画像形成システム、封入方法及び封入制御プログラム
【課題】封筒と封入物に対して別々の画像形成手段で画像形成を行って封入するシステムにおいて、生産効率を落とさずに、確実に封筒に封入物を封入できるようにする。
【解決手段】封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、封入物に対して画像形成する画像形成装置側の作像エンジンと、封筒に対して画像形成する封入装置側の印字装置と、前記作像エンジンで画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記印字装置によって封筒に画像を形成させるようにした(ステップS5−S12)。
【解決手段】封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、封入物に対して画像形成する画像形成装置側の作像エンジンと、封筒に対して画像形成する封入装置側の印字装置と、前記作像エンジンで画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記印字装置によって封筒に画像を形成させるようにした(ステップS5−S12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、封入方法及び封入制御プログラムに係り、特に、画像形成装置によって封筒と封入物それぞれに画像形成を施して封入処理を行う画像形成システム、当該画像形成システムで実行される封入方法、及び当該方法をコンピュータに実行させるための封入制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する封入システムにおいて、画像形成装置によって封筒と封入物それぞれに画像形成を施して封入処理を行うことは、例えば特許文献1(特開2004−045650号公報)に開示されている。この特許文献1には、プリント部が、第1画像形成部と第2画像形成部とを備え、封入物と封筒にそれぞれ印刷する技術が開示されている。すなわち、第1画像形成部は画像読取部の下側に設けられ、給紙部より供給される所定の記録紙に対して電子写真方式で印刷を行うことにより、送付書類「見積書」を作成し、第2画像形成部は、後処理ユニットの上部に設けられ、印刷部と、封筒供給部とを備え、第1画像形成部は、記録紙に画像を形成する画像形成手段として機能し、第2画像形成部は、封筒に画像を形成する画像形成手段として機能するようになっている。
【0003】
そして、画像読取部で読み取った画像データを記憶し、封入物の内容と封筒の宛先を対応させ、封入物に対しては第1画像形成部により、封筒に対しては第2画像形成部により画像を形成し、封入物を封筒に自動的に封入するという方式をとっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方式で封入物を封筒に封入する場合、第1画像形成部で形成される画像と、第2画像形成部で形成される画像とでは、画像データ量が異なる。通常、封入物に形成される画像の画像データの方が封筒に形成される画像の画像データよりも格段に多い。一方、第1画像形成部は画像形成装置側に、第2画像形成部は後処理ユニット、所謂用紙後処理装置側にそれぞれ設けられ、両者は連結されて使用される場合が多い。その際、画像形成装置側から用紙後処理装置側に印刷された封入物を搬送し、封入物が挿入可能な大きさに封入口を広げられた封筒に入れることになるが、第1画像形成部の画像形成時間と、第2画像形成部の画像形成時間が画像データの多寡に応じて異なり、両者の画像形成時間、画像形成時間の相違と搬送路長と考慮した搬送開始タイミングをうまく設定しないと、封筒内に封入物を封入できない状態やジャムを発生することがあり、確実に封入するように搬送開始タイミングを設定すると生産効率が落ちる結果となる。
【0005】
しかし、このような点に対して前記特許文献1記載の発明では、全く考慮されていなかった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、封筒と封入物に対して別々の画像形成手段で画像形成を行って封入するシステムにおいて、生産効率を落とさずに、確実に封筒に封入物を封入できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、前記封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、前記封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、前記第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、封筒と封入物に対して別々の画像形成手段で画像形成を行って封入するシステムにおいて、生産効率を落とさずに、確実に封筒に封入物を封入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における封入装置の内部構造を示す図である。
【図4】画像形成装置の給紙段の各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を示す斜視図である。
【図5】画像形成装置の給紙段の各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系の他の例を示す斜視図である。
【図6】図5の横断面図である。
【図7】封入装置における封筒チャック部の構成を示す要部断面図である。
【図8】封筒チャック部において封筒が開口部を開封マイラの下端よりも下側にして保持された状態を示す要部断面図である。
【図9】封筒チャック部において封筒内に開封マイラの下端が入り込んだ状態を示す要部断面図である。
【図10】封筒チャック部において封筒内に開封マイラの下端が入り込んだ状態を示す図である。
【図11】封入装置のパックユニットの構成を示す正面図である。
【図12】印字給紙部の内部構成を示す図である。
【図13】印字装置の一例であるラインヘッドの全体構成を示す斜視図である。
【図14】ラインヘッドの構成を示す図である。
【図15】画像形成装置の上面に設置されている操作パネルの正面図である。
【図16】図15に示した操作パネルの操作表示画面の表示例を示す図である。
【図17】図16の画面で「封筒設定」ボタンが押下されたときの画面の表示例を示す図である。
【図18】図17の表示画面で「印字情報入力」ボタンが押下されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図19】図17の表示画面で「封入物情報選択」ボタンが選択されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図20】画像形成装置内の記憶装置に記憶されている封筒設定情報の一例を示す図である。
【図21】図16の表示画面で「封入物設定」ボタンが押下されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図22】封筒設定で入力されたジョブの一覧(封入物設定情報画面)を示す図である。
【図23】封筒設定情報の一覧表示画面からNo.1あるいはNo.3の封入物情報の欄が押下されたときに遷移する用紙サイズ入力画面を示す図である。
【図24】封入印刷時の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】封筒の向き、印字位置及び印字方向の関係を示す図である。
【図26】登録されている印刷ジョブの設定変更の表示例を示す図である。
【図27】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図28】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておく処理手順を示すフローチャートである。
【図29】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかをユーザへ通知する処理手順を示すフローチャートである。
【図30】印字給紙部に異常が発生したときに動作を継続するかどうかをユーザに通知した場合の操作パネルの表示例を示す図である。
【図31】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておき、画像形成装置で封筒に印字させるか否かをユーザに選択させる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、画像形成システムが、封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、封入物を封入する封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、封入物を封筒に封入する封入手段を有し、前記封入手段によって封入物を封筒に入れる封入モードを実行する際、第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、封筒が封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成することを特徴とするものである。
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。同図において、本実施形態に画像形成システムは、画像形成装置1及び封入装置2から基本的に構成されている。画像形成装置1は本体部がMFP(Multi Function Peripheral)からなり、上部にはADF1−Cと表示装置付きの操作パネル1−Aが、下部には複数の給紙段1−Bがそれぞれ設けられている。MFPには、例えば電子写真方式の作像エンジンによって封入物、ここではシート状記録媒体である用紙若しくは記録紙に画像が形成される。作像ユニットはモノクロの作像エンジン、あるいはカラー画像の場合はタンデム型の作像エンジンなどが使用される。これらの作像エンジン自体は公知であることから、ここでは詳細についての説明は省略する。
【0013】
封入を行う封筒、封入物は画像形成装置1の下流側(後段)に連結されている。封入を行う封筒は、封入装置2の上部に設けられた印字給紙部2−Bに、封入物は画像形成装置1にある給紙段1−Bにそれぞれセットされており、封入物は画像形成装置1から封入装置2へ、封筒は印字給紙部2−Bから封入装置2内へそれぞれ搬送され、封入装置2内で封入物を封筒に封入した後に積載トレイ2−Aに排出される。なお、本実施形態では、封筒を印字給紙部2−Bに、封入物を画像形成装置1の給紙段1−Bにセットしているが、封筒を給紙段1−Bに、封入物を印字及び給紙手段2−Bにセットし搬送することも可能である。
【0014】
図2は、図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。図2において、オンラインの画像形成システムは、画像形成装置1に対して封入装置2が接続され、画像形成装置1及び封入装置2はそれぞれCPU1U,2Uと通信ポート1P,2Pを備え、画像形成装置1と封入装置2は通信ポート1Pと通信ポーロ2Pにより相互に通信可能となっている。操作パネル1−Aは画像形成装置1に図示しないI/Fにより接続され、画像形成装置1のCPU1Uからの表示指示により後述の表示が実行され、操作パネル1−Aからのキー入力若しくはタッチ入力により画像形成装置1に対してユーザから操作入力が行われる。
【0015】
画像形成装置1及び封入装置2にそれぞれ搭載されているCPU1U,2Uは、同じく画像形成装置1及び封入装置2にそれぞれ搭載されたROMに格納されたプログラムをそれぞれ読み出し、RAMに展開するとともに、図示しないHDDにダウンロードされたアプリケーションプログラムを読み出し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用して、前記プログラムコードに従った処理を実行する。これにより、前述の表示制御や処理が行われる。
【0016】
これらの各装置は、前記通信ポート1P,2Pを介して電気的に直列に、また、少なくとも用紙搬送路を介して機械的にも直列に接続されており、オンライン処理の場合には、電気的には同時に制御される。後述のフローチャートの処理は画像形成装置1のCPU1Uによって指示され、封入装置2のCPU2Uで実行される。
【0017】
図3は本実施形態における封入装置2の内部構造を示す図である。
印字給紙部2−Bの給紙段25−1,2にセットされた封筒は印字給紙部2−B内の第2の画像形成手段としての印字装置25−6(後述)に給紙され、宛名等を例えばインクジェットヘッドにより印字され、封入装置2本体へ搬送されてくる。封筒は搬送路7の封筒搬入口7aから搬入され、封筒搬入検知センサ8によって検知された後、各搬送ローラが駆動されて封筒の搬送が開始される。図3では、上搬送分岐爪6は封筒を下搬送路9に導く位置(図3の位置)へ回動しており、水平に搬送されていた封筒は下搬送路9へ導かれ、垂直下方に搬送されていく。
【0018】
下搬送路9の縦搬送路11と封入物搬送路12の分岐位置には下搬送分岐爪10が設けられ、下搬送分岐爪10は縦搬送路11に封筒を導く位置(図3において図示反時計回り方向に回動し、縦搬送路11側を開放した位置)へ回動している。これにより、封筒は縦搬送路11へ搬送されていく。
【0019】
縦搬送路11の最下流側にはチャックコロ対20が設けられ、封筒のまち部を噛んだ状態で保持し、封入物が封入されてくるのを待つ。このとき揺動コロ対22は矢印D4の方向へ退避しており、封筒とは接しない位置にいる。
【0020】
画像形成装置1では、ADF1−Cから搬送された原稿を読み取った後、読み取った原稿サイズに対応したサイズの用紙が封入物として給紙段1−Bから画像形成装置1内に給紙され、作像エンジンで画像形成された後に、封入装置2へ搬送されてくる。封入物は画像形成装置1の上部の排紙口から入口搬送路5に搬入されてくる。封入物は入口センサ4によって検知された後、各搬送ローラが駆動され、封入物の搬送が開始される。
【0021】
その際、上搬送分岐爪6は下搬送路9に封入物を導く位置へ回動(図示時計回り方向)しており、封入物は上搬送分岐爪6によって搬送方向を水平方向から垂直方向に偏向され、下搬送路9へ搬送されていく。さらに下搬送分岐爪10は封入物搬送路12に封入物を導く位置(図13に示した位置)へ移動しており、封入物は封入物搬送路12へ搬送されていく。封入物は封入物排紙センサ13を通過し、中間トレイ15へ排出される。中間トレイ15に排出後、戻しコロ14は中間トレイ15に接する位置へ移動し、封入物を後端ストッパ18の方向へ搬送する。搬送完了後、サイドジョガー対17にて整合動作を行う。封筒に封入する全ての封入物(用紙)が揃うまで同じ動作を繰り返す。
【0022】
画像形成装置1側から1枚ずつ搬送されてきた封入物が全て中間トレイ515上に積載された後、後端ストッパ18は矢印D1の方向へ退避する。退避後、先端ストッパ16は矢印D2の方向へ移動を開始し、封入物束をパックユニット19内へ搬送し、封入物束はパックユニット19内の上下のコロ42,43対にニップされる(図11参照)。封入物のパックユニット19への搬送完了後、パックユニット19は支点46を回動支点として矢印D3の方向へ移動し、封入物束は、チャックコロ対20で保持された封筒へパックユニット19内の前記コロ42,43対によって搬送され、封筒内に封入される。封入完了後、揺動コロ対22は矢印D4と逆方向に移動し、封筒の排紙搬送路23への搬送を開始する。封筒は排紙搬送路23内を搬送され、封筒排紙センサ24を通過し、封筒積載トレイ26へ排紙される。
【0023】
図4は画像形成装置1の給紙段1−Bの各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を示す斜視図である。同図において、給紙段1−Bの各給紙カセットには、収納する各用紙サイズ又は封筒サイズにそれぞれ対応させて形成したサイズ指示板27が取り付けてある。給紙カセットを装置本体にセットすると本体側にそのサイズ指示板27に対応させて設けてあるサイズ検知センサ28がそのサイズ指示板27を検知してカセット内に入っている用紙又は封筒(図4では封筒Pfがセットされている。)のサイズを検知する。なお、給紙カセットの各側面には、サイズシール29が貼着され、ユーザがカセット内の収納物のサイズを一目でわかるようにしてある。
【0024】
図5は画像形成装置1の給紙段1−Bの各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系の他の例を示す斜視図、図6は図5の横断面図である。
【0025】
図5及び図6に示すように本実施形態における給紙段1−Bでは、底板30上に用紙あるいは封筒Pfを載置し、それを図6に示すガイドロッド33に沿って矢印A方向にスライド可能な一対のサイドガイド31,32によって挟んで底板30の中央位置にセットする。その底板30の下側には、サイドガイド32の位置を検知することにより底板30上の用紙サイズを検知するサイズ検知装置34を配設し、それによって検知した値を予め記憶させてあるサイズデータと比較して、底板30上にセットされている用紙P又は封筒Pfのサイズを認知することができるようにしている。サイズ検知装置34としては、例えば可変抵抗型位置センサが使用される。用紙サイズはこの可変抵抗型位置センサから出力される抵抗値若しくは抵抗値の変化からCPU1Uで容易に検出することができる。
【0026】
図7は、封入装置2における封筒チャック部の構成を示す要部断面図である。同図において、封筒チャック部38は、縦搬送路11の最下流に設けられ、上下方向に互いに圧接して回転可能な一対のチャックコロ20,36(ローラでもよい)とからなる。チャックコロ20,36の上流側の縦搬送路11には、チャックコロ20,36のニップ部に封筒Pfを案内する封筒ガイド35,39と、ニップ部の搬送上流側に封筒検知用センサ37とが設けられ、下側のチャックコロ20の一部に弾性変形可能なシート状の開封部材となる開封マイラ21の一部が接触し、その状態を維持している(以下、当接と称す。)。開封マイラ21は、チャックコロ20,36によって保持される封筒Pfの開口部内に一部を挿入させることによって封筒を開封し得る位置に配設されている。
【0027】
チャックコロ20,36は、略垂直方向に並んで配置され、互いに圧接している。また、封筒ガイド35,39は、封筒Pfを縦搬送路11から用紙が移送される位置へ案内してチャックコロ20,36のニップ部へ導くと共に、チャックコロ20,36に達した封筒Pfをさらに下方へ導き、その際に封筒を下側のチャックコロ20に略沿わせて案内する。
【0028】
開封マイラ21は、例えば薄いフィルム状の樹脂材で形成され、チャックコロ20に近接して配設されている。開封マイラ21の上端側は固定されており、通常は下端部より少し上側の部分が下側のチャックコロ20に材料自身の持つ弾性力によって所定の加圧力で当接している。
【0029】
図8は封筒チャック部38において封筒が開口部Ponを開封マイラ21の下端よりも下側にして保持された状態を示す要部断面図、図9は封筒チャック部38において封筒内に開封マイラ21の下端が入り込んだ状態を示す要部断面図である。
【0030】
この封筒チャック部38は、封筒Pfが下方へ向けて搬送されてくると、それを封筒ガイド35,39によってチャックコロ20,36間に案内する。次にその封筒Pfは、それぞれ回転するチャックコロ20,36の搬送力によってチャックコロ20と開封マイラ21の間へ送られる。用紙を封筒内へ案内する際には、封筒Pfのフラップ(封筒代)Pfcの部分が図8に示すようにチャックコロ20,36によって互いに挟持される位置で停止させる。この位置は、センサ37がフラップPfcの端部の通過を検知した位置であり、CPU2Uは、チャックコロ20,36を回転駆動する図示しない駆動モータの回転を停止させる。これにより、封筒Pfは停止する。このとき、封筒Pfの開口部Ponは同図に示すように開封マイラ21の下端21aよりも下側に位置する。
【0031】
次に、CPU2Uはチャックコロ20,36を逆回転させる(矢印E方向)。これにより、封筒Pfがスイッチバックして縦搬送路11を上方向に搬送される。その際、開封マイラ21は自己の弾性力によって下端側が封筒のフラップPfcの部分に接しているので、その開封マイラの下端21aが図9に示すように封筒の開口部Pon内に入り込む。この状態で、チャックコロ20,36の逆回転を停止させることにより、封筒Pfの上昇動作が止まる。図10は、このときの状態を示す斜視図であり、封筒Pfは、同図に示すように開封マイラ21の下端21aが封筒Pfの開口部Pon内に挿入された開封状態にセットされる。
【0032】
図11は封入装置2のパックユニット19の構成を示す正面図である。同図において、パックユニット19は、上パック部40と下パック部41とからなり、その上パック部に上コロ42が、下パック部に下コロ43がそれぞれ回転可能に取り付けられている。また、前記上下のパック部40,41の右端側には挿入ガイド44,45が取り付けられている。挿入ガイド44,45は、基端側が上下のバック部40,41に回動可能に支持され、両者は弱いバネによって先端側が互いに接近するように弾性力が付与されている。これにより、束状の封入物が挿入ガイド44,45間を通過する際には、両挿入ガイド44,45が押し開かれ、封入物は大きな抵抗を受けることなく搬送される。
【0033】
パックユニット19は、パックユニット19を回動可能に支持する支軸46を支点に回動し、図10に示した状態で待機した開封マイラ21とフラップPfcとの間に両挿入ガイド44,45が挿入される。この状態で前述のように退避後先端ストッパ16が矢印の方向へ移動し、上下のコロ42,43が駆動され、封入物は、両挿入ガイド44,45間を通って封筒内に搬送される。
【0034】
図12は印字給紙部2−Bの内部構成を示す図である。印字給紙部2−Bは、第1及び第2の2段給紙段25−1,2と、各給紙段25−1,2の最下流側にそれぞれ設けられた第1及び第2呼び出しローラ25−3,4と、第1及び第2呼び出しローラ25−3,4によって呼び出された封筒を封入装置2本体側の封筒搬入口7aに続く第2搬送路25−11まで搬送する第1搬送路25−5と、第1搬送路25−5の搬送経路に設けられた印字装置25−6と、反転搬送路を構成する第1及び第2分岐爪25−7,9、第3及び第4搬送路25−8,10、反転経路25−12とから基本的に構成され、各搬送路の適宜位置に封筒を搬送するための搬送ローラ対が配置されている。
【0035】
このような各部によって構成された印字給紙部2−Bでは、第1及び第2給紙段25−1,2にセットされた封筒は、第1又は第2呼び出しローラ25−3,4によって給紙される。給紙された封筒は第1搬送路25−5内を搬送され、印字装置25−6に対向する位置に達すると、封筒に対して印字が施される。封筒への印字が片面のみの場合、印字装置25−6で印字された封筒はそのまま第2搬送路25−11から封入装置2内の搬送路7に搬送されていく。
【0036】
一方、封筒の両面に印字が必要となる場合は、第1分岐爪25−7によって搬送路が第2搬送路25−11から第3搬送路25−8に切り替えられ、封筒は第3搬送路25−8側へ搬送される。第3搬送路25−8では、封筒が搬送路25−8の終端に達する前に第2分岐爪25−9を下方に傾ける(図示反時計回り方向)。これにより、封筒は反転経路25−12へと搬送される。封筒後端が反転センサ25−13を抜けた時点で搬送を停止し、分岐爪25−9を上方に傾け(図示の状態)、反転搬送を開始する。封筒は第4搬送路25−10上内を搬送され、再び第1搬送路25−5に合流する。その後、封筒が印字装置25−6の印字位置に達すると、封筒の裏面に印字が施され、第1分岐爪25−7により切り替えられた搬送路25−11に導かれ、封入装置2内の搬送路7に搬入される。
【0037】
図13は、本実施形態で使用される印字装置25−6の一例であるラインヘッドの全体構成を示す斜視図である。本実施形態では、印字装置25−6としてインクジェット方式でライン印字を行うラインヘッド25−61を使用する。このラインヘッド25−61へは別位置に設けたインクタンクからインク供給管25−17を経てインクが供給される。ラインヘッド25−61は図13に示すようにヘッドの幅が用紙幅を満たすもので、用紙幅全幅にわたって印字することが可能に設定されている。また、ラインヘッド25−61はヘッドドライバによって駆動され、ヘッドドライバはCPU2Uからの駆動信号を伝達するフレキシブル配線基板からなる駆動信号線25−13が接続されている。
【0038】
図14はラインヘッド25−61の構成を示す図で、図14(a)はノズル側から見た正面図、図14(b)はその右側面図に対応する。図14(a)に示すノズル列25−14の密度は形成しようとする画像密度と同等なもので、ノズル列25−14は用紙の搬送方向に複数列配置されている。多色の印字が可能なラインヘッド25−61では、少なくとも3色以上の色専用のノズル列を有する。また、図14(b)に示すように、ノズル列25−61はラインヘッド支持フレーム25−15に支持され、その後部で駆動信号線25−13はコネクタにより接続されている。
【0039】
図15は画像形成装置1の上面に設置されている操作パネル1−Aの正面図である。
【0040】
同図において、操作パネル1−Aは、操作表示画面a、テンキーb、ストップキーc、スタートキーd、電源キーe、機能選択キー群fを備えている。操作表示画面aにメッセージや入力キーが階層表示され、テンキーbは数字入力を行う際に使用する。ストップキーcは処理の停止を入力し、スタートキーdは画像形成開始のトリガー信号を付与する。電源キーeは電源のON/OFFを制御する。機能選択キー群fは、コピー、プリンタ、スキャナなどの各機能を選択するためキーが複数設置されたものである。
【0041】
図16は図15に示した操作パネル1−Aの操作表示画面aの表示例を示す図である。同図の表示例は、画像形成装置1の給紙段1−Bの1段目にA4Y(横)サイズの用紙、給紙段1−Bの2段目にB5Y(横)サイズの用紙、また封入装置2の印字給紙部2−Bが備えている給紙段25−1にA4Y(横)サイズの封筒、給紙段25−2にB5Y(横)サイズの封筒がセットされているものとする。
【0042】
封入処理を行うため、図16の操作画面にある「封入」のタブa1を押下する。すると、「封入」のタブa1に「封筒設定」と「封入物設定」のボタンa2,a3が表示され、このボタンa2,a3から封筒の画像形成に関する設定及び封入物の設定を行うことができる。
【0043】
上記のように設定した場合、以下のように動作する。
図17は図16の画面で「封筒設定」ボタンa2が押下されたときの画面の表示例を示す図である。この図17に示した設定画面では、封筒に対する画像形成について以下の設定を行うことができる。通常の画像形成装置と同じように画像形成条件、例えば、印字濃度、印字倍率等を詳細に設定することは可能であるが、ここでは代表的なものの設定について示す。
すなわち、図16の画面で「封筒設定」ボタンa2を押下すると、図示しない表示制御手段は、この押下を受け付けて、封入タブの表示に図17に示す「封筒選択」ボタンa21、「印字情報入力」ボタンa22、「封入物情報選択」ボタンa23、及び「設定終了」ボタンa24が表示される。ここ表示画面から前記各ボタンのいずれかを押下すると、押下したボタンに対応する処理が実行される。
【0044】
1)封筒選択
「封筒選択」ボタンa21を押下すると、給紙段25−1,2にセットされた封筒から、使用する封筒を選択することができる。ただし、封筒設定では封筒しか選択できない。言い換えれば用紙を選択することはできない。ここで、デフォルトの設定では、封入装置2の給紙段25−1、25−2いずれかから選択するようになっている。このため封筒への印字は封入装置2で、封入物への印字は画像形成装置1でそれぞれ行うことができ、生産性の向上に繋がることになる。
【0045】
2)印字情報入力
「印字情報入力」ボタンa22を押下すると、封筒に印字する宛名等の情報を設定するための入力欄が、表示画面の最上位に表示され、この入力欄から前記情報を設定することができる。詳細については図18を用いて説明する。なお、本実施形態では封筒に関する設定は画像形成装置1の操作パネル1−Aから行うよう構成されているが、MFPに接続されたPCから入力設定するように構成することも可能である。
【0046】
図18は、図17の表示画面で「印字情報入力」ボタンa22が押下されたときの表示画面の一例を示す図である。この例では、「印字情報入力」ボタンa22を押下すると、図18の表示画面に遷移して、封筒の印字情報としての宛名入力欄a3が表示される。宛名入力欄a3には、「郵便番号入力」欄a31、「住所入力」欄a32、「送り先名入力」欄a33が表示される。この例では、前記各欄が表示されるが、その他、封筒の印字情報としては、「送り元の郵便番号入力」、「送り元の住所入力」及び「送り元名入力」等があり、さらに「備考」として自由に入力できる印字情報入力欄を設定できるようにしてもよい。
【0047】
画像形成装置1のCPU1Uを含む制御回路は記憶装置を備えており、上記の入力情報は、画像形成装置1の記憶装置に記憶される。
【0048】
3)封入物情報選択
「封入物情報選択」ボタンa23を押下すると、封筒に封入する封入物に画像形成する画像情報を選択する選択画面が、表示画面の最上位に表示され、この選択画面から画像情報を選択することができる。これによって封筒と封入物の情報を紐付けする。
【0049】
図19は図17の表示画面で「封入物情報選択」ボタンa23が選択されたときの表示画面の一例を示す図である。この例では、「封入物情報選択」ボタンa23を押下すると、図19の表示画面に遷移し、宛名入力された封筒に封入する封入物の情報の一覧である封入物選択画面a4が表示される。封入物選択画面a4には、既に画像形成装置1に画像情報が取り込まれている場合、その画像情報が一覧表示される。ユーザは、ここで封筒に封入する封入物に対して画像形成を行う画像情報を該当する画像情報の表示部分を押圧することにより選択する。封入物が複数ある場合は任意の画像情報を複数選択し、選択が全て完了した後に決定ボタンa41を押下して決定する。
【0050】
また、画像情報を新たに取り込ませたい場合は、後で説明する封入物設定の画像取り込みボタンa31によって取り込み可能である。画像の取り込みを行う手段としては、ADF1−Cに原稿をセットしてスキャナから画像を取り込むことが可能であり、あるいはPCから入力された画像を取り込むことも可能である。
【0051】
4)設定終了
全ての設定が完了したら、「封入」タブにある「設定終了」ボタンa24を押下する。
【0052】
これにより封筒の画像形成に関する設定を完了することができる。
【0053】
図20は画像形成装置1内の記憶装置に記憶されている封筒設定情報の一例を示す図であり、テーブルとして記憶される。同図に示すように入力された情報は、入力された順番に入力された情報を記憶する。この情報は操作画面の「ジョブ一覧」ajを押下することによって報表示される。封筒設定情報は、
・No.:入力された順番
・出力順:出力を行う順番
・郵便番号:入力され、記憶された郵便番号
・住所:入力され、記憶された住所
・送り先名:入力され、記憶された送り先名
・封筒給紙:選択され、記憶された封筒給紙トレイ
・封入物情報:入力され、記憶された封入物情報
の各情報で、1つの封筒設定が1つのジョブに対応している。
【0054】
図21は図16の表示画面で「封入物設定」ボタンa3が押下されたときの表示画面の一例を示す図である。なお、本実施例では画像形成装置1の記憶装置に既に封入物に印字する画像情報が登録されているものとする。この設定画面では、画像形成装置1の給紙段1−Bにセットされている封入物の設定を行うことができる。
【0055】
すなわち、図16の画面で「封入物設定」ボタンa3を押下すると、図示しない表示制御手段は、この押下を受け付けて、封入タブの表示に図21に示す「画像取り込み」ボタンa31、「封入物設定」ボタンa32、及び「設定終了ボタンa33が表示される。ここ表示画面から前記各ボタンのいずれかを押下すると、押下したボタンに対応する処理が実行される。
【0056】
1)画像取り込み
「画像取り込み」ボタンa31を押下すると、封入物の画像の取り込みを行うことができる。画像を取り込む手段としては、ADF1−Cに原稿をセットしてスキャナから画像を取り込むことが可能であり、あるいはPCから入力された画像を取り込むことも可能である。
【0057】
2)封入物設定
「封入物設定」ボタンa32を押下すると封入物に対して設定を行うことができる。すなわち、図21の表示画面で「封入物設定」ボタンa:32が押下されると、図22に示す表示画面に遷移し、封筒設定で入力されたジョブの一覧(封入物設定情報画面a5)が表示される。ここで各ジョブの封入物情報欄を押下することによって封入物に対して詳細な設定が可能となる。
【0058】
図23は封筒設定情報a5の一覧表示画面からNo.1あるいはNo.3の封入物情報の欄が押下されたときに遷移する用紙サイズ入力画面a6を示す図である。同図に示すように、用紙サイズ入力画面では、封入物ごとにサイズの設定をすることができる。本実施例では既に入力されている封筒のサイズより小さいサイズの用紙のみ選択できる。これは、封入装置2が画像形成装置1の後段に直接連結されているからであり、画像形成装置1の後段に折り装置を連結し、その後段に封入装置2が連結されているものであれば、折り情報も封入物設定情報画面a5に表示される。この表示されたA,B,Cの各欄にサイズを入力し、封入物の設定終了後、設定終了ボタンa33を押下する。これにより、封入物のサイズが確定する。
【0059】
3)設定終了
全ての設定が完了したら、「封入」タブにある「設定終了」ボタンa33を押下する。これにより、封入物の画像形成に関する設定を完了することができる。
【0060】
図24は、本発明の実施形態における封入印刷時の処理手順を示すフローチャートである。封入印刷を行う場合、初めに封入ボタンa1を押下し、「封筒設定」、「封入物設定」を行う(ステップS1)。
【0061】
「封筒設定」及び「封入物設定」はどちらを先に設定してもよい。「封筒設定」に関しては、封筒を選択し、印字情報を入力し、封入物との情報を結び付けるための封入物情報を入力する。「封入物設定」に関しては、封入物に画像形成をするに当たって必要な情報を入力する。ここでは、図23の表示画面から画像形成する封入物のサイズを入力する。このようにして封筒設定が完了し(ステップS2)、封入物設定が完了すると(ステップS3)、操作パネル1−A上にあるスタートボタンdを押下し、封入印刷を開始させる(ステップS4)。
【0062】
印刷がスタートされたら登録されている封入ジョブを順次実行していく。ここでは、各封入ジョブの封入物枚数をN枚とする。そこで、まず封入枚数をチェックし(ステップS5)、封入枚数Nが2枚以上であれば、封入物の画像形成を開始する(ステップS6)。「封入物設定」にて設定された給紙段1−Bから用紙を給紙し、画像形成を施し、封入装置2の中間トレイ15まで搬送する。次いで、現在印刷枚数nをインクリメントし(ステップS7)封入物が2枚以上あるので、ステップS6とステップS7の処理をジョブの枚数分繰り返す(ステップS8:NO)。
【0063】
封筒に対しての画像形成は、同一封入ジョブの封入紙N−1枚目の印刷のタイミング(ステップS8:YES)で、封入装置2によって「封筒設定」で設定された画像を封筒に形成し(ステップS9)、封入装置3のチャックコロ対20まで搬送する。その後、封入ジョブ最終紙を画像形成装置により印刷する(ステップS10)
ここでは、N枚の封入紙を封筒に封入するジョブにおいて、N−1枚目を画像形成装置1によって印刷するタイミングで、封入装置2によって封筒に印刷を施しても十分間に合うように設定されている。全ての封入物が中間トレイ15に搬送されたら、封入処理が行われる(ステップS11)。封入ジョブが複数ある場合、画像形成装置が次の封入ジョブの封入物の画像形成を開始する(ステップS5)。これを登録ジョブ分繰り返し行う(ステップS12)。封入処理が完了した封筒は封筒積載トレイ26へ排紙される。なお、ここでは、ジョブは1つの封筒へ封入する封入物全てを封入するまでの作業をいう。
【0064】
すなわち、本処理手順では、ステップS9における封筒への画像形成開始タイミングは、最終封入紙が中間トレイ15に到達する前に封筒が封筒チャック部38に到達可能なタイミングに設定されており、これにより、印字給紙部2−Bの印字装置25−6によって封筒に画像形成するタイミングを、画像形成装置1による封入物の印字の生産性を保持できるタイミング内に設定することが可能となり、画像形成装置1の印字生産性を低下させることなく封入処理が可能となる。
【0065】
また、前記処理手順により、もし封入物の印刷途中にシステムに異常が発生してしまった場合でも、封入物最終紙印刷の手前まで封筒が印刷されることがないので、無駄な封筒の印刷を防ぐことができる。さらに、封入ジョブが連続して行われる場合、前述のように封入物に対して画像形成を行う画像形成装置の生産性が損なわれることない。
【0066】
図25は、封筒の向き、印字位置及び印字方向の関係を示す図で、同図(a)は横長の封筒に横書きで印刷する場合の、同図(b)は向き縦長の封筒に縦書きで印刷する場合の印字位置を示す。
【0067】
封筒の種類は「封筒選択」ボタンa21の操作により選択され、図25に示した印字位置、及びその位置に印字する印字内容は宛名入力画面a3から入力され、入力された情報に基づいて封筒Pfの郵便番号印字部Pf1に郵便番号が、住所印字部Pf2に住所が、送り先名印字部Pf3に送り先の名称あるいは名前がそれぞれ印字される。
【0068】
封筒に印字する印刷装置25−6では、インクジェット方式のラインヘッド25−61を備えているので、選択された封筒Pfのサイズによって印字位置を変更することは容易である。
【0069】
図26は、登録されている印刷ジョブの設定変更の表示例を示す図である。同図(a)は操作パネル1−Bの下部分にある「ジョブ一覧」ボタンajが押下されたときの表示画面を示す。ここで、No.3とNo.5のジョブの出力順を変更する(入れ替える)と、図26(b)に示すようになる。ジョブの出力順の変更は操作パネル1−A上で、順序の変更したいジョブを選択し、任意の出力順の場所に移動させる。これにより、ジョブの出力順が当該ジョブの設定内容とともに一括して移動後の順序に変更され、その内容が記憶装置に記憶される。
【0070】
このように封筒Pfの情報と封入物の情報が紐付けられているため、印刷順序の変更はジョブNo.の欄を入れ替えることにより容易に行うことができる。また、印刷順序の変更は、印刷順序の変更したいジョブの封入物の印字が開始されていなければ、他のジョブが印刷中であっても可能である。なお、この封入ジョブ一覧画面で、入力済みの各項目についての情報を変更することも可能である。
【0071】
ところで、このように封筒Pfと封入物の両方に対して画像形成をして封入を行う方法では、画像形成装置1が異常状態になった場合、画像形成ができなくなるので、封入処理ができなくなってしまっていた。このように封入処理ができなくなってしまうと、異常状態が回復するまでそこで作業が止まってしまい、封入システムとしてもダウンタイムが発生することになる。
【0072】
そこで、本実施形態では、封筒に画像形成をするタイミングを制御することによって封筒への無駄な画像形成を防ぐことに加え、あるいはそれとは別に、画像形成装置が異常状態になった場合でも封入処理を継続させ、封入システムとしてのダウンタイム短縮を図るようにした。以下、本実施形態のシステムを例にとり、封入装置2の印字装置25−6で異常が発生した場合についての動作を説明する。
【0073】
図27は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合の処理手順を示すフローチャートである。同図において、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始した後、封入装置2の印字装置25−6に異常が発生すると(ステップS31)、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断する(ステップS32)。印字装置25−6に異常とは、例えば、ラインヘッド25−61のインク供給管25−17が破損し、ラインヘッド25−61による印字が不可能になった場合である。
【0074】
このとき、封入装置2で異常が発生したこと、及び、異常となった封筒Pfが何であったか、等が封入システムの状態として記憶される。封入システムの状態は、例えば画像形成装置1のCPU1Uを含む制御装置内のメモリに記憶され、封入システム全体もCPU1Uによって制御するようにする。なお、ここでは、異常を発生したことはCPU1Uによって検知し、CPU1Uは異常検知手段として機能している。このように画像形成装置1のCPU1Uで検知し、あるいは制御することに代えて、画像形成装置1と封入装置2を制御するコントローラを設けて制御するように構成することもできる。
【0075】
このように封入システムの状態を記憶しておくと、異常となった封筒も記憶されているので、記憶された情報に基づいて画像形成装置1において封入装置2で異常となった封筒から印字が再開される(ステップS13)。この処理が実行されるのは、この時点で予め封筒Pfが画像形成装置1にもセットされていることが前提である。なお、画像形成装置1に該当する封筒がセットされていなければ、画像形成装置1の操作パネル1−Aからユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えばユーザへの通知は、操作パネル1−Aに、封筒Pfを画像形成装置1の給紙段へセットするようにという旨のメッセージを表示することにより行われる。
【0076】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS34,ステップS35:No)、異常が解消された時点で(ステップS35:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS36)。
【0077】
図28は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておく(初期設定として登録しておく)処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
この処理手順では、封入システムの初期設定で封筒Pfへの画像形成を封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能などうかを設定しておく。このように設定された状態で、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始する(ステップS41)。そして、封入装置2の印字装置25−6に異常が発生すると(ステップS42)、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断する(ステップS43)。
【0079】
このとき、封入装置2で異常は発生したこと、及び、異常となった封筒が何であったか、封入装置2から画像形成装置1への画像形成の切り替え可能かどうか、等が封入システムとして前述のようにメモリに記憶されている。そこで、ステップS44で封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能か否かを判定する。初期設定で「切り替え可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えが可能となるため(ステップS44:YES)、封入システムのメモリに記憶されている情報に基づいて画像形成装置1から封入装置2で異常となった封筒Pfから印字が再開される(ステップS45)。この時点で、図27のフローチャートの処理時と同様に予め封筒が画像形成装置1にもセットされていることを前提とする。
【0080】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS46,ステップS47:NO)、異常が解消された時点で(ステップS47:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS48)。
【0081】
一方、初期設定で「切り替え不可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えができないため(ステップS44:NO)、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。ここでは、ジョブは中断され、印字装置25−6の異常復旧待ちとなる。
【0082】
また、封入装置2の異常が即復旧可能な場合、例えば、インク、トナー、糊などの消耗品であれば、ユーザが容易に異常から復帰させることができるため、この場合は、封入装置2から画像形成装置1への画像の切り替えを不可としておいた方がよい。封入装置2から画像形成装置1への画像の切り替えを選択することができる場合の処理は、後述の図31のフローチャートに示すようになる。
【0083】
図29は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを異常発生時にユーザへ通知する処理手順を示すフローチャート、図30は前記印字給紙部2−Bに異常が発生したときに動作を継続するかどうかをユーザに通知した場合の操作パネル1−Aの表示例を示す図である。
【0084】
図29のフローチャートに示した処理手順は、図27に示したフローチャートの処理手順のステップS32の後にステップS51の判定処理を加えたものである。すなわち、封入装置2の印字装置2−5で異常が発生して封筒Pfへの印字を中断した場合(ステップS32)、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかをユーザへ問い合わせ、ユーザの選択に応じて後段の処理を行うようにした。画像形成装置1による封筒への印字を行うかどうかを選択可能にした場合、画像形成装置1による封筒への印字を開始したい場合(ステップS51:YES)は、図30の操作パネル1−Aの操作表示画面aで「継続」a71を選択する。「継続」a71を選択すると、ステップS34以降の図29で示したフローチャートと同じシーケンスとなる。また、画像形成装置1により印字を行いたくない場合は、操作表示画面aで「中断」a72を選択する。「中断」a72を選択すると、この時点でジョブがキャンセルされ、封入システムに残ったジョブを完全に消去する、あるいは、封入装置2の異常が解消されるのを待つ、等の動作を行う(ステップS49)。
【0085】
封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字と、画像形成装置1による封筒Pfへの印字とでは、例えば、画像形成装置1はレーザープリンタ、封入装置2はラインヘッドあるいはインクジェットプリンタとした場合において、厳密には画像形成の質が異なる。封入システムを使用するユーザによっては、封筒Pfに印字される画像(印字)が異なることを懸念する場合がある。従って、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかを選択可能にすることにより、この問題を解消することが可能となる。また、封筒Pfの種類によっては、高温になる定着部を通さない方がよい場合があるため、画像形成装置1が定着部を有する場合は、画像形成装置1による封筒への画像形成を予め「不可」としておいた方がよい。定着部を通さない方がよい封筒とは、例えば、フラップ部に糊が付いているような封筒(糊付き封筒)であり、この場合、高温になると糊が溶けてしまうおそれがある。なお、糊付き封筒に対して画像形成装置1による封筒への画像形成を予め「不可」と設定するのは、初期設定の段階である。
【0086】
図31は、封入装置2において封筒に印字しているときに印字給紙部2−Bに異常が発生した場合、動作を継続するかどうかを予め設定しておき、画像形成装置1で封筒に印字させるか否かをユーザに選択させる処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図27、図28及び図29に示したフローチャートにおける処理手順を組み合わせたものである。すなわち、封入システムの初期設定で封筒Pfへの画像形成を封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能などうかを設定しておく。
【0087】
このように設定された状態で、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始し(ステップS41)、前記ステップS42及びステップS43の処理を実行し、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断されると、ステップS44で封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能か否かを判定する。初期設定で「切り替え可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えが可能となるため(ステップS44:YES)、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかをユーザへ問い合わせ、ユーザが画像形成装置1による封筒への印字を開始することを選択した場合(ステップS51:YES)には、封入システムのメモリに記憶されている情報に基づいて画像形成装置1から封入装置2で異常となった封筒Pfから印字が再開される(ステップS45)。この時点で、図27のフローチャートの処理時と同様に予め封筒が画像形成装置1にもセットされていることを前提とする。
【0088】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS46,ステップS47:NO)、異常が解消された時点で(ステップS47:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS48)。
【0089】
一方、初期設定で「切り替え不可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えができないため(ステップS44:NO)、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。ここでは、ジョブは中断され、印字装置25−6の異常復旧待ちとなる。また、ステップS51で、ユーザが画像形成装置1による封筒への印字を開始することを選択しなかった場合(ステップS51:NO)には、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。
【0090】
このように図27、図28、図29及び図31のフローチャートに示したように処理すると、封筒Pfに画像形成している印字装置25−6が異常になった場合でも、封入物に画像形成している画像形成装置1によって封筒への画像形成を行うことができ、封入動作を継続することが可能になるので、システムのダウン時間を短縮することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、
1)封筒に画像形成をするタイミングを制御することによって封筒への無駄な画像形成を防ぐことができる。これは、ジョブ中に異常が発生した場合などに特に有効である。
2)実行するジョブの順序を容易に変更することができる。
3)封筒に対して画像形成する印字装置が異常になった場合は、封入物に対して画像形成する画像形成装置によって封筒への画像形成を行うようにすることができるので、封筒に対して画像形成印字装置が画像形成できない状態となっても印字動作及び封入動作を停止することなく継続しいて実行することができる。
等の効果を奏する。
【0092】
なお、後述の実施形態では、封入物はシート状記録媒体、用紙、あるいは記録紙に、封筒は符号Pfに、第1の画像形成手段は画像形成装置1の図示しない作像エンジンに、第2の画像形成手段は印字装置25−6に、最終紙が封入前に待機する位置は中間トレイ15に、封入物を封入する位置は封筒チャック部38に、制御手段若しくはコンピュータはCPU2Uに、入力手段は操作パネル1−Aに、印字位置変更手段はCPU2Uに、ライン印刷を行う印刷ヘッドはラインヘッド25−61に、異常検知手段はCPU1Uに、画像形成装置は符号1に、封入装置は符号2に、それぞれ対応する。
【0093】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 画像形成装置
1−A 操作パネル
2 封入装置
2U CPU
15 中間トレイ
25−6 印字装置
25−61 ラインヘッド
38 封筒チャック部
Pf 封筒
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2004−045650号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、封入方法及び封入制御プログラムに係り、特に、画像形成装置によって封筒と封入物それぞれに画像形成を施して封入処理を行う画像形成システム、当該画像形成システムで実行される封入方法、及び当該方法をコンピュータに実行させるための封入制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
封筒に封入物を封入する封入システムにおいて、画像形成装置によって封筒と封入物それぞれに画像形成を施して封入処理を行うことは、例えば特許文献1(特開2004−045650号公報)に開示されている。この特許文献1には、プリント部が、第1画像形成部と第2画像形成部とを備え、封入物と封筒にそれぞれ印刷する技術が開示されている。すなわち、第1画像形成部は画像読取部の下側に設けられ、給紙部より供給される所定の記録紙に対して電子写真方式で印刷を行うことにより、送付書類「見積書」を作成し、第2画像形成部は、後処理ユニットの上部に設けられ、印刷部と、封筒供給部とを備え、第1画像形成部は、記録紙に画像を形成する画像形成手段として機能し、第2画像形成部は、封筒に画像を形成する画像形成手段として機能するようになっている。
【0003】
そして、画像読取部で読み取った画像データを記憶し、封入物の内容と封筒の宛先を対応させ、封入物に対しては第1画像形成部により、封筒に対しては第2画像形成部により画像を形成し、封入物を封筒に自動的に封入するという方式をとっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような方式で封入物を封筒に封入する場合、第1画像形成部で形成される画像と、第2画像形成部で形成される画像とでは、画像データ量が異なる。通常、封入物に形成される画像の画像データの方が封筒に形成される画像の画像データよりも格段に多い。一方、第1画像形成部は画像形成装置側に、第2画像形成部は後処理ユニット、所謂用紙後処理装置側にそれぞれ設けられ、両者は連結されて使用される場合が多い。その際、画像形成装置側から用紙後処理装置側に印刷された封入物を搬送し、封入物が挿入可能な大きさに封入口を広げられた封筒に入れることになるが、第1画像形成部の画像形成時間と、第2画像形成部の画像形成時間が画像データの多寡に応じて異なり、両者の画像形成時間、画像形成時間の相違と搬送路長と考慮した搬送開始タイミングをうまく設定しないと、封筒内に封入物を封入できない状態やジャムを発生することがあり、確実に封入するように搬送開始タイミングを設定すると生産効率が落ちる結果となる。
【0005】
しかし、このような点に対して前記特許文献1記載の発明では、全く考慮されていなかった。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、封筒と封入物に対して別々の画像形成手段で画像形成を行って封入するシステムにおいて、生産効率を落とさずに、確実に封筒に封入物を封入できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、前記封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、前記封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、前記第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、封筒と封入物に対して別々の画像形成手段で画像形成を行って封入するシステムにおいて、生産効率を落とさずに、確実に封筒に封入物を封入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における封入装置の内部構造を示す図である。
【図4】画像形成装置の給紙段の各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を示す斜視図である。
【図5】画像形成装置の給紙段の各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系の他の例を示す斜視図である。
【図6】図5の横断面図である。
【図7】封入装置における封筒チャック部の構成を示す要部断面図である。
【図8】封筒チャック部において封筒が開口部を開封マイラの下端よりも下側にして保持された状態を示す要部断面図である。
【図9】封筒チャック部において封筒内に開封マイラの下端が入り込んだ状態を示す要部断面図である。
【図10】封筒チャック部において封筒内に開封マイラの下端が入り込んだ状態を示す図である。
【図11】封入装置のパックユニットの構成を示す正面図である。
【図12】印字給紙部の内部構成を示す図である。
【図13】印字装置の一例であるラインヘッドの全体構成を示す斜視図である。
【図14】ラインヘッドの構成を示す図である。
【図15】画像形成装置の上面に設置されている操作パネルの正面図である。
【図16】図15に示した操作パネルの操作表示画面の表示例を示す図である。
【図17】図16の画面で「封筒設定」ボタンが押下されたときの画面の表示例を示す図である。
【図18】図17の表示画面で「印字情報入力」ボタンが押下されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図19】図17の表示画面で「封入物情報選択」ボタンが選択されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図20】画像形成装置内の記憶装置に記憶されている封筒設定情報の一例を示す図である。
【図21】図16の表示画面で「封入物設定」ボタンが押下されたときの表示画面の一例を示す図である。
【図22】封筒設定で入力されたジョブの一覧(封入物設定情報画面)を示す図である。
【図23】封筒設定情報の一覧表示画面からNo.1あるいはNo.3の封入物情報の欄が押下されたときに遷移する用紙サイズ入力画面を示す図である。
【図24】封入印刷時の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】封筒の向き、印字位置及び印字方向の関係を示す図である。
【図26】登録されている印刷ジョブの設定変更の表示例を示す図である。
【図27】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【図28】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておく処理手順を示すフローチャートである。
【図29】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかをユーザへ通知する処理手順を示すフローチャートである。
【図30】印字給紙部に異常が発生したときに動作を継続するかどうかをユーザに通知した場合の操作パネルの表示例を示す図である。
【図31】封入装置において封筒に印字しているときに印字給紙部に異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておき、画像形成装置で封筒に印字させるか否かをユーザに選択させる処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、画像形成システムが、封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、封入物を封入する封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、封入物を封筒に封入する封入手段を有し、前記封入手段によって封入物を封筒に入れる封入モードを実行する際、第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、封筒が封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成することを特徴とするものである。
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムのシステム構成を示す図である。同図において、本実施形態に画像形成システムは、画像形成装置1及び封入装置2から基本的に構成されている。画像形成装置1は本体部がMFP(Multi Function Peripheral)からなり、上部にはADF1−Cと表示装置付きの操作パネル1−Aが、下部には複数の給紙段1−Bがそれぞれ設けられている。MFPには、例えば電子写真方式の作像エンジンによって封入物、ここではシート状記録媒体である用紙若しくは記録紙に画像が形成される。作像ユニットはモノクロの作像エンジン、あるいはカラー画像の場合はタンデム型の作像エンジンなどが使用される。これらの作像エンジン自体は公知であることから、ここでは詳細についての説明は省略する。
【0013】
封入を行う封筒、封入物は画像形成装置1の下流側(後段)に連結されている。封入を行う封筒は、封入装置2の上部に設けられた印字給紙部2−Bに、封入物は画像形成装置1にある給紙段1−Bにそれぞれセットされており、封入物は画像形成装置1から封入装置2へ、封筒は印字給紙部2−Bから封入装置2内へそれぞれ搬送され、封入装置2内で封入物を封筒に封入した後に積載トレイ2−Aに排出される。なお、本実施形態では、封筒を印字給紙部2−Bに、封入物を画像形成装置1の給紙段1−Bにセットしているが、封筒を給紙段1−Bに、封入物を印字及び給紙手段2−Bにセットし搬送することも可能である。
【0014】
図2は、図1に示した画像形成システムの制御構成を示す図である。図2において、オンラインの画像形成システムは、画像形成装置1に対して封入装置2が接続され、画像形成装置1及び封入装置2はそれぞれCPU1U,2Uと通信ポート1P,2Pを備え、画像形成装置1と封入装置2は通信ポート1Pと通信ポーロ2Pにより相互に通信可能となっている。操作パネル1−Aは画像形成装置1に図示しないI/Fにより接続され、画像形成装置1のCPU1Uからの表示指示により後述の表示が実行され、操作パネル1−Aからのキー入力若しくはタッチ入力により画像形成装置1に対してユーザから操作入力が行われる。
【0015】
画像形成装置1及び封入装置2にそれぞれ搭載されているCPU1U,2Uは、同じく画像形成装置1及び封入装置2にそれぞれ搭載されたROMに格納されたプログラムをそれぞれ読み出し、RAMに展開するとともに、図示しないHDDにダウンロードされたアプリケーションプログラムを読み出し、RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用して、前記プログラムコードに従った処理を実行する。これにより、前述の表示制御や処理が行われる。
【0016】
これらの各装置は、前記通信ポート1P,2Pを介して電気的に直列に、また、少なくとも用紙搬送路を介して機械的にも直列に接続されており、オンライン処理の場合には、電気的には同時に制御される。後述のフローチャートの処理は画像形成装置1のCPU1Uによって指示され、封入装置2のCPU2Uで実行される。
【0017】
図3は本実施形態における封入装置2の内部構造を示す図である。
印字給紙部2−Bの給紙段25−1,2にセットされた封筒は印字給紙部2−B内の第2の画像形成手段としての印字装置25−6(後述)に給紙され、宛名等を例えばインクジェットヘッドにより印字され、封入装置2本体へ搬送されてくる。封筒は搬送路7の封筒搬入口7aから搬入され、封筒搬入検知センサ8によって検知された後、各搬送ローラが駆動されて封筒の搬送が開始される。図3では、上搬送分岐爪6は封筒を下搬送路9に導く位置(図3の位置)へ回動しており、水平に搬送されていた封筒は下搬送路9へ導かれ、垂直下方に搬送されていく。
【0018】
下搬送路9の縦搬送路11と封入物搬送路12の分岐位置には下搬送分岐爪10が設けられ、下搬送分岐爪10は縦搬送路11に封筒を導く位置(図3において図示反時計回り方向に回動し、縦搬送路11側を開放した位置)へ回動している。これにより、封筒は縦搬送路11へ搬送されていく。
【0019】
縦搬送路11の最下流側にはチャックコロ対20が設けられ、封筒のまち部を噛んだ状態で保持し、封入物が封入されてくるのを待つ。このとき揺動コロ対22は矢印D4の方向へ退避しており、封筒とは接しない位置にいる。
【0020】
画像形成装置1では、ADF1−Cから搬送された原稿を読み取った後、読み取った原稿サイズに対応したサイズの用紙が封入物として給紙段1−Bから画像形成装置1内に給紙され、作像エンジンで画像形成された後に、封入装置2へ搬送されてくる。封入物は画像形成装置1の上部の排紙口から入口搬送路5に搬入されてくる。封入物は入口センサ4によって検知された後、各搬送ローラが駆動され、封入物の搬送が開始される。
【0021】
その際、上搬送分岐爪6は下搬送路9に封入物を導く位置へ回動(図示時計回り方向)しており、封入物は上搬送分岐爪6によって搬送方向を水平方向から垂直方向に偏向され、下搬送路9へ搬送されていく。さらに下搬送分岐爪10は封入物搬送路12に封入物を導く位置(図13に示した位置)へ移動しており、封入物は封入物搬送路12へ搬送されていく。封入物は封入物排紙センサ13を通過し、中間トレイ15へ排出される。中間トレイ15に排出後、戻しコロ14は中間トレイ15に接する位置へ移動し、封入物を後端ストッパ18の方向へ搬送する。搬送完了後、サイドジョガー対17にて整合動作を行う。封筒に封入する全ての封入物(用紙)が揃うまで同じ動作を繰り返す。
【0022】
画像形成装置1側から1枚ずつ搬送されてきた封入物が全て中間トレイ515上に積載された後、後端ストッパ18は矢印D1の方向へ退避する。退避後、先端ストッパ16は矢印D2の方向へ移動を開始し、封入物束をパックユニット19内へ搬送し、封入物束はパックユニット19内の上下のコロ42,43対にニップされる(図11参照)。封入物のパックユニット19への搬送完了後、パックユニット19は支点46を回動支点として矢印D3の方向へ移動し、封入物束は、チャックコロ対20で保持された封筒へパックユニット19内の前記コロ42,43対によって搬送され、封筒内に封入される。封入完了後、揺動コロ対22は矢印D4と逆方向に移動し、封筒の排紙搬送路23への搬送を開始する。封筒は排紙搬送路23内を搬送され、封筒排紙センサ24を通過し、封筒積載トレイ26へ排紙される。
【0023】
図4は画像形成装置1の給紙段1−Bの各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系を示す斜視図である。同図において、給紙段1−Bの各給紙カセットには、収納する各用紙サイズ又は封筒サイズにそれぞれ対応させて形成したサイズ指示板27が取り付けてある。給紙カセットを装置本体にセットすると本体側にそのサイズ指示板27に対応させて設けてあるサイズ検知センサ28がそのサイズ指示板27を検知してカセット内に入っている用紙又は封筒(図4では封筒Pfがセットされている。)のサイズを検知する。なお、給紙カセットの各側面には、サイズシール29が貼着され、ユーザがカセット内の収納物のサイズを一目でわかるようにしてある。
【0024】
図5は画像形成装置1の給紙段1−Bの各給紙カセットと用紙サイズ検知手段及び封筒サイズ検知手段を共に兼ねるサイズ検知系の他の例を示す斜視図、図6は図5の横断面図である。
【0025】
図5及び図6に示すように本実施形態における給紙段1−Bでは、底板30上に用紙あるいは封筒Pfを載置し、それを図6に示すガイドロッド33に沿って矢印A方向にスライド可能な一対のサイドガイド31,32によって挟んで底板30の中央位置にセットする。その底板30の下側には、サイドガイド32の位置を検知することにより底板30上の用紙サイズを検知するサイズ検知装置34を配設し、それによって検知した値を予め記憶させてあるサイズデータと比較して、底板30上にセットされている用紙P又は封筒Pfのサイズを認知することができるようにしている。サイズ検知装置34としては、例えば可変抵抗型位置センサが使用される。用紙サイズはこの可変抵抗型位置センサから出力される抵抗値若しくは抵抗値の変化からCPU1Uで容易に検出することができる。
【0026】
図7は、封入装置2における封筒チャック部の構成を示す要部断面図である。同図において、封筒チャック部38は、縦搬送路11の最下流に設けられ、上下方向に互いに圧接して回転可能な一対のチャックコロ20,36(ローラでもよい)とからなる。チャックコロ20,36の上流側の縦搬送路11には、チャックコロ20,36のニップ部に封筒Pfを案内する封筒ガイド35,39と、ニップ部の搬送上流側に封筒検知用センサ37とが設けられ、下側のチャックコロ20の一部に弾性変形可能なシート状の開封部材となる開封マイラ21の一部が接触し、その状態を維持している(以下、当接と称す。)。開封マイラ21は、チャックコロ20,36によって保持される封筒Pfの開口部内に一部を挿入させることによって封筒を開封し得る位置に配設されている。
【0027】
チャックコロ20,36は、略垂直方向に並んで配置され、互いに圧接している。また、封筒ガイド35,39は、封筒Pfを縦搬送路11から用紙が移送される位置へ案内してチャックコロ20,36のニップ部へ導くと共に、チャックコロ20,36に達した封筒Pfをさらに下方へ導き、その際に封筒を下側のチャックコロ20に略沿わせて案内する。
【0028】
開封マイラ21は、例えば薄いフィルム状の樹脂材で形成され、チャックコロ20に近接して配設されている。開封マイラ21の上端側は固定されており、通常は下端部より少し上側の部分が下側のチャックコロ20に材料自身の持つ弾性力によって所定の加圧力で当接している。
【0029】
図8は封筒チャック部38において封筒が開口部Ponを開封マイラ21の下端よりも下側にして保持された状態を示す要部断面図、図9は封筒チャック部38において封筒内に開封マイラ21の下端が入り込んだ状態を示す要部断面図である。
【0030】
この封筒チャック部38は、封筒Pfが下方へ向けて搬送されてくると、それを封筒ガイド35,39によってチャックコロ20,36間に案内する。次にその封筒Pfは、それぞれ回転するチャックコロ20,36の搬送力によってチャックコロ20と開封マイラ21の間へ送られる。用紙を封筒内へ案内する際には、封筒Pfのフラップ(封筒代)Pfcの部分が図8に示すようにチャックコロ20,36によって互いに挟持される位置で停止させる。この位置は、センサ37がフラップPfcの端部の通過を検知した位置であり、CPU2Uは、チャックコロ20,36を回転駆動する図示しない駆動モータの回転を停止させる。これにより、封筒Pfは停止する。このとき、封筒Pfの開口部Ponは同図に示すように開封マイラ21の下端21aよりも下側に位置する。
【0031】
次に、CPU2Uはチャックコロ20,36を逆回転させる(矢印E方向)。これにより、封筒Pfがスイッチバックして縦搬送路11を上方向に搬送される。その際、開封マイラ21は自己の弾性力によって下端側が封筒のフラップPfcの部分に接しているので、その開封マイラの下端21aが図9に示すように封筒の開口部Pon内に入り込む。この状態で、チャックコロ20,36の逆回転を停止させることにより、封筒Pfの上昇動作が止まる。図10は、このときの状態を示す斜視図であり、封筒Pfは、同図に示すように開封マイラ21の下端21aが封筒Pfの開口部Pon内に挿入された開封状態にセットされる。
【0032】
図11は封入装置2のパックユニット19の構成を示す正面図である。同図において、パックユニット19は、上パック部40と下パック部41とからなり、その上パック部に上コロ42が、下パック部に下コロ43がそれぞれ回転可能に取り付けられている。また、前記上下のパック部40,41の右端側には挿入ガイド44,45が取り付けられている。挿入ガイド44,45は、基端側が上下のバック部40,41に回動可能に支持され、両者は弱いバネによって先端側が互いに接近するように弾性力が付与されている。これにより、束状の封入物が挿入ガイド44,45間を通過する際には、両挿入ガイド44,45が押し開かれ、封入物は大きな抵抗を受けることなく搬送される。
【0033】
パックユニット19は、パックユニット19を回動可能に支持する支軸46を支点に回動し、図10に示した状態で待機した開封マイラ21とフラップPfcとの間に両挿入ガイド44,45が挿入される。この状態で前述のように退避後先端ストッパ16が矢印の方向へ移動し、上下のコロ42,43が駆動され、封入物は、両挿入ガイド44,45間を通って封筒内に搬送される。
【0034】
図12は印字給紙部2−Bの内部構成を示す図である。印字給紙部2−Bは、第1及び第2の2段給紙段25−1,2と、各給紙段25−1,2の最下流側にそれぞれ設けられた第1及び第2呼び出しローラ25−3,4と、第1及び第2呼び出しローラ25−3,4によって呼び出された封筒を封入装置2本体側の封筒搬入口7aに続く第2搬送路25−11まで搬送する第1搬送路25−5と、第1搬送路25−5の搬送経路に設けられた印字装置25−6と、反転搬送路を構成する第1及び第2分岐爪25−7,9、第3及び第4搬送路25−8,10、反転経路25−12とから基本的に構成され、各搬送路の適宜位置に封筒を搬送するための搬送ローラ対が配置されている。
【0035】
このような各部によって構成された印字給紙部2−Bでは、第1及び第2給紙段25−1,2にセットされた封筒は、第1又は第2呼び出しローラ25−3,4によって給紙される。給紙された封筒は第1搬送路25−5内を搬送され、印字装置25−6に対向する位置に達すると、封筒に対して印字が施される。封筒への印字が片面のみの場合、印字装置25−6で印字された封筒はそのまま第2搬送路25−11から封入装置2内の搬送路7に搬送されていく。
【0036】
一方、封筒の両面に印字が必要となる場合は、第1分岐爪25−7によって搬送路が第2搬送路25−11から第3搬送路25−8に切り替えられ、封筒は第3搬送路25−8側へ搬送される。第3搬送路25−8では、封筒が搬送路25−8の終端に達する前に第2分岐爪25−9を下方に傾ける(図示反時計回り方向)。これにより、封筒は反転経路25−12へと搬送される。封筒後端が反転センサ25−13を抜けた時点で搬送を停止し、分岐爪25−9を上方に傾け(図示の状態)、反転搬送を開始する。封筒は第4搬送路25−10上内を搬送され、再び第1搬送路25−5に合流する。その後、封筒が印字装置25−6の印字位置に達すると、封筒の裏面に印字が施され、第1分岐爪25−7により切り替えられた搬送路25−11に導かれ、封入装置2内の搬送路7に搬入される。
【0037】
図13は、本実施形態で使用される印字装置25−6の一例であるラインヘッドの全体構成を示す斜視図である。本実施形態では、印字装置25−6としてインクジェット方式でライン印字を行うラインヘッド25−61を使用する。このラインヘッド25−61へは別位置に設けたインクタンクからインク供給管25−17を経てインクが供給される。ラインヘッド25−61は図13に示すようにヘッドの幅が用紙幅を満たすもので、用紙幅全幅にわたって印字することが可能に設定されている。また、ラインヘッド25−61はヘッドドライバによって駆動され、ヘッドドライバはCPU2Uからの駆動信号を伝達するフレキシブル配線基板からなる駆動信号線25−13が接続されている。
【0038】
図14はラインヘッド25−61の構成を示す図で、図14(a)はノズル側から見た正面図、図14(b)はその右側面図に対応する。図14(a)に示すノズル列25−14の密度は形成しようとする画像密度と同等なもので、ノズル列25−14は用紙の搬送方向に複数列配置されている。多色の印字が可能なラインヘッド25−61では、少なくとも3色以上の色専用のノズル列を有する。また、図14(b)に示すように、ノズル列25−61はラインヘッド支持フレーム25−15に支持され、その後部で駆動信号線25−13はコネクタにより接続されている。
【0039】
図15は画像形成装置1の上面に設置されている操作パネル1−Aの正面図である。
【0040】
同図において、操作パネル1−Aは、操作表示画面a、テンキーb、ストップキーc、スタートキーd、電源キーe、機能選択キー群fを備えている。操作表示画面aにメッセージや入力キーが階層表示され、テンキーbは数字入力を行う際に使用する。ストップキーcは処理の停止を入力し、スタートキーdは画像形成開始のトリガー信号を付与する。電源キーeは電源のON/OFFを制御する。機能選択キー群fは、コピー、プリンタ、スキャナなどの各機能を選択するためキーが複数設置されたものである。
【0041】
図16は図15に示した操作パネル1−Aの操作表示画面aの表示例を示す図である。同図の表示例は、画像形成装置1の給紙段1−Bの1段目にA4Y(横)サイズの用紙、給紙段1−Bの2段目にB5Y(横)サイズの用紙、また封入装置2の印字給紙部2−Bが備えている給紙段25−1にA4Y(横)サイズの封筒、給紙段25−2にB5Y(横)サイズの封筒がセットされているものとする。
【0042】
封入処理を行うため、図16の操作画面にある「封入」のタブa1を押下する。すると、「封入」のタブa1に「封筒設定」と「封入物設定」のボタンa2,a3が表示され、このボタンa2,a3から封筒の画像形成に関する設定及び封入物の設定を行うことができる。
【0043】
上記のように設定した場合、以下のように動作する。
図17は図16の画面で「封筒設定」ボタンa2が押下されたときの画面の表示例を示す図である。この図17に示した設定画面では、封筒に対する画像形成について以下の設定を行うことができる。通常の画像形成装置と同じように画像形成条件、例えば、印字濃度、印字倍率等を詳細に設定することは可能であるが、ここでは代表的なものの設定について示す。
すなわち、図16の画面で「封筒設定」ボタンa2を押下すると、図示しない表示制御手段は、この押下を受け付けて、封入タブの表示に図17に示す「封筒選択」ボタンa21、「印字情報入力」ボタンa22、「封入物情報選択」ボタンa23、及び「設定終了」ボタンa24が表示される。ここ表示画面から前記各ボタンのいずれかを押下すると、押下したボタンに対応する処理が実行される。
【0044】
1)封筒選択
「封筒選択」ボタンa21を押下すると、給紙段25−1,2にセットされた封筒から、使用する封筒を選択することができる。ただし、封筒設定では封筒しか選択できない。言い換えれば用紙を選択することはできない。ここで、デフォルトの設定では、封入装置2の給紙段25−1、25−2いずれかから選択するようになっている。このため封筒への印字は封入装置2で、封入物への印字は画像形成装置1でそれぞれ行うことができ、生産性の向上に繋がることになる。
【0045】
2)印字情報入力
「印字情報入力」ボタンa22を押下すると、封筒に印字する宛名等の情報を設定するための入力欄が、表示画面の最上位に表示され、この入力欄から前記情報を設定することができる。詳細については図18を用いて説明する。なお、本実施形態では封筒に関する設定は画像形成装置1の操作パネル1−Aから行うよう構成されているが、MFPに接続されたPCから入力設定するように構成することも可能である。
【0046】
図18は、図17の表示画面で「印字情報入力」ボタンa22が押下されたときの表示画面の一例を示す図である。この例では、「印字情報入力」ボタンa22を押下すると、図18の表示画面に遷移して、封筒の印字情報としての宛名入力欄a3が表示される。宛名入力欄a3には、「郵便番号入力」欄a31、「住所入力」欄a32、「送り先名入力」欄a33が表示される。この例では、前記各欄が表示されるが、その他、封筒の印字情報としては、「送り元の郵便番号入力」、「送り元の住所入力」及び「送り元名入力」等があり、さらに「備考」として自由に入力できる印字情報入力欄を設定できるようにしてもよい。
【0047】
画像形成装置1のCPU1Uを含む制御回路は記憶装置を備えており、上記の入力情報は、画像形成装置1の記憶装置に記憶される。
【0048】
3)封入物情報選択
「封入物情報選択」ボタンa23を押下すると、封筒に封入する封入物に画像形成する画像情報を選択する選択画面が、表示画面の最上位に表示され、この選択画面から画像情報を選択することができる。これによって封筒と封入物の情報を紐付けする。
【0049】
図19は図17の表示画面で「封入物情報選択」ボタンa23が選択されたときの表示画面の一例を示す図である。この例では、「封入物情報選択」ボタンa23を押下すると、図19の表示画面に遷移し、宛名入力された封筒に封入する封入物の情報の一覧である封入物選択画面a4が表示される。封入物選択画面a4には、既に画像形成装置1に画像情報が取り込まれている場合、その画像情報が一覧表示される。ユーザは、ここで封筒に封入する封入物に対して画像形成を行う画像情報を該当する画像情報の表示部分を押圧することにより選択する。封入物が複数ある場合は任意の画像情報を複数選択し、選択が全て完了した後に決定ボタンa41を押下して決定する。
【0050】
また、画像情報を新たに取り込ませたい場合は、後で説明する封入物設定の画像取り込みボタンa31によって取り込み可能である。画像の取り込みを行う手段としては、ADF1−Cに原稿をセットしてスキャナから画像を取り込むことが可能であり、あるいはPCから入力された画像を取り込むことも可能である。
【0051】
4)設定終了
全ての設定が完了したら、「封入」タブにある「設定終了」ボタンa24を押下する。
【0052】
これにより封筒の画像形成に関する設定を完了することができる。
【0053】
図20は画像形成装置1内の記憶装置に記憶されている封筒設定情報の一例を示す図であり、テーブルとして記憶される。同図に示すように入力された情報は、入力された順番に入力された情報を記憶する。この情報は操作画面の「ジョブ一覧」ajを押下することによって報表示される。封筒設定情報は、
・No.:入力された順番
・出力順:出力を行う順番
・郵便番号:入力され、記憶された郵便番号
・住所:入力され、記憶された住所
・送り先名:入力され、記憶された送り先名
・封筒給紙:選択され、記憶された封筒給紙トレイ
・封入物情報:入力され、記憶された封入物情報
の各情報で、1つの封筒設定が1つのジョブに対応している。
【0054】
図21は図16の表示画面で「封入物設定」ボタンa3が押下されたときの表示画面の一例を示す図である。なお、本実施例では画像形成装置1の記憶装置に既に封入物に印字する画像情報が登録されているものとする。この設定画面では、画像形成装置1の給紙段1−Bにセットされている封入物の設定を行うことができる。
【0055】
すなわち、図16の画面で「封入物設定」ボタンa3を押下すると、図示しない表示制御手段は、この押下を受け付けて、封入タブの表示に図21に示す「画像取り込み」ボタンa31、「封入物設定」ボタンa32、及び「設定終了ボタンa33が表示される。ここ表示画面から前記各ボタンのいずれかを押下すると、押下したボタンに対応する処理が実行される。
【0056】
1)画像取り込み
「画像取り込み」ボタンa31を押下すると、封入物の画像の取り込みを行うことができる。画像を取り込む手段としては、ADF1−Cに原稿をセットしてスキャナから画像を取り込むことが可能であり、あるいはPCから入力された画像を取り込むことも可能である。
【0057】
2)封入物設定
「封入物設定」ボタンa32を押下すると封入物に対して設定を行うことができる。すなわち、図21の表示画面で「封入物設定」ボタンa:32が押下されると、図22に示す表示画面に遷移し、封筒設定で入力されたジョブの一覧(封入物設定情報画面a5)が表示される。ここで各ジョブの封入物情報欄を押下することによって封入物に対して詳細な設定が可能となる。
【0058】
図23は封筒設定情報a5の一覧表示画面からNo.1あるいはNo.3の封入物情報の欄が押下されたときに遷移する用紙サイズ入力画面a6を示す図である。同図に示すように、用紙サイズ入力画面では、封入物ごとにサイズの設定をすることができる。本実施例では既に入力されている封筒のサイズより小さいサイズの用紙のみ選択できる。これは、封入装置2が画像形成装置1の後段に直接連結されているからであり、画像形成装置1の後段に折り装置を連結し、その後段に封入装置2が連結されているものであれば、折り情報も封入物設定情報画面a5に表示される。この表示されたA,B,Cの各欄にサイズを入力し、封入物の設定終了後、設定終了ボタンa33を押下する。これにより、封入物のサイズが確定する。
【0059】
3)設定終了
全ての設定が完了したら、「封入」タブにある「設定終了」ボタンa33を押下する。これにより、封入物の画像形成に関する設定を完了することができる。
【0060】
図24は、本発明の実施形態における封入印刷時の処理手順を示すフローチャートである。封入印刷を行う場合、初めに封入ボタンa1を押下し、「封筒設定」、「封入物設定」を行う(ステップS1)。
【0061】
「封筒設定」及び「封入物設定」はどちらを先に設定してもよい。「封筒設定」に関しては、封筒を選択し、印字情報を入力し、封入物との情報を結び付けるための封入物情報を入力する。「封入物設定」に関しては、封入物に画像形成をするに当たって必要な情報を入力する。ここでは、図23の表示画面から画像形成する封入物のサイズを入力する。このようにして封筒設定が完了し(ステップS2)、封入物設定が完了すると(ステップS3)、操作パネル1−A上にあるスタートボタンdを押下し、封入印刷を開始させる(ステップS4)。
【0062】
印刷がスタートされたら登録されている封入ジョブを順次実行していく。ここでは、各封入ジョブの封入物枚数をN枚とする。そこで、まず封入枚数をチェックし(ステップS5)、封入枚数Nが2枚以上であれば、封入物の画像形成を開始する(ステップS6)。「封入物設定」にて設定された給紙段1−Bから用紙を給紙し、画像形成を施し、封入装置2の中間トレイ15まで搬送する。次いで、現在印刷枚数nをインクリメントし(ステップS7)封入物が2枚以上あるので、ステップS6とステップS7の処理をジョブの枚数分繰り返す(ステップS8:NO)。
【0063】
封筒に対しての画像形成は、同一封入ジョブの封入紙N−1枚目の印刷のタイミング(ステップS8:YES)で、封入装置2によって「封筒設定」で設定された画像を封筒に形成し(ステップS9)、封入装置3のチャックコロ対20まで搬送する。その後、封入ジョブ最終紙を画像形成装置により印刷する(ステップS10)
ここでは、N枚の封入紙を封筒に封入するジョブにおいて、N−1枚目を画像形成装置1によって印刷するタイミングで、封入装置2によって封筒に印刷を施しても十分間に合うように設定されている。全ての封入物が中間トレイ15に搬送されたら、封入処理が行われる(ステップS11)。封入ジョブが複数ある場合、画像形成装置が次の封入ジョブの封入物の画像形成を開始する(ステップS5)。これを登録ジョブ分繰り返し行う(ステップS12)。封入処理が完了した封筒は封筒積載トレイ26へ排紙される。なお、ここでは、ジョブは1つの封筒へ封入する封入物全てを封入するまでの作業をいう。
【0064】
すなわち、本処理手順では、ステップS9における封筒への画像形成開始タイミングは、最終封入紙が中間トレイ15に到達する前に封筒が封筒チャック部38に到達可能なタイミングに設定されており、これにより、印字給紙部2−Bの印字装置25−6によって封筒に画像形成するタイミングを、画像形成装置1による封入物の印字の生産性を保持できるタイミング内に設定することが可能となり、画像形成装置1の印字生産性を低下させることなく封入処理が可能となる。
【0065】
また、前記処理手順により、もし封入物の印刷途中にシステムに異常が発生してしまった場合でも、封入物最終紙印刷の手前まで封筒が印刷されることがないので、無駄な封筒の印刷を防ぐことができる。さらに、封入ジョブが連続して行われる場合、前述のように封入物に対して画像形成を行う画像形成装置の生産性が損なわれることない。
【0066】
図25は、封筒の向き、印字位置及び印字方向の関係を示す図で、同図(a)は横長の封筒に横書きで印刷する場合の、同図(b)は向き縦長の封筒に縦書きで印刷する場合の印字位置を示す。
【0067】
封筒の種類は「封筒選択」ボタンa21の操作により選択され、図25に示した印字位置、及びその位置に印字する印字内容は宛名入力画面a3から入力され、入力された情報に基づいて封筒Pfの郵便番号印字部Pf1に郵便番号が、住所印字部Pf2に住所が、送り先名印字部Pf3に送り先の名称あるいは名前がそれぞれ印字される。
【0068】
封筒に印字する印刷装置25−6では、インクジェット方式のラインヘッド25−61を備えているので、選択された封筒Pfのサイズによって印字位置を変更することは容易である。
【0069】
図26は、登録されている印刷ジョブの設定変更の表示例を示す図である。同図(a)は操作パネル1−Bの下部分にある「ジョブ一覧」ボタンajが押下されたときの表示画面を示す。ここで、No.3とNo.5のジョブの出力順を変更する(入れ替える)と、図26(b)に示すようになる。ジョブの出力順の変更は操作パネル1−A上で、順序の変更したいジョブを選択し、任意の出力順の場所に移動させる。これにより、ジョブの出力順が当該ジョブの設定内容とともに一括して移動後の順序に変更され、その内容が記憶装置に記憶される。
【0070】
このように封筒Pfの情報と封入物の情報が紐付けられているため、印刷順序の変更はジョブNo.の欄を入れ替えることにより容易に行うことができる。また、印刷順序の変更は、印刷順序の変更したいジョブの封入物の印字が開始されていなければ、他のジョブが印刷中であっても可能である。なお、この封入ジョブ一覧画面で、入力済みの各項目についての情報を変更することも可能である。
【0071】
ところで、このように封筒Pfと封入物の両方に対して画像形成をして封入を行う方法では、画像形成装置1が異常状態になった場合、画像形成ができなくなるので、封入処理ができなくなってしまっていた。このように封入処理ができなくなってしまうと、異常状態が回復するまでそこで作業が止まってしまい、封入システムとしてもダウンタイムが発生することになる。
【0072】
そこで、本実施形態では、封筒に画像形成をするタイミングを制御することによって封筒への無駄な画像形成を防ぐことに加え、あるいはそれとは別に、画像形成装置が異常状態になった場合でも封入処理を継続させ、封入システムとしてのダウンタイム短縮を図るようにした。以下、本実施形態のシステムを例にとり、封入装置2の印字装置25−6で異常が発生した場合についての動作を説明する。
【0073】
図27は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合の処理手順を示すフローチャートである。同図において、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始した後、封入装置2の印字装置25−6に異常が発生すると(ステップS31)、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断する(ステップS32)。印字装置25−6に異常とは、例えば、ラインヘッド25−61のインク供給管25−17が破損し、ラインヘッド25−61による印字が不可能になった場合である。
【0074】
このとき、封入装置2で異常が発生したこと、及び、異常となった封筒Pfが何であったか、等が封入システムの状態として記憶される。封入システムの状態は、例えば画像形成装置1のCPU1Uを含む制御装置内のメモリに記憶され、封入システム全体もCPU1Uによって制御するようにする。なお、ここでは、異常を発生したことはCPU1Uによって検知し、CPU1Uは異常検知手段として機能している。このように画像形成装置1のCPU1Uで検知し、あるいは制御することに代えて、画像形成装置1と封入装置2を制御するコントローラを設けて制御するように構成することもできる。
【0075】
このように封入システムの状態を記憶しておくと、異常となった封筒も記憶されているので、記憶された情報に基づいて画像形成装置1において封入装置2で異常となった封筒から印字が再開される(ステップS13)。この処理が実行されるのは、この時点で予め封筒Pfが画像形成装置1にもセットされていることが前提である。なお、画像形成装置1に該当する封筒がセットされていなければ、画像形成装置1の操作パネル1−Aからユーザに通知するようにしてもよい。この場合、例えばユーザへの通知は、操作パネル1−Aに、封筒Pfを画像形成装置1の給紙段へセットするようにという旨のメッセージを表示することにより行われる。
【0076】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS34,ステップS35:No)、異常が解消された時点で(ステップS35:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS36)。
【0077】
図28は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを予め設定しておく(初期設定として登録しておく)処理手順を示すフローチャートである。
【0078】
この処理手順では、封入システムの初期設定で封筒Pfへの画像形成を封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能などうかを設定しておく。このように設定された状態で、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始する(ステップS41)。そして、封入装置2の印字装置25−6に異常が発生すると(ステップS42)、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断する(ステップS43)。
【0079】
このとき、封入装置2で異常は発生したこと、及び、異常となった封筒が何であったか、封入装置2から画像形成装置1への画像形成の切り替え可能かどうか、等が封入システムとして前述のようにメモリに記憶されている。そこで、ステップS44で封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能か否かを判定する。初期設定で「切り替え可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えが可能となるため(ステップS44:YES)、封入システムのメモリに記憶されている情報に基づいて画像形成装置1から封入装置2で異常となった封筒Pfから印字が再開される(ステップS45)。この時点で、図27のフローチャートの処理時と同様に予め封筒が画像形成装置1にもセットされていることを前提とする。
【0080】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS46,ステップS47:NO)、異常が解消された時点で(ステップS47:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS48)。
【0081】
一方、初期設定で「切り替え不可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えができないため(ステップS44:NO)、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。ここでは、ジョブは中断され、印字装置25−6の異常復旧待ちとなる。
【0082】
また、封入装置2の異常が即復旧可能な場合、例えば、インク、トナー、糊などの消耗品であれば、ユーザが容易に異常から復帰させることができるため、この場合は、封入装置2から画像形成装置1への画像の切り替えを不可としておいた方がよい。封入装置2から画像形成装置1への画像の切り替えを選択することができる場合の処理は、後述の図31のフローチャートに示すようになる。
【0083】
図29は、封入装置2において封筒に印字しているとき、印字給紙部2−Bに異常が発生した場合に動作を継続するかどうかを異常発生時にユーザへ通知する処理手順を示すフローチャート、図30は前記印字給紙部2−Bに異常が発生したときに動作を継続するかどうかをユーザに通知した場合の操作パネル1−Aの表示例を示す図である。
【0084】
図29のフローチャートに示した処理手順は、図27に示したフローチャートの処理手順のステップS32の後にステップS51の判定処理を加えたものである。すなわち、封入装置2の印字装置2−5で異常が発生して封筒Pfへの印字を中断した場合(ステップS32)、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかをユーザへ問い合わせ、ユーザの選択に応じて後段の処理を行うようにした。画像形成装置1による封筒への印字を行うかどうかを選択可能にした場合、画像形成装置1による封筒への印字を開始したい場合(ステップS51:YES)は、図30の操作パネル1−Aの操作表示画面aで「継続」a71を選択する。「継続」a71を選択すると、ステップS34以降の図29で示したフローチャートと同じシーケンスとなる。また、画像形成装置1により印字を行いたくない場合は、操作表示画面aで「中断」a72を選択する。「中断」a72を選択すると、この時点でジョブがキャンセルされ、封入システムに残ったジョブを完全に消去する、あるいは、封入装置2の異常が解消されるのを待つ、等の動作を行う(ステップS49)。
【0085】
封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字と、画像形成装置1による封筒Pfへの印字とでは、例えば、画像形成装置1はレーザープリンタ、封入装置2はラインヘッドあるいはインクジェットプリンタとした場合において、厳密には画像形成の質が異なる。封入システムを使用するユーザによっては、封筒Pfに印字される画像(印字)が異なることを懸念する場合がある。従って、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかを選択可能にすることにより、この問題を解消することが可能となる。また、封筒Pfの種類によっては、高温になる定着部を通さない方がよい場合があるため、画像形成装置1が定着部を有する場合は、画像形成装置1による封筒への画像形成を予め「不可」としておいた方がよい。定着部を通さない方がよい封筒とは、例えば、フラップ部に糊が付いているような封筒(糊付き封筒)であり、この場合、高温になると糊が溶けてしまうおそれがある。なお、糊付き封筒に対して画像形成装置1による封筒への画像形成を予め「不可」と設定するのは、初期設定の段階である。
【0086】
図31は、封入装置2において封筒に印字しているときに印字給紙部2−Bに異常が発生した場合、動作を継続するかどうかを予め設定しておき、画像形成装置1で封筒に印字させるか否かをユーザに選択させる処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは図27、図28及び図29に示したフローチャートにおける処理手順を組み合わせたものである。すなわち、封入システムの初期設定で封筒Pfへの画像形成を封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能などうかを設定しておく。
【0087】
このように設定された状態で、画像形成装置1で封入物に画像形成を、封入装置2の印字装置25−6(ラインヘッド25−61)で印字を開始し(ステップS41)、前記ステップS42及びステップS43の処理を実行し、封入装置2の印字装置25−6による封筒Pfへの印字を中断されると、ステップS44で封入装置2から画像形成装置1へ切り替え可能か否かを判定する。初期設定で「切り替え可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えが可能となるため(ステップS44:YES)、画像形成装置1による封筒Pfへの印字を行うかどうかをユーザへ問い合わせ、ユーザが画像形成装置1による封筒への印字を開始することを選択した場合(ステップS51:YES)には、封入システムのメモリに記憶されている情報に基づいて画像形成装置1から封入装置2で異常となった封筒Pfから印字が再開される(ステップS45)。この時点で、図27のフローチャートの処理時と同様に予め封筒が画像形成装置1にもセットされていることを前提とする。
【0088】
そして、画像形成装置1による封筒Pfへの印字動作中に、封入装置2の異常が解消されたか否かを監視しておき(ステップS46,ステップS47:NO)、異常が解消された時点で(ステップS47:YES)、封入装置2の印字装置25−6による封筒への印刷を再開する(ステップS48)。
【0089】
一方、初期設定で「切り替え不可」としていた場合、封入装置2で異常発生時、画像形成の切り替えができないため(ステップS44:NO)、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。ここでは、ジョブは中断され、印字装置25−6の異常復旧待ちとなる。また、ステップS51で、ユーザが画像形成装置1による封筒への印字を開始することを選択しなかった場合(ステップS51:NO)には、この時点でジョブが停止する(ステップS49)。
【0090】
このように図27、図28、図29及び図31のフローチャートに示したように処理すると、封筒Pfに画像形成している印字装置25−6が異常になった場合でも、封入物に画像形成している画像形成装置1によって封筒への画像形成を行うことができ、封入動作を継続することが可能になるので、システムのダウン時間を短縮することができる。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、
1)封筒に画像形成をするタイミングを制御することによって封筒への無駄な画像形成を防ぐことができる。これは、ジョブ中に異常が発生した場合などに特に有効である。
2)実行するジョブの順序を容易に変更することができる。
3)封筒に対して画像形成する印字装置が異常になった場合は、封入物に対して画像形成する画像形成装置によって封筒への画像形成を行うようにすることができるので、封筒に対して画像形成印字装置が画像形成できない状態となっても印字動作及び封入動作を停止することなく継続しいて実行することができる。
等の効果を奏する。
【0092】
なお、後述の実施形態では、封入物はシート状記録媒体、用紙、あるいは記録紙に、封筒は符号Pfに、第1の画像形成手段は画像形成装置1の図示しない作像エンジンに、第2の画像形成手段は印字装置25−6に、最終紙が封入前に待機する位置は中間トレイ15に、封入物を封入する位置は封筒チャック部38に、制御手段若しくはコンピュータはCPU2Uに、入力手段は操作パネル1−Aに、印字位置変更手段はCPU2Uに、ライン印刷を行う印刷ヘッドはラインヘッド25−61に、異常検知手段はCPU1Uに、画像形成装置は符号1に、封入装置は符号2に、それぞれ対応する。
【0093】
本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1 画像形成装置
1−A 操作パネル
2 封入装置
2U CPU
15 中間トレイ
25−6 印字装置
25−61 ラインヘッド
38 封筒チャック部
Pf 封筒
【先行技術文献】
【特許文献】
【0095】
【特許文献1】特開2004−045650号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、
前記封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、
前記封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、
前記第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記第1及び第2の画像形成手段によって前記封筒及び前記封入物に印刷する印刷ジョブを設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された印刷ジョブの印刷順を変更する印刷順変更手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成システムであって、
前記封筒のサイズを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された封筒のサイズ情報に基づいて前記封筒への印字位置を変更する印字位置変更手段と
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段の異常及び異常解消を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記異常検知手段が前記第1の画像形成手段の異常を検知したとき、前記制御手段は、前記第1の画像形成手段によって封筒に対して画像形成を行わせ、当該封筒に前記画像形成された用紙を封入することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段が前記第2の画像形成手段の異常の解消を検知したとき、前記制御手段は、前記第2の画像形成手段による画像形成を再開させること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
ジョブが始まる前の設定によって、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成手段によって前記封筒に画像形成を行うか否かを選択する選択手段を備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成装置によって前記封筒に画像形成を行うか否かを通知する通知手段を備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段によって検出された異常が消耗品であるとき、前記制御手段は前記第1の画像形成装置からの封筒に対する画像形成を禁止することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の画像形成手段は定着部を有し、
前記第2の画像形成手段は定着部を有さず、
前記制御手段は、前記予め設定した種類の封筒に対しては、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成装置からの封筒に対する画像形成を禁止することを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成システムであって、
前記予め設定した種類の封筒が糊付き封筒であって、糊付き封筒か否かを設定する設定手段をさらに備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段によって形成される画像が宛名に関する画像であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段はライン印刷を行う印刷ヘッドであること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第1の画像形成手段は画像形成装置側に設けられ、
前記第2の画像形成手段は前記画像形成装置の下流側に連結される封入装置側に設けられていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる封入方法であって、
封入物に対して画像形成装置側の第1の画像形成手段で画像形成する第1の工程と、
封筒に対して封入装置側の第2の画像形成手段で画像形成する第2の工程と、
を備え、
前記第1の工程で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の工程を実施し、前記封筒に画像を形成させること
を特徴とする封入方法。
【請求項15】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入する処理をコンピュータに実行させるための封入制御プログラムであって、
封入物に対して画像形成装置側の第1の画像形成手段で画像形成する第1の手順と、
封筒に対して封入装置側の第2の画像形成手段で画像形成する第2の手順と、
前記第1の手順で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の手順を実施し、前記封筒に画像を形成させる第3の手順と、
をコンピュータに実行させるための封入制御プログラム。
【請求項1】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる画像形成システムであって、
前記封入物に対して画像形成する第1の画像形成手段と、
前記封筒に対して画像形成する第2の画像形成手段と、
前記第1の画像形成手段で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の画像形成手段によって封筒に画像を形成させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成システムであって、
前記第1及び第2の画像形成手段によって前記封筒及び前記封入物に印刷する印刷ジョブを設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された印刷ジョブの印刷順を変更する印刷順変更手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成システムであって、
前記封筒のサイズを入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された封筒のサイズ情報に基づいて前記封筒への印字位置を変更する印字位置変更手段と
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段の異常及び異常解消を検知する異常検知手段をさらに備え、
前記異常検知手段が前記第1の画像形成手段の異常を検知したとき、前記制御手段は、前記第1の画像形成手段によって封筒に対して画像形成を行わせ、当該封筒に前記画像形成された用紙を封入することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段が前記第2の画像形成手段の異常の解消を検知したとき、前記制御手段は、前記第2の画像形成手段による画像形成を再開させること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
ジョブが始まる前の設定によって、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成手段によって前記封筒に画像形成を行うか否かを選択する選択手段を備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成装置によって前記封筒に画像形成を行うか否かを通知する通知手段を備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項4に記載の画像形成システムであって、
前記異常検知手段によって検出された異常が消耗品であるとき、前記制御手段は前記第1の画像形成装置からの封筒に対する画像形成を禁止することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1の画像形成手段は定着部を有し、
前記第2の画像形成手段は定着部を有さず、
前記制御手段は、前記予め設定した種類の封筒に対しては、前記異常検知手段が異常を検知したとき、前記第1の画像形成装置からの封筒に対する画像形成を禁止することを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成システムであって、
前記予め設定した種類の封筒が糊付き封筒であって、糊付き封筒か否かを設定する設定手段をさらに備えたこと
を特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段によって形成される画像が宛名に関する画像であること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第2の画像形成手段はライン印刷を行う印刷ヘッドであること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の画像形成システムであって、
前記第1の画像形成手段は画像形成装置側に設けられ、
前記第2の画像形成手段は前記画像形成装置の下流側に連結される封入装置側に設けられていること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項14】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入させる封入方法であって、
封入物に対して画像形成装置側の第1の画像形成手段で画像形成する第1の工程と、
封筒に対して封入装置側の第2の画像形成手段で画像形成する第2の工程と、
を備え、
前記第1の工程で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の工程を実施し、前記封筒に画像を形成させること
を特徴とする封入方法。
【請求項15】
封入物及び封筒に画像を形成し、前記封入物を前記封筒に封入する処理をコンピュータに実行させるための封入制御プログラムであって、
封入物に対して画像形成装置側の第1の画像形成手段で画像形成する第1の手順と、
封筒に対して封入装置側の第2の画像形成手段で画像形成する第2の手順と、
前記第1の手順で画像形成された封入物の最終紙が封入前に待機する位置に到達する前であって、前記封筒が前記封入物を封入する位置に到達可能なタイミングで前記第2の手順を実施し、前記封筒に画像を形成させる第3の手順と、
をコンピュータに実行させるための封入制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図20】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図31】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図20】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図31】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図21】
【図22】
【図23】
【図30】
【公開番号】特開2012−198531(P2012−198531A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−49304(P2012−49304)
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月6日(2012.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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