説明

画像形成システム、画像形成装置、画像形成システムの制御方法、プログラム

【課題】利用者の意図しないタイミングで印刷データが削除されることを防ぎ、印刷データの再印刷を容易に可能にすること。
【解決手段】複合機100の制御部101は、印刷部107による印刷データの印刷が終了すると、印刷済みの印刷データを記憶部108に保持した状態で、利用者により課金装置200に投入された現金の残金を返却するための操作がなされたかどうかを判定し(S307)、該操作がなされたと判定した場合(S307でYes)、記憶部108に保持されている印刷済みの印刷データを削除する(S308)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置、画像形成システムの制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、機密書類の印刷を行う際、利用者の目の届かない場所で印刷が始まり第三者に情報が漏洩するのを防ぐため、印刷データを保持しておき、利用者の操作等を待って印刷を開始するセキュアプリントという機能がある。
【0003】
セキュアプリントのように、印刷データを保持しておき、利用者の操作等に応じて印刷を開始する画像形成システムでは、従来、印刷の終了後、速やかに印刷データを削除していた。また、印刷データを一定期間保存し、一定期間の経過後、印刷データを削除するものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−282477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のように、印刷の終了後、速やかに印刷データを削除した場合、印刷データを保持するための記憶資源を節約することができるものの、その印刷データにより再印刷を行うことができなかった。この場合、利用者は、再度、パーソナルコンピュータ等から印刷データの送信を行わなければならず、非常に煩雑であった。なお、印刷データを再印刷するケースとしては、紙詰まり等の障害が発生した場合、部数等の設定内容を誤って印刷指示した場合、或いは、プリント濃度を出力物で確認しながら変更等して印刷を行う場合など、さまざまなケースが考えられる。
【0006】
一方、印刷データを一定期間保存する場合、記憶資源の節約や印刷データの再印刷をある程度可能にするものの、利用者の意図しないタイミングで印刷データが削除されてしまうという懸念があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、利用者の意図しないタイミングで印刷データが削除されることを防ぎ、印刷データの再印刷を容易に可能にする仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、印刷データを印刷する印刷手段と、前記印刷手段による印刷済みの印刷データを記憶する記憶手段と、利用者から投入された現金又は利用者により記録媒体読取部にセットされた金銭データを記録した記録媒体を用いて前記印刷に対する代金を清算する課金手段と、利用者により、前記現金の残金を返却するための操作又は前記記録媒体読取部から前記記録媒体を取り去る操作がなされたかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段により前記操作がなされたと判定された場合、前記記憶手段に記憶された印刷データを削除する削除手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の意図しないタイミングで印刷データが削除されることを防ぎ、印刷データの再印刷を容易に可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例を示す画像形成システムの外観構成の一例を示す外観図である。
【図3】実施例1における印刷済みジョブの削除を行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】印刷フラグ設定のためのプリントジョブリスト画面の一例を示す図である。
【図5】実施例2における印刷済みジョブの削除を行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、本発明の実施例1について、図1〜図4を用いて説明する。
実施例1では、例えば、セキュアプリントのように、印刷データを保持しておき、利用者の操作を待って印刷を開始する印刷を行った場合、課金装置の残金が返却されるまでは、その印刷済み印刷データを保持しておく。その後、課金装置の残金が全て返却されたことをトリガーに、上記の印刷済み印刷データを削除するように構成する。以下、詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例を示す画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2は、本発明の一実施例を示す画像形成システムの外観構成の一例を示す外観図である。なお、図1、図2において同一のものには同一の符号を付してある。
【0014】
図1、図2において、複合機100は画像形成装置として機能する。
図1に示すように、複合機100は、制御部101、原稿読取部102、表示部103、入力部104、インターフェース(I/F)105、通信部106、印刷部107、記憶部108、警告部109、システムバス110を備えている。
【0015】
制御部101は、複合機100全体の制御を司るためのものである。制御部101は、CPU101a、ROM101b、RAM101c等を備えている。ROM101bは、複合機100全体を制御するためのCPU101aのプログラムやデータ等をコンピュータ読取可能に記録している。RAM101cは、データを一時格納する機能やCPU101aのワーキングエリアとしての機能を有する。CPU101aは、ROM101bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、複合機100全体を統括制御する。
【0016】
なお、本実施例では、後述するコピー処理や印刷処理を制御するためのプログラム等は、ROM101bに格納されているものとするが、この構成に限らず、記憶部108やその他の記憶装置に当該プログラムを格納する構成としてもよい。
【0017】
原稿読取部102は、原稿台に載置された原稿から画像データを読み取る。表示部103は、タッチパネルで構成されており、利用者に対して画像形成に必要な情報の入力の受け付けを行うと共に、設定されている画像形成に必要な情報を表示する。入力部104は、画像形成に必要な情報の入力するためのハードキー等である。なお、タッチパネルを入力部104に含めてもよい。
【0018】
インターフェース(I/F)105は、課金装置200とデータ通信線300を介してデータ通信を行うためのものである。
通信部106は、外部装置とファクシミリ通信を行う、又は外部装置とネットワーク(例えばLAN等)を介して接続するためのものである。
【0019】
印刷部107は、原稿読取部102で読み取った原稿の画像や通信部106を介して入力されたデータを媒体(主として紙)にモノクロ又はカラーで印刷する。
記憶部108は、様々な画像データや情報を記憶するためのものであり、ハードディスクドライブドライブ(HDD)や、ソリッドステートドライブ(SSD)等で構成される。
【0020】
警告部109は、ブザー音や音声データの再生等で利用者に対して原稿の置き忘れを警告する、又は利用者に対して複合機100に対する注意を喚起せしめるためのものである。
【0021】
システムバス110は、制御部101、原稿読取部102、表示部103、入力部104、I/F105、通信部106、印刷部107、記憶部108及び警告部109をそれぞれ互いに接続させるためのものである。
【0022】
以上のような構成により、複合機100は、白黒コピーのみならず、フルカラーコピーや写真コピー、通信部106を介して接続されるパーソナルコンピュータ(PC)やサーバ等の外部装置から受信した印刷データの印刷等も実行可能である。
【0023】
次に、課金装置200について説明する。
図1に示すように、課金装置200は、制御部201、記憶部202、返金指示入力検出部203、インターフェース(I/F)204、投入コイン検出部205、表示部206、システムバス207を備えている。さらに、課金装置200は、図2に示すように、返却口208、返金ボタン209、コイン投入部210を備えている。
【0024】
制御部201は、CPUを備え、課金装置200の各構成部の制御を司る。記憶部202は、課金処理に必要とされるプログラム(制御部201内のCPUが実行)を格納する。インターフェース(I/F)204は、複合機100とデータ通信線300を介してデータ通信を行う。
【0025】
コイン投入部210は、利用者(ユーザ)が課金装置200に金銭を投入するためのものである。投入コイン検出部205は、コイン投入部210からの金銭の投入の有無、及び投入された金銭の種別を検出する。表示部206は、課金装置200に投入された金銭の残金を表示する。
【0026】
返金指示入力検出部203は、課金装置200に投入された金銭の残金を利用者に返金するための指示(以下、返金指示)の入力を検出する。なお、返金指示は、利用者が返金ボタン209の押下することにより行われる。返却口208は、課金装置200に投入された金銭の残金を利用者に返却するためのものである。なお、以下、課金装置200に投入される金銭をコインとして説明するが、投入される金銭は紙幣であってもよい。
【0027】
システムバス207は、制御部201、記憶部202、返金指示入力検出部203、I/F204、投入コイン検出部205、及び表示部206をそれぞれ互いに接続させる。
【0028】
課金装置200では、投入コイン検出部205が投入されたコインを検出し、制御部201が投入されたコインの合計金額やコピー処理や印刷処理後の残金等のデータを、記憶部202に記憶されたプログラムに基づいて算出する。制御部201は、この算出結果のデータを、表示部206に表示するとともに、I/F204及びデータ通信線300を介して複合機100のI/F105に送信する。
【0029】
複合機100の制御部101は、I/F105から、課金装置200に投入されたコインの合計金額や残金等の算出結果のデータを受信する。そして、制御部101は、この受信した合計金額や残金の算出結果のデータに基づいて、表示部103や入力部104を介して指示されたコピー処理や印刷処理が可能であるか否かを判断する。即ち、制御部101は、コピー処理や印刷処理を行うに当たって料金不足となるか否かの判断を行う(料金チェック)。
【0030】
さらに、制御部101は、コピー処理や印刷処理が実行された後に、残金の有無を判断する(残金チェック)。制御部101は、予め課金装置200からコインの合計金額や残金等の算出結果のデータを受信しているので、ROM101bに格納されているコピー処理を制御するためのプログラムに基づいて自ら残金チェックを行うことができる。なお、具体的な残金の金額のデータは、課金装置200の表示部206で表示する必要があるので、制御部101からI/F105及びデータ通信線300を介して課金装置200に送信される。
【0031】
なお、制御部101が直接残金チェックを行わず、以下のように構成してもよい。
例えば、制御部101がコピー処理や印刷処理の枚数や用紙サイズ等の課金に必要なデータを課金装置200に送信し、課金装置200で清算金額や残金の計算を行わせ、その計算結果のデータを受信することで、制御部101が残金チェックを行う構成としてもよい。この構成の場合、複合機100ではコピー動作中などは複合機100から1枚出力する毎にその出力完了の信号を出力し、その信号を課金装置200が受信するなどして課金処理を行い、残金計算や残金表示などに反映するという構成にすることも可能である。
【0032】
なお、複合機100と課金装置200との間で通信される、上記の合計金額や精算金額の算出結果のデータ及び残金の金額のデータは、金額を直接示す具体的な数字データでもよいが、これらの情報を示すビットデータや、複合機100と課金装置200とが認識できる特別のルールで規定されたデータ等でもよい。
【0033】
また、複合機100と課金装置200とが、互いに変換テーブルを記憶部に備え、受信したデータ等を該変換テーブルに基づいて所定のデータ等に変換するようにしてもよい。例えば、複合機100から送信されるデータは、コピー処理や印刷処理の枚数を示すデータであるが、課金装置200がこのコピー処理や印刷処理の枚数を示すデータを変換テーブルを用いて金額を示すデータに変換する等の構成でもよい。
【0034】
制御部101は、コピー処理や印刷処理が実行された後に、残金の有無を判断(残金チェック)する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、コピー処理や印刷処理が実行された後に限らず、課金装置200から投入されたコインの合計金額や精算金額の算出結果のデータを受信した後は、割り込み処理として常に残金の有無を判断する構成としてもよい。
なお、複合機100と、課金装置200が一体となり、一つの装置として構成されていてもよい。
【0035】
以下、図3を参照して、セキュアプリントジョブが終了してから印刷済みジョブが削除されるまでの処理について説明する。
図3は、実施例1における印刷済みジョブの削除を行う処理(コイン返却をトリガーに印刷済みジョブの削除を行う処理)の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、複合機100の制御部101のCPU101aがROM101bに記録されたプログラムを実行することにより実現される複合機100の機能に対応する。
なお、セキュアプリントによるプリントジョブの送信から印刷実行に関する処理については周知のものであるため、ここでは簡単に説明する。
【0036】
複合機100の制御部101は、複合機100と通信可能なPC又はサーバ等の外部装置(情報処理装置)からセキュアプリントによるプリントジョブを受信すると、該プリントジョブを記憶部108に格納する。そして、利用者による表示部103又は入力部104からの印刷指示に応じて、制御部101が、該プリントジョブに基づく印刷を実行するよう印刷部107制御する。なお、利用者による表示部103又は入力部104からの印刷指示に応じて、制御部101が、PC又はサーバ等の外部装置からセキュアプリントによるプリントジョブを受信し、プリントジョブに基づく印刷を実行するよう印刷部107を制御する構成であってもよい。以下の説明では、複合機100の制御部101が外部装置からセキュアプリントによるプリントジョブを受信して記憶部108に格納し、利用者による表示部103等からの印刷指示に応じて、該プリントジョブを印刷する構成で説明を行う。
【0037】
図3には示していないが、図3のフローチャートを開始する前提として、制御部101が、受信したプリントジョブを表示部103に表示し、この表示から利用者がプリントしたいジョブを選択し、選択されたジョブを実行するまでの処理を行っているものとする。
【0038】
複合機100は、外部から受け取ったプリントジョブを一つ以上保持することができる。なお、プリントジョブを保持する場所は複合機100内の記憶部108、あるいは、ネットワーク上のサーバやPCなどであってもよい。複合機100の制御部101は、予め定めた保持できるジョブ数の上限値を超えるジョブは保持せず削除するものとしてもよいし、また、予め定めた期間を超えるジョブは削除するものとしてもよい。
【0039】
なお、ここでは、セキュアプリントジョブを例に説明するが、セキュアプリントジョブの代わりに複合機100の原稿読取部102から原稿を読み取って印刷部107により印刷を行うコピージョブであっても、本発明を適用可能である。コピージョブの場合、表示部103又は入力部104から利用者によるコピー指示が入力されると、制御部101が原稿画像を読み取るよう原稿読取部102を制御し、該読み取った画像データを印刷データとして保持するように記憶部108を制御する。そして、制御部101は、前記記憶部108に保持した印刷データを印刷するよう印刷部107制御するものとする。
【0040】
複合機100の制御部101が、セキュアプリントジョブの処理を開始し(S301)、セキュアプリントジョブが終了すると(S302)、S303に処理を進める。
S303では、制御部101は、予め複合機100に設定されている即時削除の設定情報を記憶部108から取得し、該取得した即時削除設定情報がON(即時削除の設定有り)か否かを判定する(即時削除判定)。
【0041】
そして、即時削除設定情報がON(即時削除の設定有り)と判定した場合(S303でYes)、制御部101は、該当の印刷済みのジョブを削除し(S308)、本フローチャートの処理を終了する(S309)。
【0042】
一方、即時削除設定情報がOFF(即時削除の設定無し)と判定した場合(S303でNo)、制御部101は、S304に処理を進める。
【0043】
S304では、制御部101は、図4に示すプリントジョブリスト401を表示部103に表示して、利用者による印刷フラグの設定の操作を、表示部103から受け付ける。
【0044】
ここで、印刷フラグの設定とは、記憶部108に保持される印刷済みのジョブ(印刷データ)に対して、印刷フラグ(記憶部108に記憶される)を立て(ONにし)、コイン返却までジョブを保持する(コイン返却まで削除しない)かどうかの設定を利用者が表示部103から行うものである。印刷フラグをONすることにより、利用者は、その印刷データの再印刷を行うことができる。即ち、印刷フラグの設定とは、印刷が完了して記憶部108に記憶されている印刷データに対して、再印刷を可能にする設定である。
【0045】
図4は、印刷フラグの設定のためのプリントジョブリスト画面の一例を示す図である。
図4において、400はプリントジョブリスト画面で、制御部101が記憶部108に保持されているジョブを確認し、ジョブのリストを表示部103上に表示させたものである。
プリントジョブリスト401は、時刻401a、文書名401b、ユーザ名401c、印刷フラグのチェックボックス403等の項目を有する。
【0046】
プリントジョブ402a,402b,402cは、プリントジョブリスト401に表示されるプリントジョブの例である。
プリントジョブ402a,402b,402cには、図3のS304における利用者による印刷フラグ設定の操作(再印刷を可能にしたいジョブのチェックボックス403にチェックを入れて確認ボタン404を押下指示する操作)により、該ジョブの印刷フラグをONに設定することができる。
【0047】
なお、プリントジョブリスト401には、記憶部108に保持されているプリントジョブのうち複合機100にログインしているユーザのプリントジョブのみを表示する、或いは、記憶部108に保持されている全てのプリントジョブを表示させる場合でも以上の処理が適用できる。
【0048】
図4の例では、プリントジョブ402bのチェックボックス403にチェックが入っているので、ジョブ402bの印刷フラグがONと判定され、ジョブの削除は行われずに、コイン返却まで記憶部108に保持される。一方、402aと402cは直ぐに記憶部108から削除されることになる。
【0049】
以下、図3のフローチャートの説明に戻る。
プリントジョブリスト401にて確認ボタン404の押下を検知すると、制御部101は、S305に処理を進める。
S305では、制御部101は、上記S304において設定された印刷フラグの設定値に応じた処理を行う。具体的には、制御部101は、ジョブの印刷フラグがONにされたか否かを判定する。
【0050】
そして、ジョブの印刷フラグがONにされていないと判定した場合(S305でNo)、制御部101は、印刷済みジョブを記憶部108から削除し(S308)、本フローチャートの処理を終了する(S309)。
【0051】
一方、ジョブの印刷フラグがONにされたと判定した場合(S305でYes)、制御部101は、印刷フラグがONになっている印刷済みジョブを削除することなく(記憶部108にジョブを保持した状態で)、S306に処理を進める。
【0052】
なお、プリントジョブリスト401に表示されたジョブが複数存在する場合、制御部101は、上記S304にて印刷フラグがONにされなかったジョブは削除し、上記S304にて印刷フラグがONにされたジョブは削除することなく記憶部108にジョブを保持しておく。そして、制御部101は、印刷フラグがONにされたジョブが1つも存在しない場合には、本フローチャートの処理を終了する(S309)。一方、制御部101は、印刷フラグがONにされたジョブが1つでも存在する場合には、S306に処理を進める。
【0053】
なお、上記S306に処理が移ると、利用者は、上記S304で印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブを、表示部103又は入力部104から選択して印刷指示し、ジョブの再投入を行うことができる。制御部101は、利用者からの指示に従って、ジョブを再度実行する。
【0054】
S306では、制御部101は、上記S304で印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブの再投入が行われたか否かを判定する。
【0055】
そして、上記ジョブの再投入が行われたと判定した場合(S306でYes)、制御部101は、S302に処理を戻し、処理を繰り返す。
一方、上記ジョブの再投入の操作が行われなかったと判定した場合(S306でNo)、制御部101は、S307に処理を進める。
【0056】
S307では、制御部101は、返金ボタン209を押下するコイン返却操作が行われて残金無しの状態となったか否かを判定する(返却操作判定)。
そして、コイン返却操作が行われなかったと判定した場合(S307でNo)、制御部101は、S304に処理を戻し、処理を繰り返す。
【0057】
一方、コイン返却操作が行われて残金無しの状態となったと判定した場合(S307でYes)、制御部101は、S308に処理を進める。
S308では、制御部101は、上記S304で印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブの削除を行い、本フローチャートの処理を終了する(S309)。
【0058】
以上示したように、本実施例によれば、印刷済みのジョブを記憶装置に保持可能な画像形成装置において、コイン返却操作がなされるまでは、該印刷済みジョブの削除を行わないようにすることで、ユーザが望まないジョブの削除を防ぎ、印刷済みジョブの再投入を可能とする。さらに、印刷済みのジョブを保存し続けることにより記憶領域が圧迫される、のを効率的に防止することもできる。
【0059】
なお、図4に示したプリントジョブリスト画面400での、印刷フラグの設定は、印刷済みのジョブだけでなく、印刷前のジョブに対しても、ユーザが設定を行えるものとしてもよい。この場合、チェックボックス403は、印刷済みジョブに限らず、全てのプリントジョブに対して設定可能となる。
【0060】
また、上記図3のS303、S304、S305の何れか又は全てのステップをスキップし、例えば、S302からS304に進む処理や、S302からS306に進む処理も、本発明に含まれるものとする。
即ち、セキュアプリントジョブが終了すると(S302)、制御部101は、S306において、記憶部108に保持されているプリントジョブの再投入が行われたか否かを判定する。そして、そして、上記ジョブの再投入が行われたと判定した場合(S306でYes)、制御部101は、S302に処理を戻し、処理を繰り返す。一方、上記ジョブの再投入の操作が行われなかったと判定した場合(S306でNo)、制御部101は、S307に処理を進める。
【実施例2】
【0061】
次に、実施例2について図5を用いて説明する。
実施例1では、コイン返却操作が行われて残金無しの状態となったか否かの判定で(図3のS307)、コイン返却操作が行われなかったと判定した場合には、印刷フラグをONにしたジョブを削除せず、該ジョブの再投入が行える構成を示した。
【0062】
実施例2では、コイン返却操作が行われず残金無し(即ち、清算により残金無し)となかったと判定した場合であって、予めデバイスで設定していた時間(期間)或いはユーザが設定できる時間(期間)を超えるまでにコインの追加がない場合には、ジョブを削除するように構成する。
【0063】
図5は、実施例2における印刷済みジョブの削除を行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、複合機100の制御部101のCPU101aがROM101bに記録されたプログラムを実行することにより実現される複合機100の機能に対応する。
【0064】
なお、図5のS501〜S506の処理は、図3のS301〜S306の処理と同じであるため、説明は省略する。
【0065】
S507において、制御部101は、返金ボタン209を押下するコイン返却操作が行われて残金無し(残金が0)の状態となったか否かを判定する。
そして、コイン返却操作が行われて残金無しの状態となったと判定した場合(S507でYes)、制御部101は、S511において、S504で印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブの削除を行い、本フローチャートの処理を終了する(S512)。
【0066】
一方、コイン返却操作が行われなかったと判定した場合(S507でNo)、制御部101は、S508に処理を進める。
S508では、制御部101は、残金無しの状態となった(即ち、コイン返却操作が行われずに残金無しの状態となった)か否かを判定する(残金判定)。
そして、残金無しの状態でないと判定した場合(S508でNo)、制御部101は、S506に処理を戻し、処理を繰り返す。この場合、ジョブの削除は行われなれず、ジョブの再投入が可能となる。
【0067】
一方、残金無しの状態となった(即ち、コイン返却操作が行われずに残金無しの状態となった)と判定した場合(S508でYes)、制御部101は、S509に処理を進める。
【0068】
S509では、制御部101は、タイマーの作動を開始する。なお、制御部101は、最初にS509に移行した場合のみ実行し、二度目移行にS509に移行した場合は、このステップをスキップするように制御するものとする。
【0069】
次に、S510において、制御部101は、上記S509で開始したタイマーが、予め設定されている、或いはユーザが設定した時間に達するまでに(設定時間の経過前に)コインの追加投入があったかどうかを判定する(投入判定)。
【0070】
そして、上記タイマーが上記時間に達するまでにコインの追加投入がなかったと判定した場合(S510でNo)、制御部101は、S511において、S504で印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブの削除を行い、本フローチャートの処理を終了する(S512)。
【0071】
一方、上記タイマーが上記時間に達するまでにコインの追加投入があったと判定した場合(S510でYes)、制御部101は、S506に処理を戻し、処理を繰り返す。この場合、ジョブの削除は行われず、ジョブの再投入が可能となる。
なお、上記図5のS503、S504、S505の何れか又は全てのステップをスキップし、例えば、S502からS504に進む処理や、S502からS506に進む処理も、本発明に含まれるものとする。
【0072】
以上示したように、本実施例によれば、印刷済みのジョブを記憶装置に保持可能な画像形成装置において、コイン返却操作がなされるまで、又は清算により残金無しとなりコイン追加なく所定時間経過するまで、該印刷済みジョブの削除を行わないようにすることで、ユーザが望まないジョブの削除を防ぎ、印刷済みジョブの再投入を可能とする。さらに、印刷済みのジョブを保存し続けることにより記憶領域が圧迫される、のを効率的に防止することもできる。
【0073】
なお、上記各実施例では、課金装置200にコインや紙幣等の現金を投入し、該投入される現金により印刷代金を清算する構成を示した。しかし、課金装置200に金銭データを記録した記録媒体を読み取るための記録媒体読取部を設け、該記録媒体読取部にセットされた記録媒体により、印刷代金を清算するように構成してもよい。
【0074】
この記録媒体は、磁気カードであっても、ICカード(例えば、ソニー株式会社のFeliCaのような非接触ICカード)であってもよい。また、前記記録媒体は、前記ICカードに含まれるICチップと同様のICチップを搭載した携帯端末等であってもよい。
【0075】
このような金銭データを記録した記録媒体を用いて印刷代金を清算する構成の場合、図3のS307や図5のS507では、制御部101は、記録媒体読取部から記録媒体を取り去る操作(返却操作)が行われて残金無し(残金が0)の状態となったか否かを判定する。なお、返却操作とは、磁気カードの場合、磁気カードスロットから磁気カードを抜く操作、非接触ICカードの場合、記録媒体読取部の読み取り可能範囲から非接触ICカードを遠ざける操作を示す。
【0076】
そして、上記返却操作が行われて残金無しの状態となったと判定した場合、制御部101は、印刷フラグがONにされて記憶部108に保持されているプリントジョブに対し、ジョブの削除を行うように制御する。その他のステップは、図3、図5と同様である。
【0077】
このような構成によれば、印刷済みのジョブを記憶装置に保持可能な画像形成装置において、記録媒体の返却操作がなされるまで、又は清算により記録媒体の残金データが「0」となり且つ新たに残金データが「0」でない記録媒体がセットされることなく所定時間経過するまで、該印刷済みジョブの削除を行わないようにすることで、ユーザが望まないジョブの削除を防ぎ、印刷済みジョブの再投入を可能とする。さらに、印刷済みのジョブを保持し続けることにより記憶領域が圧迫される、のを効率的に防止することもできる。
【0078】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0079】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0080】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
100 画像形成装置
101 制御部
107 印刷部
108 記憶部
200 課金装置
201 制御部
203 返金指示入力検出部
209 返金ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷手段による印刷済みの印刷データを記憶する記憶手段と、
利用者から投入された現金又は利用者により記録媒体読取部にセットされた金銭データを記録した記録媒体を用いて前記印刷に対する代金を清算する課金手段と、
利用者により、前記現金の残金を返却するための操作又は前記記録媒体読取部から前記記録媒体を取り去る操作がなされたかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記操作がなされたと判定された場合、前記記憶手段に記憶された印刷データを削除する削除手段と、
を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記現金の残金又は前記記録媒体に記録された金銭データが0となっているか否かを判定する残金判定手段と、
前記残金判定手段により前記現金の残金又は前記記録媒体に記録された金銭データが0になっていると判定された場合、所定時間の経過前に現金の投入又は他の記録媒体がセットされたか否かを判定する投入判定手段とを有し、
前記投入判定手段により所定時間の経過前に現金の投入又は他の記録媒体のセットがなかったと判定された場合、前記削除手段が、前記印刷データを削除することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記印刷手段により印刷が完了して前記記憶手段に記憶されている印刷データに対して、再印刷を可能にする設定を行うための設定手段を設け、
前記印刷データに対して前記再印刷を可能にする設定がなされなかった場合、前記判定手段が前記操作の判定を行うことなく、前記削除手段が前記印刷データを前記記憶手段から削除することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記設定手段により前記印刷データに対して前記再印刷を可能にする設定がなされた場合、前記判定手段が前記操作の判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記印刷手段を備える画像形成装置と通信可能な情報処理装置に備えられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
利用者から投入された現金又は利用者により記録媒体読取部にセットされた金銭データを記録した記録媒体を用いて印刷に対する代金を清算する課金手段と通信可能な画像形成装置であって、
印刷データを印刷する印刷手段と、
前記印刷手段による印刷済みの印刷データを記憶する記憶手段と、
利用者により、前記現金の残金を返却するための操作又は前記記録媒体読取部から前記記録媒体を取り去る操作がなされたかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記操作がなされたと判定された場合、前記記憶手段に記憶された印刷データを削除する削除手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
印刷手段が、印刷データを印刷する印刷ステップと、
課金手段が、利用者から投入された現金又は利用者により記録媒体読取部にセットされた金銭データを記録した記録媒体を用いて前記印刷に対する代金を清算する課金ステップと、
判定手段が、利用者により、前記現金の残金を返却するための操作又は前記記録媒体読取部から前記記録媒体を取り去る操作がなされたかどうかを判定する判定ステップと、
削除手段が、前記判定ステップで前記操作がなされたと判定された場合、前記印刷ステップで印刷され記憶手段に記憶されている印刷済みの印刷データを削除する削除ステップと、
を有することを特徴とする画像形成システムの制御方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41467(P2013−41467A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178548(P2011−178548)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】