画像形成装置、プログラム及び記録媒体
【課題】蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定を行うことができる画像形成装置、プログラム及び記録媒体を提供することを課題とする。
【解決手段】複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である蓄積文書について設定項目を再設定の内容に変更し、設定項目が設定可能でない蓄積文書について設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、設定項目が再設定された蓄積文書を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする画像形成装置により上記課題を解決する。
【解決手段】複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である蓄積文書について設定項目を再設定の内容に変更し、設定項目が設定可能でない蓄積文書について設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、設定項目が再設定された蓄積文書を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする画像形成装置により上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置に蓄積された蓄積文書を任意のときに呼び出し、印刷することは従来から行われている。蓄積文書の印刷にあたっては、複数の蓄積文書から印刷する1又は複数の蓄積文書を選択するための選択操作と、選択された蓄積文書の印刷条件を設定する印刷条件設定操作とが必要である。
【0003】
文書データを蓄積するデータ記憶手段を備え、任意のときに前記文書データを読み出して印刷を行なう画像形成装置において、前記文書データの印刷履歴を記録する印刷履歴記録手段と、前記文書データを特定するための認識コードと書誌情報を記録する書誌情報記録手段と、を更に備え、前記印刷履歴記録手段からの印刷履歴情報をもとに、所望の位置の印刷履歴情報により文書選択と印刷条件を設定可能とすることは、従来から知られた技術である(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記画像形成装置ではRIP(Raster Image Processor)処理によりベクタイメージのPDL(Page Description Language)データから変換したラスターイメージのビットマップデータ(画像データ)を蓄積文書として蓄積している。RIP処理後の蓄積文書は設定可能な印刷条件が共通である。したがって、RIP処理後の蓄積文書は一括して印刷条件の設定が可能であった。
【0005】
しかし、PDLデータの状態で蓄積された蓄積文書は、PDLデータの種類によって設定可能な印刷条件が異なる場合があった。したがって、PDLデータの状態で蓄積された複数の蓄積文書は、一方のPDLデータの種類において設定可能な印刷条件であっても他方のPDLデータの種類において設定不可な印刷条件であれば、一括して印刷条件の設定ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定を行うことができる画像形成装置、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする。
【0008】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定を行うことができる画像形成装置、プログラム及び記録媒体を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】印刷システムの一例の構成図である。
【図2】印刷データを受信したときの処理を表した一例のフローチャートである。
【図3】印刷データの蓄積の第1の方法を表した一例のフローチャートである。
【図4】印刷データの蓄積の第2の方法を表した一例のフローチャートである。
【図5】蓄積文書の印刷の手順を表した一例のフローチャートである。
【図6】操作パネルに表示される印刷条件設定画面の一例のイメージ図である。
【図7】各PDLデータにおいて設定可能な設定項目の一例の説明図である。
【図8】複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目の一例の説明図である。
【図9】蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。
【図10】蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。
【図11】印刷処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本実施の形態におけるプリンタは画像形成装置の一例である。画像形成装置は、複合機やFAX、コピー機などのプリンタ機能を備える機器であればよい。
【0012】
(構成図)
図1は印刷システムの一例の構成図である。印刷システム1はホスト2とプリンタ3とがデータ通信可能に接続されている。ホスト2とプリンタ3とはLAN等のネットワークを介して接続されてもよい。
【0013】
プリンタ3は操作パネル10とコントローラ11とプリンタエンジン12とを有する構成である。操作パネル10はプリンタ3の状態を示す表示部、及び、プリンタ3のモードやフォント等を切り替えるスイッチ部を有する。コントローラ11は、その時に設定されているモード、及び、ホスト2からの制御データに従って、ホスト2からの印刷データをビデオデータに変換し、プリンタエンジン12へ出力する制御機構の総称である。プリンタエンジン12は、コントローラ11からのビデオデータ及び制御データにより感光体上に静電潜像を作って現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、転写及び定着を行い、画像を形成する。
【0014】
コントローラ11は例えば図1に示すようなモジュールにより構成される。図1のコントローラ11はホストI/F21、プログラムROM22、フォントROM23、パネルI/F24、HDD25、CPU26、RAM27、NV−RAM28、エンジンI/F29を有する。
【0015】
ホストI/F21はホスト2からプリンタ3への制御データ及び印刷データ、プリンタ3からホスト2へのステータス信号のインタフェースである。プログラムROM22はコントローラ11内でのデータの管理や周辺モジュールを制御するためのプログラムが格納されている。フォントROM23は印刷に使用される様々な種類のフォントのデータが格納されている。
【0016】
パネルI/F24はプリンタ3の状態、モード、フォント等の切り替えを行うための信号のインタフェースである。HDD25はプリンタ3の印刷データを保存するストレージの一例である。CPU26はプログラムROM22に格納されたプログラムに従ってホスト2からのデータ(印刷データ及び制御データ)を処理する。
【0017】
RAM27はCPU26が処理する時のワークメモリとして使われる。また、RAM27はホスト2からの印刷データをページ単位に管理して一時記憶するバッファとして使われる。さらに、RAM27はバッファに記憶された印刷データを実際の印刷パターンに変換し、ビデオデータ(画像データ)を記憶するビットマップメモリ等として使われる。
【0018】
NV−RAM28は電源を切っても保持したいデータ等を格納しておく為の不揮発性RAMである。エンジンI/F29はコントローラ11からプリンタエンジン12への制御データ及びビデオデータ、プリンタエンジン12からコントローラ11へのステータス信号のインタフェースである。
【0019】
ホストI/F21を介してホスト2から送られてきたデータは、CPU26により印刷データ及び制御データと、その他とに分けられる。なお、印刷データ及び制御データは制御コードに変換されてバッファに記憶される。ホスト2からのプリント命令またはホスト2から受け取った印刷データが1ページ分を超えたとき、コントローラ11はまず、中間コード(制御コード)をビデオデータに変換する。コントローラ11はビデオデータへの変換が終了すると、エンジンI/F29を介してプリンタエンジン12にプリント開始の命令を出す。
【0020】
以上のような一連の流れにより、ホスト2からの印刷データはプリンタエンジン12により印刷される。なお、蓄積が指定された印刷データはHDD25へ蓄積される。再印刷を行う場合、ユーザは操作パネル10などから印刷する印刷データを選択し、印刷を再開する。
【0021】
なお、コントローラ11はインストール用記録媒体(以下、単に記録媒体と呼ぶ)30を有していてもよい。記録媒体30は脱着可能なものやソケット等を介して接続されるものも含む。プリンタ3を制御する各種プログラムは、例えば記録媒体30の配布やネットワーク等からのダウンロードなどによって提供される。
【0022】
記録媒体30はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプを用いることができる。プログラムは記録媒体30からHDD25にインストールされる。ネットワーク等からダウンロードされたプログラムもHDD25にインストールされる。
【0023】
HDD25はプログラム、必要なファイル、データ等を格納する。HDD25にインストールされたプログラムは起動時にRAM27に読み出される。そして、CPU26はRAM27に格納されたプログラムに従って、各種処理を実現している。
【0024】
(処理手順)
図2は印刷データを受信したときの処理を表した一例のフローチャートである。プリンタ3はステップS1において、ホスト2から印刷データを受信する。ステップS2においてコントローラ11は受信した印刷データに蓄積指定があるか否かを判定する。蓄積指定が無い印刷データであれば、ステップS3に進み、コントローラ11は上記したようにプリンタエンジン12に印刷を行わせる。
【0025】
蓄積指定が有る印刷データであれば、ステップS4に進み、コントローラ11はHDD25へ印刷データを蓄積する。なお、図2では蓄積指定が有る印刷データの印刷を行わない例を示しているが、印刷データの印刷を行った後で印刷データを蓄積するようにしてもよい。ステップS4における印刷データの蓄積には以下のように2種類の方法がある。
【0026】
図3は印刷データの蓄積の第1の方法を表した一例のフローチャートである。ステップS11において、コントローラ11は受信したPDLデータ形式の印刷データをPDLデータのままHDD25に蓄積する。
【0027】
図4は印刷データの蓄積の第2の方法を表した一例のフローチャートである。ステップS21において、コントローラ11はPDLデータをRIP処理により画像データに変換する。ステップS22において、コントローラ11は変換後の画像データをHDD25に蓄積する。本実施の形態では図3に示した第1の方法による蓄積を前提とする。本実施の形態では図3に示した第1の方法によりHDD25に蓄積されたPDLデータを蓄積文書と呼ぶ。
【0028】
図5は蓄積文書の印刷の手順を表した一例のフローチャートである。ステップS31において、ユーザは操作パネル10やホスト2、Web等を操作して、印刷する蓄積文書を選択する。コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。
【0029】
ステップS32において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS33に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS34に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧を、ステップS33で設定した初期値と共に表示する。
【0030】
一方、ステップS32において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS35に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS36に進み、コントローラ11は複数文書選択時用の設定項目一覧を、ステップS35で設定した初期値と共に表示する。ステップS34又はS36の処理後、ステップS37において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0031】
図6は操作パネルに表示される印刷条件設定画面の一例のイメージ図である。印刷条件設定画面40は設定項目が印刷サイズ、給紙トレイ選択、用紙種類、倍率、カラー/モノクロ、解像度の例を表している。また、印刷条件設定画面40は初期値がA4、自動用紙選択、普通紙/再生紙、印刷サイズに合わせる、カラー、600×600dpsの例を表している。ユーザは印刷条件設定画面40において設定項目の初期値を必要に応じて変更した後、印刷を行う。
【0032】
図7は各PDLデータにおいて設定可能な設定項目の一例の説明図である。図7では各PDLデータで設定可能な設定項目に「○」が付されている。図7では蓄積文書のPDLデータ形式ごとの設定可能な設定項目が印刷条件変更可否として「○」又は「−」で示されている。例えばユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL2」であれば設定可能な設定項目は、集約、集約方向、集約仕切り線以外の設定項目となる。
【0033】
なお、図6に示した印刷条件設定画面は、ユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL2」であれば、集約、集約方向、集約仕切り線以外の設定項目が表示されるため、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目を設定できない。また、図6に示した印刷条件設定画面は、ユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL3」であれば、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目も表示されるため、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目を設定できる。
【0034】
ステップS32において、ユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であった場合は印刷条件設定画面を生成するとき、以下の問題が生じる。例えばユーザが選択した印刷する蓄積文書は同じ設定項目の初期値が異なる場合があった。また、ユーザが選択した印刷する蓄積文書のPDLデータ形式(図7のPDL1、PDL2など)が異なることで設定可能な設定項目の範囲が異なる場合があった。
【0035】
そこで、本実施の形態では、複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定すると共に、複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の設定項目一覧を印刷条件変更時の設定項目の範囲として設定する。
【0036】
図8は複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目の一例の説明図である。図8では複数文書選択時用の設定項目と初期値とが対応付けられて設定されている。
【0037】
図9は蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。図9はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であるとき、選択した複数の蓄積文書が異なるPDLデータ形式であれば、図8の複数文書選択時用の設定項目と初期値とを利用する例を表している。なお、図9のフローチャートは一部を除き、図5のフローチャートと同様である。
【0038】
ステップS41において、コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。ステップS42において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS43に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS44に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS43で設定した初期値と共に表示する。
【0039】
一方、ステップS42において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS45に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。
【0040】
ステップS46に進み、コントローラ11は選択した複数の蓄積文書が全て同一のPDLデータ形式(PDLデータ種類)であるか否かを判定する。選択した複数の蓄積文書が全て同一のPDLデータ形式であれば、コントローラ11はステップS44に進み、印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS45で設定した初期値と共に表示する。
【0041】
選択した複数の蓄積文書に異なる種類のPDLデータ形式であれば、コントローラ11はステップS47に進み、複数文書選択時用の設定項目一覧を、ステップS45で設定した初期値と共に表示する。そして、ステップS44又はS47の処理後、ステップS48において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0042】
図10は、蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。図10は選択した複数の蓄積文書について、設定項目毎に共通の初期値が多いものを、その設定項目の初期値とする例を表している。なお、図10のフローチャートは一部を除いて、図5のフローチャートと同様である。
【0043】
ステップS51において、コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。ステップS52において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS53に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS54に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS53で設定した初期値と共に表示する。
【0044】
一方、ステップS52において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS55に進む。コントローラ11は選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されているか否かを判定する。
【0045】
コントローラ11は、選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されていなければ、ステップS56に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。また、コントローラ11は、選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されていれば、ステップS57に進み、最も数の多く設定されている初期値を、その設定項目の初期値とする。ステップS56又はS57に続いてステップS58に進み、コントローラ11は複数文書選択時用の設定項目一覧をステップS56又はS57で設定した初期値と共に表示する。そして、ステップS54又はS58の処理後、ステップS59において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0046】
図5のステップS37、図9のステップS48、図10のステップS59の印刷処理は例えば図11に示すフローチャートの手順で行われる。図11は印刷処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【0047】
ステップS61において、ユーザは表示された設定項目一覧から設定変更を行いたい設定項目を選択し、印刷条件の再設定を行う。コントローラ11はユーザからの印刷条件の変更を受け付ける。
【0048】
ステップS62において、ユーザは選択した蓄積文書の印刷指示を行う。コントローラ11はユーザから蓄積文書の印刷指示を受け付ける。プリンタ3は印刷指示を受け付けた蓄積文書の印刷を順番に行う。ステップS63において、コントローラ11は印刷指示を受け付けた蓄積文書i(i=1〜m)を1つずつ選択する。
【0049】
また、ステップS64において、コントローラ11は設定項目j(j=1〜n)を1つずつ選択する。ステップS65において、コントローラ11は印刷する蓄積文書iであるPDLデータが設定項目jをサポートしているか否かを判定する。
【0050】
設定項目jをサポートしていれば、コントローラ11はステップS66において、設定項目jをユーザが再設定した値又は初期値に変更する。なお、設定項目jをサポートしていなければ、コントローラ11はステップS66の処理を行わない。ステップS65及びS66の処理は全ての設定項目に対して行われる。全ての設定項目に対してステップS65及びS66の処理が行われたあと、コントローラ11はステップS67において、再設定された印刷条件でプリンタエンジン12に蓄積文書iの印刷を行わせる。
【0051】
また、ステップS64〜S67の処理は全ての蓄積文書iに対して行われる。図11の印刷処理により、コントローラ11はプリンタエンジン12に全ての蓄積文書iの印刷を行わせることができる。
【0052】
蓄積文書iの印刷では設定項目毎に再設定された値を反映し、印刷を行う。印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式が再設定された設定項目をサポートしていない場合は、その再設定を無効とし、再設定された値を反映しない。PDLデータ形式で蓄積した蓄積文書iの印刷において、印刷する蓄積文書iを複数選択した場合には、予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目を設定する。そして、実際の印刷処理時には印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式で無効である設定項目を無視することにより、印刷する蓄積文書iを複数選択した場合であっても、一括での印刷条件の設定を有効としている。
【0053】
なお、コントローラ11は印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式が再設定された設定項目を1つでもサポートしていない場合は、カラー/白黒の設定項目以外、全てを無効としてもよい。カラー/白黒の設定項目は課金に関連のある情報であるため、カラー/白黒の設定項目を常時、ユーザが選択できるようにしておく。
【0054】
(まとめ)
本実施の形態によれば、PDLデータ形式の蓄積文書の印刷条件の設定において、一括設定時に予め決められた複数文書選択時用の共通な設定項目で設定変更を行い、印刷時に設定変更できない設定項目については、その設定項目を無効とすることで、PDLデータ形式の蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定変更が可能である。
【0055】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0056】
なお、特許請求の範囲に記載した蓄積手段はHDD25に相当する。文書選択手段は例えばステップS31の処理に相当する。画面表示手段は例えばステップS32〜S36の処理に相当する。再設定受付手段はステップS61〜S62の処理に相当する。再設定制御手段はステップS63〜S66の処理に相当する。印刷手段はステップS67の処理に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1 印刷システム
2 ホスト
3 プリンタ
10 操作パネル
11 コントローラ
12 プリンタエンジン
21 ホストI/F
22 プログラムROM
23 フォントROM
24 パネルI/F
25 HDD
26 CPU
27 RAM
28 NV−RAM
29 エンジンI/F
30 インストール用記録媒体
40 印刷条件設定画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2003−127473号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶装置に蓄積された蓄積文書を任意のときに呼び出し、印刷することは従来から行われている。蓄積文書の印刷にあたっては、複数の蓄積文書から印刷する1又は複数の蓄積文書を選択するための選択操作と、選択された蓄積文書の印刷条件を設定する印刷条件設定操作とが必要である。
【0003】
文書データを蓄積するデータ記憶手段を備え、任意のときに前記文書データを読み出して印刷を行なう画像形成装置において、前記文書データの印刷履歴を記録する印刷履歴記録手段と、前記文書データを特定するための認識コードと書誌情報を記録する書誌情報記録手段と、を更に備え、前記印刷履歴記録手段からの印刷履歴情報をもとに、所望の位置の印刷履歴情報により文書選択と印刷条件を設定可能とすることは、従来から知られた技術である(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記画像形成装置ではRIP(Raster Image Processor)処理によりベクタイメージのPDL(Page Description Language)データから変換したラスターイメージのビットマップデータ(画像データ)を蓄積文書として蓄積している。RIP処理後の蓄積文書は設定可能な印刷条件が共通である。したがって、RIP処理後の蓄積文書は一括して印刷条件の設定が可能であった。
【0005】
しかし、PDLデータの状態で蓄積された蓄積文書は、PDLデータの種類によって設定可能な印刷条件が異なる場合があった。したがって、PDLデータの状態で蓄積された複数の蓄積文書は、一方のPDLデータの種類において設定可能な印刷条件であっても他方のPDLデータの種類において設定不可な印刷条件であれば、一括して印刷条件の設定ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定を行うことができる画像形成装置、プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段とを有することを特徴とする。
【0008】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定を行うことができる画像形成装置、プログラム及び記録媒体を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】印刷システムの一例の構成図である。
【図2】印刷データを受信したときの処理を表した一例のフローチャートである。
【図3】印刷データの蓄積の第1の方法を表した一例のフローチャートである。
【図4】印刷データの蓄積の第2の方法を表した一例のフローチャートである。
【図5】蓄積文書の印刷の手順を表した一例のフローチャートである。
【図6】操作パネルに表示される印刷条件設定画面の一例のイメージ図である。
【図7】各PDLデータにおいて設定可能な設定項目の一例の説明図である。
【図8】複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目の一例の説明図である。
【図9】蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。
【図10】蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。
【図11】印刷処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本実施の形態におけるプリンタは画像形成装置の一例である。画像形成装置は、複合機やFAX、コピー機などのプリンタ機能を備える機器であればよい。
【0012】
(構成図)
図1は印刷システムの一例の構成図である。印刷システム1はホスト2とプリンタ3とがデータ通信可能に接続されている。ホスト2とプリンタ3とはLAN等のネットワークを介して接続されてもよい。
【0013】
プリンタ3は操作パネル10とコントローラ11とプリンタエンジン12とを有する構成である。操作パネル10はプリンタ3の状態を示す表示部、及び、プリンタ3のモードやフォント等を切り替えるスイッチ部を有する。コントローラ11は、その時に設定されているモード、及び、ホスト2からの制御データに従って、ホスト2からの印刷データをビデオデータに変換し、プリンタエンジン12へ出力する制御機構の総称である。プリンタエンジン12は、コントローラ11からのビデオデータ及び制御データにより感光体上に静電潜像を作って現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、転写及び定着を行い、画像を形成する。
【0014】
コントローラ11は例えば図1に示すようなモジュールにより構成される。図1のコントローラ11はホストI/F21、プログラムROM22、フォントROM23、パネルI/F24、HDD25、CPU26、RAM27、NV−RAM28、エンジンI/F29を有する。
【0015】
ホストI/F21はホスト2からプリンタ3への制御データ及び印刷データ、プリンタ3からホスト2へのステータス信号のインタフェースである。プログラムROM22はコントローラ11内でのデータの管理や周辺モジュールを制御するためのプログラムが格納されている。フォントROM23は印刷に使用される様々な種類のフォントのデータが格納されている。
【0016】
パネルI/F24はプリンタ3の状態、モード、フォント等の切り替えを行うための信号のインタフェースである。HDD25はプリンタ3の印刷データを保存するストレージの一例である。CPU26はプログラムROM22に格納されたプログラムに従ってホスト2からのデータ(印刷データ及び制御データ)を処理する。
【0017】
RAM27はCPU26が処理する時のワークメモリとして使われる。また、RAM27はホスト2からの印刷データをページ単位に管理して一時記憶するバッファとして使われる。さらに、RAM27はバッファに記憶された印刷データを実際の印刷パターンに変換し、ビデオデータ(画像データ)を記憶するビットマップメモリ等として使われる。
【0018】
NV−RAM28は電源を切っても保持したいデータ等を格納しておく為の不揮発性RAMである。エンジンI/F29はコントローラ11からプリンタエンジン12への制御データ及びビデオデータ、プリンタエンジン12からコントローラ11へのステータス信号のインタフェースである。
【0019】
ホストI/F21を介してホスト2から送られてきたデータは、CPU26により印刷データ及び制御データと、その他とに分けられる。なお、印刷データ及び制御データは制御コードに変換されてバッファに記憶される。ホスト2からのプリント命令またはホスト2から受け取った印刷データが1ページ分を超えたとき、コントローラ11はまず、中間コード(制御コード)をビデオデータに変換する。コントローラ11はビデオデータへの変換が終了すると、エンジンI/F29を介してプリンタエンジン12にプリント開始の命令を出す。
【0020】
以上のような一連の流れにより、ホスト2からの印刷データはプリンタエンジン12により印刷される。なお、蓄積が指定された印刷データはHDD25へ蓄積される。再印刷を行う場合、ユーザは操作パネル10などから印刷する印刷データを選択し、印刷を再開する。
【0021】
なお、コントローラ11はインストール用記録媒体(以下、単に記録媒体と呼ぶ)30を有していてもよい。記録媒体30は脱着可能なものやソケット等を介して接続されるものも含む。プリンタ3を制御する各種プログラムは、例えば記録媒体30の配布やネットワーク等からのダウンロードなどによって提供される。
【0022】
記録媒体30はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプを用いることができる。プログラムは記録媒体30からHDD25にインストールされる。ネットワーク等からダウンロードされたプログラムもHDD25にインストールされる。
【0023】
HDD25はプログラム、必要なファイル、データ等を格納する。HDD25にインストールされたプログラムは起動時にRAM27に読み出される。そして、CPU26はRAM27に格納されたプログラムに従って、各種処理を実現している。
【0024】
(処理手順)
図2は印刷データを受信したときの処理を表した一例のフローチャートである。プリンタ3はステップS1において、ホスト2から印刷データを受信する。ステップS2においてコントローラ11は受信した印刷データに蓄積指定があるか否かを判定する。蓄積指定が無い印刷データであれば、ステップS3に進み、コントローラ11は上記したようにプリンタエンジン12に印刷を行わせる。
【0025】
蓄積指定が有る印刷データであれば、ステップS4に進み、コントローラ11はHDD25へ印刷データを蓄積する。なお、図2では蓄積指定が有る印刷データの印刷を行わない例を示しているが、印刷データの印刷を行った後で印刷データを蓄積するようにしてもよい。ステップS4における印刷データの蓄積には以下のように2種類の方法がある。
【0026】
図3は印刷データの蓄積の第1の方法を表した一例のフローチャートである。ステップS11において、コントローラ11は受信したPDLデータ形式の印刷データをPDLデータのままHDD25に蓄積する。
【0027】
図4は印刷データの蓄積の第2の方法を表した一例のフローチャートである。ステップS21において、コントローラ11はPDLデータをRIP処理により画像データに変換する。ステップS22において、コントローラ11は変換後の画像データをHDD25に蓄積する。本実施の形態では図3に示した第1の方法による蓄積を前提とする。本実施の形態では図3に示した第1の方法によりHDD25に蓄積されたPDLデータを蓄積文書と呼ぶ。
【0028】
図5は蓄積文書の印刷の手順を表した一例のフローチャートである。ステップS31において、ユーザは操作パネル10やホスト2、Web等を操作して、印刷する蓄積文書を選択する。コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。
【0029】
ステップS32において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS33に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS34に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧を、ステップS33で設定した初期値と共に表示する。
【0030】
一方、ステップS32において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS35に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS36に進み、コントローラ11は複数文書選択時用の設定項目一覧を、ステップS35で設定した初期値と共に表示する。ステップS34又はS36の処理後、ステップS37において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0031】
図6は操作パネルに表示される印刷条件設定画面の一例のイメージ図である。印刷条件設定画面40は設定項目が印刷サイズ、給紙トレイ選択、用紙種類、倍率、カラー/モノクロ、解像度の例を表している。また、印刷条件設定画面40は初期値がA4、自動用紙選択、普通紙/再生紙、印刷サイズに合わせる、カラー、600×600dpsの例を表している。ユーザは印刷条件設定画面40において設定項目の初期値を必要に応じて変更した後、印刷を行う。
【0032】
図7は各PDLデータにおいて設定可能な設定項目の一例の説明図である。図7では各PDLデータで設定可能な設定項目に「○」が付されている。図7では蓄積文書のPDLデータ形式ごとの設定可能な設定項目が印刷条件変更可否として「○」又は「−」で示されている。例えばユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL2」であれば設定可能な設定項目は、集約、集約方向、集約仕切り線以外の設定項目となる。
【0033】
なお、図6に示した印刷条件設定画面は、ユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL2」であれば、集約、集約方向、集約仕切り線以外の設定項目が表示されるため、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目を設定できない。また、図6に示した印刷条件設定画面は、ユーザが選択した蓄積文書のPDLデータ形式が「PDL3」であれば、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目も表示されるため、集約、集約方向、集約仕切り線の設定項目を設定できる。
【0034】
ステップS32において、ユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であった場合は印刷条件設定画面を生成するとき、以下の問題が生じる。例えばユーザが選択した印刷する蓄積文書は同じ設定項目の初期値が異なる場合があった。また、ユーザが選択した印刷する蓄積文書のPDLデータ形式(図7のPDL1、PDL2など)が異なることで設定可能な設定項目の範囲が異なる場合があった。
【0035】
そこで、本実施の形態では、複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定すると共に、複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の設定項目一覧を印刷条件変更時の設定項目の範囲として設定する。
【0036】
図8は複数文書選択時用に予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目の一例の説明図である。図8では複数文書選択時用の設定項目と初期値とが対応付けられて設定されている。
【0037】
図9は蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。図9はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であるとき、選択した複数の蓄積文書が異なるPDLデータ形式であれば、図8の複数文書選択時用の設定項目と初期値とを利用する例を表している。なお、図9のフローチャートは一部を除き、図5のフローチャートと同様である。
【0038】
ステップS41において、コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。ステップS42において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS43に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS44に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS43で設定した初期値と共に表示する。
【0039】
一方、ステップS42において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS45に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。
【0040】
ステップS46に進み、コントローラ11は選択した複数の蓄積文書が全て同一のPDLデータ形式(PDLデータ種類)であるか否かを判定する。選択した複数の蓄積文書が全て同一のPDLデータ形式であれば、コントローラ11はステップS44に進み、印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS45で設定した初期値と共に表示する。
【0041】
選択した複数の蓄積文書に異なる種類のPDLデータ形式であれば、コントローラ11はステップS47に進み、複数文書選択時用の設定項目一覧を、ステップS45で設定した初期値と共に表示する。そして、ステップS44又はS47の処理後、ステップS48において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0042】
図10は、蓄積文書の印刷の手順を表した他の例のフローチャートである。図10は選択した複数の蓄積文書について、設定項目毎に共通の初期値が多いものを、その設定項目の初期値とする例を表している。なお、図10のフローチャートは一部を除いて、図5のフローチャートと同様である。
【0043】
ステップS51において、コントローラ11はユーザからの印刷する蓄積文書の選択を受け付ける。ステップS52において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つか2つ以上かを判定する。コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が1つであればステップS53に進み、印刷する蓄積文書に設定されている印刷条件を印刷条件変更時の初期値に設定する。ステップS54に進み、コントローラ11は印刷する蓄積文書であるPDLデータにおいて設定可能な設定項目一覧をステップS53で設定した初期値と共に表示する。
【0044】
一方、ステップS52において、コントローラ11はユーザが選択した印刷する蓄積文書の数が2つ以上であればステップS55に進む。コントローラ11は選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されているか否かを判定する。
【0045】
コントローラ11は、選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されていなければ、ステップS56に進み、複数文書選択時用の初期値を印刷条件変更時の初期値に設定する。また、コントローラ11は、選択された複数の蓄積文書について、設定項目毎に同一の初期値が設定されていれば、ステップS57に進み、最も数の多く設定されている初期値を、その設定項目の初期値とする。ステップS56又はS57に続いてステップS58に進み、コントローラ11は複数文書選択時用の設定項目一覧をステップS56又はS57で設定した初期値と共に表示する。そして、ステップS54又はS58の処理後、ステップS59において、コントローラ11は後述のように印刷処理を行う。
【0046】
図5のステップS37、図9のステップS48、図10のステップS59の印刷処理は例えば図11に示すフローチャートの手順で行われる。図11は印刷処理の手順を表した一例のフローチャートである。
【0047】
ステップS61において、ユーザは表示された設定項目一覧から設定変更を行いたい設定項目を選択し、印刷条件の再設定を行う。コントローラ11はユーザからの印刷条件の変更を受け付ける。
【0048】
ステップS62において、ユーザは選択した蓄積文書の印刷指示を行う。コントローラ11はユーザから蓄積文書の印刷指示を受け付ける。プリンタ3は印刷指示を受け付けた蓄積文書の印刷を順番に行う。ステップS63において、コントローラ11は印刷指示を受け付けた蓄積文書i(i=1〜m)を1つずつ選択する。
【0049】
また、ステップS64において、コントローラ11は設定項目j(j=1〜n)を1つずつ選択する。ステップS65において、コントローラ11は印刷する蓄積文書iであるPDLデータが設定項目jをサポートしているか否かを判定する。
【0050】
設定項目jをサポートしていれば、コントローラ11はステップS66において、設定項目jをユーザが再設定した値又は初期値に変更する。なお、設定項目jをサポートしていなければ、コントローラ11はステップS66の処理を行わない。ステップS65及びS66の処理は全ての設定項目に対して行われる。全ての設定項目に対してステップS65及びS66の処理が行われたあと、コントローラ11はステップS67において、再設定された印刷条件でプリンタエンジン12に蓄積文書iの印刷を行わせる。
【0051】
また、ステップS64〜S67の処理は全ての蓄積文書iに対して行われる。図11の印刷処理により、コントローラ11はプリンタエンジン12に全ての蓄積文書iの印刷を行わせることができる。
【0052】
蓄積文書iの印刷では設定項目毎に再設定された値を反映し、印刷を行う。印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式が再設定された設定項目をサポートしていない場合は、その再設定を無効とし、再設定された値を反映しない。PDLデータ形式で蓄積した蓄積文書iの印刷において、印刷する蓄積文書iを複数選択した場合には、予め決められた複数文書選択時用の初期値及び設定項目を設定する。そして、実際の印刷処理時には印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式で無効である設定項目を無視することにより、印刷する蓄積文書iを複数選択した場合であっても、一括での印刷条件の設定を有効としている。
【0053】
なお、コントローラ11は印刷する蓄積文書iのPDLデータ形式が再設定された設定項目を1つでもサポートしていない場合は、カラー/白黒の設定項目以外、全てを無効としてもよい。カラー/白黒の設定項目は課金に関連のある情報であるため、カラー/白黒の設定項目を常時、ユーザが選択できるようにしておく。
【0054】
(まとめ)
本実施の形態によれば、PDLデータ形式の蓄積文書の印刷条件の設定において、一括設定時に予め決められた複数文書選択時用の共通な設定項目で設定変更を行い、印刷時に設定変更できない設定項目については、その設定項目を無効とすることで、PDLデータ形式の蓄積文書に対して一括で印刷条件の設定変更が可能である。
【0055】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【0056】
なお、特許請求の範囲に記載した蓄積手段はHDD25に相当する。文書選択手段は例えばステップS31の処理に相当する。画面表示手段は例えばステップS32〜S36の処理に相当する。再設定受付手段はステップS61〜S62の処理に相当する。再設定制御手段はステップS63〜S66の処理に相当する。印刷手段はステップS67の処理に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1 印刷システム
2 ホスト
3 プリンタ
10 操作パネル
11 コントローラ
12 プリンタエンジン
21 ホストI/F
22 プログラムROM
23 フォントROM
24 パネルI/F
25 HDD
26 CPU
27 RAM
28 NV−RAM
29 エンジンI/F
30 インストール用記録媒体
40 印刷条件設定画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2003−127473号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、
前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、
設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、
初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、
前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段と
を有すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画面表示手段は、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、前記蓄積文書の種類が同一であれば、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画面表示手段は、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、前記蓄積文書の設定項目に同一の初期値が設定されていなければ、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示し、前記蓄積文書の設定項目に同一の初期値が設定されていれば、最も数の多い初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄積文書は、PDLデータ形式の印刷データであること
を特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置を、
複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段、
前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段、
前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段、
設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段、
初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段、
前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段と、
前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段と、
設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段と、
初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段と、
前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段と
を有すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画面表示手段は、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、前記蓄積文書の種類が同一であれば、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画面表示手段は、前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、前記蓄積文書の設定項目に同一の初期値が設定されていなければ、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示し、前記蓄積文書の設定項目に同一の初期値が設定されていれば、最も数の多い初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記蓄積文書は、PDLデータ形式の印刷データであること
を特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置を、
複数の蓄積文書を蓄積する蓄積手段、
前記蓄積手段に蓄積された複数の蓄積文書のうち、印刷する1以上の蓄積文書の選択を受け付ける文書選択手段、
前記文書選択手段で選択を受け付けた蓄積文書が複数である場合に、複数文書選択時用の初期値及び設定項目一覧を含む印刷条件設定画面を表示手段に表示する画面表示手段、
設定変更を行う設定項目の選択、及び、選択した設定項目の初期値の再設定を受け付ける再設定受付手段、
初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能である前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更し、初期値の再設定を受け付けた設定項目が設定可能でない前記蓄積文書について前記設定項目を再設定の内容に変更しない再設定制御手段、
前記設定項目が再設定された前記蓄積文書を印刷する印刷手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−56448(P2013−56448A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195376(P2011−195376)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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