説明

画像形成方法、該画像形成方法を実施するためのインクジェット記録装置並びにインクジェット用処理液

【課題】両面印刷時に、高品位の画像が形成可能であり、カールの抑制効果に優れ高速出力可能なインクジェット記録による画像形成方法及びインクジェット画像形成装置を提供する。
【解決手段】インクジェット用処理液をメディア10上に塗布する工程と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成工程(B)を有した画像形成方法において、処理液は、少なくとも水、及び水溶性有機溶剤を含有するものであり、インクジェット記録による画像形成工程(B)が、一方の面に画像を形成する第一の画像形成工程(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成工程(B2)とを含み、メディア両面に処理液を塗布する工程(A)の後、メディアに、画像形成工程(B)のうち、少なくとも第一の画像形成工程(B1)を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カールを抑制するための画像形成方法、処理液、該画像形成方法を実施するためのインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、普通紙へのカラー画像の記録が可能であり、しかもランニングコストが低いなどの理由から、近年、急速に普及してきている。しかし、この方法は、インクと記録媒体との組み合わせによっては文字滲み(以下、フェザリングという)に代表される画像欠陥が発生しやすく、画像品質が大きく低下するという問題を有する。そこでインクの浸透性を抑えることでフェザリングを抑制する試みがなされているが、この場合、インクの乾燥性が悪くなり、記録物に触れるとインクが手に付く、画像汚れが生じるという不具合がある。
【0003】
また、インクジェット記録方法によりカラー画像を記録する場合には、色の異なるインクが次々と重ねられるため、色境界部分でカラーインクが滲む、混ざり合いが発生する(以下、カラーブリードと言う)、画像品質が大きく低下するという問題も有する。この問題についてはインクの浸透性を高めることでカラーブリードを抑制する試みがなされているが、この場合、着色剤が記録媒体の内部に入り込んでしまうために画像濃度が低下する、記録媒体(以下、記録用媒体とも称す)裏側へのインクの浸み出しが多くなり両面印刷が良好に行えなくなるという不具合がある。
【0004】
そこでこれらの問題を同時に解決して画像品質を高めるために、処理液とインクを用いた画像形成方法が提案されている。
例えば、水性インクに対して逆極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれる液体組成物を用いた被記録媒体への着色部の形成方法(特許文献1の特開2001−199151号公報参照)、例えば、画像形成物の耐擦性を改良するために、インク組成物と、ポリマー微粒子を含んでなる第一の液とを記録媒体に付着させて印字を行なう方法(特許文献2のWO00/06390号公報参照)、例えば、カチオン性高分子化合物と有機酸の組合せにより、画像濃度向上とスミア定着性を向上させる方法(特許文献3の特開2007−276387号公報参照)、例えば、カチオン性高分子化合物を含有した高粘度の処理液を塗布することで、画像濃度を向上させる方法(特許文献4の特開2004−155868号公報参照)等が提案されている。
【0005】
また、近年、インクジェット装置の印刷速度が急激に増加しているため、記録媒体上での乾燥性やカールやコックリングが大きな問題となってきている。このような対策としては、例えば、記録媒体に対して熱や圧力を加えることで、記録媒体の反りを矯正する工程を設ける方法(特許文献5の特許第4487475号公報参照)、保湿性の高い水溶性有機溶剤の含有量を多くする方法(特許文献6の特開2005−297549号公報参照)、インク印字後、直ぐに乾燥する方法(特許文献7の特開平06−239013号公報参照)、架橋性の材料を含有した処理液を記録媒体に塗布して、記録媒体の剛性を上昇させる方法(特許文献8の特開平11−002973号公報参照)が知られている。
カール、特にバックカール(画像形成面が裏側方向に反る状態)が大きな問題となるのは、カット紙を使用して、両面印刷する場合に、反転時にジャムが発生することである。このような対策としては、記録媒体の表面と裏面を別々に加熱する方法(特許文献9の特開2010−184481号公報参照)や画像データに基づいてカール抑制処理を行う方法(特許文献10の特開2007−307763号公報参照)が提案されている。
【0006】
しかし、これら公知の漠然とした広義の公知技術概念は、塗工層を持たない普通紙に顔料インクを用いてインクジェット印字する際に特に適した特定かつ具体的構成の処理液を示唆するものでなく、消費電力が大きく、カールの抑制効果が十分でない等の問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上述したような問題点に着目し、両面印刷時に、高品位の画像が形成可能であり、カールの抑制効果に優れ高速出力可能なインクジェット記録による画像形成方法及びインクジェット画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、以下の画像形成方法及び画像形成装置により上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。
従来技術におけるように、メデイアと略称される記録媒体面に、処理液を単に塗布した場合、通常、処理液はメデイアの層中のあらゆる深さレベルに亘って均一に浸透しているとも、平面上な各箇所を均一に処理しているものとは云うことがとてもできないので、この点を少しでも改善すべく、処理液供給量を多くすれば層の中まで浸透し切れない浅いレベルにある処理液によって上記のようなカール、コックリングの問題が生じ易く、これを避けるため高浸透性の処理液又は少量の処理液を用いれば浅層レベルに留まる少ない処理液の影響によって上記のような画像濃度低下やフエザーリングという問題が生じ易かった点を、本発明者らは、メデイアを表裏両面から処理することによって解決するための具体的方策を検討の結果、本発明を完成するに至った。一般的には、細長い繊維のランダム体積物(但し、多く用いられている紙質系メデイアは、チェスターから放出されたパルプスラリー中の各繊維は互いに絡み合いつつも、抄紙ネットの横方向振動にもよるが概して抄紙ネット上での流れ方向に沿って配向され易く、かつ抄紙ネット上に先に捕獲される比較的荒い繊維と遅く捕獲される比較的細かい繊維との堆積物から基本的になるので「全くランダム」とはいえず、表裏の差、縦横の差が生じ勝ちであることを本発明者らは承知していない訳ではない)といわれる紙質系メデイアにおける上記難点が、意外にも、本発明における両面処理により、解決された。
而して、上記課題は、以下の画像形成方法及び画像形成装置を包含する本発明により解決される
(1)インクジェット用処理液をメディア上に塗布する工程と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成工程(B)を有した、インクジェット記録による画像形成方法において、前記インクジェット用処理液は、少なくとも水、及び水溶性有機溶剤を含有するものであり、前記インクジェット記録による画像形成工程(B)が、一方の面に画像を形成する第一の画像形成工程(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成工程(B2)とを含み、前記メディア両面に該処理液を塗布する工程(A)の後、該メディアに、画像形成工程(B)のうち少なくとも前記第一の画像形成工程(B1)を行うことを特徴とする画像形成方法。
(2)前記メディア両面への処理液塗布工程(A)が、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A1)と、その後に、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A2)とを行うものであることを特徴とする前記(1)項に記載の画像形成方法。
(3)前記メディア両面への処理液塗布工程(A)が、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A2)と、その後に、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A1)とを行うものであることを特徴とする前記(1)項に記載の画像形成方法。
(4)前記第一の画像形成工程(B1)が、前記処理液塗布工程(A1)が施された後の前記第一に画像形成する面に最初に行われ、かつ、前記処理液塗布工程(A1)が開始して後、前記処理液塗布工程(A2)が開始するまでの時間が0.6秒以上あることを特徴とする前記(2)項又は(3)項に記載の画像形成方法。
(5)前記前記処理液塗布工程(A1)及び処理液塗布工程(A2)における前記処理液の塗布量が片面当り、0.96g/m以上2.5g/m未満であることを特徴とする前記(1)項乃至(4)項のいずれかに記載の画像形成方法。
(6)前記処理液は、前記水溶性有機溶剤の含有量が該処理液全量に対して30質量%以上のものであることを特徴とする前記(1)項乃至(5)項のいずれかに記載の画像形成方法。
(7)前記処理液は、温度23℃、相対湿度80%のときの平衡水分量が30質量%未満の水溶性有機溶剤を含み、その含有量が水溶性有機溶剤全体の含有量に対して、80質量%以上のものであることを特徴とする前記(1)項乃至(6)項のいずれかに記載の画像形成方法。
(8)前記処理液は、水溶性凝集剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有するものであることを特徴とする前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載の画像形成方法。
(9)給紙部、処理液塗布手段、インクジェット記録ヘッド部を有する、前記(1)項乃至(7)項のいずれかに記載の画像形成方法を遂行することを特徴とするインクジェット画像形成装置。
また、本発明は、つぎのような「インクジェット画像形成装置」、「インクジェット用処理液」を包含する。
(10)インクジェット用処理液をメディア上に塗布する手段と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成手段(B)を有するインクジェット記録による画像形成装置において、前記インクジェット用処理液は、少なくとも水、及び水溶性有機溶剤を含有するものであり、前記インクジェット記録による画像形成手段(B)は、一方の面に画像を形成する第一の画像形成段階(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成段階(B2)とを実行することができるものであり、前記メディア両面に該処理液を塗布する手段(A)による処理液塗布後、該メディアに画像形成する画像形成手段(B)のうち少なくとも前記第一の画像形成段階(B1)が行われることを特徴とする画像形成装置。
(11)前記メディア両面への処理液塗布手段(A)が、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布段階(A1)と、その後に、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布段階(A2)とを実行するものであることを特徴とする前記(10)項に記載の画像形成装置。
(12)前記メディア両面への処理液塗布手段(A)が、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布段階(A2)と、その後に、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布段階(A1)とを実行するものであることを特徴とする前記(10)項又は(11)項に記載の画像形成装置。
(13)前記画像形成手段(B)による前記第一の画像形成段階(B1)が、前記処理液塗布手段(A1)による塗布後の前記第一に画像形成する面について最初に行われ、かつ、前記処理液塗布手段(A1)が作動開始して後、前記処理液塗布手段(A2)が作動開始するまでの時間が0.5秒以上あることを特徴とする前記(11)項又は(12)項に記載の画像形成装置。
(14)前記前記処理液塗布手段(A1)及び処理液塗布手段(A2)における前記処理液の塗布量が片面当り、0.96g/m以上2.5g/m未満であることを特徴とする前記(10)項乃至(13)項のいずれかに記載の画像形成装置。
(15)前記処理液は、前記水溶性有機溶剤の含有量が該処理液全量に対して30質量%以上のものであることを特徴とする前記(10)項乃至(14)項のいずれかに記載の画像形成装置。
(16)前記処理液は、温度23℃、相対湿度80%のときの平衡水分量が30質量%未満の水溶性有機溶剤を含み、その含有量が水溶性有機溶剤全体の含有量に対して、80質量%以上のものであることを特徴とする前記(10)項乃至(15)項のいずれかに記載の画像形成装置。
(17)前記処理液は、水溶性凝集剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有するものであることを特徴とする前記(10)項乃至(15)項のいずれかに記載の画像形成装置。
(18)インクジェット用処理液をメディア上に塗布し、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成方法のために用いられるインクジェットメディア用処理液であって、少なくとも水、及び水溶性有機溶剤を含有するものであり、前記画像形成方法は、メディア上への処理液塗布工程(A)と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成工程(B)を有し、該画像形成工程(B)が、一方の面に画像を形成する第一の画像形成工程(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成工程(B2)とを含み、前記メディア両面に該処理液を塗布する工程(A)の後、該メディアに、画像形成工程(B)のうち少なくとも前記第一の画像形成工程(B1)を行うものであることを特徴とするインクジェットメディア用処理液。
【発明の効果】
【0009】
以下の詳細な説明からよく理解されるように、本発明においては、インクジェット用処理液をメディア上に塗布する工程(A)と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成する画像形成工程(B)を有した、インクジェット記録装置の画像形成方法において、前記インクジェット記録による画像形成工程(B)が、一方の面に画像を形成する第一の画像形成工程(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成工程(B2)とを含み、前記メディア両面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A)の後、該メディアに、画像形成工程(B)のうち少なくとも前記第一の画像形成工程(B1)を行い、すくなくとも処理液に、水、水溶性有機溶剤を含有し、両面に処理液を塗布する工程(A)の後、メディアに、画像形成工程(B)のうち少なくとも前記第一の画像形成工程(B1)を行うことで、充分なカール抑制効果と画質向上効果が同時に達成されるというきわめて優れた効果が発揮される。
【0010】
また、前記メディアに、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A1)を実行し、次に、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A2)を実行した後に、インクジェットによりインク画像を形成する場合には、さらにカールの抑制効果に優れる。
また、前記第二に画像形成する他方の面に処理液を塗布し、(前記処理液塗布工程(A2)を実行し)、次に、第一に画像形成する面に処理液を塗布した後(前記処理液塗布工程(A2)を実行下後)、インクジェットによりインク画像を形成する場合には、同様に、カールの抑制効果に優れる。
さらに、前記第一に画像形成する一方の面に処理液を塗布(処理液塗布工程(A)を実行)してから(処理液塗布工程(A1)を実行してから)、第二にインク画像を形成する面に処理液を塗布するまでの時間が0.5秒以上あることで、特にカールの抑制効果に優れる。
そして、いずれの場合も、前記処理液塗布工程(A1)及び処理液塗布工程(A2)における前記処理液の塗布量が片面当り、0.96g/m以上2.5g/m未満である場合には、特にカールの抑制効果に優れ、前記処理液として、水溶性有機溶剤の含有量が処理液全量に対して30質量%以上であることで、特にカールの抑制効果に優れ、前記処理液として、23℃80%のときの平衡水分量が30質量%未満の水溶性有機溶剤の含有量が水溶性有機溶剤全体の含有量に対して、80質量%以上であることで、特にカールの抑制効果に優れ、前記処理液が、水溶性凝集剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有することで、カールの抑制効果と画質向上効果を両立できる。
【0011】
このように、本発明によると、従来における諸問題を解決でき、普通紙に、画像濃度、彩度等の画像品質に優れ、高品位な画像の形成が可能でありカール抑制効果に優れた高速に出力可能な画像形成方法、インクジェット用処理液、インクジェット記録装置の提供が可能となるという極めて優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一例の概略図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置の他の一例の概略図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の他の一例の概略図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置の他の一例の概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図6】そのヘッド部の組立後の断面図である。
【図7】図6A−A線上の断面図である。
【図8】記録ヘッドのノズルの記録媒体搬送方法との関係図である。
【図9】ライン型に配列した記録ヘッドの一例である。
【図10】塗布装置の一例の概略図である。
【図11】塗布装置の他の一例の概略図である。
【図12】塗布装置の他の一例の概略図である。
【図13】塗布装置の一例の平面図である。
【図14】インクジェット記録装置例(V)の概略図である。
【図15】インクジェット記録装置例(VI)の概略図である。
【図16】インクジェット記録装置例(VII)の概略図である。
【図17】インクジェット記録装置例(VIII)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
前記(2)項に記載の「画像形成方法」と前記(3)項に記載の「画像の形成方法」との比較から、また、(11)項に記載の「画像形成装置」と前記(12)項に記載の「画像の形成方法」との比較から理解されるように、本発明においては、例えば、記録メディアの表裏両面(表裏の区別があるものと仮定して)に処理液を塗布する際に、表裏両面のうち、いずれの面に先に処理液を塗布してもよいが、但し、前記(4)項及び(13)項の記載から理解されるように、処理液塗布のいずれの場合も、処理液塗工終了から0.5秒間以上経時後に、処理済み面についてインクジェット画像を形成することが、必須ではないが、好ましい。これにより、例えば、1つの塗布手段を2度使用して(記録メディアの搬送路中での反転等を伴う2度通しにより)、記録メディアの表裏両面(通常の上質紙等の例のように、表裏の区別があるものと仮定して)に処理液を塗布することも可能となる。また、可能であれば、2つの塗布手段をそれぞれ表裏両面から適用し、1度に表裏両面を同時に処理液塗工することもできるが、この場合も、処理液塗工終了から0.5秒間以上経時後に、インクジェット画像を形成することが好ましい。但し、これらの説明は、本発明についての理解を容易化するため、正確さよりも、簡明さに重点をおいた省略形のものであって、本発明を制限するために記載したものではない。
【0014】
〔画像形成工程及び画像形成装置〕
本発明の処理液を両面に塗布後に、画像を形成するための装置について、図1に具体例を用いて説明する。図1に本実施形態によるインクジェット記録装置の構成を示す。
この例によるインクジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッド部(1)、第一処理液塗布装置(2)、第二処理液塗布装置(3)、インキジェット印刷搬送部(4)、給紙部(5)、再給紙部(6)を有し、インクジェット記録用ヘッドをライン上に並べて、1スキャンで画像を形成するタイプの記録装置である。
【0015】
図1のインクジェット記録装置において、記録媒体(記録メディア)(10)は給紙部(5)から、給紙ローラ(11)によって送り出され、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第二に画像形成される面に均一に塗布された後、搬送路(30)を通って、第二処理液塗布装置(3)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第一に画像形成される面に塗布される。第一処理液塗布装置(2)、第二処理液塗布装置(3)では、処理液は汲み上げローラ(42)によって処理液貯留部(43)から汲み上げられ、塗布ローラ(40)に均一に付与されるように構成されている。第一処理液塗布装置2で処理液塗布してから第二処理液塗布装置(3)で処理液を塗布する時間は、搬送速度がコントロール可能に構成される。
処理液を付与された記録媒体(10)は、インクジェット記録ヘッド部(1)まで搬送される。
【0016】
インクジェット記録ヘッド部(1)には、図4に示すように複数の記録ヘッドが、インクの種類毎に、ノズルを副走査方向に所定の解像度になるように、並べて構成されている。
記録ヘッド(20)は、搬送ローラ(12)によって記録位置に搬送された記録媒体(10)上にインク像を記録する。なお、記録ヘッド(20)は、微細なインク吐出口、液路及び液路の一部に設けられ、印加電圧によって圧電素子の伸縮させる圧力で液滴を吐出させる手段を備えている。記録ヘッドの詳細は後述する。個別にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクがそれぞれ収納されたインクタンクにインク搬送パイプで連結され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色のインキをそれぞれ噴射可能になっている。
記録ヘッド(20)の下部には、ヘッドクリーニング時に発生する廃棄インキを集めるインキ貯留部が設けられていて、このインキ貯留部は廃液タンクと接続されている。図示しないが、インク貯留部に貯留したインクはインク回収用ポンプによっては廃液タンクへ回収されるように構成されている。
【0017】
記録ヘッド(20)の下方には、インキジェット印刷搬送部(4)が、搬送ローラ(12)と排出ローラ(13)の間に配置されている。インキジェット印刷搬送部(4)は、一方が駆動ローラ(26a)、他方が従動ローラ(26b)で構成された複数のローラ間に記録媒体(10)搬送部材としての多孔性の無端ベルトが巻き掛けられているとともに、無端ベルトの下方に吸引ファンが配置されており、駆動ローラ(26a)と吸引ファンが駆動されることで、給紙部(5)から給紙された記録媒体(10)を無端ベルトに吸引しながら排紙ローラまで搬送するように構成されている。
排紙ローラは、インク像が記録された記録媒体(10)を記録位置から排出する。フラッパー(21)は、両面印刷時及び片面印刷時で記録媒体(10)の排出経路を切り替える部材である。再給紙部(6)は、両面印刷時の際に片面にインク像が記録された記録媒体(10)を、再度記録位置に供給する機能部である。正逆転ローラ(14)は、記録媒体(10)の搬送方向を変換するためのローラである。フラッパー(21)は、記録位置から排出されてきた記録媒体(10)を再度記録位置に供給する際に、搬送路(31)に切り替える部材である。排紙部(7)には、インク像が記録された記録媒体(10)が積置される。
【0018】
インク像が記録された記録媒体(10)は、排出ローラ(13)によってフラッパー(21)まで導かれる。
両面記録モードが選択されている場合には、フラッパー(21)は図中矢印Aで示す方向に記録媒体(10)を導き、搬送路(31)を介して再給紙部(6)へ送給する。再給紙部(6)へ送給された記録媒体(10)は、正逆転ローラ(14)によって反転ポケット(23)へ送り込まれる。記録媒体(10)が反転ポケット(23)に送り込まれると、フラッパー(22)は、記録媒体(10)が図中矢印(C)で示す方向に排出されるように経路を切り替える。経路が切り替わった後、正逆転ローラ(14)は、記録媒体(10)を反転ポケット(23)に送り込んだ際とは逆方向に回転し、反転ポケット(23)内から記録媒体(10)を排出する。反転ポケット(23)から排出された記録媒体(10)は、S字状の搬送路(32)を介して搬送ローラ(12)まで導かれ、搬送ローラ(12)によって再び記録位置のインキジェット印刷搬送部(4)上に搬送される。記録ヘッド(20)は、記録位置に再度搬送されてきた記録媒体(10)に対して、先にインク像を記録した面とは反対の面にインク像を記録する。両面にインク像が記録された記録媒体(10)は、排出ローラ(13)によってフラッパー(21)まで導かれる。記録媒体(10)の両面に対してインク像を記録した後では、フラッパー(21)は図中矢印B方向に記録媒体(10)を導き、記録媒体(10)を搬送路(33)に沿って上方に搬送して排紙部(7)に排出し、順次積載する。なお、片面印刷モードが選択されている場合には、記録媒体(10)の一方の面にインク像を記録した後、フラッパー(21)が図中矢印(B)方向へ記録媒体(10)を導いて、搬送路(33)に沿って上方に搬送して直ちに排紙部(7)に排出し、順次積載する。
【0019】
このように構成することで、記録媒体(10)の両面に塗布液を塗布した状態で、インクジェット記録ヘッド(20)によって画像が形成される。これにより、記録媒体(10)の水分の表裏差を少なくすることができるため、画像が形成されるときに生じるカールを抑制できる。さらに、第一に画像が形成される面に先に処理液を塗布することで、処理液量の表裏差を発生させることにより、フェイスカールさせておくことで、第一に画像が形成される面に画像形成するときに、バックカールすることを抑制する効果がある。
【0020】
図2は他の本実施形態によるインクジェット記録装置の構成例を示す。
この例と図1との違いは、第一処理液塗布装置(2)で、第一に画像形成される面に処理液を塗布した後、第二処理液塗布装置(3)で、第二に画像形成される面に処理液を塗布する構成となっていることである。
この構成においては、記録媒体(10)は給紙部(5)から、給紙ローラ(11)によって送り出され、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第一に画像形成される面に均一に塗布された後、搬送路(30)を通って、第二処理液塗布装置(3)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第二に画像形成される面に塗布される。
処理液を付与された記録媒体(10)は、インクジェット記録ヘッド部(1)まで搬送される。
記録媒体(10)が給紙されてから、インクジェット記録ヘッド部(1)に到達するまでの工程を除いては、図1のインクジェット記録装置例と同じである。
このように構成することで、図1と同様に、記録媒体(10)の両面に塗布液を塗布した状態で、インクジェット記録ヘッド(20)によって画像が形成される。これにより、記録媒体(10)の水分の表裏差を少なくすることができるため、画像が形成されるときに生じるカールを抑制できる。
【0021】
図3はさらに他の本実施形態によるインクジェット記録装置の構成例を示す。
この例の装置と図1、図2との違いは、第一処理液塗布装置(2)のみで、第二処理液塗布装置(3)がなく、再給紙部(6)の経路が、第一処理液塗布装置(2)と給紙部(5)の間に接続されていることである。
この構成においては、記録媒体(10)は給紙部(5)から、給紙ローラ(11)によって送り出され、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第一に画像形成される面に均一に塗布された後、インキジェット印刷搬送部(4)を通って、排出ローラ(13)とフラッパー(21)によって、再給紙部(6)まで導かれる。再給紙部(6)へ送給された記録媒体(10)は、正逆転ローラ(14)によって反転ポケット(23)へ送り込まれる。記録媒体(10)が反転ポケット(23)に送り込まれると、フラッパー(22)は、記録媒体(10)が図中矢印(C)で示す方向に排出されるように経路を切り替える。経路が切り替わった後、正逆転ローラ(14)は、記録媒体(10)を反転ポケット(23)に送り込んだ際とは逆方向に回転し、反転ポケット(23)内から記録媒体(10)を排出する。反転ポケット(23)から排出された記録媒体(10)は、S字状の搬送路(32)を介して搬送ローラ(15)まで導かれ、再度、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第二に画像形成される面に均一に塗布された後、インクジェット記録部(1)まで搬送され、記録ヘッド(20)によって、インク画像を形成される。
インク像が記録された記録媒体(10)は、排出ローラ(13)によってフラッパー(21)まで導かれ、片面印刷モードが選択されている場合には、記録媒体(10)の一方の面にインク像を記録した後、フラッパー(21)が図中矢印(B)方向へ記録媒体(10)を導いて、搬送路(33)に沿って上方に搬送して直ちに排紙部(7)に排出し、順次積載する。
両面記録モードが選択されている場合には、フラッパー(21)は図中矢印(A)で示す方向に記録媒体(10)を再度導き、搬送路(31)を介して再給紙部(6)へ送給する。
再給紙部(6)へ送給された記録媒体(10)は、正逆転ローラ(14)によって反転ポケット(23)へ送り込まれる。記録媒体(10)が反転ポケット(23)に送り込まれると、フラッパー(22)は、記録媒体(10)が図中矢印(C)で示す方向に排出されるように経路を切り替える。経路が切り替わった後、正逆転ローラ(14)は、記録媒体(10)を反転ポケット(23)に送り込んだ際とは逆方向に回転し、反転ポケット(23)内から記録媒体(10)を排出する。反転ポケット(23)から排出された記録媒体(10)は、S字状の搬送路(32)を介して搬送ローラ(15)まで導かれる。
搬送ローラ(15)から第一処理液塗布装置(2)まで搬送された記録媒体(10)は、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第一に画像形成がされた面に均一に塗布された後、インクジェット記録部(1)まで搬送され、記録ヘッド(20)によって、先にインク像を記録した面とは反対の面にインク画像を形成される。
このとき、処理液塗布装置の塗布ローラとカウンタローラ間の圧力を解除する機構を設けるか、塗布ローラと汲み上げローラ間を離す機構を設けることによって、第一に画像形成された面に再度処理液が塗布されることを防ぐことも可能である。
両面にインク像が記録された記録媒体(10)は、排出ローラ(13)によってフラッパー(21)まで導かれる。記録媒体(10)の両面に対してインク像を記録した後では、フラッパー(21)は図中矢印(B)方向に記録媒体(10)を導き、記録媒体(10)を搬送路(33)に沿って上方に搬送して排紙部(7)に排出し、順次積載する。
【0022】
図4はさらに他の本実施形態によるインクジェット記録装置の構成例を示す。
図1、図2との違いは、第一処理液塗布装置(2)、第二処理液塗布装置(3)がなく、両面処理液塗布装置(8)が設けられていることである。
この構成においては、記録媒体(10)は給紙部(5)から、給紙ローラ(11)によって送り出され、両面処理液塗布装置(8)で、両面に処理液を塗布された後、インクジェット記録部(1)まで搬送され、記録ヘッド(20)によって、インク画像を形成される。
記録媒体(10)が排出されてから、インクジェット記録ヘッド(1)に到達するまでの工程で、記録媒体(10)の両面に処理液を同時に塗布していることを除いては、図1のインクジェット記録装置と同じである。
このように構成することで、装置の構成をシンプルにでき、それぞれの塗布ローラのカウンタローラが、一方の塗布ローラが兼ねる構成となるため、部品点数の減少と設置スペースを少なくすることが可能となる。
【0023】
この装置での記録用媒体の搬送工程からも明らかなように、処理液を付与した後、画像を形成するために、処理液の付与された記録用媒体をローラ、コロ、ガイドなどの記録用媒体に接触する手段で記録用媒体を搬送することが必要になる場合が多い。このような場合に、記録用媒体に付与された処理液が記録用媒体の搬送部材に転写してしまうと、搬送機能に障害を生じることや、汚れが蓄積して、画像品質が低下してしまうという問題を生じる。この問題を防止するには、装置側から、例えばガイドを波板にしたり、コロを拍車状にしたり、ローラの表面を撥水性の材料にしたりするという手段を講じ、問題の発生を軽減することができる。
【0024】
しかしながら、記録用媒体に付与された処理液は、極力速やかに記録用媒体に吸収され、見かけ上は乾燥された状態にすることが望ましい。この目的を達成するためには、処理液の表面張力を40mN/m以下として、速やかに液が記録用媒体に浸透するようにすることが有効である。処理液付与後の「乾燥固化」は、上記のように、記録用媒体に処理液が吸収されて、見かけ上乾燥したようになることを意味するものではなく、水分など処理液中液状化合物が蒸発し、液体状態を保てなくなり固化することを意味している。本発明にかかる処理液を上記のように処理液付与装置と画像記録装置がセットになった記録装置を用いることにより、処理液が記録用媒体に吸収され、見かけ上は乾燥している状態になっていても、処理液が固化していない状態で、インクジェット記録を行なうことができ、処理液の付与量が極めて少ない量においても、画像品質を著しく向上できる。
【0025】
図1のような装置の動作を制御するため、パーソナルコンピュータなどのホストマシーンからのプリント指令を受けると、加熱ローラの加熱、処理液付与・画像形成装置はヘッドクリーニング作業と処理液塗布作業とを同時にスタートし、すべて準備が完了した時点で記録動作を開始する。処理液塗布、ヘッドクリーニング、噴射チェック動作と画像データ処理・画像データ転送とをパラレルに処理することにより、処理液塗布作業を行なう場合にも、印字記録装置のスループットを殆ど落とさずに画像記録をすることが可能である。
【0026】
本実施の形態によるインクジェット記録装置は、記録媒体としては、特にカット紙を使用した場合にカール、コックリングの問題が生じ易いので、この問題に対処するために特に有効である。一般的なカット紙とは、A3サイズ(297mm×420mm)、A4サイズ(210mm×297mm)、A5サイズ(148mm×210mm)、A6サイズ(105mm×148mm)、B4サイズ(257mm×364mm)、B5サイズ(182mm×257mm)、B6サイズ(128mm×182mm)、Letterサイズ(215.9mm×279.4mm)、Legalサイズ(215.9mm×355.6mm)を指す。
【0027】
このように、本実施形態によるインクジェット記録装置は、両面に処理液を塗布した後に、インクジェット記録装置によりインクを塗布することで、インク付着時の記録媒体(10)の水分の表裏差を少なくすることで、カールによるジャムを抑制することが可能となる。
【0028】
<インクジェット記録ヘッド>
本発明に係わるインクジェット記録ヘッドは、オンデマンド型の記録によく対応することができる。
図5ないし図7はオンデマンド型の記録ヘッドの詳細を示す図で、図5は記録ヘッドの分解斜視図、図6は記録ヘッド部の組立後の断面図、図7は図5A−A線上の断面図である。
これらの図において符号(71)はノズル、(72)はノズルプレート、(73)は圧力室、(74)は圧力室プレート、(75)はリストリクタ、(76)はリストリクタプレート、(77)はダイヤフラム、(78)はフィルタ、(79)はダイヤフレームプレート、(80)は穴部、(81)はサポートプレート、(82)は共通液通路、(83)はハウジング、(84)は接着剤、(85)は圧電アクチュエータ、(86)は圧電振動子、(87)は外部電極、(88)は導電性接着剤、(89)は支持基板、(90)は個別電極、(91)は共通電極、(92)はスルーホール、(93)は液導入パイプである。
このオンデマンド型の記録ヘッド部は図5に示すように、ノズルプレート(72)、圧力室プレート(74)、リストリクタプレート(76)、ダイヤフレームプレート(79)、サポートプレート(81)、ハウジング(83)、圧電アクチュエータ(85)などから構成されている。
一列に多数のノズル(71)を形成したノズルプレート(72)は、ニッケル材の電鋳加工法、ステンレス鋼材などの精密プレス加工法またはレーザ加工法などによって製作される。圧力室プレート(74)には、前記ノズル(71)に対応した個数の圧力室(73)が形成され、前記ノズル(71)と連通している。リストリクタプレート(76)は図5に示すように共通液通路(82)と前記圧力室(73)を連通し、圧力室(73)への液流入量を制御するリストリクタ(75)が形成されている。圧力室プレート(74)とリストリクタプレート(76)は、ステンレス鋼材のエッチング加工法またはニッケル材の電鋳加工法などによって製作される。
ダイヤフレームプレート(79)には圧電振動子(86)の圧力を効率良く圧力室(73)に伝達するためのダイヤフラム(77)と、共通液通路(82)からリストリクタ(75)に流入する液中のゴミなどを除くフィルタ(78)が形成されている。ダイヤフレームプレート(79)は、ステンレス鋼材のエッチング加工法またはニッケル材の電鋳加工法などによって製作される。
サポートプレート(81)はダイヤフラム(77)と圧電振動子(86)を接着剤(84)で固定するとき、ダイヤフラム(77)の振動系固定端の位置を規制し、かつ接着個所からはみ出した接着剤がダイヤフラム(77)の上で広がるのを規制する穴部(80)が形成されている。サポートプレート(81)は、ステンレス鋼材のエッチング加工法またはニッケル材の電鋳加工法などによって製作される。金属または合成樹脂で製作されるハウジング(83)には共通液通路(82)が設けられており、この共通液通路(82)にインクを供給するための配管が接続されている。
インクは、記録ヘッドの共通液通路(82)の途中でフィルタ(78)を通過して、リストリクタ(75)、圧力室(73)、ノズル(71)へと順に流れる。個別電極(90)と共通電極(91)との間に所定のパルス電圧を印加することにより圧電振動子(86)が伸縮し、パルス電圧の印加を止めると圧電振動子(86)は伸縮前の状態に戻る。このような圧電振動子(86)の変形により圧力室(73)内の処理液に瞬間的に圧力が加わり、ノズル(71)からインクが液滴となって記録媒体(10)上に着弾する。印加するパルス電圧の大きさと種類を適宜選択することで、任意の大きさの液滴を吐出することができる。
【0029】
図8は、記録ヘッドのノズル位置と記録媒体(10)の搬送方向との関係を示す平面図であり、図9は、複数の記録ヘッドをライン型に配列した記録ヘッドの配置図である。
同図に示すように、記録ヘッド上にはノズル(71)がピッチ(P)で形成されているのに対して、所定の解像度で画像を形成するために、傾斜角度(θ)を調整して、搬送方向の副走査方向に所定のピッチ(Q)に配置される。
図に示すように、小型の記録ヘッドを複数並べて配列することで、任意の長さの範囲を1スキャンで画像形成することも可能である。
【0030】
<処理液塗布装置>
図10、図11、図12は、本発明の塗布装置の一例の概略図であり、図13は、塗布装置の一例の平面図である。
処理液塗布装置は、図10、図11、図12に示すように、処理液担持体である塗布ローラと、塗布ローラに接して逆方向に回転するカウンタローラと、処理液貯留槽(処理液収容容器)に貯留された処理液に一部を浸漬し、処理液を攪拌して汲み上げる(表面に担持する)本発明におけるローラ状部材である汲み上げローラ、多量の処理液を収容し、処理液貯留槽に処理液を供給する処理液タンクで構成されている。
図10、図11では、汲み上げローラによって汲み上げられた処理液は、塗布ローラ表面に担持され、塗布ローラとカウンタローラが均一な圧力で接することで、搬送されてくる記録媒体(10)の塗布ローラ側に均一な膜厚で塗布される。
図12では、2つの塗布ローラ同士が均一な圧力で接することで、搬送されてくる記録媒体(10)の塗布ローラ側に均一な膜厚で塗布される。
処理液貯留槽と汲み上げローラの間には、汲み上げローラに接するようにゴム部材等の弾性体(44)を設けることで、汲み上げローラによる処理液の飛散防止、処理液の蒸発抑制、汲み上げローラの清掃作用に効果がある。
塗布ローラとカウンタローラの材質、圧力、記録媒体(10)の種類、塗布速度、処理液の粘度、浸透性を制御することで塗布量を任意に制御することが可能である。
図示しないが、汲み上げローラと塗布ローラの間の膜厚制御ローラを設けることで、塗布ローラに担持される処理液を均一にすることや処理液量を制御することも可能である。
図2、図3に示すように、処理液塗布装置は塗布ローラ、カウンタローラ、汲み上げローラの配置を調整することで、搬送される記録媒体(10)の上面、下面、あるいは垂直に搬送される記録媒体(10)の側面であっても、処理液を塗布することが可能である。
【0031】
−処理工程−
本発明の処理液塗布工程として、ローラコート法による説明を行ったが、これに限定されるものでなく、記録用媒体表面に前記処理液を均一に塗工する塗工方法を用いればよく、特に制限はない。このような塗工方法として、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。特に回転体を処理液に含浸させ、含浸させた回転体を記録媒体(10)に接触させることで塗布する手段が、処理液を均一に塗布することが可能になり好ましい。
前記処理工程における処理液の記録用媒体へのウエット付着量は、0.1g/m〜30.0g/mの範囲を達成するものであることが好ましく、より好ましくは0.2〜10.0g/mである。付着量が0.1g/m未満と少ないと画像品質(画像濃度、彩度、カラーブリード、文字滲み及び白ポチ)の向上が殆ど見られないことがあり、30.0g/mを超えると普通紙としての風合いが損なわれることや、カール、コックリングが発生することがある。
その他の処理液塗布方法としては、インクジェット記録ヘッドにより、インクと同様に処理液を全面に塗布する方法も可能であるが、インクジェット記録ヘッドにより、処理液を塗布するためには、記録ヘッドから処理液を吐出するために、処理液の粘度、表面張力、ヘッド部材との接液性等に制約が付く。記録ヘッドから吐出される液滴を前面に塗布する場合には、処理液を吐出する解像度を非常に高くしないと、塗布状態が均一でないという問題がある。
【0032】
<<処理液>>
本発明の処理液は、すくなくとも水溶性有機溶剤、水を含有するものである。好ましくは、更に水溶性凝集剤、界面活性剤を適宜添加する。
【0033】
<水溶性有機溶剤>
本発明に用いられる水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンが挙げられる。
【0034】
本発明の処理液に含有する水溶性有機溶剤としては、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤の含有量を少なくする必要がある。平衡水分量の高い水溶性有機溶剤の含有量を少なくすることで、処理液及びインクの記録媒体上での乾燥性を早くすることができる。
本発明において、前記平衡水分量の高い水溶性有機溶剤とは、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上である水溶性有機溶剤を言う(以後、水溶性有機溶剤Aと言う)。このような水溶性有機溶剤Aを用いることで、放置状態において、水分が蒸発して水分平衡に達した場合においても、水溶性有機溶剤Aが多量の水分を保持して粘度上昇を防ぐことができる。なお、平衡水分量とは、水溶性有機溶剤と水との混合物を一定温度、湿度の空気中に開放して、溶液中の水の蒸発と空気中の水の処理液への吸収が平衡状態になったときの水分量を言う。具体的には、平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各水溶性有機溶剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、次の式により求めることができる。
【0035】
【数1】

【0036】
本発明で好適に用いられる水溶性有機溶剤Aとしては、温度23℃、湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上の多価アルコール類が挙げられる。このような水溶性有機溶剤Aの具体例としては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、前記平衡水分量38質量%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190−191℃/24hPa、前記平衡水分量41質量%)、グリセリン(bp290℃、前記平衡水分量49質量%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、前記平衡水分量38質量%)、トリエチレングリコール(bp285℃、前記平衡水分量39質量%)、テトラエチレングリコール(bp324−330℃、前記平衡水分量37質量%)、ジエチレングリコール(bp245℃、前記平衡水分量43質量%)、1,3−ブタンジオール(bp203−204℃、前記平衡水分量35質量%)等が挙げられる。
このような水溶性有機溶剤Aの含有量としては、5質量%以下に抑える必要がある。
【0037】
本発明において、平衡水分量の高い水溶性有機溶剤A以外に、平衡水分量の低い水溶性有機溶剤(以後水溶性有機溶剤Bと言う)を併用する必要がある。このような水溶性有機溶剤Bを併用することで、処理液の浸透を促進することができる。
このような水溶性有機溶剤Bとしては、例えば、イソブチルジグリコール(bp220℃、前記平衡水分量10質量%)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(bp242℃、前記平衡水分量13質量%)、2−(2−イソプロピルオキシエトキシ)エタノール(bp207℃、前記平衡水分量18質量%)、イソプロピルグリコール(bp142℃、前記平衡水分量15質量%)、ジエチルジグリコール(bp189℃、前記平衡水分量10質量%)、プロピルプロピレングリコール(bp150℃、前記平衡水分量17質量%)、ジブチルジグリコール(bp189℃、前記平衡水分量12質量%)、ブチルプロピレンブリコール(bp170℃、前記平衡水分量6質量%)、メチルプロピレングリコールアセテート(bp146℃、前記平衡水分量8質量%)、クエン酸トリブチル(bp℃、前記平衡水分量4質量%)、プロピルプロピレンジグリコール(bp220℃、前記平衡水分量5質量%)、ブチルプロピレンブリコール(bp170℃、前記平衡水分量6%)、ブチルプロピレンジグリコール(bp212)℃、前記平衡水分量3質量%)、メチルプロピレングリコールアセテート(bp146℃、前記平衡水分量8%)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(bp216℃、前記平衡水分量20質量%)、2−メチルー1,3−ブタンジオール(bp203℃、前記平衡水分量質量23%)等が挙げられる。
【0038】
他にも有機溶剤として下記のものを使用することができる。
ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196−198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール(粘調液体〜固体)、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253−260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199−201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)などが挙げられる。
【0039】
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp197℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)などが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン(bp250℃、mp25.5℃、47−48質量%)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204−205℃)などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199−201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176−177℃)などが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N−メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N−フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
【0041】
水溶性有機溶剤の含有量としては、カールの抑制効果から20質量%以上であり60質量%未満にする必要がある。含有量がすくなすぎると、処理液の浸透性が悪くなりカールの抑制効果がでない。含有量が多くなりすぎると、処理液の乾燥性が悪くなり、カールの抑制効果がでない。
【0042】
<水溶性凝集剤>
本発明に用いられる水溶性凝集剤としては、水溶性有機酸、水溶性有機酸のアンモニウム塩化合物、水溶性金属塩化合物、水溶性カチオンポリマーが挙げられる。
前記水溶性凝集剤を添加した処理液が、インクジェット用インクと記録媒体上で接触した場合に、塩析効果、または酸析効果により、アニオン性の顔料を凝集させて記録媒体上に定着させることにより、フェザリング、カラーブリードを改良する。
【0043】
水溶性有機酸としては、水溶性脂肪族系有機酸化合物が好ましく、水溶性脂肪族系有機酸化合物としては、例えば、乳酸(pKa:3.83)、リンゴ酸(pKa:3.4)、クエン酸(pKa:3.13)、酒石酸(pKa:2.93)、蓚酸(pKa:1.04)、マロン酸(pKa:2.05)、琥珀酸(pKa:4.21)、アジピン酸(pKa:4.42)、酢酸(pKa:4.76)、プロピオン酸(pKa:4.87)、酪酸(pKa:4.82)、吉草酸(pKa:4.82)、グルコン酸(pKa:2.2)、ピルビン酸(pKa:2.49)、フマル酸(pKa:3.02)が挙げられる。
【0044】
水溶性有機酸のアンモニウム塩としては、水溶性脂肪族系有機酸のアンモニウム塩が好ましく、水溶性脂肪族系有機酸アンモニウム塩としては、酢酸アンモニウム、乳酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタンニ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0045】
前記水溶性金属塩化合物としては、水溶性多価金属塩化合物及び水溶性1価アルカリ金属塩化合物が挙げられ、例えば、水溶性多価金属塩化合物としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マンガン、硫酸ニッケル、硫酸鉄(II)、硫酸銅(II)、硫酸亜鉛、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、硝酸コバルト、硝酸ストロンチウム、硝酸銅(II)、硝酸ニッケル(II)、硝酸鉛(II)、硝酸マンガン(II)、硝酸カルシウム、塩化ニッケル(II)、塩化カルシウム、塩化スズ(II)、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化マグネシウムが挙げられる。前記水溶性1価アルカリ金属塩化合物としては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
水溶性金属塩化合物としては、水溶性多価金属塩が好ましい。
【0046】
水溶性カチオン性ポリマーとしては、第4級アンモニウム塩型のカチオン性高分子化合物が好ましく、例えばジアルキルアリルアンモニウムクロライド重合物、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級アンモニウム塩重合物、変性ポリビニルアルコールジアルキルアンモニウム塩重合物、ジアルキルジアリルアンモニウム塩重合物が挙げられ、その他のカチオン性高分子化合物としては、カチオン性エピクロルヒドリン縮合物、カチオン性特殊変性ポリアミン化合物、カチオン性ポリアミドポリアミン化合物、カチオン性尿素−ホルマリン樹脂化合物、カチオン性ポリアクリルアミド化合物、カチオン性アルキルケテンダイマー、カチオン性ジシアンジアミド化合物、カチオン性ジシアンジアミド−ホルマリン縮合化合物、カチオン性ジシアンジアミド−ポリアミン縮合化合物、カチオン性ポリビニルホルムアミド化合物、カチオン性ポリビニルピリジン化合物、カチオン性ポリアルキレンポリアミン化合物、カチオン性エポキシポリアミド化合物が挙げられる。
【0047】
特に好ましくは下記の構造を有する化合物である。
【0048】
【化1】

[式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、Xはハロゲンイオン示す。また、nは整数を示す。]
【0049】
【化2】

[式中、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを示し、Rは、HまたはCH、R、R、RはH又はアルキル基を示す。
また、nは整数を示し、mは1〜3の整数を示す。]
【0050】
【化3】

[式中、Rはメチル基又はエチル基を示し、Xはハロゲンイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン及び酢酸イオンのいずれかの陰イオンを示す。
また、nは整数を示す。]
【0051】
前記カチオン性高分子化合物がインク中の色材及び水分散性樹脂を凝集させ普通紙表面に色材を残すことにより、画像品質の画像濃度アップ及び文字滲みを向上させている。
【0052】
前記水溶性凝集剤としては、水溶性有機酸、水溶性有機酸のアンモニウム塩、多価金属塩が好ましく、特に好ましくは水溶性有機酸、水溶性有機酸のアンモニウム塩である。
前記水溶性凝集剤の添加量としては、有効成分として処理液全体の0.1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは1〜20質量%である。30質量%より大きい場合には、水溶性有機酸化合物が十分に溶解せずに析出することがあり、0.1質量%より小さい場合には画像濃度向上効果が小さくなることがある。
【0053】
<界面活性剤>
前記処理液に用いられる界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これら界面活性剤は、1種を単独、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
前記処理液に用いられるフッ素系界面活性剤としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474、F−444(いずれも大日本インク化学工業株式会社製);ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製);エフトップEF−351、EF−352、EF−801、EF−802(いずれもジェムコ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれもデュポン社製)が特に好適である。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、変性シリコーンKF−351A、KF−353A、KF354L、KF355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6011(いずれも信越化学工業社製);シリコーンFZ−77、FZ−2104、FZ−2105、L−7604(いずれも東レ・ダウコーニング社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好なKF−355A、KF−640、KF−642、KF−643(いずれも信越工業社製)が特に好適である。
前記界面活性剤の前記処理液における含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0質量%を超えると、保存安定性に問題を生じる恐れがある。
【0055】
−その他成分−
その他の固体湿潤剤として、糖類などを添加しても良い。
該糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表わされる。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【0056】
本発明の処理液は、浸透剤として、炭素数8〜11の非湿潤剤性ポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
【0057】
その他の非湿潤剤性ポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
【0058】
その他の併用できる浸透剤としては、処理液中に溶解し、所望の物性に調製できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類、などが挙げられる。
【0059】
前記浸透剤の前記処理液における含有量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、インクジェット用インクを浸透させる効果がなくなることがあり、5.0質量%を超えると、溶媒への溶解性が低い為に溶媒から分離して浸透性を向上させる効果が飽和してしまうことがある。
【0060】
本発明の処理液には必要により、後記のインクジェット用インクに用いられる防腐剤、防錆剤等を用いても良い。
【0061】
<インクジェット用インク>
本発明に用いられるインクジェット用インクは、色材である水分散性着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、浸透剤及び水を含有する。
【0062】
−水分散性着色剤−
前記インクジェット用インクは水分散性着色剤として、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調製の目的で耐候性が劣化させない範囲内で染料を含有しても構わない。前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0063】
無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
【0064】
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に、水と親和性の良いものが好ましく用いられる。
【0065】
上記顔料において、より好ましく用いられる顔料の具体例としては、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
【0066】
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
【0067】
着色剤が顔料である場合の特に好ましい形態としては、以下の第1〜第2の形態が挙げられる。
1)第1形態では前記着色剤は、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン(色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
2)第2形態では前記着色剤は、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下、「自己分散性顔料」と称することもある)を含有する。
本発明では、第2形態の場合は、下記に示す水分散性樹脂を含むことが好ましい。
【0068】
前記第1形態の水分散性着色剤としては、上記顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(ポリマー微粒子におけるポリマー)としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを使用することができる。
また、この第1形態の色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物を含有するインクは、顔料粒子が単独で存在する場合と比べて光の散乱を受け難いため色再現性に優れ、ポリマー微粒子がバインダーとして働くため、画像形成物の耐擦過性にも優れる。前記色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.20μmが好ましい。
【0069】
前記第2形態の自己分散性顔料は、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸又はその塩の少なくともいずれかを用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、顔料の表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散している形態が特に好ましい。このように顔料が表面改質され、カルボキシル基が結合しているため、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録用媒体の耐水性がより向上する。
【0070】
また、この第2形態の自己分散性顔料を含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえる。前記自己分散性顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.20μmが好ましい。
【0071】
例えば、自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものが好適である。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
【0072】
また、前記親水基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
【0073】
前記親水基は、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。
他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基を表わす。Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)等が挙げられる。
【0074】
前記着色剤の前記インクジェット用インクにおける含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。前記含有量が2質量%未満であると、インクの発色性及び画像濃度が低くなってしまうことがあり、15質量%を超えると、インクが増粘して吐出性が悪くなってしまうことがあり好ましくない。
【0075】
−水溶性有機溶剤−
前記インクジェット用インクに用いられる水溶性有機溶剤としては、前記処理液に用いられる水溶性有機溶剤が好適に用いられる。特に平衡水分量の高い水溶性有機溶剤Aが好適に用いられる。前記インクジェット用インクにおける前記水分散性着色剤と前記水溶性有機溶剤との質量比は、ヘッドからのインク吐出安定性に影響を与える。例えば、水分散性着色剤の固形分が高いのに水溶性有機溶剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。前記水溶性有機溶剤の前記インクジェット用インク中における含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。前記含有量が20質量%未満であると、吐出安定性が低下したりインクジェット記録装置の維持装置で廃インク固着したりする可能性がある。また、50質量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣り更に普通紙上の文字品位が低下することがある。
【0076】
−界面活性剤−
前記インクジェット用インクに用いられる界面活性剤としては、着色剤の種類や水溶性有機溶剤の組み合わせによって分散安定性が損なわれず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。
これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。これら界面活性剤は、1種を単独、又は2種以上を混合して用いることができる。
インクジェット用インクに用いられる界面活性剤としては、前記処理液に用いられる界面活性剤が好適に用いられる。
【0077】
前記界面活性剤の前記インクジェット用インクにおける含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、界面活性剤を添加した効果がなくなることがあり、3.0質量%を超えると、記録用媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
【0078】
−浸透剤−
前記インクジェット用インクに用いられる浸透剤としては、前記処理液に用いられる浸透剤が好適に用いられる。前記浸透剤の前記インクジェット用インクにおける含有量は、0.1〜4.0質量%が好ましい。前記含有量が0.1質量%未満であると、速乾性が得られず滲んだ画像となることがあり、4.0質量%を超えると、着色剤の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなる、記録用媒体への浸透性が必要以上に高くなる等、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
【0079】
−水分散性樹脂−
前記水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えて、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。例えば、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
この中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。また、前記水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
【0080】
前記フッ素系樹脂微粒子としては、フルオロオレフィン単位を有するフッ素系樹脂微粒子が好ましく、これらの中でも、フルオロオレフィン単位及びビニルエーテル単位から構成されるフッ素含有ビニルエーテル系樹脂微粒子が特に好ましい。
前記フルオロオレフィン単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば−CFCF−、−CFCF(CF)−、−CFCFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造単位で表わされるものなどが挙げられる。
【0081】
【表1】

【0082】
前記フルオロオレフィン単位及びビニルエーテル単位から構成されるフッ素含有ビニルエーテル系樹脂微粒子としては、上記フルオロオレフィン単位とビニルエーテル単位が交互に共重合してなる交互共重合体が好ましい。
このようなフッ素系樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製のフルオネートFEM−500、FEM−600、ディックガードF−52S、F−90、F−90M、F−90N,アクアフランTE−5A;旭硝子株式会社製のルミフロンFE4300、FE4500、FE4400、アサヒガードAG−7105、AG−950、AG−7600、AG−7000、AG−1100などが挙げられる。
前記水分散性樹脂は、ホモポリマーとして使用されてもよく、また、コポリマーして使用して複合系樹脂として用いてもよく、単相構造型及びコアシェル型、パワーフィード型エマルジョンのいずれのものも使用できる。
【0083】
前記水分散性樹脂としては、樹脂自身が親水基を持ち自己分散性を持つもの、樹脂自身は分散性を持たず界面活性剤や親水基をもつ樹脂にて分散性を付与したものが使用できる。
これらの中でも、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂のアイオノマーや不飽和単量体の乳化及び懸濁重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョンが最適である。不飽和単量体の乳化重合の場合には、不飽和単量体、重合開始剤、界面活性剤、連鎖移動剤、キレート剤、及びpH調製剤などを添加した水にて反応させ樹脂エマルジョンを得るため、容易に水分散性樹脂を得ることができ、樹脂構成を容易に替えやすいため目的の性質を作りやすい。
【0084】
前記不飽和単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、単官能又は多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類、(メタ)アクリル酸アミド単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルシアノ化合物単量体類、ビニル単量体類、アリル化合物単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類、不飽和炭素を持つオリゴマー類などを単独及び複数組み合わせて用いることができる。これらの単量体を組み合わせることで柔軟に性質を改質することが可能であり、オリゴマー型重合開始剤を用いて重合反応、グラフト反応を行なうことで樹脂の特性を改質することもできる。
【0085】
前記不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記単官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロキシエチルトリメチルアンモニウム塩、などが挙げられる。
【0086】
前記多官能の(メタ)アクリル酸エステル単量体類としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパントリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、などが挙げられる。
【0087】
前記(メタ)アクリル酸アミド単量体類としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
前記芳香族ビニル単量体類としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
前記ビニルシアノ化合物単量体類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
前記ビニル単量体類としては、例えば、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸又はその塩、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
前記アリル化合物単量体類としては、例えば、アリルスルホン酸その塩、アリルアミン、アリルクロライド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。
前記オレフィン単量体類としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
前記ジエン単量体類としては、例えば、ブタジエン、クロロプレン等が挙げられる。
前記不飽和炭素を持つオリゴマー類としては、例えば、メタクリロイル基を持つスチレンオリゴマー、メタクリロイル基を持つスチレン−アクリロニトリルオリゴマー、メタクリロイル基を持つメチルメタクリレートオリゴマー、メタクリロイル基を持つジメチルシロキサンオリゴマー、アクリロイル基を持つポリエステルオリゴマー等が挙げられる。
【0088】
前記水分散性樹脂は、強アルカリ性、強酸性下では分散破壊や加水分解などの分子鎖の断裂が引き起こされるため、pHは4〜12が好ましく、特に水分散着色剤との混和性の点からpHは6〜11がより好ましく、7〜9が更に好ましい。
【0089】
前記水分散性樹脂の平均粒径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。インク化したときに過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は50nm以上が好ましい。また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出性を悪化させる。そこで、インク吐出性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
【0090】
また、前記水分散性樹脂は、前記水分散着色剤を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して色材の定着性を向上させることが好ましい。そのため、前記水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は30℃以下であることが好ましい。また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
前記水分散性樹脂の前記インクジェット用インクにおける含有量は、固形分で1〜15質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
【0091】
ここで、前記インクジェット用インクの固形分含有量は、例えば、インクジェット用インク中から水分散性着色剤と水分散性樹脂分のみを分離する方法により測定することができる。また、水分散性着色剤として顔料を用いている場合には、熱質量分析により質量減少率を評価することで着色剤と水分散性樹脂との比率を測定できる。また、水分散性着色剤の分子構造が明らかな場合には、顔料や染料ではNMRを用いて着色剤の固形分量を定量することが可能であり、重金属原子、分子骨格に含まれる無機顔料、含金有機顔料、含金染料では蛍光X線分析を用いることで着色剤の固形分量を定量することが可能である。
【0092】
−その他成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
【0093】
前記pH調整剤としては、調合されるインクジェット用インクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。前記pHが7未満及び11を超えるとインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
【0094】
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0095】
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
【0096】
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等がある。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
【0097】
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
【0098】
−インクジェット用インク製法−
前記インクジェット用インクは、水分散性着色剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤、浸透剤及び水、更に必要に応じて他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記攪拌混合は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行なうことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行なうことができる。
【0099】
−インクジェット用インク物性−
前記インクジェット用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクジェット用インクの25℃での粘度は5〜20mPa・sが好ましい。前記インク粘度が5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、インク粘度を20mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RE−550L、東機産業株式会社製)を使用して25℃で測定することができる。
【0100】
前記インクジェット用インクの静的表面張力としては、25℃で静的表面張力が20〜35mN/mが好ましく、20〜30mN/m以下がより好ましい。前記インクジェット用インクの静的表面張力20〜35mN/mの場合には、浸透性を高めることでブリーディングの低減に効果が高く、普通紙印字での乾燥性が良好となる。処理層に濡れ易いと言うことで、発色性が良く白ポチも改良される。前記表面張力が、35mN/mを超えると、被記録剤上のインクのレベリングが起こり難く、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
【0101】
前記インクジェット用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行なうと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行なうと、フルカラー画像を形成することができる。
【0102】
前記インクジェット用インクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで,インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
【0103】
前記インクジェット用インクは、例えば、印字時又は印字前後に記録用媒体及び前記インクジェット用インクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできる。
【0104】
<記録用媒体>
前記記録用媒体としては、塗工層を持たない普通紙が好適に用いられ、一般的にコピー記録媒体として用いているサイズ度10S以上、透気度5〜50Sの普通紙が好ましい。
【0105】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の処理液を記録用媒体に塗布する処理工程と、前記インクジェット用インクに刺激を印加し、前記処理液を塗布した記録用媒体に、前記インクジェット用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔工程とを有する。
【0106】
−インク飛翔工程−
本発明のインクジェット記録方法におけるインク飛翔工程は、前記インクジェット用インクに、刺激(エネルギー)を印加し、前記処理液を塗布した記録用媒体に、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録用媒体に画像を形成する工程である。前記インク飛翔工程において記録用媒体に前記インクジェット用インクを飛翔させて記録用媒体に画像を形成する方法としては、公知のあらゆるインクジェット記録方法を適用できる。このような方法としては、ヘッドを走査する方式のインクジェット記録方法や、ライン化されたヘッドを用いることにより、ある枚葉の記録用媒体において、画像記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
【0107】
前記インク飛翔工程において、インク飛翔手段である記録ヘッドの駆動方式には特に限定はなく、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータ等を利用したオンディマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドで記録することもできる。熱エネルギーを作用させる方式においては、液滴の噴射を自在に制御することが困難とされており、記録用媒体種等による画像へのばらつきが大きくなりがちであるが、処理液を記録用媒体に付与することでこれらの課題は解消され、記録用媒体種に依らず安定した高画質を得ることができる。
【0108】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置としては、他に、図14〜図17のような装置例が挙げられる。
図14のインクジェット記録装置(V)においては、記録媒体(10)は給紙部(5)から、給紙ローラ(11)によって送り出され、第一処理液塗布装置(2)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第二に画像形成される面に均一に塗布された後、搬送路(30)を通って、第二処理液塗布装置(3)にて、塗布ローラ(40)とカウンタローラ(41)によって処理液が記録媒体(10)の第一に画像形成される面に塗布される。第一処理液塗布装置(2)で処理液塗布してから第二処理液塗布装置3で処理液を塗布する時間は、搬送速度がコントロール可能に構成される。
処理液を付与された記録媒体(10)は、インクジェット記録ヘッド部(1)まで搬送され、インク像が形成された後、排紙ローラによって、排紙部に排紙される。
第一の処理液塗布装置と第二の処理液塗布装置は着脱可能に構成され、任意に入れ替えることが可能に構成されている。
図15のインクジェット記録装置(VI)における、インクジェット記録装置(V)との違いは、第一に処理液が塗布される面と第一にインク像が形成される面が同じであり、第二に処理液が塗布される面と第二にインク像が形成される面が同じ構成となっている。
図16のインクジェット記録装置(VII)は、インクジェット記録装置(V)との違いは、処理液は、インク画像が形成される面の裏側にしか塗布されない構成となっている。
図17のインクジェット記録装置(VIII)は、インクジェット記録装置(V)の違いは、処理液は、インク画像が形成される面と同じ面にしか塗布されない構成となっている。
【実施例】
【0109】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0110】
[処理液の作製]
(調製例1;処理液1の調製)
処理液1の製造は、以下の手順で行なった。まず、下記表2に示されるように、水溶性凝集剤としての乳酸10部(固形分として)、同DX−6830の10部(固形分として)、水溶性有機溶剤Aとしてのグリセリン5部、水溶性有機溶剤Bとしてのβ−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド10部、同3−メチル−1,3−ヘキサン字オール15部、海面活性剤としてゾニールFS300の0.5部、防カビ剤としてProxelGXL0.05部、合計100部になるように、残量としての高純水を加え、これら材料を、1時間攪拌を行ない均一に混合する。この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液1を調製した。
【0111】
【表2−1】

【0112】
【表2−2】

【0113】
表2中の略号は下記の意味を表わす。
*乳酸:東京化成工業製、純度85%以上
*乳酸アンモニウム:武蔵野化学研究所製、純度66%
*乳酸カルシウム:
製造元:和光純薬工業(株)、名称:DL−乳酸カルシウム五水和物、
純度:95%以上、処理液例での重量は、乳酸カルシウムとしての質量%である。
*ポリフィックス301:
カチオンポリマー(ポリアミド、エピクロルヒドリン系ポリマー)、
昭和高分子製、分子量3000、有効成分30%
*アラフィックス255LOX:
カチオンポリマー(エピクロルヒドリン系ポリマー)、有効成分25%
*DK−6830:
カチオンポリマー(ポリアミド、エピクロルヒドリン系ポリマー)、有効成分55%
*ゾニールFS−300:
ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル
(Dupont社製、有効成分40質量%)
*ソフタノールEP−7025:
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒株式会社製、成分100質量%)
*Proxel GXL:
1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤
(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
【0114】
(調製例2;処理液2の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液2を調製した。
【0115】
(調製例3;処理液3の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液3を調製した。
【0116】
(調製例4;処理液4の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液4を調製した。
【0117】
(調製例5;処理液5の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液5を調製した。
【0118】
(調製例6;処理液6の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液6を調製した。
【0119】
(調製例7;処理液7の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液7を調製した。
【0120】
(調製例8;処理液8の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液8を調製した。
【0121】
(調製例9;処理液9の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液9を調製した。
【0122】
(調製例10;処理液10の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液10を調製した。
【0123】
(調製例11;処理液11の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液11を調製した。
【0124】
(調製例12;処理液12の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液12を調製した。
【0125】
(調製例13;処理液13の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液13を調製した。
【0126】
(調製例14;処理液14の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液14を調製した。
【0127】
(調製例15;処理液15の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液15を調製した。
【0128】
(調製例16;処理液16の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液16を調製した。
【0129】
(調製例17;処理液17の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液17を調製した。
【0130】
(調製例18;処理液18の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液18を調製した。
【0131】
(調製例19;処理液19の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液19を調製した。
【0132】
(調製例20;処理液20の調製)
調製例1と同様に、下記表2に示す材料を混ぜ、1時間攪拌を行ない均一に混合する。
この処理液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、処理液20を調製した。
【0133】
[インクジェットインクの調製]
<顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製>
(調製例21;ポリマー溶液Aの調製)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。
次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけて、フラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
【0134】
(調製例22;マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製)
ポリマー溶液A28gと、表3に示すように、マゼンタ色材を42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水13.6gを十分に攪拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に攪拌した後、エバポレータ用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くためにこの分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、顔料15質量%含有、固形分20質量%の顔料含有ポリマー微粒子分散液を得た。得られた顔料含有ポリマー微粒子分散液におけるポリマー微粒子の平均粒子径(D50)を測定し、表3に示す。なお、平均粒子径(D50)の測定は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製、ナノトラックUPA−EX150)を用いた。
【0135】
【表3】

【0136】
(調製例23;シアン顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製)
調製例22における色材を、表3に示される色材に変えた他は調製例22と同様にしてシアン顔料含有ポリマー微粒子分散液を調製した。
【0137】
(調製例24;イエロー顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製)
調製例22における色材を、表3に示される色材に変えた他は調製例22と同様にしてイエロー顔料含有ポリマー微粒子分散液を調製した。
【0138】
(調製例25;ブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液の調製)
調製例22における色材を、表3に示される色材に変えた他は調製例22と同様にしてブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液を調製した。
【0139】
[インクジェット用インクの調製]
(調製例26;インクジェット用インク1の調製)
インクジェット用インク1の作製は、以下の手順で行なった。まず、下記表4に示す水溶性有機溶剤(湿潤剤)、浸透剤、界面活性剤、防カビ剤、及び水を混合し、1時間攪拌を行ない均一に混合する。また、混合液によっては水分散性樹脂を添加して1時間撹拌し、顔料分散液、消泡剤、pH調整剤を添加し1時間攪拌する。この分散液を平均孔径5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにて加圧濾過し、粗大粒子やごみを除去して、インク調製例1のマゼンタインクジェット用インクを作製した。
【0140】
【表4】

【0141】
表4中の記号、略号は下記の意味を表わす。
*マゼンタ顔料含有ポリマー微粒子分散液(表3)
*シアン顔料含有ポリマー微粒子分散液(表3)
*イエロー顔料含有ポリマー微粒子分散液(表3)
*ブラック顔料含有ポリマー微粒子分散液(表3)
*CAB−O−JET 260:
CABOT製、顔料固形分11%、マゼンタ自己分散顔料、
平均粒子径(D50)125nm
*CAB−O−JET 250:
CABOT製、顔料固形分11%、シアン自己分散顔料、
平均粒子径(D50)110nm
*CAB−O−JET 270:
CABOT製、顔料固形分11%、イエロー自己分散顔料、
平均粒子径(D50)170nm
*CAB−O−JET 300:
CABOT製、顔料固形分15%、ブラック自己分散顔料、
平均粒子径(D50)130nm
*フッ素樹脂エマルジョン:
旭硝子株式会社製、ルミフロンFE4500、固形分52質量%、
平均粒子径136nm、最低造膜温度(MFT)=28℃
*アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン:
昭和高分子株式会社製、ポリゾールROY6312、固形分40質量%、
平均粒子径171nm、最低造膜温度(MFT)=20℃
*KF−640:ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤
(信越化学工業株式会社製、成分100質量%)
*ソフタノールEP−7025:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
(日本触媒株式会社製、成分100質量%)
*Proxel GXL:
1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤
(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
*KM−72F:
自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100質量%)
【0142】
(調製例27;インクジェット用インク2の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク2を調製した。
【0143】
(調製例28;インクジェット用インク3の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク3を調製した。
【0144】
(調製例29;インクジェット用インク4の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク4を調製した。
【0145】
(調製例30;インクジェット用インク5の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク5を調製した。
【0146】
(調製例31;インクジェット用イン6の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク6を調製した。
【0147】
(調製例32;インクジェット用インク7の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク7を調製した。
【0148】
(調製例33;インクジェット用インク8の調製)
インクジェット用インク1におけるインク材料組成を、表4に示されるようなインク材料組成に変えた他は調製例26と同様にして、インクジェット用インク8を調製した。
【0149】
<インクジェット記録>
インクジェット記録は、図14〜図17のような装置(V)〜(VIII)を用いて実験を行った。
【0150】
〔実施例1〕
(処理液塗布)
処理液塗布として、以下のような塗布装置を作製し、図14〜17のインクジェット記録装置に接続して各実施例及び比較例の実験を行った。
すなわち、該塗布装置は、塗布ローラとして、直径22mmのメッキ処理した鉄材に、厚み3mmでゴム硬度50度のクロロプレーンゴムを被覆したローラ、カウンタローラとして、直径12mmのSUS304材のローラを用いた。ローラの長手方向の長さは全て300mmである。処理液収納タンクは、塗布ローラ下端と収納容器の底との間が2mmとなるように配置される。塗布ローラとカウンタローラはバネにより、ローラ間圧力を任意に調整可能になっている。
塗布ローラに駆動用のモータがギアによってつながっている。塗布ローラは任意に回転速度を変えて駆動することが可能であり、塗布ローラとカウンタローラの間に、記録媒体を導入すると、塗布ローラから記録媒体に処理液が塗布される。
搬送速度と塗布ローラとカウンタローラ間のローラ間圧力を調整することで、処理液の塗布量を任意にコントロール可能になっている。
【0151】
(画像形成)
表5に書かれたインクジェット記録装置を用いて、画像の形成を行った。
装置の条件は下記に示す通りである。
温度23±0.5℃、50±5%RHに調整された環境下で、搬送速度500mm/secで処理液付与、処理液は塗布ローラにて任意の付与量で記録媒体に一様に付与、記録ヘッドの傾きθを解像度600dpi(Q=42.33μm)となるように配列し、周波数:11.81kHzでインク打滴、吐出体積9.5pL、解像度600dpi×600dpi、インク付着量5.61g/mとなるように記録ヘッドの駆動波形を変えて画像形成した。
装置の構成は、第一塗布装置から第二塗布装置間距離50cm、第二塗布装置から記録ヘッドの最初のノズルまでの距離50cm、第一塗布装置から第二塗布装置までの搬送速度を搬送ローラ(13)で制御し、第一塗布装置で処理液を塗布してから第二塗布装置で処理液を塗布するまでの時間を任意に制御した。
【0152】
(記録用媒体)
実施例及び比較例で用いた記録用媒体の詳細を示す。
*My_paper:(株)リコー製(上質紙)坪量69.6g/m,サイズ度23.2秒,透気度21秒
【0153】
表5に示されるように、図14に示される画像形成装置を用い、上記処理液調製例1による処理液1を、第一塗布装置での処理液塗布後、0.6秒の間隔を置いて第二塗布装置での処理液塗布を塗布することにより、記録用媒体の両面に、塗布量1.60g/cmの割合で塗布し、その後、インク調整例1〜4によるインクを、塗布量5.61g/cmの割合で射出して評価用画像を形成した。
【0154】
【表5】

*註;上記表中の処理液の種類及びインクの種類における数字は、前記〔処理液の調製例〕および〔インクの調製例〕記載の処理液番号及びインク番号を示す。
【0155】
〔実施例2〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0156】
〔実施例3〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0157】
〔実施例4〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0158】
〔実施例5〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0159】
〔実施例6〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0160】
〔実施例7〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0161】
〔実施例8〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0162】
〔実施例9〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0163】
〔実施例10〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0164】
〔実施例11〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0165】
〔実施例12〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0166】
〔実施例13〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0167】
〔実施例14〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0168】
〔実施例15〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0169】
〔実施例16〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0170】
〔実施例17〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0171】
〔実施例18〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0172】
〔実施例19〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0173】
〔実施例20〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0174】
〔実施例21〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0175】
〔実施例22〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0176】
〔実施例23〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0177】
〔実施例24〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0178】
〔実施例25〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0179】
〔実施例26〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0180】
〔実施例27〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0181】
〔実施例28〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0182】
〔実施例29〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0183】
〔実施例30〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0184】
〔実施例31〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0185】
〔実施例32〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0186】
〔実施例33〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0187】
〔実施例34〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0188】
〔実施例35〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0189】
〔実施例36〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0190】
〔実施例37〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0191】
〔実施例38〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0192】
〔実施例39〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0193】
〔実施例40〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0194】
〔実施例41〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0195】
〔実施例42〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の両面に、塗表5記載の割合で塗布した。表5記載の経過時間は、第一塗布装置での処理液塗布と、第二塗布装置での処理液塗布の時間間隔を示す。表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0196】
〔比較例1〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0197】
〔比較例2〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0198】
〔比較例3〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0199】
〔比較例4〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0200】
〔比較例5〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0201】
〔比較例6〕
表5に示される画像形成装置を用い、表5に示される処理液を、記録用媒体の片面に、塗表5記載の割合で塗布した後に、表5記載のインクを、表5記載の量で射出した以外は実施例1と同様にして評価用画像を形成した。
【0202】
<画像濃度評価>
表5に書かれたインクジェット記録装置を用いて、前記画像形成方法と同条件にて、処理液の塗布と画像形成を行った。画像パターンは、印字面に30mm×30mmの四角部をそれぞれのインク単独で打ち出し、X−Rite938にて測色し、下記評価基準により判定した。
【0203】
〔評価基準〕
◎:Black : 1.3以上、
Yellow : 0.85以上
Magenta: 1.05以上
Cyan : 1.1以上
○:Black : 1.2以上1.3未満
Yellow : 0.8以上0.85未満
Magenta: 1.0以上1.05未満
Cyan : 1.0以上1.1未満
△:Black : 1.15以上1.2未満
Yellow : 0.75以上0.8未満
Magenta: 0.95以上1.0未満
Cyan : 0.95以上1.0未満
×:Black : 1.15未満
Yellow : 0.75未満
Magenta: 0.95未満
Cyan : 0.95未満
【0204】
<カール評価>
表5に書かれたインクジェット記録装置を用いて、前記画像形成方法と同条件にて、処理液の塗布と画像形成を行った。画像パターンは、用紙上下左右、15mmを残して全面ベタ画像を打ち出し、排紙部に搬送された記録媒体を、5秒以内に、手動で印字面を裏にして平らな面に置いたとき、記録媒体の4スミの平らな面からの高さを測定し、下記評価基準により判定した。
〔評価基準〕
◎ : 20mm未満
○ : 20mm以上30mm未満
△ : 30mm以上40mm未満
× : 40mm以上
【0205】
<オフセット性評価>
画像濃度と同様に、印字面に40mm×200mmの四角部をそれぞれのインク単独で打ち出し、印字後5秒以内に、直径40mmのポリエチレン製の円筒状のローラを加重5Nの強さで押し当てながら転がし、円筒状のローラから記録用媒体にインクが再転写した部分をX−Rite938にて測色し、下記評価基準により判定した。
〔評価基準〕
◎ : 0.1未満
○ : 0.1以上0.15未満
△ : 0.15以上0.3未満
× : 0.3以上
【0206】
結果は表6に示されるが、評価は評価基準に基づき各色ごとに評価した。そこで、各画像品質結果は、最も多い評価の判定を結果に記載した。また、同数の評価判定の場合は、良い方を結果に記載した。
【0207】
【表6】

【0208】
以上の結果から、比較例1〜3の処理液を画像形成面に塗布後、直ぐにインク画像を形成するものは、画像形成後のカールが悪い結果であったことが分かる。
比較例4〜6の画像形成面の裏側のみに処理液を塗布するものは、カールの抑制効果に優れるが、画像濃度の向上効果は見られなかった。
実施例1〜3の最初に画像形成する面の裏側から処理液を塗布し、次に画像形成する面に処理液を塗布してから画像形成するものは、カールの抑制効果はあるが、比較例4〜6よりも若干カールの抑制効果が低い。凝集剤含有の処理液を用いたものでは画質向上効果もあることが分かる。
実施例4〜6の最初に画像形成する面に処理液を塗布し、次に画像形成する面の裏側から処理液を塗布してから画像形成するものは、カールの抑制効果が比較例4〜6と同等であり、凝集剤含有の処理液を用いたものでは画質向上効果もあることが分かる。
両面に処理液を塗布した後に画像形成することで、カールの抑制効果と画質向上効果に優れることが分かる。
実施例7〜14にて、第一処理液塗布装置2にて、第一に画像形成する面に処理液を塗布してから、第二処理液塗布装置にて、第二に画像形成する面に処理液を塗布するまでの間の時間(以下、塗布時間とする)について検討した結果、塗布時間は0.6秒よりも少なくしていくと、カールの抑制効果が少なくなっていく結果となることが分かる。
実施例15〜22にて、処理液の塗布量を検討した結果、処理液の塗布量としては、0.96g/m以上とすることで、良好なカールの抑制効果が得られ、2.41g/m以下とすることで、良好なオフセット性(乾燥性)が得られることが分かる。
実施例23〜25にて、実施例1〜22とインクが異なる組合せを検討したが、同様の結果であり、インクの違いによる影響は、本発明において影響は少ないことが分かる。
処理液の塗布量としては、0.96g/m以上とすることで、良好なカールの抑制効果が得られ、2.41g/m以下とすることで、良好なオフセット性(乾燥性)が得られる。
実施例26〜42にて、実施例1〜22と処理液の異なる組合せを検討ところ、処理液中の水溶性有機溶剤量は30質量%以上であり、平衡水分量の少ない水溶性有機溶剤Bの比率が80質量%以上の処理液を用いたときに、特にカールの抑制効果に優れる結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明の処理液は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0210】
(図1〜図17について)
1 インクジェット記録ヘッド部
2 第一処理液塗布装置
3 第二処理液塗布装置
4 インキジェット印刷搬送部
5 給紙部
6 再給紙部
7 排紙部
8 両面処理液塗布装置
10 記録媒体
11 給紙ローラ
12 搬送ローラ
13 排出ローラ
14 正逆転ローラ
15 搬送ローラ
20 記録ヘッド
21 フラッパー
22 フラッパー
23 反転ポケット
26a 駆動ローラ
26b 従動ローラ
30 搬送路
31 搬送路
32 S字状の搬送路
33 搬送路
40 付与ローラ
41 カウンタローラ
42 汲み上げローラ
43 処理液貯留部
44 弾性体
45 処理液収納タンク
71 ノズル
72 ノズルプレート
73 圧力室
74 圧力室プレート
75 リストリクタ
76 リストリクタプレート
77 ダイヤフラム
78 フィルタ
79 ダイヤフレームプレート
80 穴部
81 サポートプレート
82 共通液通路
83 ハウジング
84 接着剤
85 圧電アクチュエータ
86 圧電振動子
87 外部電極
88 導電性接着剤
89 支持基板
90 個別電極
91 共通電極
92 スルーホール
93 液導入パイプ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0211】
【特許文献1】特開2001−199151号公報
【特許文献2】WO00/06390号公報
【特許文献3】特開2007−276387号公報
【特許文献4】特開2004−155868号公報
【特許文献5】特許第4487475号公報
【特許文献6】特開2005−297549号公報
【特許文献7】特開平06−239013号公報
【特許文献8】特開平11−02973号公報
【特許文献9】特開2010−184481号公報
【特許文献10】特開2007−307763号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット用処理液をメディア上に塗布する工程と、塗布されたメディアに対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット記録による画像形成工程(B)を有した、インクジェット記録による画像形成方法において、前記インクジェット用処理液は、少なくとも水、及び水溶性有機溶剤を含有するものであり、前記インクジェット記録による画像形成工程(B)が、一方の面に画像を形成する第一の画像形成工程(B1)と、所望により他方の面に画像を形成する任意画像形成工程としての第二の画像形成工程(B2)とを含み、前記メディア両面に該処理液を塗布する工程(A)の後、該メディアに、画像形成工程(B)のうち、少なくとも前記第一の画像形成工程(B1)を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記メディア両面への処理液塗布工程(A)が、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A1)と、その後に、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A2)とを行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記メディア両面への処理液塗布工程(A)が、第二に画像形成し得る他方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A2)と、その後に、第一に画像形成する一方の面に該処理液を塗布する処理液塗布工程(A1)とを行うものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記第一の画像形成工程(B1)が、前記処理液塗布工程(A1)が施された後の前記第一に画像形成する面に最初に行われ、かつ、前記処理液塗布工程(A1)が開始して後、前記処理液塗布工程(A2)が開始するまでの時間が0.6秒以上あることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記前記処理液塗布工程(A1)及び処理液塗布工程(A2)における前記処理液の塗布量が片面当り、0.96g/m以上2.5g/m未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記処理液は、前記水溶性有機溶剤の含有量が該処理液全量に対して30質量%以上のものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記処理液は、温度23℃、相対湿度80%のときの平衡水分量が30質量%未満の水溶性有機溶剤を含み、その含有量が水溶性有機溶剤全体の含有量に対して、80質量%以上のものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記処理液は、水溶性凝集剤、界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を含有するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項9】
給紙部、処理液塗布手段、インクジェット記録ヘッド部を有する、請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成方法を遂行することを特徴とするインクジェット画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−75515(P2013−75515A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193441(P2012−193441)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】