説明

画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】画像の品質低下を抑制すること。
【解決手段】第1のインクを吐出する第1のヘッドと、第2のインクを吐出する第2のヘッドと、第1のヘッドと第2のヘッドの相対位置を所定方向に移動する移動機構と、ヘッドと媒体とを所定方向と交差する移動方向に相対移動させながらノズルからインクを吐出させる吐出動作とヘッドと媒体とを所定方向に相対移動させる搬送動作とを繰り返させ、第1のインクによる主画像と第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、第1のヘッドと第2のヘッドの所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、を有する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置であるプリンターの中には、ヘッドが移動方向に移動しながらインクを吐出する吐出動作(パス)と、移動方向と交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送動作とを、繰り返すプリンターがある。また、紫外線を照射すると硬化するインク(UVインク)を使用するプリンターがある。このようなプリンターでは、ヘッドの移動方向における両端部に紫外線の照射光源を設けるとよい(例えば、特許文献1を参照)。そうすることで、媒体上に着弾したUVインクを直ぐに硬化させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−254560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、媒体の搬送方向に複数のヘッドが並んだプリンターにおいて、一方のヘッドで印刷する主画像と他方のヘッドで印刷する背景画像とを重ねて印刷する場合がある。ただし、例えば、一方のヘッドと他方のヘッドが隙間の無い状態で固定されていると、主画像と背景画像のうちの下層画像が印刷された直後に、上層画像が重ねられてしまう。そうすると、1回のパスで媒体上のUVインクに照射可能な紫外線の照射量が少ない場合に、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられ、画像の品質が低下してしまう虞がある。
また、紫外線を照射する必要のないインクによる画像であっても、下層画像の乾燥が不十分な状態で上層画像が重ねられ、画像の滲みや混色により画像の品質が低下してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明では、画像の品質低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)第1のインクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル列が設けられた第1のヘッドと、(B)第2のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第2のノズル列が設けられ、前記第1のヘッドよりも前記所定方向の一方側に位置する第2のヘッドと、(C)前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの相対位置を前記所定方向に移動する移動機構と、(D)前記ヘッドと媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッドと前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のインクによる主画像と前記第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、前記移動機構により前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの前記所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、(E)を有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1Aはプリンターの全体構成ブロック図であり、図1Bはプリンターの概略斜視図である。
【図2】キャリッジの周辺を説明する図である。
【図3】プリンターが有する印刷モードを説明する図である。
【図4】図4Aは単独モードにおけるヘッドの相対位置を示す図であり、図4Bは単独モードの印刷方法を説明する図である。
【図5】図5Aは重複モードにおけるヘッドの相対位置を示す図であり、図5Bは重複モードの印刷方法を説明する図である。
【図6】ヘッドの位置が固定されている場合の重複モードの印刷方法を説明する図である。
【図7】図7A及び図7Bは実施例2の印刷方法を説明する図である。
【図8】非吐出領域の搬送方向の長さを決定するフローの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0009】
即ち、(A)第1のインクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル列が設けられた第1のヘッドと、(B)第2のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第2のノズル列が設けられ、前記第1のヘッドよりも前記所定方向の一方側に位置する第2のヘッドと、(C)前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの相対位置を前記所定方向に移動する移動機構と、(D)前記ヘッドと媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッドと前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のインクによる主画像と前記第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、前記移動機構により前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの前記所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、(E)を有することを特徴とする画像形成装置である。
このような画像形成装置によれば、媒体の所定領域に対して、主画像と背景画像のうちの先に形成する下層画像を形成してから後に形成する上層画像を重ねて形成するまでの時間を調整可能にすることができる。その結果、例えば、下層画像を十分に硬化させたり乾燥させたりした状態で上層画像を重ねることができるため、画像の品質低下を抑制できる。また、不必要に画像形成時間が長くなってしまうことを防止できる。
【0010】
かかる画像形成装置であって、前記主画像と前記背景画像とを重ねて形成する場合に、前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整すること。
このような画像形成装置によれば、下層画像を十分に硬化させたり乾燥させたりした状態で上層画像を重ねることができるため、画像の品質低下を抑制できる。
【0011】
かかる画像形成装置であって、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、前記搬送動作における前記ヘッドと前記媒体との前記所定方向の相対移動量の整数倍の長さとなるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整すること。
このような画像形成装置によれば、媒体の所定方向の位置によらずに、下層画像を形成してから上層画像を重ねて形成するまでの時間を一定にすることができ、画像の品質低下を抑制できる。
【0012】
かかる画像形成装置であって、前記第1のインクと前記第2のインクは光が照射されると硬化する光硬化型インクであり、前記光硬化型インクに光を照射する光照射部であって、前記第1のノズル列の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル列の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部を有し、前記吐出動作では、前記光照射部及び前記ヘッドと前記媒体とが前記移動方向に相対移動し、前記媒体の所定領域に前記主画像と前記背景画像のうちの一方の画像を先に形成してから前記一方の画像の上に他方の画像を重ねて形成する前までの間に前記光照射部が前記一方の画像に照射すべき光の照射量が、第1の照射量である場合に比べて、前記第1の照射量よりも多い第2の照射量である場合の方が、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが長くなるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整すること。
このような画像形成装置によれば、下層画像を十分に硬化させた状態で上層画像を重ねつつ、画像形成時間を短縮することができる。
【0013】
かかる画像形成装置であって、前記第1のインクと前記第2のインクは光が照射されると硬化する光硬化型インクであり、前記光硬化型インクに光を照射する光照射部であって、前記第1のノズル列の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル列の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部を有し、前記吐出動作では、前記光照射部及び前記ヘッドと前記媒体とが前記移動方向に相対移動し、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、第1の長さである場合に比べて、前記第1の長さよりも短い第2の長さである場合の方が、前記光照射部からの光の照射強度が強いこと。
このような画像形成装置によれば、下層画像を十分に硬化させた状態で上層画像を重ねつつ、画像形成時間を短縮することができる。
【0014】
かかる画像形成装置であって、前記第2のヘッドに、前記第1のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第3のノズル列が設けられ、前記主画像に前記背景画像を重ねて形成しない場合に、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられないように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整すること。
【0015】
このような画像形成装置によれば、画像形成時間が長くなってしまうことを防止し、また、画像形成の制御を容易にすることができる。
【0016】
かかる画像形成装置であって、前記主画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成し、前記背景画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成すること。
このような画像形成装置によれば、先の吐出動作で形成された下層画像の部位も、後の吐出動作で形成された下層画像の部位も、同様に硬化させたり乾燥させたりすることができる。その結果、例えば、画像の色むらを抑制することができる。
【0017】
また、(A)第1のインクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル列が設けられた第1のヘッドと、(B)第2のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第2のノズル列が設けられ、前記第1のヘッドよりも前記所定方向の一方側に位置する第2のヘッドと、(C)前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの相対位置を前記所定方向に移動する移動機構と、(D)前記ヘッドと媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッドと前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記第1のインクによる主画像と前記第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、前記移動機構により前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの前記所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、(E)を有する画像形成装置を用いて前記媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成方法である。
このような画像形成方法によれば、媒体の所定領域に対して、主画像と背景画像のうちの先に形成する下層画像を形成してから後に形成する上層画像を重ねて形成するまでの時間を調整可能にすることができる。その結果、例えば、下層画像を十分に硬化させたり乾燥させたりした状態で上層画像を重ねることができるため、画像の品質低下を抑制できる。また、不必要に画像形成時間が長くなってしまうことを防止できる。
【0018】
===印刷システム===
画像形成装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
図1Aは、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図1Bは、プリンター1の概略斜視図であり、図2は、キャリッジ31の周辺を説明する図である。なお、図2では、ヘッド41の上方から見たノズルの配列を仮想的に示す。
【0019】
本実施形態のプリンター1は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インクを吐出することにより、媒体S(例:用紙、布、フィルム)に画像を印刷する。なお、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)は、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0020】
コンピューター70は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター70とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群60が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0021】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体Sを搬送するためのものである。
キャリッジユニット30は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41等を、搬送方向と交差する移動方向に移動するためのものである。
【0022】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを吐出するためのものであり、第1ヘッド41(1)(第1のヘッドに相当)と、第2ヘッド41(2)(第2のヘッドに相当)と、移動機構42を有する。各ヘッド41(1),41(2)の下面には、図2に示すように、インクを吐出するノズルが搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)おきに並んだノズル列が複数形成されている。説明のため、各ノズル列に属するノズルのうち、搬送方向下流側のノズルから順に小さい番号を付す(#1、#2…)。
【0023】
本実施形態のプリンター1は5色のインク(YMCK・W)を吐出可能とし、各ヘッド41(1),41(2)には、イエローインクを吐出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを吐出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを吐出するブラックノズル列Kと、白インクを吐出するホワイトノズル列Wが、形成されている。
【0024】
なお、ノズルはインクが充填されたインク室に連通し、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収縮させることによりノズルからインクを吐出させるピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
【0025】
2つのヘッド41(1),41(2)は搬送方向に並び、第2ヘッド41(2)は第1ヘッド41(1)よりも搬送方向の上流側(所定方向の一方側)にずれて位置する。移動機構42(図2では不図示)により、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の相対位置は搬送方向に移動可能となっている。ここでは、移動機構42が、第2ヘッド41(2)に対して、第1ヘッド41(1)を搬送方向に移動する。
【0026】
つまり、本実施形態のプリンター1では、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の搬送方向の間隔(以下、「ヘッド間隔」とも呼ぶ)が可変であり、コントローラー10が移動機構42を用いてヘッド間隔を調整する。ヘッド間隔とは、詳しくは、第1ヘッド41(1)の搬送方向上流側の端部から第2ヘッド41(2)の搬送方向下流側の端部までの搬送方向の長さのことである。なお、ヘッド間隔を可変にするために、第1ヘッド41(1)を搬送方向に移動可能にするに限らず、第1ヘッド41(1)に対して第2ヘッド41(2)を搬送方向に移動可能にしてもよいし、2つのヘッド41(1),41(2)を共に搬送方向に移動可能にしてもよい。
【0027】
このようなプリンター1では、コントローラー10が、ヘッド41(1),41(2)と仮照射部51a,51bを媒体に対して移動方向に移動させながらノズルからインクを吐出させる吐出動作と、ヘッド41(1),41(2)に対して媒体を搬送方向に搬送させる搬送動作と、を繰り返させる。その結果、先の吐出動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体S上の位置に、後の吐出動作にてドットが形成されるため、媒体S上に2次元の画像が印刷される。以下、1回の吐出動作を「パス」とも呼ぶ。
【0028】
照射ユニット50は、媒体Sに着弾したUVインクに紫外線を照射して、UVインクを硬化させるためのものであり、仮照射部51と本照射部52を有する。なお、紫外線照射の光源として、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられる。また、照射部による単位面積あたりの紫外線の照射量(照射エネルギー(mJ/cm))は、紫外線の照射強度(mW/cm)と照射時間(s)の積で定められる。
【0029】
仮照射部51a,51bは、図2に示すように、キャリッジ31の移動方向における両端部に設けられ、キャリッジ31の移動に伴ってヘッド41(1),41(2)と共に移動方向に移動する。また、仮照射部51a,51bは、第1ヘッド41(1)及び第2ヘッド41(2)のノズル列と同様に、搬送方向に延びている。よって、移動方向への移動中にヘッド41(1),41(2)から吐出されたUVインクは、媒体Sに着弾すると直ぐに、仮照射部51a,51bにより紫外線が照射される。
【0030】
キャリッジ31が移動方向の左側に移動する往路時には、ヘッド41(1),41(2)から吐出されたUVインクは、移動方向の右側に位置する第1仮照射部51aにより紫外線が照射される。逆に、キャリッジ31が移動方向の右側に移動する復路時には、ヘッド41(1),41(2)から吐出されたUVインクは、移動方向の左側に位置する第2仮照射部51bにより紫外線が照射される。
【0031】
本照射部52は、キャリッジ31よりも搬送方向の下流側に固定して設けられている。本照射部52の移動方向の長さは媒体Sの移動方向の長さ以上であり、本照射部52の下を通過する媒体S上のUVインクに紫外線が照射される。よって、本照射部52により、媒体S上のUVインクは完全に硬化され、UVインクによる画像が完成する。
【0032】
===印刷モード===
図3は、プリンター1が有する印刷モードを説明する図である。本実施形態のプリンター1は、4色のインク(YMCK・第1のインク)を使用して印刷する主画像(カラー画像やモノクロ画像)だけを媒体に印刷する「単独モード」と、白インク(W・第2のインク)を使用して印刷する背景画像を主画像に重ねて印刷する「重複モード」と、を有する。主画像と背景画像を重ねて印刷することで、例えば、媒体が白色でない場合に主画像の発色性を良くしたり、媒体が透明である場合に主画像の反対側が透けてしまうことを防止したりすることが出来る。
【0033】
また、プリンター1は、主画像を印刷面側から視認するように印刷する「表刷りモード」と、媒体を介して主画像を視認するように印刷する「裏刷りモード」と、を有する。主画像と背景画像を重ねる重複モードの場合、表刷りモードでは、媒体の所定領域に対して背景画像が先に印刷され、背景画像上に主画像が印刷される。逆に、裏刷りモードでは、媒体の所定領域に対して主画像が先に印刷され、主画像上に背景画像が印刷される。
【0034】
===印刷方法:実施例1===
<単独モードの印刷方法>
図4Aは、単独モードにおける第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の相対位置を示す図であり、図4Bは、単独モードの印刷方法を説明する図である。図では、各ヘッド41(1),41(2)の1ノズル列に属するノズル数を減らし(#1〜#4)、4色のインク(YMCK)を各々吐出するノズル列をまとめて「カラーノズル列Co」として示す。
【0035】
また、以下では、説明の容易のため、キャリッジ31が移動方向の左側に移動する時(往路時)にだけヘッド41がインクを吐出する印刷方法(所謂、単方向印刷)を例に挙げる。そして、ヘッド41が移動する側の反対側(右側)に設けられた第1仮照射部51aだけが紫外線を照射し、ヘッド41が移動する側(左側)に設けられた第2仮照射部51b(不図示)は紫外線を照射しないとする。
【0036】
主画像に背景画像を重ねて形成しない「単独モード」を実行する場合、コントローラー10(制御部に相当)は、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Co(第1のノズル列に相当)と第2ヘッド41(2)のカラーノズル列Co(第3のノズル列に相当)との搬送方向の間にインクが吐出されない「非吐出領域」が設けられないように、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッド間隔を調整する。
【0037】
具体的には、図4Aに示すように、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Coにおける搬送方向最上流側に位置するノズル#4と、第2ヘッド41(2)のカラーノズル列Coにおける搬送方向最下流側に位置するノズル#1と、の搬送方向の間隔が、ノズルピッチDとなるように、コントローラー10は、移動機構42を用いて、第2ヘッド41(2)に対する第1ヘッド41(1)の搬送方向の位置を調整する。
【0038】
なお、実際のヘッド41では、図2に示すように、搬送方向におけるノズル列の端部とヘッド41の端部との間に所定の間隔が存在する。しかし、図4Aでは、説明の容易のため、搬送方向におけるノズル列の端部とヘッド41の端部を一致させる。よって、図4Aでは、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッド間隔が0となる。
【0039】
そして、コントローラー10は、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Coと第2ヘッド41(2)のカラーノズルCoを、主画像を印刷する「主画像用ノズル群」に設定し、第1ヘッド41(1)のホワイトノズル列Wと第2ヘッド41(2)のホワイトノズル列Wを「不使用ノズル群」に設定する。なお、単独モードの場合、表刷りモードにおいても裏刷りモードにおいても、使用するノズルは同じである。
【0040】
そして、ここでは、主画像が4回のパスで異なるノズルにより印刷されるとする。即ち、主画像を構成する移動方向に沿うドット列(以下、ラスターライン)が4回のパスで異なるノズルにより印刷されるとする。また、1回のパスで、移動方向に並ぶ画素領域(印刷解像度に応じて媒体上に規定される単位領域)のうちの1/4にドットが形成され、4回のパスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットが形成されるとする。
【0041】
そのために、1回の媒体搬送量をノズルピッチDの2倍である「2D」とする。つまり、主画像用ノズル群による吐出動作と、媒体を搬送方向下流側に搬送量2Dで搬送する搬送動作とが、交互に繰り返される。その結果、図4Bのように印刷される。なお、実際にはヘッド41に対して媒体が搬送方向下流側に搬送されるが、図4Bでは、各パスのヘッド41の相対位置関係を示すために、ヘッド41を搬送方向上流側にずらして示す。
【0042】
図4Bにおいて、例えば、媒体上の搬送方向における位置Aは、パス1〜パス4で主画像用ノズル群と対向し、位置Aには4色インク(YMCK)が吐出され、位置Aに着弾した4色インクは第1仮照射部51aからの紫外線により硬化される。こうして、4回のパスで完成したラスターラインが搬送方向に並ぶ主画像が印刷される。
【0043】
なお、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Coの上流側端部(例:ノズル#4)と第2ヘッド41(2)のカラーノズル列Coの下流側端部(例:ノズル#1)との搬送方向の位置が重複するように、ヘッド間隔を調整してもよい。
【0044】
<重複モードの印刷方法>
図5Aは、重複モードにおける第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の相対位置を示す図であり、図5Bは、重複モードの印刷方法を説明する図である。説明の容易のため、図4と同様に、往路時にだけヘッド41がインクを吐出し、第1仮照射部51aだけが紫外線を照射することとする。
【0045】
主画像と背景画像を重ねる「重複モード」を実行する場合に、コントローラー10は、移動機構42により第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の搬送方向の間隔である「ヘッド間隔」を調整する。
【0046】
実施例1では、コントローラー10は、図5Aに示すように、第1ヘッド41(1)に属するノズル列Co,Wの搬送方向における上流側端部と第2ヘッド41(2)に属するノズル列Co,Wの搬送方向における下流側端部との搬送方向の間隔が、各ヘッド41(1),41(2)に属するノズル列Co,Wの搬送方向の長さ「4D」となるように、ヘッド間隔を調整する。
【0047】
このように、実施例1では、主画像と背景画像を重ねる重複モードを実行する場合に、コントローラー10は、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)を搬送方向に離し、第1ヘッド41(1)のノズル列Co,Wと第2ヘッド41(2)のノズル列Co,Wとの搬送方向の間にインクが吐出されない「非吐出領域」が設けられるように、ヘッド間隔を調整する。
【0048】
なお、「非吐出領域」の搬送方向の長さは、第1ヘッド41(1)のノズル列の上流側端部と第2ヘッド41(2)のノズル列の下流側端部との搬送方向の間隔の長さであり、図5Aでは「4D」となる。また、図5Aでは説明の容易のために、搬送方向におけるノズル列の端部とヘッド41の端部を一致させているので、ヘッド間隔も4Dとなる。
【0049】
以下、背景画像に主画像を重ねる「表刷りモード」の印刷方法(図5B)を例に挙げて説明する。表刷りモードの場合、コントローラー10は、搬送方向下流側の第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Co(第1のノズル列)を「主画像用ノズル群」に設定し、搬送方向上流側の第2ヘッド41(2)のホワイトノズル列W(第2のノズル列)を「背景画像用ノズル群」に設定し、第1ヘッド41(1)のホワイトノズル列Wと第2ヘッド41(2)のカラーノズル列Coを不使用ノズル群に設定する。なお、図5Bでは、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Coと第2ヘッド41(2)のホワイトノズル列Wを1つのノズル列で示す。
【0050】
また、前述の図4と同様に、主画像と背景画像をそれぞれ構成するラスターラインは4回のパスで異なるノズルにより印刷されるとし、各パスで移動方向に並ぶ画素領域の1/4にドットが形成されるとする。よって、1回の搬送動作における媒体搬送量がノズルピッチDとなる。つまり、主画像用ノズル群と背景画像用ノズル群による吐出動作と、媒体を搬送方向下流側に搬送量Dで搬送する搬送動作とが、交互に繰り返される。
【0051】
その結果、図5Bに示すように印刷が行われる。例えば、媒体上の搬送方向における位置Aは、まず、パス1〜パス4で、背景画像用ノズル群(第2ヘッド41(2)のW)と対向し、位置Aには白インクが吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾した白インクに紫外線を照射する。即ち、位置Aには、パス1〜パス4で、背景画像の一部(背景画像を構成するラスターライン)が印刷される。
【0052】
その後、パス5〜パス8で、媒体上の位置Aは非吐出領域と対向する。よって、パス5〜パス8では、位置Aにインクが吐出されず、第1仮照射部51aが位置Aに着弾している白インクに紫外線を照射するだけとなる。よって、パス1〜パス4で位置Aに印刷された背景画像の一部は、直ぐ次のパス5で主画像が重ねられることなく、パス5〜パス8で第1仮照射部51aからの紫外線により十分に硬化することができる。
【0053】
その後、パス9〜パス12で、媒体上の位置Aは、主画像用ノズル群(第1ヘッド41(1)のCo)と対向し、位置Aの背景画像上に4色インク(YMCK)が吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾している4色インクに紫外線を照射する。即ち、パス5〜パス8で十分に硬化した位置Aの背景画像上に、パス9〜パス12で主画像(主画像を構成するラスターライン)が重ねて印刷される。
【0054】
なお、表刷りモードと裏刷りモードでは、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の相対位置関係(ヘッド間隔)は同じであるが、印刷に使用するノズルが異なる。裏刷りモード(不図示)では、第1ヘッド41(1)のホワイトノズル列Wを「背景画像用ノズル群」とし、第2ヘッド41(2)のカラーノズル列Coを「主画像用ノズル群」とし、その他のノズル列を不使用ノズル群とする。
【0055】
このように、主画像と背景画像を重ねて印刷する場合、主画像と背景画像のうち、媒体の所定領域に対して先に印刷する画像(下層画像)を、搬送方向上流側の第2ヘッド41(2)に属するノズル列で印刷し、媒体の所定領域に対して後に印刷する画像(上層画像)を、搬送方向下流側の第1ヘッド41(1)に属するノズル列で印刷する。そうすることで、媒体の所定領域は、下層画像を印刷するノズルと先に対向するため、表刷りモード又は裏刷りモードに応じた順に、主画像と背景画像を異なるパスで重ねて印刷することができる。
【0056】
<比較例の印刷方法>
ここで、仮に、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッド間隔が可変でなく、図4Aに示すように、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との間に非吐出領域が設けられていない状態で、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の位置が固定されているとする。
【0057】
図6は、図4Aに示すように2つのヘッド41(1),41(2)の位置が固定されている場合の重複モードの印刷方法を説明する図である。図では、表刷りモードの場合を例に挙げ、第2ヘッド41(2)のホワイトノズル列Wを背景画像用ノズル群とし、第1ヘッド41(1)のカラーノズル列Coを主画像用ノズル群とする。
【0058】
この場合、例えば、媒体上の搬送方向における位置Aはパス1〜パス4で背景画像用ノズル群(第2ヘッド41(2)のW)と対向し、位置Aには白インクが吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾した白インクに紫外線を照射する。
その後、背景画像の印刷が完了したパス4の次のパス5からパス8で媒体上の位置Aは主画像用ノズル群(第1ヘッド41(1)のCo)と対向し、位置Aの背景画像上に4色インク(YMCK)が吐出され、第1仮照射部51aが位置Aに着弾した4色インクに紫外線を照射する。
このように、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との間に非吐出領域が設けらないと、媒体の所定領域に対して下層画像の印刷が完了するパスの次のパスで、その下層画像に上層画像が重ねられてしまう。
【0059】
キャリッジ31に設けられた仮照射部51aは、移動方向に移動しながら、媒体上のUVインクに紫外線を照射する。そのため、仮照射部51aが1回のパスで媒体上のUVインクに紫外線を照射する時間は短く、仮照射部51aが1回のパスで媒体上のUVインクに照射可能な紫外線の照射量(照射エネルギー)は小さい。よって、図6に示す印刷方法のように、下層画像の印刷が完了した次のパスで上層画像が重ねられてしまうと、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまう場合がある。特に、下層画像を複数パスで印刷する場合、最後のパスで印刷された下層画像の部位は、最後の1回のパスでしか仮照射部51aにより紫外線が照射されないので、硬化度合いが低い状態で上層画像が重ねられてしまう。
【0060】
下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまうと、例えば、画像が剥がれたり、インクの凝集・滲みなどの問題が生じたり、下層画像に上層画像が埋もれて2つの画像を重ねて印刷することが出来なかったりしてしまう。また、下層画像を複数パスで印刷する場合、先のパスで印刷された下層画像の部位と後のパスで印刷された下層画像の部位とで、仮照射部51aにより紫外線が照射されるパス数が異なるので、硬化度合いが異なる状態で上層画像が重ねられてしまう。そうすると、画像に色むらが生じてしまう。
【0061】
また、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列を合わせたノズル列のうち、搬送方向上流側の1/3のノズル群を、下層画像を印刷するノズル群とし、搬送方向中央の1/3のノズル群を不使用ノズル群とし、搬送方向下流側の1/3のノズル群を、上層画像を印刷するノズル群とする。そうすることで、媒体の所定領域は下層画像を印刷するノズル群と対向した後に不使用ノズル群と対向することができるため、媒体の所定領域上の下層画像は、その間に、仮照射部51aから照射される紫外線により十分に硬化できる。しかし、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の一部のノズル群を不使用ノズルにした分だけ、画像を印刷するためのノズル数が減ってしまい、印刷時間が長くなってしまう。
【0062】
また、逆に、図5Aに示すように、間に非吐出領域が設けられた状態で第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の位置が固定されているとする。この場合に、2つのヘッド41(1),41(2)を用いて、主画像だけを印刷する「単独モード」を実行しようとすると、媒体が非吐出領域と対向している時間分だけ、印刷時間が長くなってしまう。また、搬送方向に所定間隔おきに並んでいないノズルを用いて印刷を実行するため、印刷制御が複雑になってしまう。また、印刷制御を容易にするために、2つのヘッド41(1),41(2)のうちの一方のヘッドだけを使用すると、画像を印刷するためのノズル数が減ってしまい、印刷時間が更に長くなってしまう。
【0063】
<まとめ>
そこで、本実施形態のプリンター1では、移動機構42により、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の相対位置を搬送方向に移動可能とし、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の搬送方向の間隔であるヘッド間隔を可変とする。そして、主画像と背景画像を重ねて形成する重複モードの場合には、コントローラー10が第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッド間隔を調整するようにする。そうすることで、媒体の所定領域に対して、主画像と背景画像のうちの下層画像を形成してから上層画像を重ねて形成するまでの時間を調整可能にすることができる。
【0064】
更に、重複モードの場合、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)を搬送方向に離し、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との搬送方向の間に、インクが吐出されない「非吐出領域」が設けられるように(図5A)、コントローラー10がヘッド間隔を調整する。
【0065】
なお、仮照射部51a,51b(光照射部)は、第1ヘッド41(1)のノズル列の搬送方向下流側端部から第2ヘッド41(2)のノズル列の搬送方向上流側端部までに亘って少なくとも搬送方向に延びているとする。即ち、非吐出領域の搬送方向の位置と等しい位置に仮照射部51a,51bが存在し、下層画像が非吐出領域と対向している間に、仮照射部51a,51bが下層画像に紫外線を照射可能なようにする。
【0066】
そうすることで、図5Bに示すように、媒体の所定領域に下層画像が印刷された後の次のパスで、媒体の所定領域は、上層画像を印刷するノズル群でなく、非吐出領域(第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の間)と対向する。そのため、媒体の所定領域に対して下層画像を形成してから上層画像を重ねて形成するまでの時間を長くすることができ、媒体の所定領域上の下層画像を十分に硬化した状態で上層画像を重ねることができ、画像の品質低下を抑制できる。
【0067】
また、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)の一部のノズルを不使用ノズルにしなくても、即ち、画像を印刷するノズル数を減らさなくとも、下層画像を十分に硬化した状態で上層画像を重ねることができる。よって、印刷時間が長くなってしまうことを防止できる。
【0068】
また、図5Aに示すように、非吐出領域の搬送方向の長さ「4D」が、搬送動作における媒体搬送量「D」の整数倍「4倍」の長さとなるように、コントローラー10がヘッド間隔を調整する。
【0069】
仮に、非吐出領域の搬送方向の長さ(4D)が媒体搬送量(D)の整数倍でなく、例えば、媒体搬送量が3Dであったとする。この場合、非吐出領域に対向するパス数が2パスである媒体領域と非吐出領域に対向するパス数が1パスである媒体領域とが存在することになり、下層画像に紫外線を照射する時間にばらつきが生じてしまう。そうすると、下層画像の硬化が不十分な領域が生じたり、下層画像の硬化度合いの違いによる色むらが生じたりしてしまう。
【0070】
そこで、非吐出領域の搬送方向の長さ(4D)を媒体搬送量(D)の整数倍にする。そうすることで、搬送方向の位置によらずに、媒体が非吐出領域と対向するパス数、即ち、媒体の所定領域に下層画像を印刷してから上層画像を重ねて印刷するまでの時間を一定にすることができ、下層画像に紫外線を照射する時間を一定にすることができる。よって、下層画像を全域に亘って十分に硬化することができ、画像の品質低下を抑制できる。
【0071】
また、同様に、主画像用ノズル群の搬送方向の長さ(例:図5の第1ヘッド41(1)のCoの長さ4D)と、背景画像用ノズル群の搬送方向の長さ(例:第2ヘッド41(2)のWの長さ4D)も、1回の搬送動作における媒体搬送量(D)の整数倍の長さにするとよい。そうすることで、主画像を構成するラスターライン及び背景画像を構成するラスターラインを、それぞれ、一定のノズル数(パス数)で印刷することができるので、画像の色むらを抑制することができ、印刷制御を容易にできる。
【0072】
また、主画像に背景画像を重ねて形成しない単独モードの場合、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との搬送方向の間に非吐出領域が設けられないように(図4A)、コントローラー10がヘッド間隔を調整する。
【0073】
そうすることで、上流側の第2ヘッド41(2)が媒体の所定領域に主画像を印刷した後、媒体の所定領域(主画像)は、非吐出領域と対向することなく、下流側の第1ヘッド41(1)と対向することができる。よって、仮照射部51a,51bが主画像に紫外線を照射するだけのパスを無くすことができ、印刷時間が長くなってしまうことを防止できる。単独モードでは、媒体に主画像だけが印刷されるので、媒体が非吐出領域と対向するパスが無くても問題はない。また、主画像を印刷するノズルの搬送方向の間隔を一定にすることができるため、2つのヘッド41(1),41(2)を使用するとしても、印刷制御が容易となる。また、印刷制御が複雑にならずに2つのヘッド41(1),41(2)を使用することができるため、1つのヘッド41しか使用しない場合に比べて、印刷時間を短縮できる。
【0074】
また、主画像と背景画像を重ねる場合に、主画像を構成するラスターラインと背景画像を構成するラスターラインを、それぞれ、間に搬送動作を含む複数回のパス(吐出動作)によって形成する。この場合、先のパスで印刷された下層画像の部位と後のパスで印刷された下層画像の部位とで紫外線が照射されるパス数が異なるので、硬化度合いの違いによる画像の色むらが生じ易い。しかし、本実施形態では、下層画像の印刷後に媒体が非吐出領域と対向するため、後のパスで印刷される下層画像の部位も、先のパスで印刷された下層画像の部位と同様に、仮照射部51a,51bにより十分に硬化することができる。そのため、先のパスで印刷される下層画像の部位と後のパスで印刷される下層画像の部位との硬化度合いの違いによる色むらを抑制することができる。
【0075】
ゆえに、各画像を構成するラスターラインを複数回のパスで印刷する場合、本実施形態のように第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列の間に非吐出領域が設けられるようにすることが、より有効となる。また、各画像を構成するラスターラインが複数の異なるノズルで印刷されるので、不良ノズルによる画像の画質劣化を抑制することができる。
【0076】
なお、ここまで、説明の容易のために、単方向印刷を例に挙げたが、これに限らない。ヘッド41が移動方向の左側に移動する時にも右側に移動する時にもヘッド41からインクを吐出する印刷方法(所謂、双方向印刷)を実行してもよい。
【0077】
また、ヘッド41が移動する方向に関係なく、常に、2つの仮照射部51a,51bが紫外線を照射するようにしてもよい。そうすることで、あるパスでヘッド41から吐出されたUVインクは、そのパスで、ヘッド41が移動する側の反対側に設けられた仮照射部51により紫外線が照射されるだけでなく、次のパスでヘッド41が新たにUVインクを吐出する前に、ヘッド41が移動する側に設けられた仮照射部51により紫外線が照射される。そのため、下層画像に照射する紫外線の照射量を増やすことができ、下層画像をより硬化させた状態で上層画像を重ねることができる。逆に言えば、2つの仮照射部51a,51bが紫外線を照射するようにすることで、非吐出領域の長さを短くすることができ、印刷時間を短縮できる。
【0078】
また、図5Aでは、第1ヘッド41(1)のノズル列の下流側端部の位置と仮照射部51aの下流側端部の位置が等しいが、これに限らない。例えば、仮照射部51aを第1ヘッド41(1)のノズル列よりも搬送方向の下流側に延ばしてもよい。この場合、上層画像の所定の部位の印刷が完了した後に、その上層画像の部位は搬送方向下流側に延びた仮照射部51aと対向するので、その上層画像の部位を十分に硬化することができる。ただし、本実施形態のプリンター1(図2)では、キャリッジ31の搬送方向下流側に本照射部52が設けられているため、仮照射部51aを搬送方向の下流側に延ばさなくても、上層画像を十分に硬化することができる。また、本照射部52の無いプリンター1でもよい。
【0079】
また、ここまで、1回のパスで、移動方向に並ぶ画素領域の1/4にドットを形成し、4回のパスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットを形成するとしているが、これに限らない。例えば、1つの画素領域に同色のドットを重ねて印刷するようにしてもよい。即ち、各パスで移動方向に並ぶ全画素領域にドットを形成し、4回のパスで各画素領域に同色のドットが4個重ねて形成されるようにしてもよい。そうすることで、UVインクによる媒体の埋まりを良くすることができ、画像の濃度を高めることができる。
【0080】
また、主画像と背景画像をそれぞれ構成するラスターラインを4回のパスで完成させるに限らず、例えば、2回のパスで完成させる印刷方法であってもよい。この場合、図5Aに示すように1ノズル列に属するノズル数が4個であれば、媒体搬送量が2Dとなる。
【0081】
===印刷方法:実施例2===
図7A及び図7Bは、実施例2の印刷方法を説明する図である。図では、表刷りモードを例に挙げて説明する。UVインクの特性や、所望する画像の画質や、上層画像を重ねる前に必要な下層画像の硬化度合い等に応じて、媒体の所定領域に対する下層画像の印刷完了後から上層画像を重ねて印刷する前までの間に下層画像に照射すべき紫外線の照射量は異なる(下層画像に照射する必要のある紫外線の照射量は異なる)。
【0082】
そこで、実施例2では、媒体の所定領域に主画像と背景画像のうちの一方の画像(下層画像)を先に形成してから一方の画像の上に他方の画像(上層画像)を重ねて形成する前までの間に仮照射部51a,51bが一方の画像(下層画像)に照射すべき紫外線の照射量が、第1の照射量である場合に比べて、第1の照射量よりも多い第2の照射量である場合の方が、非吐出領域の搬送方向の長さが長くなるように、コントローラー10が第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2)のヘッド間隔を調整する。
【0083】
具体的に説明すると、下層画像に照射すべき紫外線の照射量が多い場合、図5に示すように、非吐出領域の搬送方向の長さが、画像印刷用ノズル群(主画像用ノズル群・背景画像用ノズル群)の搬送方向の長さと同じ「4D」となるように、コントローラー10はヘッド間隔を調整する。そうすることで、媒体の所定領域は、下層画像の印刷後に、各画像を印刷するパス数と同じパス数(4パス)に亘って非吐出領域と対向するので、下層画像に多くの紫外線を照射することができる。
【0084】
一方、下層画像に照射すべき紫外線の照射量が少ない場合、図7Aに示すように、非吐出領域の搬送方向の長さが、画像印刷用ノズル群の搬送方向の長さの3/4である「3D」となるように、コントローラー10はヘッド間隔を調整する。そうすることで、媒体の所定領域が下層画像の印刷後に非吐出領域と対向するパス数は3パスとなるため、下層画像に照射する紫外線の照射量を少なくすることができる。なお、媒体の所定領域が下層画像の印刷後に非吐出領域と対向するパス数が減った分だけ、図7Aの印刷方法では図5の印刷方法に比べて、印刷時間が短くなる。
【0085】
また、下層画像に照射すべき紫外線の照射量が更に少ない場合、図7Bに示すように、非吐出領域の搬送方向の長さが、更に短い長さ(2D)となるように、コントローラー10はヘッド間隔を調整する。そうすることで、媒体の所定領域が下層画像の印刷後に非吐出領域と対向するパス数が更に減り、下層画像に照射する紫外線の照射量を減らすことができる。
【0086】
ただし、非吐出領域の搬送方向の長さを、1回の搬送動作における媒体搬送量の整数倍の長さにする。そうすることで、下層画像が非吐出領域と対向するパス数を搬送方向の位置によらずに一定にすることができる。
【0087】
このように、実施例2では、下層画像に照射すべき紫外線の照射量に応じて、非吐出領域の搬送方向の長さが変わるように、コントローラー10はヘッド間隔を調整する。そうすることで、下層画像に照射すべき紫外線の照射量が多い場合には、下層画像が非吐出領域と対向するパス数を増やすことができ、下層画像が確実に硬化している状態で上層画像を重ねることができる。一方、下層画像に照射すべき紫外線の照射量が少ない場合には、下層画像が不必要に非吐出領域と対向してしまうパス数を減らすことができ、印刷時間を短縮することができる。つまり、下層画像が十分に硬化した状態で上層画像を重ねつつ、印刷時間を短縮することができる。
【0088】
===印刷方法:実施例3===
主画像と背景画像を重ねる重複モードにおいて、非吐出領域の搬送方向の長さを長くするほど、下層画像の印刷後に媒体の所定領域が非吐出領域と対向するパス数が増え、上層画像が重なる前に下層画像に照射される紫外線の照射量を増やすことができる。しかし、印刷時間が長くなってしまう。
【0089】
そこで、実施例3では、例えば、印刷時間を短くするために非吐出領域の長さを短くした場合に、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くする。つまり、非吐出領域の搬送方向の長さが、第1の長さである場合に比べて、第1の長さよりも短い第2の長さである場合の方が、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度(mW/cm)を強くする。
【0090】
そうすることで、非吐出領域の搬送方向の長さを短くしたとしても、上層画像を重ねる前に下層画像に照射する紫外線の照射量(紫外線の照射強度×照射時間)を多くすることができる。よって、下層画像を十分に硬化させた状態で上層画像を重ねつつ、印刷時間を短縮することができる。
【0091】
なお、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くするために、例えば、仮照射部51a,51bへの印加電流を大きくするとよい。また、仮照射部51a,51bの全域の照射強度を強くしてもよいし、非吐出領域と移動方向に並ぶ仮照射部51a,51bの部位だけ照射強度を強くしてもよい。
【0092】
図8は、非吐出領域の搬送方向の長さを決定するフローの一例である。非吐出領域の搬送方向の長さを短くした代わりに、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くしたとしても、非吐出領域の搬送方向の長さが長い場合の方が、上層画像が重なる前に下層画像を確実に硬化させることができる。
【0093】
そこで、例えば、主画像と背景画像を重ねる重複モードであって、ユーザーにより「きれいモード」が設定されている場合(S01→Y)、非吐出領域の搬送方向の長さが画像印刷用ノズル群(主画像用ノズル群・背景画像用ノズル群)の搬送方向の長さと等しくなるように(図5)、コントローラー10はヘッド間隔を調整する(S02)。
【0094】
一方、ユーザーにより「はやいモード」が設定されている場合(S01→N)、非吐出領域の搬送方向の長さが画像印刷用ノズル群の搬送方向の長さよりも短くなるように(図7)、コントローラー10はヘッド間隔を調整する(S04)。
【0095】
そして、コントローラー10は、きれいモードの場合には、はやいモードの場合に比べて、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を弱くし(S03)、逆に、はやいモードの場合には、きれいモードの場合に比べて、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度を強くする(S05)。
【0096】
そうすることで、きれいモードの場合には、上層画像と重なる前に下層画像が非吐出領域と対向するパス数を増やすことができ、下層画像を確実に硬化した状態で上層画像を重ねることができ、印刷画像の品質低下を抑制することができる。一方、はやいモードの場合には、仮照射部51a,51bからの紫外線の照射強度が強くなるため、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重なってしまうことを防止でき、印刷時間を短縮することができる。
【0097】
また、印刷モードに応じて非吐出領域の搬送方向の長さを決定するに限らない。比較的に低い照射強度で長時間かけて紫外線を照射する方が画像に光沢感が出易いので、例えば、画像に光沢感を出したい場合には非吐出領域の搬送方向の長さを長くし、画像に光沢感を出したくない場合には非吐出領域の搬送方向の長さを短くしてもよい。つまり、所望する画像の画質に応じて、非吐出領域の搬送方向の長さを決定してもよい。
【0098】
===変形例===
<変形例1>
前述の実施例では、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(光硬化型インク)を例に挙げているが、これに限らず、例えば、媒体に浸透する水系インクや有機溶剤系インクでもよい。これらのインクで主画像と背景画像を重ねて印刷する場合、下層画像の硬化が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまうという課題は生じない。しかし、図4に示すように、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列の間に非吐出領域が設けられていない状態でヘッド41(1),41(2)の位置が固定されていると、図6に示すように、下層画像の印刷が完了した次のパスで、下層画像の乾燥が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまう。つまり、下層画像の乾燥時間が短く、画像が滲んだり混色したりして、画像の品質が低下してしまう。
【0099】
そこで、水系インク等を使用する場合にも、主画像と背景画像を重ねる場合には、図5Aに示すように、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列の搬送方向の間に非吐出領域が設けられるように、コントローラー10がヘッド間隔を調整するようにするとよい。そうすることで、下層画像が非吐出領域と対向する間に下層画像は乾燥することができ、下層画像が十分に乾燥した状態で上層画像を重ねることができ、画像の滲みや混色を抑え、画像の品質低下を抑制することができる。
【0100】
<変形例2>
前述の実施例では、主画像と背景画像を重ねる場合に、図5Aに示すように、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との間に非吐出領域を設けているが、これに限らない。例えば、上層画像が重なる前に下層画像に照射すべき紫外線の照射量が少ない場合や印刷時間を短くしたい場合には、主画像と背景画像を重ねる場合であっても、第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列との間に非吐出領域が設けられないように(図4A)、コントローラー10がヘッド間隔を調整するようにしてもよい。
【0101】
つまり、ヘッド間隔を調整可能にすることで、媒体の所定領域に対して下層画像を形成してから上層画像を重ねて形成する前までの時間を調整可能とし、下層画像を十分に硬化・乾燥させた状態で上層画像を重ねつつ、不必要に印刷時間が長くなってしまうことを防止できる。
【0102】
<変形例3>
前述の実施例では、表刷りモードと裏刷りモードの両方を実行するために、第1ヘッド41(1)にも第2ヘッド41(2)にも、主画像を印刷するノズル列(YMCK)と背景画像を印刷するノズル列(W)が設けられているが(図2)、これに限らず、何れか一方のモードだけを実行するようにしてもよい。
【0103】
例えば、表刷りモードだけを実行するプリンターであれば、搬送方向下流側の第1ヘッド41(1)には主画像を印刷するノズル列(YMCK)だけを設け、搬送方向上流側の第2ヘッド41(2)には背景画像を印刷するノズル列(W)だけを設けるようにしてもよい。
【0104】
また、前述の実施例では、主画像だけを印刷する単独モードと、主画像と背景画像を重ねる重複モードの、両方を実行するとしているが、これに限らず、重複モードだけを実行するようにしてもよい。
【0105】
また、前述の実施例では、主画像と背景画像の2種類の画像を重ねているが、これに限らず、例えば、3種類の画像(主画像と背景画像とコーティング画像)を重ねるようにしてもよい。この場合、キャリッジ31に3個のヘッド41を設け、各ヘッド41のヘッド間隔を可変にし、3種類の画像を重ねる場合、コントローラー10がヘッド間隔を調整するようにするとよい。そうすることで、下層画像を十分に硬化・乾燥させた状態で真ん中の画像を重ねることができ、真ん中の画像を十分に硬化・乾燥させた状態で上層画像を重ねることができる。
【0106】
<変形例4>
前述の実施例では、主画像及び背景画像を構成する各ラスターラインを、それぞれ、間に搬送動作を含む複数回のパスで印刷するとしているが、これに限らない。例えば、主画像及び背景画像を構成する各ラスターラインをそれぞれ1回のパスで印刷してもよい。即ち、1回のパスで印刷される画像が搬送方向に並び、あるパスで印刷されたラスターライン間に他のパスのラスターラインが印刷されない印刷方法(所謂、バンド印刷)を実行してもよい。
【0107】
第1ヘッド41(1)のノズル列と第2ヘッド41(2)のノズル列の間に非吐出領域が設けられていない状態で、バンド印刷を実行すると、或るパスで媒体の所定領域に下層画像が印刷された後、その次のパスで上層画像が重ねられてしまう。そうすると、下層画像の硬化・乾燥が不十分な状態で上層画像が重ねられてしまう虞がある。そこで、バンド印刷で主画像と背景画像を重ねて印刷する場合にも、コントローラー10がヘッド間隔を調整するようにするとよい。
【0108】
<変形例5>
前述の実施例では、背景画像を白インクのみで印刷しているが、これに限らない。白インクの種類によって白色の色味が若干異なるため、白インクのみで印刷すると、その白インクの色そのものの色が背景画像の色となってしまう。また、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。そこで、白インクと共に少量の4色インク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷するようにしてもよい。また、逆に、白インクに4色インクを混ぜることで、白インクが有する若干の色彩を打ち消すようにしてもよい。
【0109】
また、背景画像を白色とするに限らず、白インク以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、4色インク(YMCK)だけで主画像を印刷するに限らず、4色インクに白インクを混ぜて主画像を印刷してもよい。
【0110】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として画像形成装置について記載されているが、画像形成方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0111】
<UVインクについて>
前述の実施形態では、光硬化型インクとして、紫外線硬化型インクを例に挙げているが、これに限らない。例えば、可視光を照射すると硬化するインクでもよく、この場合、光照射部は可視光を照射するようにする。
【0112】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、移動方向に移動するヘッドからインクを吐出する吐出動作と、媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、が繰り返されるプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、ヘッドを媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0113】
<白色について>
本明細書において「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。「白色」とは、例えば、(1)x-rite社製の測色機eye-one Proを用いて測色モード:スポット測色、光源:D50、バッキング:Black、印刷媒体:透明フィルムで測色した場合に、Lab系での標記がa**平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(2)ミノルタ製の測色計CM2022を用いて測定モードD502°視野、SCFモード、白地バックで測色した場合に、Lab系での標記がa**平面上で半径20の円周及びその内側にあり、かつL*が70以上で表される色相範囲内の色か、(3)特開2004−306591号公報に記載されているように画像の背景として用いられるインクの色をいい、背景として用いられるのであれば純粋な白に限られない。
【符号の説明】
【0114】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
40 ヘッドユニット、41(1) 第1ヘッド、41(2) 第2ヘッド、42 移動機構、50 照射ユニット、51a 第1仮照射部、
51b 第2仮照射部、52 本照射部、60 検出器群、
70 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1のインクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル列が設けられた第1のヘッドと、
(B)第2のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第2のノズル列が設けられ、前記第1のヘッドよりも前記所定方向の一方側に位置する第2のヘッドと、
(C)前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの相対位置を前記所定方向に移動する移動機構と、
(D)前記ヘッドと媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッドと前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
前記第1のインクによる主画像と前記第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、前記移動機構により前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの前記所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、
(E)を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記主画像と前記背景画像とを重ねて形成する場合に、前記第1のノズル列と前記第2のノズル列との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整する、
画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、前記搬送動作における前記ヘッドと前記媒体との前記所定方向の相対移動量の整数倍の長さとなるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整する、
画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置であって、
前記第1のインクと前記第2のインクは光が照射されると硬化する光硬化型インクであり、
前記光硬化型インクに光を照射する光照射部であって、前記第1のノズル列の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル列の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部を有し、
前記吐出動作では、前記光照射部及び前記ヘッドと前記媒体とが前記移動方向に相対移動し、
前記媒体の所定領域に前記主画像と前記背景画像のうちの一方の画像を先に形成してから前記一方の画像の上に他方の画像を重ねて形成する前までの間に前記光照射部が前記一方の画像に照射すべき光の照射量が、第1の照射量である場合に比べて、前記第1の照射量よりも多い第2の照射量である場合の方が、前記非吐出領域の前記所定方向の長さが長くなるように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整する、
画像形成装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置であって、
前記第1のインクと前記第2のインクは光が照射されると硬化する光硬化型インクであり、
前記光硬化型インクに光を照射する光照射部であって、前記第1のノズル列の前記所定方向の他方側の端部から前記第2のノズル列の前記所定方向の前記一方側の端部までに亘って少なくとも前記所定方向に延びて配置された光照射部を有し、
前記吐出動作では、前記光照射部及び前記ヘッドと前記媒体とが前記移動方向に相対移動し、
前記非吐出領域の前記所定方向の長さが、第1の長さである場合に比べて、前記第1の長さよりも短い第2の長さである場合の方が、前記光照射部からの光の照射強度が強い、
画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の画像形成装置であって、
前記第2のヘッドに、前記第1のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第3のノズル列が設けられ、
前記主画像に前記背景画像を重ねて形成しない場合に、前記第1のノズル列と前記第3のノズル列との前記所定方向の間にインクが吐出されない非吐出領域が設けられないように、前記制御部は前記ヘッド間隔を調整する、
画像形成装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の画像形成装置であって、
前記主画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成し、
前記背景画像を構成する前記移動方向に沿うドット列を、間に前記搬送動作を含む複数回の前記吐出動作によって形成する、
画像形成装置。
【請求項8】
(A)第1のインクを吐出するノズルが所定方向に並ぶ第1のノズル列が設けられた第1のヘッドと、
(B)第2のインクを吐出するノズルが前記所定方向に並ぶ第2のノズル列が設けられ、前記第1のヘッドよりも前記所定方向の一方側に位置する第2のヘッドと、
(C)前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの相対位置を前記所定方向に移動する移動機構と、
(D)前記ヘッドと媒体とを前記所定方向と交差する移動方向に相対移動させながら前記ノズルから前記インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッドと前記媒体とを前記所定方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
前記第1のインクによる主画像と前記第2のインクによる背景画像とを重ねて形成する場合に、前記移動機構により前記第1のヘッドと前記第2のヘッドの前記所定方向の間隔であるヘッド間隔を調整する制御部と、
(E)を有する画像形成装置を用いて前記媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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