説明

画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置の印刷ジョブ受信方法及びプログラム

【課題】送信されてくる次の印刷ジョブを速やかに受付ける。
【解決手段】他の装置からの印刷ジョブに従って印刷を行う画像形成手段と、印刷ジョブを受け取り、画像形成手段へと印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信手段と、キャンセルされた印刷ジョブを受け取る1つ以上のキャンセルジョブ受信手段と、印刷ジョブがキャンセルされるとキャンセルジョブ受信手段へとキャンセルされた印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストコンピュータから印刷ジョブを受け取って印刷を行う画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置の印刷ジョブ受信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタによる印刷処理方式には、大きく分けてプル型印刷方式とプッシュ型印刷方式の2種類がある。プリンタ本体が、自ら印刷ジョブのデータを取得しにいくものをプル型印刷方式といい、外部装置から印刷データが送信されるものをプッシュ型印刷方式という。
【0003】
プル型印刷方式で印刷するジョブ(プル型印刷ジョブ)では、プリンタは印刷管理情報のみを受信し、その後、プリンタ側で能動的に画像データを読み出しにいく。
【0004】
一方、プッシュ型印刷方式で印刷するジョブ(プッシュ型印刷ジョブ)は、ホスト側がプリンタのタスクに対して、印刷管理情報と画像データを一方的に送信する。そのため、印刷データを最後まで受信する必要がある。
【0005】
ここで、印刷管理情報とは、印刷する画像のレイアウト、印刷枚数、画質などの情報を印刷の状態・方法を判別するための情報である。
【0006】
ところで、従来の画像形成装置では、ホストPCや画像形成装置の操作部から印刷ジョブをキャンセルする命令があった場合に、画像形成装置は、残りの印刷ジョブをキャンセルし、印刷動作を停止していた。
【0007】
また、ジョブキャンセル後にホストPCから送信される残りの印刷ジョブについて、画像形成装置内のジョブ制御部の受信バッファにデータを蓄積し、印刷ジョブ終了後に、受信バッファをクリアし、次の印刷ジョブの受付を開始する方法もある。
【0008】
ところが、従来における画像形成装置では、印刷ジョブのキャンセル指示を行った後もクライアント側から印刷データが送られ続けるため、該データの送信が終了するまで、他のクライアント装置からの印刷ジョブを受け付けることができず、多くの待ち時間が発生してしまっていた。
【0009】
そこで、特許文献1には、ユーザへのレスポンスを高める目的で、印刷がキャンセルされたことをプリンタドライバに通知し、プリンタドライバは未送信の印刷データをコマンドの完結するところまで送信を行い、データ送信をストップさせる手段について開示されている。
【0010】
また、特許文献2では、ジョブの処理時間を短縮する目的で、プリンタエンジン等の異常により画像出力処理を行えない状態であっても、復帰するまでの間に実行可能な他ジョブの処理を実行する手段について開示されている。
【特許文献1】特開2004−216693号公報
【特許文献2】特開2004−066787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1記載の画像形成装置においては、プリンタドライバにてコマンドの完結と判断されるまでの印刷データは送られることになり、これらの印刷データを受け取った後でなければ、他のクライアント装置などから送られる別の印刷ジョブを受け付けることができず、多くの待ち時間が発生してしまう。
【0012】
また、特許文献2記載の技術でも次々と送られてくる印刷ジョブに対して、既存のジョブの処理を行ってからでなければ受け付けることができないため、待ち時間が発生してしまう。
【0013】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、送信されてくる次の印刷ジョブを速やかに受付けることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明における画像形成装置は、他の装置からの印刷ジョブに従って印刷を行う画像形成手段と、印刷ジョブを受け取り、画像形成手段へと印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信手段と、キャンセルされた印刷ジョブを受け取る1つ以上のキャンセルジョブ受信手段と、印刷ジョブがキャンセルされるとキャンセルジョブ受信手段へとキャンセルされた印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明における画像形成システムは、印刷ジョブを発行して送信する印刷ジョブ送信手段を有する複数のクライアント装置と、クライアント装置からの印刷ジョブを受けて、印刷ジョブに従って印刷を行う画像形成手段を有する画像形成装置と、を備える画像形成システムにおいて、画像形成装置は、印刷ジョブを受け取り、画像形成手段へと印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信手段と、キャンセルされた印刷ジョブを受け取る1つ以上のキャンセルジョブ受信手段と、印刷ジョブがキャンセルされるとキャンセルジョブ受信手段へと印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明における画像形成装置の印刷ジョブ受信方法は、他の装置からの印刷ジョブを受け取る印刷ジョブ受信ステップと、印刷ジョブがキャンセルされると、キャンセルされた印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替ステップと、を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明におけるプログラムは、他の装置からの印刷ジョブを受け取る印刷ジョブ受信処理と、印刷ジョブがキャンセルされると、キャンセルされた印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替処理と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、複数のタスクを有することで、次の印刷ジョブを速やかに受け付けることができ、印刷動作の待ち時間を軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態におけるプリンタシステムの構成図である。プリンタ1000は、USB、ネットワーク等の通信媒体5000を介して接続された各クライアント装置との間でデータの送受信を行う。
【0021】
プリンタ1000は、外部装置(クライアント)から入力された印刷データを、本体が有するハードディスク等の記憶メモリを介して、本体印刷部において印刷可能に構成されている。例えば、プリンタ1000は、クライアント2000やクライアント3000などの外部装置からのデータの受け付けを行う。
【0022】
ここでのクライアントは、例えばホストコンピュータや複合機、FAXなどの装置や、デジタルカメラ等が考えられる。またプリンタ1000は、用紙種類、用紙サイズなどの異なるデータを識別可能に構成されている。
【0023】
また、プリンタ1000は、クライアントコンピュータ(例えば、クライアント2000やクライアント3000)内に構成するプリンタドライバからの印刷データの容量に関する情報が送信可能な場合に、印刷データのトータル容量を把握することができる。
【0024】
図2は、本発明の実施形態におけるプリンタの機能ブロック図である。プリンタ1000は、コントローラ部215と、操作パネル212と、プリンタエンジン213と、を有して構成される。
【0025】
コントローラ部215は、プリンタ全体の制御を行い、操作パネル212は、ユーザによるプリンタの操作を受け付ける。また、プリンタエンジン213は、画像データを出力し、印刷を行う。
【0026】
コントローラ部215は、外部I/F部201と、入出力バッファ202と、プログラムROM203と、RAM204と、NVRAM205と、HDD206と、CPU207と、パネルI/F部208と、エンジンI/F部209と、メモリI/F部210と、を有して構成される。なお、これらの機能部は、システムバス211により接続されており、データのやり取りが可能である。
【0027】
外部I/F部201は、USB、ネットワークなどの通信媒体により他の装置とのデータのやり取りを行う。また、入出力バッファ202は、他の装置から入力される印刷に関する制御コードや各種データ、通信媒体に関する制御コードやプリンタ1000の各データの送受信を行う。
【0028】
CPU207は、各種データの演算処理などプリンタ1000全体を制御するものである。プログラムROM203は、CPU207の動作制御、各モジュールのデータ管理や制御を行うためのプログラムを記憶している。
【0029】
RAM204は、CPUのワークメモリ、画像データをページ単位に管理・記憶するバッファや、バッファのデータを印字データパターンに変換したビデオデータを記憶するビットマップメモリに使用される。
【0030】
NVRAM205は、本体電源が遮断されても保持したいデータを格納するための記憶メモリである。HDD206は、画像データなどの容量の大きいデータを格納するための記憶メモリである。
【0031】
パネルI/F部208は、コントローラ部215と操作パネル212の間のデータのやり取りを行う。また、メモリI/F210は、コントローラ部215と外部メモリ部214の間のデータのやり取りを行う。
【0032】
外部メモリ部214は、印刷データ、あるいはプリンタ1000の各データや外部より入力されたデータを保存するための記憶メモリである。
【0033】
エンジンI/F部209は、コントローラ部215とプリンタエンジン213の間のデータのやり取りを行う。また、プリンタエンジン213において印刷処理における動作の制御を行っている。
【0034】
図3は、本発明の実施形態におけるプリンタの機能ブロック図である。本プリンタは、通信部301と、印刷ジョブ受信部302と、キャンセルジョブ受信部303と、印刷処理部304と、を有して構成される。
【0035】
通信部301は、USB、ネットワークなどの通信媒体を介して他のクライアント装置とデータの送受信を行う。
【0036】
印刷ジョブ受信部302は、通信部301を介して印刷ジョブを受信し、印刷処理部304へと印刷ジョブを送信する。印刷ジョブを受け取った印刷処理部304では、印刷ジョブの情報に基づいて印刷を行う。
【0037】
キャンセルジョブ受信部303は、印刷ジョブを受信しているときなどに印刷ジョブのキャンセル指示が行われた場合に、以降の印刷ジョブを印刷ジョブ受信部302に替わって受信する。なお、受信した印刷ジョブは、キャンセル後にクライアント装置より送られたデータであって印刷する必要はないため、データはそのまま廃棄される。また、データを保持しておいて、他の印刷ジョブがないときに印刷ジョブ受信部302へとデータを戻して印刷してもよい。
【0038】
このように、印刷ジョブのキャンセル指示が行われた場合に、印刷処理部へと印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信部とは異なる受信部にて、キャンセル後に送られてくる無駄な印刷ジョブを受信することで、続いて送られてくる新しい印刷ジョブを同時に受信し、印刷処理を行うことが可能である。
【0039】
なお、キャンセルジョブ受信部303は、1つに限らず、例えば複数備えれば、1つにエラーが発生した場合などに別のキャンセルジョブ受信部を用いることで待ち時間なく受信することが可能である。
【0040】
図4は、プッシュ型印刷ジョブの印刷時のデータフロー図である。
【0041】
クライアント2000、クライアント3000・・などホスト側のアプリケーションプログラム401により送信された印刷データは、プリンタドライバ402によって受け取られる。
【0042】
プリンタドライバ302内のページレンダラ303は、受け取った印刷データからビットマップデータを生成する。次に、IJレンダラ304は、ビットマップデータに基づいてプリンタのヘッドのノズル列数、インターレース、パスなどを考慮し、1スキャン分のデータを生成し、USBやネットワークなどのI/Fを介してプリンタに送信する。
【0043】
プリンタ本体側におけるコントローラ部405のパーサ406では、データ受信処理を行った後、ビットマップデータをビデオデータ転送部407へ送信する。ビデオ転送部407は、プリンタエンジン408にデータを送り、プリンタエンジン408がデータを受信すると印刷が実行される。
【0044】
ここで、パーサ406は、印刷ジョブ毎にEOF(End of File)の通知を受けるまで、全ての印刷データの受信し、ビデオ転送部407への送信を行う。EOF(End of File)の通知を受けると、次の印刷ジョブが受付可能であることをCPU207に通知する。次の印刷ジョブが存在する場合には、印刷処理が開始され、パーサ406で再び印刷データの受信処理が行われる。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態におけるプリンタのるジョブキャンセル時のデータフロー図である。
【0046】
タスク501は、図3で説明したプリンタコントローラ部305で実行する動作を制御するプログラムを表しており、EOF(End of File)の通知を受けると、次の印刷ジョブが受付可能であることをCPU207に通知する。
【0047】
タスク502、タスク503…は、例えば印刷ジョブのキャンセルが行われた場合に、タスク501に送られていた印刷ジョブを受信する。これにより、タスク501は、キャンセルされた後の無駄な印刷ジョブを受信することがなくなるため、次の印刷ジョブを受け付けることができるようになる。
【0048】
すなわち、印刷実行途中に、ユーザが、操作パネル212からジョブキャンセルを行うと、CPU207は、印刷ジョブの終了を検知し、ジョブキャンセル後の不要となった印刷データの読み捨て処理をタスク501、あるいはタスク502、タスク503…などの新たに用意した別タスクで行うかを管理する。
【0049】
また、各タスクは、受信する印刷管理情報の中に保持されている印刷ジョブのタイプ別情報から印刷実行中のジョブが、プル型印刷ジョブか、プッシュ型印刷ジョブか、を判別する。
【0050】
図6は、本発明の実施形態におけるプリンタのジョブキャンセル時のタスクの処理を示すフローチャート図である。
【0051】
プリンタ本体でジョブキャンセルが発生すると(ステップS601)、印刷ジョブのタイプ別情報の取得を行う(ステップS602)。
【0052】
取得したタイプ別情報から印刷ジョブが、プル型印刷ジョブであるか、プッシュ型印刷ジョブであるか、を判定する(ステップS603)。判定結果において、印刷中のジョブが、プル型印刷ジョブであった場合には、タスク切り替えの必要性がないため、EOFを通知し、印刷データの取得を中止して次の印刷ジョブの受付を開始する(ステップS610)。
【0053】
一方、プッシュ型印刷ジョブであった場合は、後述するタスクの切換実行判定手段によりタスクの切り替えを行うか否かを判定する(ステップS604)。タスクの切り替えを行う場合には、後述する他タスクの実行可否判定手段により、切り替え先の他のタスクが実行可能であるか否かを判定する(ステップS605)。
【0054】
他のタスクの実行が可能であれば、CPU207は、印刷ジョブの終了をタスク1に通知し(ステップS606)、タスク1へのデータ送信をキャンセルした後、他のタスクへと送信先を変更する(ステップS607)。なお、タスク1は、CPU207からジョブ終了の通知を受けると、受信バッファをクリアした後、次の印刷ジョブが受付可能である旨をCPU207に折り返し通知する。このとき他のクライアント装置が、次の印刷ジョブの送信待ちの状態であれば、タスク1は直ちに印刷ジョブの受付を開始することができる。
【0055】
一方、ステップS604やステップS605における判定がNG判定であった場合は、タスク1はジョブキャンセル後の不要データの読み捨て処理を行い(ステップS608)、印刷データの受信が終了したか否かを判定して(ステップS609)、終了が判断できれば受信バッファをクリアしたのち、次の印刷ジョブが受付可能である旨をCPU207に折り返し通知する。
【0056】
ここで、ステップS604の処理におけるタスク切換実行判定手段について詳細に説明する。
【0057】
タスク切換実行判定手段は、ホスト側から送られる印刷データ以外の印刷に関する情報(印刷種類、用紙サイズなど)を基に、受信する印刷データの容量を推測する。例えば、カラー写真のような大容量のデータである場合は、途中でジョブキャンセルした場合の残り印刷データの読み捨て処理に多くの時間が必要となることが予想される。一方、それ以外の低容量データである場合は、カラー写真データ程の処理時間を必要としない。
【0058】
そこでタスク切換実行判定手段は、推測したデータ容量の違いからタスクの切り替えを行うかどうかを判定する。
【0059】
また、特定のクライアントではタスク切り替え処理を行わないなど、ホスト情報から切り替えを判定してもよい。
【0060】
次に、ステップS603の処理における他のタスクの実行可否判定手段について図7を参照して詳細に説明する。図7は、プッシュ型印刷ジョブのジョブキャンセル時のタスクの切り替え処理におけるフローチャート図である。
【0061】
実行可否判定手段は、切換実行判定手段によりタスク1からの切り替えが判断され、切り替え要求を受けとると(ステップS701)、CPU207でタスク2が実行可能であるかを判定する(ステップS702)。
【0062】
ここで、タスク実行の判定は、ユーザによってあらかじめ指定された情報を用いることや、タスクの切り替えが行えなかったりするなどのタスクを処理している途中のエラーなどによるエラー情報に基づいて判定を行えばよい。
【0063】
タスク2が実行可能であった場合は、タスク2は、受信データの読み捨て処理を行い(ステップS702)、印刷ジョブが終了したか否かを判断し(ステップS703)、受信バッファをクリアした後、次の印刷ジョブが受付可能である旨をCPU207に折り返し通知する。
【0064】
ステップS702による実行可否判断により、何らかの理由でタスク2が実行不可能であった場合は、ステップS702と同様にタスク3が実行可能であるかを判定し(ステップS705)、以降タスク2における処理と同様に、受信データの読み捨て処理を行い(ステップS706)、印刷ジョブが終了したか否かを判断し(ステップS707)、受信バッファをクリアした後、次の印刷ジョブが受付可能である旨をCPU207に折り返し通知する。
【0065】
なお、ここで説明した実施形態に限定されることなく、他タスクの実行可否を判定した後に、タスクの切り替えの実行を判定する方法により、実施を行っても良い。
【0066】
また、タスクの切換実行判定手段、他タスクの実行可否判定手段による判定手段は必ずしも実行されなければならないのではなく、このような判定処理が存在しない場合も考えられる。
【0067】
本発明の実施形態によれば、印刷ジョブキャンセル時の本体によるタスク切り替え処理を、タスク切り替えや切り替えるタスクの実行可能となるまでに要する時間を他タスクの実行に当てることを考慮して実行することによって、次の印刷ジョブを速やかに開始できる。
【0068】
また、プッシュ型印刷ジョブであった場合に、タスクを切り替えることで、速やかに次回印刷ジョブの受付を開始できる。
【0069】
また、タスクの印刷要求の受付可能、開始の状態を本体またはホスト側に通知することで、ユーザが、次ジョブの印刷可否をすぐに判断できる。
【0070】
また、判定条件を本体装置のエラー情報に基づいて判定することで、処理が実行できない場合、別タスクに切り替えることができる。
【0071】
また、切り替えの判定条件を、本体機器情報、ホスト情報、印刷ジョブ情報などにより判定することで、低容量データしか印刷しない場合などクライアント別に切り替えを行うか設定できる。また、印刷種類、用紙サイズなどから大まかなデータ容量を推定し設定できる。
【0072】
判定により実行できないと判断した場合、別の実行可能なタスクへ順次切り替えを行うことで、複数ジョブのキャンセルが連続的に実行されて、切り替えるはずのタスクが処理中で応答できない場合などに適用ができる。
【0073】
また、印刷ジョブを受信可能なタスクが他に存在しない場合、切り替え前のタスク以外のタスクにおいて、印刷ジョブの実行可否状況をポーリングし、印刷ジョブを受信可能なタスクが他に存在しない場合に、タイムアウト処理により、所定のタイミングで、切り替え前のタスクで再度残りの印刷ジョブの処理を実行することで、タスク切り替え不可能な場合のエラー処理を行うことができる。
【0074】
また、ジョブキャンセル実行時の印刷データ受信状況によっては、タスクの切り替えを行わないことで、印刷データを受信するタスクの切り替えを行ったときの、他の装置によるタスクの次回ジョブの受信を受け付けるまでの時間に相当するタイミングで、印刷データの受信が終了し、タスクによる次回ジョブの受付が可能となる場合、必要の無いタスクの切り替えを行わなくて良い。
【0075】
また、ホストから印刷データの容量に関する情報をプリンタ側に通知し、ジョブキャンセル処理が実行された直後からの残り印刷データの容量に応じて、タスクの切り替えを行うかどうか判定することで、ジョブキャンセル後のジョブキャンセル時間を事前に把握できるため、残り印刷データを別タスクに切り替えて処理する必要があるかどうかを判断できる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】プリンタシステムの構成図である。
【図2】プリンタのブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンタの機能ブロック図である。
【図4】印刷時のデータフロー図である。
【図5】ジョブキャンセル時のデータフロー図である。
【図6】ジョブキャンセル時のフローチャート図である。
【図7】実行可否判定手段におけるフローチャート図である。
【符号の説明】
【0078】
301 通信部
302 印刷ジョブ受信部
303 キャンセルジョブ受信部
304 印刷処理部
405 コントローラ部
406 パーサ
407 ビデオデータ転送部
408 プリンタエンジン
501 第1のタスク
502 第2のタスク
503 第3のタスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置からの印刷ジョブに従って印刷を行う画像形成手段と、
前記印刷ジョブを受け取り、前記画像形成手段へと前記印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信手段と、
キャンセルされた前記印刷ジョブを受け取る1つ以上のキャンセルジョブ受信手段と、
前記印刷ジョブがキャンセルされると前記キャンセルジョブ受信手段へとキャンセルされた前記印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブがプル型印刷ジョブか、プッシュ型印刷ジョブか、を判断する印刷ジョブ判断手段と、
前記受信先切替手段は、前記印刷ジョブ判断手段により、前記印刷ジョブがプッシュ型印刷ジョブだと判断された場合にのみ受信先の切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記受信手段は、前記印刷ジョブの受信可能状態を前記他の装置へ通知する状態通知手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受信先切替手段は、キャンセルされた前記印刷ジョブのデータ量に基づいて、前記キャンセルジョブ受信手段へ印刷ジョブの受信先を切り替えるか否かを判断する第1の受信先切替判断手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の受信先切替判断手段は、前記他の装置の種別により判断することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記受信先切替手段は、前記キャンセルジョブ受信手段の状態に基づいて、どの前記キャンセルジョブ受信手段へと受信先を切り替えるかを判断する第2の受信先切替判断手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の受信先切替判断手段は、ユーザにより指定された条件に基づいて受信先を切り替えることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2の受信先切替判断手段は、実行できないと判断した場合に別の前記キャンセルジョブ受信手段へと順次切り替えを行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷ジョブを発行して送信する印刷ジョブ送信手段を有する複数のクライアント装置と、前記クライアント装置からの印刷ジョブを受けて、前記印刷ジョブに従って印刷を行う画像形成手段を有する画像形成装置と、を備える画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置は、前記印刷ジョブを受け取り、前記画像形成手段へと前記印刷ジョブを送信する印刷ジョブ受信手段と、キャンセルされた前記印刷ジョブを受け取る1つ以上のキャンセルジョブ受信手段と、前記印刷ジョブがキャンセルされると前記キャンセルジョブ受信手段へと前記印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替手段と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
他の装置からの印刷ジョブを受け取る印刷ジョブ受信ステップと、
前記印刷ジョブがキャンセルされると、キャンセルされた前記印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替ステップと、を備えることを特徴とする画像形成装置の印刷ジョブ受信方法。
【請求項11】
他の装置からの印刷ジョブを受け取る印刷ジョブ受信処理と、
前記印刷ジョブがキャンセルされると、キャンセルされた前記印刷ジョブの受信先を切り替える受信先切替処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−120194(P2010−120194A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−293919(P2008−293919)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】