説明

画像形成装置、画像形成方法及びプログラム

【課題】製本後の厚みを考慮した綴じ代幅調節を行う中綴じ製本印刷において画像切れを生じさせず適切な面付けをする。
【解決手段】中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知部1322と、検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算部1323と、前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較部1325と、判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍部1326と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法及びプログラムに関し、特に、中綴じ製本印刷を高品位に行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
高機能化が進む画像形成装置の中には後処理装置(フィニッシャ)を備え、中綴じ製本機能や綴じ代機能を有するものがある。中綴じ製本機能とは、両面印刷及び集約印刷(特に2面を1面に集約するいわゆる「2in1」)を行いフィニッシャにより用紙の中央を折り曲げて綴じ、製本する機能である。一方で、綴じ代機能とは、用紙を中折りした際の折り目の部分から余白部を付加する機能である。
【0003】
しかしながら、中綴じ製本を行うと製本に要する用紙の枚数が増加するにつれて内側の用紙が外へはみ出す。用紙の端部が階段状になってしまい、見栄えをよくするために小口を裁ち落としすると、綴じ代機能により余白部が付加されていたとしても印刷領域までトリミングしてしまう可能性がある。特許文献1は、このような課題に対して、その余白部の量を用紙の厚みに基づいて自動的に調整しようとする技術を開示する。特許文献1では、内側の用紙ほど余白量を自動的に少なくするといった調整を行う。これにより、手動設定の煩わしさが軽減され、所望の余白量を得るために何度もテスト印刷を繰り返すといった手間が省かれる。
【0004】
特許文献1においては中綴じ製本における綴じ代幅を内側の用紙ほど減らしていく考え方が採用されている。しかしながら、用紙の綴じ代を外側に行くにしたがってさらに付加する考え方もあり、本願ではそのような綴じ代幅の自動調節を行う。
【0005】
以下では、上述の余白や余白部のことを「綴じ代」と呼ぶ。また、綴じ代の面積の大きさに相当する折り目から印刷領域までの距離のことを「綴じ代幅」と呼ぶ。綴じ代の内、綴じ代機能により初期設定により付加された部分を「初期設定された綴じ代」と呼び、上述した自動調節によりさらに付加された部分を「クリープ綴じ代」と呼ぶ。(図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の中綴じ製本機能では、用紙ごとに綴じ代幅が異なるため、用紙によっては画像がはみ出てしまう場合があり、これが問題であった。つまり、綴じ代幅を外側の用紙ほど増やす綴じ代幅の自動調節を行うと、印刷領域が用紙の印刷可能な領域からはみ出してしまう場合があった。特許文献1では綴じ代を付けた結果、画像が切れてしまうことまでは考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、製本後の厚みを考慮した綴じ代幅調節を行う中綴じ製本印刷において画像切れを生じさせず適切な面付けをすることが可能な画像形成装置、画像形成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知手段と、検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算手段と、前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較手段と、判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明は、中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知工程と、検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算工程と、前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較工程と、判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法を提供する。
【0010】
また、上記目的を達成するために本発明は、コンピュータを、中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知手段と、検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算手段と、前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較手段と、判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍手段として動作させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製本後の厚みを考慮した綴じ代幅調節を行う中綴じ製本印刷において画像切れを生じさせず適切な面付けをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態のソフトウェア構成を示す概念図である。
【図3】上記実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図4】上記実施形態における綴じ代を説明するための概念図である。
【図5】中綴じ製本印刷において画像切れが生じる場合を示す概念図である。
【図6】上記実施形態における効果を説明するための概念図である。
【図7】上記実施形態の中綴じ製本印刷を指示するユーザの操作手順を示すフローチャートである。
【図8】上記実施形態の中綴じ製本印刷における綴じ代設定時自動変倍処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8のS208で示す警告画面の一例を示す図である。
【図10】上記実施形態の中綴じ製本印刷における後処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】上記実施形態の中綴じ製本印刷を指示するユーザの操作手順を示すフローチャートである。
【図12】上記実施形態の中綴じ製本印刷における綴じ代設定時自動変倍処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】上記実施形態における枠消去幅の再計算を説明するための概念図である。
【図14】上記実施形態における印字位置の再計算を説明するための概念図である。
【図15】上記実施形態の中綴じ製本印刷における後処理の流れを示すフローチャートである。
【図16】上記実施形態において小口裁断をする場合の裁断ラインの再調整の流れを示すフローチャートである。
【図17】上記実施形態における小口裁断の裁断ラインの再調整を説明するための概念図である。
【図18】上記実施形態において天地裁断をする場合の裁断ラインの再調整の流れを示すフローチャートである。
【図19】上記実施形態における天地裁断の裁断ラインの再調整を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を示す。図1を参照すると、本実施形態のハードウェア構成例が示されている。図1に示すように、本発明の実施形態は典型的には多機能型画像形成装置である。しかしながら、画像形成装置以外の実施も考えられる。
【0014】
図1において、画像形成装置1は、装置全体を制御する制御装置としてCPU(中央演算装置)111を有する。画像形成装置1は、コピー、スキャナ機能における画像の入力手段として、スキャナエンジン118がある。プリント機能における画像の入力手段として外部ホスト機器124からの印刷データを受信するホストI/F(インターフェース)制御部121があり、このホストI/F制御部121のI/Fの種類としてはIEEE1284、USB等のローカル接続や有線、無線によるイーサネット(登録商標)等のネットワーク接続がある。FAX機能においてはFAX送信時の画像入力手段は前述のスキャナエンジン118の他、外部ホスト機器124からもデータ入力可能である。FAX受信時は一般公衆回線に接続されたNCU(ネットワークコントロールユニット)119を介してFAX制御部120により印刷データとしてデータの復号化等が行われる。印刷出力手段としてはプリンタエンジン116がある、レーザ方式、LED方式、インクジェット方式等の作像方式がある。画像形成装置1には、その他、各ブロックへの指示や制御等を行うCPU111があり、ROM114に実行するプログラムが格納されており、システムによっては複数個搭載することで処理性能を向上させるシステムもある。RAM112は揮発メモリであり、RAM制御部113を介してCPU111をはじめ各ブロックの処理のデータ一時保存に活用される。NVRAM115は不揮発メモリであり、機器固有の情報(各種パラメータ等)等を保持させる用途に使われる。操作部122は機器操作のためのボタンや機器状態表示のためのインジケータ(LEDやLCD等の表示器、スピーカ等)等、機器操作者とのマンマシンインターフェースである。画像形成装置1は、操作部I/F制御部123により操作部122との情報入出力を行う。また、画像形成装置1は、フィニッシャ117を有する。フィニッシャ117は、エンジン管理モジュール131の制御を受けて中綴じ製本印刷時に用紙ごとに折り目を付けたり、ステープル処理をしたり、小口の裁断処理をしたりする。
【0015】
図2に、図1の画像形成装置1のソフトウェア構成例を示す。ユーザは、画像形成装置1のマンマシンインターフェースである操作部122を介して画像形成装置1を操作する。図1に示したような物理的ハードウェア層の上に、オペレーションシステム130が配置され、その上にエンジン管理モジュール131や出力画像生成モジュール132が配置される。さらにその上に、操作部122への表示出力や操作入力を管理するパネル管理モジュール133が配置される。さらに、コピーアプリケーション134やプリンタアプリケーション135が配置されていてもよい。
【0016】
コピーアプリケーション134、プリンタアプリケーション135は図1のCPU111にあたりアプリケーション固有の情報を出力画像生成モジュール132に通知する。パネル管理モジュール133は図1の操作部I/F制御部123にあたり、操作部122から通知された設定情報を出力画像生成モジュール132に通知する。また、コピーアプリケーション134、プリンタアプリケーション135から通知されるエラー情報を受けてユーザに警告画面を表示する。エンジン管理モジュール131は図1のCPU111にあたり、各種エンジンから通知される転写紙サイズ等のエンジン情報を出力画像生成モジュール132に通知する。また出力画像生成モジュール132から通知される画像情報からエンジンに対して印刷の実行を指示する。または、出力画像生成モジュール132から通知される画像情報から余白領域を計算してエンジンに裁断を指示する。出力画像生成モジュール132では画像の書き込み位置、書き込み領域を計算しHDD,メモリから必要な容量を確保する。
【0017】
図1及び図2に示されたようなハードウェアとソフトウェアプログラムの協働により、図3に示すような本実施形態の各種機能ブロックが構成される。図3は、本実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【0018】
パネル管理モジュール133により、中綴じ綴じ代設定時自動変倍設定部1331が構成される。中綴じ綴じ代設定時自動変倍設定部1331は、本実施形態の中綴じ綴じ代設定時自動変倍を実行するか否かに関する設定を記憶しており、実行する場合に、出力画像生成モジュール132によって構成される図示の各機能ブロックが所定の処理を実行して、中綴じ綴じ代設定時自動変倍を行う。
【0019】
出力画像生成モジュール132により、クリープ綴じ代検知部1321、綴じ代検知部1322、印刷領域計算部1323、画像サイズ計算部1324、印刷領域画像サイズ比較部1325、画像変倍部1326、自動変倍時印字位置再計算部1327、自動変倍時枠消去幅再計算部1328が構成される。
【0020】
クリープ綴じ代検知部1321は、ページごとにクリープ綴じ代幅を検知する。クリープ綴じ代幅は、ページ番号と、内側の用紙から外側の用紙へ1枚行くごと増えるクリープ綴じ代の増加量などから計算で求める。一方で、綴じ代検知部1322は、初期設定された綴じ代(つまり綴じ代の初期設定値)と、検知されたクリープ綴じ代幅から、ページごとの綴じ代幅を検知する。
【0021】
図4に、本実施形態における綴じ代を説明するための概念図を示す。図4において、中綴じ製本印刷に使う用紙のセンターラインを折り目とすると、折り目から小口に向かって綴じ代を設けるが、ユーザやシステムのデフォルト設定などにより初期設定された綴じ代がまず配置される。初期設定された綴じ代は、普通、最も内側の用紙の綴じ代である。次に、初期設定された綴じ代の外側(小口側)にクリープ綴じ代が配置される。クリープ綴じ代幅は、外側の用紙ほど多くなるように設定する。なお、図4では、用紙の左側についてのみ図示してあるが、右側、さらに裏面の左側及び右側についても同様に同じ量の綴じ代を設ける。
【0022】
図4のように、中綴じ製本印刷における綴じ代を設けると、図5に示すように、印刷する画像が小口に向かってシフトする。したがって印刷する画像の大きさによっては画像切れが生じる。図5は、画像切れが発生している状態を示している。
【0023】
本実施形態では、画像変倍部1326により印刷する画像を変倍(特に縮小)して画像が印刷領域に収まるように制御する。これにより画像切れを発生させないようにする。ところが、上述してきたようにクリープ綴じ代はページごとに異なる。したがって、図6に示すように製本時外側に使われる用紙ほどクリープ綴じ代幅が多く画像切れが起きる領域が広い(図6(b))一方、内側に使われる用紙では狭い(図6(a))。そこで、本実施形態ではクリープ綴じ代幅に合わせて変倍率を適切に制御する。
【0024】
再び図3を参照して、残りの各機能ブロックについて説明する。印刷領域検知部1323は、少なくとも、クリープ綴じ代検知部1321が検知したページごとのクリープ綴じ代幅と、綴じ代検知部1322が検知した綴じ代の初期設定値と、用紙サイズに基づいて、印刷領域を決定する。ここで決定する印刷領域は、図5の斜線で示した部分となる。
【0025】
画像サイズ計算部1324は、ページごとにアプリケーション(コピーアプリケーション134やプリンタアプリケーション135)から画像形成を指示された画像のサイズを計算する。ここでサイズを計算する画像が、上記印刷領域に面付けられることとなる。
【0026】
印刷領域画像サイズ比較部1325は、上記印刷領域と、画像サイズ計算部1324で計算した画像のサイズを、ページごとに比較する。そして、比較の結果、画像が印刷領域をはみ出るか否かを判定する。
【0027】
画像変倍部1326は、印刷領域画像サイズ比較部1325の判定の結果、はみ出る場合に、画像が上記印刷領域内に収まるように、画像を変倍する(通常は縮小)。その結果、図6に示すように、画像切れを生じさせず適切な面付けをすることが可能となる。
【0028】
さらに適切な面付けを実現するために、本実施形態では、自動変倍時印字位置再計算部1327と自動変倍時枠消去幅再計算部1328を備える。自動変倍時枠消去幅再計算部1328は、中綴じ製本印刷時に自動変倍調整をする場合に、枠消去幅を再計算する。一方で、自動変倍時印字位置再計算部1327は、印字する場合の印字位置の再調整を行う。
【0029】
エンジン管理モジュール131により、裁断時画像サイズ計算部1311、用紙検知部1312、余白領域裁断指示部1313が構成される。裁断時画像サイズ計算部1311は、天地や小口の裁断時に裁断ラインを再計算して画像サイズを調整する。用紙検知部1312は、給紙されている用紙のサイズを検知する。余白領域裁断指示部1313は、天地や小口の裁断時に裁断をフィニッシャ117に指示して制御する。
【0030】
<中綴じ製本処理1>
以下、本実施形態の動作について主にフローチャートを参照して説明する。図7に、中綴じ製本印刷を指示するユーザの操作手順を示す。まず、ユーザは、綴じ代設定時自動変倍を設定するか否かを決めていずれかを選択する(S101)。設定しない場合は本旨から外れるので以下では設定することとする。次に、中綴じ設定や週刊誌設定を行った後(S102,S103)、綴じ代幅の初期設定を行う(S104)。ここで決めた値が初期設定値となる。次に、給紙トレイの設定を行い原稿セットをした後、コピースタートキーを押下する(S105〜S107)。
【0031】
図8に、綴じ代設定時自動変倍処理の流れを示す。綴じ代検知部1322は、S104でユーザに設定された綴じ代幅(綴じ代幅の初期設定値)を綴じ代幅とする(S201)。次に用紙サイズを決定する(S202)。次にクリープ綴じ代幅を決定する(S203)。次に印刷領域計算部1323がS201,S202,S203で決定したパラメータに基づいて印刷領域を決定する(S204)。次に画像サイズ計算部1324が画像サイズを決定する(S205)。
【0032】
主に印刷領域画像サイズ比較部1325がS206からS209を実行する。まず「綴じ代設定時自動変倍設定(S101で設定したもの)」がされているか否かを判断する(S206)。次に印刷領域から画像がはみ出しているか否かを判定する(S207)。この判定は、言い換えれば、印刷領域に対して画像サイズが収まっているかどうかの判定である。はみ出している場合には図9に示すような警告画面を表示する(S208)。ユーザの操作により自動変倍が指示されると(S209のYes)、画像変倍部1326が自動変倍処理を実行する。
【0033】
自動変倍処理はS210とS211の2処理を含む。まず、画像サイズと印刷領域から変倍率を計算する(S210)。次に、画像サイズの拡大又は縮小を行う(S211)。出力画像生成モジュール132は面付け処理を行い出力画像を生成し(S212)、エンジン管理モジュール131に印刷実行を指示する(S213)。S202ないしS213のプロセスはページごとに実行され全ページに実行されると後処理に移る(S214)。
【0034】
図10に、後処理の流れを示す。後処理はエンジン管理モジュール131が制御実行しフィニッシャ117が実行する。エンジン管理モジュール131は、中綴じ設定されているか確認し(S301。これはS102で設定されている)、設定されている場合に中綴じ製本処理を実行する(S302)。これは、用紙ごとに折り目を付けたり、ステープル処理をしたり、小口の裁断処理をしたりする処理である。
【0035】
本実施形態によれば、図7ないし図10に示したような流れで中綴じ製本処理を行い、ページごとに面付けする画像が印刷領域からはみ出すか否かを判定し、はみ出す場合に自動的に変倍処理を実行するので、図6に示すように、画像切れを生じさせず適切な面付けをすることが可能となる。
【0036】
<中綴じ製本処理2>
図7ないし図10に示したような中綴じ製本処理に加えて、さらに本実施形態では、天地裁断、枠消去、印字位置調整を行い、画像切れがなくさらに適切な面付けを可能とする。図11以下で天地裁断、枠消去、印字位置調整を行う中綴じ製本処理の流れを示す。
【0037】
図11は、中綴じ製本印刷を指示するユーザの操作手順であって図7の変形である。綴じ代設定時自動変倍設定を設定する操作(S401)は、S101と同じである。図7と異なる点は、S101以降に「変倍自動裁断」、「小口裁断」、「印字」、「枠消去」を各々設定する操作が点である(S402,S403,S404,S405)。S406以降は図7と同じである。S402,S403,S404,S405の設定がなされると図12に示す処理の流れの中でその設定が反映される。
【0038】
図12は、中綴じ製本印刷における綴じ代設定時自動変倍処理の流れであって図8の変形である。図8と異なる点は、クリープ綴じ代幅の決定(S503)の後、小口裁断幅の決定を行う(S504)こと、印刷領域の決定(S505)の後、枠消去幅と印字位置の決定を行う(S506,S507)こと、面付け処理(S515)の後、枠消去幅の再計算と印字位置の再調整を行う(S516,S517)である。S517は自動変倍時印字位置再計算部1327が、S516は自動変倍時枠消去幅再計算部1328が実行する。
【0039】
<枠消去幅の再計算>
S405で枠消去が設定されている場合、ページごとにS506で決定される枠消去幅を、S514で指定された変倍率も加味して枠消去幅を再調整する。枠消去幅とは、図13(a)に示すようにページごとに定められている画像の表示されないエリアである。枠消去幅が、変倍後の画像サイズに合わせて再計算される。その結果、図13(b)に示すような調整された枠消去幅で枠が配置された上で出力画像が生成される。
【0040】
<印字位置の再計算>
S404で印字が設定されている場合、ページごとにS507で決定される印字位置を、S524で指定された変倍率も加味して印字位置を再調整する。これは変倍率によって印字切れする可能性があるため、変倍後の画像サイズを考慮して印字位置を再調整するものである。図14に印字位置の再調整を示す。印字位置の再調整は、再計算された枠消去幅から印字位置の再計算を行う。
【0041】
図15に、図11と図12の流れで中綴じ製本印刷を行ったときの後処理の流れを示す。図15は、図10の変形である。S601で小口裁断処理をS602で天地裁断処理を実行する点が異なる他は同じである。なお、図15は、図11のS403で小口裁断が設定されていることが前提となっている。
【0042】
<小口裁断時の裁断ラインの再計算>
小口裁断処理(図15のS601)の詳細な流れを図16に示す。小口裁断自画像サイズ計算部1311は、再計算された画像サイズと用紙サイズから小口の余白領域を計算し(S701)、余白領域裁断指示部1313が裁断を実行する(S702)。図17に小口裁断時の印刷領域再調整例を示す。
【0043】
<天地裁断時の裁断ラインの再計算>
天地裁断処理(図15のS602)の詳細な流れを図18に示す。裁断時画像サイズ計算部1311は、再計算された画像サイズと用紙サイズから上下の余白領域を計算し(S801)、余白領域裁断指示部1313が裁断を実行する(S802)。図19に天地裁断時の印刷領域再調整例を示す。
【0044】
上述した本実施形態によれば、枠消去幅、印字位置、小口裁断時又は天地裁断時の裁断ラインが、画像の変倍に合わせて再計算された上で、印刷領域に面付けされる画像サイズが調整されるので、最適な面付けが可能となる。また、本実施形態によれば高品位な中綴じ製本印刷が実現する。
【符号の説明】
【0045】
1 画像形成装置
131 エンジン管理モジュール
1311 裁断時画像サイズ計算部
1312 用紙検知部
1313 余白領域裁断指示部
132 出力画像生成モジュール
1321 クリープ綴じ代検知部
1322 綴じ代検知部
1323 印刷領域検知部
1324 画像サイズ計算部
1325 印刷領域画像サイズ比較部
1326 画像変倍部
1327 自動変倍時印字位置再計算部
1328 自動変倍時枠消去幅再計算部
133 パネル管理モジュール
1331 中綴じ綴じ代設定時自動変倍設定部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特許第4235472号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知手段と、
検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算手段と、
前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較手段と、
判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷領域画像サイズ比較手段による判定の結果、はみ出る場合に、枠消去幅を前記画像変倍手段による変倍率に合わせて再計算する枠消去幅再計算手段を備えることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷領域画像サイズ比較手段による判定の結果、はみ出る場合に、印字位置を前記画像変倍手段による変倍率に合わせて再計算する印字位置再計算手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷領域画像サイズ比較手段による判定の結果、はみ出る場合に、小口裁断に用いる裁断ラインの位置を前記画像変倍手段による変倍率に合わせて再計算する裁断時画像サイズ再計算手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記裁断時画像サイズ再計算手段は、前記印刷領域画像サイズ比較手段による判定の結果、はみ出る場合に、天地裁断に用いる裁断ラインの位置を前記画像変倍手段による変倍率に合わせて再計算することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知工程と、
検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算工程と、
前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較工程と、
判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
コンピュータを、
中綴じ製本印刷における綴じ代幅の初期設定値と、用紙ごとに決定されるクリープ綴じ代幅と、を検知する綴じ代検知手段と、
検知された前記初期設定値と前記クリープ綴じ代幅と用紙サイズに基づいて用紙ごとの印刷領域を決定する印刷領域計算手段と、
前記印刷領域に面付ける画像の画像サイズと、決定した用紙ごとの前記印刷領域とを比較し、前記画像が前記印刷領域をはみ出るか否かを判定する印刷領域画像サイズ比較手段と、
判定の結果、はみ出る場合に、前記画像サイズが前記印刷領域に収まるように前記画像を縮小する画像変倍手段として動作させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2013−110557(P2013−110557A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253651(P2011−253651)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】