説明

画像形成装置、システム及び方法

観客(110)に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置(200)であって、この装置(200)は、透明な投影面(104)を伴うハウジング(102)と、このハウジング(102)により支持されそして透明な投影面(104)を照明するように構成されたストロボライト(106)と、透明な投影面(104)に位置する画像(108)と、観客(110)に画像(108)の生理学的な錯覚を生じさせるために所定の時間にストロボライト(106)を作動し及びその期間をセットするように構成されたコントローラ(202)と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーマパークのアトラクションに係る。より特定すれば、本発明は、観客に生理学的な錯覚(イリュージョン)を生じさせる装置、システム及び方法に係る。
【0002】
関連出願の相互参照:本出願は、2009年12月18日に出願された“IMAGING DEVICE, SYSTEM AND METHOD”と題する米国プロビジョナル特許出願第61/287,735号に係り、そしてその利益を主張するものであり、この出願は、全ての目的で参考としてここにそのまま援用される。
【背景技術】
【0003】
生理学的な錯覚とは、輝度、傾斜、色及び動きのような特定形式の過剰な刺激が目や脳に及ぼす効果である。理論では、刺激が視覚処理の早期段階に個人専用の神経経路を有しそして1つ又は若干のチャンネルだけを繰り返し刺激すると生理学的な不平衡を引き起こして知覚を変化させる。生理学的な錯覚は、一般的に、明るい光に続く残像、又は非常に長い交互パターンの刺激に順応した残像を含む。
【0004】
これら生理学的な錯覚は、網膜の円錐体及び桿状体の「パターン化された励起」により画像が発生するために生じる。この励起は、神経系統及び並列に働く脳の種々の部分により処理されて、外部環境の表現を脳に形成する。円錐体は、明るい光及び中間の高解像度の視界及びカラー視界に応答する。桿状体は、暗い光並びに中間の低解像度、白黒、及び夜の視界に応答する。光が受容体に入射すると、比例的な応答をシナプス的に双極細胞へ送り、この細胞は、次いで、網膜のガングリオン細胞に信号を送る。又、受容体は、水平細胞及びアマクリン細胞により「クロスリンク」され、これは、ガングリオン細胞の前にシナプス信号を変更する。桿状体及び円錐体信号は、混合及び合成されるが、桿状体は、非常に悪い照明状態において最もアクティブで、白昼光において飽和するが、円錐体は、非常に低い光レベルで働くに足るほど高感度でないので、明るい照明において機能する。
【0005】
特に、残像は、元の画像への露出が停止した後に個人の視野に現れ続ける画像を指す光学的錯覚である。最も一般的な残像の1つは、電球又はヘッドライトが数秒間点灯した後に個人の目の前に浮かんで見える明るい輝きである。残像の現象は、アニメや映画の基礎である一連の迅速な絵で動きを表現できる視覚持続に厳密に関連している。
【0006】
残像には、ネガティブ(反転)及びポジティブ(元の色を保持する)の2つの形態がある。ネガティブな残像は、網膜現象であり、良く理解されている。ネガティブな残像は、目の光受容体、主として、円錐体細胞として知られているものが、過剰刺激に順応しそして感度を失ったときに生じる。通常、目は、目を僅かに素早く動かすことでこの問題に対処し、その動きは後で「フィルタアウト」され、気付かないものとなる。しかしながら、カラー画像が充分に大きくて、僅かな動きでは、網膜のあるエリアの下で色を変化させるに充分でない場合には、それらの円錐体が最終的に疲労するか、又は順応して応答を停止する。桿状体も、これにより影響される。
【0007】
ポジティブな残像は、あまり理解されていない。一般的に、それらは、元の画像と同じ色で現れる。それらは、多くの場合、非常に短時間で、持続時間が0.5秒未満であり、そして刺激が非常に明るいものでない限り生じない。ポジティブな残像の原因は、良く知られておらず、おそらく、網膜の光受容体細胞が後頭葉へ神経インパルスを送り続けるという視覚系統の持続活動を反映するものであり、刺激の経験が刺激の強度と共に変化することを示唆している。非常に明るい刺激だけがポジティブな残像を発生し、ポジティブな画像を生じさせる刺激は、通常、順応プロセスを経てネガティブな残像を素早くトリガーする。
【0008】
テーマパークの美術において錯覚を生じさせることが知られている。錯覚は、ミラー、モールド、特殊メガネ及び照明技術を使用して作られている。例えば、USP5,407,391号は、観客が大きな視界内を移動するときに対象物が常に観客を凝視するという錯覚を生じるように観客に凹状側面を提示する表面から形成されたネガティブ胸像錯覚を説明している。USP5,650,815号は、平らな表面に投影された動画を見るときに深さの錯覚を生じさせる方法及び装置を説明している。動画を見るときに観客が着用するメガネは、投影される実際の画像を変更又は歪曲する特性を有する。両目で見る見掛け上の画像間の差異が、深さの認識として解釈される画像の差異を生じさせる。メガネは、利き目のためのレンズと、視覚平面に沿って画像を狭める従順な目のためのレンズとを合体し、従順な目のためのレンズは、視覚平面に沿って画像を広げる。各目のレンズは、深さの認識を向上させるために適当に濃淡が付けられる。メガネは、リバーシブルであり、望ましいレンズを利き目、従って、従順な目、の前に配置することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、過去の画像装置は、生理学的な性質だけの知覚画像を形成するものでもないし、ポジティブ又はネガティブな残像を充分に利用するものでもない。
【0010】
従って、テーマパークのアトラクション中に観客に生理学的な錯覚を生じさせる装置、システム及び方法が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、画像投影装置、及び観客装置に生理学的な錯覚を生じさせる方法について述べる。
【0012】
一実施形態において、観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置は、透明な投影面を含むハウジングと、このハウジングにより支持されそして透明な投影面を照明するように構成されたストロボライトと、透明な投影面に位置する画像と、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるために所定の時間にストロボライトを作動し及びその期間をセットするように構成されたコントローラとを備えている。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置は、透明な投影面を含むハウジングと、このハウジングにより支持されそして透明な投影面を照明するように構成されたストロボライトと、透明な投影面に位置する画像と、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるために所定の時間にストロボライトを作動し及びその期間をセットするように構成されたコントローラとを備え、このコントローラは、更に、透明な投影面に位置する画像を発生するように構成される。
【0014】
本発明は、別の実施形態によれば、観客に生理学的な錯覚を生じさせる方法において、透明な投影面を有するハウジング及びこのハウジングにより支持されたストロボライトを含む投影装置と、前記ストロボライトと前記透明な投影面との間に介在する物体とを準備し、透明な投影面に物体のシルエットを発生し、観客が所定の位置にいるとき及び観客が暗い環境にいるときにストロボライトを作動し、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせる、ことを含む方法を提供する。
【0015】
本発明は、別の実施形態によれば、観客に生理学的な錯覚を生じさせるためのシステムにおいて、透明な投影面を有するハウジングと、ハウジングにより支持されたストロボライトと、透明な投影面付近にある不透明な三次元物体とを含む投影装置を備え、不透明な三次元物体は、二次元画像により占有されるネガティブ又はポジティブなスペースを画成し、そしてストロボライトは、観客が所定の位置にいるとき及び観客が暗い環境にいるときに作動されて観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせる、システムを提供する。
【0016】
本発明の他の特徴及び効果は、添付図面を参照した以下の説明から明らかとなろう。添付図面について簡単に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置の斜視図である。
【図2】観客に生理学的な錯覚を生じさせる図1の画像投影装置の側面図である。
【図3a】図1及び2の画像投影装置の規範的実施形態の側面図である。
【図3b】ネガティブ及びポジティブな画像プレートの前面図である。
【図4】本発明の別の実施形態による画像投影装置の斜視図である。
【図5a】本発明の別の実施形態により観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置の前面図である。
【図5b】図5aの規範的実施形態の側面図である。
【図6】本発明の別の実施形態により観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影システムの斜視図である。
【図7】本発明の更に別の実施形態による段階的方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
特に指示のない限り一定の縮尺率で描かれていない多数の図面全体にわたって同じ又は対応するコンポーネント及びユニットは同じ参照文字で示されている。
【0019】
本発明の一実施形態は、透明な投影面と、その透明な投影面に画像を照射するように構成されたストロボライトとを備えた、観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置に関する。本発明により与えられる特定の効果は、観客に対する新たな経験を生み出し、ひいては、テーマパークの観客を増加できることである。
【0020】
添付図面を参照して以下に述べる本発明の特定の構成及び配列は、単なる例示に過ぎない。当業者の技術の範囲内で他の構成及び配列も、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに行い、使用し、又は販売することができる。例えば、本発明のある実施形態は、テーマパークアトラクションを参照して説明するが、当業者であれば、錯覚画像の発生が効果的であるいかなる設定でも本発明の実施形態を具現化できることが明らかであろう。例えば、非限定例としてマジックショーやアーケードゲームが含まれる。
【0021】
ここで使用するように、単数形で表され、ワード“a”又は“an”が先行する要素又は機能は、特に指示のない限り、そのような要素又は機能の複数形を除外するものでないことを理解されたい。更に、本発明の「1つの実施形態」とは、そこに述べる特徴を合体した付加的な実施形態の存在を除外するものと解釈してはならない。
【0022】
本発明の1つの実施形態は、観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置に係る。この装置は、遊園地の乗物又はショーに合体される。例えば、この装置は、暗がりのローラーコースター、暗がりのスクランブラー、又は幽霊屋敷を通して客を運ぶ軌道上に載せられた車輛を有するテーマベースの乗物に適用することができる。
【0023】
図1を参照すれば、画像投影装置が参照番号100で一般的に示されている。この画像投影装置は、透明な投影面104を有するハウジング102と、ストロボライト(即ち、ストロボスコープランプ)106と、画像108とを備えている。
【0024】
規範的な実施形態において、ハウジング102は、左壁112、上壁114、後壁(図示せず)及び右壁(図示せず)により全ての面が取り囲まれている。このように、ハウジング102の内部は、透明な投影面104を除くと、光の不充分な環境であり、従って、ハウジングは、ストロボライト106が作動されたときに透明な投影面を通して光を集中させるように構成される。ハウジング102は、適度に強力で且つ耐久性のある材料、例えば、プラスチック、スチール又は木で構成される。ハウジング102の外部は、装置100を望ましい物体に固定するために適当な支柱、ブラケット又はノッチ(図示せず)を含む。ハウジング102の内部も、ハウジング102により支持されるストロボライト106を取り付けるために適当な支柱、ブラケット又はノッチを含む。
【0025】
ストロボライト106は、ストロボスコープランプとも称されるが、図2に示すようにハウジング102の内部の背面にマウント又は固定されるか、或いはハウジング102の内部の底部パネルにマウント又は固定される。ストロボライト106は、放電時間が約2又は3ミリ秒でフラッシュエネルギーが約10ないし150ジュールの商業用ストロボライトで、強力な照明を生じるものである。このストロボライトは、50ワットないし800ワット又はそれ以上の値の範囲である。光源は、この分野で知られたように、キセノンフラッシュランプである。カラー光が望まれる場合には、この分野で知られたように、ストロボ特有のジェルが使用される。ストロボライト106は、所定の時間に、客110が視野範囲にいるときに、作動するように構成される。
【0026】
図2を参照すれば、図1の画像投影アッセンブリの側面図が示されている。この実施形態では、画像投影装置は、参照番号200で一般的に示されている。この画像投影装置は、透明な投影面104を有するハウジング102と、ストロボライト106と、画像108と、コントローラ202と、中央プロセッサ204とを備えている。
【0027】
コントローラ202は、観客110に画像の生理学的な錯覚を生じさせるために所定の時間にストロボライト106を作動し及びその期間をセットするように構成される。この点に関して、コントローラは、中央プロセッサ204からのコマンド信号を処理することのできる集積回路である。コントローラ204は、ライン206を経て安定化ブロック208を通してストロボライト106に電気的に接続される。コントローラ202は、更に、ライン208を経て透明な投影面104に接続され、投影面については、図3a、3b及び4を参照して詳細に説明する。又、コントローラ202は、電源212を含む中央プロセッサ204にも電気的に接続されて通信する。
【0028】
本発明の規範的な実施形態では、コントローラ202は、所定の時間にストロボライト106を作動するように構成される。例えば、客110が軌道上の乗物車輛(例えば、暗がりのローラーコースター)にいる場合に、中央プロセッサ204は、中央プロセッサ204と通信できる複数の軌道又は車輛センサを通して乗物車輛位置を通信する。次いで、中央プロセッサは、所定の時間に、客が適当な視野位置に来たときストロボライト106を作動するコマンド信号をコントローラ202へ送信する。更に、中央プロセッサ204は、ストロボライト106の期間を制御するコマンド信号をコントローラ202へ送信する。この実施形態では、ストロボライト106の期間は、乗物車輛の速度に対応する。暗がりのローラーコースターの規範的な実施形態では、車輛の速度が比較的高速である。それ故、生理学的な錯覚の望ましい効果を生じさせるために、ストロボ期間は、客が低速度でプロジェクタの視野へと移動するアトラクションに比して比較的長い。
【0029】
図3aを参照すれば、図1及び2の画像投影アッセンブリのより詳細な側面図が、参照番号300で一般的に示されている。この場合も、画像投影装置は、透明な投影面104を有するハウジング102と、ストロボライト106とを備えている。この規範的な実施形態では、透明な投影面104は、画像プレート308を挿入するギャップ306を形成するために第1プライ302及び第2プライ304を備えている。これらのプライ302及び304の各々は、最大の光透過を許すと共に、不明瞭さ及び暗さをなくすために透明とされる。この点に関して、透明な投影面104は、適当な強さの、耐かき傷プラスチックで製造されるか、或いは耐磨滅性コーティングが被覆される。適当な強さとは、プレート308のシフトを防止するように画像プレート308をギャップ304に保持するに充分なほどプライ302及び304に耐久性がなければならないことを意味する。又、透明な投影面は、画像プレート308を支持するための安定化部材310も備えている。
【0030】
図3bを参照すれば、2つの規範的な画像プレート312及び314が示されている。画像プレート312は、ネガティブ画像316を含む。「ネガティブ画像」とは、画像それ自体が光透過性であるが、画像プレートの残り部分が光抵抗性であることを意味する。312のようなネガティブな画像プレートは、ストロボライト106からの光を集中させて観客の網膜に生理学的な錯覚を生じさせる。対照的に、画像プレート314は、ポジティブ画像318を含む。「ポジティブ画像」とは、画像のシルエットを除いて全画像プレートが透明であることを意味する。画像プレート312及び314は、透明な投影面と同様に、適当な強さの、耐かき傷プラスチックで製造されるか、或いは耐磨滅性コーティングが被覆される。
【0031】
本発明の別の実施形態では、透明な投影面104は、物体の不透明な逆切欠部を含み、切欠部の下部において万力(図示せず)で位置保持されてもよい。
【0032】
図示されたように、画像プレート312及び314上の画像は豚であるが、画像は、本発明に使用するための乗物のテーマに対応する鹿、人間の顔、木、ビル又は任意の望ましい物体を含んでもよい。例えば、幽霊屋敷の設定において怖がらせることを意味する場合には、画像は、残忍な道化師又はグールのような怖い生き物を含んでもよい。このように、画像は、例えば、複数のプレートのうちの異なるプレートをプライ間でスライドさせることにより、オペレータによって変更可能である。或いは又、プレートは、スライドリールにより自動的に変更されてもよい。更に、画像は、既知の技術により画像プレート312及び314にエッチング又はペイントされてもよい。
【0033】
本発明の別の実施形態では、半透明の投影面が透明なLCDモニタを含む。図4を参照すれば、図1−3の画像投影アッセンブリの斜視図が、参照番号400で示されている。図1に示す装置と同様に、投影アッセンブリは、透明な投影面104を有するハウジング102と、ストロボライト(即ち、ストロボスコープランプ)106と、画像108とを備えている。しかしながら、図3aを参照して述べた透明な投影面ではなく、LCDモニタ402は、透明な投影面106として機能する。このように、LCDは、望ましい物体に対応する形状を除いて、光がスクリーンを貫通できないように構成される。図示されたように、コントローラ202は、ライン206を経てストロボライト106に電気的に接続される。コントローラ202は、ライン208を経て透明な投影面104に接続される。又、コントローラ202は、電源212を含む中央プロセッサ204に電気的に接続されて通信する。図2について述べたように、コントローラ202は、所定の時間にストロボライト106を作動するように構成される。しかしながら、コントローラ202は、中央プロセッサ204により促されたときに、LCDスクリーン上の位置する画像402を自動的に発生するようにも構成される。次いで、中央プロセッサ204は、望ましい画像が表示されたときストロボライト106を作動するコマンド信号を、所定の時間に、コントローラ202へ送信する。この点に関して、固定の乗物にいる客は、1つの画像投影装置400を使用するだけで複数の異なる画像を楽しむことができる。例えば、客110がショーを楽しんでいる場合に、装置が所定のインターバルでショーに合体される。例えば、モーションシミュレータに関して、中央プロセッサ204は、コントローラと通信し、そして所定の時間に、第1画像を表示する。次いで、その後、乗物において、中央プロセッサは、第2画像を表示する異なるコマンドをプロセッサへ送信し、等々となる。
【0034】
LCDモニタ402に表示される画像は、図3bについて述べたように、ポジティブ又はネガティブ画像である。LCDモニタ402は、作動時にストロボライト106からの光がそのフェースを通過するのを許したり許さなかったりする単色ピクセルを伴う電子変調光学モニタである。例えば、画像がネガティブである場合には、ピクセルは、画像を発生するためのエリア404又は406の形状を除いて黒としてアクティブである。画像がポジティブである場合には、ピクセルは、画像404又は406のシルエットのみを形成する。次いで、ストロボライト106は、対応する時間中作動して客に生理学的な錯覚を生じさせる。
【0035】
客は、投影装置が作動されるとき暗い又は薄暗い照明環境にいる。客は、静止して見ていても通行していても、画像を通して又は画像の周りでストロボフラッシュを受けた場合には、画像が実際に消えると、それを「残像」として依然見ることになる。ストロボライト106がフラッシュすると、網膜の円錐体及び桿状体が刺激を受ける。ストロボは、少なくとも3ミリ秒当たりに一度のフラッシュという速度でフラッシュするので、円錐体細胞は、過剰刺激から順応し、敏感さを失って、残像を生じさせる。画像がフラッシュした後に、客は暗いエリアに留まるので、ストロボによってポジティブな残像も発生し得る。客は、次第に薄れて行くポジティブな残像を見、おそらく、それに続いて、ネガティブな残像を見、これが長く持続する。
【0036】
図5aを参照すれば、本発明の別の実施形態が500で示されている。この実施形態では、ストロボは、上述したような望ましい形状又はパターンに構成された超輝度発光ダイオード(以下、“LED”)504のアレイを含む。この規範的な実施形態では、本発明に適用可能なLED504は、サイズが2−10mmである。LED504は、コントローラ202に接続され、これは、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるために所定の時間にストロボライト106を作動し及びその期間をセットするように構成される。コントローラ204は、ライン206を経て回路板506を通りLED504のアレイに電気的に接続される。コントローラ202は、更に、ライン208を経て透明な投影面104に接続される。又、コントローラ202は、電源212を含む中央プロセッサ204にも電気的に接続されて通信する。
【0037】
本発明の規範的な実施形態では、コントローラ202は、所定の時間に発光ダイオード504のアレイを作動するように構成される。例えば、客110が軌道上の乗物車輛(例えば、暗がりのローラーコースター)にいる場合には、中央プロセッサ204は、これも中央プロセッサ204と通信する複数の軌道又は車輛センサを通して、乗物車輛位置を通信する。次いで、中央プロセッサは、客が適当な視野位置にいるときに発光ダイオード504のアレイを作動するコマンド信号を、所定の時間に、コントローラ202へ送信する。更に、中央プロセッサ204は、スクリーン上のLEDが点灯する期間を制御するコマンド信号をコントローラ202へ送信する。この実施形態では、ストロボライト106の期間が乗物車輛の速度に対応する。暗がりのローラーコースターの規範的実施形態では、車輛の速度が比較的高速である。それ故、生理学的な錯覚の望ましい効果を生じさせるために、LED期間は、客が低速度でプロジェクタの視野へと移動するアトラクションに比して比較的長い。
【0038】
図6を参照すれば、本発明の別の実施形態において、観客に生理学的な錯覚を生じさせるシステムが600で示されている。このシステムは、透明な投影面104を有するハウジング102と、このハウジング102により支持されたストロボライト106と、透明な投影面の付近の不透明な物体602とを有する投影装置100を備え、不透明な物体602は、二次元画像により占有されるネガティブ又はポジティブスペースを画成し、そしてストロボライト106は、観客110が所定の位置にいるとき及び観客が暗い環境にいて観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるときに作動される。
【0039】
図示されたように、不透明な物体602は、不透明なマスクを含み、透明な投影面及びストロボライト106に直接隣接し及びそれらの間に配置される。しかしながら、動物や木のような他の物体が使用されてもよい。
【0040】
図7を参照すれば、観客に生理学的な錯覚を生じさせる方法を例示する上で助けとなるフローチャートが700で一般的に示されている。このフローチャートは、規範的な段階的方法を示しているが、当業者であれば、同様の結果を維持しながらステップを再アレンジ又は再順序付けできることが明らかであろう。
【0041】
透明な投影面を有するハウジングと、このハウジングにより支持されたストロボライトとを備えた投影装置を準備すること(ステップ702)は、図1ないし5を参照して述べた投影装置を準備することを含む。透明な面は、2つの透明なプライ、図3aに示す画像プレート、或いは図4を参照して述べたLCDモニタを含む。
【0042】
半透明な投影面に投影即ち物体のシルエットを形成すること(ステップ704)は、透明な投影面の2つのプライ間のギャップに画像プレートをスライドさせることを含むか、或いはコントローラからの信号を通してLCDモニタにより画像が発生される。画像プレートを使用する場合には、異なる画像が望まれるときにプレートを変更するためにオペレータが使用される。又、スライドリアル(slide real)として機能する機器を使用してプレートが自動的に変更されてもよい。更に、不透明な物体が画像として使用されてもよい。
【0043】
客が所定の位置にいるときにストロボを作動すること(ステップ706)は、ストロボを作動するようにコントローラにシグナリングすることを含む。例えば、客110が軌道上の乗物車輛(例えば、暗がりのローラーコースター)にいる場合には、中央プロセッサ204は、これも中央プロセッサ204と通信する複数の軌道又は車輛センサを通して、乗物車輛位置を通信する。次いで、中央プロセッサは、ストロボライト106を作動するコマンド信号を、所定の時間に、コントローラ202へ送信する。更に、中央プロセッサ204は、ストロボライト106の期間を制御するコマンド信号をコントローラ202へ送信する。この実施形態では、ストロボライト106の期間が乗物車輛の速度に対応する。暗がりのローラーコースターの規範的実施形態では、車輛の速度が比較的高速である。それ故、生理学的な錯覚の望ましい効果を生じさせるために、ストロボ期間は、客が低速度でプロジェクタの視野へと移動するアトラクションに比して比較的長い。次いで、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせること(ステップ708)が行われる。
【0044】
以上、本発明の基本的な新規な特徴をその好ましい実施形態に適用したものを図示して説明し且つ指摘したが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱せずに、ここに例示した装置の形態及び細部並びにそれらの動作において種々の省略、置き換え及び変更がなされ得ることが理解されよう。例えば、実質的に同じ機能を実質的に同じ仕方で遂行して同じ結果を達成するようにこれら要素及び/又は方法ステップを組み合わせることは、全て、本発明の範囲内に包含されることが明確に意図される。更に、本発明のここに開示した態様又は実施形態に関連して図示され及び/又は説明された構造及び/又は要素及び/又は方法ステップは、ここに開示され又は説明され又は示唆された他の態様又は実施形態に、一般的な設計上の選択の問題として合体されてもよいことが明らかである。それ故、本発明は、特許請求の範囲のみによって限定されるものとする。
【符号の説明】
【0045】
100:画像投影装置
102:ハウジング
104:透明な投影面
106:ストロボライト
108:画像
110:客
112:左壁
114:上壁
200:画像投影装置
202:コントローラ
204:中央プロセッサ
208:安定化ブロック
212:電源
300:画像投影アッセンブリ
302:第1プライ
304:第2プライ
306:ギャップ
308:画像プレート
310:安定化部材
312、314:画像プレート
316:ネガティブ画像
318:ポジティブ画像
400:画像投影アッセンブリ
504:LED
602:不透明な物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置において、
透明な投影面を含むハウジングと、
前記ハウジングにより支持されそして前記透明な投影面を照明するように構成されたストロボライトと、
前記ストロボライトと前記透明な投影面との間に介在する物体と、
前記透明な投影面に位置する画像と、
観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるため所定の時間に前記ストロボライトを作動し及びその期間をセットするように構成されたコントローラと
を備えた画像投影装置。
【請求項2】
前記透明な投影面は、画像プレートを挿入するためのギャップを形成する2つの個別のプライを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記画像プレートは複数の画像プレートを含み、各画像プレートには異なる画像が位置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記画像プレートは、内実のシルエット輪郭を有するポジティブな物体を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記画像プレートは、透明なシルエット輪郭を有するネガティブな物体を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記画像プレートは、自動的に変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記画像プレートは、オペレータにより手動で変更可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ストロボライトは、複数の発光ダイオードを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記複数の発光ダイオードは、画像を形成する発光ダイオードのアレイである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
観客に生理学的な錯覚を生じさせる画像投影装置において、
透明な投影面を含むハウジングと、
前記ハウジングにより支持されそして前記透明な投影面を照明するように構成されたストロボライトと、
前記透明な投影面に位置する画像と、
観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせるため所定の時間に前記ストロボライトを作動し及びその期間をセットするように構成されたコントローラと、
を備え、前記コントローラは、更に、前記透明な投影面に位置する画像を発生するように構成される、画像投影装置。
【請求項11】
前記コントローラは、更に、透明な表示部に信号を与えるように構成され、その透明な表示部が、次いで、画像を発生する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記画像は、シルエット及び輪郭の少なくとも1つを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラは、所定のインターバルで画像を変更するように構成されたマイクロプロセッサを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記物体のシルエットは、鹿、豚、ビル、木、又は人間の顔である、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記透明な投影面は、透明なLCDスクリーンである、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記ストロボライトは、複数の発光ダイオードを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の発光ダイオードは、画像を形成する発光ダイオードのアレイである、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
観客に生理学的な錯覚を生じさせる方法において、
透明な投影面を有するハウジング及びこのハウジングにより支持されたストロボライトを含む投影装置を準備する段階と、
前記透明な投影面に物体のシルエットを発生する段階と、
観客が所定の位置にいるとき及び観客が暗い環境にいるときに前記ストロボライトを作動する段階と、
観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせる段階と、
を備えた方法。
【請求項19】
前記透明な投影面に第2の物体のシルエットを発生し、そして前記作動及び発生段階を繰り返すことを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物体のシルエットを発生する段階は、物体のシルエットをマイクロプロセッサで制御することを含み、そのマイクロプロセッサは、画像シルエットを既知のインターバルで変更するように構成された、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記物体のシルエットは、鹿、豚、ビル、木、又は人間の顔である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記画像は、透明なLCDスクリーンに発生される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ストロボライトは、複数の発光ダイオードを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の発光ダイオードは、画像を形成する発光ダイオードのアレイである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
観客に生理学的な錯覚を生じさせるためのシステムにおいて、
透明な投影面を有するハウジングを含む投影装置と、
前記ハウジングにより支持されたストロボライトと、
前記透明な投影面付近にある不透明な三次元物体と、
を備え、前記不透明な三次元物体は、二次元画像により占有されるネガティブ又はポジティブなスペースを画成し、そして前記ストロボライトは、観客が所定の位置にいるとき及び観客が暗い環境にいるときに作動されて、観客に画像の生理学的な錯覚を生じさせる、システム。
【請求項26】
前記不透明な三次元物体は、不透明なマスクを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記不透明な三次元物体は、前記透明な投影面及びストロボライトに直接隣接し及びそれらの間に配置される、請求項25に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−514546(P2013−514546A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544489(P2012−544489)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/045027
【国際公開番号】WO2011/075189
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(511077292)ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】