説明

画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】補助インクを吐出させるデータの転送量、及び、記憶容量の削減を図る。
【解決手段】画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と第1ノズルとの相対的な位置に応じてカラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、第1ノズル及び第2ノズルと、被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて第1ノズルからのカラーインクの吐出、及び、第2ノズルからの補助インクの吐出を制御する制御部であって、被印刷媒体の所定画素に対して、データにおける所定画素の近傍画素にカラーインクの吐出データが含まれている場合、第2ノズルから所定画素に補助インクを吐出させ、近傍画素にカラーインクの吐出データが含まれていない場合、第2ノズルから所定画素に補助インクを吐出させない制御を行う制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置として、液体の一種であるインクを被印刷媒体(例えば紙)に吐出して被印刷媒体に画像を形成するインクジェット式のプリンターが知られている。また、プリンターにおいて、カラーインクと吐出して画像を形成する以外に、画像を補助する補助インクを吐出する場合がある。例えば、画像上に無色透明のクリアインクを吐出すると、画像表面をコーティング(オーバープリント)することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-094726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、画像を印刷するための印刷データは、プリンターの外部装置(例えばコンピューター)で生成されて、プリンターに送信される。そして、プリンターは受信した印刷データに基づいて印刷を行う。しかし、上述した補助インクの吐出データも同様に外部装置で生成するようにするとデータ量が大きくなり、印刷の際にデータ転送量が増大して印刷速度が低下するおそれがあった。また、プリンターにおいて、補助インクの吐出データを記憶するための記憶容量が増大するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、補助インクを吐出させるためのデータの転送量、及び、記憶容量の削減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて前記第1ノズルからの前記カラーインクの吐出、及び、前記第2ノズルからの前記補助インクの吐出を制御する制御部であって、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素の近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させ、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させない制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】プリンター1の概略断面図である。
【図2】プリンター1のブロック図である。
【図3】ヘッド31の構成の説明図である。
【図4】ヘッド31の内部構造を説明するための断面図である。
【図5】8パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【図6】ヘッドの移動を説明するための模式図である。
【図7】プリンタードライバーによる処理の説明図である。
【図8】比較例における1フレーム分の印刷データを示す図である。
【図9】比較例の印刷工程を示す模式図である。
【図10】本実施形態における印刷データDCを示す概念図である。
【図11】ラインバッファーに色毎に格納された印刷データを示す概念図である。
【図12】本実施形態におけるOPの印刷データ作成処理を示すフロー図である。
【図13】nパス目のクリアインクの吐出の有無を示すデータである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0010】
画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて前記第1ノズルからの前記カラーインクの吐出、及び、前記第2ノズルからの前記補助インクの吐出を制御する制御部であって、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素の近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させ、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させない制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置が明らかとなる。
このような画像形成装置によれは、画像の印刷データに基づいて、画像形成装置自体で補助インクを吐出させることができるので、外部装置から補助インクの印刷データを受信する必要がない。よって、補助インクを吐出させるためのデータの転送量、及び、記憶容量の削減を図ることができる。
【0011】
かかる画像形成装置であって、前記ラインバッファーは、前記第1ノズルに対応するラインに対して前記近傍画素分の隣接ラインの領域を有していてもよい。
このような画像形成装置によれば、所定画素に補助インクを吐出するか否かを確実に判定することができる。
【0012】
かかる画像形成装置であって、前記近傍画素分の領域への前記カラーインクの吐出データを格納したバッファーをさらに備え、前記制御部は、前記バッファーの前記吐出データに基づいて、前記所定画素へ前記補助インクを吐出するか否かを判定するようにしてもよい。
このような画像形成装置によれば、所定画素に補助インクを吐出するか否かを確実に判定することができる。
【0013】
かかる画像形成装置であって、前記制御部は、或る画素に前記カラーインク及び前記補助インクを吐出する周期内に、前記或る画素の次の画素に前記補助インクを吐出するか否かを判定することが望ましい。
このような画像形成装置によれば、補助インク用のラインバッファーが不要である。これにより、さらに補助インクを吐出させるためのデータの記憶容量の削減を図ることができる。
【0014】
かかる画像形成装置であって、前記第1ノズルは、複数色の前記カラーインクに対応して複数設けられており、前記制御部は、複数色の前記カラーインクのそれぞれの吐出データに基づいて、前記所定画素へ前記補助インクを吐出するか否かを判定することが望ましい。
このような画像形成装置によれば、複数のカラーインクで画像を形成する場合にも、その画像よりも一回広い範囲に補助インクを吐出できる。
【0015】
また、画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて前記第1ノズルからの前記カラーインクの吐出、及び、前記第2ノズルからの前記補助インクの吐出を制御する制御部であって、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させず、前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させる制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする画像形成装置が明らかとなる。
このような画像形成装置によれば、画像を形成しない領域に補助インクを吐出する場合において、補助インクを吐出させるためのデータの転送量、及び、記憶容量の削減を図ることができる。
【0016】
また、画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、を備えた画像形成装置による画像形成方法であって、前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させることと、前記データに基づいて前記第1ノズルから前記カラーインクを吐出させるここと、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素の近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させ、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させないことと、を特徴とする画像形成方法が明らかとなる。
【0017】

以下の実施形態では、画像形成装置としてラテラル方式のインクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例に挙げて説明する。
【0018】
===第1実施形態===
<プリンター1の構成例について>
プリンター1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、プリンター1の概略断面図である。図2は、プリンター1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施形態においては、プリンター1が画像を記録する媒体(被印刷媒体)としてロール紙2(連続紙)を用いて説明する。
【0019】
本実施形態に係るプリンター1は、図1及び図2に示すように、搬送ユニット20と、該搬送ユニット20がロール紙2を搬送する搬送経路に沿って、給送ユニット10と、プラテン29と、巻き取りユニット80と、を有している。さらに、プリンター1は、ヘッドユニット30と、キャリッジユニット40と、クリーニングユニット70と、ノズル検査ユニット90と、これらのユニット等を制御しプリンター1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
【0020】
給送ユニット10は、ロール紙2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール紙2が巻かれ回転可能に支持される巻軸18と、巻軸18から繰り出されたロール紙2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
【0021】
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール紙2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(ロール紙2が搬送される方向において、プラテン29から見て上流側)に位置する第一搬送ローラー23と、第一搬送ローラー23から見て右方(ロール紙2が搬送される方向において、プラテン29から見て下流側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
【0022】
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール紙2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
【0023】
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール紙2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する印刷領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、印刷領域R上のロール紙2の部位に対して画像形成がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている(すなわち、後述するように、ヘッドが、左右方向及び前後方向へ移動しつつ、停止しているロール紙2の当該部位にインクを吐出することにより、当該部位に1ページ分の画像が形成されることとなる)。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール紙2の搬送量(ロール紙の部位の長さ)が調整される。
【0024】
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール紙2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール紙2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール紙2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール紙2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール紙2の部位検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール紙2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
【0025】
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール紙2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が形成された後のロール紙2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール紙2の搬送方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール紙2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
【0026】
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール紙2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット80に送り出すようになっている。
【0027】
プラテン29は、搬送経路上の印刷領域Rに位置するロール紙2の部位を支持するとともに、該部位を加熱するものである。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の印刷領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。
【0028】
このように、ロール紙2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール紙2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール紙2は、搬送ユニット20により、印刷領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される(すなわち、印刷領域R上のロール紙2の部位に1ページ分の画像が形成される毎に、間欠的な当該搬送が行なわれる)。
【0029】
ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の印刷領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール紙2の部位に、液体の一例としてのインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット30は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたヘッド31を有している。
なお、ヘッド31の構成の詳細については後述する。
【0030】
キャリッジユニット40は、ヘッド31を移動させるためのものである。このキャリッジユニット40は、搬送方向(左右方向)に延びるキャリッジガイドレール41と(図1に二点鎖線で示す)、キャリッジガイドレール41に沿って搬送方向(左右方向)へ往復移動可能に支持されたキャリッジ42と、不図示のモーターとを有する。
【0031】
キャリッジ42は、不図示のモーターの駆動により、ヘッド31と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。また、キャリッジ42には、列方向(前後方向)に延びる不図示のヘッドガイドレールが設けられており、ヘッド31は、前記モーターの駆動により、当該ヘッドガイドレールに沿って列方向(前後方向)へ移動するよう構成されている。
【0032】
クリーニングユニット35は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニットは、ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)に設けられており、キャップと吸引ポンプ(いずれも不図示)等を有している。ヘッド31(キャリッジ42)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。また、プリンター1が印刷を行わないとき(キャリッジ42がHPに位置しているとき)には、キャップは上昇してヘッド31の下面に密着する。このことにより、ノズルからのインクの蒸発(換言すれば、インクの乾燥)を抑制する。すなわち、キャップは、印刷休止中にヘッド31の下面(ノズル面)を封止して、インクの蒸発を抑制する蓋体としての機能を発揮する。
【0033】
巻き取りユニット80は、搬送ユニット20により送られたロール紙2(画像形成済みのロール紙)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット80は、送り出しローラー27から送られたロール紙2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー81と、回転可能に支持され中継ローラー81から送られたロール紙2を巻き取る巻き取り駆動軸82と、を有している。
【0034】
コントローラー60(制御部に相当する)は、プリンター1の制御を行なうための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行なうためのものである。CPU62は、プリンター1全体の制御を行なうための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。また、メモリー63は、ホストコンピューター110から受信したデータ(印刷データ)をインク色毎に保存するラインバッファー631を有している。なお、バッファーとは、機器間でデータをやり取りするときに処理速度や転送速度の差を補うためにデータを一時的に保存しておく記憶領域のことであり、ラインバッファーは、パス毎(ライン毎)のデータを保存する。なお、本実施形態のラインバッファー631は、後述するようにインク色毎に3ライン分のデータを保持することが可能になっている。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0035】
検出器群50は、プリンター1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラーに取り付けられてロール紙2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール紙2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ42(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダーなどがある。
【0036】
<ヘッドの構成について>
図3はヘッド31の構成の説明図である。
ヘッド31は、その下面に、列方向にノズルが並んだノズル列を有している。本実施形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、クリア(CL)の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯m(例えば180)からなるノズル列を有している。これらの各ノズル列のことをそれぞれイエローノズル列Y、マゼンダノズル列M、シアンノズル列C、ブラックノズル列K、クリアノズル列CLとよぶ。
【0037】
各ノズル列のノズル♯1〜♯mは、ロール紙2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
【0038】
図4は、ヘッド31の内部構造の一例を説明するための断面図である。図では搬送方向に隣接する2つのノズルに対応する部分の断面が示されている。ヘッド31は、駆動ユニット32と、駆動ユニット32を収納するためのケース33と、ケース33に装着される流路ユニット34とを備えている。
【0039】
駆動ユニット32は、複数のピエゾ素子321によって構成されるピエゾ素子群と、このピエゾ素子群が固定される固定板323と、各ピエゾ素子321に給電するためのフレキシブルケーブル324とから構成される。各ピエゾ素子321は、所謂片持ち梁の状態で固定板323に取り付けられている。固定板323は、ピエゾ素子321からの反力を受け止め得る剛性を備えた板状部材である。フレキシブルケーブル324は、可撓性を有するシート状の配線基板であり、固定板323とは反対側となる固定端部の側面でピエゾ素子321と電気的に接続されている。そして、このフレキシブルケーブル324の表面には、ピエゾ素子321の駆動等を制御するための制御用ICであるヘッド制御部HCが実装されている。
【0040】
ケース33は、駆動ユニット32を収納可能な収納空部331を有する直方体ブロック状の外形である。このケース33の先端面には上記の流路ユニット34が接合される。この収納空部331は、駆動ユニット32が丁度嵌合可能な大きさである。また、このケース33には、対応するインクカートリッジ(不図示)からのインクを流路ユニット34に供給するためのインク供給管332も形成されている。
【0041】
流路ユニット34は、流路形成基板35と、ノズルプレート36と、弾性板37とを有し、流路形成基板35がノズルプレート36と弾性板37に挟まれるようにそれぞれを積層して一体的に構成される。ノズルプレート36は、ノズル(Nz)が形成されたステンレス鋼製の薄いプレートである。
【0042】
流路形成基板35には、圧力室351及びインク供給口352となる空部が各ノズルNzに対応して複数形成される。リザーバー353は、インクカートリッジに貯留されたインクを各圧力室351に供給するための液体貯留室であり、インク供給口352を通じて対応する圧力室351の他端と連通している。なお、インクカートリッジから供給されるインクは、インク供給管332を通って、リザーバー353内に導入されるようになっている。
【0043】
駆動ユニット32は、ピエゾ素子321の自由端部を流路ユニット34側に向けた状態で収納空部331内に挿入され、この自由端部の先端面が対応する島部373に接着される。また、固定板323の背面が収納空部331を区画するケース33の内壁面に接着される。この収納状態でフレキシブルケーブル324を介してピエゾ素子321に駆動信号を供給すると、ピエゾ素子321は伸縮して圧力室351の容積を膨張・収縮させる。このような圧力室351の容積変化により、圧力室351内のインクには圧力変動が生じる。そして、このインク圧力の変動を利用することで対応するノズルNzからインク滴を吐出させることができる。
【0044】
<インクについて>
プリンターでは、様々な色を表現するために「減法混色」が用いられている。減法混色の原色は有彩色であるシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の3色である。シアン(C)は、レッド(R)を吸収し、グリーン(G)とブルー(B)を反射する。マゼンダ(M)は、グリーン(G)を吸収し、レッド(R)とブルー(B)を反射する。イエロー(Y)は、ブルー(B)を吸収し、レッド(R)とグリーン(G)を反射する。つまり、シアンインク、マゼンダインク、イエローインクは、光の3原色RGBの吸収量を調整することによって、視認される画像を表現する。本実施形態では、画像を形成する際に、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)以外に、ブラック(K)を用いている。ブラックインクを用いているのは、CMYの3色のインクを混ぜても、強い黒(深い黒)が表現できないためである。以下の説明において、画像を形成するこれらの4色(CMYK)のインクのことをカラーインクともいう。また、カラーインクを吐出可能なノズルは第1ノズルに相当する。なお、CMYKのうちの何れか(少なくとも1色)で画像を形成するようにしてもよいし、あるいは、上記4色(CMYK)に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)、ライトマゼンダ(薄いマゼンダ、LM)、グリーン(G)、オレンジ(Or)など他の色のインクを用いて画像を形成するようにしてもよい。
【0045】
また、クリアインクは、無色透明のインクである。本実施形態においてクリアインクは、画像の表面をコーティングすることにより、印刷物の光沢や耐候性を向上させるために用いられる。以下の説明において、クリアインクによるコーティングのことをOP(オーバープリント)ともいう。なお、クリアインクは補助インクに相当し、クリアインクを吐出可能なノズルは第2ノズルに相当する。
【0046】
===プリンター1の動作例について===
上述した通り、プリンター1には、列方向(前後方向)にノズルが並んだノズル列を有するヘッド31が設けられている。そして、コントローラー60が、当該ヘッド31を搬送方向(左右方向)に移動させながら、ノズルからインクを吐出させ、搬送方向(左右方向)に沿ったラスタラインを形成することにより、印刷領域R上のロール紙2の部位に1ページ分の画像記録を行なう。
【0047】
ここで、コントローラー60は、複数パス(6パス、8パス、16パス等)の印刷を実行する。すなわち、列方向における画像の解像度を高くするために、パス毎に列方向におけるヘッド31の位置を少しずつ変えて印刷を行なう。
これについて、図5を用いてより具体的に説明する。図5は、8パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
【0048】
図5の左側にはヘッド31のノズル列(ノズル)が表されており、当該ヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動しながらノズルからインクが吐出されることにより、ラスタラインが形成される。図に表されているヘッド31(ノズル列)の列方向における位置は、1パス目のときの位置であり、かかる位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、1パス目の印刷が実行され、図に表された3つのラスタライン(右端にパス1と書かれているラスタラインL1)が形成される。
【0049】
そして、次に、ヘッド31(ノズル列)が列方向に移動して、移動後の位置を維持したままヘッド31(ノズル列)が搬送方向に移動すると、2パス目の印刷が実行され、図に表された2つのラスタライン(右端にパス2と書かれているラスタラインL2)が形成される。このときのヘッド31(ノズル列)の列方向への移動距離は、ノズル間距離(例えば、1/180インチ)の1/8分(1/180×1/8=1/1440インチ:以下では、この距離を距離dとする)となる。
【0050】
以下、同様の動作が行なわれることにより、3〜8パス目の印刷が実行されて、図に表された残りのラスタライン(右端にパス3〜8と書かれているラスタラインL3〜L8)が形成される。このように、8パスでラスタラインが形成されることにより、列方向における画像の解像度を8倍(=1440÷180)の解像度とすることが可能となる。
【0051】
なお、本実施の形態においては、所謂単方向印刷が行なわれる。すなわち、各パスにより印刷が行なわれるときのヘッド31(ノズル列)の移動方向は同じ方向となる(後に、詳述する)。なお、上記以外の記録方法によって印刷を行うようにしてもよい。例えば、公知のマイクロウィーブ印刷を行うようにしてもよい。
【0052】
以下では、プリンター1の動作例としてプリンター1の画像形成動作(換言すれば、インク吐出動作)を説明するが、上述した8パスで印刷する図6のケースを例に挙げて説明する(以下の説明で、図5も随時参照する)。
【0053】
<プリンター1の画像形成動作例について>
ここでは、プリンター1の印刷動作例について、図5、図6を用いて説明する。図6は、ヘッドの移動を説明するための模式図である。印刷動作を説明する前に、先ず、図6(の見方)について説明する。
【0054】
図6には、印刷処理(すなわち、画像形成に係る一連の処理)が行なわれている間に、ヘッドがどのように移動するかが示されている。ここでは、説明を分かり易くするために、ヘッド31(およびノズル列)の数は、複数個ではなく1つであることとして、説明を行なう。
【0055】
ヘッド31は、便宜上、丸印で表され(図には、大きな丸と小さな丸があるが、双方の区別に意味は無い)、ヘッドの移動が矢印で表されている。ここで、図中左右方向に向いた矢印は、搬送方向におけるヘッドの移動を表し、上下方向に向いた矢印は、列方向におけるヘッドの移動を表している。また、各矢印には、S1〜S26の符号が付けられているが、これは、以降の印刷処理の説明で用いられるステップ番号である。
また、パス1乃至パス8が付されているステップ番号があるが、これらのステップ番号はインクが吐出されることにより画像形成動作が実行されるステップを表している。
【0056】
以下、図5、図6を参照しつつ、印刷処理について説明する。なお、当該印刷処理は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行なうためのコードから構成されている。
【0057】
前述した間欠的なロール紙2の搬送が行なわれてロール紙2が停止すると、印刷領域R上のロール紙2の部位に1ページ分の画像形成を行なうための印刷処理が開始される。
先ず、コントローラー60は、キャリッジ42(すなわち各ヘッド)をHP位置から往方向(ロール紙2が搬送される方向において、上流側から下流側へ向かう方向)へ移動させる(ステップS1)。
コントローラー60は、ヘッド31の往方向への移動を継続しつつ、ヘッドにインクを吐出させて、1パス目の印刷を実行する(ステップS2)。そして、このことにより、図5に示されたラスタラインL1(パス1のラスタライン)が形成される。
【0058】
ヘッドが第一折り返し位置へ至ると、コントローラー60は、ヘッドを復方向(ロール紙2が搬送される方向において、下流側から上流側へ向かう方向)へ移動させる(ステップS3)。
ヘッドが第二折り返し位置へ至ると、コントローラー60は、ヘッドを列方向へ移動させる(ステップS4)。本実施形態においては、前記距離dだけヘッドを移動させる。
【0059】
その後、コントローラー60は、ステップS2〜ステップS4の動作を6回繰り返し行う(ステップS5〜ステップS22)。これによりラスタラインL2〜L7が形成される。
さらに、コントローラー60は、ヘッド31を往方向へ移動しつつ、ヘッドにインクを吐出させて、8パス目の印刷を実行する(ステップS23)。これにより、図5に示されたラスタラインL8(パス8のラスタライン)が形成される。
【0060】
ヘッドが第一折り返し位置へ至ると、コントローラー60は、ヘッドを復方向(ロール紙2が搬送される方向において、下流側から上流側へ向かう方向)へ移動させる(ステップS24)。
その後、コントローラー60は、ヘッドの列方向における位置を元に戻す(ステップS25)。すなわち、ステップS4、S7、S10、S13、S16、S19、S22でヘッドが移動した方向とは逆方向に、距離7dだけヘッドを移動させる。
【0061】
そして、コントローラー60は、ヘッドをHP位置へ移動させることにより(ステップS26)、1ページ分の画像形成を行なうための印刷処理を終了させる。なお、本実施形態では、1ページ分の画像形成を8パスで行うこととしたがこれには限られない、例えば4パスで1ページ分の画像形成を行うようにしてもよい。
【0062】
<プリンタードライバーによる処理の概要>
上記の印刷処理は、前述したように、プリンター1に接続されたホストコンピューター110から印刷データが送信されることにより開始する。当該印刷データは、プリンタードライバーによる処理により作成される。以下、プリンタードライバーによる処理について、図7を参照しながら説明する。図7は、プリンタードライバーによる処理の説明図である。
【0063】
プリンタードライバーは、アプリケーションプログラムから画像データを受け取り、プリンター1が解釈できる形式の印刷データに変換し、印刷データをプリンターに出力する。アプリケーションプログラムからの画像データを印刷データに変換する際に、プリンタードライバーは、解像度変換処理・色変換処理・ハーフトーン処理・ラスタライズ処理・コマンド付加処理などを行う。
【0064】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラムから出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)を、紙に印刷する際の解像度(印刷解像度)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取ったベクター形式の画像データを720×720dpiの解像度のビットマップ形式の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データの各画素データは、RGB色空間により表される多階調(例えば256階調)のRGBデータである。この階調値は、RGB画像データに基づいて定められるものである。
【0065】
色変換処理は、RGBデータをCMYK系色空間のデータに変換する処理である。なお、CMYK系色空間は、プリンター1で使用するインク(色)に対応した色空間である。言い換えると、プリンタードライバーは、RGBデータに基づいて、CMYK系平面の画像データを作成する。例えば、使用するインクがCMYKの4色の場合、CMYK平面の画像データを作成する。
この色変換処理は、RGBデータの階調値と使用するインクに応じたCMYK系データの階調値とを対応づけたテーブルに基づいて行われる。このテーブルのことを色変換ルックアップテーブル(LUT)という。なお、色変換処理後の画素データは、CMYK系色空間により表される256階調のデータである。
【0066】
ハーフトーン処理は、高階調数のデータを、プリンターが形成可能な階調数のデータに変換する処理である。このハーフトーン処理により、256階調を示すデータが、2階調を示す1ビットデータや4階調を示す2ビットデータに変換される。ハーフトーン処理後の画像データでは、画素ごとに1ビット又は2ビットの画素データが対応しており、この画素データは各画素でのドットの形成状況(ドットの有無、ドットの大きさ)を示すデータになる。例えば2ビット(4階調)の場合、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成のように4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット作成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンター1がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
【0067】
ラスタライズ処理は、マトリクス状に並ぶ画素データを、プリンター1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並べ替える。例えば、各ヘッドのノズルの並び順に応じて、画素データを並べ替える。
【0068】
コマンド付加処理は、ラスタライズ処理されたデータに、印刷方式に応じたコマンドを示すデータを付加する処理である。コマンドとしては、例えば、搬送コマンド、吸着コマンド、キャリッジ移動コマンドなどがある。
【0069】
これらの処理を経てカラー画像の印刷データ(DCとする)が作成される。そして印刷データDCは、インク色毎にプリンター1に送信される。
【0070】
<比較例について>
本実施形態について説明する前に比較例について説明する。
【0071】
この比較例では、複数の印刷データを用いて同じ印刷面に重ね印刷することで、複数版からなる画像を形成する版印刷を行う。なお、版とは印刷面の画を作成するために重ね印刷する場合の1印刷処理分のデータのことである。また、版を重ねて生成される1ページ分の印刷面のことをフレームともいう。この比較例のプリンタードライバーは、クリアインクの吐出データ(DOPとする)も生成する。そして、前述した印刷データに加えてクリアインクの吐出データOPもプリンター1に送信する。また、この比較例では、プリンターのメモリー63は1フレームの画像を記憶するバッファー(フレームバッファー:不図示)を有している。
【0072】
図8は比較例における1フレーム分の印刷データを示す図である。本実施形態では、1フレームの画像は2版のデータから構成される。すなわち、図8に示すように、1版目の印刷データ(DC)と、2版目の印刷データ(DOP)から1フレームの画像が構成される。これらの各印刷データは、ホストコンピューター110からプリンター1に送られ、メモリー63のバッファー(不図示)に記憶される。なお、図に示す各データにおいてハッチングした部分は、インクを吐出する領域を示している。
【0073】
印刷データDCは、CMYKのインクで色付の画像(カラー画像)を印刷するためのデータである。この印刷データDCにはカラー画像を形成するためのデータが含まれている。なお、この例ではカラー画像「ABC」を4色のカラーインクを用いて印刷することとする。印刷データDCはホストコンピューター110からインク色毎にプリンター1に送信される。そして、プリンター1が受信した印刷データDCは、図8に示すように、メモリー63のバッファーにインク色(CMYK)毎にそれぞれ記憶される。
【0074】
印刷データDOPは、クリアインクで画像表面に透明なコーティング(OP)を行うためのデータである。本実施形態の印刷データDOPは、カラー画像よりも少し大きい範囲(例えば1画素分広い範囲)にOPを行うデータとなっている。ここで、カラー画像の形成範囲よりも少し大きい範囲にOPを行うようにしているのは、クリアインクによるコーティングを剥がれにくくするため、及び、画像端部での光沢性の向上のためなどの理由による。
【0075】
図9は、比較例の印刷工程を示す模式図である。まず、コントローラー60は、ロール紙2の印刷面(印刷領域)に、図8に示した印刷データDCに基づいてヘッド31のCMYKの各ノズルからインクを吐出させる1版目の印刷処理を行う(S11)。これにより、ロール紙2の印刷面には、絵や文字など(ここでは記号「ABC」)の画像が形成される。
【0076】
次に、コントローラー60は、1版目印刷後の印刷面に、印刷データDOPに基づいてクリアインクを塗布する2版目の印刷処理を行う(S12)。これにより、印刷面全面にコーティングが行われる(OP)。この1版〜2版の印刷処理によって、1フレーム分の印刷が終了する。1フレーム分の印刷を終えると、コントローラー60は、ロール紙2を次のページの印刷位置まで搬送させる(S13)。以下、S11〜S13を順次繰り返していく。
【0077】
この比較例では、OPの印刷データ(DOP)をホストコンピューター110側で生成し、プリンター1に送信している。このためOPのデータ量が大きくなると、データ転送量が増大して印刷速度が低下するおそれがある。またプリンター1のメモリー63において、1ページ分のOPの印刷データを記憶するための記憶容量が増大する。
【0078】
そこで、本実施形態では、OPの印刷データを印刷データDCに基づいてプリンター1側で生成するようにしている。これによりデータの転送量の削減及び印刷速度の向上を図っている。さらに、本実施形態では、OPの印刷データを記憶するための記憶容量の削減を図っている。
【0079】
<本実施形態について>
本実施形態では、カラー画像とOPを同じ印刷工程で形成する。また、本実施形態ではホストコンピューター110は印刷データDCをパス毎のデータに分けてプリンター1に送信する。プリンター1のコントローラー60は、この印刷データDCに基づいてクリアインクの印刷データを生成してクリアインクを吐出させる。
【0080】
図10は、本実施形態における印刷データDCの一例を示す概念図である。なお、印刷データDCは、ロール紙2とヘッド31のノズルとの相対位置に応じてカラーインクを吐出させるためのデータである。図10では説明の簡略化のため、搬送方向(X方向とする)に10画素分、列方向(Y方向とする)に3画素分のデータを示している。すなわち、図におけるデータの1区画は媒体上の1画素に相当し、各画素の位置はデータ上で(X,Y)の座標で示される。ここで、i=1〜10及びj=n−1、n、n+1であり、nの値はパス数に相当する。例えばYのラインで示されるデータはnパス目の印刷データを示し、Yn+1のラインで示されるデータは、n+1パス目の印刷データを示している。
【0081】
この印刷データDCは、図11に示すようにメモリー63のラインバッファー631にインク色毎に記憶される。このように、本実施形態では、ラインバッファー631は、ドット形成を行うライン(Yのライン)に加えてそのラインの前後(図では上下)のライン(隣接ライン)の合計3ライン分のデータを記憶することが可能になっている。図10の印刷データDCは、図11に示すようにインク色毎にラインバッファー631に一時的に記憶(格納)される。なお、図11は、ラインバッファー631に色毎に格納された印刷データを示す概念図である。
【0082】
図10及び図11において、ハッチングをした画素はインクを吐出するデータ(以下、吐出データともいう)であることを示しており、ハッチングをしていない画素はインクを吐出しないデータであることを示している。すなわち、図のハッチングした画素に対しては、印刷データの値が[01](小ドット)、[10](中ドット)、[11](大ドット)の何れかであり、ハッチングしていない画素に対しては、印刷データの値が[00](ドット非形成)であることになる。例えば、座標(X,Y)の画素はハッチングされていないので、当該画素に対しては、印刷データが各色とも[00]であり、カラーインクが吐出されないことを示している。また、例えば、座標(X,Y)の画素はマゼンダの印刷データの値が[01]、[10]、[11]の何れかであり、マゼンダインクが吐出されることを示している。
【0083】
図12は、本実施形態におけるOPの印刷データ作成処理の一例を示すフロー図である。ここではnパス目の処理について説明する。
コントローラー60は、nパス目の印刷処理を実行する際に以下の処理を行う。
【0084】
まず、j=nとして(S101)、3ライン分の印刷データDCを受信してラインバッファー631に色毎に格納する(S102)。ここで、3ラインとは上述したYn−1、Y、Yn+1の3ラインである(ただし、例えばnが1の場合はYとYn+1の2ライン、nが8の場合はYn−1とYの2ラインとなる)。
【0085】
次にコントローラー60は、i=1として(S103)、印刷データDCに基づいて、座標(X,Y)の画素の近傍画素にカラーインクの吐出データが有るか否かを判断する(S104)。本実施形態では、対象画素の周囲の1画素分外側の領域(すなわち上下、左右、斜めに1画素広い領域)の画素を近傍画素とする。例えば、座標(X,Y)の画素に対しては、座標(X,Yn-1)、(X,Yn−1)、(X,Y)、(X,Yn+1)、(X,Yn+1)の5画素が近傍画素になる。また、例えば座標(X,Y)の画素に対しては、座標(X,Yn-1)、(X,Yn−1)、(X,Yn−1)、(X,Y)、(X,Yn+1)、(X,Yn+1)(X,Yn+1)、(X,Y)の8画素が近傍画素になる。
【0086】
近傍画素にカラーインクの吐出データが有る場合は(S104でYES)、当該画素にクリアインクを吐出するように設定する(S105)。一方、近傍画素にカラーインクの吐出データが無い場合は(S104でNO)、当該画素にクリアインクを吐出しないように(不吐出に)設定する(S106)。例えば、図10、図11に示すデータの場合、座標(X,Y)の画素では、その1画素分の外側の領域(上記の近傍の5画素)にはCMYKのいずれにもインクを吐出するデータが無いので、カラーインクの吐出データが無いことになる。よって、コントローラー60は、この画素に対してクリアインクを吐出しないように設定する。また、例えば座標(X,Y)の画素では、斜め右上の座標(X,Yn−1)にシアン(C)の吐出データが有る。よって、コントローラー60は、座標(X,Y)の画素に対してクリアインクを吐出するように設定する。
【0087】
ステップS105及びステップS106の後、コントローラー60は、iの値をインクリメントし(S107)、iが10よりも大かを判定する(S108)。iの値が10以下の場合は(S108でNO)、ステップS104に戻り上記の処理を再度行う。つまり、座標(X,Y)の右隣の座標(X,Y)の画素について同じ処理を行う。ステップS108でiの値が10より大と判断した場合は(S108でYES)、データをラインバッファー631に格納して(S109)、nパス目のOPの印刷データ作成処理を終了する。
【0088】
図13は、nパス目のクリアインクの吐出の有無を示すデータである。図の表記方法は図10、図11と同様であるが、図において○印は、インク(クリアインク)を吐出する画素を示し、×印は、インクを吐出しない画素を示している。本実施形態では、ラインバッファー631はOPの1ライン分のデータを記憶できればよい。
【0089】
nパス目の印刷を行う際には、コントローラー60は、メモリー63のラインバッファー631から各色のYラインの印刷データDCと、OPのYラインの印刷データを読み出して、ヘッド31の対応するノズルからインクを吐出させる。本実施形態では、キャリッジ42が一方向(図6において左から右)に移動する際のみにインクを吐出する(すなわち単方向印刷である)ので、各パスにおいてクリアインクが最も後に吐出されることになる。すなわち、パスの際に、カラーインクを吐出した後に、当該カラーインク上にクリアインクを吐出することができ、カラー画像上にOPを行うことができる。
【0090】
なお、コントローラー60は、Yラインの印刷処理(パス)中に、ホストコンピューター110から次のライン(この場合、Yn+1の次のYn+2のライン)の印刷データDCを受信する。そして、Yn+1ラインのOPの印刷データをY、Yn+1、Yn+2の3ライン分の印刷データに基づいて、上記の処理と同様に生成する。以下同様の処理を繰り返し行う。
【0091】
以上説明したように、比較例ではホストコンピューター110がカラー画像の印刷データDCとOPの印刷データDOPを生成してプリンター1に送信していたのに対して、本実施形態ではホストコンピューター110は印刷データDCのみをプリンター1に送信している。そして、印刷データDCに基づいて、プリンター1がOPの印刷データを生成している。これによりデータの転送量を削減することができ、印刷の高速化を図ることができる。さらに本実施形態では、メモリー63(ラインバッファー631)はOPの1パス分のデータを記憶できればよいので、OPの印刷データ用の記憶容量の削減を図ることができる。
【0092】
<第1実施形態の変形例>
前述の第1実施形態では、OPの1パス分のデータをラインバッファー631に記憶させていたのに対し、この変形例では、パスの際に、1画素への吐出周期内に次の画素にクリアインクを吐出するか否かを判断することにより、OP用のラインバッファーを不要にしている。例えば、コントローラー60は、nパス目の印刷を行う際、座標(X,Y)の画素にインクを吐出する吐出周期の間に、次の座標(X,Y)の画素に対してクリアインクを吐出するか否かを判断する。この判断は、ラインバッファー631の3ライン分の印刷データ(図11参照)に基づいて、判断対象画素(ここでは座標(X,Y)の画素)の近傍画素にインクを吐出するデータ(吐出データ)が有るか否かを判断することで行うことが可能である。図11に示すように、座標(X,Y)の近傍の座標(X,Ynー1)にシアンインクの吐出データがあるので、コントローラー60は、判断対象画素(X,Y)にクリアインクを吐出すると判断する。そして、カラーインクのノズル列から判断対象画素(X,Y)にカラーインクを吐出する吐出周期において、当該画素に対してクリアインクノズル列CLからクリアインクを吐出させる。また、この吐出周期の間に、コントローラー60は、次の判断対象画素(X,Y)について上記と同じ処理を行う。以上の処理を繰り返し行うことで、OP用の印刷データをメモリー63(ラインバッファー631)に記憶させることなく、第1実施形態と同様に、カラー画像よりも一回り大きい範囲にクリアインクを吐出することができる。よって、さらに印刷データの記憶容量の削減を図ることができる。また、この場合もOPの印刷データをホストコンピューター110から送信しなくてもよいので、データ転送量の削減や印刷の高速化を図ることが出来る。
【0093】
===第2実施形態===
第1実施形態では、ラインバッファー631が3ライン分の印刷データDCを格納していたが、第2実施形態のラインバッファー631は、1ライン分の印刷データDCのみを格納する。また、第2実施形態のメモリー63は、上記1ラインの少なくとも近傍画素分のラインのデータを記憶するバッファー(不図示)をラインバッファー631とは別に有している。本実施形態では1ページ分の印刷データDCを記憶するバッファー(以下、フレームバッファーという)を有している。なお、これ以外の構成や印刷処理については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0094】
第2実施形態のコントローラー60は、所定ラインに対して、メモリー63のフレームバッファーに格納されたデータと、ラインバッファー631に格納されたデータとに基づいて、クリアインクの吐出の有無を検出する。
すなわち、或る画素の近傍画素にカラーインクを吐出するデータが有るか否かの判断を、フレームバッファーのデータと、ラインバッファー631のデータ(1ライン分のデータ)を用いて判断する。なお、判断の方法は第1実施形態と同じである。つまり、判断対象画素の周囲の1画素外側の領域にカラーインク(CMYK)を吐出するか否かを判断していくことでクリアインクの吐出データを生成する。
この場合においても、第1実施形態と同様に、データの転送量を削減することができ、印刷の高速化を図ることができる。また、OPの印刷データ用の記憶容量の削減を図ることができる。
【0095】
===第3実施形態===
前述した実施形態では、カラー画像を形成後、クリアインクによるコーティング(OP)を行っていたが、第3実施形態では、補助インクとしてホワイトインクを用いて白色の背景画像を生成する。つまり、第3実施形態のヘッド31は、ホワイトインクを吐出するホワイトインクノズル列(不図示)を有している。
【0096】
ホワイトインクは、画像の背景となる背景画像を形成するために用いられる白色のインクである(以下、ホワイトインクのことを白インクともいう)。白インクには着色剤として酸化チタンなどの顔料が用いられている。本実施形態において「白色」とは、可視光線のすべての波長を100%反射する物体の表面色である厳密な意味での白色に限らず、いわゆる「白っぽい色」のように、社会通念上、白色と呼ばれる色を含むものとする。
【0097】
例えば、透明媒体にカラー画像を形成して、さらにその上に背景画像を形成すると、媒体側(非印刷面側)から画像を見る印刷物が得られる。また、媒体に背景画像を形成し、その上にカラー画像を形成すると、印刷面側から画像を見る印刷物が得られる。
このような場合も前述の実施形態のクリアインクと同様に白インクの吐出データを生成して、そのデータに基づいて白インクを吐出することで、画像よりも一回り大きい背景画像を形成することができる。
つまり、背景画像の印刷データをプリンター1側で生成するので、ホストコンピューター110からプリンター1へのデータ転送量を削減できる。さらに、背景画像の印刷データを記憶するための記憶容量を削減できる。
【0098】
===第4実施形態===
前述の実施形態では、画像の形成範囲よりも一回り大きい領域に補助インク(クリアインクや白インク)を吐出するようにしていたが、第4実施形態では画像を形成しない領域に補助インクを吐出する。この場合、前述の実施形態のように、判断対象画素にカラーインク(CMYK)の吐出データが有るか否かを判断し、判断対象画素にカラーインクの吐出データがあればその画素に補助インクを吐出しないように設定し、カラーインクの吐出データが無ければその画素に補助インクを吐出するように設定すればよい。すなわち、この場合近傍画素へのカラーインクの吐出の有無は考慮しなくてもよい。言い換えるとラインバッファー631は各色の印刷データを少なくとも1ライン分だけ記憶できればよい。
【0099】
こうすることで、例えば補助インクとして白インクを用いるとカラー画像の周囲(カラー画像を形成していない領域)に白色の背景画像を形成した印刷物が得られる。また、補助インクとしてクリアインクを用いるとカラー画像の周囲にOPを行うことができる。
この場合もプリンター1が補助インクの印刷データを生成するので、ホストコンピューター110からプリンター1へのデータ転送量を削減できる。さらに補助インクの印刷データを記憶するバッファーなども不要である。よってデータ転送量、及び、記憶容量の削減を図ることができる。
【0100】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0101】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、装置の一例としてプリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の装置に、上述の実施形態と同様の技術を適用しても良い。
【0102】
また、前述した実施形態では、ラテラル式のプリンターであったが、これには限られない。例えば、ヘッドを被印刷媒体の搬送方向と交差する方向に移動させつつヘッドからインクを吐出して被印刷媒体にドットを形成するドット形成動作(パス)と、被印刷媒体を搬送方向に搬送する搬送動作を交互に繰り返して画像を形成するプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であってもよい。
【0103】
<吐出方式について>
前述の実施形態では、圧電素子(ピエゾ素子)を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0104】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから吐出しているが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。
【0105】
また、第1、第2実施形態では、画像のコーティング(OP)を無色透明のクリアインクを用いて行っていたがこれには限られない。例えば、半透明の色のインクを塗布してコーティングを行ってもよい。
【0106】
また、第3、第4実施形態では白インクを用いて白色の背景画像を形成していたが、白インク以外のインクを用いてもよい。例えば、被印刷媒体とは異なる色(シルバーなど)のメタリックインクを用いて被印刷媒体と異なる色の背景画像を形成するようにしてもよい。なお、メタリックインクとは、印刷物がメタリック感を発現するインクであり、このようなメタリックインクとしては、例えば、金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物を用いることができる。視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせるためには、前述の金属顔料は、平板状の粒子であることが好ましい。このような金属顔料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって形成することができ、また、金属蒸着膜を破砕して作成することも可能である。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度は、例えば、0.1〜10.0重量%とすることができる。もちろん、メタリックインクはこのような組成に限らず、メタリック感が生じる組成であれば他の組成を適宜採用することが可能である。
【0107】
<印刷方式について>
前述の実施形態では、単方向印刷を行なっていたが、キャリッジ42(ヘッド31)が搬送方向に往復移動する際に、往路と復路でインクを吐出する所謂双方向印刷を行ってもよい。例えば双方向印刷でカラー画像上にOPを行う場合には、ヘッド31において、カラーインクのノズル列を挟むようにクリアインクノズル列CLを搬送方向の上流側と下流側に2つ設けておけばよい。そして、パスの際にキャリッジ42の移動する方向の上流側のクリアインクノズル列からクリアインクを吐出するように、往路と復路でクリアインクを吐出するノズル列を切り替えるようにすればよい。
【0108】
<補助インクの吐出範囲について>
第1〜第3実施形態では、画像の形成範囲よりも1画素分大きい範囲に補助インク(クリアインク、白インク)を吐出するようにしていたが、これには限られない。例えば画像よりも2画素分大きい範囲に補助インクを吐出するようにしてもよい。ただし範囲を広げるほど、多くの補助インクが必要になる。また、ラインバッファー631に記憶させる印刷データのデータ量が多くなる。例えば、カラー画像よりも2画素分大きい範囲に補助インクを吐出させる場合、補助インクの吐出データを生成するためにはカラー画像の印刷データDCが5ライン分必要になる。
【符号の説明】
【0109】
1 プリンター、2 ロール紙、10 給送ユニット、18 巻軸、19 中継ローラー、20 搬送ユニット、21 中継ローラー、22 中継ローラー、23 第一搬送ローラー、23a 第一駆動ローラー、23b 第一従動ローラー、24 第二搬送ローラー、24a 第二駆動ローラー、24b 第二従動ローラー、25 反転ローラー、26 中継ローラー、27 送り出しローラー、29 プラテン、30 ヘッドユニット、31 ヘッド、32 駆動ユニット、33 ケース、34 流路ユニット、35 流路形成基板、36 ノズルプレート、37 弾性板、40 キャリッジユニット、41 ガイドレール、42 キャリッジ、50 検出器群、60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、70 クリーニングユニット、80 巻き取りユニット、81 中継ローラー、82 巻き取り駆動軸、110 ホストコンピューター、321 ピエゾ素子、323 固定板、324 フレキシブルケーブル、331 収納空部、332 インク供給管、351 圧力室、352 供給口、353 リザーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、
前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、
被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて前記第1ノズルからの前記カラーインクの吐出、及び、前記第2ノズルからの前記補助インクの吐出を制御する制御部であって、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素の近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させ、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させない制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記ラインバッファーは、前記第1ノズルに対応するラインに対して前記近傍画素分の隣接ラインの領域を有している
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記近傍画素分の領域への前記カラーインクの吐出データを格納したバッファーをさらに備え、
前記制御部は、前記バッファーの前記吐出データに基づいて、前記所定画素へ前記補助インクを吐出するか否かを判定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置であって、
前記制御部は、或る画素に前記カラーインク及び前記補助インクを吐出する周期内に、前記或る画素の次の画素に前記補助インクを吐出するか否かを判定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の画像形成装置であって、
前記第1ノズルは、複数色の前記カラーインクに対応して複数設けられており、
前記制御部は、複数色の前記カラーインクのそれぞれの吐出データに基づいて、前記所定画素へ前記補助インクを吐出するか否かを判定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、
前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、
被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させ、前記データに基づいて前記第1ノズルからの前記カラーインクの吐出、及び、前記第2ノズルからの前記補助インクの吐出を制御する制御部であって、前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させず、前記所定画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させる制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像を形成するカラーインクを吐出可能な第1ノズルと、前記画像を補助する補助インクを吐出可能な第2ノズルと、被印刷媒体と前記第1ノズルとの相対的な位置に応じて前記カラーインクを吐出させるためのデータが格納されたラインバッファーと、を備えた画像形成装置による画像形成方法であって、
前記第1ノズル及び前記第2ノズルと、前記被印刷媒体とを相対的に移動させることと、
前記データに基づいて前記第1ノズルから前記カラーインクを吐出させるここと、
前記被印刷媒体の所定画素に対して、前記データにおける前記所定画素の近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれているか否かを判定し、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれている場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させ、前記近傍画素に前記カラーインクの吐出データが含まれていない場合、前記第2ノズルから前記所定画素に前記補助インクを吐出させないことと、
を特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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