説明

画像形成装置、情報処理装置、クリーニング制御方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】CMYK等の複数色が重なる高濃度のカラー画像を印刷したときの残留トナーを低減させ、記録用紙の汚れを防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部40と、画像形成部40の中間転写ベルト上の残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニングユニットと、制御部50とを備える。制御部50は、ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、中間転写ベルトクリーニングユニットを動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理装置、クリーニング制御方法、プログラム、及び記録媒体に関し、より詳細には、CMYK等の複数色からなるカラー画像を形成できる画像形成装置、情報処理装置、クリーニング制御方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、静電潜像担持体上の静電潜像をトナーで現像してトナー像を生成し、このトナー像を記録用紙へ転写して記録用紙上にトナー像を形成する方式が採用されている。このような画像形成装置における転写方式として、静電潜像担持体から転写されるトナー像を担持搬送する中間転写ベルトに対して、記録用紙を介して対向する転写手段を設け、これによりトナー像を静電気力にて移動させ、トナー像を記録用紙へ転写させる方式が知られている。そして、記録用紙へのトナー像の転写後に中間転写ベルトの外周面上に残留したトナーを除去するために、ベルトクリーニング装置が設けられている。
【0003】
上記のベルトクリーニング装置としては、中間転写ベルトのトナー像を担持する面に板状のクリーニングブレードを当接させて中間転写ベルトの外周面上の残留トナーを掻き取るブレード方式のベルトクリーニング装置が広く用いられている。しかし、画像形成装置で印刷される印刷対象ページが高濃度パターンや高印字率パターンを含んだものである場合、中間転写ベルトの外周上の残留トナーは、通常の印字パターンに比べて多くなり、上記のクリーニングを適切なタイミングで行わないと、残留トナーを除去しきれないことがある。例えば、高濃度パターンや高印字率パターンを含んだ印刷対象ページを印刷した後に、クリーニングせずに、続けて次のページを印刷したときに、残留トナーにより印刷用紙に汚れが発生してしまう場合がある。
【0004】
残留トナーの除去に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、高濃度パターンや高印字率パターンで印刷された印刷用紙を通紙する際に発生する残留トナーを減少させて、印刷用紙の汚れを防止する画像形成装置が記載されている。この画像形成装置によれば、印刷ページが高濃度パターンや高印字率パターンであるか否かを判定し、その判定結果により、定着ローラの表面をクリーニングするための押圧部材の圧力を可変させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−63906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の方法では、印刷対象ページが高濃度パターンや高印字率パターンであるか否かを判断するために、ページ全体又はページ内の所定の領域における全ての画素に対して黒画素の占める割合から得られる印字率や印刷濃度を算出している。しかしながら、この方法では、カラー印刷を行う場合にCMYK等の複数色が重なる印字パターンについて考慮されておらず、カラー印刷時の印刷濃度の大きさを算出することができない。また、特許文献1に記載の方法は、高濃度パターンや高印字率パターンで印刷された印刷シートを通紙する際に、定着ローラへのクリーニングウェブの当接圧を弱くして、定着ローラとクリーニングウェブの当接部の上流側にトナーが溜まるのを防止するものであり、カラー印刷時における中間転写ベルト上のトナー除去を行うものではない。
【0007】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、CMYK等の複数色が重なる高濃度のカラー画像を印刷したときの残留トナーを低減させ、記録用紙の汚れを防止することができる画像形成装置、情報処理装置、クリーニング制御方法、プログラム、及び記録媒体を提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部とを備えた画像形成装置であって、前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、該領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0009】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記画像形成部の部品は、トナー像を担持搬送する中間転写ベルトであることを特徴としたものである。
【0010】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記印刷用データに含まれる入力描画コマンドに基づいて、前記印刷対象ページの描画オブジェクト属性情報を含む中間データを生成する中間データ生成手段と、該中間データ生成手段で得られた中間データに基づいて、前記印刷対象ページのビットマップデータを生成するビットマップ生成手段と、前記中間データ生成手段で得られた中間データに含まれる描画オブジェクト属性情報に基づいて、前記ビットマップ生成手段で得られたビットマップデータを構成する各画素に対応する属性データを生成する属性データ生成手段と、前記ビットマップ生成手段で得られたビットマップデータ及び前記属性データ生成手段で得られた属性データに基づいて、所定サイズのブロック毎に、前記ビットマップデータの1画素当たりの複数色の各トナー濃度の合計が所定値以上となる画素をカウントする画素数カウント手段とを備え、前記領域濃度判定手段は、前記局所領域を1つのブロックとし、該1つのブロックの全画素数と前記画素数カウント手段によってカウントされた画素数との割合が所定割合を超える場合に、前記局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定することを特徴としたものである。
【0011】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、前記印刷対象ページに、前記複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定された局所領域が1つ以上含まれる場合に、前記クリーニング制御手段は、前記印刷対象ページの印刷後に、前記クリーニング部を動作させることを特徴としたものである。
【0012】
第5の技術手段は、第3又は第4の技術手段において、前記ビットマップ生成手段は、前記ビットマップデータをバンド毎に生成し、前記属性データ生成手段は、前記属性データをバンド毎に生成し、前記ビットマップ生成手段及び前記属性データ生成手段は、前記バンドを構成するライン数を変更可能としたことを特徴としたものである。
【0013】
第6の技術手段は、第3〜第5のいずれか1の技術手段において、前記画素数カウント手段は、前記ビットマップ生成手段により得られたビットマップデータの画素のうち、前記属性データ生成手段により得られた属性データに基づき描画オブジェクト有りと判定された画素のみ複数色の各トナー濃度の合計を算出することを特徴としたものである。
【0014】
第7の技術手段は、第1〜第6のいずれか1の技術手段において、前記複数色は、CMYKであることを特徴としたものである。
【0015】
第8の技術手段は、画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部を備えた画像形成装置を制御して、該画像形成装置に、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成させる情報処理装置であって、前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、該領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備えたことを特徴としたものである。
【0016】
第9の技術手段は、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部とを備えた画像形成装置によるクリーニング制御方法であって、前記画像形成装置が、前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定ステップと、該領域濃度判定ステップでの判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御ステップとを備えたことを特徴としたものである。
【0017】
第10の技術手段は、第9の技術手段におけるクリーニング制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0018】
第11の技術手段は、第10の技術手段におけるプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定し、この判定結果に基づいて、適切なタイミングで、クリーニング部を動作させることができるため、CMYK等の複数色が重なる高濃度のカラー画像を印刷したときの残留トナーを低減させ、次ページ以降の記録用紙の汚れを防止することができる、
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の機能的な構成例を示すブロック図である。
【図3】PDLデータの受信から印刷までの各種画像処理を実行する制御部の構成例を機能的に示したブロック図である。
【図4】中間データから生成される属性データの一例を示した図である。
【図5】ビットマップデータの1ページを複数のバンド及びブロックに分割する方法の一例を示した図である。
【図6】本発明による画像形成装置によって実行されるカウント動作処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図7】本発明による画像形成装置によって実行されるカウント動作処理の一例を説明するためのフロー図で、図6の続きである。
【図8】本発明による画像形成装置によって実行される1ページの印刷処理の一例を説明するためのフロー図である。
【図9】複数ページからなる印刷ジョブの印刷処理の一例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の画像形成装置、情報処理装置、クリーニング制御方法、プログラム、及び記録媒体に係る好適な実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図で、図中、100は画像形成装置を示す。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録用紙)に対して多色および単色の画像を形成するものである。そして、画像形成装置100は、図示するように、露光ユニット1、現像器2(2a〜2d)、感光体ドラム3(3a〜3d)、帯電器5(5a〜5d)、クリーナユニット4(4a〜4d)、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ10、及び排紙トレイ15より構成されている。
【0023】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、例えば、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、帯電器5(5a、5b、5c、5d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、3d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、aがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローにそれぞれ設定され、4つの画像ステーションが構成されている。
【0024】
感光体ドラム3は、画像形成装置100の上部に配置(装着)されている。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、図1に示すようにローラやブラシなどの接触型の帯電器のほか、チャージャ型の帯電器が用いられることもある。露光ユニット1は、図1に示すようにレーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)を用いる手法のほかに、発光素子をアレイ状に並べた例えばELやLED書込みヘッドを用いる手法もある。そして、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有するものである。現像器2はそれぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を(K、C、M、Y)のトナーにより顕像化するものである。クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0025】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット8は、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ7a、中間転写ベルト従動ローラ7b、中間転写ベルトテンション機構7c、中間転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。中間転写ベルト駆動ローラ7a、中間転写ベルトテンション機構7c、中間転写ローラ6、中間転写ベルト従動ローラ7b等は、中間転写ベルト7を張架し、矢印B方向に回転駆動させるものである。
【0026】
中間転写ローラ6は、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構7cの中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像を、中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
【0027】
中間転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト7に順次的に重ねて転写することによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。この中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0028】
感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。中間転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM,発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施例では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシなども用いることが可能である。
【0029】
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト7で積層され、画像形成装置100に入力された画像情報となる。このように、積層された画像情報は中間転写ベルト7の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト7の接触位置に配置される転写ローラ11によって記録用紙上に転写される。この時、中間転写ベルト7と転写ローラ11は所定ニップで圧接されると共に、転写ローラ11にはトナーを用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。さらに、転写ローラ11は上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ7aの何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等々)が用いられる。
【0030】
また、上記のように、感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、若しくは、転写ローラ11によって記録用紙上に転写が行われず中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、このクリーニングブレードが接触する中間転写ベルト7は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ7bで支持されている。
【0031】
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシート(記録用紙)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の画像形成部および露光ユニット1の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みの記録用紙をフェイスダウンで載置するためのトレイである。
【0032】
また、画像形成装置100には、給紙トレイ10の記録用紙を転写ローラ11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るために、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ161、レジストローラ14、転写ローラ11、定着ユニット12、そして、記録用紙を搬送する搬送ローラ25(251,252、254〜258、以下、搬送ローラ25で代表する)、記録用紙を排紙する排紙ローラ253等が配置されている。
【0033】
搬送ローラ25は、記録用紙の搬送を促進・補助するための、小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16(161,162)は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、記録用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されている記録用紙を一時的に保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像の先端と記録用紙の先端を合わせるタイミングで記録用紙を転写ローラ11に搬送する機能を有している。
【0034】
定着ユニット12は、ヒートローラ31,加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、記録用紙を挟んで回転するようになっている。また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ32とともに記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、記録用紙に対して熱定着させる機能を有している。なお、多色トナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラ25によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
【0035】
次に、用紙搬送路Sについて説明する。画像形成装置100には予め記録用紙を収納する給紙カセット10が配置されると共に、ユーザが少数枚の印字を行う時に給紙カセット10の開閉動作を行わなくても良い手差し給紙トレイ17が配置されている。給紙カセット10,手差し給紙トレイ17には、各々ピックアップローラ161,162が配置され、1枚ずつを搬送路に導くようになっている。給紙カセット10から搬送される記録用紙は搬送路中の搬送ローラ251によってレジストローラ14まで搬送され、記録用紙の先端と中間転写ベルト7上の画像情報の先端を整合するタイミングで転写ローラ11に搬送され、記録用紙上に画像情報が書き込まれる。その後、記録用紙は定着ユニット12を通過することによって記録用紙上の未定着トナーが熱で溶融・固着され搬送ローラ252を経て排紙ローラ253から排紙トレイ15上に排出される。
【0036】
また、手差し給紙トレイ17に積載される記録用紙はピックアップローラ162によって給紙され、複数の搬送ローラ(256、255、254)を経てレジストローラ14に到達し、それ以降は給紙カセット10から給紙される記録用紙と同様の経過を経て排紙トレイ15に排出される。
【0037】
そして、印字要求内容が両面印字要求の場合には、上記のように片面印字が終了し定着ユニット12を通過した記録用紙の後端が排紙ローラ253でチャックされ、排紙ローラ253が逆回転することによって搬送ローラ(257、258)に導かれた後、レジストローラ14を経て裏面印字が行われた後に排紙トレイ15に排出される。
【0038】
図2は、図1に示す画像形成装置100の機能的な構成例を示すブロック図で、図中、101はPCなどの情報処理装置、102はLAN(Local Area Network)を示す。この画像形成装置100は、外部のコンピュータ端末である情報処理装置101から所定の通信回線を介して与えられる印刷用データを受け取り、受け取った印刷用データに応じた画像を所定の記録用紙上に印字出力する。ここでいう印刷用データは、具体的には画像形成装置100において解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)により記述されるデータを含むファイルである。
【0039】
また、画像形成装置100と情報処理装置101とは、所定のケーブルやハブなどからなるLAN102を介して相互に通信可能に接続される。なお、このLAN102に代えて、WAN(Wide Area Network)やインターネットなど周知の相互通信網またはUSB(Universal Serial Bus)接続や各種パラレルインタフェースなどの通信接続手段を使用してもよい。画像形成装置100は、液晶ディスプレイ等からなる表示部とタッチパネルや操作ボタンなどからなる入力部とを含む操作表示部20と、ディスク状の磁気記憶媒体を含む記憶部であるハードディスク30と、記録用紙に画像を形成して当該記録用紙を外部へ排出する画像形成部40と、画像形成装置100の動作を制御する制御部50とから構成される。
【0040】
制御部50は、プリンタコントローラともいい、CPU(Central Processing Unit )51と、メモリ(半導体メモリ)52と、操作表示部20との接続インタフェースである操作表示部インタフェース53と、ハードディスク30との接続インタフェースであるハードディスクインタフェース54と、後述するビットマップデータを圧縮または伸張する圧縮伸張部55と、画像形成部40との接続インタフェースであるビデオコントローラ56と、LAN102を介して情報処理装置101との間で通信を行うネットワークインタフェース57と、ハーフトーン処理を行うためのハーフトーン処理部58とを備える。
【0041】
画像形成部40は、ビデオコントローラ56を介して印刷のためのビットマップデータを受け取り、対応する画像を所定の記録用紙上に形成する。なお、画像形成部40における画像形成機構の詳細な構成については前述の図1を参照して説明したとおりである。
【0042】
なお、制御部50において、CPU51と、読み書き可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)及び読み出し専用のメモリであるROM(Read Only Memory)からなるメモリ52と、その他の各種インタフェース等とはそれぞれ所定のバス(メモリバス、システムバス、またはペリフェラルバスなど)を介して接続されている。これらのバスによる接続は一般的なコンピュータにおける周知の構成であるためその詳しい説明は省略する。
【0043】
また、この制御部50は、原稿文書の画像を光学的に読み取るスキャナユニット(図示せず)により読み取られた画像を所定の記録用紙上に形成して出力する所謂複写(コピー)機能や、外部の情報処理装置101から受け取った印刷用データに基づき画像を所定の記録用紙上に形成して出力する所謂印刷(プリンタ)機能などの周知の各種機能を有している。そして、これらの機能は、典型的にはメモリ52のROMに内蔵されまたはRAMに展開された所定の制御プログラムをCPU51が実行することにより実現される。
【0044】
ここで、上記の制御プログラムは、例えば、その制御プログラムを記録した記録媒体であるCD−ROMによって提供される。すなわち、制御プログラムの記録媒体としてのCD−ROMが画像形成装置100内に補助記憶装置として内蔵されたCD−ROM駆動装置(図示せず)に装着され、そのCD−ROMから制御プログラムが読み出されてハードディスク30にインストールされる。また、制御プログラムは、CD−ROM以外の記録媒体や通信回線を介して提供されてもよい。そして、画像形成装置100に対して所定の操作がなされると、ハードディスク30にインストールされた制御プログラムは、RAMに転送され、RAM上で展開され、CPU51によって実行される。これにより、上記各種機能が実現される。
【0045】
本発明の主たる特徴部分は、CMYK等の複数色が重なるカラー画像を印刷したときの残留トナーを低減させ、記録用紙の汚れを防止することにある。このための構成として、画像形成装置100は、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部40と、画像形成部40の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部に相当する中間転写ベルトクリーニングユニット9とを備える。画像形成部40の部品は、例えば、トナー像を担持搬送する中間転写ベルト7である。
【0046】
そして、画像形成装置100は、ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色(例えば、CMYK)の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、中間転写ベルトクリーニングユニット9を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備える。これらの領域濃度判定手段及びクリーニング制御手段は、後述の図3の印刷制御部80に相当する。具体的には、領域濃度判定手段及びクリーニング制御手段を実行するためのプログラムがハードディスク30に記憶され、このプログラムがCPU51によってメモリ52のRAMに読み出されて実行される。
【0047】
なお、上記の複数色は、CMYKの4色に限定されるものではないが、以下の説明では、CMYKの4色を代表例として説明する。
【0048】
本発明では、画像形成装置100が備えるプリンタ機能に着目している。画像形成装置100は、情報処理装置101からLAN102を介して与えられる印刷用データ(以下、PDLデータという)から生成されるビットマップデータに基づいて、印刷対象ページ中の局所領域におけるCMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する。そして、印刷対象ページに、CMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定された局所領域が1つ以上含まれる場合に、中間転写ベルトクリーニングユニット9を動作させ、中間転写ベルト7をクリーニングするように構成されている。
【0049】
図3は、PDLデータの受信から印刷までの各種画像処理を実行する制御部50の構成例を機能的に示したブロック図である。PDLデータを印刷するまでの各種画像処理は主に制御部50によって実行されるが、制御部50は、大きく分けて、情報処理装置101から受け取ったPDLデータを解釈して得られる中間データからビットマップデータ及びビットマップデータを構成する各画素に対応する属性データを生成するPDLインタプリタ60と、このPDLインタプリタ60により生成されたビットマップデータ及び属性データを受け取りこのビットマップデータ及び属性データを圧縮してハードディスク30に保存する画像制御部70と、ハードディスク30に保存されたビットマップデータに対応する画像を印刷する印刷制御部80とから構成される。
【0050】
PDLインタプリタ60は、入力インタフェース部61、受信バッファ62、コマンド解析部63、中間データ生成部64、ビットマップ生成部65、及び属性データ生成部66からなる。これら各部は、コンピュータ読み取り可能なプログラムとして実現されるが、その一部または全部が所定のハードウェアからなるものであってもよい。入力インタフェース部61は、ネットワークインタフェース57を含み、情報処理装置101から送られてきたPDLデータを受信バッファ62に一時的に格納する。受信バッファ62に格納されたPDLデータは、コマンド解析部63に渡される。コマンド解析部63は、PDLデータに含まれるPDLコマンドを順次抽出し解析する。
【0051】
中間データ生成部64は、本発明の中間データ生成手段に相当し、コマンド解析部63で解析されたPDLコマンド(入力描画コマンド)を受け取り、このPDLコマンドに基づき生成されるべきバンド単位で分割された中間データを生成する。この中間データは、描画すべき対象を表すオブジェクトを構成するためのデータおよびその属性(すなわちオブジェクトの種類、座標、および色情報等)が記述されている。つまり、中間データは、描画オブジェクトの属性を示す描画オブジェクト属性情報を含むものとする。
【0052】
ビットマップ生成部65は、本発明のビットマップ生成手段に相当し、中間データ生成部64で生成された中間データに基づいて、CMYK各色8ビットのビットマップデータ(CMYKビットマップデータともいう)をバンド毎に生成する。また、属性データ生成部66は、本発明の属性データ生成手段に相当し、中間データ生成部64で生成された中間データに含まれる描画オブジェクト属性情報に基づいて、ビットマップ生成部65で生成されたビットマップデータを構成する各画素の属性を示す4ビットの属性データをバンド毎に生成する(後述の図4参照)。なお、バンドの高さ(1バンド当たりのライン数)は用紙サイズや画像形成装置100の印刷速度等に応じて変更することが可能である。つまり、ビットマップ生成部65及び属性データ生成部66は、バンドを構成するライン数を変更可能としている。
【0053】
画像制御部70は、画素数カウント部71、ビットマップ圧縮部72、及び画像保存処理部73からなる。画素数カウント部71は、本発明の画素数カウント手段に相当し、ビットマップ生成部65で得られたビットマップデータ及び属性データ生成部66で得られた属性データに基づいて、所定サイズのブロック毎に、ビットマップデータの1画素当たりのCMYKの各トナー濃度の合計が所定値以上となる画素をカウントする。ビットマップ圧縮部72は、図2の圧縮伸張部55により実現され、ビットマップデータ及び属性データをそれぞれのデータ形式に適した圧縮方法で個別に圧縮する。画像保存処理部73は、ビットマップ圧縮部72で圧縮された圧縮ビットマップデータ及び圧縮属性データをバンド毎にハードディスク30に保存する。
【0054】
印刷制御部80は、画像読み出し部81、ビットマップ伸張部82、ハーフトーン処理部83、及び印刷処理部84からなる。1ページ分の圧縮ビットマップデータ、圧縮属性データ、及び印刷に必要な各種情報がハードディスク30に保存された後に、画像読み出し部81は、印刷されるべきページの圧縮ビットマップデータ、圧縮属性データ、及び印刷のために必要な各種情報をハードディスク30から読み出す。そして、読み出したこれらの情報をビットマップ伸張部82で伸張した後に、印刷処理部84に含まれるビデオコントローラ56に対して各種の設定を行う。
【0055】
例えば、ビデオコントローラ56にクリーニングモードが設定された場合、ビデオコントローラ56は、画像形成部40に対して、クリーニングモードで動作させるためのコマンドを送信する。これにより画像形成部40が次のページを印刷する前に中間転写ベルト7のクリーニングを実行する。また、ビデオコントローラ56に設定された動作モードがクリーニングモードでない場合は、画像形成部40に対して、通常モードで動作させるためのコマンドを送信する。この場合、画像形成部40は次のページを印刷する前に中間転写ベルト7のクリーニングを行わない。
【0056】
ビットマップ伸張部82は、圧縮伸張部55により実現され、ハードディスク30から読み出された圧縮ビットマップデータ及び圧縮属性データを個別に伸張し、ハーフトーン処理部83(図2のハーフトーン処理部58と同じ)でCMYK各色4ビットに変換し、ビデオコントローラ56に転送する。ビデオコントローラ56は、画像形成部40から画像データの転送要求が発信されると、所定の同期信号に合わせて、CMYK各色の画像データを画像形成部40へ送信する。
【0057】
ここで、印刷制御部80は、前述の局所領域を1つのブロックし、この1つのブロックの全画素数と画素数カウント部71によってカウントされた画素数との割合が所定割合を超える場合に、局所領域におけるCMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定する。そして、印刷制御部80は、印刷対象ページに、CMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定された局所領域が1つ以上含まれる場合に、印刷対象ページの印刷後であって、次ページの印刷前に、中間転写ベルトクリーニングユニット9を動作させ、中間転写ベルト7のクリーニングを行う。
【0058】
図4は、中間データから生成される属性データの一例を示した図である。中間データに記述されている描画オブジェクト属性情報から、オブジェクトの種類を取り出し、図4に示すように、1画素につき4ビットの属性データを生成する。この属性データは、オブジェクトの種類毎に二進数として生成され、例えば、“オブジェクト無し”は0000、“イメージ”は0001、“文字”は0010、“グラフィクス”は0100で示される。
【0059】
図5は、ビットマップデータの1ページを複数のバンド及びブロックに分割する方法の一例を示した図である。バンドは、記録用紙の横方向に複数の矩形に分割されたものである。また、ブロックは、記録用紙の縦方向に複数の矩形に分割されたものである。例えば、バンド1からバンド5、ブロック1からブロック6に分割される。CMYK各色の最大濃度を100%とすると、1画素当たりのCMYKの最大濃度は400%となる。画素値カウント部71では、ブロック毎に、ビットマップデータの1画素当たりのCMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定値以上となる画素をカウントするが、この所定値を例えば250%とする。従って、CMYKの各トナー濃度の合計濃度が250%以上となる画素がカウントされる。
【0060】
そして、印刷制御部80(領域濃度判定手段)では、局所領域を1つのブロックとし、1つのブロックの全画素数と画素数カウント部71によってカウントされた画素数との割合が所定割合を超えるか否かを判定する。この所定割合を例えば70%とする。従って、印刷制御部80(クリーニング制御手段)は、印刷対象ページに、上記の割合が70%を超える局所領域(ブロック)が1つ以上含まれる場合に、次ページの印刷前に、中間転写ベルトクリーニングユニット9を動作させ、中間転写ベルト7のクリーニングを実行する。これにより、次ページ以降の記録用紙が残留トナーで汚れることを防止することができる。
【0061】
図5には、長方形の描画オブジェクト(1)、円形の描画オブジェクト(2)、三角形の描画オブジェクト(3)を含む画像ビットマップデータが示されている。描画オブジェクト(1)はブロック1,2に含まれ、そのCMYK値は、それぞれC:90%,M:100%,Y:10%,K:100%である。また、描画オブジェクト(2)はブロック3,4に含まれ、そのCMYK値は、それぞれC:0%,M:100%,Y:90%,K:0%である。また、描画オブジェクト(3)はブロック5,6に含まれ、そのCMYK値は、それぞれC:90%,M:100%,Y:0%,K:0%であるとする。
【0062】
例えば、描画オブジェクト(1)の1画素当たりの合計濃度は300%となる。これは上記で所定値とした250%以上であるため、例えば、ブロック2において、描画オブジェクト(1)の画素は全てカウントされる。そして、ブロック2のバンド1からバンド5までに含まれる合計濃度250%以上の画素数の割合がブロック2の全画素数に対して75%であった場合、上記の所定割合(70%)の条件(これをクリーニング条件という)を満たすため、このページを印刷した後に、中間転写ベルト7のクリーニングが実行される。
【0063】
なお、他のブロック1、3〜6についても、ブロック2と同様に、CMYKの各トナー濃度の合計濃度が250%以上となる画素がカウントされるが、上記のクリーニング条件を満たすブロックが1つ以上あれば、中間転写ベルト7のクリーニングが実行される。図5の例において、ブロック1から順にクリーニング条件が判定されるとした場合に、ブロック1がクリーニング条件を満たさず、ブロック2がクリーニング条件を満たしているため、以降のブロック3〜6についてはクリーニング条件の判定を行わなくてもよい。
【0064】
上記において、画素数カウント部71は、ビットマップ生成部65により得られたビットマップデータの画素のうち、属性データ生成部66により得られた属性データに基づき描画オブジェクト有りと判定された画素のみCMYKの各トナー濃度の合計を算出する。つまり、ある画素の属性データが0000の場合は、図4より“オブジェクト無し”と判定されるため、合計濃度を算出する必要がない。この場合、次の画素に移行して、次の画素の属性データを読み出す。
【0065】
以上のような画像形成装置100の動作のうち、特に画素数カウント処理に着目し、画素数カウント処理を含む画像形成装置100の動作例について、図6〜図8に基づいて説明する。
【0066】
図6、図7は、本発明による画像形成装置100によって実行されるカウント動作処理の一例を説明するためのフロー図である。図7は、図6の画素数カウント処理を詳細に説明したフロー図である。図6において、まず、情報処理装置101から送られてきたPDLデータは、PDLインタプリンタ60によってPDLコマンドが解析される(ステップS1)。PDLインタプリタ60は、PDLコマンドに従って、中間データ(中間コード)を生成し(ステップS2)、1ページ分の解析が終了したか否かを判定する(ステップS3)。1ページ分の解析が終了していないと判定した場合(NOの場合)、ステップS1に戻り処理を繰り返す。また、ステップS3において、1ページ分の解析が終了したと判定した場合(YESの場合)、印刷対象となる1ページ分の中間データが生成され、ビットマップ生成部65は、この中間データから1バンド分のCMYKビットマップデータを生成し(ステップS4)、属性データ生成部66は、中間データに含まれる描画オブジェクト属性情報から、CMYKビットマップデータの各画素の属性データを生成する(ステップS5)。
【0067】
次に、画素数カウント部71は、CMYKビットマップデータ及び属性データを得たバンドについて、1画素あたりのCMYKの各トナー濃度の合計濃度が所定値以上となる画素のカウントを行う(ステップS6)。以下、図7に基づきステップS6の詳細フローについて説明する。
【0068】
図7において、まず、画素数カウント部71は、対象となるバンドが最初のバンドであるか否かを判定する(ステップS11)。対象となるバンドが最初のバンドであると判定した場合(YESの場合)、1画素あたりの合計濃度が所定値以上の画素をカウントする各画素値カウンタ(ブロック1からブロック6)をクリアする(ステップS12)。また、ステップS11において、最初のバンドでないと判定した場合(NOの場合)、ステップS13へ移行する。
【0069】
次に、画素数カウント部71は、1画素の属性データを読み込み(ステップS13)、前述の図4に基づいて、その属性データが0000か否かを判定し、オブジェクトの有無を判定する(ステップS14)。ここで、属性データが0000の場合(NOの場合)、オブジェクトが存在しないため、属性データの画素に対応するCMYKビットマップデータの画素のトナー濃度はすべて0となり、合計濃度を計算する必要がない。このため、ステップS13に戻り、次の画素の属性データを読み込む。また、ステップS14において、属性データが0000以外の場合(YESの場合)、オブジェクトが存在するため、この属性データの画素に対応するCMYKビットマップデータの各トナー濃度(CMYK)を読み込み(ステップS15)、読み込んだCMYKの各トナー濃度を合計する(ステップS16)。
【0070】
そして、画素値カウント部71は、上記ステップS16で求めた合計濃度が所定値以上であるか否かを判定し(ステップS17)、合計濃度が所定値以上と判定した場合(YESの場合)、その画素が位置するブロックの画素値カウンタを1つ増やす(ステップS18)。また、ステップS17において、合計濃度が所定値未満と判定した場合(NOの場合)、ステップS13に戻り処理を繰り返す。
【0071】
次に、画素値カウント部71は、上記画素が1バンド内の最終画素であるか否か、すなわち、1バンド分のすべての画素について画素数カウント処理が終了したか否かを判定し(ステップS19)、画素数カウント処理が終了したと判定した場合(YESの場合)、そのまま終了し、図6のステップS7に移行する。また、ステップS19において、画素数カウント処理が終了していないと判定した場合(NOの場合)、ステップS13に戻り処理を繰り返す。
【0072】
図7のステップS19で1バンド分の画素値カウント処理が終了した場合、図6のステップS7に移行する。図6において、画像制御部70は、1バンド分のビットマップデータ及び属性データを個々に圧縮してハードディスク30に保存する(ステップS7)。そして、画像制御部70は、上記のバンドがページの最終バンドであるか否かを判定し(ステップS8)、ページの最終バンドであると判定した場合(YESの場合)、各ブロックの画素値カウンタの値をハードディスク30に保存する(ステップS9)。また、ステップS8において、ページの最終バンドではないと判定した場合(NOの場合)、ステップS4に戻り処理を繰り返す。
【0073】
図8は、本発明による画像形成装置によって実行される1ページの印刷処理の一例を説明するためのフロー図である。まず、印刷制御部80は、クリーニングモードをオフに設定し、ハードディスク30から印刷対象ページの各ブロックの画素値カウンタの値を読み込む(ステップS21)。そして、1ブロック当たりの画素数と画素数カウンタの値との割合が所定割合を超えるブロックが有るか否かを判定する(ステップS22)。ここで、所定割合を超えるブロックが有ると判定した場合(YESの場合)、クリーニングモードをオンに設定し(ステップS23)、その他の印刷モード(用紙サイズ、トレイ、片面印刷等)を設定する(ステップS24)。また、ステップS22において、所定割合を超えるブロックが無いと判定した場合(NOの場合)、ステップS24に移行する。
【0074】
次に、印刷制御部80は、ハードディスク30から、1バンド分の圧縮CMYKビットマップデータを読み出し(ステップS25)、1バンド分の圧縮属性データを読み出す(ステップS26)。そして、読み出した圧縮CMYKビットマップデータ及び圧縮属性データを個々に伸張し、この伸張されたCMYKビットマップデータに対して、対応する属性データに応じたハーフトーン処理(スクリーン処理)が施される(ステップS27)。これにより、CMYK8ビットのビットマップデータはCMYK4ビットデータに変換され、ビデオコントローラ56に転送される。
【0075】
そして、印刷制御部80は、上記バンドがページの最終バンドであるか否かを判定し(ステップS28)、ページの最終バンドであると判定した場合(YESの場合)、印刷処理を実行する(ステップS29)。また、ステップS28において、ページの最終バンドではないと判定した場合(NOの場合)、ステップS25に戻り処理を繰り返す。この際、ステップS23でクリーニングモードがオンに設定されている場合は、印刷実行後に中間転写ベルト7のクリーニングが実行される。また、クリーニングモードがオフの場合には、印刷後にクリーニングは実行されない。これについて以下の図9に基づいて説明する。
【0076】
図9は、複数ページからなる印刷ジョブの印刷処理の一例を説明するためのフロー図である。まず、印刷制御部80は、前述の図8に示した1ページの印刷処理(ステップS21〜S29)を実行し(ステップS31)、クリーニングモードがオンになっているか否かを判定する(ステップS32)。ここで、クリーンニングモードがオンになっていると判定した場合(YESの場合)、次ページの印刷処理の前に中間転写ベルト7のクリーニングを実行する(ステップS33)。また、ステップS32において、クリーニングモードがオンになっていないと判定した場合(NOの場合)、ステップS34に移行する。そして、印刷制御部80は、最終ページが印刷完了したか否かを判定し(ステップS34)、最終ページの印刷処理が終了したと判定した場合(YESの場合)、そのまま終了する。また、ステップS34において、最終ページの印刷処理が終了していないと判定した場合(NOの場合)、ステップS31に戻り処理を繰り返す。
【0077】
以上、本発明の画像形成装置の実施形態を中心に説明したが、本発明は、上述した処理手順に沿った画像形成装置によるクリーニング制御方法としての形態を採用してもよい。また、このクリーニング制御方法を上述の画像形成装置を一例とするコンピュータに実行させるためのプログラムの形態を採用してもよい。また、上述の画像形成装置を制御して、画像形成装置に、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成させる情報処理装置の形態であってもよい。
【0078】
この場合、図2に示した情報処理装置101が、ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、中間転写ベルトクリーニングユニット9を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備えるようにすればよい。なお、これら領域濃度判定手段及びクリーニング制御手段を、プリンタドライバの一機能として提供できるようにすることもできる。これにより、情報処理装置101にプリンタドライバをインストールすることで、領域濃度判定手段及びクリーニング制御手段を実現することが可能となる。
【0079】
上記のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することで流通させたり、ネットワーク経由や放送経由で配信して流通させるとよい。この記録媒体としては、具体的には、各種のCD,光磁気ディスク,DVD,フレキシブルディスク,フラッシュメモリや、その他各種ROMやRAM等が想定できる。画像形成装置側では、コンピュータに上述の記録媒体を装着して対応するプログラムを読み出して、画像形成装置が備える記憶装置に転送して記憶させておくか、或いは放送やネットワーク経由で直接取得してこの記憶装置に記憶させておくとよい。画像形成装置が必要に応じてこのプログラムを読み出すことにより、本発明に係る方法を実現することができる。
【符号の説明】
【0080】
1…露光ユニット、2…現像器、3…感光体ドラム、4…クリーナユニット、5…帯電器、6…中間転写ローラ、7…中間転写ベルト、7a…中間転写ベルト駆動ローラ、7b…中間転写ベルト従動ローラ、7c…中間転写ベルトテンション機構、8…中間転写ベルトユニット、9…中間転写ベルトクリーニングユニット、10…給紙トレイ、11…転写ローラ、12…定着ユニット、14…レジストローラ、15…排紙トレイ、17…手差し給紙トレイ、20…操作表示部、30…ハードディスク、31…ヒートローラ、32…加圧ローラ、40…画像形成部、50…制御部、51…CPU、52…メモリ、53…操作表示部インタフェース、54…ハードディスクインタフェース、55…圧縮伸張部、56…ビデオコントローラ、57…ネットワークインタフェース、58,83…ハーフトーン処理部、60…PDLインタプリタ、61…入力インタフェース部、62…受信バッファ、63…コマンド解析部、64…中間データ生成部、65…ビットマップ生成部、66…属性データ生成部、70…画像制御部、71…画素数カウント部、72…ビットマップ圧縮部、73…画像保存処理部、80…印刷制御部、81…画像読み出し部、82…ビットマップ伸張部、84…印刷処理部、100…画像形成装置、101…情報処理装置、102…LAN、161,162…ピックアップローラ、251,252,254〜258…搬送ローラ、253…排紙ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部とを備えた画像形成装置であって、
前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、
該領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部の部品は、トナー像を担持搬送する中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷用データに含まれる入力描画コマンドに基づいて、前記印刷対象ページの描画オブジェクト属性情報を含む中間データを生成する中間データ生成手段と、該中間データ生成手段で得られた中間データに基づいて、前記印刷対象ページのビットマップデータを生成するビットマップ生成手段と、前記中間データ生成手段で得られた中間データに含まれる描画オブジェクト属性情報に基づいて、前記ビットマップ生成手段で得られたビットマップデータを構成する各画素に対応する属性データを生成する属性データ生成手段と、前記ビットマップ生成手段で得られたビットマップデータ及び前記属性データ生成手段で得られた属性データに基づいて、所定サイズのブロック毎に、前記ビットマップデータの1画素当たりの複数色の各トナー濃度の合計が所定値以上となる画素をカウントする画素数カウント手段とを備え、前記領域濃度判定手段は、前記局所領域を1つのブロックとし、該1つのブロックの全画素数と前記画素数カウント手段によってカウントされた画素数との割合が所定割合を超える場合に、前記局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷対象ページに、前記複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上と判定された局所領域が1つ以上含まれる場合に、前記クリーニング制御手段は、前記印刷対象ページの印刷後に、前記クリーニング部を動作させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ビットマップ生成手段は、前記ビットマップデータをバンド毎に生成し、前記属性データ生成手段は、前記属性データをバンド毎に生成し、前記ビットマップ生成手段及び前記属性データ生成手段は、前記バンドを構成するライン数を変更可能としたことを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画素数カウント手段は、前記ビットマップ生成手段により得られたビットマップデータの画素のうち、前記属性データ生成手段により得られた属性データに基づき描画オブジェクト有りと判定された画素のみ複数色の各トナー濃度の合計を算出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記複数色は、CMYKであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部を備えた画像形成装置を制御して、該画像形成装置に、印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成させる情報処理装置であって、
前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定手段と、
該領域濃度判定手段の判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御手段とを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
印刷用データに基づくビットマップデータに対応する画像を形成する画像形成部と、該画像形成部の部品上の残留トナーを除去するクリーニング部とを備えた画像形成装置によるクリーニング制御方法であって、
前記画像形成装置が、前記ビットマップデータを構成する印刷対象ページ中の局所領域における複数色の各トナー濃度の合計濃度が所定濃度以上か否かを判定する領域濃度判定ステップと、
該領域濃度判定ステップでの判定結果に基づいて、前記クリーニング部を動作させるか否かを決定するクリーニング制御ステップとを備えたことを特徴とするクリーニング制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載のクリーニング制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−237916(P2012−237916A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107867(P2011−107867)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】