に少なくなり、特許文献1に記載の技術に比べて生産性は優れている。
【0010】
しかしながら、特許文献2〜4に開示の技術では、サイクロンは画像形成装置に固定されており、トナー回収容器やフィルタだけをサイクロンから分離して交換していたので、交換時にサイクロンとトナー回収容器やフィルタの接続部からトナーがもれて機内を汚染する恐れがあった。
【0011】
そこで本発明は、サイクロンを用いたトナー捕集ユニットを画像形成装置から着脱する際に、トナー飛散を防止し、さらにメンテナンス性がよい画像形成システム、及びサイクロン捕集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
【0013】
1.電子写真方式を用いた画像形成本体部と、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、
を有する画像形成システムであって、
前記トナー捕集ユニットは、前記サイクロン導入部が前記画像形成本体部に設けられた画像形成装置から着脱可能としたことを特徴とする画像形成システム。
【0014】
2.前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とする前記1に記載の画像形成システム。
【0015】
3.電子写真方式を用いた画像形成本体部と、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、
を有する画像形成システムであって、
前記サイクロン導入部が前記トナー捕集ユニット側に設けられたサイクロン捕集システムが、前記画像形成本体部から着脱可能であり、
前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とする画像形成システム。
【0016】
4.電子写真方式を用いた画像形成本体部に着脱可能なサイクロン捕集システムであって、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、を有し、
前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とするサイクロン捕集システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サイクロン導入部を画像形成装置側に設け、トナーが堆積する部分をトナー捕集ユニット側から排除することで、トナー捕集ユニット取り外し時のトナーこぼれを抑制できる。またサイクロン導入部の底部をサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させることで、サイクロン旋回流によってトナーがトナー捕集ユニットにあるトナー回収容器方向に積極的に向かわせる効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の画像形成システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の概略構成を説明する模式図である。
【図3】実施の形態の詳細構成を示す平面図である。
【図4】トナー捕集ユニットの詳細を示す斜め上方から見た斜視図である。
【図5】トナー捕集ユニットが画像形成装置に挿入されるところを示す上面図である。
【図6】傾斜面を有したサイクロン導入部の底部を示す図である。
【図7】トナー捕集ユニットがサイクロン導入部とともに画像形成本体部にある共通ダクトに挿入されるところを示す上面図である。
【図8】サイクロン導入部の底部が、出口筒の下部端面方向に向かって傾斜しているところを示す図である。
【図9】トナー堆積状態を示す模式図で、図9(a)が下部漏斗状のサイクロンの場合、図9(b)が円筒状のサイクロンの場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を説明する。なお、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また以下の本発明の実施の形態における断定的な説明は、ベストモードを示すものであって、本発明の用語の意義や技術的範囲を限定するものではない。
【0020】
図1は本発明の実施の形態を説明する画像形成システムの全体構成を示す概略図である。なお本明細書では、後述するトナー捕集ユニット12と、サイクロン導入部21と、画像形成本体部1Aと、を主な構成としている。そしてトナー捕集ユニット12と、サイクロン導入部21と、画像形成本体部1Aとを組み合わせた状態を画像形成システムと称し、トナー捕集ユニット12にサイクロン導入部を設けた状態をサイクロン捕集システムと称する。さらに、画像形成本体部1Aにサイクロン導入部21を設けた状態を画像形成装置と称する。
【0021】
画像形成本体部1Aは、4本の感光ドラムに形成したイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各トナー像を中間転写体上に転写して重ね合わせた後、用紙に二次転写するタンデム方式のカラー画像形成方法であるが、本発明はこの方式に限らず、種々の方式の画像形成方法に適用可能である。
【0022】
図1において、画像形成本体部1Aの略中央に4本の感光ドラム2Y、2M、2C、2Kが縦に配列されている。各感光ドラム2Y、2M、2C、2Kは、それぞれ反時計方向に回転駆動され、各感光ドラムに対向して各色の現像装置3Y、3M、3C、3K(図には3Yのみ表示)が配置されている。
【0023】
各感光ドラムの各現像装置上流側には、図示しない清掃装置、帯電装置、露光装置が配置され、各感光ドラム2Y、2M、2C、2Kは、中間転写ベルト4と接触している。中間転写ベルト4は、時計方向に回転駆動され、その内側の各現像装置と対向する位置に一次転写装置(図示せず)を有する。
【0024】
各色のトナー像は、上記の帯電、露光、現像の各装置で感光ドラム上に形成され、一次転写装置により中間転写ベルト4に転写される。中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像は、画像形成本体部1Aの下部の給紙装置5から供給される用紙に二次転写され、定着装置6で定着されて排出される。
【0025】
このような画像形成本体部1Aの構成において、各現像装置の上側(現像装置が感光ドラムに対向する位置の上流)に、飛散トナーを吸引する吸引ダクト10Y、10M、10C、10Kがそれぞれ設けられており、各吸引ダクト10Y、10M、10C、10Kは、共通ダクト11に接続されている。
【0026】
共通ダクト11は、後述するトナー捕集ユニット12を着脱自在に受ける受け台の機能も有し、この共通ダクト11内に収められたトナー捕集ユニット12は、図1に示すように、画像形成本体部1Aの側面から取り出すことができるように構成されている。
【0027】
(トナー捕集ユニット)
吸引ダクト10Y、10M、10C、10K及び共通ダクト11は、画像形成本体部1A内に固定配置されている。
【0028】
また、画像形成本体部1Aは、トナー捕集ユニット12の上部の位置に第2ダクト14を有しており、この第2ダクト14は、ファン15を有していて、トナー捕集ユニット12で清浄化された空気を機外に排出する。なお太い黒矢印は、空気の流れを示す。
【0029】
図2は、本発明に係るトナー捕集ユニット12の概略構成を説明する模式図であり、上側が上面図、下側が側面図である。図2において、トナー捕集ユニット12は、サイクロン本体22と、トナー回収容器24と、内部にフィルタ25を有する空気流路部26と、第2ダクト14との接続部である空気流出口27等で構成されている。
【0030】
サイクロン本体22は円筒形状をしており、サイクロン本体22の上部には飛散トナーを含有する空気を吸い込む空気吸入口221が設けられ、さらに上部中央から上方に空気を吸出すサイクロン出口筒23が設けられている。
【0031】
サイクロン本体22の底部には、トナーを貯めるトナー回収容器24が設けてある。
【0032】
なお、本実施の形態では、サイクロン本体22とサイクロン出口筒23とを含めてサイクロンCYと呼称する。
【0033】
サイクロン本体22は、遠心分離器を応用したもので、飛散トナーを含む気体(トナー含有空気)をロート状または円筒状になった形状を有し、空気吸入口221からサイクロン本体22の内壁円周方向にトナーを含む空気を、渦を描くように流し込む。このような空気の流れをサイクロン旋回流または旋回流れという。この際、気体の排出方向はサイクロン本体22の中央に配置したサイクロン出口筒23から上方向に排出する。固体は、遠心分離され、壁面に衝突しその後重力により落下し、下に溜まる仕組みである。
【0034】
このようにサイクロンCYは、縦に配置され円筒形状の軸を重力方向と一致させている。この縦配置は必須ではないが、重力を用いてトナーを空気から分離するには最適の配置である。分離されたトナーは、自重によって下方に運ばれ、トナー回収容器24内に回収される。一方、空気は、サイクロン出口筒23から空気流路部26を通り、最終的に開口から機外に排出される。
【0035】
サイクロン出口筒23は、トナーが分離された空気をサイクロン本体22から空気流路部26に送り出す出口であり、サイクロン本体22の上方でその軸と一致した軸を持つ円筒状の出口筒23aを有している。
【0036】
出口筒23aは、サイクロン本体22の中央の上部から下方向に所定の長さを有している。ここで所定の長さとは、空気吸入口221から吸引された飛散トナーが、サイクロン旋回流によって出口筒23aの下部端面口から流入しない位置までの距離のことである。
【0037】
本実施の形態では、出口筒23aからU字型のパイプ23bに続いており、サイクロン本体22からの空気を上下反転させて空気流路部26に送り込む。空気流路部26にはトナーをろ過するフィルタ25が配置されており、空気に含まれる残りわずかなトナーも捕集され、空気は清浄化される。フィルタ25は複数枚配置することでより清浄効果が増し好ましい。
【0038】
サイクロンCYは、旋回流れによりトナーを遠心分離するため、旋回流れの回転軸方向にある程度の長さが必要であり、この縦長の形態にあわせてフィルタ25もサイクロンCYと平行に設置され、縦長の形状を有している。サイクロン出口筒23はU字形状となっており、空気はフィルタ面に平行に導入される。このように導入されることにより、フィルタ25の上部と下部とにおけるフィルタ通過速度を略均等にでき、フィルタ25の全面を有効利用できる。
【0039】
また、フィルタ25の上部と下部とにおけるフィルタ通過速度をさらに均等にするために、サイクロン出口筒23の内部に整流板28を設けている。整流板28は、サイクロン出口筒23の後半部から空気流路部26の上部まで伸びる板部材であり、サイクロン出口筒23から流出する空気を2分割している。この整流板28が無い場合、サイクロン出口筒23から流出する空気の多くは、フィルタ25の上部に向かうようになるが、整流板28を設けることによりフィルタ25の上部と下部とで同程度の空気量となり、従ってフィルタ通過速度も均等になる。
【0040】
なお、フィルタ25の下流の部分にスペースがある場合は、図2の点線で示すように、整流板28aをフィルタ25の下流に設けてもよい。
【0041】
図3、図4は、図2に示す実施の形態のさらに具体的な構成を示す図である。
【0042】
図3は、画像形成本体部1A側に設けられたサイクロン導入部21と、トナー捕集ユニット12とが着脱するところを示す略断面図である。
【0043】
共通ダクト11は、図3の左側に吸引ダクト10Y、10M、10C、10Kの開口部11Y、11M、11C、11Kから流入するトナー含有空気eを蓄える空間部であり、本図ではさらにトナー含有空気eをトナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部21が図示されている。
【0044】
しかし、サイクロン導入部21は、必ずしも共通ダクト11を有する画像形成本体部1A側に設ける必要はなく、トナー捕集ユニット12側に設けても良い。
【0045】
共通ダクト11の底部11aは、トナー捕集ユニット12の受け台であり、トナー捕集ユニット12が送り込まれる方向の先端部にストッパ11bが形成されている。また、上部には第2ダクト14との接続開口11cが形成されている。
【0046】
図4は、トナー捕集ユニット12の分割された半分であるユニット12aを左斜め上方から見た斜視図である。この2分割される2つのユニットは、プラスチック成型で作製されるものであり、画像形成装置からの着脱に際し、不注意で落としたりしても壊れて内部のトナーが飛び出すことがないように、堅牢な材料で作製される。材料としては、例えば、ポリプロピレンやポリカーボネートなどを用いることができる。ポリカーボネートは透明であるので、内部の汚染状況を外から目視できて好適である。なお、上述の共通ダクト11も同様の材料で形成することができる。
【0047】
共通ダクト11をプラスチック成型で形成する際には、トナーとの摩擦帯電系列を考慮してトナーが付着しにくい材質を選定するとよい。あるいは、共通ダクト内面に帯電防止材を塗布することも有効である。一方で、着脱可能なトナー捕集ユニット12をプラスチック成型で形成する際には、トナーが付着しやすい材質を選定すると良い。
【0048】
図4に示すサイクロン本体22は、円筒をその中心軸に沿って半分に切った形状のくぼみとして形成される。一方、トナー回収容器24は、サイクロン本体22との接続部はサイクロン本体22の円筒形状に合わせた円状の開口を持つが、回収容器内部は、多くのトナーを収容できるように略方形状(四角形)の空間に形成される。
【0049】
サイクロン本体22の上部には、別途円筒形状に形成された出口筒23aが嵌め込まれている。嵌め込みは、出口筒23aの上部のつば部23cをサイクロン上部に形成した凹溝に入れることで行われる。出口筒23aに続いて、トナー捕集ユニット12の上部にU字状のパイプ23bが、半分に切った形状のくぼみとして形成され、空気を空気流路部26に導くようになっている。このU字状のパイプ23bと出口筒23aを合わせてサイクロン出口筒23とする。このパイプ23bから空気流路部26の上部にわたって整流板28が設けられている。
【0050】
空気流路部26には、複数のフィルタを嵌め込むスロットが形成されている。図4は、片方のトナー捕集ユニット12aのスロットにフィルタ25を嵌め込んだ状態を示している。
【0051】
また、空気流路部26の引き出し方向外側に、トナー捕集ユニット12を引き出すためのハンドル105が設けられている。なお、ハンドル105は、トナー捕集ユニット12を引き出すために設けられるものであり、この機能を果たすならば、別の形態、例えば、手で掴みやすい形状のくぼみとした把持部などでもよい。
【0052】
本実施の形態のフィルタ25としては、サイクロン側から2枚のトナー防塵フィルタ25a、25b、1枚のオゾン触媒フィルタ25c、そして、最後に1枚のトナー防塵フィルタ25dが並べられている。
【0053】
(着脱)
次に、サイクロン導入部21が画像形成本体部1Aに設けられた画像形成装置とトナー捕集ユニット12との着脱、及びサイクロン導入部21がトナー捕集ユニット12側に設けられたサイクロン捕集システムと画像形成本体部1Aとの着脱、について実施例1、実施例2を用いて説明する。
【0054】
(実施例1)
実施例1としてサイクロン導入部21が画像形成本体部1Aに設けられた画像形成装置とトナー捕集ユニット12との着脱を可能とした画像形成システムについて説明する。
【0055】
図5は、画像形成装置にトナー捕集ユニット12を挿入するところを示す上面図である。空気吸入口221は、円筒状のサイクロン本体22の上部に設けられ、さらにトナー含有空気eがサイクロン本体22を上から見たときに時計方向に円筒面内壁に沿って流れ込むことが可能な位置に設けられている。
【0056】
一方、サイクロン導入部21の先端には、サイクロン本体22の円筒外径と同じ曲率で形成された挿入口210が設けられている。挿入口210は、トナー含有空気eが外部に流出しないように空気吸入口221の全周を密着するような構造となっている。密着構造としては、詳細は省略するがインロー構造とすることが一般的である。
【0057】
図6は、サイクロン導入部21の底部が、出口筒23aの下部端面方向に向かって傾斜しているところを示す図である。サイクロン導入部21の底部が水平面であると、この水平面上にトナーが堆積し、トナー捕集ユニット12を画像形成装置から引き出す際に、サイクロン導入部21の底に堆積したトナーが落下し装置内外を汚すという問題が発生する。本発明は、その対策としてトナー捕集ユニット12の底部が出口筒23aの下部端面23d方向に傾斜した傾斜面211を有し、底部に堆積したトナーをサイクロン旋回流によってサイクロン本体22の下方にあるトナー回収容器24(図2参照)に落下させる構造となっている。
【0058】
また、傾斜面211がサイクロン本体22に接続する位置211aは、出口筒23aの下部端面23dの位置よりも上方に設けている。その理由としては、位置211aが出口筒23aの下部端面23dより低い位置にあるか、あるいは同等の位置にあると、トナーはトナー回収容器24に落下する前に上方向に流れる旋回流によって出口筒23a方向に吸い上げられ、トナー含有空気となってサイクロン出口筒23を通過するという問題が発生する。そのために本実施の形態では、傾斜角度は、傾斜面の延長面と出口筒23aとが交差する交線23fが、下部端面23dの傾斜面211に対して最遠部23eより上になるようにしている。
【0059】
(実施例2)
次に実施例2として、サイクロン導入部21がトナー捕集ユニット12側に設けられたサイクロン捕集システムが、画像形成本体部1Aから着脱が可能な画像形成システムについて説明する。
【0060】
図7は、サイクロン捕集システムが画像形成本体部1Aにある共通ダクト11に挿入されるところを示す上面図である。図8は、サイクロン導入部21の底部が、出口筒23aの下部端面方向に向かって傾斜しているところを示す図である。なお、図7、8において、図5、図6と共通して使用される部品についてはその符号を用い詳細なる説明を省略する。
【0061】
サイクロン導入部21は、円筒状のサイクロン本体22の上部に設けられ、さらにトナー含有空気eがサイクロン本体22を上から見たときに時計方向に円筒面内壁に沿って流れ込むことが可能な位置に設けられている。
【0062】
サイクロン導入部21の先端は、共通ダクト11側に設けられた挿入口210eと全周が密着するような構造となっており、トナー含有空気eが外部に流出しないようにしている。密着構造としては、実施例1と同様なインロー構造とすることが一般的である。
【0063】
図8は、サイクロン導入部21の底部が、出口筒23aの下部端面方向に向かって傾斜しているところを示す図である。サイクロン導入部21の底部が水平面であると、この水平面上にトナーが堆積し、サイクロン捕集システムを画像形成装置から引き出す際に、サイクロン導入部21の底に堆積したトナーが落下し装置内外を汚すという問題が発生する。本発明は、その対策としてトナー捕集ユニット12の底部が出口筒23aの下部端面23d方向に傾斜した傾斜面211を有し、底部に堆積したトナーをサイクロン旋回流によってサイクロン本体22の下方にあるトナー回収容器24に落下させる構造となっている。
【0064】
また、傾斜面211がサイクロン本体22に接続する位置211aは、出口筒23aの下部端面23dの位置よりも上方に設けている。その理由としては、位置211aが出口筒23aの下部端面23dより低い位置にあるか、あるいは同等の位置にあると、トナーはトナー回収容器24に落下する前に上方向に流れる旋回流によって出口筒23a方向に吸い上げられ、トナー含有空気となってサイクロン出口筒23を通過するという問題が発生する。そのために本実施の形態では、傾斜角度は、傾斜面の延長面が下部端面23dの傾斜面211に対して最遠部23eと交差する交線23fより上になるようにしている。
【0065】
(サイクロン本体)
次に、サイクロン本体22の構造・作用について、図9に示す実施形態例を用いて説明する。
【0066】
従来、一般的なサイクロンCYは、上部が円筒で、下部が円錐の漏斗形状のものが多い。この場合、その開口が狭く、開口に接続されるトナー回収部BXにその容積一杯までトナーを収容できない。一方、本発明では、サイクロンCYを全体にわたって円筒形状としているため相対的に収容容積が大きくなる。
【0067】
すなわち、図9(a)の下部漏斗状のサイクロンCYの場合、トナー回収部BXの開口までトナー(ドットスクリーンで示す)を収容し、さらにトナーを収容しようすると、過集積のトナー(ハッチングで示す)は漏斗形状の開口の上部に集積されるだけで、トナー回収部BXの図9(a)において右肩・左肩の部分にまではトナーが入り込まず、結果的にトナー回収部BXの全容積を有効活用できず不経済である。
【0068】
そのため、本実施の形態では、図9(b)に示すようにサイクロンCYの全体を円筒形状とし、サイクロンCYと略同一直径の開口を有するトナー回収部BXと接続した。これにより、トナー回収部BXの容積全体にトナーを収容できることになる。
【0069】
以上説明したように、サイクロン導入部21が画像形成本体部1Aまたはトナー捕集ユニット12に設けられ、サイクロン導入部21の底部が出口筒23aの下部端面23dに向かって傾斜している。その結果トナーが底部に堆積してもサイクロン旋回流によってトナー回収容器24に落下し、トナー捕集ユニット12を着脱する際に画像形成装置内外を汚染することがない。
【符号の説明】
【0070】
1A 画像形成本体部
3Y(3M、3C、3K) 現像装置
10Y、10M、10C、10K 吸引ダクト
11 共通ダクト
12 トナー捕集ユニット
14 第2ダクト
15 ファン
21 サイクロン導入部
CY サイクロン
22 サイクロン本体
24 トナー回収容器
211 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子写真方式を用いた画像形成本体部と、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、
を有する画像形成システムであって、
前記トナー捕集ユニットは、前記サイクロン導入部が前記画像形成本体部に設けられた画像形成装置から着脱可能としたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
電子写真方式を用いた画像形成本体部と、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、
を有する画像形成システムであって、
前記サイクロン導入部が前記トナー捕集ユニット側に設けられたサイクロン捕集システムが、前記画像形成本体部から着脱可能であり、
前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
電子写真方式を用いた画像形成本体部に着脱可能なサイクロン捕集システムであって、
サイクロンを用いたトナー捕集ユニットと、
前記画像形成本体部の内部で発生した飛散トナーを含む空気を、前記トナー捕集ユニットに導くサイクロン導入部と、を有し、
前記サイクロン導入部の底部は、円筒形状をしたサイクロン本体の内側下方に向かって傾斜させた傾斜面を有していることを特徴とするサイクロン捕集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−209503(P2011−209503A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77217(P2010−77217)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】