説明

画像形成システム

【課題】 リストデータを画像形成装置から取得する際に、クライアント装置において、他の処理が長時間連続して中断しないようにする。
【解決手段】 画像形成装置1は、リストデータ22を格納するデータ格納装置15と、通信処理部16により部分リスト要求メッセージがクライアント装置3から受信されると、リストデータ22を分割して生成される複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させるSOAP処理部17とを有する。クライアント装置3は、部分リスト要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させるとともに、通信処理部51により部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置1から受信されると、その応答メッセージから、その部分リストを抽出するSOAP処理部52を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどの画像形成装置には、端末装置や他の画像形成装置と通信を行い、印刷データ以外のデータを送受するものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
プリンタなどの画像形成装置から、例えばユーザリストといった複数のデータ値を含むリストデータを取得する場合、リストデータ全体を一括して送信する。
【0004】
【特許文献1】特開2001−306285号公報
【特許文献2】特開2001−88408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の画像形成装置の高機能化に伴い、リストデータのサイズが大きくなる傾向にある。したがって、リストデータ全体を一括してクライアント装置へ送信する場合、クライアント装置では、そのリストデータの送信要求を画像形成装置へ送信してから、そのリストデータ全体の受信を完了するまでの期間、他の処理を行うことができないため、他の処理が長時間中断することがある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、リストデータを画像形成装置から取得する際に、クライアント装置において、他の処理が長時間連続して中断しないようにすることができる画像形成システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0008】
本発明に係る画像形成システムは、コンピュータネットワークに接続された画像形成装置と、コンピュータネットワークに接続されたクライアント装置とを備える。画像形成装置は、複数のデータ値を含むリストデータを格納するデータ格納装置と、部分リスト要求メッセージを受信するとともに、部分リストを含む応答メッセージを送信する第1の通信処理部と、第1の通信処理部により部分リスト要求メッセージがクライアント装置から受信されると、リストデータを分割して生成される複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを生成し、第1の通信処理部にクライアント装置へ送信させる第1のメッセージ処理部とを有する。クライアント装置は、部分リスト要求メッセージを送信するとともに部分リストを含む応答メッセージを受信する第2の通信処理部と、部分リスト要求メッセージを、第2の通信処理部に画像形成装置へ送信させるとともに、第2の通信処理部により部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、その部分リストを抽出する第2のメッセージ処理部とを有する。
【0009】
これにより、リストデータが部分リストに分割されて画像形成装置からクライアント装置へ送信されるため、部分リストの取得を行っていない期間に他の処理を実行することができる。このため、リストデータを画像形成装置から取得する際に、クライアント装置において、他の処理が長時間連続して中断しないようにすることができる。
【0010】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムに加え、次のようにしてもよい。この場合、部分リスト要求メッセージおよび応答メッセージは、SOAPメッセージである。
【0011】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第2のメッセージ処理部は、リストデータを構成するすべての部分リストを取得するまで、繰り返し、部分リスト要求メッセージを画像形成装置へ送信させる。第1のメッセージ処理部は、リストデータを構成するすべての部分リストを送信するまで、未送信の部分リストを含む応答メッセージをクライアント装置へ送信させる。
【0012】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第2のメッセージ処理部は、最初の部分リスト要求メッセージを画像形成装置へ送信させる前に、部分リストの送信に必要なリソースの確保を要求するリソース確保要求メッセージを第2の通信処理部に画像形成装置へ送信させ、第2の通信処理部は、そのリソース確保要求メッセージを画像形成装置へ送信する。第1の通信処理部は、リソース確保要求メッセージをクライアント装置から受信し、第1のメッセージ処理部は、第1の通信処理部によりリソース確保要求メッセージが受信されると、部分リストの送信に必要なリソースの確保を行う。
【0013】
これにより、画像形成装置において、部分リストの送信に必要なリソースの確保を事前に実行することができるため、リストデータの送信にかかる時間を短くすることができる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第2のメッセージ処理部は、最後の部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置から受信された後に、リソース確保要求メッセージにより確保されたリソースの破棄を要求するリソース破棄要求メッセージを第2の通信処理部に画像形成装置へ送信させ、第2の通信処理部は、そのリソース破棄要求メッセージを画像形成装置へ送信する。第1の通信処理部は、リソース破棄要求メッセージをクライアント装置から受信し、第1のメッセージ処理部は、第1の通信処理部によりリソース破棄要求メッセージが受信されると、部分リストの送信のために確保されたリソースの破棄を行う。
【0015】
これにより、部分リストの送信時のみ一時的にリソースを確保し、送信完了後はただちにリソースが解放されるため、リソースを効率よく使用することができる。
【0016】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1のメッセージ処理部は、リソース確保要求メッセージに対して、リストデータを構成する複数の部分リストを識別するためのリスト識別情報を含む応答メッセージを第1の通信処理部にクライアント装置へ送信させ、第1の通信処理部は、リスト識別情報を含む応答メッセージをクライアント装置へ送信する。第2の通信処理部は、リスト識別情報を含む応答メッセージを画像形成装置から受信する。さらに、第2のメッセージ処理部は、リソース破棄要求メッセージにリスト識別情報を含める。そして、第1のメッセージ処理部は、リスト識別情報により特定される部分リストについてのリソースの破棄を行う。
【0017】
これにより、リスト識別情報により、各リストデータの送信に使用するリソースが別々に特定されるため、複数のリストデータをそれぞれ独立してかつ並行して取得することができる。
【0018】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1のメッセージ処理部は、リソース確保要求メッセージに対して、リストデータを構成する複数の部分リストを識別するためのリスト識別情報を含む応答メッセージを第1の通信処理部にクライアント装置へ送信させ、第1の通信処理部は、リスト識別情報を含む応答メッセージをクライアント装置へ送信する。第2の通信処理部は、リスト識別情報を含む応答メッセージを画像形成装置から受信する。さらに、第2のメッセージ処理部は、部分リスト要求メッセージにリスト識別情報を含める。そして、第1のメッセージ処理部は、リスト識別情報により特定される複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージをクライアント装置へ送信させる。
【0019】
これにより、リスト識別情報により、各リストデータの送信に使用するリソースが別々に特定されるため、複数のリストデータをそれぞれ独立してかつ並行して取得することができる。
【0020】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、リソース確保要求メッセージは、部分リストに含まれるデータ値の個数を指定する。
【0021】
これにより、クライアント装置により、部分リストの送信に使用する画像形成装置のリソース量を調節することができる。
【0022】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記の画像形成システムのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、第1のメッセージ処理部は、部分リスト要求メッセージが受信されると、部分リストの送信に必要なリソースの確保を行い、部分リストを含む応答メッセージが送信された後、確保したリソースを破棄する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リストデータを画像形成装置から取得する際に、クライアント装置において、他の処理が長時間連続して中断しないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、画像形成装置1は、コンピュータネットワーク2に接続され、そのコンピュータネットワーク2にクライアント装置3が接続されている。画像形成装置1は、印刷機能、画像読取機能およびファクシミリ送受信機能のうちの少なくとも1つを有する装置である。コンピュータネットワーク2は、LAN、WANなどのネットワークである。クライアント装置3は、例えばパーソナルコンピュータである。
【0026】
画像形成装置1は、印刷装置11、画像読取装置12、ファクシミリ装置13、通信装置14、データ格納装置15、通信処理部16、SOAP処理部17および制御部18を有する。
【0027】
印刷装置11は、文書データに基づいて文書画像を印刷する印刷機能を有する内部装置である。画像読取装置12は、文書から文書画像を光学的に読み取り、文書画像の画像データを生成する内部装置である。ファクシミリ装置13は、送信すべき文書データからファクシミリ信号を生成し送信するとともに、ファクシミリ信号を受信し文書データに変換する内部装置である。
【0028】
通信装置14は、コンピュータネットワーク2に接続され、コンピュータネットワーク2に接続された他の装置(ここでは、クライアント装置3)との間でデータ通信を行う装置である。通信装置14としては、例えばネットワークインタフェースカードが使用される。
【0029】
データ格納装置15は、文書データ21およびリストデータ22を格納する装置である。データ格納装置15としては、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリなどが使用される。文書データ21は、画像読取装置12による画像読取で生成された画像データ、ファクシミリ装置13により受信されたファクシミリ信号から生成された画像データ、印刷装置11により印刷された画像のバックアップの画像データ、ファクシミリ装置13により送信された画像のバックアップの画像データなどである。また、リストデータ22は、複数のデータ値を含む一連のデータである。リストデータ22は、例えば、ユーザリスト、部門コードリスト、アドレス帳、ジョブログリストなどのデータである。
【0030】
通信処理部16は、通信装置14を制御して、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)でコンピュータネットワーク2を介してデータ通信を行う処理部である。さらに、通信処理部16は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)のクライアントおよびサーバ機能を有する。
【0031】
SOAP処理部17は、通信処理部16を制御して、SOAPメッセージの送受を行う処理部である。SOAP処理部17は、後述のリソース確保要求メッセージ、部分リスト要求メッセージ、リソース破棄要求メッセージなどの要求メッセージを受信するとともに、それらに対する応答メッセージを送信する。SOAP処理部17は、通信処理部16により部分リスト要求メッセージがクライアント装置3から受信されると、リストデータ22を構成する複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる。部分リスト要求メッセージは、ある一連のデータ値を含むリストデータ22を分割して得られる複数の部分リストを取得するための要求メッセージである。
【0032】
この実施の形態では、要求メッセージおよび応答メッセージは、SOAPメッセージである。また、この実施の形態では、SOAPの下位層プロトコルとしてHTTPがバインディングされ、画像形成装置1およびクライアント装置3のそれぞれにエンドポイントのURLが予め設定されており、通信相手のエンドポイントに対して、HTTPのPOSTコマンドでSOAPメッセージを送信する。
【0033】
制御部18は、印刷装置11、画像読取装置12、ファクシミリ装置13などの内部装置を制御し、クライアント装置3または図示せぬ操作パネルから要求されたジョブを実行させる処理部である。制御部18は、各種ジョブで生成された文書データ21をデータ格納装置15に格納するとともに、内部装置の状態を監視する。
【0034】
なお、通信処理部16、SOAP処理部17および制御部18は、図示せぬ内蔵コンピュータで所定のプログラムが実行されることにより実現される。
【0035】
また、クライアント装置3は、通信装置31、データ格納装置32およびコンピュータ33を有する。
【0036】
通信装置31は、コンピュータネットワーク2に接続され、コンピュータネットワーク2に接続された他の装置(ここでは、画像形成装置1)と通信可能な装置である。通信装置31としては、例えばネットワークインタフェースカードが使用される。
【0037】
データ格納装置32は、ドライバプログラム41およびアプリケーションプログラム42を格納する装置である。データ格納装置32としては、ハードディスクドライブ、不揮発性メモリなどが使用される。なお、ドライバプログラム41を、CD−ROMなどの可搬性のある記録媒体に格納しておき、その記録媒体からドライバプログラム41を読み出す駆動装置をデータ格納装置32として使用するようにしてもよい。
【0038】
コンピュータ33は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを備え、プログラムをRAMにロードし、CPUで実行することにより、各種処理部を実現する装置である。ドライバプログラム41がコンピュータ33で実行されることにより、通信処理部51およびSOAP処理部52が実現される。ドライバプログラム41は、コンピュータプログラムの一例である。また、アプリケーションプログラム42がコンピュータ33で実行されることにより、アプリケーション53が実現される。
【0039】
通信処理部51は、通信装置31を制御して、TCP/IPでコンピュータネットワーク2を介してデータ通信を行う処理部である。さらに、通信処理部51は、HTTPのクライアントおよびサーバ機能を有する。
【0040】
SOAP処理部52は、通信処理部51を制御して、SOAPメッセージの送受を行う処理部である。SOAP処理部52は、後述のリソース確保要求メッセージ、部分リスト要求メッセージ、リソース破棄要求メッセージなどの要求メッセージを送信するとともに、それらに対する応答メッセージを受信する。SOAP処理部52は、部分リスト要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させるとともに、通信処理部51により部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、その部分リストを抽出する。
【0041】
アプリケーション53は、画像形成装置1に格納されているリストデータ22を取得する処理部である。
【0042】
次に、上記システムにおける各装置の動作について説明する。図2は、図1に示すシステムにおいて、クライアント装置3が画像形成装置1からリストデータ22を取得する処理を説明する図である。
【0043】
クライアント装置3のアプリケーション53は、リストデータ22を取得する際に、SOAP処理部52に、リストデータ22の取得を実行させる。
【0044】
SOAP処理部52は、まず、リソース確保要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる(ステップS1)。通信処理部51は、HTTPのPOSTコマンドで、そのメッセージを画像形成装置1へ送信する。そのメッセージは、通信装置31、コンピュータネットワーク2および通信装置14を介して伝送され、画像形成装置1の通信処理部16に受信される。通信処理部16は、HTTPで受信したリソース確保要求メッセージをSOAP処理部17に供給する。
【0045】
SOAP処理部17は、リソース確保要求メッセージが受信されると、リストデータ22の部分リストの送信に必要なリソースの確保を実行する。リソース確保要求メッセージには、部分リストに含まれるデータ値の個数などが指定されており、その指定に基づいて必要なリソース(動的なメモリ領域など)が確保される。例えば、部分リストに含まれるデータ値の個数が100である場合、リストデータ22のデータ値の個数が1000であると、部分リストの送信が10回行われる。
【0046】
SOAP処理部17は、リソースの確保が完了すると、応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS2)。応答メッセージには、送信対象であるリストデータ22を識別するためのリスト識別情報、一連の部分リストのどの部分リストまでを送信したかを示す送信進捗情報などが含まれる。通信処理部16は、HTTPのPOSTコマンドで、そのメッセージをクライアント装置3へ送信する。そのメッセージは、通信装置14、コンピュータネットワーク2および通信装置31を介して伝送され、クライアント装置3の通信処理部51に受信される。通信処理部51は、HTTPで受信したリソース確保要求メッセージをSOAP処理部52に供給する。
【0047】
クライアント装置3のSOAP処理部52は、リソース確保要求メッセージに対する応答メッセージが受信された後、最初の部分リスト要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる(ステップS3)。このメッセージは、通信処理部51から通信処理部16へ送信され、画像形成装置1のSOAP処理部17に供給される。部分リスト要求メッセージには、リスト識別情報、送信進捗情報などが含められる。
【0048】
画像形成装置1のSOAP処理部17は、部分リスト要求メッセージが受信されると、リスト識別情報、送信進捗情報などから、どのリストデータ22のどの部分リストを送信すべきかを特定し、特定した部分リストを含む応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS4)。この応答メッセージには、部分リストの他に、リスト識別情報、送信進捗情報などが含まれる。このメッセージは、通信処理部16から通信処理部51へ送信され、クライアント装置3のSOAP処理部52に供給される。SOAP処理部52は、その応答メッセージから部分リストを抽出する。
【0049】
そして、クライアント装置3のSOAP処理部52は、最後の部分リスト要求メッセージの応答メッセージが受信されるまで、順番に部分リストを取得するために、部分リスト要求メッセージを繰り返して送信させ(ステップS3)、その応答メッセージを通信処理部51などを介して取得する(ステップS4)。
【0050】
クライアント装置3のSOAP処理部52は、最後の部分リスト要求メッセージの応答メッセージから最後の部分リストを抽出し、取得した複数の部分リストからリストデータ22を復元した後、リソース破棄要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1に送信させる(ステップS5)。このメッセージは、通信処理部51から通信処理部16へ送信され、画像形成装置1のSOAP処理部17に供給される。リソース破棄要求メッセージには、リスト識別情報が含まれる。
【0051】
画像形成装置1のSOAP処理部17は、リソース破棄要求メッセージが受信されると、リスト識別情報で特定されるリストデータ22の部分リストの送信のために確保したリソースを破棄し、その後、リソース破棄要求メッセージの応答メッセージを、通信装置16にクライアント装置3へ送信させる(ステップS6)。この応答メッセージには、部分リストの他に、リスト識別情報、送信進捗情報などが含まれる。このメッセージは、通信処理部16から通信処理部51へ送信され、クライアント装置3のSOAP処理部52に供給される。SOAP処理部52は、この応答メッセージを取得すると、アプリケーション53に、リストデータ22の取得完了を通知し、リストデータ22を供給する。
【0052】
以上のように、上記実施の形態によれば、画像形成装置1は、複数のデータ値を含むリストデータ22を格納するデータ格納装置15と、部分リスト要求メッセージを受信するとともに、部分リストを含む応答メッセージを送信する通信処理部16と、通信処理部16により部分リスト要求メッセージがクライアント装置3から受信されると、リストデータ22を分割して生成される複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを生成し、通信処理部16にクライアント装置3へ送信させるSOAP処理部17とを有する。クライアント装置3は、部分リスト要求メッセージを送信するとともに部分リストを含む応答メッセージを受信する通信処理部51と、部分リスト要求メッセージを、通信処理部51に画像形成装置1へ送信させるとともに、通信処理部51により部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置1から受信されると、その応答メッセージから、その部分リストを抽出するSOAP処理部52とを有する。
【0053】
これにより、リストデータ22が部分リストに分割されて画像形成装置1からクライアント装置3へ送信されるため、部分リストの取得を行っていない期間に他の処理を実行することができる。このため、リストデータ22を画像形成装置1から取得する際に、クライアント装置3において、他の処理が長時間連続して中断しないようにすることができる。また、画像形成装置1において、リストデータ22を送信するために、部分リストの送信に使用するリソースを確保すればよいので、必要なリソース量が少なくて済む。
【0054】
また、上記実施の形態によれば、クライアント装置3のSOAP処理部52は、最初の部分リスト要求メッセージを画像形成装置1へ送信させる前に、リソース確保要求メッセージを通信処理部51に画像形成装置へ送信させる。画像形成装置1のSOAP処理部17は、通信処理部16によりリソース確保要求メッセージが受信されると、部分リストの送信に必要なリソースの確保を行う。
【0055】
これにより、画像形成装置1において、部分リストの送信に必要なリソースの確保を事前に実行することができるため、リストデータの送信にかかる時間を短くすることができる。
【0056】
また、上記実施の形態によれば、クライアント装置3のSOAP処理部52は、最後の部分リストを含む応答メッセージが画像形成装置1から受信された後に、リソース破棄要求メッセージを通信処理部51に画像形成装置1へ送信させる。画像形成装置1のSOAP処理部17は、通信処理部16によりリソース破棄要求メッセージが受信されると、部分リストの送信のために確保されたリソースの破棄を行う。
【0057】
これにより、部分リストの送信時のみ一時的にリソースを確保し、送信完了後はただちにリソースが解放されるため、リソースを効率よく使用することができる。
【0058】
また、上記実施の形態によれば、リスト識別情報がメッセージに含められる。これにより、リスト識別情報により、各リストデータ22の送信に使用するリソースが別々に特定されるため、複数のリストデータ22をそれぞれ独立してかつ並行して取得することができる。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0060】
例えば、上記実施の形態においては、送信進捗情報を各メッセージに含めているが、送信進捗情報をメッセージには含めずに、画像形成装置1において記憶しておき、SOAP処理部17が管理するようにしてもよい。その場合、SOAP処理部17は、図示せぬRAMなどに送信進捗情報を記憶し、部分リストを送信するごとに、送信進捗情報を更新する。また、クライアント装置3においても、送信進捗情報を記憶しておき、SOAP処理部52が、部分リストを含む応答メッセージを受信するごとに、送信進捗情報を更新するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態においては、最初の部分リストの送信前にリソースを確保し最後の部分リストの送信後にそのリソースを破棄しているが、SOAP処理部17は、部分リスト要求メッセージが受信されると、部分リストの送信に必要なリソースの確保を行い、部分リストを含む応答メッセージが送信された後、確保したリソースを破棄するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば、パーソナルコンピュータと複合機とを含むネットワークシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すシステムにおいて、クライアント装置が画像形成装置からリストデータを取得する処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置(画像形成装置の一例)
2 コンピュータネットワーク(コンピュータネットワークの一例)
3 クライアント装置(クライアント装置の一例)
15 データ格納装置(データ格納装置の一例)
22 リストデータ(リストデータの一例)
16 通信処理部(第1の通信処理部の一例)
17 SOAP処理部(第1のメッセージ処理部の一例)
51 通信処理部(第2の通信処理部の一例)
52 SOAP処理部(第2のメッセージ処理部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークに接続された画像形成装置と、
前記コンピュータネットワークに接続されたクライアント装置とを備え、
前記画像形成装置は、
複数のデータ値を含むリストデータを格納するデータ格納装置と、
部分リスト要求メッセージを受信するとともに、部分リストを含む応答メッセージを送信する第1の通信処理部と、
前記第1の通信処理部により前記部分リスト要求メッセージが前記クライアント装置から受信されると、前記リストデータを分割して生成される複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを生成し、前記第1の通信処理部に前記クライアント装置へ送信させる第1のメッセージ処理部とを有し、
前記クライアント装置は、
前記部分リスト要求メッセージを送信するとともに前記部分リストを含む前記応答メッセージを受信する第2の通信処理部と、
前記部分リスト要求メッセージを、前記第2の通信処理部に前記画像形成装置へ送信させるとともに、前記第2の通信処理部により前記部分リストを含む前記応答メッセージが前記画像形成装置から受信されると、その応答メッセージから、その部分リストを抽出する第2のメッセージ処理部とを有すること、
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記部分リスト要求メッセージおよび前記応答メッセージは、SOAPメッセージであることを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2のメッセージ処理部は、前記リストデータを構成するすべての前記部分リストを取得するまで、繰り返し、前記部分リスト要求メッセージを前記画像形成装置へ送信させ、
前記第1のメッセージ処理部は、前記リストデータを構成するすべての前記部分リストを送信するまで、未送信の前記部分リストを含む応答メッセージを前記クライアント装置へ送信させること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第2のメッセージ処理部は、最初の前記部分リスト要求メッセージを前記画像形成装置へ送信させる前に、前記部分リストの送信に必要なリソースの確保を要求するリソース確保要求メッセージを前記第2の通信処理部に前記画像形成装置へ送信させ、
前記第2の通信処理部は、そのリソース確保要求メッセージを前記画像形成装置へ送信し、
前記第1の通信処理部は、前記リソース確保要求メッセージを前記クライアント装置から受信し、
前記第1のメッセージ処理部は、前記第1の通信処理部により前記リソース確保要求メッセージが受信されると、前記部分リストの送信に必要なリソースの確保を行うこと、
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2のメッセージ処理部は、最後の前記部分リストを含む応答メッセージが前記画像形成装置から受信された後に、前記リソース確保要求メッセージにより確保されたリソースの破棄を要求するリソース破棄要求メッセージを前記第2の通信処理部に前記画像形成装置へ送信させ、
前記第2の通信処理部は、そのリソース破棄要求メッセージを前記画像形成装置へ送信し、
前記第1の通信処理部は、前記リソース破棄要求メッセージを前記クライアント装置から受信し、
前記第1のメッセージ処理部は、前記第1の通信処理部により前記リソース破棄要求メッセージが受信されると、前記部分リストの送信のために確保されたリソースの破棄を行うこと、
を特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1のメッセージ処理部は、前記リソース確保要求メッセージに対して、前記リストデータを構成する複数の部分リストを識別するためのリスト識別情報を含む応答メッセージを前記第1の通信処理部に前記クライアント装置へ送信させ、
前記第1の通信処理部は、前記リスト識別情報を含む応答メッセージを前記クライアント装置へ送信し、
前記第2の通信処理部は、前記リスト識別情報を含む応答メッセージを前記画像形成装置から受信し、
前記第2のメッセージ処理部は、前記リソース破棄要求メッセージに前記リスト識別情報を含め、
前記第1のメッセージ処理部は、前記リスト識別情報により特定される前記部分リストについての前記リソースの破棄を行うこと、
を特徴とする請求項5記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1のメッセージ処理部は、前記リソース確保要求メッセージに対して、前記リストデータを構成する複数の部分リストを識別するためのリスト識別情報を含む応答メッセージを前記第1の通信処理部に前記クライアント装置へ送信させ、
前記第1の通信処理部は、前記リスト識別情報を含む応答メッセージを前記クライアント装置へ送信し、
前記第2の通信処理部は、前記リスト識別情報を含む応答メッセージを前記画像形成装置から受信し、
前記第2のメッセージ処理部は、前記部分リスト要求メッセージに前記リスト識別情報を含め、
前記第1のメッセージ処理部は、前記リスト識別情報により特定される前記複数の部分リストのうちの未送信の部分リストを含む応答メッセージを前記クライアント装置へ送信させること、
を特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記リソース確保要求メッセージは、前記部分リストに含まれるデータ値の個数を指定することを特徴とする請求項4記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第1のメッセージ処理部は、前記部分リスト要求メッセージが受信されると、前記部分リストの送信に必要なリソースの確保を行い、前記部分リストを含む応答メッセージが送信された後、確保したリソースを破棄することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−26846(P2010−26846A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188227(P2008−188227)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】