説明

画像形成装置、印刷制御方法、及びプログラム

【課題】
画像形成装置において、印刷停止要求を受け付けたときに、記録用紙を無駄にすることなく印刷動作を迅速に停止する。
【解決手段】
記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置であって、実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷制御手段402と、画像形成動作を停止させたときの、記録用紙上の画像の末端位置を特定する末端特定手段406と、特定した末端位置が切断位置に到達するまで搬送手段を制御する搬送制御手段410と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、印刷制御方法、及びプログラムに関し、特に、ユーザから与えられる印刷停止要求に基づいて、実行中の印刷動作を停止する機能を有する画像形成装置、当該画像形成装置における印刷制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、印刷要求を受信して印刷動作を開始した後にその印刷動作の停止要求(印刷停止要求)を受信した場合、実行中の印刷動作を即座には停止せず、給紙を開始した用紙については印刷動作を続け、当該用紙への印刷動作が終了したときに印刷動作を停止するという印刷停止方法が知られている。
【0003】
この印刷停止方法を用いたものとして、指定した頁番号のページまで印刷した後に印刷動作を停止するか、実行中の印刷ページの印刷動作を即座に停止して排紙を行うか、又は、実行中の印刷ページの印刷動作を即座に停止し排紙も行わないまま動作を停止するかを、ユーザが選択できる画像出力装置も知られている(特許文献1参照)。
【0004】
上記従来の画像形成装置では、シート状の記録用紙に印刷を行う場合においては、余分な記録用紙や印刷用インクの消耗を避けて印刷動作を停止することができる。しかし、長尺帯状の記録用紙に印刷を行う画像形成装置では、記録用紙や印刷用インクの余分な消耗を防止することは困難である。
【0005】
すなわち、長尺の記録用紙に印刷を行う画像形成装置では、一般に、巻き取った給紙ロールから記録用紙を繰り出して印刷し、印刷した記録用紙を所定の長さに切断して1枚の印刷紙として排出する構成となっており、印刷紙としての上記所定の長さは、十数メートルあるいは数十メートルに及ぶことがある。
【0006】
このような場合、長尺記録用紙を用いる画像形成装置において印刷停止要求を出しても、上述した従来の印刷停止方法では、一度給紙された長尺記録用紙は、時として数十メートルにも及ぶ1ページ分の印刷動作が終了するまで停止されず、印刷停止要求を受信した後に継続される不要な印刷動作のために、多くの記録紙が無駄に消費され、これに伴って、印刷用インクや印刷用電力も、無駄に消費されることになる。
【0007】
上記のような記録用紙等の浪費を防止する一方法として、ユーザが、印刷動作の実行中に画像形成装置の主電源を断にする方法や、画像形成装置に設けられた保守作業等のためのインターロック付きドアを開けて印刷動作を停止させる方法が知られている。しかし、いずれの方法も、画像形成装置内部の状態に関わらず強制的に印刷動作を停止させるものであり、画像形成装置にダメージを与えて故障を誘発する要因になる。また、画像形成装置内部における用紙搬送動作も停止することから、印刷途中であった記録用紙は排出されず、不要な用紙除去作業をユーザに強いることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、長尺記録用紙を用いる画像形成装置において、印刷停止要求を受信した際に、無駄な印刷動作を防止して記録用紙や印刷用インクの浪費を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置であって、実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷制御手段と、前記画像形成動作を停止させたときの前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定手段と、前記末端特定手段で特定した末端位置が前記切断位置に到達するまで前記搬送手段を制御する搬送制御手段と、を有する画像形成装置である。
また、本発明は、記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置における印刷制御方法であって、実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷停止工程と、前記印刷停止工程において画像形成動作を停止させたときの、前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定工程と、前記末端特定工程において特定した前記末端位置が前記切断位置に到達するまで前記記録用紙を搬送する搬送工程と、を有する印刷制御方法である。
また、本発明は、記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置のコンピュータを、実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷制御手段と、前記画像形成動作を停止させたときの前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定手段と、前記末端特定手段で特定した末端位置が前記切断位置に到達するまで前記搬送手段を制御する搬送制御手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、長尺記録用紙を用いる画像形成装置において、印刷停止要求を受信した際に、無駄な印刷動作を防止して記録用紙や印刷用インクの浪費を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本画像形成装置のエンジン部の構成を示す構成図である。
【図3】図2に示すエンジン部を上部から見た部分拡大図である。
【図4】本画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本画像形成装置のメイン処理の手順を示すフロー図である。
【図6】図5に示すメイン処理における、印刷処理の手順を示すフロー図である。
【図7】本画像形成装置の印刷停止処理の手順を示すフロー図である。
【図8】本画像形成装置において、スキャン動作中に印刷要求を受け付けた場合の、記録用紙の搬送動作を説明する説明図である。
【図9】本画像形成装置において、画像形成部分が切断位置を通過する前に印刷要求を受け付けた場合の、記録用紙の搬送動作を説明する説明図である。
【図10】本画像形成装置において、画像形成部分が切断位置を通過した後に印刷要求を受け付けた場合の、記録用紙の搬送動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
本画像形成装置1は、記録用紙に画像を形成するエンジン部20と、エンジン部20を動作させる制御部40と、制御部40がユーザに対して情報や操作ボタンを表示するための表示部であり、かつ、ユーザが制御部40に指示を与えるために上記操作ボタンを操作する操作部でもある、例えばタッチパネルで構成される操作表示部12と、通信ネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の外部機器からの印刷要求の受信等を行なう通信部14と、を有している。ここで、印刷要求に基づき現在実行されている印刷動作の停止要求(印刷停止要求)を受け付ける手段は、例えば、操作表示部12又は通信部14により構成される。
【0013】
図2は、エンジン部20の構成を示す構成図である。
エンジン部20は、長尺帯状の記録用紙を巻き取った給紙ロールXを収容する給紙部202と、給紙ロールXからの記録用紙の繰り出し/巻き戻しを行なう給紙ローラ204と、給紙ローラ204から繰り出された記録用紙を載置して搬送する搬送ベルト206と、搬送ベルト206を駆動する搬送ローラ208及び210と、円柱状のガイド212に沿って、搬送ベルト206の用紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に移動可能なキャリッジ214と、キャリッジ214に搭載され、搬送ベルト206に載置された記録用紙にインクを吐出して印刷を行うインク吐出ヘッド216と、を有している。
【0014】
また、エンジン部20は、記録用紙の先端が給紙ローラ204を通過して給紙開始位置に到達したことを検知する用紙センサ218と、印刷が終了し搬送ベルト206から送り出される記録用紙を所定の長さに切断する切断手段であるカッタ220と、カッタ220により切断された記録用紙を搬送経路へ送り出す排紙ローラ222と、排紙ローラ222により送り出された記録用紙を収容する排紙トレイ224と、を有している。なお、カッタ220は、例えば、切断用の刃を取り付けたベルトをモータ等により駆動して、当該切断用の刃を記録用紙上で移動させる方式のものを使用することができる。
【0015】
ここで、給紙開始位置からインク吐出ヘッド216のインク吐出位置までの距離をL1、インク吐出位置からカッタ220による切断位置までの距離をL2とする。
【0016】
図3は、図2に示したエンジン部20を上部から見た部分拡大図である。
インク吐出ヘッド216を収容したキャリッジ214は、主走査モータ230により、キャリッジ214に固定された主走査ベルト232を介して、円柱状のガイド212に沿って主走査方向に移動する。また、搬送ローラ208及び210に掛け渡された搬送ベルト206は、搬送ローラ210が副走査ベルト228を介して副走査モータ226により回転することにより駆動される。
ここで、記録用紙を搬送する搬送手段は、例えば、給紙ローラ204と、搬送ベルト206と、搬送ローラ208及び210と、副走査モータ226と、副走査ベルト228と、排紙ローラ222により構成される。
【0017】
図2及び図3に示すエンジン部20における印刷動作は、制御部40からの指令により、例えば以下のように行なわれる。
まず、制御部40は、給紙ロールXに巻き取られた記録用紙を、給紙ローラ204により給紙位置まで繰り出した後、搬送ベルト206上に載置して、インク吐出ヘッド216のインク吐出位置まで搬送する。続いて、インク吐出ヘッド216にインク吐出動作を行なわせつつ、インク吐出ヘッド216をキャリッジ214により主走査方向に往復させると共に、搬送ベルト206により記録用紙を副走査方向へ所定距離ずつ搬送して、記録用紙上に平面画像を形成する。
【0018】
図4は、制御部40の構成を示すブロック図である。
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータであり、操作表示部12から入力され又は通信部14から受信した印刷停止要求により、エンジン部20における印刷動作を停止する印刷制御手段402と、インク吐出ヘッド216のインク吐出期間又はインク吐出停止期間に搬送ベルト206が記録用紙を搬送した距離(搬送距離)を計測する距離計測手段404と、距離計測手段404が計測した搬送距離に基づいて、記録用紙に形成されている画像形成部分の副走査方向の末端位置を特定する末端特定手段406と、を有している。
【0019】
ここで、末端特定手段406は、インク吐出ヘッド216の直近のインク吐出停止後における搬送距離を距離計測手段404から取得して、記録用紙上に形成された画像形成部分の副走査方向(即ち、用紙搬送方向)の末端位置を特定する。なお、距離計測手段404による搬送距離の計測は、例えば、副走査モータ226をパルスモータにより構成しておき、副走査モータ226に供給する電気パルスの数をカウントすることにより行なうことができる。
【0020】
また、制御部40は、給紙ローラ204による給紙ロールXからの給紙、搬送ベルト206による記録用紙の搬送、及び、排紙ローラ222による記録用紙の排出を行なうほか、末端特定手段406が特定した画像形成部分の上記末端位置を、搬送ベルト206によりカッタ220の位置まで移動する搬送制御手段410と、カッタ220により記録用紙を上記末端位置で切断する切断制御手段408と、を有している。
【0021】
なお、上述した各手段は、プログラムにより実現される制御部(コンピュータ)40の機能実現手段である。また、コンピュータ・プログラムは、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。
【0022】
上記の構成を備える画像形成装置1は、ユーザが電源を投入すると、通信部14を介してパーソナルコンピュータ等から印刷要求を受信し、給紙ロールXから記録用紙を繰り出して印刷を実行する。そして、印刷実行途中に、操作表示部12又は通信部14により印刷停止要求を受け付けると、インク吐出ヘッド216におけるインク吐出動作を中止し、画像形成が為された記録用紙部分(画像形成部分)の末端部をカッタ220の位置まで移動して切断すると共に、当該切断により切り離された画像形成部分の記録用紙を、排紙ローラ222により排紙トレイ224へ排出する。
【0023】
これにより、画像形成装置1は、印刷動作途中に受信した印刷停止要求に対し、インク吐出動作を即座に停止して無駄な印刷動作による記録用紙や印刷用インク等の浪費を防止すると共に、記録用紙を画像形成部分の末端部で切断・排出して記録用紙の利用効率を高めることができる。
【0024】
次に、画像形成装置1の動作手順について説明する。
ここで、画像形成装置1の動作は、以下の2つに分かれる。
a.メイン処理
通信部14により印刷要求を受信して、要求された印刷動作を実行する処理である。
b.印刷中止処理
メイン処理を実行中に、通信部14又は操作表示部12により印刷停止要求を受け付けたときに、上記メイン処理に対する割込み処理として実行される処理である。
【0025】
以下、画像形成装置1のメイン処理及び印刷中止処理の手順を、順に説明する。
(1)メイン処理
まず、画像形成装置1のメイン処理の手順について、図5に示すフロー図にしたがって説明する。
ユーザが画像形成装置1の電源を投入すると(S101)、通信部14は印刷要求を受信し(S102)、当該印刷要求に含まれる画像データに基づいて、エンジン部20により印刷処理を実行する(S103)。なお、印刷処理の手順については後述する。
【0026】
次に、印刷要求に含まれたすべてのページを印刷したか否かを判断し(S104)、全ページを印刷したときは(S104、Yes)、ステップS102に処理を移す。一方、全ページの印刷を終了していないときは(S104、No)、ステップS103に処理を移して次のページを印刷する。
【0027】
次に、本画像形成装置1の印刷処理の手順について、図6に示すフロー図にしたがって説明する。ここで、給紙開始位置からインク吐出位置までの距離L1及びインク吐出位置から切断位置までの距離L2は、予め、制御部40が備えるRAM等の記憶装置(不図示)に記憶されているものとする。
【0028】
印刷動作を開始すると、まず、搬送制御手段410が給紙ローラ204により給紙ロールXから記録紙を繰り出して給紙を開始し(S201)、用紙センサ218が記録用紙の先端を感知したときに、制御部40が距離計測手段404の搬送距離の計測値を0にリセットし、距離計測手段404は、副走査方向における記録用紙の搬送距離の計測を開始する(S202)。これにより、距離計測手段404による搬送距離の計測は、用紙センサ218による用紙検知位置、すなわち給紙開始位置を原点として行なわれることとなる。
【0029】
次に、搬送制御手段410は、記録用紙を距離L1だけ副走査方向に搬送して、記録用紙の先端をインク吐出ヘッド216のインク吐出位置まで移動し(S203)、印刷制御手段402は、キャリッジ214を移動させつつインク吐出ヘッド216にインク吐出動作を行なわせ、スキャン動作を開始する(S204)。
【0030】
続いて、印刷制御手段402は、記録用紙を副走査方向へ搬送しつつスキャン動作を継続して、記録用紙に画像を形成する(S205)。同時に、距離計測手段404は、インク吐出ヘッド216がインクを吐出している期間に搬送ベルト206が記録用紙を搬送した距離(画像形成距離)と、インク吐出ヘッド216がインクを吐出していない期間に搬送ベルト206が記録用紙を搬送した距離(白領域距離)を計測する(S206)。
【0031】
続いて、インク吐出ヘッド216による記録用紙への画像形成が完了すると、搬送制御手段410は、搬送ベルト206により記録用紙を副走査方向へ搬送し、切断制御手段408は、画像形成が行われた記録用紙部分を、カッタ220により所定の長さYに切断する(S207)。続いて、搬送制御手段410は、切断された画像形成部分の記録用紙を、排紙ローラ222により排紙トレイ224に搬送する(S208)。
【0032】
(2)印刷中止処理
次に、画像形成装置1の印刷中止処理の手順について、図7ないし図10を用いて説明する。
図7は、画像形成装置1の印刷中止処理の手順を示すフロー図である。
また、図8ないし図10は、印刷停止要求を受け付けたタイミングに応じて、印刷中止処理において記録用紙の切断前に行なわれる、記録用紙の搬送動作を説明する説明図であり、それぞれ、印刷停止要求を、スキャン動作中に受け付けた場合(図7のステップS305、Yes)、画像形成部分の末端が切断位置を通過する前に受け付けた場合(図7のステップS311、No)、及び、画像形成部分の末端が切断位置を通過した後に受け付けた場合(図7のステップS311、Yes)の、記録用紙の搬送動作を示している。
【0033】
図8ないし図10には、搬送ベルト206上に載置された記録用紙が示されており、記録用紙上には印刷停止要求を受け付けるまでに画像形成が為された部分(画像形成部分)が斜線で示されている。なお、図8ないし図10において、インク吐出ヘッド216及びキャリッジ214は省略している。また、インク吐出位置は、インク吐出ヘッド216の印字幅の図示下辺位置としている(図8A)。
【0034】
以下、画像形成装置1の印刷中止処理の手順を、図8ないし図10を参照しつつ、図7に示すフロー図にしたがって説明する。上述したように、本処理は、通信部14又は操作表示部12により印刷停止要求を受け付けたときに開始する。
【0035】
印刷中止処理を開始すると、まず、印刷制御手段402は、画像形成が完了しているか否か、すなわち当該ページに形成すべき画像全体について画像形成が終了しているか否か判断し(S301)、完了していれば(S301、Yes)、切断制御手段408は、画像形成が行われた記録用紙部分を、カッタ220により所定の長さYに切断する(S302)。
【0036】
続いて、搬送制御手段410は、切断により切り離された記録用紙部分を排紙トレイ224に排出した後(S303)、搬送ベルト216の用紙搬送方向を反転して、給紙ロールX側の記録用紙の先端部を給紙開始位置(用紙センサ218の用紙感知位置)まで搬送して(S304)、処理を終了する。これにより、未だインク吐出が行なわれていない記録用紙の白紙部分は、その先端が給紙開始位置まで搬送され、次の印刷動作に無駄なく使用される。
【0037】
一方、画像形成を完了していないときは(S301、No)、スキャン動作中であるか否か、すなわち、キャリッジ214を主走査方向に移動しつつインク吐出ヘッド216にインク吐出動作を行なわせているか否かを判断し(S305)、スキャン動作を実行中であるときは(S305、Yes)、スキャン動作、インク吐出動作、及び用紙搬送動作を停止する(S306)。
【0038】
ここで、スキャン動作を停止した後の記録用紙の状態は、例えば図8Aに示す状態となる。すなわち、スキャン動作中に印刷停止要求を受け付けると、インク吐出ヘッド216は記録用紙の主走査方向の途中(図8Aに示す「画像形成停止位置」)で画像形成を停止する(図7のステップS306)。これにより、インク吐出位置、即ち、インク吐出ヘッド216の印字幅の図示下辺位置が、記録用紙上の画像形成部分の末端位置となる。
【0039】
次に、末端特定手段406はインク吐出位置を画像形成部分の用紙搬送方向の末端位置として特定し、搬送制御手段410は、特定された末端位置が切断位置に移動するように、記録用紙を距離L2だけ搬送する(S307)。次に、切断制御手段408は、カッタ220により記録用紙を切断し(S308)、ステップS303に処理を移す。これにより、図8Bに示すように、画像形成部分の末端位置は、カッタ220による切断位置に移動し、記録用紙は当該末端位置で切断される(図7のステップS308)。その結果、記録用紙上の画像形成部分のみが排紙されることとなる(図7のステップS303)。
【0040】
一方、図7のステップS305において、スキャン動作中でないときは(S305、No)、用紙搬送動作を停止した後(S309)、末端特定手段406は、現在の印刷ページにおいてインク吐出動作を実行したか否かを判断し(S310)、インク吐出動作を実行したときは(S310、Yes)、直近のインク吐出動作後における記録用紙の搬送距離Lが距離L2以下であるか否かを判断する(S311)。
【0041】
ここで、搬送距離Lが距離L2以下であれば、記録用紙の画像形成部分の末端位置は、カッタ220の切断位置にあるか又は切断位置よりも副走査方向に沿って上流にある。すなわち、図9Aに示すように、画像形成部分の末端位置は、例えばインク吐出位置と切断位置の間にあって、カッタ220の切断位置を通過前の状態となっている。一方、搬送距離Lが距離L2より大きいときは、記録用紙上の画像形成部分の末端位置は、カッタ220の切断位置よりも副走査方向に沿って下流にある。すなわち、図10Aに示すように、画像形成部分の末端位置は切断位置を通過した後の状態となっている。
【0042】
図7のステップS311において、末端特定手段406が記録用紙の搬送距離LはL2以下であると判断したとき、例えば図9Aの状態であるときは(S311、Yes)、搬送制御手段410は、記録用紙を(L2−L)だけ搬送した後(S312)、ステップS308に処理を移す。これにより、例えば図9Bに示すように、画像形成部分の末端位置は切断位置まで移動することとなり、記録用紙は画像形成部分の末端位置で切断される。その結果、記録用紙上の画像形成部分のみが排紙されることとなる(図7のステップS303)。
【0043】
一方、ステップS311において、末端特定手段406が記録用紙の搬送距離LはL2より大きいと判断したとき、例えば図10Aの状態であるときは(S311、No)、搬送制御手段410は、搬送ベルト206の用紙搬送方向を反転し、記録用紙を副走査方向に対して逆方向に(L−L2)だけ搬送した後(S313)、ステップS308に処理を移す。これにより、例えば図10Bに示すように、画像形成部分の末端位置は切断位置まで移動することとなり、記録用紙は画像形成部分の末端位置で切断される。その結果、記録用紙上の画像形成部分のみが排紙されることとなる(図7のステップS303)。
【0044】
また一方、ステップS310において、現在の印刷ページではインク吐出動作を実行していないときは(S310、No)、ステップS304に処理を移す。これにより、未だインク吐出が行なわれていない白紙状態の記録用紙は、その先端が給紙開始位置まで搬送され、次の印刷動作に無駄なく使用される。
【0045】
なお、本実施形態では、ステップS311において搬送距離Lが距離L2より大きいとき(図7のステップS311、No)は、記録用紙を(L−L2)だけ逆方向に搬送するため(図7のステップS313)、印刷停止要求を受け付けてから記録用紙を排出するまでの間に、逆方向搬送に要する時間(逆方向搬送時間)だけ余分に時間を要することとなる。しかしながら、ユーザによっては、記録用紙の白紙部分をある程度犠牲にしても、逆方向搬送時間を避けて即座に印刷動作を停止させたい場合がある。
【0046】
このような場合には、「時間優先」又は「記録紙節約優先」の指定を予め記憶部に記憶させておき、距離Lが距離L2より大きいときは(図7のステップS311、No)、当該指定を参照し、「時間優先」の場合には、逆方向搬送を行なうことなく処理をS308へ移し、「記録紙節約優先」のときのみステップS313を実行するものとしてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、印刷動作の停止要求を受け付けたときに、インク吐出動作を即座に停止して無駄な印刷動作による記録用紙や印刷用インク等の浪費を防止すると共に、記録用紙を画像形成部分の末端部で切断・排出して記録用紙の利用効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・画像形成装置、12・・・操作表示部、14・・・通信部、20・・・エンジン部、40・・・制御部、202・・・給紙部、204・・・給紙ローラ、206・・・搬送ベルト、208、210・・・搬送ローラ、212・・・ガイド、214・・・キャリッジ、216・・・インク吐出ヘッド、218・・・用紙センサ、220・・・カッタ、222・・・排紙ローラ、224・・・排紙トレイ、226・・・副走査モータ、228・・・副走査ベルト、230・・・主走査モータ、232・・・主走査ベルト、402・・・印刷制御手段、404・・・距離計測手段、406・・・末端特定手段、408・・・切断制御手段、410・・・搬送制御手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0049】
【特許文献1】特許第4507626号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置であって、
実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷制御手段と、
前記画像形成動作を停止させたときの前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定手段と、
前記末端特定手段で特定した末端位置が前記切断位置に到達するまで前記搬送手段を制御する搬送制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記末端特定手段は、前記末端位置が前記切断位置より排紙側にあるか否かを判断する機能を有し、
前記搬送制御手段は、前記末端特定手段が前記末端位置について前記切断位置より排紙側にあると判断したとき、前記末端位置が前記切断位置に到達するまで前記搬送手段を制御する画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記末端特定手段は、画像形成動作の停止後に搬送された前記記録用紙の搬送距離を計測する計測手段を有し、計測した搬送距離に基づき前記末端位置を特定する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記末端特定手段は、前記記録用紙上に画像が形成されたか否かを判断し、
前記搬送制御手段は、前記末端特定手段が前記記録用紙上に画像形成が行われていないと判断したときは、前記記録用紙の先端部が、次の印刷動作において当該記録用紙に画像形成を行える所定の位置に到達するまで前記搬送手段を搬送制御する画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記記録用紙にインクを吐出して画像を形成するインク吐出ヘッドを備え、
前記印刷制御手段は、前記停止要求に基づき前記インク吐出ヘッドにおけるインク吐出動作を停止することにより、画像形成動作を停止させる画像形成装置。
【請求項6】
記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置における印刷制御方法であって、
実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷停止工程と、
前記印刷停止工程において画像形成動作を停止させたときの、前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定工程と、
前記末端特定工程において特定した前記末端位置が前記切断位置に到達するまで前記記録用紙を搬送する搬送工程と、
を有する印刷制御方法。
【請求項7】
記録用紙を搬送する搬送手段と、画像を記録した記録用紙を切断位置で切断する切断手段とを有し、画像を形成した記録用紙を前記切断手段で所定の長さに切断して排出する画像形成装置のコンピュータを、
実行中の印刷動作の停止要求に基づき画像形成動作を停止させる印刷制御手段と、
前記画像形成動作を停止させたときの前記記録用紙に形成された画像の末端位置を特定する末端特定手段と、
前記末端特定手段で特定した末端位置が前記切断位置に到達するまで前記搬送手段を制御する搬送制御手段、
として機能させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179866(P2012−179866A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45628(P2011−45628)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】