画像形成システム
【課題】利用者の手動操作によらずに、用紙に対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】用紙Pを給紙する給紙装置1Bと、給紙装置1Bから給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1で画像が形成されて搬送されてきた用紙P及び給紙装置1Bから供給され画像形成装置1で画像が形成されずに搬送されてきた用紙Pの少なくとも一方の用紙Pに対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理装置3と、用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、検品処理装置3を制御する制御装置120と、を備える。
【解決手段】用紙Pを給紙する給紙装置1Bと、給紙装置1Bから給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1で画像が形成されて搬送されてきた用紙P及び給紙装置1Bから供給され画像形成装置1で画像が形成されずに搬送されてきた用紙Pの少なくとも一方の用紙Pに対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理装置3と、用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、検品処理装置3を制御する制御装置120と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を検品する機能を有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で画像が形成された用紙に対して、画像が形成された用紙の品質を検査する検品や、封筒に封入する用紙の際の用紙の過剰や欠落を検査する名寄せの検品を行うことが知られている。例えば、特許文献1には、検品処理装置に搬送されてきた用紙に対して、用紙の画像や形状に関して画像品質の検品を行い、異常の用紙が発生したときに異常用紙を排除し、かつ排除した異常用紙のリカバリを自動的に行うことができる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、リカバリ処理の際に用紙順序が変更されないように検品処理装置内にバッファトレイを設置して検品を行う手段を備えている。また、特許文献2には、検品処理装置に搬送されてきた用紙に対して、用紙の過剰や欠落といった名寄せの検品をするために、用紙の一部に印字を施し、検品処理装置内で読み取って異常の有無を判断する内容物検査システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の画像形成装置の用紙搬送方向下流側に封入封緘装置を接続し、封筒や封入物への画像形成処理と封入封緘処理とを連続して行う場合、上記画像が形成された用紙に対する画像品質の検品よりも、封筒に封入物が正しく封入されているかどうかの名寄せの検品を重視する場合が多いと考えられる。これに対して、封入封緘装置を接続しない場合は、画像を形成した用紙に対する上記名寄せの検品より画像品質の検品を重視する場合が多いと考えられる。このように、画像が形成された用紙がどのように処理されるかによって、要求される検品の種類が異なるため、ユーザが手動で検品処理手段を変更するか、もしくは、名寄せの検品処理手段を備えたシステムと画像品質の検品処理手段を備えたシステムとを複数用意しなければならない。
例えば、上記特許文献1で開示された画像品質の検品を行う画像形成装置では、封入封緘装置を接続して封入封緘処理を行うとした場合、名寄せの検品が必要なときには、ユーザが検品手段手段を手動で変更しなければならない。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、利用者の手動操作によらずに、用紙に対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、用紙を供給する用紙供給手段と、上記用紙供給手段から供給された用紙に画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成システムにおいて、上記画像形成手段で画像が形成されて搬送されてきた用紙及び上記用紙供給手段から供給され該画像形成手段で画像が形成されずに搬送されてきた用紙の少なくとも一方の用紙に対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段と、上記用紙に対するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、上記検品処理手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、上記検品処理手段で検品処理が実行された用紙を封筒に封入する封入手段を、更に備え、上記検品処理手段で実行可能な上記複数種類の検品処理は、上記用紙の過剰及び欠落に関する第1の検品処理と、上記用紙に形成された画像の品質に関する第2の検品処理とを含み、上記制御手段は、上記用紙に対する画像形成ジョブの種類に応じて上記第1の検品処理及び上記第2の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することを特徴とするものである。また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、上記第1の検品処理を実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、上記第2の検品処理を実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの画像形成システムにおいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの画像形成システムにおいて、上記検品処理手段の検品結果が異常の場合に、該異常の検品結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の異常又は用紙の欠落が検出されたとき、該当する用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の欠落が検出されたとき、その欠落用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行し、上記用紙の欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、上記欠落用紙以外の用紙を上記封筒に封入するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の画像形成システムにおいて、上記検品処理手段による検品処理を実行しない非検品モードを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の画像形成システムにおいて、上記画像形成装置から出力された用紙に対して後処理を行う後処理手段を、更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成システムにおいて、上記後処理手段で行う後処理は、上記用紙の綴じ処理であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、用紙に対して処理するジョブの種類に基づいて複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙に対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの主要部の構成を示す概略構成図。
【図2】画像形成装置の上部に設置されている操作パネルの一例を示す正面図。
【図3】同画像形成システムの給紙装置の内部の構成例を示す拡大構成図。
【図4】同給紙装置の駆動制御系の一例を示すブロック図。
【図5】同給紙装置にセットされる封筒の表面及び裏面を示す説明図。
【図6】同給紙装置のトレイの横断面図。
【図7】(a)は検品処理装置の内部構成の一例を示す構成図。(b)は検品処理に使用される製造仕様に関する情報のファイルの一例を示す説明図。
【図8】(a)は検品処理装置の読取装置で読み取った画像データのパターンの一例を示す説明図。(b)は記憶装置に格納された画像データのパターンの一例を示す説明図。
【図9】用紙後処理装置の内部構成の一例を示す構成図。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ、中綴じ処理が行われた用紙束の冊子の折り目に対して増し折りする機構および動作の説明図。
【図11】封入封緘装置の内部構成の一例を示す構成図。
【図12】操作パネルの検品設定画面の一例を示す説明図。
【図13】検品モードを自動設定する手順を説明するためのフローチャート。
【図14】検品の処理手順を示すフローチャート。
【図15】操作パネルの検品NG結果履歴一覧画面の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの主要部の構成を示す概略構成図である。本実施形態では、封筒に用紙を封入する後処理手段としての封入封緘装置を具備した画像形成システムを例にとって説明する。
【0009】
本実施形態の画像形成システムは、図1に示すように電子写真方式の画像形成手段である複合機(MFP)型の画像形成装置1を備える。画像形成装置1の上部には、画像形成ジョブ(以下、「印刷ジョブ」又は「ジョブ」という。)の内容を表示する表示部およびユーザーが印刷ジョブの操作を行う操作部として機能する操作パネル(OP)1Aおよび原稿自動給紙装置:ADF(Auto Document Feeder)2が装着されている。また、画像形成装置1は用紙供給手段としての複数段の給紙装置1Bを備えている。給紙装置1Bは、用紙を供給する用紙供給手段および用紙が封入される封筒を供給する封筒供給手段として機能する。
【0010】
画像形成装置1の側方には、検品処理手段としての検品処理装置3が連結されている。この検品処理装置3では、画像形成装置1から搬送されてきた用紙に対する検品を行う。検品の種類は主に、第1の検品処理としての名寄せの検品と第2の検品処理としての用紙の画像や形状といった品質に関する検品とであり、検品処理装置3は少なくともこれらの2種類の検品手段を備えている。検品処理装置3の画像形成装置1とは反対側の側方には後処理手段としての用紙後処理装置4が連結されている。用紙後処理装置4では、画像形成装置1から搬送されてきた用紙にユーザが任意に選択した後処理が施される。
【0011】
また、用紙後処理装置4の検品処理装置3とは反対側の側方には、封入手段としての封入封緘装置5が連結されている。封入封緘装置5は封入手段として機能し、用紙後処理装置4で後処理を施された用紙または用紙束を封筒に封入し封緘を行う。なお、本実施形態では、用紙後処理装置4で中折りもしくは中綴じの後処理がされた冊子を封筒に封入する場合について説明する。
【0012】
封筒およびその封筒に封入される封入物としての用紙は、画像形成装置1の複数段の給紙装置1Bのいずれかにそれぞれセットされており、画像形成装置1から封入封緘装置5へそれぞれ搬送される。
【0013】
図2は、画像形成装置1の上部に設置されている操作パネル1Aの正面図である。同図において、操作パネル1Aは、操作表示画面900、テンキーb、ストップキーc、スタートキーd、電源キーe、機能選択キー群fを備えている。操作表示画面900にメッセージや入力キーが階層表示され、テンキーbは数字入力を行う。ストップキーcは処理の停止を入力し、スタートキーdは画像形成開始のトリガー信号を付与する。電源キーeは電源のON/OFFを制御する。機能選択キー群fは、コピー、プリンタ、スキャナなどの各機能を選択するためキーが複数設置されたものである。
【0014】
図3は、給紙装置1Bの内部の構成例を示す拡大構成図であり、図4は、給紙装置1Bの駆動制御系の一例を示すブロック図である。また、図5は、給紙装置1Bにセットされる封筒Pfの表面及び裏面を示す説明図であり、図6は、給紙装置1Bのトレイ24の横断面図である。なお、図3〜図6では封筒Pfをセットした給紙装置1Bについて例示しているが、用紙がセットされた他の段の給紙装置についても同様に構成することができる。
【0015】
図3及び図4において、給紙装置1Bは、駆動系として、トレイ124の可動テーブル103を駆動する底板上昇モータ205と、ピックアップローラ107を駆動するピックアップモータ201と、給紙モータ202と、中間搬送モータ203とを備えている。給紙モータ202は、給紙ベルト109、リバースローラ110及びプルアウトローラ112を駆動する。中間搬送モータ203は、第1中間ローラ114及び第2中間ローラ115を駆動する。
【0016】
また、給紙装置1Bは、検知手段として、封筒Pfのサイズを検知するサイズ検知センサ130と、封筒Pfのセット検知用の封筒セットセンサ105と、可動テーブル103の上限検知用のテーブル上昇検知センサ108と、スキュー補正用の突き当てセンサ111と、封筒の識別情報(例えばバーコード)を読み取るCIS(Contact Image Sensor)読み取り用のレジストセンサ113とを備えている。
【0017】
図4に示すように、給紙装置1Bの駆動制御系の構成は、給紙制御部200を中心に構成されている。給紙制御部200には、サイズ検知センサ130、封筒セットセンサ105、突き当てセンサ111、テーブル上昇センサ108、底板ホームポジションセンサ106、レジストセンサ113、ピックアップモータ201、給紙モータ202、中間搬送モータ203及び底板上昇モータ205が接続されている。
【0018】
給紙制御部200および画像形成装置本体側の制御手段としての制御装置120はそれぞれ、例えばCPU、ROM、RAM等で構成することができる。CPUは、ROMに格納されたプログラムコードをRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムコードで定義された制御を実行する。これらのCPU、ROM及びRAMや、各種センサ、各種モータ等をハードウェア資源としてプログラムを実行することにより各部の制御が行われる。また、給紙制御部200は、画像形成装置1の本体側の制御装置120との間で所定の通信インターフェース(I/F)207を介して相互に通信可能であり、給紙制御部200及び制御装置120の協働した制御が可能となっている。
【0019】
封筒Pfは、トレイ124の可動テーブル103および底板125上にセットされる。より詳しくは、封筒Pfは、図5に示すように封筒Pfの表面Pfaを上向きにし、封筒PfのフラップPfcが給紙方向Pfdとは逆側に位置する状態にしてセットされる。また、封筒Pfの搬送方向と直交する幅方向は、サイドガイド127,128(図6参照)によって位置決めされる。封筒のセットはセットフィラー102及び封筒セットセンサ105により検知され、給紙制御部200を介して制御装置120に送信される。
【0020】
また、図6に示すように、トレイ124の底板125上に載置された封筒Pfは、ガイドロッド126に沿って矢示A方向にスライド可能な一対のサイドガイド127,128によって挾むことにより、底板125の中央位置にセットされる。その底板125の下側には、サイドガイド128の位置を検知することにより底板125上の用紙サイズを検知するサイズ検知センサ130(例えば可変抵抗型位置センサ)が配設されている。制御装置120又は給紙制御部200は、サイズ検知センサ130によって検知された値を例えば内部メモリに予め記憶されているサイズデータと比較することにより、底板125上にセットされている封筒Pfのサイズを認識することができる。
【0021】
可動テーブル103は、底板上昇モータ205により、底板25側の端部(図3中の左端部)を支点にしてa、b方向に上下動可能(揺動可能)に構成されている。制御装置120又は給紙制御部200は、封筒Pfがセットされたことをセットフィラー102及び封筒セットセンサ105により検知すると、底板上昇モータ205を正転させて封筒Pfの束の最上面がピックアップローラ107と接触するように可動テーブル103を上昇させる。ピックアップローラ107は、ピックアップモータ201により、カム機構によって図3中に示すc、d方向に動作するとともに、可動テーブル103の封筒排出側が上昇し、可動テーブル103上の封筒Pfの上面により押されてc方向に上がる。テーブル上昇検知センサ108は、このピックアップローラ107の上限位置を検知し、これにより可動テーブル103の上昇上限位置を検知可能となっている。オペレータが操作パネル1Aのプリントスタートキーdを押下すると、制御装置120からI/F207を介して給紙制御部200に封筒給紙信号が送信され、ピックアップローラ107は給紙モータ202の正転により回転駆動され、底板125上の封筒Pfがピックアップされる。回転方向は、最上位の封筒Pfを給紙口に搬送する方向である。
【0022】
給紙ベルト109は給紙モータ202の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ110は給紙モータ202の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の封筒とその下の封筒を分離して、最上位の封筒のみが給紙される。さらに詳しく説明すると、リバースローラ110は給紙ベルト109と所定圧で接し、給紙ベルト109と直接接しているとき、又は封筒1枚を介して接しているときには、給紙ベルト109の回転に応じて反時計方向に連れ回りする。一方、2枚以上の封筒Pfが給紙ベルト109とリバースローラ110の間に侵入したときは、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているので、リバースローラ110は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な封筒を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0023】
給紙ベルト109とリバースローラ110との作用により1枚に分離された封筒Pfは給紙ベルト109によって更に送られ、突き当てセンサ111によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ112に突き当たる。その後、突き当てセンサ111の検知位置から予め設定した所定の距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ112に所定量の撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ202を停止させ、給紙ベルト109の駆動を停止させる。このとき、ピックアップモータ201を回転させることでピックアップローラ107を封筒上面から退避させる。これにより、封筒Pfが給紙ベルト109の搬送力のみで送られ、封筒先端は、プルアウトローラ112の上下ローラ対のニップに進入し、封筒Pfの先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0024】
プルアウトローラ112は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された封筒Pfを第1中間ローラ114まで搬送するためのローラで、給紙モータ202の逆転により駆動される。また、このとき(給紙モータ202逆転時)、プルアウトローラ112と中間ローラ114は駆動されるが、ピックアップローラ107と給紙ベルト109はいずれも駆動されていない。
【0025】
図7(a)は、検品処理装置3の内部構成の一例を示す構成図であり、同図(b)は、封入封緘装置5において製造するメールの一つ一つについての製造仕様に関する情報のファイルの一例である。この検品処理装置3では、封筒と用紙の検品が可能であるが、用紙を検品する場合について説明する。
図7(a)に示すように、検品処理装置3には、画像形成装置1から出力された用紙を受け取るための搬送路201が設けられており、この搬送路201は用紙後処理装置4へ用紙を受け渡す出口へとつながっている。搬送路201には、用紙の画像、色、外形等の用紙情報を読み取る読み取り手段である読取装置202が設けられている。この読取装置202はCCDやCIS等で構成され、用紙の両面を読み取ることができるようCCD、CISを搬送路201の上方及び下方に対向させて配置している。なお、用紙の搬送方向と直交する方向の読取幅は、用紙の外形をも読み取ることができるよう最大通紙用紙幅以上に設定されている。
【0026】
また、搬送路201の用紙搬送方向下流側には、分岐パス203が設けられている。分岐パス203は搬送路201から異常用紙を用紙後処理手段4へ搬送しないように分岐させるためのものである。後述する読取装置202による読取りによって用紙が異常と判定された場合、図示しない分岐爪が分岐パス203側に切り替わり、異常用紙を分岐パス203に導いて、検品処理装置3の外部に露出するように設けられた異常用紙収納部である検品トレイ204に搬送する。なお、分岐パス203の途中に搬送パス207が分岐して設けられており、図示しない分岐爪が搬送パス207側に切り替わることにより、正常な用紙も一時的に正常用紙収納部であるバッファートレイ205に搬送されるようになっている。
【0027】
バッファートレイ205には再給紙手段206が設けられており、搬送路201に合流するように設けられた再給紙通路206aに用紙を搬送する再給紙することができるようになっている。より詳しくは、搬送パス207によってバッファートレイ205に案内された用紙は、再給紙手段206により再給紙通路206aを経て搬送路201に搬送され、再び読取装置202を通過するようになっている。
【0028】
また、読取装置202によって読み取られた出力用紙の画像データを記憶するハードディスクなどで構成されている記憶装置208と、読み取った画像を、基準となるデータと比較し、かつ読取装置202と共に異常検知手段を構成する比較装置209とが設けられている。さらに、検品処理装置全体のシーケンス制御及びデータハンドリングの制御および画像形成装置1、用紙後処理4との制御を司る制御部であるCPU210が設けられている。検品処理装置3は、読取装置202からの画像データと、記憶装置208に格納された画像データとの類似度を算出し、この類似度によって出力用紙の良否(異常)の判定を行うようにしている。次に、この類似度の算出方法の一例について説明する。
【0029】
図8(a)は、検品処理装置3の読取装置202で読み取った画像データのパターンを表し、図8(b)は記憶装置208に格納された画像データのパターンを表している。そして、それぞれのパターンをB(i,j),P(i,j)と表記する。なお、B(i,j),P(i,j)は黒画素のときに"1"、白画素のときに"0"の値をとる。また、B(i,j),P(i,j)の各々の重心座標を(ibc,jbc),(ipc,jpc)とすると、両者の類似度CORは、次式で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
上記数1式は、パターンB(i,j),パターンP(i,j)の重心を揃えたときのハミング距離を示している。また、CORの値が大きい程、両者の類似度は大きいことになる。上記の演算にて類似度CORが算出されると、あらかじめ設定してある閾値ThとCORとの比較を行う。すなわち、COR>Thの場合には読み取った画像データが記憶装置内の画像データとがほぼ同じであり、良品と判定される。一方、COR<Thの場合には、両者の画像データの類似度は低く、異常品(異常用紙)と判定される。なお、閾値Thの値を変えることにより判定の精度を変更可能である。また、検品する画像データの種類に応じて閾値Thの値を変更することで、より柔軟な検品機能を提供することも可能である。そして、このように算出した類似度により異常品(異常用紙)と判定した場合、検品処理装置3は異常用紙と判定された用紙を取り除くと共に、画像形成装置1のCPU(制御装置120)に対し他の代替用紙に異常用紙に形成されている画像を形成するように指示するコマンドを送信する。
【0032】
CPU210は、画像形成装置1より出力された用紙を、読取装置202により用紙情報、例えば画像情報及び用紙の形状を読み込む。そして、この読み込んだ情報は比較装置209により予め記憶装置208に保存された元データと比較され、比較の結果がOKならば、用紙は搬送路201をそのまま通過し、用紙後処理装置4に送られる。この動作が順次、繰り返される。
一方、比較装置209による比較の結果、異常と判定された場合には、異常と判定された用紙を検品トレイ204に排出する。なお、この検品トレイ204は検品装置外部に露出されており、これにより排出された用紙をユーザが視認することができ、用紙の異常がどのような異常なのかをユーザが容易に理解することができる。
【0033】
ところで、このとき画像形成装置内部には、次に検品処理装置3に搬送されてくる用紙、すなわち、すでに定着装置を通過した用紙や、画像形成中の用紙、給紙装置1Bより給紙された用紙等、数枚の用紙が仕掛り中で存在している場合がある。そこで、CPU210は、異常用紙が発生した場合、画像形成装置1の制御装置120との通信により画像形成装置内部に画像形成中の用紙(以下、仕掛用紙という)があるか否かを判断し、仕掛用紙があると判断した場合には、画像形成装置1の制御装置120に対し、この仕掛用紙に対しては画像形成から定着までは行い、それ以降の動作を一旦中止させる指令を送る。さらに、仕掛用紙の後の用紙を異常用紙の代替用紙として給紙させ、この代替用紙に異常用紙に形成されている画像を形成するよう指示し、画像形成装置1の制御装置120を介して画像形成部を制御する。これにより、仕掛中の用紙は、この後、画像が定着された状態で検品処理装置3に案内され、読取装置202により用紙情報が読み取られる。そして、比較装置209による比較の結果、検品がOKならば、仕掛用紙はバッファートレイ205に案内され、順次積載される。なお、比較の結果、異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出する。
【0034】
一方、このように仕掛用紙をバッファートレイ205(或は検品トレイ204)に積載した後、言い換えれば画像形成装置内部の仕掛用紙が無くなった後、画像が形成された代替用紙が検品処理装置3に搬送され、読取装置202を通過する。そして、この読取装置202により情報が読み取られ、検品がOKならば、用紙後処理装置4へ案内される。なお、比較の結果、代替用紙が異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に、画像形成装置1の制御装置120に再度出力を指示する。そして、このように代替用紙が用紙処理装置4へ案内された後、次に受け入れる用紙、即ち検品を行う用紙を判断する。ここで、バッファートレイ205に仕掛用紙が積載されている場合には、再給紙手段206によってバッファートレイ205から仕掛用紙が順次再給紙され、搬送路201を通過し、用紙後処理装置4に案内される。このとき、読取装置202により用紙情報が再び読み取られ、今度は重送、折れ等の用紙の形状に異常が生じてないかをチェックされ、この再給紙用紙の検品がOKの場合には、再給紙された用紙を用紙後処理装置4へ案内すると共に、残りのジョブを行うよう画像形成装置本体1の制御装置120に指示を行う。なお、比較の結果、再給紙用紙が異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に、画像形成装置1の制御装置120に再度出力を指示する。なお、この指示にしたがって再出力された用紙(代替用紙)は、この後、上述したように読取装置202を通過した後、検品される。
【0035】
このように、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に良品は廃却することなくバッファートレイ205に収納し、かつ代替用紙に異常用紙に形成された画像を形成して再出力し、その後、バッファートレイ205に収納していた用紙を再給紙するようにすることにより、異常用紙が発生した場合でも、画像形成装置1を止めることなく自動で排除した異常用紙のリカバリを行うことができる。これにより、ユーザが画像形成装置1の前に常駐する必要がなく生産性が向上する。さらに、このように構成することにより、異常用紙以外に廃却する用紙がないので無駄がなくなり、また用紙後処理装置4に異常用紙が搬送されることがないので、中折りもしくは中綴じの後処理がされた冊子に製本したものが良品であることが保証できる。
【0036】
次に、検品処理装置3の名寄せ検品モード時における検品手段について説明する。
画像形成装置1から搬送された用紙には同封する群を特定する番号が印刷されている。複数種類が存在する用紙において、特定の封筒に封入する用紙はすべての種類の用紙である場合もあるが、通常は複数種類の中から選択された用紙だけを封入することが行われる。たとえば、用紙A〜Fまで6種類の用紙が存在するときに、封筒1にはA、B、C、Dを選択して封入し、封筒2にはA、B、C、E、Fを選択して封入し、封筒3にはA、E、Fを選択して封入し、・・・という具合である。このとき、封筒Pf1に封入する用紙A、B、C、Dには同封する群を特定する番号「12345番」が印刷され、封筒Pf2に封入する用紙A、B、C、E、Fには同封する群を特定する番号「12346番」が印刷され、封筒Pf3に封入する用紙A、E、Fには同封する群を特定する番号「12347番」が印刷され、・・・という具合である。なお、同封する群を特定する番号しては、通常の数字だけに限定されず、OCR文字、バーコード、2次元コード、等が含まれる。この番号の印刷は、封入封緘を行うよりも前の時点においてオフラインで行っておくことができる。そのときには順番が入れ替わることが無いように取り扱って、番号が印刷されている用紙を封入封緘装置5にセットする。また、この番号の印刷は、封入封緘装置5においてインラインで印刷することができる。たとえば、インクジェットプリンタ等を用紙の供給部に設けておき、用紙を供給する過程において同時に印刷を行うように構成することができる。これにより、インサータ(供給部)からの用紙が給紙された場合においても検品を行うことができる。この番号は個別情報であり、そのような個別情報の印刷は封入番号テーブル213等を参照することによって得た情報に基づいて行うことができる。
【0037】
図7(b)に示す製造仕様ファイル212は上位のコンピュータシステムにおいて顧客(宛先)情報、仕様情報、等に基づいて生成され、内容物検査システムにダウンロードして使用する。
【0038】
同封する群を特定する番号、宛先(住所、氏名、等)、同封する内容物の種類、等は個々のメールによって異なる部分である。そのような個々のメールを製造する上で必要とする情報のファイルが製造仕様ファイル212である。製造仕様ファイル212内には封入番号テーブル213が存在する。
【0039】
用紙を供給する過程で個別情報の印刷が行われるときには、封入番号テーブル213から印刷する個別情報が読出される。また、用紙が適正であるか否かを検査する処理を行うときには、適正な用紙についての情報を封入番号テーブル213から読出し、番号読取装置211で読取った読取番号と比較することが行われる。封入番号テーブル213はメモリに記憶され、番号と、その番号によって特定される同封する群に属する用紙の種類とが対応付られたテーブルである。
【0040】
検品部にて番号読取装置211で読み取った読取番号の比較を行う前に、番号の予測を行う。そのためにまず封入番号テーブル213を参照して番号を読出す。ここでたとえば、前回読出した番号よりも大きい番号(または小さい番号)で、前回読み出した番号との差が最も小さく、かつ封入番号テーブル213に存在する番号として番号を読出す。そして、その番号を予測番号とする。このような読出しを行うことにより、封入番号テーブル213の番号を必ずしも連続番号とする必要性がなくなる。封入番号テーブル213の編集等において製造するメールの取捨選択を行ったとき等において、番号が不連続となってもそのままの番号を使用することができる。番号読取装置211によって出力された読取番号とその予測される番号である予測番号とを比較し、一致しているか否かを示す番号比較結果を出力する。その後番号比較結果基づいて適正であるか否かの判定を行い判定結果を出力する。
【0041】
図9は、用紙後処理装置4の内部構成の一例を示す構成図である。なお、以下の図9を用いた説明では、用紙Pに中綴じ処理を行う中綴じ処理動作について重点的に説明する。
搬送路Aから分岐爪135および分岐爪136で振り分けられた用紙は、搬送路Bに導かれ、搬送ローラ137、搬送ローラ138、搬送ローラ139、スティプル排紙ローラ140により、処理トレイTに排出される。処理トレイTでは、排紙ローラ140により順次排出される用紙を整合し、スティプル(中綴じ)する直前までは、同様の動作をする。用紙束が処理トレイTで仮整合された後、用紙束の先端部は放出ローラ143と分岐ガイド板141の端部に取り付けられた加圧コロ141aとにより挟持され、分岐ガイド板141と可動ガイド142とが回動することで処理トレイCへ導かれる経路を通過するべく、再度、放出爪145と放出ローラ143とにより下流へ搬送される。この放出ローラ143は放出ベルト144の駆動軸に設けられており、放出ベルト144と同期して駆動される。
【0042】
その後、用紙束は、その後端が放出ローラ143を通過するまで放出爪145によって運ばれ、さらに束搬送ローラ上146と束搬送ローラ下147とによって搬送される。そのとき、各用紙束の搬送方向のサイズに応じて可動後端フェンス148の停止位置が異なって待機している。待機している可動後端フェンス148に用紙束P’の先端が当接してスタックされたとき、束搬送ローラ下147の圧が解除され、後端叩き爪149により用紙束の後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う。すなわち、中綴じジョガーフェンス150、151によって用紙束P’の幅方向が揃えられ、可動後端フェンス148と後端叩き爪149とにより用紙束P’の搬送方向が揃えられる整合動作が行われる。そして、用紙束P’の中央が中綴じステイプラSにより綴じ処理される。ここで、可動後端フェンス148は可動後端フェンスHP(ホームポジション)センサ152からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪151は後端叩き爪HP(ホームポジション)センサ153からのパルス制御により位置決めされている。中綴じされた用紙束P’は束搬送ローラ下147の加圧が解除されたまま、可動後端フェンス148の移動に伴って上方に運ばれ、その後、綴じられた針部近傍は略直角方向に折りプレート154により押され、その対向する折りローラ155のニップへと導かれる。予め回転していた折りローラ155は、その用紙束P’を加圧搬送することで用紙束P’の中央に折りを施し、そのまま下流側の後続機に搬送する。
【0043】
図10(a)および(b)はそれぞれ、図9の符号Mで示した部分を拡大した図であり、中綴じ処理が行われた用紙束P’の冊子の折り目に対して増し折りする機構および動作の説明図である。折り目に対して折り増し処理を行う加圧ローラ156は、第1の折りローラ155の回転によって搬送路157を搬送されている中央折り処理後の用紙束(シート束)P’’の搬送方向下流側の近接した位置に設けられている。また、加圧ローラ156は、ローラ移動機構158により、用紙束搬送方向(シート搬送方向)に対して直交する方向(図の紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられている。図10(a)に示すように、用紙束P’’は、第1の折りローラ155によって折られた後、そのまま矢印方向に搬送され、用紙束先端がセンサ159を通過してから一定パルス分だけ搬送され、図10(a)に示す位置で停止する。このとき、用紙束P’’の搬送方向先端部である折り目部Pcの停止位置は、ローラ移動機構158によって移動される加圧ローラ156の移動軌跡上にある。この図10(a)に示す位置で加圧ローラ156が用紙束搬送方向(シート搬送方向)に対して直交する方向(図の紙面に垂直な方向)に移動することにより、用紙束P’’の折り目部Pcが増し折り(加圧)され、折り目が強化される。折り目が強化された増し折り処理が終了した後、用紙束P’’は搬送ローラ160によって図10(b)の矢印方向に搬送され、下流側の後続機に向けて搬送される。一方、下流側の後続機での後処理が不要な場合は、増し折り処理後の用紙束P’’は排紙方向に搬送される。
【0044】
図11は、封入封緘装置5の内部構成の一例を示す構成図である。
<封筒の処理・搬送>
図11の封入封緘装置5において、封筒は次のように搬送される。給紙装置1Bにセットされた封筒は画像形成装置1内に給紙され、宛名等を画像形成された後に検品処理装置3及び用紙後処理装置4を経由して封入封緘装置5へ搬送される。封筒はまず入口搬送路9に搬入されてくる。入口センサ8Aにて封筒が検知された後、各搬送ローラが駆動して封筒の搬送が開始される。分岐爪11は上搬送路12に導く位置へ移動しており、封筒は上搬送路12へ搬送されていく。更に分岐爪13は封筒搬送路14に導く位置へ移動しており、封筒は封筒搬送路14へ搬送されていく。チャックコロ対23にて封筒のフラップを噛んだ状態に保持し、封入物としての用紙が封入されてくるのを待つ。このとき、揺動コロ対25は矢印の方向へ退避しており、封筒とは接しない位置にいる。
【0045】
<封入物の処理・搬送>
また、図11の封入封緘装置5において、封筒に封入される封入物は次のように処理されて搬送される。ADF2にて原稿が読み取られた後、対応する用紙が給紙装置1Bから画像形成装置1内に給紙され、画像形成された後に検品処理装置3及び用紙後処理装置4を経由して封入封緘装置5へ搬送される。封入物が単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束の場合、入口搬送路9に搬入されてくる。入口センサ8Aにて封入物が検知された後、各搬送ローラが駆動して封入物の搬送が開始される。封入物が用紙後処理装置4で中綴じ処理を施された冊子の場合は、入口搬送路10に搬入されてくる。この場合、入口センサ8Bにて封入物が検知された後、各搬送ローラが駆動して封入物の搬送が開始され、分岐爪11は上搬送路12に導く位置へ移動しており、封入物は上搬送路12へ搬送され、その後は単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束と同じ搬送路を辿る。封入物が上搬送路12に搬送された後、更に分岐爪13は封入物搬送路15に導く位置へ移動しており、封入物は封入物搬送路15へ搬送されていく。封入物は封入物排紙センサ16を通過し、中間トレイ18へ排出される。中間トレイ18に排出された後、戻しコロ17は中間トレイ18に接する位置へ移動し、封入物を後端ストッパ21の方向へ搬送する。搬送完了後、サイドジョガー対20にて整合動作を行う。封筒に封入する全ての封入物が揃うまで同じ動作を繰り返す。
【0046】
<封入処理>
また、図11の封入封緘装置5において、封入物の封筒への封入は次のように行われる。封入物が全て中間トレイ18上に積載された後、後端ストッパ21は矢印の方向へ退避する。退避後、先端ストッパ19は矢印の方向へ移動を開始し、封入物束はパックユニット22内へ搬送される。パックユニット22への搬送が完了した後、パックユニット22は矢印の方向へ移動し、チャックコロ対23部にある封筒へパックユニット22内の搬送ローラにて搬送され封入される。封入完了後、揺動コロ対25は矢印と逆方向に移動し、封筒を搬送路26へ搬送を開始する。
【0047】
<封緘処理>
また、図11の封入封緘装置5において、封入物が封入された封筒の封緘は次のように行われる。封入物が封入された封筒は搬送路26を経由し、封筒方向転換ポケット29内に挿入され、その封筒方向転換ポケット29の下端に設けられたセンサ30により封筒の挿入が検知される。封筒が封筒方向転換ポケット29に挿入された後、封筒のフラップの糊付部に湿化部材27が接触し、フラップの糊付部を水で濡らす。湿化部材27の一部には水保持部28が設けられており、この部分がフラップの糊付部と接触する。湿化部材27によりフラップの糊付部が水で濡らされると、封筒方向転換ポケット29内に一旦収納された封筒は、フラップが未だ開いている状態で、フラップから駆動排出ローラ31及び従動排出ローラ32の回転により、これらのローラ31,32間に噛み込まれ、フラップが封筒に重ねられてローラ31,32間の押圧力により両者が接着固定される。そして、この封緘された封筒はローラ32,33間を通り、排出搬送路34を搬送され、封入封緘装置5の下流機に搬送される。
【0048】
上記画像形成システムにおいて、ユーザは通常動作として通紙を行う前に、表示装置付きの操作パネル1Aにて給紙用紙サイズや後処理手段を選択し、その後にジョブを開始する。本実施形態に係る画像形成システムでは、後処理手段決定部に新たに検品というカテゴリと、検品を行うかどうかの検品モードボタンが設けられている。そして、検品の種類としては品質検品と名寄せ検品が設定されている。
【0049】
図12は、操作パネル1Aの検品設定画面の一例を示す説明図である。この検品設定画面は検品処理選択手段として機能する。また、図12の設定画面の例は、図示しない封入設定画面で封入ジョブモードが選択されている場合において、「検品」タブ901を選択し、「検品モード」ボタン902を押下すると、「品質検品」表示903がされ、品質検品が設定される。
【0050】
ここで、本実施形態の画像形成システムにおける検品モード確定までの制御フローについて説明する。
図13は、検品モードを自動設定する手順の一例を説明するためのフローチャートである。本例では、前提として、検品を行う場合(検品モード)と検品を行わない場合(非検品モード)とがある。
図13において、通紙を行う前の各種設定時において、ユーザは検品を行うか否かの選択を行う(ステップS1)。検品を行わない場合には検品モードボタン902を押下しないことにより(ステップS1でNo)、検品を行わない非検品モードとなる(ステップS2)。この非検品モードで行われる動作としては、検品処理装置3に搬送されてきた用紙はそのまま下流機に受け渡される。一方、検品を行う場合には検品モードボタン902を押下することにより(ステップS1でYes)、ユーザが実行するジョブ内容を選択したとき、自動的に検品の種類が選択される。すなわち、封入封緘装置5が接続されており、かつ封入ジョブモードが選択された場合は名寄せ検品が自動的に選択される(ステップS3でYes,ステップS4)。一方、封入ジョブモード以外のモードが選択された場合は、自動的に品質検品が選択される(ステップS3でNo,ステップS5)。名寄せ検品は、搬送されてきた用紙が過剰に印刷されていないか、又は用紙に欠落がないかどうか検査を行う。これに対して、品質検品は、搬送されてきた用紙の画像や形状などに関して検査を行う。なお、基本的に検品の種類は自動的に選択されるが、ユーザの初期設定部(図示しない)で手動により選択できるように変更することも可能である。
【0051】
次に、検品処理装置3での検品が不合格(以下、「NG」という。)になるときの具体例の一例について説明する。
まず、品質検品時に検品がNGとなる場合について説明する。記憶装置208に記憶された比較元となる用紙情報には、用紙の外形情報、画像の位置等が含まれている。そして、比較装置209では、これらの情報を格子状の要素に分割し、対応する要素ごとにそれぞれ比較を行う。ここで、違いを検出し、CPU210が認識すると、CPU210は用紙の搬送路を切り替える信号を送り、用紙を検品トレイ204へ排出すると共に、この異常用紙と同じ画像が形成された代替用紙を出力するよう画像形成装置1の制御装置120に指示する。以降、検品処理装置3について上述した動作と同様の動作を行う。
【0052】
次に、名寄せ検品時に検品がNGとなる場合について説明する。番号読取装置211にて読み取った用紙の読取番号と、封入番号テーブル213を参照して読出した番号から予測した番号とを比較し、一致しているか否かを示す番号比較結果を出力し、その後、番号比較結果基づいて適正であるか否かの判定を行って判定結果を出力する。番号が一致しなかったときで、かつ同じ番号が重複した場合、過剰印刷と判断し、用紙を検品トレイ204に排出する。また、それ以外で番号が一致しなかった場合、用紙の欠落が発生したと判断し、品質検品時と同様に、後続用紙を正常バッファトレイ205に搬送し、欠落用紙のリカバリ印刷を行う。
【0053】
ここで、検品の異常状態によっては、画像形成装置1で何度再出力をしてもOKにならない場合があるため、自動リカバリ動作の回数制限を設けることが望ましい。図14は、検品の処理手順を示すフローチャートである。また、図15は、操作パネル1Aの検品NG結果履歴一覧画面の一例を示す説明図である。
【0054】
自動リカバリ動作の回数制限を設けることにより、検品処理装置3は、検品結果がOKになるまで画像形成装置1の制御装置120に再出力指示を行うと共にNGの回数をカウントする。そして、このNGの回数が設定回数に達したら、画像形成装置1の制御装置120に停止命令を出力し、さらに操作パネル1AにNG連発のためジョブを停止したことを表示するとともに、画像形成装置1のチェックを行うようユーザに通知する。また、これらNGの履歴は、図15に示すように後で確認することもできる。なお、図15に示すNG要因として用紙の耳折れ、斜行、色を認識する例を挙げたが、この他に画像の濃度や色ずれ、汚れ、パンチ穴の位置、タブの位置など、用紙に関するさまざまな情報を認識し、比較することもできる。
【0055】
ここで、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数を上回った場合は、選択されている検品モードとNGとの内容によって処理が異なる。そこで、次に、選択されている検品モードごとの処理について図14のフローチャートを用いて説明する。
図14において、用紙の検品結果がNGのとき(ステップS10でYes)、名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷が原因か否かを判断する(ステップS11)。名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷が原因でNGの場合、リカバリ印刷を行わず、現在実行されているジョブも停止をせずにそのまま処理を続ける(ステップS11でYes)。すなわち、過剰印刷用紙を検品トレイ204に排出し、以降の用紙を下流機に搬送し処理を続行する(ステップS12、S13)。結果としてNGジョブとして扱わない。画像形成装置1の操作パネル1A上には過剰印刷のNGを表示することは任意に可能であるが、NGを表示した場合には、結果として正常にジョブが完了したことも通知しておく。なお、検品結果がOKの場合(スッテプS10でNo)、当然に、以降の用紙を下流機に搬送し処理を続行する(ステップS13)。
【0056】
検品結果が名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷以外の場合(ステップS11でNo)、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合と、品質検品の場合とがある。いずれのケースの場合においても、まず検品結果のNG回数がリカバリ設定回数以下であるか否かを比較する(ステップS14)。そして、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数以下の場合(ステップS14でYes)、リカバリ処理を行う(ステップS15)。すなわち、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合、後続用紙を正常バッファトレイ205に搬送し、欠落用紙のリカバリ印刷を行う。一方、品質検品モード時の場合、異常用紙を検品トレイ204へ排出すると共に、この異常用紙と同じ画像が形成された代替用紙を出力するリカバリ印刷を行う。
【0057】
これに対して、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数より大きい場合(ステップS14でNo)、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合と、品質検品モードの場合とではそれぞれ処理が異なる。このため、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷であるか否かを判断する(ステップS16)。
名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合(ステップS16でYes)、実行しているジョブを中断せずに後続用紙を搬送させ、封入処理をした後、封緘処理を行わない(ステップS17)。さらにNGジョブの対象の用紙が、図15に示すように画像形成装置1の操作パネル1A上に「検品NG結果履歴一覧」画面904として表示される(ステップS18)。操作パネル1AでNGジョブを表示することにより、ユーザは封緘が行われていない封筒から用紙が欠落している封筒を容易に発見でき、欠落した用紙を後から印刷して該当の封筒に封入することでNGとされた封筒を利用できることになる。また、NGであっても実行されているジョブを中断しないため、生産性が向上するという効果も期待できる。
上記ステップS16でNoの場合、すなわち、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷ではない場合は、品質検品モードと判断され、実行しているジョブを中断する(ステップS19)。この場合にも、NGジョブの対象の用紙が、図15に示すように画像形成装置1の操作パネル1A上に「検品NG結果履歴一覧」画面904として表示される(ステップS18)。
【0058】
以上、本実施形態によれば、用紙Pを給紙する給紙手段としての給紙装置1Bと、給紙装置1Bから給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成手段としての画像形成装置1と、を備えた画像形成システムにおいて、画像形成装置1で画像が形成されて搬送されてきた用紙P及び給紙装置1Bから供給され画像形成装置1で画像が形成されずに搬送されてきた用紙Pの少なくとも一方の用紙Pに対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段としての検品処理装置3と、上記用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて、複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、検品処理装置3を制御する制御手段としての制御装置120と、を備えている。用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3で検品処理が実行された用紙Pを封筒Pfに封入する封入手段としての封入封緘装置5を更に備え、検品処理装置3で実行可能な複数種類の検品処理は、用紙Pの過剰及び欠落に関する第1の検品処理としての名寄せ検品処理と、用紙Pに形成された画像の品質に関する第2の検品処理としての品質検品処理とを含み、制御装置120は、用紙Pに対する画像形成ジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかを選択して実行するように制御する。用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかの検品処理を自動的に変更することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、第1の検品処理としての名寄せ検品処理を実行するように制御する。これにより、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、ユーザが手動で名寄せ検品処理を選択しなくても、封筒Pfへ封入される用紙Pの名寄せ検品処理が自動的に実行され、正確な封入処理が行われる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、封入封緘装置5による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、第2の検品処理としての品質検品処理を実行するように制御する。これにより、封入封緘装置5による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、ユーザが手動で品質検品処理を選択しなくても、封筒Pfへ封入される用紙Pの品質検品処理が自動的に実行され、用紙Pに形成された画像の品質が維持される。
また、本実施形態によれば、上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段として操作パネル1Aの操作表示画面900に検品設定画面を表示する。これにより、ユーザが手動で検品処理を選択することができる。例えば、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、名寄せ検品処理に加えて品質検品処理を行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3の検品結果が異常の場合に、この異常の検品結果を表示する表示手段として操作パネル1Aを備えている。これにより、検品結果の異常とその内容とが操作パネル1Aに表示され、ユーザが異常内容を容易に認識することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、検品処理装置3において用紙Pの異常又は用紙Pの欠落が検出されたとき、該当する用紙Pについて画像形成装置1による画像形成を再実行するように制御する。これにより、用紙Pの異常又は欠落の検出時においてもジョブを停止することなく、用紙Pの封入処理まで完了することができるので、用紙Pの異常又は欠落の検出時毎にジョブを停止させる場合に比べて作業性及び生産性が向上する。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、検品処理装置3において用紙Pの欠落が検出されたとき、その欠落用紙について画像形成装置1による画像形成を再実行し、用紙Pの欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、欠落用紙以外の用紙を封筒Pfに封入するように制御する。これにより、画像形成の再実行の回数が所定回数以下に抑え、実行中のジョブも中断させないので、生産性の低下を防止できる。なお、この場合、上記用紙の欠落が検出された検品結果について表示手段に表示し、上記用紙の欠落が検出された封筒については封緘しないのが好ましい。これにより、利用者は上記ジョブが完了した後、上記表示手段に表示された検品結果に基づいて、上記欠落の用紙について画像形成を個別に行い封筒に封入することができる。しかも、上記封緘を行っていないので、上記用紙の欠落が検出された封筒を容易に見付けることができ、欠落した画像形成済みの用紙を当該封筒へ追加で封入する作業が容易になる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3による検品処理を実行しない非検品モードを備えた。これにより、検品を要しない場合、非検品モードを選択することで、検品処理に要する時間や電力を節約でき、作業効率の向上と省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置1から出力された用紙Pに対して後処理を行う後処理手段としての用紙後処理装置4を更に備えた。これにより、用紙Pに後処理を行うことができ、画像形成システムの高機能化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、用紙後処理装置4で行う後処理は、用紙Pの綴じ処理である。これにより、用紙Pを綴じ処理した冊子を作成することができる。また、この冊子を封筒Pfに封入することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
1A 操作パネル
1B 給紙装置
3 検品処理装置
4 用紙後処理装置
5 封入封緘装置
120 制御装置
200 給紙制御部
207 通信インターフェース(I/F)
900 操作表示画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2004−20650号公報
【特許文献2】特開2007−39228号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙を検品する機能を有する画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置で画像が形成された用紙に対して、画像が形成された用紙の品質を検査する検品や、封筒に封入する用紙の際の用紙の過剰や欠落を検査する名寄せの検品を行うことが知られている。例えば、特許文献1には、検品処理装置に搬送されてきた用紙に対して、用紙の画像や形状に関して画像品質の検品を行い、異常の用紙が発生したときに異常用紙を排除し、かつ排除した異常用紙のリカバリを自動的に行うことができる画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、リカバリ処理の際に用紙順序が変更されないように検品処理装置内にバッファトレイを設置して検品を行う手段を備えている。また、特許文献2には、検品処理装置に搬送されてきた用紙に対して、用紙の過剰や欠落といった名寄せの検品をするために、用紙の一部に印字を施し、検品処理装置内で読み取って異常の有無を判断する内容物検査システムが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の画像形成装置の用紙搬送方向下流側に封入封緘装置を接続し、封筒や封入物への画像形成処理と封入封緘処理とを連続して行う場合、上記画像が形成された用紙に対する画像品質の検品よりも、封筒に封入物が正しく封入されているかどうかの名寄せの検品を重視する場合が多いと考えられる。これに対して、封入封緘装置を接続しない場合は、画像を形成した用紙に対する上記名寄せの検品より画像品質の検品を重視する場合が多いと考えられる。このように、画像が形成された用紙がどのように処理されるかによって、要求される検品の種類が異なるため、ユーザが手動で検品処理手段を変更するか、もしくは、名寄せの検品処理手段を備えたシステムと画像品質の検品処理手段を備えたシステムとを複数用意しなければならない。
例えば、上記特許文献1で開示された画像品質の検品を行う画像形成装置では、封入封緘装置を接続して封入封緘処理を行うとした場合、名寄せの検品が必要なときには、ユーザが検品手段手段を手動で変更しなければならない。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、利用者の手動操作によらずに、用紙に対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、用紙を供給する用紙供給手段と、上記用紙供給手段から供給された用紙に画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成システムにおいて、上記画像形成手段で画像が形成されて搬送されてきた用紙及び上記用紙供給手段から供給され該画像形成手段で画像が形成されずに搬送されてきた用紙の少なくとも一方の用紙に対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段と、上記用紙に対するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、上記検品処理手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の画像形成システムにおいて、上記検品処理手段で検品処理が実行された用紙を封筒に封入する封入手段を、更に備え、上記検品処理手段で実行可能な上記複数種類の検品処理は、上記用紙の過剰及び欠落に関する第1の検品処理と、上記用紙に形成された画像の品質に関する第2の検品処理とを含み、上記制御手段は、上記用紙に対する画像形成ジョブの種類に応じて上記第1の検品処理及び上記第2の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することを特徴とするものである。また、請求項3の発明は、請求項2の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、上記第1の検品処理を実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2又は3の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、上記第2の検品処理を実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの画像形成システムにおいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれかの画像形成システムにおいて、上記検品処理手段の検品結果が異常の場合に、該異常の検品結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の異常又は用紙の欠落が検出されたとき、該当する用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の欠落が検出されたとき、その欠落用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行し、上記用紙の欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、上記欠落用紙以外の用紙を上記封筒に封入するように制御することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1乃至8の画像形成システムにおいて、上記検品処理手段による検品処理を実行しない非検品モードを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項1乃至9の画像形成システムにおいて、上記画像形成装置から出力された用紙に対して後処理を行う後処理手段を、更に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成システムにおいて、上記後処理手段で行う後処理は、上記用紙の綴じ処理であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、用紙に対して処理するジョブの種類に基づいて複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙に対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの主要部の構成を示す概略構成図。
【図2】画像形成装置の上部に設置されている操作パネルの一例を示す正面図。
【図3】同画像形成システムの給紙装置の内部の構成例を示す拡大構成図。
【図4】同給紙装置の駆動制御系の一例を示すブロック図。
【図5】同給紙装置にセットされる封筒の表面及び裏面を示す説明図。
【図6】同給紙装置のトレイの横断面図。
【図7】(a)は検品処理装置の内部構成の一例を示す構成図。(b)は検品処理に使用される製造仕様に関する情報のファイルの一例を示す説明図。
【図8】(a)は検品処理装置の読取装置で読み取った画像データのパターンの一例を示す説明図。(b)は記憶装置に格納された画像データのパターンの一例を示す説明図。
【図9】用紙後処理装置の内部構成の一例を示す構成図。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ、中綴じ処理が行われた用紙束の冊子の折り目に対して増し折りする機構および動作の説明図。
【図11】封入封緘装置の内部構成の一例を示す構成図。
【図12】操作パネルの検品設定画面の一例を示す説明図。
【図13】検品モードを自動設定する手順を説明するためのフローチャート。
【図14】検品の処理手順を示すフローチャート。
【図15】操作パネルの検品NG結果履歴一覧画面の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システムの主要部の構成を示す概略構成図である。本実施形態では、封筒に用紙を封入する後処理手段としての封入封緘装置を具備した画像形成システムを例にとって説明する。
【0009】
本実施形態の画像形成システムは、図1に示すように電子写真方式の画像形成手段である複合機(MFP)型の画像形成装置1を備える。画像形成装置1の上部には、画像形成ジョブ(以下、「印刷ジョブ」又は「ジョブ」という。)の内容を表示する表示部およびユーザーが印刷ジョブの操作を行う操作部として機能する操作パネル(OP)1Aおよび原稿自動給紙装置:ADF(Auto Document Feeder)2が装着されている。また、画像形成装置1は用紙供給手段としての複数段の給紙装置1Bを備えている。給紙装置1Bは、用紙を供給する用紙供給手段および用紙が封入される封筒を供給する封筒供給手段として機能する。
【0010】
画像形成装置1の側方には、検品処理手段としての検品処理装置3が連結されている。この検品処理装置3では、画像形成装置1から搬送されてきた用紙に対する検品を行う。検品の種類は主に、第1の検品処理としての名寄せの検品と第2の検品処理としての用紙の画像や形状といった品質に関する検品とであり、検品処理装置3は少なくともこれらの2種類の検品手段を備えている。検品処理装置3の画像形成装置1とは反対側の側方には後処理手段としての用紙後処理装置4が連結されている。用紙後処理装置4では、画像形成装置1から搬送されてきた用紙にユーザが任意に選択した後処理が施される。
【0011】
また、用紙後処理装置4の検品処理装置3とは反対側の側方には、封入手段としての封入封緘装置5が連結されている。封入封緘装置5は封入手段として機能し、用紙後処理装置4で後処理を施された用紙または用紙束を封筒に封入し封緘を行う。なお、本実施形態では、用紙後処理装置4で中折りもしくは中綴じの後処理がされた冊子を封筒に封入する場合について説明する。
【0012】
封筒およびその封筒に封入される封入物としての用紙は、画像形成装置1の複数段の給紙装置1Bのいずれかにそれぞれセットされており、画像形成装置1から封入封緘装置5へそれぞれ搬送される。
【0013】
図2は、画像形成装置1の上部に設置されている操作パネル1Aの正面図である。同図において、操作パネル1Aは、操作表示画面900、テンキーb、ストップキーc、スタートキーd、電源キーe、機能選択キー群fを備えている。操作表示画面900にメッセージや入力キーが階層表示され、テンキーbは数字入力を行う。ストップキーcは処理の停止を入力し、スタートキーdは画像形成開始のトリガー信号を付与する。電源キーeは電源のON/OFFを制御する。機能選択キー群fは、コピー、プリンタ、スキャナなどの各機能を選択するためキーが複数設置されたものである。
【0014】
図3は、給紙装置1Bの内部の構成例を示す拡大構成図であり、図4は、給紙装置1Bの駆動制御系の一例を示すブロック図である。また、図5は、給紙装置1Bにセットされる封筒Pfの表面及び裏面を示す説明図であり、図6は、給紙装置1Bのトレイ24の横断面図である。なお、図3〜図6では封筒Pfをセットした給紙装置1Bについて例示しているが、用紙がセットされた他の段の給紙装置についても同様に構成することができる。
【0015】
図3及び図4において、給紙装置1Bは、駆動系として、トレイ124の可動テーブル103を駆動する底板上昇モータ205と、ピックアップローラ107を駆動するピックアップモータ201と、給紙モータ202と、中間搬送モータ203とを備えている。給紙モータ202は、給紙ベルト109、リバースローラ110及びプルアウトローラ112を駆動する。中間搬送モータ203は、第1中間ローラ114及び第2中間ローラ115を駆動する。
【0016】
また、給紙装置1Bは、検知手段として、封筒Pfのサイズを検知するサイズ検知センサ130と、封筒Pfのセット検知用の封筒セットセンサ105と、可動テーブル103の上限検知用のテーブル上昇検知センサ108と、スキュー補正用の突き当てセンサ111と、封筒の識別情報(例えばバーコード)を読み取るCIS(Contact Image Sensor)読み取り用のレジストセンサ113とを備えている。
【0017】
図4に示すように、給紙装置1Bの駆動制御系の構成は、給紙制御部200を中心に構成されている。給紙制御部200には、サイズ検知センサ130、封筒セットセンサ105、突き当てセンサ111、テーブル上昇センサ108、底板ホームポジションセンサ106、レジストセンサ113、ピックアップモータ201、給紙モータ202、中間搬送モータ203及び底板上昇モータ205が接続されている。
【0018】
給紙制御部200および画像形成装置本体側の制御手段としての制御装置120はそれぞれ、例えばCPU、ROM、RAM等で構成することができる。CPUは、ROMに格納されたプログラムコードをRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながらプログラムコードで定義された制御を実行する。これらのCPU、ROM及びRAMや、各種センサ、各種モータ等をハードウェア資源としてプログラムを実行することにより各部の制御が行われる。また、給紙制御部200は、画像形成装置1の本体側の制御装置120との間で所定の通信インターフェース(I/F)207を介して相互に通信可能であり、給紙制御部200及び制御装置120の協働した制御が可能となっている。
【0019】
封筒Pfは、トレイ124の可動テーブル103および底板125上にセットされる。より詳しくは、封筒Pfは、図5に示すように封筒Pfの表面Pfaを上向きにし、封筒PfのフラップPfcが給紙方向Pfdとは逆側に位置する状態にしてセットされる。また、封筒Pfの搬送方向と直交する幅方向は、サイドガイド127,128(図6参照)によって位置決めされる。封筒のセットはセットフィラー102及び封筒セットセンサ105により検知され、給紙制御部200を介して制御装置120に送信される。
【0020】
また、図6に示すように、トレイ124の底板125上に載置された封筒Pfは、ガイドロッド126に沿って矢示A方向にスライド可能な一対のサイドガイド127,128によって挾むことにより、底板125の中央位置にセットされる。その底板125の下側には、サイドガイド128の位置を検知することにより底板125上の用紙サイズを検知するサイズ検知センサ130(例えば可変抵抗型位置センサ)が配設されている。制御装置120又は給紙制御部200は、サイズ検知センサ130によって検知された値を例えば内部メモリに予め記憶されているサイズデータと比較することにより、底板125上にセットされている封筒Pfのサイズを認識することができる。
【0021】
可動テーブル103は、底板上昇モータ205により、底板25側の端部(図3中の左端部)を支点にしてa、b方向に上下動可能(揺動可能)に構成されている。制御装置120又は給紙制御部200は、封筒Pfがセットされたことをセットフィラー102及び封筒セットセンサ105により検知すると、底板上昇モータ205を正転させて封筒Pfの束の最上面がピックアップローラ107と接触するように可動テーブル103を上昇させる。ピックアップローラ107は、ピックアップモータ201により、カム機構によって図3中に示すc、d方向に動作するとともに、可動テーブル103の封筒排出側が上昇し、可動テーブル103上の封筒Pfの上面により押されてc方向に上がる。テーブル上昇検知センサ108は、このピックアップローラ107の上限位置を検知し、これにより可動テーブル103の上昇上限位置を検知可能となっている。オペレータが操作パネル1Aのプリントスタートキーdを押下すると、制御装置120からI/F207を介して給紙制御部200に封筒給紙信号が送信され、ピックアップローラ107は給紙モータ202の正転により回転駆動され、底板125上の封筒Pfがピックアップされる。回転方向は、最上位の封筒Pfを給紙口に搬送する方向である。
【0022】
給紙ベルト109は給紙モータ202の正転により給紙方向に駆動され、リバースローラ110は給紙モータ202の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の封筒とその下の封筒を分離して、最上位の封筒のみが給紙される。さらに詳しく説明すると、リバースローラ110は給紙ベルト109と所定圧で接し、給紙ベルト109と直接接しているとき、又は封筒1枚を介して接しているときには、給紙ベルト109の回転に応じて反時計方向に連れ回りする。一方、2枚以上の封筒Pfが給紙ベルト109とリバースローラ110の間に侵入したときは、連れ回り力がトルクリミッターのトルクよりも低くなるように設定されているので、リバースローラ110は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な封筒を押し戻す働きをし、重送が防止される。
【0023】
給紙ベルト109とリバースローラ110との作用により1枚に分離された封筒Pfは給紙ベルト109によって更に送られ、突き当てセンサ111によって先端が検知され、更に進んで停止しているプルアウトローラ112に突き当たる。その後、突き当てセンサ111の検知位置から予め設定した所定の距離だけ送られ、結果的には、プルアウトローラ112に所定量の撓みを持って押し当てられた状態で給紙モータ202を停止させ、給紙ベルト109の駆動を停止させる。このとき、ピックアップモータ201を回転させることでピックアップローラ107を封筒上面から退避させる。これにより、封筒Pfが給紙ベルト109の搬送力のみで送られ、封筒先端は、プルアウトローラ112の上下ローラ対のニップに進入し、封筒Pfの先端の整合(スキュー補正)が行われる。
【0024】
プルアウトローラ112は、前記スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された封筒Pfを第1中間ローラ114まで搬送するためのローラで、給紙モータ202の逆転により駆動される。また、このとき(給紙モータ202逆転時)、プルアウトローラ112と中間ローラ114は駆動されるが、ピックアップローラ107と給紙ベルト109はいずれも駆動されていない。
【0025】
図7(a)は、検品処理装置3の内部構成の一例を示す構成図であり、同図(b)は、封入封緘装置5において製造するメールの一つ一つについての製造仕様に関する情報のファイルの一例である。この検品処理装置3では、封筒と用紙の検品が可能であるが、用紙を検品する場合について説明する。
図7(a)に示すように、検品処理装置3には、画像形成装置1から出力された用紙を受け取るための搬送路201が設けられており、この搬送路201は用紙後処理装置4へ用紙を受け渡す出口へとつながっている。搬送路201には、用紙の画像、色、外形等の用紙情報を読み取る読み取り手段である読取装置202が設けられている。この読取装置202はCCDやCIS等で構成され、用紙の両面を読み取ることができるようCCD、CISを搬送路201の上方及び下方に対向させて配置している。なお、用紙の搬送方向と直交する方向の読取幅は、用紙の外形をも読み取ることができるよう最大通紙用紙幅以上に設定されている。
【0026】
また、搬送路201の用紙搬送方向下流側には、分岐パス203が設けられている。分岐パス203は搬送路201から異常用紙を用紙後処理手段4へ搬送しないように分岐させるためのものである。後述する読取装置202による読取りによって用紙が異常と判定された場合、図示しない分岐爪が分岐パス203側に切り替わり、異常用紙を分岐パス203に導いて、検品処理装置3の外部に露出するように設けられた異常用紙収納部である検品トレイ204に搬送する。なお、分岐パス203の途中に搬送パス207が分岐して設けられており、図示しない分岐爪が搬送パス207側に切り替わることにより、正常な用紙も一時的に正常用紙収納部であるバッファートレイ205に搬送されるようになっている。
【0027】
バッファートレイ205には再給紙手段206が設けられており、搬送路201に合流するように設けられた再給紙通路206aに用紙を搬送する再給紙することができるようになっている。より詳しくは、搬送パス207によってバッファートレイ205に案内された用紙は、再給紙手段206により再給紙通路206aを経て搬送路201に搬送され、再び読取装置202を通過するようになっている。
【0028】
また、読取装置202によって読み取られた出力用紙の画像データを記憶するハードディスクなどで構成されている記憶装置208と、読み取った画像を、基準となるデータと比較し、かつ読取装置202と共に異常検知手段を構成する比較装置209とが設けられている。さらに、検品処理装置全体のシーケンス制御及びデータハンドリングの制御および画像形成装置1、用紙後処理4との制御を司る制御部であるCPU210が設けられている。検品処理装置3は、読取装置202からの画像データと、記憶装置208に格納された画像データとの類似度を算出し、この類似度によって出力用紙の良否(異常)の判定を行うようにしている。次に、この類似度の算出方法の一例について説明する。
【0029】
図8(a)は、検品処理装置3の読取装置202で読み取った画像データのパターンを表し、図8(b)は記憶装置208に格納された画像データのパターンを表している。そして、それぞれのパターンをB(i,j),P(i,j)と表記する。なお、B(i,j),P(i,j)は黒画素のときに"1"、白画素のときに"0"の値をとる。また、B(i,j),P(i,j)の各々の重心座標を(ibc,jbc),(ipc,jpc)とすると、両者の類似度CORは、次式で表される。
【0030】
【数1】
【0031】
上記数1式は、パターンB(i,j),パターンP(i,j)の重心を揃えたときのハミング距離を示している。また、CORの値が大きい程、両者の類似度は大きいことになる。上記の演算にて類似度CORが算出されると、あらかじめ設定してある閾値ThとCORとの比較を行う。すなわち、COR>Thの場合には読み取った画像データが記憶装置内の画像データとがほぼ同じであり、良品と判定される。一方、COR<Thの場合には、両者の画像データの類似度は低く、異常品(異常用紙)と判定される。なお、閾値Thの値を変えることにより判定の精度を変更可能である。また、検品する画像データの種類に応じて閾値Thの値を変更することで、より柔軟な検品機能を提供することも可能である。そして、このように算出した類似度により異常品(異常用紙)と判定した場合、検品処理装置3は異常用紙と判定された用紙を取り除くと共に、画像形成装置1のCPU(制御装置120)に対し他の代替用紙に異常用紙に形成されている画像を形成するように指示するコマンドを送信する。
【0032】
CPU210は、画像形成装置1より出力された用紙を、読取装置202により用紙情報、例えば画像情報及び用紙の形状を読み込む。そして、この読み込んだ情報は比較装置209により予め記憶装置208に保存された元データと比較され、比較の結果がOKならば、用紙は搬送路201をそのまま通過し、用紙後処理装置4に送られる。この動作が順次、繰り返される。
一方、比較装置209による比較の結果、異常と判定された場合には、異常と判定された用紙を検品トレイ204に排出する。なお、この検品トレイ204は検品装置外部に露出されており、これにより排出された用紙をユーザが視認することができ、用紙の異常がどのような異常なのかをユーザが容易に理解することができる。
【0033】
ところで、このとき画像形成装置内部には、次に検品処理装置3に搬送されてくる用紙、すなわち、すでに定着装置を通過した用紙や、画像形成中の用紙、給紙装置1Bより給紙された用紙等、数枚の用紙が仕掛り中で存在している場合がある。そこで、CPU210は、異常用紙が発生した場合、画像形成装置1の制御装置120との通信により画像形成装置内部に画像形成中の用紙(以下、仕掛用紙という)があるか否かを判断し、仕掛用紙があると判断した場合には、画像形成装置1の制御装置120に対し、この仕掛用紙に対しては画像形成から定着までは行い、それ以降の動作を一旦中止させる指令を送る。さらに、仕掛用紙の後の用紙を異常用紙の代替用紙として給紙させ、この代替用紙に異常用紙に形成されている画像を形成するよう指示し、画像形成装置1の制御装置120を介して画像形成部を制御する。これにより、仕掛中の用紙は、この後、画像が定着された状態で検品処理装置3に案内され、読取装置202により用紙情報が読み取られる。そして、比較装置209による比較の結果、検品がOKならば、仕掛用紙はバッファートレイ205に案内され、順次積載される。なお、比較の結果、異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出する。
【0034】
一方、このように仕掛用紙をバッファートレイ205(或は検品トレイ204)に積載した後、言い換えれば画像形成装置内部の仕掛用紙が無くなった後、画像が形成された代替用紙が検品処理装置3に搬送され、読取装置202を通過する。そして、この読取装置202により情報が読み取られ、検品がOKならば、用紙後処理装置4へ案内される。なお、比較の結果、代替用紙が異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に、画像形成装置1の制御装置120に再度出力を指示する。そして、このように代替用紙が用紙処理装置4へ案内された後、次に受け入れる用紙、即ち検品を行う用紙を判断する。ここで、バッファートレイ205に仕掛用紙が積載されている場合には、再給紙手段206によってバッファートレイ205から仕掛用紙が順次再給紙され、搬送路201を通過し、用紙後処理装置4に案内される。このとき、読取装置202により用紙情報が再び読み取られ、今度は重送、折れ等の用紙の形状に異常が生じてないかをチェックされ、この再給紙用紙の検品がOKの場合には、再給紙された用紙を用紙後処理装置4へ案内すると共に、残りのジョブを行うよう画像形成装置本体1の制御装置120に指示を行う。なお、比較の結果、再給紙用紙が異常と判定された場合、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に、画像形成装置1の制御装置120に再度出力を指示する。なお、この指示にしたがって再出力された用紙(代替用紙)は、この後、上述したように読取装置202を通過した後、検品される。
【0035】
このように、異常用紙を検品トレイ204に排出すると共に良品は廃却することなくバッファートレイ205に収納し、かつ代替用紙に異常用紙に形成された画像を形成して再出力し、その後、バッファートレイ205に収納していた用紙を再給紙するようにすることにより、異常用紙が発生した場合でも、画像形成装置1を止めることなく自動で排除した異常用紙のリカバリを行うことができる。これにより、ユーザが画像形成装置1の前に常駐する必要がなく生産性が向上する。さらに、このように構成することにより、異常用紙以外に廃却する用紙がないので無駄がなくなり、また用紙後処理装置4に異常用紙が搬送されることがないので、中折りもしくは中綴じの後処理がされた冊子に製本したものが良品であることが保証できる。
【0036】
次に、検品処理装置3の名寄せ検品モード時における検品手段について説明する。
画像形成装置1から搬送された用紙には同封する群を特定する番号が印刷されている。複数種類が存在する用紙において、特定の封筒に封入する用紙はすべての種類の用紙である場合もあるが、通常は複数種類の中から選択された用紙だけを封入することが行われる。たとえば、用紙A〜Fまで6種類の用紙が存在するときに、封筒1にはA、B、C、Dを選択して封入し、封筒2にはA、B、C、E、Fを選択して封入し、封筒3にはA、E、Fを選択して封入し、・・・という具合である。このとき、封筒Pf1に封入する用紙A、B、C、Dには同封する群を特定する番号「12345番」が印刷され、封筒Pf2に封入する用紙A、B、C、E、Fには同封する群を特定する番号「12346番」が印刷され、封筒Pf3に封入する用紙A、E、Fには同封する群を特定する番号「12347番」が印刷され、・・・という具合である。なお、同封する群を特定する番号しては、通常の数字だけに限定されず、OCR文字、バーコード、2次元コード、等が含まれる。この番号の印刷は、封入封緘を行うよりも前の時点においてオフラインで行っておくことができる。そのときには順番が入れ替わることが無いように取り扱って、番号が印刷されている用紙を封入封緘装置5にセットする。また、この番号の印刷は、封入封緘装置5においてインラインで印刷することができる。たとえば、インクジェットプリンタ等を用紙の供給部に設けておき、用紙を供給する過程において同時に印刷を行うように構成することができる。これにより、インサータ(供給部)からの用紙が給紙された場合においても検品を行うことができる。この番号は個別情報であり、そのような個別情報の印刷は封入番号テーブル213等を参照することによって得た情報に基づいて行うことができる。
【0037】
図7(b)に示す製造仕様ファイル212は上位のコンピュータシステムにおいて顧客(宛先)情報、仕様情報、等に基づいて生成され、内容物検査システムにダウンロードして使用する。
【0038】
同封する群を特定する番号、宛先(住所、氏名、等)、同封する内容物の種類、等は個々のメールによって異なる部分である。そのような個々のメールを製造する上で必要とする情報のファイルが製造仕様ファイル212である。製造仕様ファイル212内には封入番号テーブル213が存在する。
【0039】
用紙を供給する過程で個別情報の印刷が行われるときには、封入番号テーブル213から印刷する個別情報が読出される。また、用紙が適正であるか否かを検査する処理を行うときには、適正な用紙についての情報を封入番号テーブル213から読出し、番号読取装置211で読取った読取番号と比較することが行われる。封入番号テーブル213はメモリに記憶され、番号と、その番号によって特定される同封する群に属する用紙の種類とが対応付られたテーブルである。
【0040】
検品部にて番号読取装置211で読み取った読取番号の比較を行う前に、番号の予測を行う。そのためにまず封入番号テーブル213を参照して番号を読出す。ここでたとえば、前回読出した番号よりも大きい番号(または小さい番号)で、前回読み出した番号との差が最も小さく、かつ封入番号テーブル213に存在する番号として番号を読出す。そして、その番号を予測番号とする。このような読出しを行うことにより、封入番号テーブル213の番号を必ずしも連続番号とする必要性がなくなる。封入番号テーブル213の編集等において製造するメールの取捨選択を行ったとき等において、番号が不連続となってもそのままの番号を使用することができる。番号読取装置211によって出力された読取番号とその予測される番号である予測番号とを比較し、一致しているか否かを示す番号比較結果を出力する。その後番号比較結果基づいて適正であるか否かの判定を行い判定結果を出力する。
【0041】
図9は、用紙後処理装置4の内部構成の一例を示す構成図である。なお、以下の図9を用いた説明では、用紙Pに中綴じ処理を行う中綴じ処理動作について重点的に説明する。
搬送路Aから分岐爪135および分岐爪136で振り分けられた用紙は、搬送路Bに導かれ、搬送ローラ137、搬送ローラ138、搬送ローラ139、スティプル排紙ローラ140により、処理トレイTに排出される。処理トレイTでは、排紙ローラ140により順次排出される用紙を整合し、スティプル(中綴じ)する直前までは、同様の動作をする。用紙束が処理トレイTで仮整合された後、用紙束の先端部は放出ローラ143と分岐ガイド板141の端部に取り付けられた加圧コロ141aとにより挟持され、分岐ガイド板141と可動ガイド142とが回動することで処理トレイCへ導かれる経路を通過するべく、再度、放出爪145と放出ローラ143とにより下流へ搬送される。この放出ローラ143は放出ベルト144の駆動軸に設けられており、放出ベルト144と同期して駆動される。
【0042】
その後、用紙束は、その後端が放出ローラ143を通過するまで放出爪145によって運ばれ、さらに束搬送ローラ上146と束搬送ローラ下147とによって搬送される。そのとき、各用紙束の搬送方向のサイズに応じて可動後端フェンス148の停止位置が異なって待機している。待機している可動後端フェンス148に用紙束P’の先端が当接してスタックされたとき、束搬送ローラ下147の圧が解除され、後端叩き爪149により用紙束の後端を叩いて搬送方向の最終的な揃えを行う。すなわち、中綴じジョガーフェンス150、151によって用紙束P’の幅方向が揃えられ、可動後端フェンス148と後端叩き爪149とにより用紙束P’の搬送方向が揃えられる整合動作が行われる。そして、用紙束P’の中央が中綴じステイプラSにより綴じ処理される。ここで、可動後端フェンス148は可動後端フェンスHP(ホームポジション)センサ152からのパルス制御により位置決めされ、後端叩き爪151は後端叩き爪HP(ホームポジション)センサ153からのパルス制御により位置決めされている。中綴じされた用紙束P’は束搬送ローラ下147の加圧が解除されたまま、可動後端フェンス148の移動に伴って上方に運ばれ、その後、綴じられた針部近傍は略直角方向に折りプレート154により押され、その対向する折りローラ155のニップへと導かれる。予め回転していた折りローラ155は、その用紙束P’を加圧搬送することで用紙束P’の中央に折りを施し、そのまま下流側の後続機に搬送する。
【0043】
図10(a)および(b)はそれぞれ、図9の符号Mで示した部分を拡大した図であり、中綴じ処理が行われた用紙束P’の冊子の折り目に対して増し折りする機構および動作の説明図である。折り目に対して折り増し処理を行う加圧ローラ156は、第1の折りローラ155の回転によって搬送路157を搬送されている中央折り処理後の用紙束(シート束)P’’の搬送方向下流側の近接した位置に設けられている。また、加圧ローラ156は、ローラ移動機構158により、用紙束搬送方向(シート搬送方向)に対して直交する方向(図の紙面に垂直な方向)に移動可能に設けられている。図10(a)に示すように、用紙束P’’は、第1の折りローラ155によって折られた後、そのまま矢印方向に搬送され、用紙束先端がセンサ159を通過してから一定パルス分だけ搬送され、図10(a)に示す位置で停止する。このとき、用紙束P’’の搬送方向先端部である折り目部Pcの停止位置は、ローラ移動機構158によって移動される加圧ローラ156の移動軌跡上にある。この図10(a)に示す位置で加圧ローラ156が用紙束搬送方向(シート搬送方向)に対して直交する方向(図の紙面に垂直な方向)に移動することにより、用紙束P’’の折り目部Pcが増し折り(加圧)され、折り目が強化される。折り目が強化された増し折り処理が終了した後、用紙束P’’は搬送ローラ160によって図10(b)の矢印方向に搬送され、下流側の後続機に向けて搬送される。一方、下流側の後続機での後処理が不要な場合は、増し折り処理後の用紙束P’’は排紙方向に搬送される。
【0044】
図11は、封入封緘装置5の内部構成の一例を示す構成図である。
<封筒の処理・搬送>
図11の封入封緘装置5において、封筒は次のように搬送される。給紙装置1Bにセットされた封筒は画像形成装置1内に給紙され、宛名等を画像形成された後に検品処理装置3及び用紙後処理装置4を経由して封入封緘装置5へ搬送される。封筒はまず入口搬送路9に搬入されてくる。入口センサ8Aにて封筒が検知された後、各搬送ローラが駆動して封筒の搬送が開始される。分岐爪11は上搬送路12に導く位置へ移動しており、封筒は上搬送路12へ搬送されていく。更に分岐爪13は封筒搬送路14に導く位置へ移動しており、封筒は封筒搬送路14へ搬送されていく。チャックコロ対23にて封筒のフラップを噛んだ状態に保持し、封入物としての用紙が封入されてくるのを待つ。このとき、揺動コロ対25は矢印の方向へ退避しており、封筒とは接しない位置にいる。
【0045】
<封入物の処理・搬送>
また、図11の封入封緘装置5において、封筒に封入される封入物は次のように処理されて搬送される。ADF2にて原稿が読み取られた後、対応する用紙が給紙装置1Bから画像形成装置1内に給紙され、画像形成された後に検品処理装置3及び用紙後処理装置4を経由して封入封緘装置5へ搬送される。封入物が単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束の場合、入口搬送路9に搬入されてくる。入口センサ8Aにて封入物が検知された後、各搬送ローラが駆動して封入物の搬送が開始される。封入物が用紙後処理装置4で中綴じ処理を施された冊子の場合は、入口搬送路10に搬入されてくる。この場合、入口センサ8Bにて封入物が検知された後、各搬送ローラが駆動して封入物の搬送が開始され、分岐爪11は上搬送路12に導く位置へ移動しており、封入物は上搬送路12へ搬送され、その後は単一の用紙、または端綴じ処理が施された用紙束と同じ搬送路を辿る。封入物が上搬送路12に搬送された後、更に分岐爪13は封入物搬送路15に導く位置へ移動しており、封入物は封入物搬送路15へ搬送されていく。封入物は封入物排紙センサ16を通過し、中間トレイ18へ排出される。中間トレイ18に排出された後、戻しコロ17は中間トレイ18に接する位置へ移動し、封入物を後端ストッパ21の方向へ搬送する。搬送完了後、サイドジョガー対20にて整合動作を行う。封筒に封入する全ての封入物が揃うまで同じ動作を繰り返す。
【0046】
<封入処理>
また、図11の封入封緘装置5において、封入物の封筒への封入は次のように行われる。封入物が全て中間トレイ18上に積載された後、後端ストッパ21は矢印の方向へ退避する。退避後、先端ストッパ19は矢印の方向へ移動を開始し、封入物束はパックユニット22内へ搬送される。パックユニット22への搬送が完了した後、パックユニット22は矢印の方向へ移動し、チャックコロ対23部にある封筒へパックユニット22内の搬送ローラにて搬送され封入される。封入完了後、揺動コロ対25は矢印と逆方向に移動し、封筒を搬送路26へ搬送を開始する。
【0047】
<封緘処理>
また、図11の封入封緘装置5において、封入物が封入された封筒の封緘は次のように行われる。封入物が封入された封筒は搬送路26を経由し、封筒方向転換ポケット29内に挿入され、その封筒方向転換ポケット29の下端に設けられたセンサ30により封筒の挿入が検知される。封筒が封筒方向転換ポケット29に挿入された後、封筒のフラップの糊付部に湿化部材27が接触し、フラップの糊付部を水で濡らす。湿化部材27の一部には水保持部28が設けられており、この部分がフラップの糊付部と接触する。湿化部材27によりフラップの糊付部が水で濡らされると、封筒方向転換ポケット29内に一旦収納された封筒は、フラップが未だ開いている状態で、フラップから駆動排出ローラ31及び従動排出ローラ32の回転により、これらのローラ31,32間に噛み込まれ、フラップが封筒に重ねられてローラ31,32間の押圧力により両者が接着固定される。そして、この封緘された封筒はローラ32,33間を通り、排出搬送路34を搬送され、封入封緘装置5の下流機に搬送される。
【0048】
上記画像形成システムにおいて、ユーザは通常動作として通紙を行う前に、表示装置付きの操作パネル1Aにて給紙用紙サイズや後処理手段を選択し、その後にジョブを開始する。本実施形態に係る画像形成システムでは、後処理手段決定部に新たに検品というカテゴリと、検品を行うかどうかの検品モードボタンが設けられている。そして、検品の種類としては品質検品と名寄せ検品が設定されている。
【0049】
図12は、操作パネル1Aの検品設定画面の一例を示す説明図である。この検品設定画面は検品処理選択手段として機能する。また、図12の設定画面の例は、図示しない封入設定画面で封入ジョブモードが選択されている場合において、「検品」タブ901を選択し、「検品モード」ボタン902を押下すると、「品質検品」表示903がされ、品質検品が設定される。
【0050】
ここで、本実施形態の画像形成システムにおける検品モード確定までの制御フローについて説明する。
図13は、検品モードを自動設定する手順の一例を説明するためのフローチャートである。本例では、前提として、検品を行う場合(検品モード)と検品を行わない場合(非検品モード)とがある。
図13において、通紙を行う前の各種設定時において、ユーザは検品を行うか否かの選択を行う(ステップS1)。検品を行わない場合には検品モードボタン902を押下しないことにより(ステップS1でNo)、検品を行わない非検品モードとなる(ステップS2)。この非検品モードで行われる動作としては、検品処理装置3に搬送されてきた用紙はそのまま下流機に受け渡される。一方、検品を行う場合には検品モードボタン902を押下することにより(ステップS1でYes)、ユーザが実行するジョブ内容を選択したとき、自動的に検品の種類が選択される。すなわち、封入封緘装置5が接続されており、かつ封入ジョブモードが選択された場合は名寄せ検品が自動的に選択される(ステップS3でYes,ステップS4)。一方、封入ジョブモード以外のモードが選択された場合は、自動的に品質検品が選択される(ステップS3でNo,ステップS5)。名寄せ検品は、搬送されてきた用紙が過剰に印刷されていないか、又は用紙に欠落がないかどうか検査を行う。これに対して、品質検品は、搬送されてきた用紙の画像や形状などに関して検査を行う。なお、基本的に検品の種類は自動的に選択されるが、ユーザの初期設定部(図示しない)で手動により選択できるように変更することも可能である。
【0051】
次に、検品処理装置3での検品が不合格(以下、「NG」という。)になるときの具体例の一例について説明する。
まず、品質検品時に検品がNGとなる場合について説明する。記憶装置208に記憶された比較元となる用紙情報には、用紙の外形情報、画像の位置等が含まれている。そして、比較装置209では、これらの情報を格子状の要素に分割し、対応する要素ごとにそれぞれ比較を行う。ここで、違いを検出し、CPU210が認識すると、CPU210は用紙の搬送路を切り替える信号を送り、用紙を検品トレイ204へ排出すると共に、この異常用紙と同じ画像が形成された代替用紙を出力するよう画像形成装置1の制御装置120に指示する。以降、検品処理装置3について上述した動作と同様の動作を行う。
【0052】
次に、名寄せ検品時に検品がNGとなる場合について説明する。番号読取装置211にて読み取った用紙の読取番号と、封入番号テーブル213を参照して読出した番号から予測した番号とを比較し、一致しているか否かを示す番号比較結果を出力し、その後、番号比較結果基づいて適正であるか否かの判定を行って判定結果を出力する。番号が一致しなかったときで、かつ同じ番号が重複した場合、過剰印刷と判断し、用紙を検品トレイ204に排出する。また、それ以外で番号が一致しなかった場合、用紙の欠落が発生したと判断し、品質検品時と同様に、後続用紙を正常バッファトレイ205に搬送し、欠落用紙のリカバリ印刷を行う。
【0053】
ここで、検品の異常状態によっては、画像形成装置1で何度再出力をしてもOKにならない場合があるため、自動リカバリ動作の回数制限を設けることが望ましい。図14は、検品の処理手順を示すフローチャートである。また、図15は、操作パネル1Aの検品NG結果履歴一覧画面の一例を示す説明図である。
【0054】
自動リカバリ動作の回数制限を設けることにより、検品処理装置3は、検品結果がOKになるまで画像形成装置1の制御装置120に再出力指示を行うと共にNGの回数をカウントする。そして、このNGの回数が設定回数に達したら、画像形成装置1の制御装置120に停止命令を出力し、さらに操作パネル1AにNG連発のためジョブを停止したことを表示するとともに、画像形成装置1のチェックを行うようユーザに通知する。また、これらNGの履歴は、図15に示すように後で確認することもできる。なお、図15に示すNG要因として用紙の耳折れ、斜行、色を認識する例を挙げたが、この他に画像の濃度や色ずれ、汚れ、パンチ穴の位置、タブの位置など、用紙に関するさまざまな情報を認識し、比較することもできる。
【0055】
ここで、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数を上回った場合は、選択されている検品モードとNGとの内容によって処理が異なる。そこで、次に、選択されている検品モードごとの処理について図14のフローチャートを用いて説明する。
図14において、用紙の検品結果がNGのとき(ステップS10でYes)、名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷が原因か否かを判断する(ステップS11)。名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷が原因でNGの場合、リカバリ印刷を行わず、現在実行されているジョブも停止をせずにそのまま処理を続ける(ステップS11でYes)。すなわち、過剰印刷用紙を検品トレイ204に排出し、以降の用紙を下流機に搬送し処理を続行する(ステップS12、S13)。結果としてNGジョブとして扱わない。画像形成装置1の操作パネル1A上には過剰印刷のNGを表示することは任意に可能であるが、NGを表示した場合には、結果として正常にジョブが完了したことも通知しておく。なお、検品結果がOKの場合(スッテプS10でNo)、当然に、以降の用紙を下流機に搬送し処理を続行する(ステップS13)。
【0056】
検品結果が名寄せ検品モード時で用紙の過剰印刷以外の場合(ステップS11でNo)、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合と、品質検品の場合とがある。いずれのケースの場合においても、まず検品結果のNG回数がリカバリ設定回数以下であるか否かを比較する(ステップS14)。そして、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数以下の場合(ステップS14でYes)、リカバリ処理を行う(ステップS15)。すなわち、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合、後続用紙を正常バッファトレイ205に搬送し、欠落用紙のリカバリ印刷を行う。一方、品質検品モード時の場合、異常用紙を検品トレイ204へ排出すると共に、この異常用紙と同じ画像が形成された代替用紙を出力するリカバリ印刷を行う。
【0057】
これに対して、検品結果のNG回数がリカバリ設定回数より大きい場合(ステップS14でNo)、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合と、品質検品モードの場合とではそれぞれ処理が異なる。このため、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷であるか否かを判断する(ステップS16)。
名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷の場合(ステップS16でYes)、実行しているジョブを中断せずに後続用紙を搬送させ、封入処理をした後、封緘処理を行わない(ステップS17)。さらにNGジョブの対象の用紙が、図15に示すように画像形成装置1の操作パネル1A上に「検品NG結果履歴一覧」画面904として表示される(ステップS18)。操作パネル1AでNGジョブを表示することにより、ユーザは封緘が行われていない封筒から用紙が欠落している封筒を容易に発見でき、欠落した用紙を後から印刷して該当の封筒に封入することでNGとされた封筒を利用できることになる。また、NGであっても実行されているジョブを中断しないため、生産性が向上するという効果も期待できる。
上記ステップS16でNoの場合、すなわち、名寄せ検品モード時で用紙の欠落印刷ではない場合は、品質検品モードと判断され、実行しているジョブを中断する(ステップS19)。この場合にも、NGジョブの対象の用紙が、図15に示すように画像形成装置1の操作パネル1A上に「検品NG結果履歴一覧」画面904として表示される(ステップS18)。
【0058】
以上、本実施形態によれば、用紙Pを給紙する給紙手段としての給紙装置1Bと、給紙装置1Bから給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成手段としての画像形成装置1と、を備えた画像形成システムにおいて、画像形成装置1で画像が形成されて搬送されてきた用紙P及び給紙装置1Bから供給され画像形成装置1で画像が形成されずに搬送されてきた用紙Pの少なくとも一方の用紙Pに対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段としての検品処理装置3と、上記用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて、複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、検品処理装置3を制御する制御手段としての制御装置120と、を備えている。用紙Pに対して処理するジョブの種類に基づいて複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて検品処理の種類を自動的に変更することができる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3で検品処理が実行された用紙Pを封筒Pfに封入する封入手段としての封入封緘装置5を更に備え、検品処理装置3で実行可能な複数種類の検品処理は、用紙Pの過剰及び欠落に関する第1の検品処理としての名寄せ検品処理と、用紙Pに形成された画像の品質に関する第2の検品処理としての品質検品処理とを含み、制御装置120は、用紙Pに対する画像形成ジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかを選択して実行するように制御する。用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することにより、利用者の手動操作によらずに、用紙Pに対して処理するジョブの種類に応じて名寄せ検品処理及び品質検品処理のいずれかの検品処理を自動的に変更することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、第1の検品処理としての名寄せ検品処理を実行するように制御する。これにより、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、ユーザが手動で名寄せ検品処理を選択しなくても、封筒Pfへ封入される用紙Pの名寄せ検品処理が自動的に実行され、正確な封入処理が行われる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、封入封緘装置5による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、第2の検品処理としての品質検品処理を実行するように制御する。これにより、封入封緘装置5による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、ユーザが手動で品質検品処理を選択しなくても、封筒Pfへ封入される用紙Pの品質検品処理が自動的に実行され、用紙Pに形成された画像の品質が維持される。
また、本実施形態によれば、上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段として操作パネル1Aの操作表示画面900に検品設定画面を表示する。これにより、ユーザが手動で検品処理を選択することができる。例えば、封入封緘装置5による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、名寄せ検品処理に加えて品質検品処理を行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3の検品結果が異常の場合に、この異常の検品結果を表示する表示手段として操作パネル1Aを備えている。これにより、検品結果の異常とその内容とが操作パネル1Aに表示され、ユーザが異常内容を容易に認識することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、検品処理装置3において用紙Pの異常又は用紙Pの欠落が検出されたとき、該当する用紙Pについて画像形成装置1による画像形成を再実行するように制御する。これにより、用紙Pの異常又は欠落の検出時においてもジョブを停止することなく、用紙Pの封入処理まで完了することができるので、用紙Pの異常又は欠落の検出時毎にジョブを停止させる場合に比べて作業性及び生産性が向上する。
また、本実施形態によれば、制御装置120は、検品処理装置3において用紙Pの欠落が検出されたとき、その欠落用紙について画像形成装置1による画像形成を再実行し、用紙Pの欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、欠落用紙以外の用紙を封筒Pfに封入するように制御する。これにより、画像形成の再実行の回数が所定回数以下に抑え、実行中のジョブも中断させないので、生産性の低下を防止できる。なお、この場合、上記用紙の欠落が検出された検品結果について表示手段に表示し、上記用紙の欠落が検出された封筒については封緘しないのが好ましい。これにより、利用者は上記ジョブが完了した後、上記表示手段に表示された検品結果に基づいて、上記欠落の用紙について画像形成を個別に行い封筒に封入することができる。しかも、上記封緘を行っていないので、上記用紙の欠落が検出された封筒を容易に見付けることができ、欠落した画像形成済みの用紙を当該封筒へ追加で封入する作業が容易になる。
また、本実施形態によれば、検品処理装置3による検品処理を実行しない非検品モードを備えた。これにより、検品を要しない場合、非検品モードを選択することで、検品処理に要する時間や電力を節約でき、作業効率の向上と省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置1から出力された用紙Pに対して後処理を行う後処理手段としての用紙後処理装置4を更に備えた。これにより、用紙Pに後処理を行うことができ、画像形成システムの高機能化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、用紙後処理装置4で行う後処理は、用紙Pの綴じ処理である。これにより、用紙Pを綴じ処理した冊子を作成することができる。また、この冊子を封筒Pfに封入することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 画像形成装置
1A 操作パネル
1B 給紙装置
3 検品処理装置
4 用紙後処理装置
5 封入封緘装置
120 制御装置
200 給紙制御部
207 通信インターフェース(I/F)
900 操作表示画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2004−20650号公報
【特許文献2】特開2007−39228号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を供給する用紙供給手段と、
上記用紙供給手段から供給された用紙に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成システムにおいて、
上記画像形成手段で画像が形成されて搬送されてきた用紙及び上記用紙供給手段から供給され該画像形成手段で画像が形成されずに搬送されてきた用紙の少なくとも一方の用紙に対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段と、
上記用紙に対して処理するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、上記検品処理手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1の画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段で検品処理が実行された用紙を封筒に封入する封入手段を、更に備え、
上記検品処理手段で実行可能な上記複数種類の検品処理は、上記用紙の過剰及び欠落に関する第1の検品処理と、上記用紙に形成された画像の品質に関する第2の検品処理とを含み、
上記制御手段は、上記用紙に対する画像形成ジョブの種類に応じて上記第1の検品処理及び上記第2の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項2の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、上記第1の検品処理を実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項2又は3の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、上記第2の検品処理を実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの画像形成システムにおいて、
上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段の検品結果が異常の場合に、該異常の検品結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の異常又は用紙の欠落が検出されたとき、該当する用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の欠落が検出されたとき、その欠落用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行し、上記用紙の欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、上記欠落用紙以外の用紙を上記封筒に封入するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段による検品処理を実行しない非検品モードを備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の画像形成システムにおいて、
上記画像形成装置から出力された用紙に対して後処理を行う後処理手段を、更に備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項10の画像形成システムにおいて、
上記後処理手段で行う後処理は、上記用紙の綴じ処理であることを特徴とする画像形成システム。
【請求項1】
用紙を供給する用紙供給手段と、
上記用紙供給手段から供給された用紙に画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成システムにおいて、
上記画像形成手段で画像が形成されて搬送されてきた用紙及び上記用紙供給手段から供給され該画像形成手段で画像が形成されずに搬送されてきた用紙の少なくとも一方の用紙に対して、複数種類の検品処理を実行可能な検品処理手段と、
上記用紙に対して処理するジョブの種類に基づいて、上記複数種類の検品処理のいずれかを選択して実行するように、上記検品処理手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1の画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段で検品処理が実行された用紙を封筒に封入する封入手段を、更に備え、
上記検品処理手段で実行可能な上記複数種類の検品処理は、上記用紙の過剰及び欠落に関する第1の検品処理と、上記用紙に形成された画像の品質に関する第2の検品処理とを含み、
上記制御手段は、上記用紙に対する画像形成ジョブの種類に応じて上記第1の検品処理及び上記第2の検品処理のいずれかを選択して実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項2の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴う画像形成ジョブの場合、上記第1の検品処理を実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項2又は3の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記封入手段による封入処理を伴わない画像形成ジョブの場合、上記第2の検品処理を実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの画像形成システムにおいて、
上記複数種類の検品処理のいずれかを利用者が選択するための検品処理選択手段を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段の検品結果が異常の場合に、該異常の検品結果を表示する表示手段を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の異常又は用紙の欠落が検出されたとき、該当する用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
請求項2乃至6の画像形成システムにおいて、
上記制御手段は、上記検品処理手段において用紙の欠落が検出されたとき、その欠落用紙について上記画像形成手段による画像形成を再実行し、上記用紙の欠落の検出回数があらかじめ設定した所定回数を上回ったとき、実行中のジョブを中断しないで、上記欠落用紙以外の用紙を上記封筒に封入するように制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
請求項1乃至8の画像形成システムにおいて、
上記検品処理手段による検品処理を実行しない非検品モードを備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の画像形成システムにおいて、
上記画像形成装置から出力された用紙に対して後処理を行う後処理手段を、更に備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
請求項10の画像形成システムにおいて、
上記後処理手段で行う後処理は、上記用紙の綴じ処理であることを特徴とする画像形成システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図8】
【図12】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図8】
【図12】
【図15】
【公開番号】特開2012−111200(P2012−111200A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264236(P2010−264236)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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